以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電源装置のブロック回路図である。図2は、本発明の実施の形態1における電源装置の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電力供給源の電圧V1の経時変化図を、(b)は負荷への供給電圧V2の経時変化図を、(c)は補助電源の電圧V3の経時変化図を、(d)はサンプルホールド用コンデンサの電圧V4の経時変化図を、(e)は第3スイッチのオンオフのタイミングチャートを、(f)は切替スイッチの切り替えのタイミングチャートを、(g)は第1、第2サンプルスイッチのオンオフのタイミングチャートを、それぞれ示す。図3は本発明の実施の形態1における他の構成の電源装置のブロック回路図である。
なお、本実施の形態1においては、スタータ駆動等により電力供給源の電圧が低下した場合に、補助電源の電力をDC/DCコンバータによって電圧変換し、直流出力を負荷に供給する構成について述べる。
図1において、電源装置20は負荷21に電力を供給するものであり、両者は電気的に接続されている。電源装置20はバッテリや発電機からなる電力供給源22、選択スイッチ23、DC/DCコンバータ24、第3スイッチ26、サンプルホールド回路28、および充放電が可能なコンデンサからなる補助電源30から構成される。
ここで、選択スイッチ23は負荷21に電力を供給する電力源として、電力供給源22の出力とDC/DCコンバータ24の出力を切り替えるものである。具体的には、電力供給源22の出力電圧V1が低下すると自動的に補助電源30の電力を負荷21に供給するように切り替えるために、選択スイッチ23をダイオードで構成した。その結果、V1が一時的に低下した際に、補助電源30からDC/DCコンバータ24を介して出力される電流の電力供給源22への逆流を防止することが可能となる。
また、DC/DCコンバータ24は補助電源30への充放電を1つの回路で実現できる双方向コンバータとした。さらに、第3スイッチ26は並列に整流素子32を有するとともに、外部からオンオフ制御が可能な構成のものとし、本実施の形態1ではFETを用いた。この場合、整流素子32はFETのボディダイオードとなる。なお、補助電源30を構成するコンデンサとしては、急速充放電特性に優れ、大容量の電気二重層コンデンサを用いた。これらにより、DC/DCコンバータ24は、電力供給源22、または補助電源30から出力電圧を得る構成となる。
第3スイッチ26は一端がDC/DCコンバータ24の第1入出力端子34に、他端が選択スイッチ23と負荷21の接続点に接続されている。従って、電力供給源22には第3スイッチ26を介してDC/DCコンバータ24が接続された構成となる。なお、整流素子32は第1入出力端子34側がアノード側になるように接続されている。
次に、DC/DCコンバータ24の詳細構成を説明する。まず、第1入出力端子34にはグランド36との間に昇圧動作時の出力を平滑化するための平滑コンデンサ38が接続されている。なお、補助電源30の電気二重層コンデンサの容量は平滑コンデンサ38の容量より大きいものを用いている。
平滑コンデンサ38の両端には2つのスイッチ(第1スイッチ40、および第2スイッチ42)が直列接続されている。なお、第1スイッチ40、および第2スイッチ42は交互にオンオフを繰り返すよう外部から制御できる構成のものを用いており、本実施の形態1では第3スイッチ26と同様にFETを用いた。従って、図1の配線中に点線で示したようにボディダイオード44、46がそれぞれ形成されている。また、第1スイッチ40のオン時間が長いほどDC/DCコンバータ24の第2入出力端子48の電圧が高くなるように接続されている。
第1スイッチ40と第2スイッチ42の接続点にはインダクタンス素子であるコイル50の一端が接続されている。コイル50の他端には補助電源30への電力の授受を行う第2入出力端子48の正極側が接続されている。なお、本実施の形態1では省略しているが、第2入出力端子48の正負極間に出力平滑用の平滑コンデンサを設けてもよい。
また、第1入出力端子34の電圧V5を検出するために、第1入出力端子34とグランド36の間には電圧V5検出用抵抗52、54が2個直列に接続されている。これにより、電圧V5検出用抵抗52、54の接続点の電圧がV5に比例した電圧として検出できる。従って、前記接続点を第1エラーアンプ56の一方の入力に、サンプルホールド回路28で決められた出力設定値を他方の入力に、それぞれ接続することにより、第1エラーアンプ56は補助電源30の放電動作時、すなわち本実施の形態1ではDC/DCコンバータ24の昇圧動作時にV5を前記出力設定値相当にするために両者の誤差を出力する。なお、サンプルホールド回路28の詳細構成は後述する。
同様に、第2入出力端子48の正極側電圧V3を検出するために、第2入出力端子48の正極側と補助電源30の負極側の間には電圧V3検出用抵抗58、60が2個直列に接続されている。これにより、電圧V3検出用抵抗58、60の接続点の電圧がV3に比例した電圧として検出できる。従って、前記接続点を第2エラーアンプ62の一方の入力に、設定電圧源64を他方の入力に、それぞれ接続することにより、第2エラーアンプ62は補助電源30の充電動作時、すなわち本実施の形態1ではDC/DCコンバータ24の降圧動作時にV3を設定電圧値相当にするために両者の誤差を出力する。
第1エラーアンプ56の出力と第2エラーアンプ62の出力は、いずれか一方を選択するための切替スイッチ66に接続されている。この切替スイッチ66により、昇圧動作と降圧動作を切り替えている。すなわち、切替スイッチ66が第1エラーアンプ56の出力を選択すれば補助電源30側から負荷21側への昇圧動作を、第2エラーアンプ62の出力を選択すれば電力供給源22側から補助電源30側への降圧動作を行うこととなる。
切替スイッチ66で選択された出力はスイッチング信号生成回路68に入力される。スイッチング信号生成回路68は入力された信号を発振回路70の出力と比較器72で比較して第1スイッチ40と第2スイッチ42をオンオフするためのパルス信号を生成し、これを2系統に分け、一方を反転回路74に入力することで、互いに反転したオンオフ信号を生成している。これらの信号を第1スイッチ40と第2スイッチ42にそれぞれ入力することで、DC/DCコンバータ24の昇圧や降圧の電圧変換動作が行われる。なお、切替スイッチ66の切り替え制御、スイッチング信号生成回路68の動作制御、第3スイッチ26のオンオフ制御、およびサンプルホールド回路28の動作制御は制御回路76によって行われる。この内、スイッチング信号生成回路68は制御回路76からスイッチング起動信号77を受信することにより動作を制御されている。
次に、サンプルホールド回路28の詳細構成について説明する。サンプルホールド回路28は、例えばエンジンECU等の外部から発せられるサンプルタイミング信号に応じて、現在、電力供給源22から負荷21に供給されている電圧V2に相当する電圧をサンプルし、DC/DCコンバータ24の出力設定値としてホールドする機能を有する。
そこで、まずV2をサンプルするために、負荷21の正極側とグランド36の間には電圧V2検出用抵抗78、80が2個直列に接続されている。これにより、電圧V2検出用抵抗78、80の接続点の電圧がV2に比例した電圧として検出できる。なお、電圧V2検出用抵抗78、80は負荷21の正極側とグランド36の間に直接接続すると、電力供給源22からの電流が電圧V2検出用抵抗78、80に常時流れてしまい損失が大きくなる。そこで、サンプルホールドしたい時だけ電圧V2検出用抵抗78、80が機能するように第1サンプルスイッチ82が直列に接続されている。
電圧V2検出用抵抗78、80の接続点は、ボルテージフォロワ84、第2サンプルスイッチ86を介してサンプルホールド用コンデンサ88に接続されている。これにより、接続点でのV2に比例した電圧をサンプルホールド用コンデンサ88にコピーした後、第2サンプルスイッチ86をオフにすることで、V2相当の電圧がホールドされる。従って、第1、第2サンプルスイッチ82、86はサンプルホールド動作をしている間だけ同時にオンになるよう制御回路76によって制御されている。また、サンプルホールド用コンデンサ88にコピーされた電圧出力は、DC/DCコンバータ24の出力設定値として第1エラーアンプ56に入力される。なお、前回ホールドしたサンプルホールド用コンデンサ88の電圧V4が今回ホールドしたいV2相当電圧よりも高かった場合、V4をV2相当電圧まで低下させることができる回路構成として、ボルテージフォロワ84を用いている。これにより、V4がV2相当電圧に低下するまで、ボルテージフォロワ84の図示しないグランド端子を介してサンプルホールド用コンデンサ88の電荷を自動的に逃がすことができる。
ここで、電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値の設定について説明する。
本実施の形態1では、電力供給源22の電圧V1の低下時に補助電源30から負荷21に供給される電圧が、通常時に電力供給源22から負荷21に供給される電圧よりも低くなるようにDC/DCコンバータ24の出力設定値を決定している。この理由は後の動作説明で述べる。
このように、出力設定値を決定するためには、一例として電力供給源22から負荷21に供給する電圧より低い電圧をあらかじめ出力設定値としてホールドする構成とすればよい。具体的には、例えば一定割合で電圧が低くなるような抵抗値を有する電圧V2検出用抵抗78、80を用いればよい。本実施の形態1では約10%低くなる抵抗値を選定している。
しかし、DC/DCコンバータ24は第1入出力端子34の電圧V5が出力設定値になるように制御している。第1入出力端子34と負荷21の間には整流素子32が接続されているので、これによる電圧降下が発生する。従って、上記のように単に一定割合で電圧が低くなるような抵抗値としただけでは、電圧降下の分、補助電源30からの出力電圧が低くなりすぎてしまう。ゆえに、整流素子32の電圧降下に相当する電圧分だけDC/DCコンバータ24の出力設定値を上げておく構成としている。
以上のことから、電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値としては、整流素子32の電圧降下分を上げつつ、最終的に一定割合(約10%)で電圧が低くなるような抵抗値を設定している。
なお、電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値設定によりDC/DCコンバータ24の出力設定値を決定しているが、これは電圧V5検出用抵抗52、54の抵抗値を上記と同様に設定して出力設定値を決定してもよい。
次に、このような構成の電源装置20の動作について図1、および図2を用いて説明する。
電源装置20の起動時(時間t0)において、電力供給源22の電圧V1が図2(a)に示すように、ある一定値であったとする。なお、図2(a)は実線と点線のグラフが記載されているが、これは周囲温度や劣化による電力供給源22の変動幅を表すもので、V1の最大値を実線、最小値を点線で示した。
時間t0では電力供給源22の一時的な電圧低下が起こっていないので、負荷21には電力供給源22の電力が選択スイッチ23を介して負荷21に供給される。従って、図2(b)に示すように、負荷21の電圧V2もV1の変動幅に対応した実線と点線の幅内で一定値となる。
この時、電源装置20は起動直後であるので、補助電源30にはまだ電荷が蓄えられていない。そのため、図2(c)に示すように、時間t0では補助電源30の電圧V3は低い状態である。
同様に、電源装置20の起動直後ではDC/DCコンバータ24の出力電圧を設定するサンプルホールド用コンデンサ88にも電荷が蓄えられていないので、図2(d)に示すように、時間t0ではサンプルホールド用コンデンサ88の電圧V4も低い状態である。
この起動直後の状態では、アイドリングストップ後のスタータ動作時のように電力供給源22の一時的な電圧低下を補償するため、補助電源30を満充電しておく必要がある。そのために、制御回路76は、図2(e)に示すように第3スイッチ26をオンに、図2(f)に示すように切替スイッチ66を降圧側にする。また、起動直後は図示しないECUからのサンプルタイミング信号がオフであるので、図2(g)に示すように第1、第2サンプルスイッチ82、86はオフのままである。
この状態で、制御回路76はスイッチング起動信号77を発することにより、スイッチング信号生成回路68を駆動する。これにより、切替スイッチ66が降圧側に切り替えられているので、DC/DCコンバータ24は電力供給源22の電力を補助電源30に充電する。この際、DC/DCコンバータ24はV3が設定電圧源64の電圧に相当するように降圧制御する。その結果、図2(c)に示すように、V3は時間が経過するとともに増加していく。
やがて、V3が設定電圧源64の電圧相当になると、DC/DCコンバータ24はV3が設定電圧源64の電圧相当を維持するように動作する。その結果、図2(c)に示すようにV3は安定する。
