JP2008034228A - 加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱誘導用の専用調理容器27の側面には、高さ方向に沿って複数の温度センサ30〜33が取付けられている。この温度センサ30〜33の検知温度に基づいて専用調理容器27内の水面位置を検出する。これにより、検出した水面位置に基づいて焦げ付きやふきこぼれを防止しながら煮物調理を実行するようにしたので、煮物調理を適切に実行することができる。また、複数の温度センサ30〜33の検知温度に基づいて専用調理容器27の蓋の開閉を検出し、検出した蓋の開閉に基づいて蒸し物調理を実行するようにしたので、蒸し物調理を適切に実行することができる。
【選択図】図1
Description
図2は、システムキッチンに組込まれた加熱調理器の正面斜視図を示している。この図2において、加熱調理器1は、加熱ユニット2、ロースターユニット3及び操作ユニット4から構成されている。
加熱調理器1において加熱ユニット2の下方となる部位には、ロースターユニット3及び操作ユニット4が並設して内蔵されている。
ロースターユニット3は、ロースター庫3aの前面開口部をロースター扉3bで閉鎖可能に構成されている。
図1は、専用調理容器を示している。この図1に示すように、専用調理容器27は、電磁誘導加熱可能な磁性材製の金属鍋で、煮物、蒸し物などが可能な深底の容器部28と、当該容器部28から側方に突出する取手部29とから構成されている。
以上のような構成により、専用調理容器27は、容器部28の高さ方向の温度分布を測定して加熱調理器1側に通知する温度検知機能が備えられている。
図4に示すように専用調理容器27に水を一番上まで入れて加熱を行い、このときの第1〜第4温度センサ30〜33による検知温度の変化を調べた。図5は、第1〜第4温度センサ30〜33による検知温度をSl〜S4で示しており、最上位の第1温度センサ30の検知温度S1が最も低く、最下点の第4温度センサ33の検知温度S4が最も高くなっている。これは、加熱状態では専用調理容器27の底が加熱されることから、下部から専用調理容器27も水も加熱されることになり、加熱部分から遠くなる上部ほど温度が低くなるからである。
隣り合う温度センサ30,31の検知温度差|Sl−S2|、隣り合う温度センサ31,32の検知温度差|S2−S3|、隣り合う温度センサ32,33の検知温度差|S3−S4|を求め、その検知温度差の変化を図8及び図9に示す。図8は、専用調理容器27内に水が一番上まで入っている場合(図4参照)である。上方に位置する温度センサほど検知温度が低くなるが、専用調理容器27の温度は上方となるにしたがって均等に下がっていくので隣り合う温度センサの検知温度差はほぼ等しくなっている。図9は、専用調理容器27に水が半分まで入っていて第1,第2温度センサ30,31が水面上に位置し、第3,第4温度センサ32,33が水面下に位置している場合(図6参照)である。このような場合、水面の上下で温度が大きく異なることから、水面の上下に隣り合って位置する温度センサの検知温度差は他の隣り合う温度センサの検知温度差よりも大きくなる。図6に示す例では、第2温度センサ31と第3温度センサ32との間に水面があるので、それらの温度センサ31,32の検知温度差|S2−S3|は他の検知温度差|Sl−S2|、|S3−S4|よりも大きくなっている。また、第1温度センサ30と第2温度センサ31との検知温度差|Sl−S2|、第3温度センサ32と第4温度センサ33との検知温度差|S3−S4|は、それらの温度センサ30,31、温度センサ32,33の両方とも水面よりも上方または下方に位置しているので、温度差が小さく、第2温度センサ31と第3温度センサ32との検知温度差|S2−S3|よりは小さくなる。
他の水面検知方法として、水温を検知している温度センサの検知温度と比較する方法が考えられる。図4に示すように専用調理容器27の一番上まで水を入れて加熱をした場合の各温度センサ30〜33の検知温度の変化を測定し、水温に対して各温度センサ30〜33の値を参照値として記憶手段に記録しておく。図10は、満杯状態の水面位置での水温と各温度センサ30〜33の検知温度S1〜S4との関係を示したものである。この図10を使用すれば現在の水温に対して満杯状態の水温を検知しているときの温度センサ31〜33の参照値を得ることができる。従って、図11に示すように、温度センサ32,33の検知温度が図10に示すように記憶手段に記憶された参照値よりも低い場合は、温度センサ32,33は水面よりも上方に位置しているということが分る。
上述した(実験1)の水面位置検知を利用して煮物調理を適切に行うことができる。つまり、煮物調理は、煮汁を強火で煮詰めることによりその濃度を高めて味を濃くする料理であるものの、煮詰めすぎると調味料や具がこげついてしまうことから、煮詰めすぎる前に火を止める必要がある。煮物を強出力で煮詰めると、水分が蒸発して徐々に水面が低くなる。そこで、任意の高さで加熱停止するようにしておけば、好みの煮汁の量まで減少したところで自動的に加熱を停止することができる。
