JP2004269565A - マイクロカプセル化染料の製造方法、マイクロカプセル化染料、水性分散液及びインクジェット記録用インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アニオン性染料をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化染料の製造方法であって、(A)アニオン性染料を溶解した水性媒体に、「カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤」を、カチオン性重合性界面活性剤がアニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、カチオン性重合性界面活性剤をアニオン性染料に固定化する工程と、(C)「アニオン性基と疎水性基と重合性基を有するアニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」を水性媒体に添加、混合し、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とを有するマイクロカプセル化染料の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロカプセル化染料の製造方法、マイクロカプセル化染料、水性分散液及びインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、微細なノズルヘッドからインク液滴を吐出して、文字や図形を紙などの記録媒体の表面に記録する方法である。インクジェット記録方法としては電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換し、ノズルヘッド部分に貯えたインク液滴を断続的に吐出して記録媒体表面に文字や記号を記録する方法や、あるいはノズルヘッドの吐出部分に近い一部でインク液の一部を急速に加熱して泡を発生させ、その泡による体積膨張でインク液滴を断続的に吐出して、記録媒体表面に文字や記号を記録する方法などが実用化されている。
【0003】
インクジェット記録用インクとして、染料を水中に溶解させた水溶性染料インクが広く知られている。水溶性染料を用いた水性インクは、色数が豊富で色調が鮮明で、優れた画像品質を有する印刷物を容易に得ることができるという利点があるが、滲みや耐水性、耐光性に劣るという欠点がある。また、顔料を水性媒体に分散させた水性インクは、耐水性、耐光性は良好であるが、色数が染料に比べて少なく、一般には色調の鮮明さや透明性に劣る傾向がある。
【0004】
この問題の解決を意図して、着色樹脂微粒子を用いた水性インクが多数提案されている。着色樹脂微粒子を得る方法として乳化重合を用いる方法が従来から知られているが、その例としては、特定の単量体と色材からなる着色剤組成物を重合してなる着色微粒子が水系媒体中に分散している着色微粒子エマルジョンが知られている(従来例1:特許文献1参照)。
【0005】
また、カチオン性モノマーと非極性ビニルモノマーとを共重合してなる樹脂粒子を染色し、この粒子をインクの着色剤として使用する技術が知られている(従来例2:特許文献2参照)。
【0006】
また、水性媒体中で重合性不飽和単量体とこれと親和性を有する着色剤の存在下でアニオン性及び/又はノニオン性反応性乳化剤を乳化重合させて着色樹脂微粒子を製造する方法とこの粒子をインクの着色剤として用いる方法が知られている(従来例3:特許文献3参照)。
【0007】
また、油溶性染料とエチレン性不飽和単量体を含有する油相を共重合可能な反応性界面活性剤の存在下で水中に乳化させてエマルションを作製しエチレン性不飽和単量体と反応性界面活性剤とを共重合して、着色剤含有重合体を製造する技術が知られている(従来例4:特許文献4参照)。
【0008】
また、水系で酸性染料とカチオン性重合性界面活性剤とを静電相互作用させ、このカチオン性重合性界面活性剤を重合させることによって、着色ポリマー粒子を作製し、これを界面活性剤で分散させて水性分散液とする技術が知られている(従来例5:非特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−121417
【特許文献2】
特開2000−109736
【特許文献3】
特開平9−279073
【特許文献4】
特開2001−302708
【非特許文献1】
島津善治,谷口竜王,川口正剛,長井勝利、第12回高分子ミクロスフェア討論会予稿集、p.138〜134
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例1により得られる着色ポリマー粒子を着色剤として用いるインクは、水性媒体内に乳化重合時に用いられる通常の乳化剤(反応性のない乳化剤)や分散剤が多量に残留するため水性インクの浸透性が高く滲みや画像濃度の低下(濃度が低い)、ノズル孔周囲が濡れることによって吐出安定性に劣る、長期の保存安定性に劣る等の問題がある。また、インクジェット記録用インクに通常添加される水溶性溶媒によって着色ポリマー粒子から色素が脱離しやすい傾向にあることから、得られる印刷物の印字品質、印字濃度が低下しやすく、特に染料が油溶性染料である場合に顕著である。染料が水溶性染料である場合には耐水性が低下する傾向にある。
【0011】
また、従来例2により得られる着色ポリマー粒子は着色力が不足していることから、これを用いたインクは十分な画像濃度を得ることができないと言う問題と、インクジェット記録用インクに通常添加される水溶性溶媒によって着色ポリマー粒子から色素が脱離しやすい傾向にあることから、印刷物は滲み等の発生による印字品質低下や印字濃度の低下及び耐水性の低下が起こり、印字品質や印字濃度及び耐水性が安定しない。
【0012】
また、従来例3により得られる着色ポリマー粒子は粒径が十分に小粒径でなく、また粒度分布も安定していないため、これを着色剤として用いたインクをインクジェット記録用インクとして使用した場合、吐出が不安定となる傾向にあり、得られる印刷画像の品質は劣り、色調の鮮明性も不十分であった。
【0013】
また、従来例4により得られる着色ポリマー粒子を着色剤とするインクは、インクジェット記録用インクに通常添加される水溶性溶媒によって着色ポリマー粒子から色素が脱離しやすい傾向にあることから、得られる印刷物の印字品質、印字濃度が低くなりやすく、特に染料が油溶性染料である場合に顕著である。
【0014】
また、従来例5により得られる着色ポリマー粒子を水性液中に分散させるためには、通常、高分子分散剤に代表される界面活性剤の添加が必要であり、このような高分子分散剤の存在によって、インクジェット記録用インクの吐出安定性(インクが記録ヘッドから一定方向に安定して吐出される特性)や目詰まり性(記録ヘッドのノズルがつまりにくい特性)が不十分なものとなる。さらに、インク中の高分子型分散剤の含有率が高くなりすぎると、インクの粘度が高くなりすぎて吐出安定性が損なわれるため、高分子型分散剤の含有率は制限されることとなり、これに応じて、着色ポリマー粒子の含有量も制限されるので、従来例5によるインクを使用して得られた記録物の画像は印字濃度が低く、特に、記録媒体を普通紙とした場合には、画像の滲みが発生しやすく、また、発色性も低い。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑みて成されたものであって、その目的とするところは、
(1)分散性及び分散安定性に優れる、
(2)記録ヘッドからの吐出安定性に優れる、
(3)画像の堅牢性に優れる記録物を得ることができる、
(4)画像の印字濃度が高い記録物を得ることができる、
(5)画像の耐擦性に優れる記録物を得ることができる、
(6)記録媒体として普通紙を使用する場合においても、画像が滲みにくく、また画像の発色性が高い記録物を得ることができる、
の前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを高効率で作製可能なマイクロカプセル化染料の製造方法、前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを作製可能なマイクロカプセル化染料、及び、水性分散液を提供することである。
また、本発明の目的は、前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、特定のマイクロカプセル化染料を作製し、このマイクロカプセル化染料をインクジェット記録用インクの着色剤とすることによって、驚くべきことに、前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを得ることができることを見出し、本発明を完成したものである。すなわち、本発明の技術的構成は以下の通りである。
【0017】
[1] アニオン性染料をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化染料の製造方法であって、
(A)アニオン性染料を溶解した水性媒体に、「カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤」を、前記カチオン性重合性界面活性剤が前記アニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、前記カチオン性重合性界面活性剤を前記アニオン性染料に固定化する工程と、
(C)「アニオン性基と疎水性基と重合性基を有するアニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」を前記水性媒体に添加、混合し、重合開始剤を加えて乳化重合する工程と
を有するマイクロカプセル化染料の製造方法。
【0018】
[2] アニオン性染料をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化染料の製造方法であって、
(A)アニオン性染料を溶解した水性媒体に「カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤」を、前記カチオン性重合性界面活性剤が前記アニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、前記カチオン性重合性界面活性剤を前記アニオン性染料に固定化する工程と、
(B1)“前記「カチオン性重合性界面活性剤」及び「アニオン性基と疎水性基と重合性基を有するアニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」に対して共重合可能な疎水性モノマー”を前記水性媒体に添加して混合する工程、
(C)前記「アニオン性重合性界面活性剤」及び/又は前記「アニオン性基を有する親水性モノマー」を前記水性媒体に添加、混合し、重合開始剤を加えて乳化重合する工程と
を有するマイクロカプセル化染料の製造方法。
【0019】
[3] アニオン性染料をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化染料の製造方法であって、
(A)アニオン性染料を溶解した水性媒体に「カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤」を、前記カチオン性重合性界面活性剤が前記アニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、前記カチオン性重合性界面活性剤を前記アニオン性染料に固定化する工程と、
(B2)”前記「カチオン性重合性界面活性剤」及び「アニオン性基と疎水性基と重合性基を有するアニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」に対して共重合可能な疎水性モノマー”と、架橋性モノマーとを前記水性媒体に添加して混合する工程と、
(C)前記「アニオン性重合性界面活性剤」及び/又は前記「アニオン性基を有する親水性モノマー」を前記水性媒体に添加、混合し、重合開始剤を加えて乳化重合する工程と
を有するマイクロカプセル化染料の製造方法。
【0020】
[4] 前記カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基を、第一級アミンカチオン、第二級アミンカチオン、第三級アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオンからなる群から選択する、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
[5] 前記カチオン性重合界面活性剤の疎水性基を、アルキル基、アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
[6] 前記カチオン性重合界面活性剤の重合性基を、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択する前記[1]〜[5]のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
【0021】
[7] 前記アニオン性染料が、酸性染料または直接染料である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
[8] 前記工程(B1)または(B2)において、前記水性媒体に紫外線吸収能を有する骨格を有するモノマー及び/又は光安定化能を有する骨格を有するモノマーを添加する前記[2]〜[7]のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
[9] 前記工程(C)において、前記水性媒体に前記「アニオン性基を有する親水性モノマー」以外の親水性モノマーを分散させる前記[1]〜[8]のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
【0022】
[10] 前記[1]〜[9]のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法により得られるマイクロカプセル化染料。
[11] 前記[10]に記載のマイクロカプセル化染料を含むことを特徴とする水性分散液。
[12] 前記[11]に記載の水性分散液を含むインクジェット記録用インク。
[13] 前記[10]に記載のマイクロカプセル化染料と水とを少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。
[14] 水溶性有機溶媒をさらに含むことを特徴とする前記[12]または前記[13]に記載のインクジェット記録用インク。
[15] 前記水溶性有機溶媒が、沸点が180℃以上の高沸点水溶性有機溶媒であることを特徴とする前記[14]に記載のインクジェット記録用インク。
【0023】
[16] 前記水溶性有機溶媒が、グリセリンであることを特徴とする前記[14]または[15]に記載のインクジェット記録用インク。
[17] 前記水溶性有機溶媒が、多価アルコールのアルキルエーテル及び/又は1,2−アルキルジオールからなる群から選択された一種以上の化合物であることを特徴とする前記[14]〜[16]の何れかに記載のインクジェット記録用インク。
[18] 固体湿潤剤をさらに前記インクジェット記録用インクの全重量に対して0.1重量%〜20重量%で含むことを特徴とする前記[12]〜[17]の何れかに記載のインクジェット記録用インク。
[19] 前記固体湿潤剤が、トリメチロールプロパン及び/または1,2,6−ヘキサントリオールであることを特徴とする前記[18]に記載のインクジェット記録用インク。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の第一実施形態に係るマイクロカプセル化染料の製造方法は、アニオン性染料をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化染料の製造方法であって、
(A)アニオン性染料を溶解した水性媒体に、「カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤」を、カチオン性重合性界面活性剤がアニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、カチオン性重合性界面活性剤をアニオン性染料に固定化する工程と、
(C)「アニオン性基と疎水性基と重合性基を有するアニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」を水性媒体に添加、混合し、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とを有している。
【0025】
また、本発明の第二実施形態に係るマイクロカプセル化染料の製造方法は、アニオン性染料をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化染料の製造方法であって、
(A)アニオン性染料を溶解した水性媒体に「カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤」を、カチオン性重合性界面活性剤がアニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、カチオン性重合性界面活性剤をアニオン性染料に固定化する工程と、
(B1)“「カチオン性重合性界面活性剤」及び「アニオン性基と疎水性基と重合性基を有するアニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」に対して共重合可能な疎水性モノマー”を水性媒体に添加して混合する工程、
(C)「アニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」を水性媒体に添加、混合し、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とを有している。
【0026】
このようなマイクロカプセル化染料の製造方法によれば、
I)例えばイオン交換水等の脱イオン水を主成分とする水性媒体にアニオン性染料を溶解し、カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基量が前記アニオン性染料のアニオン性基の総モルに対して前記範囲となるようにカチオン性重合性界面活性剤を分散させて、アニオン性染料のアニオン性基とカチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基との間にイオン結合を形成させ、
II)共重合性モノマーとして疎水性モノマーを用いる場合には疎水性モノマーを上記水性媒体に添加し混合してから、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーを添加し混合させることにより、芯(コア)にアニオン性染料からなる色素を有し、且つ外郭に水相側に向いて配向したアニオン性基を持ったミセルを形成させることができる。
この水性媒体に重合開始剤を加え、重合反応を実施することによって、極めて高精度に制御された構造を有するマイクロカプセル化染料の製造が可能となる。
【0027】
前記第一実施形態によれば、アニオン性染料が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されてなるマイクロカプセル化染料が得られる。
前記第二実施形態によれば、アニオン性染料が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤と、疎水性モノマーと、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されてなるマイクロカプセル化染料が得られる。
【0028】
前記本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料の製造方法により得られるマイクロカプセル化染料は、
(1)分散安定性に優れる、
(2)記録ヘッドからの吐出安定性に優れる、
(3)画像の堅牢性に優れる記録物を得ることができる、
(4)画像の印字濃度が高い記録物を得ることができる、
(5)画像の耐擦性に優れる記録物を得ることができる、
