JP2009085421A - 水素コンプレッサ用転がり軸受 - Google Patents

水素コンプレッサ用転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼中への水素の侵入が生じにくく長寿命な水素コンプレッサ用転がり軸受を提供する。
【解決手段】深溝玉軸受は、内輪1,外輪2,転動体3,及び保持器4を備えている。そして、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,及び転動体3の転動面3aには、等価弾性定数が100GPa以上280GPa以下であり且つ厚さが0.2μm以上2μm以下であるダイヤモンドライクカーボン被膜Dが被覆されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素コンプレッサに組み込まれる転がり軸受(以降においては、水素コンプレッサ用転がり軸受と記すこともある)に関する。
潤滑剤や水が分解して生成した水素が鋼に侵入し、その状態で鋼が剪断を受けると、表面より内部で白色組織と呼ばれる組織への変化が生じ、早期剥離を起こす場合がある。そして、この早期剥離のため、転がり軸受の寿命は大きく低下する。よって、転がり軸受においては、潤滑剤や水の分解による水素の生成を防止することや、鋼中への水素の侵入を防止することが重要であった。
例えば、特許文献1,2には、モリブデン酸塩及び有機酸塩を添加剤として含有するグリースが開示されている。これらの添加剤により、軸受軌道面に酸化鉄被膜とともにモリブデン化合物被膜が形成されるので、摩耗により生じる金属新生面が酸化鉄やモリブデン化合物の被膜で覆われる。その結果、金属新生面を触媒とする潤滑剤や水の分解反応が抑制されるので、水素の生成が抑制される。
特開2005−112901号公報 特開2005−112902号公報
しかしながら、上記の酸化鉄やモリブデン化合物の被膜は軟質であるため、厳しい潤滑環境下で使用されると、摩擦,摩耗により剥離するおそれがあった。そのため、鋼中への水素の侵入を十分に防止できない場合があった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、鋼中への水素の侵入が生じにくく長寿命な水素コンプレッサ用転がり軸受を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の水素コンプレッサ用転がり軸受は、軌道面を有する内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、水素コンプレッサに組み込まれる転がり軸受において、前記内輪の軌道面,前記外輪の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一つに、等価弾性定数が100GPa以上280GPa以下であり且つ厚さが0.2μm以上2μm以下であるダイヤモンドライクカーボン被膜が被覆されていることを特徴とする。
軌道面や転動面が、水素の遮断性に優れるダイヤモンドライクカーボン被膜で覆われているので、鋼中への水素の侵入が抑制される。そのため、軌道面や転動面が、白色組織に起因する早期剥離を起こすことがほとんど無い。また、軌道面や転動面が摩耗して金属新生面が生じると、該面を触媒として潤滑剤や水が分解し水素が生成するが、軌道面や転動面が潤滑性に優れるダイヤモンドライクカーボン被膜で覆われているので、軌道面や転動面に金属新生面が生じにくい。そのため、金属新生面を触媒として潤滑剤や水が分解し水素が生成するおそれがほとんどない。
よって、このような構成の転がり軸受は、水素コンプレッサに組み込まれて水素に晒された状態で使用されても長寿命であるので、水素コンプレッサ用転がり軸受として好適である。ただし、このような構成の転がり軸受は、水素コンプレッサ用に限らず、鋼中へ水素が侵入して白色組織が生じやすいような用途や環境下で使用される転がり軸受としても好適である。
ダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さが0.2μm未満であると、水素の遮断性が不十分となるおそれがある。一方、2μm超過であると、ダイヤモンドライクカーボン被膜が剥離しやすくなる。
