JP2008036461A - 薄膜コートフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】支持フィルム上に帯状のムラがなく、しかも均一な膜厚を有する薄膜を形成することができる薄膜コートフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】支持フィルム13上に薄膜が形成された薄膜コートフィルムは、シャフトの外周にワイヤを螺旋状に巻き付けたコイルバー16を回転可能に支持し、該コイルバー16に塗布液18を供給し、その塗布液18を走行する支持フィルム13上に塗布して塗布膜27を形成し、該塗布膜27を乾燥後硬化することにより製造される。この場合、シャフトの円筒度が8μm以下で、かつ螺旋状に巻き付けられるワイヤの先頭と末尾の直径の差が2μm以下に設定される。さらに、シャフトに螺旋状に巻き付けられるワイヤ同士の隙間が巻き付け部分全体に渡って好ましくは2μm以下に設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、シャフトの外周にワイヤを螺旋状に巻き付けたコイルバーを用い、トリアセチルセルロース等の支持フィルム上に塗布液を塗布して乾燥後硬化し、支持フィルム上に薄膜が形成された薄膜コートフィルムの製造方法に関するものである。
従来、支持フィルム上に塗布液(コーティング液)を塗布し、乾燥後硬化して支持フィルム上に薄膜を形成し、その薄膜が各種の機能を有する薄膜コートフィルムが製造されてきた。例えば、極薄い超薄膜をプラスチックフィルム等の支持フィルム上に形成し、支持フィルムの表面反射率を減少させる等の種々の機能を付与することができる。特に大面積の支持フィルムに塗布液を塗布する場合、生産性の高い方法としてロールコーティング法などが知られている。
そのための装置として例えば、丸棒状のロッドにワイヤを螺旋状に密着巻回したワイヤ列を備え、走行する支持フィルムに塗布液を塗布する塗工用ワイヤバーで、前記ワイヤ列の各列の頂点に外接する外周面を有する円柱として表したときに該円柱の真円度が7μm以下の塗工用ワイヤバーが知られている(例えば、特許文献1を参照)。具体的には、トリアセチルセルロースよりなる支持フィルム上に真円度が7μm以下のワイヤバーを用いて紫外線硬化型樹脂組成物を塗布、硬化させて厚さ25μmのハードコート膜を得、その上に酸化ジルコニウム分散物含有組成物を塗布、硬化させてウエット膜厚4μmの反射防止膜を得ることが開示されている。そして、特許文献1には塗布膜にスジ状や点状の塗布ムラがほとんどない均一塗布を行うことができると記載されている。
特開2005−21749号公報(第2頁、第3頁及び第12頁)
しかしながら、特許文献1に記載されている塗工用ワイヤバーにおいては、ワイヤバーの真円度が仮想の円について規定されており、その真円度は具体的にはロッドの真円度とワイヤの真円度とを加えた値である(特許文献1の第17頁の図10における試験1〜9)。そして、ロッドの真円度が5μm以下で、ワイヤの真円度が2μm以下に設定されている。
ところで、真円度はロッドの軸方向の一断面における円について真円からの歪みを表すものである。一方、ロッドはそのような真円からの歪みのほか、軸方向における軸線のずれをも有している。そのため、係る真円度を規定するだけでは塗布液の塗布ムラ、特に帯状のムラをなくすことができなかった。さらに、ワイヤは一般に伸線加工法によって数千mから数万mの長さに製作されることから、ダイスの摩耗によりその一端と他端とでは直径に差が生ずる。そのため、塗布液を塗布して得られる塗布膜の膜厚が変化し、均一な膜厚が得られないという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、支持フィルム上に帯状のムラがなく、しかも均一な膜厚を有する薄膜を形成することができる薄膜コートフィルムの製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するために、本発明における第1の発明の薄膜コートフィルムの製造方法は、シャフトの外周にワイヤを螺旋状に巻き付けたコイルバーを回転可能に支持し、該コイルバーに塗布液を供給し、その塗布液を走行する支持フィルム上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を乾燥後硬化して支持フィルム上に薄膜を形成する薄膜コートフィルムの製造方法において、前記シャフトの円筒度が8μm以下で、かつ螺旋状に巻き付けられるワイヤの先頭と末尾の直径の差が2μm以下であることを特徴とするものである。
第2の発明の薄膜コートフィルムの製造方法は、第1の発明において、前記螺旋状に巻き付けられるワイヤ同士の隙間が巻き付け部分全体に渡って2μm以下であることを特徴とするものである。
第3の発明の薄膜コートフィルムの製造方法は、第1又は第2の発明において、前記薄膜の乾燥膜厚が0.05〜20μmであることを特徴とするものである。
第4の発明の薄膜コートフィルムの製造方法は、第1から第3のいずれかに係る発明において、前記薄膜は、紫外線硬化性組成物に不活性ガス雰囲気下で紫外線を照射して硬化させて得られる膜で、その乾燥膜厚が0.05〜0.2μmであることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明の薄膜コートフィルムの製造方法では、シャフトの円筒度が8μm以下であることから、シャフトの軸方向における所定幅についてシャフトのずれが抑えられ、塗布液のムラが解消される。また、螺旋状に巻き付けられるワイヤの先頭と末尾の直径の差が2μm以下であることから、ワイヤの直径がその長さ全体に渡って均一に形成され、塗布液が支持フィルム上に均一に塗布される。従って、支持フィルム上に帯状のムラがなく、しかも均一な膜厚を有する薄膜を形成することができる。