(6)記録媒体として普通紙を使用する場合においても、画像が滲みにくく、また画像の発色性が高い記録物を得ることができる、の前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを作製可能である。なお、マイクロカプセル化の手法として知られる転相乳化法や酸析法では、顔料のような水に溶解しない固形物の表面に樹脂を吸着させることで被覆することは可能であるが、水に溶解する染料を樹脂で被覆することは、実質上、不可能である。
【0029】
以下、前記した好適な製造方法においてアニオン性染料の起こり得る存在状態を説明しながら、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に挙げる染料の存在状態は推定を含むものである。
【0030】
先ず、第一実施形態においては、アニオン性染料を脱イオン水を主成分とする水性媒体に溶解し、これにカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、前記アニオン性重合性界面活性剤及び/又は前記アニオン性基を有する親水性モノマーを加えることによって、図1に示すように、アニオン性染料の集合体10が芯(コア)に芯物質として存在し、カチオン性基11と疎水性基12と重合性基13とを有するカチオン性重合性界面活性剤2がその周囲に存在し、さらに、その周囲にアニオン性基14’と疎水性基12’と重合性基13’とを有するアニオン性重合性界面活性剤3が存在した状態となる。すなわち、アニオン性染料1のアニオン性基14とカチオン性重合性界面活性剤2のカチオン性基11がイオン性の強い結合で吸着することによってアニオン性染料の集合体10が形成される。そして、ここにアニオン性重合性界面活性剤3を加えることで、このカチオン性重合性界面活性剤2の疎水性基12と重合性基13に対して、疎水性相互作用によって、アニオン性重合性界面活性剤3の疎水性基12’と重合性基13’が向き合い、アニオン性重合性界面活性剤3のアニオン性基14’は水性媒体の存在する方向、すなわちアニオン性染料の集合体10から離れる方向に向いた、いわゆる、ミセルのような状態となる。
【0031】
この状態に例えば重合開始剤を添加してカチオン性重合性界面活性剤2の重合性基13ならびにアニオン性重合性界面活性剤3の重合性基13’を重合させることによって、図2に示すように、アニオン性染料の集合体10がポリマー層60で被覆されたマイクロカプセル化染料100が作製される。ここで、ポリマー層60の表面はアニオン性基14’を有するので、マイクロカプセル化染料100は、水性媒体(水を主成分とする溶媒)に分散可能である。前記アニオン性重合性界面活性剤3の代わりに、親水性基としてアニオン性基を有する親水性モノマーを使用する場合も同様にしてマイクロカプセル化染料を作製することができる。
【0032】
また、第二実施形態においては、アニオン性染料1のアニオン性基14とカチオン性重合性界面活性剤2のカチオン性基11がイオン性の強い結合で吸着することによって、図3に示すように、アニオン性染料1の集合体10を核に、カチオン性基11と疎水性基12と重合性基13とを有するカチオン性重合性界面活性剤2がその周囲に存在する状態を形成し、ここに、カチオン性重合性界面活性剤やアニオン性重合性界面活性剤に対して共重合可能な疎水性モノマー15を加えた後に、さらに、アニオン性重合性界面活性剤3を加えると、疎水性モノマー15を介して、アニオン性重合性界面活性剤3がその疎水性基12’と重合性基13’を芯(コア)に向け、アニオン性基14’を水性媒体の存在する方向、すなわちアニオン性染料1の集合体10から離れる方向に向けて最外郭に位置して、いわゆるミセルのような状態を形成する。この状態に例えば重合開始剤を添加して、カチオン性重合性界面活性剤2の重合性基13ならびにアニオン性重合性界面活性剤3の重合性基13’および疎水性モノマー15の重合性基16を重合反応させることによって、図4に示すように、アニオン性染料1の集合体10がカチオン性重合性界面活性剤2とアニオン性重合性界面活性剤3とこれらと共重合可能な疎水性モノマー15とから形成されたポリマー層61で被覆されたマイクロカプセル化染料101が作製される。ここで、ポリマー層61の表面はアニオン性基14’を有するので、マイクロカプセル化染料101は水性媒体に分散可能である。前記アニオン性重合性界面活性剤3の代わりに、親水性基としてアニオン性基を有する親水性モノマーを使用する場合も同様にして、マイクロカプセル化染料を作製することができる。
【0033】
以上に説明したアニオン性染料がポリマーにより被覆されたマイクロカプセル化染料によれば、その製造工程においてマイクロカプセル化染料の芯部分にアニオン性染料が集合体を形成することから、ポリマー微粒子を製造してから染料で着色して得る着色ポリマーやモノマーに油溶性染料を溶解し乳化重合して得る着色ポリマー等の従来の着色ポリマーに比較して染料濃度を高くすることができる。これによって、印刷濃度が高く、かつ、発色性の高い記録物を得ることができる。また、染料とポリマーがイオン的に強固に結合していることから、染料のブリードアウトが無い。また、染料が集合体を形成してポリマー層に保護された芯(コア)として存在するため、耐水性、耐湿性、耐光性等の堅牢性に優れる。また、図2及び図4に示すように、マイクロカプセル化染料の表面のアニオン性基が水性媒体の存在する方向に向いて規則正しく密に配向していることから、高分子型分散剤を併用しなくとも、マイクロカプセル化染料の水性媒体に対する分散安定性は高い。そのため、本発明に係るマイクロカプセル化染料をインクジェット記録用インクの着色剤として用いた場合、より多重量のマイクロカプセル化染料をインク中に含有させても優れた分散安定性を維持できる。これによって、マイクロカプセル化染料が記録ヘッドのノズルを詰まらせる虞れが少なくなることから、吐出安定性も良好となる。すなわち、分散安定性および吐出安定性に優れると同時に、従来の色材に染料を用いた着色ポリマー粒子を着色剤とする水系インクと比較して着色剤の含有濃度が向上した水系染料インクを作製できる。これらによって画像の堅牢性に優れるとともに、印刷濃度の高い記録物を得ることができる。
【0034】
より具体的に考察すれば、本発明のマイクロカプセル化染料においては、上述したように、アニオン性基が水性媒体側に向かって規則正しく密に配向しているものと考えられるので、マイクロカプセル化染料の間に、効果的な静電的な反発力が生じているものと考えられる。また、このような静電的な反発力に加えて、染料を被覆しているポリマーに起因する立体障害による効果(高分子効果)も、本発明のマイクロカプセル化染料が水性媒体中で優れた分散安定性を有する一因となっているものと考えられる。
【0035】
記録媒体を普通紙とした場合に画像の滲みの発生を抑制できる理由、また、画像の印字濃度の高い理由としては、マイクロカプセル化染料の水性媒体側に向かって規則正しく密に配向しているアニオン性基の働きによるところが大きいものと考えられる。インクが記録ヘッドから吐出されて普通紙上に着弾すると、インク溶媒は紙中に急速に浸透し、本発明のマイクロカプセル化染料は、その表面に存在するアニオン性基が普通紙中に通常含まれるマグネシウム,カルシウム,アルミニウム等の各種の金属イオンと相互作用することによって凝集しやすく、また、普通紙のサイズ処理においてサイズ剤と共に用いられた普通紙中のカチオン性デンプンや、カチオン性高分子とマイクロカプセル化染料のアニオン性基とが相互作用することによって吸着あるいは凝集しやすい。また、マイクロカプセル化染料は、その表面のアニオン性基とセルロース繊維との相互作用によって普通紙のセルロース繊維上に吸着しやすい。よって、本発明のマイクロカプセル化染料を着色剤とするインクが記録ヘッドから吐出されて普通紙上に着弾すると、着色剤が普通紙の表面近傍に溜まりやすいので、高い画像濃度が得られるとともに滲みの発生も抑制されるものと考えられる。
【0036】
次に、本発明に係るマクロカプセル化染料の構成成分について詳細に説明する。
【0037】
アニオン性染料は、公知のものを限定なく使用できるが、酸性染料または直接染料を好適に例示できる。
マゼンタを発現する酸性染料としては、C.I.アシッドレッド1, 6, 8, 9, 13, 14, 18, 26, 27, 32, 35, 37, 42, 51, 75, 77, 80, 82, 83, 85, 87, 88, 89, 94, 97, 106, 111, 114, 115, 117, 118, 119, 129, 130, 131, 133, 134, 138, 143, 145, 154, 155, 158, 168, 180, 183, 184, 186, 194, 198, 199, 209, 211, 215, 216, 217, 219, 249, 252, 254, 256, 257, 262, 265, 266, 274, 276, 282, 283, 303, 317, 318, 320, 321, 322、C.I.アシッドバイオレット7, 11, 15, 31, 34, 35, 41, 43, 47, 48, 49, 51, 54, 66, 68, 75, 78, 97, 106等を挙げることができる。
マゼンタを発現する直接染料としては、C.I.ダイレクトレッド1, 2, 4, 9, 11, 13, 17, 20, 23, 24, 28, 31, 33, 37, 39, 44, 46, 62, 63, 75, 79, 80, 81, 83, 84, 89, 95, 99, 113, 197, 201, 218, 220, 224, 225, 226, 227, 228, 229, 230, 231、C.I.ダイレクトバイオレット1, 7, 9, 12, 22, 35, 47, 48, 51, 90, 94, 98等を挙げることができる。
【0038】
シアンを発現する酸性染料としては、C.I.アシッドブルー1, 7, 9, 15, 22, 23, 25, 27, 29, 40, 41, 43, 45, 54, 59, 60, 62, 72, 74, 78, 80, 82, 83, 90, 92, 93, 100, 102, 103, 104, 112, 113, 117, 120, 126, 127, 129, 130, 131, 138, 140, 142, 143, 151, 154, 158, 161, 166, 167, 151, 184, 187, 192, 199, 203, 204, 205, 229, 234, 236等を挙げることができる。
シアンを発現する直接染料としては、C.I.ダイレクトブルー1, 2, 6, 8, 15, 22, 25, 41, 71, 76, 77, 78, 80, 86, 90, 98, 106, 108, 120, 158, 160, 163, 165, 168, 192, 193, 194, 195, 196, 199, 200, 201, 202, 203, 207, 225, 226, 236, 237, 246, 248, 249等を挙げることができる。
【0039】
イエローを発現する酸性染料としては、C.I.アシッドイエロー1, 3, 7, 11, 17, 19, 23, 25, 29, 36, 38, 40, 42, 44, 49, 59, 61, 70, 72, 75, 76, 78, 79, 98, 99, 110, 111, 112, 114, 116, 118, 119, 127, 128, 131, 135, 141, 142, 161, 162, 163, 164, 165等を挙げることができる。
イエローを発現する直接染料としては、C.I.ダイレクトイエロー1, 8,11,12,24, 26, 27,28,33,39,44,50,58,85,86,87,88, 89, 98, 100, 110等を挙げることができる。
【0040】
ブラックを発現する酸性染料としては、C.I.アシッドブラック1, 2, 7, 24, 26, 29, 31, 44, 48, 50, 51, 52, 58, 60, 62, 63, 64, 67, 72, 76, 77, 94, 107, 108, 109, 110, 112, 115, 118, 119, 121, 122, 131, 132, 139, 140, 155, 156, 157, 158, 159, 191等を挙げることができる。
ブラックを発現する直接染料としては、C.I.ダイレクトブラック17,19,22,32,38, 51,56,62,71, 74, 75, 77, 94,105,106, 107, 108,112,113, 117,118,132,133, 146等を挙げることができる。
【0041】
また、アニオン性染料としては、蛍光染料を使用することもできる。
【0042】
アニオン性染料は、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーによって被覆されることにより、本発明の第一実施形態に係るマイクロカプセル化染料とされる。第一実施形態に係るマイクロカプセル化染料は、前記した第一実施形態に係るマイクロカプセル化染料の製造方法により、より具体的には、脱イオン水を主成分とする水性溶媒にアニオン性染料を溶解し、これに、カチオン性重合性界面活性剤を前記所定範囲の量で加えて混合し、超音波を照射してカチオン性重合性界面活性剤をアニオン性染料に固定化した後、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーを加え、超音波を照射して混合、乳化後、重合開始剤を加えて重合反応することにより得られる。
【0043】
また、アニオン性染料は、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、疎水性の共重合性モノマーから誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーによって被覆されることにより、本発明の第二実施形態に係るマイクロカプセル化染料とされる。より具体的には、第二実施形態に係るマイクロカプセル化染料は、前記した第二実施形態に係るマイクロカプセル化染料の製造方法により、より具体的には、脱イオン水を主成分とする水性媒体にアニオン性染料を溶解し、これに、カチオン性重合性界面活性剤を前記所定範囲の量で加えて混合し、超音波を照射してカチオン性重合性界面活性剤をアニオン性染料に固定化した後、疎水性の共重合性モノマーを加え混合してから、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーを加え、超音波を照射して混合、乳化後、重合開始剤を加えて重合反応することにより得られる。
【0044】
カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基としては、第一アミンカチオン、第二アミンカチオン、第三アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオンからなる群から選択されたカチオン性基が好ましい。第一アミンカチオンとしてはモノアルキルアンモニウムカチオン(RNH3 +)等を、第二アミンカチオンとしてはジアルキルアンモニウムカチオン(R2NH2 +)等を、第三アミンカチオンとしてはトリアルキルアンモニウムカチオン(R3NH+)等を、第四級アンモニウムカチオンとしては(R4N+)等を挙げることができる。ここで、Rは、疎水性基及び重合性基であり、下記に示すものを挙げることができる。
前掲のカチオン性基の対アニオンとしては、Cl−、Br−、I−等を挙げることができる。
疎水性基としては、アルキル基,アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されることが好ましい。
重合性基としては、不飽和炭化水素基が好ましく、さらに詳しくは、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものであることが好ましい。このなかでも特にアリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい例として例示できる。
【0045】
前記カチオン性重合性界面活性剤の具体的な例としては、特公平4−65824号公報に記載されているようなカチオン性のアリル酸誘導体などを挙げることができる。
【0046】
本発明において使用するカチオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式R[4−(l+m+n)]R1 lR2 mR3 nN+・X−で表される化合物を挙げることができる(Rは重合性基であり、R1、R2、R3はそれぞれアルキル基またはアリール基であり、XはCl、BrまたはIであり、l、m、nはそれぞれ1または0である。)。ここで、前記重合性基としては、ラジカル重合可能な不飽和炭化水素基を有する炭化水素基を好適に例示でき、より具体的には、アリル基、アクロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロぺニル基、ビニリデン基、ビニレン基等を挙げることができる。
【0047】
カチオン性重合性界面活性剤の具体例としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
【0048】
前記のカチオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、アクリエステルDMC(三菱レイヨン(株))、アクリエステルDML60(三菱レイヨン(株))、C−1615(第一工業製薬(株))などを挙げることができる。
【0049】
以上に例示したカチオン性重合性界面活性剤は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0050】
前記工程(A)において、カチオン性重合性界面活性剤の添加量は、アニオン性染料のアニオン性基の総モル数(mol)に対して、0.5〜2倍モルの範囲であり、より好ましくは、0.8〜1.2倍モルの範囲である。
【0051】
ここで、前記工程(A)において、カチオン性重合性界面活性剤がアニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍未満となると、ポリマーによってアニオン性染料を被覆できなくなる状態が顕著となって、マイクロカプセル化染料が殆ど製造されない。一方、カチオン性重合性界面活性剤がアニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して2倍超過となると、水性媒体に分散することのできない凝集物の発生が顕著となり、“凝集物を除去する工程が必要となる”あるいは“アニオン性染料が凝集物に取り込まれることによって、マイクロカプセル化染料の収率が不十分となる”等の不具合が生じ、マイクロカプセル化染料の製造効率が著しく低下する。
【0052】
本発明のマイクロカプセル化染料の製造方法によれば、カチオン性重合性界面活性剤の添加量を、アニオン性染料のアニオン性基の総モル数(mol)に対して0.5倍モル以上とすることによって、カチオン性重合性界面活性剤がアニオン性染料にイオン的に強く結合し、容易にカプセル化が可能となる。さらに、0.8倍モル以上とすれば、ポリマーによってアニオン性染料をより確実に被覆でき、マイクロカプセル化染料を確実に得ることができる。
また、2倍モル以下の添加量とすることで、上記した凝集物の発生や、アニオン性染料に未吸着のカチオン性重合性界面活性剤が過度に発生することに起因するアニオン性染料を芯物質として持たないポリマー粒子(ポリマーのみからなる粒子)の発生を防止することができる。さらに1.2倍モル以下とすれば、より確実に凝集物の発生を抑制できる。
以上により本発明のマイクロカプセル化染料の製造方法によれば、前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを作製可能なマイクロカプセル化染料を確実にかつ高効率で得ることができる。
【0053】
アニオン性重合性界面活性剤の親水性基としては、スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシル基、カルボニル基およびこれらの塩からなる群から選択されたアニオン性基が好ましく、疎水性基としては、アルキル基,アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されることが好ましい。
