JP2008048650A - アミノ基を含む多糖類とシリカゲルからなるたばこフィルタ素材およびそれを用いたたばこフィルタ。 - Google Patents
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Abstract
率よく除去するのに有用なたばこフィルタを提供する。
【解決手段】たばこフィルタを、アミノ酸類およびアミノスルホン酸類から選択された少なくとも1種のアミノ基を有する多糖類と平均細孔径20nm以上のシリカゲルとで構成されているたばこフィルタ用素材で構成する。前記たばこフィルタ用素材は、さらに、ポリオール類などの保湿剤を含んでいてもよい。前記たばこフィルタ用素材はアミノ基を有する多糖類の使用量が少ないにも係わらず、ホルムアルデヒドを効率よく選択除去できる。そして、両端部をフィルタロッドで構成し中間部にこれらのたばこフィルタ用素材を配したたばこフィルタでは例えば、ニコチンおよびタールをそれぞれ保持率75%以上に保持しつつ、ホルムアルデヒド保持率を40%以下にすることができ、通気抵抗値を上げることがない。
【選択図】なし
Description
例えば、特開昭53−142600号公報(特許文献9)には、タバコフィルタ素材に対してキチンもしくはキチン誘導体を3wt%以上の割合で含有するタバコフィルタが開示されている。この文献には、キチンはポリ−N−アセチル−D−グルコサミンであり、このキチンを含有させる方法として、キチンから得られる粉末を直接タバコフィルタ素材に配合してもよくあるいはキチンを無水酢酸、ジクロル酢酸、メタンスルホン酸あるいはリチウム、カルシウム、マグネシウムの塩化物あるいは臭化物を含有するジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性溶媒に溶解した後イソプロピルエーテル等の凝固液中に押出して繊維化あるいはフィルム化して得た繊維あるいはフィルムを配合してもよいことが記載されている。また、この文献には、キチンおよびキチン誘導体はその構造にアセチル基を所有するために、特にアセテートフィルタに配合した場合、アセテートのアセチル基との相乗効果によって独特の軽い香喫味をタバコに与えることが記載されており、具体的には、実施例において、タールの除去率が34〜41%、ニコチンの除去率が28から29%であり従来品と同等もしくはそれ以上であったことが記載されている。
また、この文献には、キチン・キトサンは、キチン・キトサン溶液を、例えば、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、ジルコニア、活性炭あるいは、レーヨン、綿、木材パルプなどのセルロース、デンプン、ゼラチン、カゼインなどの蛋白質、または、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロンなどの合成樹脂等の粉末もしくは繊維から成る基体に含浸させた後に乾燥して用いてもよいことが記載されている。この文献に記載のフィルタでは、たばこ煙中のニコチン・タールやアルデヒド類などの有害成分を効果的に吸着捕集できる。なお、前記キチン・キトサン溶液を使用する具体的な方法として、実施例5では、脱脂綿80mgをキチン・キトサン(脱アセチル化度50%)の1%水溶液に浸した後に真空乾燥し、20mgのキチン・キトサンが含浸した脱脂綿100mgを紙筒に充填してフィルタチップを形成し、ニコチン捕集率48%、タール捕集率45%、アクロレイン捕集率72%のフィルタを得たことが記載されている。
しかし、ニコチンそのものは、タバコの嗜好成分であり、喫煙の満足感に直接関与すると考えられる。また、タールについても、タバコ煙成分中のタール成分を相対的に高いレベルで除去することは、香喫味を損なうために好ましいことではない。すなわち、タールやニコチンを含めた揮発性の低い煙成分を無差別に除去すると、味が軽くなるとともに満足感が得られなくなる。
一方、アルデヒド類、特にホルムアルデヒドは、刺激的な臭いを有するだけでなく、最近アレルギーの原因物質のひとつとして注目されているように、健康上好ましくない物質であり、極力除去することが好ましい。
さらに、キトサンなどはそれ自身が固く脆い物であり、キトサンの繊維からなるフィルタでは、フィルタから脱落したキトサン繊維が人体に吸い込まれ気管支の鞭毛を傷つけたりする可能性もある。
また、前記特許文献12に記載されているように、たばこ用の煙フィルタとして常用されているセルロースアセテートのフィルタにキトサンの粒子を添加した場合でも、粒子が脱落し上記と同様に気管支の鞭毛を傷つけたりする可能性がある。