第2の発明の薄膜コートフィルムの製造方法では、螺旋状に巻き付けられるワイヤ同士の隙間が巻き付け部分全体に渡って2μm以下であることから、第1の発明の効果に加えて、薄膜に前記隙間に基づくスジ状ムラが発生することを防止することできる。
第3の発明の薄膜コートフィルムの製造方法では、薄膜の乾燥膜厚が0.05〜20μmであることから、極薄い薄膜について第1又は第2の発明の効果を有効に発揮させることができる。
第4の発明の薄膜コートフィルムの製造方法では、薄膜は紫外線硬化性組成物に不活性ガス雰囲気下で紫外線を照射して硬化させて得られる膜で、その乾燥膜厚が0.05〜0.2μmである。このため、第1から第3のいずれかに係る発明の効果に加え、一層薄い薄膜についてラジカルの消失速度よりも重合硬化反応速度を速くすることができ、十分に硬化された薄膜を得ることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
図4は本実施形態における薄膜コートフィルムの製造装置を示す概略説明図であり、図1は薄膜コートフィルムの製造方法に用られるコイルバー塗布装置を示す断面図である。図4に示すように、巻出装置11の巻出ローラ12には支持フィルム13が巻回され、複数のガイドローラ14を介して引き出されるようになっている。巻出装置11の側方位置(図4の左方位置)には、コイルバー塗布装置15が配設され、前記支持フィルム13がガイドローラ14を経て送り込まれ塗布液が塗布されるようになっている。
図1に示すように、コイルバー塗布装置15は、回転可能なコイルバー16を備えた塗布ヘッド17と、前記コイルバー16に塗布液18を供給する塗布液供給部19と、前記コイルバー16上を近接走行するように支持フィルム13をガイドする前後一対のガイドローラ14などとで構成されている。そして、塗布ヘッド17のコイルバー16から支持フィルム13上に塗布液18が連続的に塗布されるようになっている。
前記塗布ヘッド17において、コイルバー16は、支持ブロック20の頂部に形成されたV溝21に回転自在に支持されている。支持ブロック20は、有底筒状をなす塗布液供給部19内に支持され、側壁には塗布液供給口22が設けられて塗布液18が塗布液供給部19内に満たされるように構成されている。塗布液供給部19内に塗布液18が満たされると、支持ブロック20上のコイルバー16は塗布液18に浸される。そして、コイルバー16の回転に伴って塗布液18がコイルバー16の外周面に常に供給されるようになっている。
塗布液18に浸されたコイルバー16を一定の回転速度にて回転させ、一定速度にて走行する支持フィルム13をコイルバー16に接触させると、支持フィルム13の送り方向の上流側には上流側ビード23が形成され、下流側には下流側ビード24が形成される。これらビード23、24を介して走行する支持フィルム13に塗布液18が連続的に塗布される。塗布液供給部19の下方位置には、塗布液受けパン25が配置され、塗布液供給部19から溢れた塗布液18を受けるように構成されている。塗布液受けパン25の底部には、塗布液排出口26が開口され、塗布液受けパン25に溜まった塗布液18が排出される。
図4に示すように、塗布ヘッド17において塗布液18が塗布されて塗布膜27が形成された支持フィルム13は、複数のガイドローラ14を経て乾燥装置28に導かれ、そこで支持フィルム13上の塗布膜27が乾燥される。乾燥装置28の側方位置(図4の右方位置)には冷却ローラ29が配置され、その冷却ローラ29上を通過する支持フィルム13に対向するように紫外線照射装置30が配設されている。紫外線照射装置30で紫外線が照射されて塗布膜27が硬化して薄膜31となった支持フィルム13は、複数のガイドローラ14を介して巻取装置32の巻取ローラ33に巻き取られるようになっている。
図2は前記コイルバー塗布装置15の支持ブロック20上に支持されたコイルバー16を示す拡大断面図である。コイルバー16は、シャフト34の外周にワイヤ35を螺旋状に密に巻き付けて形成されたワイヤ列36を備えている。該ワイヤ列36に塗布液18を保持することにより、ワイヤ列36上を走行する支持フィルム13に塗布液18を転移塗布する場合、支持フィルム13に塗布される塗布膜27のウエット厚さが、シャフト34の直径とワイヤ35の直径によって決まる。そのため、シャフト34の直径、シャフト34の長さ及びワイヤ35の直径は目標とする塗布膜27の厚さに応じて決定される。通常、シャフト34の直径が1〜40mm、シャフト34の長さが300〜3000mm及びワイヤ35の直径が10〜200μmに設定される。これらの構造を前提とした上で、シャフト34の円筒度とワイヤ35の先頭と末尾の直径の差が設定される。
すなわち、シャフト34の円筒度は8μm以下であることが必要で、8〜7μmであることが好ましい。ここで、シャフト34の円筒度は、ISO/TR5460に記載されている円筒度測定方法10.3.1に準拠してシャフト34の軸方向に5点測定した値の平均値である。これら5点の測定点はワイヤ35を巻き付ける範囲(以下、シャフト有効範囲という)におけるシャフト34の軸方向中央、両端及び中央と両端の中点である。なお、シャフト34は円柱体であるが、円筒体でもよく、「円筒度」なる用語は、これらの円柱体及び円筒体の両方について適用される。