重合性基としては、不飽和炭化水素基が好ましく、さらに詳しくは、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものであることが好ましい。このなかでも特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい例として例示できる。
【0054】
前記アニオン性重合性界面活性剤の具体的な例としては、特公昭49−46291号公報、特公平1−24142号公報、又は特開昭62−104802号公報に記載されているようなアニオン性のアリル誘導体、特開昭62−221431号公報に記載されているようなアニオン性のプロペニル誘導体、特開昭62−34947号公報又は特開昭55−11525号公報に記載されているようなアニオン性のアクリル酸誘導体、特公昭46−34898号公報又は特開昭51−30284号公報に記載されているようなアニオン性のイタコン酸誘導体などを挙げることができる。
【0055】
本発明において使用するアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式(31):
【0056】
【化1】
[式中、R21及びR31は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Z1は、炭素−炭素単結合又は式
−CH2−O−CH2−
で表される基であり、mは2〜20の整数であり、
Xは式−SO3M1で表される基であり、M1はアルカリ金属、アンモニウム塩、又はアルカノールアミンである]
で表される化合物、又は式(32):
【0057】
【化2】
[式中、R22及びR32は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Dは、炭素−炭素単結合又は式
−CH2−O−CH2−
で表される基であり、nは2〜20の整数であり、
Yは式−SO3M2で表される基であり、M2はアルカリ金属、アンモニウム塩、又はアルカノールアミンである]
で表される化合物が好ましい。
【0058】
前記式(31)で表される重合性界面活性剤は、特開平5−320276号公報、又は特開平10−316909号公報に記載されている。式(31)におけるR21の種類とxの値を適宜調整することによって、求められる親水性又は疎水性の度合いに対応させることが可能である。式(31)で表される好ましい重合性界面活性剤としては、下記の式(310)で表される化合物を挙げることができ、具体的には、下記の式(31a)〜(31d)で表される化合物を挙げることができる。
【0059】
【化3】
[式中、R31,m,M1は式(31)で表される化合物と同様]
【0060】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0061】
前記のアニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンHSシリーズ(アクアロンHS−05、HS−10、HS−20、HS−1025)、あるいは、旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−10N,SE−20Nなどを挙げることができる。
旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−10Nは、式(310)で表される化合物において、M1がNH4、R31がC9H19、m=10とされた化合物である。旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−20Nは、式(310)で表される化合物において、M1がNH4、R31がC9H19、m=20とされた化合物である。
【0062】
また、本発明において使用するアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式(33):
【0063】
【化8】
[式中、pは9又は11であり、qは2〜20の整数であり、Aは−SO3M3で表わされる基であり、M3はアルカリ金属、アンモニウム塩又はアルカノールアミンである]
で表される化合物が好ましい。式(33)で表される好ましいアニオン性重合性界面活性剤としては、以下の化合物を挙げることができる。
【0064】
【化9】
[式中、rは9又は11、sは5又は10]
【0065】
前記のアニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンKHシリーズ(アクアロンKH−05、アクアロンKH−10)などを挙げることができる。アクアロンKH−05は、上記式で示される化合物において、rが9、sが5とされた化合物と、rが11、sが5とされた化合物との混合物である。アクアロンKH−10は、上記式で示される化合物において、rが9、sが10とされた化合物と、rが11、sが10とされた化合物との混合物である。
【0066】
また、アニオン性重合性界面活性剤としては、下記の式(A)で表される化合物も好ましい。
【0067】
【化10】
[上式中、R4は水素原子または炭素数1から12の炭化水素基を表し、lは2〜20の数を表し、M4はアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンを表す。]
【0068】
以上に例示したアニオン性重合性界面活性剤は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0069】
アニオン性重合性界面活性剤の添加量は、カチオン性重合性界面活性剤に対して、1倍〜10倍モル程度の範囲が好ましく、より好ましくは1倍モル〜5倍モル程度の範囲である。1倍モル以上の添加量とすることにより、カプセル化粒子の分散性及び分散安定性が優れたものとなり、吐出安定性も優れたものとなる。さらには紙繊維への吸着性が向上し、印刷濃度、発色性に優れたものとなる。10倍モル以下の添加量とすることでカプセル化に寄与しないアニオン性重合性界面活性剤の発生を抑制し、そしてカプセル粒子以外に芯物質が存在しないポリマー粒子が発生することを防止できる。
【0070】
前記アニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基は、マイクロカプセル化後、カプセル表面に水相側に配向して存在するものと考えられる。これによって、カプセル化粒子の水相中での分散性及び分散安定性が優れたものとなる。また、上記のアニオン性基は、普通紙中に通常含まれるマグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の各種の金属イオンやカチオン性デンプンやカチオン性高分子や、セルロース繊維と相互作用しやすい。かかるマイクロカプセル化染料を着色剤とするインクジェット記録用インクを普通紙に対して吐出させれば、着色剤が普通紙の着弾位置近傍に溜まりやすいので、より確実に、画像濃度が得られるとともに、滲みの発生も抑制できる。
【0071】
本発明において使用できるアニオン性基を有する親水性モノマーとしては、その構造中に親水性基としてのアニオン性基と重合性基とを少なくとも有するもので、親水性基がスルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシル基、カルボニル基およびこれらの塩の群から選択されたものを好適に例示できる。
重合性基としては、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されるのが好ましい。
【0072】
スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシル基、カルボニル基およびこれらの塩等のアニオン性基は、カプセル表面に水相側に配向して存在するものと考えられ、これによってカプセル化粒子の水相中での分散性及び分散安定性が優れたものとなる。また、上記のアニオン性基は、普通紙中に通常含まれるマグネシウム,カルシウム,アルミニウム等の各種の金属イオンや、カチオン性デンプンやカチオン性高分子や、セルロース繊維と相互作用しやすい。親水性基としてアニオン性基を有する重合性モノマーを使用してマイクロカプセル化染料を作製し、このようなマイクロカプセル化染料を着色剤とするインクジェット記録用インクを普通紙に対して吐出させれば、着色剤が普通紙のセルロース繊維上に吸着しやすいことから、着弾位置近傍で、かつ、紙表面近傍に溜まりやすいので、より確実に、画像濃度が得られるとともに滲みの発生も抑制できる。
【0073】
アニオン性基を有する親水性モノマーの好ましい具体例としては、カルボキシル基を有するモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。これらの中でもアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。スルホン酸基を有するモノマーとしては、例えば、4−スチレンスルホン酸及びその塩、ビニルスルホン酸及びその塩、スルホエチルアクリレート及びその塩、スルホエチルメタクリレート及びその塩、スルホアルキルアクリレート及びその塩、スルホアルキルメタクリレート及びその塩、スルホプロピルアクリレート及びその塩、スルホプロピルメタクリレート及びその塩、スルホアリールアクリレート及びその塩、スルホアリールメタクリレート及びその塩、ブチルアクリルアミドスルホン酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。また、ホスホン基を有するモノマーとしては、ホスホエチルメタクリレート等のリン酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0074】
アニオン性基を有する親水性モノマーの添加量は、カチオン性重合性界面活性剤に対して、1倍モル〜10倍モル程度の範囲が好ましく、より好ましくは、1.5倍モル〜5倍モル程度の範囲である。1倍モル以上の添加量とすることにより、カプセル化粒子の分散性及び分散安定性が優れたものとなり、吐出安定性も優れたものとなる。10倍モル以下の添加量とすることでカプセル化に寄与しない親水性モノマーの発生を抑制し、そしてカプセル粒子以外に芯物質が存在しないポリマー粒子が発生することを防止できる。
【0075】
アニオン性重合性界面活性剤とアニオン性基を有する親水性モノマーとを併用する場合においては、その添加量の総和がカチオン性重合性界面活性剤に対して、1倍モル〜10倍モル程度の範囲が好ましく、より好ましくは、1倍モル〜5倍モル程度の範囲である。前述したように、1倍モル以上の添加量とすることにより、カプセル化粒子の分散性及び分散安定性が優れたものとなる。10倍モル以下の添加量とすることでカプセル化に寄与しない親水性モノマーの発生を抑制し、そしてカプセル化粒子以外に芯物質が存在しないポリマー粒子の発生を防止することができる。
【0076】
さらに、特に、記録物の定着性や耐擦過性、耐溶剤性を制御したり、インクの保存安定性を制御する目的で、その他のコモノマーを添加してもよく、前記第二実施形態は、その他のコモノマーとして疎水性モノマーを選択した形態である。
【0077】
特に、記録物の定着性や耐擦過性は、本発明に係るマイクロカプセル化染料の染料を被覆している共重合体(コポリマー)のガラス転移温度(Tg)を制御することによって可能である。共重合体のガラス転移温度(Tg)は−20℃〜30℃が好ましい。Tgが30℃を超えると定着性や耐擦過性が低下する傾向となり、Tgが−20℃より小さいと耐溶剤性が低下する傾向となる。
【0078】
室温において本発明に係るマイクロカプセル化染料を使用したインクを用いて普通紙やインクジェット記録用専用メディア等の記録媒体に印字すると、本発明に係るマイクロカプセル化染料粒子の周囲にある水媒体(水および/または水溶性有機溶媒からなる)が普通紙やインクジェット記録用専用メディア等の記録媒体中に浸透してマイクロカプセル化染料粒子の近傍から除去されることで粒子同士が近接するが、その際に染料集合体を被覆している共重合体(コポリマー)のガラス転移温度が前記温度範囲であると、粒子間の間隙に生じる毛細管圧によってマイクロカプセル化染料粒子の被覆ポリマー同士が融着して染料を内部に包み込んだ(包含した)状態で成膜するため、画像の耐擦性を特に良好にできる。
【0079】
一般に、高分子固体、特に無定形高分子固体において、温度を低温から高温へ上げていくと、わずかな変形に非常に大きな力の要る状態(ガラス状態)から小さな力で大きな変形が起こる状態へと急変する現象が起こり、この現象の起こる温度をガラス転移温度という。一般には、熱走査型熱量計(Differential scanning calorimeter)による昇温測定によって得られた示差熱曲線において、吸熱ピークの底部から吸熱の開始点に向かって接線を引いたときのベースラインとの交点の温度をガラス転移温度とする。また、ガラス転移温度では弾性率、比熱、屈折率などの他の物性も急激に変化することが知られており、これらの物性を測定することによってもガラス転移温度が決定されることが知られている。本発明においては、熱走査型熱量計(DSC)による昇温測定によって得られたガラス転移温度を用いた。
【0080】
本発明のインクを用いて普通紙やインクジェット記録用専用メディア等の記録媒体に印字した際に、本発明に係る着色剤が常温でより好ましく成膜するためには、本発明に係るマイクロカプセル化染料の被覆ポリマー(コポリマー)のガラス転移温度(Tg)は、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下である。したがって、本発明に係るマイクロカプセル化染料の被覆ポリマー(コポリマー)は、ガラス転移温度が30℃以下になるように設計されることが好ましく、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下に設計されるのが好ましい。ポリマーのガラス転移温度は、主として疎水性モノマーの種類や仕込み量を適宜選択することにより上記の範囲内に調節することができる。本発明に係るマイクロカプセル化染料の被覆ポリマー(コポリマー)のガラス転移温度にあわせて、その温度以上で印刷物を加熱することが可能である場合は、ガラス転移温度が加熱温度以下であれば成膜が可能であることから、ガラス転移温度は30℃を越えても構わないが、この場合には、加熱機構をインクジェット記録装置に付帯させる等の必要がある。
【0081】
その他のコモノマーとしては、疎水性モノマーの他、親水性モノマー(前記アニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマー)を挙げることができる。なお、必要に応じて、他のコモノマーとして疎水性モノマーと前記親水性モノマーとを併用してもよい。
【0082】
前記アニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマーとしては、親水性基として水酸基、エチレンオキサイド基、アミド基、アミノ基を有するものが挙げられる。これらの親水性基は、アニオン性基と共にカプセル表面で水相側に配向して存在すると考えられ、紙のセルロース繊維のOH基と水素結合を形成しやすいことから、これらの親水性基を持つ親水性モノマーを併用して得たマイクロカプセル化染料を着色剤とするインクジェット記録用インクを普通紙に対して吐出させた場合、着色剤が普通紙のセルロース繊維上にさらに吸着しやすくなり、着弾位置近傍で且つ紙表面近傍に留まりやすくなるので、さらに画像濃度が得られるとともに滲みの発生も抑制できる。親水性モノマーは、前記した第一実施形態及び第二実施形態の工程(C)にて水性媒体中に分散させるのが好ましく、より具体的には、以下の手順を好適に例示できる。
【0083】
(1)アニオン性染料を主成分が脱イオン水である水性媒体に溶解し、これにカチオン性重合性界面活性剤を、前記カチオン性重合性界面活性剤がアニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、超音波を照射する工程。ここでは、カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基が、アニオン性染料のアニオン性基に吸着してイオン的に結合し、固定化される。
(2)アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーと、アニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマーとを加え、超音波を照射後、重合開始剤を加え、重合する工程。
このような手順により、カチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーとアニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化染料を好適に製造できる。
【0084】
また、親水性コモノマーと疎水性コモノマーとを用いる場合においては、以下の手順を好適に例示できる。
(1)アニオン性染料を主成分が脱イオン水である水性媒体に溶解し、これにカチオン性重合性界面活性剤を、前記カチオン性重合性界面活性剤がアニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、超音波を照射する工程。ここでは、カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基が、アニオン性染料のアニオン性基に吸着してイオン的に結合し、固定化される。
(2)カチオン性重合性界面活性剤及びアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーに対して共重合可能な疎水性のコモノマーを加え混合する工程。
(3)アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーとアニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマーとを加え、超音波を照射後、重合開始剤を加え、重合する工程。
このような手順により、カチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、疎水性のコモノマーから誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化染料を好適に製造できる。
【0085】
アニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマーとしては、水酸基を有するモノマーとして、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール400モノアクリレート、ポリエチレングリコール400モノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、N−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等が挙げられる。また、アミド基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸アミノエチルアミド、アクリル酸メチルアミノエチルアミド、アクリル酸メチルアミノプロピルアミド、アクリル酸エチルアミノエチルアミド、アクリル酸エチルアミノプロピルアミド、アクリル酸アミノプロピルアミド、メタクリル酸アミノエチルアミド、メタクリル酸メチルアミノエチルアミド、メタクリル酸メチルアミノプロピルアミド、メタクリル酸エチルアミノエチルアミド、メタクリル酸エチルアミノプロピルアミド、メタクリル酸アミノプロピルアミド、ビニルピロリドン等が挙げられる。また、エチルジエチレングリコールアクリレート、エチルジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン等を挙げることができる。
【0086】
記録物の定着性や耐擦過性、耐水性、耐溶剤性等の要求特性を満足するには、疎水性モノマーを好適に使用することができる。すなわち、本発明に係るマイクロカプセル化染料は、アニオン性染料を被覆するポリマーが、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位に加え、疎水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有していても良い。
【0087】
