以下、本発明に係る加熱調理器を、トッププレート上の左右手前及び中央奥に調理鍋載置部を備えたビルトイン型(組込み型)IHクッキングヒータに適用した場合を例に説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。また、各図では、同一の構成には同一の符号を付している。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器及び調理容器を示す斜視図である。
図1において加熱調理器の本体1の筐体2の上側には、筐体上枠3が着脱自在に配置されている。筐体上枠3の背面側には吸排気口カバー5、中央にはトッププレート4、前面側には操作部6がそれぞれ配置されている。また、筐体2の内部には、調理室11(図2参照)が設けられている。また、図1では、トッププレート4の上に載置される被加熱物の一例である調理容器28を併せて図示している。
操作部6は、加熱動作の設定を受け付けるための操作ボタンやスイッチ等で構成されている。本実施の形態1では、トッププレート4の前面側と筐体2の前面の両方に操作部6が設けられている。操作部6の具体的構成を限定するものではなく、例えばタッチパネルにより構成された操作部6を設けてもよい。
トッププレート4には、液晶画面やLED等の視覚的な表示手段を備えた表示部14が設けられている。表示部14は、加熱調理器の動作状態、操作部6からの入力及び操作内容等を表示するものであり、ユーザーに対して加熱調理器の状態等を報知する報知手段として機能する。なお、本実施の形態1及び後述の実施の形態2では、報知手段として表示部14を設けた例を示すが、表示部14に代えてあるいはこれに加えて、音声で報知を行うブザーやスピーカー等の報知手段を備えてもよい。
筐体2の前面側の中央には、調理室扉7が設けられている。調理室扉7は、筐体2の内部に設けられた調理室11(図2参照)の前面の開口部を開閉自在に覆う扉である。ユーザーは、調理室扉7を開けて調理室内に被加熱物を出し入れすることができる。
トッププレート4の後方に設けられた吸排気口カバー5は、筐体2内への冷却風の吸気口(図示せず)及び筐体2から外部への排気口(図示せず)を覆うものである。吸排気口カバー5は、通気性を有するパンチングメタルや格子状の金属部材で構成されていて通気性があり、通気抵抗が少ない。筐体2へ流入する冷却風の吸気及び排気は、吸排気口カバー5をスムースに通過する。なお、調理室からの排気も、吸排気口カバー5で覆われた排気口から筐体2の外部へと流出する。
なお、調理室及び調理室扉7は必要に応じて具備すればよく、本実施の形態1の加熱調理器は、トッププレート4の上に載置される被加熱物を加熱可能なものであればよい。また、図1に示した操作部6及び調理室扉7の配置は一例であり、例えば調理室扉7を筐体2の左右どちらかの側面に寄せて配置する、操作部6を筐体2の左右どちらかの側面に寄せて配置する、トッププレート4の上面にのみ操作部6を設けて筐体2の前面には操作部6を設けない、といった構成も可能である。
トッププレート4には、被加熱物が載置される3箇所の載置部が設けられている。トッププレート4の手前側右に配置されたものを右載置部8、トッププレート4の手前側左に設けられたものを左載置部9、トッププレート4の奥側中央に設けられたものを中央載置部10と称する。なお、右載置部8、左載置部9、及び中央載置部10を区別する必要のないときには、単に「載置部」と称する場合がある。
トッププレート4の下側であって、上から見て載置部とは重ならない位置に、アンテナ体が設けられている。本実施の形態1では、トッププレート4の奥側右に右アンテナ体23、奥側左に左アンテナ体24、手前側中央に中央アンテナ体25が設けられている。なお、右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25を区別する必要のないときには、単に「アンテナ体」と称する場合がある。アンテナ体は、銅等の導電性を有する金属で構成されている。そのような金属からなるアンテナ体は、トッププレート4の下面に一体的に取り付けられていてもよいし、コイル状に形成されてトッププレート4の下方に配置されていてもよい。このアンテナ体は、加熱調理器の本体送受信手段27(後述する)を構成し、調理容器28に設けられた送受信手段32(後述する)から送信される電波を受信するものである。
本実施の形態1では、アンテナ体を複数(3個)設けることで、後述する送受信手段32から送信される電波の受信感度を高めているとともに、右アンテナ体23、左アンテナ体24、中央アンテナ体25が受信する送受信手段32からの電波の強度に基づいて、送受信手段32が搭載される調理容器28の位置を検知する。なお、アンテナ体の数は3個に限定されず、任意の数だけ設けることができる。
調理容器28は、食材等の被加熱物を内部に収容する容器部29と、容器部29に取り付けられユーザーが把持する箇所である取手部30とを備える。取手部30には、表示手段36が設けられている。表示手段36は、詳細は後述するが、調理容器28の各種動作状態を視覚的にユーザーに報知する報知手段である。
なお、本実施の形態1においては、調理容器28の一例として取っ手付きのフライパンを図示するが、調理容器28は鍋、やかん、中華鍋、天ぷら鍋等であってもよい。調理容器28の容器部29及び取手部30の具体的形状にかかわらず、本実施の形態1で説明するものと同様の動作及び効果を得ることができる。
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器のトッププレート4を取り外した状態の本体1の斜視図である。
トッププレート4に設けられた右載置部8、左載置部9、及び中央載置部10それぞれの下方位置には、それらに対向して加熱コイル26が設けられている。本実施の形態1では、右載置部8に対向する位置には、同心円上でかつ略同一平面上に渦巻状に巻かれた2つの加熱コイル26が設けられている。また、左載置部9に対向する位置には、同心円上でかつ略同一平面上に渦巻状に巻かれた3つの加熱コイル26が設けられている。また、中央載置部10に対向する位置には、渦巻状に巻かれた1つの加熱コイル26が設けられている。なお、右載置部8及び左載置部9に設けられた複数の加熱コイル26は、それぞれ独立して通電されるものであってもよい。また、図2で例示した右載置部8、左載置部9、及び中央載置部10の加熱コイル26の配置、形状、及び数は一例であり、各載置部に載置される被加熱物を加熱可能なものであれば、任意の配置、形状、及び数の加熱コイル26を用いることができる。
渦巻状の加熱コイル26の内側には、本体温度検知手段31が配置されている。本体温度検知手段31は、トッププレート4の上に載置される調理容器28の温度を検知する温度センサである。図2に示すように、本実施の形態1では、加熱コイル26の中心に本体温度検知手段31が設けられている。さらに、右載置部8及び左載置部9に対応して設けられた複数の加熱コイル26同士の隙間にも、本体温度検知手段31が設けられている。なお、本体温度検知手段31の数及び配置は図2に示すものに限定されない。
筐体2の内部には、複数の電子回路基板12が設けられている。複数の電子回路基板12の一部は、トッププレート4の下方においてトッププレート4と対向するように配置されている。電子回路基板12には、後述する制御手段18、インバータ回路19、コイル電流検知回路21、入力電流検知回路22等が実装されている。
なお、本実施の形態1においては、誘導加熱により調理容器28の容器部29を加熱する加熱コイル26を加熱手段として設ける例を示すが、ラジエントヒータのような抵抗発熱体の発熱を用いるものや、ガスバーナーによりガスの燃焼による発熱を用いるものを加熱手段として設けてもよく、またこれらに限定されるものではない。加熱手段の具体的構成によらず、本実施の形態1と同様な加熱動作及び効果を得ることができる。
図3は、実施の形態1に係る加熱調理システムの主要部のブロック図である。以下、実施の形態1に係る加熱調理器と調理容器を備えた加熱調理システムの機能構成について、図3を参照して説明する。
(加熱調理器)
制御手段18は、制御プログラム及び各種データを記憶する記憶装置、タイマー、及びマイクロコンピュータを含む制御回路を備え、加熱調理器全体の動作を制御する。制御手段18は、操作部6を用いて設定された調理モード又は加熱条件に応じて、記憶装置に記憶された調理制御用のプログラムに従い、加熱手段20を制御する。本実施の形態1では、制御手段18は、ユーザーにより設定された火力(電力)で加熱手段20に加熱を行わせる手動調理モードと、ユーザーにより設定された調理メニュー毎に予め設定された火力(電力)及び時間で加熱手段20に加熱を行わせる自動調理モードを有する。制御手段18は、加熱手段20の制御においては、本体送受信手段27、本体温度検知手段31、入力電流検知回路22、及びコイル電流検知回路21から出力される情報と、制御手段18に内蔵されたタイマー機能から出力される時間情報等を用いる。
加熱手段20は、インバータ回路19及び加熱コイル26を備える。インバータ回路19は、制御手段18に制御されて加熱コイル26に高周波電力を供給する。インバータ回路19から数十kHz、数百Vの電圧が加熱コイル26に印加され、加熱コイル26に電流が流れる。加熱コイル26に電流が流れることにより、加熱コイル26から磁力線が発生し、加熱コイル26の概ね上方のトッププレート4上に載置される調理容器28に渦電流が生じ、調理容器28自体が発熱する。調理容器28が発熱することにより、調理容器28内に収容される食材等の被加熱物13が加熱される。
コイル電流検知回路21は、加熱コイル26に流れる電流値を検知し、検知した情報を制御手段18に出力する回路である。
入力電流検知回路22は、インバータ回路19に入力される電流値を検知し、検知した情報を制御手段18に出力する回路である。
制御手段18は、コイル電流検知回路21及び入力電流検知回路22が検知した電流値に基づいて、トッププレート4の上に載置される被加熱物に関する情報の検知を行う。コイル電流検知回路21及び入力電流検知回路22により検知される電流値は、被加熱物の有無、被加熱物の材質、被加熱物の底面の大きさ、被加熱物の板厚等に応じて変化するので、コイル電流検知回路21及び入力電流検知回路22が検知した電流値に基づいて制御手段18は調理容器28に関する情報を検知することができる。制御手段18は、検知した調理容器28に関する情報に基づいて、加熱の可否を判断するとともに、安全性の確保と効率良い加熱が行えるように加熱手段20を駆動制御する。
本体送受信手段27は、本発明の加熱調理器通信手段に相当し、調理容器28に設けられた送受信手段32との間で無線通信により双方向に情報の伝達を行う。本実施の形態1は、本体送受信手段27は、図1で示した右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25によって構成される。
本体温度検知手段31は、本実施の形態1では、素子温度によって抵抗値が変化することにより温度を検知するサーミスタが用いられている。本体温度検知手段31は、トッププレート4が設置された状態においてはトッププレート4の下面に当接し、トッププレート4を介した伝熱によって調理容器28の容器部29の底面の温度を検知する。本体温度検知手段31が検知した温度は、制御手段18に入力される。
なお、本実施の形態1では、本体温度検知手段31としてサーミスタを用いる例を示すが、本体温度検知手段31の具体的構成はサーミスタに限定されない。例えば、被加熱物から放射される赤外線量を検知してその赤外線量に基づいて被加熱物の温度を検知する赤外線センサを、本体温度検知手段31として用いてもよい。
加熱条件設定手段16は、手動調理や自動調理において、火力、温度、加熱時間等の加熱条件を設定又は変更するための操作入力手段である。ユーザーは、加熱条件設定手段16を用いて、加熱条件のパラメータの設定及び変更が可能となっている。
調理モード設定手段17は、自動調理に関する設定を入力するための操作入力手段である。調理モード設定手段17には、「炒める」、「煮込み」、「揚げ物」、といった「調理の種類」の設定又は変更を行うための入力手段と、「調理の種類」の下層概念にあたるより詳細な「料理メニュー」の設定又は変更を行うための入力手段とを備えている。例えば、「煮込み」調理の「料理メニュー」としては、「カレー」、「シチュー」、「おでん」等が設けられている。
加熱条件設定手段16及び調理モード設定手段17は、操作部6に設けられている。
本体表示手段15は、加熱調理器に設けられ、加熱調理器の動作状態、操作部6から入力された加熱条件、例えば選択可能な料理メニュー等の加熱条件の設定に必要な情報、ユーザーに対する操作指示、例えばエラー情報等の加熱調理器の状態、自動調理の進行状況、及び調理容器28から伝送された情報等を表示する。本体表示手段15の一態様は、図1に示した表示部14であるが、表示部14のほか、上述のような情報を視覚的に報知する表示手段又は聴覚的に報知するブザーやスピーカー等の音声出力手段を設けてもよい。
調理容器28の温度検知手段33が検知した温度情報は、送受信手段32及び本体送受信手段27を介して制御手段18に伝達され、制御手段18は取得した温度情報を本体表示手段15に表示させる。
また、本体表示手段15には、本体1に設けられた本体温度検知手段31の検知温度に基づいて検知される被加熱物13の温度を表示してもよい。この場合、調理モード設定手段17にて、本体表示手段15に表示する温度情報を、温度検知手段33に基づくものと本体温度検知手段31に基づくもののいずれを表示するか、ユーザーが選択できるようにしてもよい。この場合、例えば、調理モード設定手段17の設定項目として本体表示手段15に関するものを設け、『調理用具の温度表示』の項目について『調理容器内の温度のみ表示』という設定が行われた場合には、調理容器28の温度検知手段33が検知した情報のみを表示する。このように本体表示手段15に表示する温度情報をユーザーが選択できるようにすることで、ユーザーが本体表示手段15に表示された温度を認識する際の誤解の発生を抑制できる。したがって、ユーザーは、調理作業の誤りを低減して調理作業を効率的に行うことができる。
(調理容器の構成)
調理容器28の容器部29には、温度検知手段33が内蔵されている。また、取手部30には、送受信手段32と、受電手段34と、蓄電手段35と、表示手段36と、操作検知手段37とが設けられている。