シャフト34の円筒度についてさらに説明すると、図5に示すように、シャフト34を小さい円柱体34a、34bなどの集合体と考えると、極端な場合、隣接する円柱体34aと円柱体34bとの間にずれが発生したとすると、そのずれ量αが円筒度に相当する。シャフト34にこのようなずれ量αが生ずることにより、その外周に塗布される塗布液18に帯状のムラが生じ、ひいては薄膜31に帯状ムラが生ずることになる。従って、円筒度は真円度のバラツキとは異なる概念である。シャフト34の円筒度が8μmを越える場合には、薄膜31特に大面積の薄膜31に帯状ムラが発生したり、支持フィルム13の両端部における薄膜31の膜厚についてバラツキが大きくなる。なお、円筒度が8μm以下であるということは、真円度も8μm以下であるということを意味している。
前記ワイヤ35の先頭と末尾の直径の差は2μm以下であることが必要で、2〜1μmであることが好ましい。ワイヤ35は通常伸線加工法により製作される。伸線加工法とは、所定の直径の孔が空いたダイスに、ダイスの孔の直径より大きい直径を有するワイヤ35を通過させ、数千mから数万m引き伸ばす加工方法である。この伸線加工に際しては、ダイスの孔の直径が摩耗によって徐々に大きくなる。そのため、例えば、図6(a)に示すように、長さLのワイヤ35の一端(伸線加工の始端)の直径D1が24μmとすると、ワイヤ35の他端(伸線加工の終端)の直径D2が26μmとなる。
そのようなワイヤ35をシャフト34の外周に巻き付けると、図6(b)に示すように、コイルバー16の一端側に直径の小さいワイヤ35が巻回され、コイルバー16の他端側に直径の大きいワイヤ35が巻回される。この場合、コイルバー16の一端側では、ワイヤ35間の溝が小さく、塗布液18の量が少なくなって膜厚が薄くなり、コイルバー16の他端側では、ワイヤ35間の溝が大きく、塗布液18の量が多くなって膜厚が厚くなる。そのため、薄膜31の膜厚が不均一になる。
また、前記ワイヤ35の先頭と末尾の直径の差は、巻き付けたワイヤ35の先頭及び末尾の各平均直径の差である。この平均直径の測定は、ワイヤ35の先頭及び末尾の一部を切りとり、ワイヤ35の軸方向に対する垂直断面についてISO/ER5460の真円度測定方法9.2.1にて行った。該測定により得られたワイヤ35の軸方向に垂直な円形断面1周分の直径を平均し、平均直径とした。ワイヤ35の先頭と末尾の直径の差が2μmを越える場合には、薄膜31特に大面積の薄膜31に帯状ムラが発生したり、支持フィルム13の両端部における薄膜31の膜厚についてバラツキが大きくなる。
さらに、コイルバー16におけるワイヤ35同士の隙間が巻き付け部分全体に渡って2μm以下であることが、スジ状ムラの発生を防止する観点から好ましく、2〜1μmであることがより好ましい。前記ワイヤ35同士の隙間は次の方法によって測定した。先ずレーザー顕微鏡にてワイヤ列36の表面形状を測定し、図3に示すようなシャフト34の軸方向におけるワイヤ35の断面曲線37を描画した。得られた断面曲線37から、隣接するワイヤ35同士の隙間38a、38b及び38cの3箇所について求めた。この測定はシャフト34の軸方向5点に対して行い、合計15点の隙間のうち最大値を代表値として該コイルバー16のワイヤ35同士の隙間とした。なお、5点の測定点はシャフト有効範囲におけるシャフト34の軸方向中央、両端及び中央と両端の中点である。
このようなワイヤ35同士の隙間を2μm以下とするためには、シャフト34の表面粗さRy(最大高さ、JISB0601−1994)が0.5μm以下であることが好ましい。つまり、図7に示すように、シャフト34の外周面には微小な突起39が多数存在するが、シャフト34の外周に巻き付けられるワイヤ35はシャフト34外周面の突起39の最も高いところに載る形態になることから、突起39の最大高さを表すRyが用いられる。なお、平均粗さRaは、シャフト34の外周面に存在する突起39の平均粗さを表すため、Raを小さくしてもワイヤ35同士の隙間を抑えることはできない。前記コイルバー16を構成するシャフト34及びワイヤ35の材質としては、ステンレス鋼をはじめとする各種金属が使用可能であり、強度的に満足するものであればいずれも使用可能である。
次に、前記薄膜31は、前述したように支持フィルム13上に塗布液18を塗布し、乾燥後硬化することにより形成され、該薄膜31が各種の機能層となる。そのような機能層としては、易接着層、反射防止層、ハードコート層、帯電防止層、紫外線防止層、防眩層、近赤外線防止層、電磁波遮蔽層等が挙げられる。これらの中では、反射防止層、特に最表面の低屈折率層や易接着層は、一般に大面積の薄膜コートフィルムにするほど帯状ムラや支持フィルム13両端部における塗布した膜厚のバラツキが目立ち易いので、機能層の中では効果を特に発揮しやすい点で好ましい。
前記支持フィルム13はシートを含む概念であるが、量産の点からシート状よりもフィルム状のものが好ましい。支持フィルム13を構成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル(PVC)等の合成樹脂等を挙げることができる。これらのうち、特にポリエチレンテレフタレート(PET)やトリアセチルセルロース(TAC)が成形の容易性、入手の容易性及びコストの点で好ましい。
また、支持フィルム13の厚さは、好ましくは25〜400μm、より好ましくは30〜200μmである。さらに、支持フィルム13には、各種の添加剤が含有されていても良い。添加剤として例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤等が挙げられる。
