(第1の実施の形態)
以下、この発明にかかるフレックス燃料機関の機関制御装置の第1の実施の形態について、図1〜図10を参照して説明する。
この実施の形態では、以下に詳述するように、まず、当該フレックス燃料機関がアイドル運転状態にあるときに一定の時間に渡って副燃料の供給を強制実行する。そして、副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサの検出値と理論空燃比との偏差の積分値の絶対値を求め、この求めた絶対値に基づいて副燃料の燃料タンク内での燃料残量を監視する。こうすることで、燃料計を設けずとも副燃料の燃料タンク内での燃料残量を的確に監視することができるようにしている。
図1は、この実施の形態にかかる機関制御装置の搭載対象となるフレックス燃料機関の全体構成及びその制御装置の概略構成を示している。なお、このフレックス燃料機関は、車両に搭載される車載用のフレックス燃料機関として構成されており、アルコールを主成分とする燃料が主燃料として供給されるとともに、ガソリンを主成分とする燃料が副燃料として供給される。すなわち、この実施の形態では、主燃料よりも低温時における気化性の高い燃料を副燃料として供給することで、特に当該フレックス燃料機関の低温始動時における燃焼を補助するようにしている。
図1に示すように、フレックス燃料機関10は、基本的に、外部から吸入された空気の流れる吸気通路11、その吸気通路11を通じて導入された空気と燃料との混合気が燃焼される燃焼室12、及びその燃焼室12内での燃焼により生じた排気の流れる排気通路13を備えて構成されている。
このうち、吸気通路11は、サージタンク14下流の吸気マニホールド15にて気筒毎に分岐されるとともに、吸気ポート16を介して各気筒の燃焼室12にそれぞれ接続されている。こうした吸気通路11には、サージタンク14の上流に、吸気通路11内の空気の温度を検出する図示しない吸気温センサが配設されているとともに、副燃料を供給するための専用の副燃料ノズル18が同サージタンク14の内部に配設されている。さらに、吸気通路11には、主燃料を噴射供給する主燃料インジェクタ19が各気筒の吸気ポート16毎に配設されている。副燃料ノズル18により供給される副燃料は、その貯留源である副燃料タンク21から副燃料供給用の燃料ポンプ22にて副燃料通路20に汲み出される。そして、この汲み出された副燃料が、同副燃料通路20を介して副燃料ノズル18に供給される。また主燃料インジェクタ19により噴射供給される主燃料は、その貯留源である主燃料タンク24から主燃料供給用の燃料ポンプ25にて主燃料通路23に汲み出される。そして、この汲み出された主燃料が同主燃料通路23を介して主燃料インジェクタ19に供給される。なお、主燃料タンク24内に貯留された主燃料の残量は、図示しない燃料計にて計測されるようになっている。
一方、フレックス燃料機関10のシリンダ26の側壁とそのシリンダ26に往復動可能に配設されたピストン27の上面とによって区画形成される上記燃焼室12の上面には、導入された混合気に火花点火する点火プラグ28が配設されている。またシリンダ26の側壁には、機関冷却用の冷却水の流路であるウォータジャケット29が形成されるとともに、このウォータジャケット29には、その内部を流れる冷却水の温度を検出する水温センサ30が配設されている。
他方、上記排気の排出ポートである排気ポート31を介してこの燃焼室12に接続される排気通路13には、その内部を流れる排気の酸素含有量に基づいて、燃焼室12での燃焼に供された混合気の空燃比を検出する空燃比センサ32が配設されるとともに、その下流側に排気を浄化する触媒装置33が配設されている。
ここで、上記空燃比センサ32を構成する例えばジルコニア素子に対して印加する電圧の大きさとこの印加電圧により流れる電流の大きさとの関係について、図2(a)にその一例を空燃比の別にそれぞれ示す。この実施の形態では上述のように、主燃料としてアルコールを主成分とする燃料を供給するため、これがアルコール100%であると仮定するとその理論空燃比は「9.2」となる。そして、例えばこのジルコニア素子が理論空燃比よりもかなりリッチな雰囲気中にあるときには、図2(a)に破線で示す曲線Aのような電圧値と電流値との関係となる。また例えば、ジルコニア素子が理論空燃比よりもわずかにリッチな雰囲気中にあるときには、図2(a)に一点鎖線で示す曲線Bのような電圧値と電流値との関係となる。さらに例えば、ジルコニア素子が理論空燃比よりもかなりリーンな雰囲気中にあるときには、図2(a)に二点鎖線で示す曲線Cのような電圧値と電流値との関係となる。なお、ジルコニア素子が理論空燃比と一致する雰囲気中にあるときには、このジルコニア素子に電流は流れない。そして、空燃比と該空燃比の雰囲気中にあるジルコニア素子に流れる電流との間に1対1の対応が成立するような定電圧Vaが印加されるように空燃比センサ32を構成することで、図2(b)に示すような空燃比と電流値とのリニアな関係が実現され、そのときの電流値により燃焼室12での燃焼に供された混合気の空燃比を検出することが可能になる。
以上のように構成されたフレックス燃料機関10の運転にかかる各種制御は、図1に併せて示す機関制御装置34によって実行されている。機関制御装置34は、基本的に、機関制御に係る各種演算処理を実行する中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)、該中央演算装置の制御に使用される各種プログラムやデータが記憶されたメモリ、主燃料インジェクタ19、燃料ポンプ22及び25を駆動するための図示しない駆動回路等々を備えて構成されている。そして機関制御装置34は、機関制御の一環として、上記主燃料インジェクタ19及び副燃料ノズル18を通じての各燃料供給制御、副燃料タンク21内での燃料残量を監視する副燃料残量監視処理などを実行している。また、同機関制御装置34では、例えば図示しないアクセルペダルが踏み込み操作されるなど、当該フレックス燃料機関10の運転制御条件の変化が検出されるときには、上記副燃料残量監視処理をキャンセルする監視中止処理なども併せて実行する。なお、こうした燃料供給制御、副燃料残量監視処理、監視中止処理等はそれぞれ、実際には上記メモリに記憶されたプログラムを上記中央演算処理装置が実行することで行われる。ただしここでは、概念的に、各燃料供給制御の実行にかかる要素を燃料供給制御部35、副燃料残量監視処理及び該処理をキャンセルする監視中止処理にかかる要素を副燃料残量監視部36としてそれぞれ表すこととする。
このうち、燃料供給制御部35には、同図1に示すように、主燃料インジェクタ19、各燃料ポンプ22及び25等の駆動回路に加え、上記水温センサ30や空燃比センサ32をはじめとする当該機関10の運転状況を検知する各種センサ等々が接続されている。そしてこの実施の形態において、同燃料供給制御部35では、これら検出結果に基づき、燃料供給にかかる各種処理を実行することとなるが、特に当該フレックス燃料機関10の暖機完了後の機関稼動中には、基本的に主燃料インジェクタ19からの主燃料の噴射供給のみを行うようになる。ちなみにこのときの主燃料の噴射供給量は上述した空燃比のフィードバック制御に基づいている。この空燃比フィードバック制御では、上記空燃比センサ32の検出結果に基づき、吸気通路11を介して導入された空気と噴射供給された主燃料との混合気の空燃比が所望とする値(目標空燃比)となるように、主燃料インジェクタ19から噴射供給される主燃料の量がフィードバック制御される。さらに、同燃料供給制御部35では、フレックス燃料機関10の機関低温時、すなわち十分な暖機がなされていない状況での機関始動時及び機関出力増大時には、主燃料のアルコール成分の気化不良により不足した燃焼性能を補うべく、上記主燃料の噴射供給に加え、副燃料ノズル18を通じての副燃料の追加供給を実行する。
一方、副燃料残量監視部36には、これも図1に示すように、上記水温センサ30、上記空燃比センサ32、上記副燃料タンク21内での燃料が「0」になったことをユーザに通知する警告灯(報知手段)39、当該フレックス燃料機関10の機関回転速度を検出する回転速度センサ40等々が接続されている。なお、警告灯39は、例えばインスツールメントパネルなど、車両の運転席に着座したユーザ、すなわち当該車両の運転者によって視認可能な位置に配置されている。そして、副燃料残量監視部36は、上記水温センサ30により検出される機関冷却水温、上記空燃比センサ32の検出結果、上記回転速度センサ40により検出される当該フレックス燃料機関10の回転速度などの情報に基づき、主に上記副燃料タンク21内の副燃料残量を監視する処理を実行する。
他方、副燃料残量監視部36は、この実施の形態では、アクセルペダルの開度(踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ41によるアクセル操作情報を取り込み、アクセルペダルの操作態様が変化するなど、フレックス燃料機関10の運転に変化が来たしたことを条件に上記副燃料の残量監視を中止する機能を併せて有している。
次に、上記燃料供給制御部35を通じて実行される燃料供給制御にかかる処理について図3〜図6を参照して説明する。
図3は、上記燃料供給制御部35を通じて実行される処理のうちの副燃料供給要求判定処理についてその処理手順を示すフローチャートである。なお、この処理は、同燃料供給制御部35によって、例えば16ミリ秒毎の定時割り込み処理として実行される。
同図3に示されるように、副燃料供給要求判定処理が開始されると、燃料供給制御部35はまず、ステップS100の処理として、上記水温センサ30から読み込まれる機関冷却水温が、当該フレックス燃料機関10が十分に暖機されていないことを示す低い判定値(例えば20度)よりも低いか否かを判定する。すなわち、当該機関10が暖機完了前の状態にあるか暖機完了後の状態にあるかを判定する。ここで機関冷却水温が高いと判定されるとき(NO)、当該機関10は既に暖機完了後の状態にあるため、主燃料のアルコール成分の気化不良による燃焼性能の不足は生じ難く、副燃料を供給する必要性は低い。したがって、燃料供給制御部35は、副燃料の供給を要求することなく今回の処理を一旦終了する。
一方、上記ステップS100の判定処理において、機関冷却水温が低いと判定されるとき(YES)、すなわち、当該機関10が暖機完了前の状態にあるとき、主燃料のアルコール成分の気化不良による燃焼性能の不足が生じやすいため、燃料供給制御部35は、基本的に、副燃料の供給を要求する。ただし、当該機関10が低温状態にある場合であれ、機関始動時あるいは機関始動後の出力増大時でなければ、副燃料を供給する必要性は低い。したがって、燃料供給制御部35は、続くステップS101の判断処理及びステップS102の判断処理を通じて、当該機関10の機関始動時であるか、あるいは機関始動後の出力増大時であるかを判断する。そしてその旨が判断されるとき(ステップS101の処理でYES、あるいはステップS101の処理でNOかつステップS102の処理でYES)、燃料供給制御部35は、続くステップS103の処理として、副燃料を供給する必要性を示す副燃料供給要求フラグをセットした上で今回の処理を一旦終了する。
