JP2008045631A - 転がり摺動部材およびこれを用いた転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた低摩擦係数を発揮できると共に、高面圧下においてもダイヤモンドライクカーボン層の剥離を防止できる転がり摺動部材およびこれを用いた転がり軸受の提供。
【解決手段】相手部材との間で相対的な転がり接触またはすべり接触が生じる転がり摺動部材であって、母材11表面に、水素含有量が10at%以上30at%以下のダイヤモンドライクカーボン層Dを被覆形成すると共に、当該ダイヤモンドライクカーボン層Dの表面を、アミン系摩擦調整剤、亜鉛系添加剤、モリブデン系添加剤のいずれかを含有した潤滑剤で覆う。これによって優れた低摩擦係数を発揮できると共に、高面圧下においてもダイヤモンドライクカーボン層の剥離を防止できる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、玉軸受やころ軸受などの転がり軸受に係り、特に、特定の潤滑油もしくは潤滑剤の存在下において極めて優れた低摩擦特性を示す転がり摺動部材およびこれを用いた転がり軸受に関する。
ダイヤモンドライクカーボン(以下、適宜「DLC」と称する)は、その表面がダイヤモンドに準ずる硬さを有し、摺動抵抗も摩擦係数が0.2以下と二硫化モリブデンやフッ素樹脂と同様に小さいことから、従来から潤滑性材料として使用されている。
例えば、磁気ディスク装置においては、磁気素子または磁気ディスクの表面に数十オングストロームのDLC膜を形成することにより、磁気素子と磁気ディスクとの間の潤滑性を高めて磁気ディスクの表面を保護している。
例えば、磁気ディスク装置においては、磁気素子または磁気ディスクの表面に数十オングストロームのDLC膜を形成することにより、磁気素子と磁気ディスクとの間の潤滑性を高めて磁気ディスクの表面を保護している。
また、このような特異な表面の性質から、DLCは転がり摺動部材の新たな潤滑性材料として注目されており、近年、各種機械の軸受への潤滑性の付与に利用されている。例えば、以下の特許文献1などには、軌道輪の軌道面や転動体の表面に金属を含有するDLC膜を備えた転がり軸受が開示されている。この転がり軸受においては、前記DLC膜により接触応力が緩和されるようになっている。
また、以下の特許文献2〜7などに示すように、CVD法,プラズマCVD法,イオンビーム形成法,イオン化蒸着法,非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリング法等によって、軌道輪の軌道面や転動体の表面にDLC膜を形成した転がり軸受等が知られている。 また、以下の特許文献8では、含有水素量が少ない(あるいは含まない)a−C:H系DLC材料が優れた低摩耗特性を示すこと、およびこれらDLC膜をコーティングした転がり軸受が、これと組み合わせて用いられる潤滑剤の種類によっては十分な摩擦低減効果が得られないことがあることに鑑みて、これらDLC膜に最適な潤滑剤として、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤や脂肪酸アミン系無灰摩擦調整剤などを含有する潤滑剤を用いることなどが開示されている。
国際公開WO99/14512号公報
特開平9−144764号公報
特開2000−136828号公報
特開2000−205277号公報
特開2000−205279号公報
特開2000−205280号公報
特開2003−56575号公報
特開2005−90738号公報
ところで、この特許文献8などのように水素含有量が少ないかあるいは殆ど水素を含まないDLC膜を用いることによって低摩耗化を図ることは可能であるが、このようなDLC膜を用いると高面圧下においてそのDLC膜が母材から剥離しやすくなるという問題がある。
さらに、このDLC膜は母材と組成が大きく異なり、かつ単層であるため、母材とDLC膜の界面における密着力が十分でなく、その界面を基点としてDLC膜が母材から剥離するおそれもある。
さらに、このDLC膜は母材と組成が大きく異なり、かつ単層であるため、母材とDLC膜の界面における密着力が十分でなく、その界面を基点としてDLC膜が母材から剥離するおそれもある。
そこで、本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであり、その目的は、優れた低摩擦係数を発揮できると共に高面圧下などにおいてもDLC膜の剥離を防止することができる新規な転がり摺動部材およびこれを用いた転がり軸受を提供するものである。
前記課題を解決するために請求項1の発明は、
相手部材との間で相対的な転がり接触またはすべり接触が生じる転がり摺動部材であって、母材表面に、水素含有量が10at%以上30at%以下のダイヤモンドライクカーボン層が被覆形成されていると共に、当該ダイヤモンドライクカーボン層の表面が、アミン系摩擦調整剤、亜鉛系添加剤、モリブデン系添加剤のいずれかを含有した潤滑剤で覆われていることを特徴とする転がり摺動部材である。