その後、自動車がアイドリングストップを行った後、エンジンを再起動するためにスタータを動作させるとする。スタータ動作は例えば運転者が停車中のブレーキペダルからアクセルペダルに踏み替える場合に行われる。従って、ECUは前記ペダルの踏み替えを検出すると同時にサンプルタイミング信号(パルス信号)を制御回路76に発信する。この時点ではまだスタータは動作していない。
制御回路76が時間t1でサンプルタイミング信号を受信したとすると、制御回路76は直ちに図2(e)に示すように第3スイッチ26をオフにするとともに、図2(g)に示すように第1、第2サンプルスイッチ82、86をオンにする。その結果、まず第3スイッチ26をオフにすることで、電力供給源22からの電力入力を断つ。また、第1、第2サンプルスイッチ82、86をオンにすることで、現在負荷21に供給している電圧V2を、電圧V2検出用抵抗78、80で抵抗分割されたV2に比例する電圧としてサンプルホールド用コンデンサ88にコピーする。この時、サンプルホールド用コンデンサ88の電圧V4がV2相当電圧に至るまでには電荷を蓄える時間が必要である。そこで、図2(d)に示すように、十分電荷を蓄えてV4が安定する時間t2(あらかじめ決定しておく)まで第1、第2サンプルスイッチ82、86をオンのまま保持する。
時間t2になればV4が安定するので、V2相当電圧がサンプルされたことになる。そこで、制御回路76は図2(g)に示すように、第1、第2サンプルスイッチ82、86をオフにすることでV4を一定値のままホールドする。それと同時に、図2(f)に示すように、切替スイッチ66を昇圧側に切り替える。これにより、時間t2以降でスタータがいつ駆動してV1が低下しても、補助電源30の電力を負荷21に供給できるように準備しておく。
その後、時間t3でECUがスタータを駆動したとする。これにより、電力供給源22からスタータに大電流が流れるので、V1は図2(a)に示すように急激に低下する。この時、DC/DCコンバータ24は昇圧動作に切り替わっているので、補助電源30の電圧を昇圧して直ちに負荷21へ供給する。
ここで、DC/DCコンバータ24の出力電圧は時間t2でホールドした出力設定値になるように制御される。従って、V2はスタータ動作前とほぼ同等の電圧とすることができる。その結果、図2(b)の実線に示すように電力供給源22が高い電圧値であれば、それに近い電圧が、点線に示すように電力供給源22が低い電圧値であれば、それに近い電圧が、それぞれ負荷21に供給される。ゆえに、サンプルホールド回路28でサンプルした電圧V4が出力設定値となるようにDC/DCコンバータ24の出力電圧を変動制御することにより、出力電圧を電力供給源22の長期的な電圧変動に追従させることができる。これにより、従来のような電力供給源22からの電圧と補助電源30からの電圧との差が電力供給源22の条件によって変動し、負荷21の動作に影響を及ぼしてしまう可能性を低減できる。
なお、本実施の形態1では図2(b)に示すように、電力供給源22からの電圧よりも補助電源30からの電圧が僅かに低くなるようにしている。これは、前記したように電力供給源22から負荷21に供給する電圧より低い電圧をあらかじめ出力設定値としてホールドする構成としているためである。このような構成とする理由は、もし電力供給源22からの電圧よりも補助電源30からの電圧が高ければ、時間t2からt3の間で、まだスタータが動作せずV1が低下していない時にも補助電源30から電力が負荷21に供給され、本当に補助電源30からの電力が必要な時に不足してしまうという可能性を回避するためである。なお、この構成のための電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値設定についてはサンプルホールド回路28の構成で説明した通りである。
V1の低下期間中は負荷21へは補助電源30から電力が供給されるので、図2(c)に示すように、V3は時間t3以降、経時的に低下していく。
やがて、時間t4でエンジン始動が完了し、スタータの動作が停止したとする。この時、図2(a)に示すようにV1は急激に電圧低下前の電圧まで回復する。その結果、前記したようにDC/DCコンバータ24の出力電圧は電力供給源22からの電圧より僅かに低く設定しているので、整流素子32によりDC/DCコンバータ24の出力の負荷21への供給は停止し、電力供給源22からの電力が引き続き供給される。従って、図2(b)に示すようにV2は若干上昇して安定する。また、DC/DCコンバータ24の出力の負荷21への供給が停止するので、図2(c)に示すようにV3は時間t4の電圧のまま一定となる。
その後、時間t5で制御回路76は補助電源30を再度満充電するために、図2(e)、(f)に示すように第3スイッチ26をオンにするとともに、切替スイッチ66を降圧側に切り替える。この状態は時間t0と同じであるので、時間t0からt1までと同様の動作により補助電源30が充電されていく。その結果、図2(c)に示すように時間t5以降でV3は上昇し、満充電になればその電圧を維持するように動作する。
以上の動作を繰り返すことで、V1が低下してもV2をほぼ同じ電圧に維持することが可能となる。
なお、図2(d)に示すように、時間t5以降もV4はホールドした電圧を維持し続けている。この状態で、再度サンプルタイミング信号を受信し、第1、第2サンプルスイッチ82、86がオンになると、V4はその時点でのV2相当電圧に更新されるが、V4がV2相当電圧より低ければ、V2相当電圧に至るまでの分、サンプルホールド用コンデンサ88に電荷が蓄えられる。一方、V4がV2相当電圧より高ければ、サンプルホールド回路28の構成で説明したように、V2相当電圧に至るまでの分の電荷がサンプルホールド用コンデンサ88からボルテージフォロワ84のグランドに放電される。このように、サンプルホールド回路28を本実施の形態1の構成とすることにより、第1、第2サンプルスイッチ82、86をオンにするだけで自動的にV4をV2相当電圧に更新することができる。
以上の構成、動作により、通常時の電力供給源22の電圧と、電力供給源22の電圧低下時におけるDC/DCコンバータ24の出力電圧との差が常に小さい電源装置20を実現できた。
なお、本実施の形態1ではDC/DCコンバータ24により補助電源30の電圧を昇圧して負荷21へ電力を供給する例を示したが、DC/DCコンバータ24として知られている降圧型や昇降圧型のコンバータを用いて、高電圧の補助電源30から降圧して負荷21に電力を供給する構成としても同様な効果が得られる。
また、本実施の形態1では電力供給源22と補助電源30がDC/DCコンバータ24を介して並列に接続された構成を示したが、これは図3に示すように電力供給源22と補助電源30を直列接続してもよい。この場合のその他の回路構成は切替スイッチ66の昇圧側と降圧側が逆になる以外は図1と同じである。また、図3の回路構成の場合、動作については補助電源30への充電は電力供給源22の電圧V1より高くなければならないので、DC/DCコンバータ24は充電時には昇圧動作を行うことになる。従って、電力供給源22の電圧低下期間は補助電源30の高い電圧V3を降圧して負荷2に電圧を供給する動作となる。ゆえに、図1の動作とはDC/DCコンバータ24の昇降圧動作が逆転することになるので、図2(f)の昇圧と降圧は逆転させる必要がある。なお、それ以外の経時動作は図2と同じである。但し、図2(c)の電圧低下期間(時間t3〜t4)におけるV3の電圧降下特性は直線状ではなく、図2(a)の同期間t3〜t4における変動と合成された特性、すなわち図示しないが図2(a)の短期的な電圧の変動を伴いながら全体として図2(c)のように降下していく特性となる。
このような構成とすることで、図1の構成により得られる効果に加え、図1とは逆に電圧低下期間に降圧して負荷21に電圧を供給する構成となるので、電圧が高い分、流れる電流が低減されDC/DCコンバータ24における損失を低減することができるという効果も得られる。
また、本実施の形態1では例えば補助電源30を満充電にした後も、満充電電圧を維持するためにDC/DCコンバータ24を動作させ続けているが、補助電源30に大容量の電気二重層コンデンサを用いているので、DC/DCコンバータ24を停止しても急激に電圧が下がることはない。従って、補助電源30が充電、または放電している間のみDC/DCコンバータ24を動作させてもよい。この場合、DC/DCコンバータ24が停止している間はDC/DCコンバータ24による電力消費がなくなる。ゆえに、電圧変動を低減し負荷の安定動作が可能になるという本来の効果に加え、さらに効率のよい電源装置20を構成することができる。
また、本実施の形態1ではDC/DCコンバータ24として双方向コンバータを用いた構成の例を示したが、従来のダイオード整流の構成からなるDC/DCコンバータにも適用可能である。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における電源装置のブロック回路図である。図5は、本発明の実施の形態2における電源装置の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電力供給源の電圧V1の経時変化図を、(b)は負荷への供給電圧V2の経時変化図を、(c)はサンプルホールド用コンデンサの電圧V4の経時変化図を、(d)はスイッチング起動信号のオンオフのタイミングチャートを、(e)は第1、第2サンプルスイッチのオンオフのタイミングチャートを、それぞれ示す。図4において、図1と同じ構成については同じ番号を付し、詳細な説明を省略する。なお、本実施の形態2ではバッテリと発電機からなる電力供給源の電圧低下時に、電力供給源の電圧を昇圧して、その直流出力を負荷に供給する構成について述べる。
まず、図4における図1との構成上の相違点は以下の通りである。
1)補助電源30を廃し、補助電源30が接続されていた第2入出力端子48に電力供給源22を接続した。
2)これに伴い、DC/DCコンバータ24を昇圧コンバータ構成とした。
3)そのため、降圧制御が不要となるので、電圧V3検出用抵抗58、60と、第2エラーアンプ62と、設定電圧源64と、切替スイッチ66を廃した。
4)DC/DCコンバータ24による補助電源30の充電動作が不要となるので、第3スイッチ26と整流素子32を廃した。これにより、第1入出力端子34の電圧V5は負荷21への電圧V2と等しくなる。
上記以外の構成は実施の形態1と同様であるが、電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値設定については整流素子32がないため、その電圧降下を考慮する必要がない。従って、単に一定割合(約10%)で電圧が低くなるような抵抗値を選定している。
次に、このような構成の電源装置20の動作について図4、図5を用いて説明する。
電源装置20の起動時(時間t0)において、電力供給源22の電圧V1が図5(a)に示すように、ある一定値であったとする。なお、図5(a)の実線と点線のグラフの意味は図2(a)と同じである。
時間t0では電力供給源22の一時的な電圧低下が起こっていないので、負荷21には電力供給源22の電力が選択スイッチ23を介して負荷21に供給される。従って、図5(b)に示すように、負荷21の電圧V2もV1の変動幅に対応した実線と点線の幅内で一定値となる。
この時、電源装置20は起動直後であるので、DC/DCコンバータ24の出力電圧を設定するサンプルホールド用コンデンサ88には電荷が蓄えられていない。従って、図5(c)に示すように、時間t0ではサンプルホールド用コンデンサ88の電圧V4は低い状態である。
この起動直後の状態では、電力供給源22の一時的な電圧低下が発生していないため、DC/DCコンバータ24を起動させる必要がない。従って、制御回路76は、図5(d)に示すようにスイッチング起動信号77をオフのままとする。同様に、起動直後は図示しないECUからのサンプルタイミング信号がオフであるので、図5(e)に示すように第1、第2サンプルスイッチ82、86もオフのままである。
その後、例えば自動車がアイドリングストップを行った後、エンジンを再起動するためのスタータを動作させる場合、その直前にECUはサンプルタイミング信号(パルス信号)を制御回路76に発信する。
制御回路76が時間t1でサンプルタイミング信号を受信したとすると、制御回路76は直ちに図5(e)に示すように第1、第2サンプルスイッチ82、86をオンにする。その結果、現在負荷21に供給している電圧V2を、電圧V2検出用抵抗78、80で抵抗分割されたV2に比例する電圧としてサンプルホールド用コンデンサ88にコピーする。この時、サンプルホールド用コンデンサ88の電圧V4がV2相当電圧に至るまでには電荷を蓄える時間が必要なので、図5(c)に示すように、十分電荷を蓄えてV4が安定する時間t2(あらかじめ決定しておく)まで第1、第2サンプルスイッチ82、86をオンのまま保持する。
時間t2になればV4が安定するので、V2相当電圧がサンプルされたことになる。そこで、制御回路76は図5(e)に示すように、第1、第2サンプルスイッチ82、86をオフにすることでV4を一定値のままホールドする。それと同時に、図5(d)に示すように、スイッチング起動信号77をオンにする。
