JP2008028197A - 強誘電体膜およびその製造方法、強誘電体キャパシタ、強誘電体メモリおよびその製造方法 - Google Patents

強誘電体膜およびその製造方法、強誘電体キャパシタ、強誘電体メモリおよびその製造方法 Download PDF

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浩之 田中
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剛久 加藤
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Abstract

【課題】微細なCMOS回路に搭載することができ、良好な残留分極特性を示す強誘電体膜とその製造方法、強誘電体キャパシタ、および強誘電体メモリとその製造方法を提供する。
【解決手段】強誘電体膜の製造工程において、基板温度を380℃以上且つ420℃以下とするMOCVD法により強誘電体膜を成膜した後、基板温度を650℃以上且つ750℃以下とする熱処理により結晶化させる。強誘電体膜は、Bi−x+yTi12(AはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、及びVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.6の範囲である)から構成されており、強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている。
【選択図】図3

Description

本発明は、強誘電体メモリなどに用いられる強誘電体膜およびその製造方法、強誘電体キャパシタ、強誘電体メモリおよびその製造方法に関するものである。
近年、デジタル技術の進展に伴い、大容量のデータを処理し保存する傾向が強まる中で、電子機器が一段と高度化され、電子機器に使用される半導体装置においては、搭載される半導体素子の微細化が急速に進んでいる。これに伴い、揮発性の半導体メモリであるダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)の高集積化を実現するために、従来の珪素酸化物または窒化物から酸化タンタルなどの誘電率のより高い化合物に変えることで、高誘電率容量絶縁膜を備えた半導体記憶装置が広く研究開発されている。さらに、従来にない低動作電圧を示し、かつ高速で書き込みや読み出しが可能である不揮発性メモリの実用化を目指し、自発分極特性を有する強誘電体膜を用いた強誘電体キャパシタに関する研究開発が盛んに行われ、メガビットクラスの強誘電体不揮発性メモリが実用化されている。
現在、強誘電体不揮発性メモリのさらなる高集積化の実現のため、強誘電体不揮発性メモリに搭載された強誘電体キャパシタにおける電極面積の小型化や、強誘電体容量絶縁膜の薄膜化に伴う容量素子の微細化に関する研究開発が特に盛んに行われている(特許文献1参照)。
特開2002−246563号公報
強誘電体不揮発性メモリのさらなる高集積化を実現するためには、強誘電体膜の特性を劣化させることなく、強誘電体キャパシタを微細な相補型金属酸化膜半導体(CMOS)集積回路に集積化させる製造方法を開発する必要がある。
2006年4月現在、線幅0.18μmのプロセスルールにおいて、高集積化された強誘電体不揮発メモリをCMOS集積回路に混載したメモリ素子が実現されている。このメモリ素子は一般的にはフェロエレクトリックランダムアクセスメモリー(FeRAM)と呼ばれ、不揮発性で高速に読み書き可能であり、且つ安全性の高いメモリ素子として、ICタグやICカードなどを中心に、実際に商品化されている。今後、上記の用途のみならず、デジタル家電などの大規模な集積回路に対して、高集積化された強誘電体不揮発メモリを混載することにより、さらなる市場の拡大を狙うことができる。そのためには、線幅0.13μmルール以降の微細なCMOSプロセスに対しても、高集積化された強誘電体不揮発メモリを混載することが可能な技術が必要となってくる。そこで、実効メモリセル面積を縮小するため強誘電体キャパシタ素子を立体化したり、高分極および高配向を示す強誘電体膜を低温で結晶化させる技術に注目が集まっている。
線幅0.13μmルールの微細なCMOSプロセスでは、トランジスタのソースとドレインの間隔が狭くなるため、ビット線を強誘電体キャパシタの下に形成する、キャパシタ・オン・ビット(COB)構造が主流となっており、これにより無駄の少ないメモリセルレイアウトを実現できる。COB構造では、強誘電体キャパシタを形成する工程の前に、ビット線を形成し、その後、トランジスタと接続するためのコンタクトを形成する。次に、強誘電体キャパシタを水素ガスによる還元から保護するために設けられ、例えば窒化シリコン膜(SiN)などからなるバリア膜を比較的高温なプロセスで堆積する。以降、熱処理により強誘電体膜を結晶化する工程などを経て強誘電体キャパシタを形成する。このような形成方法では、コンタクトを形成した後に比較的高温なプロセスを行うため、トランジスタのソースやドレインのコンタクト領域に用いられる例えばコバルトシリサイド(CoSi)などが高温に晒されてしまう。その結果、トランジスタが高抵抗化するなど強誘電体メモリの動作に不具合が生じるおそれがある。そのため、強誘電体膜をできるだけ低温で結晶化させるプロセスの開発が望まれている。
