図1は、本発明の平面表示装置の製造方法を実施すのに好適な製造装置の構成を説明する図である。この製造装置は、励起用LD(レーザダイオード)1と光ファイバ2で結合された連続発振レーザ光(以下、単にレーザ光とも称する)3を発生するレーザ発振器4、レーザ光3のON/OFFを行うシャッタ5、レーザ光3のエネルギを調整するための透過率連続可変NDフィルタ6、レーザ発振器4から出力されたレーザ光3を振幅変調してパルス化あるいはエネルギの時間的な強度(振幅)変調を実現するための変調器7と偏光ビームスプリッタ8を備える。
そして、レーザ光3のビーム径を調整するためのビームエキスパンダ(あるいはビームリデューサ)9、レーザ光3を細長い形状、例えば線状、矩形状、楕円状、長円状でかつフラットトップのエネルギ分布を有するビーム形状に整形するビーム整形器11、整形されたレーザ光3の長手方向を所定の寸法に調整するためのマスク14、マスク14の像を平行光に変換する結像レンズ(チューブレンズ)15、結像レンズ15を透過したレーザ光をステージ21上に載置された基板20上に縮小投影する対物レンズ19、基板20に検査用照明光を照射するための照明光源25、基板20表面を撮像するためのリニアセンサを好適とする撮像装置(カメラ)26、撮像装置26で撮像した画像を表示するためのモニタ27、前記撮像した画像を処理する画像処理装置28、本製造装置の各要素を制御するための制御装置29から構成されている。
次に、各部の動作・機能について詳細に説明する。連続発振レーザ光3は本製造装置の対象である非晶質あるいは多結晶シリコン薄膜に対して吸収のある波長、即ち紫外波長から可視波長を持つことが望ましく、より具体的にはArレーザあるいはKrレーザとその第二高調波、Nd:YAGレーザ、Nd:YVO4レーザ、Nd:YLFレーザの第二高調波及び第三高調波などが適用可能である。これらの中で、出力の大きさ及び出力の安定性を考慮すると、LD(レーザダイオード)励起Nd:YAGレーザの第二高調波(波長532nm)あるいはNd:YVO4レーザの第二高調波(波長532nm)が最も望ましい。以後の説明ではLD励起Nd:YVO4レーザの第二高調波を使用した場合について説明する。
レーザ発振器4から発振された連続発振レーザ光3はシャッタ5によりON/OFFされる。即ち、レーザ発振器4は常に一定出力でレーザ光3を発振した状態におかれ、シャッタ5は通常には閉じた状態(OFF状態)として、レーザ光3はシャッタ5で遮られていて、基板20の搬送時、位置決め時などにレーザ光3が照射されるのを防ぎ、アニールを開始する場合にのみ、このシャッタ5を開き(ON状態に)することで、レーザ光3を出力させる。励起用レーザダイオード1をON/OFFすることで、レーザ光3のON/OFFを行うことは可能だが、レーザ出力の安定性を確保するためには望ましくない。このほか、安全上の観点から緊急にレーザ光3の照射を停止したい場合にも、シャッタ5を閉じればよく、これにより発振器自体に悪影響を及ぼすことなくレーザ光の出力を遮蔽することができる。
シャッタ5を通過したレーザ光3は出力調整に使用する透過率連続可変NDフィルタ6を透過して変調器7に入射される。透過率連続可変NDフィルタ6としてはレーザ光が透過することで偏光方向が回転しないものが望ましい。ただし、後述するように変調器7として偏光方向の影響を受けないAOモジュレータを採用する場合には、その限りではない。変調器7としてはEOモジュレータが最も適している。EOモジュレータはドライバ(図示せず)を介してポッケルス・セル(結晶)に電圧を印加することで、結晶を透過するレーザ光3の偏光方向を回転させ、結晶の後方に置いた偏光ビームスプリッタ8でP偏光成分のみを通過、S偏光成分を90度偏向させることでレーザ光3のON/OFF(あるいはパルス化)および出力の調整を行うことができる。ただし、変調器7による出力の調整は、本実施例における必須機能ではなく、単にレーザ光3のON/OFF(あるいはパルス化)を行うことで十分である。
偏光ビームスプリッタ8に対してP偏光で入射するようにレーザ光3の偏光方向を回転させるための第1の電圧と、S偏光で入射するようにレーザ光3の偏光方向を回転させるための第2の電圧を交互に、あるいは第1の電圧と第2の電圧の間の任意に変化する電圧を印加することで、レーザ光3を振幅変調する。なお、図1では変調器7と偏光ビームスプリッタ8を組み合わせることで説明したが、偏光ビームスプリッタ8の代替として各種偏光素子を用いることができる。また、図1では変調器7と偏光ビームスプリッタ8を独立した部品として示したが、各種偏光素子まで含めたものを変調器(EOモジュレータ)7として市販されている場合もあり、ポッケルス・セルと偏光ビームスプリッタ8(または各種偏光素子)を組み合わせたもの全体をEOモジュレータと称する場合もある。
また、変調器7としてEOモジュレータ以外に、AO(音響光学)モジュレータを使用することができる。一般的に、AOモジュレータはEOモジュレータと比較して駆動周波数が低く、また回折効率も70〜90%とEOモジュレータと比較して効率が悪い。しかし、レーザ光が直線偏光でない場合でもON/OFF(あるいはパルス化)を行える特徴があり、透過率連続可変NDフィルタ6として透過レーザ光の偏光方向が回転するものを使用した場合でも問題は生じない。このように、EOモジュレータ7(及び偏光ビームスプリッタ8)あるいはAOモジュレータなどの変調器7を用いることにより、連続発振レーザ光から任意のタイミングで任意の波形(時間的なエネルギ変化)を有するレーザ光を得ることができる。即ち、所望の振幅変調を行うことができる。