相手部材との間で相対的な転がり接触またはすべり接触が生じる転がり摺動部材であって、母材表面に、水素含有量が10at%以上30at%以下のダイヤモンドライクカーボン層が被覆形成されていると共に、当該ダイヤモンドライクカーボン層の表面が、アミン系摩擦調整剤、亜鉛系添加剤、モリブデン系添加剤のいずれかを含有した潤滑剤で覆われていることを特徴とする転がり摺動部材である。
また、請求項2の発明は、
請求項1に記載の転がり摺動部材において、前記ダイヤモンドライクカーボン層は、クロム(Cr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)のうちのいずれか1つ以上の金属からなる金属層と、前記各金属のうちのいずれか1つ以上の金属とカーボン(C)とからなる複合層と、カーボン(C)からなるカーボン層との3つの層からなり、これら各層は、母材側から金属層、複合層、カーボン層の順に積層されていることを特徴とする転がり摺動部材である。
請求項1に記載の転がり摺動部材において、前記ダイヤモンドライクカーボン層は、クロム(Cr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)のうちのいずれか1つ以上の金属からなる金属層と、前記各金属のうちのいずれか1つ以上の金属とカーボン(C)とからなる複合層と、カーボン(C)からなるカーボン層との3つの層からなり、これら各層は、母材側から金属層、複合層、カーボン層の順に積層されていることを特徴とする転がり摺動部材である。
これによって、ダイヤモンドライクカーボン層と母材との密着性が向上するため、高面圧下であってもダイヤモンドライクカーボン層自体の剥離を防止することができる。
また、請求項3の発明は、
内周面に軌道面を有する外輪と、外周面に軌道面を有する内輪と、当該内外輪の両軌道面間に転動自在に配された転動体とを備えた転がり軸受において、前記外輪、内輪、転動体のうち少なくとも1つを、前記請求項1または2に記載の転がり摺動部材で構成したことを特徴とする転がり軸受である。
また、請求項3の発明は、
内周面に軌道面を有する外輪と、外周面に軌道面を有する内輪と、当該内外輪の両軌道面間に転動自在に配された転動体とを備えた転がり軸受において、前記外輪、内輪、転動体のうち少なくとも1つを、前記請求項1または2に記載の転がり摺動部材で構成したことを特徴とする転がり軸受である。
また、請求項4の発明は、
請求項3に記載の転がり軸受において、前記内外輪の両軌道面間に転動自在に配された転動体を保持する保持器を備えると共に、当該保持器を前記請求項1または2に記載の転がり摺動部材で構成したことを特徴とする転がり軸受である。
請求項3に記載の転がり軸受において、前記内外輪の両軌道面間に転動自在に配された転動体を保持する保持器を備えると共に、当該保持器を前記請求項1または2に記載の転がり摺動部材で構成したことを特徴とする転がり軸受である。
本発明によれば、転がり軸受を構成する転がり摺動部材のDLC層は大きな面圧が作用しても剥離し難くかつ極めて優れた低摩擦特性を発揮できるため、大きな接触応力が作用するような条件下において使用されても長寿命である。
次に、本発明に係る転がり摺動部材およびこれを用いた転がり軸受の実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る転がり軸受10の実施の一形態である単列深溝玉軸受10の構成を示す縦断面図であり、図2は図1のA部分を拡大して示した部分拡大断面図、図3は図2に示す部分拡大断面部分の各層の構成を示す概念図である。なお、図3はあくまでも各層の積層順並びにその組成を示すものであって各層の膜厚比を示すものではない。
図1は、本発明に係る転がり軸受10の実施の一形態である単列深溝玉軸受10の構成を示す縦断面図であり、図2は図1のA部分を拡大して示した部分拡大断面図、図3は図2に示す部分拡大断面部分の各層の構成を示す概念図である。なお、図3はあくまでも各層の積層順並びにその組成を示すものであって各層の膜厚比を示すものではない。
先ず、図1に示すようにこの単列深溝玉軸受10は、外周面に軌道面1aを有する内輪1(転がり摺動部材)と、この軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2(転がり摺動部材)と、これら両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の球状の転動体3(玉:転がり摺動部材)と、これら複数の転動体3を軸受の円周方向に亘って等間隔に保持するための保持器4(転がり摺動部材)と、これら複数の転動体3および保持器4が位置する内外輪1,2間に、アミン系摩擦調整剤、亜鉛系添加剤、モリブデン系添加剤のいずれかを含有した潤滑剤を封入するためのシール部材5と、から構成されている。
