以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による差動揺動型減速機10の全体構成を示した図であり、図2は、図1に示した差動揺動型減速機10のII−II線に沿った断面図であり、図3〜図8は、差動揺動型減速機10のクランク軸48の構造を説明するための図である。まず、図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態による差動揺動型減速機10及びクランク軸48の構成について説明する。
本実施形態による差動揺動型減速機(以下、単に減速機という)10は、例えば風力発電設備のピッチ変換装置として活用されるものであり、この他にロボット用減速機、建設機械等の走行用または旋回用減速機等にも用いることが可能である。減速機10は、有底筒状の外側ケース12を備えている。この外側ケース12は、円筒状に形成された円筒部13と、有底筒状に形成されたカバー14とを締結することによって構成されている。円筒部13には、例えば発電装置の固定フレーム(図示せず)に取り付けるための鍔部13aが設けられ、この鍔部13aを通して固定フレームに締結できるようになっている。上記カバー14の底面には、駆動モータ16が固定されている。
また、減速機10は、入力軸21と、出力軸の一例としてのキャリア22とを備えている。入力軸21には、駆動モータ16の駆動軸25が連結されており、駆動モータ16により入力軸21に回転駆動力が付与される。キャリア22は、入力軸21の軸心と同じ軸回りに回転可能に配置されるものである。減速機10は、図1に示すように、例えば入力軸21が上で、キャリア22が下になるように配置することができる。この場合には、キャリア22が垂直軸回りに回転することとなる。以下、この姿勢で配置されているものとして説明を続ける。
入力軸21には、駆動モータ16の駆動軸25に対して所定の比率で減速するための減速機構26と、この減速機構26を通して駆動力が伝達される中間軸部27とが含まれる。駆動軸25は、駆動モータ16から下方に延び、カバー14の中央部を貫通している。この駆動軸25は、図示省略した軸受によってカバー14に対して回転自在となっている。
上記減速機構26は、駆動軸25の下端部に設けられた第1太陽歯車26aと、上記カバー14の側壁内側に設けられた内歯歯車26bと、これら第1太陽歯車26aおよび内歯歯車26bに噛み合う第1遊星歯車26cとを備えている。第1遊星歯車26cは、駆動軸25の回転に伴い、第1太陽歯車26aの周りを公転する。
上記中間軸部27は、駆動軸25と同軸状に配置される中間軸部本体27aと、この中間軸部本体27aから半径方向外側に延びる腕部27bとを備えている。中間軸部本体27aは、駆動軸25の真下に配置されるとともに後述する端板部36に回転可能に支持されている。腕部27bは、その先端部が第1遊星歯車26cの中央に設けられた貫通孔26dに挿通されている。そして、第1遊星歯車26cが公転すると、それに伴い腕部27bも公転し、これにより中間軸部本体27aは、駆動軸25の回転数に対して所定の比率で減速された回転数で回転する。この中間軸部本体27aの下部には、駆動外歯歯車29が設けられている。
上記円筒部13の軸方向中間部における内周部には、内歯ピン31が固定されている。この内歯ピン31は、周方向に複数設けられており、各内歯ピン31が軸方向に延びる姿勢で配置され、周方向の全体に亘って等間隔に配置されている。各内歯ピン31は、内歯歯車の内歯を構成する。このように円筒部13は、内周部に内歯が配置された内歯歯車部材を構成する。
上記キャリア22は、円筒部13の径方向の内側に配設されている。このキャリア22は、軸方向の2箇所に配設された軸受32および33によって回転自在に円筒部13に支持されている。キャリア22は、円筒部13の軸心に一致する軸回りに回転する。
キャリア22は、基部35と、この基部35の上方に配置された端板部36と、端板部36側へ延びるように基部35に一体的に形成されたシャフト部37とを備えている。基部35は、その下端部が円筒部13から下方に突出するように構成されており、この基部35の下端部には、円筒部13の軸心と同軸状になるように伝達歯車39が外嵌されている。この伝達歯車39は、例えば風力発電設備の旋回軸に回転駆動力を付与する。
シャフト部37は、基部35の上面から上方に向かって軸方向に延びる柱状に構成されており、下側から順に配設された第1シャフト部41、第2シャフト部42および第3シャフト部43からなる。また、シャフト部37は、図2に示すように周方向に間隔をおいて3つ設けられており、各シャフト部37は、断面略三角形状に形成されている。
シャフト部37には、図1に示すように、有底のボルト穴37aが設けられ、端板部36には、このボルト穴37aに対応する位置にボルト挿通孔36bが設けられている。そして、このボルト挿通孔36bに挿通されたボルト52がシャフト部37のボルト穴37aに螺合されている。また、シャフト部37および端板部36には、それぞれピン孔37bおよび36cが設けられていて、これらピン孔37bおよび36cに跨るようにピン53が挿入されている。これにより、上記基部35および端板部36は、互いに位置ずれしないように固定されている。そして、基部35および端板部36が一体となって円筒部13の軸心回りに回転するようになっている。
図1に示すように、円筒部13の内側において、基部35と端板部36との間に閉空間が形成されている。この閉空間には、第1外歯歯車44a、第2外歯歯車44bおよび第3外歯歯車44cが下から上に順番に配設されている。第1〜第3外歯歯車44a〜44cは、円筒部13の内径よりも少し小さく形成されていて、円筒部13の内歯ピン31に噛み合う外歯44d(図2参照)を有する。第1〜第3外歯歯車44a〜44cの外歯44dは、内歯ピン31の歯数より若干、例えば1つだけ少なくなっている。