振幅変調されたレーザ光3はビーム径を調整するためのビーム径調整器(ビームエキスパンダあるいはビームリデューサ)9でビーム径を調整され、ビーム整形器11に入射する。ビーム整形器11はレーザ光3を細長い形状、あるいは矩形のビームに整形するための光学素子である。通常、ガスレーザや固体レーザは、ガウス形のエネルギ分布を持つ円形のビームを出力する。このため、そのままでは本発明のレーザアニールに使用することはできない。発振器出力が十分に大きければ、ビーム径を十分に広げ、ビーム中心付近の比較的均一な部分のみを切り出すことで、ほぼ均一なエネルギ分布を得ることができるが、ビームの周辺部分を捨てることになり、エネルギの大部分が無駄になる。この欠点を解決して、ガウス形の分布を均一な分布(トップフラット)の線状ビームに変換するために、ビーム整形器11を用いる。
ビーム整形器11として回折光学素子を使用することができる。回折光学素子は石英などの基板にフォトエッチング工程により微細な段差を形成し、それぞれの段差部分を透過するレーザ光が形成する回折パターンを結像面で合成し、結果的に結像面に一致させたマスク14面上で線状あるいは矩形状のエネルギ分布が得られるように作成されている。即ち、ここで用いる回折光学素子はガウス分布のレーザ光を入射することで、一方向(長手方向)に均一な分布で、かつその直角方向(短手方向)にはガウス分布に集光されるように設計・製作されている。回折光学素子を使用した場合の長手方向の強度分布は±3%程度の均一な分布が得られる。
あるいは、ビーム整形器11として回折光学素子の代りに、パウエルレンズとシリンドリカルレンズの組み合わせを用いることができる。パウエルレンズはシリンドリカルレンズの一種で、ガウス分布のレーザ光を入射させた場合に、中心部分のエネルギ密度が高い部分は疎になるように、周辺部分のエネルギ密度が低い部分は密になるように投影面上に結像させる。その面と直角方向に対しては、パウエルレンズ単体ではエネルギ分布が変化しないままなので、シリンドリカルレンズで集光する。結果として、長手方向には均一なエネルギ分布を有し、短手方向にはガウス分布を有する細長い形状のビームがマスク14面上に形成されたことになる。パウエルレンズを使用した場合の長手方向の強度分布は±5%程度の均一な分布が得られる。
必要に応じて、長手方向のビーム周辺部のエネルギ密度変化が大きい部分、あるいは裾野部分(回折光学素子の場合には高次回折光)をマスク14により遮光することで、あるいは必要な寸法に整形することで、立ち上がりが急で所望の寸法を有する線状の光ビームが得られる。ここで得られた線状の光ビームは結像レンズ(チューブレンズ)15により平行光に変換され、対物レンズ19により基板20上に対物レンズ倍率の逆数の大きさに縮小投影される。即ち、10倍のレンズを使用した場合、マスク14で整形されたビーム寸法の1/10の大きさで投影される。レーザ光が照射された状態でステージ21を線状ビームの短手方向に高速走査することで、照射された部分のシリコン膜は溶融再凝固し、走査方向にラテラル(横方向)成長した結晶膜(帯状多結晶膜)が得られる。
必要な回数の走査で、基板内の所望の領域に帯状多結晶領域の形成が完了すると、撮像装置26で基板20の表面画像を撮像する。通常、大型基板全面を均一に照明して一度に撮像するのは極めて困難である。更に、大型基板の全面を特定の方向から照明して、特定の方向から撮像することも困難である。このため、撮像装置26としてリニアセンサカメラ26を用いる。
図2は、本発明の実施例1である平面表示装置の製造装置で検査を実施するときの構成を示す斜視図である。図2に示すように、照明光源25を点灯して線状の照明光30で基板20を照明し、基板20を一定速度で移動させつつ一定時間間隔で照明されている部分のライン(線状)画像を撮像装置26で撮像し、画像データを画像処理装置28に送信する。このライン画像を撮像順につなぐことで、結果的に基板20全面の画像を得る。この時、照明光源25としては、水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなどが使用可能で、白色光で使用しても良いし、フィルタにより特定の波長を選択して使用しても良い。
大形基板を対象とする場合には、複数台の光源からの光を光ファイバで結合し、拡散板などで明るさムラが発生しないように考慮し、シリンドリカルレンズなどで線状に整形して照射する。照射領域は線状で、短軸幅が10mm程度、長手方向寸法は基板20の一辺に相当する寸法より大きく設定する。ここで、照明光30の長手方向はアニール時の走査方向、即ち横方向成長した帯状結晶の成長方向と一致させる。
図3は、本発明の一実施例である平面表示装置の製造装置の照明光源と撮像カメラの位置関係を示す図である。位置関係は図3に示すように、照明光30の基板20に対する照射角(入射角α)は大きく、例えば45〜85度に、リニアセンサカメラ26からの俯角βを大きく例えば60〜85度(リニアセンサカメラ26への反射角γ=90−βは小さく、例えば5〜30度)に設定することで、直接の反射光31が除去され、散乱光による画像(暗視野画像)が得られる。上記設定で撮像された画像は、散乱面や段差部は明るく、平坦部は暗く見える。