また、線幅0.13μmルールのCMOSプロセスでは、ロジック部の駆動電圧は一般的には1.5V以下であるため、低電圧で分極反転できる強誘電体キャパシタが必要となっており、そのために強誘電体膜を薄膜化することが求められている。一方、強誘電体メモリのセルサイズを縮小化するため、強誘電体キャパシタ素子を立体化した強誘電体メモリの開発も進んでいる。以上のことより、アスペクト比の高い立体構造を有する強誘電体キャパシタに対しても、薄膜化され、且つ、高い被膜率で強誘電体膜を成膜する技術の開発が求められている。
さらに、線幅65nmルール以降の微細なCMOSプロセスでは、トランジスタの耐熱性の問題から、プロセス温度の上限値における制約が厳しくなる。特に、線幅65nmルールのCMOSプロセスにおいてトランジスタのソースやドレインのコンタクト領域にニッケルシリサイド(NiSi)が形成されている場合、プロセス温度は厳しく制約される。高温では、NiSiがNiSiへ相転移することによるトランジスタの高抵抗化が懸念されるほか、ニッケル原子がシリコン中の欠陥などを介して再拡散するおそれがある。したがって、線幅65nmルール以降の微細CMOSプロセスにおいても、強誘電体膜をできるだけ低温で結晶化させるプロセスの開発が必要となっている。
上記の不具合を考慮し、本発明は、微細なCMOS回路に搭載することができ、且つ、良好な残留分極特性を示す強誘電体膜およびその製造方法と、該強誘電体膜を備えた強誘電体キャパシタと、さらには強誘電体メモリおよびその製造方法とを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の強誘電体膜の製造方法は、基板の上または上方に形成された下部電極の上に、前記基板の温度を380℃以上且つ420℃以下とする有機金属化学気相堆積法により強誘電体膜を形成する工程(a)と、前記基板の温度を650℃以上且つ750℃以下とする熱処理により前記強誘電体膜を結晶化させる工程(b)とを備えており、前記強誘電体膜は、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.6の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている。
この方法によれば、工程(a)においてアモルファス状の構造を有する強誘電体膜が得られるため、薄膜化され表面の凹凸が少ない強誘電体膜を形成することができる。これにより、本発明の第1の製造方法で形成した強誘電体膜を備えた強誘電体キャパシタは、読み出しや書き込みなどの動作を低電圧で行うことが可能となり、さらに表面の凹凸に起因した電界集中を抑制することができるため、リーク電流を低減させることができる。その結果、本発明の第1の強誘電体膜の製造方法によれば、ロジック部の駆動電圧が低い微細なCMOS回路に対しても混載することが可能な強誘電体膜を形成することができる。
さらに、本発明の第1の強誘電体膜の製造方法では、工程(b)において基板温度を650℃以上且つ750以下とすることで、工程(a)で形成されたアモルファス状の強誘電体膜が固相反応によりペロブスカイト構造の強誘電体膜となる。また、工程(b)で形成された強誘電体膜は、73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている結晶構造を有している。そのため、本発明の第1の製造方法では、ランダムに配向している結晶構造と比較して優れた残留分極特性を示す強誘電体膜を製造することが可能となる。
また、本発明の第1の強誘電体膜の製造方法においては、前記下部電極は溝が設けられた層間絶縁膜の上に形成されており、前記工程(a)は前記下部電極上に前記溝の内壁に沿った形状の前記強誘電体膜を形成する工程を含んでいることが好ましい。この方法によれば、上記の効果に加え、溝などの段差が形成された領域においても、薄膜化され表面の凹凸が少ない強誘電体膜を形成することができる。
次に、本発明の第2の強誘電体膜の製造方法は、基板の上または上方に形成された下部電極の上に、前記基板の温度を430℃以上且つ470℃以下とする有機金属化学気相堆積法により強誘電体膜を形成する工程(a)と、前記基板の温度を400℃以上且つ500℃以下とする熱処理により前記強誘電体膜を結晶化させる工程(b)とを備えており、前記強誘電体膜は、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ4.4≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている。なお、前記工程(a)で形成される前記強誘電体膜は、ペロブスカイト構造の微結晶を含んでいることが好ましい。
この方法によれば、工程(a)において、ペロブスカイト構造の微結晶を含む強誘電体膜が生成されることにより、熱処理時の結晶化が容易となり、基板温度を比較的低温(400℃以上且つ500℃以下)に設定しても、結晶性が高く、残留分極特性が良好な強誘電体膜を形成することができる。また、工程(a)で形成された強誘電体膜は、73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている結晶構造を有するため、ランダムに配向している結晶構造と比較して優れた残留分極特性を示すことができる。
さらに、本発明の第2の強誘電体膜の製造方法おいては、工程(a)で直径100nm以下の微結晶が生成されるため、薄膜化され表面の凹凸が少ない強誘電体膜を備えた強誘電体膜を形成することができる。
本発明の強誘電体膜は、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている。これによれば、強誘電体膜として良好な残留分極特性を示すことができる。また、結晶構造の配向が比較的揃っているため、本発明の強誘電体膜を微細なCMOS回路に用いた場合においても、キャパシタ毎に配向性が異なることや分極特性がばらつくことを抑制することができる。