したがって、ホルムアルデヒドの選択吸着性を維持しつつ、タールやニコチンの吸着量が少ないたばこ煙用フィルターが求められていた。
本発明の他の目的は、たばこフィルタの構成成分として好適に利用でき、タールやニコチンなどの喫味(又は香喫味)成分を高濃度で維持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を効率よく除去できるたばこフィルタ用素材を提供することにある。
すなわち、本発明のたばこフィルタ用素材は、アミノ基を有する多糖類と平均細孔径が20nm以上であるシリカゲルとで構成されている。前記たばこフィルタ用素材は、特に、温度22℃および60%RHにおいて、平衡水分率が0.01〜5.00%であるシリカゲルにアミノ基を有する多類が担持された複合物であってもよい。 前記たばこフィルタ用素材はアミノ基を有する多糖類がキトサンであってもよい。
前記たばこフィルタ用素材において、アミノ基を有する多糖類の割合は、シリカゲル100重量部に対して、例えば、0.03〜15重量部程度、例えば1〜5重量部程度であってもよい。
このような保湿剤は、ポリオール類(例えば、グリセリンなど)で構成されていてもよい。このような保湿剤は、前記たばこフィルタ用素材によるアルデヒド類の選択吸着性を効率よく向上するのに有用である。
このような選択吸着性の向上効果は、平均細孔径が比較的大きいシリカゲルで特に有効に作用するようである。そのため、前記保湿剤は、細孔径が大きいシリカゲルと好適に組み合わせることができる。
代表的な前記保湿剤を含むたばこフィルタ用素材には、シリカゲルが平均細孔径25nm以上のシリカゲルであり、保湿剤がポリオール類であり、保湿剤の割合が、シリカゲル100重量部に対して0.1〜10重量部程度のたばこフィルタ用素材などが含まれる。
更に、本発明のたばこフィルタ用素材は(i)アミノ基を有する多糖類がキトサンであり、(ii)シリカゲルが、平均細孔径25nm以上、温度22℃および60%RHにおける平衡水分率0.10〜1.00%のシリカゲルであり、(iii)アミノ基を有する多糖類の割合がシリカゲル100重量部に対して、0.05〜10重量部であり、(iv)酸成分を含む、ものであってもよい。酸性分は乳酸であってもよい。
本発明のたばこフィルタ用素材は、アルデヒド類の選択除去性に優れており、特に、たばこフィルタ用途に用いるためのたばこフィルタ用素材であってもよい。
本発明には、前記たばこフィルタ用素材で構成されたたばこフィルタも含む。このようなたばこフィルタは、アルデヒド類(特にホルムアルデヒド)を効率よく選択除去できるので、好適である。
また本発明のたばこフィルタにおいては、両端部がセルロースエステル繊維を含むトウ構造のフィルタロッドから構成されているたばこフィルタであってもよい。
本発明には、さらに、前記たばこフィルタ用素材でたばこフィルタを構成することにより、たばこ煙中のアルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)[詳細には、前記たばこフィルタを通過(又は流通)するたばこ煙中のアルデヒド類]を低減する方法も含まれる。このような方法では、ニコチン、タールなどの喫味成分を高いレベルで保持でき、例えば、ニコチンおよびタールをそれぞれ保持率75%以上に保持しつつ、ホルムアルデヒド保持率を50%以下にすることができる。
また、本発明には、前記たばこフィルタを備えたたばこも含まれる。
特に、本発明のたばこフィルタ用素材は、タールやニコチンなどの喫味(又は香喫味)成分を高濃度で維持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を効率よく除去できる。そのため、本発明のたばこフィルタでは、人体に対して安全で、喫味を損なうことなく、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去できる。
本発明のたばこフィルタ用素材(複合たばこフィルタ用素材、複合物などということがある)は、アミノ基を有する多糖類およびシリカゲルで構成されている。
本発明において用いられるアミノ基を含有する多糖類としては、グルカン誘導体であって、置換基にアミノ基を有する(保有する)ものであれば特に限定されないが、代表的なものとしてはキトサンが挙げられる。
