JP2008038463A - 橋桁の架設方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 高橋脚等の橋桁を張り出し架設工法で施工する際に、架設工に先立つ柱頭部の施工において、その施工合理化を図る。
【解決手段】 橋脚柱頭部２ａから構築された桁上を、移動作業車２０で桁ブロックを構築し、桁ブロックを連結施工して橋桁を架設する際、橋脚２の柱頭部２ａを施工する仮設作業床として移動作業車２０で用いる作業床２１を、ブラケット足場１０上に敷設する。そして作業床２１面上に仮設作業足場を立設して柱頭部２ａを構築する。また作業床２１上に移動作業車２０による張り出し架設工事の領域を囲む外周足場２６を立設し、柱頭部２ａの完成後に柱頭部２ａ上に移動作業車２０を組み立てる。移動作業車２０に配備された吊り部材２２で桁ブロック構築用の型枠２５と作業床２１とを吊持し、移動作業車２０を桁方向に進行させて柱頭部２ａに連続する橋桁の桁ブロックの張り出し架設作業を行う。
【選択図】 図５

Description

本発明は橋桁の架設方法に係り、特に高橋脚等の橋桁を張り出し架設工法で施工する際に、架設工に先立つ柱頭部の施工において、その施工合理化を図った橋桁の架設方法に関する。

図７は、山間部の渓谷５１に建設される高橋脚橋梁５０の一例を示した全体図である。このような橋梁５０の架設工事では、両岸の橋台５１と中間支持位置の高橋脚５２間に橋桁５３を架設する工法である、張り出し架設工法（片持ち式架設工法）が採用されることが多い。図８は、図７に示した橋梁５０を、張り出し架設工法によって施工している状況を模式的に示した説明図である。図８に示したように、各高橋脚５２の柱頭部５２ａで組み立てられた複数台の移動作業車６０を用いて、各橋脚５２位置から桁スパンの中間接合位置あるいは斜面に構築された橋台５１まで片持ち梁式に橋桁５３を連続施工して延長させて橋桁の架設を行うようになっている。

この張り出し架設工法では、移動作業車に吊持された型枠を利用して所定のスパンの桁ブロックが連結構築される。この桁ブロックを構築する作業空間には外周足場が組み立てられ、各桁ブロックでの施工の安全性が確保されている。具体的には、移動作業車の下方に位置する、外周足場で囲まれた作業床上の作業空間において、鉄筋組立、ＰＣケーブル用のシースの配管、型枠組立、コンクリート打設の作業を行い、コンクリート養生期間経過後、型枠解体まで一連の作業が行われる。そして移動作業車を隣接ブロックの施工可能位置まで移動させ、次行程の桁ブロックの施工が行われる。このように繰り返される橋桁ブロックの施工工程では、各工程での作業内容がほぼ定まっているため、各工程での工期短縮は難しいとされていた。この問題を解決するために、特許文献１に開示されたコンクリート橋の架設工法及び架設装置が提案されている。

このコンクリート橋の架設方法では、橋脚頂部まで施工完了したら、この橋脚を構築するために組み立てられていた橋脚の回りの作業足場を利用して、そのまま上方に橋脚の柱頭部を構築することにより、工期短縮を図ることが提案されている。

特開平６−１８５０１８号公報。

しかし、上述した特許文献１に開示された架設装置の特徴は、上述したような張り出し桁架設工程における工程短縮を目的とし、移動作業車の進行方向先端側に外型枠を吊持するとともに、内型枠、鉄筋組立を先行して行える作業足場を設けた点にある。このため、柱頭部の構築、柱頭部施工用の支保工の解体工程、移動作業車の組み立て等の一連の工程における工期短縮を実現することは意図していない。この柱頭部の施工では、通常、在来の型枠工法によって行われるため、柱頭部の施工が完了し、型枠、足場それらを支持していたブラケット等の解体工程の完了後、移動作業車の組み立て工程となる。

ところで、従来、柱頭部構築に使用する作業足場と同様の機能を果たす作業床が、桁ブロックの架設工程を通じても移動作業車から吊持する形態で組み込まれ、使用されていた。これらの作業床の共有化を図り、またこの作業床を早期に施工することにより、橋桁施工のための足場組立作業も前倒しに行えようになる。そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、柱頭部の構築工程、移動作業車の組立工程において、仮設作業の資材、機材の共有化、それぞれの組立、解体の時期を調整することで、橋桁架設における工程短縮を図るようにした橋桁の架設方法及び橋桁の架設方法を提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明は橋脚柱頭部で組み立てられた移動作業車を、張り出し架設して構築した桁ブロック上を進行させて、前記桁ブロックに連続する桁ブロックを連結施工して橋脚スパン間に橋桁を架設するようにした橋桁の架設方法において、前記橋脚の柱頭部を施工する仮設作業床として、前記移動作業車で用いる作業床をあらかじめ敷設して用い、該作業床面上に仮設作業足場を立設して前記柱頭部を構築するとともに、前記作業床上に前記移動作業車による張り出し架設工事の領域を囲む外周足場を立設し、前記柱頭部の完成後に該柱頭部上に前記移動作業車を組み立て、該移動作業車に配備された吊り部材で桁ブロック構築用の型枠と前記作業床とを吊持し、前記移動作業車を桁方向に進行させて前記柱頭部に連続する橋桁の桁ブロックの張り出し架設作業を開始するようにしたことを特徴とする。