温度検知手段33は、容器部29の内部に収容される食材等の被加熱物13の温度を検知する。温度検知手段33は、例えばサーミスタや熱電対等であり、本実施の形態1では容器部29の底板に内蔵されていて容器部29の内面を介して被加熱物13の温度を検知する。複数の温度検知手段33を容器部29に設けてもよく、そのようにすることで被加熱物13の温度検知の精度を高めることができる。
また、容器部29の側壁内に、高さ方向に複数の温度検知手段33を設けてもよい。そして、複数の温度検知手段33からの出力を取得する制御手段18は、それら複数の温度検知手段33の検知温度の温度差に基づいて調理容器28内に充填された被加熱物13の高さ位置を検知し、その高さ位置に基づいて被加熱物13の負荷量を推測し、加熱手段20の駆動制御におけるパラメータとして用いることができる。
温度検知手段33は、取手部30に内蔵された送受信手段32に電気的に接続されており、温度検知手段33が検知した情報は送受信手段32に出力される。
送受信手段32は、本体送受信手段27との間で通信を行う調理容器28用の通信手段である。送受信手段32と加熱調理器の本体送受信手段27との間では、無線通信により双方向に情報の伝達が行われる。送受信手段32は、本発明の調理器具通信手段に相当し、温度検知手段33が検知した温度に関する情報、及び操作検知手段37が検知した情報、及び調理容器28を特定する情報である識別情報を、無線信号に変換して送出する。調理容器28の送受信手段32から本体送受信手段27に伝送された情報は、本体送受信手段27から制御手段18に伝達され、制御手段18による加熱手段20の制御に用いられる。
また、送受信手段32は、加熱調理器の制御手段18から送られた信号を本体送受信手段27を介して受信可能な構成であってもよい。そのようにすると、例えば制御手段18から送信された信号に基づいて表示手段36が表示を行うことも可能となる。
調理容器28の送受信手段32から送信される識別情報とは、調理容器28の種別、形状、容器部29の材質等、調理容器28を特定するための情報である。この識別情報に含まれる情報としては、例えば、調理器具の種別(鍋、フライパン、中華鍋、やかん、天ぷら鍋、お玉杓子、菜箸、フライ返し、温度計)のほか、形態、形状、材質、フッ素コーティングの有無等のうち任意のものを含む。制御手段18は、調理容器28の識別情報に基づいて、調理容器28に適した加熱手段20の制御を行う。
受電手段34は、受電コイル及び整流回路等を含み、給電手段に発生する磁束を電力に変換して蓄電手段35に供給する。本実施の形態1では、受電手段34の受電コイルは、調理容器28の通常使用状態(調理容器28がトッププレート4の載置部に置かれた状態)にあるとき、加熱コイル26に生じる磁束と鎖交する位置に設けられており、加熱コイル26からの漏れ磁束を電力に変換する。すなわち、本実施の形態1では、加熱コイル26が、受電手段34への給電手段として機能する。
蓄電手段35は、二次電池であり、受電手段34から供給された電力を蓄電する。蓄電手段35に蓄電された電力は、送受信手段32、温度検知手段33、操作検知手段37、及び表示手段36のいずれか又はすべてに供給される。本実施の形態1では、加熱コイル26からの漏れ磁束から得た電力で調理容器28に内蔵された電気負荷を駆動することができるので、無駄な電力を低減して省エネルギー化を図ることができる。なお、蓄電手段35とは別に、バックアップ用の電池を設けてもよい。
表示手段36は、調理容器28の各種動作状態を文字及び図のいずれか又は両方を用いて表示する。例えば、表示手段36は、蓄電手段35の蓄電量が不足する場合には、受電が必要なことを明示してユーザーに報知を行う。なお、本実施の形態1では、調理容器28に関する情報のユーザーへの伝達手段として表示手段36を用いる例を示すが、この表示手段36に代えて、あるいはこれに加えて、調理容器28の各種動作状態を示すランプ等の発光体、又は音声や警告音を発生するスピーカーやブザー等の音声出力手段を設けてもよい。
操作検知手段37は、調理容器28に対するユーザーの操作状態を検知するものである。操作検知手段37は送受信手段32に接続されており、操作検知手段37が検知した情報は送受信手段32を介して本体1の本体送受信手段27に送られる。
本実施の形態1の操作検知手段37は、ユーザーの取手部30に対する接触状態を検知するユーザー接触検知手段371及び調理容器28の移動を検知する移動検知手段372のいずれか又は両方を備える。本実施の形態1では、ユーザー接触検知手段371と移動検知手段372の両方を備えた例を示す。なお、ユーザー接触検知手段371と移動検知手段372の両方を備えることでユーザーの操作状態についての検知内容が広がるとともに検知精度が高まるが、いずれか一方のみを設けてもよい。ユーザー接触検知手段371と移動検知手段372のいずれか一方のみを設けた場合でも、コイル電流検知回路21及び入力電流検知回路22の検知電流に基づく被加熱物の負荷検知、及び本体温度検知手段31の検知温度とを組み合わせることで、ユーザーの操作状態の検知精度を向上させることができる。
ユーザー接触検知手段371の具体的構成としては、圧力センサ、静電容量センサ、及び温度センサのいずれか一つ以上を用いることができる。
ユーザー接触検知手段371として圧力センサを設けた場合、ユーザーが取手部30を握ることによる取手部30の外殻の圧力の絶対値又は変化量を圧力センサが検知し、その情報が送受信手段32及び本体送受信手段27を介して制御手段18に伝達される。制御手段18は、圧力センサが所定の圧力を検知した場合には、ユーザーが取手部30に接触した(取手部30を掴んでいる)ことを検知する。なお、ユーザー接触検知手段371として複数の圧力センサを設け、複数の圧力センサからの出力に基づいてユーザーの接触位置や接触範囲を検知してもよい。このようにすることで、ユーザーの取手部30への接触検知の精度を高めることができる。
ユーザー接触検知手段371として静電容量センサを設けた場合、ユーザーが取手部30を握ることによる取手部30の外殻の静電容量の変化を静電容量センサが検知し、その情報が送受信手段32及び本体送受信手段27を介して制御手段18に伝達される。制御手段18は、静電容量センサが所定の静電容量の変化を検知した場合には、ユーザーが取手部30に接触した(取手部30を掴んでいる)ことを検知する。なお、ユーザー接触検知手段371として、静電容量検知のための複数の電極を有する静電容量センサを設けてもよい。このように静電容量検知用の複数の電極を設けることで、ユーザーの接触位置や接触範囲を検知することができ、ユーザーの取手部30への接触検知の精度を高めることができる。
ユーザー接触検知手段371として温度センサ(サーミスタ、熱電対等)を設けた場合、ユーザーが取手部30を握ることによる取手部30の外殻の温度の変化を温度センサが検知し、その情報が送受信手段32及び本体送受信手段27を介して制御手段18に伝達される。制御手段18は、人の体温を検知した場合には、ユーザーが取手部30に接触した(取手部30を掴んでいる)ことを検知する。なお、ユーザー接触検知手段371として複数の温度センサを設けてもよい。このようにすることで、ユーザーの取手部30への接触位置や接触範囲を検知することができ、ユーザーの取手部30への接触検知の精度を高めることができる。
移動検知手段372は、加速度センサ、又は加速度センサと角速度センサの両方を備える。加速度センサ及び角速度センサは、それぞれ、例えばピエゾ抵抗方式や静電容量方式等の任意の検知方式が用いられる。
移動検知手段372として用いる加速度センサは、空間のすべての方向への移動に伴う加速度を検知することができる3軸の加速度センサが望ましいが、少なくとも上下方向の加速度を検知する1軸の加速度センサであれば、調理容器28を上げ下げするユーザーの操作を検知することができる。加速度センサが検知した加速度に関する情報は、送受信手段32及び本体送受信手段27を介して制御手段18に伝達される。
移動検知手段372として上下方向の1軸の加速度センサを設けた場合、制御手段18は加速度センサから出力される情報に所定の演算及び比較を施すことにより、ユーザーが調理容器28を持ち上げる動作(加速度は0近傍から+に変化し0近傍に戻る)、ユーザーが調理容器28を置く動作(加速度は0近傍から−に変化し0近傍に戻る)、ユーザーが調理容器28を移動させる動作(加速度は+と−とに交互に変化)を検知する。また、制御手段18は、加速度センサが検知する加速度に基づいて、調理容器28の移動速度及び移動量を検知し、ユーザーの操作を検知して加熱手段20の制御に用いる。
移動検知手段372として前後、左右、及び上下の加速度を検知する3軸の加速度センサを設けた場合、制御手段18は、加速度センサから出力される情報に基づいて、各方向の調理容器28の移動速度及び移動量を算出することができる。3軸の加速度センサを用いることでより詳細なユーザーの操作を検知することができ、制御手段18による加熱手段20の制御精度を高めることができる。
移動検知手段372として3軸の角速度センサをさらに設けた場合、制御手段18は、角速度センサから出力される情報に基づいて、調理容器28の前後、左右、及び上下の回転角速度及び傾きを検知することができる。移動検知手段372として3軸の加速度センサに加えて3軸の角速度センサを設けた場合には、制御手段18は、加速度センサのみを設けた場合に比べて、より詳細なユーザーの調理容器28の操作を検知することができる。例えば、加速度センサ及び角速度センサを用いて調理容器28の前後、左右、及び上下の回転角速度並びに傾きを検知することで、制御手段18は、ユーザーが平面的に調理容器28を揺すっているのか、立体的に調理容器28を振っているのか等、ユーザーの操作状態を判定することができる。また、加熱調理後に調理容器28の移動が検知され、その後に調理容器28が傾いたことが検知された場合には、制御手段18は、調理容器28内の被加熱物13が器等に注がれている(例えば調理容器28であるやかんから器へお湯が注がれている)場合の操作状態を判定することができる。このように、加速度センサと角速度センサを用いてユーザーの調理容器28の操作を詳細に検知することで、制御手段18による加熱手段20の制御内容を多様化することができ、また加熱手段20の制御精度を高めることができる。
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器の負荷検知判定テーブルの一例を示す図である。図4に示す負荷検知判定テーブルは、制御手段18がコイル電流検知回路21及び入力電流検知回路22から出力される情報に基づいて負荷の有無や負荷の材質等を判断するときに用いる判定テーブルである。図4の縦軸には、入力電流検知回路22の検知値から算出したインバータ回路19への入力電流、横軸には、コイル電流検知回路21の検知値から算出した加熱コイル26に流れるコイル電流を示している。
制御手段18は、インバータ回路19を駆動して加熱コイル26に電流を流したときのコイル電流検知回路21の検知値(コイル電流)及び入力電流検知回路22の検知値(入力電流)と、図4との対応関係により、負荷の有無及び負荷の材質等を検知する。
コイル電流及び入力電流が図4の「加熱適正範囲」の領域内であれば、制御手段18は、当該負荷が加熱可能なものであると判定し、加熱手段20を加熱動作させる。しかし、コイル電流及び入力電流が図4の「加熱適正範囲」の領域外であれば、制御手段18は、基本的には加熱手段20の加熱動作を停止させる。
なお、制御手段18の負荷検知処理においては、少なくとも負荷が「加熱適正範囲」の領域内であるか否かを検知すればよいが、さらに、図4の「加熱適正範囲」の領域内においても、コイル電流及び入力電流の値に応じて、負荷の材質が鉄であるかステンレスであるかを判定することもできる。また、図4に例示するように、負荷の板厚の大小や負荷の底面積の大小に応じてコイル電流及び入力電流が異なることを利用して、制御手段18が負荷の板厚や底面積を判定し、その判定結果に基づいてインバータ回路19の駆動条件を異ならせてもよい。このようにすることで、より加熱効率よく適切に負荷を加熱することができる。
また、本実施の形態1の加熱調理器においては、アルミ鍋は「加熱適正範囲」の領域外であり、アルミ鍋の加熱は行われないが、これは一例である。加熱コイル26やインバータ回路19等がアルミ鍋の加熱に対応可能であれば、アルミ鍋の領域も「加熱適正範囲」の領域となり、アルミ鍋の加熱を行うことができる。加熱手段20の仕様に応じて、負荷検知判定テーブルの内容は異なり、加熱手段20に応じた適切な判定テーブルが用いられればよい。
ここで示した負荷検知処理は、操作部6に加熱開始指示が入力されて加熱手段20が加熱を開始するときに初期検知処理として行うほか、加熱手段20による加熱動作中に任意のタイミングで行うことができる。
[加熱調理器及び調理容器の動作]
まず、実施の形態1に係る加熱調理器の調理動作の概要を説明する。
ユーザーが調理容器28をトッププレート4の載置部に載置し、操作部6に加熱条件を入力して加熱開始を指示する。そうすると、操作部6への操作入力に対応した信号が、制御手段18に入力される。制御手段18は、操作部6からの信号に基づいて、インバータ回路19を駆動し、インバータ回路19の動作によって加熱コイル26に電流が流れ、トッププレート4の右載置部8に載置された調理容器28が加熱される。調理容器28が加熱されることにより、調理容器28内の食材等の被加熱物13が加熱される。
次に、調理容器28の操作検知手段37の検知情報に基づいて行われる制御手段18の加熱制御について、詳細に説明する。ここでは、ユーザーが右載置部8に調理容器28を載置して加熱調理を行う場合を例に説明する。
例えば、ユーザーが調理容器28の取手部30を掴んで持ち上げ、調理容器28を右載置部8に載置した後、調理容器28から手を離したものとする。制御手段18は、ユーザーが調理容器28から手を離したこと、すなわち調理容器28を移動させるのを停止したことを検知する。具体的には、次に述べる一以上の検知情報を勘案して検知する。
操作検知手段37としてユーザー接触検知手段371が設けられている場合には、ユーザー接触検知手段371から出力される情報に基づいて、まずユーザーが取手部30に接触を開始したことを検知し、調理容器28を移動させる時間に相当する時間が経過した後、ユーザーが取手部30への接触を終了したことを検知すると、ユーザーが調理容器28を持ち上げて移動させた後に載置したと判定することができる。
操作検知手段37として移動検知手段372が設けられている場合には、移動検知手段372は、ユーザーが調理容器28を移動させたことに伴う加速度を検知する。制御手段18は、移動検知手段372の検知情報に基づいて調理容器28の移動状態及び移動量を検知する。制御手段18は、加速度が変動した後に0近傍で安定したことを検知することによって、ユーザーが調理容器28を持ち上げて移動させた後に載置したと判定することができる。