また、ダイヤモンドライクカーボン被膜の等価弾性定数は100GPa以上280GPa以下であり、ダイヤモンドライクカーボン被膜が母材(鋼)に近い等価弾性定数を有しているので、繰り返し応力が作用した場合でもダイヤモンドライクカーボン被膜が母材の変形に追従することが可能であり、ダイヤモンドライクカーボン被膜の破損が生じにくい。ダイヤモンドライクカーボン被膜の等価弾性定数が280GPa超過であると、ダイヤモンドライクカーボン被膜の等価弾性定数が鋼よりも大き過ぎるので、繰り返し応力が作用した際の母材の変形にダイヤモンドライクカーボン被膜が追従することが困難となって、ダイヤモンドライクカーボン被膜の破損が生じやすくなる。一方、100GPa未満であると、ダイヤモンドライクカーボン被膜の硬さが低く、摩耗が生じやすくなる。
なお、このダイヤモンドライクカーボン被膜のような薄膜については、通常の方法では弾性定数を測定することはできないため、本発明においては以下の方法により測定された、弾性定数に準拠する等価弾性定数を用いる。すなわち、押し込み深さを少なくともダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さ内として微小硬度計による測定を行い、得られた荷重−除荷曲線により等価弾性定数を求める。
例えば、ダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さが2μm以下である場合は、押し込み荷重を0.4〜50mNの間で適宜設定して測定を行う。本発明においては、エリオニクス社製の微小硬度計を使用し、押し込み荷重を50mNとして測定した等価弾性定数を用いる。
この他の等価弾性定数の測定方法としては、フィッシャー社製の微小硬度測定装置を用いる方法がある。この方法においては、(マイクロ)ビッカース硬度計は使用せず、静電容量で制御できる微小硬度計又はナノインデンテータを用いることが望ましい。なおかつ、押し込み深さはダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さ内とする必要がある。そして、前記微小硬度計又はナノインデンテータにより得られた荷重−除荷曲線の弾性変形量から、等価弾性定数を求める。
なお、HRC60の高炭素クロム鋼(SUJ2)の表面の等価弾性定数を上記の方法により求めると250GPaとなり、通常カタログ等に記載されている210GPaよりも大きい結果となる。これは、上記の方法が微小な押し込み領域における測定であることから、SUJ2の表面の加工硬化層の影響を受けるためである。
本発明の水素コンプレッサ用転がり軸受は、鋼中への水素の侵入が生じにくく長寿命である。
本発明に係る水素コンプレッサ用転がり軸受の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る水素コンプレッサ用転がり軸受の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
図1の深溝玉軸受(内径12mm,外径37mm,幅12mm)は、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体3と、両軌道面1a,2a間に転動体3を保持する保持器4と、ゴムシール等の密封装置5,5と、を備えている。内輪1,外輪2,及び転動体3は、SUJ2等の鋼製である。なお、保持器4及び密封装置5は、備えていなくてもよい。
そして、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,及び転動体3の転動面3aには、等価弾性定数が100GPa以上280GPa以下であり且つ厚さが0.2μm以上2μm以下であるダイヤモンドライクカーボン被膜Dが被覆されている。ダイヤモンドライクカーボン被膜Dは、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,及び転動体3の転動面3aのうち少なくとも一つに被覆されていればよいが、全てに被覆されていることが最も好ましい。
なお、上記のようなダイヤモンドライクカーボン被膜Dと母材である鋼との間に、クロム層のような中間層を介在させてもよい。すなわち、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,及び転動体3の転動面3aに、クロム層を被覆し、さらにこのクロム層の上にダイヤモンドライクカーボン被膜を被覆してもよい。