機能層としての前記ハードコート層は、表面硬度や擦傷性を向上できる限り、ハードコート層に用いられる公知の全ての樹脂が使用可能であり、特に電離放射線硬化型樹脂及び金属酸化物微粒子から形成される場合が好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を電離放射線硬化型樹脂中にさらに添加することができる。そのようなその他の成分としては、例えば重合体、重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤等の添加剤が挙げられる。また、ウェットコーティング法において成膜後乾燥させる限りは、任意の量の溶媒を添加することができる。
また、機能層としての易接着層は前記支持フィルム13特にPETフィルムと前記ハードコート層との密着性を高めるための層であり、密着性を高めることができる限り、接着剤として任意の屈折率を有する公知の接着剤が適用可能である。易接着層の膜厚及び屈折率は支持フィルム13とハードコート層の屈折率により最適な値を選定すべきであるが、易接着層の膜厚が5nm未満の場合には支持フィルム13とハードコート層間の密着性保持が困難であるため、5nm以上が好ましい。
続いて、機能層としての反射防止層について説明する。
反射防止層は単層構成又は多層構成とすることができる。単層構成の場合には、ハードコート層上に該ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層を1層形成する。また、多層構成の場合には、ハードコート層上に屈折率の異なる層を多層形態で積層する。多層構成とすることにより、反射率をより効果的に下げることができる。具体的には、反射防止層は、ハードコート層側から見て順に高屈折率層及び低屈折率層からなる2層形態や、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層からなる3層形態や、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層からなる4層形態等で構成される。反射防止の効果の観点からは3層以上の構成が好ましく、生産性及び生産コストの観点からは単層構成又は2層構成が好ましい。反射防止層の厚さは、基材の種類、形状、反射防止層の構造によって異なるが、1層当たり可視光線の波長と同じ厚さ又はそれ以下の厚さが好ましい。
高屈折率層を形成する材料としては特に限定されるものではなく、無機材料又は有機材料を用いることができる。無機材料としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化シラン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム錫等の微粒子が挙げられる。また、有機材料としては、例えば屈折率が1.60〜1.80のチオール基やフェニル基を含有する高屈折率の有機単量体や重合体を、バインダーないし高屈折率層そのものの材料として用いることができる。
無機材料の微粒子の平均粒子径は層の厚さを大きく越えないことが好ましく、特に0.1μm以下であることが好ましい。微粒子の平均粒子径が0.1μmを越えると、散乱が生じる等、高屈折率層の光学機能が低下するため好ましくない。また、必要に応じて微粒子表面を各種カップリング剤等により修飾することができる。そのようなカップリング剤としては、例えば有機置換された珪素化合物、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン等の金属アルコキシドを含む有機酸塩等が挙げられる。また、前記の無機材料の微粒子を含む高屈折率層は、従来公知の有機単量体や重合体をウェットコーティング時のバインダーとして用いることができる。
低屈折率層を形成する材料としては、例えば中空酸化珪素、コロイダル酸化珪素(コロイダルシリカ)、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム等の無機微粒子や、有機重合体微粒子や、含フッ素有機化合物の単体又は混合物をバインダーないし低屈折率層そのものの材料として用いることができる。また、フッ素を含まない有機化合物(以下、非フッ素系有機化合物と略記する)の単体若しくは混合物又は重合体をバインダー樹脂として用いることができる。
前記無機微粒子の平均粒子径は、低屈折率層の厚さを大きく越えないことが好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましい。平均粒子径が0.1μmを越えると、光の散乱が生じる等、低屈折率層の光学性能が低下するため好ましくない。さらに、必要に応じて微粒子表面を各種カップリング剤等により修飾することができる。そのようなカップリング剤としては、例えば有機置換された珪素化合物が挙げられる。特に、表面を(メタ)アクリロイル基等の反応性基で修飾することにより、硬度の高い膜を形成することができる。
前記の含フッ素有機化合物は特に限定されるものではないが、例えば含フッ素単官能(メタ)アクリレート、含フッ素多官能(メタ)アクリレート、含フッ素イタコン酸エステル、含フッ素マレイン酸エステル、含フッ素珪素化合物等の単量体及びそれらの重合体等が挙げられる。これらの中では、反応性の観点より含フッ素(メタ)アクリレートが好ましく、特に含フッ素多官能(メタ)アクリレートが硬度及び屈折率の点から最も好ましい。これら含フッ素有機化合物を硬化させることにより、低屈折率かつ高硬度の層を形成することができる。
