JP2008033283A - 感光性ポリイミド前駆体組成物及びこれを用いた電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、電気特性、機械的特性及び不燃性等の特性を有し、密着性や柔軟性等に優れ、成形時の反りの小さいカバーレイフィルムを成形することができ、かつ弱アルカリ性の無機アルカリ溶液で現像することができる感光性ポリイミド樹脂組成物。
【解決手段】感光性ポリイミド前駆体組成物は、少なくとも1種のポリイミド前駆体、感光剤及び極性有機溶媒を含有する。ポリイミド前駆体は、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、水素、ハロゲン基、カルボキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシ基より選択される置換基を有するジフェニルジアミン及び置換基を有しないトリフェニルジアミンのうち少くとも1種のジアミンとの重合により得られる。
【選択図】なし
【解決手段】感光性ポリイミド前駆体組成物は、少なくとも1種のポリイミド前駆体、感光剤及び極性有機溶媒を含有する。ポリイミド前駆体は、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、水素、ハロゲン基、カルボキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシ基より選択される置換基を有するジフェニルジアミン及び置換基を有しないトリフェニルジアミンのうち少くとも1種のジアミンとの重合により得られる。
【選択図】なし
Description
本発明は、感光性ポリイミド前駆体組成物、及びこの感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて形成されるカバーレイフィルム(回路保護フィルム)等を備える電子部品に関する。
フレキシブルプリント配線板(以下「FPC」と称する)用のカバーレイフィルムは、銅貼積層板(以下「CCL」と称する)を用いて形成された導体回路パターンの回路保護を目的として使用される。このカバーレイフィルムの取付方法としては、「片面が接着剤処理されたポリイミド樹脂等のカバーレイフィルムの所定の位置に予め穴開け加工しておき、そのカバーレイフィルムを、回路が形成されたCCL板に熱ラミネートあるいはプレス等する」という方法が一般的に用いられている。
しかし、FPCの回路の微細化が急速に進行している現在において、「カバーレイフィルムに予めFPCの回路の端子部や部品との接合部に合致する穴や窓を形成した後に回路パターンとの位置合わせをしながらカバーレイフィルムをCCL板に貼り付ける」という方法には、作業性や位置精度の点から限界があり、歩留りが悪く、工程も繁雑であるという問題がある。
また、他の方法として、「回路を形成したFPCに、片面が接着剤処理されたフィルムを熱圧着した後にレーザーエッチング等によりカバーレイフィルムの所定の位置においてカバーレイフィルムのみに穴をあける」という方法もある。この方法では、回路パターンに対する穴開け位置の精度を高めることができるが、穴開け処理に時間がかかり、製造コストが高くなるという問題がある。また、この方法を実施するためには高価な処理装置が必要になるという問題もある。
このような問題に対して、近年、感光性カバーレイフィルムを用いる方法や、感光性樹脂組成物を用いる方法が提案されている。前者の方法では感光性カバーレイフィルムを、回路が形成されたCCL上に熱圧着した後にその感光性カバーレイフィルムの上にフォトマスクパターンをのせて露光し、薬液で現像することにより、感光性カバーレイフィルムの所定の位置に精度良く穴をあけることができる。なお、このカバーレイフィルムは、回路の絶縁フィルム及び保護フィルムとしての役割を果たす。また、後者の方法では、回路が形成されたCCL板上に感光性樹脂組成物を塗布・乾燥した後にその感光性樹脂組成物の乾燥塗膜の上にフォトマスクパターンをのせ、近紫外線等で露光し、弱アルカリ性溶液で現像した後、その乾燥塗膜を熱硬化することによってカバーレイフィルムが成形される。なお、このようにして形成された塗膜は、電気回路の絶縁膜あるいは保護膜としての役割を果たす。
ところで、このようなカバーレイフィルムには、FPC基板との接着力、電気絶縁性、柔軟性、不燃性及び耐熱性等、多くの特性が要求される。また、カバーレイフィルムが感光性樹脂組成物から形成される場合には更に成形時の反り(カール)の低減等が要求される。そして、近年、穴開け加工時の位置の精度や製造コスト等の面から感光性樹脂組成物を用いてカバーレイフィルムを形成する方法が主流になってきている。
従来、このような感光性樹脂組成物として、基板との密着性が高く成形時の反りの小さい感光性ポリイミド樹脂組成物や感光性ポリイミド前駆体組成物が提案されている(例えば、特許文献1及び4参照)。また、耐熱性、難燃性及び耐屈曲性に優れたカバーレイフィルムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、基板との接着力を改善するためにシランカップリング剤を配合した感光性樹脂組成物も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、これらの従来技術では、ポリイミド樹脂にウレタン、シロキサン、あるいはエポキシ等を混合したり共重合したりしているために、本来ポリイミド樹脂が有している電気特性、機械的特性及び耐熱性等の優れた特性が損なわれ、半田付け加工に対する耐熱性や、絶縁耐力、不燃特性等が低下してしまう等の問題があった。さらに、従来技術では感光性樹脂の現像剤として有機溶剤あるいは有機アルカリ溶液が使用されるため、従来技術には環境および作業安全上の問題も懸念される。このような現実において、上述した要求特性を全て満たすカバーレイフィルムは未だ開発されておらず、産業界では、ポリイミド樹脂の優れた特性を有するカバーレイフィルムを作製でき、且つ、環境汚染の心配が少ない弱アルカリ性の無機アルカリ水溶液で現像が可能である感光性ポリイミド樹脂組成物や感光性ポリイミド前駆体組成物が嘱望されている。
特開2004−285129号公報
特開2003−287886号公報
特開平10−20499号公報
特開2002−206056号公報
本発明の課題は、本来ポリイミド樹脂が有する耐熱性、電気特性、機械的特性及び不燃性等の特性を有し、密着性や柔軟性等に優れ、成形時の反りの小さいカバーレイフィルムを成形することができ、かつ弱アルカリ性の無機アルカリ溶液で現像することができる感光性ポリイミド前駆体組成物を提供することにある。また、本発明の別の課題は、その感光性ポリイミド前駆体組成物を用いた電子部品を提供することにある。
本発明に係る感光性ポリイミド前駆体組成物は、少なくとも1種のポリイミド前駆体(つまり、ポリイミド前駆体は、ブレンド物であってもかまわない)、感光剤及び極性有機溶媒を含有する。ポリイミド前駆体は、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、下記化学式(I)式及び下記化学式(II)で示される芳香族ジアミンのうち少なくとも1種の芳香族ジアミンとの重合により得られる。
