JP4547893B2 - マイクロカプセル化顔料及びその製造方法、並びに水性分散液 - Google Patents

マイクロカプセル化顔料及びその製造方法、並びに水性分散液 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロカプセル化顔料及びその製造方法、水性分散液及びインクジェット記録用インクに関する。
インクジェット記録方法は、微細なノズルヘッドからインク液滴を吐出して、文字や図形を紙などの記録媒体の表面に記録する方法である。インクジェット記録方法としては電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換し、ノズルヘッド部分に貯えたインク液滴を断続的に吐出して記録媒体表面に文字や記号を記録する方法や、あるいはノズルヘッドの吐出部分に近い一部でインク液の一部を急速に加熱して泡を発生させ、その泡による体積膨張でインク液滴を断続的に吐出して、記録媒体表面に文字や記号を記録する方法などが実用化されている。
インクジェット記録用インクとして、最近では、顔料を水中に分散させた水系顔料インクが提供されている。これは、顔料を用いたインクの方が、水溶性染料を用いたインクに比べて、耐水性や耐光性に優れるという特徴を有するからである。このような水系顔料インクにおいては、界面活性剤や高分子分散剤等の分散剤を用いて顔料を水性分散媒中に分散させることが一般的に行われている。
例えば、特許文献1には、アセチレングリコール系浸透剤を使用した顔料インクにおいて、顔料粒子の分散剤としてポリマー分散剤を、水性媒体として水、不揮発性有機溶剤、低級アルコールを使用することでその分散安定性を確保する検討が行われている。しかし、このように顔料粒子の分散に分散剤を用いると、インク調製時の要素が多くなり、粘度などのインク物性を所望に設定するのが困難であった。また、この顔料インクにおいても、印字濃度を確保しにくいという課題については未解決である。
さらに、これらの水系顔料インクにおいては、分散剤が顔料粒子表面に単に吸着しているだけであり、インク液がノズルヘッドの細いノズルを通って吐出される際に強い剪断力が加わるので、顔料粒子表面に吸着していた分散剤が離脱して分散性が劣化し、吐出が不安定となる傾向が認められることがある。また、前記の水系顔料インクを長期間保存した場合にも分散性が不安定となる傾向が認められることがある。
顔料粒子を水中に分散させる他の手法として、顔料粒子の表面にスルホン酸基を導入する技術も提案されている。例えば、特許文献2には、活性プロトンを有さない溶剤中に分散させた有機顔料をスルホン化剤で処理して得られるスルホン化表面処理有機顔料を含む顔料インクが記載されている(従来例1)。従来例1によれば、前記顔料インクは、分散安定性に優れ、また、記録ヘッドのノズルからの吐出安定性(記録ヘッドから一定方向に安定して吐出される特性)が良好であるとされている。
また、特許文献3には、スルホン酸基を導入した有機顔料塊状体を1価金属イオンで処理することにより、表面を正帯電させる有機顔料塊状体を調製することが記載されており、更に、その表面正帯電有機顔料塊状体から調製された顔料微粒子,分散剤,及び水を含み、貯蔵安定性(分散安定性)に優れた水系インク組成物が記載されている(従来例2)。
しかしながら、上記従来例1および従来例2の表面処理顔料粒子を着色剤として用いたインクは、これまでの顔料系インクジェット記録用インクと比較して、分散安定性および吐出安定性には優れるものの、普通紙やインクジェット用記録媒体(インクジェット記録用インクを受容するためのインク受容層が表面に設けられた記録媒体)等の記録媒体に印刷して得られる記録物の耐擦性は依然不十分なものであった。これは、記録媒体に対する前記表面処理顔料粒子の定着性が良好でないことによるものと考えられる。
一方、顔料系インクジェットインクに含まれる顔料の記録媒体に対する定着性を向上させる目的で、着色剤粒子がポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料を使用する技術が知られている。
特許文献4、5には顔料微粒子をカプセル化したものが、特許文献6〜9には顔料粒子の表面に、ポリマーをグラフト重合したものが提案されている。特許文献10では、両親媒性グラフトポリマーを用いて疎水性粉体をマイクロカプセル化する方法が提案されているが、マイクロカプセル化にあたり、予め重合したポリマーを用いるとカプセル化後の粒子径が大きくなりすぎるという問題があった。
上記の提案のほかに、特許文献11〜19には転相乳化法によって室温で皮膜形成性を有する樹脂を被覆した顔料を用いたインクが、特許文献20〜29には酸析法によってアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆した顔料を用いたインクが提案されている。
さらに、特許文献30〜35には、転相乳化法によってポリマー微粒子に色材を含浸させてなるポリマーエマルジョンを用いたインクが提案されている(従来例3)。しかしながら、転相乳化法や酸析法によって得られた着色剤においても、インクに使用される浸透剤等の有機溶媒の種類によっては、顔料粒子に吸着されたポリマーの脱離が起きインク中に溶解することもあり、インクの分散安定性や吐出安定性、画像品質等が十分でない場合もあった。従来例3のインクにおいては、顔料粒子に吸着されたポリマーの脱離が少なからず起きるため、分散安定性の点からインク中の顔料含有量が制限されるので、このインクを使用して得られた記録物の画像は印字濃度が低く、特に、記録媒体を普通紙とした場合には、画像の滲みが発生しやすく、また、発色性も低いという問題があった。
特開平3−157464号公報 特開平10−110129号公報 特開平11−49974号公報 特公平7−94634号公報 特開平8−59715号公報 特開平5−339516号公報 特開平8−302227号公報 特開平8−302228号公報 特開平8−81647号公報 特開平5−320276号公報 特開平08−218015号公報 特開平08−295837号公報 特開平09−3376号公報 特開平08−183920号公報 特開平10−46075号公報 特開平10−292143号公報 特開平11−80633号公報 特開平11−349870号公報 特開平2000−7961号公報 特開平9−31360号公報 特開平9−217019号公報 特開平9−316353号公報 特開平9−104834号公報 特開平9−151342号公報 特開平10−140065号公報 特開平11−152424号公報 特開平11−166145号公報 特開平11−199783号公報 特開平11−209672号公報 特開平9−286939号公報 特開2000−44852号公報 特開2000−53897号公報 特開2000−53898号公報 特開2000−53899号公報 特開2000−53900号公報
本発明は、上記問題点に鑑みて成されたものであって、その目的とするところは、
(1)分散安定性に優れる、
(2)記録ヘッドからの吐出安定性に優れる、
(3)画像の堅牢性に優れる記録物を得ることができる、
(4)画像の印字濃度が高い記録物を得ることができる、
(5)画像の耐擦性に優れる記録物を得ることができる、
(6)記録媒体として普通紙を使用する場合においても、画像が滲みにくく、また画像の発色性が高い記録物を得ることができる、
の前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを作製可能なマイクロカプセル化顔料及びその製造方法、並びに、水性分散液を提供することである。
また、本発明の目的は、前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを提供することである。
本発明者らは鋭意検討の結果、特定のマイクロカプセル化顔料を作製し、このマイクロカプセル化顔料をインクジェット記録用インクの着色剤とすることによって、驚くべきことに、前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを得ることができることを見出し、本発明を完成したものである。すなわち、本発明の技術的構成は以下の通りである。
<1> カチオン性基を表面に有する顔料粒子が、少なくともアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤を有するポリマーにより被覆されたことを特徴とするマイクロカプセル化顔料。
<2> カチオン性基を表面に有する顔料粒子が分散された水性分散液中で、少なくともアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤を重合することにより、前記顔料粒子をポリマーで被覆してなるマイクロカプセル化顔料。
<3> カチオン性基を表面に有する顔料粒子が、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーにより被覆されたことを特徴とするマイクロカプセル化顔料。
<4> カチオン性基を表面に有する顔料粒子が分散された水性分散液中で、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤と、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤とを重合することにより、前記顔料粒子をポリマーで被覆してなるマイクロカプセル化顔料。
<5> 前記ポリマーが、疎水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有することを特徴とする<1>〜<4>に記載のマイクロカプセル化顔料。
<6> 前記ポリマーが、下記一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有することを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のマイクロカプセル化顔料。
Figure 0004547893
[ただし、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2はt−ブチル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ環基を表す。mは0〜3、nは0又は1の整数を表す。]
<7> 前記ポリマーが、架橋性モノマーから誘導された架橋構造をさらに有することを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載のマイクロカプセル化顔料。
<8> 前記顔料粒子を構成する顔料が、カーボンブラックまたは有機顔料であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれかに記載のマイクロカプセル化顔料。
<9> 前記顔料粒子のカチオン性基が、第一級アミンカチオン基、第二級アミンカチオン基、第三級アミンカチオン基、第4級アンモニウムカチオン基からなる群から選択されたものである、<1>〜<4>に記載のマイクロカプセル化顔料。
<10> 前記アニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基が、スルホン酸アニオン基(−SO3 -)、スルフィン酸アニオン基(−RSO2 -:RはC1〜C12のアルキル基又はフェニル基およびその変性体)、カルボン酸アニオン基(−COO-)からなる群から選択されたものである、<1>〜<4>に記載のマイクロカプセル化顔料。
<11> 前記アニオン性重合界面活性剤の疎水性基が、アルキル基、アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されたものである、<1>〜<4>に記載のマイクロカプセル化顔料。
<12> 前記アニオン性重合界面活性剤の重合性基が、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものである、<1>〜<4>に記載のマイクロカプセル化顔料。
<13> 前記カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基が、第一級アミンカチオン基、第二級アミンカチオン基、第三級アミンカチオン基、第4級アンモニウムカチオン基からなる群から選択されたものである、<3>または<4>に記載のマイクロカプセル化顔料。
<14> 前記カチオン性重合界面活性剤の疎水性基が、アルキル基、アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されたものである、<3>または<4>に記載のマイクロカプセル化顔料。
<15> 前記カチオン性重合界面活性剤の重合性基が、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものである、<3>または<4>に記載のマイクロカプセル化顔料。
<16> カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法であって、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記アニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、さらに前記アニオン性重合性界面活性剤を加え乳化後、重合開始剤を加えて水中で重合することを特徴とするマイクロカプセル化顔料の製造方法。
<17> カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法であって、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記アニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、疎水性モノマーと前記アニオン性重合性界面活性剤と疎水性モノマーとを加えて混合し、乳化後、重合開始剤を加えて、水中で重合することを特徴とするマイクロカプセル化顔料の製造方法。
<18> カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法であって、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記アニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、疎水性モノマーと架橋性モノマー及び/又は上記一般式(1)で表されるモノマーと前記アニオン性重合性界面活性剤とを加えて混合し、乳化後、重合開始剤を加えて、水中で重合することを特徴とするマイクロカプセル化顔料の製造方法。
<19> カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法であって、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記アニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、前記カチオン性重合性界面活性剤を加え乳化後、重合開始剤を加えて水中で重合することを特徴とするマイクロカプセル化顔料の製造方法。
<20> カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法であって、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記アニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、疎水性モノマーと前記カチオン性重合性界面活性剤とを加えて混合し、乳化後、重合開始剤を加えて、水中で重合することを特徴とするマイクロカプセル化顔料の製造方法。
<21> カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法であって、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記アニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、疎水性モノマーと架橋性モノマー及び/又は下記一般式(1)で表されるモノマーと前記カチオン性重合性界面活性剤とを加えて混合し、乳化後、重合開始剤を加えて、水中で重合することを特徴とするマイクロカプセル化顔料の製造方法。
Figure 0004547893
[ただし、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2はt−ブチル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ環基を表す。mは0〜3、nは0又は1の整数を表す。]
<22> 前記顔料粒子を構成する顔料が、カーボンブラックまたは有機顔料であることを特徴とする<16>〜<21>の何れかに記載のマイクロカプセル化顔料の製造方法。
<23> <1>〜<15>の何れかに記載のマイクロカプセル化顔料を含むことを特徴とする水性分散液。
<24> <23>に記載の水性分散液を含むインクジェット記録用インク。
<25> ポリマー微粒子をさらに含有し、前記ポリマー微粒子が、その表面にアニオン性基を有し、ガラス転移温度が30℃以下であり、体積平均粒子径が50〜200nmであり、粒子表面のイオン性基が、前記マイクロカプセル化顔料表面のイオン性基と同種のものであることを特徴とする<24>に記載のインクジェット記録用インク。
<26> 水溶性有機溶媒をさらに含むことを特徴とする<24>または<25>の何れかに記載のインクジェット記録用インク。
本発明に係るマイクロカプセル化顔料及びその製造方法によれば、
(1)分散安定性に優れる、
(2)記録ヘッドからの吐出安定性に優れる、
(3)画像の堅牢性に優れる記録物を得ることができる、
(4)画像の印字濃度が高い記録物を得ることができる、
(5)画像の耐擦性に優れる記録物を得ることができる、
(6)記録媒体として普通紙を使用する場合においても、画像が滲みにくく、また画像の発色性が高い記録物を得ることができる、
の前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを作製可能なマイクロカプセル化顔料及びその製造方法、並びに、水性分散液を提供できる。
また、本発明に係るインクジェット記録用インクによれば、
(1)分散安定性に優れる、
(2)記録ヘッドからの吐出安定性に優れる、
(3)画像の堅牢性に優れる記録物を得ることができる、
(4)画像の印字濃度が高い記録物を得ることができる、
(5)画像の耐擦性に優れる記録物を得ることができる、
(6)記録媒体として普通紙を使用する場合においても、画像が滲みにくく、また画像の発色性が高い記録物を得ることができる、
の前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを提供できる。
本発明に係るマイクロカプセル化顔料は、カチオン性基を表面に有する顔料粒子が、少なくともアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されたことを特徴としている。すなわち、本発明に係るマイクロカプセル化顔料は、カチオン性基を表面に有する顔料粒子が、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されたことを特徴としたものである。
このようなマイクロカプセル化顔料は、カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法として、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記アニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、重合開始剤を加えて水中で重合する、具体的には乳化重合を行うことにより、好適に製造することができる。
また、本発明に係るマイクロカプセル化顔料は、カチオン性基を表面に有する顔料粒子が、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と疎水性モノマーとから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されたことを特徴としている。
本発明はアニオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法であって、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記アニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、疎水性モノマーとアニオン性重合性界面活性剤とを加えて乳化を行った後に、重合開始剤を加えて水中で重合する、具体的には乳化重合することにより、好適に製造することができる。