軌道面1a,2aや転動面3aが、水素の遮断性に優れるクロム層で覆われていると、鋼中への水素の侵入が抑制される。そのため、軌道面1a,2aや転動面3aが、白色組織に起因する早期剥離を起こすことがほとんど無い。また、クロム層が潤滑性に優れるダイヤモンドライクカーボン被膜で覆われているので、クロム層の摩耗が抑制される。さらに、軌道面1a,2aや転動面3aが摩耗して金属新生面が生じると、該面を触媒として潤滑剤や水が分解し水素が生成するが、軌道面1a,2aや転動面3aが潤滑性に優れるダイヤモンドライクカーボン被膜で覆われているので、軌道面1a,2aや転動面3aに金属新生面が生じにくい。そのため、金属新生面を触媒として潤滑剤や水が分解し水素が生成するおそれがほとんどない。
クロム層の上に被覆されるダイヤモンドライクカーボン被膜は、等価弾性定数が100GPa以上280GPa以下であり且つ硬さHVが700以上2000以下であることが好ましい。ダイヤモンドライクカーボン被膜の硬さHVが700未満であると、クロム層の摩耗が生じやすくなる。一方、2000超過であると、ダイヤモンドライクカーボン被膜が剥離しやすくなる。等価弾性定数の数値限定理由については、前述の理由と同様である。
ここで、ダイヤモンドライクカーボン被膜Dを形成する方法について、外輪2を例に説明する。なお、ダイヤモンドライクカーボン被膜Dは、外輪2のみならず、内輪1,転動体3や保持器4に形成しても差し支えない。まず、油分を脱脂した外輪2を株式会社神戸製鋼所製のアンバランスドマグネトロンスパッタリング装置504(以降はUBMS装置と記す)に設置し、アルゴンプラズマによるスパッタリングを用いて、軌道面2aにボンバード処理を15分間施した。そして、炭素をターゲットとして、母材の表面のうち軌道面2aとなる部分に炭素をスパッタリングして成膜し、ダイヤモンドライクカーボン被膜Dを成膜した。
ダイヤモンドライクカーボン被膜Dと母材である鋼との間にクロム層を介在させる場合には、以下のようにするとよい。前述のボンバード処理の後に、クロムをターゲットとして、母材の表面のうち軌道面2aとなる部分にクロムをスパッタリングして成膜し、クロム層を形成する。次に、炭素をターゲットとしたスパッタリングを行って、クロム層の上にダイヤモンドライクカーボン被膜Dを成膜する。
なお、ダイヤモンドライクカーボン被膜Dとクロム層との間に、ケイ素(Si),チタン(Ti),タングステン(W)等の他種の元素からなる中間層をさらに設けてもよい。例えばケイ素からなる中間層を設ける場合は、以下のようにするとよい。前述のボンバード処理の後に、クロムをターゲットとして、母材の表面のうち軌道面2aとなる部分にクロムをスパッタリングして成膜し、クロム層を形成する。
次に、クロム及びケイ素をターゲットとしてスパッタリングを行うことにより、クロム及びケイ素からなる複合金属層をクロム層の上に形成する。このスパッタリングの際には、クロムのスパッタ効率を徐々に減少させながら、ケイ素のスパッタ効率を徐々に増加させる。そして、クロムのスパッタリングを終了し、ケイ素のスパッタリングのみとして、複合金属層の上にケイ素からなる中間層を形成する。
さらに、ケイ素のスパッタリングを続けながら、炭素をターゲットとした炭素のスパッタリングを開始する。このようなスパッタリングによって、ケイ素及び炭素からなる複合カーボン層を、中間層の上に形成する。さらに、ケイ素のスパッタ効率を徐々に減少させながら、炭素のスパッタ効率を徐々に増加させる。そして、ケイ素のスパッタリングを終了し、炭素のスパッタリングのみとして、複合カーボン層の上にダイヤモンドライクカーボン被膜Dを形成する。
このようなスパッタリングにより成膜を行えば、クロム層からダイヤモンドライクカーボン被膜Dに向かって、組成が連続的に徐々に変化していく被膜を形成することができる。このような構成の被膜は、各層(クロム層,複合金属層,中間層,複合カーボン層,及びダイヤモンドライクカーボン被膜D)の間の密着性が非常に優れているとともに、潤滑性に優れたダイヤモンドライクカーボン被膜Dと母材である鋼との密着性が非常に優れている。
UBMS装置は、スパッタリングに用いるターゲットを複数装着でき、各ターゲットのスパッタ電源を独立に制御することにより、各成分のスパッタ効率を任意に制御することができるので、上記のような成膜に好適である。例えば、上記の場合の複合カーボン層及びダイヤモンドライクカーボン被膜Dを成膜する工程においては、金属ターゲットのスパッタ電源(DC電源)の電力を低減させながら、同時に炭素ターゲットのスパッタ電源(DC電源)の電力を増加させればよい(このとき、外輪2には負のバイアス電圧を印加する)。