また、本発明の強誘電体キャパシタは、基板の上または上方に形成された下部電極と、前記下部電極の上に形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜の上に形成された上部電極とを備えており、前記強誘電体膜は、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている。なお、前記基板の上または上方に形成され、溝が設けられた層間絶縁膜をさらに備えており、前記下部電極は少なくとも前記溝の内壁の上に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、強誘電体膜のc軸方向の成分が傾いて配向しているため、強誘電体膜の残留分極特性が向上している。そのため、良好な残留分極特性を有する強誘電体膜を備えた本発明の強誘電体キャパシタでは、強誘電体メモリに用いた場合、高速で動作する不揮発性メモリを実現することが可能となる。また、立体構造を有するキャパシタでは、蓄積電荷量を大きくしつつ投影面積を小さくすることができるため、強誘電体メモリに用いた場合、該強誘電体メモリのセル面積を縮小することが可能となる。
次に、本発明の強誘電体メモリの製造方法は、下部電極、強誘電体膜、および上部電極を有する強誘電体キャパシタと、ソース領域、ドレイン領域、およびシリサイド層を有するトランジスタとを有するメモリセルを備えた強誘電体メモリの製造方法であって、前記基板内に、前記ソース領域および前記ドレイン領域を形成する工程(a)と、前記工程(a)の後に、前記ソース領域および前記ドレイン領域の上に前記シリサイド層を形成する工程(b)と、前記ソース領域および前記ドレイン領域のいずれか一方に接続される前記下部電極を前記基板の上または上方に形成する工程(c)と、前記基板の温度を430℃以上且つ470℃以下とする有機金属化学気相堆積法により前記下部電極の上に前記強誘電体膜を形成する工程(d)と、前記強誘電体膜の上に前記上部電極を形成する工程(e)と、前記基板の温度を400℃以上且つ500℃以下とする熱処理により前記強誘電体膜を結晶化させる工程(f)とを備えており、前記強誘電体膜は、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ4.4≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いていることを特徴とする強誘電体メモリの製造方法。なお、前記工程(b)で形成される前記シリサイド層は、均一な相のニッケルシリサイドからなることが好ましい。
この方法では、強誘電体膜の成膜から熱処理までの結晶化プロセスを500℃以下で行っている。これにより、プロセス温度の上限が低いニッケルシリサイドをコンタクト領域に形成させた微細なCMOS回路においても、トランジスタの高抵抗化などを引き起こすことなく、強誘電体キャパシタを搭載させることが可能となる。その結果、高速で読み書き可能な強誘電体メモリを製造することができる。
また、本発明の第1の強誘電体メモリは、基板内に形成されたソース領域およびドレイン領域と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の上に形成されたシリサイド層とを有するトランジスタと、前記基板の上方に形成された下部電極と、前記下部電極の上に形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜の上に形成された上部電極とを有する強誘電体キャパシタとを有するメモリセルと、前記トランジスタの一端に接続され、前記強誘電体キャパシタの下方に配置されたビット線とを備えており、前記強誘電体膜はBi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている。
これによれば、十分な残留分極特性を有する強誘電体膜を備えているため、高速で書き込みや読み出しが可能な強誘電体メモリを実用化することができる。
また、本発明の第2の強誘電体メモリは、基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の上に形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜の上に形成されたドレイン電極と、前記強誘電体膜の上に、前記ドレイン電極と間隔を空けて形成されたソース電極と、前記強誘電体膜、前記ドレイン電極、および前記ソース電極の上に形成され、前記ソース電極の一部を露出させる第1の開口部と前記ドレイン電極の一部を露出させる第2の開口部とが設けられた高誘電率絶縁膜とを備えており、前記強誘電体膜はBi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている。
これによれば、十分な残留分極特性を有する強誘電体膜を備えており、さらに高誘電率を有する高誘電率絶縁膜が設けられているため、十分な残留分極特性を有し、リーク電流を抑制することが可能な強誘電体メモリを実現することができる。
また、本発明の第2の強誘電体メモリは、ゲート電極として機能する下部電極とソース電極およびドレイン電極の少なくとも一方とを用いて、情報の書き込みに必要な電圧の印加を行うことができる。さらに、キャパシタを有するタイプの強誘電体メモリと比べて平面面積を著しく減少することができる。
