JP2008049245A - 軟水化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】メンテナンスの手間を掛けることなく、低コストで軟水を製造することができる軟水化装置を提供すること。
【解決手段】軟水化装置10は、一対の電極24,25に通電することにより電解槽23に収容された原水50を電気分解する電解手段20を具え、電極24,25は、導電性セラミックスからなる基材と、該基材に添加される金属触媒及び酸化物触媒からなる。原水に元々含まれているカルシウムイオンや炭酸イオン等のイオンを反応させて電極表面に炭酸塩を析出させることによって原水中の硬度成分を除去して軟水化するため、複雑な設備を要することなく低コストで軟水を生成することが可能になり、また、電極として、導電性セラミックスからなる基材に金属触媒及び酸化物触媒を添加して得られるものを適用したことで、電極の使用寿命を長くすることができ、メンテナンスの手間を著しく低減させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水道水や地下水に含まれる硬度成分を除去して軟水化する装置に関する。
従来、水道水や地下水に含まれているカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度成分を除去して軟水化する方法として、イオン交換樹脂からなる層に原水を通して水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンを除去するイオン交換法(例えば特許文献1を参照)や、原水を蒸留装置で煮沸して蒸気にし、この蒸気を冷却して蒸留水を生成する蒸留法等が知られている。
特開平8−164385号公報
上記のイオン交換法は最も一般的に行われている方法であり、イオン交換樹脂に原水を通して、水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンをナトリウムイオンや水素イオンに置換することにより軟水化している。そのため、イオン交換樹脂の交換基であるナトリウムイオンや水素イオンがすべてカルシウムイオンやマグネシウムイオンで置換されてしまった場合、それ以上のイオン交換が不可能になるため、イオン交換能を回復させるためのイオン交換樹脂の再生を定期的に行う必要がある。このイオン交換樹脂の再生は、食塩水や酸・アルカリ等の再生剤をイオン交換樹脂に通すことにより行われるが、手間の掛かる作業である上に再生に要する時間が長く、また、これらの再生剤はイオン交換樹脂の再生を行うたびに大量に必要でありコストが掛かるという問題がある。
また、蒸留法では原水を加熱したり蒸気を冷却するための設備が必要であり、処理コストが高くなるという問題がある。
本発明は、上記の点に鑑み、メンテナンスの手間を低減させるとともに、低コストで軟水を製造することができる軟水化装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る軟水化装置は、一対の電極に通電することにより電解槽に収容された原水を電気分解する電解手段を具え、前記電極が、導電性セラミックスからなる基材と、該基材に添加される金属触媒及び酸化物触媒からなることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る軟水化装置は、上記請求項1において、前記原水及び/又は前記電極に振動を付与することにより前記電極表面の析出物を除去する振動付与手段をさらに具えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る軟水化装置は、上記請求項2において、前記振動付与手段を駆動させる場合に前記電極の極性を反転させることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係る軟水化装置は、上記請求項1から3のいずれか一つにおいて、前記基材が、窒化チタン、ホウ化チタン、窒化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウムのいずれか一種又はこれらを主成分とする導電性セラミックスからなることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係る軟水化装置は、上記請求項1から4のいずれか一つにおいて、前記金属触媒がパラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金のいずれか一種の金属又は二種類以上を主成分とする合金からなり、前記酸化物触媒が、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金のいずれか一種の酸化物又は二種類以上を主成分とする酸化物からなることを特徴とする。
本発明の軟水化装置によれば、原水を電気分解し、原水に元々含まれているカルシウムイオンや炭酸イオン等のイオンを反応させて電極表面に炭酸塩を析出させることによって原水中の硬度成分を除去して軟水化するため、複雑な設備を要することなく低コストで軟水を生成することが可能になる。また、電極として、導電性セラミックスからなる基材に金属触媒及び酸化物触媒を添加して得られるものを適用したことで、基材と触媒が剥離することがなくなるため、電極の使用寿命を長くすることができ、メンテナンスの手間を著しく低減させることができる。
以下に、本発明の軟水化装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、図1を用いて、軟水化装置10の構成について説明する。