キトサンは、前記のように、キチンのアセチル基の少なくとも一部が脱アセチル化されていればよく、キトサンの平均脱アセチル化度は、例えば、20%以上(例えば、30〜100%程度)、好ましくは40%以上(例えば、50〜99%程度)、さらに好ましくは60%以上(例えば、65〜98%程度)であってもよい。
本発明で使用するキトサンは、通常、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)の選択除去率を高めるため、比較的高い脱アセチル化度を有している(すなわち、多くのアミノ基を有している)場合が多い。すなわち、高い脱アセチル化度を有するキトサンは、キチンなどに比べて多くのアミノ基を持っており、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)の選択除去効果に優れている。
そのため、キトサンの平均脱アセチル化度は、例えば、60%以上(例えば、65〜100%程度)、好ましくは70%以上(例えば、75〜99%程度)、さらに好ましくは80%以上(例えば、85〜98%程度)であってもよい。
A2/(A1+A2)×100(%)
また、キトサンの塩基解離定数pKbは、例えば、25℃において、5.5以上(例えば、6〜12程度)、好ましくは6以上(例えば、6.3〜10程度)、さらに好ましくは6.5以上(例えば、6.8〜9程度)であってもよく、より一層高いアルデヒド(特に、ホルムアルデヒド)除去率を得るためには、通常、7以上(例えば、7.3〜11程度)、好ましくは7.5以上(例えば、7.8〜10程度)、さらに好ましくは8以上(例えば、8.5〜9.5程度)であってもよい。
なお、前記キトサンは、誘導体化されたキトサン誘導体であってもよい。このようなキトサン誘導体としては、例えば、キトサン塩(例えば、ピロリドンカルボン酸塩、乳酸塩、アルギン酸塩などのカルボン酸塩)、ヒドロキシル化キトサン[ヒドロキシプロピルキトサンなどのヒドロキシルアルキル基(ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基など)により保護(又は置換)されたキトサン、グリセリル化キトサンなど]、カチオン化キトサンなどが挙げられる。また、キトサン誘導体には、キトサンの骨格を構成するOH基やCH2OH基が、保護基(又は置換基)、例えば、アルキル基(メチル基などのアルキル基など)、エステル基(又はアシル基、例えば、アセチル基など)などで保護又は置換されたキトサンなども含まれる。
尚、キトサンなどの通常のアミノ基を有する多糖類は、上記のように通常、高い重合度を有し、低濃度(例えば、1重量%濃度程度)であっても、比較的大きい溶液粘度を有しており、高濃度の溶液を調製するのが困難な場合があり、このような高い重合度の多糖類を用いて担体を処理する場合、アミノ基を有する多糖類の担体に対する必要な添着量(被覆量)が得られなくなる虞がある。
このような低分子量化されたアミノ基を有する多糖類は、例えば、特開平3−220202号公報に記載の方法などを利用して、アミノ基を有する多糖類を予め低分子量化(又は解重合)することにより得ることができる。また、このような低分子量化された多糖類は、後述のリン酸やヒドロキシ酸などの作用により、アミノ基を有する多糖類溶液において、低分子量化されてもよい。
本発明のたばこフィルタ用素材において、アミノ基を有する多糖類の含有量(又は添着量)は、担体100重量部に対して、30重量部以下(例えば、1〜25重量部)、好ましくは20重量部以下(例えば、2〜20重量部)、さらに好ましくは15重量部以下(例えば、3〜15重量部程度)、特に10重量部以下(例えば、5〜10重量部)程度であってもよい。アミノ基を有する多糖類の含有量が多すぎると、タールやニコチンの吸着量が大きくなる虞がある。
本発明では、前記アミノ基を有する多糖類とシリカゲルとを組み合わせることにより、アルデヒド類の選択吸収性を向上させる。シリカゲルの平均粒径は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、50〜2500μm、好ましくは100〜2000μm、さらに好ましくは200〜1800μm(例えば、300〜1500μm)程度であってもよく、通常250〜1400μm程度であってもよい。上記のような範囲であれば、適度な通気抵抗を損なうことなく、たばこフィルタなどに適用できる。
シリカゲルの粒度について言えば、シリカゲルの粒度が、90重量%以上が、10メッシュパス70メッシュオン、好ましくは10メッシュパス50メッシュオン、特に好ましくは10メッシュパス32メッシュオン、より好ましくは14メッシュパス25メッシュオンのものを用いることができる。例えば、14メッシュパスでかつ32メッシュオンであるものを用いることが出来る。すわなち、粒度として0.50mm以上であり1.20mm以下であるシリカゲルを用いることができる。