本発明の強誘電体膜の製造方法によれば、十分な残留分極特性を有し、薄膜化され表面の凹凸の少ない強誘電体膜を形成することができる。また、本発明の強誘電体膜は良好な残留分極特性を有するため、該強誘電体膜を備えた強誘電体キャパシタおよび強誘電体メモリは、高速で書き込みや読み出しなどの動作が可能となる。
さらに、本発明の強誘電体メモリの製造方法によれば、比較的低温なプロセスで強誘電体膜を形成することができるため、トランジスタの特性を劣化させることなく、微細なCMOS回路に強誘電体キャパシタを搭載することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体キャパシタおよびその製造方法について図面を参照しながら説明する。
最初に、本実施形態の強誘電体キャパシタの構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体キャパシタの構成を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の強誘電体キャパシタは、例えばシリコンからなる基板100と、基板100上に形成され、例えば酸化シリコンからなる第1の層間絶縁膜101と、第1の層間絶縁膜101上に形成され、例えば酸化チタンアルミニウムからなる密着層102と、密着層102上に形成され、密着層102の上面を達する溝が設けられた第2の層間絶縁膜103と、第2の層間絶縁膜103および密着層102のうち少なくとも溝の内部に位置する部分の上に形成された白金(Pt)からなる下部電極104と、下部電極104の上に溝の内壁に沿って形成された強誘電体膜105と、強誘電体膜105の上に形成され、例えば白金からなる上部電極106とを備えている。なお、第2の層間絶縁膜103の材料としては、例えば酸化シリコンが用いられる。
ここで、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf及びVからなる群から選ばれた元素である)をBITと称す。本実施形態の製造方法では、強誘電体膜の材料として、BIT(ただし、0≦x<2、3.8≦(−x+y)≦4.6である)を用いる。なお、一般的に用いられるゾルゲル法などの塗布手法で膜を堆積させた後、該膜を結晶化させてBITを形成した場合、BITの結晶構造は、a軸長が0.545nm、b軸長が0.541nm、c軸長が3.283nmとなる菱面体晶となる。このような結晶構造を有するBITは、a軸方向の自発分極量が50μC/cm、c軸方向の自発分極量が4μC/cmであり、a軸方向に非常に大きな分極を有する。本実施形態の強誘電体キャパシタにおいて、強誘電体膜105は、73%以上の結晶のc軸方向が基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いていることを特徴とする73%以上の結晶のc軸方向が基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いているBIT結晶で構成されている。
次に、本実施形態に係る強誘電体キャパシタの製造方法について図2、図3を用いて説明する。図2(a)〜(c)および図3(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体キャパシタの製造方法をそれぞれ示す断面図である。
まず、図2(a)に示すように、プラズマCVD法(プラズマ化学気相成長法)により、シリコンなどからなる基板100上に膜厚が500nmの酸化シリコンなどからなる第1の層間絶縁膜101を形成する。次に、スパッタ法により、第1の層間絶縁膜101上に膜厚が50nmの酸化チタンアルミニウムなどからなる密着層102を形成する。その後、オゾンを用いたCVD法により、密着層102の上に膜厚が700nmの例えば酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜103を形成する。
次に、図2(b)に示すように、第2の層間絶縁膜103の一部を密着層102が露出するまでドライエッチングを行い、第2の層間絶縁膜103に直径が700nmの溝を形成する。
続いて、図2(c)に示すように、溝が形成された部分を含む第2の層間絶縁膜103上および密着層102の露出した面に、白金からなる厚さ50nmの下部電極104をCVD法により形成する。このとき、図2(c)の側面図に示すように、下部電極104は、リソグラフィによりパターンニングされたマスクを用いて形成される。なお、下部電極104を形成するにはスパッタ法を用いてもよい。また、スパッタ法を用いた場合、スパッタ後に逆スパッタを行いサイドウオールを形成して、ホールの側壁に電極を形成するような、リコイル型の構造を有する下部電極104を形成してもよい。ここで、下部電極104は、白金からなることが好ましい。
次に、図3(a)に示すように、有機金属化学気相堆積(MOCVD)法により、下部電極104および第2の層間絶縁膜103の上にBITからなる強誘電体膜105を形成する。この際、Bi原料にトリメトキシジメチルジプロポキシビスマス、Ti原料にテトラメトキシジメチルジプロポキシチタンからなる有機金属前駆体を用い、それぞれエチルシクロヘキサンの溶媒に溶かした溶液を準備する。MOCVD法により、準備した溶液を気化器にてミスト化し、300℃程度に昇温された気化管部でガス化する。さらに、ガス化された原料は、酸素ガスと合流した状態で、基板が380℃以上且つ430℃以下の温度でサセプタ上に保持されている成膜室に導入され、下部電極104の上に蒸着されて成膜が行われる。