なお、通常用いられる撮像装置26としてのリニアセンサカメラの受光素子の画素数は1又は数画素(通常は1画素)×10000画素程度であり、1回の基板走査で1m角の基板全面を撮像すると、リニアセンサの長手方向に対しておよそ100ミクロン/画素となり、画像が粗い。この程度の画素サイズでは検査が十分に行えない場合には、複数台のリニアセンサカメラを並べて撮像しても良い。ただし、撮像時の基板の走査方向(リニアセンサの短手方向)は撮像ピッチを小さくすることで、即ち走査速度を小さくする(あるいはリニアセンサのサンプリング間隔を小さくする)ことで、画素当たりの撮像寸法を小さくすることができる。一般的に、形成される帯状多結晶領域の幅は500〜2000ミクロンであり、10〜数10ミクロン/画素の分解能があれば、結晶状態および帯状多結晶領域の位置や寸法を評価するのに十分である。
本実施例の場合は、基板20の全面がエキシマレーザアニールで形成された粒状多結晶膜で、その中で駆動(ドライバ)回路が形成される部分のみが帯状多結晶膜となっているため、明るい背景にアニール部分のみが暗く見える。各画素の測定光強度(明るさ、以下明度とも言う)を例えば256段階で表し、帯状多結晶領域の明度が閾値(例えば、50)より大きいか小さいかで、適正な結晶状態か否かを判定することができる。得られた画像信号を閾値で2値画像信号に変換して判定しても良い。また、閾値以下の領域(即ち、適正な帯状多結晶領域)の位置と設計上の位置とがずれていないか、閾値以下の領域(即ち、適正な帯状多結晶領域)の寸法と設計上の寸法を比較して、所望の帯状多結晶領域が所期の寸法を満たしているか否かで、合否判定をすることができる。基板全面の画像データを取り込んだ後、設計上のアニール位置データを参照しながら順次帯状多結晶領域とその周辺を抽出し、画像処理装置28で結晶状態、帯状多結晶領域の位置と大きさを評価する。
アニール条件が低エネルギ密度側にずれた場合は、粒状多結晶膜の結晶粒が部分的に残留したり、表面の凹凸が大きくなったりするため、明度がやや大きい(やや明るく見える)。このため、エネルギ不足と判定することができ、再度レーザ照射を行って救済しても良いし、次基板のアニールに対してアニール条件を最適化するよう制御装置29に警報を発報しても良い。
アニール条件が高エネルギ密度側にずれた場合は、溶融したシリコンが下地膜にはじかれてピンホール(スポット凝集)が形成される。極端にエネルギ密度が大きい場合には、溶融したシリコン薄膜が下地膜ではじかれ、表面張力により凝集を起こし、棒状の結晶が形成される。このような場合、基板表面には大きな段差が発生するため、検査画像では極めて明るく見える。このことから、エネルギ密度が高過ぎたことが判定でき、次基板のアニールに対してアニール条件を最適化するよう制御装置29に警報を発報する。必要に応じて装置を緊急停止させても良い。
帯状多結晶膜が形成された位置が設計上の位置と異なる場合には、ステージ21のトラブルあるいは光学系とステージの相対位置ズレなどの問題が想定されるため、制御装置29にその旨の警報を発報して、装置を緊急停止させる。
検査画像から、結晶状態が良好で、アニールした部分の位置も寸法も基準を満たしている場合には良品である旨の信号を制御装置29に送り、基板20を搬出する。必要に応じて基板20を90度回転させて再搬入し、先ほどと直交する方向に横方向成長した帯状多結晶膜を形成し、照明光源25、リニアセンサ26で撮像した画像を画像処理装置28で結晶状態、位置、寸法を評価し、良品か否かの判断を下してアニール(帯状多結晶膜形成)の工程を終了する。
以下に、図1に構成を示した製造装置を用いた平面表示装置の製造方法の実施例1を図4に従い詳細に説明する。図4は、本発明の実施例1である平面表示装置の製造方法を実施する前の基板を示す図である。ここで対象とする基板はガラスなどの透明基板上にSiO2膜および/あるいはSiN膜からなる絶縁膜を介して非晶質シリコン膜が形成されている。この時の非晶質シリコン膜厚は30〜100nmである。この基板20は先ずエキシマレーザアニール装置により周辺部分5〜20mm幅程度にはレーザが照射されないように対策がされた状態で、周辺部以外の全面がアニールされる。通常、エキシマレーザ光は幅数100ミクロン、長さ数100mmの矩形状に整形されて、同一箇所に5〜30パルスが照射される条件で走査しながら照射される。
その結果、図4に示す様に基板周辺部は非晶質シリコン膜51がそのまま残り、周辺部以外はエキシマレーザの照射により溶融再凝固過程を経て粒状多結晶シリコン膜52になる。この多結晶シリコン膜52は結晶粒径が数10〜数100ミクロンの粒状結晶であり、この膜で形成したTFTの移動度は100cm2/Vs程度が得られ、画素のスイッチング用TFTに使用するには十分な性能である。
次に、周辺部を除いて粒状多結晶化された基板20は図1に示した装置により、処理される。基板20は図1のステージ21上に載置される。この時、基板20は概略の位置合わせを行うために、ステージ20上に設置された複数のピン(図示せず)に押し当てることでプリアライメントを行う。これにより、±100ミクロン程度の位置合わせを行うことができる。以下、図1を参照して説明する。
概略の位置合わせを行った後、基板周辺部の非晶質シリコン膜51が残留している部分に、アライメントマーク用のマスクパターンを投影する形でレーザ光を照射して、アライメントマークを形成する。一般的に形成すべきアライメントマークは数10ミクロン角〜数100ミクロン角の大きさであり、アライメントマークパターンが形成されているマスク(図示せず)にレーザを照射して、基板20上にマスクパターンを縮小投影する。使用するレーザはアニール(帯状多結晶膜形成)するための連続発振レーザでも良いし、マーク形成用に設置した小型パルスレーザでも良い。これにより、マスクを透過したレーザ光が非晶質シリコン膜に照射されて、照射部分のみ、多結晶シリコン膜に変換される。この多結晶膜はラテラル成長した結晶である必要は無く、粒状多結晶でも所謂微細結晶でもよい。いずれの多結晶状態でも、レーザ非照射部の非晶質シリコン膜とは反射率が異なるので、アライメントマークとして使用することができる。