なお、このような感光性ポリイミド前駆体組成物は、露光部と非露光部とのアルカリ溶解性に差が出にくく十分な解像度を得ることが難しいとされている(例えば、『早瀬修二及び和田守叶著,「エレクトロニクス産業と有機ファインケミカルの役割」,ファインケミカル,Vol.28,No.10,1999年6月15日号,1999年,p44−45』や『Shizu Hayase, Kei Takano, Yukihiro Mikogami, and Yoshihiko Nakao, "High-Temperature-Post-Exposure Bake Process (HIT-PEB) for Base-Developable Polyimides Consisting of Diazonaphthoquinones and Polyamic Acids", J Electrochem. Soc., Vol. 138, No.12, December 1991, p.3625』、『日本ポリイミド研究会編,「最新ポリイミド−基礎と応用−」,2002年,p344』、『Osamu Haba, Masaki Okazaki, Tomonari Nakayama and Mitsuru Ueda, "Positive-Working Alkaline-Developable Photosensitive Polyimide Precursor Based on Poly(amic acid) and Dissolution Inhibitor", Journal of Photopolymer Science and Technology Vol.10, No.1, 1997, p55-60』など参照)。したがって、本発明は、このような技術常識を覆した極めて先進的なものであると言える。
また、本発明において、少なくとも1種のポリイミド前駆体は、下記化学式(III)で示される構成単位、下記化学式(IV)で示される構成単位、下記化学式(V)で示される構成単位及び下記化学式(VI)で示される構成単位より成る群から選択される少なくとも一種の構成単位から構成されるのが好ましい。
また、本発明において、ポリイミド前駆体は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを極性有機溶媒中で反応させることによって得られ、ポリスチレン換算重量平均分子量が10万以上20万以下の範囲であることが好ましい。
また、本発明において、感光性ポリイミド前駆体組成物は、露光されなかった場合の無機アルカリ溶液への溶解速度に対する露光された場合の無機アルカリ溶液への溶解速度の比が2.5以上であるのが好ましい。また、かかる場合において、露光されなかった場合の無機アルカリ溶液への溶解速度は0.020μm/sec以下であるのが好ましい。その一方、露光された場合の無機アルカリ溶液への溶解速度は0.015μm/sec以上であるのが好ましい。
また、本発明において、感光剤は、1、2‐ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸エステル化合物及び1、2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸エステル化合物のいずれか1つ又はこれらの混合物であるのが好ましい。なお、これらの感光剤は、405nmを中心とする吸収波長を有する。また、これらの感光剤のエステル化率は1.6mol%以上2.4mol%以下であるのが好ましい。また、かかる場合において、1,2‐ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸エステル化合物は1,2‐ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸とヒドロキシベンゾフェノンとのエステル化合物であるのが好ましく、1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸エステル化合物は、1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸とヒドロキシベンゾフェノンとのエステル化合物であるのが好ましい。また、1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸は1,2‐ナフトキノン−(2)−ジアジド‐5‐スルホン酸であるのが好ましく、ヒドロキシベンゾフェノンは2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンであるのが好ましい。
また、本発明において、感光剤は、ポリイミド前駆体の固形分100重量部に対して、20重量部以上80重量部未満を占めるのが好ましい。
また、本発明において、上述したような感光性ポリイミド前駆体組成物は、カバーレイフィルム等の原材料として電子部品等に応用することができる。例えば、導体回路パターン上に感光性ポリイミド前駆体組成物を塗布・乾燥しその塗膜を無機アルカリ水溶液で現像した後にその塗膜中のポリイミド前駆体をイミド転化すればポリイミド製のカバーレイフィルムを作製することができる。
基板上に実装された電子部品等に、絶縁膜等として本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物を形成しイミド化させた場合、その絶縁膜等は、純粋なポリイミド樹脂のみで構成されることになる。このため、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物を利用すれば、耐熱性、電気特性、機械的特性に優れ、不燃性であり、高い電気絶縁性及び半田耐熱性を有するカバーレイフィルムを成形することができる。また、このカバーレイフィルムは、近紫外線で露光した後に弱アルカリ性の無機アルカリ水溶液で洗浄されることにより所望の形に現像することができる。このため、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物を利用すれば、環境汚染が少なく、作業性や解像度等に優れたカバーレイフィルムを提供することができる。また、特に、ポリイミド前駆体に上記化学式(VI)で示される構成単位が含まれると反り(カール)が抑制されることが本願発明者らの検証により明らかになっている。
本発明に係る感光性ポリイミド前駆体組成物は、少なくとも1種のポリイミド前駆体(つまり、ポリイミド前駆体は、ブレンド物であってもかまわない)、感光剤及び極性有機溶媒を含有する。ポリイミド前駆体は、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、下記化学式(I)式及び下記化学式(II)で示される芳香族ジアミンのうち少なくとも1種の芳香族ジアミンとの重合により得られる。
本発明に利用可能なジアミンとしては4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、1,3‐ビス‐(3‐アミノフェノキシ)ベンゼン及びジアミノベンゾアニリド等が挙げられ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。