ここで、後述するように電力供給源22の出力電圧V1よりもDC/DCコンバータ24の出力電圧V2が僅かに低くなるように設定しているが、本実施の形態2のDC/DCコンバータ24は昇圧型の構成であるため、時間t2の時点ではDC/DCコンバータ24の入力電圧V1より低い電圧V2への変換はできない。この場合は最も昇圧比が小さくなる動作、すなわち、第2スイッチ42がオフ、第1スイッチ40がオンを維持する動作を取るようにスイッチング信号生成回路68によって制御される。その結果、DC/DCコンバータ24は時間t2以降でスタータがいつ駆動してV1が低下しても、電力供給源22の電圧を昇圧して負荷21に供給できるように起動していることになる。なお、これにより電力供給源22から負荷21への電力供給は、選択スイッチ23を介する配線、およびコイル50と第1スイッチ40の直列回路を介する配線により行われることになる。
その後、時間t3でECUがスタータを駆動したとする。これにより、電力供給源22からスタータに大電流が流れるので、V1は図5(a)に示すように急激に低下する。この時、同時にV2も低下するが、DC/DCコンバータ24はすでに起動しているので、V2が出力設定値まで低下した時点から昇圧動作を開始することができる。その結果、DC/DCコンバータ24は低下した電力供給源22の電圧を昇圧して直ちに第1入出力端子34から負荷21へ供給するので、V2の安定化が図れる。
ここで、DC/DCコンバータ24の出力電圧は時間t2でホールドした出力設定値になるように制御される。従って、実施の形態1で説明したようにV2はスタータ動作前とほぼ同等の電圧とすることができるので、従来のようなスタータ動作前後のV2の電圧差が電力供給源22の条件によって変動し、負荷21の動作に影響を及ぼしてしまう可能性を低減できる。
なお、本実施の形態2でも図5(b)に示すように、電力供給源22からの電圧よりもDC/DCコンバータ24からの電圧が僅かに低くなるようにしているが、これは以下の理由による。もし電力供給源22からの電圧よりもDC/DCコンバータ24からの電圧が高ければ、時間t2からt3の間で、まだスタータが動作せずV1が低下していない時にもDC/DCコンバータ24から電力が負荷21に供給されてしまう。この際、DC/DCコンバータ24には損失があるので、それによる無駄な電力消費を少しでも低減するために図5(b)のような電圧設定とした。
次に、時間t4でエンジン始動が完了し、スタータの動作が停止したとする。この時、図5(a)に示すようにV1は急激に電圧低下前の電圧まで回復する。その結果、前記したようにDC/DCコンバータ24の出力電圧は電力供給源22からの電圧より僅かに低く設定しているので、DC/DCコンバータ24の第2スイッチ42はオフ、第1スイッチ40はオンを維持する動作となる。この時、負荷21への電力は、選択スイッチ23の配線、およびコイル50と第1スイッチ40の直列回路の配線を介して引き続き供給される。従って、図5(b)に示すようにV2は若干上昇して安定する。
その後、時間t5で制御回路76はDC/DCコンバータ24の動作を停止するために、図5(d)に示すようにスイッチング起動信号77をオフにする。これにより時間t0と同じ状態となる。
以上の動作を繰り返すことで、V1が低下してもV2をほぼ同じ電圧に維持することが可能となる。なお、時間t5以降のV4の更新については実施の形態1と同様の動作で行われる。
以上の構成、動作により、通常時の電力供給源22の電圧と、電力供給源22の電圧低下時におけるDC/DCコンバータ24の出力電圧との差が常に小さい電源装置20を実現できた。
なお、本実施の形態2ではスイッチング起動信号77がオフの場合はDC/DCコンバータ24の動作を停止するように制御しているが、これは電力供給源22の電圧が低下していない通常時、すなわちスイッチング起動信号77がオフの時に、DC/DCコンバータ24の入出力間(第1入出力端子34と第2入出力端子48の間)に接続された方の第1スイッチ40のみをオンにするように、スイッチング信号生成回路68を動作させてもよい。これにより、スイッチング起動信号77がオフの時も電力供給源22から負荷21への電力供給がDC/DCコンバータ24を介して行われる。このように動作させると、通常時は第1スイッチ40がオンなので、V2はV1と等しくなる。従って、サンプルホールドされる電圧V4はV1相当電圧となるので、DC/DCコンバータ24の出力電圧が選択スイッチ23の電圧降下の影響を受けなくなり、通常時と電力供給源22の電圧低下時の負荷21への供給電圧差をより小さくすることができる。ゆえに、V2がさらに安定するという効果が得られる。この場合、電力供給源22の電力はコイル50と第1スイッチ40を介して負荷21に供給されるので、選択スイッチ23を介する配線は無くてもよい。
また、本実施の形態2では整流素子32を設けない構成について説明したが、これは実施の形態1と同じ位置に設けてもよい。これにより、万一、平滑コンデンサ38や、第1スイッチ40、第2スイッチ42がショート故障しても、電力供給源22の電流がグランド36に流れる異常を防止することができ、信頼性が向上する。但し、この場合は実施の形態1と同様に、整流素子32の電圧降下分を考慮して電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値を設定する必要がある。
また、本実施の形態2ではDC/DCコンバータ24として同期整流型の昇圧コンバータを用いた構成の例を示したが、従来のダイオード整流の構成からなるDC/DCコンバータにも適用可能である。
なお、実施の形態1、2で述べた構成はアイドリングストップ構成に限らず、電動パワーステアリングや電動ターボ等の大電流消費システムに適用してもよい。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における電源装置のブロック回路図である。図7は、本発明の実施の形態3における電源装置の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電力供給源からの電流I1の経時変化図を、(b)はDC/DCコンバータへの電流I5の経時変化図を、(c)は負荷への電流I2の経時変化図を、(d)は負荷の電圧V2の経時変化図を、(e)は補助電源の電圧V3の経時変化図を、(f)はサンプルホールド用コンデンサの電圧V4の経時変化図を、(g)は切替スイッチの切り替えのタイミングチャートを、(h)は第1、第2サンプルスイッチのオンオフのタイミングチャートを、それぞれ示す。図6において、図1と同じ構成については同じ番号を付し、詳細な説明を省略する。また、図6の矢印は電流の流れを示し、矢印の方向が正の電流と定義する。
なお、本実施の形態3においては、ブレーキによる制動エネルギーの電気エネルギーへの回生動作等のため、電力供給源の電圧が一時的に上昇した場合に、この上昇変動分をDC/DCコンバータによって電圧変換して補助電源で吸収し、回生動作が行われていない通常時に補助電源の電力を放出する構成について述べる。
まず、図6における図1との構成上の相違点は以下の通りである。
1)本実施の形態3では実施の形態1のような電力供給源22の電圧降下が起こらない場合について述べるので、DC/DCコンバータ24の出力が電力供給源22に逆流することはない。従って、逆流防止用の選択スイッチ23は不要であるので廃した。
2)実施の形態1の構成では補助電源30が満充電になれば、その電力が必要時以外に外部へ流出しないように第3スイッチ26を設けていたが、本実施の形態3の構成では発生した回生電力をいつでもすぐに充電できるようにするために第3スイッチ26を廃した。それに伴って整流素子32も廃した。
3)補助電源30の充電可能な容量は、回生動作時の最大電気エネルギーを全て吸収できる容量とした。
上記以外の構成は実施の形態1と同様であるが、電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値設定については実施の形態2と同様に整流素子32がないため、その電圧降下を考慮する必要がない。従って、電力供給源22からの電圧と補助電源30からの電圧が同じになるような抵抗値を選定している。
次に、このような構成の電源装置20の動作について図6、図7を用いて説明する。
電源装置20の起動完了後の通常時(時間t0)において、電力供給源22から流れる電流I1は、図7(a)に示すように負荷21が消費する一定値であるとする。
これに対し、補助電源30は時間t0において放電された状態であるが、回生動作による電気エネルギーを全て回収するために、補助電源30に充電されないように制御する必要がある。従って、補助電源30はDC/DCコンバータ24を介して充電される回路構成であるので、図7(b)に示すように、DC/DCコンバータ24への電流I5は0となる。ここで、補助電源30には完全放電が可能な電気二重層キャパシタを用いた。
また、負荷21は車両使用中、常に一定電流I2を消費しているとすると、図7(c)に示すように時間t0で一定電流I2が負荷21に流れる。従って、時間t0ではI1=I2となる。
一方、負荷21に印加される電圧V2は車両使用中、常に動作可能な電圧範囲内で一定になるように制御されているので、時間t0では図7(d)に示すように、ある一定値を保つ。なお、図7(d)の実線と点線のグラフの意味は図2(a)と同じである。
補助電源30は上記したように時間t0では充電されないため、図7(e)に示すように補助電源30の電圧V3は0である。
また、電源装置20の起動完了時にはDC/DCコンバータ24における第1入出力端子34の電圧(出力電圧)を設定するサンプルホールド用コンデンサ88には電荷が十分蓄えられていないので、図7(f)に示すように、時間t0ではサンプルホールド用コンデンサ88の電圧V4は低い状態である。
ここで、各種スイッチの動作についてタイミングチャートを基に説明する。
まず、時間t0で補助電源30に充電を行わないようにするために、制御回路76は、切替スイッチ66が降圧側(第2エラーアンプ62側)を選択するように制御する。第2エラーアンプ62に接続された設定電圧源64の設定電圧はDC/DCコンバータ24の昇圧動作が可能な最低電圧(例えば1V)としているので、上記選択により、DC/DCコンバータ24は補助電源30の電圧V3が設定電圧になるように充電制御される。一旦充電されると、充電動作が停止する。
次に、第1、第2サンプルスイッチ82、86については、時間t0では図示しないECUからのサンプルタイミング信号がオフであるので、図7(h)に示すように、いずれもオフのままである。
この状態で、運転者が制動操作を行ったとする。この操作により、ブレーキペダルからブレーキ信号が車両のECUに入力される。これにより、ECUは直ちにサンプルタイミング信号を制御回路76に発信する。この時点ではまだ発電機が回生動作を行っていない。
制御回路76が時間t1でサンプルタイミング信号を受信したとすると、制御回路76は直ちに図7(h)に示すように第1、第2サンプルスイッチ82、86をオンにする。その結果、実施の形態1と同様にして、現在負荷21に供給している電圧V2に相当する電圧をサンプルホールド用コンデンサ88にコピーする。この時、サンプルホールド用コンデンサ88の電圧V4がV2相当電圧に至るまでには電荷を蓄える時間が必要なので、図7(f)に示すように、十分電荷を蓄えてV4が安定する時間t2(あらかじめ決定しておく)まで第1、第2サンプルスイッチ82、86をオンのまま保持する。
時間t2になればV4が安定するので、V2相当電圧がサンプルされたことになる。そこで、制御回路76は図7(h)に示すように、第1、第2サンプルスイッチ82、86をオフにすることでV4を一定値のままホールドする。それと同時に、図7(g)に示すように、切替スイッチ66を昇圧側に切り替える。この時、DC/DCコンバータ24の出力は直前の電圧(ホールドした電圧)となるように動作する。従って、回生電流が発生するまで補助電源30への充放電はほとんど行われない。これらの動作により、時間t2以降でいつ回生動作によりI1が上昇しても、補助電源30により回生電力を充電して吸収できるように準備しておく。
その後、時間t3で車両制動のための回生動作が開始されたとする。これにより、電力供給源22から一時的に大電流が流れてくるので、I1は図7(a)に示すように急激に増加する。この時、DC/DCコンバータ24は第1入出力端子34の電圧V5がサンプルホールドされた電圧V4になるように制御するので、I1の増加に伴うV5の増大をV4にまで下げるために、図7(b)に示したような回生による一時的な変動電流I5を、DC/DCコンバータ24を介して補助電源30に充電することで吸収する。
これにより、I2は図7(c)に示すように回生動作前とほとんど同じ電流を負荷21に供給し続けられる。
