JP2008032065A - 車軸駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の車軸駆動装置のハウジングは、車軸上のブレーキ装置が駆動取出し装置の取付けに干渉しないようにハウジングの構成部材を増やす必要があり、組立性が低下する等の問題があった。更に、前記駆動取出し装置を取り付ける際にギア接続部を視認できず、シムによる噛合い調整を精度良く行うことが難しい、という問題があった。
【解決手段】車軸駆動装置4のハウジング31には、車軸8に加えてブレーキ装置22の少なくとも一部を収納可能な拡張型アクスルケース30を設け、該拡張型アクスルケース30で駆動取出し装置2側に膨出させた膨出部30bに、前記駆動取出し装置2を取り付け、更に、前記駆動取出し装置2は、複数に分割可能な駆動取出しケース15内に収納し、該駆動取出しケース15の分割面74を、駆動取出し装置2から駆動力を出力する駆動取出し軸63の軸心に沿って形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、湿式ブレーキ等の大型のブレーキ装置を車軸上に備えると共に、該車軸へ変速動力を入力する副変速装置の一側に駆動取出し装置を備えた車軸駆動装置のハウジング構成に関する。
従来の車軸駆動装置のハウジングは、左右一対のハウジング本体半部を接合したものに、車軸を収納するアクスルケースや、該アクスルケースと前記ハウジング本体半部の間を覆う複数のケース体等から構成されているが、この車軸駆動装置からの動力を取り出して他の車軸駆動装置等に伝達する駆動取出し装置を、ハウジング内に設けた副変速装置の一側に設ける場合、車軸上に湿式ブレーキ等の大型のブレーキ装置があると、該ブレーキ装置との干渉を避けるために伝動軸を前記副変速装置から駆動取出し装置まで延出させ、その延出端に駆動取出し装置を接続する技術(例えば、特許文献1参照)が公知となっている。
特開2000−38042号公報
しかしながら、このような車軸駆動装置では、前記ブレーキ装置を収納したハウジング本体半部の外側開口部を覆うようにして、左右に延びた筒状の中間ケース体の内側が連通固定され、該中間ケース体の外側前部には、前記駆動取出し装置を収納する駆動取出しケースが固設され、中間ケース体の外側後部には、前記ブレーキ装置を貫通して外方に延設される車軸を収納するアクスルケースが固設されて、ハウジングが構成されるため、車軸駆動装置の構成部品が多くなり部品コストが増加するだけでなく、駆動取出し装置を組み付けるまでに多工程が必要となって組立性・メンテナンス性も低下する、という問題があった。
更に、前記伝動軸と駆動取出し軸とは所定角度でギア接続され、このギア接続部を内包する前記駆動取出しケースは複数に分割可能であり、その分割面は前記駆動取出し軸の軸心に直交する面上にあるので、駆動取出しケースを分割した状態であっても、内部のギア接続部が外部から視認できないか、あるいは、分割したケースと一緒に駆動取出し軸側のギアも外されており噛合した状態のギアを視認することができないため、シムによるバックラッシュ調整等の噛合い調整を精度良く行うことが難しく、動力伝達時の騒音や振動が増加すると共に伝達効率が低下する、という問題もあった。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、ベルト式無段変速装置からの動力を変速する副変速装置を備え、該副変速装置からの変速動力を入力する車軸上にはブレーキ装置を設け、該ブレーキ装置の周辺で前記副変速装置の一側に駆動取出し装置を備えた車軸駆動装置において、該車軸変速装置のハウジングには、前記車軸に加えてブレーキ装置の少なくとも一部を収納可能な拡張型アクスルケースを設け、該拡張型アクスルケースで前記駆動取出し装置側に膨出させた膨出部に、前記駆動取出し装置を取り付けたものである。