また、本発明に利用可能な芳香属テトラカルボン酸二無水物としては3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ジフェニルスルホキシドテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ジフェニル(2,2−イソプロピリデン)テトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホキシドテトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホントラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ジフェニルスルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニル(2,2−イソプロピリデン)テトラカルボン酸二無水物、4,4'‐(ヘキサフルオロイソプロピル)フタル酸二無水物、ビスフェノール酸二無水物及び2,2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン二無水物等が挙げられ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。なお、本発明において、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、2,2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン二無水物が特に好ましい。また、本発明において、少なくとも1種のポリイミド前駆体は、下記化学式(III)で示される構成単位、下記化学式(IV)で示される構成単位、下記化学式(V)で示される構成単位及び下記化学式(VI)で示される構成単位より成る群から選択される少なくとも一種の構成単位から構成されるのが特に好ましい。
本発明において有用な極性有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジエトキシエタン、ジメチルスルホキシド及びスルホラン等が挙げられる。好ましい溶媒はN,N−ジメチルアセトアミドである。これらの溶媒は単独で又は混合物して用いることができる。また、これらの溶媒はトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素、メタノールやエタノール等のアルコール等の他の溶媒と混合して用いることができる。
また、本発明に係る感光性ポリイミド前駆体組成物は、ポリスチレン換算重量平均分子量が10万以上20万以下であることが好ましい。ところで、カバーレイフィルムは、CCLを用いて形成された導体回路パターン上に本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物を所定の厚みで塗布し乾燥した後に、その塗膜の上にフォトマスクパターをのせ、近紫外線によりその塗膜を露光した後、その塗膜を弱アルカリ溶液で洗浄して現像することにより所定の位置に穴や窓を開け、さらに、加熱してイミド化を完結させることにより形成される。このようなカバーレイフィルム成形工程において、ポリイミド前駆体の分子量が10万以下であると現像工程においてアルカリ溶液による塗膜の溶出が大きく、精度の高い穴や窓を開けることが難しくなり、逆に分子量が20万を越えると弱アルカリ溶液では現像しにくくなり穴形状の精度を高めることが難しく、高濃度のアルカリ溶液を用いるとカバーレイフィルム全体の特性が劣化するため好ましくない。
ポリイミド前駆体の分子量は、芳香属テトラカルボン酸二無水物と芳香属ジアミンの混合割合を代えることによって調整することができる。本発明において好ましい分子量を得るための混合割合は80:100〜99:100である。なお、この混合割合はテトラカルボン酸二無水物及び芳香属ジアミンのいずれが多くてもよい。
また、ポリイミド前駆体は、主に、下記化学式(VII)で示されるユニットから構成されるのが好ましい。
このようなポリイミド前駆体から得られるカバーレイフィルムはポリイミド本来の優れた特性を有すると共に、柔軟であり、比較的低い温度でイミド化ができるからである。また、このようなポリイミド前駆体は、モノマーが安価であるため、電子部品の低コスト化に貢献することができる。
また、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物において、感光剤は、1,2‐ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸エステル化合物及び1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸エステル化合物のいずれか1つまたはこれらの混合物であることが好ましい。なお、これらの感光剤は、405nmを中心とする吸収波長を有する。また、これらの感光剤のエステル化率は1.6mol%以上2.4mol%以下であるのが好ましい。これらの感光剤のエステル化率が1.6mol%未満であると、十分な現像性を得ることができないためである。また、感光剤のエステル化率が2.4mol%よりも大きいと、先と同様に十分な現像性を得ることができないからである。また、かかる場合において、1,2‐ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸エステル化合物は1,2‐ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸とヒドロキシベンゾフェノンとのエステル化合物であるのが好ましく、1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸エステル化合物は、1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸とヒドロキシベンゾフェノンとのエステル化合物であるのが好ましい。また、1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸は1,2‐ナフトキノン−(2)−ジアジド‐5‐スルホン酸であるのが好ましく、ヒドロキシベンゾフェノンは2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンであるのが好ましい。これらの感光剤を用いれば、近紫外線の照射により高い露光効率を得ることができるからである。
また、このような感光剤は、ポリイミド前駆体の固形分100重量部に対して、20重量部以上80重量部未満を占めるのが好ましい。感光剤量が30重量部以下になると充分な感光性が得られず、逆に、感光剤量が80重量部を超えるとポリイミドの特性に悪影響を与えるため好ましくないからである。
また、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物には、銅配線回路の酸化などを防止するために、防錆剤を添加することができる。例えば、ベンゾトリアゾールあるいはその誘導体などが防錆剤として挙げられる。防錆剤は、感光性ポリイミド前駆体組成物の固形分100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下添加するのが好ましい。