さらに、DC/DCコンバータ24の第1入出力端子34の電圧V5は時間t2でホールドした出力設定値になるように制御されるので、V2は回生動作前とほとんど同じ電圧とすることができる。その結果、図7(d)の実線に示すように電力供給源22が高い電圧値であった場合は、それとほとんど同じ電圧が、点線に示すように電力供給源22が低い電圧値であった場合は、それとほとんど同じ電圧が、それぞれ負荷21に供給される。ゆえに、サンプルホールド回路28でサンプルした電圧V4が出力設定値となるようにDC/DCコンバータ24の出力電圧を変動制御することにより、実施の形態1、2と同様に第1入出力端子34の電圧V5を電力供給源22の長期的な電圧変動に追従させることができる。これにより、従来のような電力供給源22からの電圧と補助電源30からの電圧との差が電力供給源22の条件によって変動し、負荷21の動作に影響を及ぼしてしまう可能性を低減できる。
なお、本実施の形態3では、実施の形態1のように電力供給源22の電圧低下期間に補助電源30から負荷21へ電力供給する動作を行わないので、補助電源30からの電力が必要な時に不足してしまうという可能性が本質的にない。従って、図2(b)に示すように、電力供給源22からの電圧よりも補助電源30からの電圧が僅かに低くなるような出力設定値の設定を行う必要がない。ゆえに、図7(d)に示すようにV2は、回生動作による大電流発電期間であっても、それ以外の通常時とほとんど同じ電圧としている。これにより、負荷21への電圧変動をできるだけ低減している。
大電流発電期間中は電力供給源22の電流I1の一時的な変動分I5がDC/DCコンバータ24を介して補助電源30で充電、吸収されるので、図7(e)に示すように、V3は時間t3以降、経時的に上昇していく。
やがて、時間t4で回生動作が終了したとする。この時、図7(a)に示すようにI1は急激に低下し、電力供給源22からはほとんど電流I1が流れない状態となる。これは、大電流発電期間に補助電源30が吸収した充電電力を優先的に放出し、次の大電流発電期間における電流変動分の再吸収に備えるよう制御しているためである。
この結果、図7(b)に示すように、時間t4を越えると第1入出力端子34での電流I5は負荷21に供給するために負方向に流れる。従って、I2≒−I5となる。ゆえに、図7(c)に示すように、時間t4以降も引き続き負荷21には同じ電流I2が供給され、図7(d)に示すように負荷21の電圧V2も一定のまま維持される。
これに伴い、補助電源30の電力が負荷21に供給されるに従って、時間t4以降で経時的に電圧V3が低下していく。補助電源30は次の一時的な大電流変動分の吸収のために、放電しきっておかなければならない。そこで、制御回路76は時間t5で切替スイッチ66を降圧側に切り替える。これにより、DC/DCコンバータ24は補助電源30の電圧V3が設定電圧源64の電圧になるように動作する。その結果、補助電源30の電力は全て放電され、その状態が維持される。
この時の動作の様子を図7(e)に示す。時間t6でV3が0Vとなり、それ以降は0Vを維持している。このような動作により、時間t6以降は補助電源30から負荷21へ電力を供給できないので、この時点で図7(a)に示すように電力供給源22から負荷21に電流I1が供給される。この時、図7(b)に示すように補助電源30は放電が完了しているので、第1入出力端子34での電流I5は0になる。
これらの動作により、図7(c)、(d)に示すように、負荷21への電流I2と電圧V2は常に同じ値を保つので、負荷21は安定して動作し続けることができる。
以上の動作を繰り返すことで、I1が上昇変動してもI2、V2をほぼ同じ値に維持することが可能となる。なお、切替スイッチ66を切り替える時間t5はt4とt6の間であればいつでもよい。また、ホールドされた電圧V4の更新は実施の形態1と同様にして行われる。
以上の構成、動作により、通常時の電力供給源22の電圧と、電力供給源22からの大電流発電による一時的な変動時のDC/DCコンバータ24の出力電圧との差が常に小さい電源装置20を実現できた。
なお、本実施の形態3では補助電源30に電気二重層キャパシタを用いたが、これは電気化学キャパシタ等の急速充放電が可能な他の蓄電素子でもよい。
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4における電源装置のブロック回路図である。図9は、本発明の実施の形態4における電源装置の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電力供給源の電圧V1の経時変化図を、(b)は電力供給源からの電流I1の経時変化図を、(c)はDC/DCコンバータへの電流I5の経時変化図を、(d)は負荷への電流I2の経時変化図を、(e)は負荷の電圧V2の経時変化図を、(f)は補助電源の電圧V3の経時変化図を、(g)はサンプルホールド用コンデンサの電圧V4の経時変化図を、(h)は切替スイッチの切り替えのタイミングチャートを、(i)は第1、第2サンプルスイッチのオンオフのタイミングチャートを、それぞれ示す。図8において、図1や図6と同じ構成については同じ番号を付し、詳細な説明を省略する。また、図8の矢印の意味は図6と同じである。
なお、本実施の形態4においては、実施の形態1と実施の形態3を同時に行った場合、すなわちブレーキによる回生動作等で電力供給源の電圧が一時的に上昇する場合と、スタータの大電流消費により電力供給源の電圧が一時的に低下の場合の両方が発生しても、負荷に安定した電力を供給する電源装置の構成について述べる。
まず、図8における図6との構成上の相違点は次の通りである。
1)本実施の形態4では実施の形態1と同様に電力供給源22の電圧降下が起こる場合が含まれるので、DC/DCコンバータ24の出力が電力供給源22に逆流しないように選択スイッチ23を設けた。従って、選択スイッチ23の動作も実施の形態1と同様に、負荷21への電力源として電力供給源22の出力とDC/DCコンバータ24の出力を切り替える動作と等価になる。
上記以外の構成は実施の形態1、3と同様であり、また電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値設定についても実施の形態3と同様に、電力供給源22からの電圧と補助電源30からの電圧が同じになるような抵抗値を選定している。
次に、このような構成の電源装置20の動作について図8、図9を用いて説明する。
電源装置20の起動完了後の通常時(時間t0)において、大電流発電も電圧低下も発生していないので、電力供給源22の出力電圧V1は、図9(a)に示すように一定値であるとする。なお、図9(a)の実線と点線の意味は実施の形態1と同じである。この場合、電流供給源22から流れる電流I1は、図9(b)に示すように、負荷21の駆動による消費電流(I2)と、補助電源30への充電電流(I5)の和に相当する一定値となる。従って、図9(c)、(d)に示すように、補助電源30への充電電流I5、および負荷21への電流I2も一定値になる。その結果、図9(e)に示すように、負荷21に印加される電圧V2も一定値を保つ。なお、これらの特性は実施の形態3と同様に負荷21が車両使用中、常に一定電流I2を消費するとともに、常に動作可能な電圧範囲内で一定電圧V2になるように制御されているためである。
補助電源30には図9(f)に示すように、充電目標電圧に至るまで充電されるので、補助電源30の電圧V3は時間t0での低い状態から経時的に上昇する。ここで、実施の形態1では補助電源30を満充電まで充電し、実施の形態3では補助電源30に充電しないよう制御していたが、本実施の形態4では未充電と満充電の間の充電目標電圧まで充電するようにしている。これは、いつ大電流発電期間が来ても補助電源30で吸収、充電できるように、補助電源30における吸収分の余裕を持たせるとともに、いつ電圧低下期間が来ても補助電源30から負荷21に電力を供給できるように供給分だけは予め充電しておくためである。従って、大電流発電期間が過ぎれば速やかに吸収した電力を放電し、電圧低下期間が過ぎれば速やかに使用した電力分を充電することで、通常状態では常に充電目標電圧になるように制御されている。このことから、補助電源30の容量は、大電流発電期間の電力吸収に必要な容量と、電圧低下期間の電力放出に必要な容量を合計した値としている。この容量値において電圧低下期間に負荷21に電力を十分供給できるだけの電荷が蓄えられるように充電目標電圧が設定されている。
また、電源装置20の起動完了時にはDC/DCコンバータ24における第1入出力端子34の電圧(出力電圧)を設定するサンプルホールド用コンデンサ88には電荷が十分蓄えられていないので、図9(g)に示すように、時間t0ではサンプルホールド用コンデンサ88の電圧V4は低い状態である。
この起動完了後の状態(時間t0)では、上記したように電圧低下期間における電力供給源22の一時的な電圧低下を補償するため、補助電源30を充電目標電圧まで充電しておく必要がある。そのために、制御回路76は、図9(h)に示すように切替スイッチ66を降圧側にする。また、起動完了後は図示しないECUからのサンプルタイミング信号がオフであるので、図9(i)に示すように第1、第2サンプルスイッチ82、86はオフのままである。
この状態で、制御回路76はスイッチング起動信号77を発することにより、スイッチング信号生成回路68を駆動する。これにより、切替スイッチ66が降圧側に切り替えられているので、DC/DCコンバータ24は電力供給源22の電力を補助電源30に充電する。この際、DC/DCコンバータ24はV3が設定電圧源64の電圧(充電目標電圧)に相当するように降圧制御する。その結果、図9(f)に示すように、V3は時間が経過するとともに増加していく。
やがて、V3が設定電圧源64の電圧相当になると、DC/DCコンバータ24はV3が設定電圧源64の電圧相当を維持するように動作する。その結果、図9(f)に示すように時間t1でV3は安定する。これにより、補助電源30への充電は完了するので、図9(c)に示すように、補助電源30を充電するための電流I5は0になる。従って、電力供給源22からの電流I1は負荷21への電流I2のみを流せばよくなるので、図9(b)に示すように、I1は時間t1で負荷消費電流I2まで下がる。
この状態で、運転者が制動操作を行ったとする。この操作により、ブレーキペダルからブレーキ信号が車両のECUに入力される。これにより、ECUは直ちにサンプルタイミング信号を制御回路76に発信する。この時点ではまだ発電機が回生動作を行っていない。
制御回路76が時間t2でサンプルタイミング信号を受信したとすると、制御回路76は直ちに図9(i)に示すように第1、第2サンプルスイッチ82、86をオンにする。その結果、実施の形態3と同様にして、現在負荷21に供給している電圧V2に相当する電圧をサンプルホールド用コンデンサ88にコピーする。サンプルホールドが完了する時間t3になると、図9(g)に示すように電圧V4は安定するので、制御回路76は図9(i)に示すように、第1、第2サンプルスイッチ82、86をオフにすることでV4を一定値のままホールドする。それと同時に、図9(h)に示すように、切替スイッチ66を昇圧側に切り替える。これにより、時間t3以降でいつ回生動作によりI1が上昇しても、あるいはいつ大電流消費によりV1が低下しても、補助電源30による回生電力の吸収、または電圧低下の補償ができるように準備しておく。
その後、時間t4で車両制動のための回生動作が開始されたとする。これにより、電力供給源22から一時的に大電流が流れてくるので、I1は図9(b)に示すように急激に増加する。この時、DC/DCコンバータ24は第1入出力端子34の電圧V5がサンプルホールドされた電圧V4になるように制御するので、I1の増加に伴うV5の増大をV4にまで下げるために、図9(c)に示したような回生による一時的な変動電流I5を、DC/DCコンバータ24を介して補助電源30に充電することで吸収する。
これにより、I2は図9(d)に示すように回生動作前とほとんど同じ電流を負荷21に供給し続けられる。
さらに、DC/DCコンバータ24の第1入出力端子34の電圧V5は時間t2でホールドした出力設定値になるように制御されるので、V1、およびV2は回生動作前とほとんど同じ電圧とすることができる。その結果、図9(a)、(e)の実線に示すように電力供給源22が高い電圧値であった場合は、それとほとんど同じ電圧に、点線に示すように電力供給源22が低い電圧値であった場合は、それとほとんど同じ電圧になる。ゆえに、実施の形態1〜3と同様に第1入出力端子34の電圧V5を電力供給源22の長期的な電圧変動に追従させることができる。これにより、従来のような電力供給源22からの電圧と補助電源30からの電圧との差が電力供給源22の条件によって変動し、負荷21の動作に影響を及ぼしてしまう可能性を低減できる。
大電流発電期間中は電力供給源22の電流I1の一時的な変動分I5がDC/DCコンバータ24を介して補助電源30で充電、吸収されるので、図9(f)に示すように、V3は時間t4以降、経時的に上昇していく。
やがて、時間t5で回生動作が終了し、車両が停車(アイドリングストップ)したとする。この時、図9(b)に示すようにI1は急激に低下し、電力供給源22からはほとんど電流I1が流れない状態となる。これは、大電流発電期間に補助電源30が吸収した充電電力を優先的に放出し、次の大電流発電期間における電流変動分の再吸収に備えるよう制御しているためである。