制御手段18は、右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25が受信する調理容器28から送られた電波の受信強度に基づいて、調理容器28の移動を検知する。調理容器28の移動に伴い、右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25が受信する電波の受信強度が変化するので、各アンテナ体の受信強度の変化に基づいて、調理容器28の移動状態を検知することができる。
そして、調理容器28がいずれかの載置部に載置されたということは、各アンテナ体と調理容器28との距離の変化に伴って変化した受信強度が、所定強度で安定したことを検知することによって判定することができる。
なお、移動検知手段372が設けられている場合には、移動検知手段372の検知結果と各アンテナ体の受信強度の変化量の両方を用いて調理容器28の移動状態を検知することで、より精度よく調理容器28の移動状態を検知することができる。また、移動検知手段372が設けられていない場合であっても、本体1に設けられた通信用のアンテナ体を用いて調理容器28の移動状態を検知できる。
また、制御手段18は、前述した負荷検知処理(図4参照)を実行して、加熱可能な負荷が載置されているか否か、載置された負荷の形状、及び載置された負荷の材質を検知し、その結果を勘案して、調理容器28がいずれかの載置部に載置されたことを判定することができる。
次に、調理容器28が、右載置部8、左載置部9、及び中央載置部10のうちのどの載置部に載置されたか、という載置位置を判定する処理を説明する。調理容器28が載置された載置部の判定は、次のようにして検知することができる。
制御手段18は、各アンテナ体が受信する電波の受信強度に基づいて、調理容器28が いずれの載置部に載置されたかを判定することができる。すなわち、各アンテナ体と調理容器28の載置位置との距離によって各アンテナの受信強度が異なり、調理容器28の載置位置から遠いアンテナ体の受信強度は、載置位置から近いアンテナ体の受信強度よりも低くなる。したがって、例えば、右アンテナ体23と中央アンテナ体25の受信強度に比べて、左アンテナ体24の受信強度が低い場合には、制御手段18は、調理容器28が右載置部8に載置されていると判定することができる。
さらに、各アンテナ体の受信強度に基づいて調理容器28が載置された載置部を判定した後、その載置部において負荷検知処理(図4参照)を実行する。
調理容器28の送受信手段32は、任意のタイミングあるいは任意の周期で、自身の識別情報を含む信号を送信し、加熱調理器の制御手段18は、調理容器28から送信された識別情報を取得する。
そして、負荷検知処理で検知した調理容器28の形状及び材質と、調理容器28の送受信手段32から送信される識別情報に含まれる調理容器28の形状及び材質の情報とが一致するか否かを判定し、一致する場合に、当該載置部(本実施の形態1の例では右載置部8)に調理容器28が載置されていると判定することができる。各アンテナ体の受信強度、及び負荷検知処理の検知結果と調理容器28から送信される識別情報との一致の有無を勘案することで、より精度よく調理容器28の載置位置を判定することができる。
このようにして調理容器28が右載置部8に載置されたと判断すると、制御手段18は、当該右載置部8に対応して設けられた温度検知手段33の出力が有効であると判断し、その後は、右載置部8に対応して設けられた温度検知手段33の出力を、加熱手段20の制御に使用する。
また、調理容器28が右載置部8に載置されたと判断すると、制御手段18は、調理容器28から送信された識別情報が有効であると判断し、その後は、識別情報に含まれる調理容器の種別、形態、形状、及び材質等の情報を、加熱手段20の制御に使用する。
なお、本実施の形態1の加熱調理器は右載置部8、左載置部9、及び中央載置部10という3つの載置部を有するため、調理容器28がいずれの載置部に載置されているかを検知する処理を行うが、載置部が1つである場合にはこのような処理は不要である。
上述のようにして調理容器28が右載置部8に載置されたことを検知すると、制御手段18は、加熱手段20を制御して調理容器28の加熱を開始する。大まかには、制御手段18は、調理容器28から送信された識別情報、操作検知手段37の検知結果、アンテナ体の受信強度、コイル電流検知回路及び入力電流検知回路の検知値に基づく負荷検知処理の結果、被加熱物13の温度、並びに操作部6の設定に基づいて、加熱手段20を制御するのであるが、以下、制御手段18の特徴的な制御内容について説明する。
(1)基本的な制御
本実施の形態1の制御手段18は、後述するように調理容器28の種別に応じた加熱制御を実行することができるものであるが、まず、調理容器28の種別にかかわらず共通して実行する基本的な加熱制御のうち特徴的なものを説明する。
(1−1)温度制御
調理容器28の温度検知手段33が検知した温度は、送受信手段32及び本体送受信手段27を介して制御手段18に伝送される。制御手段18は、温度検知手段33が検知した温度情報に基づいて被加熱物13の温度を判断し、その被加熱物13の温度に基づいて加熱手段20を制御する。温度検知手段33は、調理容器28の容器部29の内面を介して被加熱物13の温度を検知することができるため、被加熱物13の温度検知精度が高まり、また、温度検知の時間遅れが軽減される。したがって、被加熱物13の温度変化と加熱手段20の制御タイミングとの間の時間的なずれが軽減され、被加熱物13を目標とする温度まで加熱する際の不要な加熱を抑制することができる。
また、制御手段18は、温度検知手段33が検知した温度に加え、本体温度検知手段31が検知した温度に基づいて、被加熱物13の温度を検知してもよい。本体温度検知手段31の検知温度と温度検知手段33の検知温度の両方に基づいて被加熱物13の温度を検知することで、被加熱物13の温度をより正確に検知することができる。また、被加熱物13の偏り等何らかの理由によって一方の検知温度が被加熱物13の温度を適正に反映していない場合であっても、被加熱物13の温度を検知することができる。
また、調理容器28に温度検知手段33が設けられていない場合には、制御手段18は、本体温度検知手段31が検知した温度に基づいて被加熱物13の温度を検知してもよい。
(1−2)過加熱抑制制御
制御手段18は、上述のように温度検知手段33の検知温度と本体温度検知手段31の検知温度のいずれか又は両方に基づいて、被加熱物13の温度を検知する。そして、被加熱物13の温度が、第一高温閾値(例えば360℃)に達した場合には、制御手段18は加熱手段20を停止させる。この第一高温閾値は、調理容器28が過度に加熱された状態を示す温度であり、例えば、調理容器28がある時間空焚きされた場合の温度、又は油の発火点温度に基づいて決定することができる。
このように、制御手段18は、被加熱物13の温度が第一高温閾値(例えば360℃)に達した場合には加熱手段20を停止させるので、調理容器28が過度に加熱されて高温化するのを抑制することができる。
なお、この過加熱抑制制御は、ユーザーが調理容器28を操作している場合及び操作していない場合のいずれの場合であっても、実行する。このようにすることで、ユーザーの安全性をより高めることができる。
(1−3)鍋ずれに伴う制御
制御手段18は、調理容器28が載置部から外れた位置に移動した状態(鍋ずれ状態)になると、加熱手段20の加熱動作を停止させる。調理容器28が載置部から外れる場合とは、例えばユーザーが意図的に調理容器28の加熱を中断するために調理容器28を載置部から外れた位置に載置する場合、ユーザーが調理容器28内の被加熱物13をかき混ぜたり調理容器28を煽ったりする過程で意図せず調理容器28が載置部から外れてしまう場合等が考えられる。調理容器28が載置部から外れるとは、載置部と重ならない位置に調理容器28が載置される場合、及び調理容器28は載置部の一部と重なる位置に載置されているものの載置部の中心から大きく外れて載置されている場合の両方を含む。このように調理容器28が載置部から外れた状態で加熱手段20の加熱を継続すると、効率良く調理容器28が加熱されない。このため、本実施の形態1では、加熱動作中に調理容器28が載置部から外れた位置に載置された場合には、加熱手段20の動作を停止させる。
調理容器28が載置部から外れた位置に載置されたことは、次に述べる(a)〜(c)のいずれか一以上の情報を勘案して検知される。
(a)アンテナ体の受信強度
制御手段18は、調理容器28の載置位置から遠いアンテナ体の受信強度は、載置位置から近いアンテナ体の受信強度よりも低くなることを利用して、各アンテナ体が受信する電波の受信強度に基づいて、調理容器28の載置位置を検知することができる。制御手段18は、アンテナ体の受信強度に基づいて調理容器28がいずれかの載置部から他の場所へ移動したことを検知し、その状態が所定時間継続したときに、調理容器28が載置部から外れた位置に載置されたと判定してもよい。
(b)本体温度検知手段31の検知温度
制御手段18は、調理容器28が載置されている載置部に対応して設けられた本体温度検知手段31の検知温度の単位時間当たりの低下量が、予め定められた閾値を超えたときに、調理容器28が載置部から他の場所へ移動したと判定する。一箇所の載置部に対して複数の本体温度検知手段31が設けられている場合には、複数の本体温度検知手段31の出力の平均値に基づいて判定を行ってもよい。また、いずれか一つの本体温度検知手段31の検知値に基づいて判定を行ってもよく、その場合には、調理容器28が載置部と重なるものの中心からずれた位置に載置された状態である鍋ずれ状態を検知することができる。
(c)負荷検知処理の検知結果
制御手段18は、加熱動作中に所定周期で負荷検知処理を行い、その負荷検知処理の結果、負荷の検知結果が「加熱適正範囲」の範囲内であった状態から範囲外へ変化し、その状態で所定時間が経過した場合には、調理容器28が載置部から他の場所へ移動したと判定する。
上記アンテナ体の受信強度、本体温度検知手段31の検知温度、及び負荷判定処理の結果のいずれか一以上の情報に加え、操作検知手段37の検知結果をさらに勘案することで、調理容器28が載置部から外れた位置に載置されたことをより精度よく判定することができる。具体的には、操作検知手段37としてユーザー接触検知手段371が設けられている場合には、ユーザー接触検知手段371の検知結果に基づいて、ユーザーが調理容器28に接触しているか否かを判定し、調理容器28の移動時間に相当する時間の経過後、ユーザー接触検知手段371の検知結果に基づいてユーザーが調理容器28への接触を終了したことを検知する。また、操作検知手段37として移動検知手段372が設けられている場合には、移動検知手段372から出力される加速度の変化に基づいて、調理容器28が所定の移動時間をかけて所定距離だけ移動したことを検知する。このようなユーザーの操作状態の検知の後、上記アンテナ体の受信強度、本体温度検知手段31の検知温度、及び負荷判定処理のいずれか一以上の情報に基づいて調理容器28が載置部から外れた位置に載置されたと判定した場合に、制御手段18は、その判定を確定と判断する。
(2)調理容器に応じた処理
本実施の形態1の制御手段18は、基本的には上記(1)に示した加熱制御を行うが、調理容器28の送受信手段32から送信された識別情報に含まれる調理容器28の種別(形態)に応じて、加熱手段20の制御を実行する。
(2−1)調理容器28がやかんである場合
調理容器28が、主にお湯を沸かすために用いられるやかん(ケトルと称される場合もある)等である場合の動作例を説明する。制御手段18は、調理容器28の送受信手段32から送信される識別情報に含まれる情報に基づいて、当該調理容器28のやかんであることを認識する。
制御手段18は、操作部6に入力された火力で調理容器28を加熱するように、加熱手段20の制御を開始する。
加熱手段20の加熱動作中には、制御手段18は、ユーザーが調理容器28を操作しているか否かを検知する操作検知処理、及び被加熱物13の温度検知処理を定期的に行い、ユーザーが調理容器28を操作しておらず、かつ、被加熱物13の温度が沸騰温度(例えば100℃)に達した場合に、加熱手段20を停止させる。
ユーザーが調理容器28を操作していないことの判定は、以下の(a)〜(d)のいずれか一以上の情報を勘案して行う。
(a)ユーザー接触検知手段371の検知結果
操作検知手段37としてユーザー接触検知手段371が設けられている場合には、ユーザー接触検知手段371の検知結果に基づいて、ユーザーが調理容器28を操作しているか否かを判定する。
ユーザー接触検知手段371が圧力センサである場合には、圧力センサから出力される圧力が0の場合、ユーザーが調理容器28を操作していないと判定する。
ユーザー接触検知手段371が静電容量センサである場合には、静電容量センサの出力が、予め記憶されたユーザーが接触していない状態における出力と一致する場合、ユーザーが調理容器28を操作していないと判定する。
ユーザー接触検知手段371が温度センサである場合には、温度センサの出力が、人の体温に相当する温度でない場合、ユーザーが調理容器28を操作していないと判定する。
(b)移動検知手段372の検知結果
操作検知手段37として移動検知手段372が設けられている場合には、移動検知手段372の検知結果に基づいて、ユーザーが調理容器28を操作しているか否かを判定する。具体的には、移動検知手段372の加速度センサの出力が0近傍である場合に、ユーザーが調理容器28を操作していないと判定する。
(c)アンテナ体の受信強度
右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25の受信強度の変化量を検知し、各アンテナ体の受信強度の変化量が予め設定された閾値の範囲内である場合に、調理容器28が移動していない、すなわちユーザーが調理容器28を操作していないと判定する。
(d)負荷検知処理の検知結果
入力電流検知回路22及びコイル電流検知回路21の検知結果と、加熱開始前に行った負荷検知処理の検知結果との変化が、予め設定された閾値の範囲内である場合に、ユーザーが調理容器28を操作していないと判定する。
次に、被加熱物13の温度が沸騰温度(例えば100℃)に達したか否かの判定について説明する。制御手段18は、本体温度検知手段31の出力に基づいて被加熱物13の温度を検知し、検知した被加熱物13の温度と予め設定された沸騰温度(例えば100℃)とを比較することにより、被加熱物13の温度が沸騰温度に達したか否かを判定する。また、調理容器28の温度検知手段33が検知した温度情報と本体温度検知手段31が検知した温度情報の両方に基づいて、被加熱物13の温度を判定してもよい。