また、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物には、スクリーン印刷後の平滑性を向上させるために、消泡剤あるいはレベリング剤などを添加することができる。例えば、オルガノポリシロキサン、ポリアクリル酸エステル、又はポリビニルエーテルなどが消泡剤あるいはレベリング剤として挙げられる。なお、これらの消泡剤あるいはレベリング剤のうち溶解度パラメータδが7.3cal/cm3以上9.4cal/cm3以下を示し、且つ、表面張力γが0.020N/cm以上0.035N/cm以下を示すものが特に好ましい。また、これらの消泡剤あるいはレベリング剤は、単独で使用してもよいし混合して使用してもよい。消泡剤あるいはレベリング剤は、感光性ポリイミド前駆体組成物の固形分100重量部に対して0.01から5重量部添加するのが好ましい。そして、感光性ポリイミド前駆体組成物に消泡剤やレベリング剤を添加した場合には、スクリーン印刷後に20mg/分以上70mg/分以下の溶媒揮発速度で10分以上塗膜を乾燥させ、その後にその塗膜をイミド転化させるのが好ましい。このようにすれば、スクリーン印刷後の塗膜の平滑性を向上させることができる。
また、このような感光性ポリイミド前駆体組成物は、カバーレイフィルム等の原材料として電子部品等に応用することができる。例えば、CCLを用いて形成された導体回路パターン上に上記感光性ポリイミド前駆体組成物を10〜100μmの範囲の厚みで塗布し100度C前後の温度で乾燥した後にその塗膜の上にフォトマスクパターをのせ、波長400nm近辺の近紫外線によりその塗膜を露光した後、その塗膜を無機アルカリ水溶液で現像することにより所定の位置に穴や窓を開け、さらにその後、その塗膜中のポリイミド前駆体を200〜250度Cの温度でイミド転化すればFPC用のポリイミド製カバーレイフィルムを作製することができる。
なお、ポストベイクの温度は銅などの電気回路の酸化を防ぐためには低い方が好ましい。このため、感光性ポリイミド前駆体組成物に予め3−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシ安息香酸、ベンズイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシフェニル酢酸、3−フェノールスルホン酸、4‐ヒドロキシピリジン等のイミド化剤を混合しておくことが好ましい。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)感光性ポリイミド前駆体組成物の調製
500mLの3つ口フラスコに攪拌羽を取り付けて合成容器を組み立てた。そして、その合成容器に、固形分が17質量%となるように和光純薬工業社製のピロメリット酸二無水物(以下「PMDA」と称する)32.68g(0.1498mol)と、三菱ガス化学社製のN−メチルピロリドン(以下「NMP」と称する)306.2gとを投入した後、その合成容器の内容物を60℃に加熱して2時間撹拌し、PMDA溶液を得た。その後、そのPMDA溶液に和光純薬工業社製の4,4'−ジアミノジフェニエーテル(以下「ODA」と称する)30.00g(0.1498mol)を加え、さらにその内容物を60℃で1時間撹拌してポリアミック酸溶液を得た。そして、このポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対して1,2‐ナフトキノン−(2)−ジアジド‐4‐スルホン酸と2,3,4−トリベンゾフェノンのエステル化合物(以下「NQDエステル化合物」という)(エステル化率2mol%)(NT−200(東洋合成社製))が20重量部となるように、ポリアミック酸溶液にNQDエステル化合物を混合し、感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表1参照)。なお、この感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は160ポイズであった。
500mLの3つ口フラスコに攪拌羽を取り付けて合成容器を組み立てた。そして、その合成容器に、固形分が17質量%となるように和光純薬工業社製のピロメリット酸二無水物(以下「PMDA」と称する)32.68g(0.1498mol)と、三菱ガス化学社製のN−メチルピロリドン(以下「NMP」と称する)306.2gとを投入した後、その合成容器の内容物を60℃に加熱して2時間撹拌し、PMDA溶液を得た。その後、そのPMDA溶液に和光純薬工業社製の4,4'−ジアミノジフェニエーテル(以下「ODA」と称する)30.00g(0.1498mol)を加え、さらにその内容物を60℃で1時間撹拌してポリアミック酸溶液を得た。そして、このポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対して1,2‐ナフトキノン−(2)−ジアジド‐4‐スルホン酸と2,3,4−トリベンゾフェノンのエステル化合物(以下「NQDエステル化合物」という)(エステル化率2mol%)(NT−200(東洋合成社製))が20重量部となるように、ポリアミック酸溶液にNQDエステル化合物を混合し、感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表1参照)。なお、この感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は160ポイズであった。
(2)平均分子量の測定
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によりポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算による重量平均分子量を算出した結果、このポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった(表1参照)。なお、本測定において、測定装置として日本ウォーターズ製の2695クロマトグラフを採用し、カラムとして「Styragel」(登録商標)HT3,HT4,HT5を連結したものを採用し、移動相として30mMりん酸のジメチルアセトアミド溶液を採用した。また、移動相の添加速度を1mL/minとし、測定温度を室温(23度C)とした。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によりポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算による重量平均分子量を算出した結果、このポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった(表1参照)。なお、本測定において、測定装置として日本ウォーターズ製の2695クロマトグラフを採用し、カラムとして「Styragel」(登録商標)HT3,HT4,HT5を連結したものを採用し、移動相として30mMりん酸のジメチルアセトアミド溶液を採用した。また、移動相の添加速度を1mL/minとし、測定温度を室温(23度C)とした。
(3)現像性の評価
銅貼積層板エスパネックスM(新日鐵化学社製)に感光性ポリイミド前駆体組成物をスクリーン印刷した後、その塗膜を40度Cの温度で20分間、続いて80度Cの温度で10分間乾燥し一次イミド化被膜を形成した。そして、この一次イミド化被膜上にフォトマスクパターンを置いた後、一次イミド化被膜に400nmの近紫外線を30分間照射した。次に、その一次イミド化被膜の露光部分と非露光部分の厚み(以下「現像前厚み」という)をダイヤルゲージにより測定した。続いて、その一次イミド化被膜を0.5wt%炭酸ナトリウム水溶液で3分感現像し、現像液を水で洗い流した。そして、現像後の一次イミド化被膜を風乾で十分に乾燥させた後、現像前と同じ露光部分と非露光部分の厚み(以下「現像後厚み」という)をダイヤルゲージにより測定した。そして、現像前厚みから現像後厚みを引いた値を現像時間で除した値を溶解速度とした。