次に、図3(b)に示すように、ALD(原子層蒸着)法あるいはCVD(化学気相成長)法により、強誘電体膜105上に白金などからなる上部電極106を形成する。その後、図3(b)の側面図に示すように、リソグラフィーによりパターンニングされたマスクを用いて上部電極106を形成する。ここで、上部電極106の材料として貴金属の白金を用いているが、イリジウム、ルテニウムなどを用いてもよい。また、金属酸化物の電極を用いてもよく、酸化イリジウム、酸化ルテニウムあるいは酸化ストロンチウムルテニウムなどを用いてもよい。
そして、図3(c)に示すように、酸素雰囲気下で基板温度を650℃以上且つ750℃以下の範囲として熱処理を行い、強誘電体膜105の結晶粒を成長させることによって、図1に示す本実施形態の強誘電体キャパシタを得ることができる。ここで、熱処理は、ランプ加熱方式のラピッドサーマルアニーリング(RTA)により行い、レート2℃/秒で急速に昇温し、750℃にて1分間保持する。以上の方法により、本実施形態の強誘電体キャパシタを作製することができる。
本実施形態の強誘電体キャパシタの製造方法の特徴は、強誘電体膜の材料としてBIT(Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf及びVからなる群から選ばれた元素である))を用いて、ビスマスおよびAで表される元素の組成比を0≦x<2、3.8≦(−x+y)≦4.6の範囲とし、図3(a)に示すBIT膜の成膜時に、基板温度を380℃以上且つ430℃以下とし、さらに図3(c)に示すBIT膜の熱処理時に基板温度を600℃以上750℃以下としたことにある。以下に、本願発明者らが行った測定に基づいて、上記の条件を用いた理由について図4〜図8を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係るビスマスの組成比と成膜時の基板温度とに対する強誘電体膜の成膜後の結晶構造を示す図である。同図に示すように、本実施形態の製造方法により、基板温度を380℃以上且つ430℃以下とし、且つビスマスの組成比を3.8≦(−x+y)≦4.6として成膜した強誘電体膜は、アモルファス状の構造を有していることがわかる。ここで、アモルファス状の強誘電体膜は表面に凹凸が少ない平坦な膜となりやすく、比較的容易に薄膜化することが可能となる。したがって、本実施形態の製造方法によれば、成膜時にアモルファス状の構造を有する強誘電体膜が得られるため、比較的膜厚が薄く、且つ膜厚のバラツキの小さい強誘電体膜を備えた強誘電体キャパシタを得ることができる。これにより、強誘電体キャパシタの読み出しや書き込みに必要な抗電圧を低減させることができるため、強誘電体キャパシタの消費電力を下げることができる。また、強誘電体膜の表面凹凸に起因した電界集中を抑制することができるため、強誘電体キャパシタのリーク電流を低減させることが可能となる。その結果、本実施形態の強誘電体キャパシタの製造方法では、ロジック部の駆動電圧が低い微細なCMOS回路に対しても混載することができ、十分な強誘電体特性を示す強誘電体キャパシタを得ることができる。なお、本実施形態の強誘電体キャパシタの製造方法において、図3(a)に示す成膜時における強誘電体膜の膜厚は、20nm以上且つ50nm以下であることが好ましい。また、成膜時における強誘電体膜の最大値と最小値との差が10nm以下であることが好ましい。
また、図5は、本実施形態に係る成膜時の基板温度とホール(溝)内部の被覆率との関係を示す図である。図5に示すように、本実施形態の製造方法において、成膜時の基板温度を380℃以上且つ430℃以下とすることで、溝の内部において被覆率が良好な強誘電体膜を形成することができる。なお、本実施形態の製造方法においては、強誘電体膜は溝の内壁における被覆率が60%以上であることが好ましい。ここで、被覆率(%)とは、溝の内壁に形成された強誘電体膜の膜厚の最小値および最大値をAおよびBとすると、A/B×100で表される。
次に、図6は、本実施形態に係るビスマスの組成比と成膜時の基板温度とに対する熱処理後の強誘電体膜の結晶構造を示す図である。同図に示すように、本実施形態の製造方法により、基板温度を430℃以上且つ470℃以下として成膜した後、基板温度を750℃とする熱処理により結晶化された強誘電体膜は、残留分極特性を示すペロブスカイト構造を有することがわかる。本実施形態の製造方法においては、熱処理の温度を比較的高い温度範囲(650℃以上且つ750℃以下)に設定することで、熱処理前には図4で示すアモルファス状の構造を有する強誘電体膜が、高温での固相反応によりペロブスカイト構造を有する強誘電体膜となり、十分な残留分極特性を示すことができる。
図7は、本実施形態に係る強誘電体膜の後方散乱電子回折パターン(EBSP)を示す図である。なお、成膜時の基板温度を400℃として形成された強誘電体膜(BIT膜)における5μm四方の領域の観察結果を示している。同図に示すように、本実施形態の上記の条件で形成したBIT膜は、基板面に対してc軸方向から70度以上且つ90度以下にずれた方位へ配向している成分が約73%である結晶構造を有していることがわかる。なお、上述したように、BIT膜はa軸方向に非常に大きな分極(例えば、2Pr=100μC/cm)を有する特徴がある。したがって、c軸方向の少なくとも一部の成分が基板面に対してずれて配向している本実施形態の強誘電体膜は、c軸方向のみに配向している結晶構造を有する強誘電体膜に比べ、残留分極特性を向上させることができる。