図1は、本発明の実施例である軟水化装置10の装置概念図である。ここで例示する軟水化装置10は、水道水50を原水とし、水道水50を電気分解して電極に炭酸カルシウム等の硬度成分を析出させることにより原水中の硬度成分を除去して軟水51を供給するもので、電解手段20、圧電素子30及び制御手段40を具えている。
図1に示すように、電解手段20は、陽極と陰極との間に隔膜を有しない無隔膜型の電解槽23と、この電解槽23内に対向して設けられた一対の電極24、25と、この電極24、25に通電する直流電源26とから構成される。電解槽23の上方には原水給水口21(以下、省略して「給水口21」という)、下方には軟水吐出口22(以下、省略して「吐出口22」という)とが設けられている。
電極24,25は、以下に示す基材、金属触媒及び酸化物触媒とを焼結することにより得られる多孔質焼結体から構成される。基材は窒化チタン、ホウ化チタン、窒化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウムのいずれか一種又はこれらを主成分とする導電性セラミックスからなり、また、金属触媒はパラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金のいずれか一種の金属又は二種類以上を主成分とする合金からなり、酸化物触媒は、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金のいずれか一種の酸化物又は二種類以上を主成分とする酸化物からなる。この電極24,25は、粉体からなる上記基材に、同じく粉体からなる上記金属触媒及び酸化物触媒を添加して、これらの触媒が基材内に万遍なく分散されるように混合し、微粉砕処理を行ったものを出発原料とし、この出発原料を放電プラズマ焼結装置内の焼結ダイとパンチの型に充填し、この型を水冷真空チャンバー内の焼結ステージにセットして焼結することにより製造することができる。混合時の基材に対する金属触媒及び酸化物触媒の重量比は、40対1以上、好ましくは20対1以上であり、原子数の比率で表すと、基材の原子数に対して触媒の原子数が2%以上であることが好ましい。この電極24,25は基材中に触媒の微粒子が満遍なく分散して存在するため、基材と触媒とが剥離するようなことがなく、例えば金属チタンの表面を白金等の層で被覆した従来の被覆型の電極と比べて耐久性に非常に優れるものである。以下、この電極24,25を陽極24,陰極25と呼ぶ。
圧電素子30は、制御手段40からの信号に基づいて、電源28により所定の電圧が印加された場合に振動するものであり、電解槽23の外面に設置されている。なお、後述するように、本実施形態では、圧電素子30を駆動させる場合に電極24,25の極性を反転させる構成としている。
制御手段40は、所定の時間ごとに電極の極性を反転させ、この電極の極性の反転に伴い圧電素子30を駆動させるものである。
給水口21から電解槽23内部に所定量の水道水50を供給し、直流電源26によって一対の電極24,25に通電することにより電気分解を行う。水道水50中には、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、炭酸イオン(CO3 2-)等のイオンが存在し、上記電気分解が進行すると、これらのイオンが反応して陰極25の両面に炭酸カルシウム(CaCO3)や炭酸マグネシウム(MgCO3)等の炭酸塩が析出する(以下、便宜上、析出物を炭酸カルシウムのみとする)。これにより、水道水50中のカルシウムイオン濃度が低下して水道水50が軟水化し、所望の硬度を有する軟水51が吐出口22から吐出される。なお、本実施例では、電極24,25間に常に一定の電流が流れる定電流制御を行うことにより、吐出口22から吐出される軟水51の硬度を一定に維持している。
電気分解を続けると、電解槽23内の水道水中のカルシウムイオンが減って軟水化するとともに、陰極25表面への炭酸カルシウムの析出量が増えていく。炭酸カルシウムは絶縁性であるから、陰極25表面に炭酸カルシウムが堆積すると電解電圧が上昇したり、電解電流が流れにくくなり、電気分解を続けることが困難となる。
そこで、所定の時間ごとに、制御手段40からの信号により電極の極性を反転させ、通常の使用時とは逆向きに電流を流す。すなわち、陽極24が陰極に、陰極25が陽極になるように極性を変える。この極性の反転を行うと同時に、制御手段40からの信号により電解槽23の外面に設置された圧電素子30を駆動させる。圧電素子30を駆動させると圧電素子30が振動し、電解槽23内に収容された水道水50が振動する。この振動によって陰極25表面に付着した炭酸カルシウムを剥離させ、電解槽23の底部に沈殿させる。沈殿した炭酸カルシウムは、電解槽23の底部に設置されたドレイン27に適宜排出される。
上記のように構成された軟水化装置10を用いて以下の試験を行った。
容積500mlの無隔膜型の電解槽23内に対向して1対の電極24,25を配置した。電極寸法は100mm×100mm、電極間距離は5mmである。この電極24,25は、基材として窒化チタン、金属触媒として白金、酸化物触媒として酸化イリジウムを用い、これらを混合して微粉砕処理をしたものを焼結して作成したものである。給水口21から水道水50を毎分約2リットルの流量で給水し、電極に0.4A/dm2の電流密度で通電を行った。電流を流した直後に吐出口22から吐出された水の硬度は約100mg/l:炭酸カルシウム換算であった。
電気分解を続けると、陰極25の両面に炭酸カルシウムが析出し始めた。通電を開始してから60分後に電極の極性を反転させるとともに、電解槽23外面に設置した圧電素子30を駆動させて水中に振動を与え、炭酸カルシウムを陰極25の表面から剥離させ、電解槽23の底部に沈殿させた。通電開始から120分後に吐出口22から吐出された水の硬度は、10mg/l:炭酸カルシウム換算であった。