上記含フッ素有機化合物の重合体又はその他の含フッ素有機化合物の重合体としては、含フッ素有機化合物の単独重合体、共重合体、又は非フッ素系有機化合物との共重合体等の直鎖状重合体、鎖中に炭素環や複素環を含む重合体、環状重合体、櫛型重合体等が挙げられる。前記非フッ素系有機化合物としては、従来公知のものを用いることができ、例えば単官能又は多官能(メタ)アクリレート、テトラエトキシシラン等の珪素化合物等が挙げられる。
また、反射防止層には上記化合物以外に本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいても差し支えない。その他の成分は特に限定されるものではなく、例えば無機又は有機顔料、重合体、重合開始剤、光重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、レベリング剤などの添加剤が挙げられる。また、ウェットコーティング法によって成膜後乾燥させる限りは、任意の量の溶媒を添加することができる。
反射防止層は成膜した後、電子線等の高エネルギー線により重合硬化したり、熱分解型重合開始剤や光重合開始剤の存在下に重合硬化したりすることにより得られる。これらの中では、光重合開始剤を添加した紫外線硬化性組成物を基材表面に塗布し、形成された被膜に窒素等の不活性ガス雰囲気下で紫外線を照射して重合硬化させる方法が好ましい。
前記光重合開始剤としては、紫外線照射による重合開始能を有するものであればよい。具体的には例えば、アセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの光重合開始剤は単独又は混合物として用いることができる。
光重合開始剤の配合割合は、塗布液中の固形分に対し、0.1〜20質量%であることが好ましい。光重合開始剤の配合割合が0.1質量%未満の場合には重合硬化が不十分となり、20質量%を越える場合には重合硬化後の被膜の屈折率が上昇するため好ましくない。紫外線照射に用いられる紫外線灯の種類は、一般的に用いられているものであれば特に限定されず、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が使用される。
紫外線照射の条件として、照射量は10mJ以上が好ましく、100mJ以上がさらに好ましい。照射量の上限は、この種の紫外線照射における常法に従って決定される。照射線量が10mJより少ない場合には重合硬化後に得られる被膜に十分な硬度が得られない。また、重合硬化後にさらに紫外線照射による後硬化を行なってもよい。紫外線照射時の酸素濃度は、重合硬化時及び後硬化時とも、窒素、アルゴン等の不活性ガスを吹き込む等により1000ppm以下に抑えることが良好な重合硬化性を得るために好ましい。
硬化後の反射防止層の膜厚は、通常0.01〜1.0μmであり、反射防止の観点から好ましくは0.05〜0.2μmである。このような超薄膜の塗布に適したワイヤ径は10〜90μmであり、目標とする膜厚と塗布液の濃度から最適なワイヤ径を選択することができる。
次に、機能層としての近赤外線遮蔽層について説明する。
近赤外線遮蔽層中にはジイモニウム塩やポリメチン系、シアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジチオール金属錯塩系、ナフトキノン系、アントロキノン系、トリフェニルメタン系、アミニウム系、ジインモニウム系等の色素が近赤外線遮蔽剤として加えられる。近赤外線遮蔽層を形成する際には、前記の近赤外線吸収色素を溶解又は分散させたポリ(メタ)アクリル酸アルキル等の有機バインダーを用いて行うことができる。
この近赤外線遮蔽層には、有機バインダー以外に本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分は特に限定されるものではなく、例えば重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、表面改質剤、光安定剤等の添加剤等が挙げられ、さらに任意の溶媒を添加することができる。また、近赤外線遮蔽層の厚さは、2〜20μm程度が好ましい。近赤外線遮蔽層の厚さが2μm未満の場合には、近赤外線遮蔽機能を十分に発現させることが難しくなるため好ましくない。一方、厚さが20μmを越える場合には、近赤外線遮蔽層を有する近赤外線遮蔽材について耐屈曲性の低下等の問題が生じるため好ましくない。
次に、塗布液18の塗布方法は反射防止層の様な超薄膜に限定されず、前記ハードコート層、近赤外線遮蔽層、防眩層、電磁波遮蔽層等の厚膜の塗布にも適用できる。これら厚膜(1.0〜20μm)の塗布に適したワイヤ35の直径は45〜200μmであり、目標とする膜厚と塗布液18の濃度から最適なワイヤ35の直径を選択する。また、塗布液18中には、塗布液18の粘度調整や塗布後の表面レベリングのために、反応を阻害しない限り、溶媒を含有させても良い。
以上のようにして得られる薄膜コートフィルムは、プラズマディスプレイパネル(PDP)や平面CRT、液晶表示画面(LCD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)及び表面電界ディスプレイ(SED)に代表される平面状電子ディスプレイの表面に貼り合わせて好適に使用できる。
さて、本実施形態の作用を説明すると、コイルバー16はシャフト34の外周にワイヤ35を螺旋状に互いに密接するように巻き付けることにより得られる。このとき、シャフト34の円筒度が8μm以下で、かつワイヤ35の先頭と末尾の直径の差が2μm以下に設定される。得られたコイルバー16を備えた図4に示す塗布装置を用い、コイルバー16を塗布液18として例えばハードコート層用の塗布液18に浸しつつ回転し、コイルバー16上に支持フィルム13としてトリアセチルセルロースのフィルムを接触させて通過させることで、トリアセチルセルロースのフィルム上に薄膜31としてハードコート層が形成される。