この結果、図9(c)に示すように、時間t5を越えると第1入出力端子34での電流I5は負荷21に供給するために負方向に流れる。従って、I2≒−I5となる。ゆえに、アイドリングストップでエンジンが停止しても、図9(d)に示すように、時間t5以降も引き続き負荷21には同じ電流I2が供給され、図9(e)に示すように負荷21の電圧V2も一定のまま維持される。
これに伴って、補助電源30の電力が負荷21に供給されるに従って、時間t5以降で経時的に電圧V3が低下していく。
その後、エンジンを再起動するためにスタータを動作させたとする。スタータ動作は例えば運転者が停車中のブレーキペダルからアクセルペダルに踏み替える場合に行われる。従って、ECUは前記ペダルの踏み替えを検出すると同時にサンプルタイミング信号を制御回路76に発信する。この時点ではまだスタータは動作していない。
本来ならば、この時点で現在負荷21に供給している電圧V2をサンプルホールド用コンデンサ88にコピーするのであるが、アイドリングストップ機能において、回生動作からスタータの再起動までの時間は通常短く、その間に電力供給源22を構成するバッテリの環境温度や劣化度合いの急変は考えられないので、ここでは時間t3で既にサンプルホールドされた電圧V4を引き続き使用している。従って、時間t5以降でサンプルホールド動作は行わない。
その後、補助電源30が回生動作で吸収した電気エネルギーを負荷21へ放電している途中の時間t6でECUがスタータを駆動したとする。これにより、電力供給源22からスタータに大電流が流れるので、V1は図9(a)に示すように急激に低下する。しかし、この時点では既に補助電源30から負荷21に電力が供給されているので、時間t6以降も引き続き負荷21へ電力が供給される。
ここで、時間t6では電力供給源22の電流はほぼ全てスタータに流れるので、図9(b)に示すように、時間t5で僅かに負荷21へ流れていた電流I1は時間t6で完全に0になる。従って、負荷21に安定した電流I2を流し続けるには補助電源30からI1相当分も含めて流さなければならない。このため、図9(c)に示すように、時間t6でI5は若干負側に大きくなる。その結果、図9(d)に示すように、時間t6以降もI2は安定し、図9(e)に示すように、負荷21の電圧V2も安定する。
このような動作により、電圧低下期間でもV2はスタータ動作前とほぼ同等の電圧とすることができるので、DC/DCコンバータ24の出力電圧を電力供給源22の長期的な電圧変動に追従させることができる。従って、本実施の形態4においても、従来のような電力供給源22からの電圧と補助電源30からの電圧との差が電力供給源22の条件によって変動し、負荷21の動作に影響を及ぼしてしまう可能性を低減できる。
V1の低下期間中は負荷21へは補助電源30から電力が供給されるので、図9(f)に示すように、V3は時間t6以降、経時的に低下していく。この際、電流供給源22からの電流I1が0のため、時間t5〜t6のV3の低下傾きに比べ、電圧低下期間である時間t6〜t7のV3の低下傾きは若干大きくなる。
やがて、時間t7でエンジン始動が完了し、スタータの動作が停止したとする。この時、図9(a)に示すようにV1は急激に電圧低下前の電圧まで回復する。その結果、時間t5〜t6と同じ状態になるため、図9(b)に示すように、時間t7で電力供給源22からの僅かな電流I1が再び流れる。これに伴い、図9(c)に示すように、時間t7で補助電源30から負荷21に供給される電流I5は負側で僅かに小さくなる。従って、図9(e)に示すように、時間t7で負荷21の電圧V2も僅かに大きくなるとともに、図9(f)に示すように補助電源30の電圧V3の低下傾きも小さくなる。
補助電源30の電圧V3は前記したように充電目標電圧に調整しておかなければならないので、時間t8で制御回路76は切替スイッチ66を降圧側に切り替える。これにより、DC/DCコンバータ24は補助電源30の電圧V3を設定電圧源64の充電目標電圧になるよう制御する。その結果、時間t9でV3は充電目標電圧に達し、その後、その電圧を維持する。
V3が充電目標電圧に達すると、その電圧を維持するために補助電源30から負荷21への電力供給は停止される。従って、時間t9で図9(b)に示すように電力供給源22から負荷21に負荷消費電流I2が供給される。この時、図9(c)に示すように補助電源30からの電力供給は停止しているので、第1入出力端子34での電流I5は0になる。
以上の動作を繰り返すことで、大電流発電期間や電圧低下期間が両方存在しても、図9(d)、(e)に示すように、負荷21への電流I2と電圧V2は常にほとんど同じ値を保つので、負荷21は安定して動作し続けることができる。なお、切替スイッチ66を切り替える時間t8はt7とt9の間であればいつでもよい。また、ホールドされた電圧V4の更新は実施の形態1と同様にして行われる。
以上の構成、動作により、通常時の電力供給源22の電圧と、電力供給源22からの大電流発電や電力供給源22の電圧低下による一時的な変動時のDC/DCコンバータ24の出力電圧との差が常に小さい電源装置20を実現できた。
なお、本実施の形態4ではアイドリングストップ機能のように、回生動作による大電流発電期間と、スタータ動作による電圧低下期間がほぼ連続して発生する場合について説明したが、これは両者の発生する時間間隔が長い場合でも同様に適用できる。その場合の動作は大電流発電期間、電圧低下期間のいずれが完了しても、常に補助電源30の電圧V3が充電目標電圧になるように制御すればよい。
また、本実施の形態4においても補助電源30に電気二重層キャパシタや電気化学キャパシタ等の急速充放電が可能な蓄電素子を用いればよい。但し、電気化学キャパシタは放電電位を0Vにできないので、電気化学キャパシタの動作可能な最低電圧を考慮して設定電圧源64の充電目標電圧を決定すればよい。
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5における電源装置のブロック回路図である。図11は、本発明の実施の形態5における電源装置の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電力供給源の電圧V1を電圧V1検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vaの経時変化図を、(b)は負荷への供給電圧V2を電圧V2検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vbの経時変化図を、(c)はDC/DCコンバータ起動信号のオンオフのタイミングチャートを、(d)は選択スイッチのオンオフのタイミングチャートを、(e)はサンプルタイミング信号のオンオフのタイミングチャートを、(f)は負荷への供給電圧V2の経時変化図をそれぞれ示す。図12は、本発明の実施の形態5における電源装置の他の構成のブロック回路図である。図13は、本発明の実施の形態5における電源装置の他の構成の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電力供給源の電圧V1を電圧V1検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vaの経時変化図を、(b)は負荷への供給電圧V2を電圧V2検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vbの経時変化図を、(c)はDC/DCコンバータ起動信号のオンオフのタイミングチャートを、(d)は選択スイッチのオンオフのタイミングチャートを、(e)はサンプルタイミング信号のオンオフのタイミングチャートを、(f)は負荷への供給電圧V2の経時変化図をそれぞれ示す。
図10と図12において、図4と同じ構成については同じ番号を付し、詳細な説明を省略する。また、太線は電力系統、細線は制御系統の配線を示す。なお、本実施の形態5では実施の形態2と同様に、例えばアイドリングストップ車において、バッテリと発電機からなる電力供給源の電圧低下時に、電力供給源の電圧を昇圧して、その直流出力を負荷に供給する構成について述べる。
まず、図10の回路構成について説明する。負荷21への電力供給は、図10に太線で示したように、電力供給源22の電力が選択スイッチ23(本実施の形態5では選択スイッチ23を外部信号に応じてオンオフ制御が可能な、例えばFETからなる構成とした)を介して直接供給される経路と、DC/DCコンバータ24を介して供給される経路の2種類のいずれかにより行われる。
電力供給源22の電圧V1は電圧V1検出用抵抗90、92により抵抗分割された際の中点電圧Vaとして検出される。すなわち、電圧V1検出用抵抗90、92の抵抗値をそれぞれR1、R2とすると、Va=V1×R2/(R1+R2)の関係になるので、電圧Vaは電圧V1に相当する電圧となる。この電圧Vaはサンプルホールド回路28の入力端子INを介して入力されている。
また、負荷21の電圧V2も同様に、電圧V2検出用抵抗78、80により抵抗分割された際の中点電圧Vbとして検出される。すなわち、電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値をそれぞれR3、R4とすると、Vb=V2×R4/(R3+R4)の関係になるので、電圧Vbは電圧V2に相当する電圧となる。この電圧Vbは、サンプルホールド回路28の出力端子OUTから出力されるホールド電圧Vhとともにオペアンプ94に入力される。オペアンプ94の出力はDC/DCコンバータ24のフィードバック端子F/Bに入力される。
また、エンジンECUから発せられるサンプルタイミング信号は、サンプルホールド回路28のホールド端子holdに入力されるとともに、DC/DCコンバータ24の起動信号としてオンオフ端子ON/OFFにも入力される。さらに、サンプルタイミング信号は反転回路74により反転されて選択スイッチ23のオンオフ制御を行う。
なお、サンプルホールド回路28の動作は実施の形態1〜4のものとは異なり、ホールド端子holdがオフの時は、入力端子INの電圧をそのまま出力端子OUTから出力し、ホールド端子holdがオンの時は、オンになった瞬間の入力端子INの電圧をホールドし、以後ホールド端子holdがオンの間は常にホールドした電圧Vhを出力端子OUTから出力し続ける。ホールド電圧Vhを更新する場合はホールド端子holdをオフにした後、ホールドしたい時にホールド端子holdをオンにする。
次に、このような構成の電源装置20の動作について図11により説明する。なお、例えば図5に示した太点線の動作については、図5(a)、(b)と同様に電圧が低くなるだけで太実線と同等の動作を行うため、図11では省略している。
まず、時間t0ではアイドリングストップが行われておらずエンジンが駆動している状態である。この時、発電機も動作しているので、電力供給源22の電圧V1は例えば14V程度で安定している。従って、電圧V1に相当する電圧Vaも図11(a)に示すように高い電圧値で安定している。この時点では図11(e)に示すようにECUからのサンプルタイミング信号がオフなので、図11(c)に示すようにDC/DCコンバータ24のオンオフ端子ON/OFFに入力される信号もオフのままであり、DC/DCコンバータ24は停止した状態である。また、サンプルタイミング信号は反転回路74で反転するため、図11(e)に示すように選択スイッチ23にはオン信号が入力される。従って、選択スイッチ23はオンになる。
これらの結果から、電力供給源22の電圧V1は選択スイッチ23がオンであるので、そのまま負荷21に供給される。従って、図11(b)に示すように電圧Vbは電圧Vaに相当する電圧値となり、図11(f)に示すように電圧V2は電圧V1と等しくなる。
次に、時間t1でアイドリングストップが行われ、エンジンが停止したとする。ECUはエンジンが停止する以前の時点でサンプルタイミング信号を発する。なお、本実施の形態5ではサンプルタイミング信号はエンジンが停止する以前からオンになり、エンジン再始動完了以降の時点までオン状態を維持する信号とした。従って、サンプルタイミング信号はエンジン停止時からエンジン再始動完了時までは少なくともオン状態となる。
本実施の形態5では、時間t1についてはサンプルタイミング信号が図11(e)に示すようにエンジン停止とほぼ同時に発せられた場合を示している。従って、図11(e)に示すように、時間t1でサンプルタイミング信号はオン信号となる。これにより、サンプルホールド回路28のホールド端子holdがオンになるので、時間t1での電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaがホールドされ、その電圧値(ホールド電圧Vh)が出力端子OUTから出力される。また、これと同時に図11(c)に示すようにDC/DCコンバータ24の起動信号(本実施の形態5ではサンプルタイミング信号と同等)がオンになり、これがオンオフ端子ON/OFFに入力されるので、DC/DCコンバータ24が起動する。さらに、図11(d)に示すように選択スイッチ23のオンオフ信号はDC/DCコンバータ24の起動信号を反転したものであるので、オフ信号となる。その結果、選択スイッチ23はオフになる。