さらに、図8は、本実施形態に係る各熱処理温度におけるビスマスの組成比と強誘電体膜での残留分極量との関係を示した図である。成膜時の基板温度は400℃とし、熱処理時の基板温度を、650℃、700℃、725℃、750℃、780℃、800℃としてそれぞれ結晶化した強誘電体膜を有する強誘電体キャパシタに±1.5Vの電圧を印加して残留分極量を測定した。なお、図8に示す値は、測定値を平面構造のキャパシタの面積に対して換算した値を用いている。
図8に示すように、本実施形態の製造方法における熱処理時の基板温度の範囲(650℃以上且つ750℃以下)においては、良好な残留分極を示す強誘電体キャパシタが得られることが確認できた。なお、本実施形態の強誘電体キャパシタのように、立体構造を有するキャパシタの投影面積に対して換算した場合には、例えばアスペクト比を1と仮定すると、少なくとも平面構造のキャパシタに比べ3倍以上の優れた残留分極量を示すことができる。また、本実施形態の強誘電体キャパシタに形成された強誘電体膜は、電圧依存性が大きく、±3Vの電圧を印加した場合、例えば熱処理時の温度が750℃とすると3倍以上の残留分極量を保つことができる。この残留分極量の値は、ランダムな配向の結晶構造を有する強誘電体膜の残留分極量の値と比較すると1.5倍以上であり、本実施形態の強誘電体キャパシタは十分な残留分極特性を有すると言える。
以上のことから、本願発明者らは、誘電体膜の材料として、ビスマスの組成比(−x+y)および元素Aの組成比xを0≦x<2、3.8≦(−x+y)≦4.6の範囲としたBITを用い、成膜時の基板温度を380℃以上且つ430℃以下とし、さらに熱処理時の基板温度を600℃以上750℃以下としてBIT膜を形成することにした。これにより、本実施形態の製造方法では、73%以上の結晶のc軸方向が基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている結晶構造を有しており、良好な残留分極特性を示す強誘電体膜を形成することができる。また、結晶構造の配向が比較的揃っているため、本発明の強誘電体膜を微細なCMOS回路に用いた場合においても、キャパシタ毎に配向性が異なることや分極特性がばらつくことを抑制することができる。
また、本実施形態の製造方法では、成膜時にアモルファス状の構造を有する強誘電体膜が得られるため、薄膜化され表面の凹凸が少ない強誘電体膜を備えた強誘電体キャパシタを形成することができる。これにより、低電圧で動作可能な強誘電体キャパシタを実現することができるため、本実施形態の強誘電体キャパシタは、微細なCMOS回路に対しても搭載することが可能となる。
また、本実施形態の強誘電体キャパシタは立体構造を有しているため、平面構造のキャパシタに比べ、蓄積電荷量を大きくしつつ投影面積を小さくすることができ、強誘電体メモリのセル面積を低減することが可能となる。したがって、本実施形態の強誘電体キャパシタを用いると、微細化された強誘電体メモリを製造することができる。なお、本実施形態の製造方法では、溝の内壁の被覆率が60%以上であり、段差被覆性が良好な強誘電体膜が得られるため、リーク電流の少ない強誘電体キャパシタを実現することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る強誘電体メモリおよびその製造方法について図面を参照しながら説明する。
最初に、本実施形態の強誘電体メモリの構成について図9を用いて説明する。図9は、本発明の第2の実施形態に係る強誘電体メモリの構成を示す断面図である。
図9に示すように、本実施形態の強誘電体メモリは、メモリセルトランジスタ部110と、立体構造を有する強誘電体キャパシタが複数個設けられた強誘電体キャパシタ部111とを備えている。なお、本実施形態の強誘電体メモリは、トランジスタの一端に接続されるビット線(図示せず)が強誘電体キャパシタ部111の下方に設けられたキャパシタ・オン・ビット(COB)構造となっている。
メモリセルトランジスタ部110は、シリコンなどからなる基板100内に形成された複数のトランジスタと、メモリセルトランジスタ部110と強誘電体キャパシタ部111とを電気的に接続するコンタクトプラグ115と、基板100およびトランジスタの上に形成された第1の層間絶縁膜117とを有している。コンタクトプラグ115は、バリアメタル116と埋め込み導体125とで構成されている。メモリセルトランジスタ部110に設けられた各トランジスタは、ソース領域およびドレイン領域と、基板100上に形成され、ソース領域もしくはドレイン領域に接続されるコンタクト領域112と、基板100上に設けられた酸化シリコンなどからなるゲート酸化膜の上に形成されたゲート電極113と、ゲート電極113およびコンタクト領域112の上にそれぞれ形成されたシリサイド層114a、114bとを有している。なお、コンタクト領域112がなく、ソース領域およびドレイン領域の上に、シリサイド層114a、114bが設けられていてもよい。また、シリサイド層114a、114bは例えばコバルトシリサイド(CoSi)からなっている。
一方、本実施形態の強誘電体キャパシタ部111は、第1の層間絶縁膜117の上方に形成され、複数の溝が形成された第2の層間絶縁膜120と、第2の層間絶縁膜120に形成された溝の内壁に沿って設けられた複数の強誘電体キャパシタとを有している。
強誘電体キャパシタ部111に設けられた各強誘電体キャパシタは、具体的には、第1の層間絶縁膜117の上方に形成され例えばチタンアルミナイトライド(TiAlN)などからなる導電性バリア層118と、導電性バリア層118上に設けられるとともに第2の層間絶縁膜120に形成された溝の底部に配置された第1の下部電極119と、溝の底部で第1の下部電極119に接し、溝の側壁上に形成された第2の下部電極121と、少なくとも溝内に形成され、第1の下部電極119および第2の下部電極121との上に設けられ、例えばBITからなる強誘電体膜122と、強誘電体膜122上に形成された上部電極123と、上部電極123の上に形成された第3の層間絶縁膜124とを備えている。
