JP2008050456A - カラーフィルタ用として好適なインクジェット用顔料分散液およびインク組成物 - Google Patents

カラーフィルタ用として好適なインクジェット用顔料分散液およびインク組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 ノズルの目詰まりがなく吐出安定性に優れ、長期保存性においても顔料物性に変化がない優れた油性インクジェット用顔料分散液およびインク組成物を提供し、かつヘッドから吐出し着弾したインク滴が当該インク層形成領域全体に好適に濡れ広がり易いカラーフィルタ用インクジェットインクを提供する。
【解決手段】 油性インクジェット用顔料分散液およびインク組成物において、アルコール系溶剤および/または親水性の物質を含有することによって、ガラス板のインク層形成領域全体に好適に濡れ広がり易い、カラーフィルタ用として好適なインクジェット用顔料分散液およびインク組成物とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ノズルの目詰まりがなく吐出安定性に優れ、長期保存性においても顔料物性に変化がない優れた油性インクジェット用顔料分散液、インク組成物、およびインクジェット用顔料分散液の製造方法に関する。当該インクジェット用インクはカラーフィルタのパターン形成に好適に用いることが出来る。
インクジェットは、連続的にノズルからインク滴を吐出させるコンティニュアス方式と必要なときにのみノズルから吐出させるオンデマンド方式があり、さらにオンデマンド方式のなかに、圧電素子を利用したピエゾ方式と過熱ヒータにより発生する気泡の圧力で吐出させるバブルジェット(登録商標)方式がある。近年、高画質化が可能となってきており、出力技術の棲み分けとして、かなり市場が拡大しており、従来染色法や顔料分散法でなされていたカラーフィルタにおいても、基板表面にインクを吹きつけて着色するインクジェット法が広く用いられるに至っている(特許文献1)。
一般に非水系で有機溶媒を使用したインク(油性インクともいう)は主成分が有機溶剤であり、常温で15mPa・s以下の粘度に調整された液体インクを飛翔させ、被記録材へ印刷させるのであるが、着色剤として顔料を用いた油性顔料系インクは、ノズル内におけるインクの濃縮によるインクの増粘ならびに顔料凝集の発生などにより、たびたびインクの吐出性が悪くなることが起こっていた。さらに、分散時に粗大粒子が多く発生したり分散顔料自体の安定性が悪いために経時変化を起こし、その凝集物が目詰まりの原因となっていた。
インクジェット方式でインクを吹き付けて画素を正確に形成するためには、ヘッドからインクを吐出する際の、インクの直進性および安定性が要求される。ここで、インクの蒸発速度が速すぎると、ヘッド先端でインクの粘度が急激に増大して、インク滴が飛行曲がりを起こしたり、ノズルの目詰まりを起こしたりする。
また、インクの乾燥速度が速すぎると、レべリング不十分で、インク表面がムラになった状態で固化してしまい、他方インクの乾燥速度が遅すぎると、加熱工程によるインク乾燥の効率が悪い。従って、吐出性能と適度な乾燥性を持つことが重要となる。
微細なノズルからインク滴を噴射するインクジェット用途では、ノズルから高速で噴射される際の吐出性、被記録材での色再現性等の性能も求められるため、特に高度な分散安定性と粗大粒子をなくし微細化した分散状態が求められる。このため、様々な工夫がされており、例えば、顔料に高分子系分散剤を十分に吸着させる工夫や、グラフト重合により顔料をポリマー被覆する等の手段により、微細分散した顔料に高分子系分散剤を充分に固着させることが検討されている。
より具体的には、特許文献2には、特定のグリコールエステル、分散剤としてリビング共重合アクリルポリマーの組み合わせを選択することで、インクの増粘や顔料の凝集が起こらない安定な有機溶剤系顔料インクが記載させている。しかしながらノズルからの吐出性安定化と顔料の微細化などのさらなる課題が残っている。同様に、特許文献3
には、ポリアミン化合物と12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物からなる分散剤、飽和炭化水素系溶剤および植物油を含有する油性インクジェットインクが記載させている。吐出安定性に優れているものの、低温吐出ならびに低温安定性は少し問題があり、顔料の微粒子化も今後の課題である。
また特許文献4には、シード粒子としてシリコーン系グラフト共重合体を分散重合させることにより得られた着色樹脂粒子含有インク組成物が開示されている。しかしながら、吐出安定性高く、分散安定性が改善されているものの、重合時の粒子径のコントロールや粒子径の均一化は非常に困難な技術である。
特許文献5には、平均粒子径250nm以下の樹脂被覆顔料、およびカチオン重合性化合物を主成分とする分散媒を具備する顔料分散体が開示されている。平均粒子径の制御のために凝集粒子を分離除去しなければならず、吐出性向上のためには粒径分布の改善に余地がある。
特許文献6には、顔料粒子の平均粒子径が20〜200nmであり、最大分散粒子径が1000nm以下である油性顔料インクが開示されている。しかしながら、吐出性については記述がなく、経時安定性についても良好かどうか不明である。
溶剤の組み合わせによるインクの吐出性改善の提案も見られる。特許文献7には、特定溶剤と環状エステルとを含有することで、インクの吐出回復性が優れ、被記録材料に対する定着性も良好なインクの記載がある。ただし顔料の分散性およびインク安定性については、まだ不十分であり次の課題として残っている。
特許文献8には、沸点が250℃以上の溶媒を包含するインクジェット用組成物が開示されているが、本組成物は高沸点溶剤を用いているため、吐出ヘッドのノズル先端での目詰まりを起こし難い。しかし、本法で得られたインクを塗布された基板は、乾燥し難い高沸点溶剤のため、完全乾燥が困難になる。この問題を解決するための方法として、特許文献9には、沸点が180〜260℃で常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を、溶剤全量に対して90重量%以上包含することを特徴とする、カラーフィルタ用インクジェットインクが開示されている。
特開2002−372615号公報 特開2003−96370号公報 特開2002−69347号公報 特開2005−29745号公報 特開2005−132874号公報 特開2005−60716号公報 特開2005−200469号公報 特開2000−310706号公報 特開2002−201387号公報