このとき、シャフト34の円筒度が8μm以下に設定されていることから、シャフト34の軸方向におけるズレが抑えられ、塗布液18のムラが解消される。また、螺旋状に巻き付けられるワイヤ35の先頭と末尾の直径の差が2μm以下であることから、ワイヤ35の直径がその長さ全体に渡って均一に形成され、塗布液18が支持フィルム13上に均一に塗布される。これらの作用が相乗的に働いて、薄膜31は帯状のムラが認められず、しかも膜厚が均一に形成される。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の薄膜コートフィルムの製造方法では、シャフト34の円筒度が8μm以下で、かつ螺旋状に巻き付けられるワイヤ35の先頭と末尾の直径の差が2μm以下である。従って、支持フィルム13上に帯状のムラがなく、しかも均一な膜厚を有する薄膜31を得ることができる。特に、大面積の薄膜31に帯状ムラが発生し難く、かつ支持フィルム13両端部における薄膜31の膜厚のバラツキを小さくすることができる。
・ 螺旋状に巻き付けられるワイヤ35同士の隙間が巻き付け部分全体に渡って2μm以下であることにより、前記隙間による薄膜31にスジ状ムラが発生することを防止することできる。
・ 薄膜31の乾燥膜厚が0.05〜20μmであることにより、極薄い薄膜31について前記の効果を有効に発揮させることができる。
・ 薄膜31は紫外線硬化性組成物に不活性ガス雰囲気下で紫外線を照射して硬化させて得られる膜で、その乾燥膜厚が0.05〜0.2μmである。このため、一層薄い薄膜31についてラジカルの消失速度よりも重合硬化反応速度を速くすることができ、十分に硬化された薄膜31を得ることができる。
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各例において、部は質量部を表す。
(製造例1、ハードコート層用塗布液の製造)
光重合性ウレタンアクリレート(商品名「紫光UV7600B」、日本合成化学工業(株)製)50部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:「DPHA」、日本化薬(株)製)20部、光重合開始剤(商品名「IRGACURE184」、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)3部、イソプロパノール(IPA)30部を混合して、ハードコート層用塗布液を得た。
(製造例2、変性中空シリカ微粒子の製造)
フラスコにIPA分散中空シリカゾル(商品名「ELCOM NY−1001SIV」、平均粒径60nm、触媒化成(株)製)2000部、γ‐アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM5103」、信越化学(株)製)70部、蒸留水80部を混合して、変性中空シリカゾル用塗布液を得た。その後、4時間加熱還流(反応温度:77℃)を行い、加水分解反応及び縮合反応を行った。この操作により変性中空シリカ微粒子(ゾル)を得た。
(製造例3、低屈折率層用塗布液の調製)
1,2,9,10−テトラアクリロイルオキシー4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン50部、製造例2に記載の変性中空シリカ微粒子50部、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン系表面改質剤(商品名「BYK−302」、ビックケミー・ジャパン(株)製)3部、光重合開始剤(商品名「IRGACURE 184」、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)6部及びイソプロピルアルコール2000部を混合して、低屈折率層用塗布液を調製した。
(製造例4、近赤外線遮蔽層用塗布液の製造)
近赤外線吸収色素として、ジイモニウム塩〔ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸}‐N,N,N’,N’‐テトラキス{p‐ジ(4,4,4‐トリフルオロブチル)アミノフェニル}‐p‐フェニレンジイモニウム(商品名「CIR−1085F」、日本カーリット(株)製)5.0部、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製の製品名:「ダイヤナールBR‐80」)100部、溶剤としてメチルエチルケトン450部及びトルエン450部を混合攪拌して溶解し、近赤外線遮蔽層用塗布液を調製した。
(実施例1)
図4に示す薄膜コートフィルムの製造装置を用い、薄膜コートフィルムを製造した。支持フィルム13としては、幅1330mm、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(商品名「KC8UY」、コニカミノルタオプト(株)製)を用いた。
巻出装置11に上記支持フィルム13を取り付け、ライン速度30m/minにて走行させ、コイルバー塗布装置15に製造例1に記載のハードコート層用塗布液をポンプにて循環し、コイルバー16を周速度30m/minにて支持フィルム13の走行方向と同じ向きに回転させた。ここで、用いたコイルバー16は10mm径のシャフト34(SUS304製、円筒度8μm)に線径60μmのワイヤ35(SUS304製、ワイヤの先頭と末尾の直径の差1.5μm)を巻き付けたもので、巻き付けられたワイヤ35間の隙間が2μm以下であるコイルバー16である。