その後も連続して通水を行い、60分ごとに電極の極性を反転させるとともに圧電素子30を駆動させて電極表面の炭酸カルシウムの除去を行った結果、通水量が2000m3(2,000,000リットル)になるまで、ほぼ同等の硬度(10mg/l:炭酸カルシウム換算)の軟水を得ることができた。
上記のようにして構成される軟水化装置10によれば、原水を電気分解し、原水に元々含まれているカルシウムイオンや炭酸イオン等のイオンを反応させて電極表面に炭酸塩を析出させることによって原水中の硬度成分を除去して軟水化するため、複雑な設備を要することなく低コストで軟水を生成することが可能になる。また、電極24,25として、導電性セラミックスからなる基材に金属触媒及び酸化物触媒を混合して微粉砕処理した原料を焼結して得られたものを適用することにより、電極24,25の極性反転が繰り返されても、従来の被覆型電極のように基材と触媒が剥離することがなくなる。その結果、電極の耐久性が向上し使用寿命が長くなるから、メンテナンスの手間を低減させることができる。
また、所定時間ごとに圧電素子30を駆動させて電解槽23に収容された原水に振動を与えることにより、炭酸カルシウムを陰極25の表面から剥離させて除去するようにしたので、絶縁性の炭酸カルシウムが陰極25の表面に堆積して電気分解が阻害されることがなく、連続して電気分解を行うことができるようになるから、電極24,25のメンテナンスが実質的に不要になり、メンテナンスの手間を著しく低減させることが可能となる。
また、圧電素子30の駆動時に電極の極性を反転させることにより、陰極25表面の炭酸カルシウムがより剥離しやすくなるという効果を奏する。これは、陽極(反転前の陰極25)では、通電によって電極に含まれている金属成分がイオン化する際に原水中に溶解して、陰極として使用していた際に付着していた炭酸カルシウム層とともに剥離することによるものである。
なお、上記実施例では、所定時間ごとに圧電素子30の駆動及び電極の24,25の極性の反転を行う構成としたが、所定の通水量に達するごとに圧電素子30の駆動及び極性の反転を行う構成としてもよい。また、上記実施例では、圧電素子30の駆動と極性の反転を同時に行う構成としたが、電極24,25の極性を反転させた後に圧電素子30を駆動させる構成としてもよく、また、その逆の構成としてもよい。
また、上記実施例では、圧電素子30を振動させることによって、電解槽23内に収容された水道水50を振動させて陰極25表面に付着した炭酸カルシウムを剥離させたが、水流を起こすことによって炭酸カルシウムの剥離を促すようにしてもよい。また、上記実施例では圧電素子30を電解槽23の外面に設置したが、圧電素子30を電解槽23の内面に設置してもよい。また、圧電素子30を電極24,25に直接設置して、電極自体を振動させるようにしてもよい。
さらに、上記実施例では1対の電極を用いたが、1対以上の電極を用いてもよい。また、上記実施例では原水として水道水を用いたが、例えば地下水等、カルシウムイオンや炭酸イオン等を元々含有する水であれば水道水以外の水でも適用することが可能である。
以上のように、本発明の軟水化装置によれば、原水を電気分解することにより炭酸塩を電極表面に析出させ、電解槽に収容された原水及び/又は電極に振動を与えることにより炭酸塩を電極表面から剥離させて除去するようにしたことで、絶縁性の炭酸塩が電極表面に堆積して電気分解が阻害されるようなことがなく、連続して電気分解を行うことが可能となるため、メンテナンスの手間を著しく低減させるとともに、低コストで軟水を製造することができる。
本発明の実施例である軟水化装置の概念図である。
符号の説明
10 軟水化装置
20 電解手段
23 電解槽
24 陽極(電極)
25 陰極(電極)
30 圧電素子(振動付与手段)
50 水道水(原水)
51 軟水

Claims (5)

  1. 一対の電極に通電することにより電解槽に収容された原水を電気分解する電解手段を具え、
    前記電極が、導電性セラミックスからなる基材と、該基材に添加される金属触媒及び酸化物触媒からなることを特徴とする軟水化装置。
  2. 前記原水及び/又は前記電極に振動を付与することにより前記電極表面の析出物を除去する振動付与手段をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の軟水化装置。
  3. 前記振動付与手段を駆動させる場合に前記電極の極性を反転させることを特徴とする請求項2に記載の軟水化装置。
  4. 前記基材が、窒化チタン、ホウ化チタン、窒化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウムのいずれか一種又はこれらを主成分とする導電性セラミックスからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の軟水化装置。
  5. 前記金属触媒がパラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金のいずれか一種の金属又は二種類以上を主成分とする合金からなり、前記酸化物触媒が、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金のいずれか一種の酸化物又は二種類以上を主成分とする酸化物からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の軟水化装置。
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