銅貼積層板エスパネックスM(新日鐵化学社製)に感光性ポリイミド前駆体組成物をスクリーン印刷した後、その塗膜を40度Cの温度で20分間、続いて80度Cの温度で10分間乾燥し一次イミド化被膜を形成した。そして、この一次イミド化被膜上にフォトマスクパターンを置いた後、一次イミド化被膜に400nmの近紫外線を30分間照射した。次に、その一次イミド化被膜の露光部分と非露光部分の厚み(以下「現像前厚み」という)をダイヤルゲージにより測定した。続いて、その一次イミド化被膜を0.5wt%炭酸ナトリウム水溶液で3分感現像し、現像液を水で洗い流した。そして、現像後の一次イミド化被膜を風乾で十分に乾燥させた後、現像前と同じ露光部分と非露光部分の厚み(以下「現像後厚み」という)をダイヤルゲージにより測定した。そして、現像前厚みから現像後厚みを引いた値を現像時間で除した値を溶解速度とした。
また、現像後の一次イミド化被膜を風乾で十分に乾燥させた後、120度Cで30分、さらに200℃で30分加熱してホストベイクを行った。そして、目視で現像性について確認した。結果を表2に示す。なお、現像が極めて良好である場合は「◎」の記号を、現像が比較的良好である場合は「○」の記号を、現像が不良である場合は「×」の記号を付した。
(4)その他の物性の評価
銅貼積層板エスパネックスM(新日鐵化学社製)に感光性ポリイミド前駆体組成物をスクリーン印刷した後、その塗膜を80度Cの温度で10分間乾燥し一次イミド化被膜を形成した。なお、このときの一次イミド化被膜の厚みは15μmであった。そして、この一次イミド化被膜上にフォトマスクパターンを置いた後、一次イミド化被膜に400nmの近紫外線を30分間照射した。次に、この一次イミド化被膜を0.5wt%炭酸ナトリウム水溶液で現像した後、120度Cで30分、さらに200℃で30分加熱してホストベイクを行った。
銅貼積層板エスパネックスM(新日鐵化学社製)に感光性ポリイミド前駆体組成物をスクリーン印刷した後、その塗膜を80度Cの温度で10分間乾燥し一次イミド化被膜を形成した。なお、このときの一次イミド化被膜の厚みは15μmであった。そして、この一次イミド化被膜上にフォトマスクパターンを置いた後、一次イミド化被膜に400nmの近紫外線を30分間照射した。次に、この一次イミド化被膜を0.5wt%炭酸ナトリウム水溶液で現像した後、120度Cで30分、さらに200℃で30分加熱してホストベイクを行った。
(a)屈曲性の評価
上述のようにして作製したカバーレイフィルムの特定箇所を繰り返し折り曲げ、カバーレイフィルムが割れたときの折り曲げ回数を計測した。結果を表2に示す。なお、折り曲げ回数が2回以下である場合は「×」の記号を、2以上20回未満である場合は「○」の記号を、20回以上である場合は「◎」の記号を付した。
上述のようにして作製したカバーレイフィルムの特定箇所を繰り返し折り曲げ、カバーレイフィルムが割れたときの折り曲げ回数を計測した。結果を表2に示す。なお、折り曲げ回数が2回以下である場合は「×」の記号を、2以上20回未満である場合は「○」の記号を、20回以上である場合は「◎」の記号を付した。
(b)密着性の評価
密着性の評価は、JIS5400 碁盤目法に従って行った。具体的には、上述のようにして作製したカバーレイフィルムにカッター等の刃物で2mm間隔に縦横6本の切り目を入れて計25個の2mm角の樹脂片を形成し(以下、この部分を「碁盤目部分」という)、その碁盤目部分に対してセロハン粘着テープを付した後、指で強く押さえてそのセロハン粘着テープを碁盤目部分によく密着させる。その後、そのセロハン粘着テープを上方に引き剥がし、剥がれたフィルム片の数をカウントする。結果を表2に示す。なお、剥がれたフィルム片が20以上である場合は「×」の記号を、5〜20である場合は「○」の記号を、5以下である場合は「◎」の記号を付した。
密着性の評価は、JIS5400 碁盤目法に従って行った。具体的には、上述のようにして作製したカバーレイフィルムにカッター等の刃物で2mm間隔に縦横6本の切り目を入れて計25個の2mm角の樹脂片を形成し(以下、この部分を「碁盤目部分」という)、その碁盤目部分に対してセロハン粘着テープを付した後、指で強く押さえてそのセロハン粘着テープを碁盤目部分によく密着させる。その後、そのセロハン粘着テープを上方に引き剥がし、剥がれたフィルム片の数をカウントする。結果を表2に示す。なお、剥がれたフィルム片が20以上である場合は「×」の記号を、5〜20である場合は「○」の記号を、5以下である場合は「◎」の記号を付した。
(c)燃焼性の評価
燃焼性の評価は、UL94VTM−0に従って行った。具体的には、アルコールバーナーの炎中に、上述のようにして作製したカバーレイフィルムを10秒間曝すことにより行った。結果を表2に示す。なお、フィルムに火がついた場合には「×」の記号を、フィルムに火がつかなった場合には「○」の記号を付した。
燃焼性の評価は、UL94VTM−0に従って行った。具体的には、アルコールバーナーの炎中に、上述のようにして作製したカバーレイフィルムを10秒間曝すことにより行った。結果を表2に示す。なお、フィルムに火がついた場合には「×」の記号を、フィルムに火がつかなった場合には「○」の記号を付した。
(d)カール性の評価
上述のようにして作製したカバーレイフィルムを40mm□にカットして、カール度合いを鋼尺で測定した。結果を表2に示す。なお、カール度合いが5mm未満である場合は「◎」の記号を、5〜20mmである場合は「○」の記号を、20mmよりも大きい場合は「×」の記号を付した。
上述のようにして作製したカバーレイフィルムを40mm□にカットして、カール度合いを鋼尺で測定した。結果を表2に示す。なお、カール度合いが5mm未満である場合は「◎」の記号を、5〜20mmである場合は「○」の記号を、20mmよりも大きい場合は「×」の記号を付した。
ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を32重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表1参照)。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は200ポイズであった。各種評価の結果を表2に示す。
NQDエステル化合物のエステル化率を1.6mol%とし、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を50重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった(表1参照)。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は210ポイズであった。各種評価の結果を表2に示す。