このように、お湯を沸かすために用いられる調理容器28を加熱する場合には、制御手段18は、ユーザーが調理容器28を操作しておらず、かつ、被加熱物13の温度が沸騰温度に達したと判定すると、加熱手段20を停止させる。
なお、調理モード設定手段17における設定項目の一つとして『湯沸し』を設けるとともに、加熱条件設定手段16における設定項目の一つとして『沸騰したら停止』を設け、上述のような機能を有効にするか無効にするかを、ユーザーが必要に応じて設定できるようにしてもよい。
(2−2)調理容器28が鍋である場合
次に、調理容器28が、例えば茹でもの又は煮炊き調理を行う際に用いられる片手鍋や両手鍋等の鍋である場合の動作例を説明する。制御手段18は、調理容器28の送受信手段32から送信される識別情報に含まれる情報に基づいて、当該調理容器28の種別が茹でもの又は煮炊きに用いられる鍋であることを認識する。
制御手段18は、操作部6に入力された火力で調理容器28を加熱するように、加熱手段20の制御を開始する。
加熱手段20の加熱動作中には、制御手段18は、ユーザーが調理容器28を操作しているか否かを検知する操作検知処理、及び被加熱物13の温度検知処理を定期的に行い、ユーザーが調理容器28を操作しておらず、かつ、被加熱物13の温度が沸騰温度に達した場合に、加熱手段20を停止させる。
ユーザーが調理容器28を操作していないことの判定は、上述の調理容器28がやかんである場合と同様であり、ユーザー接触検知手段371の検知結果、移動検知手段372の検知結果、アンテナ体の受信強度、及び負荷検知処理の検知結果、のいずれか一つ以上の情報に基づいて行うことができる。
また、被加熱物13の温度が沸騰温度(例えば100℃)に達したか否かの判定についても、上述の調理容器28がやかんである場合と同様であり、本体温度検知手段31と調理容器28の温度検知手段33のいずれか又は両方の検知結果に基づいて行うことができる。
なお、調理モード設定手段17における設定項目の一つとして『茹でる・煮る』を設けるとともに、加熱条件設定手段16における設定項目の一つとして『焦げ付き防止』を設け、上述のような機能を有効にするか無効にするかを、ユーザーが必要に応じて設定できるようにしてもよい。
(2−3)調理容器28がフライパン又は中華鍋である場合
調理容器28が、主に炒め調理に用いられるフライパン又は中華鍋である場合の動作例を説明する。制御手段18は、調理容器28の送受信手段32から送信される識別情報に基づいて、当該調理容器28の種別がフライパン又は中華鍋であることを認識する。
制御手段18は、操作部6に操作入力された火力で調理容器28を加熱するように、加熱手段20の制御を開始する。
加熱手段20の加熱動作中には、制御手段18は、ユーザーが調理容器28を操作しているか否かを検知する操作検知処理を行う。
ここで、制御手段18は基本的には、調理容器28が載置部から外れた場合には、加熱手段20の加熱動作を停止させる。しかし、調理容器28が炒め調理に用いられるフライパン又は中華鍋である場合には、炒め調理中に鍋振りをしているために一時的に調理容器28が載置部から外れている可能性もあるので、このことを考慮した制御を行う。
加熱手段20の加熱動作中には、制御手段18は、ユーザーが調理容器28を操作しているか否かを判定する。ユーザーが調理容器28を操作していることの判定は、以下の(a)〜(c)の一つ以上を勘案して行う。
(a)ユーザー接触検知手段371の検知結果
操作検知手段37としてユーザー接触検知手段371が設けられている場合には、ユーザー接触検知手段371の検知結果に基づいて、ユーザーが調理容器28を操作している状態か否かを判定する。
ユーザー接触検知手段371が圧力センサである場合には、圧力センサから出力される圧力が+(正)の出力の場合、ユーザーが調理容器28を操作していると判定する。
ユーザー接触検知手段371が静電容量センサである場合には、静電容量センサの出力が、予め記憶されたユーザーが接触している状態における出力と一致する場合、ユーザーが調理容器28を操作していると判定する。
ユーザー接触検知手段371が温度センサである場合には、温度センサの出力が、人の体温に相当する温度であれば、ユーザーが調理容器28を操作していると判定する。
(b)移動検知手段372の検知結果
操作検知手段37として移動検知手段372(加速度センサ)が設けられている場合には、加速度センサの検知結果に基づいて、ユーザーが調理容器28を操作しているか否かを判定する。加速度センサの出力が、予め定められた閾値を超える変化を示す場合には、ユーザーが調理容器28を操作していると判定する。
(c)アンテナ体の受信強度
右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25の受信強度の変化量を検知し、各アンテナ体の受信強度の変化量が予め設定された値を超えている場合に、調理容器28が移動している、すなわちユーザーが調理容器28を操作していると判定する。
上記ユーザー接触検知手段371の検知結果、移動検知手段372の検知結果、及びアンテナ体の受信強度のうちの一以上の情報に基づいて、ユーザーが調理容器28を操作している(鍋振り等の調理操作中である)と判定した場合には、負荷検知処理によって無負荷(加熱適正範囲外である)であると検知された場合であっても、制御手段18は、加熱手段20を停止させず、操作部6に入力された火力が得られるように加熱手段20の加熱動作を継続させる。
ユーザーが調理容器28を操作していると判定した場合であっても、負荷検知処理によって無負荷であると判定された状態が予め定められた閾値時間を超えて継続した場合には、制御手段18は、加熱手段20を停止させる。このようにすることで、ユーザーが調理容器28を意図的に載置部から外した場合には、加熱手段20の不要な加熱動作を低減させ、消費電力の増加を抑制できる。
なお、調理モード設定手段17における設定項目の一つとして『炒める』を設けるとともに、加熱条件設定手段16の設定項目の一つとして『鍋振り』を設け、上述のような機能を有効にするか無効にするかを、ユーザーが必要に応じて設定できるようにしてもよい。また、加熱条件設定手段16の設定項目の一つとして、『鍋振り』が設定された場合に加熱を停止するまでの『閾値時間』の設定項目を設け、負荷検知処理によって無負荷であると判定されてから加熱を停止するまでの時間をユーザーが設定できるようにしてもよい。
(2−4)調理容器28にフッ素コーティングが施されている場合
調理容器28から送信された識別情報に、調理容器28の容器部29にフッ素コーディングが施されていることを示す情報が含まれている場合の動作例を説明する。
制御手段18は、操作部6に操作入力された火力で調理容器28を加熱するように、加熱手段20の制御を開始する。
加熱手段20の加熱動作中には、制御手段18は、温度検知手段33及び本体温度検知手段31のいずれか又は両方の検知温度に基づいて被加熱物13の温度を検知し、容器部29の温度が第二高温閾値に達した場合に、加熱手段20を停止させる。この第二高温閾値は、フッ素コーティングの耐熱温度を考慮して設定される温度であり、フッ素コーティングが熱によって変異する温度よりも低い温度に設定される。第二高温閾値は、前記第一高温閾値よりも低い値であり、例えば260℃である。
以上のように本実施の形態1では、調理容器28の操作検知手段37により検知されたユーザーの操作情報が加熱調理器に送られ、加熱調理器の制御手段18は取得した操作情報に基づいて加熱手段20を制御する。このため、制御手段18は、例えばユーザーが調理容器28を操作していない状態が所定時間継続したことを検知した場合には加熱を停止させることで、加熱を継続することによる焦げ付きを抑制して調理を良好に仕上げることができ、また過度な加熱を抑制して安全性を高めることができる。
また、ユーザーの操作を検知する操作検知手段37として、圧力センサ、静電容量センサ、温度センサのいずれか一以上を調理容器28の取手部30に備えた。このため、取手部30をユーザーが握ることによる接触/非接触の圧力の絶対値又は変化、静電容量の変化、又は体温の検知に基づいて、ユーザーが調理容器28を操作していることを検知できる。ユーザーが調理容器28を操作していることを良好に検知できるので、検知した操作情報に基づいて行われる制御手段18の加熱手段20の制御の精度を高めることができ、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、ユーザーの操作を検知する操作検知手段37として、加速度センサ、又は加速度センサと角速度センサの両方を、調理容器28の取手部30に備えた。このため、ユーザーの操作による加速度及びその変化より、調理容器28の移動状態と移動量を精度よく検知できる。加熱調理器の制御手段18は、ユーザーが調理容器28を操作している状態なのか、操作を終了して所定時間操作していない不操作状態なのか等、ユーザーの操作状態を精度良く検知できるので、検知した操作情報に基づいて行われる制御手段18の加熱手段20の制御の精度が高めることができ、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、操作検知手段37として、3軸の加速度センサを用いることで、調理容器28の載置部からの移動量を精度良く検知でき、調理容器28がトッププレート4の外へ移動したことも検知することができる。このため、載置部から外れた位置に調理容器28が載置された場合に、制御手段18は加熱手段20を停止することで、不要な加熱を停止できるので、消費電力を低減する効果がある。
また、調理容器28の被加熱物接触部39に温度検知手段33である温度センサを備え、温度検知手段33で検知した温度情報を、加熱調理器の制御手段18に送信するようにした。被加熱物13と直接接する調理容器28に設けられた温度検知手段33は、被加熱物13の温度を本体温度検知手段31に比べて精度良く検知できるので、制御手段18はより精度の高い加熱手段20の制御を行え、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、調理容器28の容器部29の深さ方向に複数の温度検知手段33である温度センサを備え、複数の温度検知手段33で検知した温度情報を、加熱調理器の制御手段18に送信するようにした。容器部29内に入っている被加熱物13の高さ(深さ)と温度検知手段33の配置位置(深さ)との関係によって生じる各温度検知手段33の検知温度の差に基づいて、容器部29内の被加熱物13の容量及び容量の変化を検知することができる。このため、制御手段18は、所定の加熱調理に必要な加熱時間又は火力(例えば、容器部29内の水を沸騰させるのに必要な火力と時間、容器部29内の天ぷら油を所定温度に予熱する時間等)を推定でき、推定した情報に基づいて加熱手段20を制御することで、過度に加熱することなく加熱手段20を停止でき、エネルギー消費を低減できる。例えば、制御手段18は、検知した被加熱物13の容量の変化から急激に容量が増えた場合は麺類等を茹でる場合のふきこぼれ手前の状態であると検知して、加熱手段20の火力を低下させることができる。また、例えば煮込みにおいて検知した被加熱物13の容量が低下してその状態で安定した場合は、容器部29内の水分が蒸発して焦げ付く前の状態であることを検知して、加熱手段20を停止させることができる。このように制御手段18が加熱手段20を制御することで、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、本体1に本体送受信手段27を構成する右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25の3箇所以上のアンテナ体を備えたので、調理容器28の送受信手段32からの電波の受信強度及びその変化量から、調理容器28の移動状態及び位置を検知することができる。したがって、トッププレート4に複数の載置部がある場合に、調理容器28がどの載置部に載置されたかを検知できる。制御手段18は、右載置部8、左載置部9、中央載置部10のどの載置部に対応した加熱手段20を制御するかを適切に判断できるので、誤動作を防ぎ安全性を高める効果がある。また、調理容器28が移動状態か所定時間移動してない状態かを検知することにより、ユーザーが調理容器28を操作している状態であるか不操作状態であるかを検知することができ、操作検知手段37の検知結果と組み合わせることでユーザーの操作状態の検知精度を高めることができる。したがって、検知した操作情報に基づいて行われる制御手段18の加熱手段20の制御の精度を高めることができ、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。また、調理容器28の載置部からの移動量を検知する検知手段としてアンテナ体が機能するので、操作検知手段37の検知結果とアンテナ体の検知結果とを組み合わせることで、調理容器28がトッププレート4の外部へ移動した場合の検知精度を高めることができる。調理容器28がトッププレート4に載置されていないという非載置状態を精度良く検知できるので、不要な加熱をさらに減らすことができ、消費電力を低減する効果がある。
また、本体1に給電手段である加熱コイル26を備え、調理容器28に受電手段34である受電コイルと蓄電手段35を備え、加熱コイル26から発生する磁束を受電手段34であるコイルで電力に変換し蓄電手段35に蓄電するとともに、蓄電手段35の電力により操作検知手段37と送受信手段32のいずれか又は両方を動作させるようにした。このため、調理容器28に電力供給のためのケーブルを配線することや電力供給のための電池を備える必要が無い。給電用のケーブルが不要であるので、調理容器28の操作性及びメンテナンス性を高めることができ、また、電池の交換が不要であるのでユーザーの電池交換に伴う手間の煩雑さを軽減できる効果がある。
また、加熱手段20は、インバータ回路19と加熱コイル26を有し誘導加熱を行うものであり、加熱コイル26は受電手段34への給電コイルも兼ねている。加熱コイル26の漏れ磁束により受電手段34である受電コイルに電力を発生させることから、専用の給電コイル及び給電回路が不要となり、部品コスト及び組立てコストを低減する効果がある。