しかしながら、インク中に、溶剤として沸点が180〜260℃、常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を、溶剤全量に対して90重量%以上包含させるだけでは、カラーフィルタ用インクジェットインクとしての要求特性を充たさなくなってきた。即ち、技術の進歩とともに、カラーフィルタの塗布方法も種々工夫され、例えばブラックマトリックス上のカラーインクの滞留、重なりを防止して、均一塗布性を促進するために、ブラックマトリックスの隔壁も、撥水材料の添加、プラズマ処理などによって、撥水性を有するものに変わって来た。着弾したカラーインク滴がブラックマトリックスのエッジ部分に均一に濡れ広がらせるためには、上記のような溶剤の沸点および蒸気圧の制御のみでは、不十分になってきたのである。
本発明は、上記の状況に鑑みて成されたものである。即ち、本発明の第一の目的は、ノズルの目詰まりがなく吐出安定性に優れ、長期保存性においても顔料物性に変化がない優れた油性インクジェット用顔料分散液およびインク組成物を提供することにある。また、本発明の第二の目的は、吐出、着弾したインク滴が、ブラックマトリックスのエッジ部分などに均一に濡れ広がる、カラーフィルタ用として好適な油性インクジェット用顔料分散液およびインク組成物を提供することである。また、本発明の第三の目的は、上記のようなインクジェット用顔料分散液を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ついにノズルの目詰まりがなく吐出安定性に優れ、長期保存性においても顔料物性に変化がない油性インクジェット用顔料分散液およびインク組成物が得られることを見出した。本発明で得られたインク組成物は着弾したインク滴が、ブラックマトリックスのエッジ部分などに均一に濡れ広がり、カラーフィルタ用として好適な油性インクジェット用インク組成物を提供する。
すなわち本発明は、
(1)溶剤の全量に対して5重量%以上のアルコール系溶剤および/または親水性物質を含有すること、
(2)アルコール系溶剤の沸点が120℃〜240℃であること、とりわけ180℃〜240℃の範囲のアルコールを好適に用いることができること、
(3)前記アルコール系溶剤が、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、3−メチル−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールより成る群から選択される1種類以上であること、
または、
(4)前記アルコール系溶剤が、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、およびメチルカルビトールより成る群から選択される1種類以上であること、
(5)親水性物質が顔料誘導体であること、
(6)親水性物質が湿潤剤であること、
の手法によって、ノズルの目詰まりがなく吐出安定性に優れ、長期保存性においても顔料物性に変化がない油性インクジェット用顔料分散液を得た。
上記のようなアルコール系溶剤および/または親水性物質を、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートのような主溶剤から成る顔料分散液に加えることによって、25℃における粘度が3〜30mPa・sで且つ表面張力が20〜35dyn/cmである油性インクを得た。本インクは、カラーフィルタ用インク、情報記録用インクに好適に用いることが出来る。
本発明で得られたインクジェット用インクは、ノズルの目詰まりがなく吐出安定性に優れ、長期保存性においても顔料物性に変化がない。また、主溶剤の乾燥性および蒸発性が適度であるため、ヘッドからの吐出安定性に優れ、また、親和性のある物質および/またはアルコール系溶剤を含有することによって、着弾したインク滴がブラックマトリックスのエッジ部分などに均一に濡れ広がる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の油性インクジェット用顔料分散液は、少なくとも、顔料と、特定の主溶剤とを含有するものである。
本発明の油性インクジェット用顔料分散液に使用される顔料は特に限定がなく、有機顔料及び無機顔料のいずれも使用することができる。
有機顔料としては、たとえばアゾレーキ、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料;塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどの染料キレート;ニトロ顔料;ニトロソ顔料などがあげられる。
無機顔料としては、たとえば酸化チタン、酸化鉄、べんがら、酸化クロム、紺青、群青、モリブデン赤、鉄黒、黄鉛、カーボンブラックなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
なかでも、耐光性を考慮すれば、イソインドリノン系顔料、キナクリドン系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、カーボンブラックが好適に用いられる。
前記有機顔料の具体例としては、例えばピグメント・イエロー1(カラー・インデックス(以下、C.I.という)11680)、ピグメント・イエロー3(C.I.11710)、ピグメント・イエロー14(C.I.21095)、ピグメント・イエロー17(C.I.21105)、ピグメント・イエロー42(C.I.77492)、ピグメント・イエロー74(C.I.11741)、ピグメント・イエロー83(C.I.21108)、ピグメント・イエロー93(C.I.20710)、ピグメント・イエロー98(C.I.11727)、ピグメント・イエロー109(C.I.56284)、ピグメント・イエロー110(C.I.56280)、ピグメント・イエロー128(C.I.20037)、ピグメント・イエロー129(C.I.48042)、ピグメント・イエロー138(C.I.56300)、ピグメント・イエロー139(C.I.56298)、ピグメント・イエロー147(C.I.60645)、ピグメント・イエロー150(C.I.12764)、ピグメント・イエロー154(C.I.11781)、ピグメント・イエロー155(C.I.200310)、ピグメント・イエロー180(C.I.21290)、ピグメント・イエロー185(C.I.56280)、ピグメント・イエロー199(C.I.653200)、ピグメント・オレンジ5(C.I.12075)、ピグメント・オレンジ13(C.I.21110)、ピグメント・オレンジ16(C.I.21160)、ピグメント・オレンジ34(C.I.21160)、ピグメント・オレンジ43(C.I.71105)、ピグメント・オレンジ61(C.I.11265