請求項2においては、前記駆動取出し装置内への伝動軸と駆動取出し軸は、所定角度にてギア接続すると共に、駆動取出し装置は、複数に分割可能な駆動取出しケース内に収納し、該駆動取出しケースの分割面を、前記駆動取出し軸の軸心に沿って形成するものである。
請求項3においては、前記駆動取出しケースの内部に、駆動取出し装置を前記膨出部に締結する取付部を設けるものである。
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1においては、ベルト式無段変速装置からの動力を変速する副変速装置を備え、該副変速装置からの変速動力を入力する車軸上にはブレーキ装置を設け、該ブレーキ装置の周辺で前記副変速装置の一側に駆動取出し装置を備えた車軸駆動装置において、該車軸変速装置のハウジングには、前記車軸に加えてブレーキ装置の少なくとも一部を収納可能な拡張型アクスルケースを設け、該拡張型アクスルケースで前記駆動取出し装置側に膨出させた膨出部に、前記駆動取出し装置を取り付けたので、従来のハウジングに設けられていた中間ケースを省略することができ、ハウジングの構成部材を減少させて車軸駆動装置の部品コストを低減させることができる。特に、駆動取出し装置の組み付けにかかる工程数を減少させることができ、車軸駆動装置の組立性・メンテナンス性を大きく向上させることができる。
請求項2においては、前記駆動取出し装置内への伝動軸と駆動取出し軸は、所定角度にてギア接続すると共に、駆動取出し装置は、複数に分割可能な駆動取出しケース内に収納し、該駆動取出しケースの分割面を、前記駆動取出し軸の軸心に沿って形成するので、駆動取出しケースを分割操作するだけで、伝動軸と駆動取出し軸とのギア接続部を外部から視認することができ、駆動取出し装置の組み付け時のシムによるバックラッシュ調整等の噛合い調整を迅速かつ精度良く行うことができ、動力伝達時の騒音や振動を減少させると共に伝達効率を向上させることができる。
請求項3においては、前記駆動取出しケースの内部に、駆動取出し装置を前記膨出部に締結する取付部を設けるので、該取付部を構成するボス部等を前記駆動取出しケースや膨出部の外周に設ける必要がなく、駆動取出しケースや膨出部を小さくすることができ、車軸駆動装置のコンパクト化を図ることができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係わる車軸駆動装置を搭載した四輪駆動車両の動力伝達構成を示すスケルトン図、図2は後車軸駆動装置の背面断面展開図、図3は図2のA−A矢視断面図、図4は図2のB−B矢視断面図、図5は図2のC−C矢視断面図、図6は二輪駆動仕様における後車軸駆動装置の背面断面展開図、図7は図6のD−D矢視断面図である。
まず、本発明に係わる車軸駆動装置を具備する四輪駆動車両1の全体構成について、図1により説明する。
該四輪駆動車両1においては、車体の前部に前車軸駆動装置10が、後部に後車軸駆動装置4が、それぞれ配置され、前記前車軸駆動装置10には左右一対の前車軸11・11が、後車軸駆動装置4には左右一対の後車軸8・8が、それぞれ支持されている。
前記前車軸11・11と後車軸8・8のそれぞれには、その位置に応じて外端に左右前輪12・12と左右後輪9・9が支持され、このうちの左右前輪12・12は、車両に配設された適宜のステアリング手段によって操舵可能に構成されている。
そして、車体に搭載される原動機であるエンジン3は、その出力軸6が水平になるように配置され、その動力は、ベルト式無段変速装置7から前記後車軸駆動装置4内の後車軸8・8まで、副変速装置35等を介して伝達され、同時に、前車軸駆動装置10の前車軸11・11に伝達されることで、左右後輪9・9および左右前輪12・12を駆動して車両を前後進させる四輪駆動としている。ただし、後述するように、オペレータの操作によって後輪9・9のみを駆動させる二輪駆動にも変更可能な構成としている。
次に、前記ベルト式無段変速装置7について、図1により説明する。