このようなマイクロカプセル化顔料は、カチオン性基を表面に有する顔料粒子表面のカチオン性基とアニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基とがイオン的に結合し、このアニオン性重合性界面活性剤の疎水性基と別のアニオン性重合性界面活性剤の疎水性基とが向き合い、後者のアニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基が水相側に向いて配向してミセル様構造を形成する。この状態で重合反応を行うと顔料粒子表面に前記の構造を維持したポリマー層が形成される。すなわち、重合反応前での顔料粒子の周囲に存在するアニオン性重合性界面活性剤の配置形態が極めて高度に制御され、最外殻では水相に向かってアニオン性基が配向した状態が形成される。そして、乳化重合反応によって、この高度に制御された形態のまま、アニオン性重合性界面活性剤がポリマーに転化される。したがって、本発明のマイクロカプセル化顔料は極めて高精度に構造が制御されたものとなる。すなわち、重合系内に、カチオン性基を表面に有する顔料粒子の表面の親水性基とアニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基とがイオン的に結合してから最外郭にアニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基が水相側に向いて配向したミセル様の構造を形成し、重合反応によってポリマー相を形成することから、乳化重合前における顔料粒子の周囲に存在するモノマーの配置形態が重合後の粒子表面の分極状態に影響を与え、よって極めて高精度で制御することができると言える。
したがって、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料は、
(1)分散安定性に優れる、
(2)記録ヘッドからの吐出安定性に優れる、
(3)画像の堅牢性に優れる記録物を得ることができる、
(4)画像の印字濃度が高い記録物を得ることができる、
(5)画像の耐擦性に優れる記録物を得ることができる、
(6)記録媒体として普通紙を使用する場合においても、画像が滲みにくく、また画像の発色性が高い記録物を得ることができる、
の前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを作製可能である。
なお、転相乳化法や酸析法等を使用するなどして、顔料に対して予め作製されたポリマーが被覆されたマイクロカプセル化顔料では、ポリマーが予め作製されていることによって顔料粒子に対する被覆状態が限定されるせいか、前記(1)〜(6)の全てを満足するようなポリマーの顔料粒子に対する被覆状態が達成されていないものと考えられる。
ここで、マイクロカプセル化顔料のアスペクト比(長短度)が1.0〜1.3であり、かつ、Zingg指数は、1.0〜1.3(より好ましくは1.0〜1.2)であることが好ましい。これにより、前記(1)、(2)、(4)及び(6)の項目をより確実に満足できる。
ある粒子の短径をb、長径をl、厚みをt(l≧b≧t>0)とした場合、アスペクト比(長短度)はl/b(≧1)、扁平度はb/t(≧1)であり、Zingg指数=長短度/扁平度=(l・t)/b2である。すなわち、真球は、アスペクト比が1であり、かつ、Zingg指数が1となる。
Zingg指数が1.3より大きくなると、マイクロカプセル化顔料がより扁平形状となって等方性が低くなるせいか、特に、前記(1)、(2)、(4)及び(6)の項目に関して、充分な結果が得られない傾向となる。アスペクト比ならびにZingg指数を上記範囲内とする方法としては特に限定されないが、カチオン性基を表面に有する顔料粒子が前記した重合法によりポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料は、この条件を容易に満たし得る。
なお、酸析法や転相乳化法等の本発明の重合法以外の方法によって作製されたマイクロカプセル化顔料では、アスペクト比ならびにZingg指数が上記範囲内になり難い。
マイクロカプセル化顔料が上記のアスペクト比ならびにZingg指数の範囲にあると、真球状となるが、これによって、インクの流動特性がニュートニアンとなりやすく、吐出安定性に優れたものとなる。また、真球状であることから、紙等の記録媒体に着弾した場合にカプセル化粒子が記録媒体上に高密度で配置され、印刷濃度や発色を高効率で発現することができる。また、真球状であることから、分散性や分散安定性にも優れる。
以下、前記した好適な製造方法において顔料粒子の起こり得る分散状態を挙げながら、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に挙げる顔料粒子の分散状態は推定を含むものである。
図1は、親水性基としてカチオン性基14を表面に有する顔料粒子1が、水を主成分とする溶媒(以下、水性溶媒ともいう)に分散するとともに、アニオン性基11と疎水性基12と重合性基13とを有するアニオン性重合性界面活性剤2とアニオン性基11’と疎水性基12’と重合性基13’とを有するアニオン性重合性界面活性剤3とが共存している状態を示す図である。アニオン性重合性界面活性剤2は、そのアニオン性基11が顔料粒子1のカチオン性基14に向くように配置され、イオン性の強い結合で吸着する。そして、このアニオン性重合性界面活性剤2の疎水性基12と重合性基13に対しては、疎水性相互作用によって、アニオン性重合性界面活性剤3の疎水性基12’と重合性基13’が向き、アニアニオン性基11’は水性溶媒の存在する方向、すなわち顔料粒子1から離れる方向に向いている。
このような水性分散液に例えば重合開始剤を添加するなどしてアニオン性重合性界面活性剤2およびアニオン性重合性界面活性剤3の重合性基を重合させることによって、図2に示すように、顔料粒子1がポリマー層60で被覆されたマイクロカプセル化顔料100'が作製される。ここで、ポリマー層60の表面はアニオン性基11'を有するので、マイクロカプセル化顔料100は、水性溶媒に分散可能である。前記アニオン性重合性界面活性剤3の代わりに、親水性基としてアニオン性基を有する親水性モノマーを使用する場合も同様にしてマイクロカプセル化顔料を作製することができる。重合の際、必要に応じて、水性分散液中に、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーとに対して共重合可能なコモノマーを存在させても良く、その場合は、ポリマー層が、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーと、コモノマーとから共重合されるコポリマー層となり得る。
また、前述に加えて、前記した好適な製造方法において顔料粒子の起こり得る分散状態を上げる。図3は、親水性基としてカチオン性基14を表面に有する顔料粒子1が、水を主成分とする溶媒(以下、水性溶媒ともいう)に分散するとともに、アニオン性基11と疎水性基12と重合性基13とを有するアニオン性重合性界面活性剤2と、アニオン性基11'と疎水性基12’と重合性基13’とを有するアニオン性重合性界面活性剤3とに対して、共存している状態を示す図である。アニオン性重合性界面活性剤2は、そのアニオン性基11が顔料粒子1のカチオン性基14に向くように配置され、イオン性の強い結合で吸着する。そして、このアニオン性重合性界面活性剤2の疎水性基12と重合性基13に対しては、疎水性相互作用によって、アニオン性重合性界面活性剤3の疎水性基12’と重合性基13’が向き、アニオン性基11’は水性溶媒の存在する方向、すなわち顔料粒子1から離れる方向に向いている。
また、顔料粒子1の表面は、特定密度で化学結合されたカチオン性基14を有するとともに、カチオン性基14の間に疎水領域50を有しており、この疎水領域50には、例えば、アニオン性重合性界面活性剤4の疎水性基12”と重合性基13”とが向いている。そしてこのアニオン性重合性界面活性剤4のアニオン性基11”には、アニオン性基11が向くようにアニオン性重合性界面活性剤2が配置される。このアニオン性重合性界面活性剤2の疎水性基12と重合性基13には、疎水性相互作用によって、他のアニオン性重合性界面活性剤3の疎水性基12’と重合性基13’が向き、アニオン性基11'は水性溶媒の存在する方向、すなわち顔料粒子1から離れる方向に向いている。
このような水性分散液に例えば重合開始剤を添加するなどしてアニオン性重合性界面活性剤2,3および4の重合性基を重合させることによって、図4に示すように、顔料粒子1がポリマー層60で被覆されたマイクロカプセル化顔料100が作製される。ここで、ポリマー層60の表面はアニオン性基11’を有するので、マイクロカプセル化顔料100は、水性溶媒に分散可能である。前記アニオン性重合性界面活性剤3の代わりに、親水性基としてアニオン性基を有する親水性モノマーを使用する場合も同様にしてマイクロカプセル化顔料を作製することができる。重合の際、必要に応じて、水性分散液中に、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーとに対して共重合可能なコモノマーを存在させても良く、その場合は、ポリマー層が、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーと、コモノマーとから共重合されたコポリマー層となり得る。
以上、図面を用いて分散状態を挙げたが、先ず、顔料粒子1が、その表面に親水性基としてカチオン性基を有することによって、水性溶媒に分散した状態となっている。水性溶媒中における顔料粒子1の分散は、表面に親水性基を有さない顔料粒子を分散剤によって分散させた場合と比較して高分散である。このようなカチオン性基を表面に有する顔料粒子がポリマーにより被覆されたマイクロカプセル化顔料によれば、図2及び図4に示すように、マイクロカプセル化顔料の表面のアニオン性基が水性溶媒の存在する方向に向いて規則正しく密に配向していることから、マイクロカプセル化顔料の水性溶媒に対する分散安定性は優れたものとなる。そのため、本発明に係るマイクロカプセル化顔料をインクジェット記録用インクの着色剤としてインクの溶媒を水性溶媒とすれば、より多重量のマイクロカプセル化顔料をインク中に含有した場合においても、従来のマイクロカプセル化顔料インクと同等以上の優れた分散安定性を得ることができる。分散安定性に優れれば、マイクロカプセル化顔料が記録ヘッドのノズルを詰まらせる虞れがなくなることから、吐出安定性も良好となる。すなわち、分散安定性および吐出安定性に優れると同時に、従来のマイクロカプセル化顔料インクと比較して着色剤の重量濃度が向上したマイクロカプセル化顔料インクを作製することができる。このような着色剤の重量濃度が高いマイクロカプセル化顔料インクを使用してインクジェット記録を行うことで、画像の堅牢性に優れるだけでなく、画像の印字濃度も高い記録物を得ることができる。
図1と図3のアニオン性重合性界面活性剤3の代わりにカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤を用いることによって、図2と図4の最外郭のアニオン性基をカチオン性基に代えたマイクロカプセル化顔料を得ることができる。係るマイクロカプセル化顔料は、その表面のカチオン性基が水性溶媒の存在する方向に向いて規則正しく密に配向していることから、水性溶媒に対する分散安定性に優れる。そのため、本発明に係るマイクロカプセル化顔料をインクジェット記録用インクの着色剤としてインクの溶媒を水性溶媒とすれば、より多重量のマイクロカプセル化顔料をインク中に含有することができ、従来のマイクロカプセル化顔料インクと同等以上の優れた分散安定性を得ることができる。分散安定性に優れれば、マイクロカプセル化顔料が記録ヘッドのノズルを詰まらせる虞れがなくなることから、吐出安定性も良好となる。すなわち、分散安定性および吐出安定性に優れると同時に、従来のマイクロカプセル化顔料インクと比較して着色剤の重量濃度が向上したマイクロカプセル化顔料インクを作製することができる。このような着色剤の重量濃度が高いマイクロカプセル化顔料インクを使用してインクジェット記録を行うことによって、画像の堅牢性に優れるだけでなく、画像の印字濃度が高い記録物を得ることができる。
より具体的に考察すれば、本発明のマイクロカプセル化顔料においては、上述したように、その表面のアニオン性基またはカチオン性基が水性溶媒側に向かって規則正しく密に配向しているものと考えられるので、マイクロカプセル化顔料の間に、効果的な静電的な反発力が生じているものと考えられる。また、このような静電的な反発力に加えて、顔料粒子を被覆しているポリマーに起因する立体障害による効果(高分子効果)も、本発明のマイクロカプセル化顔料が水性媒体中で優れた分散安定性を有する一因となっているものと考えられる。
記録媒体を普通紙とした場合に画像の滲みの発生を抑制できる理由、また、画像の印字濃度の高い理由としては、マイクロカプセル化顔料の水性溶媒側に向かって規則正しく密に配向している顔料の親水性基の働きによるところが大きいものと考えられる。インクが記録ヘッドから吐出されて普通紙上に着弾すると、インク溶媒は紙中に急速に浸透するが、従来の分散剤で分散された顔料粒子(顔料粒子を分散剤が覆っている)を用いた顔料インクでは顔料粒子が溶媒とともに紙の横方向や深部に移動して行き、普通紙表面のセルロース繊維上には吸着しにくく(この原因は、顔料表面の親水性基量が本発明の実施形態の係るマイクロカプセル化顔料に比べて少ないことと、親水性基が規則正しく密に配向した状態でないことによるためと考えられる。)、そのため印字濃度が低く発色性が不十分である。
これに対して、本発明のマイクロカプセル化顔料は、表面に存在する親水性基(特にアニオン性基またはカチオン性基)とセルロース繊維との相互作用によって普通紙のセルロース繊維上に吸着しやすい。よって、本発明のマイクロカプセル化顔料を着色剤とするインクが記録ヘッドから吐出されて普通紙上に着弾すると、着色剤が普通紙の着弾位置近傍に溜まりやすいので、高い画像濃度が得られるとともに滲みの発生も抑制されるものと考えられる。
また、本発明に係るインクジェット記録用インクは、着色剤が顔料粒子をポリマーで被覆したものであるので、従来の表面処理顔料を着色剤として用いたインクと比較して、記録媒体に対する定着性に優れ、その結果、記録物の耐擦過性を優れたものにできる。
次に、本発明に係るマクロカプセル化顔料の構成成分について詳細に説明する。
カチオン性基を表面に有する顔料粒子は、顔料粒子の表面を親水性基付与剤によって処理することにより、好適に作製することができる。よって、親水性基を表面に有する顔料粒子を構成する顔料としては、親水性基付与剤に溶解しない顔料であれば特に限定されない。このような観点から、特に、本発明のインクにおいて好ましい顔料としては、以下の無機顔料及び有機顔料を挙げることができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック,ランブブラック,アセチレンブラック,チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.l.ピグメントブラック7)類、あるいは、酸化鉄顔料等を挙げることができる。有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、及びキレートアゾ顔料などを含む。)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、又はキノフラノン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート又は酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、又はアニリンブラックなどを使用することができる。
更に詳しくは、ブラック用として使用される無機顔料として、以下のカーボンブラック、例えば、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、又はNo2200B等;コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、又はRaven700等;キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、又はMonarch 1400等;あるいは、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、又はSpecial Black 4等を使用することができる。また、ブラック用の有機顔料としては、アニリンブラック(C.l.ピグメントブラック1)等の黒色有機顔料を用いることができる。
また、イエローインク用の有機顔料としては、C.l.ピグメントイエロー1(ハンザイエロー)、2,3(ハンザイエロー10G)、4,5(ハンザイエロー5G)、6,7,10,11,12,13,14,16,17,24(フラバントロンイエロー),34,35,37,53,55,65,73,74,75,81,83,93,94,95,97,98,99,108(アントラピリミジンイエロー)、109,110,113,117(銅錯塩顔料)、120,124,128,129,133(キノフタロン)、138,139(イソインドリノン)、147,151,153(ニッケル錯体顔料)、154,167,172,180などを挙げることができる。更に、マゼンタインク用の有機顔料としては、C.l.ピグメントレッド1(パラレッド)、2,3(トルイジンレッド)、4,5(lTR Red)、6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38(ピラゾロンレッド)、40,41,42,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,88(チオインジゴ)、112(ナフトールAS系)、114(ナフトールAS系)、122(ジメチルキナクリドン)、123,144,146,149,150,166,168(アントアントロンオレンジ)、170(ナフトールAS系)、171,175,176,177,178,179(ベリレンマルーン)、184,185,187,202,209(ジクロロキナクリドン)、219,224(ベリレン系)、245(ナフトールAS糸)、又は、C.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン)、23(ジオキサジンバイオレット)、32,33,36,38,43,50などを挙げることができる。更にまた、シアンインク用の有機顔料としては、C.l.ピグメントブルー1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:34,15:4,16(無金属フタロシアニン)、18(アルカリブルートナー)、22,25,60(スレンブルー)、65(ビオラントロン)、66(インジゴ)、C.l.Vatブルー4,60等を挙げることができる。更にまた、マゼンタ,シアン又はイエローインク以外のカラーインクに用いる有機顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、10(グリーンゴールド)、36,37;C.I.ピグメントブラウン3,5,25,26;あるいはC.I.ピグメントオレンジ1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等を用いることができる。本発明に係るマクロカプセル化顔料においては、前記の顔料を1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カチオン性基を表面に有する顔料は、顔料に直接に結合する少なくとも1個の芳香族基に、少なくとも1つのカチオン性基が置換されたものである。この芳香族基としては、1または複数の環を有する不飽和環状炭化水素を挙げることができ、これは置換されていても置換されていなくてもよい。芳香族基としては、アリール基、及びヘテロアリール基を挙げられ、好ましくはフェニル基またはナフチル基である。カチオン性基はアミン置換基(第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン)、第4級アンモニウム基(−NR3 +)、第4級ホスホニウム基(−PR3 +)、及びスルホニウム基(−SR2 +)、ピリジニウム基が挙げられ、好ましくは第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基、スルホニウム基である。カチオン性基を表面に有する顔料は、上記の顔料にジアゾニウム塩を用いたジアゾ化によって芳香族基を付加し、カチオン性基で置換させることによって得ることができる。具体的には、顔料を液体反応媒体中においてジアゾニウム塩と反応させて、少なくとも1つの有機イオン性基を顔料表面に結合させることによって調製することができる。ジアゾニウム塩は、カーボンブラックに結合させる有機イオン性基を有することができる。ジアゾニウム塩は、1又は複数のジアゾニウム基を有する有機化合物である。ジアゾニウム塩は典型的に、ジアゾ化剤(例えば亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ブチル、亜硝酸ジシクロヘキシルアンモニウム、亜硝酸エチル、亜硝酸イソアミル、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、又は亜硝酸亜鉛のような任意の金属又は有機亜硝酸塩であり、また亜硝酸、酸化窒素、二酸化窒素、及びこれらの混合物を含むことができる)と、処理剤/反応体を適当な条件において反応させることによって発生させる。カチオン処理剤自身が亜硝酸塩を含むことができ、この場合には続いて酸を加えることによってジアゾニウム塩を作る。従って処理剤は、酸を加えることによってジアゾニウム塩にすることのできるジアゾ化剤(例えば亜硝酸塩)を含むことができる。