水を沸騰させて野菜や麺などをゆでる調理がある。強出力で加熱すると、野菜の「あく」や麺の小麦粉から大量の気泡が水面に発生することから、水面位置が上昇し、そのままにしておくと水が調理容器からふきこぼれてしまうことがある。
気泡の発生は沸騰状態でなければ起こらないので、沸騰状態をまず検知する必要がある。これは確実に水面よりも下方となる最下点の第4温度センサ33の検知温度の変化率を検出すればよい。沸騰状態になると、それ以上温度が上がらなくなるので、第4温度センサ33の検知温度の変化率が閾値以下になった場合に沸騰状態と判断することができる。
気泡が発生して水面が一気に上昇すると、それまで水面の上方に位置していた温度センサが水面以下となるので、その温度センサの検知温度が急激に高くなる。このときの検知温度の変化率が所定の閾値以上となった場合に気泡の発生による水面の上昇であると判断することができる。
上述した(実験2)の気泡検知を利用してふきこぼれを検出することができる。図19は、制御回路20のふきこぼれ検出ルーチンを示すフローチャートである。このふきこぼれ検出ルーチンは、加熱調理実行中は同時に実行されるようになっており、特にゆで調理に有効である。図19において、制御回路20は、一定出力で加熱を開始したときは(S401)、最下点の第4温度センサ33の検知温度に基づいて沸騰したかを判断する(S402)。次に、加熱終了条件が成立したかを判断し(S403)、加熱終了条件が成立していないときは(S403:NO)、上述した水面位置検出ルーチンを実行し(S405)、水面位置が最上位の第1温度センサ30よりも上方であると判断したときは(S406:NO)、ふきこぼれを検知したと判断し(S407)、加熱を停止する(S408)。
加熱調理コースには蒸気で温める蒸し物調理があり、茶碗蒸しやプリンなどを加熱調理するのに利用される。茶碗蒸しやプリンなどの卵を使用した調理は高温で加熱すると卵が沸騰状態になり、「す」がたってなめらかな仕上がりにならない。そこで、蒸気の温度を80〜90℃に制御することが必要になるが、蒸気の温度を制御するのが難しいことから、複数の温度センサ30〜33の検知温度に基づいて蒸気の温度を制御するようにした。
専用調理容器27に水とスチームプレート40を入れ、蓋42をして加熱する。水は比熱が高いので温めるのに時間がかかるが、水温が一度高くなれば蒸気の温度は高温に保たれるので、まず水を沸騰状態にする。最大出力で加熱し、沸騰状態を検知したらアラームを鳴らし、予熱が終了したことを報知する。このとき蒸気の温度は適温の80〜90℃をこえてしまうが、被加熱物41を投入する際に蓋42を開けるとすぐ冷めるので、問題を生じることはない。
ユーザが蓋42を開けて被加熱物41を投入すると、蒸気が逃げて水面位置よりも上方に位置する第1〜第3温度センサ30〜33の検知温度はすぐに低下する。しかし、水は比熱が高く冷めにくいので、水面位置よりも下方に位置している第4温度センサ33の検知温度はほとんど変化しない。このことから第4温度センサ33の検知温度が高くかつ第1温度センサ30の検知温度が低いときは、ユーザが蓋42を開けていると判断できる。このように判断可能な検知条件として
(1)第4温度センサ33の検知温度が閾値X1(例えば90℃)以上
(2)第1温度センサ30の検知温度が閾値X2(例えば60℃)以下
を設定する。これは、(1)の条件によって予熱の途中段階で水温が低いときを誤検知することを防止するためである。
そして、ユーザが被加熱物41を入れて蓋42を閉めると、専用調理容器27内に蒸気がこもるので、第1温度センサ30の検知温度が上昇する。すると、上の条件(2)を満たさなくなるので、蓋42を閉めたことが分る。
蓋42が閉められた後は、蒸気の温度を一定に制御する。この目標温度はあらかじめユーザに指定しておいてもらい、制御にはPID制御を使用する。加熱出力は第1温度センサ30の検知温度から以下のように計算される。
比例成分 up=目標温度−Slの値
積分成分 ui=Σup
微分成分 ud=dup/dt
加熱出力 u=Kp*up+Ki*ui+Kd*ud[W]
但し、Kp,Ki,Kdは各成分のゲイン
蒸気温度が目標温度になったときは、あらかじめユーザが指定しておいた加熱時間だけ温度を一定に保ちながら加熱を行う。加熱時間が経過したら加熱停止し、終了したことをアラームで報知する。
上述した(実験3)の被加熱物投入検知を利用して蒸し物調理を適切に行うことができる。図22は、制御回路20の蒸し物調理ルーチンを示すフローチャートである。この図22に示すように、制御回路20は、蒸し物調理を実行する場合は、予熱工程として、最大出力で加熱を開始し(S501)、沸騰したことを検出したときは(S502:YES)、加熱出力を停止する(S503)。