該ベルト式無段変速装置7においては、第一ケース82内に駆動側ピッチ径可変装置83が収納されており、該駆動側ピッチ径可変装置83において、出力軸6の回転速度が増加すると、該出力軸6にカップリング25によって着脱可能に接続された駆動プーリ軸89の回転速度も増加し、該駆動プーリ軸89に設けたウェイト等によって、駆動プーリ75の可動側プーリ75bが固定側プーリ75aに向かって押動され、出力軸6からの動力が駆動プーリ75に伝達された状態で、固定側プーリ75aと前記可動側プーリ75bとの間の間隔が狭くなって駆動プーリ75のピッチ径が増加し、減速比小の高速段となる。逆に、出力軸6の回転速度が減少すると、固定側プーリ75aと可動側プーリ75bとの間の間隔が広くなって駆動プーリ75のピッチ径が減少し、減速比大の低速段となる。出力軸6の回転速度が更に減少し、可動側プーリ75bが固定側プーリ75aから一定距離以上離れると、可動側プーリ75bはベルト86と完全に離間し、出力軸6の回転力がベルト86に伝達されなくなる。
一方、前記副変速装置35等への入力軸5の左端部には、カップリング26によって従動プーリ軸90が着脱可能に接続され、該従動プーリ軸90上に従動プーリ76が設けられ、該従動プーリ76より右方の従動プーリ軸90上には、第二ケース84内に収納された従動側ピッチ径可変装置85が配置されており、該従動側ピッチ径可変装置85においては、従動プーリ76の可動側プーリ76bが固定側プーリ76aに向かってバネ等で常時付勢されている。そして、これら駆動プーリ75と従動プーリ76との間には前記ベルト86が巻回されており、エンジン3からの動力は、出力軸6から、駆動プーリ軸89、駆動プーリ75、ベルト86、従動プーリ76を通って変速された後、従動プーリ軸90から入力軸5を介して、前記副変速装置35等内に伝達されるようにしている。
このような構成において、前記駆動プーリ軸89、駆動プーリ75、ベルト86、従動プーリ76、従動プーリ軸90等が装置カバー77内に収納されてベルト式無段変速装置7が形成されている。そして、該ベルト式無段変速装置7はユニット化されており、前記カップリング25・26によってエンジン3と後車軸駆動装置4との間に自在に着脱できるように構成している。これにより、ベルト式無段変速装置7は、ユニット単位で組み立てることができ、組立性・メンテナンス性を大きく向上させることができる。
また、前記駆動プーリ軸89、従動プーリ軸90とも、それぞれ、装置カバー77内に設けられた軸受け91・91、軸受け92・92によって支持されており、両プーリ75・76とも両支持構成となっている。これにより、支持強度を高めて両プーリ75・76間のトルク伝導効率を向上させることができる。更に、このトルク伝導効率が高いと、ベルト86の張力を極端に増加させる必要がなくなり、入力軸5にかかるベルト86からの負荷を減らせるために、入力軸5を太径化する必要がなく、ユニット化された前記ベルト式無段変速装置7を後車軸駆動装置4に取り付ける際に特別な接続構成が不要となり、組立性・メンテナンス性を更に向上させることができる。
次に、前記後車軸駆動装置4について、図1、図2、図5により説明する。
後車軸8・8を支持する後車軸駆動装置4には、副変速装置35等が前記後車軸8・8とともに収納され、該副変速装置35への入力軸5と、前記エンジン3からの出力軸6とは、前記ベルト式無段変速装置7によって連結されている。
詳しくは、後車軸駆動装置4のハウジング31内部の区画71に、前記左右一対の後車軸8・8の内端部、該後車軸8・8間を差動的に結合するデフギア装置32、該デフギア装置32を図示せぬデフロックレバーに連動してロックするためのデフロック機構33、図示せぬ副変速レバーの操作に連動して副変速を行う前記副変速装置35等が配置されているのである。このような後車軸駆動装置4の左右一側には、駆動取出し装置2が設けられ、該駆動取出し装置2の駆動取出しケース15内に、前記前車軸駆動装置10への動力出力部が設けられている。