疎水性モノマーとしては、その構造中に疎水性基と重合性基とを少なくとも有するもので、疎水性基が脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基の群から選択されたものを例示できる。脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等を、脂環式炭化水素基としてはシクロヘキシル基、ジシクロペンテニル基、イソボルニル基等を、芳香族炭化水素基としてはベンジル基、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
重合性基としては、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されるのが好ましい。
【0088】
疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、p−クロルメチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、アクリル酸ラウリル、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、エチレンオキサイド変成ノニルフェノールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、メタクリル酸ラウリル、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、イソミリスチルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、エチレンオキサイド変成ノニルフェノールメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;ステアリン酸とグリシジルメタクリレートの付加反応物等の油脂肪酸とオキシラン構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの付加反応物;炭素原子数3以上のアルキル基を含むオキシラン化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物;アリルベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロポネート、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、アリルフェノキシアセテート、アリルフェニルアセテート、アリルシクロヘキサン等のアリル化合物;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸のエステル類;N−置換マレイミド、環状オレフィンなどのラジカル重合性基を有するモノマーが挙げられる。
【0089】
疎水性モノマーは、上記の要求特性を満足させるものが適宜、選択され、その添加量は任意に決定される。
【0090】
また、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料は、アニオン性染料(の集合体)を被覆するポリマーが架橋構造を有してもよい。具体的には、アニオン性染料が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、疎水性の共重合性モノマーと架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーによって被覆されることにより、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料とされる。
このようなマイクロカプセル化染料は、本発明の第三実施形態に係るマイクロカプセル化染料の製造方法に得ることができる。
【0091】
すなわち、本発明の第三実施形態に係るマイクロカプセル化染料の製造方法は、アニオン性染料をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化染料の製造方法であって、
(A)アニオン性染料を溶解した水性媒体に「カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤」を、カチオン性重合性界面活性剤が前記アニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加えて、カチオン性重合性界面活性剤をアニオン性染料に固定化する工程と、
(B2)“「カチオン性重合性界面活性剤」及び「アニオン性基と疎水性基と重合性基を有するアニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」に対して共重合可能な疎水性モノマー”と、架橋性モノマーとを前記水性媒体に添加して混合する工程と、
(C)「アニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」を前記水性媒体に添加、混合し、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とを有する。
【0092】
より具体的には、以下の手順を好適に例示できる。
(1)アニオン性染料を脱イオン水が主成分である水性媒体に溶解し、これにカチオン性重合性界面活性剤を加え、超音波を照射する工程。ここでは、カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基が、アニオン性染料のアニオン性基に吸着してイオン的に結合し、固定化される。
(2)カチオン性重合性界面活性剤及びアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーに対して共重合可能な疎水性コモノマーと架橋性モノマーを均一に混合して加え、混合する工程。
(3)アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーを加え、超音波を照射後、重合開始剤を加え、重合する工程。
このような手順により、架橋構造を有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化染料を好適に製造できる。
【0093】
本発明において使用できる架橋性モノマーとしては、ビニル基,アリル基,アクリロイル基,メタクリロイル基,プロペニル基,ビニリデン基,ビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を2個以上有する化合物を有するもので、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロビレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシー1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラブロモピスフェノールAジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロビレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4一(メタクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリグリセーロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等が挙げられる。
【0094】
架橋構造を有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化染料は、各種の水溶性有機溶媒と水とからなる水性媒体中において長期の保存安定性に優れ、本発明で使用されるグリコールエーテル類および1,2−アルキレングリコールからなる群から選択された化合物やアセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤から選択された化合物を含む水性媒体中において、長期間にわたり良好な保存安定性を有する。その理由は明確ではないが、その一つの理由として、ポリマーが架橋構造を有することから耐溶剤性が向上することに起因するものと考えられる。
前記架橋性モノマーの添加量は、前記疎水性モノマーに対して0.0001倍モル〜0.05倍モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.001倍モル〜0.01倍モルの範囲である。0.05倍モルを超すと定着性の低下や耐擦性の低下、場合によっては粒子径の増大等が起こるため好ましくない。前記架橋性モノマーの添加量は上記の範囲内で耐溶剤性と定着性及び耐擦性を考慮して適宜決定することが好ましい。
【0095】
本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料は、アニオン性染料(の集合体)を被覆するポリマーが紫外線吸収活性および/または光安定化活性を有する部位を有することも可能である。
具体的には、アニオン性染料が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、疎水性の共重合性モノマーと紫外線吸収活性を有する部位を持つモノマー及び/又は光安定化活性を有する部位を持つモノマーから誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーによって被覆されることにより、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料とされる。
紫外線吸収活性を有する部位を持つモノマー及び/又は光安定化活性を有する部位を持つモノマーは、前記した第二実施形態の工程(B1)、第三実施形態の工程(B2)にて水性媒体中に添加して混合するのが好ましく、アニオン性染料を脱イオン水が主成分である水性媒体に溶解し、これにカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射した後、疎水性の共重合性モノマーと紫外線吸収活性を有する部位を持つモノマー及び/又は光安定化活性を有する部位を持つモノマーを加え混合してから、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーを添加混合し、超音波を照射し乳化後、重合開始剤を加えて重合反応することにより好適に作製できる。
【0096】
より具体的には、以下の手順を好適に例示できる。
(1)アニオン性染料を脱イオン水が主成分である水性媒体に溶解し、これにカチオン性重合性界面活性剤を加え、超音波を照射する工程。ここでは、カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基が、アニオン性染料のアニオン性基に吸着してイオン的に結合し、固定化される。
(2)カチオン性重合性界面活性剤及びアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーに対して共重合可能な疎水性コモノマーと紫外線吸収活性を有する部位を持つモノマー及び/又は光安定化活性を有する部位を持つモノマーを均一に混合して加え、混合する工程。
(3)アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーを加え、超音波を照射後、重合開始剤を加え、重合する工程。
このような手順により、紫外線吸収活性および/または光安定化活性を有する部位を有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化染料を好適に製造できる。
【0097】
本発明において使用できる紫外線吸収活性を有する部位を持つモノマーおよび光安定化活性を有する部位を持つモノマーとしては、紫外線吸収活性および/または光安定化活性を有する部位と、エチレン性不飽和結合とを有するモノマーが挙げられる。このようなモノマーの具体例としては、エチレン性不飽和結合を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、エチレン性不飽和結合を有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤、エチレン性不飽和結合を有するサリチレート紫外線吸収剤、エチレン性不飽和結合を有するシアノアクリレート系紫外線吸収剤、エチレン性不飽和結合を有するヒンダードフェノール系紫外線吸収剤、またはエチレン性不飽和結合を有するヒンダードアミン系光安定化剤が挙げられる。これらモノマーのエチレン性不飽和結合は、メタクロイル基、アクロイル基、ビニル基、アリル基である。紫外線吸収能および/または光安定化能を有する部位を有するモノマーとして、市販されているものを利用することも可能である。例えば、ベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収部位を有するモノマーとして、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルアクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名RUVA−93:大塚化学株式会社製)が挙げられる。また、ヒンダートアミン骨格を有する光安定化部位を有するモノマーとして、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(商品名アデカスタブLA−82:旭電化工業株式会社製,商品名FANCRYL FA−711MM:日立化成工業株式会社製)、FANCRYL FA−712HM:日立化成工業株式会社製)が挙げられる。
【0098】
紫外線吸収活性および/または光安定化活性を有する部位を有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化染料は、耐光性に優れたものとなる。紫外線吸収活性を有する部位を持つモノマーおよび光安定化活性を有する部位を持つモノマーはそれぞれ単独で使用することもできるが、併用することによってその効果を飛躍的に向上させることができる。
前記紫外線吸収活性を有する部位を持つモノマー及び/又は光安定化活性を有する部位を持つモノマーの添加量は、前記疎水性モノマーに対して0.01倍モル〜1倍モルの範囲が好ましい。
【0099】
カチオン性重合性界面活性剤と、アニオン性重合界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーとの共重合、または、これらに加えて疎水性モノマーとの共重合は、重合開始剤の添加によって開始されるのが好ましく、このような重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤が好ましく、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2−アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、または4,4−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)などが挙げられる。
【0100】
また、本発明の重合反応では連鎖移動剤を用いることもできる。例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;ペンタフェニルエタンなどの炭化水素類;及びアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、タービノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンが50重量部以上のものが好ましい)、さらに9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;キサンテン、2,5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0101】
そして、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料の製造は、アニオン性染料と前記カチオン性重合性界面活性剤と水性媒体とを混合し、超音波を所定時間照射した後、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマー(これらの他に、疎水性モノマーを加えることもできる。)と必要に応じて水性媒体を加えて再び超音波を所定時間照射して混合、乳化し、超音波照射と攪拌を行いながら、所定の温度(重合開始剤の活性化する温度)まで昇温し、重合開始剤を加えて重合開始剤を活性化させて乳化重合することによって好適に実施することができる。
【0102】
反応は、超音波発生器、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、窒素導入管及び温度調節器を備えて反応容器を使用するのが好ましい。
重合開始剤の添加は、水溶性重合開始剤を純水に溶解した水溶液を滴下することにより好適に実施できる。
重合開始剤の活性化は、所定の重合温度まで昇温することにより好適に実施できる。重合終了後に、pH7.0〜9.0の範囲に調整し、濾過を行なうことが好ましい。ここで、水性媒体は、前述したように、水を主成分とする溶媒のことであり、水の他に、任意成分として、例えば、グリセリン類やグリコール類のような水溶性溶媒等を含んでいても良い。また、重合温度は、60℃〜90℃の範囲とされるのが好ましい。
【0103】
以上のようにして得られる本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料は、染料の集合体がポリマー層で完全に被覆される(欠陥部分がない)とともに、ポリマー層の親水性基が水性媒体に向かって規則正しく配向するものと考えられるので(図2及び図4参照)、水性媒体に対して高い分散安定性を有するとともに、高着色性、高発色性、高定着性、耐水性を実現するものである。
【0104】
以上に本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料について説明したが、これらのマイクロカプセル化染料の粒子径は、好ましくは400nm以下、更に好ましくは300nm以下、特に好ましくは50〜200nmである(本明細書において平均粒径の記述は、レーザ光散乱法の計測値によって述べている。)。
【0105】
[水性分散液]
本発明の実施形態に係る水性分散液は、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料を含むものであり、このような水性分散液としては、前記本発明の実施形態における乳化重合後の液を好適に例示できる。この水性分散液に、さらにインクジェット記録用インクとするための他の配合成分を常法によって添加することにより、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを製造できる。
【0106】
[インクジェット記録用インク]
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、前記したように、水性分散液を含んでいる。
また、本発明の他の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料と水とを少なくとも含んでいる。マイクロカプセル化染料の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、1重量%〜20重量%が好ましく、より好ましくは、3重量%〜15重量%である。特に高い印刷濃度と高発色性を得るには、5重量%〜15重量%が好ましい。
【0107】
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクの溶媒は、水及び水溶性有機溶媒を基本溶媒として含むのが好ましく、また必要に応じて任意の他の成分を含むことができる。
【0108】
水溶性有機溶媒としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、又はイソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、あるいは、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、又はスルホランなどを挙げることができる。
【0109】