また、調理容器28は炒め調理等に用いるフライパン又は中華鍋であり、調理容器28から加熱調理器の制御手段18に送られる識別情報には、その調理容器28の種別(フライパン又は中華鍋)を特定する情報が含まれる。制御手段18は、操作部6に入力された火力で加熱動作中に、操作検知手段37のユーザー接触検知手段371の出力からユーザーが調理容器28に接触している状態と判定し、また移動検知手段372を備える場合にはユーザーが調理容器28を繰り返し移動させている操作中と判定(鍋振り等の調理操作中と判定)した場合、所定時間は負荷検知処理により無負荷と検知された場合でも、加熱手段20を停止せず、操作部6の入力された火力で加熱動作を継続するようにした。このため、ユーザーが調理容器28を用いて鍋振り操作をしている場合には、不要な加熱動作の停止が行われず、継続して加熱動作が行われて火力が低下しない。したがって、ユーザーの調理操作の快適性が向上し、調理時間が短縮でき、また火力低下又は停止による調理品質及び仕上りの低下が抑制され、良好な調理効果を得ることができる。
また、調理容器28は、茹でものあるいは煮炊きに用いられる鍋であり、調理容器28から加熱調理器の制御手段18に送られる識別情報には、その調理容器28の種別(鍋)を特定する情報が含まれる。制御手段18は、操作部6に入力された火力で加熱動作中に、操作検知手段37の検知結果に基づいてユーザーが不操作状態であると判断し、また本体温度検知手段31と温度検知手段33のいずれか又は両方の温度情報に基づいて被加熱物13の温度が沸騰温度(例えば100℃)を超えたと判断すると、加熱手段20を停止するようにした。また、制御手段18は、調理容器28に対してユーザーから所定時間操作が加えられない場合は、加熱を停止するよう加熱手段20を制御する。このため、被加熱物13の焦げ付きや吹き零れが抑制され、調理容器28又はトッププレート4の清掃負担が軽減されるので、加熱調理器の利便性が高まるとともに安全性が高まる。
また、調理容器28はお湯を沸かす加熱調理を行う調理容器であるやかんであり、調理容器28から加熱調理器の制御手段18に送られる識別情報には、その調理容器28の種別(やかん)を特定する情報が含まれる。制御手段18は、操作部6に入力された火力で加熱動作中に、操作検知手段37の検知結果に基づいてユーザーが不操作状態であると判断し、本体温度検知手段31と温度検知手段33のいずれか又は両方の温度情報に基づいて被加熱物13の温度が沸騰温度(例えば100℃)を超え沸騰したと判断すると、加熱手段20を停止、又は所定時間操作が無い場合には加熱を停止するよう制御する。このため、調理容器28内で沸騰し続けることが無く、無駄に電力を投入することなくエネルギー消費を低減することができるとともに、空炊きを抑制でき安全性を高める効果が得られる。
また、調理容器28は鍋、フライパン、中華鍋、やかん、天ぷら鍋であり、調理容器28から加熱調理器の制御手段18に送られる識別情報には、その調理容器28の種別(鍋、フライパン、中華鍋、やかん、天ぷら鍋)を特定する情報が含まれる。調理容器28は、操作検知手段37の検知結果に基づいてユーザーが調理容器28をトッププレート4に載置したことを検知した場合、容器部29に設けられた温度検知手段33が検知する被加熱物13の温度情報を送受信手段32により加熱調理器の制御手段18に送るようにした。制御手段18は、調理容器28に設けられた温度検知手段33の検知温度に基づいて加熱手段20を制御することから、被加熱物13の温度検知精度が高まり、温度検知の時間遅れが軽減されてより速いタイミングで加熱手段20を制御することができる。また、温度検知の時間遅れが軽減されるので、不要な加熱が減り消費電力を低減できるとともに、仕上り温度精度が上がり、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、調理容器28は鍋、フライパン、中華鍋、やかん、又は天ぷら鍋であり、調理容器28から加熱調理器の制御手段18に送られる識別情報には、その調理容器28の種別(鍋、フライパン、中華鍋、やかん、又は天ぷら鍋)を特定する情報が含まれる。制御手段18は、操作部6に入力された火力で加熱動作中に、操作検知手段37の検知結果に基づいてユーザーが調理容器28をトッププレート4からトッププレート4以外へ移動したことを検知した場合、加熱手段20を停止するように制御することができる。したがって、不要な加熱が減り消費電力を低減できるとともに、不要な電力投入又は加熱による調理容器28の高温化が回避され安全性を高める効果が得られる。
また、調理容器28は鍋、フライパン、中華鍋、やかん、又は天ぷら鍋であり、調理容器28から加熱調理器の制御手段18に送られる識別情報には、その調理容器28の種別(鍋、フライパン、中華鍋、やかん、又は天ぷら鍋)を特定する情報が含まれる。制御手段18は、操作検知手段37の検知結果に基づいてユーザーが調理容器28をトッププレート4に載置したことを検知した後に加熱手段20を動作させた状態において、本体温度検知手段31又は温度検知手段33の出力に基づいて検知された被加熱物13の温度が油の発火点温度である第一高温閾値(例えば360℃)以上となったことを検知した場合、操作検知手段37の検知結果に基づくユーザーの操作状態の判定が操作/不操作のどちらであっても、加熱手段20を停止するように制御する。したがって、調理容器28の空焚きを抑制し、また調理容器28内に入れられうる油の発火点温度以下に調理容器28の温度を制御できるので、安全性を高める効果が得られる。
また、調理容器28は鍋、フライパン、中華鍋、やかん、又は天ぷら鍋であり、調理容器28から加熱調理器の制御手段18に送られる識別情報には、調理容器28の被加熱物接触面にフッ素コーティングが施されていることを示す情報が含まれる。制御手段18は、操作検知手段37の検知結果に基づいてユーザーが調理容器28をトッププレート4に載置したことを検知した後に加熱手段20を動作させた状態において、本体温度検知手段31又は温度検知手段33の出力に基づいて容器部29の温度がフッ素コーティングの変異温度である第二高温閾値(例えば260℃)以上となったことを検知した場合、操作検知手段37の検知結果に基づくユーザーの操作状態の判定が操作/不操作のどちらであっても、加熱手段20を停止するように制御する。したがって、調理容器28の容器部29に施されたフッ素コーティングが熱で変異して有害なガス等が発生しないよう制御することから安全性を高める効果が得られる。また、容器部29のフッ素コーティングの状態を良好に保つことができ、調理容器28の適正な寿命を確保することができる。
実施の形態2.
図1、図2、図4、図5〜図9を用いて、実施の形態2を説明する。前述の実施の形態1は、本発明の調理器具の一態様である調理容器28から本体1に対して送られた操作情報等の情報に基づいて加熱調理器の加熱手段20を制御することを説明した。本実施の形態2では、本発明の調理器具の他の態様であるお玉杓子や菜箸等の調理用具から本体1に対して操作情報等の情報を送る例を説明する。本実施の形態2の本体1及びこれに内蔵される構成は実施の形態1と同じであり、本実施の形態2では実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
図1、図2、及び図4に示す構成は、実施の形態1と同様である。
なお、本実施の形態2では、実施の形態1で示した操作検知手段37等を備えた調理容器28ではなく、一般的な鍋やフライパン等の調理容器50を用いて調理を行うものとして説明する。調理容器50は、食材等の被加熱物を内部に収容する容器部51と、容器部51に取り付けられユーザーが把持する箇所である取手部52とを備える。
図5は、実施の形態2に係るお玉杓子型調理用具38を示す斜視図である。
お玉杓子型調理用具38は、凹形状を有し被加熱物13をすくったりかき混ぜたりするのに用いられる被加熱物接触部39と、被加熱物接触部39に接続されて上方に延びユーザーが把持する箇所である取手部30とを備える。
取手部30には、実施の形態1で示した調理容器28と同様の送受信手段32、受電手段34、蓄電手段35、表示手段36、及び操作検知手段37が設けられている。
被加熱物接触部39は、実施の形態1で示した温度検知手段33を凹形状の底面付近に備えている。本実施の形態2では、被加熱物接触部39の凹形状の底面付近に温度検知手段33が内蔵されており、温度検知手段33の感温部は被加熱物接触部39の表面には露出していないが、温度検知手段33は被加熱物接触部39の内面又は外面を介して被加熱物13の温度を検知する。なお、温度検知手段33の感温部を被加熱物接触部39の表面に露出させてもよい。
お玉杓子型調理用具38は、被加熱物接触部39の凹部内に被加熱物13を保持することができる。ユーザーはお玉杓子型調理用具38を用いて、調理容器28の容器部29内の被加熱物13をすくい、外部の食器(図示せず)等に移動させる調理操作、外部の被加熱物である食材(例えば味噌)を被加熱物接触部39の凹部内にすくってそれを容器部29内の被加熱物13(例えばお湯)に加える調理操作、調理容器28の容器部29内の被加熱物13を攪拌する(例えば味噌をお湯に溶かしながら混ぜる)調理操作等に用いられる。
図6は、実施の形態2に係る菜箸型調理用具40を示す斜視図である。
菜箸型調理用具40は、同形状の2本の棒体を組み合わせて用いられ、それぞれの棒体の上部が取手部30、取手部30の下部が被加熱物接触部39である。
取手部30には、実施の形態1で示した調理容器28と同様の送受信手段32、受電手段34、蓄電手段35、表示手段36、及び操作検知手段37が設けられている。取手部30は、菜箸型調理用具40を操作する際にユーザーが把持する部分である。
2本の被加熱物接触部39は、それぞれ実施の形態1で示した調理容器28と同様の温度検知手段33を備える。被加熱物接触部39は、固体の被加熱物13を挟んで保持したり、被加熱物13をかき混ぜたりする際に用いられる。本実施の形態2では、被加熱物接触部39の内部に温度検知手段33が内蔵されており、温度検知手段33の感温部は被加熱物接触部39の表面に露出していないが、温度検知手段33は被加熱物接触部39の外面を介して被加熱物13の温度を検知する。なお、温度検知手段33の感温部を被加熱物接触部39の表面に露出させてもよい。
菜箸型調理用具40は、2本の被加熱物接触部39に被加熱物13を挟んで保持することができる。ユーザーは菜箸型調理用具40を用いて、調理容器28の容器部29内の被加熱物13を取り出して外部の食器(図示せず)に移動する調理操作や、外部の被加熱物である食材(例えば冷凍コロッケ)を保持して容器部29内の被加熱物13(例えば天ぷら油)に加える調理操作、調理容器28内の被加熱物13を攪拌する(例えば麺類や葉物野菜を湯がく)調理操作等に用いられる。
なお、本実施の形態2では菜箸型調理用具40を構成する2本の棒体の両方に送受信手段32、受電手段34、蓄電手段35、表示手段36、操作検知手段37、及び温度検知手段33を備えることで操作検知や温度検知の精度を高めているが、2本の棒体の片方にのみ上述の構成を備えてもよい。
図7は、実施の形態2に係るフライ返し型調理用具41を示す斜視図である。
フライ返し型調理用具41は、ヘラ状の被加熱物接触部39と、被加熱物接触部39に接続されて上方に延びユーザーが把持する取手部30とを備える。
取手部30には、実施の形態1で示した調理容器28と同様の送受信手段32、受電手段34、蓄電手段35、表示手段36、及び操作検知手段37が設けられている。
ヘラ状の被加熱物接触部39は、実施の形態1で示した温度検知手段33を備えている。本実施の形態2では、被加熱物接触部39の内部に温度検知手段33が内蔵されており、温度検知手段33の感温部は被加熱物接触部39の表面には露出していないが、温度検知手段33は被加熱物接触部39の表面を介して被加熱物13の温度を検知する。なお、温度検知手段33の感温部を被加熱物接触部39の表面に露出させてもよい。
フライ返し型調理用具41は、調理容器28を持ち上げて容器部29内の被加熱物13を外部の食器(図示せず)に取り出す際に被加熱物13を押しながら食器側に寄せ押し出して盛り付ける調理操作、被加熱物13を収納する容器(調理用ボール等)やまな板上で加工した被加熱物である食材を投入する際に被加熱物を容器部29側に押しながら移動させて投入する調理操作、調理容器28内の被加熱物13を攪拌する(例えばフライパン内の野菜炒めでの野菜の攪拌)調理操作等に用いられる。なお、図7では、フライ返し型調理用具41の被加熱物接触部39が開口部を有さないヘラ状であるものとして図示しているが、被加熱物接触部39に開口部を設けてもよい。また、フライ返し型調理用具41の「フライ返し型」とはフライ返し及びターナーを含む概念であり、被加熱物接触部39の具体的形状は限定されず、一般的にフライ返しあるいはターナーに採用されている任意の形状を適用することができる。
図8は、実施の形態2に係る温度計型調理用具42を示す斜視図である。
温度計型調理用具42は、棒状の被加熱物接触部39と、被加熱物接触部39の上部に取り付けられユーザーが把持する取手部30とを備える。
取手部30には、実施の形態1で示した調理容器28と同様の送受信手段32、受電手段34、蓄電手段35、表示手段36、及び操作検知手段37が設けられている。
棒状の被加熱物接触部39は、実施の形態1で示した温度検知手段33を内部に備えている。本実施の形態2では、被加熱物接触部39の内部に温度検知手段33が内蔵されており、温度検知手段33の感温部は被加熱物接触部39の表面には露出していないが、温度検知手段33は被加熱物接触部39の外面を介して被加熱物13の温度を検知する。なお、温度検知手段33の感温部を被加熱物接触部39の表面に露出させてもよい。
温度計型調理用具42は、被加熱物接触部39に接触する被加熱物13の温度を検知し、検知した温度情報を文字又は記号等を用いて表示手段36に表示させる。ユーザーは、被加熱物13の温度確認が必要な場合にその温度を確認する調理操作(湯煎時のお湯の温度を確認、天ぷらを揚げる際の天ぷら油の温度等)に用いられる。
図9は、実施の形態2に係る加熱調理器及び調理用具の主要部のブロック図である。
図9に示す加熱調理器の本体1の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。
図9に示す調理用具43は、図5〜図8で例示したお玉杓子型調理用具38、菜箸型調理用具40、フライ返し型調理用具41、及び温度計型調理用具42に共通する機能を概念的に示したブロック図である。すなわち、お玉杓子型調理用具38、菜箸型調理用具40、フライ返し型調理用具41、及び温度計型調理用具42は、調理用具43の一態様である。なお、菜箸型調理用具40は同様の構成の一対の調理用具43で構成され、双方の検知内容を組み合わせることで操作状態を詳細に判定し、また検知精度を向上させることができる。