本実施形態の強誘電体メモリにおいて、強誘電体膜122の材料として、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf及びVからなる群から選ばれた元素である)(以下、BITと称す)を用い、ビスマスおよび元素Aの組成比を0≦x<2、3.8≦(−x+y)≦4.6の範囲とする。ここで、第1の実施形態で述べたように、BITは、異方性の強い層状ペロブスカイト構造を有する強誘電体であり、a軸方向に非常に大きな分極を有する。なお、本実施形態の強誘電体メモリにおいて、強誘電体膜122は、73%以上の結晶のc軸方向が基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いているBIT結晶で構成されている。
次に、本実施形態の強誘電体メモリの製造方法について説明する。図10(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態に係る強誘電体キャパシタを備えた強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。
最初に、図10(a)、(b)を用いて、本実施形態の強誘電体メモリのうちメモリセルトランジスタ部110を形成する工程までを説明する。本実施形態のメモリセルトランジスタ部110は、一般的なCMOSプロセスで形成されたものである。
まず、図10(a)に示すように、シリコンなどからなる基板100内にトランジスタのソース領域あるいはドレイン領域に接続されるコンタクト領域112を形成し、基板100上に形成されたゲート酸化膜の上にゲート電極113を配置する。さらにゲート電極113およびコンタクト領域112の上に例えばコバルトシリサイドからなるシリサイド層114a、114bをそれぞれ形成する。ここで、シリサイド層114a、114bは、スパッタ法を用いてコバルト膜をシリコン上に成膜した後に、加熱処理による固相反応でシリサイド化することで形成される。加熱処理はラピッドサーマルアニーリング(RTA)により行い、概ね600℃で熱処理を施す。これにより、低抵抗で、均一な相からなるコバルトダイシリサイド層(CoSi層)を得ることができる。なお、これと同様の工程によって、基板100上の別領域にCMOS回路等を形成してもよい。
次に、図10(b)に示すように、基板100およびトランジスタなどの電子素子の上に第1の層間絶縁膜117を形成する。その後、第1の層間絶縁膜117のうち基板100のコンタクト領域と平面的に見て重なる領域にコンタクトホールを形成し、該コンタクトホールにバリアメタル116を被覆する。さらに、被覆されたコンタクトホールに埋め込み導体125を埋め込むことで、メモリセルトランジスタ部110と強誘電体キャパシタ部111とを接続するコンタクトプラグ115を形成する。
続いて、図10(c)を用いて、本実施形態の立体構造を有する強誘電体キャパシタ部111の製造方法について説明する。まず、コンタクトプラグ115と電気的に接続させるように、第1の層間絶縁膜117上に導電性バリア層118を形成し、その後、スパッタ法により、導電性バリア層118上に第1の下部電極119を形成する。ここで、導電性バリア層118の材料としては、チタンアルミナイトライドが好ましく、第1の下部電極119の材料としては、白金、イリジウム、および酸化イリジウムが好ましい。さらに、第1の下部電極119上に、膜厚が700nmの第2の層間絶縁膜120を形成した後、ドライエッチングによって第1の下部電極119に到達するように、第2の層間絶縁膜120に直径300nmの溝を開口させる。次いで、CVD法により、第2の層間絶縁膜120の溝の側壁および第1の下部電極119上に膜厚が50nmの第2の下部電極121を形成する。このとき、CVD法の代わりにスパッタ法を用いてもよい。また、スパッタ法を用いた場合、スパッタ後に逆スパッタを行い、サイドウォールを形成して、ホールの側壁に電極を形成するような、リコイル型の構造を有する第1の下部電極119を用いてもよい。また、第2の下部電極121の材料には白金を用いるが、イリジウム、ルテニウム、または導電性酸化物として酸化イリジウム、酸化ルテニウムを用いてもよい。
次に、MOCVD法により、第1の下部電極119および第2の下部電極121の上に膜厚が40nmのBITからなる強誘電体膜122を成膜する。成膜時の条件は、第1の実施形態の製造方法と同様に、基板温度を380℃以上且つ430℃以下とし、強誘電体膜122を形成する。なお、強誘電体膜122の材料として、ビスマスの組成比(−x+y)および元素Aの組成比xが0≦x<2、3.8≦(−x+y)≦4.6の範囲であるBITを用いる。
続いて、CVD法またはALD法を用いて、強誘電体膜122上に膜厚が50nmの上部電極123を形成する。なお、上部電極123の材料にはイリジウムを用いるが、白金、ルテニウム、または導電性酸化物として酸化イリジウム、酸化ルテニウムを用いてもよい。さらに、上部電極123の形成後に、基板温度を650℃以上且つ750℃以下の範囲として熱処理を行い、強誘電体膜122の結晶粒を成長させる。ここでの熱処理は、ランプ加熱方式のラピッドサーマルアニーリング(RTA)により行い、レート2℃/秒で急速に昇温し、750℃にて1分間保持する。その後、上部電極123上に第3の層間絶縁膜124を形成し、パッシベーション工程を経て、図9に示す本実施形態の強誘電体キャパシタを備えた強誘電体メモリを得る。以上の方法により、本実施形態の立体構造を有する強誘電体キャパシタを備えた強誘電体メモリを作製することができる。