通常、ガスなどの吸着には、比較的小さい細孔径を有するシリカゲルが使用される場合が多い。これに対して、本発明では、大きい細孔径を有するシリカゲルと前記アミノ基を有する多糖類との組み合わせて、アルデヒド類の選択除去性をより一層高めることができる。
前記たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)は、さらに保湿剤(保湿成分)を含んでいてもよい。アミノ基を有する多糖類およびシリカゲルと保湿剤とを組み合わせて使用することにより、アルデヒド類の選択除去性をより一層向上できる。このような保湿剤によるアルデヒドの選択除去性向上効果は、特に、比較的細孔径が大きいシリカゲルとの組み合わせにおいて大きく見られる場合が多いようである。
オール(前記アルカントリオールなど)の多量体(例えば、ジグリセリン、トリグリセリンなどのポリグリセリン)など]など}、これらのポリオール類の誘導体[例えば、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メチルカルビトール、エチルカルビトールなど)、(ポリ)アルキレングリコールモノアシレート(エチレングリコールモノアセテートなど)など]などが挙げられる。
前記たばこフィルタ用素材は、さらに酸性成分で処理されていてもよい。すなわち、前記アミノ基を有する多糖類溶液は、酸性成分を含んでいてもよい。このような酸性成分を使用すると、前記極性溶媒に対して非溶解性の(又は溶解性に乏しい)アミノ基を有する多糖類であっても、効率よく極性溶媒に溶解できる。すなわち、前記アミノ基を有する多糖類が誘導体化され、極性溶媒(水など)に対する溶解性を有している場合には、酸性成分は必ずしも必要ではない。しかし、前記アミノ基を有する多糖類が、例えば、キトサンのような極性溶媒に対して非溶解性(又は難溶性)の多糖類である場合には、アミノ基を有する多糖類(キトサンなど)と酸性成分とを組み合わせて担体を処理することが好ましい。
そこで、本発明では、通常、アミノ基を有する多糖類(キトサンなど)と、酸性成分とを組みあわせることにより、アミノ基を有する多糖類(キトサンなど)を溶解させた溶液の形態で担体を処理できる。このような溶液を用いた処理により、担体に対して均質にかつ高い表面積でキトサンを含有させることができ、少ない含有量であっても、ホルムアルデヒドなどの除去効率を向上できる。
また、酸性成分(および極性溶媒)を、たばこフィルタ用素材内に含有(又は残存)させることにより、アミノ基を有する多糖類を可塑化するとともに、極性溶媒の効果で、アミノ基を有する多糖類(キトサンなど)の水素結合の作用を抑制又は緩和できるためか、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)の除去に大きく関与するアミノ基を有する多糖類(キトサンなど)のアミノ基を有効に働かせることができ、前記多糖類のホルムアルデヒドなどの除去性能を向上させることができる。
ヒドロキシ酸としては、芳香族ヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸、マンデル酸など)などであってもよいが、通常、脂肪族ヒドロキシ酸であってもよい。このような脂肪族ヒドロキシ酸としては、例えば、脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸類[モノ又はジヒドロキシモノカルボン酸(グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸などのモノ又はジヒドロキシC2-10アルカンモノカルボン酸、好ましくはモノ又はジヒドロキシC2-8アルカンモノカルボン酸、さらに好ましくはモノヒドロキシC2-6アルカンモノカルボン酸など)、脂肪族ヒドロキシ多価カルボン酸類(例えば、タルトロン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸などのモノ又はジヒドロキシC3-10アルカンジカルボン酸、好ましくはモノ又はジヒドロキシC4-8アルカンジカルボン酸など)などが挙げられる。ヒドロキシ酸は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