カチオン性基を表面に有する顔料の製造方法については、WO96/18688号、米国特許第5,554,739号、WO96/18696号、米国特許第5,851,280号、同第5,837,045号、同第5,803,959号、同第5,672,198号、同第5,571,311号、同第5,630,868号、同第5,707,432号、同第5,803,959号、同第5,698,016号、同第5,713,988号、WO97/47697号、同第WO97/47699号に記載されている。
以上、カチオン性基を表面に有する顔料について詳述した。上記の製造方法により、カチオン性基を表面に有する顔料の平均粒径を容易に150nm以下とすることができる。特に、カチオン性基を表面に有する顔料の平均粒径を20nm〜80nmとするのがより好ましく、これにより、分散安定性および吐出安定性が優れるとともに、画像の印字濃度を高くできるインクジェット記録用インクをより確実に作製できるマイクロカプセル化顔料を得ることができる。(本明細書において平均粒径の記述は、レーザ光散乱法の計測値によって述べている。)
カチオン性基を表面に有する顔料粒子は、少なくともアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーによって被覆されることにより、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料とされる。このようなマイクロカプセル化顔料は、前述したように、カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にアニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、さらに、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーを加え乳化した後に、重合開始剤を加えて水中で重合する、具体的には乳化重合することにより好適に作製することができる。
また、別の態様では、カチオン性基を表面に有する顔料粒子は、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位とカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーによって被覆されることにより、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料とされる。このようなマイクロカプセル化顔料は、前述したように、カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にアニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、カチオン性重合性界面活性剤を加えて乳化後、重合開始剤を加えて水中で重合する、具体的には乳化重合することにより好適に作製できる。
本発明において使用するアニオン性重合性界面活性剤の例としては、特公昭49−46291号公報、特公平1−24142号公報、又は特開昭62−104802号公報に記載されているようなアニオン性のアリル誘導体、特開昭62−221431号公報に記載されているようなアニオン性のプロペニル誘導体、特開昭62−34947号公報又は特開昭55−11525号公報に記載されているようなアニオン性のアクリル酸誘導体、特公昭46−34898号公報又は特開昭51−30284号公報に記載されているようなアニオン性のイタコン酸誘導体などを挙げることができる。
本発明において使用するアニオン性重合性界面活性剤の具体的な例としては、一般式(31):
Figure 0004547893
[式中、R21及びR31は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Z1は、炭素−炭素単結合又は式−CH2−O−CH2−で表される基であり、mは2〜20の整数であり、Xは式−SO31で表される基であり、M1はアルカリ金属、アンモニウム塩、又はアルカノールアミンである]で表される化合物、又は式(32):
Figure 0004547893
[式中、R22及びR32は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Dは、炭素−炭素単結合又は式−CH2−O−CH2−で表される基であり、nは2〜20の整数であり、Yは式−SO32で表される基であり、M2はアルカリ金属、アンモニウム塩、又はアルカノールアミンである]で表される化合物が好ましい。
前記式(31)で表される重合性界面活性剤は、特開平5−320276号公報、又は特開平10−316909号公報に記載されている。式(31)におけるR21の種類とXの値を適宜調整することによって、顔料粒子表面の親水性又は疎水性の度合いに対応させることが可能である。式(31)で表される好ましい重合性界面活性剤としては、下記の式(310)で表される化合物を挙げることができ、具体的には、下記の式(31a)〜(31d)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004547893
[式中、R31,m,M1は式(31)で表される化合物と同様]
Figure 0004547893
Figure 0004547893
Figure 0004547893
Figure 0004547893
前記のアニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンHSシリーズ(アクアロンHS−05、HS−10、HS−20、HS−1025)、あるいは、旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−10N,SE−20Nなどを挙げることができる。
旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−10Nは、式(310)で表される化合物において、M1がNH4、R31がC919、m=10とされた化合物である。旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−20Nは、式(310)で表される化合物において、M1がNH4、R31がC919、m=20とされた化合物である。
また、本発明において使用するアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式(33):
Figure 0004547893
[式中、pは9又は11であり、qは2〜20の整数であり、Aは−SO33で表わされる基であり、M3はアルカリ金属、アンモニウム塩又はアルカノールアミンである]で表される化合物が好ましい。式(33)で表される好ましいアニオン性重合性界面活性剤としては、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 0004547893
[式中、rは9又は11、sは5又は10]
前記のアニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンKHシリーズ(アクアロンKH−5、アクアロンKH−10)などを挙げることができる。アクアロンKH−5は、上記式で示される化合物において、rが9、sが5とされた化合物と、rが11、sが5とされた化合物との混合物である。アクアロンKH−10は、上記式で示される化合物において、rが9、sが10とされた化合物と、rが11、sが10とされた化合物との混合物である。
また、アニオン性重合性界面活性剤としては、下記の式(A)で表される化合物も好ましい。
Figure 0004547893
[上式中、R4は水素原子または炭素数1から12の炭化水素基を表し、lは2〜20の数を表し、M4はアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンを表す。]
以上に例示したアニオン性重合性界面活性剤は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
本発明において使用するカチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基としては、アミン置換基(第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン)、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基、及びスルホニウム基、ピリジニウム基が挙げられる。本発明において使用するカチオン性重合性界面活性剤の疎水性基としては、アルキル基,アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されることが好ましい。本発明において使用するカチオン性重合性界面活性剤の重合性基としては、不飽和炭化水素基が好ましく、さらに詳しくは、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものであることが好ましい。このなかでも特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい例として例示できる。
本発明において使用するカチオン性重合性界面活性剤の例としては特公平4−65824号公報に記載されているようなカチオン性のアリル酸誘導体などを挙げることができる。カチオン性重合性界面活性剤の具体例としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
前記のカチオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、アクリエステルDMC(三菱レイヨン(株))、アクリエステルDML60(三菱レイヨン(株))、C−1615(第一工業製薬(株))などを挙げることができる。
以上に例示したカチオン性重合性界面活性剤は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
本発明のマイクロカプセル化顔料を製造において、最初のカチオン性基を表面に有する顔料粒子表面のカチオン性基とアニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基とをイオン的に結合させる工程でのアニオン性重合性界面活性剤の添加量は、カチオン性基を表面に有する顔料の使用量から換算されるカチオン性基の総モル数(=使用した顔料の重量[g]×顔料表面のアニオン性基量[mol/g])の0.5〜2倍モルの範囲が好ましく、より好ましくは、0.8〜1.2倍モルの範囲である。0.5倍モル以上の添加量とすることによって、親水性基としてカチオン性基を有する顔料粒子にイオン的に強く結合し、容易にカプセル化が可能となる。2倍モル以下の添加量とすることで、顔料粒子に未吸着のアニオン性重合性界面活性剤の発生を少なくすることができ、顔料粒子を芯物質として持たないポリマー粒子(ポリマーのみからなる粒子)の発生を防止することができる。
本発明のマイクロカプセル化顔料を製造において、カプセル化顔料の最外郭にアニオン性基またはカチオン性基を導入するためのアニオン性重合性界面活性剤またはカチオン性重合性界面活性剤の添加、すなわち、イオン性基(アニオン性基またはカチオン性基)を水相側に向けたミセル様構造の形成工程でのアニオン性重合性界面活性剤またはカチオン性重合性界面活性剤の添加量は、カチオン性基を表面に有する顔料粒子に対して最初に添加したアニオン性重合性界面活性剤の1倍モル〜10倍モル程度の範囲が好ましく、より好ましくは1.0倍モル〜5倍モル程度の範囲である。1倍モル以上の添加量とすることにより、カプセル化粒子の分散性及び分散安定性が優れたものとなり、吐出安定性も優れたものとなる。10倍モル以下の添加量とすることでカプセル化に寄与しない親水性モノマーの発生を抑制し、そしてカプセル粒子以外に芯物質が存在しないポリマー粒子が発生することを防止できる。アニオン性重合性界面活性剤とアニオン性基を有する親水性基モノマーとを併用する場合においては、その添加量の総和が最初にカチオン性基を表面に有する顔料粒子に対して添加したアニオン性重合性界面活性剤の1倍モル〜10倍モル程度の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0倍モル〜5倍モル程度の範囲である。前述したように、1倍モル以上の添加量とすることにより、カプセル化粒子の分散性及び分散安定性が優れたものとなる。10倍モル以下の添加量とすることでカプセル化に寄与しない親水性モノマーの発生を抑制し、そしてカプセル化粒子以外に芯物質が存在しないポリマー粒子の発生を防止することができる。
本発明において使用できるアニオン性基を有する親水性モノマーとしては、その構造中に親水性基としてのアニオン性基と重合性基とを少なくとも有するもので、親水性基がスルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシル基、カルボニル基およびこれらの塩の群から選択されたものを好適に例示できる。重合性基としては、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されるのが好ましい。スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシル基、カルボニル基およびこれらの塩等のアニオン性基は、カプセル表面に水相側に配向して存在するものと考えられ、これによってカプセル化粒子の水相中での分散性及び分散安定性が優れたものとなる。また、上記のアニオン性基は、普通紙中に通常含まれるマグネシウム,カルシウム,アルミニウム等の各種の金属イオンや、カチオン性デンプンやカチオン性高分子や、セルロース繊維と相互作用しやすい。親水性基としてアニオン性基を有する重合性モノマーを使用してマイクロカプセル化顔料を作製し、このようなマイクロカプセル化顔料を着色剤とするインクジェット記録用インクを普通紙に対して吐出させれば、着色剤が普通紙の着弾位置近傍に溜まりやすいので、より確実に、画像濃度が得られるとともに滲みの発生も抑制できる。アニオン性基を有する親水性モノマーの好ましい具体例としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、リン酸基含有(メタ)アクリレート、ビニルスルホン酸ナトリウム、2−スルホエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、などを挙げることができる。
本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料は、より具体的には、以下の手順によって好適に製造される。(1)カチオン性基を表面に有する顔料が水に分散された分散液に、アニオン性重合性界面活性剤を加える。ここでは、アニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基が、カチオン性基を表面に有する顔料のカチオン性基に吸着してイオン的に結合し、固定化される。(2)このアニオン性重合界面活性剤に対して共重合可能なイオン性基(アニオン性基またはカチオン性基)と疎水性基と重合性基とを有するイオン性重合性界面活性剤(アニオン性重合性界面活性剤またはカチオン性重合性界面活性剤)と、重合開始剤とを加え、水中で重合する、具体的には乳化重合する。このような手順により、アニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、イオン性重合性界面活性剤(アニオン性重合性界面活性剤またはカチオン性重合性界面活性剤)から誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料を好適に製造できる。
さらに、詳しくは、(1)カチオン性基を表面に有する顔料が水に分散された分散液に、アニオン性重合性界面活性剤を加える。ここでは、アニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基が、カチオン性基を表面に有する顔料のカチオン性基に吸着してイオン的に結合し、固定化される。(2)このアニオン性重合界面活性剤に対してアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーと、重合開始剤とを加え、水中で重合する、具体的には乳化重合する。このような手順により、アニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料を好適に製造できる。別の態様としては、(1)カチオン性基を表面に有する顔料が水に分散された分散液に、アニオン性重合性界面活性剤を加える。ここでは、アニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基が、カチオン性基を表面に有する顔料のカチオン性基に吸着してイオン的に結合し、固定化される。(2)このアニオン性重合界面活性剤に対してカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤と、重合開始剤とを加え、水中で重合する、具体的には乳化重合する。このような手順により、アニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位とカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料を好適に製造できる。
さらに、特に、記録物の定着性、耐擦過性、耐溶剤性を制御や、インクの保存安定性の制御を目的として、他のコモノマーを添加してもよい。他のコモノマーとしては、親水性モノマー(前記アニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマー)及び/又は疎水性モノマーを挙げることができる。
特に、記録物の定着性や耐擦過性は、本発明に係るマイクロカプセル化顔料の顔料粒子を被覆している共重合体(コポリマー)のガラス転移点(Tg)を制御することによって可能である。室温において、本発明のマイクロカプセル化顔料を用いたインクで普通紙やインクジェット記録用専用メディア等の記録媒体に印字すると、本発明のマイクロカプセル化顔料粒子の周囲にある水媒体(水および/または水溶性有機溶媒からなる)が、普通紙やインクジェット記録用専用メディア等の記録媒体中に浸透して、マイクロカプセル化顔料粒子の近傍から除去されることでマイクロカプセル化顔料粒子同士が近接する。その際に、このマイクロカプセル化顔料の顔料粒子を被覆している共重合体(コポリマー)のガラス転移点(Tg)が室温以下の場合には、マイクロカプセル化顔料粒子間の間隙に生じる毛細管圧によって、マイクロカプセル化顔料の顔料粒子を被覆している共重合体(コポリマー)が融着して顔料を内部に包み込んだ(包含した)状態で成膜するため、画像の定着性や耐擦性を特に良好にできる。
一般に、高分子固体、特に無定形高分子固体において、温度を低温から高温へ上げていくと、わずかな変形に非常に大きな力の要る状態(ガラス状態)から小さな力で大きな変形が起こる状態へと急変する現象が起こるが、この現象の起こる温度をガラス転移点(またはガラス転移温度)という。一般には、熱走査型熱量計(Differential scanning calorimeter)による昇温測定によって得られた示差熱曲線において、吸熱ピークの底部から吸熱の開始点に向かって接線を引いたときのベースラインとの交点の温度をガラス転移点とする。また、ガラス転移点では弾性率、比熱、屈折率などの他の物性も急激に変化することが知られており、これらの物性を測定することによってもガラス転移点が決定されることが知られている。本発明においては、熱走査型熱量計(DSC)による昇温測定によって得られたガラス転移点を用いた。本発明のマイクロカプセル化顔料を用いたインクで普通紙やインクジェット記録用専用メディア等の記録媒体に印字した際に、本発明のマイクロカプセル化顔料が室温でより好ましく成膜するためには、マイクロカプセル化顔料の顔料粒子を被覆している共重合体(コポリマー)のガラス転移点(Tg)は、好ましくは30℃以下、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下である。したがって、マイクロカプセル化顔料の顔料粒子を被覆している共重合体(コポリマー)は、ガラス転移点が30℃以下になるように設計されることが好ましく、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下に設計されるのが好ましい。ただし、ガラス転移点が−20℃より低いと耐溶剤性が低下する傾向となる。係る共重合体(コポリマー)のガラス転移点は、使用する疎水性モノマーの種類と組成比を適宜選択することにより上記の範囲内とすることができる。マイクロカプセル化顔料の顔料粒子を被覆している共重合体(コポリマー)のガラス転移点(Tg)にあわせて、その温度以上で印刷物を加熱することが可能である場合は、ガラス転移点が加熱温度以下であれば成膜が可能であることから、ガラス転移温度は30℃を越えても構わないが、この場合には、加熱機構をインクジェット記録装置に付帯させる等の必要があり、装置のコストアップ等の問題が生じるので、ガラス転移点は30℃以下にすることが好ましい。