以上をまとめると、電力供給源22の電圧V1が低下する以前の時点(ここではほぼ低下する時点である時間t1)でサンプルタイミング信号がオンになると、電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaをサンプルホールド回路28でホールドするとともにDC/DCコンバータ24を起動し、選択スイッチ23をオフにする動作を行っている。なお、サンプルタイミング信号がオンになるのは電圧V1が低下する以前であれば構わないが、あまりオンになるのが早すぎると、その間に電圧V1が変動してもそれをホールドできず、DC/DCコンバータ24の出力電圧V2の制御精度が悪くなるため、できるだけ電圧V1が低下する直近が望ましい。
このような動作の結果、負荷21へはDC/DCコンバータ24から電力が供給されることになる。DC/DCコンバータ24は、その出力電圧V2に相当する電圧Vbがサンプルホールド回路28でホールドされた電圧Vhになるように、オペアンプ94からのフィードバック信号に基いて出力電圧V2を制御するので、図11(a)に示すように時間t1以降で発電機が停止したことによる電力供給源22の電圧降下が起こっても、図11(b)に示すように出力電圧V2に相当する電圧Vbはホールド電圧Vhと等しくなり、電圧降下が発生しない。従って、図11(f)に示すように、時間t1以降も電圧V2はホールド時の電圧V1と等しくなり、負荷21に対して引き続き安定した電圧で電力を供給できる。
アイドリングストップが発生した時間t1から短期間経過後の時間t2までは、図11(a)に示すように電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaは急激に下がるが、時間t2以降では下がり方が緩やかになる。しかし、このような電圧Vaの変動があっても、図11(b)に示すようにDC/DCコンバータ24の出力電圧V2に相当する電圧Vbはホールド電圧Vhのまま安定しているので、図11(f)に示すように電圧V2はホールド時の電圧V1と等しい状態を維持する。
次に、時間t3でアイドリングストップを終了し、エンジンを再始動するためにスタータが駆動したとする。この場合はスタータに大電流が流れるので、電力供給源22の電圧V1は6V程度まで急激に低下する。従って、図11(a)に示すように電圧V1に相当する電圧Vaも急低下する。その後、エンジンの回転が安定するに従って、スタータへの電流は少なくなっていくので電圧Vaは上昇する。時間t4でエンジンの再始動が完了すると発電機も再起動するので、電力供給源22の電圧V1はアイドリングストップ前の電圧値(約14V)に戻る。従って、電圧V1に相当する電圧Vaも時間t0からt1の電圧値に回復する。
しかし、本実施の形態5では時間t4の時は図11(e)に示すようにサンプルタイミング信号がオンのままであるので、DC/DCコンバータ24の起動信号も図11(c)に示すようにオンであり、動作し続けている。また、選択スイッチ23も図11(d)に示すようにオフのままである。その結果、時間t4では電圧Vaが回復してもDC/DCコンバータ24の出力が負荷21に供給され続けている。
その後、エンジンが再始動した時点(時間t4)以降の時間t5で、図11(e)に示すようにECUからのサンプルタイミング信号がオフになったとする。これによる動作は時間t1での動作とは逆に、サンプルホールド回路28のホールド端子holdがオフになるので、サンプルホールド回路28の出力端子OUTのホールド電圧Vhは入力端子INの電圧Vaと等しくなる。また、図11(c)に示すようにDC/DCコンバータ24の起動信号はオフになるので、動作を停止する。さらに、図11(d)に示すように選択スイッチ23はオンになるので、電力供給源22の電圧V1が選択スイッチ23を介して負荷21に印加されることになる。これにより、エンジン動作時の状態、すなわち時間t0の状態に再び戻ったことになる。
このように動作することで、図11(a)に示した電圧低下期間(時間t1〜t4)ではDC/DCコンバータ24が動作して負荷21にホールド電圧Vhに相当する電圧を供給し続けるので、電力供給源22の電圧V1が大きく変動しても図11(f)に示すように電圧V2は安定している。従って、負荷21を駆動し続けることができる。
なお、本実施の形態5ではエンジン再始動完了時の時間t4より後の時間t5でサンプルタイミング信号がオフになっているが、これは時間t4でオフになってもよい。この場合、DC/DCコンバータ24の動作時間が短くなるので消費電力を低減できる。
ここまでで説明したエンジン再始動時の動作をまとめると、図11(a)に示すように電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaが、ホールドされた電圧Vhまで回復した時点(時間t4)以降でサンプルタイミング信号がオフになると、DC/DCコンバータ24を停止するとともに、選択スイッチ23をオンにすることになる。
なお、図10の回路構成では、図11の時間t4からt5のように、電力供給源22の電圧V1がアイドリングストップ前の電圧まで回復した後もDC/DCコンバータ24が動作し続けているが、この場合のDC/DCコンバータ24が出力しようとする電圧(目標制御電圧)は電圧V1とほぼ等しくなる。その結果、DC/DCコンバータ24の出力電圧V2が電圧V1と等しくなるので、間欠動作を行うことになる。その結果、時間t4からt5でDC/DCコンバータ24の出力に電圧リップルが発生してしまう。
そこで、この電圧リップルが問題になる場合には、電源装置20を図12に示す回路構成としてもよい。図12の構成は図10と比べ、DC/DCコンバータ24の出力電圧V2が、ホールドされた時の電力供給源22の電圧V1より既定定数倍(k倍)低くなるように電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値を設定した点が相違点である。すなわち、電圧V1検出用抵抗90、92の抵抗値をそれぞれR1、R2とし、電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値をそれぞれR3、R4とした時、R2/(R1+R2)=k×R4/(R3+R4)が成立するようにR3、R4を設定している。ここで、電圧V2をホールド時の電圧V1(目標制御電圧)よりも低くするために、kは1未満の正の数値としている。本実施の形態5では実施の形態1と同様に、電圧V2がホールド時の電圧V1に対して10%小さくなるように、k=0.9とした。
このような構成とした時のDC/DCコンバータ24の出力電圧V2の経時変化を図13(f)に示す。なお、図13(a)〜(e)は図11(a)〜(e)と全く同じであるので、説明を省略する。
時間t1で図13(e)に示すようにサンプルタイミング信号がECUより発せられると、DC/DCコンバータ24がオンになり、選択スイッチ23がオフになる。これにより、負荷21へはDC/DCコンバータ24の出力電圧V2が印加される。この際、DC/DCコンバータ24の目標制御電圧は、時間t1でのホールド時の電力供給源22の電圧V1をk倍した電圧になるように制御される。従って、時間t1では電圧V1の方が目標制御電圧(=k×V1=0.9×V1)より大きくなる。ゆえに、DC/DCコンバータ24は前記したように昇圧コンバータであるので、起動しても昇圧動作が行われず、入力端子INの電圧V1がほぼそのまま出力端子OUTから出力される。
その後、図13(a)に示すように、電圧V1に相当する電圧Vaはアイドリングストップ開始後に低下するので、電圧V1が目標制御電圧を下回る時間t2までは図13(f)に示すように電圧V2が下がるが、時間t2で電圧V1が目標制御電圧になれば、その電圧値(∝k×Vh)を出力し、時間t2以降はk×Vhに比例した電圧を維持する。
その後、アイドリングストップが終了し、電力供給源22の電圧V1が回復することにより、時間t5で電圧V1が目標制御電圧を超えれば、DC/DCコンバータ24は上記したように入力端子INの電圧V1をほぼそのまま出力端子OUTから出力する。その結果、時間t5から、電圧V1が回復し終わる時間t6までの間、電圧V2は電圧V1と同様に電圧が上昇し、時間t6以降は電圧V1が安定するので、電圧V2も安定する。
その後、図13(e)に示すように、時間t7でサンプルタイミング信号がオフになると、図13(c)、(d)に示すようにDC/DCコンバータ24がオフになり、同時に選択スイッチ23がオンになる。これにより、電圧V1が直接負荷21に印加されるので、電圧V2は電圧V1と等しくなる。
このような動作において、時間t6からt7では電圧V1が回復していてもDC/DCコンバータ24が動作し続けている状態となる。しかし、目標制御電圧は回復後の電圧V1に対してk倍小さいので、図10の構成のようにDC/DCコンバータ24が不安定な間欠動作を行うことがない。ゆえに、電圧リップルがほとんど発生しない安定した電圧V2を出力し続けることができる。
以上の構成、動作により、通常時の電力供給源22の電圧と、電力供給源22の電圧低下による一時的な変動時のDC/DCコンバータ24の出力電圧との差が常に小さい電源装置20を実現できた。
(実施の形態6)
図14は、本発明の実施の形態6における電源装置のブロック回路図である。図15は、本発明の実施の形態6における電源装置の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電力供給源の電圧V1を電圧V1検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vaの経時変化図を、(b)は負荷への供給電圧V2を電圧V2検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vbの経時変化図を、(c)はDC/DCコンバータ起動信号のオンオフのタイミングチャートを、(d)は選択スイッチのオンオフのタイミングチャートを、(e)はサンプルタイミング信号のオンオフのタイミングチャートを、(f)は負荷への供給電圧V2の経時変化図を、それぞれ示す。図16は、本発明の実施の形態6における電源装置の他の構成のブロック回路図である。図17は、本発明の実施の形態6における電源装置の他の構成の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電力供給源の電圧V1を電圧V1検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vaの経時変化図を、(b)は負荷への供給電圧V2を電圧V2検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vbの経時変化図を、(c)はDC/DCコンバータ起動信号のオンオフのタイミングチャートを、(d)は選択スイッチのオンオフのタイミングチャートを、(e)はサンプルタイミング信号のオンオフのタイミングチャートを、(f)は負荷への供給電圧V2の経時変化図をそれぞれ示す。図18は、本発明の実施の形態6における電源装置のさらに他の構成のブロック回路図である。図19は、本発明の実施の形態6における電源装置のさらに他の構成の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電力供給源の電圧V1を電圧V1検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vaの経時変化図を、(b)は負荷への供給電圧V2を電圧V2検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vbの経時変化図を、(c)はDC/DCコンバータ起動信号のオンオフのタイミングチャートを、(d)は選択スイッチのオンオフのタイミングチャートを、(e)はサンプルタイミング信号のオンオフのタイミングチャートを、(f)は負荷への供給電圧V2の経時変化図をそれぞれ示す。
図14、図16、および図18において、図10と同じ構成については同じ番号を付し、詳細な説明を省略する。また、太線は電力系統、細線は制御系統の配線を示す。図15、図17、および図19において、図5等で示した太点線の動作は図11と同様に省略する。なお、本実施の形態6でも実施の形態2と同様に、例えばアイドリングストップ車において、バッテリと発電機からなる電力供給源の電圧低下時に、電力供給源の電圧を昇圧して、その直流出力を負荷に供給する構成について述べる。
まず、図14の回路構成について説明する。図10の構成と比べ、図14における構成上の特徴は以下の通りである。
1)サンプルホールド回路28の出力端子OUTにホールド電圧Vhを既定定数倍(k倍)するための電圧Vh定数倍用抵抗96、98を接続し、その中点電圧Vc(以下、しきい値電圧Vcという)をオペアンプ94、およびヒステリシスコンパレータ100の非反転入力に接続する構成とした。なお、しきい値電圧Vcは正でホールド電圧Vhより低くなるように、すなわちk<1となるように電圧Vh定数倍用抵抗96、98の抵抗値R5、R6を設定した。本実施の形態6では例えば実施の形態1と同様に、しきい値電圧Vcがホールド電圧Vhより10%低くなるように、k=0.9とした。従って、Vc=Vh×R6/(R5+R6)=0.9×Vhとなる。