そして、第1〜第3外歯歯車44a〜44cを貫通するようにクランク軸48(偏心軸)が設けられている。このクランク軸48は、図2に示すように周方向に間隔をおいて3つ設けられている。各クランク軸48は、図1に示すように、上下一対のクランク軸受56および57(軸受)によって回転自在に支持されている。上側のクランク軸受56(第2クランク軸受)は、端板部36に形成された貫通孔36aに嵌め込まれている。下側のクランク軸受57(第1クランク軸受)は、基部35の上面に形成された凹部35aに嵌め込まれている。換言すると、クランク軸48は、その上部において上側のクランク軸受56を介して端板部36によって支持されるとともに、下部において下側のクランク軸受57を介して基部35によって支持されている。
各クランク軸48は、図3及び図4に示すように、歯車取付部148aと、第1軸部148bと、第2軸部148cと、第1偏心部148dと、第2偏心部148eと、第3偏心部148fと、第1連結部148gと、第2連結部148hと、第3連結部148iと、第4連結部148jとを一体に有している。
歯車取付部148aは、クランク軸48の上端部に設けられており、上記上側のクランク軸受56よりも上方に突出するように配置される。この歯車取付部148aには、上記駆動外歯歯車29と噛み合う従動外歯歯車59が外嵌されている。そして、クランク軸48は、駆動外歯歯車29と従動外歯歯車59との歯数比で減速されて、従動外歯歯車59と一体的に回転および公転するようになっている。
第1軸部148bは、円柱状に形成されるとともに、クランク軸48の下端部に設けられている。そして、第1軸部148bは、上記下側のクランク軸受57に回転自在に支持されている。第2軸部148cは、円柱状に形成されるとともに、上記歯車取付部148aの下側に設けられている。そして、第2軸部148cは、第1軸部148bの軸心C1と同軸上に配置された軸心C2を有しているとともに、上記上側のクランク軸受56に回転自在に支持されている。なお、これら第1軸部148b及び第2軸部148cの軸心C1及びC2がクランク軸48の回転の中心となっている。
第1〜第3偏心部148d〜148fは、第1軸部148bと第2軸部148cとの間に設けられている。これら第1〜第3偏心部148d〜148fは、軸方向に沿って下から順番に配設されている。そして、第1〜第3偏心部148d〜148fは、円柱状にそれぞれ形成されているとともに、上記第1軸部148b及び第2軸部148cの軸心C1及びC2に対してそれぞれ偏心量e(図5参照)だけ偏心した軸心C3〜C5を有している。そして、隣り合う第1偏心部148dと第2偏心部148eとは互いに異なった回転位相を有しているとともに、隣り合う第2偏心部148eと第3偏心部148fとは互いに異なった回転位相を有している。これら第1〜第3偏心部148a〜148cは、それぞれ角度θ(図5参照:本実施形態ではθ=約120°)の位相差を有するように配設されている。
第1連結部148gは、隣り合う第1軸部148bと第1偏心部148dとの間に設けられており、この第1軸部148bと第1偏心部148dとを相互に連結している。そして、第1連結部148gは、第1軸部148bの軸心C1と同軸上に軸心C6を有するように形成されているとともに、第1軸部148bよりも小径に形成されている。第2連結部148hは、隣り合う第2軸部148cと第3偏心部148fとの間に設けられており、この第2軸部148cと第3偏心部148fとを相互に連結している。そして、第2連結部148hは、第2軸部148cの軸心C2と同軸上に軸心C7を有するように形成されているとともに、第2軸部148cよりも小径に形成されている。
第3連結部148iは、隣り合う第1偏心部148dと第2偏心部148eとの間に設けられており、この第1偏心部148dと第2偏心部148eとを相互に連結している。そして、第3連結部148iは、軸方向に見たときに図6中の斜線を付した範囲に形成されている。すなわち、第3連結部148iは、軸方向に見たときにその両側の第1偏心部148dと第2偏心部148eとが重なり合う範囲A1とこの重なり合う範囲A1から第1偏心部148dがはみ出した範囲A2と第2偏心部148eがはみ出した範囲A3とに亘って形成されている。そして、軸方向に垂直な断面内において、上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2内で第3連結部148iの外周を形成する円弧は、第2偏心部148eの軸心C4と同軸上に中心を有している一方、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3内で第3連結部148iの外周を形成する円弧は、第1偏心部148dの軸心C3と同軸上に中心を有している。
そして、第3連結部148iは、図4に示すように、凹部158a及び158bと、傾斜部159a及び159bとを含んでいる。凹部158aは、第1偏心部148dの第2偏心部148e側に連続して設けられており、第3連結部148iの全周に亘って形成されている。この凹部158a(図8参照)は、第1偏心部148dよりも径方向内側に形成されている。そして、凹部158aの軸方向における幅は、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3側から上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2側へ向かうに連れて徐々に小さくなるように構成されている。
傾斜部159aは、凹部158aの第2偏心部148e側に連続して設けられている。この傾斜部159aは、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3内に形成されている。そして、傾斜部159aは、その軸方向に沿った断面が第2偏心部148e側へ行くに連れて径方向外側へ広がる直線的なテーパー状となるように形成されているとともに、約15°のテーパー角を有している。そして、上記傾斜部159a及び上記凹部158aは、第1偏心部148dの軸心C3と同軸上に中心を有している。