最初のアライメントマークを形成した後、ステージ21を移動させ、2番目のアライメントマーク位置で停止させ、再びレーザ光を照射してアライメントマークを形成する。この手順を必要な回数だけ繰り返し、アライメントマークが必要な箇所に順にマークを形成する。これにより、図5に示す様に、基板20周辺部分に残留している非晶質シリコン膜部分51に、形成される予定の各パネル54、55、56等に対応したアライメントマーク57、58、59、60等が形成される。
尚、図4、図5において、基板20内に6個のパネルが形成される場合を例に説明しているが、その数に限定されることはない。例えば1m角の基板で公称2.5インチのパネルを製作する場合、数100パネルが製作可能であるが、図示が困難なため、ここでは6パネルで説明している。また、アライメントマークの形状は必要に応じて種々の形状を選択することができる。このアライメントマークはアニールを2方向に行う場合に基板20を90度回転させた後、およびアニール工程の後で最初に実施されるフォトレジスト工程でのフォトマスク(あるいはレチクル)の位置合わせに使用する。露光をステッパで行う場合、アライメントマークを基板内に作りこむ全てのパネルに対応した数だけ形成しても良いし、最初のパネルに対応した位置だけに形成し、残りのパネルについてはステッパの移動精度で露光しても良い。全面を一括露光するアライナの場合には2箇所あるいは3箇所にアライメントマークを形成すれば十分である。
次に、図6に示したように、各パネルの駆動回路を含む周辺回路が形成される部分に、線状に整形した連続発振レーザ光を走査しながら照射し、エキシマレーザアニールにより多結晶シリコン膜に変換された部分52の一部を横方向(ラテラル)成長した帯状多結晶膜61、62、63に変換する。駆動回路を含む周辺回路を形成する領域がパネルの1辺のみに集中している場合には基板を一方向に走査してアニールするだけでよく、基板内に製作される全てのパネルの駆動回路を含む周辺回路部分にレーザを照射し、それらの部分に帯状多結晶膜を形成して処理を終了する。通常、駆動回路を含む周辺回路部分は長さが1パネルの寸法程度、幅は500〜2000ミクロン(0.5〜2mm)程度である。
必要な回数の走査で、基板内の所望の領域に帯状多結晶領域の形成が完了すると、図2に示したように、照明光源25を点灯して線状の照明光30で基板20を照明し、基板20を一定速度で移動させつつ一定時間間隔で、照明されている部分のライン(線状)画像をリニアセンサカメラ26で撮像し、順次、画像データを画像処理装置28に送信する。このライン画像を撮像順に連続させることで結果的に基板20全面の画像を得る。この時の照明光源25、基板20、リニアセンサカメラ26の位置関係は、図3に示すように照明光30の基板20に対する照射角(入射角α)を例えば60度に、リニアセンサ26からの俯角βを例えば80度(リニアセンサ26への反射角γ=90−βは10度)に設定することで、直接の反射光が除去され、散乱光による画像(暗視野画像)が得られる。一回の走査で基板全面の画像が得られるため、撮像に要する時間10〜30秒ほどで、撮像が終われば、基板20は搬出しても良い。アニール処理を行う時間に比べて十分に短く、アニール処理だけを行う場合に比べても、スループットの低下は小さい。
ここで、図6に示した基板20内の1パネル分に注目すると、上記設定で撮像された画像は、図7に示すように散乱面や段差部は明るく、平坦部は暗く見える。即ち、本実施例の場合は基板20全面が粒状多結晶膜52で、照明光が散乱されやすいため明るい背景となり、その中で駆動回路が形成される部分61のみが極めて平坦な帯状多結晶膜となっているため、暗く見える。
順次、設計上の駆動回路形成部分の座標(例えば、駆動回路部分の中心座標あるいは特定の角部の座標)を参照して、撮像した画像から帯状多結晶領域61とその周辺部70を抽出し、帯状多結晶領域61の結晶状態、帯状多結晶領域61の位置座標、および帯状多結晶領域61の寸法などを評価してゆく。
適正な帯状多結晶領域が形成された場合の図7におけるA−A’部分の明度分布を図8に示す。位置A−A’において、帯状多結晶領域は閾値(例えば256階調の50)を下回り、周辺(粒状多結晶領域)は明るいことがわかる。評価のために抽出した部分70の明度分布はハッチング部分である。このハッチング部分のみを評価し、レーザを照射した部分が閾値を下回っているか、閾値を下回る部分の座表(例えば中心座標)が設計上の位置座標と一致しているか、閾値を下回る部分の寸法から計数した帯状多結晶領域61の幅、図7における線分A−A’と直交する方向に計数した帯状多結晶領域61の長さ、パネル内の閾値を下回る画素数から計数した帯状多結晶領域61の面積などが基準値を充たしているかを設計寸法と比較することで、適正にアニール処理がなされたか否かを判断することができる。得られた画像を閾値で2値画像に変換して判断しても良い。