この内輪1,外輪2,および転動体3は、SUJ2等の鋼から形成されており、また、この内輪1,外輪2と転動体3は相互に転がり接触またはすべり接触するようになっている。
そして、図2に示すようにこれら内輪1,外輪2,転動体3、保持器4などの転がり摺動部材を構成する鋼製の母材11の表面(摺動面)には、水素含有量が10at%以上30at%以下のダイヤモンドライクカーボン(DLC)層Dが、厚さ数μmから十数μm程度で被覆形成されている。
そして、図2に示すようにこれら内輪1,外輪2,転動体3、保持器4などの転がり摺動部材を構成する鋼製の母材11の表面(摺動面)には、水素含有量が10at%以上30at%以下のダイヤモンドライクカーボン(DLC)層Dが、厚さ数μmから十数μm程度で被覆形成されている。
また、このダイヤモンドライクカーボン層(D)は、図3に示すように金属層(第一層)12、複合層(第二層)13、カーボン層(第三層)14といった3つの層からなる多層構造となっており、これら各層12,13,14は母材11の表面側から順に積層されている。
金属層(第一層)12は、主にクロム(Cr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)のうちのいずれか1つ以上の金属から構成されており、また、複合層(第二層)13は、これら各金属のうちのいずれか1つ以上の金属とカーボン(C)とを複合させたものから構成されており、さらに、カーボン層(第三層)14は主にカーボン(C)から構成されている。
金属層(第一層)12は、主にクロム(Cr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)のうちのいずれか1つ以上の金属から構成されており、また、複合層(第二層)13は、これら各金属のうちのいずれか1つ以上の金属とカーボン(C)とを複合させたものから構成されており、さらに、カーボン層(第三層)14は主にカーボン(C)から構成されている。
ここで、このような3つの層からなるダイヤモンドライクカーボン層(D)の形成方法の一例について外輪2を例に説明する。なお、このダイヤモンドライクカーボン層(D)は、外輪2のみならず、内輪1や転動体3あるいは保持器4の表面などにも同様に形成しても良いことはいうまでもない。
先ず、油分を脱脂した外輪2を株式会社神戸製鋼所製のアンバランスドマグネトロンスパッタリング装置(以下、「UBMS装置」と称す)に設置し、アルゴンプラズマによるスパッタリングを用いて母材の表面のうち、軌道面2aにボンバード処理を15分間施す。次に、図3に示すようにクロム(Cr)をターゲットとして、母材11の表面のうち軌道面2aとなる部分にこのクロムをスパッタリングして金属層12を形成した後、引き続きこのクロムのスパッタリングを続けながら、さらにカーボンをターゲットとした炭素のスパッタリングを開始する。このようなスパッタリングによって、前記金属(クロム)と炭素とが結合した金属カーバイドからなる複合層13が金属層12の上に形成される。そして、前記金属のスパッタ効率を徐々に減少させながら、炭素のスパッタ効率を徐々に増加させて、最後には炭素のスパッタリングのみとしてその複合層13の上にカーボン層14を形成する。
このようなスパッタリングにより成膜を行えば、母材11側から最表面のカーボン層14に向かって、層の組成が連続的に徐々に変化していくダイヤモンドライクカーボン層(D)を形成することができる。
そして、このような構成のダイヤモンドライクカーボン層(D)は、各層12,13,14間の密着性が非常に優れていると共に、母材11である鋼との密着性も非常に優れている。
そして、このような構成のダイヤモンドライクカーボン層(D)は、各層12,13,14間の密着性が非常に優れていると共に、母材11である鋼との密着性も非常に優れている。
従って、このようなダイヤモンドライクカーボン層(D)を備えた本発明の単列深溝玉軸受10にあっては、従来の単層構造のように高面圧下で使用されてもそのダイヤモンドライクカーボン層(D)が母材11との境界面から簡単に剥離することがなくなる。
ここで、このダイヤモンドライクカーボン層(D)は、炭素元素を主として構成された非晶質のものであり、炭素同士の結合形態がダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト結合(SP2結合)の両方からなっている。具体的には炭素元素だけからなるa−C(アモルファスカーボン)、水素を含有するa−C:H(水素アモルファスカーボン)、およびチタン(Ti)、シリコン(Si)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの金属元素を一部に含むMeCが挙げられるが、本発明においては、このダイヤモンドライクカーボン層(D)として摩擦低減効果と高面圧下においては剥離し難いという観点から、水素含有量は10at%以上30at%以下が好ましい。