また、前記入力軸5には後進ギア38と前進ギア39が一体的に形成されると共に、入力軸5と平行して変速軸41が配置されており、該変速軸41には後進従動ギア42と前進従動ギア43が相対回転自在に遊嵌されている。該前進従動ギア43は、前記入力軸5上の前進ギア39に噛合されている。そして、前記後進従動ギア42は、ハウジング内31に遊転自在に設けた図示せぬ逆転ギアを介して、前記入力軸5上の後進ギア38に噛合されており、この逆転ギアの作用によって、前記前進従動ギア43とは逆方向に回転することができる。
前記変速軸41上の後進従動ギア42と前進従動ギア43との間には、スプラインハブ46が相対回転不能に取り付けられ、該スプラインハブ46上には、クラッチスライダ47が相対回転不能かつ軸方向摺動自在に設けられている。該クラッチスライダ47は、軸方向に摺動変位されることにより、前進従動ギア43と後進従動ギア42のうちいずれか一方に係合して、正方向回転又は逆方向回転を選択的に変速軸41に対して付与できるようにしており、更には、クラッチスライダ47をいずれのギア42・43にも係合しない中立位置とすることも可能な構成としている。
このようなクラッチスライダ47は、直線的に摺動可能に構成した図示せぬクラッチフォークシャフトに連結され、該クラッチフォークシャフトは図示せぬ副変速レバーに連係されており、該副変速レバーの傾動操作によって、クラッチスライダ47を後進位置、中立位置、あるいは前進位置となるよう摺動操作できるようにしている。なお、クラッチフォークシャフトにはデテント機構が構成され、その操作位置を保持するようにしている。そして、該変速軸41の一端側寄りの部位には出力ギア51が刻設されており、前記デフギア装置32に変速軸41の回転を伝達するように構成している。
また、このデフギア装置32は、前記後車軸8・8と同一回転軸心を有するように後車軸駆動装置4内に支持された中空のデフケース52と、該デフケース52外周面に固設され前記変速軸41上の出力ギア51と噛合されるリングギア53と、該デフケース52内において後車軸8・8と直交配置されデフケース52と一体的に回転するピニオン軸54と、該ピニオン軸54の両端に回転自在に配置されるベベルギアであるピニオン55・55と、前記後車軸8・8の内端側に固定され該ピニオン55・55に噛合されるベベルギアであるデフサイドギア56・56により構成されている。
また、このようなデフギア装置32をロックするためのデフロック機構33は、デフケース52のリングギア53固設側の後車軸8上に軸方向摺動自在に設置されるデフロックスライダ57と、該デフロックスライダ57に固設されてその先端をリングギア53に係合させる係合爪58と、該係合爪58の先端を係止可能とすべくリングギア53の背面に設けられた被係合爪59とより構成されている。これにより、デフロックスライダ57の摺動操作によって係合爪58が被係合爪59に係止されると、デフケース52と後車軸8が一体的に連結され、デフギア装置32がロックされて左右の後車軸8・8が同一回転数で駆動されるのである。
そして、このデフロックスライダ57は、図示せぬデフシフトフォークに連結され、更に該デフシフトフォークは、図示せぬアームやリンク機構等を介して図示せぬデフロックレバーに連係されており、該デフロックレバーの傾動操作によって、前記デフギア装置32のロック又はロック解除の操作を行えるようにしている。
また、左右一対の後車軸8・8上には、湿式ブレーキ等の摩擦式のブレーキ装置22・22がそれぞれ配設されており、該左右の各ブレーキ装置22のいずれも、車両に設けられた図示せぬブレーキペダルを操作することによって、後車軸8・8に対して制動力を付与できるようにしている。