図4は、このような副燃料供給要求判定処理の結果をもとに、同燃料供給制御部35によって実行される燃料供給実行処理の処理手順を示したものである。なおこの処理は、機関回転と同期したクランク角の割り込み処理として実行される。
同図4に示されるように、燃料供給実行処理が開始されると、燃料供給制御部35はまず、ステップS110の判断処理として、燃料の供給タイミングであるか否かを判断する。なお、燃料の供給タイミングは、予め適切なクランク角に設定されている。ここで、該供給タイミングに当たると判断されるとき(YES)、燃料供給制御部35は、副燃料供給要求フラグ(基本的には、図3のステップS103の処理)がセットされているか否かを判定するステップS111の判定処理に移行する。一方、供給タイミングに当たらないと判断されるとき(NO)、燃料供給制御部35は、そもそも燃料を供給するに適さないタイミングであるため、上記ステップS111の処理に移行することなく今回の処理を一旦終了する。
そして上記ステップS111の判定処理において、副燃料供給要求があると判定されるとき(YES)、燃料供給制御部35は、続くステップS112の処理として、上記主燃料ポンプ25及び上記副燃料ポンプ22の駆動を通じて主燃料及び副燃料の供給をそれぞれ実行する。詳しくは、燃料供給制御部35は、上記空燃比フィードバック制御に基づく量の主燃料が主燃料インジェクタ19の駆動を通じて供給されるよう、主燃料ポンプ25を駆動するとともに、主燃料中のアルコール成分の気化不足により不足した燃焼性能を補い得るだけの量の副燃料が副燃料ノズル18を介して供給されるよう、副燃料ポンプ22を駆動する。
一方、副燃料供給要求がないと判定されるとき(NO)、燃料供給制御部35は、続くステップS113の処理として、上記空燃比フィードバック制御に基づく量の主燃料が主燃料インジェクタ19の駆動を通じて供給されるよう、主燃料ポンプ25のみを駆動する。
図5(a)及び(b)は、当該フレックス燃料機関10の低温始動時にこうした燃料供給制御部35を通じて実行される各燃料の供給態様の一例を示すタイミングチャートである。この例では、当該フレックス燃料機関10が、前回の機関停止から十分に時間が経過して、その機関冷却水温も例えば常温値(例えば20度)未満のように低い値を示している状態にあるとしている。この場合、これら図5(a)及び(b)に示されるように、時刻t101においてイグニッションスイッチのオン操作を通じて当該フレックス燃料機関10が稼働されると、燃料供給制御部35により上記主燃料ポンプ25及び上記副燃料ポンプ22の双方、並びに主燃料インジェクタ19が駆動されて主燃料及び副燃料が供給される。そして、同図(b)に示されるように、上記時刻t101から上記供給時間(一定の時間)経過後の時刻t102において、上記副燃料の供給が停止される。このように、当該フレックス燃料機関10の低温時においては、主燃料のアルコール成分の気化不良により不足する燃焼性能が補われるようになる。
また、図6(a)及び(b)は、当該フレックス燃料機関10の暖機始動時に同燃料供給制御部35を通じて実行される各燃料の供給態様の一例を示すタイミングチャートである。この例では、当該フレックス燃料機関10が前回の機関停止からそれほど時間を経ずに、その機関冷却水温が上記判定値よりも高い状態にあるとしている。この場合、これら図6(a)及び(b)に示されるように、時刻t111においてイグニッションスイッチのオン操作を通じて当該フレックス燃料機関10が稼働されると、燃料供給制御部35により、主燃料ポンプ25の駆動、並びに主燃料インジェクタ19からの主燃料の噴射供給のみが上記空燃比フィードバック制御に基づき行われる。なお、図6においては、暖機始動時に限ってその燃料供給態様を示したが、このような主燃料の噴射供給のみが行われる燃料供給態様は、暖機始動時に限らず、当該フレックス燃料機関10の暖機完了後、あるいは特定季節(日本では夏季)での機関始動時などにおいても同様である。
図7は、上記副燃料残量監視部36により実行される副燃料残量監視処理の処理手順を示すフローチャートであり、図8及び図9は、この副燃料残量監視処理において実行される監視要求判定処理及び監視実行処理の処理手順をそれぞれ示すフローチャートである。次にこれら図7〜図9を併せ参照して、同副燃料残量監視部36を通じて実行される副燃料残量監視処理について説明する。なお、この図7に示す処理(図8及び図9の処理も含む)は、同副燃料残量監視部36によって、例えば16ミリ秒毎の定時割り込み処理として実行される。
同図7に示されるように、副燃料残量監視処理が開始されると、副燃料残量監視部36はまず、ステップS200の処理として、図8に示す一連の監視要求判定処理を実行する。そして続くステップS300の処理として、図9に示す一連の監視実行処理を実行する。これらステップS200及びステップS300の処理を実行した上で、今回の処理を一旦終了する。
ここで、副燃料残量監視部36は、上記ステップ200の監視要求判定処理が開始されると、図8に示されるように、まずステップS201の判定処理として、上記回転速度センサ40から読み込まれる当該フレックス燃料機関10の回転速度等に基づき当該フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にあるか否かを判定する。具体的には、副燃料残量監視部36は、上記読み込んだ回転速度が、当該フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にあることを示す範囲として予め設定された規定範囲内にあるか否かを判定する。またこのとき、アクセル開度センサ41(図1)を通じて検出されるアクセル開度が「0」、すなわちアクセル操作がなされていなことを併せて判定基準に加えるようにしてもよい。
アイドル運転状態では、後述する副燃料残量の監視を高い監視精度をもって実行することができる。そのため、副燃料残量監視部36は、当該フレックス燃料機関10がアイドル運転状態であると判定されるとき(上記ステップS201の判定処理でYES)、続くステップS202の処理として、当該フレックス燃料機関10が同副燃料残量の監視を実行可能な状態にあることを示すフラグである監視実行可能フラグをセットする。一方、副燃料残量監視部36は、当該フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にないと判定されるとき(上記ステップS201の判定処理でNO)、後述する副燃料残量の監視を実行しても、その監視精度が低いため、続くステップS203の処理として、上記監視実行可能フラグをリセットする。なお、上記ステップS201の判定処理が「フレックス燃料機関の運転制御条件の変化を検出する手段」に相当し、該ステップS201の判定処理及び上記ステップS203の処理が「運転制御条件の変化が検出されることに基づき副燃料の燃料タンク内での燃料残量の監視をキャンセルする手段」に相当する。
こうして監視要求判定処理を終えた副燃料残量監視部36は、引き続き上記ステップS300の監視実行処理を開始する。この監視実行処理では、図9に示されるように、副燃料残量監視部36はまず、ステップS301の判断処理として、監視実行可能フラグ(上記ステップS202の処理)がセットされているか否かを判断する。ここで、監視実行可能フラグがセットされていると判断されるとき(YES)、当該フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にあり、燃料残量の監視を高い監視精度をもって実行することができる状態にあるため、副燃料残量監視部36は、続くステップS302の処理として、副燃料供給要求フラグをセットする。なお、こうして副燃料供給要求フラグがセットされると、先の図4に示したステップS111の判定処理及びステップS112の処理を通じて、上記燃料供給制御部35(図1)により、主燃料及び副燃料の供給が実行される。
そして副燃料残量監視部36は、続くステップS303の処理として、燃料供給制御部35により副燃料の供給が実行されて以後の上記空燃比センサ32の検出値(センサ出力)と理論空燃比(ここでは「9.2」)との偏差の積分値の絶対値を算出する。すなわち、上記監視実行可能フラグがセットされていることから、当該フレックス燃料機関10はアイドル運転状態にあり、主燃料インジェクタ19を通じての主燃料の噴射供給が空燃比フィードバック制御に基づき実行される。そのため、空燃比センサ32の検出値は、理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移している。
こうした状態において、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であるときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給が実行されると、空燃比センサ32の検出値は、リッチ側に大きく振れた後、徐々に理論空燃比に近づき、再び、理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移することとなる。そしてこのとき、空燃比センサ32の検出値が理論空燃比から大きく乖離するため、上記絶対値は大きな値をとることとなる。
一方、上記状態において、副燃料タンク21内の燃料残量が十分でないときには、空燃比センサ32の検出値は、変化することなく理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移するため、上記絶対値は小さな値をとることとなる。このように、副燃料タンク21内の燃料残量は、上記絶対値との間に深い相関関係を有している。したがって、上記絶対値に対して所定の閾値を設定し、この設定した閾値を超えるか否かの判定に基づくことで、副燃料の燃料タンク21内での燃料残量を監視することが可能となる。
具体的には、副燃料残量監視部36は、続くステップS304の判定処理として、先のステップS303の処理で取得された上記絶対値が上記閾値を超えるか否かを判定する。ここで、同絶対値が同閾値を超えると判定されるとき(YES)、空燃比センサ32の検出値が理論空燃比から大きく乖離したことを意味するため、副燃料残量監視部36は、続くステップS305の処理として、副燃料残量「あり」と判定する。そしてこの場合には、続くステップS306の処理として、上記警告灯39(図1)の消灯状態を維持する。一方、上記ステップS304の判定処理において、上記絶対値が上記閾値に満たないと判定されるとき(NO)、空燃比センサ32の検出値が変化しなかったことを意味するため、副燃料残量監視部36は、続くステップS307の処理として、副燃料残量「なし」と判定する。さらに同副燃料残量監視部36は、ユーザにその旨を報知すべく、続くステップS308の処理として、警告灯39を点灯する。
