JP2008030580A - 剛体電車線の終端部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】パンタグラフの衝突による衝撃を緩衝し、また設置工事が比較的容易な剛体電車線の終端部構造を提供する。
【解決手段】T型架台2は、フランジ7とウェブ8を有する。イヤー3は、T型架台2の下縁に沿い、トロリ線4を挟んでボルト・ナット5,6で固定される。ウェブ8は、終端付近の所定位置から終端まで下端が円弧状に上昇し、その付近に長手方向所定幅の開口8bを持つ。ウェブ8の下端に沿う挟持部9は、突条10,11を持ち、その下方にトロリ線4の条溝14に嵌合する挟持爪13がある。複数のボルト挿通孔12がウェブ8を貫通する。イヤー3bは、突条15,16、ボルト挿通孔17、挟持爪18を持つ。突条15は、先端がウェブ8の一側面に当接するように突出し突条10と平行に延びる。突条16は、突条15と平行に延びる。ボルト挿通孔17は、突条15,16間でイヤー3bを貫通する。挟持爪18は、トロリ線4の条溝19に嵌合する。
【選択図】 図4

Description

この発明は、狭小トンネルや地下鉄隧道などにおいて電気鉄道車両に給電するために、隧道の天井やその出入り口付近の構築物に支持される剛体電車線の終端部構造に関する。
剛体電車線の終端部構造として、従来、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。この剛体電車線は、断面略I字状の剛体トロリの端末に、鋼鉄製あるいは合成樹脂製の傾斜摺動面を有するエンドアプローチを接続してなるものである。
実開昭54−170505号公報
上記従来の剛体電車線においては、電車が進入する際に、パンタグラフが剛体電車線のエンドアプローチにおける傾斜摺動面に衝突することになるが、その衝撃は傾斜摺動面のみでは十分に吸収することができず、エンドアプローチおよびパンタグラフの双方に悪影響を及ぼす。
したがって、この発明は、パンタグラフの衝突による衝撃を有効に緩衝することができ、また設置工事が比較的容易な剛体電車線の終端部構造を提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、この発明においては、隧道の天井または隧道外における支持構造物に、レールに沿って延びるように支持されるT型架台2と、このT型架台2の下縁の一側面に沿いボルト・ナット5,6によって固定されるイヤー3と、T型架台2とイヤー3との間に挟持されT型架台2の下端に沿うように配置されるトロリ線4とを具備させて剛体電車線1の終端部を構成する。T型架台2は、上部の水平のフランジ7と、フランジ7の中央から垂下しT型架台2の終端付近の所定位置から終端に向かって下端が円弧状に上昇するように徐々にその上下幅が縮小するウェブ8と、ウェブ8の下端に沿って延長する挟持部9とで構成する。挟持部9には、ウェブ8の一側面からイヤー3側へ突出して長手方向へ延びる内側突条10と、ウェブ8の他側面からイヤー3と反対側へ突出して長手方向へ延びる外側突条11と、これら内側突条10と外側突条11の直上に位置して長手方向に相互間隔をおいてウェブ8を貫通するように複数設けられるボルト挿通孔12と、外側突条11と内側突条10の下方に位置してトロリ線4の一方の条溝14に嵌合するように長手方向へ延びる挟持爪13とを具備させる。T型架台のウェブ8には、内側および外側突条10,11の上部に沿い、終端付近の所定位置を含む所定の長手方向幅の開口8bを設ける。
T型架台2の終端付近の所定位置から終端までの間のイヤー3bは、短冊状のものとし、ボルト挿通孔12に対応して相互間隔をおいて複数設け、それぞれ上部突条15と、下部突条16と、ボルト挿通孔17と、挟持爪18とを具備させる。上部突条15は、先端がウェブ8の一側面に当接するようにウェブ8の一側面に向かって突出しウェブ8の内側突条10と平行に延びるように構成する。下部突条16は、上部突条15の下方に間隔をおいて位置しウェブ8の一側面に向かって突出し上部突条15と平行に延びるように構成する。ボルト挿通孔17は、上部突条15と下部突条16の間に位置してイヤー3bを貫通するように構成する。挟持爪18は、下部突条16の下方に位置してトロリ線4の他方の条溝19に嵌合すべく延びるように構成する。
T型架台2の外側突条11には、ボルト挿通孔12に挿通されるボルト5の頭部平面に当接してボルトを回り止めする上部平面20を形成する。内側突条10には、イヤー3bの下部突条16の下面を載せ受けたときにイヤー3bのボルト挿通孔17をT型架台のボルト挿通孔12に対向させると共に、イヤー3bの挟持爪18をT型架台の挟持爪13に対向させる上部平面21を形成する。
トロリ線4は、T型架台2の終端付近の所定位置から終端まで、挟持部9に沿って上方へ湾曲して固定する。