各ブレーキ装置22は、前記後車軸8に相対回転不能に係止された第一の摩擦板65と、ハウジング31に係止させると共に第一の摩擦板65に交互に積層させた第二の摩擦板66とを備えている。そして、これら両摩擦板65・66の内側には、リング状の押圧体67が軸方向摺動自在かつ回転自在に当接され、該押圧体67とハウジング31内隔壁との間には、カムボール34から成るカム機構70が介設されており、該カム機構70によって、押圧体67の回動を該押圧体67の軸方向の推力に変換できるようにしている。一方、この押圧体67からは、半径方向にアーム部67aが突設され、該アーム部67aには、前記後車軸8に平行に設けたブレーキ軸68の半割状内端68aが、その平面部68bにて当接されている。更に、このブレーキ軸68の外端は、ハウジング31外に突出され、該突出部分にはブレーキコントロールアーム69が固設されている。
このような構成において、ブレーキペダルを踏み込み操作すると、図示せぬリンク機構を介してブレーキコントロールアーム69が押し引きされてブレーキ軸68が回動し、該ブレーキ軸68の半割状内端68aの外周部68cによって前記アーム部67aが押動される。すると、前記押圧体67が回動され、前記カム機構70を介して、前記両摩擦板65・66が、押圧体67とハウジング31内隔壁との間に挟まれるようにして押圧され、後車軸8・8が制動されるようにしている。
また、前記変速軸41の一端は、ハウジング31内において機体左右一側へ延出され、該延出端には、カップリング60を介して前輪伝動軸61が一体的に連結されており、該前輪伝動軸61の先端は、更に同じ側へ延出されてハウジング31側面より外方へ突出されている。該前輪伝動軸61は、後車軸駆動装置4側面に凸状に設けられた前記駆動取出しケース15内に突出され、該突出部分先端には、ベベルギア62が固定されている。そして、駆動取出しケース15内には、駆動取出し軸63が機体前後方向に支持され、該駆動取出し軸63後端にはベベルギア64が固設されており、該ベベルギア64は、前記前輪伝動軸61上のベベルギア62に噛合されている。
前記駆動取出し軸63は、駆動取出しケース15から前方へ突出され、カップリング14を介して伝動軸16に連結され、更に、該伝動軸16はドライブシャフト17を介して前車軸駆動装置10の入力軸18に連結されており、後車軸駆動装置4からの動力を駆動取出し装置2から前車軸駆動装置10まで伝達できるようにしている。
次に、前記前車軸駆動装置10について、図1により説明する。
前車軸駆動装置10においては、機体前後方向に入力軸18が支持され、該入力軸18の前方には、その軸線を該入力軸18と一致させて伝達軸95が配置されている。そして、前記入力軸18上にはクラッチスライダ96が摺動自在に配置され、該クラッチスライダ96を伝達軸95に対して係脱自在とすることでクラッチ機構が構成されている。更に、クラッチスライダ96は、前車軸駆動装置10の側面に備えられた図示せぬレバーに連係され、該レバーは車両に設けた駆動モード切換手段に連係されている。これにより、駆動モード切換手段を操作してクラッチスライダ96を摺動させ、入力軸18を伝達軸95に係脱させて、四輪駆動と二輪駆動に自在に変更することができるようにしている。
前記伝達軸95の前端部には、ベベルギア97が配置され、該ベベルギア97は、前車軸11・11を差動的に結合するデフギア装置99のリングギア101と噛合されている。このデフギア装置99は、デフロック機構を省略しているほかは、前記後車軸駆動装置4のデフギア装置32のデフギア装置32と略同様の構成である。具体的には、前車軸11・11と同一回転軸心を有するように前車軸駆動装置10内に支持された中空のデフケース100と、該デフケース100外周面に固設され前記ベベルギア97と噛合されるリングギア101と、該デフケース100内において前車軸11・11と軸線が直交するよう配置されデフケース100と一体的に回転するピニオン軸102と、該ピニオン軸102の両端に回転自在に配置されるベベルギアであるピニオン103・103と、前記前車軸11・11の内端に固定され該ピニオン103・103に噛合されるベベルギアであるデフサイドギア104・104により構成されている。