なお、不斉炭素原子を有するヒドロキシ酸(例えば、乳酸など)は、ラセミ体であってもよく、光学活性体であってもよい。 これらの酸性成分のうち、リン酸、ヒドロキシ酸などは、アミノ基を有する多糖類(キトサンなど)の分子量を効率よく低減する効果もある。すなわ BR>ソ、キトサンなどのアミノ基を有する多糖類は、一般に高重合度(高分子量)であり、溶液とした場合の粘度が高すぎて扱いにくいものであるため、高濃度の溶液を作ることが困難である。従って、このような多糖類を工業的に使用する場合には、本発明においては添着量が少なくなる。例えば、通常の高重合度のキトサンを希酸に溶解したものでは、1重量%程度の溶液でも低粘度になることは少なく、非常に高粘度である。
さらに、たばこフィルタ用素材において、酸性成分の割合は、アミノ基を有する多糖類のグリコース単位1モルあたり、酸基(例えば、ヒドロキシ酸のカルボキシル基など)換算で(又は酸性成分全体の酸基の総量で)、0.1〜3モル、好ましくは0.3〜2.5モル、さらに好ましくは0.5〜2モル(例えば、0.7〜1.5モル)程度であってもよい。
以下本発明のたばこフィルタ用素材について説明をする。
なお、前記たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)は、さらに他の成分、例えば、無機微粉末(カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなど)、熱安定化剤(アルカリ又はアルカリ土類金属の塩など)、着色剤、白色度改善剤、油剤、歩留まり向上剤、サイズ剤、生分解又は光分解促進剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、天然高分子又はその誘導体(セルロース粉末など)などを含んでいてもよい。他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
前記のように、本発明のたばこフィルタ用素材は、たばこフィルタを構成できる。すなわち、本発明のたばこフィルタは、通常、たばこフィルタを構成する素材(たばこフィルタ用素材)と、前記たばこフィルタ用素材とで構成できる。そして、このようなたばこフィルタは、たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ、単に、フィルタ用素材、素材などということがある)に前記たばこフィルタ用素材を含有させることにより製造できる。
代表的なたばこフィルタとしては、例えば、(i)たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)と、このたばこフィルタ用素材に充填された前記たばこフィルタ用素材(特に複合物)とで構成されたたばこフィルタ、(ii)たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)に前記たばこフィルタ用素材(特に複合物)が分散されたたばこフィルタなどが挙げられる。好ましい形態には、充填されたたばこフィルタ(i)が含まれる。
本発明のたばこフィルタ用素材が充填されたたばこフィルタ(i)では、例えば、複数に分割[2分割(デュアル(dual)、3分割(トリプル(triple)など]された構造を有するたばこフィルタ用素材の少なくとも一つの分割部分(例えば、2分割されたフィルタ用素材の一方の部分、3分割されたフィルタ用素材の中央部分など)を、前記たばこフィルタ用素材(又は前記たばこフィルタ用素材が充填されたフィルタ用素材)で構成(又は置換又は充填)することにより、たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)に前記たばこフィルタ用素材を充填してもよい。
本発明のトリプル構造のたばこフィルタは少なくとも3個の部分から構成されていることを特徴とする。すなわち、たばこフィルタが少なくとも両端部、中間部の3個の部材から構成されており、中間部(すなわち中央の部分)に本発明の担持体が配置されている構造を取る。
本発明のたばこフィルタでは両端部にフィルターロッドで形成した部分を配置し、中央部にはフィルターロッドではなく、本発明のたばこフィルタ用素材を配置する構造を取る。この構造のたばこフィルタとした場合には通気抵抗を低くすることができ好ましい。
なお、たばこフィルタ(たばこフィルタ用素材)は、水を含んでいてもよい。このような水分は、たばこフィルタ用素材そのものに含有されていてもよく、シリカゲルに含有される水であってもよく、更にはたばこ煙中に含まれていても良い。