水性モノマー以外の親水性モノマーとしては、親水性基として水酸基、エチレンオキサイド基、アミド基、アミノ基を有するものが挙げられる。これらの親水性基は、カプセル化顔料の最外郭のイオン性基(アニオン性基またはカチオン性基)と共にカプセル表面で水相側に配向して存在すると考えられ、紙のセルロース繊維のOH基と水素結合を形成しやすい。したがって、これらの親水性基を持つ親水性モノマーを併用して得たマイクロカプセル化顔料を着色剤とするインクジェット記録用インクは、このマイクロカプセル化顔料が普通紙のセルロース繊維上により吸着しやすくなることから、着弾位置近傍且つ紙表面近傍に留まりやすくなる。これによって、さらに画像濃度が高くなり滲みの発生も抑制できる。アニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマーとしては、OH基を有する2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等、エチレンオキサイド基を有するエチルジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等、アミド基を有するアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等、アミノ基を含むN−メチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルアミノエステル類;N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、等のアルキルアミノ基を有する不飽和アミド類等と、ビニルピリジン等のモノビニルピリジン類、ジメチルアミノエチルビニルエーテルなどのアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類;ビニルイミダゾール等、N−ビニル−2−ピロリドン、などを挙げることができる。
記録物の定着性、耐擦過性、耐水性、耐溶剤性等の要求特性を満足するには、疎水性モノマーを好適に使用することができる。すなわち、本発明に係るマイクロカプセル化顔料は、カチオン性基を表面に有する顔料粒子が、少なくともアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、疎水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有していても良い。疎水性モノマーとしては、その構造中に疎水性基と重合性基とを少なくとも有するもので、疎水性基が脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基の群から選択されたものを例示できる。脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等を、脂環式炭化水素基としてはシクロヘキシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、イソボルニル基等を、芳香族炭化水素基としてはベンジル基、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。重合性基としては、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されるのが好ましい。疎水性モノマーの具体例としては、スチレンおよびメチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、p−クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ブトキシエチルアクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチルメタクリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルメタクリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;アリルベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロピオネート、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、アリルフェノキシアセテート、アリルフェニルアセテート、アリルシクロヘキサン、多価カルボン酸アリル等のアリル化合物;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸のエステル頬;N−置換マレイミド、環状オレフィンなどのラジカル重合性基を有するモノマーが挙げられる。疎水性モノマーは、上記の要求特性を満足させるものが適宜、選択され、その添加量は任意に決定される。
また、顔料粒子を被覆するポリマーは、さらに、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することも好ましい。架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することにより、ポリマー中に架橋構造が形成され、耐溶剤性(インクジェット記録用インクに含有される溶媒が顔料を被覆するポリマーの内部に浸入しにくい特性)を向上させることができる。溶剤が顔料粒子を被覆するポリマーの内部に浸透すると、ポリマーが膨潤や変形等を起こし、水性媒体側に向く顔料粒子のアニオン性基の配向状態が乱されるなどしてマイクロカプセル化顔料の分散安定性等が低下する傾向となる。これに対して、顔料粒子を被覆するポリマーに架橋構造が形成されることにより、マイクロカプセル化顔料の耐溶剤性が向上し、水溶性有機溶媒が共存するインク組成物において、より分散安定性に優れたものとなる。本発明において使用できる架橋性モノマーとしては、ビニル基,アリル基,アクリロイル基,メタクリロイル基,プロペニル基,ビニリデン基,ビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を2個以上有する化合物を有するもので、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロビレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラブロモピスフェノールAジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロビレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4一(メタクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリグリセーロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等が挙げられる。
また、顔料粒子を被覆するポリマーは、さらに下記一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することが好ましい。
Figure 0004547893
[ただし、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2はt−ブチル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ環基を表す。mは0〜3、nは0又は1の整数を表す。]
ポリマー中に一般式(1)で表されるモノマー由来の“嵩高い”基である前記R2基によって、ポリマーの分子のたわみやすさが減り、すなわち、分子の運動性が拘束されるため、ポリマーの機械的強度や耐熱性が向上し、該ポリマーで被覆された本態様のマイクロカプセル化顔料を用いたインクによる印刷物は優れた耐擦性と耐久性を具備したものとすることができる。また、“嵩高い”基である前記R2基がポリマー中に存在することによって、有機溶媒のポリマー内部への浸透を抑制できるために、本態様のマイクロカプセル化顔料は耐溶剤性に優れたものとなり、水溶性有機溶媒が共存するインク組成物において、より安定した吐出性、分散性、長期保存性を得ることができる。上記一般式(1)において、R2が示す脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンタン基、テトラヒドロフラン基、等が挙げられる。
前記したように、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーや一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーは、Tgが高く、機械的強度、耐熱性、耐溶剤性に優れるという利点がある。しかしながら、このようなポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料は、ポリマーの可塑性が不十分となって、記録媒体と密着しにくい状態となりやすく、その結果マイクロカプセル顔料の記録媒体への定着性・耐擦性が低下する場合がある。一方、前述した疎水性モノマーの中で長鎖アルキル基を有するモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーは柔軟性を有することから、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位および/または一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位と長鎖アルキル基を有するモノマーから誘導された繰り返し構造単位の比率を調整することによって、可塑性が損なわれない程度で機械的強度と耐溶剤性を有するポリマーとすることができる。このようなポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料は、記録媒体と密着しやすく、定着性に優れたものであると共に、耐溶剤性にも優れたものとなる。したがって、このマイクロカプセル化顔料を用いたインクは、水溶性有機溶媒が共存するインク組成物においても優れた吐出性安定性、分散安定性、長期保存性を得ることができる。また、このマイクロカプセル化顔料を用いたインクによって得られた印刷物は、定着性が良く、耐擦性や耐久性ならびに耐溶剤性に優れたものとすることができる。
また、上記一般式(1)で表されるモノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0004547893
Figure 0004547893
アニオン性重合性界面活性剤と、アニオン性重合界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーまたはカチオン性重合性界面活性剤との共重合、これらに加えて疎水性モノマー、架橋性モノマー、または上記一般式(1)で表されるモノマーとの共重合は、重合開始剤の添加によって開始される。このような重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤が好ましく、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2−アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、または4,4−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)などが挙げられる。
そして、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料の製造は、親水性基としてカチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に、前記アニオン性重合性界面活性剤を加え、必要に応じて、水もしくは水と水性溶媒を加えて混合し、超音波を所定時間照射した後、イオン性重合性界面活性剤(アニオン性重合制界面活性剤またはカチオン性重合性界面活性剤)、これらの他に必要に応じて、上記の疎水性モノマー、架橋性モノマー、一般式(1)で表されるモノマーを加え、さらに必要に応じて水を加えて再び超音波を所定時間照射して分散し、超音波照射と攪拌を行いながら、所定の温度(重合開始剤の活性化する温度)まで昇温して、重合開始剤を加え重合開始剤を活性化させて、水中で重合することによって好適に実施することができる。
上記疎水性モノマーを使用する場合、より具体的には、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、疎水性モノマーを加えて混合する工程と、イオン性重合性界面活性剤(アニオン性重合制界面活性剤またはカチオン性重合性界面活性剤)を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて水中で重合する工程とからなり、前記工程順に実施することによってより好適に製造することができる。
上記架橋性モノマーおよび/または前記一般式(1)で表されるモノマーを使用する場合、より具体的には、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、架橋性モノマーおよび/または前記一般式(1)で表されるモノマーを加えて混合する工程と、イオン性重合性界面活性剤(アニオン性重合制界面活性剤またはカチオン性重合性界面活性剤)を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて水中で重合する工程とからなり、前記工程順に実施することによってより好適に製造することができる。さらに、上記架橋性モノマーおよび/または前記一般式(1)で表されるモノマーと疎水性モノマーを使用する場合、より具体的には、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、架橋性モノマーおよび/または前記一般式(1)で表されるモノマーと長鎖アルキル基を有するモノマーを加えて混合する工程と、イオン性重合性界面活性剤(アニオン性重合制界面活性剤またはカチオン性重合性界面活性剤)を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて水中で重合する工程とからなり、前記工程順に実施することによってより好適に製造することができる。
本発明に係る水中での重合である乳化重合法によれば、まず、カチオン性基を表面に有する顔料粒子表面のカチオン性基にアニオン性重合性界面活性剤を吸着させ、次いで疎水性モノマーを加え、さらにイオン性重合性界面活性剤(アニオン性重合制界面活性剤またはカチオン性重合性界面活性剤)を加え超音波を照射して処理することで、顔料粒子の周囲に存在する重合性界面活性剤やモノマーの配置形態が極めて高度に制御され、最外郭では水相に向かってイオン性基(アニオン性基またはカチオン性基)が配向した状態が形成される。そして、乳化重合によって、この高度に制御された形態のまま、モノマーがポリマーに転化されて、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料が得られる。上記の方法によれば、副生成物である水溶性のオリゴマーやポリマーの生成を減少させることができる。これによって、得られたマイクロカプセル化顔料の分散液の粘度を低下でき、限外濾過等の精製工程をより容易とすることができ、係るマイクロカプセル化顔料を用いたインクは、分散安定性に優れ、記録ヘッドからの吐出安定性に優れ、普通紙に対しても滲みにくく高発色で高濃度の印刷画像を得ることができる。
重合反応は、超音波発生器、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度調節器を備えてた反応容器を使用するのが好ましい。
重合反応は、反応系内に添加された水溶性重合開始剤の開裂温度まで温度を上げることで重合開始剤を開裂させ開始剤ラジカルを発生させ、この開始剤ラジカルが重合性界面活性剤の不飽和基やモノマーの不飽和基を攻撃することによって開始される。重合開始剤の反応系内への添加は、水溶性重合開始剤を純水に溶解した水溶液を反応容器内に滴下することで好適に実施できる。反応系内の重合開始剤の活性化は、水性分散液を所定の重合温度まで昇温することにより好適に実施できる。重合温度は、60℃〜90℃の範囲とするのが好ましく、重合時間は3時間〜10時間とするのが好ましい。重合終了後に、pHを調整した後に、濾過を行なうことが好ましい。濾過は限外濾過が好ましい。なお、親水性基としてカチオン性基を表面に有する顔料粒子が水性分散液の状態にない場合は、前処理として、ボールミル、ロールミル、アイガーミル、ジェットミル等の一般的な分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。
以上のようにして得られる本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料は、自己分散型で水中に良好な分散状態で存在する小粒径の顔料粒子をポリマー層で完全に被覆する(欠陥部分がない)とともに、カプセルの最外郭のイオン性基(アニオン性基またはカチオン性基)が水性溶媒に向かって規則正しく配向するものと考えられるので(図2、図4参照)、水性溶媒に対して高い分散安定性を有し、低粘度の分散液を得ることができる。
以上に本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料について説明したが、これらのマイクロカプセル化顔料の粒子径は、好ましくは400nm以下、更に好ましくは300nm以下、特に好ましくは20〜200nmである。
[水性分散液]
本発明の実施形態に係る水性分散液は、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料を含むものであり、このような水性分散液としては、前記本発明の実施形態における乳化重合後の液を好適に例示できる。この水性分散液に、さらにインクジェット記録用インクとするための他の配合成分を常法によって添加することにより、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを製造できる。
本発明の実施形態に係る水性分散液は、限外濾過法、遠心濾過法等によって精製処理することが好ましい。このように本発明の実施形態に係る水性分散液を精製処理して、前記マイクロカプセル化顔料の被覆ポリマーを構成する成分に由来する未反応物の濃度を低減することにより、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、普通紙を使用した場合には画像の彩度の低下を起こさずに良好な彩度を有した上で印字濃度(印刷濃度)をより高くすることができ、画像の滲みも抑制される。また、インクジェット記録用専用メディア、特にインクジェット用光沢メディアを使用した場合には良好な光沢性が得られ、特に前記マイクロカプセル化顔料の被覆ポリマーのガラス転移点が30℃以下、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下であると、より光沢性に優れた、彩度の高い、優れた鮮映性を有する画像を得られるという利点を有する。
[インクジェット記録用インク]
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、前記したように、水性分散液を含んでいる。また、本発明の他の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料と水とを少なくとも含んでいる。マイクロカプセル化顔料の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、1重量%〜20重量%が好ましく、より好ましくは、3重量%〜15重量%である。特に高い印刷濃度と高発色性を得るには、5重量%〜15重量%が好ましい。
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクの溶媒は、水及び水溶性有機溶媒を基本溶媒として含むのが好ましく、また必要に応じて任意の他の成分を含むことができる。水溶性有機溶媒としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、又はイソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、あるいは、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、又はスルホランなどを挙げることができる。