次に、前記ハウジング31について、図2乃至図5により説明する。
このハウジング31は、ボルト36で接合された左右のハウジング本体半部27・28と、該ハウジング本体半部27・28の左右外側面にそれぞれ接合された左右のアクスルケース29・30と、このうちの右アクスルケース30外側面に接合された前記駆動取出しケース15とから構成されている。
前記左ハウジング本体半部27の隔壁27aと右ハウジング本体半部28の隔壁28aとの間に前記区画71が形成され、該区画71内に、前記副変速装置35、デフギア装置32、デフロック機構33、及び後車軸8・8の内端が収納・支持されている。
また、前記左ハウジング本体半部27の隔壁27aの外側には、前記左アクスルケース29が覆設され、該左アクスルケース29は、後車軸8に加えて該後車軸8の内端に周設したブレーキ装置22を収納する筒状のアクスル支持部29aと、該アクスル支持部29aの基部から後斜め上方に膨出する膨出部29bとから構成され、該膨出部29bには、前記ブレーキ軸68が回動可能に支持されている。
同様にして、前記右ハウジング本体半部28の隔壁28aの外側には、前記右アクスルケース30が覆設され、該右アクスルケース30は、後車軸8に加えて該後車軸8の内端に周設したブレーキ装置22を収納する大径部分を備えたラッパ状のアクスル支持部30aと、該アクスル支持部30aの基部から前記駆動取出し装置2側に向かって膨出する膨出部30bとから構成され、該膨出部30bには、前記前輪伝動軸61が右方に貫通されている。該膨出部30bの外側を構成する隔壁30cと、前記右ハウジング本体半部28の隔壁28aとの間に区画72が形成されている。
そして、該膨出部30bの隔壁30cの外側面には、前記駆動取出し装置2の駆動取出しケース15が取り付けられ、該駆動取出しケース15は、前記駆動取出し軸63の軸心に沿って形成した面を分割面74として、左右の分割ケース15a・15bに分割可能であり、該左右の分割ケース15a・15bによって形成された区画73内に、前記前輪伝動軸61の外端部と前記ベベルギア62・64が収納されている。
前記分割ケース15aにおいては、取付壁15cの開口部に軸受け78が配設され、該軸受け78には、前記前輪伝動軸61の途中部が軸支されると共に、軸受け78より右側の前輪伝動軸61上には、前記ベベルギア62が左右位置変更可能にスプライン結合された上で止め輪80によって固定されている。そして、このベベルギア62と止め輪80との間、及びベベルギア62と軸受け78との間には、板状のシム79が介装されており、ベベルギア62の軸方向位置を該シム79の増減によって調整できるようにしている。
このような構成において、後車軸駆動装置4を組み立てるにあたっては、左右のアクスルケース29・30内にブレーキ装置22を収納すると共に、該ブレーキ装置22による干渉部分もアクスルケース29・30内に収納し、それに伴って張り出す膨出部30bに前記駆動取出し装置2を取り付けることができ、ハウジングの構成部材を有効に活用することができる。更に、前記右アクスルケース30の膨出部30bに駆動取出しケース15の分割ケース15aを後述するようにして締結固定した後、分割ケース15bを外した状態で、前輪伝動軸61上にベベルギア62とシム79を外嵌し、該ベベルギア62とベベルギア64とのバックラッシュを、実際に視認しながら、重ねるシム79の枚数を変えることによって調整し、最適化することができるのである。
すなわち、ベルト式無段変速装置7からの動力を変速する副変速装置35を備え、該副変速装置35からの変速動力を入力する車軸である後車軸8上にはブレーキ装置22を設け、該ブレーキ装置22の周辺で前記副変速装置35の一側に駆動取出し装置2を備えた車軸駆動装置である後車軸駆動装置4において、該後車軸駆動装置4のハウジング31には、前記後車軸8に加えてブレーキ装置22の少なくとも一部を収納可能な拡張型アクスルケースであるアクスルケース30を設け、該アクスルケース30で前記駆動取出し装置2側に膨出させた膨出部30bに、前記駆動取出し装置2を取り付けたので、従来のハウジングに設けられていた中間ケースを省略することができ、ハウジングの構成部材を減少させて車軸駆動装置の部品コストを低減させることができる。特に、駆動取出し装置の組み付けにかかる工程数を減少させることができ、車軸駆動装置の組立性・メンテナンス性を大きく向上させることができる。