たばこフィルタ全体に対する水の割合は、例えば、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、さらに好ましくは0.1〜7重量%(例えば、0.3〜5重量%)程度であってもよい。
保持率(%)=(Y/X)×100
また、本発明では、たばこフィルタの通気抵抗を増大させることなく、たばこフィルタ内に前記たばこフィルタ用素材を組み込むことができる。そのため、本発明のたばこフィルタは、たばこ煙用に適した通気性を有しており、たばこフィルタの通気抵抗は、長さ120mm、円周24.5±0.2mmのたばこフィルタを、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失で測定したとき、150〜600mmWG(ウォーターゲージ)の範囲から選択でき、例えば、160〜500mmWG、好ましくは170〜400mmWG、さらに好ましくは180〜350mmWG程度であってもよい。
通気抵抗は、たばこ煙用フィルタサンプル内に、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失(mmWG)として、自動通気抵抗測定器(フィルトローナ社製、FTS300)を用いて測定した。
たばこ煙用フィルタサンプルを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件での喫煙を、計10本のたばこ煙用フィルタサンプルについて行った。フィルタを通過した煙中のニコチン及びタールはガラス繊維製フィルタ(ケンブリッジフィルタ)で捕集し、ニコチン量はガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いて測定した。タール量は重量法により測定を行った。
対照品のケンブリッジフィルタに付着したニコチン量およびタール量をそれぞれTn、Ttとし、比較例及び実施例でケンブリッジフィルタに付着したニコチン量およびタール量をそれぞれCn、Ctとして次式によりニコチン及びタールの保持率を算出した。
ニコチン保持率(%)=100×(Cn/Tn)
タール保持率(%)=100×(Ct/Tt)。
たばこ煙用フィルタサンプルを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件で喫煙を行った。フィルタを通過した煙中のホルムアルデヒドは、DNPH(ジニトロフェニルヒドラジン)溶液で捕集し、DNPHで誘導体化した上でガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いてUV(紫外線)の吸光度を用い測定した。
ホルムアルデヒド保持率(%)=100×(Cf/Tf)。
比較例1では、キトサン乳酸塩の粉末(大日精化工業(株)製)を単独で用い、以下のようにしてたばこ煙用フィルタサンプルを作成した。市販の煙草[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]のセルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルタ部に長さ20mm、内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
キトサン乳酸塩粉末100mg中の水の重量については表−1に記載する。
比較例2では、本発明で特定する範囲外の平均細孔径が小さいシリカゲルを単独で用いた、このシリカゲルの性状を表7に示す。
シリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB4B相当破砕状品」、粒度14〜32メッシュ)を使用した。
シリカゲルは、比較例1と同様にして、22℃、湿度60%の空調室に静置して、平衡になるまで調湿して用いた。
そして、このようにして得られたシリカゲルの粒状物を比較例1と同様に、フィルタ間に空隙を作りシリカゲルを充填した。シリカゲルの充填量は煙草一本当たり100mgであった。添加量について表2に記載する。
比較例3及び4では、キトサン乳酸塩とシリカゲルの複合体を用いた。但し、用いたシリカゲルの平均細孔径は7.0nmであり本発明の権利範囲外のものである。用いたシリカゲルの性状について表−7に記載する。