この発明においては、剛体電車線1におけるT型架台2の終端付近の所定位置に開口8bが設けられているため、進入する電車のパンタグラフが開口8bの付近に当接すると、トロリ線4と共に挟持部9が弾性的に撓んで、衝撃を吸収する。
T型架台2の内側突条10の上部平面21に、イヤー3の下部突条16の下面を載せ受けたときに、イヤー3のボルト挿通孔17がT型架台のボルト挿通孔12に対向すると共に、イヤー3の挟持爪18がT型架台の挟持爪13に対向するように位置決めされるから、設置作業時の位置決めが容易で、作業を確実迅速に進行できる。内側突条10の上部平面21に、イヤー3の下部突条16が載るので、ボルト、ナット5,6による締め付け部間(約500mm)におけるイヤー3およびトロリ線4のたわみが確実に防止される。ボルト挿通孔12,18にボルト5を挿通させたときに、ボルト5の頭部平面がT型架台2の外側突条11の上部平面20に当接して回り止めされるから、ナット6の締め付け作業は容易に行える。ボルト、ナット5,6は汎用品でよい。外側突条11は、ウェブ8に剛性を付与し、たわみを防止すると共に、トロリ線4に対する大きな挟持力に耐える。
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の剛体電車線の正面図、図2は図1におけるII−II線断面図、図3は図1におけるIII−III線断面図、図4は本発明の剛体電車線の一部の斜視図である。
剛体電車線1は、隧道の天井または隧道外における支持構造物に、レールに沿って延びるように支持されるT型架台2と、ボルト・ナット5,6によってT型架台2の側面に固定されるイヤー3と、イヤー3とT型架台2との間に挟持されるトロリ線4とを具備する。
T型架台2は、アルミまたはアルミ合金製で、上部にあって隧道の天井に支持されるフランジ7とフランジ7の中央から垂下するウェブ8とを有する。ウェブ8は、T型架台2の終端付近の所定位置から終端に向かって下端が円弧状に上昇するように徐々にその上下幅が縮小する縮小部8aを有する。
イヤー3は、アルミまたはアルミ合金製で、T型架台のウェブ8の下部一側面にボルト・ナット5,6によって固定される。イヤー3は、T型架台に沿いウェブ8の延長方向に所定の長さ伸びる長尺帯板状のイヤー3aと、T型架台の終端部におけるウェブ8の下部に相互間隔を置いて複数装着される短冊状のイヤー3bとを含み、それぞれボルト・ナット5,6でウェブ8の側面に固定される。
トロリ線4は、イヤー3の下縁部とT型架台のウェブ8の下縁部に形成された挟持部9との間に挟持され、ウェブ8の下端に沿うように配置される。
ウェブ8の挟持部9は、内側突条10、外側突条11、ボルト挿通孔12、挟持爪13を有する。内側突条10は、ウェブ8の一側面からイヤー3側へ突出して、長手方向へ延びる。外側突条11は、ウェブ8の他側面からイヤー3と反対側へ突出して、長手方向へ延びる。ボルト挿通孔12は、突条10,11の直上に位置してウェブ8を貫通する。挟持爪13は、両突条10,11の下部に形成され、トロリ線4の一方の条溝14に嵌合するように長手方向へ延びる。
ウェブ8は開口8bを備える。開口8bは、内側および外側突条10,11の上部に沿い、下端が円弧状に上昇を始める所定位置付近に設けられ、所定の長手方向幅を有する。
イヤー3a,3bは、同一の断面形状で、それぞれ上部突条15と、下部突条16と、ボルト挿通孔17と、挟持爪18とを具備する。
上部突条15は、上端部に位置し、先端がウェブ8の一側面に当接するように当該ウェブの一側面に向かって突出し、長手方向へ伸びる。下部突条16は、上部突条15の下方に間隔をおいて位置し、ウェブ8の一側面に向かって突出し、長手方向へ伸びる。ボルト挿通孔17は、イヤー3aにおいては長手方向に相互間隔を置いて複数、イヤー3bにおいてはそれぞれ1つ、上部突条15と下部突条16の間に位置してイヤー3を貫通するように設けられる。挟持爪18は、下部突条16の下方に位置し、トロリ線4の他方の条溝19に嵌合するように長手方向へ延びる。
T型架台2の外側突条11は、ボルト挿通孔12に挿通されるボルト5の頭部平面に当接して、ボルト5を回り止めする上部平面20を有する。外側突条11は、ウェブ8に剛性を付与し、たわみを防止すると共に、トロリ線4に対する大きな挟持力に耐えるものである。T型架台2の内側突条10は上部平面21を有する。上部平面21は、イヤー3の下部突条16の下面を載せ受けたときに、イヤー3のボルト挿通孔17をT型架台のボルト挿通孔12に対向させると共に、イヤー3の挟持爪18をT型架台2の前記挟持爪13に対向させるように位置決めする。下部突条16の突出長さは、上部突条15の突出長さよりやや短く、T型架台2とイヤー3との間にトロリ線4を挟んでボルト・ナット5,6で締め付けた状態で、上部突条15の先端がウェブ8の一側面に当接するが、下部突条16の先端はウェブ8の一側面に当接しない。