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、水溶性有機溶媒として、インクジェット記録用インクの保水性と湿潤性をもたらす目的で、高沸点水溶性有機溶媒からなる湿潤剤を含有するのが好ましい。このような高沸点水溶性有機溶媒としては、沸点が180℃以上の高沸点水溶性有機溶媒を例示できる。沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルグリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールを挙げることができる。沸点が200℃以上である有機溶媒が好ましい。これらは単独又は2種以上の混合物として使用することができる。これにより、開放状態(室温で空気に触れている状態)で放置しても流動性と再分散性とを長時間で維持するインクジェット記録用インクを提供することができる。更に、印字中もしくは印字中断後の再起動時にノズルの目詰まりが生じ難くなり、高い吐出安定性が得られる。これらの水溶性有機溶媒の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、好ましくは10〜50重量%程度であり、より好ましくは10〜30重量%である。
特に、本発明の実施形態において、グリセリンを含むことによって、インクの目詰まり信頼性と保存安定性を十分に確保することができる。
さらに、水溶性有機溶媒としては、2−ピロリドン,N−メチルピロリドン,ε−カプロラクタム,ジメチルスルホキシド,スルホラン,モルホリン,N−エチルモルホリン,1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性溶媒を挙げることができ、これらから一種以上選択して用いてもよい。これら極性溶媒の添加は分散性に効果があり、インクの吐出安定性を良好とすることができる。これらの極性溶媒の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは1重量%〜10重量%である。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、水性溶媒の記録媒体に対する浸透を促進する目的で、浸透剤を含有するのが好ましい。水性溶媒が記録媒体に対して素早く浸透することによって、画像の滲みが少ない記録物を確実に得ることができる。このような浸透剤としては、多価アルコールのアルキルエーテル(グリコールエーテル類ともいう)、1,2−アルキルジオールが好ましく用いられる。多価アルコールのアルキルエーテル及び1,2−アルキルジオールからなる群から選択された1種以上の化合物を含むことによって、記録媒体へのインク溶媒成分の浸透性を高めることができるため、本発明の実施形態であるマイクロカプセル化顔料の効果と相俟って、普通紙や再生紙等への印刷においても画像の滲みが激減して印字品質を格段に向上させることができる。多価アルコールのアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。1,2−アルキルジオールとしては、例えば1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールが挙げられる。これらの他に、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール等の直鎖炭化水素のジオール類からも適宜選択されても良い。特に、本発明の実施形態においては、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールが好ましい。これらの浸透剤の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、総量で、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。特に、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の1,2−アルキルジオールを用いることによって、印字後の乾燥性と滲みが格段に改善される。
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤を含んでなることが好ましい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸、アシルメチルタウリン酸、ジアルキルスルホ琥珀酸等のスルホン酸型、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;脂肪酸塩、アルキルザルコシン塩などのカルボン酸型、;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩などのリン酸型エステル型、;等が挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどのエチレンオキシド付加型;グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、シュガーアルキルエステルなどのポリオールエステル型;多価アルコールアルキルエーテルなどのポリエーテル型;アルカノールアミン脂肪酸アミドなどのアルカノールアミド型;が挙げられる。より具体的には、アニオン性界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩などが挙げられ、ノニオン性界面活性剤の具体例としてはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系等を挙げることができる。
特に、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、界面活性剤として、アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を含んでなることが望ましい。これにより、インクを構成する水性溶媒の記録媒体への浸透性を高くでき、種々の記録媒体において滲みの少ない印刷が期待できる。本発明において用いられるアセチレングリコール化合物の好ましい具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤として市販されている市販品を利用することも可能であり、その具体例としては、サーフィノール104、82、465、485またはTG(Air Products and Chemicals. Inc.製)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(日信化学社製)が挙げられる。アセチレンアルコール系界面活性剤としては、サーフィノール61(Air Products and Chemicals. Inc.製)等が挙げられる。これらの界面活性剤の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、好ましくは0.01〜10重量%の範囲であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
また、前掲したグリコールエーテル類を使用する場合には、界面活性剤としてはアセチレングリコール化合物を併用するのが好ましい。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、ポリマー微粒子をさらに含有することができる。係るポリマー微粒子は、その表面にマイクロカプセル化顔料表面のイオン性基と同種のイオン性基を有し、ガラス転移温度が30℃以下であり、体積平均粒子径が10〜200nmであるものが好ましい。
前記したように、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーおよび/または一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料は、高い機械的強度、耐熱性、耐溶剤性を有するものの、ポリマーの可塑性が不十分となって、記録媒体への定着性・耐擦性が低下する傾向にある。しかしながら、このような可塑性が不十分なポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料と前記ポリマー微粒子とを含有するインクジェット記録用インクは、このポリマー微粒子が成膜性を有していると、ポリマー微粒子がマイクロカプセル化顔料を記録媒体上にて覆うことができる。よって、特に顔料を被覆するポリマーが架橋構造および/または“嵩高い”基を有する場合においては、前記した架橋構造および/または“嵩高い”基に起因する利点と定着性・耐擦性とを両立するインクジェット記録用インクとすることができる。
ここで、成膜性とは、ポリマー微粒子を水に分散させ水性エマルジョンの形態としたとき、この水性エマルジョンの水成分を蒸発させていくと、ポリマーの皮膜が形成されることを意味する。このポリマー微粒子を含んだ本発明のインク組成物は、その溶媒成分を蒸発させていくと、ポリマーの皮膜を同様に形成する性質を有する。このポリマーの皮膜によって、インク中のマイクロカプセル化顔料をより強固に記録媒体表面に固着することができる。これによって、より優れた耐擦過性および耐水性を有する画像が実現できる。前記ポリマー微粒子が成膜性を有するためには、ポリマー微粒子のポリマーのガラス転移点が好ましくは30℃以下、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下である。このポリマー微粒子を含有した本発明のマイクロカプセル化顔料を用いたインクで普通紙やインクジェット記録用専用メディア等の記録媒体に印字すると、本発明のマイクロカプセル化顔料粒子ならびにポリマー微粒子の周囲にある水媒体(水および/または水溶性有機溶媒からなる)が普通紙やインクジェット記録用専用メディア等の記録媒体中に浸透してこれらの粒子の近傍から除去されることでこれらの粒子同士が近接しポリマー微粒子同士及び/又はマイクロカプセル化顔料粒子の被覆ポリマー同士及び/又はポリマー微粒子とマイクロカプセル化顔料粒子の被覆ポリマーとが融着する。これによってポリマーによって顔料粒子を内部に包み込まれた(カプセル化した)状態となるため、画像の定着性や耐擦性を特に良好にすることができる。ポリマー同士の融着のし易さと成膜性を考慮すると、ポリマー微粒子はそれを構成するポリマーのガラス転移点を30℃以下となるように設計することが好ましく、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下に設計するのが好ましい。ポリマーのガラス転移点は、使用するモノマーの種類や組成比を適宜選択することによって上記の範囲内とすることができる。特にインクジェット用光沢メディアを使用した場合においては、前記マイクロカプセル化顔料の被覆ポリマーのガラス転移点を30℃以下、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下とすると、光沢性に優れて、彩度も高い、鮮映性も良好な画像を得ることができる。
ただし、ポリマー微粒子を構成するポリマーのガラス転移点以上の温度で印刷物を加熱する手段を有する場合には成膜できることからガラス転移点は前述の30℃を越えても構わない。しかしながら、この場合には、加熱機構をインクジェット記録装置に付帯する必要があるため装置のコストアップ等の問題が生じる。この点からも、ポリマー微粒子を構成するポリマーのガラス転移温度は30℃以下とするのが好ましい。
ポリマー微粒子のポリマーのガラス転移点は、弾性率、比熱、屈折率等から求める方法もあるが、本発明においては、熱走査型熱量計(DSC)による昇温測定によって得られたガラス転移点を用いた。すなわち、熱走査型熱量計(Differential scanning calorimeter)による昇温測定によって得られた示差熱曲線において、吸熱ピークの底部から吸熱の開始点に向かって接線を引いたときのベースラインとの交点の温度をガラス転移温度とした。
また、本発明の好ましい態様によれば、ポリマー微粒子は室温以下の最低造膜温度を有するものであることが好ましく、より好ましくは30℃以下、最も好ましくは10℃以下の最低造膜温度を有するものであることが好ましい。これは、ポリマー微粒子が成膜するのが室温以下であることが好ましいからである。ここで、最低造膜温度とは、ポリマー微粒子を水に分散させて得られたポリマーエマルジョンをアルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていった時に透明な連続フィルムの形成される最低の温度をいう。最低成膜温度以下の温度領域では白色粉末状となる。さらに本発明の好ましい態様によれば、ポリマー微粒子のガラス転移点は30℃以下であることが好ましい。
また、前記ポリマー微粒子の粒子径は、体積平均粒子径で50〜200nmの範囲であることが好ましい。体積粒子径が200nmを超えるとインクの吐出が不安定に成り易く成る傾向がある。
また、本発明の好ましい態様によれば、ポリマー微粒子を濃度10重量%で水媒体に分散させた水性エマルジョンのテフロン(登録商標)板上での接触角が70°以上であることが好ましい。さらに、ポリマー微粒子を濃度35重量%で水媒体に分散させた水性エマルジョンの表面張力が、40×10-3N/m(40dyne/cm、20℃)」以上であることが好ましい。上記の様なポリマー微粒子を利用することによって、より飛行曲がりを防止でき、良好な印刷が可能となる。このポリマー微粒子の利用は、より良好な耐擦過性および耐水性を実現する。その理由は定かではないが、下記の様に考えられる。すなわち、本発明によるインク組成物を紙のような記録媒体表面に付着させると、先ずインク組成物中の水および水溶性有機溶媒が記録媒体へ浸透する。そして、記録媒体の表面近傍に本発明のマイクロカプセル化顔料とポリマー微粒子とが残る。この時、このポリマー微粒子表面のイオン性基が、紙繊維を構成するセルロースの水酸基やカルボキシル基と作用して、ポリマー微粒子は紙繊維に強固に吸着する。この紙繊維に吸着したポリマー微粒子の近傍の水および水溶性有機溶媒は紙内部に浸透し減少していく。さらに、上記したように、該インク組成物を用いて得た画像は、ポリマー微粒子が成膜性を有することから、水および水溶性有機溶媒が本発明のマイクロカプセル化顔料およびポリマー微粒子の近傍から消失すると、粒子同士が合一し、本発明のマイクロカプセル化顔料を包み込んでポリマーが融着するので、顔料粒子がポリマーで被覆された状態を形成する。このポリマーの被膜は、イオン性基の存在によってより強固に記録媒体表面に固着することとなる。上記はあくまで仮定であって、本発明は上記に限定されない。さらに、このポリマー微粒子表面の高い親水性によって、係るポリマー微粒子を用いた本発明のインク組成物は、本発明のマイクロカプセル化顔料の性能を減ずることなく、優れた保存安定性が得られるとの利点をも有する。
本発明の好ましい態様によれば、ポリマー微粒子は、イオン性基を有する不飽和ビニル単量体に由来する構造を1〜10重量%含んでなり、かつ重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体によって架橋された構造を有し、架橋性単量体に由来する構造を0.2〜4重量%含有してなるものであることが好ましい。重合の際に重合可能な二重結合を二つ以上さらに好ましくは三つ以上有する架橋性単量体類を共重合させて三次元架橋させた架橋性ポリマーの利用により、ノズルプレート表面がインク組成物によりさらに濡れ難くなり、飛行曲がりをより防止でき、吐出安定性をより向上させることが出来る。
本発明においては使用可能なポリマー微粒子には単粒子構造のものやコア部とそれを囲むシェル部とからなるコアシェル構造のものが挙げられる。本発明において「コアシェル構造」とは、「組成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態」を意味する。従って、シェル部がコア部を完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル部ポリマーの一部がコア粒子内にドメインなどを形成しているものであってもよい。さらに、コア部とシェル部の中間に、更にもう一層以上、組成の異なる層を含む3層以上の多層構造を持つものであってもよい。
本発明において用いられるポリマー微粒子は、公知の乳化重合によって得ることができる。すなわち、不飽和ビニル単量体(不飽和ビニルモノマー)を重合開始剤、および乳化剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
不飽和ビニル単量体としては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、等のメタクリル酸エステル類、および酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル、等のハロゲン化単量体類;スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン、等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類が挙げられる。カルボキシル基を有さない単量体には、カルボキシル基を有する不飽和ビニル単量体の利用が必須となるが、好ましいその例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸が挙げられ、メタクリル酸の利用が好ましい。また、使用可能な乳化剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、およびこれらの混合物が挙げられる。
また、上記したように本発明にあっては、上記モノマー由来の分子を、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体によって架橋された構造を有することが好ましい。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体の例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、等のジアクリレート化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、等のジメタクリレート化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンが挙げられる。
さらに、上記単量体に加えて、アクリルアミド類または水酸基含有単量体を添加することによって、さらに印字安定性を向上させることが出来る。アクリルアミド類の例としてはアクリルアミドおよびN,N'−ジメチルアクリルアミドが挙げられる。また、水酸基含有単量体の例としては2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
また、コアシェル構造のポリマー微粒子は、公知の手法により、一般的には多段階の乳化重合などによって製造される。例えば、特開平4−76004号公報で開示されている方法によって製造することができる。重合に用いられる不飽和ビニル単量体の例としては、上記したものが同様に挙げられる。
また、乳化重合の際に使用される重合開始剤、界面活性剤、分子量調整剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用してよい。
本発明において、ポリマー微粒子は微粒子粉末としてインク組成物の他の成分と混合されてもよいが、好ましくはポリマー微粒子を水媒体に分散させ、ポリマーエマルジョンの形態とした後、インク組成物の他の成分と混合されるのが好ましい。インク組成物におけるポリマー微粒子の含有量は、0.01〜10重量%程度が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量%程度である。
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、pH調整剤を含有することもでき、好ましくは、pHを7〜9の範囲、より好ましくは、7.5〜8.5の範囲に設定される。pH調整剤としては、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、フタル酸水素カリウム、酒石酸水素カリウムなどのカリウム金属類、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリイソプロペノールアミン、ブチルジエタノールアミン、モルホリン、プロパノールアミンなどのアミン類などが好ましい。