ここで、このダイヤモンドライクカーボン層(D)は、炭素元素を主として構成された非晶質のものであり、炭素同士の結合形態がダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト結合(SP2結合)の両方からなっている。具体的には炭素元素だけからなるa−C(アモルファスカーボン)、水素を含有するa−C:H(水素アモルファスカーボン)、およびチタン(Ti)、シリコン(Si)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの金属元素を一部に含むMeCが挙げられるが、本発明においては、このダイヤモンドライクカーボン層(D)として摩擦低減効果と高面圧下においては剥離し難いという観点から、水素含有量は10at%以上30at%以下が好ましい。
そして、水素含有量を10at%以上30at%以下と規定したのは、原則として水素含有量が少ない方が摩擦低減効果が大きいが、高面圧下での剥離が生じやすくなることからこの点を考慮すると少なくとも10at%以上は必要であり、反対に水素含有量が30at%を超えると摩擦低減効果が乏しくなるためである。
なお、このようなダイヤモンドライクカーボン層(D)を形成するためのUBMS装置は、スパッタリングに用いるターゲットを複数装着でき、各ターゲットのスパッタ電源を独立に制御することにより、各成分のスパッタ効率を任意に制御することができるので、上記のような成膜に好適である。例えば、前記の場合の複合層13およびカーボン層14を成膜する工程においては、金属ターゲットのスパッタ電源(DC電源)の電力を低減させながら、同時にカーボンターゲットのスパッタ電源(DC電源)の電力を増加させれば良い(このとき、外輪2には負のバイアス電圧を印加する)。
なお、このようなダイヤモンドライクカーボン層(D)を形成するためのUBMS装置は、スパッタリングに用いるターゲットを複数装着でき、各ターゲットのスパッタ電源を独立に制御することにより、各成分のスパッタ効率を任意に制御することができるので、上記のような成膜に好適である。例えば、前記の場合の複合層13およびカーボン層14を成膜する工程においては、金属ターゲットのスパッタ電源(DC電源)の電力を低減させながら、同時にカーボンターゲットのスパッタ電源(DC電源)の電力を増加させれば良い(このとき、外輪2には負のバイアス電圧を印加する)。
また、さらに本発明の転がり軸受10は、アミン系摩擦調整剤、亜鉛系添加剤、モリブデン系添加剤のいずれかを含有した潤滑剤をシール部材5によって玉3の周囲に封入したものであるため、より優れた摩擦低減効果を発揮することができる。
ここで、潤滑剤のベースとなる基油としては、特に限定されるものでなく、鉱油、号製油、油脂およびこれらの混合物などの潤滑組成物として通常使用されているものであれば種類を問わず使用することができる。
ここで、潤滑剤のベースとなる基油としては、特に限定されるものでなく、鉱油、号製油、油脂およびこれらの混合物などの潤滑組成物として通常使用されているものであれば種類を問わず使用することができる。
また、アミン系摩擦調整剤、亜鉛系添加剤、モリブデン系添加剤としては、脂肪酸アミン化合物(ラウリルアミン、ラウリルジエチルアミン、パルミチルアミン、N,N−ジポリオキシエチレン−N−オレイルアミンなど)、二硫化モリブデン、モリブデンのジチオリン酸塩(MoDTP、MoDTCなど)、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTPなど)などの公知の添加剤を用いることができる。
その他、エステル、アルコール、油脂、有機酸などの油性剤、ジチオリン酸亜鉛、亜鉛、S−P化合物などの腐食防止剤、 アルカリ土類金属の塩、スルホン酸類(アルカリ)、アルコール、アミン類などの防錆剤、 アルコール、シリコン(ジメチルシロキサン)などの消泡剤、ジチオリン酸亜鉛、リン酸エステル、硫黄化合物などの極圧剤、ポリメタクリレート、アルキルナフタレン、フェノール類などの流動点降下剤、Ca、Mgなど金属系化合物(スルホネート類など)やこはく酸イミド、こはく酸エステル、アミン類などの清浄分散剤、ポリメタクリレート、エチレン−プロピレン重合物、スチレン−ブタジエン重合物、ポリオレフィン系などの粘度指数向上剤、フェノール類、アミン類、硫化物などの酸化防止剤などの公知の添加剤を適宜加えても良い。
図5は、このような構成をした本発明の転がり軸受10の潤滑剤の違いによる摩擦係数の時間的な変化を調べたグラフ図である。なお、試験条件としては、油膜パラメータ「Λ:0.95」、荷重「513g」、速度「60rpm」とした。
図示するように、添加剤無しの潤滑剤を用いた場合は、その摩擦係数は、約「0.12」付近で一定であるのに対し、アミン系摩擦調整剤やモリブデン系添加剤を添加した潤滑剤を用いた場合は、いずれも時間の経過と共に、その摩擦係数が低くなっていくのが分かる。特にモリブデン系添加剤を添加した潤滑剤(MoDTP)にあっては、早期に摩擦係数の低減効果が現れ、その値も最も小さいことが分かる。
