JP2008031272A - 液状樹脂組成物及び液状樹脂組成物を使用して作製した半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、半導体素子又は放熱部材を支持体に接着する液状樹脂組成物であって、充填材(A)、1分子内に同種の官能基を2個有する化合物のみからなる熱硬化性樹脂(B)、硬化触媒(C)、及び添加剤(D)を必須成分とすることを特徴とする液状樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
一方環境対応の一環として半導体製品からの鉛撤廃が進められている中、基板実装時に使用する半田も鉛フリー半田が使用されるため、錫−鉛半田の場合よりリフロー温度を高くする必要がある。高温でのリフロー処理はパッケージ内部のストレスを増加させるため、リフロー中に半導体製品中に剥離ひいてはクラックが発生しやすくなる。
また半導体製品の外装めっきも脱鉛化の目的でリードフレームのめっきをNi−Pdに変更する場合が増えてきている。ここでNi−Pdめっきは表面のPd層の安定性を向上する目的で薄く金めっき(金フラッシュ)が行われるが、Ni−Pdめっきそのものの平滑性及び表面に存在する金のため通常の銀めっき銅フレーム等と比較すると接着力が低下する。接着力の低下はリフロー処理時の半導体製品中の剥離、クラックの原因となる。
このように従来から使用されているダイアタッチペースト(例えば、特許文献1参照)よりも各種界面に対する接着性に優れ、同時に弾性率が低い低応力性に優れる材料が望まれているが満足なものはなかった。
[1]半導体素子又は放熱部材を支持体に接着する液状樹脂組成物であって、(A)充填材、(B)熱硬化性樹脂、(C)硬化触媒、及び(D)添加剤からなり、前記熱硬化性樹脂(B)が1分子内に同種の官能基を2個有する化合物のみからなることを特徴とする液状樹脂組成物。
[2]前記熱硬化性樹脂(B)が、1分子内にグリシジル基を2個有する化合物(B1)と、1分子内に(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物(B2)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個有する化合物(B3)と、を含むことを特徴とする[1]記載の液状
樹脂組成物。
[3]前記1分子内にグリシジル基を2個有する化合物(B1)が、ポリアルキレンオキサイド骨格及びグリシジルオキシフェニル基を有する化合物(B11)と一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物(B12)とを含むことを特徴とする[2]記載の液状樹脂組成物。
以下、本発明について詳細に説明する。
弾性率化効果が期待できない場合がある。
ポリアルキレンオキサイドの繰り返し数は2〜50が好ましい。より好ましい繰り返し数は2〜10である。繰り返し数が1に相当するアルキレングリコール残基では期待する低弾性率化効果が期待できなく、上限値より多くなると液状樹脂組成物の粘度が高くなりすぎるとともに硬化性が悪化するためである。
上述のように化合物(B11)は粘度が高いため低粘度の化合物との併用が望まれるが、化合物(B12)の使用以外に例えば溶剤、1官能のエポキシ化合物等の使用が考えられる。溶剤とはメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、シクロヘキサノール、γ−ブチロラクトン等低粘度で反応に直接関与しない化合物であり、1官能のエポキシ化合物とはフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル等の1分子に含まれるグリシジル基の数が1の化合物である。
しかし、溶剤は硬化反応中に揮発する必要があり硬化物中のボイドの原因、硬化物中に残存する可能性があるため使用できない。硬化物中のボイドはリフロー処理時の剥離の原因となり、硬化物中に残存する溶剤は高温での接着性等熱時特性の悪化の原因となるためである。一方1官能のエポキシ化合物を使用した場合には硬化反応中に系内に取り込まれるためボイド等の問題は発生しないが、硬化物の分子量が十分に大きくならないため硬化物の凝集力が低下し、特に260℃といった高温での接着力の低下の原因となるためであり、これは化合物(B11)のように分子量に対して官能基が少ない(エポキシ当量が大きい)化合物を使用する場合により顕著である。
れる。化合物(B12)はナトリウム、塩素等のイオン性不純物が少ないことが好ましい。好ましい一般式(1)に示される化合物としては、電子材料用に市販されている水素添加したジグリシジルビスフェノールA、水素添加したジグリシジルビスフェノールF及びこれらの置換体等が挙げられ、好ましい一般式(2)に示される化合物としては、ジメチロールシクロヘキサンジグリシジルエーテルが挙げられる。
化合物(B1)の好ましい配合量は、熱硬化性樹脂(B)に対して30重量%以上85重量%以下である。より好ましい配合量は50重量%以上75重量%以下である。これより多くても少なくても良好な接着性と低弾性率の両立が困難である。
シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジエタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジアルキルアルコールジ(メタ)アクリレート、ジメタノールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,2−ジ(メタ)アクリルアミドエチレングリコールなどが挙げられ、中でも好ましい化合物B2はエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメタノールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。化合物(B2)の好ましい配合量は、熱硬化性樹脂(B)に対して10重量%以上40重量%以下である。より好ましい配合量は15重量%以上30重量%以下である。これより少ない場合には液状樹脂組成物の低粘度化に十分な効果がなく、これより多い場合には接着性の低下の原因となることがある。
シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、P−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α、α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチ−ルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられる。ここで本発明の液状樹脂組成物は、通常蛍光灯等の照明下で使用されるので光重合開始剤が含まれていると使用中に反応により粘度上昇が観察されるため実質的に光重合開始剤を含有することは好ましくない。実質的にとは、粘度上昇が観察されない程度で光重合開始剤が微量に存在してもよく、好ましくは、含有しないことである。
硬化触媒(C)の配合量は、熱硬化性樹脂(B)に対して5重量%未満である。これより多いと硬化物の弾性率が高くなりすぎるからである。
ここで好ましいカップリング剤として1分子内にトリアルコキシシリル基を2個有する化合物が挙げられる。なかでも好ましいものはスルフィド結合を有するものである。このような化合物としてはビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリブトキシシリルプロピル)テ