更に、前記駆動取出し装置2内への伝動軸である前輪伝動軸61と駆動取出し軸63は、所定角度にてギア接続すると共に、駆動取出し装置2は、複数に分割可能な駆動取出しケース15内に収納し、該駆動取出しケース15の分割面74を、前記駆動取出し軸63の軸心に沿って形成するので、駆動取出しケース15を分割操作するだけで、前輪伝動軸61と駆動取出し軸63とのギア接続部を外部から視認することができ、駆動取出し装置2の組み付け時のシム79によるバックラッシュ調整等の噛合い調整を迅速かつ精度良く行うことができ、動力伝達時の騒音や振動を減少させると共に伝達効率を向上させることができる。
また、前記分割ケース15aにおいては、前記右アクスルケース30の隔壁30cに分割ケース15aの取付壁15cが当接され、該取付壁15cには複数の取付孔15dが穿孔されており、該取付孔15dに外側からボルト19を貫通させ、該ボルト19を前記隔壁30cの固定孔30dに螺挿することにより、分割ケース15aを膨出部30bに着脱可能に締結固定することができる。つまり、駆動取出しケース15内部の取付壁15cに複数の取付孔15dを開口して成る取付部20を形成し、該取付部20を介して、駆動取出し装置2を右アクスルケース30の膨出部30bに締結するようにしているのである。
これにより、隔壁30cと取付壁15cの外周に締結用のボス部等をわざわざ設けることなく、駆動取出し装置2を右アクスルケース30の膨出部30bに締結することができ、締結用のボス部等形成のための外周空間を省くことができるのである。
すなわち、前記駆動取出しケース15の内部に、駆動取出し装置2を前記膨出部30bに締結する取付部20を設けるので、該取付部20を構成するボス部等を前記駆動取出しケース15や膨出部30bの外周に設ける必要がなく、駆動取出しケース15や膨出部30bを小さくすることができ、車軸駆動装置である後車軸駆動装置4のコンパクト化を図ることができる。
なお、前記右ハウジング本体半部28の隔壁28aには連絡油路105・106が穿孔され、前記右アクスルケース30の隔壁30cには連絡油路108・109が穿孔され、更に、駆動取出しケース15の取付壁15cにも連絡油路110・111が穿孔されており、このうちの連絡油路110は前記連絡油路108と同軸上に、連絡油路111は前記連絡油路109と同軸上に、それぞれ形成されている。
これにより、前記後進従動ギア42や前進従動ギア43の回転によって前記区画71内の潤滑油が撹拌され、該潤滑油は前記連絡油路105・106を通って前記区画72に流入し、更に、該区画72内の潤滑油は、前記連絡油路108から連絡油路110を通って、あるいは、前記連絡油路109から連絡油路111を通って、駆動取出しケース15内の前記区画73内に流れ込むようにしている。これにより、特殊な潤滑油供給機構を別途設けることなく、簡単な構成で駆動取出しケース15内に潤滑油を供給することができ、構造の簡素化による製造コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上を図ることができる。
次に、前記ハウジング31における駆動仕様の変更について、図2、図6、図7により説明する。
図6に示す二輪駆動仕様の後車軸駆動装置13においては、ハウジング40は、ボルト36で接合された左右のハウジング本体半部27・48と、該ハウジング本体半部27・48の左右外側面にそれぞれ接合された左右のアクスルケース29・49とから構成されるものであって、図2に示す四輪駆動仕様の後車軸駆動装置4とは異なり前輪12への駆動取出し装置2が不要なため、前記駆動取出しケース15が省かれている。