2)ヒステリシスコンパレータ100の反転入力に電圧Vaを入力する構成とした。
3)ヒステリシスコンパレータ100の出力をDC/DCコンバータ24の起動信号とし、オンオフ端子ON/OFFと反転回路74に接続する構成とした。
4)それに伴い、サンプルタイミング信号をサンプルホールド回路28のホールド端子holdにのみ接続した。
なお、しきい値電圧Vcがホールド電圧Vhより低くなるように設定したのは、実施の形態5で述べたように、DC/DCコンバータ24の入力電圧V1と出力電圧V2が等しくなった場合、DC/DCコンバータ24が間欠的に動作することにより発生する電圧リップルを回避するためである。すなわち、Vh>Vcとすることで、DC/DCコンバータ24はV1=V2となることがなくなり電圧リップルが発生しなくなるので、負荷21に対してさらに安定した電圧を供給することができる。
次に、このような電源装置20の動作について図15を参照しながら説明する。まず、時間t0からt1の動作は実施の形態5と同じであるので説明を省略する。
時間t1でアイドリングストップが行われ、ECUからのサンプルタイミング信号がオンになったとする。その結果、電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaをサンプルホールド回路28がホールドする。これにより、ホールド電圧Vhを電圧Vh定数倍用抵抗96、98によりk倍したしきい値電圧Vcがオペアンプ94、およびヒステリシスコンパレータ100に入力される。その結果、オペアンプ94の出力は、電圧Vbがしきい値電圧Vcになるようにするためのフィードバック信号としてDC/DCコンバータ24のフィードバック端子F/Bに入力される。また、ヒステリシスコンパレータ100は、電圧Vaとしきい値電圧Vcを比較し、Va>VcならばLoレベル(以下、オフ信号)を、Va<VcならばHiレベル(以下、オン信号)を出力する動作を行う。時間t1では電圧Vaをホールドした直後であり、k=0.9であることから、図15(a)に示すように、Va>Vcである。従って、ヒステリシスコンパレータ100の出力はオフ信号となるので、図15(c)に示すようにDC/DCコンバータ24の起動信号はオフのままである。ゆえに、DC/DCコンバータ24は時間t1の時点では停止したままである。同様に、ヒステリシスコンパレータ100のオフ信号は反転回路74で反転されるので、図15(d)に示すように選択スイッチ23は時間t1の時点ではオンのままである。
実施の形態5で説明したように、アイドリングストップ状態になった時間t1以降では、電力供給源22の電圧V1が低下していくので、図15(a)に示すように、電圧V1に相当する電圧Vaも低下する。これに伴って、選択スイッチ23がオンであるので、図15(f)に示すように負荷21に印加される電圧V2も低下する。
一方、ホールド電圧Vhは一定なので、しきい値電圧Vcも一定である。従って、いずれ電圧Vaの方がしきい値電圧Vcより小さくなる。その時間t2に至ると、ヒステリシスコンパレータ100はオン信号を出力する。この信号はDC/DCコンバータ24の起動信号であるので、図15(c)、(d)に示したように、DC/DCコンバータ24の起動信号がオンになり動作を開始するとともに、選択スイッチ23がオフになる。これにより、時間t2以降はDC/DCコンバータ24から負荷21に電力が供給されることになる。この時の出力電圧V2に相当する電圧Vbは、図15(b)に示すように、しきい値電圧Vcになるように制御されるので、ホールド電圧Vhより低い電圧、すなわちアイドリングストップ前の電圧より10%低い電圧が負荷21に供給されることになる。従って、図15(f)に示すように負荷21の電圧V2はk×Vh(=Vc)に比例した電圧となる。
このような動作をまとめると、電力供給源22の電圧V1が低下する以前の時点(ここではほぼ低下する時点である時間t1)でサンプルタイミング信号がオンになると、電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaをサンプルホールド回路28でホールドするとともに、電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaが、ホールドされた電圧Vhより既定定数倍低い(本実施の形態6では既定定数k=0.9倍)正のしきい値電圧Vcまで低下すればDC/DCコンバータ24を起動し、選択スイッチ23をオフにすることになる。これにより、DC/DCコンバータ24の出力電圧V2は、ホールドされた時の電力供給源22の電圧V1より既定定数倍(k倍)低くなる。なお、実施の形態5で説明したように、サンプルタイミング信号がオンになるのは電圧V1が低下する以前であれば構わないが、できるだけ電圧V1が低下する直近が望ましい。
その後、時間t3、t4の動作は図11の時間t2、t3とそれぞれ同じであるので説明を省略する。次に、時間t5では、エンジンが再起動完了する直前の状態であるとする。この時、図15(a)に示すように電圧Vaは急上昇するので、やがてしきい値電圧Vcよりも大きくなる。これにより、ヒステリシスコンパレータ100はオフ信号を出力する。その結果、図15(c)、(d)に示したように、DC/DCコンバータ24の起動信号がオフになり動作を停止するとともに、選択スイッチ23がオンになる。これにより、時間t5以降は選択スイッチ23を介して負荷21に電力が供給されることになる。従って、図15(f)に示すように、電圧V2は電圧V1と等しくなり、電圧V1と同様に上昇する。
時間t5以降は電力供給源22の電圧V1が負荷21に供給されることになるので、完全にエンジンが再始動を完了する時間t6までは負荷21の電圧V2に相当する電圧Vbも図15(b)に示すように上昇する。その後、時間t6でエンジン再始動が完了し、電力供給源22の電圧V1が約14Vで安定すると、図15(f)、(b)にそれぞれ示すように、電圧V2、およびそれに相当する電圧Vbも安定する。
その後、サンプルタイミング信号は図15(e)に示すようにエンジン再始動が完了した後の時間t7でオフになるが、この時はすでにDC/DCコンバータ24の動作が停止し、選択スイッチ23がオンになっているので、図15(f)、(b)にそれぞれ示すように、電圧V2、およびそれに相当する電圧Vbは変化しない。
このようなエンジン再始動時の動作をまとめると、電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaがしきい値電圧Vc以上に回復すると、DC/DCコンバータ24を停止するとともに、選択スイッチ23をオンにすることになる。これにより、時間t6以降の状態は時間t0の状態に戻ったことになる。
以上のように動作することで、図15(a)に示した電圧低下期間(時間t1〜t6)の内、時間t2からt5ではDC/DCコンバータ24が動作して負荷21にしきい値電圧Vcに相当する電圧を供給し続け、また、時間t1からt2と、時間t5からt6の期間はホールド電圧Vhとしきい値電圧Vcの間の電圧に相当する電圧値が供給される。従って、図15(f)に示すように、電力供給源22の電圧V1が大きく変動しても安定した電圧V2を出力し続けるので、負荷21を駆動し続けることができる。
なお、本実施の形態6ではエンジン再始動完了時の時間t6より後の時間t7でサンプルタイミング信号がオフになっているが、これは時間t6でオフになってもよい。
本実施の形態6の動作により、実施の形態5に比べてDC/DCコンバータ24の動作時間を必要最小限にすることができる。その結果、電源装置20としての消費電力を抑制することができる効果も得られる。
なお、図14の回路構成では、しきい値電圧Vc(=ホールド電圧Vh×k)を目標制御電圧とすることで、DC/DCコンバータ24の出力電圧V2を、ホールドされた時の電力供給源22の電圧V1より既定定数倍(k倍)低くしているが、これは実施の形態5で述べた図12の構成を図14の構成に適用してもよい。この場合の回路構成を図16に示す。図14の構成との違いは、電圧V2検出用抵抗78、80の抵抗値R3、R4を図12の構成と同様に、R2/(R1+R2)=k×R4/(R3+R4)が成立するように設定する点と、オペアンプ94の非反転入力にしきい値電圧Vcではなくホールド電圧Vhを接続した点である。
このような電源装置20の動作を図17に示す。図15と比較すると、動作が異なるものは電圧低下期間(時間t1〜t6)における電圧Vbの挙動のみである。すなわち、オペアンプ94の非反転入力にはホールド電圧Vhが入力されるので、図17(b)において電圧Vbは電圧低下期間にホールド電圧Vhになるように制御される。ゆえに、図17(b)は図13(b)と同じになる。その結果、電圧低下期間における最終的な出力電圧V2は図13(f)と同じになる。これは図15(f)とも同じであるので、結果的には図16の構成としても図14の構成と同様に、電力供給源22の電圧V1の変動によらず安定した電圧V2を出力し続けることができるという効果が得られる。従って、図14の構成と図16の構成のいずれを採用してもよい。
また、図14の構成では、アイドリングストップ後のエンジン再始動終了時に電力供給源22の電圧V1がアイドリングストップ前の電圧値にほぼ戻る場合に適用可能である。しかし、エンジン再始動終了時に電圧V1がアイドリングストップ前より低い電圧値までしか戻らなかった場合は、ヒステリシスコンパレータ100の出力がオフにならないので、いつまでもDC/DCコンバータ24が動作し続けることになる。
そこで、このような状態を回避することができる回路構成を図18に示す。図18の構成と図14の構成の相違点は、ヒステリシスコンパレータ100の出力とサンプルタイミング信号をそれぞれ入力するAND回路101を設け、AND回路101の出力をDC/DCコンバータ24のオンオフ端子ON/OFFと反転回路74に接続した点である。このように構成することにより、電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaがしきい値電圧Vc以上に回復するか、またはサンプルタイミング信号がオフになると、DC/DCコンバータ24を停止することが可能になる。従って、エンジン再始動終了時に電圧V1がアイドリングストップ前より低い電圧値までしか戻らなかったとしても、サンプルタイミング信号がオフになればDC/DCコンバータ24が停止する。これは、AND回路101に入力されるヒステリシスコンパレータ100の出力とサンプルタイミング信号の少なくともいずれかがオフになれば、AND回路101の出力がオフになるためである。
このような電源装置20の動作を図19に示す。ここで、時間t0からt5は図15と同じであるので説明を省略する。
時間t5でアイドリングストップ後のエンジン再始動が完了しても電力供給源22の電圧V1が元に戻らず、電圧V1に相当する電圧Vaが図19(a)に示すようにしきい値電圧Vcに至らなかったとする。その結果、ヒステリシスコンパレータ100の出力はオン状態のままである。この時、サンプルタイミング信号は図19(e)に示すようにオンであるので、AND回路101の出力はオンとなる。従って、図19(c)に示すように時間t5ではDC/DCコンバータ24は動作し続ける。また、図19(d)に示すように選択スイッチ23はオフのままである。
その後、時間t6で図19(e)に示すようにサンプルタイミング信号がオフになったとする。これにより、AND回路101の出力がオフになるので、図19(c)に示すようにDC/DCコンバータ24がオフになるとともに、図19(d)に示すように選択スイッチ23がオンになる。その結果、電力供給源22の電圧V1と負荷21の電圧V2は等しくなる。但し、電圧V1はアイドリングストップ前の電圧まで戻っていないので、図19(f)に示すように電圧V2は時間t6でアイドリングストップ前の電圧よりも低い電圧に落ち、その後、低い電圧のまま安定する。従って、電圧V2に相当する電圧Vbも図19(b)に示すように時間t6で低い電圧に落ちて安定する。
このように動作することにより、エンジン再始動終了時に電圧V1がアイドリングストップ前より低い電圧値までしか戻らない場合でも、DC/DCコンバータ24が動作し続けることがなくなり、DC/DCコンバータ24の消費電力を低減することが可能となる。
なお、図18の構成においても、図16の構成のように、電圧V2検出用抵抗78、80を電圧V1検出用抵抗90、92に対してk倍するように設定するとともに、オペアンプ94の非反転入力にホールド電圧Vhを入力する構成としてもよい。
以上の構成、動作により、通常時の電力供給源22の電圧と、電力供給源22の電圧低下による一時的な変動時のDC/DCコンバータ24の出力電圧との差が常に小さい電源装置20を実現できた。
(実施の形態7)