その後、走行中の支持フィルム13とコイルバー16を接触させることで、ハードコート層用塗布液を塗布した。続いて、乾燥装置28にて温度80℃の熱風で乾燥後、紫外線照射装置30(フュージョンUV社製、240W高圧水銀灯)を用いて300mJの紫外線を該塗布膜27へ照射し、ハードコート層用塗布液を硬化させ、表面に薄膜31としてのハードコート層が形成されたTACフィルム(以下、これをHC−TACと略記する)を作製した。このときのハードコート層の厚さは4.5μmであった。
次に、HC−TACを薄膜コートフィルム製造装置の巻出装置11に取り付け、ライン速度30m/minにて走行させた。コイルバー塗布装置15には製造例3に記載の低屈折率層用塗布液をポンプにて循環し、コイルバー16を周速度30m/minにて支持フィルム13の走行方向と同じ向きに回転させた。ここで用いたコイルバー16は、直径10mmのシャフト34(SUS304製、円筒度7.5μm)に線径45μmのワイヤ35(SUS304製、ワイヤの先頭と末尾の直径の差1.9μm)を巻き付けたもので、巻き付けられたワイヤ35間の隙間が1.0μmのコイルバー16である。
その後、走行中の支持フィルム13とコイルバー16を接触させることで、低屈折率層用塗布液をHC−TACに塗布し、乾燥装置28にて温度80℃の熱風で乾燥後、紫外線照射装置30にて酸素濃度500ppmの窒素ガス雰囲気にて300mJの紫外線を照射して硬化させ、巻取装置32にて巻き取り、反射防止TACフィルムを得た。このときの低屈折率層厚さは0.1μmであった。
次に、下記に示す方法により、塗布面の目視検査及び低屈折率層の膜厚のバラツキを測定した。その結果を表1に示す。
(塗布面の目視検査)
反射防止TACフィルムを切り出し、フィルム裏面の幅方向全体、流れ方向400mmの範囲に透過率1.0%の黒色粘着層付きPETフィルムの粘着層側を貼り合わせ、表面に光を反射させて目視検査した。目視検査は暗室中にて目視検査用光源装置(蛍光灯と、蛍光灯の光を拡散させるための乳白色アクリル板にて構成したもの)の光を反射角20から160°の範囲で反射させて行った。目視検査により、帯状ムラ(反射色が周囲と異なり、支持フィルム13の走行方向に平行で幅5〜100mmの帯状のムラ)及びスジ状ムラ(反射色が周囲と異なり、支持フィルム13の走行方向に平行で幅0.1〜1.0mmのスジ状のムラ)の本数を計数した。
なお、目視検査の幅方向範囲は支持フィルム13の中央部1250mm、及び流れ方向範囲は黒色粘着PETフィルムを貼り付けた400mmの範囲である。
(膜厚のバラツキ測定)
支持フィルム13の両端部(端から50mmの位置)の反射スペクトルを日本分光(株)製分光光度計V-570にて測定し、最小反射率波長を求めた。反射防止フィルムの低屈折率層の膜厚は反射スペクトルの最小反射率波長と直線関係にあるため、最小反射率波長のバラツキを低屈折率層の膜厚のバラツキとみなした。
(実施例2、3、6、7及び比較例1〜4)
実施例1においてシャフト34の直径、シャフト34の円筒度、ワイヤ35の先頭と末尾の直径の差及びワイヤ35間の隙間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に反射防止TACフィルムを得た後、塗布面の目視検査及び低屈折率層の膜厚のバラツキを測定した。その結果を表1に示す。
(実施例4、5及び比較例5)
実施例1において、シャフト34の円筒度、ワイヤ35の直径、ワイヤ35の先頭と末尾の直径の差及びワイヤ35間の隙間を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして反射防止TACフィルムを得た。得られた反射防止TACフィルムについて、塗布面の目視検査及び低屈折率層の膜厚のバラツキを測定した。その結果を表1に示す。なお、ここで用いた低屈折率層用塗布液は、低屈折率層の膜厚が0.1μmとなるように製造例3のイソプロピルアルコール添加量を調整した。
Figure 2008036461
表1に示したように、ワイヤ35の直径が45μmである実施例1〜3と、比較例1及び2とを帯状ムラについて比較すると、シャフト34の円筒度が8μm以下においては帯状ムラの発生はなく、8μmを越えると帯状ムラが発生するということが明らかである。ワイヤ35の直径を25μmとした実施例4及び5と、比較例5とを比較しても同様にシャフト34の円筒度が8μm以下においては帯状ムラの発生はなく、8μmを越えると帯状ムラが発生するということが明らかである。
また、実施例1〜3と比較例3及び4とを支持フィルム13両端部の低屈折率層膜厚のバラツキについて比較すると、ワイヤ35の先頭と末尾の直径の差が2μm以下における低屈折率層膜厚のバラツキは2.0%以下であり、2μmを越えると低屈折率層膜厚のバラツキは2.0%を越えるということが明らかである。
ここで低屈折率層塗布膜厚のバラツキは2.0%以下が反射防止フィルムとしては好ましく、2.0%を越えるバラツキを持った反射防止フィルムは目視にて反射色の違いが認識され、広義の帯状ムラとして実用上問題となる。
さらに、実施例1〜3、実施例6、7においてスジ状ムラの発生量を比較すると、ワイヤ35同士の隙間が2μm以下においてはスジ状ムラの発生はないが、2μmを越えるとスジ状ムラの発生が急激に多くなることが明らかである。スジ状ムラは帯状ムラや低屈折率層膜厚のバラツキほど致命的な欠陥ではないものの、発生量は少ない方が好ましい。