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、水溶性有機溶媒として、インクジェット記録用インクの保水性と湿潤性をもたらす目的で、高沸点水溶性有機溶媒からなる湿潤剤を含有するのが好ましい。このような高沸点水溶性有機溶媒としては、沸点が180℃以上の高沸点水溶性有機溶媒を例示できる。
【0110】
沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルグリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールを挙げることができる。沸点が200℃以上である有機溶媒が好ましい。これらは単独又は2種以上の混合物として使用することができる。これにより、開放状態(室温で空気に触れている状態)で放置しても流動性と再分散性とを長時間で維持するインクジェット記録用インクを提供することができる。更に、印字中もしくは印字中断後の再起動時にノズルの目詰まりが生じ難くなり、高い吐出安定性が得られる。
【0111】
これらの水溶性有機溶媒の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、好ましくは10〜50重量%程度であり、より好ましくは10〜30重量%である。
【0112】
さらに、水溶性有機溶媒としては、2−ピロリドン,N−メチルピロリドン,ε−カプロラクタム,ジメチルスルホキシド,スルホラン,モルホリン,N−エチルモルホリン,1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性溶媒を挙げることができ、これらから一種以上選択して用いてもよい。これら極性溶媒の添加は分散性に効果があり、インクの吐出安定性を良好とすることができる。
これらの極性溶媒の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは1重量%〜10重量%である。
【0113】
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、水性媒体の記録媒体に対する浸透を促進する目的で、浸透剤を含有するのが好ましい。水性媒体が記録媒体に対して素早く浸透することによって、画像の滲みが少ない記録物を確実に得ることができる。このような浸透剤としては、多価アルコールのアルキルエーテル(グリコールエーテル類ともいう)、1,2−アルキルジオールが好ましく用いられる。具体的には、多価アルコールのアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。1,2−アルキルジオールとしては、具体的には、例えば1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールが挙げられる。これらの他に、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール等の直鎖炭化水素のジオール類からも適宜選択されても良い。
【0114】
特に、本発明の実施形態においては、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールが好ましい。これらの浸透剤の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、総量で、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。浸透剤の含有量が1重量%より少ないと浸透性に効果がなく、20重量%を超えると画像の滲みによる印字品質の低下や粘度が高くなる等の不具合が生じるため好ましくない。また、特に、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の1,2−アルキルジオールを用いることによって、印字後の乾燥性と滲みが格段に改善される。
【0115】
特に、本発明の実施形態において、グリセリンを含むことによって、インクの目詰まり信頼性と保存安定性を十分に確保することができる。
さらに、多価アルコールのアルキルエーテル及び1,2−アルキルジオールからなる群から選択された1種以上の化合物を含むことによって、記録媒体へのインク溶媒成分の浸透性を高めることができるため、本発明の実施形態のマイクロカプセル化染料と相俟って、普通紙や再生紙等への印刷においても画像の滲みが激減して印字品質を格段に向上させることができる。
【0116】
また、前掲したグリコールエーテル類を使用する場合には、特に、グリコールエーテル類と後述する界面活性剤としてのアセチレングリコール化合物とを併用するのが好ましい。
【0117】
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤を含んでなることが好ましい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸、アシルメチルタウリン酸、ジアルキルスルホ琥珀酸等のスルホン酸型、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;脂肪酸塩、アルキルザルコシン塩などのカルボン酸型、;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩などのリン酸型エステル型、;等が挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどのエチレンオキシド付加型;グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、シュガーアルキルエステルなどのポリオールエステル型;多価アルコールアルキルエーテルなどのポリエーテル型;アルカノールアミン脂肪酸アミドなどのアルカノールアミド型;が挙げられる。
【0118】
より具体的には、アニオン性界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩などが挙げられ、ノニオン性界面活性剤の具体例としてはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系等を挙げることができる。
【0119】
特に、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、界面活性剤として、アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を含んでなることが望ましい。これにより、インクを構成する水性媒体の記録媒体への浸透性を高くでき、種々の記録媒体において滲みの少ない印刷が期待できる。
本発明において用いられるアセチレングリコール化合物の好ましい具体例としては、下記の式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0120】
【化11】
上記式(6)において、m及びnは、それぞれ0≦m+n≦50を満たす数である。また、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立してアルキル基(好ましくは炭素数6以下のアルキル基)である。
上記式(6)で表される化合物の中でも、特に好ましくは、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。上記式(6)で表される化合物は、アセチレングリコール系界面活性剤として市販されている市販品を利用することも可能であり、その具体例としては、サーフィノール104、82、465、485またはTG(いずれもAir Products and Chemicals. Inc.より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(以上、日信化学社製 商品名)が挙げられる。
【0121】
アセチレンアルコール系界面活性剤としては、サーフィノール61(Air Products and Chemicals. Inc.より入手可能)等が挙げられる。
【0122】
これらの界面活性剤の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、好ましくは0.01〜10重量%の範囲であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0123】
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、pH調整剤を含有することもでき、好ましくは、pHを7〜9の範囲、より好ましくは、7.5〜8.5の範囲に設定される。
pH調整剤としては、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、フタル酸水素カリウム、酒石酸水素カリウムなどのカリウム金属類、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリイソプロペノールアミン、ブチルジエタノールアミン、モルホリン、プロパノールアミンなどのアミン類などが好ましい。
中でも、水酸化アルカリ化合物あるいはアミンアルコールを添加すると、インク中でもマイクロカプセル化染料の分散安定性を向上できる。
水酸化アルカリ化合物の添加量は、インク全量に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%である。
アミンアルコールの添加量は、インク全量に対して、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0124】
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、防カビ剤、防腐、防錆の目的で、安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンチアゾリン−3−オン〔製品名:プロキセルXL(アビシア製)〕、3,4−イソチアゾリン−3−オン、4、4−ジメチルオキサゾリジン等を含むことができる。
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、記録ヘッドのノズルが乾燥するのを防止する目的で、尿素、チオ尿素、及び/又はエチレン尿素等を含むことができる。
【0125】
特に好ましい本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、
(1)本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料
(2)ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び/又は炭素数4〜10の1,2−アルキルジオールからなる群から選択される1種以上の化合物(浸透剤)
(3)グリセリン
(4)水(脱イオン水)
を少なくとも含む。
このようなインクジェット記録用インクは、特に、分散安定性及び吐出安定性に優れ、更に、長期にわたって、ノズルの目詰まりもなく、安定した印字が可能である。また、普通紙や再生紙及びコート紙等の記録媒体において、印字後の乾燥性が良好で、滲みがなく、高い印刷濃度を有し、発色性に優れた高品位の画像を得ることができる。
【0126】
一般に、油溶性染料や分散染料等をモノマーに溶解して乳化重合や分散重合等によって得た着色ポリマー粒子や予め乳化重合や分散重合等によって得られたポリマー粒子を油溶性染料や分散染料等で染色して得た着色ポリマー粒子は、インクジェット記録用インクに通常添加される水溶性溶媒や界面活性剤によって着色ポリマー粒子から色素が脱離しやすい傾向にある。これに対して、本発明の実施形態においては、前記したように、アニオン性染料のアニオン性基とカチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基とがイオン的に結合(イオン結合)して集合体を形成し、さらにカチオン性重合性界面活性剤の重合性基が共重合モノマー及び/又はアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーの重合性基と重合反応して、芯(コア)の前記アニオン性染料の集合体と外郭(シェル)層のポリマー層とが強固に結合されることからアニオン性染料由来の色素がインクジェット記録用インクに通常添加される水溶性溶媒や界面活性剤で脱離することはない。
【0127】
更に詳しくは、油溶性染料や分散染料等をモノマーに溶解して乳化重合や分散重合等によって得た着色ポリマー粒子や予め乳化重合や分散重合等によって得られたポリマー粒子を油溶性染料や分散染料等で染色して得た着色ポリマー粒子を用いて、前記のアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレングリコール系界面活性剤と、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、又は1,2−アルキルジオール等の浸透剤で浸透性を向上したインクでは、油溶性染料や分散染料等の色素が着色ポリマー粒子から容易に脱離して、印刷物の印字品質、印字濃度、耐水性、耐光性の低下をもたらす。
【0128】
これに対して、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料を用いたインクジェット記録用インクでは、こうした現象が全く認められず、上記の浸透剤によって色素の脱離が起こらないため、良好な印刷物の印字品質、印字濃度、耐水性、耐光性をもたらすことができる。特に、普通紙や再生紙上で滲みの発生がなく十分な印刷濃度と耐水性や耐光性を得ることができる。また、インクジェット記録用の専用メディアに対しても良好な耐水性、耐光性を得ることができる。
非特許文献1に記載されているように着色ポリマー粒子の分散性を向上するために高分子タイプの界面活性剤が用いられる場合があるが、この高分子タイプの界面活性剤の一部は分散媒中に溶解しており、係る着色ポリマー粒子をインクジェット記録用インクに使用するとこのインク中に遊離している高分子タイプの界面活性剤の影響でインク組成物の粘度が高くなる傾向にあるため、着色ポリマー粒子の含有量が制限されることが多い。
【0129】
そのため、特に普通紙や再生紙において十分な印刷濃度を得ることができず、良好な発色性を得られないことが多い。これに対して、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料を用いたインク組成物では、前記したようにアニオン性染料のアニオン性基とカチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基とがイオン的に結合(イオン結合)して集合体を形成し、さらにカチオン性重合性界面活性剤の重合性基が共重合モノマー及び/又はアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーの重合性基と重合反応して、芯(コア)の前記アニオン性染料の集合体と外郭(シェル)層のポリマー層とが強固に結合されることから、ポリマーのみが脱離していくことは無く、したがって、インク組成物の粘度増加が起きないのでインク組成物の低粘度化が容易で、マイクロカプセル化染料をより多く含有させることができる。これによって、普通紙や再生紙上での十分な印刷濃度を得ることができる。
【0130】
前記した特に好ましい本発明の実施形態において、前記のアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤の添加量はインクの全重量に対して、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0131】
前記した特に好ましい本発明の実施形態において、前記の浸透剤としてのジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量はインク組成物の全重量に対して、好ましくは10重量%以下、より好ましくは0.1〜5重量%である。ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを添加すると、浸透性の向上に顕著な効果を示す。また、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び/又はトリエチレングリコールモノブチルエーテルの添加は、アセチレングリコール系の界面活性剤の溶解性を向上させることと印字品質の向上に役立つ。
【0132】
前記した特に好ましい本発明の実施形態において、前記の浸透剤としての炭素数4〜10の1,2−アルキルジオールの添加量はインク組成物の全重量に対して、好ましくは10重量%以下である。炭素数が3以下の1,2−アルキルジオールでは充分な浸透性が得られず、炭素数が15を超えると水に溶解しにくくなるので好ましくない。1,2−アルキルジオールとしては、具体的には1,2−ペンタンジオール又は1,2−ヘキサンジオールを用いるのが好ましく、それらを単独で又は両者を一緒に用いることができる。1,2−ペンタンジオールは、0.1〜10重量%の範囲で添加するのが好ましい。1,2−ヘキサンジオールは、0.1〜10重量%の範囲で添加するのが好ましい。
【0133】
また、特に、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、目詰まりが発生しにくい特性(目詰まり信頼性)の向上のために、固体湿潤剤をインクの全重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%で含有するのが好ましい。
本明細書において、固体湿潤剤とは、保水機能を有する常温(25℃)で固体の水溶性物質を言う。好ましい固体湿潤剤は、糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸塩、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオールである。糖の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などがあげられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、n=2〜5の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖など)があげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビトール、キシリトールなどが挙げられる。ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸ナトリウム1%水溶液(分子量350000)として市販されているものを使用することができる。これらの固体湿潤剤は単独あるいは2種以上を混合して使用する。特に好ましい固体湿潤剤は、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサトリオールである。
【0134】
固体湿潤剤を使用することによって、その保水機能によって水分の蒸発を抑えることができるため、インクの流路やノズル周辺での粘度の上昇がなく、また皮膜も形成されにくいため、目詰りが起こり難くなる。また、上記の固体湿潤剤は化学的に安定であるため、インク中で分解することもなく、長期にわたって性能を維持することができる。また、上記の固体湿潤剤を添加してもインクがノズルプレートを濡らすことはなく、安定した吐出を得ることができる。特に、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオールを使用した場合に優れる。
【0135】
本発明においては、上記の固体湿潤剤の含有量は、単独で使用する場合には、インクジェット記録用インク組成物の全重量に対して0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは1〜10重量%であり、二種以上混合して使用する場合には、インクジェット記録用インクの全重量に対して、二種以上の総量が0.1〜20重量%であるのが好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。二種以上混合して使用する場合の好ましい組み合わせは、糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸塩のグループとトリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオールのグループとの組み合わせである。この組み合わせは、添加によるインクの粘度の上昇を抑えることが可能なため好ましい。固体湿潤剤の含有量が0.1重量%未満では目詰まり性の改善に十分な効果が得られず、また20重量%を越えると粘度が上昇し安定な吐出が得られにくくなるという弊害が起こりやすい。