凹部158bは、第2偏心部148eの第1偏心部148d側に連続して設けられており、第3連結部148iの全周に亘って形成されている。この凹部158bは、第2偏心部148eよりも径方向内側に形成されている。そして、凹部158bの軸方向における幅は、上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2側から上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3側へ向かうに連れて徐々に小さくなるように構成されている。
傾斜部159bは、凹部158bの第1偏心部148d側に連続して設けられている。この傾斜部159bは、上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2内に形成されている。そして、傾斜部159bは、その軸方向に沿った断面が第1偏心部148d側へ行くに連れて径方向外側へ広がる直線的なテーパー状となるように形成されているとともに、約15°のテーパー角を有している。そして、上記傾斜部159b及び上記凹部158bは、第2偏心部148eの軸心C4と同軸上に中心を有している。
第4連結部148jは、隣り合う第2偏心部148eと第3偏心部148fとの間に設けられており、この第2偏心部148eと第3偏心部148fとを相互に連結している。そして、第4連結部148jは、軸方向に見たときに図7中の斜線を付した範囲に形成されている。すなわち、第4連結部148jは、軸方向に見たときにその両側の第2偏心部148eと第3偏心部148fとが重なり合う範囲A4とこの重なり合う範囲A4から第2偏心部148e及び第3偏心部148fがそれぞれはみ出した範囲A5及びA6とに亘って形成されている。そして、軸方向に垂直な断面内において、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5内で第4連結部148jの外周を形成する円弧は、第3偏心部148fの軸心C5と同軸上に中心を有している一方、上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6内で第4連結部148jの外周を形成する円弧は、第2偏心部148eの軸心C4と同軸上に中心を有している。
そして、第4連結部148jは、凹部168a及び168bと、傾斜部169a及び169bとを含んでいる。凹部168aは、第3偏心部148fの第2偏心部148e側に連続して設けられており、第4連結部148jの全周に亘って形成されている。この凹部168aは、第3偏心部148fよりも径方向内側に形成されている。そして、凹部168aの軸方向における幅は、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5側から上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6側へ向かうに連れて徐々に小さくなるように構成されている。
傾斜部169aは、凹部168aの第2偏心部148e側に連続して設けられている。この傾斜部169aは、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5内に形成されている。そして、傾斜部169aは、その軸方向に沿った断面が第2偏心部148e側へ行くに連れて径方向外側へ広がる直線的なテーパー状となるように形成されているとともに、約15°のテーパー角を有している。そして、上記傾斜部169a及び上記凹部168aは、第3偏心部148fの軸心C5と同軸上に中心を有している。
凹部168bは、第2偏心部148eの第3偏心部148f側に連続して設けられており、第4連結部148jの全周に亘って形成されている。この凹部168bは、第2偏心部148eよりも径方向内側に形成されている。そして、凹部168bの軸方向における幅は、上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6側から上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5側へ向かうに連れて徐々に小さくなるように構成されている。
傾斜部169bは、凹部168bの第3偏心部148f側に連続して設けられている。この傾斜部169bは、上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6内に形成されている。そして、傾斜部169bは、その軸方向に沿った断面が第3偏心部148f側へ行くに連れて径方向外側へ広がる直線的なテーパー状となるように形成されているとともに、約15°のテーパー角を有している。そして、上記傾斜部169b及び上記凹部168bは、第2偏心部148eの軸心C4と同軸上に中心を有している。
そして、クランク軸48の第1偏心部48a、第2偏心部48bおよび第3偏心部48cには、上記第1外歯歯車44a、第2外歯歯車44bおよび第3外歯歯車44cがそれぞれ第1軸受49a、第2軸受49bおよび第3軸受49cを介して取り付けられている。具体的には、第1〜第3外歯歯車44a〜44cには、図2に示すように、第1貫通孔44eと第2貫通孔44fとがそれぞれ設けられている。第1貫通孔44eは、円形状に形成されている。第1外歯歯車44aの第1貫通孔44eには、第1偏心部48aが第1軸受49aを介装した状態で挿通され、第2外歯歯車44bの第1貫通孔44eには、第2偏心部48bが第2軸受49bを介装した状態で挿通され、第3外歯歯車44cの第1貫通孔44eには、第3偏心部48cが第3軸受49cを介装した状態で挿通されている。なお、第1貫通孔44eは、クランク軸48に対応して設けられるので、周方向に等間隔に3つ設けられている。