NQDエステル化合物のエステル化率を2.4mol%とし、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を50重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった(表1参照)。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は180ポイズであった。各種評価の結果を表2に示す。
生成するポリアミック酸のポリスチレン換算重量平均分子量が120,000g/molとなるようにODAの投入量を変更し、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を70重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表1参照)。各種評価の結果を表2に示す。
目標固形分を18質量%に代え、PMDA32.68gをダイセル化学工業(株)製の3,4,3‘,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下「BTDA」と称する)12.89g(0.04mol)に代え、NMPの添加量を94.85gに代え、ODA30.00gを和光純薬工業社製のメチレンジアニリン(以下「MDA」と称する)7.93g(0.04mol)に代え、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を30重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、110,000g/molであった。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は100ポイズであった。各種評価の結果を表2に示す。
目標固形分を18質量%に代え、PMDA32.68gをBTDA12.89g(0.04mol)に代え、NMPの添加量を94.85gに代え、ODA30.00gをMDA7.93g(0.04mol)に代え、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を50重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表1参照)。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、110,000g/molであった。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は100ポイズであった。各種評価の結果を表2に示す。
目標固形分を19質量%に代え、PMDAの添加量を16.34g(0.075mol)に代え、NMP306.2gを和光純薬工業社製のジメチルアセトアミド(以下「DMAC」と称する)133.48gに代え、ODA30.00gを和歌山精化工業社製のジアミノベンゾアニリド(以下「DABA」と称する)17.03g(0.075mol)に代え、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を40重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表1参照)。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、120,000g/molであった。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は90ポイズであった。各種評価の結果を表2に示す。
目標固形分を21質量%に代え、PMDA32.68gをダイキン工業社製の4,4'‐(ヘキサフルオロイソプロピル)フタル酸二無水物(6FDA)17.77g(0.04mol)に代え、NMP306.2gをDMAC88.38gに代え、ODA30.00gを三井化学社製の1,3‐ビス‐(3‐アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−N)11.69g(0.04mol)に代え、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を30重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表1参照)。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、170,000g/molであった。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は100ポイズであった。各種評価の結果を表2に示す。
NMPの添加量を311.0gに代え、ODA30.00gをODA22.50g(0.1124mol)とDABA8.52g(0.0375mol)とに代え、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を50重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表3参照)。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、130,000g/molであった。各種評価の結果を表4に示す。
PMDA32.68gをPMDA16.33g(0.0749mol)とBTDA24.13g(0.0749mol)とに代え、NMPの添加量を343.28gに代え、ODA30.00gをODA15.00g(0.0749mol)とMDA14.85g(0.0749mol)とに代え、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を50重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表3参照)。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、130,000g/molであった。各種評価の結果を表4に示す。
実施例1において調製されたポリアミック酸溶液と実施例8において調製されたポリアミック酸溶液とを固形分の重量比が100/33となるように混合した(以下、この混合物を「ポリアミック酸ブレンド溶液」という)。そして、このポリアミック酸ブレンド溶液の固形分100重量部に対してNQDエステル化合物(エステル化率2mol%)が50重量部となるように、ポリアミック酸ブレンド溶液にNQDエステル化合物を混合し、感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表5参照)。ポリアミック酸ブレンド溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、130,000g/molであった。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は150ポイズであった。各種評価の結果を表6に示す。