図10(a)〜(c)は、この実施の形態の燃料残量の監視態様例を示したものである。次に、この図10(a)〜(c)を参照して、副燃料の残量監視態様について説明する。
例えばいま、フレックス燃料機関10はアイドル運転状態にあり、副燃料タンク21内の燃料残量も十分であるとする。こうした状態にあっては、上述したように、また同図10(a)に示されるように、主燃料ポンプ25の駆動を通じての主燃料の噴射供給が空燃比フィードバック制御に基づき実行されている。そのため、空燃比センサ32の検出値は、同図10(c)に実線にて示されるように、理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移する。
そして、同図10(b)に示されるように、燃料供給制御部35を通じて例えば時刻t11から時刻t12までの一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、実際に副燃料が供給されるため、空燃比センサ32の検出値は、同図10(c)に実線にて示されるように、リッチ側に大きく振れる。そしてその後、同検出値は、徐々に理論空燃比に近づくとともに、再び、理論空燃比をリッチ側及びリーン側にまたぐように安定して推移することとなる。
このとき、副燃料残量監視部36は、副燃料の供給が時刻t11に実行されて以後の空燃比センサ32の検出値と理論空燃比との偏差の積分値(図10(c)中の斜線部の面積)の絶対値を求め、この絶対値に対して設定された所定の閾値を超えるか否かを判定する。そしてこの監視態様例においては、空燃比センサ32の検出値が理論空燃比から大きく乖離することから、副燃料残量監視部36は、該監視部36によって取得された上記絶対値が上記閾値を超えると判定し、副燃料残量「あり」と判定することとなる。
なお、同図10(c)にあっては、当該フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にあり、上記燃料タンク21内の副燃料残量は十分にないとする監視態様例を破線にて併せて示している。この監視態様例においては、同図10(b)に示されるように、燃料供給制御部35を通じて例えば時刻t11から時刻t12までの一定時間に渡って副燃料の供給が実行されたとしても、実際には副燃料が十分に供給されない。したがって、空燃比センサ32の検出値は、同図10(c)に破線にて示されるように、理論空燃比をリッチ側及びリーン側にまたぐように安定して推移することとなる。このとき、副燃料残量監視部36は、この副燃料残量監視部36によって取得された上記絶対値が上記閾値に満たないと判定し、副燃料残量「なし」と判定することとなる。
以上説明したように、この第1の実施の形態によれば、以下のような優れた効果が得られるようになる。
(1)燃料供給制御部35により副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の検出値と理論空燃比との偏差の積分値の絶対値を求め、この求めた絶対値に対して設定された閾値を超えるか否かの判定に基づいて副燃料の燃料タンク21内での燃料残量を監視することとした。これにより、副燃料タンク21に燃料計を設けずとも、これを高い精度をもって的確に監視することができるようになる。
(2)当該フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にあるときに一定時間に渡って副燃料の供給を強制実行することとした。これにより、副燃料の供給を強制実行した結果として、当該フレックス燃料機関10の機関出力に過剰な増大や空燃比フィードバック制御の乱れが生じた場合であれ、機関出力の変動が機関の運転に及ぼす影響を低減することができるようになる。また、副燃料の供給に伴う空燃比の乱れを比較的早期に収拾することが可能となる。
(3)副燃料の副燃料タンク21内での燃料残量を監視する副燃料要求判定処理(図8)において、例えばアクセルペダルが踏み込み操作されたことの検出など、当該フレックス燃料機関10の運転制御条件の変化が検出されることに基づき、副燃料タンク21内での燃料残量の監視をキャンセルする監視中止処理(ステップS201の判定処理及びステップS203の処理)を行うこととした。これにより、当該フレックス燃料機関10の機関運転時における副燃料の監視精度を有効に維持することができるようになる。
(4)副燃料の燃料タンク21内での燃料残量の監視結果を報知する報知手段として、同副燃料タンク21内での燃料残量が「0」となったことをユーザに対して通知する警告灯39を、車両の運転席に着座したユーザに視認可能な位置に設置することとした。これにより、副燃料タンク21内の燃料残量の管理をユーザ側での点検に一任することなく、副燃料タンク21内の燃料が空になった場合には、その旨を即座にユーザに報知することができるようになる。
なお、以上説明した第1の実施の形態は、例えば以下の形態で適宜変更して実施することができる。
・上記実施の形態では、副燃料残量監視部36は、上記ステップS201の判定処理(図8)にて示したように、当該フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にあるか否かの判定処理に基づいて、副燃料の供給の強制実行にかかる監視実行可能フラグのフラグ処理を実行していたが、この処理態様はこれに限られない。他に例えば、副燃料残量監視部36は、当該フレックス燃料機関10がその搭載車両の定速走行等に伴う定常運転状態にあるか否かの判定処理に基づいて、上記監視実行可能フラグのフラグ処理を実行することとしてもよい。これによっても、副燃料が残存している場合、その供給の強制実行に伴う空燃比の変化が顕著になることから、副燃料タンク21内での燃料残量の監視を適正に行うことができる。
・上記実施の形態(変形例も含む)では、先の図9に、ステップS304の判定処理として示したように、副燃料残量監視部36は、副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の検出値と理論空燃比との偏差の積分値の絶対値が閾値を超えるか否かに基づいて副燃料の燃料タンク21内での燃料残量を監視することとした。この監視実行処理はこの態様に限らず、他に例えば、副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の出力値を積分値として求め、この求めた積分値に対して設定された閾値を超えるか否かの判定処理に基づいて副燃料タンク21内での燃料残量を監視してもよい。要は、副燃料の供給に伴うフレックス燃料機関の空燃比の変化量を積分値として求め、この求めた積分値に基づいて副燃料の燃料タンク内での燃料残量を監視すれば、高い精度をもって燃料残量の監視を行うことはできる。
・また例えば、先の図9のステップS302及びステップS304の処理に代わる処理として、図11にステップS313及びステップS314として示す処理を実行するようにしてもよい。すなわち、副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の検出値にリッチ領域にある所定の空燃比よりもリッチである推移が生じている継続期間を計測し(ステップS313の処理)、この継続期間が閾値を超えるか否かを判定する(ステップS314の判定処理)ことで、副燃料タンク21内での燃料残量を監視してもよい。上述したように、上記監視実行可能フラグがセットされている(ステップS301の判断処理でYES)ことから、空燃比センサ32の検出値は、理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移する。こうした状態において、副燃料タンク21内の副燃料の残量が十分であるときには、上記燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給が実行されると、空燃比センサ32の検出値は、リッチ側に大きく振れた後、徐々に理論空燃比に近づき、再び、理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移することとなる。一方、上記状態において、副燃料タンク21内の副燃料の残量が十分でないときには、これもまた上述のように、空燃比センサ32の検出値は、変化することなく理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移することとなる。したがって、副燃料残量監視部36は、ステップS313の処理として、空燃比センサ32の検出値にリッチ領域にある所定の空燃比よりもリッチである推移が生じている継続期間を計測し、続くステップS314の判定処理として、この継続期間が閾値を超えるか否かを判定することで、副燃料タンク21内の燃料残量を監視することができるようになる。要は、副燃料の供給に伴うフレックス燃料機関の空燃比の変化量に対して所定の閾値を設定し、この設定した閾値を超えている継続時間に基づいて副燃料の燃料タンク内での燃料残量を監視すれば、燃料残量の監視を簡便に行うことができる。
・またさらに、例えば図12に、ステップS324の判定処理として示すように、副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の検出値にリッチ領域にある所定の空燃比よりもリッチになる推移が存在するか否かの判定処理に基づき、副燃料タンク21内の燃料残量を監視してもよい。要は、副燃料の供給に伴うフレックス燃料機関の空燃比の変化量に対して所定の閾値を設定し、この設定した閾値に対する到達態様に基づいて副燃料の燃料タンク内での燃料残量を監視することもできる。
(第2の実施の形態)
次に、この発明にかかるフレックス燃料機関の機関制御装置の第2の実施の形態について、図13〜図15を参照して、先の第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。なお、図13は、先の図4に対応する図であって、燃料供給制御部35によって実行される燃料供給実行処理の処理手順を示したフローチャートである。また、図14は、同じく燃料供給制御部35及び副燃料残量監視部36によって実行される監視実行前処理の処理手順を示したフローチャートであり、図15は、先の図9に対応する図であって、監視実行前処理において実行される監視実行処理の処理手順を示すフローチャートである。
この実施の形態のフレックス燃料機関の機関制御装置では、以下に詳述するように、まず、当該フレックス燃料機関の停止操作後に一定時間に渡って副燃料の供給を強制実行する。そして、同機関の空燃比がリーン側に固定されるまでの時間を求め、この求めた時間に基づいて副燃料の燃料タンク内の燃料残量を監視する。こうすることで、燃料計を設けずとも副燃料の燃料タンク内での燃料残量を的確に監視することができるようにしている。