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、防カビ剤、防腐、防錆の目的で、安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンチアゾリン−3−オン〔製品名:プロキセルXL(アビシア製)〕、3,4−イソチアゾリン−3−オン、4、4−ジメチルオキサゾリジン等を含むことができる。
また、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、記録ヘッドのノズルが乾燥するのを防止する目的で、尿素、チオ尿素、及び/又はエチレン尿素等を含むことができる。
特に好ましい本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、
(1)本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料、
(2)ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び/又は炭素数4〜10の1,2−アルキルジオールからなる群から選択される1種以上の化合物(浸透剤)、
(4)グリセリン、
(5)水、
を少なくとも含む。
このようなインクジェット記録用インクは、特に、分散安定性及び吐出安定性に優れ、更に、長期にわたって、ノズルの目詰まりもなく、安定した印字が可能である。また、普通紙や再生紙及びコート紙等の記録媒体において、印字後の乾燥性が良好で、滲みがなく、高い印刷濃度を有し、発色性に優れた高品位の画像を得ることができる。
特に好ましい本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクの別の態様は、
(1)本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料、
(2)ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び/又は炭素数4〜10の1,2−アルキルジオールからなる群から選択される1種以上の化合物(浸透剤)、
(3)アセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤、
(4)グリセリン、
(5)水、
を少なくとも含む。
このようなインクジェット記録用インクは、特に、分散安定性及び吐出安定性に優れ、更に、長期にわたって、ノズルの目詰まりもなく、安定した印字が可能である。また、普通紙や再生紙及びコート紙等の記録媒体において、印字後の乾燥性が特に良好で、滲みがほとんどなく、高い印刷濃度を有した発色性に優れた高品位の画像を得ることができる。
一般に、顔料を分散させる場合には、界面活性剤や高分子分散剤等の分散剤が用いられるが、これらの分散剤は顔料粒子表面に単に吸着しているのみであるので、通常は、何らかの環境要因によって分散剤が顔料粒子表面から脱離しやすい傾向にある。これに対して、本発明の実施形態においては、前記したように、ポリマー被膜又は架橋化ポリマー被膜でカチオン性基を表面に有する顔料粒子の表面を完全に包含カプセル化し、顔料粒子表面を取り巻いているポリマー被膜又は架橋化ポリマー被膜が非常に強固に顔料粒子表面に固着するために、顔料粒子表面から脱離しにくくなっているものと考えられる。更に詳しくは、界面活性剤や高分子分散剤等の分散剤を用いて顔料を分散した顔料分散液を用いて、前記のアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、又は1,2−アルキルジオール等の浸透剤で浸透性を向上したインクでは、細いノズルを通って吐出される際に加わる強い剪断力によって分散剤が顔料表面から容易に脱離して分散性の劣化をもたらし、吐出が不安定となる傾向がある。これに対して、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料を用いたインクジェット記録用インクでは、こうした現象が全く認められず、安定に吐出される。また、ポリマー被膜で顔料粒子を包含しているために、良好な耐溶剤性が得られるので、上記の浸透剤による顔料粒子からの脱離の促進やポリマーの膨潤等が起こりにくくなり、長期にわたって優れた分散安定性を維持することができる。また、界面活性剤や高分子分散剤等の分散剤を用いて顔料を分散した顔料分散液を用い、且つ浸透性を向上したインク組成物では、一般に、分散した当初から顔料表面には吸着されず、液中に溶解している分散剤によってインク組成物の粘度が高くなる、または分散後において時間を経過するにつれて顔料から分散剤が脱離し、この脱離した分散剤によってインク組成物の粘度が高くなる傾向にある。このため、顔料の含有量は制限されることが多い。したがって、特に普通紙や再生紙においては充分な印刷濃度を得ることができないために良好な発色性が得られないことも多い。これに対して、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料を用いたインク組成物では、前記したようにポリマー被膜が顔料粒子を包含しているので、顔料粒子からポリマーが脱離しにくいため、インク組成物の粘度増加が起こらない。したがって、インク組成物の低粘度化が容易であり、顔料粒子をより多く含有させることができるとの利点を有し、普通紙や再生紙上で充分な印刷濃度を得ることができる。
前記した特に好ましい本発明の実施形態において、前記(2)の浸透剤としてのジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量はインク組成物の全重量に対して、好ましくは10重量%以下、より好ましくは0.5〜5重量%である。ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを添加すると、浸透性の向上に顕著な効果を示し、印字品質の向上に役立つ。また、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び/又はトリエチレングリコールモノブチルエーテルは、アセチレングリコール系の界面活性剤の溶解性を向上させる。
前記した特に好ましい本発明の実施形態において、前記(2)の浸透剤としての炭素数4〜10の1,2−アルキルジオールの添加量はインク組成物の全重量に対して、好ましくは15重量%以下である。炭素数が3以下の1,2−アルキルジオールでは充分な浸透性が得られず、炭素数が15を超えると水に溶解しにくくなるので好ましくない。添加量が15重量%を超えると粘度増加の傾向が現れるので適当ではない。1,2−アルキルジオールとしては、具体的には1,2−ペンタンジオール又は1,2−ヘキサンジオールを用いるのが好ましく、それらを単独で又は両者を一緒に用いることができる。1,2−ペンタンジオールは、3〜15重量%の範囲で添加するのが好ましい。3重量%未満では良好な浸透性が得られない。1,2−ヘキサンジオールは、0.5〜10重量%の範囲で添加するのが好ましい。0.5重量%未満では良好な浸透性が得られない。
また、特に、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、目詰まりが発生しにくい特性(目詰まり信頼性)の向上のために、固体湿潤剤をインクの全重量に対して3重量%〜20重量%で含有するのが好ましい。本明細書において、固体湿潤剤とは保水機能を有する常温(25℃)で固体の水溶性物質を言う。好ましい固体湿潤剤は、糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸塩、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオールである。糖の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などがあげられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、n=2〜5の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖など)があげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビトール、キシリトールなどが挙げられる。ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸ナトリウム1%水溶液(分子量350000)として市販されているものを使用することができる。これらの固体湿潤剤は単独あるいは2種以上を混合して使用する。特に好ましい固体湿潤剤は、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサトリオール、糖類、糖アルコール類である。固体湿潤剤を使用することによって、その保水機能によって水分の蒸発を抑えることができるため、流路やノズル周辺でインクは粘度が上昇せず、皮膜も形成されにくいため、目詰りが起こり難くなる。また、上記の固体湿潤剤は化学的に安定であるため、インク中で分解することもなく、長期にわたって性能を維持することができる。また、上記の固体湿潤剤を添加してもインクはノズルプレートを濡らさず、安定した吐出を得ることができる。特に、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、糖類、糖アルコール類を使用した場合に優れる。本発明においては、上記の固体湿潤剤の含有量は、単独で使用する場合には、インクジェット記録用インク組成物の全重量に対して3〜20重量%が好ましく、より好ましくは3〜10重量%であり、二種以上混合して使用する場合には、インクジェット記録用インクの全重量に対して、二種以上の総量が3〜20重量%であるのが好ましく、より好ましくは3〜10重量%である。二種以上混合して使用する場合の好ましい組み合わせは、糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸塩のグループとトリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオールのグループとの組み合わせである。この組み合わせは、添加によるインクの粘度の上昇を抑えることが可能であることから好ましい。固体湿潤剤の含有量が3重量%未満では目詰まり性の改善に十分な効果が得られず、また20重量%を越えると粘度が上昇し安定な吐出が得られにくくなるという弊害が起こりやすい。
前記した特に好ましい本発明の実施形態において、前記(3)のアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤の添加量はインクの全重量に対して、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
以上、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを説明したが、着色剤として含有される本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化顔料は、前述したように、形状が真球状であり、インクの流動性がニュートニアンとなりやすく、表面のアニオン性基が水性溶媒側に向かって規則正しく密に配向しているものと考えられ、効果的な静電的な反発力が生じているものと考えられる。このことから、従来のマイクロカプセル化顔料と比較して吐出安定性にも優れ、より分散性(高分散性)および分散安定性に優れ、さらに、着色剤の含有濃度が向上したインクジェット記録用インクを作製することができる。
インクジェット記録は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを公知のインクジェットプリンタに搭載し、普通紙やインクジェット用記録媒体等の記録媒体に印刷することにより、好適に行われ、これにより、記録ヘッドからのインクの吐出安定性を優れたものにできるとともに、画像の堅牢性、耐擦性および発色性に優れ、画像の印字濃度が高く、画像が滲みにくい記録物を得ることができる。また、記録媒体として普通紙を使用しても、画像が滲みにくく、また画像の発色性が高い記録物が得られる。
<実施例>
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「カチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子P1の作製」
13.02gのN−(4−アミノフェニル)亜硝酸ピリジニウムを188mlの脱イオン交換水に溶解した溶液を、表面積が200m2/gでDBPAが117ml/100gであるカーボンブラック100gと反応容器内で混合し、得られる混合物を70℃で加熱した。これに、37.8mlの10%亜硝酸を加え、70〜80℃で2〜3時間にわたって反応させた。この間に、ジアゾニウム塩N264NC55 2+が形成されカーボンブラックと反応して、泡が放出された。得られた分散体に、遠心分離機で約20,000rpmで遠心分離処理を行い、濾過してカチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子を0.5μm未満にした。カチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子は−C64NC55 +基が結合しており、対応する対アニオンはNO3 -であった。必要に応じてイオン交換樹脂を用いてカチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子の顔料分散体のアニオン交換を行った。リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ100〜200nmの範囲にあった。
「カチオン性基を表面に有するマゼンタ顔料粒子M1の作製」
13.02gのN−(4−アミノフェニル)亜硝酸ピリジニウムを188mlの脱イオン交換水に溶解した溶液を、イソインドリノン顔料(C.I.ピグメントレッド122)100gと反応容器内で混合し、得られる混合物を70℃で加熱した。これに、37.8mlの10%亜硝酸を加え、70〜80℃で2〜3時間にわたって反応させた。この間に、ジアゾニウム塩N264NC55 2+が形成されマゼンタ顔料と反応して、泡が放出された。得られた分散体に、遠心分離機で約20,000rpmで遠心分離処理を行い、濾過してカチオン性基を表面に有するマゼンタ顔料粒子を0.5μm未満にした。カチオン性基を表面に有するマゼンタ顔料粒子は−C64NC55 +基が結合しており、対応する対アニオンはNO3 -であった。必要に応じてイオン交換樹脂を用いてカチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子の顔料分散体のアニオン交換を行った。リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ100〜200nmの範囲にあった。
マイクロカプセル化顔料"MCP1"〜"MCP8"の製造
「マイクロカプセル化顔料"MCP1"の製造」
カチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子”P1”15gをイオン交換水75gに分散した水性分散液に、アニオン性重合性界面活性剤として以下の一般式で表されるアクアロンKH−10を4g添加して混合した後、超音波を15分間照射した。次いで、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10を2gとイオン交換水20gを添加して混合し、再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.03gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、pHを8に調製し、限外濾過で未反応物を除去した後、孔径1μmのメンブレンフィルターで粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化顔料"MCP1"の分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、130nmであった。得られた分散液をイオン交換水で100倍に希釈し前処理を施して走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の短径、長径、厚みを測定することによってアスペクト比およびZingg指数を求めたところ、アスペクト比が1.0、Zingg指数が1.0であった。
Figure 0004547893
「マイクロカプセル化顔料"MCP2"の製造」
カチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子"P1"15gをイオン交換水75gに分散した水性分散液に、アニオン性重合性界面活性剤としてアクアロンKH−10を4g添加して混合した後、超音波を15分間照射した。次いで、ベンジルメタクリレート6g、ドデシルメタクリレート4g、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10を2gと親水性モノマーとして2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.5gとイオン交換水50gを添加して混合し、再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.4gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、pHを8に調製し、限外濾過で未反応物を除去した後、孔径1μmのメンブレンフィルターで粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化顔料"MCP2"の分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、180nmであった。得られた分散液をイオン交換水で100倍に希釈し前処理を施して走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の短径、長径、厚みを測定することによってアスペクト比およびZingg指数を求めたところ、アスペクト比が1.0、Zingg指数が1.0であった。得られた分散液を室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いて被覆ポリマーのガラス転移点を測定したところ、−7℃であった。
「マイクロカプセル化顔料"MCP3"の製造」
カチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子”P1”15gをイオン交換水75gに分散した水性分散液に、アニオン性重合性界面活性剤としてアクアロンKH−10を4g添加して混合した後、超音波を15分間照射した。次いで、カチオン性重合性界面活性剤メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライドを6gとイオン交換水20gを添加して混合し、再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10gに重合開始剤として2,2−アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.04gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、pHを6に調製し、限外濾過で未反応物を除去した後、孔径1μmのメンブレンフィルターで粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化顔料"MCP3"の分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、130nmであった。得られた分散液をイオン交換水で100倍に希釈し前処理を施して走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の短径、長径、厚みを測定することによってアスペクト比およびZingg指数を求めたところ、アスペクト比が1.0、Zingg指数が1.0であった。
「マイクロカプセル化顔料"MCP4"の製造」
カチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子"P1"15gをイオン交換水75gに分散した水性分散液に、アニオン性重合性界面活性剤としてアクアロンKH−10を4g添加して混合した後、超音波を15分間照射した。次いで、ベンジルメタクリレート6g、ドデシルメタクリレート4g、カチオン性重合性界面活性剤メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライドを6gとイオン交換水50gを添加して混合し、再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として2,2−アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.4gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、pHを6に調製し、限外濾過で未反応物を除去した後、孔径1μmのメンブレンフィルターで粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化顔料"MCP4"の分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、180nmであった。得られた分散液をイオン交換水で100倍に希釈し前処理を施して走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の短径、長径、厚みを測定することによってアスペクト比およびZingg指数を求めたところ、アスペクト比が1.0、Zingg指数が1.0であった。得られた分散液を室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いて被覆ポリマーのガラス転移点を測定したところ、−7℃であった。
「マイクロカプセル化顔料"MCP5"の製造」
カチオン性基を表面に有するマゼンタ顔料粒子”M1”15gをイオン交換水75gに分散した水性分散液に、アニオン性重合性界面活性剤としてアクアロンKH−10を4g添加して混合した後、超音波を15分間照射した。次いで、ベンジルメタクリレート6g、ドデシルメタクリレート4g、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10を2gと親水性モノマーとして2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.5gとイオン交換水50gを添加して混合し、再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.4gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、pHを8に調製し、限外濾過で未反応物を除去した後、孔径1μmのメンブレンフィルターで粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化顔料"MCP5"の分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、170nmであった。得られた分散液をイオン交換水で100倍に希釈し前処理を施して走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の短径、長径、厚みを測定することによってアスペクト比およびZingg指数を求めたところ、アスペクト比が1.0、Zingg指数が1.0であった。得られた分散液を室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いて被覆ポリマーのガラス転移点を測定したところ、−7℃であった。
「マイクロカプセル化顔料"MCP6"の製造」
カチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子"P1"20gをイオン交換水80gに分散した水性分散液に、アニオン性重合性界面活性剤としてアクアロンKH−10を4g添加して混合した後、超音波を15分間照射した。次いで、イソボルニルメタクリレート2.45g、ラウリルメタクリレート2.55g、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10を4gとイオン交換水30gを添加して混合し、再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.4gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、pHを8に調製し、限外濾過で未反応物を除去した後、孔径1μmのメンブレンフィルターで粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化顔料"MCP6"の分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、180nmであった。得られた分散液をイオン交換水で100倍に希釈し前処理を施して走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の短径、長径、厚みを測定することによってアスペクト比およびZingg指数を求めたところ、アスペクト比が1.0、Zingg指数が1.0であった。得られた分散液を室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いて被覆ポリマーのガラス転移点を測定したところ、5℃であった。
「マイクロカプセル化顔料"MCP7"の製造」
カチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子"P1"20gをイオン交換水80gに分散した水性分散液に、アニオン性重合性界面活性剤としてアクアロンKH−10を4g添加して混合した後、超音波を15分間照射して処理した。次いで、ベンジルメタクリレート8gとドデシルメタクリレート3gとジエチレングリコールジメタクリレート0.01gを混合して加え攪拌混合し、予めイオン交換水50gに溶解しておいたアニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−5を5g添加し、再び超音波を30分間照射して処理した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.6gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、pHを8に調製し、限外濾過で未反応物を除去した後、孔径1μmのメンブレンフィルターで粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化顔料"MCP7"分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、150nmであった。得られた分散液をイオン交換水で100倍に希釈し前処理を施して走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の短径、長径、厚みを測定することによってアスペクト比およびZingg指数を求めたところ、アスペクト比が1.0、Zingg指数が1.0であった。得られた分散液を室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いて被覆ポリマーのガラス転移点を測定したところ、7℃であった。
「マイクロカプセル化顔料"MCP8"の製造」
カチオン性基を表面に有するカーボンブラック粒子"P1"20gをイオン交換水80gに分散した水性分散液に、アニオン性重合性界面活性剤としてアクアロンKH−10を4g添加して混合した後、超音波を15分間照射して処理した。次いで、ベンジルメタクリレート8gとドデシルメタクリレート3gと1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート0.01gを混合して加え攪拌混合し、予めイオン交換水50gに溶解しておいたカチオン性重合性界面活性剤メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド5g添加し、再び超音波を30分間照射して処理した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として2,2−アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.6gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、pHを6に調製し、限外濾過で未反応物を除去した後、孔径1μmのメンブレンフィルターで粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化顔料"MCP8"分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、150nmであった。得られた分散液をイオン交換水で100倍に希釈し前処理を施して走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の短径、長径、厚みを測定することによってアスペクト比およびZingg指数を求めたところ、アスペクト比が1.0、Zingg指数が1.0であった。得られた分散液を室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いて被覆ポリマーのガラス転移点を測定したところ、7℃であった。
「マイクロカプセル化顔料"MCP9"〜"MCP10"の製造」
MCP9(マイクロカプセル化ブラック顔料)、MCP10(マイクロカプセル化マゼンタ顔料)を、特開平10−140065号公報に記載の方法に準じて製造した。
「"MCP9"の製造」
フラスコにメチルエチルケトン250gを仕込み、窒素シール下に、撹拌しながら、75℃まで昇温させ、n−ブチルメタクリレート85g、n−ブチルアクリレート90g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート40g、メタクリル酸25g及び重合開始剤パーブチルO(日本油脂(株)製のtert−ブチルパーオキシオクトエート)20gから成る混合液を2時間かけて滴下し、更に15時間反応させて、ビニル系ポリマーの溶液を得た。
上記のポリマー溶液8gをステンレス製ビーカーに、ジメチルエタノールアミン0.4gとブラック顔料(三菱化学製MA−100)8gとともに加え、さらにイオン交換水を加えて総量が40gとなるようにし、平均粒子径が0.5mmのジルコニアビーズ250gを加えて、サンドミルを用いて、4時間混練を行った。混練終了後に、ジルコニアビーズを濾別して、塩基で中和されたカルボキシル基を有するポリマーと顔料から成る分散体を水に分散したものを得た。これを、常温で、分散機で撹拌しながら、1規定塩酸を樹脂が不溶化して顔料に固着するまで添加した。この時のpHは3〜5であった。ポリマーの固着した顔料を含有する水性媒体を吸引濾過し、水洗して、含水ケーキを得た。この含水ケーキを分散機で撹拌しながら、分散体のpHが8.5〜9.5となるまで10%NaOH水溶液を加え、1時間撹拌を続けた後に、イオン交換水を加えて、固形分濃度が20%となるように調整して、カーボンブラックのマイクロカプセル化顔料MCP9を得た。アスペクト比は1.4、Zingg指数は、1.4であった。
「"MCP10"の製造」
フラスコにメチルエチルケトン250gを仕込み、窒素シール下に、撹拌しながら、75℃まで昇温させ、n−ブチルメタクリレート170g、n−ブチルアクリレート58g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート35g、アクリル酸35g及び重合開始剤パーブチルO 20gから成る混合液を2時間かけて滴下し、更に15時間反応させて、ビニル系ポリマーの溶液を得た。
上記のポリマー溶液15gをステンレス製ビーカーに、ジメチルエタノールアミン0.8gとマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122)15gとともに加え、さらにイオン交換水を加えて総量が75gとなるようにし、平均粒子径が0.5nmのジルコニアビーズ250gを加えて、サンドミルを用いて、4時間混練を行った。混練終了後に、ジルコニアビーズを濾別して、塩基で中和されたカルボキシル基を有するポリマーと顔料から成る分散体を水に分散したものを得た。これを、常温で撹拌しながら、1規定塩酸を樹脂が不溶化して顔料に固着するまで添加した。この時のpHは3〜5であった。ポリマーの固着した顔料を含有する水性媒体を吸引濾過し、水洗して、含水ケーキを得た。この含水ケーキを分散機で撹拌しながら、分散体のpHが8.5〜9.5となるまで10%NaOH水溶液を加え、1時間撹拌を続けた後に、イオン交換水を加えて、固形分濃度が20%となるように調整して、C.I.ピグメントレッド122のマイクロカプセル化顔料MCP9を得た。アスペクト比は1.4、Zingg指数は、1.4であった。
「“ポリマー微粒子1〜4”の製造」
「“ポリマー微粒子1”の製造」
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水90gおよびアニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−5を1g仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し溶解後、予めイオン交換水45gにアニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−5を1gとスチレン43.5g、n−ブチルアクリレート47.5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5gを撹拌して得た乳化物を、反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応させた。得られたポリマーエマルションを常温まで冷却した後、イオン交換水と2mol/l水酸化カリウム水溶液を添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマーエマルションのポリマー微粒子の濃度を0.1重量%に調製し、その3容量と1mol/l硝酸マグネシウム水溶液1容量とを分光光度計U−3300(日立製作所製)のセル内で接触させ、波長700nmにおける透過率が初期値の50%となる時間が90秒であった。
また、リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で体積平均粒子径を測定したところ、100nmであった。また、得られたポリマーエマルションを室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いてガラス転移点を測定したところ、0℃であった。また、最低成膜温度は、10℃であった。また、得られたポリマーエマルションのポリマー微粒子の濃度を10重量%に調製し、これとテフロン(登録商標)板との接触角を測定したところ、85°であった。また、得られたポリマーエマルションの表面張力を表面張力計CBVP−Z(協和界面科学製)で測定したところ、55×10-3N/m(55dyne/cm)であった。
「“ポリマー微粒子2”の製造」
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水90gおよびアニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−5を1g仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し溶解後、予めイオン交換水45gにアニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−5を1gとスチレン43.5g、n−ブチルアクリレート47.5g、ジエチレングリコールジメタクリレート0.3g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5gを撹拌して得た乳化物を、反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応させた。得られたポリマーエマルションを常温まで冷却した後、イオン交換水と2mol/l水酸化カリウム水溶液を添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマーエマルションのポリマー微粒子の濃度を0.1重量%に調製し、その3容量と1mol/l硝酸マグネシウム水溶液1容量とを分光光度計U−3300(日立製作所製)のセル内で接触させ、波長700nmにおける透過率が初期値の50%となる時間が80秒であった。また、リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で体積平均粒子径を測定したところ、100nmであった。
また、得られたポリマーエマルションを室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走
査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いてガラス転移点を測定したところ、3℃であった。また、最低成膜温度は、15℃であった。また、得られたポリマーエマルションのポリマー微粒子の濃度を10重量%に調製し、これとテフロン(登録商標)板との接触角を測定したところ、89°であった。また、得られたポリマーエマルションの表面張力を表面張力計CBVP−Z(協和界面科学製)で測定したところ、57×10-3N/m(57dyne/cm)であった。
「“ポリマー微粒子3”の製造」
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水90gおよびアニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−5を1g仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し溶解後、予めイオン交換水45gにアニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−5を1gとスチレン43.5g、n−ブチルアクリレート47.5g、エチレングリコールジメタクリレート3g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5gを撹拌して得た乳化物を、反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応させた。得られたポリマーエマルションを常温まで冷却した後、イオン交換水と2mol/l水酸化カリウム水溶液を添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマーエマルションのポリマー微粒子の濃度を0.1重量%に調製し、その3容量と1mol/l硝酸マグネシウム水溶液1容量とを分光光度計U−3300(日立製作所製)のセル内で接触させ、波長700nmにおける透過率が初期値の50%となる時間が10秒であった。
また、リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で体積平均粒子径を測定したところ、90nmであった。また、得られたポリマーエマルションを室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いてガラス転移点を測定したところ、8℃であった。また、最低成膜温度は、20℃であった。また、得られたポリマーエマルションのポリマー微粒子の濃度を10重量%に調製し、これとテフロン(登録商標)板との接触角を測定したところ、110°であった。また、得られたポリマーエマルションの表面張力を表面張力計CBVP−Z(協和界面科学製)で測定したところ、59×10-3N/m(59dyne/cm)であった。
「“ポリマー微粒子4”の製造」
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900gおよびラウリル硫酸ナトリウム4gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン435g、n−ブチルアクリレート475g、およびメタクリル酸30gを撹拌して得た乳化物を、反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応させた。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニア水とを添加して固形分40重量%、pH8に調製した。得られたポリマーエマルションを常温まで冷却した後、イオン交換水と2mol/l水酸化カリウム水溶液を添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマーエマルションのポリマー微粒子の濃度を0.1重量%に調製し、その3容量と1mol/l硝酸マグネシウム水溶液1容量とを分光光度計U−3300(日立製作所製)のセル内で接触させ、波長700nmにおける透過率が初期値の50%となる時間が70秒であった。
また、リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で体積平均粒子径を測定したところ、90nmであった。また、得られたポリマーエマルションを室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いてガラス転移点を測定したところ、12℃であった。また、最低成膜温度は、22℃であった。また、得られたポリマーエマルションのポリマー微粒子の濃度を10重量%に調製し、これとテフロン(登録商標)板との接触角を測定したところ、89°であった。また、得られたポリマーエマルションの表面張力を表面張力計CBVP−Z(協和界面科学製)で測定したところ、57×10-3N/m(59dyne/cm)であった。