実施例1において調製されたポリアミック酸溶液と実施例6において調製されたポリアミック酸溶液とを固形分の重量比が100/100となるように混合した(以下、この混合物を「ポリアミック酸ブレンド溶液」という)。そして、このポリアミック酸ブレンド溶液の固形分100重量部に対してNQDエステル化合物(エステル化率2mol%)が50重量部となるように、ポリアミック酸ブレンド溶液にNQDエステル化合物を混合し、感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表5参照)。ポリアミック酸ブレンド溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、130,000g/molであった。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は110ポイズであった。各種評価の結果を表6に示す。
実施例1において調製されたポリアミック酸溶液と実施例8において調製されたポリアミック酸溶液とを固形分の重量比が100/1となるように混合した(以下、この混合物を「ポリアミック酸ブレンド溶液」という)。そして、このポリアミック酸ブレンド溶液の固形分100重量部に対してNQDエステル化合物(エステル化率2mol%)が30重量部となるように、ポリアミック酸ブレンド溶液にNQDエステル化合物を混合し、感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表5参照)。ポリアミック酸ブレンド溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は200ポイズであった。各種評価の結果を表6に示す。
実施例6において調製されたポリアミック酸溶液と実施例8において調製されたポリアミック酸溶液とを固形分の重量比が100/100となるように混合した(以下、この混合物を「ポリアミック酸ブレンド溶液」という)。そして、このポリアミック酸ブレンド溶液の固形分100重量部に対してNQDエステル化合物(エステル化率2mol%)が50重量部となるように、ポリアミック酸ブレンド溶液にNQDエステル化合物を混合し、感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表5参照)。ポリアミック酸ブレンド溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、130,000g/molであった。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は100ポイズであった。各種評価の結果を表6に示す。
実施例9において調製されたポリアミック酸溶液と実施例8において調製されたポリアミック酸溶液とを固形分の重量比が100/50となるように混合した(以下、この混合物を「ポリアミック酸ブレンド溶液」という)。そして、このポリアミック酸ブレンド溶液の固形分100重量部に対してNQDエステル化合物(エステル化率2mol%)が50重量部となるように、ポリアミック酸ブレンド溶液にNQDエステル化合物を混合し、感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表5参照)。ポリアミック酸ブレンド溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、130,000g/molであった。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は110ポイズであった。各種評価の結果を表6に示す。
(比較例1)
生成するポリアミック酸のポリスチレン換算重量平均分子量が90,000g/molとなるようにODAの投入量を変更し、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を82重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表7参照)。なお、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は70ポイズであった。各種評価の結果を表8に示す。
生成するポリアミック酸のポリスチレン換算重量平均分子量が90,000g/molとなるようにODAの投入量を変更し、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を82重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表7参照)。なお、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は70ポイズであった。各種評価の結果を表8に示す。
(比較例2)
ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を15重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった(表7参照)。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は200ポイズであった。各種評価の結果を表8に示す。
ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を15重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった(表7参照)。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は200ポイズであった。各種評価の結果を表8に示す。
(比較例3)
NQDエステル化合物のエステル化率を1mol%とし、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を50重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった(表7参照)。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は200ポイズであった。各種評価の結果を表8に示す。
NQDエステル化合物のエステル化率を1mol%とし、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を50重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった(表7参照)。また、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は200ポイズであった。各種評価の結果を表8に示す。
(比較例4)
NQDエステル化合物のエステル化率を3mol%とし、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を50重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった(表7参照)。なお、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は220ポイズであった。各種評価の結果を表8に示す。