すなわち、図13に示されるように、燃料供給実行処理が開始されると、燃料供給制御部35(図1)はまず、ステップS121の判定処理として、当該フレックス燃料機関10(図1)のイグニッションスイッチのオフ操作(機関停止操作)がなされているか否かを判定する。ここで、機関停止操作がなされていないと判定されるとき(NO)、当該フレックス燃料機関10は基本的に通常の運転状態にあるので、上記燃料供給制御部35は、続くステップS122の処理として、上記空燃比フィードバック制御に基づく量の主燃料が主燃料インジェクタ19の駆動を通じて供給されるよう、主燃料の通常供給(噴射)を維持する。
一方、ステップS121の判定処理において機関停止操作がなされていると判定されるとき(YES)、燃料供給制御部35は、後述の監視実行処理を実行すべく、ステップS123の処理として、主燃料インジェクタ19の駆動停止を通じて主燃料の供給を停止する。なお、この主燃料の供給停止に併せて、燃料供給制御部35は、副燃料ポンプ22の駆動を通じて、主燃料の供給と一時的にオーバーラップさせて副燃料を一定時間だけ供給制御する。すなわち、こうしたフレックス燃料機関10にあっては通常、機関停止操作に同期して全ての燃料の供給が停止されるが、この実施の形態では、機関停止操作後、上記一定時間だけ副燃料の供給を実行する。ただし、同停止操作に伴う燃料の切替に起因して機関がストールすることのないよう、副燃料の供給開始初期の僅かな期間だけ、主燃料も共に供給して機関運転をアシストする。
そして、燃料供給制御部35は、図14に示される監視実行前処理を実行する。この図14に示されるように、燃料供給制御部35は、監視実行前処理が開始されると、まず、ステップS500の判定処理として、当該フレックス燃料機関10のイグニッションスイッチのオフ操作(機関停止操作)に伴った主燃料の供給が停止されたか否かを判定する。すなわち、機関運転が副燃料の供給のみによって行われるタイミングを監視する。そして、このステップS500の判定処理において、燃料供給制御部35によりイグニッションスイッチのオフ操作に伴う主燃料の供給が停止されたと判定されると、副燃料残量監視部36は、続くステップS600の処理として、副燃料残量の監視を実行する。すなわち、副燃料残量監視部36は、図15に示す監視実行処理を引き続き開始する。
この監視実行処理では、同図15に示されるように、副燃料残量監視部36はまず、ステップS601の処理として、燃料供給制御部35により副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の検出値(センサ出力)がリーン側に固定されるまでの時間を取得する。すなわち、一定時間に渡る副燃料の供給制御に際し、副燃料タンク21内に十分な量の副燃料が残っていれば、この一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って副燃料が実際に供給され続けることとなり、副燃料のこうした供給時間に見合った時間だけ当該機関10の運転も継続されるようになる。一方、副燃料タンク21内に十分な量の副燃料が残っていなければ、上記一定時間に渡る副燃料の供給制御を試みたとしても、この一定時間に達することなく副燃料の供給が途絶え、この副燃料の供給が途絶えるまでの時間に見合った時間にて当該機関10の運転が停止されるようになる。この場合、空燃比センサ32の検出値は、副燃料の供給が途絶えた時点でリーン側に固定されることとなる。
そして副燃料残量監視部36は、続くステップS602の判定処理として、上記ステップS601の処理にて取得した時間が所定時間を超えるか否かを判定する。なお、この所定時間としては、上記一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って副燃料が実際に供給され続けたとき、その供給時間に見合った時間として決定される時間が採用される。すなわち、副燃料残量監視部36は、このステップS602の判定処理において、上記取得した時間が上記所定時間を超えると判定されるとき(YES)、上記供給時間に見合った時間だけ副燃料が供給されたとして、続くステップS603の処理として、副燃料残量「あり」と判定する。そしてこの場合には、ステップS604の処理として、上記警告灯39(図1)の消灯状態を維持する。一方、同ステップS602の判定処理において、上記取得した時間が上記所定時間に満たないと判定されるとき(NO)、上記供給時間に見合った時間だけ副燃料が供給されなかったとして、続くステップS605の処理として、副燃料残量「なし」と判定する。そしてこの場合には、ステップS606の処理として、副燃料残量が「0」であることをユーザに通知、警告すべく上記警告灯39を点灯する。こうして副燃料残量監視部36は、今回の処理を終了する。
図16(a)〜(d)は、この実施の形態の燃料残量の監視態様例を示したものである。次に、この図16(a)〜(d)を併せ参照して、この残量監視態様例について説明する。
例えばいま、副燃料タンク21内の燃料残量は十分であったとする。こうした状態にあっては、図16(a)に示すタイミングでイグニッションスイッチがオフ操作(機関停止操作)され、また図16(b)に示すタイミングで主燃料の供給が停止されたとしても、図16(c)に示す副燃料の供給により、その供給期間に渡って機関運転は維持される。そのため、上記空燃比センサ32の検出値は、図16(d)に実線にて示されるように、リッチ側に一度振れた後、上記一定時間に渡った副燃料の供給が停止される時刻t24以降にリーン側へ振れ、例えば時刻t26にてリーン側に固定されるようになる。なおこの図16において、時刻t21は、上記イグニッションスイッチがオフ操作されるとともに、副燃料の供給が開始された時刻(タイミング)であり、また時刻t22は、その後、主燃料の供給が停止された時刻(タイミング)である。これら時刻t21から時刻t22の期間(時間)に渡って主燃料の供給と副燃料の供給とがオーバーラップされることで、これら燃料の切替に伴う当該機関のストールが防止されている。
一方、副燃料タンク21内の燃料残量が「0」、もしくは十分でないときには、図16(b)に示す主燃料の供給が停止されたタイミング(時刻t22)、もしくはその直後のタイミングをもって全ての燃料の供給が停止されるため、例えば図16(d)に破線にて示すように、空燃比センサ32の検出値は即座に、もしくは時刻t22の直後にリーン側に固定されるようになる。
このため、副燃料残量監視部36では上述のように、フレックス燃料機関10の停止操作後、一定時間に渡って副燃料の供給が強制実行されてから空燃比センサ32の検出値がリーン側に固定されるまでの時間を取得し、この取得した時間が所定時間を超えるか否かを判定することで副燃料タンク21内の燃料残量を監視することができるようになる。
以上説明したこの第2の実施の形態によれば、以下のような優れた効果が得られるようになる。
(1)フレックス燃料機関10の停止操作後、一定時間に渡って副燃料の供給を強制実行し、同機関10の空燃比がリーン側に固定されるまでの時間に基づいて副燃料タンク21内での燃料残量を監視することとした。これにより、燃料計を設けずとも副燃料の燃料タンク21内の燃料残量を的確に監視することができるようになる。
(2)フレックス燃料機関10の停止操作に伴う主燃料から副燃料への燃料切替に際し、それら主燃料の供給期間と副燃料の供給期間とが一時的にオーバーラップされるようにした。これにより、上記監視実行処理(図15)を実行する以前のストールの防止を図ることができるようになる。
(3)副燃料タンク21内の燃料残量の監視結果を報知する報知手段として、同副燃料タンク21内での燃料残量が「0」になったことをユーザに通知する警告灯39を、車両の運転席に着座したユーザに視認可能な位置に配置することとした。これにより、副燃料タンク21内の燃料残量の管理をユーザ側での点検に一任することなく、副燃料タンク21内の燃料が空になった場合には、その旨を即座にユーザに好適に報知することができるようになる。
なお、以上説明したこの第2の実施の形態は、例えば以下の形態で適宜変更して実施することができる。
・上記実施の形態では、副燃料残量監視部36はまず、フレックス燃料機関10の停止操作後に一定時間に渡って副燃料の供給を強制実行した。そして、副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の検出値がリーン側に固定されるまでの時間を取得し、該取得した時間が所定期間を超えるか否かの判定に基づき、副燃料タンク21内での燃料残量を監視することとした。すなわち、副燃料の供給制御に基づき機関運転が継続される時間を同機関10の空燃比がリーン側に固定されるまでの時間として求め、この求めた時間に基づいて副燃料タンク21内の燃料残量を監視した。しかし、この監視態様に限られず、副燃料の供給制御に基づき機関運転が継続される時間を機関回転が維持されている時間として求め、この求めた時間に基づいて副燃料タンク21内の燃料残量を監視することとしてもよい。上述のように、副燃料タンク21内の燃料残量が不十分であれば、副燃料ポンプ22の駆動を通じて副燃料の供給制御が実行されたとしても、実際には機関運転に供し得るような副燃料は供給されない。したがってこの場合、先の図16(b)に示されるように、主燃料の供給が時刻t22をもって停止されれば、図16(e)に一点鎖線にて示すように、上記回転速度センサ40(図1)による検出信号も、その直後の例えば時刻t23をもって途絶えるようになる(機関回転が維持されなくなる)。一方、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であれば、副燃料ポンプ22の駆動を通じた副燃料の供給制御に伴って実際に副燃料の供給が行われる。したがってこの場合には、同図16(b)に示されるように、主燃料の供給が時刻t22をもって停止されたとしても、図16(e)に実線にて示すように、回転速度センサ40による検出信号は、その後の十分な時間を経た例えば時刻t25まで維持される(機関回転が維持される)。図17は、先の図15に対応する図として、このような監視態様についてその実行手順を例示したものである。すなわち、図17のステップS611の処理として示すように、この場合にはまず、イグニッションスイッチがオフ操作されて以後の回転速度センサ40(図1)の検出出力に基づき機関回転が維持されている時間を取得する。そして、続くステップS612の判定処理として、この取得した時間が所定時間を超えるか否かを判定することで、副燃料タンク21内の燃料残量を監視する。