前記作業床上に、前記桁ブロックの底型枠を合わせて載置し、該底型枠と前記作業床とを前記吊り部材で同時に吊持することが好ましい。

前記作業床は、前記橋脚の壁面に固定されたブラケット足場上に前記吊り部材の吊り受け部材を介して敷設され、該吊り受け部材を介して前記吊り部材で吊持することが好ましい。

前記底型枠は、前記作業床上に前記吊り部材の吊り受け部材を介して載置され、該吊り受け部材を介して前記吊り部材で吊持することが好ましい。

本発明によれば、橋脚柱頭部の構築工程と、柱頭部での移動作業車の組立工程とにおいて、移動作業車の資機材を共有し、それらの組立、解体の時期を調整することにより、橋桁の架設工における工程短縮を図ることができるという効果を奏する。

以下、本発明の橋桁の架設方法及び橋桁の架設方法の実施するための最良の形態としての実施例について添付図面を参照して説明する。

図１は、工事対象としての一例としての橋梁（図７）において、公知の型枠工法やスリップフォーム工法で構築された鉄筋コンクリート橋脚２（以下、単に橋脚２と記す。）の頂部（図７中の○印位置）を示した部分拡大図である。この橋脚２の頂部には、橋桁の支点となる柱頭部２ａ（２点鎖線で表示）が施工される。この橋脚の柱頭部は、橋脚と一体構造をなし、橋桁の連続支点としての役割を果たす。
以下、この柱頭部２ａの構築手順について、図２〜図４を参照して説明する。

柱頭部２ａの施工に先立ち、図２に示したように、橋脚２上部のコンクリート側壁面の所定高さにブラケット足場１０を取り付ける。このブラケット足場１０は、コンクリート側壁面に沿って所定間隔をあけてアンカー（図示せず）固定された立て材１１と、各立て材１１の上端部から側方に向けて水平配置された受け梁１２と、受け梁１２を支持する方杖１３とから構成されている。

さらにブラケット足場１０上には、後の張り出し架設工法で使用される移動作業車２０（図５参照）の作業床２１を敷設する（図３）。この作業床２１は、格子状に組まれた根太材（図示せず）を介してブラケット足場１０上に敷設されており、これにより橋脚２の周囲に平面視してロ字形をなす所定面積の作業スペースが確保される。また作業床２１は、後に移動作業車２０の吊り部材２２で吊持される際の吊り受け部材２３を台座としてブラケット足場１０上に載置されている。このため、後に移動作業車２０に組み込まれる際に、吊り受け部材２３を吊り部材２２の所定レベル（高さ）の吊り点位置に固定することで、容易に移動作業車２０の作業床２１として組み直して使用することができる。

また、作業床２１上には、図３右半図に示したように、桁ブロック５の底型枠２５を構成する型枠部材があらかじめ載置されている。この場合にも、作業床２１の場合と同様に、吊り部材２２で一括して移動作業車２０から吊持可能な吊り受け部材２４を台座として使用することが好ましい。作業床２１、底型枠２５の支持点が吊り受け部材２３，２４のみでは足りない場合には適宜、ブラケット足場１０上および作業床２１上に支持点（図示せず）を追加することが好ましい。

次いで、図４に示したように、作業床２１上で柱頭部２ａの構築を行う。作業足場としての作業床２１は橋脚２の外周寸法に合わせて組み立てられおり、この作業足場を利用して、まず柱頭部２ａの鉄筋組立、型枠組立等を行う。型枠組立完了後、柱頭部２ａのコンクリート打設作業までの施工期間に並行して、図４左半図に示したように、張り出し架設用の外周足場２６を作業床２１上に組み立てる。この外周足場２６は、公知の枠組足場を、架設中の桁ブロック５全体が覆える程度の範囲で組み立て、その外周全面に安全ネットを張設したもので、張り出し架設時の桁ブロック５の施工空間全体を覆う安全設備として機能する。また柱頭部２ａの構築時の作業員の安全設備としての役割も果たす。