図示するように、添加剤無しの潤滑剤を用いた場合は、その摩擦係数は、約「0.12」付近で一定であるのに対し、アミン系摩擦調整剤やモリブデン系添加剤を添加した潤滑剤を用いた場合は、いずれも時間の経過と共に、その摩擦係数が低くなっていくのが分かる。特にモリブデン系添加剤を添加した潤滑剤(MoDTP)にあっては、早期に摩擦係数の低減効果が現れ、その値も最も小さいことが分かる。
このように本発明は、母材表面に水素含有量が10at%以上30at%以下の多層構造のダイヤモンドライクカーボン層(D)を被覆形成すると共に、その表面を、アミン系摩擦調整剤、亜鉛系添加剤、モリブデン系添加剤のいずれかを含有した潤滑剤で覆うようにしたことから、優れた低摩擦係数を発揮できると共に、高面圧下においてもそのダイヤモンドライクカーボン層(D)の剥離といった不都合を未然に回避することができる。
これによって、高面圧下においても優れた耐久性および超寿命化を達成することができる。
これによって、高面圧下においても優れた耐久性および超寿命化を達成することができる。
なお、本実施の形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングによりダイヤモンドライクカーボン層(D)を成膜したが、パルスレーザーアーク蒸着法やプラズマCVD法等を用いることもできる。ただし、等価弾性定数および塑性変形硬さ等を独立に制御することが容易な非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングが最も好適である。
また、本実施形態においては、深溝玉軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、図4に示すように転動体3としてころを用いた深溝ころ軸受10やアンギュラ玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受、スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受でも同様に適用できることは勿論である。
さらに、本実施形態においては、深溝玉軸受などの転がり軸受を例示して説明したが、本発明の本質的な技術思想は、転がり軸受などに限らずこれら転がり軸受を含む他の転動装置、例えば、直動案内軸受,ボールねじ,直動ベアリング等の他の転動装置にも好適に適用可能である。
1…内輪(転がり摺動部材)
1a…軌道面
2…外輪(転がり摺動部材)
2a…軌道面
3…転動体(転がり摺動部材)
3a…転動面
4…保持器(転がり摺動部材)
5…シール部材
10…転がり軸受(深溝玉軸受、深溝ころ軸受)
11…母材
12…金属層(第一層)
13…中間層(第二層)
14…カーボン層(第三層)
D…ダイヤモンドライクカーボン層
1a…軌道面
2…外輪(転がり摺動部材)
2a…軌道面
3…転動体(転がり摺動部材)
3a…転動面
4…保持器(転がり摺動部材)
5…シール部材
10…転がり軸受(深溝玉軸受、深溝ころ軸受)
11…母材
12…金属層(第一層)
13…中間層(第二層)
14…カーボン層(第三層)
D…ダイヤモンドライクカーボン層
Claims (4)
- 相手部材との間で相対的な転がり接触またはすべり接触が生じる転がり摺動部材であって、
母材表面に、水素含有量が10at%以上30at%以下のダイヤモンドライクカーボン層が被覆形成されていると共に、
当該ダイヤモンドライクカーボン層の表面が、アミン系摩擦調整剤、亜鉛系添加剤、モリブデン系添加剤のいずれかを含有した潤滑剤で覆われていることを特徴とする転がり摺動部材。 - 請求項1に記載の転がり摺動部材において、前記ダイヤモンドライクカーボン層は、
クロム(Cr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)のうちのいずれか1つ以上の金属からなる金属層と、
前記各金属のうちのいずれか1つ以上の金属とカーボン(C)とからなる複合層と、
カーボン(C)からなるカーボン層との3つの層からなり、
これら各層は、母材側から金属層、複合層、カーボン層の順に積層されていることを特徴とする転がり摺動部材。 - 内周面に軌道面を有する外輪と、外周面に軌道面を有する内輪と、当該内外輪の両軌道面間に転動自在に配された転動体とを備えた転がり軸受において、
前記外輪、内輪、転動体のうち少なくとも1つを、前記請求項1または2に記載の転がり摺動部材で構成したことを特徴とする転がり軸受。 - 請求項3に記載の転がり軸受において、
前記内外輪の両軌道面間に転動自在に配された転動体を保持する保持器を備えると共に、
当該保持器を前記請求項1または2に記載の転がり摺動部材で構成したことを特徴とする転がり軸受。
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