剛体電車線1におけるT型架台2の終端付近の所定位置に開口8bが設けられているため、進入する電車のパンタグラフが開口8bの付近のトロリ線4に当接すると、トロリ線4と共に挟持部9が弾性的に撓んで、衝撃を吸収する。
T型架台2の内側突条10の上部平面21に、イヤー3の下部突条16の下面を載せ受けたときに、イヤー3のボルト挿通孔17がT型架台のボルト挿通孔12に対向すると共に、イヤー3の挟持爪18がT型架台の挟持爪13に対向するように位置決めされるから、設置作業時の位置決めが容易で、作業を確実迅速に進行できる。内側突条10の上部平面21に、イヤー3の下部突条16が載るので、ボルト、ナット5,6による締め付け部間(約500mm)におけるイヤー3およびトロリ線4のたわみが確実に防止される。ボルト挿通孔12,18にボルト5を挿通させたときに、ボルト5の頭部平面がT型架台2の外側突条11の上部平面20に当接して回り止めされるから、ナット6の締め付け作業は容易に行える。ボルト、ナット5,6は汎用品でよい。
T型架台2とイヤー3との間にトロリ線4を挟んでボルト・ナット5,6で締め付けた状態で、上部突条5の先端がウェブ8の一側面に当接するが、下部突条16の先端はウェブ8の一側面に当接しないので、トロリ線4を所定の弾性をもって確実に挟持することができる。
この発明は、例えば、地下鉄などにおける電気鉄道車両に給電するために、隧道の天井に支持される剛体電車線として利用される。
本発明の剛体電車線の正面図である。 図1におけるII−II線断面図である。 図1におけるIII−III線断面図である。 本発明の剛体電車線の一部の斜視図である。
符号の説明
1 剛体電車線
2 T型架台
3 イヤー
3a 長尺のイヤー
3b 短冊状のイヤー
4 トロリ線
5 ボルト
6 ナット
7 フランジ
8 ウェブ
8a 縮小部
8b 開口
9 挟持部
10 内側突条
11 外側突条
12 ボルト挿通孔
13 挟持爪
14 条溝
15 上部突条
16 下部突条
17 ボルト挿通孔
18 挟持爪
19 条溝
20 上部平面
21 上部平面

Claims (1)

  1. 隧道の天井または隧道外における支持構造物にレールに沿って延びるように支持されるT型架台と、このT型架台の下縁の一側面に沿いボルト・ナットによって固定されるイヤーと、T型架台とイヤーとの間に挟持されT型架台の下端に沿うように配置されるトロリ線と、を具備する剛体電車線の終端部構造であって、
    前記T型架台は、上部の水平のフランジと、フランジの中央から垂下しT型架台の終端付近の所定位置から終端に向かって下端が円弧状に上昇するように徐々にその上下幅が縮小するウェブと、ウェブの下端に沿って延長する挟持部と、を有し、
    前記T型架台の挟持部は、前記ウェブの一側面から前記イヤー側へ突出して長手方向へ延びる内側突条と、ウェブの他側面から前記イヤーと反対側へ突出して長手方向へ延びる外側突条と、これら内側突条と外側突条の直上に位置して長手方向に相互間隔をおいてウェブを貫通するように複数設けられるボルト挿通孔と、外側突条と内側突条の下方に位置してトロリ線の一方の条溝に嵌合するように長手方向へ延びる挟持爪とを具備し、
    前記T型架台のウェブは、前記内側および外側突条の上部に沿い、前記終端付近の所定位置を含む所定の長手方向幅の開口を備え、
    前記イヤーは、前記T型架台の終端付近の所定位置から終端までの間においては、前記ボルト挿通孔に対応して相互間隔をおいて複数設けられ、それぞれ上部突条と、下部突条と、ボルト挿通孔と、挟持爪とを具備し、上部突条は、先端が前記ウェブの一側面に当接するようにウェブの一側面に向かって突出しウェブの内側突条と平行に延び、下部突条は、上部突条の下方に間隔をおいて位置しウェブの一側面に向かって突出し上部突条と平行に延び、ボルト挿通孔は、上部突条と下部突条の間に位置してイヤーを貫通し、挟持爪は、下部突条の下方に位置してトロリ線の他方の条溝に嵌合するように延び、
    前記T型架台の外側突条は、T型架台のボルト挿通孔に挿通されるボルトの頭部平面に当接してボルトを回り止めする上部平面を有し、
    前記T型架台の内側突条は、前記イヤーの下部突条の下面を載せ受けたときにイヤーの前記ボルト挿通孔をT型架台の前記ボルト挿通孔に対向させると共に、イヤーの前記挟持爪をT型架台の前記挟持爪に対向させる上部平面を有し、
    前記トロリ線は、前記T型架台の終端付近の所定位置から終端まで、前記挟持部に沿って湾曲して固定されることを特徴とする剛体電車線の終端部構造。
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