)、ピグメント・オレンジ71(C.I.561200)、ピグメント・レッド5(C.I.12490)、ピグメント・レッド8(C.I.12335)、ピグメント・レッド17(C.I.12390)、ピグメント・レッド22(C.I.12315)、ピグメント・レッド48:2(C.I.15865:2)、ピグメント・レッド112(C.I.12370)、ピグメント・レッド122(C.I.73915)、ピグメント・レッド170(C.I.12475)、ピグメント・レッド176(C.I.12515)、ピグメント・レッド177(C.I.65300)、ピグメント・レッド178(C.I.71155)、ピグメント・レッド179(C.I.71130)、ピグメント・レッド185(C.I.12516)、ピグメント・レッド202(C.I.73907)、ピグメント・レッド208(C.I.12514)、ピグメント・レッド254(C.I.56110)、ピグメント・レッド255(C.I.561050)、ピグメント・レッド264、ピグメント・レッド272(C.I.561150)、ピグメント・バイオレット19(C.I.73900)、ピグメント・バイオレット23(C.I.51319)、ピグメント・ブルー15:1(C.I.74160)、ピグメント・ブルー15:3(C.I.74160)、ピグメント・ブルー15:4(C.I.74160)、ピグメント・ブルー60(C.I.69800)、ピグメント・グリーン7(C.I.74260)、ピグメント・グリーン36(C.I.74265)などが挙げられ、1種または2種以上の混合物が好ましい。
無機顔料の具体例としては、たとえばピグメント・イエロー42(C.I.77492)、ピグメント・ホワイト6(C.I.77891)、ピグメント・ブルー27(C.I.77510)、ピグメント・ブルー29(C.I.77007)、ピグメント・ブラック7(C.I.77266)などがあげられ、1種または2種以上の混合物が好ましい。
とくに色相、着色力などを考慮すると、ピグメント・イエロー74(C.I.11741)、ピグメント・イエロー109(C.I.56284)、ピグメント・イエロー110(C.I.56280)、ピグメント・イエロー128(C.I.20037)、ピグメント・イエロー138(C.I.56300)、ピグメント・イエロー150(C.I.12764)、ピグメント・イエロー155(C.I.200310)、ピグメント・イエロー180(C.I.21290)、ピグメント・グリーン7(C.I.74260)、ピグメント・グリーン36(C.I.74265)、ピグメント・レッド122(C.I.73915)、ピグメント・レッド177(C.I.65300)、ピグメント・レッド202(C.I.73907)、ピグメント・レッド254(C.I.56110)、ピグメント・バイオレット19(C.I.73900)、ピグメント・バイオレット23(C.I.51319)、ピグメント・ブルー15:1(C.I.74160)、ピグメント・ブルー15:3(C.I.74160)、ピグメント・ブルー15:4(C.I.74160)、ピグメント・ブルー15:6(C.I.74160)、ピグメント・ブルー60(C.I.69800)、ピグメント・ブラック7(C.I.77266)などが好ましい。顔料は粉末状、顆粒状、あるいはウエットケーキやスラリーでもよい。
この中で、特に赤色用顔料としては、ピグメント・レッド177(C.I.65300)、ピグメント・レッド254(C.I.56110)、ピグメント・イエロー150(C.I.12764)よりなる群から選択される1種以上の顔料を好適に用いることが出来る。
また、緑色用インクとしては、ピグメント・グリーン7(C.I.74260)、ピグメント・グリーン36(C.I.74265)、ピグメント・イエロー138(C.I.56300)、ピグメント・イエロー150(C.I.12764)よりなる群から選択される1種以上の顔料を好適に用いることが出来る。
他方、青色用インクとしては、ピグメント・ブルー15:6(C.I.74160)および/またはピグメント・バイオレット23(C.I.51319)の顔料を好適に用いることが出来る。
なお、本発明においては、粒子径が小さくなりやすく、比重も小さいことから安定性の面で有機顔料を用いることが好ましい。また、顔料の一次粒子径は、分散性を考慮すると、通常0.1μm程度以下であることが好ましい。
本発明は、分散顔料の平均粒子径が30〜90nmであり、150nmを超える粒子径が体積分布で20%未満であることが好ましい。さらには35〜85nmであるのがより好ましい。分散顔料の平均粒子径が90nmを超えると、ノズルは目詰まりしやすくなり、また30nm未満ではファンデルワールス力による顔料粒子間同士の凝集が発生しやすくなり、耐熱性や耐光性が悪くなる。さらに90nmを超える粒子径が体積分布で20%を超えると、顔料粒子の分布状態が広くなり、吐出性は安定しなくなる。
顔料の分散剤は、分子鎖中にアミン価を有する結合基を含有する高分子化合物が用いられる。分散された顔料粒子は、有機溶媒中で、酸塩基相互作用により安定化しようとしているが、分散剤が分子鎖中にアミン価を有する結合基を含有する高分子化合物である場合には、顔料表面に強く持続的に吸着する。
高分子分散剤は、疎水性基を含有するモノマーと、塩基性基を含有するモノマーおよび/または親水性基を含有するモノマーと、必要に応じて2官能以上を有するモノマーを共重合させることにより、容易に合成することができる。とくに本発明の分散剤は、分子鎖中にアミン価を有する結合基を含有することが有効であり、塩基性基を含有するモノマーを必須成分として重合することが好ましい。共重合の方法は公知の方法により行えばよいが、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもどちらでも良い。
塩基性基を含有するモノマーの具体例としては、たとえばアミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルアクリレート、アミノプロピルメタクリレート、メチルアミノエチルアクリレート、メチルアミノエチルメタクリレート、メチルアミノプロピルアクリレート、メチルアミノプロピルメタクリレート、エチルアミノプロピルアクリレート、エチルアミノプロピルメタクリレート、エチルアミノエチルアクリレート、エチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ブチルアミノエチルアクリレート、ブチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、4−アミノスチレン、アクリロイルモルホリンなどの分子内に窒素元素を1個以上含むモノマーまたはそれらの塩などをあげることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