(実施例8)
支持フィルム13として幅1330mm、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「HB3」、帝人デュポンフィルム(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にハードコート層及び低屈折率層が形成された反射防止PETフィルムを得た。このときのハードコート層厚さは4.7μm、低屈折率層厚さは0.1μmであった。
次に、反射防止PETフィルムを薄膜コートフィルム製造装置の巻出装置11に取り付け、ライン速度30m/minにて走行させた。その際、塗布面がハードコート層及び低屈折率層が形成された面の裏面となるように巻出装置11に取り付けた。コイルバー塗布装置15には製造例4に記載の近赤外線遮断層用塗布液をポンプにて循環し、コイルバー16を周速度30m/minにて支持フィルム13の走行方向と同じ向きに回転させた。ここで用いたコイルバー16は、直径10mmのシャフト34(SUS304製、円筒度3.0μm)に線径90μmのワイヤ35(SUS304製、ワイヤの先頭と末尾の直径の差1.0μm)を巻き付けたもので、巻き付けられたワイヤ35間の隙間が1.2μmのものである。その後、走行中の支持フィルム13とコイルバー16を接触させることで、近赤外線遮蔽層用塗布液を反射防止PETフィルムの裏面に塗布し、乾燥装置28にて温度120℃の熱風で乾燥させ、巻取装置32にて巻き取り、一方の面に反射防止層、他方の面に近赤外線遮蔽層が形成された反射防止・近赤外線遮蔽複合PETフィルムを得た。このときの近赤外線遮蔽層の厚さは12.0μmであった。
次に、低屈折率層塗布面の目視検査、低屈折率層の膜厚のバラツキ測定、近赤外線遮蔽層塗布面の目視検査及び近赤外線遮蔽層の膜厚のバラツキ測定を行ったがいずれも良好であった。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ ワイヤ35についてもシャフト34と同様にして円筒度を測定し、その範囲を規定し、薄膜31の帯状ムラを一層抑え、膜厚をより均一にするように構成することもできる。
・ ワイヤの表面粗さ(Ra、Ryなど)を考慮し、薄膜31の帯状ムラをより一層抑え、膜厚をさらに均一にするように構成することもできる。
・ 塗布液18の粘度、支持フィルム13のライン速度などを調整し、薄膜31の帯状ムラを抑え、膜厚を均一にするように構成することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記シャフトの表面粗さRyが0.5μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の薄膜コートフィルムの製造方法。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加え、ワイヤ同士の隙間を2μm以下にすることができる。
・ 前記ワイヤは、伸線加工法により製作されるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の薄膜コートフィルムの製造方法。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加え、直径がほぼ均一なワイヤを得ることができる。
実施形態におけるコイルバー塗布装置を示す概略断面図。 シャフトの外周面にワイヤを巻き付けたコイルバーを示す断面図。 ワイヤ同士の隙間の測定方法を説明するためのコイルバーの一部拡大図。 薄膜コートフィルムの製造装置を示す概略説明図。 シャフトの円筒度を説明するためにシャフトを分解して示す斜視図。 (a)は伸線加工法で製作されたワイヤを示す正面図、(b)はワイヤをシャフトの外周に巻き付けた状態の断面図。 シャフトの外周面における突起とワイヤとの関係を示す説明図。
符号の説明
13…支持フィルム、16…コイルバー、18…塗布液、27…塗布膜、31…薄膜、34…シャフト、35…ワイヤ、38a、38b、38c…ワイヤ同士の隙間。

Claims (4)

  1. シャフトの外周にワイヤを螺旋状に巻き付けたコイルバーを回転可能に支持し、該コイルバーに塗布液を供給し、その塗布液を走行する支持フィルム上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を乾燥後硬化して支持フィルム上に薄膜を形成する薄膜コートフィルムの製造方法において、
    前記シャフトの円筒度が8μm以下で、かつ螺旋状に巻き付けられるワイヤの先頭と末尾の直径の差が2μm以下であることを特徴とする薄膜コートフィルムの製造方法。
  2. 前記螺旋状に巻き付けられるワイヤ同士の隙間が巻き付け部分全体に渡って2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜コートフィルムの製造方法。
  3. 前記薄膜の乾燥膜厚が0.05〜20μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄膜コートフィルムの製造方法。
  4. 前記薄膜は、紫外線硬化性組成物に不活性ガス雰囲気下で紫外線を照射して硬化させて得られる膜で、その乾燥膜厚が0.05〜0.2μmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の薄膜コートフィルムの製造方法。
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