次に加熱工程として、一定温度となるように加熱制御を実行し(S506)、所定時間が経過したときは(S507:YES)、加熱出力を停止することにより(S508)、蒸し物調理を終了する。
専用調理容器27の高さ方向に設けられた複数の温度センサ30〜33の検知温度に基づいて専用調理容器27内の水面位置を検出し、検出した水面位置に基づいて煮汁の焦げ付きを防止しながら煮物調理を実行するようにしたので、煮物調理を適切に実行することができる。また、複数の温度センサ30〜33の検知温度に基づいてふきこぼれを防止するようにしたので、ふきこぼれを防止しながらゆで調理を適切に実行することができる。さらに、複数の温度センサ30〜33の検知温度に基づいて専用調理容器27の蓋42の開閉を検出し、検出した蓋42の開閉に基づいて蒸し物調理を実行するようにしたので、蒸し物調理を適切に実行することができる。
隣り合う温度センサの検知温度の差分、或いは最下点の検知温度に基づく参照値との比較に基づいて水面位置を判断するようにしたので、プログラムにより水面位置を判断することができ、制御回路を改良することなく実施することができる。
専用調理容器27に設ける温度センサとしては4個に限らず、5個以上を設けるのが望ましい。
ラジエントヒータからなる第3の加熱部8により加熱される専用調理容器を設け、その専用調理容器の高さ方向の検知温度に基づいて第3の加熱部8の加熱出力を制御するようにしてもよい。
Claims (7)
- 調理容器を底面から加熱する加熱手段と、設定された調理コースに応じて前記加熱手段の出力を制御する制御手段とを備えた加熱調理器において、
前記調理容器の高さ方向における異なる複数の検知箇所の温度を検知する温度検知手段と、
この温度検知手段が検知した前記検知箇所の検知温度に基づいて前記調理容器内の水面位置を判断する水面判断手段とを備え、
前記制御手段は、前記水面判断手段が判断した水面位置に基づいて前記調理コースを実行することを特徴とする加熱調理器。 - 前記水面判断手段は、隣り合う検知箇所の検知温度差を求め、それらの検知温度差のうちの最大検知温度差が閾値以上である場合は、その最大検知温度差となる隣り合う検知箇所の間に水面が位置していると判断することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
- 前記検知箇所が水面より下方に位置するという条件下で前記温度検知手段が検出した当該検知箇所の検知温度を参照値として実際の水温に対応して記憶する記憶手段と、
前記水面判断手段は、最下点の検知箇所の検知温度に基づいて水温を推測すると共に、その水温に対応して前記記憶手段に記憶された参照値よりも検知箇所の検知温度が低い場合は当該検知箇所は水面よりも上方に位置していると判断することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。 - 前記制御手段は、前記水面判断手段が水面位置を判断した後、水面よりも下方に位置していると判断した検知箇所の検知温度が平衡状態となり、かつ水面よりも上方に位置していると判断した検知箇所の検知温度の上昇率が所定値を上回った場合は、ふきこぼれの可能性があると判断して前記加熱手段の出力を低下することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の加熱調理器。
- 前記制御手段は、ふきこぼれの可能性があると判断して出力を低下した後、水面よりも上方に位置していると判断した検知箇所の検知温度上昇率が前記所定値より低くなったときはふきこぼれと判断して前記加熱手段の低出力状態を維持し、前記所定値より大きい状態が継続したときは熱湯が入れられたと判断して前記加熱手段の低出力状態を解除することを特徴とする請求項4記載の加熱調理器。
- 前記制御手段は、煮物調理が設定された場合に、前記水面判断手段が水面位置は設定された閾値まで低下したと判断したときは、前記加熱手段の加熱出力を低下若しくは停止することを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の加熱調理器。
- 前記制御手段は、蒸し物調理が設定された場合に、最下点の検知箇所の検知温度が所定温度以上になった後、最下点より上方の検知箇所の少なくとも一つの検知箇所の検知温度が所定値より低くなったときは、前記調理容器の蓋が開けられたと判断して前記加熱手段の出力を低下または停止すると共に、当該検知箇所の検知温度が前記所定値以上となったときは、前記蓋が閉じられたと判断して前記加熱手段の出力を復帰することを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の加熱調理器。
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