帯状多結晶領域を形成した部分の検査を行い、基準を満たしている場合には合格した旨の信号を制御装置29に送り、基板20を搬出する。図11で後述するように、必要に応じて基板20を90度回転させて再搬入し、先ほどと直交する方向に横方向成長した帯状多結晶膜を形成し、その後に照明光源25で照明した部分を、リニアセンサカメラ26で順次撮像し、得られた画像を画像処理装置28で処理して、結晶状態、位置、寸法を評価し、アニール(帯状多結晶膜形成)工程を終了する。
適正値より低エネルギ密度で処理され、結晶状態が不良となった場合には、粒状多結晶膜の結晶粒が部分的に残留したり、表面の凹凸が大きくなったりするため、図9に示すように粒状多結晶領域(バックグラウンド)よりは暗いものの、適正な帯状多結晶領域に比べて明度がやや大きい(やや明るく見える)。このため、エネルギ不足と判定することができ、不良部分に再度レーザ照射を行っても良い。次基板のアニールに対してアニール条件を最適化するよう制御装置29に警報を発報して装置を停止させても良いし、自動的にレーザ光の透過率を例えば5%増加させて次基板の処理を行っても良い。
一方、適正値より高エネルギ密度で処理され、結晶状態が不良となった場合には、溶融したシリコンが下地膜にはじかれてピンホール(スポット凝集)を形成する。更にエネルギ密度が大きい場合には、溶融したシリコン薄膜が下地膜ではじかれ、表面張力により凝集を起こし、棒状の結晶が形成される。このような場合には大きな段差が発生し、図10の示すように、段差部などが極めて明るくなるため、(図10では明度が大きすぎて、明度レベルが飽和している状態を示している)エネルギ密度が大きすぎると判定でき、次基板のアニールに対してアニール条件を最適化するよう制御装置29に警報を発報して、装置を緊急停止させる。あるいは自動的にレーザ光の透過率を、例えば5%減少させて次基板の処理を行っても良い。
上記説明は、基板上に形成した非晶質シリコン薄膜をエキシマレーザ照射により粒状多結晶シリコン膜に変換した後で駆動回路を形成する領域のみを帯状多結晶シリコン膜に変換した場合の検査方法であるが、非晶質シリコン薄膜から直接駆動回路を形成する領域のみを帯状多結晶シリコン膜に変換することも出来る。その場合、画素のスイッチングは非晶質シリコン(a−Si)薄膜から形成したトランジスタを使用することになる。この場合の検査方法について説明する。
図12は、非晶質シリコン薄膜基板80の駆動回路領域を線状に集光した連続発振レーザ光を走査しながら照射して、帯状多結晶シリコン膜に82変換した基板の、1パネル分を前述の照明光源で照明し、リニアセンサカメラで撮像した画像の一例を示す。この場合、非晶質シリコン薄膜は極めて平坦なため、散乱光は発生せず真っ暗となり、帯状多結晶シリコン膜領域はわずかな散乱光が発生するため暗く見える。
適正な帯状多結晶領域が形成された場合の図12におけるA−A’部分の明度分布を図13に示す。位置A−A’において、帯状多結晶領域82は閾値1(例えば256階調の50)を下回り、周辺(非晶質領域)は更に暗いことがわかる。評価のために抽出した部分80の明度分布はハッチング部分である。このハッチング部分のみを評価し、レーザを照射した部分が閾値1を下回り、かつ閾値2(例えば256階調の20)を上回っているか、閾値1と閾値2の間の明度を示す座標が設計上の位置座標と一致しているか、閾値1と閾値2の間の明度を示す部分の寸法から計数した帯状多結晶領域82の幅、あるいは図7における線分A−A’と直交する方向に計数した帯状多結晶領域82の長さ、閾値1と閾値2の間の明度を示す画素数から計数した帯状多結晶領域82の面積が基準値を充たしているかなど、設計寸法と比較することで、適正にアニール処理がなされたか否かを判断することができる。
得られた画像を閾値で3値画像に変換して処理しても良い。帯状多結晶領域を形成した部分の検査を行い、基準を満たしている場合には合格した旨の信号を制御装置29に送り、基板20を搬出する。必要に応じて基板20を90度回転させて再搬入し、先ほどと直交する方向に横方向成長した帯状多結晶膜を形成し、照明光源25で照明した部分を、リニアセンサカメラ26で順次撮像し、得られた画像を画像処理装置28で処理して、結晶状態、結晶位置、寸法を評価し、アニール(帯状多結晶膜形成)工程を終了する。
適正値より低エネルギ密度で処理され、結晶状態が不良となった場合には、表面の凹凸が大きくなるため、図14に示すように、適正な帯状多結晶領域に比べて明度がやや大きく、閾値1を超える明度となる。このため、エネルギ不足と判定することができ、不良部分に再度レーザ照射を行っても良い。次基板のアニールに対してアニール条件を最適化するよう制御装置29に警報を発報して装置を停止させても良いし、自動的にレーザ光の透過率を例えば5%増加させて次基板を処理しても良い。
一方、適正値より高エネルギ密度で処理され、結晶状態が不良となった場合には、溶融したシリコンが下地膜にはじかれてピンホール(スポット凝集)を形成する。更にエネルギ密度が大きい場合には、溶融したシリコン薄膜が下地膜ではじかれ、表面張力により凝集を起こして棒状の結晶を形成する。このような場合には大きな段差が発生し、図15の示すように、段差部などが極めて明るくなるため、(図15では明度が大きすぎて、明度レベルが飽和している状態を示している)エネルギ密度が大きすぎると判定でき、次基板のアニールに対してアニール条件を最適化するよう制御装置29に警報を発報して、装置を緊急停止させる。あるいは、自動的にレーザ光の透過率を例えば5%低下させて次基板の処理を行っても良い。