被加熱物接触部39に設けられた温度検知手段33は、例えばサーミスタや熱電対等であり、調理用具43の被加熱物接触部39の一部に内蔵され被加熱物接触部39の外装を介して被加熱物13の温度を検知する。なお、温度検知手段33が食品と接触して害のないものであれば、被加熱物接触部39の表面に温度検知手段33の感温部を露出させてもよい。温度検知手段33は、調理用具43の被加熱物と接触しやすい位置に設けられる。なお、複数の温度検知手段33を設けてもよく、そのようにすることで温度検知の範囲及び精度等を高めることができ、また被加熱物の負荷量を算出することができる。
取手部30に設けられた操作検知手段37は、実施の形態1と同様に、ユーザー接触検知手段371と移動検知手段372のいずれか又は両方を備えている。操作検知手段37としてユーザー接触検知手段371と移動検知手段372の両方を備えることで検知内容が広がって検知精度も高まるが、どちらか一方のみを設けてもよい。ユーザー接触検知手段371と移動検知手段372のいずれか一方のみを設けた場合でも、右アンテナ体23、左アンテナ体24、中央アンテナ体25が受信する電波強度に基づいて算出される調理用具43の位置情報及び移動状態、並びに本体温度検知手段31の出力を組み合わせることで、ユーザーの操作情報の検知精度を高めることができる。
ユーザー接触検知手段371は、圧力センサ、静電容量センサ、温度センサのいずれか一つ以上が用いられ、その検知方法及び動作は実施の形態1同様である。いずれのセンサもチップ化されて小型化されたものが取手部30に実装される。
移動検知手段372も、実施の形態1と同様に加速度センサ、又は加速度センサ及び角速度センサが用いられ、それぞれピエゾ抵抗方式又は静電容量方式等の任意の検知方式が用いられる。
調理用具43の移動検知手段372として用いる加速度センサは、例えば、空間のすべての移動方向に対する出力を得ることのできる3軸の加速度センサが用いられる。3軸の加速度センサは、ユーザーの操作による調理用具43の動きに伴う加速度を検知して、調理用具43の重力に対する傾き、各軸方向への移動速度及び移動量の算出を行い、制御手段18は加速度センサの出力に基づいてユーザーの操作状態を判定する。
また、移動検知手段372として加速度センサと角速度センサともに各3軸のもの(合計6軸のセンサ)を用いた場合、3軸の加速度センサを用いた場合に加えて、調理用具43の前後、左右並びに上下の角速度及び角度を検知できる。したがって、検知した情報を操作状態の判定に用いることで、より詳細で多くの種類のユーザーの調理用具43の操作状態を検知でき、詳細な加熱手段20の制御を行うことができるとともに制御の判定精度をさらに高めることができる。
表示手段36には、温度検知手段33が検知した温度が表示される。
調理用具43の温度検知手段33が検知した温度情報は、送受信手段32及び本体送受信手段27を介して制御手段18に伝達され、制御手段18は取得した温度情報を本体表示手段15に表示させる。
また、本体表示手段15には、本体1に設けられた本体温度検知手段31の検知温度に基づいて検知される被加熱物13の温度を表示してもよい。この場合、調理モード設定手段17にて、本体表示手段15に表示する温度情報を、温度検知手段33に基づくものと本体温度検知手段31に基づくもののいずれを表示するか、ユーザーが選択できるようにしてもよい。この場合、例えば、調理モード設定手段17の設定項目として本体表示手段15に関するものを設け、『調理用具の温度表示』の項目について『調理容器内の温度のみ表示』という設定が行われた場合には、調理用具43の温度検知手段33が検知した情報のみを表示する。このように本体表示手段15に表示する温度情報をユーザーが選択できるようにすることで、ユーザーが本体表示手段15に表示された温度を認識する際の誤解の発生を抑制できる。したがって、ユーザーは、調理作業の誤りを低減して調理作業を効率的に行うことができる。
受電手段34は、受電コイル及び整流回路を含み、本体1に設けられた加熱コイル26から発生する磁束を電力に変換する。すなわち、加熱コイル26は、受電手段34に対する給電手段として機能する。
蓄電手段35は、受電手段34によって変換された電力を蓄電するとともに、蓄電した電力を操作検知手段37、送受信手段32、及び表示手段36に供給してそれらを動作させる。このため、調理用具43には、外部から電力供給を行うためのケーブルの配線や、電力供給のための電池が不要となる。ケーブルが無いため調理用具43の操作性及びメンテナンス性を高めることができ、また電池の交換が不要であるのでユーザーが電池交換に要する手間の煩雑さを軽減することができる。
[加熱調理器及び調理用具の動作]
実施の形態2に係る加熱調理器の調理動作の概要を説明する。
ユーザーが調理容器50をトッププレート4の載置部に載置し、操作部6に加熱条件を入力して加熱開始を指示する。そうすると、操作部6への操作入力に対応した信号が、制御手段18に入力される。制御手段18は、操作部6からの信号に基づいて、インバータ回路19を駆動し、インバータ回路19の動作によって加熱コイル26に電流が流れ、トッププレート4の右載置部8に載置された調理容器28が加熱される。調理容器28が加熱されることにより、調理容器50内の食材等の被加熱物13が加熱される。
(調理容器に応じた制御)
ここで、前述の実施の形態1では、調理容器28に設けられた操作検知手段37の検知情報に基づいて制御手段18が加熱調理器の動作を制御することを説明した。本実施の形態2では、調理用具43に設けられた操作検知手段37等から伝送される情報と識別情報とを用いて、制御手段18が加熱調理器の動作を制御する。以下、お玉杓子型調理用具38、菜箸型調理用具40、フライ返し型調理用具41、及び温度計型調理用具42のそれぞれを用いた場合の動作を具体的に説明する。
(1)調理用具がお玉杓子型調理用具38である場合
本体1の右載置部8に調理容器50が載置され、加熱手段20による調理容器50の加熱が行われている状態であるものとする。
お玉杓子型調理用具38の送受信手段32からは、操作検知手段37の検知情報及びお玉杓子型調理用具38の識別情報が、無線通信により送出されている。ユーザーがお玉杓子型調理用具38の取手部30をつかむと、その操作を操作検知手段37が検知し、送受信手段32及び本体送受信手段27を介して操作情報が制御手段18へ送られる。制御手段18は、取得した情報に基づいて、ユーザーがお玉杓子型調理用具38を保持していることを認識することができる。
また、右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25が送受信手段32から受信する電波の受信強度、及びその変化に基づいて、制御手段18は、調理用具43のおおよその本体1からの位置及び移動を検知する。
操作検知手段37として3軸の加速度センサからなる移動検知手段372を備えている場合には、3軸の加速度出力から移動速度及び移動量を検知し、検知した情報に基づいてお玉杓子型調理用具38の操作情報を検知する。さらに、操作検知手段37の移動検知手段372として角速度センサを備えている場合には、お玉杓子型調理用具38の角速度及び角度を検知することができるので、ユーザーのお玉杓子型調理用具38に対する多様な操作状態を精度よく検知することができる。
また、お玉杓子型調理用具38は、凹形状の被加熱物接触部39に温度検知手段33を備えている。温度検知手段33が検知する初期状態の温度を室温とすると、被加熱物接触部39に被加熱物13が接触することで温度検知手段33が出力する温度情報が変化するため、制御手段18は、温度検知手段33から出力される温度情報の変化に基づいて、お玉杓子型調理用具38の被加熱物接触部39に被加熱物13等が保持又は接触したことを検知することができる。また、凹形状の被加熱物接触部39に被加熱物13が保持又は接触している状態において被加熱物13が被加熱物接触部39から離れた場合には、同様に温度検知手段33から出力される温度情報に基づいて、その被加熱物13の状態(すなわちユーザーの操作状態)を検知することができる。
本実施の形態2では、被加熱物接触部39に設けられた温度検知手段33は一点であるが、凹形状の被加熱物接触部39に複数の温度検知手段33を内蔵させてもよい。複数の温度検知手段33は、凹形状の被加熱物接触部39の高さ方向に異なる位置に配置するのがよい。そのようにすると、複数の温度検知手段33の出力値の温度差に基づいて、被加熱物13が被加熱物接触部39に接触している範囲を検知できるため、お玉杓子型調理用具38の被加熱物接触部39の凹形状内に保持される被加熱物13の量を算出することができる。そして、制御手段18は、被加熱物13の温度と併せて調理容器50に投入される加熱負荷の変動を算出して、調理容器50内の被加熱物13の温度の低下を解消するための加熱手段20の制御を行うことができる。
また、本実施の形態2では、被加熱物接触部39に温度検知手段33を備え、温度検知手段33の検知温度に基づいて、被加熱物13等がお玉杓子型調理用具38の被加熱物接触部39に接触しているか否かの変化を検知している。しかし、被加熱物接触部39に圧力センサ又は静電容量センサを内蔵し、温度検知手段33の検知温度に代えて、あるいはこれに加えて、圧力センサ又は静電容量センサの出力値に基づいて、被加熱物接触部39への被加熱物13の接触/非接触状態の検知を行ってもよい。
ユーザーが、お玉杓子型調理用具38の凹形状の被加熱物接触部39が空の状態で、お玉杓子型調理用具38を調理容器50の容器部51内の被加熱物13に接触(浸漬)させる動作を行った場合に、このようなユーザーの操作を検知した制御手段18は、ユーザーは容器部51内の被加熱物13の調理状態(仕上がり)を認知する又は攪拌する操作を行うと判定する。この場合、制御手段18は、被加熱物接触部39の温度検知手段33が検知する温度を表示手段36及び本体表示手段15に表示させるとともに、調理モード設定手段17や加熱条件設定手段16で被加熱物の目標温度が設定されている場合に目標温度に近づくように温度差に応じた加熱手段20の火力制御を行う。
制御手段18は、例えば、次のような情報を順次検知した場合に、ユーザーがお玉杓子型調理用具38を用いて上記のような操作を行ったと判定する。
まず、調理用具43は調理容器50の外側に位置しており、ユーザーはお玉杓子型調理用具38を操作しており、凹形状の被加熱物接触部39に被加熱物13が非接触の状態である(被加熱物接触部39は空)ということを検知する。
次に、調理用具43の位置及び移動情報に基づいて、お玉杓子型調理用具38が右載置部8に向かって移動して右載置部8に近接した状態となったことを検知する。
次に、凹形状の被加熱物接触部39の温度検知手段33の温度が、本体温度検知手段31で検知される温度に近づくような変化を検知する。
制御手段18は、このような一連の情報を検知した場合に、お玉杓子型調理用具38の被加熱物接触部39を、容器部51内の被加熱物13に接触(浸漬)させる操作が行われたと判定することができる。
また、ユーザーが、調理容器50内の被加熱物13の一部をお玉杓子型調理用具38の被加熱物接触部39ですくって搬出した場合に、このようなユーザーの操作を検知した制御手段18は、加熱手段20の火力を低下させ、容器部51内の被加熱物13が加熱されすぎないように(煮詰まらないように)制御する。
制御手段18は、例えば、次のような情報を順次検知した場合に、調理容器50内の被加熱物13の一部がお玉杓子型調理用具38を用いて搬出されたと判定する。
まず、お玉杓子型調理用具38の被加熱物接触部39を容器部51内の被加熱物13に接触(浸漬)させた状態であることを検知する。
次に、凹形状の被加熱物接触部39の温度検知手段33の検知温度が、所定の範囲で変化(低下)し、その状態が所定時間継続したことを検知する。
制御手段18は、このような一連の情報を検知した場合に、容器部51内の被加熱物13がお玉杓子型調理用具38の被加熱物接触部39によって搬出されたと判定することができる。
また、ユーザーが、お玉杓子型調理用具38の凹形状の被加熱物接触部39内の被加熱物13を、調理容器50の容器部51内に投入した場合であって、投入された被加熱物13の温度が本体温度検知手段31により検知された温度よりも低い場合には、このようなユーザーの操作を検知した制御手段18は、加熱手段20の火力を増加させて容器部51内の被加熱物13の温度の低下を戻す(温度を上昇させる)ように制御する。
制御手段18は、例えば、次のような情報を順次検知した場合に、調理容器50の容器部51内に、お玉杓子型調理用具38を用いて被加熱物13が投入されたと判定することができる。
まず、お玉杓子型調理用具38は調理容器50の外側に位置しており、ユーザーはお玉杓子型調理用具38を操作しており、凹形状の被加熱物接触部39への被加熱物13の接触状態が非接触から接触に変化して接触状態が所定時間持続していることを検知する。
次に、お玉杓子型調理用具38の位置及び移動情報に基づいて、お玉杓子型調理用具38が右載置部8に向かって移動して右載置部8に近接した状態となったことを検知する。
次に、凹形状の被加熱物接触部39の温度検知手段33からの出力に基づいて、所定の温度変化(温度低下)を検知する。
制御手段18は、このような一連の情報を検知した場合に、調理容器50の容器部51内に、被加熱物13が投入されたと判定することができる。そして、容器部51内に投入された被加熱物13の温度が、本体温度検知手段31の検知温度よりも低い場合に、上述のように加熱手段20の火力を増加させて容器部51内の被加熱物13の温度を上昇させる。
なお、火力の増加量は、容器部51の温度と投入された被加熱物13との温度の差に基づいて算出してもよいし、また、被加熱物13の温度に加えて、投入された被加熱物13の量も算出に加味してもよい。このようにすることで、温度制御の精度を高めることができる。
(2)調理用具が菜箸型調理用具40である場合
本体1の右載置部8に調理容器50が載置され、加熱手段20による調理容器50の加熱が行われている状態であるものとする。
ユーザーの菜箸型調理用具40への接触や、菜箸型調理用具40の位置又は移動状態の検知に関する動作は、お玉杓子型調理用具38と概ね同様であるが、以下、一例を述べる。