【0136】
以上、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを説明したが、着色剤として含有される本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化染料は、表面のアニオン性基が水性媒体側に向かって規則正しく密に配向しているものと考えられるので、効果的な静電的な反発力が生じているものと考えられることから、従来の着色ポリマー粒子と比較して吐出安定性にも優れ、より分散性(高分散性)および分散安定性に優れ、さらに、着色剤の含有濃度が向上したインクジェット記録用インクを作製することができる。
【0137】
インクジェット記録は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを公知のインクジェットプリンタに搭載し、普通紙やインクジェット用記録媒体等の記録媒体に印刷することにより、好適に行われ、これにより、記録ヘッドからのインクの吐出安定性を優れたものにできるとともに、画像の堅牢性、耐擦性および発色性に優れ、画像の印字濃度が高く、画像が滲みにくい記録物を得ることができる。また、記録媒体として普通紙を使用しても、画像が滲みにくく、また画像の発色性が高い記録物が得られる。
【0138】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、アニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対するカチオン性重合性界面活性剤のモル比を、以下、“Mc/Ma”と略記する。
【0139】
<実施例>
[マイクロカプセル化染料“CDMP1”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドレッド26)2g(4.158×10−3mol,アニオン性基:8.316×10−3mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドを2.4g(8.487×10−3mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。次いで、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10(第一工業製薬製)を6.62g(8.487×10−3mol)をイオン交換水50gに溶解して添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.02)。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.09gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.09gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、5倍量のエチルアルコールを添加して重合生成物を沈殿させ、さらに遠心分離機で重合生成物を沈降させて上澄み液を取り除いた後に、イオン交換水40gを加えて超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して再度分散した。これをエバポレータで残存エチルアルコールを除去した後に、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpH9に調製し、再び超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して分散した。得られた分散液を孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化染料“CDMP1”の分散液を得た。リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約70nmであった。
【0140】
【化12】
【0141】
[マイクロカプセル化染料“CDMP2”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドイエロー23)2g(3.745×10−3mol,アニオン性基:1.124×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを2.4g(1.156×10− 2mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。次いで、ベンジルメタクリレート2gとn−ブチルメタクリレート3.14gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 9.02g(1.156×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.03)。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、5倍量のイソプロピルアルコールを添加して重合生成物を沈殿させ、さらに遠心分離機で重合生成物を沈降させて上澄み液を取り除いた後に、イオン交換水40gを加えて超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して再度分散した。これをエバポレータで残存イソプロピルアルコールを除去した後に、2mol/l 水酸化カリウム水溶液でpH9に調製し、再び超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して分散した。得られた分散液を孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化染料“CDMP2”の分散液を得た。
【0142】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約85nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200を用いて室温で乾燥させたマイクロカプセル化染料“CDMP2”のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は35℃であった。
【0143】
[マイクロカプセル化染料“CDMP3”の製造]
直接染料(C.I.ダイレクトブルー86)2g(2.564×10− 3mol,アニオン性基:5.128×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを1.1g(5.296×10− 3mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.03)。次いで、ベンジルメタクリレート2.4gとドデシルメタクリレート1.6gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 4.13g(5.296×10− 3mol)とメタクリル酸0.01g(1.162×10− 4mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.1gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.1gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し、粗大粒子を除去した後、限外濾過を行ない、2mol/l 水酸化カリウム水溶液でpH9に調製して目的のマイクロカプセル化染料“CDMP3”の分散液を得た。
【0144】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約80nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200を用いて室温にて乾燥させたマイクロカプセル化染料“CDMP3”のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は5℃であった。
【0145】
[マイクロカプセル化染料“CDMP4”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドレッド26)2g(4.158×10− 3mol,アニオン性基:8.316×10−3mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドを2.4g(8.487×10− 3mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.02)。次いで、ベンジルメタクリレートを2gとn−ブチルメタクリレートを3.14gと紫外線吸収能を有する骨格を持つモノマーである2(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学製RUVA−93)を0.7gとを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 6.62g(8.487×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.1416gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.1416gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、5倍量のエチルアルコールを添加して重合生成物を沈殿させ、さらに遠心分離機で重合生成物を沈降させて上澄み液を取り除いた後に、イオン交換水40gを加えて超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して再度分散した。これをエバポレータで残存エチルアルコールを除去した後に、2mol/l 水酸化カリウム水溶液でpH9に調製し、再び超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して分散した。得られた分散液を孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し、粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化染料“CDMP4”の分散液を得た。
【0146】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約90nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200を用いて室温にて乾燥させたマイクロカプセル化染料“CDMP4”のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は35℃であった。脱脂したスライドガラス上に上記のマイクロカプセル化染料“CDMP4”の分散液を滴下し薄く引き延ばした後に60℃にて乾燥して得られた膜化部分を日立製分光光度計U3300で200〜400nmの透過率を測定したところ、この波長域の紫外線を遮断していた。
【0147】
[マイクロカプセル化染料“CDMP5”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドイエロー23)2g(3.745×10− 3mol,アニオン性基:1.124×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを1.6g(1.156×10− 2mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.03)。次いで、ベンジルメタクリレートを2.4gとドデシルメタクリレートを1.6gと紫外線吸収能を有する骨格を持つモノマーである2(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学製RUVA−93)を0.5gと光安定化能を有する骨格を持つモノマーである1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(旭電化製アデカスタブLA−82)0.5gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 9.02g(1.156×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、孔径1μmのメンブレンフィルターで濾過し、粗大粒子を除去した後、限外濾過を行ない、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpH9に調製して、目的のマイクロカプセル化染料“CDMP5”の分散液を得た。
【0148】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約90nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200を用いて室温にて乾燥させたマイクロカプセル化染料“CDMP4”のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は5℃であった。脱脂したスライドガラス上に上記のマイクロカプセル化染料“CDMP5”の分散液を滴下し薄く引き延ばした後に60℃にて乾燥して得られた膜化部分を日立製分光光度計U3300で200〜400nmの透過率を測定したところ、この波長域の紫外線を遮断していた。
【0149】
[マイクロカプセル化染料“CDMP6”の製造]
直接染料(C.I.ダイレクトブルー86)2g(2.564×10− 3mol,アニオン性基:5.128×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを1.1g(5.296×10− 3mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.03)。次いで、ベンジルメタクリレートを2.4gとドデシルメタクリレートを1.6gと紫外線吸収能を有する骨格を持つモノマー2(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学製RUVA−93)を0.5gと光安定化能を有する骨格を持つモノマー1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(旭電化製アデカスタブLA−82)0.5gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 4.13g(5.296×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10を4.13gとイオン交換水50gを添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.052gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.052gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、孔径1μmのメンブレンフィルターで濾過し、粗大粒子を除去した後、限外濾過を行ない、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpH9に調製して、目的のマイクロカプセル化染料“CDMP6”の分散液を得た。
【0150】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約90nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200を用いて室温にて乾燥させたマイクロカプセル化染料“CDMP4”のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は5℃であった。脱脂したスライドガラス上に上記のマイクロカプセル化染料“CDMP6”の分散液を滴下し薄く引き延ばした後に60℃にて乾燥して得られた膜化部分を日立製分光光度計U3300で200〜400nmの透過率を測定したところ、この波長域の紫外線を遮断していた。
【0151】
[マイクロカプセル化染料“CDMP7”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドブルー7)2g(2.911×10− 3mol,アニオン性基:5.822×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを1.21g(5.822×10− 3mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.0)。次いで、ベンジルメタクリレートを2.4gとドデシルメタクリレート1.6gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 4.54g(5.822×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.11gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.11gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、孔径1μmのメンブレンフィルターで濾過し、粗大粒子を除去した後、限外濾過を行ない、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpH9に調製して、目的のマイクロカプセル化染料“CDMP7”の分散液を得た。
【0152】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約80nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200を用いて室温にて乾燥させたマイクロカプセル化染料“CDMP7”のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は5℃であった。
【0153】
[マイクロカプセル化染料“CDMP8”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドブルー7)2g(2.911×10− 3mol,アニオン性基:5.822×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを1.21g(5.822×10− 3mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.0)。次いで、ベンジルメタクリレートを2.4gとドデシルメタクリレートを1.6gとジエチレングリコールジメタクリレート0.2gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 4.54g(5.822×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.11gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.11gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、5倍量のイソプロピルアルコールを添加して重合生成物を沈殿させ、さらに遠心分離機で重合生成物を沈降させて上澄み液を取り除いた後に、イオン交換水40gを加えて超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して再度分散した。これをエバポレータで残存イソプロピルアルコールを除去した後に、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpH9に調製し、再び超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して分散した。得られた分散液を孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化染料“CDMP8”の分散液を得た。リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約90nmであった。