上記第1外歯歯車44aの第2貫通孔44fには、上記シャフト部37の第1シャフト部41が挿通され、第2外歯歯車44bの第2貫通孔44fには、上記シャフト部37の第2シャフト部42が挿通され、第3外歯歯車44cの第2貫通孔44fには、上記シャフト部37の第3シャフト部43が挿通されている。この第2貫通孔44fは、シャフト部37との間に所定の隙間が形成されるようにシャフト部37の断面よりも大きな略三角形状に形成されている。第2貫通孔44fは、シャフト部37に対応して設けられるので、周方向に等間隔に3つ設けられている。本実施形態では、第1〜第3外歯歯車44a〜44cは、上記外歯44d、第1貫通孔44eおよび第2貫通孔44fを含めた全ての構成が同様に構成されている。
次に、本実施形態によるクランク軸48の製造方法について説明する。
この製造方法では、まず、クランク軸48の材料200(図6参照)を準備する。このクランク軸48の材料200としては、軸方向に見てクランク軸48の各部を内包する径を有する円柱状の金属材を準備する。そして、そのクランク軸48の材料200をチャックで把持した後、第1軸部148b及び第2軸部148cの軸心C1及びC2を中心として回転させながらバイト500(切削工具)でクランク軸48の材料200の第1軸部148bの形成領域と第2軸部148cの形成領域とを切削する。これにより、第1軸部148bと第2軸部148cとが形成される。
次に、クランク軸48の材料200を偏心チャックで把持した後、第1偏心部148dの軸心C3を中心として回転させながらバイト500でクランク軸48の材料200の第1偏心部148dの形成領域を切削する。この際、バイト500をクランク軸48の材料200に対して第1軸部148b側から第2軸部148c側へ移動させながら切削を行う。これにより、第1偏心部148dが形成される。
そして、この後、連続して同じ軸心C3を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら同じバイト500で第1偏心部148dの第2軸部148c側に隣接する凹部158aの形成領域を切削する。さらに、この後、連続して同じ軸心C3を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら同じバイト500で切削することにより、凹部158aの第2軸部148c側に連続してテーパー状の部分を形成する。このテーパー状の部分は、その軸方向に沿った断面の外端部が第2偏心部148e側へ向かうに連れて外側へ広がる直線的なテーパー状となるように形成する。
次に、上記偏心チャックで把持したクランク軸48の材料200の回転軸を上記第2偏心部148eの軸心C4側へ移動させた後、その第2偏心部148eの軸心C4を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながらバイト500で第2偏心部148eの形成領域を切削する。この際、バイト500をクランク軸48の材料200に対して第2軸部148c側から第1軸部148b側へ移動させながら切削を行う。このようにして、第2偏心部148eを形成する。
そして、この後、連続して同じ軸心C4を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら同じバイト500で第2偏心部148eの第1偏心部148d側に隣接する凹部158bの形成領域を切削する。この際、上記テーパー状の部分の一部が切削される。なお、この際、上記テーパー状の部分のうち軸方向に見て第1偏心部148dと第2偏心部148eとが重なり合う範囲A1から第1偏心部148dがはみ出した範囲A2側の部分が多く切削される。一方、上記テーパー状の部分では、軸方向に見て第1偏心部148dと第2偏心部148eとが重なり合う範囲A1から第2偏心部148eがはみ出した範囲A3側へ向かうに連れて削りしろが少なくなっており、その範囲A3側へ向かうに連れて切削量が減少する。このようにして、第2偏心部148eの第1偏心部148d側に隣接する凹部158bが形成される。
さらに、この後、連続して同じ軸心C4を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら同じバイト500で切削することにより、凹部158bの第1偏心部148d側に連続してテーパー状の部分を形成する。このテーパー状の部分は、その軸方向に沿った断面の外端部が第1偏心部148d側へ向かうに連れて外側へ広がる直線的なテーパー状となるように形成する。そして、この際、上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2側において、上記の第1偏心部148d側からテーパー状に形成した部分が切削される一方、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3側では、バイト500とクランク軸48の材料200とが接触しないので切削されない。このようにして、上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2内に凹部158bから第1偏心部148d側へ連続する傾斜部159bが形成されるとともに、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3内に凹部158aから第2偏心部148a側へ連続する傾斜部159aが形成される。そして、これら傾斜部159a及び159bと凹部158a及び158bとによって第3連結部148iが構成される。
次に、同じ軸心C4を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら同じバイト500で第2偏心部148eの第2軸部148c側に隣接する凹部168bの形成領域を切削する。さらに、この後、連続して同じ軸心C4を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら同じバイト500で切削することにより、凹部168bの第2軸部148c側に連続してテーパー状の部分を形成する。このテーパー状の部分は、その軸方向に沿った断面の外端部が第2軸部148c側へ向かうに連れて外側へ広がる直線的なテーパー状となるように形成する。