菜箸型調理用具40の送受信手段32からは、操作検知手段37の検知情報及び菜箸型調理用具40の識別情報が、無線通信により送出されている。ユーザーが菜箸型調理用具40の取手部30をつかむと、その操作を操作検知手段37が検知し、送受信手段32及び本体送受信手段27を介して操作情報が制御手段18へ送られる。制御手段18は、取得した情報に基づいて、ユーザーが菜箸型調理用具40を保持していることを認識することができる。菜箸型調理用具40を構成する一対の棒体のそれぞれに個別の識別情報を付与し、両方の棒体の操作検知手段37が接触を検知した場合に、ユーザーが菜箸型調理用具40を保持していると判定することで、操作検知の精度を高めることができる。
また、右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25が送受信手段32から受信する電波の受信強度、及びその変化に基づいて、制御手段18は、菜箸型調理用具40のおおよその本体1からの位置及び移動を検知する。
操作検知手段37として3軸の加速度センサからなる移動検知手段372を備えている場合には、3軸の加速度出力から移動速度及び移動量を検知し、検知した情報に基づいて菜箸型調理用具40の操作情報を検知する。さらに、操作検知手段37の移動検知手段372として角速度センサを備えている場合には、菜箸型調理用具40の角速度及び角度を検知することができるので、ユーザーの菜箸型調理用具40に対する多様な操作状態を精度よく検知することができる。
また、菜箸型調理用具40は、被加熱物接触部39に温度検知手段33を備えている。温度検知手段33が検知する初期状態の温度を室温とすると、被加熱物13等が一対の棒体の両方の被加熱物接触部39の温度検知手段33と接触することで、両方の温度出力が変化して所定範囲の温度差の場合に一対の棒体に被加熱物13等が挟まれ保持されていることを検知する。同様に一対の棒体に被加熱物13等が挟まれて保持された状態から離された場合も、温度検知手段33の温度変化により検知される。
本実施の形態2では、被加熱物接触部39に設けられた温度検知手段33は一点であるが、被加熱物接触部39に複数の温度検知手段33を高さ方向に内蔵させてもよい。そのようにすると、被加熱物13が接触する部分と非接触の部分との温度検知手段33の温度差に基づいて、被加熱物13が被加熱物接触部39に接触している領域を検知できるため、制御手段18は、菜箸型調理用具40に挟まれて保持されている被加熱物13の大きさを算出することができる。そして、制御手段18は、被加熱物13の温度と併せて調理容器28へ投入される加熱負荷の変動を算出して、容器部51内の被加熱物13の温度の低下を解消するための加熱手段20の制御を行うことができる。
また、本実施の形態2では、被加熱物接触部39に温度検知手段33を備え、温度検知手段33の検知温度に基づいて、被加熱物13等が菜箸型調理用具40の被加熱物接触部39に接触しているか否かの変化を検知している。しかし、被加熱物接触部39に圧力センサ又は静電容量センサを内蔵し、温度検知手段33の検知温度に代えて、あるいはこれに加えて、圧力センサ又は静電容量センサの出力値に基づいて、被加熱物接触部39への被加熱物13の接触/非接触状態の検知を行ってもよい。
ユーザーが、菜箸型調理用具40の一対の棒体間に被加熱物13を挟まず被加熱物接触部39に被加熱物13が非接触の状態で、調理容器50の容器部51内の被加熱物13に被加熱物接触部39を接触(浸漬)させる動作を行った場合には、制御手段18は、ユーザーが容器部51内の被加熱物13の状態を認知する又は攪拌する操作を行うものであると判定する。そして、このようなユーザーの操作を検知した制御手段18は、温度検知手段33の検知温度を表示手段36及び本体表示手段15に表示させる。また、制御手段18は、調理モード設定手段17又は加熱条件設定手段16に、被加熱物13の目標温度が設定されている場合には、温度検知手段33と本体温度検知手段31のいずれか又は両方の出力値に基づいて検知される調理容器50内の被加熱物13の温度が目標温度に近づくように、両者の温度差に応じて加熱手段20の火力制御を行う。
制御手段18は、例えば、次のような情報を順次検知した場合に、ユーザーが菜箸型調理用具40を用いて調理容器50内の被加熱物13の状態を認知する又は攪拌する操作を行ったと判定する。
まず、菜箸型調理用具40は調理容器50の外側に位置しており、ユーザーは菜箸型調理用具40を操作しており、一対の菜箸型調理用具40両方の被加熱物接触部39に被加熱物13が非接触の状態であるということを検知する。
次に、菜箸型調理用具40の位置及び移動情報に基づいて、菜箸型調理用具40が右載置部8に向かって移動して右載置部8に近接した状態となったことを検知する。
次に、菜箸型調理用具40の被加熱物接触部39の温度検知手段33の検知温度に、本体温度検知手段31の温度に近づく所定の変化があったことを検知する。
制御手段18は、このような一連の情報を検知した場合に、菜箸型調理用具40に対して調理容器50内の被加熱物13に接触(浸漬)させる操作(例えば容器部51内の天ぷら油に菜箸型調理用具40の先端をつけて気泡の発生で油温をみる操作)が行われたと判定する。
また、ユーザーが、調理容器50の容器部51内の被加熱物13を菜箸型調理用具40で挟んで搬出した(例えば容器部51内の天ぷら油からコロッケを取り出す操作)場合に、このようなユーザーの操作を検知した制御手段18は、加熱手段20の火力を低下させ容器部51内の被加熱物13が加熱されすぎないように(温度が過度に上昇しないように、また煮詰まらないように)制御する。
制御手段18は、例えば、次のような情報を順次検知した場合に、調理容器50内の被加熱物13が菜箸型調理用具40で挟まれて調理容器50から取り出されたと判定する。
まず、菜箸型調理用具40の被加熱物接触部39が、容器部51内の被加熱物13に接触(浸漬)した状態であることを検知する。
次に、菜箸型調理用具40の位置及び移動情報に基づいて、菜箸型調理用具40が右載置部8から本体1の外側方向へ所定量移動したことを検知する。
次に、一対の被加熱物接触部39の温度検知手段33の検知温度が、所定の範囲で変化してその変化後の状態が所定時間持続したことを検知する。
制御手段18は、このような一連の情報を検知した場合に、調理容器50内の被加熱物13が菜箸型調理用具40で挟まれて調理容器50から取り出されたと判定する。
また、ユーザーが菜箸型調理用具40で挟んだ被加熱物13を調理容器50の容器部51に投入した場合(例えば、菜箸型調理用具40で挟んだ冷凍コロッケが調理容器50に投入された場合)であって、投入された食材等の被加熱物が本体温度検知手段31の検知温度よりも低い場合には、このようなユーザーの操作を検知した制御手段18は、加熱手段20の火力を増加させて容器部51内の被加熱物13の温度の低下を戻す(温度を上昇させる)ように加熱手段20を制御する。
制御手段18は、例えば、次のような情報を順次検知した場合に、調理容器50の容器部51内に、菜箸型調理用具40を用いて被加熱物13が投入されたと判定することができる。
まず、菜箸型調理用具40は調理容器50の外側に位置しており、ユーザーは菜箸型調理用具40を操作しており、菜箸型調理用具40の被加熱物接触部39への被加熱物13の接触状態が、非接触から接触状態に変化して接触状態が所定時間持続していることを検知する。
次に、菜箸型調理用具40の位置及び移動情報に基づいて、菜箸型調理用具40が右載置部8に向かって移動して右載置部8に近接した状態となったことを検知する。
次に、菜箸型調理用具40の両方の被加熱物接触部39の温度検知手段33の検知温度に、所定の変化(温度低下)が生じたことを検知する。
制御手段18は、このような一連の情報を検知した場合に、調理容器50の容器部51内に、被加熱物13が投入されたと判定することができる。そして、容器部51内に投入された被加熱物13の温度が、本体温度検知手段31の検知温度よりも低い場合に、上述のように加熱手段20の火力を増加させて容器部51内の被加熱物13の温度を上昇させる。
なお、火力の増加量は、容器部51の温度と投入された被加熱物13との温度の差に基づいて算出してもよいし、また、被加熱物13の温度に加えて、投入された被加熱物13の大きさも算出に加味してもよい。このようにすることで、温度制御の精度を高めることができる。
(3)調理用具がフライ返し型調理用具41である場合
本体1の右載置部8に調理容器50が載置され、加熱手段20による調理容器50の加熱が行われている状態であるものとする。
ユーザーのフライ返し型調理用具41への接触や、フライ返し型調理用具41の位置又は移動状態の検知に関する動作は、お玉杓子型調理用具38と概ね同様であるが、以下、一例を述べる。
ユーザーが、フライ返し型調理用具41の取手部30をつかむと、操作検知手段37のユーザー接触検知手段371からのセンサ出力及びフライ返し型調理用具41の識別情報が、送受信手段32で無線により本体送受信手段27に伝達され、本体送受信手段27から制御手段18へ情報が送られる。制御手段18は、取得した情報に基づいて、ユーザーがフライ返し型調理用具41を保持していることを認識することができる。
また、右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25が送受信手段32から受信する電波の受信強度、及びその変化に基づいて、制御手段18は、フライ返し型調理用具41のおおよその本体1からの位置及び移動を検知する。
操作検知手段37として3軸の加速度センサからなる移動検知手段372を備えている場合には、3軸の加速度出力から移動速度及び移動量を検知し、検知した情報に基づいてフライ返し型調理用具41の操作情報を検知する。さらに、操作検知手段37の移動検知手段372として角速度センサを備えている場合には、フライ返し型調理用具41の角速度及び角度を検知することができるので、ユーザーのフライ返し型調理用具41に対する多様な操作状態を精度よく検知することができる。
また、本実施の形態2では、被加熱物接触部39に設けられた温度検知手段33は一点であるが、被加熱物接触部39に複数の温度検知手段33を内蔵させてもよい。そのようにすると、被加熱物13が接触する部分と非接触の部分との温度検知手段33の温度差に基づいて、被加熱物13の平均温度又は温度ムラを算出することができる。制御手段18は、算出した被加熱物13の平均温度又は温度ムラの状態に基づいて加熱手段20を制御することで、容器部51内の被加熱物13の仕上がり状態の温度をより均一化することができる。
また、本実施の形態2では、被加熱物接触部39に温度検知手段33を備え、温度検知手段33の検知温度に基づいて、被加熱物13等が被加熱物接触部39に接触しているか否かの変化を検知している。しかし、被加熱物接触部39に圧力センサ又は静電容量センサを内蔵し、温度検知手段33の検知温度に代えて、あるいはこれに加えて、圧力センサ又は静電容量センサの出力値に基づいて、被加熱物接触部39への被加熱物13の接触/非接触状態の検知を行ってもよい。
ユーザーが、フライ返し型調理用具41の被加熱物接触部39に被加熱物13が非接触の状態で、被加熱物接触部39を調理容器50の容器部51内の被加熱物13に接触(浸漬)させる動作を行った場合には、制御手段18は、ユーザーが容器部51内の被加熱物13の状態を認知する又は攪拌する操作を行うものであると判定する。そして、このようなユーザーの操作を検知した制御手段18は、温度検知手段33の検知温度を表示手段36及び本体表示手段15に表示させる。また、制御手段18は、調理モード設定手段17又は加熱条件設定手段16に、被加熱物13の目標温度が設定されている場合には、温度検知手段33と本体温度検知手段31のいずれか又は両方の出力値に基づいて検知される調理容器50内の被加熱物13の温度が目標温度に近づくように、両者の温度差に応じて加熱手段20の火力制御を行う。
また、この状態において、コイル電流検知回路21及び入力電流検知回路22の検知値に基づいて行う負荷判定処理の結果、調理容器50が加熱適正範囲から加熱適正範囲外に移動したことが検知された場合でも、制御手段18は、被加熱物13の攪拌に伴って調理容器28が移動されたものと判定し、加熱手段20の火力を低下させたり停止させたりせず、現状の火力を維持するように制御する。
制御手段18は、例えば、次のような情報を順次検知した場合に、ユーザーがフライ返し型調理用具41を用いて調理容器50内の被加熱物13の状態を認知する又は攪拌する操作を行ったと判定する。
まず、フライ返し型調理用具41は調理容器50の外側に位置しており、ユーザーはフライ返し型調理用具41を操作しており、フライ返し型調理用具41の被加熱物接触部39には被加熱物13が非接触の状態であることを検知する。
次に、フライ返し型調理用具41の位置及び移動情報に基づいて、フライ返し型調理用具41が右載置部8に向かって移動して右載置部8に近接した状態となったことを検知する。
次に、フライ返し型調理用具41の被加熱物接触部39の温度検知手段33の検知温度に、本体温度検知手段31の温度に近づく所定の変化があったことを検知する。
制御手段18は、このような一連の情報を検知した場合に、フライ返し型調理用具41に対して調理容器50内の被加熱物13に接触(浸漬)させる操作(例えば容器部51内で野菜炒め作業中の野菜を攪拌する操作)が行われたと判定する。
(4)調理用具が温度計型調理用具42である場合
本体1の右載置部8に調理容器50が載置され、加熱手段20による調理容器50の加熱が行われている状態であるものとする。
ユーザーの温度計型調理用具42への接触や、温度計型調理用具42の位置又は移動状態の検知に関する動作は、お玉杓子型調理用具38と概ね同様であるが、以下、一例を述べる。
ユーザーが、温度計型調理用具42の取手部30をつかむと、操作検知手段37のユーザー接触検知手段371からのセンサ出力及び温度計型調理用具42の識別情報が、送受信手段32で無線により本体送受信手段27に伝達され、本体送受信手段27から制御手段18へ情報が送られる。制御手段18は、取得した情報に基づいて、ユーザーが温度計型調理用具42を保持していることを認識することができる。
また、右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25が送受信手段32から受信する電波の受信強度、及びその変化に基づいて、制御手段18は、温度計型調理用具42のおおよその本体1からの位置及び移動を検知する。
操作検知手段37として3軸の加速度センサからなる移動検知手段372を備えている場合には、3軸の加速度出力から移動速度及び移動量を検知し、検知した情報に基づいて温度計型調理用具42の操作情報を検知する。さらに、操作検知手段37の移動検知手段372として角速度センサを備えている場合には、温度計型調理用具42の角速度及び角度を検知することができるので、ユーザーの温度計型調理用具42に対する多様な操作状態を精度よく検知することができる。