トラスルフィド、ビス(ジメトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(ジブトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(ジメトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(ジブトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィドなどが挙げられる。
充填材(A)としては平均粒径8μm、最大粒径30μmのフレーク状銀粉(以下銀粉)を、熱硬化性樹脂(B)としてポリアルキレンオキサイドジビニルエーテルとビスフェノールAの反応物のジグリシジルエーテル化物(EXA−4850−1000、大日本インキ化学工業(株)製、1分子内にグリシジル基を2個有する化合物(B1)、以下化合物B111)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX−8000、エポキシ当量205、一般式(1)のR1、R2、R4、R5が−H、R3が−C(CH3)2−、1分子内にグリシジル基を2個有する化合物(B1)、以下化合物B121)、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により得られるジグリシジルビスフェノールA(エポキシ当量180、室温で液体、1分子内にグリシジル基を2個有する化合物(B1)、以下化合物B13)、エチレングリコールのジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルEG、1分子内に(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物(B2)、以下化合物B21)、ビスフェノールF(大日本インキ工業(株)製、DIC−BPF、水酸基当量100、1分子内にフェノール性水酸基を2個有する化合物(B3)、以下化合物B3)を、硬化触媒(C)としてジシアンジアミド(以下化合物C1)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(キュアゾール2P4MHZ:四国化成工業(株)製、以下化合物C2)、ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、パークミルD、急速加熱試験における分解温度:126℃、以下化合物C4)を、添加剤(D)としてビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(日本ユニカー(株)製、A−1289、1分子内にトリエトキシシリル基を2個及びスルフィド結合を有する化合物、以下化合物D1)を表1のように配合し、3本ロールを用いて混練し脱泡することで液状樹脂組成物を得、以下の評価方法にて評価を行った結果を表1に示す。なお配合割合は重量部である。
表1に示す割合で配合し実施例1と同様に液状樹脂組成物を得た後評価を行った。なお実施例2では、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル1、6HX、1分子内に(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物(B2)、以下化合物B22)を、実施例3ではポリアルキレンオキサイドジビニルエーテルとビスフェノールAの反応物のジグリシジルエーテル化物(EXA−4850−150、大日
本インキ化学工業(株)製、1分子内にグリシジル基を2個有する化合物(B1)、以下化合物B112)を、実施例4ではジメチロールシクロヘキサンジグリシジルエーテル(東都化成(株)製、ZX−1658、エポキシ当量130〜140、一般式(2)のR6、R7がH、nが1、1分子内にグリシジル基を2個有する化合物(B1)、以下化合物B122)を、実施例5では2−メチルイミダゾールと2,4−ジアミノ−6−ビニルトリアジンの付加物(キュアゾール2MZ−A:四国化成工業(株)製、以下化合物C3)を使用した。
表1に示す割合で配合し実施例1と同様に液状樹脂組成物を得た後評価を行った。なお比較例1,2ではラウロイルメタアクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルL、1分子内に(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物、以下化合物E21)を、比較例3ではオルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(軟化点70℃、エポキシ当量210、1分子内にグリシジル基を3個以上有する化合物、以下化合物E11)を、比較例4ではクレジルグリシジルエーテル(エポキシ当量185、1分子内にグリシジル基を1個有する化合物、以下化合物E12)を、比較例5ではトリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルTMP、1分子内に(メタ)アクリロイル基を3個有する化合物、以下化合物E22)を使用した。
・保存性(粘度変化率):E型粘度計(3°コーン)を用い25℃、2.5rpmでの値を液状樹脂組成物作製直後に測定した。粘度の値が20±10Pa・Sのものを合格とした。粘度の単位はPa・S。
・接着強度:表1に示す液状樹脂組成物を用いて、6×6mmのシリコンチップを金フラッシュしたNi−Pdフレームにマウントし、150℃オーブン中30分硬化した。硬化後及び吸湿(85℃、85%、72時間)処理後に自動接着力測定装置を用い260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。260℃熱時ダイシェア強度が40N/チップ以上の場合を合格とした。接着強度の単位はN/チップ。
・弾性率:表1に示す液状樹脂組成物を用いて4×20×0.1mmのフィルム状の試験片を作製し(硬化条件150℃30分)、動的粘弾性測定機(DMA)にて引っ張りモードでの測定を行った。測定条件は以下の通りである。
測定温度:室温〜300℃
昇温速度:5℃/分
周波数:10Hz
荷重:100mN
250℃における貯蔵弾性率を弾性率とし200MPa以下の場合を合格とした。弾性率の単位はMPa。
パッケージ:QFP(14×20×2.0mm)
リードフレーム:金フラッシュしたNi−Pdフレーム
チップサイズ:6×6mm
液状樹脂組成物硬化条件:オーブン中150℃、15分
Claims (4)
- 半導体素子又は放熱部材を支持体に接着する液状樹脂組成物であって、(A)充填材、(B)熱硬化性樹脂、(C)硬化触媒、及び(D)添加剤からなり、前記熱硬化性樹脂(B)が1分子内に同種の官能基を2個有する化合物のみからなることを特徴とする液状樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂(B)が、1分子内にグリシジル基を2個有する化合物(B1)と、1分子内に(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物(B2)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個有する化合物(B3)と、を含むことを特徴とする請求項1記載の液状樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状樹脂組成物をダイアタッチ材料又は放熱部材接着用材料として用いて製作されることを特徴とする半導体装置。
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