【0154】
[マイクロカプセル化染料“CDMP9”の製造]
直接染料(C.I.ダイレクトブルー86)2g(2.564×10− 3mol,アニオン性基:5.128×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを1.1g(5.296×10− 3mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.03)。次いで、ベンジルメタクリレート2.4gとドデシルメタクリレート1.6gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 4.13g(5.296×10− 3mol)とポリエチレングリコールモノメタクリレート(ニューフロンティア NFバイソマー PEM6E:第一工業製薬株式会社製)0.5g(1.429×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.1gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.1gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、孔径1μmのメンブレンフィルターで濾過し、粗大粒子を除去した後、限外濾過を行ない、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpH9に調製して、目的のマイクロカプセル化染料“CDMP9”の分散液を得た。
【0155】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約85nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200を用いて室温にて乾燥させたマイクロカプセル化染料“CDMP9”のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は5℃であった。
【0156】
[マイクロカプセル化染料“CDMP10”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドイエロー23)2g(3.745×10− 3mol,アニオン性基:1.124×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを2.4g(1.156×10− 2mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.03)。次いで、ベンジルメタクリレート2.4gとドデシルメタクリレート1.6gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 7.8g(1.0×10− 2mol)と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸0.33g(1.594×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、孔径1μmのメンブレンフィルターで濾過し、粗大粒子を除去した後、限外濾過を行ない、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpH9に調製して、目的のマイクロカプセル化染料“CDMP10”の分散液を得た。
【0157】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約80nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200を用いて室温で乾燥させたマイクロカプセル化染料“CDMP10”のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は5℃であった。
【0158】
[マイクロカプセル化染料“CDMP11”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドブルー7)2g(2.911×10− 3mol,アニオン性基:5.822×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを1.21g(5.822×10− 3mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.0)。次いで、ベンジルメタクリレートを2.4gとドデシルメタクリレートを1.6gとジエチレングリコールジメタクリレート0.2gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 4.54g(5.822×10− 3mol)と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸0.30g(1.449×10− 3mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.11gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.11gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、5倍量のイソプロピルアルコールを添加して重合生成物を沈殿させ、さらに遠心分離機で重合生成物を沈降させて上澄み液を取り除いた後に、イオン交換水40gを加えて超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して再度分散した。これをエバポレータで残存イソプロピルアルコールを除去した後に、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpH9に調製し、再び超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して分散した。得られた分散液を孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化染料“CDMP11”の分散液を得た。リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約90nmであった。
【0159】
[マイクロカプセル化染料“CDMP12”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドイエロー23)2g(3.745×10− 3mol,アニオン性基:1.124×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを0.96g(4.622×10− 3mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=0.41)。次いで、ベンジルメタクリレート2gとn−ブチルメタクリレート3.14gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 9.02g(1.156×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、5倍量のイソプロピルアルコールを添加して重合生成物を沈殿させ、さらに遠心分離機で重合生成物を沈降させたところ、上澄み液が黄色に濃く着色しており、沈殿した重合生成物は微量であった。
【0160】
[マイクロカプセル化染料“CDMP13”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドイエロー23)2g(3.745×10− 3mol,アニオン性基:1.124×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを7.0g(3.371×10− 2mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=3.0)。次いで、ベンジルメタクリレート2gとn−ブチルメタクリレート3.14gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 9.02g(1.156×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。凝集物が多量に生成した。
【0161】
[マイクロカプセル化染料“CDMP14”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドイエロー23)2g(3.745×10− 3mol,アニオン性基:1.124×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを1.63g(7.848×10− 3mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=0.7)。次いで、ベンジルメタクリレート2gとn−ブチルメタクリレート3.14gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 9.02g(1.156×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、5倍量のイソプロピルアルコールを添加して重合生成物を沈殿させ、さらに遠心分離機で重合生成物を沈降させたところ、上澄み液が黄色に薄く着色していた。上澄み液を取り除いた後に、イオン交換水40gを加えて超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して再度分散した。これをエバポレータで残存イソプロピルアルコールを除去した後に、2mol/l 水酸化カリウム水溶液でpH9に調製し、再び超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して分散した。得られた分散液を孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化染料“CDMP14”の分散液を得た。
【0162】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約85nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200を用いて室温で乾燥させたマイクロカプセル化染料“CDMP2”のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は35℃であった。
【0163】
[マイクロカプセル化染料“CDMP15”の製造]
酸性染料(C.I.アシッドイエロー23)2g(3.745×10− 3mol,アニオン性基:1.124×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを3.03g(1.461×10− 2mol)添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した(Mc/Ma=1.3)。次いで、ベンジルメタクリレート2gとn−ブチルメタクリレート3.14gを均一に混合して添加混合後、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10 9.02g(1.156×10− 2mol)をイオン交換水50gに溶解してから添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。僅かに凝集物が生成されていた。孔径10μmのメンブレンフィルターを用いて凝集物を除去後、5倍量のイソプロピルアルコールを添加して重合生成物を沈殿させ、さらに遠心分離機で重合生成物を沈降させ、上澄み液を取り除いた後に、イオン交換水40gを加えて超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して再度分散した。これをエバポレータで残存イソプロピルアルコールを除去した後に、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpH9に調製し、再び超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して分散した。得られた分散液を孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化染料“CDMP15”の分散液を得た。
【0164】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で数平均粒子径を測定したところ、約85nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200を用いて室温で乾燥させたマイクロカプセル化染料“CDMP15”のガラス転移温度を測定したところ、ガラス転移温度は35℃であった。
【0165】
<比較例>
[着色ポリマー粒子の分散液Aの製造(従来例4に相当)]
酸性染料(C.I.アシッドレッド1)を 0.5mmolとカチオン性重合性界面活性剤2−(メタクリロイルオキシ)エチルジメチルラウリルアンモニウムブロマイドを1mmolと高分子タイプのノニオン性界面活性剤プルロニックF−88(旭電化製)0.112gとイオン交換水20mlを攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を70℃に昇温した後、5mlのイオン交換水に溶解した4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)の0.1mmolを滴下し、窒素を導入しながら、70℃で24時間重合した。得られた生成物を孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し粗大粒子を除去して目的の着色ポリマー粒子の分散液Aを得た。
【0166】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で着色ポリマー粒子の数平均粒子径を測定したところ、約170nmであった。
【0167】
[着色ポリマー粒子の分散液Bの製造]
酸性染料(C.I.アシッドレッド26)2gをイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、カチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドを2.4g添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。次いで、ノニオン性重合性界面活性剤アデカリアソープNE−10 を6.57gとイオン交換水50gを添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.09gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.09gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。重合終了後、5倍量のエチルアルコールを添加して重合生成物を沈殿させ、さらに遠心分離機で重合生成物を沈降させて上澄み液を取り除いた後に、イオン交換水40gを加えて超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して再度分散した。これをエバポレータで残存エチルアルコールを除去した後に、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpH9に調製し、再び超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射して分散した。得られた分散液を孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し粗大粒子を除去して目的の着色ポリマー粒子の分散液Bを得た。
【0168】
リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で着色ポリマー粒子の数平均粒子径を測定したところ、約140nmであった。
【0169】
[着色ポリマー粒子の分散液Cの製造]
酸性染料(C.I.アシッドイエロー23)2gをイオン交換水50gに溶解した染料水溶液に、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10を6.01g添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。次いで、ベンジルメタクリレートを2gとn−ブチルメタクリレートを3.14gとカチオン性重合性界面活性剤として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドを1.6gとイオン交換水50gを添加し、混合攪拌した後に超音波洗浄器を用いて45kHzで30分間超音波を照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で3時間重合した。さらに、イオン交換水10gに過硫酸カリウム0.128gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を10分間かけて滴下し、窒素を導入しながら、80℃で1時間重合した。温度を室温まで下げて反応を停止した。凝集物が生成した。
すなわち、アニオン性重合性界面活性剤、カチオン性重合性界面活性剤の順に重合性界面活性剤を添加することによって製造されると、マイクロカプセル化染料の水分散液が得難いことが確認された。
【0170】
[着色ポリマー粒子の分散液Dの製造(従来例3に相当)]
ドデシル硫酸ナトリウム2g、脱イオン水198g、及び、n−ブトキシメチルアクリルアミド5gをフラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、液温を50 ℃に上げた。次に、V−70(和光純薬工業社製、油溶性アゾ系重合開始剤)0 .5gを含むエタノール溶液5 重量部をフラスコ内に注入し、すぐに、n−ブトキシメチルアクリルアミド45g、メタクリル酸メチル50g、ファンクリルFA−731A (日立化成工業社製 トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のアクリル酸エステル、三官能モノマー)5g、オラゾールレッドG(チバ スペシャリティー ケミカルズ社製、赤色アゾ染料の金属錯体:油溶性染料)30g、V−65(和光純薬工業社製、油溶性アゾ系重合開始剤)を2gをイオン交換水100gにノイゲンEA170(第一工業製薬社製、ノニオン系界面活性剤)6gを用いて分散した水分散物を2時間かけて滴下した。その後、同温度で3時間攪拌した後、室温まで冷却し、着色ポリマー粒子の分散液Dを得た。これを孔径1μmのフィルターでろ過して、リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて着色ポリマー粒子の数平均粒子径を測定したところ、約145nm であった。
【0171】
[着色ポリマー粒子の分散液Eの製造(従来例2に相当)]
スチレン19g、フタロニアニン系油溶性染料ソルベントブルー(チバスペシャルティケミカルズ社製「ORASOL BLUE GL 」)1gを、室温で攪拌混合して青色均一溶液となし、該溶液を、脱塩水78 .47gに反応性アニオン性界面活性剤ビス(ポリオキシエチレン 多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル(日本乳化剤社製「Antox −MS −60 」)1 .78g と炭酸水素ナトリウム0 .0179g とを溶解させた水溶液中に、攪拌しながら滴下し、滴下終了後、更に10 分間攪拌して得た青色分散液を、超音波分散機(SMT 社製「ULTRASONIC HOMOGENIZER UH −600 」)にて30分間処理することにより、青色の、着色剤含有単量体エマルションを作製した。得られたエマルションの単量体液滴の粒子径をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で測定したところ、体積平均粒子径で約70nmであった。得られた単量体粒子エマルションを、攪拌器、冷却器、及び温度計を取り付けた内容積100mlの反応容器に移し、窒素気流下、80℃に昇温した後、過硫酸カリウム0 .0261gを少量の脱塩水に溶解させた水溶液を添加して重合を開始し、2時間経過後に重合を終了させ、スチレン−乳化剤共重合体粒子中に着色剤を含有した着色ポリマー粒子の分散液Eを得た。得られた着色ポリマー粒子の粒子径は体積平均粒子径で約70nmであった。