また、本実施の形態2では、被加熱物接触部39に設けられた温度検知手段33は一点であるが、被加熱物接触部39に複数の温度検知手段33を高さ方向に内蔵させてもよい。そのようにすると、被加熱物13が接触する部分と非接触の部分との温度検知手段33の温度差に基づいて、被加熱物13の平均温度又は温度ムラを算出することができる。制御手段18は、算出した被加熱物13の平均温度又は温度ムラの状態に基づいて加熱手段20を制御することで、容器部51内の被加熱物13の仕上がり状態の温度をより均一化することができる。
また、本実施の形態2では、被加熱物接触部39に温度検知手段33を備え、温度検知手段33の検知温度に基づいて、被加熱物13等が被加熱物接触部39に接触しているか否かの変化を検知している。しかし、被加熱物接触部39に圧力センサや静電容量センサを内蔵し、温度検知手段33の検知温度に代えて、あるいはこれに加えて、圧力センサ又は静電容量センサの出力値に基づいて、被加熱物接触部39への被加熱物13の接触/非接触状態の検知を行ってもよい。
ユーザーが、温度計型調理用具42を被加熱物13に接触させて被加熱物13の温度を確認する操作を行った場合に、このようなユーザーの操作を検知した制御手段18は、被加熱物接触部39の温度検知手段33の検知温度を表示手段36及び本体表示手段15に表示させる。また、制御手段18は、調理モード設定手段17又は加熱条件設定手段16に、被加熱物13の目標温度が設定されている場合には、温度検知手段33と本体温度検知手段31のいずれか又は両方の出力値に基づいて検知される調理容器50内の被加熱物13の温度が目標温度に近づくように、両者の温度差に応じて加熱手段20の火力制御を行う。
制御手段18は、例えば、次のような情報を順次検知した場合に、ユーザーが温度計型調理用具42を用いて被加熱物13の温度を確認する操作を行ったと判定する。
まず、温度計型調理用具42の被加熱物接触部39が、被加熱物13に非接触の状態であることを検知する。
次に、温度計型調理用具42の位置及び移動情報に基づいて、温度計型調理用具42が右載置部8に向かって移動して右載置部8に近接した状態となったことを検知する。
次に、温度計型調理用具42の被加熱物接触部39が被加熱物13に接触(浸漬)したことを検知する。
制御手段18は、このような一連の情報を検知した場合に、温度計型調理用具42に対して調理容器50内の被加熱物13に接触(浸漬)させる操作が行われたと判定する。
以上のように本実施の形態2では、調理用具43の操作検知手段37により検知されたユーザーの操作情報が加熱調理器に送られ、加熱調理器の制御手段18は取得した操作情報に基づいて加熱手段20を制御する。載置部のいずれかで加熱手段20が加熱動作を行っている状態において、例えば、ユーザーが調理用具43をその載置部で被加熱物13に接触させる操作を行った後、加熱動作が継続された状態でユーザーがその調理用具43を所定時間操作していないと判定すると、制御手段18は、火力を低下又は加熱を停止させるように加熱手段20を制御する。このため、加熱を継続することによる焦げ付きを抑制して調理を良好に仕上げることができ、また過度な加熱を抑制して安全性を高めることができる。
また、本実施の形態2では、調理用具43に操作検知手段37を設けたので、実施の形態1で示した専用の調理用具43を使用しなくても市販されている任意の調理容器50で加熱調理を行える。ユーザーは、嗜好に応じた調理容器50を用いることができるので、調理の作業性を向上させることができる。
また、ユーザーの操作を検知する操作検知手段37として、圧力センサ、静電容量センサ、温度センサのいずれか一以上を調理用具43の取手部30に備えた。このため、取手部30をユーザーが握ることによる接触/非接触の圧力の絶対値又は変化、静電容量の変化、又は体温の検知に基づいて、ユーザーが調理用具43を操作していることを検知できる。ユーザーが調理用具43を操作していることを良好に検知できるので、検知した操作情報に基づいて行われる制御手段18の加熱手段20の制御の精度を高めることができ、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、ユーザーの操作を検知する操作検知手段37として、加速度センサ、又は加速度センサと角速度センサの両方を、調理用具43の取手部30に備えた。このため、ユーザーの操作による加速度及びその変化より、調理用具43の移動状態と移動量を精度よく検知できる。加熱調理器の制御手段18は、ユーザーが調理用具43を操作して調理用具43が調理容器50に接近しているのか離脱しているのか等、ユーザーの操作状態を精度良く検知できるので、検知した操作情報に基づいて行われる制御手段18の加熱手段20の制御の精度が高めることができ、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、操作検知手段37として、3軸の加速度センサに加えて3軸の角速度センサを備えることで、調理用具43の回転角速度及び角度の検知が行える。検知した調理用具43の回転角速度に基づいて、回転動作を伴うすくう/振るといったユーザーの調理用具43への操作状態を検知できるので、調理容器50への被加熱物13の追加(食材の投入)/減少(食材の搬出)に動作の検知精度が高まる。
したがって、制御手段18の加熱手段20の制御内容を多様化することができる。また、制御手段18による加熱手段20の制御精度が向上することから、被加熱物13を調理容器50内に追加したときの火力の増加や、被加熱物13を調理容器50から減少させたときの火力の低下といった制御を精度良く行え、調理品質が向上するとともに不要な加熱を無くすことができるので消費電力を低減する効果がある。
また、調理用具43の被加熱物接触部39に温度検知手段33を備え、温度検知手段33で検知した温度情報を、加熱調理器の制御手段18に送信するようにした。被加熱物13と直接接する調理用具43に設けられた温度検知手段33は、被加熱物13の温度を本体温度検知手段31に比べて精度良く検知できるので、制御手段18はより精度の高い加熱手段20の制御を行え、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、調理用具43の被加熱物接触部39に温度検知手段33を備えることから、被加熱物13の温度ムラや平均温度を検知でき、制御手段18はより精度の高い加熱手段20の制御を行え、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、お玉杓子型調理用具38においては、凹型の被加熱物接触部39に複数の温度検知手段33を設けることで、各温度検知手段33の検知温度の差に基づいて凹型の被加熱物接触部39に保持されている被加熱物13の量を検知することができる。制御手段18は、凹型の被加熱物接触部39に保持されている被加熱物13の量を検知することで、調理容器50への被加熱物13の投入量/搬出量を検知でき、その量に応じて加熱手段20を制御できる。制御手段18は、調理容器50内の被加熱物13の温度低下や過加熱を抑制するように制御することができ、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、本体1に本体送受信手段27を構成する右アンテナ体23、左アンテナ体24、及び中央アンテナ体25の3ヵ所以上のアンテナ体を備えたので、調理用具43の送受信手段32からの電波の受信強度及びの変化量から、調理用具43の移動状態及び位置を検知することができる。したがって、トッププレート4に複数の載置部がある場合に、調理用具43はどの載置位置に配置された調理容器50の被加熱物13を操作したか(接触したか)を検知できる。制御手段18は、右載置部8、左載置部9、中央載置部10のどの載置部に対応した加熱手段20を制御するかを適切に判断できるので、誤動作を防ぎ安全性を高める効果がある。また、調理用具43の移動状態及び調理用具43が所定時間停止している状態かを検知することにより、ユーザーが調理用具43を操作している状態であるか、不操作状態であるかを検知することができ、操作検知手段37の検知結果と組み合わせることでユーザーの操作状態の検知精度を高めることができる。したがって、検知した操作情報に基づいて行われる制御手段18の加熱手段20の制御の精度を高めることができ、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。
また、本体1に給電手段である加熱コイル26を備え、調理用具43に受電手段34である受電コイルと蓄電手段35を備え、加熱コイル26から発生する磁束を受電手段34であるコイルで電力に変換し蓄電手段35に蓄電するとともに、蓄電手段35の電力により操作検知手段37と送受信手段32のいずれか又は両方を動作させるようにした。このため、調理用具43に電力供給のためのケーブルを配線することや電力供給のための電池を備える必要が無い。給電用のケーブルが不要であるので、調理用具43の操作性及びメンテナンス性を高めることができ、また、電池の交換が不要であるのでユーザーの電池交換に伴う手間の煩雑さを軽減できる効果がある。
また、調理用具43はお玉杓子型調理用具38又は菜箸型調理用具40であり、調理用具43から加熱調理器ら制御手段18に送られる識別情報には、その調理用具43の種別(お玉杓子又は菜箸)を特定する情報が含まれる。制御手段18は、操作部6に入力された火力で加熱動作中に、操作検知手段37の検知結果に基づいて、ユーザーが調理用具43に被加熱物13を保持した状態から調理容器50へ被加熱物13を投入したことを検知した場合には、加熱手段20の火力を維持又は所定量増加させるよう制御する。このため、調理容器50内に新たな被加熱物13を投入することによる調理容器50内の被加熱物13の温度低下を短時間で解消でき、調理時間を短縮できるとともに、適切な温度で調理が行われ良好な調理効果と仕上がりを得ることができる。
また、調理用具43はお玉杓子型調理用具38又は菜箸型調理用具40であり、調理用具43から加熱調理器ら制御手段18に送られる識別情報には、その調理用具43の種別(お玉杓子又は菜箸)を特定する情報が含まれる。制御手段18は、操作部6に入力された火力で加熱動作中に、操作検知手段37の検知結果に基づいて、ユーザーが調理用具43に被加熱物13を保持した状態から調理容器50へ被加熱物13を搬出したことを検知した場合には、加熱手段20の火力を維持又は所定量低減させるよう制御する。このため、量が少なくなった調理容器50内の被加熱物13の過加熱による不要な温度上昇や煮詰まりを軽減でき、適切な温度及び火加減で調理が行われ、良好な調理効果と仕上がりを得ることができる。また、不要な加熱が抑制されエネルギー消費を低減する効果がある。
また、調理用具43はフライ返し型調理用具41であり、調理用具43から加熱調理器ら制御手段18に送られる識別情報には、その調理用具43の種別(フライ返し)を特定する情報が含まれる。制御手段18は、操作部6に入力された火力で加熱動作中に、操作検知手段37のユーザー接触検知手段371の出力からユーザーが調理用具43に接触している状態と判定し、また移動検知手段372を備える場合はユーザーが調理用具43を操作中であると判定した場合であって、被加熱物接触部39が調理容器50内の被加熱物13と接触していると判定した場合には、調理容器50内の被加熱物13を調理用具43で攪拌中であると判定する。そして、攪拌中の所定時間は、本体1のコイル電流検知回路21及び入力電流検知回路22の出力基づいて行われる負荷検知処理の結果が無負荷であることを示していても、制御手段18は、加熱手段20を停止せず、操作部6に入力された火力で加熱動作を継続する。したがって、不要な加熱動作の停止が行われず、継続して加熱動作が行われ火力が低下しないことから、ユーザーの調理操作の快適性が向上するとともに、調理時間が短縮できとともに、火力低下又は停止による調理品質と仕上りの低下が抑制され良好な調理効果が得られる。
また、調理用具43は、お玉杓子型調理用具38、菜箸型調理用具40、フライ返し型調理用具41、又は温度計型調理用具42であり、調理用具43から加熱調理器ら制御手段18に送られる識別情報には、その調理用具43の種別(お玉杓子、菜箸、フライ返し、又は温度計)を特定する情報が含まれる。そして、操作検知手段37の検知結果に基づいて、ユーザーが調理用具43の被加熱物接触部39をトッププレート4に載置された調理容器50内の被加熱物13に接触させたことを検知した場合、被加熱物接触部39に設けられた温度検知手段33が検知する被加熱物13の温度情報が、送受信手段32により本体1の制御手段18に伝送され、制御手段18は、取得した温度情報に基づいて加熱手段20を制御する。被加熱物13と直接接する調理用具43に設けられた温度検知手段33は、被加熱物13の温度を本体温度検知手段31に比べて精度良く検知できるので、制御手段18はより精度の高い加熱手段20の制御を行え、調理品質及び仕上がり状態を向上させ、安全性を高める効果がある。また、温度検知の時間遅れが軽減され、制御手段18はより速いタイミングで加熱手段20を制御することができるので、不要な加熱が減り消費電力を低減できるとともに、仕上り温度精度が上るので調理品質、仕上り状態、及び安全性を高める効果が得られる。
なお、上記実施の形態1及び実施の形態2では、それぞれ、調理容器28を用いた加熱調理と調理用具43を用いた加熱調理を説明したが、調理容器28と調理用具43の両方を用いて加熱調理を行ってもよい。この場合、制御手段18は、調理容器28と調理用具43それぞれから送信される情報を、所定のアルゴリズムで組み合わせ、あるいは取捨選択して、加熱手段20の制御に用いる。調理容器28と調理用具43の両方の操作情報や温度情報を用いることで、多くの種類の詳細なユーザーの操作状態を検知することができる。また、詳細にユーザーの操作状態を検知できるので、その検知情報に基づいてより細かく加熱手段20の制御を行え、制御の判定精度を高めることができる。
なお、調理容器28から出力される操作情報に基づく制御と、調理用具43から出力される操作情報に基づく制御とを同時に実行することができない場合には、予め設定された優先度に基づいていずれかが選択される。又は、調理容器28から出力される操作情報と調理用具43から出力される操作情報の両方に基づく制御シーケンスを設けてもよい。
また、加熱調理器は、その用途に応じ、上記実施の形態1及び実施の形態2で例示した調理器具(鍋、フライパン、中華鍋、天ぷら鍋、玉じゃくし、菜箸、フライ返し、温度計)の一部にのみ対応した加熱調理機能を備えてもよい。