柱頭部２ａのコンクリート養生期間経過後、あるいはコンクリートが所定強度に達した段階で、柱頭部上で移動作業車２０の組み立てを行う。移動作業車２０は、図５に示したように、走行機構あるいは横引き可能な可動支持体を備えた公知の鉄骨トラス構造フレームからなり、２台が柱頭部２ａから両方向の桁方向に向けて橋脚中心線に関して対称形をなして組み立てられる。それぞれの移動作業車２０の上弦トラスに直交して組み込まれ、両端が橋桁幅より外方まで延在した吊り桁（図示せず）から複数本の吊り部材２２が吊持されている。この吊り部材２２によって、上述した作業床２１と、桁ブロック５の複数の型枠の全荷重とが、所定の吊り点位置で支持される。作業床２１は常に水平保持されて吊持されるが、底型枠２５の吊り点は、桁ブロックの桁高が張り出し架設の進行に伴い低くなるため、その桁高に合わせて吊り部材２２の所定高さに固定できるように調整することができる。

図６に示したように、完成した桁ブロック５上で移動作業車２０を走行させ、完成した桁ブロック５の先端位置ま移動させ、次工程の桁ブロック５の施工が行われる。なお、移動作業車２０および移動作業車２０に吊持された作業足場、外周足場２６が橋脚を離れた段階で、橋脚のコンクリート壁にアンカー固定されていたブラケット足場１０を撤去することができる。

その後、公知の張り出し架設工法の手順に基づき、順次桁ブロック５を連続施工し、橋脚間のスパン中間位置で、両側から張り出し架設された桁ブロック５を連結して１スパンの施工を行い、あるいは端部スパンでは橋台位置までの架設工を行う。

このように、移動作業車２０の作業床２１を柱頭部２ａの施工のための作業床２１として兼用し、移動作業車２０の組み立て時に移動作業車２０の一部の設備として転用した点、柱頭部２ａの構築時に作業床２１上に張り出し架設用の外周足場２６を組み立て、その後張り出し架設開始後に橋脚２に取り付けたブラケット足場１０を解体、撤去することができる。このように従来、柱頭部２ａの施工段階、移動作業車２０の組み立て段階で、工程上のクリティカルパスとなっていた上述の作業を、主作業の進行に並行して行えるため、張り出し架設工程が開始できるまでの工程を大幅に短縮できるようになった。

柱頭部施工前の状態を示した橋脚頂部の拡大図。 ブラケット足場が設けられた状態を示した橋脚頂部の拡大図。 ブラケット足場上に移動作業車の作業床を敷設した状態を示した橋脚頂部の拡大図。 柱頭部構築時の並行作業として張り出し架設用の外周足場を組み立てた状態を示した橋脚頂部の拡大図。 柱頭部の上部に移動作業車を組み立て、張り出し架設のための型枠設置状態を示した橋脚頭部の拡大図。 移動作業車による張り出し架設状況を示した橋脚頭部の拡大図。 高橋脚の橋梁全形を示した説明図。 図７に示した橋梁の施工状態を示した説明図。

符号の説明

２ 橋脚
２ａ 柱頭部
５ 桁ブロック
１０ ブラケット足場
２０ 移動作業車
２１ 作業床
２２ 吊り部材
２３ 吊り受け部材
２５ 底型枠
２６ 外周足場

Claims (4)

1. 橋脚柱頭部で組み立てられた移動作業車を、張り出し架設して構築した桁ブロック上を進行させて、前記桁ブロックに連続する桁ブロックを連結施工して橋脚スパン間に橋桁を架設するようにした橋桁の架設方法において、
   前記橋脚の柱頭部を施工する仮設作業床として、前記移動作業車で用いる作業床をあらかじめ敷設して用い、該作業床面上に仮設作業足場を立設して前記柱頭部を構築するとともに、前記作業床上に前記移動作業車による張り出し架設工事の領域を囲む外周足場を立設し、前記柱頭部の完成後に該柱頭部上に前記移動作業車を組み立て、該移動作業車に配備された吊り部材で桁ブロック構築用の型枠と前記作業床とを吊持し、前記移動作業車を桁方向に進行させて前記柱頭部に連続する橋桁の桁ブロックの張り出し架設作業を開始するようにしたことを特徴とする橋桁の架設方法。
2. 前記作業床上に、前記桁ブロックの底型枠を合わせて載置し、該底型枠と前記作業床とを前記吊り部材で同時に吊持するようにしたことを特徴とする請求項１に記載の橋桁の架設方法。
3. 前記作業床は、前記橋脚の壁面に固定されたブラケット足場上に前記吊り部材の吊り受け部材を介して敷設され、該吊り受け部材を介して前記吊り部材で吊持されることを特徴とする請求項１に記載の橋桁の架設方法。
4. 前記底型枠は、前記作業床上に前記吊り部材の吊り受け部材を介して載置され、該吊り受け部材を介して前記吊り部材で吊持されることを特徴とする請求項２に記載の橋桁の架設方法。

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