・他にも、副燃料の供給制御に基づき機関運転が継続される時間をイオン電流の検出に基づく筒内の燃焼継続時間として求め、この求めた時間に基づいて副燃料の燃料タンク内の燃料残量を監視することもできる。すなわち、これも上述のように、副燃料タンク21内の燃料残量が不十分であれば、副燃料ポンプ22の駆動を通じて副燃料の供給制御が実行されたとしても、実際には機関運転に供し得るような副燃料は供給されない。したがってこの場合、先の図16(b)に示されるように、主燃料の供給が時刻t22をもって停止されれば、図16(f)に一点鎖線にて示すように、上記燃焼室12(図1)内のイオン電流も、その直後の例えば時刻t23を持って即座に検出されなくなる(燃焼が継続されなくなる)。一方、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であれば、副燃料ポンプ22の駆動を通じた副燃料の供給制御に伴って実際に副燃料の供給が行われる。したがってこの場合には、同図16(b)に示されるように、主燃料の供給が時刻t22をもって停止されたとしても、図16(f)に実線にて示すように、燃焼室12内のイオン電流はその後の十分な時間を経た例えば時刻t25まで検出され続ける(燃焼が継続される)。ちなみに図18は、これも先の図15に対応する図として、このような監視態様についてその実行手順を例示したものである。すなわち、図18のステップS621の処理として示すように、この場合にはまず、イグニッションスイッチがオフ操作されて以後の燃焼室12内のイオン電流の検出に基づき筒内の燃焼継続時間を取得する。そして、続くステップS622の判定処理として、この取得した時間が所定時間を超えるか否かを判定することで、副燃料タンク21内の燃料残量を監視する。
・また他にも、副燃料の供給制御に基づき機関運転が継続される時間を機関振動が維持されている時間として求め、この求めた時間に基づいて副燃料の燃料タンク内での燃料残量を監視することもできる。これまでにも述べたように、副燃料タンク21内の燃料残量が不十分であれば、副燃料ポンプ22の駆動を通じて副燃料の供給制御が実行されたとしても、実際には機関運転に供し得るような副燃料は供給されない。したがってこの場合、先の図16(b)に示されるように、主燃料の供給が時刻t22をもって停止されれば、図16(g)に一点鎖線にて示すように、例えばノックセンサ等を通じて検出される機関振動も、その直後の例えば時刻t23をもって即座に検出されなくなる(機関振動が維持されない)。一方、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であれば、副燃料ポンプ22の駆動を通じた副燃料の供給制御に伴って実際に副燃料の供給が行われる。したがってこの場合には、同図16(b)に示されるように、主燃料の供給が時刻t22をもって停止されたとしても、図16(g)に実線にて示すように、上記ノックセンサ等を通じて検出される機関振動はその後の十分な時間を経た例えば時刻t25まで検出され続ける(機関振動が維持される)。図19は、これも先の図15に対応する図として、このような監視態様についてその実行手順を例示したものである。すなわち、図19のステップS631の処理として示すように、この場合にはまず、イグニッションスイッチがオフ操作されて以後の機関振動が維持されている時間を例えばノックセンサを通じて取得する。そして、続くステップS632の判定処理として、この取得した時間が所定時間を超えるか否かを判定することで、副燃料タンク21内の燃料残量を監視する。
・上記実施の形態(上記各変形例も含む)では、副燃料ノズル18を介して副燃料の供給を強制実行したが、副燃料ノズル18に代えて例えばインジェクタを配設し、このインジェクタの駆動を通じて副燃料の供給を強制実行してもよい。これにより、副燃料が実際に供給されるまでに要する時間を短縮することができ、主燃料の供給と副燃料の供給とがオーバーラップする時間を短縮する、あるいは割愛することができるようになる。
・上記実施の形態(同じく上記各変形例も含む)では、フレックス燃料機関10のイグニッションスイッチのオフ操作(機関運転停止操作)の度に、副燃料タンク21内の燃料残量を監視することとしたが、この監視態様に限られない。すなわち、当該機関10の始動回数が所定回数以上であるか否かを判定し、所定回数以上であると判定されるとき、副燃料タンク21内の燃料残量を監視することとしてもよい。あるいは、副燃料ポンプ22の駆動時間の積算値が所定時間以上であるか否かを判定し、所定時間以上であるとき、副燃料タンク21内の燃料残量を監視することとしてもよい。これにより、副燃料タンク21内に貯留される副燃料の消費量を抑制することができるようになる。なお、当該機関10の始動回数に対して設定される上記所定回数及び副燃料ポンプ22の駆動時間の積算値に対して設定される上記所定時間は、副燃料タンク21の容量や1トリップで使用される副燃料の平均的な量、副燃料ポンプ22の平均的な駆動時間等を考慮して設定することができる。
(第3の実施の形態)
次に、この発明にかかるフレックス燃料機関の機関制御装置の第3の実施の形態について、図20〜図23を参照して、先の第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。なお、図20(a)及び(b)は、この実施の形態の副燃料タンクの構造例を側面方向から示したものであり、図21は、この副燃料タンク内の燃料残量と副燃料供給系から供給される副燃料の供給率との関係を示したものである。
この実施の形態の燃料残量監視装置も、基本的には、先の図1〜図12に示した第1の実施の形態に準じた構成となっている。ただし、この実施の形態では、以下に詳述するように、フレックス燃料機関の副燃料タンクに、副燃料の残量に応じて供給量を可変とする供給量可変機構を設けることで、副燃料タンク内の燃料残量の有無だけでなく、副燃料タンク内の燃料残量の多寡についても監視することができるようにしている。
すなわち、図20(a)及び(b)に示すように、この供給量可変機構が設けられる副燃料タンク21は、基本的には、
・副燃料タンク21の底面に開口する直径の大きな大径通路20a。
・副燃料タンク21の底面に開口する直径の小さな小径通路20b。
・副燃料タンク21内に貯留される副燃料の液面に浮くことで、同タンク21内の燃料残量の多寡(液面の高さ)に応じてその高さが変更されるフロート211。
・フロート211の可動点mと副燃料タンク21の内底面に設けられた該フロート211の支点fとの間に配設されて、上記大径通路20aの開口を閉塞あるいは開放することで該大径通路20aからの副燃料の流出を禁止あるいは許可するフロートバルブ212。
等々を備えて構成されている。
したがって、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であるときには、燃料の液面が高いため、図20(a)に示すように、上記フロートバルブ212は上記大径通路20aの開口を開放しており、上記大径通路20a及び上記小径通路20b双方への燃料の流出が許可される。一方、副燃料タンク21内の燃料残量が不十分であるときには、燃料の液面が低いため、図20(b)に示すように、上記フロートバルブ212は上記大径通路20aの開口を閉塞しており、上記小径通路20bへの燃料の流出は許可されているものの、上記大径通路20aへの燃料の流出は禁止される。
このように構成された副燃料タンク21内の液面の高さ(燃料残量の多寡)と該副燃料タンク21から供給される副燃料の供給量との関係を図21に示す。この図21に示されるように、燃料残量が十分で液面が高ければ、機関10へ流出する副燃料量は多くなり、供給量が多くなる。逆に、燃料残量が少なく液面が低ければ、機関10へ流出する副燃料量は少なくなり、供給量が少なくなる。
以上のように構成された副燃料タンク21を採用したときに副燃料残量監視部36を通じて実行される監視実行処理の処理手順を図22に示す。なお、この図22に示す処理も、例えば16ミリ秒毎の定時割り込み処理として実行される。
同図22に示すように、副燃料残量監視部36は、監視実行処理が開始されると、まず、ステップS701の判断処理として、監視実行可能フラグ(図8ステップS202)がセットされているか否かを判断する。ここで、監視実行可能フラグがセットされていると判断されるとき(YES)、フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にあり、燃料残量の監視を高い監視精度をもって実行することができる状態にあるとして、副燃料残量監視部36は、続くステップS702の処理として、副燃料供給要求フラグをセットする。なお、こうして副燃料供給要求フラグがセットされると、先の図4に示したステップS111の判定処理及びステップS112の処理を通じて、上記燃料供給制御部35により主燃料及び副燃料の供給が実行される。
そして副燃料残量監視部36は、続くステップS703の処理として、燃料供給制御部35により副燃料の供給が実行されて以後の上記空燃比センサ32の検出値(センサ出力)と理論空燃比(ここでは「9.2」)との偏差の積分値の絶対値を取得する。すなわち、監視実行可能フラグがセットされていることから、当該フレックス燃料機関10はアイドル運転状態にあり、上記主燃料インジェクタ19を通じての主燃料の噴射供給が空燃比フィードバック制御に基づき実行される。そのため、空燃比センサ32の検出値は、理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移している。
こうした状態において、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であるときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って多量の副燃料の供給が実行され、空燃比センサ32の検出値は、リッチ側に大きく振れた後、徐々に理論空燃比に近づき、再び、理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移することとなる。そしてこのとき、空燃比センサ32の検出値が理論空燃比から大きく乖離するため、上記絶対値は大きな値をとることとなる。
一方、上記状態において、副燃料タンク21内の燃料残量が十分でないときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って少量の副燃料の供給が実行され、空燃比センサ32の検出値は、リッチ側に若干振れた後、理論空燃比に近づき、再び、理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移することとなる。そしてこのとき、空燃比センサ32の検出値が理論空燃比から若干乖離するため、上記絶対値は、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であるときに比して小さな値をとることとなる。