疎水性を含有するモノマーの具体例としては、たとえばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルアクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルアクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−ヘプチルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、iso−オクチルアクリレート、iso−オクチルメタクリレート、n−ノニルアクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−ドデシルメタクリレート、テトラデシルアクリレート、テトラデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、プロピオン酸ビニルなどをあげることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
親水性基を含有するモノマーの具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセリンアクリレート、グリセリンメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートなどをあげることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
2官能以上を有するモノマーの具体例としては、たとえば1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ウレタンアクリレートなどをあげることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
特に好ましい分散剤の具体例としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、2−エチルヘキシルなどのC1〜C10程度の低級アクリレート(またはメタクリレート)とモノアルキルアミノアルキルアクリレート(またはメタクリレート)共重合体、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、2−エチルヘキシルなどのC1〜C10程度の低級アクリレート(またはメタクリレート)とジアルキルアミノアルキルアクリレート(またはメタクリレート)共重合体などが挙げられる。さらにはアミン価を有するウレタン樹脂やポリエステル樹脂などが挙げられる。
開始剤としては、リビング重合法で用いられる有機リチウム、例えばブチルリチウム、エチルリチウム、スチリルリチウムなどが用いられ、ラジカル開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
また、重合度を調整する目的で、連鎖移動剤を用いて分子量を調整してもよい。連鎖移動剤としては、例えばドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
高分子化合物であるアミン価を有する分散剤は、市販の商品としては、BYK Chemie社「Disperbyk−160、161、162、163、164、165、166、169、182、183、184、185、2000、2001、2020、2050、2070、2150」、Efka CHEMICALS社「EFKA−4046、4047、4048、4050,4055、4400、4401、4402」、日本ルブリゾール社「SOLSPERSE24000SC、24000GR、31845」、楠本化成株式会社「デイスパロンDA703−50、DA−705、DA−725」、味の素ファインテクノ株式会社「アジスパーPB711、821、822、824、827」などがあげられる。
高分子分散剤の分散性を考慮すれば、好ましくは重量平均分子量として1,000〜50,000、特に好ましくは2,000〜30,000である。この範囲からはずれると、顔料の分散性は悪くなる。平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定することができる。
また、高分子分散剤のアミン価は1〜50mgKOH/gであることが好ましい。特に好ましくは1〜40mgKOH/gのものがよい。なおここでアミン価とは、樹脂1gを0.1Nの塩酸溶液で中和させるのに必要な塩酸と等価なKOHのmg数であり、電位差滴定法で求めることができる。
高分子分散剤の添加量は、顔料100重量部に対して5重量部から100重量部が好ましく、特に好ましくは10重量部から80重量部である。顔料100重量部に対し5重量部未満では、顔料の分散性が不十分となり沈殿物を生じたり経時安定性も悪くなることがある。一方、100重量部を超えると、分散液ならびにインク化した場合に高粘度となり、しかも吐出性が低下する。
分散液ならびにインクに使用する溶剤は、顔料および分散剤に対して湿潤性や相溶性が良好で、さらにインクジェットでのノズル吐出性を考慮して選択しなければならない。とくに乾燥からの目詰まりを防ぐために高沸点溶剤が好ましく、沸点が150℃〜260℃、常温での蒸気圧が0.5mmHg以下のものが好ましい。
高沸点溶剤の具体例としては、たとえば、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アジピン酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、およびコハク酸ジエチル、トリアセチンなどをあげることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、インクにアルコール系の溶剤を含有させることによって、粘度の低下をともなう分散性の向上を達成するとともに、上記吐出性、目詰まり防止などの効果を阻害せずに、着弾したインク滴のブラックマトリックス部分への均一な濡れ広がりが可能となり、画素の色ヌケなどを防止することができる。アルコール系溶剤としては、20℃での表面張力が35mN/m以下であること、沸点が120℃〜240℃、とりわけ180℃〜240℃であることが望ましい。溶剤の全量に対して5重量%以上の範囲で用いることが出来る。添加量がこの範囲よりも少ない場合には、着弾したカラーインク滴の濡れ広がり易さが不十分となり、添加量がこの範囲よりも多い場合には、被膜乾燥の不十分、色度のズレ、顔料分散不十分などの不具合が生じる。