次に、上記偏心チャックで把持したクランク軸48の材料200の回転軸を上記第3偏心部148fの軸心C5側へ移動させた後、その第3偏心部148fの軸心C5を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながらバイト500で第3偏心部148fの形成領域を切削する。この際、バイト500をクランク軸48の材料200に対して第2軸部148c側から第1軸部148b側へ移動させながら切削を行う。このようにして、第3偏心部148fを形成する。
この後、連続して同じ軸心C5を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら同じバイト500で第3偏心部148fの第2偏心部148e側に隣接する凹部168aの形成領域を切削する。この際、上記凹部168bの第2軸部148c側に連続して形成されたテーパー状の部分の一部が切削される。なお、この際、そのテーパー状の部分のうち軸方向に見て第2偏心部148eと第3偏心部148fとが重なり合う範囲A4から第2偏心部148eがはみ出した範囲A5側の部分が多く切削される。一方、このテーパー状の部分では、軸方向に見て第2偏心部148eと第3偏心部148fとが重なり合う範囲A4から第3偏心部148fがはみ出した範囲A6側へ向かうに連れて削りしろが少なくなっており、その範囲A6側へ向かうに連れて切削量が減少する。このようにして、第3偏心部148fの第2偏心部148e側に隣接する凹部168aが形成される。
さらに、この後、連続して同じ軸心C5を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら同じバイト500で切削することにより、凹部168aの第2偏心部148e側に連続してテーパー状の部分を形成する。このテーパー状の部分は、その軸方向に沿った断面の外端部が第2偏心部148e側へ向かうに連れて外側へ広がる直線的なテーパー状となるように形成する。そして、この際、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5側において、上記の凹部168bの第2軸部148c側に連続してテーパー状に形成された部分が切削される一方、上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6側では、バイト500とクランク軸48の材料200とが接触しないので切削されない。このようにして、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5内に凹部168aから第2偏心部148e側へ連続する傾斜部169aが形成されるとともに、上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6内に凹部168bから第3偏心部148f側へ連続する傾斜部169bが形成される。そして、これら傾斜部169a及び169bと凹部168a及び168bとによって第4連結部148jが構成される。
次に、クランク軸48の材料200の回転軸を第1軸部148b及び第2軸部148cの軸心C1及びC2に移動させて、その軸心C1及びC2を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら、上記のバイト500とは異なる先の細いバイトで第1軸部148bの第1偏心部148d側に隣接する第1連結部148gの形成領域を切削するとともに、第2軸部148cの第3偏心部148f側に隣接する第2連結部148hの形成領域を切削する。これにより、第1連結部148gと第2連結部148hとが形成される。
この後、クランク軸48の材料200を浸炭処理し、その後、第1〜第3偏心部148d〜148fの表面を研磨工具であるバフ600(図8参照)でそれぞれ研磨処理する。この際、第1偏心部148dでは、クランク軸48の材料200を第1偏心部148dの軸心C3を中心として回転させながら、第1偏心部148dの表面にバフ600を当てて研磨を行う。そして、図8にしめすように第1偏心部148dの第3連結部148i側の端部を研磨する際、第3連結部148iの凹部158aは、バフ600との干渉を回避するための逃げ部として機能する。例えば、第3連結部148iに凹部158aが存在せず、傾斜部159bが第1偏心部148dに連続して設けられている場合には、傾斜部159bとの干渉を避けながら第1偏心部148dの端部まで正確にバフ600を当てて研磨するのが困難となる。本実施形態では、凹部158aが設けられているので、バフ600が多少第1偏心部148dから第3連結部148i側にはみ出しても第3連結部148iとの干渉を避けることができる。このため、第1偏心部148dの第3連結部148i側の端部まで精度良く研磨することが可能となっている。
そして、第2偏心部148eの研磨では、クランク軸48の材料200を第2偏心部148eの軸心C4を中心として回転させながら、第2偏心部148eの表面にバフ600を当てて研磨を行う。この際、上記凹部158aと同様、第3連結部148iの凹部158bは、第2偏心部148eの第3連結部148i側の端部を研磨する際、バフ600との干渉を回避するための逃げ部として機能し、第4連結部148jの凹部168bは、第2偏心部148eの第4連結部148j側の端部を研磨する際、バフ600との干渉を回避するための逃げ部として機能する。これにより、第2偏心部148eの表面を第3連結部148i側の端部及び第4連結部148j側の端部まで精度良く研磨することが可能となっている。