パネルの2辺に駆動回路を含む周辺回路が形成される場合、基板を90度回転させて回転させる前と同一方向に走査するか、あるいは線状に整形したレーザ光の長手方向と短手方向を90度回転させて回転させる前と直交する方向に走査する必要がある。これらの場合、特に基板を回転させた場合、基板を押し付けピンに押し当てたとしても基板の回転中心の位置精度は±100ミクロン程度でしか保証されないため、レーザ照射前に正確なアライメントが必要になる。
そこで、最初に形成したアライメントマークを必要に応じて複数箇所検出し、検出した座標を基準に基板をアライメントする。アライメント後に、線状に整形したレーザ光を照射しながら走査することにより、図11に示すように、先ほどとは直交する方向に横方向成長した帯状多結晶膜領域65、66、67を形成することができる。
帯状多結晶膜領域形成後は、先ほどと同じ手順で検査を行う。照明光源25で照明しながら、リニアセンサカメラ26で順次撮像し、得られた画像を画像処理装置28で処理して帯状多結晶膜領域の結晶状態、および帯状多結晶膜領域の寸法を評価する。必要に応じてレーザ条件を適正化するように警報を発報し、追加のレーザ照射を行っても良い。最終的に基板20をカセットに搬出してアニール(帯状多結晶膜形成)を終了する。良品基板と不良基板を分別して異なるカセットに搬出しても良い。
図16は、本発明による表示装置の製造方法の全体工程を説明する実施例としての、液晶表示装置の製造工程を示すフローチャートである。図17は、図16における液晶表示装置の製造工程の中で帯状多結晶膜を形成するためのレーザアニール工程を示すフローチャートである。図16に示すように、まずガラス基板上に絶縁膜が形成され(P―1)、その上に非晶質シリコン(a-Si)膜が形成され(P―2)、非晶質シリコン膜がエキシマレーザアニールにより粒状多結晶シリコン膜に変換され(P―3)、本発明の帯状多結晶膜形成(P―4)が実施される。画素トランジスタを非晶質シリコン膜で形成する場合にはエキシマレーザアニール(P−3)が省略される。
帯状多結晶膜形成工程(P―4)は図17に示すように、ガラス基板がアニール室に搬送され(P―4A)、プリアライメント(P―4B)を行った後、アライメントマークが形成される(P―4C)。その後、帯状多結晶膜を形成するためのレーザアニールが行われ(P−4D)、検査(P−4E)が行われる。前記工程で形成した帯状多結晶の成長方向と直交する方向に帯状多結晶が必要な場合には、基板を90度回転し(P−4F)、プリアライメント(P−4G)を行った後、基板上に形成したアライメントマークを検出してアライメントをおこなう(P−4H)。その後、アニール(P−4J)、検査(P−4K)を経て、基板を搬出し(P−4L)、カセット内の基板を順次同じ手順で処理する。カセット内の全基板の処理が終了するとカセットは次工程(図16の(P―5))へ送られる。
レーザアニール後、フォトエッチング工程(P―5)によりトランジスタ形成に必要なシリコン膜のみを残すエッチングを行い、ゲート絶縁膜形成(P―6)、ゲート電極形成(P―7)、不純物拡散(P―8)、不純物拡散領域の活性化(P―9)、層間絶縁膜形成(P―10)、ソース・ドレイン電極形成(P―11)、保護膜(パシベーション膜)形成(P―12)を経て、TFT基板が完成する。この後、TFT基板に配向膜を形成し、ラビング工程を経たTFT基板にカラーフィルタ基板を重ね、TFT基板との間に液晶を封入するLCD(パネル)工程(P―13)、信号及び電源の端子を接続後、バックライト(図示せず)などと一緒にシャーシに組み込むモジュール工程(P―14)を経て、高速駆動回路および必要に応じてインタフェース回路などの高速回路をガラス基板上に形成した液晶表示装置(いわゆるシステム・オン・パネル)が完成する。この表示装置は携帯電話、PDA,デジタルスチールカメラ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示部として使用される。
次に、本発明である表示装置の製造方法の実施例2を説明する。図18は、発明の製造方法を実施するに好適な別の製造装置の構成を示す図であり、任意のタイミングで所望の領域のみにレーザ光204を線状に整形して集光照射するための光学系201、基板202を載置し、該基板202を走査するためのステージ203で構成されるアニールステーションと、基板202を保持するアーム206を備えた搬送ロボット207と、基板202を載置し、走査するためのステージ208、照明光源209、リニアセンサカメラ211で構成される検査ステーションから構成されている。ここで光学系201は図1に示した励起用LD1、光ファイバ2、連続発振レーザ発振器4、シャッタ5、透過率連続可変NDフィルタ6、変調器7、偏光ビームスプリッタ8、ビームエキスパンダ9、ビーム整形器11、マスク14、チューブレンズ15、対物レンズ19などから構成されている。なお、本装置構成図は図1に示した画像処理装置28、モニタ27、制御装置29などを省略してある。
図18に示すように絶縁膜、a-Si膜が形成され、周辺部を除いてエキシマレーザ照射により粒状多結晶膜に変換された基板202はアニールステーションに搬入され、ステージ203上に載置・固定される。周辺部に残留しているa-Si膜にアライメントマークが形成された後、所望の領域に線状に集光した連続発振レーザ光204が、基板202を高速に走査しながら照射され、パネルの駆動回路を形成する領域が帯状多結晶膜205に変換される。図6に示すように一方向のアニールが終了すると、基板202は搬送ロボット207によりアニールステーションから搬出されるとともに、新たな基板をアニールステーションのステージ203上に載置・固定して、アライメントマーク形成およびアニールを開始する。