【0172】
[着色ポリマー粒子の分散液Fの製造(従来例1に相当)]
温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素導入管を備えた反応容器中に、アクリル酸ブチル37gと2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド14g を入れ、イオン交換水を加えて190g とした。攪拌しながら、反応容器内を窒素置換した後、80℃まで加熱し、その温度を保持しながら、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド] (VA−086 :和光純薬工業株式会社製)2%水溶液60gを添加し、3 時間重合を行い、乳白色のラテックスを得た。得られたポリマー微粒子の粒径をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150)を用いて測定したところ、約160nmであった。このラテックスの限外ろ過を行い、水溶性ホモポリマーを除去した。得られたラテックス250g (固形物濃度20 重量%) に対して、分子内にアニオン性基を二つ有するダイレクトイエロー144 の5%水溶液200gを加え、着色ポリマー粒子の分散液Fを得た。
【0173】
「インクジェット記録用インクの作製」
<実施例1〜11>
表1に示す組成に基づいて、実施例1〜11のインクジェット記録用インクを調製した。
【0174】
【表1】
【0175】
<比較例1〜9,参考例1,2>
表2に示す組成に基づいて、比較例1〜9,参考例1,2のインクジェット記録用インクを調製した。
【0176】
【表2】
【0177】
実施例1〜11,比較例1〜9,参考例1,2のインクジェット記録用インク、並びに、これらのインクを用いて印刷した記録物の評価を、下記に示す方法により行った。
【0178】
評価1:印字品質
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクをインクカートリッジに充填し、これをインクジェットプリンタPM−720C(セイコーエプソン株式会社製)に装填して、以下の普通紙各紙(再生紙を一部含む。)にアルファベットの大文字と小文字の各24文字を印刷し、目視での観察を行い、以下の基準で評価した。
AA:全紙に滲みの発生が無い。
A:2〜3紙に僅かに滲みの発生が観察されるのみである。
B:全紙で僅かに滲みの発生が観察される。
C:全紙で滲みの発生が多い。
評価に用いた印刷用紙は、Conqueror紙、Favorit紙、Modo紙、Rapid Copy紙、EPSON EPP紙、Xerox P紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり(再生紙)、Xerox R(再生紙)の12紙である。
【0179】
評価2:印刷濃度
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクをインクカートリッジに充填し、これをインクジェットプリンタPM−720C(セイコーエプソン株式会社製)に装填して、普通紙のXerox P紙(ゼロックス社製)に、ベタ印刷を行い、このベタ印刷部分の濃度を分光光度計(グレタグマクベス社製、GRETAG SPM−50)で測定し、得られた結果を下記に示す基準により評価した。
AA:OD値:1.2以上
A:OD値:1.1以上1.2未満
B:OD値:1.0以上1.1未満
C:OD値:0.9以上1.0未満
D:OD値:0.9未満
【0180】
評価3:耐水性
評価2の印字濃度試験で得られた印刷物の印字部分に1mlのイオン交換水を滴下し、20分後の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:全紙に変化が無い。
B:印字部分から僅かに色材が流れ出しているが、文字の認識は可能である。
C:印字部分から色材が流れ出して印字した文字の輪郭が不鮮明のため文字の認識が困難である。
【0181】
評価4:耐擦性
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクをインクカートリッジに充填し、これをインクジェットプリンタPM−720C(セイコーエプソン株式会社製)に装填して、セイコーエプソン製 スーパーファイン専用光沢フィルムに10mm×10mmの領域に100%dutyでベタ印刷し、25℃の温度で1時間放置した後に、上記の印刷領域をゼブラ社製イエロー水性蛍光ペン ZEBRA PEN2(商標)を用いて、500g荷重で速度10mm/秒で擦り、汚れの発生の有無を観察した。その結果を以下の基準で評価した。
A:2回擦っても全く汚れが生じない。
B:1回の擦りでは汚れが生じないが、2回目の擦りで汚れが発生する。
C:1回の擦りで汚れが発生する。
【0182】
評価5:分散性
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクを20℃でローリングボール式粘度計AMVnで内径0.9mmのキャピラリーと直径0.794mm,密度7.850g/cm3の鋼球を用いて、傾斜角度が70°、60°、50°、40°、30°のときの粘度を測定し、横軸をsinθとし、縦軸を粘度としてプロットして得たsinθ−粘度曲線における勾配を求めた。以下の基準でインクの分散性を評価した。
A:sinθ−粘度曲線における勾配が0〜−0.05であり、ニュートン性を示し、特に良好な分散性を示す。
B:sinθ−粘度曲線における勾配が−0.05〜−0.1であり、ニュートン性に近く、Aに次いで良好な分散性を示す。
C:sinθ−粘度曲線における勾配が−0.1〜−0.15であり、非ニュートン性を示すが、分散性はやや良い。
D:sinθ−粘度曲線における勾配が−0.15より小さく、非ニュートン性を示し、沈降が起こり易く、分散性が良くない。
【0183】
評価6:分散安定性
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃で2週間放置して、放置前後でのインクの粘度について調べた。測定は、レオメータ Paar Physica社製のPHYSICA MCR300でコーン半径37.50mm、コーン角1#、測定ギャップ0.05mmのコーンプレート(Paar Physica社製CP75−1)を用いて、20℃で、剪断速度が150/Sにおける粘度を測定した。得られた結果を以下の基準で評価した。
A:変化量が±0.1mPa・s未満のもの。
B:変化量が±0.1以上0.3mPa・s未満のもの。
C:変化量が±0.3mPa・s以上のもの。
【0184】
評価7:吐出安定性
実施例及び比較例の各インクについて、これをインクジェットプリンタPM−720C(セイコーエプソン株式会社製)に装填して、セイコーエプソン(株)製スーパーファイン専用紙に、1mmの罫線を印刷して、ドット抜けやインク着弾位置ずれ等の印字の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:印字枚数が10000枚以上印字してもドット抜けやインク着弾位置ずれがない。
B:印字枚数が1000枚以上10000枚未満でドット抜けやインク着弾ずれが発生する。
C:印字枚数が100枚以上1000枚未満でドット抜けやインク着弾ずれが発生する。
D:印字枚数が100枚未満でドット抜けやインク着弾ずれが発生する。
【0185】
評価8:目詰まり信頼性
前記評価1での行った印刷の後、プリンタの電源をオフにして放置し、1週間後に同様な印字試験を行った。その時の“インクの吐出状況”を目視で観察した。そして、以下に示す基準で評価した。
A:印字信号をプリンタに送信すると同時に、クリーニング動作なしで正常な印字を開始する。
B:クリーニング動作3回以内で、正常な印字を行う。
C:クリーニング動作6回以内で、正常な印字を行う。
D:クリーニング動作を7回以上繰り返しても、正常な印字が行えない。
【0186】
評価9:耐光性
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクをインクカートリッジに充填し、これをインクジェットプリンタPM−720C(セイコーエプソン株式会社製)に装填して、普通紙のXerox P紙(ゼロックス社製)に、光学濃度が1.0となるようにベタ印刷を行った。次に、キセノンウエザオメータ(ATLAS社製、Ci−5000)を使用し、ブラックパネル温度35℃、相対湿度60%、340nm紫外線照射強度0.18W/m2で、45KJ/m2の暴露試験を行った。
ベタ印刷部分の光学濃度を分光光度計(グレタグマクベス社製、GRETAGSPM−50)を用いて前記暴露試験の前後で測定することにより、暴露試験後の光学濃度の残存率(%)を求めて、耐光性を下記に示す評価基準により評価した。
AA:光学濃度の残存率が80%を超える。
A:光学濃度の残存率が70%を超え、80%以下である。
B:光学濃度の残存率が50%を超え、70%以下である。
C:光学濃度の残存率が50%以下である。
【0187】
評価10:発色性(彩度)
実施例及び比較例の各インクについて、普通紙にベタ印刷(塗りつぶし印刷)をして、その印刷部分をグレタグ濃度計(グレタグ社製)で測定し、下記式から彩度C*を求めた。得られた結果を下記に示す基準によって評価した。
C*=[(a*)2+(b*)2]1/2
A:彩度C*が70以上
B:彩度C*が65〜70
C:彩度C*が60〜65
【0188】
【表3】
【0189】
表3に示すように、実施例のインクジェット記録用インクは、全ての評価項目において優れたものとなった。
比較例1,3は、着色ポリマー粒子が高分子タイプのノニオン性界面活性剤によって分散されていることにより、分散性、分散安定性、吐出安定性、目詰まり信頼性に劣った。
比較例2は、着色剤製造の際、カチオン性重合性界面活性剤とアニオン性重合性界面活性剤とが併用されるのではなく、カチオン性重合性界面活性剤とノニオン性重合性界面活性剤とが併用されたことにより、分散性、分散安定性、吐出安定性に劣った。
比較例4,5は、着色ポリマー粒子がインクの着色剤として使用されており、染料が着色ポリマー粒子から脱離しやすいせいか、印刷濃度や耐水性に劣った。
比較例6は、染料を保護するポリマーが存在しないことから、染料単独での欠点が顕在化し、耐水性、耐擦性、耐光性に劣った。
比較例7〜9は、従来の着色ポリマー粒子に、目詰まり信頼性の観点から好ましいと考えられる水溶性溶媒を含む形態であるが、この水溶性溶媒によって着色粒子からの染料の脱離が増長したせいか、印字品質が非常に劣る傾向となった。
なお、参考例1,2は、本発明のマイクロカプセル化染料の製造方法により得られたマイクロカプセル化染料の水性分散液を使用したインクであって、前記製造方法におけるMc/Maが、前記最適な範囲(0.8〜1.2倍モル)の外に設定された例である。これらの場合は、前記製造時におけるマイクロカプセル化染料の生成率がやや不十分であったせいか、印刷濃度に劣る傾向となった。
【0190】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、
(1)分散性及び分散安定性に優れる、
(2)記録ヘッドからの吐出安定性に優れる、
(3)画像の堅牢性に優れる記録物を得ることができる、
(4)画像の印字濃度が高い記録物を得ることができる、
(5)画像の耐擦性に優れる記録物を得ることができる、
(6)記録媒体として普通紙を使用する場合においても、画像が滲みにくく、また画像の発色性が高い記録物を得ることができる、
の前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを高効率で作製可能なマイクロカプセル化染料の製造方法、前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを作製可能なマイクロカプセル化染料、及び、水性分散液を提供できる。
また、本発明によれば、前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アニオン性染料の集合体が、水性媒体に分散するとともに、カチオン性重合性界面活性剤とアニオン性重合性界面活性剤とに対して、共存している状態を示す模式図である。
【図2】図1に示す分散状態においてカチオン性重合性界面活性剤とアニオン性重合性界面活性剤とが重合された状態を示す模式図である。
【図3】アニオン性染料の集合体が、水性媒体に分散するとともに、カチオン性重合性界面活性剤と疎水性モノマーとアニオン性重合性界面活性剤とに対して、共存している状態を示す模式図である。
【図4】図3に示す分散状態においてカチオン性重合性界面活性剤と疎水性モノマーとアニオン性重合性界面活性剤とが重合された状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 アニオン性染料
2 カチオン性重合性界面活性剤
3 アニオン性重合性界面活性剤
10 アニオン性染料の集合体
11 カチオン性基
12, 12’ 疎水性基
13, 13’ 重合性基
14, 14’ アニオン性基
15 疎水性モノマー
60, 61 ポリマー層(ポリマー)
100, 101 マイクロカプセル化染料
Claims (19)
- アニオン性染料をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化染料の製造方法であって、
(A)アニオン性染料を溶解した水性媒体に、「カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤」を、前記カチオン性重合性界面活性剤が前記アニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、前記カチオン性重合性界面活性剤を前記アニオン性染料に固定化する工程と、
(C)「アニオン性基と疎水性基と重合性基を有するアニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」を前記水性媒体に添加、混合し、重合開始剤を加えて乳化重合する工程と
を有するマイクロカプセル化染料の製造方法。 - アニオン性染料をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化染料の製造方法であって、
(A)アニオン性染料を溶解した水性媒体に「カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤」を、前記カチオン性重合性界面活性剤が前記アニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、前記カチオン性重合性界面活性剤を前記アニオン性染料に固定化する工程と、
(B1)“前記「カチオン性重合性界面活性剤」及び「アニオン性基と疎水性基と重合性基を有するアニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」に対して共重合可能な疎水性モノマー”を前記水性媒体に添加して混合する工程、
(C)前記「アニオン性重合性界面活性剤」及び/又は前記「アニオン性基を有する親水性モノマー」を前記水性媒体に添加、混合し、重合開始剤を加えて乳化重合する工程と
を有するマイクロカプセル化染料の製造方法。 - アニオン性染料をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化染料の製造方法であって、
(A)アニオン性染料を溶解した水性媒体に「カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤」を、前記カチオン性重合性界面活性剤が前記アニオン性染料のアニオン性基の総モル数に対して0.5倍〜2倍モルとなるように加え、前記カチオン性重合性界面活性剤を前記アニオン性染料に固定化する工程と、
(B2)“前記「カチオン性重合性界面活性剤」及び「アニオン性基と疎水性基と重合性基を有するアニオン性重合性界面活性剤」及び/又は「アニオン性基を有する親水性モノマー」に対して共重合可能な疎水性モノマー”と、架橋性モノマーとを前記水性媒体に添加して混合する工程と、
(C)前記「アニオン性重合性界面活性剤」及び/又は前記「アニオン性基を有する親水性モノマー」を前記水性媒体に添加、混合し、重合開始剤を加えて乳化重合する工程と
を有するマイクロカプセル化染料の製造方法。 - 前記カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基を、第一級アミンカチオン、第二級アミンカチオン、第三級アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオンからなる群から選択する、請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
- 前記カチオン性重合界面活性剤の疎水性基を、アルキル基、アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択する、請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
- 前記カチオン性重合界面活性剤の重合性基を、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択する請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
- 前記アニオン性染料が、酸性染料または直接染料である、請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
- 前記工程(B1)または(B2)において、前記水性媒体に紫外線吸収能を有する骨格を有するモノマー及び/又は光安定化能を有する骨格を有するモノマーを添加する請求項2〜7のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
- 前記工程(C)において、前記水性媒体に前記「アニオン性基を有する親水性モノマー」以外の親水性モノマーを分散させる請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のマイクロカプセル化染料の製造方法により得られるマイクロカプセル化染料。
- 請求項10に記載のマイクロカプセル化染料を含むことを特徴とする水性分散液。
- 請求項11に記載の水性分散液を含むインクジェット記録用インク。
- 請求項10に記載のマイクロカプセル化染料と水とを少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。
- 水溶性有機溶媒をさらに含むことを特徴とする請求項12または請求項13に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記水溶性有機溶媒が、沸点が180℃以上の高沸点水溶性有機溶媒であることを特徴とする請求項14に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記水溶性有機溶媒が、グリセリンであることを特徴とする請求項14または15に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記水溶性有機溶媒が、多価アルコールのアルキルエーテル及び/又は1,2−アルキルジオールからなる群から選択された一種以上の化合物であることを特徴とする請求項14〜16の何れかに記載のインクジェット記録用インク。
- 固体湿潤剤をさらに前記インクジェット記録用インクの全重量に対して0.1重量%〜20重量%で含むことを特徴とする請求項12〜17の何れかに記載のインクジェット記録用インク。
- 前記固体湿潤剤が、トリメチロールプロパン及び/または1,2,6−ヘキサントリオールであることを特徴とする請求項18に記載のインクジェット記録用インク。
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