そして、第3偏心部148fの研磨では、クランク軸48の材料200を第3偏心部148fの軸心C5を中心として回転させながら、第3偏心部148fの表面にバフ600を当てて研磨を行う。この際、上記凹部158aと同様、第4連結部148jの凹部168aは、第3偏心部148fの第4連結部148j側の端部を研磨する際、バフ600との干渉を回避するための逃げ部として機能する。これにより、第3偏心部148fの表面を第4連結部148j側の端部まで確実に研磨することが可能となっている。以上のようにして、本実施形態によるクランク軸48が形成される。
次に、本実施形態による減速機10の動作について説明する。
駆動モータ16の駆動軸25が回転すると、減速機構26によって所定の減速比で減速されて駆動外歯歯車29が回転する。この駆動外歯歯車29の回転により、各従動外歯歯車59が回転する。この従動外歯歯車59の回転数は、駆動外歯歯車29の回転数に対して所定の減速比で減速されており、この従動外歯歯車59が回転することによりクランク軸48が一緒に回転する。これにより、第1〜第3偏心部48a〜48cが回転し、それによって、第1〜第3外歯歯車44a〜44cが内歯ピン31に噛み合いながら公転するとともに揺動する。そして、これに伴ってクランク軸48が公転する。このとき、第1〜第3外歯歯車44a〜44cの公転は、クランク軸48の公転に対して大幅に減速されている。そして、第1〜第3外歯歯車44a〜44cの公転に伴い、シャフト部37が公転し、キャリア22全体が回転する。これにより、伝達歯車39が、駆動モータ16の回転数に対して大幅に減速された回転数で回転する。
以上説明したように、本実施形態によるクランク軸48では、第3連結部148iが第1偏心部148dに連続し、その第1偏心部148dよりも径方向内側に形成された凹部158aを有しているとともに、第2偏心部148eに連続し、その第2偏心部148eよりも径方向内側に形成された凹部158bを有しているので、第1偏心部148dの端部を研磨加工する際に第2偏心部148e側にバフ600がはみ出してもバフ600と第3連結部148iとの干渉が回避されるとともに、第2偏心部148eの端部を研磨加工する際に第1偏心部148d側にバフ600がはみ出してもバフ600と第3連結部148iとの干渉が回避される。また、本実施形態によるクランク軸48では、第4連結部148jが第2偏心部148eに連続し、その第2偏心部148eよりも径方向内側に形成された凹部168bを有しているとともに、第3偏心部148fに連続し、その第3偏心部148fよりも径方向内側に形成された凹部168aを有しているので、第2偏心部148eの端部を研磨加工する際に第3偏心部148f側にバフ600がはみ出してもバフ600と第4連結部148jとの干渉が回避されるとともに、第3偏心部148fの端部を研磨加工する際に第2偏心部148e側にバフ600がはみ出してもバフ600と第4連結部148jとの干渉が回避される。これにより、第1偏心部148d、第2偏心部148e及び第3偏心部148fをそれぞれ端部まで精度良く研磨加工することができる。
また本実施形態によるクランク軸48では、第3連結部148iが軸方向に見たときにその両側の第1偏心部148dと第2偏心部148eとが重なり合う範囲A1とこの重なり合う範囲A1から第1偏心部148dがはみ出した範囲A2と第2偏心部148eがはみ出した範囲A3とに亘って形成されている。このため、軸方向に見たときに第1偏心部148dと第2偏心部148eとが重なり合う範囲A1内にのみ連結部が形成されている構成に比べて、軸方向に垂直な断面における第3連結部148iの断面積を大きくすることができる。そして、第4連結部148jが軸方向に見たときにその両側の第2偏心部148eと第3偏心部148fとが重なり合う範囲A4とこの重なり合う範囲A4から第2偏心部148e及び第3偏心部148fがはみ出した範囲A5及びA6とに亘って形成されている。このため、軸方向に見たときに第2偏心部148eと第3偏心部148fとが重なり合う範囲A4内にのみ連結部が形成されている構成に比べて、軸方向に垂直な断面における第4連結部148jの断面積を大きくすることができる。以上のような構成により、本実施形態では、第3連結部148i及び第4連結部148jにおける強度を向上させることができるので、クランク軸48の強度を向上させることができる。
また、本実施形態によるクランク軸48では、軸方向に垂直な断面内において、上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2内で第3連結部148iの外周を形成する円弧が第2偏心部148eの軸心C4と同軸上に中心を有しており、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3内で第3連結部148iの外周を形成する円弧が第1偏心部148dの軸心C3と同軸上に中心を有している。これにより、上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2内における第3連結部148iの外周と第2偏心部148eとを第2偏心部148eの軸心C4を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら切削加工することにより形成することができるとともに、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3内における第3連結部148iの外周と第1偏心部148dとを第1偏心部148dの軸心C3を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら切削加工することにより形成することができる。