ダイヤモンドライクカーボン被膜Dの等価弾性定数は、外輪2に印加するバイアス電圧を制御するか、又は導入するガスの分圧を制御することにより、変化させることができる。この導入するガス(アルゴン,水素,メタン等の炭化水素系ガス)の種類や分圧比を制御すれば、ダイヤモンドライクカーボン被膜Dの等価弾性定数とともに表面の摺動抵抗を自在にコントロールすることが可能であるので、前記ガスを単独又は混合して導入することにより、目的にあった所望のダイヤモンドライクカーボン被膜Dを形成することができる。さらに、ダイヤモンドライクカーボン被膜Dの厚さは、スパッタ時間により精度よく制御することができる。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、水素コンプレッサ用転がり軸受の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は深溝玉軸受以外の他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
転がり軸受が自動調心ころ軸受である場合は、転動体の転動面が球面状であるので、軌道輪の軌道面と転動体の転動面との間に差動滑りが存在する。このような状態で軸受が回転すると、軌道輪の軌道面や転動体の転動面が大きく摩耗してしまう。さらに、この差動滑りは一様ではなく、純転がり部以外の部分が大きく摩耗して純転がり部を頂点とする二山摩耗となるため、摩耗の少ない山の頂点部分に発生する応力集中による剥離や、曲げ応力によるクラックの発生,進展が生じるおそれがある。
しかしながら、軌道輪の軌道面や転動体の転動面にダイヤモンドライクカーボン被膜が被覆されていれば、二山摩耗を抑制することができるので、自動調心ころ軸受が長寿命となる。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。図1の深溝玉軸受とほぼ同様の構成の軸受において、ダイヤモンドライクカーボン被膜の等価弾性定数及び厚さ、並びに、前述のクロム層等の中間層の有無を種々変更したものを用意した(表1を参照)。ただし、ダイヤモンドライクカーボン被膜は内輪及び外輪の軌道面のみに形成し、転動体の転動面には形成しなかった。
この軸受をプーリに組み込み、ポリオールエステル油を基油としウレア化合物を増ちょう剤とするグリース0.95gで潤滑しながら、室温下で回転試験を行った。回転試験の条件は、回転速度1000min-1から回転速度8000min-1に移行し回転速度1000min-1に戻るというサイクルの運転を繰り返し行うというものである。また、プーリ荷重は1200Nである。
回転試験においては軸受の振動値を測定し、この振動値が回転初期の5倍以上となった時点で白色組織に起因する剥離が生じたと判断し、寿命(白色剥離寿命)とした。ただし、1000時間回転させても振動値が回転初期の5倍以上に達しなかった場合は、回転試験を打ち切った。回転試験の結果を表1に示す。なお、1種の軸受につき5個の深溝玉軸受の試験を行い、その平均値を寿命として表示してある。
表1から分かるように、実施例1〜7の深溝玉軸受は、白色組織に起因する剥離が生じにくく長寿命であった。
Figure 2009085421
次に、ダイヤモンドライクカーボン被膜を備えるスラスト針状ころ軸受(図2を参照。図1と同一又は相当する部分には、図1と同一の符号を付してある)を用意して、回転試験により耐久性を調査した。なお、この試験においては、ダイヤモンドライクカーボン被膜は内輪及び外輪の軌道面のみに形成し、転動体の転動面には形成しなかった。また、ダイヤモンドライクカーボン被膜の内容や中間層の有無については、前述の深溝玉軸受の場合と同様である。
回転試験においては軸受の振動値を測定し、この振動値が回転初期の5倍以上となったら実体顕微鏡によりピーリング(微小剥離)の有無を確認した。そして、ピーリングが確認された場合は寿命(ピーリング寿命)とし、確認されなかった場合は回転試験を続行した。なお、回転試験は、ISO粘度グレードがISO VG10である鉱油を潤滑剤として用いて行った。また、回転試験の条件は、雰囲気温度が室温(約28℃)、荷重が動定格荷重の40%(P/C=0.4)、回転速度が2500min-1である。
回転試験の結果を表1に示す。なお、1種の軸受につき5個のスラスト針状ころ軸受の試験を行い、その平均値を寿命とした。そして、表1のピーリング寿命の数値は、比較例1のピーリング寿命を1とした場合の相対値で示してある。
表1から分かるように、実施例1〜7のスラスト針状ころ軸受は、ピーリングが生じにくく長寿命であった。特に、中間層としてクロム層とケイ素層を有する実施例7は、ダイヤモンドライクカーボン被膜と母材との密着性がよく、ダイヤモンドライクカーボン被膜の低摩擦性,低凝着性が長期間にわたって発揮されたため長寿命であった。