そして、このうちの二輪駆動仕様の右ハウジング本体半部48では、変速軸50の右端は前記右ハウジング本体半部28と同様に隔壁48aによって支持されているが、この変速軸50は、前記変速軸41よりも短軸とした上で、隔壁48aを貫通することなく閉塞壁48bによって閉じられた状態にある。加えて、二輪駆動仕様の右アクスルケース49には、前記右アクスルケース30と同様にブレーキ装置22を収納するための大径部分は存在するが、前記膨出部30bは駆動取出し装置2が不要なために設けられていない。
このような構成において、上述した右ハウジング本体半部48と右アクスルケース49とを備えたハウジング40によって、二輪駆動仕様に対応することができる。そして、該ハウジング40を四輪駆動仕様に変更するには、右ハウジング本体半部48の前記閉塞壁48bに貫通孔44を設けると共に短い変速軸50を長い変速軸41に交換した上で、該変速軸41を前記貫通孔44に貫通させ、その延出端にカップリング60を設置する。更に、右ハウジング本体半部48の右側面から二輪駆動仕様の右アクスルケース49を取り外して、その代わりに本発明に係わる四輪駆動仕様の右アクスルケース30を装着し、該右アクスルケース30の膨出部30bに前記駆動取出しケース15を取り付け、これにより、四輪駆動仕様の前記ハウジング31を形成することができるのである。そして、隔壁30cから右アクスルケース30内へ挿通させた前輪伝動軸61を前記カップリング60に連結させる。
すなわち、拡張型アクスルケースである前記右アクスルケース30と駆動取出しケース15以外のハウジング構成を、二輪駆動仕様と四輪駆動仕様では略同一とするので、部品共通化による部品コストの低減を図ることができる。
本発明は、ベルト式無段変速装置からの動力を変速する副変速装置を備え、該副変速装置からの変速動力を入力する車軸上にブレーキ装置を設け、該ブレーキ装置の周辺で前記副変速装置の一側に駆動取出し装置を備えた全ての車軸駆動装置に適用することができる。
本発明に係わる車軸駆動装置を搭載した四輪駆動車両の動力伝達構成を示すスケルトン図である。 後車軸駆動装置の背面断面展開図である。 図2のA−A矢視断面図である。 図2のB−B矢視断面図である。 図2のC−C矢視断面図である。 二輪駆動仕様における後車軸駆動装置の背面断面展開図である。 図6のD−D矢視断面図である。
符号の説明
2 駆動取出し装置
4 車軸駆動装置
7 ベルト式無段変速装置
8 車軸
15 駆動取出しケース
20 取付部
22 ブレーキ装置
30 拡張型アクスルケース
30b 膨出部
31 ハウジング
35 副変速装置
61 伝動軸
63 駆動取出し軸
74 分割面

Claims (3)

  1. ベルト式無段変速装置からの動力を変速する副変速装置を備え、該副変速装置からの変速動力を入力する車軸上にはブレーキ装置を設け、該ブレーキ装置の周辺で前記副変速装置の一側に駆動取出し装置を備えた車軸駆動装置において、該車軸変速装置のハウジングには、前記車軸に加えてブレーキ装置の少なくとも一部を収納可能な拡張型アクスルケースを設け、該拡張型アクスルケースで前記駆動取出し装置側に膨出させた膨出部に、前記駆動取出し装置を取り付けたことを特徴とする車軸駆動装置。
  2. 前記駆動取出し装置内への伝動軸と駆動取出し軸は、所定角度にてギア接続すると共に、駆動取出し装置は、複数に分割可能な駆動取出しケース内に収納し、該駆動取出しケースの分割面を、前記駆動取出し軸の軸心に沿って形成することを特徴とする請求項1記載の車軸駆動装置。
  3. 前記駆動取出しケースの内部に、駆動取出し装置を前記膨出部に締結する取付部を設けることを特徴とする請求項2記載の車軸駆動装置。
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