NQDエステル化合物のエステル化率を3mol%とし、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を50重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した。ポリアミック酸溶液中のポリイミド前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量は、150,000g/molであった(表7参照)。なお、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は220ポイズであった。各種評価の結果を表8に示す。
(比較例5)
生成するポリアミック酸のポリスチレン換算重量平均分子量が210,000g/molとなるようにODAの投入量を変更し、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を25重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表7参照)。なお、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は300ポイズであった。各種評価の結果を表8に示す。
生成するポリアミック酸のポリスチレン換算重量平均分子量が210,000g/molとなるようにODAの投入量を変更し、ポリアミック酸溶液の固形分100重量部に対するNQDエステル化合物の添加量を25重量部に代えた以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミド前駆体組成物を調製した(表7参照)。なお、感光性ポリイミド前駆体組成物の粘度は300ポイズであった。各種評価の結果を表8に示す。
表1から分かるように、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は、ポリアミック酸のポリスチレン換算重量平均分子量が10万〜20万g/molであると、カバーレイフィルムとして要求される多くの特性を満たすことができる。また、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は、NQDエステル化合物のエステル化率が1.6mol%以上2.4mol%以下であると、良好な現像性を示すことができる。また、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は、感光剤がポリアミック酸の固形分100重量部に対して20重量部以上80重量部未満を占めると、良好な現像性を示すことができる。また、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は、ジアミン成分としてDABAを含むポリアミック酸が用いられると、優れたカール性を示すことができる。また、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は、弱アルカリ性の無機水溶液で現像できるため地球環境に優しく、FPCやTAB等のカバーレイフィルムの用途に好適に用いることができる。
Claims (13)
- 前記ポリイミド前駆体は、ポリスチレン換算重量平均分子量が10万g/mol以上20万g/mol以下である
請求項1又は2に記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。 - 露光されなかった場合の無機アルカリ溶液への溶解速度に対する露光された場合の無機アルカリ溶液への溶解速度の比が2.5以上である
請求項1から3のいずれかに記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。 - 前記露光されなかった場合の無機アルカリ溶液への溶解速度は、0.020μm/sec以下である
請求項4に記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。 - 前記露光された場合の無機アルカリ溶液への溶解速度は、0.015μm/sec以上である
請求項4に記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。 - 前記感光剤は、405nmを中心とする吸収波長を有する
請求項1から6のいずれかに記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。 - 前記感光剤は、1,2‐ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸エステル化合物及び1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸エステル化合物のいずれか1つ又はこれらの混合物である
請求項1から6のいずれかに記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。 - 前記1,2‐ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸エステル化合物及び1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸エステル化合物は、エステル化率が1.6mol%以上2.4mol%以下である
請求項8に記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。 - 前記1,2‐ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸エステル化合物は、1,2‐ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸とヒドロキシベンゾフェノンとのエステル化合物であり、
前記1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸エステル化合物は、1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸とヒドロキシベンゾフェノンとのエステル化合物である
請求項8又は9に記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。 - 前記1,2‐ナフトキノンジアジド‐5‐スルホン酸は、1,2‐ナフトキノン−(2)−ジアジド‐5‐スルホン酸であり、
前記ヒドロキシベンゾフェノンは、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンである
請求項10に記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。 - 前記感光剤は、前記ポリイミド前駆体の固形分100重量部に対して、20重量部以上80重量部未満を占める
請求項1から11のいずれかに記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。 - 請求項1から12のいずれかに記載の感光性ポリイミド前駆体組成物をイミド転化してなるフィルム又は塗膜を備える電子部品。
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2007
- 2007-06-27 JP JP2007168746A patent/JP2008033283A/ja active Pending
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