他方、上記状態において、副燃料タンク21内の燃料残量が「0」であるとき、空燃比センサ32の検出値は、変化することなく、理論空燃比をリッチ側及びリーン側に交互にまたぐように安定して推移するため、上記絶対値はさらに小さな値をとることとなる。
このように、副燃料タンク21内の燃料残量は、上記絶対値との間に深い相関関係を有することとなる。したがって、上記絶対値に対して複数の閾値を設定し、これら設定した閾値に対する到達態様に基づくことで、副燃料タンク21内の燃料残量の有無だけでなく、燃料残量の多寡についても併せて監視することができるようになる。
具体的には、副燃料残量監視部36は、続くステップS704の判定処理として、上記ステップS703の処理にて取得された上記絶対値が第1の閾値を超えるか否かを判定する。ここで、同絶対値が同第1の閾値を超えると判定されるとき(YES)、空燃比センサ32の検出値が理論空燃比から大きく乖離したことを意味するため、副燃料残量監視部36は続くステップS705の処理として、副燃料残量が「多い」と判定する。そしてこの場合には、続くステップS706の処理として、警告灯39(図1)の消灯状態を維持する。
一方、上記ステップS704の判定処理において、上記絶対値が上記第1の閾値に満たないと判定されるとき(NO)、副燃料残量監視部36は、続くステップS707の判定処理として、上記絶対値が上記第1の閾値よりも小さい第2の閾値を超えるか否かを判定する。ここで、同絶対値が同第2の閾値を超えると判定されるとき(YES)、空燃比センサ32の検出値が理論空燃比から若干乖離したことを意味するため、副燃料残量監視部36は続くステップS708の処理として、副燃料残量が「少ない」と判定する。そしてこの場合、副燃料残量監視部36はユーザにその旨を報知すべく、続くステップS709の処理として、警告灯39を点滅点灯する。
他方、上記ステップS707の判定処理において、上記絶対値が上記第2の閾値に満たないと判定されるとき(NO)、空燃比センサ32の検出値は変化しなかったことを意味するため、副燃料残量監視部36は続くステップS710の処理として、副燃料残量が「なし」と判定する。そしてこの場合も、副燃料残量監視部36はユーザにその旨を報知すべく、続くステップS711の処理として、警告灯39を点灯する。
図23(a)〜(c)は、この実施の形態の副燃料残量監視の監視態様例を示したものである。次に、この図23(a)〜(c)を併せ参照して、この監視態様について説明する。
例えばいま、フレックス燃料機関10はアイドル運転状態にあり、副燃料タンク21内の燃料残量も十分であるとする。こうした状態にあっては、上述したように、また図23(a)に示されるように、主燃料ポンプ25の駆動を通じての主燃料の噴射供給が空燃比フィードバック制御に基づき実行されている。そのため、空燃比センサ32の検出値は、同図23(c)に実線にて示されるように、理論空燃比をリッチ側及びリーン側にまたぐように安定して推移することとなる。
そして、同図23(b)に示すように、上記燃料供給制御部35を通じて例えば時刻t31から時刻t32までの一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、実際に副燃料が供給されるため、空燃比センサ32の検出値は、同図23(c)に実線にて示されるように、リッチ側に大きく振れる。そしてその後、同検出値は、徐々に理論空燃比に近づくとともに、再び、理論空燃比をリッチ側及びリーン側にまたぐように安定して推移することとなる。
このとき、上記副燃料残量監視部36は、上記副燃料の供給制御が時刻t31に実行されて以後の空燃比センサ32の検出値と理論空燃比との偏差の積分値(図23(c)中の実線で囲まれる斜線部分の面積)の絶対値を求め、この絶対値に対して設定された複数の閾値に対する到達態様を判定する。そして図23(c)に実線で示す監視態様例においては、空燃比センサ32の検出値が理論空燃比から大きく乖離することから、副燃料残量監視部36は、この副燃料残量監視部36によって取得された上記絶対値が上記第1の閾値を超えると判定し、副燃料残量が「多い」と判定することとなる。
また、同図23(c)においては、フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にあり、副燃料タンク21内の燃料残量が少ないときの、すなわち先の図20(b)に示される態様で副燃料が供給されているときの監視態様例を一点鎖線にて併せて示している。この監視態様例においては、同図23(c)に示されるように、燃料供給制御部35を通じて例えば時刻t31から時刻t32までの一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、空燃比センサ32の検出値が理論空燃比から若干乖離するようになる。このため、副燃料残量監視部36は、この副燃料残量監視部36によって取得された上記絶対値(図23(c)中の一点鎖線で囲まれる斜線部の面積)が上記第1の閾値と上記第2の閾値との間の大きさであると判定し、副燃料残量が「少ない」と判定することとなる。
さらに、同図23(c)においては、フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にあり、副燃料タンク21内の燃料残量が「0」であるとする監視態様例を破線にて併せて示している。この監視態様例においては、同図23(c)に示されるように、燃料供給制御部35を通じて例えば時刻t31から時刻t32までの一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されたとしても、実際には副燃料が供給されていない。したがって、空燃比センサ32の検出値に有意な変化が生じず、同検出値は理論空燃比をリッチ側及びリーン側にまたぐように安定して推移することとなる。このとき、副燃料残量監視部36は、該監視部36によって取得された上記絶対値が上記第2の閾値に満たないと判定し、副燃料残量が「なし」と判定することとなる。
以上説明したこの第3の実施の形態によれば、以下のような優れた効果が得られるようになる。
(1)フレックス燃料機関10の副燃料タンク21に、燃料残量に応じて供給量を可変とする供給量可変機構を設けることとした。これにより、副燃料タンク21内の燃料残量の有無だけでなく、副燃料タンク21内の燃料残量の多寡についても監視することができるようなる。
(2)燃料供給制御部35により副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の検出値と理論空燃比との偏差の積分値の絶対値を求め、この求めた絶対値に対して複数の閾値を設定し、これら設定した閾値に対する到達態様に基づいて副燃料タンク21内の燃料残量の多寡を監視することとした。これにより、副燃料タンク21に燃料計を設けずとも、これを高い精度をもってより的確に監視することができるようになる。
(3)フレックス燃料機関10がアイドル運転状態にあるときに一定時間に渡って副燃料の供給を強制実行することとした。これにより、副燃料の供給を強制実行した結果として、当該フレックス燃料機関10の機関出力に過剰な増大や空燃比フィードバック制御の乱れが生じた場合であれ、機関出力の変動が機関の運転に及ぼす影響を低減することができるようになる。また、副燃料の供給に伴う空燃比の乱れを比較的早期に収拾することが可能となる。なお、副燃料タンク21内の燃料残量を監視する副燃料要求判定処理(図8)において、例えばアクセルペダルが踏み込み操作されたことの検出など、当該フレックス燃料機関10の運転制御条件の変化が検出されることに基づき副燃料タンク21内での燃料残量の監視をキャンセルすることは先の第1の実施の形態と同様である。これにより、当該フレックス燃料機関10の機関運転時における副燃料の監視精度を有効に維持することができるようにもなる。
(4)副燃料タンク21内の燃料残量の監視結果を報知する報知手段として、同副燃料タンク21内の燃料残量の監視結果をユーザに対して通知する警告灯39を、車両の運転席に着座したユーザに視認可能な位置に設置することとした。これにより、副燃料タンク21内の燃料残量の管理をユーザ側での点検に一任することなく、副燃料タンク21内の燃料残量の監視結果をユーザに報知することができるようになる。
なお、以上説明した第3の実施の形態は、例えば以下の形態で適宜変更して実施することができる。
・上記実施の形態では、先の図22中のステップS703の処理として示したように、副燃料残量監視部36は、燃料供給制御部35により副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の検出値と理論空燃比との偏差の積分値の絶対値を求めることとしたが、監視対象とする値がこのような偏差の積分値の絶対値である必要はない。他に例えば、燃料供給制御部35により副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の出力値を積分値として求め、この求めた積分値に対して複数の閾値を設定し、これら設定された閾値に対する到達態様に基づいて副燃料タンク21内の燃料残量の多寡を監視することとしてもよい。また、求めた絶対値あるいは積分値に対し複数の閾値を設定しなくとも、1つの閾値を設定しても同様に副燃料タンク21内の燃料残量の多寡を監視することはできる。要は、副燃料の供給に伴うフレックス燃料機関の空燃比の変化量を積分値として求め、この求めた積分値に対して1乃至複数の閾値を設定し、この設定した閾値に対する到達態様に基づいて副燃料タンク内の燃料残量の多寡を監視すれば、高い精度をもって燃料残量の多寡の監視を行うことはできる。
・先の図22に示した処理に代えて、例えば図24に例示するような監視実行処理を採用することもできる。すなわちこの図24に示す処理において、副燃料残量監視部36はまず、ステップS713の処理として、空燃比センサ32の検出値にリッチ領域にある所定の空燃比よりもリッチである推移が生じている継続期間を取得する。そして、続くステップS714及びステップS717の判定処理として、この取得した継続期間に対して設定した複数の閾値への到達態様に基づいて副燃料タンク21内の燃料残量を監視する。要は、副燃料の供給に伴うフレックス燃料機関10の空燃比の変化量が所定の閾値を超えている継続時間に対し1乃至複数の閾値を設定し、この閾値に対する到達態様に基づいて副燃料の燃料タンク内での燃料残量を監視することでも、燃料残量の監視を簡便に行うことはできる。ちなみにこの場合、ステップS714の判定処理において採用される第1の閾値は、副燃料タンク21内の燃料残量が十分な状態において副燃料が一定時間に渡って供給されたとき、その供給時間に見合った時間として定められる継続期間である。同じく、ステップS717の判定処理において採用される第2の閾値は、副燃料タンク21内の燃料残量が十分にない状態において副燃料が一定時間に渡って供給されたとき、その供給時間に見合った時間として定められる継続期間である。勿論ここでも、第1の閾値は、第2の閾値よりも大きい(長い)値として設定される。