「インクジェット記録用インクの作製;実施例1〜16、比較例1〜13」
表1〜表5に示す組成に基づいて、実施例1〜16および比較例1〜13のインクジェット記録用インクを調製した。
Figure 0004547893
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「評価」
実施例1〜16,比較例1〜13のインクジェット記録用インク、並びに、これらのインクを用いて印刷した記録物の評価を、下記に示す方法で行った。
評価1:粘度
実施例1〜16,比較例1〜13のインクジェット記録用インクの粘度を測定した。この結果を表6〜表7に示す。
粘度の測定は、実施例及び比較例のインクジェット記録用インクを20℃でレオメータ Paar Physica社製のPhysica MCR300でコーン半径37.50mm、コーン角1度、測定ギャップ0.05mmのコーンプレート(Paar Physica社製CP75−1)を用いて、20℃、せん断速度20sec−1における粘度(mPa・s)を測定することで行った。
評価2−1:分散性1
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクを20℃でレオメータ Paar Physica社製のPhysica MCR300でコーン半径37.50mm、コーン角1度、測定ギャップ0.05mmのコーンプレート(Paar Physica社製CP75−1)を用いて、角速度を0.5rad/secから5rad/secまで印加したときの各角速度における貯蔵剛性率(Pa)を測定した。そして、0.6rad/secの時の貯蔵弾性率をG’ω=0.6、0.8rad/secの時の貯蔵弾性率をG'ω=0.8とした。以下の基準でインクの分散性を評価した。
A:(logG'ω=0.8−logG'ω=0.6)/(log0.8−log0.6)の値が1.8〜2.0である。
B:(logG'ω=0.8−logG'ω=0.6)/(log0.8−log0.6)の値が1.6〜1.8である。
C:(logG'ω=0.8−logG'ω=0.6)/(log0.8−log0.6)の値が1.2〜1.6である。
D:(logG'ω=0.8−logG'ω=0.6)/(log0.8−log0.6)の値が1.2より小さい。
評価2−2:分散性2
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクを20℃でローリングボール式粘度計AMVnで内径0.9mmのキャピラリーと直径0.794mm,密度7.850g/cm3の鋼球を用いて、傾斜角度が70°、60°、50°、40°、30°のときの粘度を測定し、横軸をsinθとし、縦軸を粘度としてプロットして得たsinθ−粘度曲線における勾配を求めた。以下の基準でインクの分散性を評価した。
A:sinθ−粘度曲線における勾配が0〜−0.05であり、ニュートン性を示し、特に良好な分散性を示す。
B:sinθ−粘度曲線における勾配が−0.05〜−0.1であり、ニュートン性に近く、Aに次いで良好な分散性を示す。
C:sinθ−粘度曲線における勾配が−0.1〜−0.15であり、非ニュートン性を示すが、分散性はやや良い。
D:sinθ−粘度曲線における勾配が−0.15より小さく、非ニュートン性を示し、沈降が起こり易く、分散性が良くない。
評価3:分散安定性
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃で2週間放置して、放置前後でのインクの粘度について調べた。測定は、レオメータ Paar Physica社製のPhysica MCR300でコーン半径37.50mm、コーン角1度、測定ギャップ0.05mmのコーンプレート(Paar Physica社製CP75−1)を用いて、20℃で、剪断速度が150S−1における粘度を測定した。得られた結果を以下の基準で評価した。
A:変化量が±0.1mPa・s未満のもの。
B:変化量が±0.1以上0.3mPa・s未満のもの。
C:変化量が±0.3mPa・s以上のもの。
評価4:沈降性
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクについて、インク中の着色剤の沈降性をサンプルの高さ方向の後方散乱光と透過光の強度分布から沈降性を評価することのできるFORMUL ACTION社製のTURBISCAN 2000を用いて、20℃で測定した。FORMUL ACTION社製TURBISCAN 2000の測定原理を以下に示す。この装置は、該装置の所定の位置にインクを入れたガラス管をセットして測定を開始すると、このガラス管の周り(径方向)を取り巻くように設置されたステージがガラス管に沿って上下方向に移動する仕組みとなっており、該ステージ上に設置された光源と散乱光および透過光の検出器が、ステージの上下動に合わせて、このガラス管の縦方向に対し散乱光・透過光の強度分布を40μmのピッチで測定し、この動作を任意の時間間隔で繰り返すことによって粒子の移動や粒子径の変化があった場合に光の強度として経時的に観測することができる測定装置である。
評価は以下の基準で行った。
A:2週間経過後にも沈降現象が見られなかった。
B:2週間経過後に沈降現象が見られた。
評価5:印刷濃度
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクをインクカートリッジに充填し、これをインクジェットプリンタPM−720C(セイコーエプソン株式会社製)に装填して、普通紙のXerox P紙、Xerox 4024紙(ゼロックス社製)に、ベタ印刷を行い、このベタ印刷部分の濃度を分光光度計(グレタグマクベス社製、GRETAG SPM−50)で測定し、得られた結果を下記に示す基準により評価した。
(ブラックインクの場合)
AA:ブラックインクのOD値:1.5以上
A:ブラックインクのOD値:1.4以上1.5未満
B:ブラックインクのOD値:1.3以上1.4未満
C:ブラックインクのOD値:1.3未満
(カラーインクの場合)
AA:カラーインクのOD値:1.25以上
A:カラーインクのOD値:1.2以上1.25未満
B:カラーインクのOD値:1.15以上1.2未満
C:カラーインクのOD値:1.15未満
評価6:印字品質
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクをインクカートリッジに充填し、これをインクジェットプリンタPM−720C(セイコーエプソン株式会社製)に装填して、以下の普通紙各紙(再生紙を一部含む。)にアルファベットの大文字と小文字の各24文字を印刷し、目視での観察を行い、以下の基準で評価した。
AA:全紙に滲みの発生が無い。
A:全紙に滲みの発生がほとんど無い。
B:2〜3紙に僅かに滲みの発生が観察されるのみである。
C:全紙で僅かに滲みの発生が観察される。
D:全紙で滲みの発生が多い。
評価に用いた印刷用紙は、Conqueror紙、Favorit紙、Modo紙、Rapid Copy紙、EPSON EPP紙、Xerox P紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり(再生紙)、Xerox R(再生紙)の12紙である。
評価7:耐擦性
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクをインクカートリッジに充填し、これをインクジェットプリンタPM−720C(セイコーエプソン株式会社製)に装填して、セイコーエプソン製 スーパーファイン専用光沢フィルムに10mm×10mmの領域に100%dutyでベタ印刷し、25℃の温度で1時間放置した後に、上記の印刷領域をゼブラ社製イエロー水性蛍光ペン ZEBRA PEN2(商標)を用いて、500g荷重で速度10mm/秒で擦り、汚れの発生の有無を観察した。その結果を以下の基準で評価した。
A:2回擦っても全く汚れが生じない。
B:1回の擦りでは汚れが生じないが、2回目の擦りで汚れが発生する。
C:1回の擦りで汚れが発生する。
評価8:耐水性
評価5の印字濃度試験で得られた印刷物の印字部分に1mlのイオン交換水を滴下し、20分後の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:全紙に変化が無い。
B:印字部分から僅かに色材が流れ出しているが、文字の認識は可能である。
C:印字部分から色材が流れ出して印字した文字の輪郭が不鮮明のため文字の認識が困難である。
評価9:吐出安定性
実施例及び比較例の各インクについて、これをインクジェットプリンタPM−720C(セイコーエプソン株式会社製)に装填して、セイコーエプソン(株)製スーパーファイン専用紙に、1mmの罫線を印刷して、ドット抜けやインク着弾位置ずれ等の印字の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:印字枚数が10000枚以上印字してもドット抜けやインク着弾位置ずれがない。
B:印字枚数が1000枚以上10000枚未満でドット抜けやインク着弾ずれが発生する。
C:印字枚数が100枚以上1000枚未満でドット抜けやインク着弾ずれが発生する。
D:印字枚数が100枚未満でドット抜けやインク着弾ずれが発生する。
評価10:目詰まり信頼性
前記評価6での行った印刷の後、プリンタの電源をオフにして放置し、1週間後に同様な印字試験を行った。その時の"インクの吐出状況"を目視で観察した。そして、以下に示す基準で評価した。
A:印字信号をプリンタに送信すると同時に、クリーニング動作なしで正常な印字を開始する。
B:クリーニング動作3回以内で、正常な印字を行う。
C:クリーニング動作6回以内で、正常な印字を行う。
D:クリーニング動作を7回以上繰り返しても、正常な印字が行えない。
評価11:光沢
実施例及び比較例のインクジェット記録用インクをインクカートリッジに充填し、これをインクジェットプリンタPM−720C(セイコーエプソン株式会社製)に装填して、セイコーエプソン製 スーパーファイン専用光沢フィルム及びPM写真用紙(光沢)に50mm×50mmの領域に100%dutyでベタ印刷し、25℃の温度で1時間放置した後に、光沢の有無を目視で観察し、以下に示す基準により評価した。
A:非常に光沢がある(高光沢である。)。
B:光沢があるが、Aよりは劣る。
C:やや光沢がある。
D:光沢が全くない。
Figure 0004547893
Figure 0004547893
表6および表7に示すように、実施例のインクジェット記録用インクは、全ての評価項目において優れたものとなった。特に、従来型のマイクロカプセル化顔料を着色剤として含有するとともに、マイクロカプセル化顔料の濃度が実施例のインクと同等に設定された比較例3〜4のインクジェット記録用インク及び顔料を分散剤で分散したインクジェット記録用顔料インクである比較例9〜13のインクジェット記録用インクに比較して低粘度を実現したものとなった。
また、本発明のマイクロカプセル化顔料と固体湿潤剤を含有する実施例1〜16のインクジェット記録用インクは、特に、目詰まり信頼性において良好な結果を示した。
比較例9〜13の顔料を分散剤で分散したインクジェット記録用顔料インクは、分散性、分散安定性、印刷濃度、印字品質、耐擦性、吐出安定性が不充分である。
カチオン性基付与剤による処理を施していない通常の粉体顔料をポリマーで被覆した従来型のマイクロカプセル化顔料を着色剤として使用した場合で、マイクロカプセル化顔料の濃度を実施例のインクよりも低く設定した比較例1〜2のインクジェット記録用インクは、分散安定性および吐出安定性には優れるものの、得られた記録物の印字濃度、印字品質、耐擦性については、十分な結果が得られなかった。
一方、前記従来型のマイクロカプセル化顔料を着色剤として含有するとともに、マイクロカプセル化顔料の濃度が実施例のインクと同等に設定された比較例3〜4のインクジェット記録用インクは、分散性、分散安定性、吐出安定性が特に劣ったものとなった。また、カチオン基付与剤による処理がされた顔料(カチオン性基を表面に有する顔料)を着色剤として含有する比較例5〜8のインクジェット記録用インクは、分散安定性および吐出安定性は良好であるものの、耐水性、耐擦性が劣ったものとなった。
本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、ノズルヘッドの吐出部分に近い一部でインク液の一部を急速に加熱して泡を発生させ、その泡による体積膨張でインク液滴を断続的に吐出して、記録媒体表面に文字や記号を記録するインクジェット記録方法や印刷インキ、筆記具等の用途にも適用できる。
カチオン性基を表面に有する顔料粒子のカチオン性基にアニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基がイオン的に吸着し、さらにアニオン性重合性界面活性剤によってミセル状態を形成していることを示す模式図である。 図1においてアニオン性重合性界面活性剤が重合してポリマー層が形成されたことを示す模式図である。 カチオン性基を表面に有する顔料粒子のカチオン性基にアニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基がイオン的に吸着し、また、カチオン性基を表面に有する顔料粒子の疎水性面にアニオン性重合性界面活性剤の疎水性基が吸着し、さらにアニオン性重合性界面活性剤によってミセル状態を形成していることを示す模式図である。 図3においてアニオン性重合性界面活性剤が重合してポリマー層が形成されたことを示す模式図である。
符号の説明
1 顔料粒子
2,3,4 アニオン性重合性界面活性剤
11,11’,11’’ アニオン性基
12,12’,12’’ 疎水性基
13,13’,13’’ 重合性基
14 顔料表面のカチオン性基
50 顔料粒子の疎水性面
60,60’ ポリマー層(ポリマー)
100,101 マイクロカプセル化顔料

Claims (18)

  1. カチオン性基を表面に有する顔料粒子が、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーにより被覆されたことを特徴とするマイクロカプセル化顔料。
  2. カチオン性基を表面に有する顔料粒子が分散された水性分散液中で、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤と、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤とを重合することにより、前記顔料粒子をポリマーで被覆してなるマイクロカプセル化顔料。
  3. 前記ポリマーが、疎水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロカプセル化顔料。
  4. 前記ポリマーが、下記一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単
    位をさらに有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のマイクロカプセル化
    顔料。
    Figure 0004547893
    [ただし、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2はt−ブチル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ環基を表す。mは0〜3、nは0又は1の整数を表す。]
  5. 前記ポリマーが、架橋性モノマーから誘導された架橋構造をさらに有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のマイクロカプセル化顔料。
  6. 前記顔料粒子を構成する顔料が、カーボンブラックまたは有機顔料であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のマイクロカプセル化顔料。
  7. 前記顔料粒子のカチオン性基が、第一級アミンカチオン基、第二級アミンカチオン基、第三級アミンカチオン基、第4級アンモニウムカチオン基からなる群から選択されたものである、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル化顔料。
  8. 前記アニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基が、スルホン酸アニオン基(−SO3-)、スルフィン酸アニオン基(−RSO2-:RはC1〜C12のアルキル基又はフェニル基およびその変性体)、カルボン酸アニオン基(−COO-)からなる群から選択されたものである、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル化顔料。
  9. 前記アニオン性重合界面活性剤の疎水性基が、アルキル基、アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されたものである、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル化顔料。
  10. 前記アニオン性重合界面活性剤の重合性基が、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものである、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル化顔料。
  11. 前記カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基が、第一級アミンカチオン基、第二級アミンカチオン基、第三級アミンカチオン基、第4級アンモニウムカチオン基からなる群から選択されたものである、請求項またはに記載のマイクロカプセル化顔料。
  12. 前記カチオン性重合界面活性剤の疎水性基が、アルキル基、アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されたものである、請求項またはに記載のマイクロカプセル化顔料。
  13. 前記カチオン性重合界面活性剤の重合性基が、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものである、請求項またはに記載のマイクロカプセル化顔料。
  14. カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法であって、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にアニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、カチオン性重合性界面活性剤を加え乳化後、重合開始剤を加えて水中で重合することを特徴とするマイクロカプセル化顔料の製造方法。
  15. カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法であって、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にアニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、疎水性モノマーとカチオン性重合性界面活性剤とを加えて混合し、乳化後、重合開始剤を加えて、水中で重合することを特徴とするマイクロカプセル化顔料の製造方法。
  16. カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化顔料の製造方法であって、前記カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にアニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、疎水性モノマーと架橋性モノマー及び/又は下記一般式(1)で表されるモノマーとカチオン性重合性界面活性剤とを加えて混合し、乳化後、重合開始剤を加えて、水中で重合することを特徴とするマイクロカプセル化顔料の製造方法。
    Figure 0004547893
    [ただし、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2はt−ブチル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ環基を表す。mは0〜3、nは0又は1の整数を表す。]
  17. 前記顔料粒子を構成する顔料が、カーボンブラックまたは有機顔料であることを特徴とする請求項1416の何れかに記載のマイクロカプセル化顔料の製造方法。
  18. 請求項1〜13の何れかに記載のマイクロカプセル化顔料を含むことを特徴とする水性分散液。
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