アルコール系溶剤の具体例としては、沸点が120℃〜180℃の間である、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、2−ブトキシエタノール、1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−オクタノール、3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、およびグリセリン1,3−ジメチルエーテルなどをあげることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
また、より好適には、沸点が180℃〜240℃の範囲である、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、1−ノナノール、n−デカノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、トリメチルノニルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコール酪酸モノエステル、1−ブトキシエトキシプロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリンα,β−ジメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、cis−2−ブテン−1,4−ジオールなどを挙げることが出来る。これらは、上記と同様に単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
また、親水性物質としては、顔料表面に分散剤が吸着する仲立ちとなる物質、すなわち顔料構造に酸基、とりわけスルホン酸基を持たせ、必要に応じてアミンなどで中和させた顔料誘導体、芳香族スルホン酸化合物、およびポリマー湿潤剤などを用いることが出来る。これらを用いると、上記アルコールと同様に粘度の低下をともなう分散性の向上を達成するとともに、着弾したインク滴のブラックマトリックス間への均一な濡れ広がりを可能とすることが出来る。
親水性物質の添加量は、顔料100重量部に対して0.5重量部から50重量部が好ましく、特に好ましくは1.0重量部から20重量部である。顔料100重量部に対し0.5重量部未満では、粘度の低下をともなう分散性の向上がみられず、ガラス基板への濡れ性ならびに広がりが期待できない。一方、50重量部を超えると、分散液ならびにインク化した場合に高粘度となり、耐水性が悪くなる。
顔料誘導体としては、例えば、有機顔料として用いられる、アゾレーキ、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料を濃硫酸または、クロロスルホン酸などで処理して、顔料表面にスルホン基を導入したものや、それらを必要に応じてアミンなどで中和したものを用いることが出来る。市販の商品としては、日本ルブリゾール社「SOLSPERSE5000、SOLSPERSE12000、およびSOLSPERSE22000」などを挙げることが出来る。
芳香族スルホン酸化合物としては、ベンゼン、ナフタレンなどの比較的低分子の環式化合物のスルホン酸およびそのアルカリ金属塩に加えて、各種の多環式化合物のスルホン酸、およびアシッドレッド、アシッドグリーン、アシッドブルーの名称で知られるそれらのアルカリ金属塩を用いることができる。環の構成元素としては、炭素原子に限らず、窒素原子、酸素原子、イオウ原子なども用い得、すなわち、単素環式化合物に加えて、複素環式化合物も用いることが出来る。
これらの例としては、アシッドブラック1、アシッドブルー1、アシッドブルー3、アシッドブルー9、アシッドブルー20、アシッドブルー74、アシッドブルー83、アシッドブルー92、アシッドブルー147、アシッドブリリアントグリーンJ、アシッドブラウンM、アシッドフクシン、アシッドグリーン1、アシッドグリーン3、アシッドグリーン5、アシッドグリーン50、アシッドオレンジ5、アシッドオレンジ6、アシッドオレンジ7、アシッドレッド1、アシッドレッド18、アシッドレッド26、アシッドレッド27、アシッドレッド52、アシッドレッド60、アシッドレッド88、アシッドレッド112、アシッドレッド265、アシッドバイオレット34、アシッドバイオレット43、アシッドバイオレット49、アシッドイエロー23、アリザリンシアニングリーンF、アリザリングリーン、アリザリンルビノールR、アリザリンサフィロルSE、アリザリン−5−スルホン酸、4−アミノアニソール−3−スルホン酸、4−アミノアゾベンゼン−4’−スルホン酸ナトリウム塩、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸ジカリウム塩、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸ジナトリウム塩、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸ジナトリウム塩、アントラキノン−2,7−ジスルホン酸ジナトリウム塩、アントラキノン−1−スルホン酸ナトリウム塩、アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ベンゼンスルホン酸一水和物、ベンゼンスルホン酸無水物、クロラニル酸ナトリウム塩、クロランティンファーストレッド5B、クロラゾルブラックBH、クロラゾルブラックE、クロラゾルブラックLF、クロラゾルグリーン、クロラゾルバイオレットN、クロムバイオレット、クロムイエロー、クロモトロープ2B、クロモトロープ2R、クロモトロープ酸二ナトリムウム塩、クリソフェニン、クロセインオレンジG、クロセインスカーレット3B、ダンシル酸、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、ジアニルブラウン3GN、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム塩、1−ジアゾ−2−ナフトール−4−スルホン酸、4,4’−ジイソチオシアナト−2,2’−スチルベンジスルホン酸二ナトリウム塩、1−ジメチルカルバモイル−4−(2−スルホエチル)ピリジニウム水酸化物内部塩、ジメチルスルフォンアゾIII、ダイレクトブルー、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー14、ダイレクトブルー86、ダイレクトファストブラウンBX、ダイレクトファストブラウンM、ダイレクトファストレッド3B、ダイレクトピュアイエロー5G、ダイレクトレッド28、ダイレクトスカーレットB、ダイレクトスカイブルー、エヒトブラウンN、8−エトキシキノリン−5−スルホン酸、エチルオレンジ、ファストグリーンFCF、ファストレッドB,1,5−ナフタレンジスルホン塩、フラビアン酸、フラボノール−2’−スルホン酸ナトリウム塩、4−ヒドロキシピリジン−3−スルホン酸、リソールルビンBCA (Lithol Rubin BCA)、ルモガリオン、メシチレンスルホン酸、メシチレンスルホン酸ナトリウム塩、1,5−ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム塩、2−ナフタレンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸ナトリウム塩、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸ナトリウム塩、ナフチルアゾキシンTM[7−(1−ナフチルアゾ)−8−キノール−5−スルホン酸ナトリウム]、ポンソー3R、ポンソー6R、ポンタシルカーミン2B (Pontacyl Carmine 2B)、ポンタシルバイオレット4BSN (Pontacyl Violet 4BSN)、ポンタシルバイオレット6R (Pontacyl Violet 6R)、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸ナトリウム塩、タイロンTM (カテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウム)等を挙げることが出来る。
また、ポリマー湿潤剤としては、疎水基と親水基を併せ持つ、BYK Chemie社「Disperbyk−182、Disperbyk−110、Disperbyk−111、Disperbyk−180、Disperbyk−183、Disperbyk−184、Disperbyk−185、Disperbyk−187、Disperbyk−190、Disperbyk−191、Disperbyk−192、BYK−151、BYK−154」、Efka CHEMICALS社「EFKA−5044、5244、5054、5055、5063、5064、5071」などを用いることができる。
アルコール、顔料誘導体、湿潤剤などのカラーインクへの添加によって、着弾したカラーインク滴がブラックマトリックスなどの当該インク層形成領域全体に濡れ広がり易くなる理由については、必ずしも明らかではないが、これらの成分の添加によって、インク組成物の主溶剤の双極子モーメント、水素結合力、溶解性パラメータなどが変動して、ブラックマトリックスなどのインク層形成領域上での表面張力が好適になり、インク組成物の乾燥過程時の濡れ性が制御されるためと思われる。これらの成分の高沸点溶剤への相溶性、沸点、高沸点溶剤との共沸性なども、インク液滴が乾燥を終える時点でのインク層形成領域への濡れ性を決定する上で重要な要因となると思われる。
本発明で得られたインクジェット用インクは、カラーフィルタ用途としてガラス表面に塗布された後、溶剤を加熱、乾燥により除去するが、カラーフィルタの色材構成成分としては、顔料とともに、被膜化したバインダー樹脂および分散剤を含有するものである。ここで、分散剤の耐熱性が劣るものであれば、最終製品となる液晶パネルにした場合の電圧保持率が大きく低下する。これは、加熱下で分散剤分子が動きやすくなり、また不純物の溶出が発生するためと考えられる。
顔料の分散に使用できる分散機は、2本ロールや3本ロールなどのロールミル、ペイントシェーカー、サンドミルなどのビーズ分散、ボールミル分散、超音波分散など適宜用いることができる。分散液は粗大粒子や異物を除去するために、粗大粒子を分離処理したり、フィルター処理などをおこなうのが好ましい。
インクジェットインクの25℃における粘度は、3〜30mPa・sで且つ表面張力が20〜35dyn/cmであるのが好ましい。粘度が3mPa・s未満では、吐出量が安定せず、粘度が30mPa・sを超えると吐出できなくなる。また、表面張力が20〜35dyn/cmの範囲を外れるとノズルからの濡れが適性量でなくなり、液滴として安定して飛翔しなくなる。
本発明のインクジェット用顔料分散液およびインク組成物は、インクジェットインクの課題であるノズルの目詰まり、吐出安定性、長期保存性、および着弾したカラーインク滴のブラックマトリックスなどの当該インク層形成領域全体への濡れ広がり性が優れているため、カラーフィルタ用インク、情報記録用インクに用いることが可能であり、とくにカラーフィルタ用として有用である。
以下に実施例をあげて本発明を更に具体的に説明する。実施例において「部」はすべて重量部を示し、「%」はすべて重量%を示す。
(インクの濡れ広がり性試験用ブラックマトリックスの製造例)
セロソルブアセテート74重量部に、市販のカーボンブラックA(平均粒径30nm、比表面積254m/g、DBP吸油量174ml/100g)20重量部および分散剤(高分子量ポリウレタン系樹脂、重量平均分子量13000)6重量部を添加し、ダイノミルを用いて25℃で6時間にわたって撹拌混合し、分散状態が良好で、均一な組成のブラックマトリックス形成用分散液をえた。
つぎに、ブラックマトリックス形成用分散液16重量部を、紫外線硬化用の光重合性モノマー66重量部(ラウリルアクリレート46重量部および2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部)およびプレポリマー(エポキシアクリレート)16重量部、ならびに光重合開始剤(2−メチル−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン)2重量部で希釈し、特性測定用組成物とした。
前記特性測定用組成物を用い、ガラス板にスピンコートして100℃で15分間乾燥後、さらに 30μm×200μm のパターンを切ったフォトマスクを介して150mJ紫外線露光した。得られた処理板をアルカリ現像液に1分間浸漬し、冷水で洗浄、220℃で1時間乾燥させて、厚みが1.5μm、幅が30μmの凸状ブラックマトリックスを得た。このガラス基板の凸部に囲まれた凹部に対し、インクジェット法でカラーインクを用いて吹きつけを行い、100℃で15分間乾燥させて、インクジェット適性を調べた。評価はカラー画素内での色ムラと、カラーインクとブラックマトリックス境界面でのカラーインクの濡れ広がりを調べることによって行った。塗布適性を◎○△×で評価する。
(分散剤1の製造例)