複合体は以下の方法で作成した。シリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB4B相当破砕状品」、粒度14〜32メッシュ)5gをガラス容器に取り、このガラス容器にキトサン乳酸塩の3重量%水溶液〔平均脱アセチル化度85%のキトサン2重量%および乳酸1重量%を含むキトサン水溶液(大日精化工業(株)製、「ダイキトサンW−10」を水で5倍希釈したもの〕3.2g(比較例3)を添加し、キトサン乳酸塩の水溶液がシリカゲルに吸収され、見かけ上均一な状態になるまで、ガラス棒で約5分間攪拌し、見かけ上均一な粒子状の含水混合たばこフィルタ用素材を得た。以下この複合体作成方法を添加法と記載する。
得られた含水混合たばこフィルタ用素材を真空乾燥機を用いて、温度60℃で、重量変化がなくなるまで乾燥し、次いで、22℃、湿度60%の空調室に、重量変化がなくなるまで静置し、たばこフィルタ用素材を得た。
市販の煙草[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]のセルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルタ部に長さ20mm、内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
たばこフィルタ用素材100mg中のシリカゲル重量、キトサン乳酸塩重量、水の重量については表−1に記載する。
得られたたばこ煙用フィルタサンプルについて、上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド保持率を前記式により算出した。結果を表−1に記載する。
比較例5では、本発明で特定する平均細孔径を満たすシリカゲルを単独で用いた、このシリカゲルの性状を表7に示す。
シリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB300相当破砕状品」、粒度16〜32メッシュ)を使用した。
シリカゲルは、比較例1と同様にして、22℃、湿度60%の空調室に静置して、平衡になるまで調湿して用いた。
そして、このようにして得られたシリカゲルの粒状物を比較例3と同様に、フィルタ間に空隙を作りシリカゲルを充填した。シリカゲルの充填量は煙草一本当たり100mgであった。添加量について表2に記載する。
得られたたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド保持率を前記式により算出した。結果を表2に記載する。
実施例1と2では比較例5と同様のシリカゲルとキトサンの複合体を用いた。
複合体は比較例3と同様の方法で作成した。但し実施例1と2では使用したキトサン乳酸塩の3重量%水溶液の量は5.3g(実施例1)と4.7g(実施例2)であった。
更に実施例3と実施例4では比較例3の溶液にさらに保湿剤としてグリセリン1重量%を添加した溶液を5.3g及び4.7g用いた以外は比較例3と同様にした。添加量について表2に記載する。
比較例6では、本発明で特定する平均細孔径を満たすシリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB500相当破砕状品」、粒度16〜32メッシュ)を使用した。このシリカゲルの性状を表7に示す。
以下比較例5と同様にして本発明のたばこ煙用フィルタサンプルを作成した。
得られたたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド保持率を前記式により算出した。結果を表3に記載する。
実施例5〜8では比較例6と同様のシリカゲルとキトサンの複合体を用いた。
複合体は比較例3と同様の方法で作成した。但し実施例5と6では使用したキトサン乳酸塩の3重量%水溶液5.3g(実施例5)と4.7g(実施例6)であった。
更に実施例7と実施例8では比較例3の溶液にさらに保湿剤としてグリセリン1重量%を添加した溶液を5.3g(実施例7)及び4.7g(実施例8)用いた以外は比較例3と同様にした。添加量について表3に記載する。
得られたたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド保持率を前記式により算出した。結果を表3に記載する。
比較例7では、本発明で特定する平均細孔径を満たすシリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB800相当破砕状品」、粒度16〜32メッシュ)を使用した。このシリカゲルの性状を表7に示す。
以下比較例5と同様にして本発明のたばこ煙用フィルタサンプルを作成した。
得られたたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド保持率を前記式により算出した。結果を表4に記載する。
実施例9〜10では比較例7と同様のシリカゲルとキトサンの複合体を用いた。
複合体は比較例3と同様の方法で作成した。但し実施例9では使用したキトサン乳酸塩の3重量%水溶液4.8g(実施例9)であった。
更に実施例10では比較例3の溶液にさらに保湿剤としてグリセリン1重量%を添加した溶液を4.8g用いた以外は比較例3と同様にした。添加量について表4に記載する。
得られたたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド保持率を前記式により算出した。結果を表4に記載する。
比較例8では、本発明で特定する平均細孔径を満たすシリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB1000相当破砕状品」、粒度14〜32メッシュ)を使用した。このシリカゲルの性状を表7に示す。
以下比較例5と同様にして本発明のたばこ煙用フィルタサンプルを作成した。
実施例11〜14では比較例8と同様のシリカゲルとキトサンの複合体を用いた。
実施例11と12では複合体は以下の方法(浸漬法)で作成した。
比較例3と同じキトサン乳酸塩の3重量%水溶液10gをガラス容器に取り、このガラス容器に、シリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB1000相当破砕状品」、5gを添加し、スターラーチップを用いて約5分間攪拌した後、ブフナーロートを用いて固形物をろ別し、見かけ上均一な粒子状の含水混合たばこフィルタ用素材を得た。
実施例12では実施例11の溶液にさらに保湿剤としてグリセリン1重量%を添加した溶液を10g用いた以外は実施例11と同様にした。
実施例13では複合体は比較例3と同様の方法で作成した。但し実施例13では使用したキトサン乳酸塩の3重量%水溶液4.8gであった。
更に実施例14では比較例3の溶液にさらに保湿剤としてグリセリン1重量%を添加した溶液を4.8g用いた以外は比較例3と同様にした。添加量について表5に記載する。 このたばこフィルタ素材を、比較例3と同様にして、たばこに充填した。得られたたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。結果を表5に記載する。
比較例9では、本発明で特定する平均細孔径を満たすシリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB3000相当破砕状品」、粒度16〜32メッシュ)を使用した。このシリカゲルの性状を表7に示す。
以下比較例5と同様にして本発明のたばこ煙用フィルタサンプルを作成した。
得られたたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド保持率を前記式により算出した。結果を表6に記載する。
実施例15〜16では比較例3と同様の添加法により、シリカゲルとキトサンの複合体を用いた。
但し実施例15では使用したキトサン乳酸塩の3重量%水溶液の量は4.3gであった。
更に実施例16では比較例3の溶液にさらに保湿剤としてグリセリン1重量%を添加した溶液を4.3g用いた以外は比較例3と同様にした。添加量について表4に記載する。
得られたたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド保持率を前記式により算出した。結果を表6に記載する。
Claims (7)
- アミノ基を有する多糖類と平均細孔径が20nm以上であるシリカゲルとで構成されているたばこフィルタ用素材。
- 温度22℃および60%RHにおいて、平衡水分率が0.01〜5%であるシリカゲルで構成されている請求項1記載のたばこフィルタ用素材。
- アミノ基を有する多糖類がキトサンである請求項1記載のたばこフィルタ用素材。
- シリカゲルの粒度が10メッシュパスでありかつ70メッシュオンである請求項1記載のたばこフィルタ用素材。
- さらに乳酸を含む請求項1記載のたばこフィルタ用素材。
- 少なくとも3個の部分から構成されているたばこフィルタであって、中間部に請求項1記載のたばこフィルタ素材が配置されているたばこフィルタ。
- 両端部がセルロースエステル繊維を含むトウ構造のフィルタロッドから構成されている請求項6に記載のたばこフィルタ。
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