このため、クランク軸48の材料200の回転軸を変更することなく、上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2内における第3連結部148iの外周と第2偏心部148eとを連続した工程で形成することができるとともに、クランク軸48の材料200の回転軸を変更することなく、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3内における第3連結部148iの外周と第1偏心部148dとを連続した工程で形成することができる。さらに、本実施形態によるクランク軸48では、軸方向に垂直な断面内において、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5内で第4連結部148jの外周を形成する円弧が第3偏心部148fの軸心C5と同軸上に中心を有しており、上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6内で第4連結部148jの外周を形成する円弧が第2偏心部148eの軸心C4と同軸上に中心を有している。これにより、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5内における第4連結部148jの外周と第3偏心部148fとを第3偏心部148fの軸心C5を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら切削加工することにより形成することができるとともに、上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6内における第4連結部148jの外周と第2偏心部148eとを第2偏心部148eの軸心C4を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら切削加工することにより形成することができる。このため、クランク軸48の材料200の回転軸を変更することなく、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5内における第4連結部148jの外周と第3偏心部148fとを連続した工程で形成することができるとともに、クランク軸48の材料200の回転軸を変更することなく、上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6内における第4連結部148jの外周と第2偏心部148eとを連続した工程で形成することができる。したがって、本実施形態によるクランク軸48では、クランク軸48の形成時にクランク軸48の材料200の回転軸の変更に要する手間を削減することができるので、クランク軸48の形成工程を簡略化することができる。
また、本実施形態によるクランク軸48では、第3連結部148iが上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2内において軸方向に沿った断面が直線的なテーパー状に形成された傾斜部159bを含むとともに、上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3内において軸方向に沿った断面が直線的なテーパー状に形成された傾斜部159aを含むので、第3連結部148iから第1偏心部148d及び第2偏心部148eへなだらかに結合された構造を形成することができる。これにより、第3連結部148iから第1偏心部148d及び第2偏心部148eへの結合部分において段差が形成されているような構成に比べて、第3連結部148iと第1偏心部148d及び第2偏心部148eとの結合部分に生じる応力集中を緩和することができる。また、本実施形態によるクランク軸48では、第4連結部148jが上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5内において軸方向に沿った断面が直線的なテーパー状に形成された傾斜部169aを含むとともに、上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6内において軸方向に沿った断面が直線的なテーパー状に形成された傾斜部169bを含むので、第4連結部148jから第2偏心部148e及び第3偏心部148fへなだらかに結合された構造を形成することができる。これにより、第4連結部148jから第2偏心部148e及び第3偏心部148fへの結合部分において段差が形成されているような構成に比べて、第4連結部148jと第2偏心部148e及び第3偏心部148fとの結合部分に生じる応力集中を緩和することができる。したがって、本実施形態によるクランク軸48では、第3連結部148iと第1偏心部148d及び第2偏心部148eとの結合部分における応力集中と、第4連結部148jと第2偏心部148e及び第3偏心部148fとの結合部分における応力集中とに起因してこれらの結合部分に亀裂が発生するのを抑制することができる。
また、本実施形態によるクランク軸48の製造方法では、第3連結部148iの上記第1偏心部148dがはみ出した範囲A2内の外周を形成する工程と、第2偏心部148eを形成する工程とをクランク軸48の材料200を第2偏心部148eの軸心C4を中心として回転させながら同じバイト500で切削する連続した工程で行っており、第3連結部148iの上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A3内の外周を形成する工程と、第1偏心部148dを形成する工程とをクランク軸48の材料200を第1偏心部148dの軸心C3を中心として回転させながら同じバイト500で切削する連続した工程で行っている。さらに、このクランク軸48の製造方法では、第4連結部148jの上記第2偏心部148eがはみ出した範囲A5内の外周を形成する工程と、第3偏心部148fを形成する工程とをクランク軸48の材料200を第3偏心部148fの軸心C5を中心として回転させながら同じバイト500で切削する連続した工程で行っており、第4連結部148jの上記第3偏心部148fがはみ出した範囲A6内の外周を形成する工程と、第2偏心部148eを形成する工程とをクランク軸48の材料200を第2偏心部148eの軸心C4を中心として回転させながら同じバイト500で切削する連続した工程で行っている。その結果、クランク軸48の形成時におけるクランク軸48の材料200の回転軸及び切削工具の変更に要する手間を削減することができるので、クランク軸48の形成工程を簡略化することができる。また、クランク軸48の形成に要する切削工具の種類も削減することができる。