Figure 2009085421
次に、ダイヤモンドライクカーボン被膜を備える呼び番号22211の自動調心ころ軸受(図3を参照。なお、図1と同一又は相当する部分には、図1と同一の符号を付してある)において、ダイヤモンドライクカーボン被膜の等価弾性定数及び厚さ、並びに、前述のクロム層等の中間層の有無を種々変更したものを用意した(表2を参照)。ただし、ダイヤモンドライクカーボン被膜は内輪及び外輪の軌道面のみに形成し、転動体の転動面には形成しなかった。
この軸受に17gのグリースを封入して、水素ガスを充満させたチャンバー内で回転試験を行った。回転試験の条件は、回転速度1000min-1、ラジアル荷重33000Nである。また、回転試験の雰囲気温度は室温である。
回転試験においては軸受の振動値を測定し、この振動値が回転初期の5倍以上となった時点で白色組織に起因する剥離が生じたと判断し、寿命(白色剥離寿命)とした。回転試験の結果を表2に示す。なお、1種の軸受につき5個の深溝玉軸受の試験を行い、その平均値を寿命とした。そして、表2の寿命の数値は、比較例11の寿命を1とした場合の相対値で示してある。
表2から分かるように、実施例11〜16の自動調心ころ軸受は、比較例11〜14と比べて長寿命であった。剥離が発生した軸受を破断して断面を観察したところ、いずれも白色組織が確認されたことから、水素脆化が生じたことが分かった。
次に、ダイヤモンドライクカーボン被膜を備える呼び番号22210の自動調心ころ軸受において、ダイヤモンドライクカーボン被膜の等価弾性定数及び厚さ、並びに、前述のクロム層等の中間層の有無を種々変更したものを用意した(表2を参照)。ただし、ダイヤモンドライクカーボン被膜は転動体の転動面のみに形成し、内輪及び外輪の軌道面には形成しなかった。また、ダイヤモンドライクカーボン被膜の内容や中間層の有無については、被膜の形成箇所を除いて前述の自動調心ころ軸受の場合と同様である。
この軸受に15.5gのグリースを封入して、連続鋳造機に使用される軸受の環境を模した試験装置(図4を参照)に取り付け、100℃の水蒸気中で750時間回転させた。回転試験の条件は、回転速度6min-1、軸受1個当たりのラジアル荷重27900N(F/C0r=0.3)である。そして、回転終了後に、転動体の転動面の摩耗深さを測定して、耐摩耗性を評価した。なお、回転前後の転動体の形状を比較して、最も摩耗している部分の深さを摩耗深さとした。
結果を表2に示す。実施例11〜16の自動調心ころ軸受は、比較例11〜14と比べて摩耗深さが小さかった。また、実施例12〜16の自動調心ころ軸受については、摩耗深さがダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さよりも小さいことから、回転試験終了後もダイヤモンドライクカーボン被膜が残存していることが分かる。
本発明に係る水素コンプレッサ用転がり軸受の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。 スラスト針状ころ軸受の構造を示す部分縦断面図である。 自動調心ころ軸受の構造を示す一部を破断した斜視図である。 耐摩耗性の評価に使用する試験装置の構造を示す概念図である。
符号の説明
1 内輪
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 転動体
3a 転動面
D ダイヤモンドライクカーボン被膜

Claims (1)

  1. 軌道面を有する内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、水素コンプレッサに組み込まれる転がり軸受において、
    前記内輪の軌道面,前記外輪の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一つに、等価弾性定数が100GPa以上280GPa以下であり且つ厚さが0.2μm以上2μm以下であるダイヤモンドライクカーボン被膜が被覆されていることを特徴とする水素コンプレッサ用転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017202946A (ja) * 2016-05-09 2017-11-16 学校法人立命館 水素環境用摺動部材

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