一方、搬出された基板202は搬送ロボット207により検査ステーションのステージ208上に移載されて載置・固定され、検査用照明光源209から線状に集光した照明光210を照射されて、リニアセンサカメラ211で基板202の表面画像が撮像される。この時、照明光源209としては、水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなどが使用可能で、白色光で使用しても良いし、特定のフィルタにより、特定の波長を選択して使用しても良い。大形基板を対象とする場合には複数台の光源からの光を光ファイバで結合し、拡散板などで明るさムラが発生しないように考慮し、シリンドリカルレンズなどで線状に整形して照射する。
照射領域は線状で、短軸幅が10mm程度、長手方向寸法は基板202の一辺に相当する寸法より大きく設定する。ここで、照明光210の長手方向はアニール時の走査方向、即ち横方向成長した帯状結晶の成長方向と一致させる。位置関係は図3に示すように、照明光210の基板202に対する照射角(入射角α)は大きく、例えば45〜85度に、リニアセンサカメラ211からの俯角βを大きく例えば60〜85度(リニアセンサカメラ26への反射角γ=90−βは小さく、例えば5〜30度)に設定することで、直接の反射光が除去され、散乱光による画像(暗視野画像)が得られる。上記設定で撮像された画像は、散乱面や段差部は明るく、平坦部は暗く見えることは既に説明した通りである。
なお、前記したように、通常用いられるリニアセンサカメラ26(211)の画素数は1〜数画素(通常は1画素)×10000画素程度であり、1回の基板走査で1m角の基板全面を撮像すると、リニアセンサの長手方向に対して100ミクロン/画素程度となり、画像が粗い。この程度の画素サイズでは検査が十分に行えない場合には、複数台のリニアセンサカメラを並べて撮像しても良い。ただし、撮像時の基板の走査方向(リニアセンサの短手方向)は撮像ピッチを小さくすることで、即ち走査速度を小さくすることで、画素当たりの撮像寸法を小さくすることができる。一般的に、帯状多結晶領域の幅は500〜2000ミクロンであり、10〜数10ミクロン/画素の分解能があれば、結晶状態および帯状多結晶領域の位置、寸法を評価するのに十分である。
撮像した画像は基板202全面が粒状多結晶膜で、その中で駆動回路部分のみが帯状多結晶膜205となっているため、明るいバックグランドにアニール部分のみが暗く見える。各画素の明るさ(明度)を例えば256段階で表し、帯状多結晶領域の明度が閾値(例えば50)より大きいか小さいかで、適正な結晶状態か否かを判定することができる。また、閾値以下の領域(即ち、適正な帯状多結晶領域)の位置、寸法と設計上の位置、寸法を比較して、所望の帯状多結晶領域が所期の位置、寸法を満たしているか否かで、合否判定をすることができる。基板全面の画像データを取り込んだ後、アニールの位置データと比較しながら順次、画像処理装置28(図1参照)で結晶状態、アニール領域の位置座標と大きさを評価する。得られた画像を閾値で2値画像に変換して評価しても良い。
評価結果から基板202が良品か否かを判定する。良品の場合は搬送ロボットで基板を搬出し、良品用カセット(図示せず)に格納する。軽度の不良の場合には制御装置(図示せず)に警報を発報し基板を軽度不良用カセットに格納するが、アニールステーションで処理中の基板は処理を続行する。重度の不良の場合には、その旨の警報を発報して重度不良用カセットに格納するとともに、アニールステーションで処理中の基板の処理を緊急停止する。
なお、上記した判定結果と処理では良品・軽度不良・重度不良の三段階に分けてそれぞれの処理を行ったが、これらは単なる一例を示しただけであり、これに限定されるわけではない。たとえば、基板番号と対応付けた検査結果を上位のコンピュータに送り、基板は同一のカセットに格納しても良い。
一カセット分の基板に対して、所望の領域の帯状多結晶膜への変換が終了すると、必要に応じて基板の向きを90度回転して搬入し、アライメントマークを検出して精位置決めを行った後、先ほどと同じ手順で帯状多結晶膜への変換と検査を行い、一カセット分の処理が終了すると、カセットに格納された基板は次工程(図16に示すフォトエッチング工程)に送られる。
この手順で処理した場合、アニールと検査が並行して行われるため、検査時間がアニール時間より短い場合には検査を行うことでスループットが大きく低下することはない。厳密には最後の基板の検査に要する時間だけ余分に必要となる。
全体の製造工程は図16に示したフローチャートと同じであるが、本実施例の帯状多結晶膜形成(P―4)工程は図19に示すとおりである。すなわち、ガラス基板がアニールステーションに搬入され(P―4’A)、プリアライメント(P―4’B)を行った後、アライメントマークが形成され(P―4’C)、帯状多結晶膜を形成するためのレーザアニールが行われる(P−4’D)。その後、基板は検査ステーションに搬送され(P−4’E)、検査(P−4’F)が行われた後、基板は一度搬出(P−4’G)され、カセットに格納される(P−4’H)。これらの工程が1カセット内の基板数だけ繰り返される。