図20は、本発明の実施の形態7における電源装置のブロック回路図である。図21は、本発明の実施の形態7における電源装置の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電力供給源の電圧V1を電圧V1検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vaの経時変化図を、(b)は負荷への供給電圧V2を電圧V2検出用抵抗で抵抗分割された際の電圧Vbの経時変化図を、(c)はDC/DCコンバータ起動信号のオンオフのタイミングチャートを、(d)は選択スイッチのオンオフのタイミングチャートを、(e)はサンプルタイミング信号のオンオフのタイミングチャートを、(f)は負荷への供給電圧V2の経時変化図を、それぞれ示す。
図20において、図14と同じ構成については同じ番号を付し、詳細な説明を省略する。また、太線は電力系統、細線は制御系統の配線を示す。図21において、図5等で示した太点線の動作は図11と同様に省略する。なお、本実施の形態7でも実施の形態2と同様に、例えばアイドリングストップ車において、バッテリと発電機からなる電力供給源の電圧低下時に、電力供給源の電圧を昇圧して、その直流出力を負荷に供給する構成について述べる。
図14の構成と比べ、図20における構成上の特徴は以下の通りである。
1)リセットセットフリップフロップ回路102を設け、セット端子Sにサンプルタイミング信号を入力し、リセット端子Rにヒステリシスコンパレータ100の出力を接続し、出力端子QをDC/DCコンバータ24のオンオフ端子ON/OFFに接続し、Qの反転出力端子NQの出力を選択スイッチのオンオフ信号とした。従って、DC/DCコンバータ24の起動信号は出力端子Qの出力信号となる。
2)上記に伴い、反転回路74を廃した。
3)サンプルホールド回路28のホールド端子holdをリセットセットフリップフロップ回路102の出力端子Qに接続した。
4)ヒステリシスコンパレータ100の非反転入力と反転入力を逆転した。
なお、リセットセットフリップフロップ回路102の入力(S、R)に対する出力(Q、NQ)の論理表を(表1)に示す。
本実施の形態7のリセットセットフリップフロップ回路102はセット端子Sの入力が優先される構成としているので、(表1)に示すようにセット端子Sの入力が1、すなわちサンプルタイミング信号がオンの時は、必ずQ=1、NQ=0を出力する構成としている。従って、Q=1の場合には、DC/DCコンバータ24の起動信号がオンになるのでDC/DCコンバータ24が起動するとともに、サンプルホールド回路28のホールド端子holdがオンになるのでホールド電圧Vhを維持する。また、NQ=0により、選択スイッチ23をオフにすることに相当するので、選択スイッチ23がオフになる。
次に、このような電源装置20の動作について説明する。本実施の形態7における実施の形態5、6との動作上の最大の相違点は、ECUから発せられるサンプルタイミング信号が、アイドリングストップを開始した時のみに発せられるパルス状信号であることである。ゆえに、エンジン再起動の完了をサンプルタイミング信号から知ることができない。このような相違点に対する制御を中心に以下、動作の詳細を説明する。
まず、図21において時間t0ではエンジンが駆動している状態である。この時、図21(e)よりサンプルホールド信号はオフであるので、リセットセットフリップフロップ回路102のセット端子Sには0が入力されていることに相当する。一方、リセット端子Rについては以下のようになる。
時間t0ではエンジンが駆動していて発電機が動作しているので、電圧V1が最大値である約14Vとなり、電圧V1に相当する電圧Vaも最大値となる。ここで、もしサンプルホールド回路28のホールド端子holdがオフであれば、ホールド電圧Vh=Vaとなる。一方、しきい値電圧Vc=0.9×Vhであるので、必ずVa>Vcとなる。この場合のヒステリシスコンパレータ100の出力はオン(=1)となる。これは実施の形態6のヒステリシスコンパレータ100における非反転入力、および反転入力を逆転して接続したためである。
これに対し、もしホールド端子holdがオンであれば、サンプルホールド回路28は何らかのホールド電圧Vhを出力し続けていることになる。この時、前記したように、出力し得るホールド電圧Vhの最大値は電圧Vaの最大値と等しい。今、エンジンが駆動しているので、電圧Vaは最大値である。従って、ホールド電圧Vhは電圧Vaを超えることはない。ゆえに、ホールド端子holdがオフの時と同様に必ずVa>Vcとなり、ヒステリシスコンパレータ100の出力はオン(=1)となる。
以上のことから、ホールド端子holdがオンであってもオフであっても時間t0ではヒステリシスコンパレータ100の出力はオン(=1)となるので、リセットセットフリップフロップ回路102のリセット端子Rには1が入力される。従って、セット端子Sに0、リセット端子Rに1が入力されることになるので、(表1)よりQ=0、NQ=1が出力される。
これらにより、時間t0において、Q=0であることから図21(c)よりDC/DCコンバータ24の起動信号はオフに、NQ=1であることから図21(d)より選択スイッチ23はオンになる。また、サンプルホールド回路28のホールド端子holdは、Q=0であることからオフの状態、すなわちホールドしていない状態である。
次に、時間t1でアイドリングストップ状態になったとする。この時、図21(e)に示すように、ECUからのサンプルタイミング信号がオンとなり、リセットセットフリップフロップ回路102のセット端子Sに1が入力される。その結果、(表1)に示したように、セット端子Sが1の場合はリセット端子Rの値に関わらず、Q=1、NQ=0となる。従って、時間t1で図21(c)に示すようにDC/DCコンバータ24の起動信号がオンになり、DC/DCコンバータ24が起動するとともに、図21(d)に示すように選択スイッチ23がオフになる。これにより、サンプルホールド回路28のホールド端子holdがオンになるので、時間t1での電圧Vaをホールドする。この時のホールド電圧Vhは電圧Vh定数倍用抵抗96、98によりk倍(0.9倍)され、得られたしきい値電圧Vcがオペアンプ94に入力される。これにより、電圧Vbがしきい値電圧VcになるようにDC/DCコンバータ24が動作する。なお、Vh>Vcとした理由は実施の形態6で説明した通りである。従って、DC/DCコンバータ24の出力電圧V2は、ホールドされた時の電力供給源22の電圧V1より既定定数倍(k倍)低くなる。
一方、しきい値電圧Vcはヒステリシスコンパレータ100にも入力されるが、時間t1では図21(a)より明らかなようにVa>Vcであることから、ヒステリシスコンパレータ100の出力はオン信号となり、リセットセットフリップフロップ回路102のリセット端子Rには1が入力される。しかし、この時はセット端子Sに1が入力されているので、負荷21にはDC/DCコンバータ24の出力が供給される。DC/DCコンバータ24の出力電圧V2はしきい値電圧Vcに相当する電圧になるように制御されているが、図21(a)より時間t1からt2ではVa>Vcであるので、実施の形態5で述べたようにDC/DCコンバータ24の動作は、入力端子INの電圧をほぼそのまま出力端子OUTから出力する。従って、図21(f)に示すように、電圧V2は電圧V1の低下に伴って下がり、図21(b)に示すように、電圧V2に相当する電圧Vbも下がる。
その後、時間t2になると、図21(a)に示すようにVa<Vcとなる。その結果、ヒステリシスコンパレータ100の出力はオフ信号となり、リセットセットフリップフロップ回路102のリセット端子Rには0が入力される。しかし、この時はまだセット端子Sに1が入力され続けているので、図21(f)に示すように、DC/DCコンバータ24から負荷21に、しきい値電圧Vc(=k×Vh)に相当する電圧V2が印加される。
次に、時間t3に至り、パルス状のサンプルタイミング信号がオフになったとする。これにより、リセットセットフリップフロップ回路102のセット端子Sには0が入力される。この時、リセット端子Rには前記したようにVa<Vcであることから0が入力され続けている。従って、(表1)より、セット端子S、リセット端子Rの両方が0の場合はQ、NQは前回値を保持するように出力される。前回値は、S=1、R=0であったので、Q=1、NQ=0となる。ゆえに、時間t3以降はQ=1より、図21(c)に示すようにDC/DCコンバータ24がオンの状態を維持するとともに、サンプルホールド回路28のホールド端子holdがオンであるのでホールド電圧Vhを維持する。従って、しきい値電圧Vcも一定となる。また、NQ=0より、図21(d)に示すように選択スイッチ23はオフのままとなる。ゆえに、図21(f)に示すように、しきい値電圧Vc(=k×Vh)に相当する電圧V2が引き続き負荷21に印加され続ける。
以上の動作をまとめると、電力供給源22の電圧V1が低下する以前の時点(ここではほぼ低下する時点である時間t1)でサンプルタイミング信号がオンになると、電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaをサンプルホールド回路28でホールドするとともにDC/DCコンバータ24を起動し、選択スイッチ23をオフにすることになる。なお、実施の形態5で説明したように、サンプルタイミング信号がオンになるのは電圧V1が低下する以前であれば構わないが、できるだけ電圧V1が低下する直近が望ましい。
次に、時間t4、t5の動作は実施の形態5の図11の時間t2、t3とそれぞれ同じであるので、説明を省略する。
時間t6に至ると、エンジン再始動がほぼ完了して、電力供給源22の電圧V1が上昇し、電圧V1に相当する電圧Vaがしきい値電圧Vcより大きくなる。その結果、ヒステリシスコンパレータ100の出力はオン(=1)となる。従って、リセットセットフリップフロップ回路102のリセット端子Rには1が入力される。一方、セット端子Sは図21(e)に示すようにサンプルタイミング信号がオフのままであるので、引き続き0が入力される。従って、(表1)よりQ=0、NQ=1となる。ゆえに、時間t6ではQ=0より、図21(c)に示すようにDC/DCコンバータ24がオフになるとともに、サンプルホールド回路28のホールド端子holdがオフになり、ホールド電圧Vhが電圧Vaと等しくなる。ゆえに、時間t6以降では必ずVa>Vcとなり、引き続きヒステリシスコンパレータ100の出力はオン(=1)となる。また、NQ=1より、図21(d)に示すように選択スイッチ23はオンになる。ゆえに、電力供給源22の電圧V1が負荷21に供給される。従って、エンジン始動が完了する時間t7までは、電圧Vbは電圧Vaの上昇に応じて上昇し続け、時間t7で安定する。それに伴い、図21(f)に示すように、電圧V2も電圧V1の上昇に応じて上昇し続け、時間t7で安定する。
時間t7以降はリセットセットフリップフロップ回路102のセット端子Sには0が、リセット端子Rには1がそれぞれ入力され続けるので、Q=0、NQ=1のまま推移する。
このようなエンジン再始動時の動作をまとめると、電力供給源22の電圧V1に相当する電圧Vaが、ホールドされた電圧Vhより既定定数倍低い(本実施の形態7では既定定数k=0.9倍)正のしきい値電圧Vc以上に回復すると、DC/DCコンバータ24を停止するとともに、選択スイッチ23をオンにすることになる。これにより、時間t7以降の状態は時間t0の状態に戻ったことになる。
以上のように動作することで、図21(a)に示した電圧低下期間(時間t1〜t7)の内、時間t1からt6ではDC/DCコンバータ24が負荷21にしきい値電圧Vcに相当する電圧を供給するよう動作し、また、時間t6からt7の期間はホールド電圧Vhとしきい値電圧Vcの間の電圧に相当する電圧値が供給されるので、電力供給源22の電圧が大きく変動しても安定して負荷21を駆動することができる。
本実施の形態7の動作により、パルス状にサンプルタイミング信号が入力され、エンジン再始動の完了信号が得られない場合でも、実施の形態6と同様に必要な間だけDC/DCコンバータ24を動作させることができる。
なお、図20の構成においても、実施の形態6で述べた図16の構成のように、電圧V2検出用抵抗78、80を電圧V1検出用抵抗90、92に対してk倍するように設定するとともに、オペアンプ94の非反転入力にホールド電圧Vhを入力する構成としてもよい。この場合の動作も図21(b)が図17(b)に変わるだけで、最終的な電圧V2の出力は図21(f)と同じになるため、どちらの構成を採用してもよい。
以上の構成、動作により、通常時の電力供給源22の電圧と、電力供給源22の電圧低下による一時的な変動時のDC/DCコンバータ24の出力電圧との差が常に小さい電源装置20を実現できた。
なお、実施の形態5〜7において、既定定数kを0.9倍に設定した場合について説明したが、これは任意に設定可能である。特に、既定定数kを低く設定すると、例えば図21(a)に示したように、DC/DCコンバータ24は起動しているが、電圧V1に相当する電圧Vaが、負荷21を駆動できないほど著しく低下している時間taからtbの間だけDC/DCコンバータ24を昇圧動作させることができる。すなわち、時間t1からtaと時間tbからt6はDC/DCコンバータ24の入力電圧が出力電圧よりも大きくなるので、前記したように入力端子INの電圧をほぼそのまま出力端子OUTから出力し、DC/DCコンバータ24は昇圧動作をしない。これにより、DC/DCコンバータ24の昇圧動作時間をさらに短くすることができる。