・同様に、先の図22に示した処理に代えて、例えば図25に例示するような監視実行処理を採用することもできる。すなわちこの図25に示す処理において、副燃料残量監視部36は、ステップS724の判定処理として、副燃料が供給されて以後の空燃比センサ32の検出値にリッチ領域にある第1の空燃比よりもリッチになる推移が存在するか否かを判定する。また、ステップS727の判定処理として、同じく副燃料が供給されて以後の空燃比センサ32の検出値に上記第1の空燃比よりもリーン側の第2の空燃比よりもリッチになる推移が存在するか否かを判定する。そして、これらの判定結果に基づき、上記副燃料タンク21内での燃料残量の多寡を監視する。要は、副燃料の供給に伴うフレックス燃料機関の空燃比の変化量(図23(c)の縦軸)に対して複数の閾値を設定し、これら設定した閾値に対する到達態様に基づいて副燃料の燃料タンク内での燃料残量を監視することでも、燃料残量監視を簡便に行うことができる。
・上記実施の形態では、副燃料タンク21の底面に開口する通路20a及び20bとして直径の異なるものを使用することとしたが、フロートバルブ212による通路20aの開閉に応じて十分な流量差を確保することができる場合には、それら通路20a及び20bとして直径が同一である通路を採用するようにしてもよい。
(第4の実施の形態)
次に、この発明にかかるフレックス燃料機関の機関制御装置の第4の実施の形態について、図26を参照して、先の第2及び第3の実施の形態との相違点を中心に説明する。なお、図26は、副燃料残量監視部36を通じて実行される監視実行処理の処理手順を示すフローチャートである。この実施の形態も、基本的には、先の図13〜図15に示した先の第2の実施の形態、並びに先の図20〜図23に示した先の第3の実施の形態に準じた構成となっている。すなわち、この実施の形態では、当該フレックス燃料機関の副燃料タンクに、副燃料の残量に応じて供給量を可変とする供給量可変機構を設け、当該機関の停止操作後に一定時間に渡って副燃料の供給を強制実行する。そして、同機関の空燃比がリーン側に固定されるまでの時間を求め、この求めた時間に基づいて副燃料の燃料タンク内での燃料残量を監視する。こうすることで、燃料計を設けずとも、副燃料タンク内での燃料残量の多寡を的確に監視することができるようにしている。
具体的には、副燃料残量監視部36は、先の図14のステップS500においてイグニッションスイッチのオフ操作に伴い主燃料の供給が停止されたとの判断のもとに監視実行処理を開始する。この監視実行処理が開始されると、副燃料残量監視部36はまず、図26に示されるように、ステップS801の処理として、燃料供給制御部35により副燃料の供給が実行されて以後の空燃比センサ32の検出値(センサ出力)がリーン側に固定されるまでの時間を取得する。
ここで、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であるときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、この一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って、先の図20(a)の状態に対応した比較的多量の副燃料が実際に供給され続けることとなる。その結果、副燃料のこうした供給時間及び供給量に見合った時間だけフレックス燃料機関10の運転が継続されるようになる。すなわちこの場合、空燃比センサ32の検出値がリーン側に固定されるまでに比較的長い時間を要することとなる。
一方、副燃料タンク21内の燃料残量が少ないときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、先の図20(b)の状態に対応した量、すなわち比較的少量とはいえ、この一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って副燃料が実際に供給され続けることとなる。そしてその結果、副燃料のこうした供給時間及び供給量に見合った時間だけ当該機関10の運転が継続されるようになる。すなわちこの場合、空燃比センサ32の検出値がリーン側に固定されるまでに、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であるときほどの時間はかからない。
他方、副燃料タンク21内の燃料残量が「0」であるときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されても、そもそも副燃料が供給されず、当該機関10の運転は即座に停止されるようになる。
このように、副燃料の実際の供給量に応じて当該機関10の運転が継続される時間も自ずと変化するため、副燃料の供給制御にかかる上記一定時間と同供給制御開始以降における機関運転の継続時間との関係によって、副燃料の残量の有無について監視することができるようになる。
そこで副燃料残量監視部36は、続くステップS802の判定処理として、上記ステップS801の処理にて取得した上記時間が第1の所定時間を超えるか否かを判定する。ここで上記時間が上記第1の所定時間を超えると判定されるとき(YES)、副燃料残量監視部36は、続くステップS803の処理として副燃料残量が「多い」と判定するとともに、ステップS804の処理として上記警告灯39の消灯状態を維持する。なお、この第1の所定時間としては、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であって(燃料の供給率が大きい)、上記一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って副燃料が実際に供給され続けたとき、その供給時間に見合った時間として決定される時間が採用される。
一方、上記ステップS802の判定処理において、上記時間が第1の所定時間に満たないと判定されるとき(NO)、副燃料残量監視部36はさらに、続くステップS805の判定処理として、上記時間が上記第1の所定時間より短い第2の所定時間を超えるか否かを判定する。ここで上記時間が上記第2の所定時間を超えると判定されるとき(YES)、副燃料残量監視部36は、続くステップS806の処理として副燃料残量が「少ない」と判定するとともに、ステップS807の処理として警告灯39を点滅点灯する。なお、この第2の所定時間としては、副燃料タンク21内の燃料残量が不十分(燃料の供給率が小さい)であって、上記一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って副燃料が実際に供給され続けたとき、その供給時間に見合った時間として決定される時間が採用される。
他方、上記S805の判定処理において、上記時間が上記第2の所定時間に満たないと判定されるとき(NO)、副燃料残量監視部36は、続くステップS808の処理として副燃料残量が「なし」と判定するとともに、ステップS809の処理として警告灯39を点灯する。
以上説明したこの第4の実施の形態によれば、以下のような優れた効果が得られるようになる。
(1)フレックス燃料機関10の副燃料タンク21に、燃料残量に応じて供給量を可変とする供給量可変機構を設けることとした。これにより、副燃料タンク21内の燃料残量の有無だけでなく、副燃料タンク21内の燃料残量の多寡についても監視することができるようなる。
(2)フレックス燃料機関10の機関停止操作後に一定時間に渡って副燃料の供給を強制実行し、同機関10の空燃比がリーン側に固定されるまでの時間を求めた。そして、この求めた時間に対して複数の閾値を設定し、これら設定した閾値に対する到達態様に基づいて副燃料タンク21内の燃料残量の多寡を監視することとした。これにより、燃料計を設けずとも副燃料の燃料タンク内での燃料残量をより的確に監視することができるようになる。なお、フレックス燃料機関10の停止操作に伴う主燃料から副燃料への燃料切替に際し、それら主燃料の供給期間と副燃料の供給期間とが一時的にオーバーラップされることは先の第2の実施の形態と同様であり、これによって上記監視実行処理(図15)を実行する以前のストールの防止を図ることもできる。
(3)副燃料タンク21内の燃料残量の監視結果を報知する報知手段として、同副燃料タンク21内の燃料残量の監視結果をユーザに対して通知する警告灯39を、車両の運転席に着座したユーザに視認可能な位置に設置することとした。これにより、副燃料タンク21内の燃料残量の管理をユーザ側での点検に一任することなく、副燃料タンク21内の燃料残量の監視結果をユーザに好適に報知することができるようになる。
なお、以上説明した第4の実施の形態は、例えば以下の形態で適宜変更して実施することができる。
・上記実施の形態では、副燃料残量監視部36はまず、フレックス燃料機関10の停止操作後に一定時間に渡って副燃料の供給を強制実行したときの空燃比がリーン側に固定されるまでの時間を求めるとともに、この求めた時間に対して複数の閾値を設定し、これら設定した閾値に対する到達態様に基づいて副燃料の残量を監視することとした。しかし、こうした監視態様に限らず、副燃料の供給制御に基づき機関運転が継続される時間を機関回転が維持されている時間として求め、この求めた時間に基づいて副燃料タンク21内の燃料残量を監視するようにしてもよい。上述のように、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であれば、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、この一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って上述した比較的多量の副燃料が実際に供給され続けることとなる。すなわち、副燃料のこうした供給時間及び供給量に見合った時間だけ機関10の運転が継続されるようになり、回転速度センサ40(図1)を通じての機関回転の検出も比較的長い時間に渡って維持されるようになる。一方、副燃料タンク21内の燃料残量が少ないときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、少量とはいえ、この一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って副燃料が実際に供給され続けることとなり、副燃料のこうした供給時間及び供給量に見合った時間だけ当該機関10の運転が継続されるようになる。すなわちこの場合、回転速度センサ40を通じての機関回転の検出は、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であるときに維持される時間ほどは継続されない。他方、副燃料タンク21内の燃料残量が「0」であるときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されても、そもそも副燃料が供給されず、当該機関10の運転は即座に停止するようになる。すなわちこの場合、回転速度センサ40を通じての機関回転の検出はほとんど維持されない。このように、副燃料の実際の供給量に応じて当該機関10の運転(回転)が継続される時間も自ずと変化するため、副燃料の供給制御にかかる上記一定時間と同供給制御開始以降における機関回転の継続時間との関係によって、副燃料の残量の有無について監視することができるようになる。図27は、先の図26に対応する図として、このような監視態様についてその実行手順を例示したものである。すなわち図27に示すように、この場合、副燃料残量監視部36はまず、ステップS811の処理として、イグニッションスイッチがオフとされて以後の機関回転が維持されている時間を取得する。そして続くステップS812及びS815の判定処理として、上記時間が第1の所定時間を超えるか否か、及び上記時間が同第1の所定時間よりも短い第2の所定時間を超えるか否かの判定処理を実行する。このような処理によっても、上記第4の実施の形態の効果に準じた効果を得ることができる。