前記工程で形成した帯状多結晶の成長方向と直交する方向に帯状多結晶が必要な場合には、基板を90度回転してアニールステーションに再度搬入し(P−4’J)、プリアライメント(P−4’K)を行った後、基板上に形成したアライメントマークを検出してアライメントをおこなう(P−4’L)。その後、アニール(P−4’M)を行い、基板は検査ステーションに搬送され(P−4’N)、検査(P−4’P)を経て、基板は搬出(P−4’Q)されカセットに格納される(P−4’R)。これらの工程が1カセット内の基板数だけ繰り返され、全ての基板の処理が完了すると、基板を格納したカセットは次工程(図16の(P―5))へ送られる。
レーザアニール後、フォトエッチング工程(P―5)によりトランジスタ形成に必要なシリコン膜のみを残すエッチングを行い、ゲート絶縁膜形成(P―6)、ゲート電極形成(P―7)、不純物拡散(P―8)、不純物拡散領域の活性化(P―9)、層間絶縁膜形成(P―10)、ソース・ドレイン電極形成(P―11)、保護膜(パシベーション膜)形成(P―12)を経て、TFT基板が完成する。
この後、TFT基板に配向膜を形成し、ラビング工程を経たTFT基板にカラーフィルタ基板を重ね、TFT基板との間に液晶を封入するLCD(パネル)工程(P―13)、信号及び電源の端子を接続後、バックライト(図示せず)などと一緒にシャーシに組み込むモジュール工程(P―14)を経て、高速駆動回路および必要に応じてインタフェース回路などの高速回路をガラス基板上に形成した液晶表示装置(いわゆるシステム・オン・パネル)が完成する。この液晶表示装置は携帯電話、PDA,デジタルスチールカメラ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示部として使用される。
本実施例の説明では、基板202上に粒状多結晶シリコン膜が形成されている場合について説明したが、基板202上に非晶質シリコン膜が形成されている場合についても同様である。即ち、図13〜図15に示したような明度分布が得られ、帯状多結晶シリコン膜の結晶状態、帯状多結晶領域の位置、寸法を評価することができる。この場合、図16の示したプロセスフローにおいて、エキシマレーザアニール(P−3)を省略することで実現できる。
図18に示した製造装置による製造方法の本実施例において、図19に示すように1方向へのアニールと検査を1カセット内の基板枚数分を順次実施し、然る後に他方向へのアニールと検査を1カセット内の基板枚数分だけ実施する内容となっているが、図17に示した手順でも良い。すなわち、1方向へのアニールと検査を行い、しかる後に基板を90度回転させて、もう一方へのアニールと検査を行う。この手順をカセット内の基板数だけ繰り返し、全基板の処理が終了すると、カセットを次工程に搬送する。
同様に、図1に示した製造装置による製造方法の実施例において、図17に示すように1方向へのアニールと検査の後、基板を90度回転してもう一方へのアニールと検査を行い、この手順をカセット内の基板枚数分だけ繰り返すことで説明したが、図19に示した手順でも良い。すなわち、1方向へのアニールと検査を1カセット内の基板枚数だけ順次実施し、然る後に90度回転させて、もう一方へのアニールと検査を1カセット内の基板枚数だけ繰り返す。全基板の処理が終了すると、カセットを次工程に搬送する。
また、カセットを使用しないで枚葉処理を行う場合には、1方向へのアニールと検査を実施後、基板を90度回転してアライメントを行って、もう一方へのアニールと検査を行い、基板を搬出して次工程に送るのが適している。あるいは、1方向へのアニールの後、基板を90度回転してもう一方へのアニールを行い、その後に1方向へのアニールを行った部分の検査を行い、その後、基板を90度回転してもう一方へのアニールを行った部分の検査を行い、基板を搬出して次工程に送っても良い。
実施例の説明から明らかなように、本発明の趣旨はアニール後に検査を行い、不良が発見された場合、次基板あるいは次々基板からは正常に処理されることで、同一の不良を大量に発生することを防止することにあり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で工程順を変更することができることは明らかである。
以上、説明してきたように、本発明の製造方法は非晶質シリコン膜上、あるいはエキシマレーザを照射して形成した粒状多結晶シリコン膜上の駆動回路を形成する領域のみに、線状に集光した連続発振レーザ光を高速に走査しながら照射し、帯状多結晶シリコン膜を形成した後、特定の方向からの照明下で基板全面の暗視野画像を撮像し、画像の明度から帯状多結晶領域の結晶状態、帯状多結晶領域の位置座標、および寸法を評価する。
これにより帯状多結晶シリコン膜を形成するレーザ条件あるいは装置状態が適正か否かを判断することが出来、レーザ条件の変動あるいは装置異常に伴う不良発生を防止することが出来る。即ち、平面表示装置の製造歩留まり向上、品質の確保を図ることができる。
1・・・レーザダイオード、2・・・光ファイバ、3・・・レーザ光、4・・・レーザ発振器、6・・・透過率連続可変フィルタ、7・・・変調器、9・・・ビーム径調整器、11・・・ビーム整形器、14・・・マスク、15・・・結像レンズ、19・・・対物レンズ、20・・・基板、21・・・ステージ、25,209・・・照明光源、26,211・・・撮像カメラ、30・・・照明光、51・・・非晶質シリコン膜、52・・・多結晶シリコン膜、54,55,56・・・パネル、57,58,59,60・・・アライメントマーク、61,62,63,65,66,67・・・帯状結晶シリコン膜、206・・・搬送アーム、207・・・搬送ロボット。