4口フラスコに、冷却装置、攪拌装置、温度計を取り付け、エチレングリコールモノブチルエーテル100部を仕込み、100℃まで昇温し、そのあと窒素置換をおこなった。これに下記のモノマーの混合液を2時間にわたって滴下し、さらに5時間維持して反応を完結させた。反応後の溶液の不揮発分は49.3%、重量平均分子量は17000であった。
n−ブチルアクリレート 20.0部
エチルメタクリレート 25.0部
ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0部
アゾビスイソブチロニトリル 2.0部
[実施例1]
赤顔料(PR−254)10.0部、分散剤1溶液8.0部、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート76.0部、エチルカルビトール6.0部を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300部加え、ペイントシェーカーで3時間分散をおこなった。得られた分散液に、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート40.0部に熱硬化性樹脂(アクリル樹脂)3.0部を溶解したものを添加混合し、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過をおこない、インクジェットインクを得た。このインクをインクジェットプリンタで、上記ブラックマトリックスで画素形成されたガラス基板へインク吐出をおこない、その後150℃で2時間乾燥をおこなった。できあがったカラーフィルターパネルは、ブラックマトリックス間への均一な濡れ広がりに優れており、品質的に問題なく使用できる水準のものであった。
[比較例1]
実施例1中、エチルカルビトール6.0部を添加しないで、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート82.0部のみを溶剤として用いた以外は、合成ならびに実施例の操作は同様におこなった。
(分散剤2の製造例)
4口フラスコに、冷却装置、攪拌装置、温度計を取り付け、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル100部を仕込み、100℃まで昇温し、そのあと窒素置換をおこなった。これに下記のモノマーの混合液を2時間にわたって滴下し、さらに7時間維持して反応を完結させた。反応後の溶液の不揮発分は49.3%、重量平均分子量は18000であった。
n−ブチルメタクリレート 29.5部
スチレン 15.0部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 3.5部
メチルアミノプロピルメタクリレート 2.0部
アゾビスイソブチロニトリル 2.0部
[実施例2]
青顔料(PB−15:6)9.5部、紫顔料(PV−23)0.5部、分散剤2溶液10.0部、ジプロピレングリコールジメチルエーテル61.0部、シクロヘキサノン12.0部、ブチルカルビトール7.0部を混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを300部加え、ペイントシェーカーで3時間分散をおこなった。得られた分散液に、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート40.0部に熱硬化性樹脂(アクリル樹脂)3.0部を溶解したものを添加混合し、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過をおこない、インクジェットインクを得た。このインクをインクジェットプリンタで、上記ブラックマトリックスで画素形成されたガラス基板へインク吐出をおこない、その後150℃で2時間乾燥をおこなった。できあがったカラーフィルターパネルは、ブラックマトリックス間への均一な濡れ広がりに優れており、品質的に問題なく使用できる水準のものであった。
[比較例2]
実施例3中、ブチルカルビトール7.0部を添加せず、ジプロピレングリコールジメチルエーテル68.0部を用いた以外は、合成ならびに実施例2の操作は同様におこなった。
[実施例3]
緑顔料(PG−7)10.0部、Disperbyk−160(BYK Chemie社)18.0部、1,3−ブチレングリコールジアセテート72.0部、Disperbyk−187(BYK Chemie社)3.0部を混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを300部加え、ペイントシェーカーで3時間分散をおこなった。得られた分散液に、エチレングリコールモノブチルエーテル40.0部に熱硬化性樹脂(アクリル樹脂)3.0部を溶解したものを添加混合し、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過をおこない、インクジェットインクを得た。このインクをインクジェットプリンタで、上記ブラックマトリックスで画素形成されたガラス基板へインク吐出をおこない、その後150℃で2時間乾燥をおこなった。できあがったカラーフィルターパネルは、ブラックマトリックス間への均一な濡れ広がりに優れており、品質的に問題なく使用できる水準のものであった。
[比較例3]
実施例3中、Disperbyk−187(BYK Chemie社)3.0部の代りにDisperbyk−160を用いた以外は、実施例3の操作は同様におこなった。
[実施例4]
マゼンタ顔料(PR−122)10.0部、日本ルブリゾール社SOLSPERSE22000 1.0部、およびDisperbyk−2001(BYK Chemie社)21.0部、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート68.0部、を混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを300部加え、ペイントシェーカーで3時間分散をおこなった。得られた分散液に、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート35.0部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル5.0部に熱硬化性樹脂(アクリル樹脂)3.0部を溶解したものを添加混合し、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過をおこない、インクジェットインクを得た。このインクをインクジェットプリンタで、上記ブラックマトリックスで画素形成されたガラス基板へインク吐出をおこない、その後150℃で2時間乾燥をおこなった。できあがったカラーフィルターパネルは、ブラックマトリックス間への均一な濡れ広がりに優れており、品質的に問題なく使用できる水準のものであった。