・他にも、副燃料の供給制御に基づき機関運転が継続される時間をイオン電流の検出に基づく筒内の燃焼継続時間として求め、この求めた時間に基づいて副燃料の燃料タンク内の燃料残量を監視することもできる。すなわち、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であれば、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、この一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って上述した比較的多量の副燃料が実際に供給され続けることとなる。そして、副燃料のこうした供給時間及び供給量に見合った時間だけ当該機関10の運転が継続されることから、イオン電流の検出に基づく筒内の燃焼継続時間も比較的長い時間に渡って維持されるようになる。一方、副燃料タンク21内の燃料残量が少ないときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、少量とはいえ、この一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って副燃料が実際に供給され続けることとなり、副燃料のこうした供給時間及び供給量に見合った時間だけ当該機関10の運転が継続されるようになる。すなわちこの場合、イオン電流の検出に基づく筒内の燃焼継続時間は、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であるときに維持される時間ほどは継続されない。他方、副燃料タンク21内の燃料残量が「0」であるときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されても、そもそも副燃料が供給されず、当該機関10の運転は即座に停止するようになる。すなわちこの場合、イオン電流の検出に基づく筒内の燃焼継続時間はほとんどない。このように、副燃料の実際の供給量に応じて当該機関10の運転(燃焼)が継続される時間も自ずと変化するため、副燃料の供給制御にかかる上記一定時間と同供給制御開始以降における機関燃焼の継続時間との関係によって、副燃料の残量を監視することができるようになる。図28は、これも先の図26に対応する図として、このような監視態様についてその実行手順を例示したものである。すなわち図28に示すように、この場合、副燃料残量監視部36はまず、ステップS821の処理として、イグニッションスイッチがオフとされて以後のイオン電流の検出に基づく筒内の燃焼継続時間を取得する。そして続くステップS822及びS825の判定処理として、上記燃焼継続時間が第1の所定時間を超えるか否か、及び上記燃焼継続時間が同第1の所定時間よりも短い第2の所定時間を超えるか否かの判定処理を実行する。このような処理によっても、上記第4の実施の形態の効果に準じた効果を得ることができる。
・また他にも、副燃料の供給制御に基づき機関運転が継続される時間を機関振動が維持されている時間として求め、この求めた時間に基づいて副燃料の燃料タンク内での燃料残量を監視することもできる。すなわち、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であれば、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、この一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って上述した比較的多量の副燃料が実際に供給され続けることとなる。そして、副燃料のこうした供給時間及び供給量に見合った時間だけ当該機関10の運転が継続されるようになり、例えばノックセンサ等により検出される機関振動も比較的長い時間に渡って維持されることとなる。一方、副燃料タンク21内の燃料残量が少ないときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されると、少量とはいえ、この一定時間に渡る副燃料の供給制御の全時間に渡って副燃料が実際に供給され続けることとなり、副燃料のこうした供給時間及び供給量に見合った時間だけ当該機関10の運転が継続されるようになる。すなわちこの場合、上記ノックセンサ等により検出される機関振動は、副燃料タンク21内の燃料残量が十分であるときに維持される時間ほどは継続されない。他方、副燃料タンク21内の燃料残量が「0」であるときには、燃料供給制御部35により一定時間に渡って副燃料の供給制御が実行されても、そもそも副燃料が供給されず、当該機関10の運転は即座に停止するようになる。すなわちこの場合、ノックセンサ等による機関振動の検出はほとんどなされない。このように、副燃料の実際の供給量に応じて当該機関10の運転(振動)が継続される時間も自ずと変化するため、副燃料の供給制御にかかる上記一定時間と同供給制御開始以降における機関振動の継続時間との関係によって、副燃料の残量の有無について監視することができるようになる。図29は、これも先の図26に対応する図として、このような監視態様についてその実行手順を例示したものである。すなわち図29に示すように、この場合、副燃料残量監視部36はまず、ステップS831の処理として、イグニッションスイッチがオフとされて以後のノックセンサ等により検出される機関振動の継続時間を取得する。そして続くステップS832及びS835の判定処理として、機関振動が維持される上記時間が第1の所定時間を超えるか否か、及び上記時間が同第1の所定時間よりも短い第2の所定時間を超えるか否かの判定処理を実行する。このような処理によっても、上記第4の実施の形態の効果に準じた効果を得ることができる。
・上記実施の形態(上記各変形例も含む)では、副燃料ノズル18を介して副燃料の供給を強制実行していたが、副燃料ノズル18に代えて例えばインジェクタを配設し、このインジェクタの駆動を通じて副燃料の供給を強制実行してもよい。これにより、副燃料が実際に供給されるまでに要する時間を短縮することができ、主燃料の供給と副燃料の供給とがオーバーラップする時間を短縮する、あるいは割愛することができるようになる。
・上記実施の形態(同じく上記各変形例も含む)では、フレックス燃料機関10のイグニッションスイッチのオフ操作(機関運転停止操作)の度に、副燃料タンク21内の燃料残量を監視することとしたが、この監視態様に限られない。すなわち、当該機関10の始動回数が所定回数以上であるか否かを判定し、所定回数以上であると判定されるとき、副燃料タンク21内の燃料残量を監視することとしてもよい。あるいは、副燃料ポンプ22の駆動時間の積算値が所定時間以上であるか否かの判定し、所定時間以上であるとき、副燃料タンク21内の燃料残量を監視することとしてもよい。これにより、副燃料タンク21内に貯留される副燃料の消費量を抑制することができるようになる。なお、当該機関10の始動回数に対して設定される上記所定回数及び副燃料ポンプ22の駆動時間の積算値に対して設定される上記所定時間は、副燃料タンク21の容量や1トリップで使用される副燃料の平均的な量、副燃料ポンプ22の平均的な駆動時間等を考慮して設定することができる。
(他の実施の形態)
その他、上記各実施の形態は、例えば以下のような形態にて実施することもできる。
・上記各実施の形態では、フレックス燃料機関10の排気の酸素濃度の変化に対してその検出出力がリニアに変化する空燃比センサ32を採用したが、これに代えて、空燃比のリッチあるいはリーンに各々対応して検出出力が2値的に変化する酸素センサを採用するようにしてもよい。
・上記各実施の形態(対応する各変形例を含む)では、副燃料タンク21内の燃料残量の監視結果を報知する報知手段として警告灯39を採用したが、同等の報知が可能であれば、他にブザーや表示装置等、任意の報知手段を採用することができる。
・上記各実施の形態(対応する各変形例を含む)では、フレックス燃料機関10がアイドル運転状態(定常運転運転状態)にあるときに一定時間に渡って副燃料の供給を強制実行する監視態様、あるいはフレックス燃料機関10の停止操作後に一定時間に渡って副燃料の供給を強制実行する監視態様のいずれかを採用することとした。これに限らず、それら双方の監視態様にて副燃料タンク21内の燃料残量を監視することとしてもよい。
・上記各実施の形態(対応する各変形例を含む)では、副燃料タンク21内の燃料残量の監視に、空燃比センサ、酸素センサ、回転速度センサ、イオン電流センサ、ノックセンサ、等々のセンサを利用することとしたが、利用可能なセンサはこれらに限らない。要は、副燃料の供給を強制実行したときのフレックス燃料機関10の機関挙動の変化を検出することのできるセンサであればよい。
・上記各実施の形態(対応する各変形例を含む)では、主燃料としてアルコールを供給するとともに、副燃料としてガソリンを供給するフレックス燃料機関に適用したが、これに限らず、主燃料とその主燃料とは性状の異なる副燃料とを用いるフレックス燃料機関であれば、この発明は同様に適用できる。
10…フレックス燃料機関、11…吸気通路、12…燃焼室、13…排気通路、14…サージタンク、15…吸気マニホールド、16…吸気ポート、17…回転速度センサ、18…副燃料ノズル、19…主燃料インジェクタ、20…副燃料通路、20a…大径通路、20b…小径通路、21…副燃料タンク、22…副燃料ポンプ(副燃料用)、23…主燃料通路、24…主燃料タンク、25…主燃料ポンプ(主燃料用)、26…シリンダ、27…ピストン、28…点火プラグ、29…ウォータジャケット、30…水温センサ、31…吸気ポート、32…空燃比センサ、33…触媒装置、34…機関制御装置、35…燃料供給制御部、36…副燃料残量監視部、39…警告灯、40…回転速度センサ、41…スロットルセンサ、42…フロート、211…フロート、212…フロートバルブ。