また、本発明による減速機10では、上記のクランク軸48を用いているので、クランク軸48の強度を向上させることができるという上記クランク軸48による効果と同様の効果を得ることができる。そして、一般に、減速機10を小型化するために上記第1〜第3外歯歯車44a〜44cを小径化する場合には、その第1〜第3外歯歯車44a〜44cを回転させるのに要するトルクが増大するので、クランク軸48から力を伝達して第1〜第3外歯歯車44a〜44cを回転させる際にクランク軸48に掛かる負荷が増大する。しかしながら、このようにクランク軸48に掛かる負荷が増大する場合でも、本発明による減速機10では上記のようにクランク軸48の強度を向上させることができるので、クランク軸48の破損を抑制することができる。したがって、本発明の減速機10によれば、減速機10を小型化しながらクランク軸48の破損を抑制することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、クランク軸48に第1〜第3偏心部148d〜148fを設けるとともに、第1偏心部148dと第2偏心部148eとを連結する第3連結部148iと、第2偏心部148eと第3偏心部148fとを連結する第4連結部148jとに本発明を適用した例について説明したが、これに限らず、クランク軸48に単一の偏心部、例えば、上記実施形態の第1偏心部148dのみを残して第2及び第3偏心部148e及び148fを省略し、軸方向に沿って第1軸部148b、第1連結部148g、第1偏心部148d、第2連結部148h及び第2軸部148cが順番に繋がるように構成するとともに、その第1連結部148gと第2連結部148hとに本発明を適用してもよい。
具体的には、軸方向に沿って第1軸部148b、第1連結部148g、第1偏心部148d、第2連結部148h及び第2軸部148cが順番に繋がる構成において、第1連結部148gを軸方向に見たときに第1軸部148bと第1偏心部148dとが重なり合う範囲とこの重なり合う範囲から第1偏心部148dがはみ出した範囲とに亘って形成するとともに、軸方向に垂直な断面内において、その第1偏心部148dがはみ出した範囲内で第1連結部148gの外周を形成する円弧が第1軸部148bの軸心C1と同軸上に中心を有するように構成してもよい。また、上記構成において、第2連結部148hを軸方向に見たときに第2軸部148cと第3偏心部148fとが重なり合う範囲とこの重なり合う範囲から第3偏心部148fがはみ出した範囲とに亘って形成するとともに、軸方向に垂直な断面内において、その第3偏心部148fがはみ出した範囲内で第2連結部148hの外周を形成する円弧が第2軸部148cの軸心C2と同軸上に中心を有するように構成してもよい。
このように構成すれば、軸方向に見たときに第1軸部148bと第1偏心部148dとが重なり合う範囲よりも小さい範囲に第1連結部148gが形成されているとともに第2軸部148cと第3偏心部148fとが重なり合う範囲よりも小さい範囲に第2連結部148hが形成されている構成に比べて、軸方向に垂直な断面における第1連結部148g及び第2連結部148hの断面積を大きくすることができる。これにより、第1連結部148g及び第2連結部148hにおける強度を向上させることができるので、単一の第1偏心部148dのみを有するクランク軸48の強度を向上させることができる。
さらに、この構成によるクランク軸48では、軸方向に垂直な断面内において、第1軸部148bと第1偏心部148dとが重なり合う範囲から第1偏心部148dがはみ出した範囲内で第1連結部148gの外周を形成する円弧が第1軸部148bの軸心C1と同軸上に中心を有するので、その第1偏心部148dがはみ出した範囲内における第1連結部148gの外周と第1軸部148bとを第1軸部148bの軸心C1を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら切削加工することにより形成することができる。また、このクランク軸48では、軸方向に垂直な断面において、第2軸部148cと第3偏心部148fとが重なり合う範囲から第3偏心部148fがはみ出した範囲内で第2連結部148hの外周を形成する円弧が第2軸部148cの軸心C2と同軸上に中心を有するので、その第3偏心部148fがはみ出した範囲内における第2連結部148hの外周と第2軸部148cとを第2軸部148cの軸心C2を中心としてクランク軸48の材料200を回転させながら切削加工することにより形成することができる。これにより、上記第1偏心部148dがはみ出した範囲内における第1連結部148gの外周と第1軸部148bとをクランク軸48の材料200の回転軸を変更することなく形成することができるとともに、上記第3偏心部148fがはみ出した範囲内における第2連結部148hの外周と第2軸部148cとをクランク軸48の材料200の回転軸を変更することなく形成することができる。したがって、このクランク軸48においても、その形成時にクランク軸48の材料200の回転軸の変更に要する手間を削減することができるので、クランク軸48の形成工程を簡略化することができる。
また、このような第1連結部148g及び第2連結部148hに本発明を適用した構成を、上記実施形態による第1〜第3偏心部148d〜148fの第1連結部148g及び第2連結部148hに同様に適用しても良い。