[比較例4]
実施例4中、SOLSPERSE22000 1.0部およびジエチレングリコールモノメチルエーテル5.0部を添加しなかった以外は、実施例4の操作は同様におこなった。
(分散剤3の製造例)
4口フラスコに、冷却装置、攪拌装置、温度計を取り付け、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル100部を仕込み、100℃まで昇温し、そのあと窒素置換をおこなった。これに下記のモノマーの混合液を2時間にわたって滴下し、さらに7時間維持して反応を完結させた。反応後の溶液の不揮発分は49.3%、重量平均分子量は18000であった。
n−ブチルメタクリレート 29.5部
スチレン 15.0部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 3.5部
メチルアミノプロピルメタクリレート 2.0部
アゾビスイソブチロニトリル 2.0部
[実施例5]
青顔料(PB−15:6)9.5部、紫顔料(PV−23)0.5部、分散剤3溶液10.0部、日本ルブリゾール社製顔料誘導体SOLSPERSE12000 2.0部 エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.0部、シクロヘキサノン12.0部を混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを300部加え、ペイントシェーカーで3時間分散をおこなった。得られた分散液に、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート50.0部に熱硬化性樹脂(アクリル樹脂)3.0部を溶解したものを添加混合し、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過をおこない、インクジェットインクを得た。このインクをインクジェットプリンタで、上記ブラックマトリックスで画素形成されたガラス基板へインク吐出をおこない、その後150℃で2時間乾燥をおこなった。できあがったカラーフィルターパネルは、ブラックマトリックス間への均一な濡れ広がりに優れており、品質的に問題なく使用できる水準のものであった。
[比較例5]
実施例5中、顔料誘導体SOLSPERSE12000 2.0部を添加しなかった以外は、合成ならびに実施例5の操作は同様におこなった。
〔評価試験〕
得られた分散液ならびにインクについて、以下の方法にしたがって調べた。その結果を<表1>に示す。
(イ)顔料分散性試験
分散液の顔料粒子径は、粒度分布測定装置コールターN4で測定し、90nm以上を超える体積分布をマイクロトラックUPAで確認することにより、顔料分散性を評価した。
(ロ)経時安定性試験
分散液を25℃の恒温室内に1か月間静置したのち、顔料の分離、水浮きおよび沈降の有無ならびに粘度や顔料の平均粒子径の変化を確認した。顔料の分離、水浮きおよび沈降が少しでも生じたり、粘度や顔料の平均粒子径の変化があった場合を異常と評価した。
異常なし(変化率±5%以内)の場合を○、異常ありの場合を×とした。
(ハ)吐出性試験
武藤工業(株)製インクジェットプリンタ「ラミレス」のカートリッジにインクを100cc充填し、光沢フィルムへ吐出性評価をおこなった。
ノズルの目詰まりがなく、安定な吐出性である場合を○、若干のノズル目詰まり発生するが回復した場合は△、全く回復しない場合は×とした。
(二)インクの濡れ広がり性試験
上記製造例で得たインクジェット適性試験用のブラックマトリックスに、上記のようにインクジェット法でカラーインクを用いて吹きつけを行い、100℃で15分間乾燥させて、インクジェット適性を調べた。評価はカラー画素内での色ムラと、カラーインクとブラックマトリックス境界面でのカラーインクの濡れ広がりを調べることによって行った。塗布適性を○△×で評価する。
Figure 2008050456
ノズルの目詰まりがなく吐出安定性に優れ、長期保存性においても顔料物性に変化がない優れた油性インクジェット用顔料分散液およびインク組成物を提供することができる。

Claims (13)

  1. 顔料分散液が、顔料、および溶剤を含有する分散液であって、溶剤の全量に対して5重量%以上のアルコール系溶剤を含有することを特徴とする、インクジェット用顔料分散液。
  2. 顔料分散液が、顔料、および溶剤を含有する分散液であって、親水性物質を含有することを特徴とする、インクジェット用顔料分散液。
  3. 顔料分散液が、顔料、および溶剤を含有する分散液であって、溶剤の全量に対して5重量%以上のアルコール系溶剤、および親水性物質を含有することを特徴とする、インクジェット用顔料分散液。
  4. 前記アルコール系溶剤の沸点が120℃〜180℃であることを特徴とする、請求項1または3に記載のインクジェット用顔料分散液。
  5. 前記アルコール系溶剤が、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、3−メチル−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールより成る群から選択される1種類以上であることを特徴とする、請求項4に記載のインクジェット用顔料分散液。
  6. 前記アルコール系溶剤の沸点が180℃〜240℃であることを特徴とする、請求項1または3に記載のインクジェット用顔料分散液。
  7. 前記アルコール系溶剤が、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、およびメチルカルビトールより成る群から選択される1種類以上であることを特徴とする、請求項6に記載のインクジェット用顔料分散液。
  8. 前記親水性物質が顔料誘導体である、請求項2〜7のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液。
  9. 前記親水性物質が芳香族スルホン酸化合物である、請求項2〜7のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液。
  10. 前記親水性物質がポリマー湿潤剤である、請求項2〜7のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液を含有してなる油性インク。
  13. カラーフィルタ用インクに用いられる請求項11または12に記載の油性インク。
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