本実施形態の強誘電体メモリの製造方法の特徴は、第1の実施形態の製造方法と同様に、強誘電体膜の材料として、ビスマスの組成比(−x+y)および元素Aの組成比xが0≦x<2、3.8≦(−x+y)≦4.6の範囲であるBITを用い、BIT膜の成膜時に、基板温度を380℃以上且つ430℃以下とし、さらにBIT膜の熱処理時に基板温度を600℃以上750℃以下としたことにある。これにより、本実施形態の製造方法では、73%以上の結晶のc軸方向が基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている結晶構造を有しており、良好な残留分極特性を示す強誘電体膜を形成することができる。したがって、本実施形態の製造方法によれば、良好な残留分極特性を示す強誘電体膜を備えているため、高速で書き込みや読み出しが可能な強誘電体メモリを実用化することが可能となる。
また、本実施形態の製造方法では、基板温度を380℃以上且つ430℃以下として成膜することで、アモルファス状の強誘電体膜が得られる。そのため、溝などの段差が形成された領域にも、薄膜化され表面の凹凸が少ない強誘電体膜を形成することができる。これにより、低電圧で動作可能な強誘電体キャパシタとなるため、本実施形態の強誘電体キャパシタは、駆動電圧の低い微細なCMOS回路に対しても搭載することが可能となる。
また、本実施形態の強誘電体キャパシタは立体構造を有しているため、平面構造のキャパシタに比べ、蓄積電荷量を大きくしつつ投影面積を小さくすることができ、強誘電体メモリのセル面積を低減することが可能となる。これにより、微細化された強誘電体メモリを製造することができる。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体キャパシタおよびその製造方法について図面を参照しながら説明する。
最初に、本実施形態の強誘電体キャパシタの構成について図11を用いて説明する。図11は、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体キャパシタの構成を示す断面図である。
図11に示すように、本実施形態の強誘電体キャパシタは、例えばシリコンからなる基板130と、基板130上に形成され、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁膜131と、層間絶縁膜131上に形成され、例えば酸化チタンからなる密着層132と、密着層132上に形成され、例えば白金からなる下部電極133と、下部電極133上に形成された強誘電体膜134と、強誘電体膜134上に形成され、例えば白金からなる上部電極135とを備えている。
本実施形態の強誘電体キャパシタでは、強誘電体膜134の材料として、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf及びVからなる群から選ばれた元素である)(以下、BITと称す)を用い、ビスマスおよび元素Aの組成比を0≦x<2、4.4≦(−x+y)≦4.7の範囲とする。ここで、第1の実施形態で述べたように、BITは、異方性の強い層状ペロブスカイト構造を有する強誘電体であり、a軸方向に非常に大きな分極を有する。なお、本実施形態の強誘電体メモリにおいて、強誘電体膜134は、73%以上の結晶のc軸方向が基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いているBIT結晶で構成されている。
次に、本実施形態に係る強誘電体キャパシタの製造方法について説明する。図12(a)〜(f)は、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体キャパシタの製造方法を示す断面図である。
まず、図12(a)に示すように、プラズマCVD法により、シリコンなどからなる基板130上に膜厚が200nmの酸化シリコンなどからなる層間絶縁膜131を形成する。次に、スパッタ法により、層間絶縁膜131上に膜厚が50nmの酸化チタンなどからなる密着層132を形成し、さらに、密着層132の上に白金からなる下部電極133を形成する。なお、下部電極133の材料として白金を用いることが好ましい。
続いて、図12(b)に示すように、MOCVD法により、下部電極133の上にBITからなる強誘電体膜134を形成する。この際、Bi原料にトリメトキシジメチルジプロポキシビスマス、Ti原料にテトラメトキシジメチルジプロポキシチタンからなる有機金属前駆体を用い、それぞれエチルシクロヘキサンの溶媒に溶かした溶液を準備する。MOCVD法により、準備した溶液を気化器にてミスト化し、300℃程度に昇温された気化管部でガス化する。さらに、ガス化された原料は、酸素ガスと合流した状態で、基板が430℃以上且つ470℃以下の温度でサセプタ上に保持されている成膜室に導入され、下部電極133の上に蒸着されて成膜が行われる。
次に、図12(c)に示すように、スパッタ法により、強誘電体膜134上に白金からなる上部電極135を形成する。ここで、本実施形態では、下部電極133と上部電極135との材料として貴金属の白金を用いているが、イリジウムなどを用いてもよい。また、金属酸化物の電極を用いてもよく、酸化イリジウム、酸化ルテニウムあるいは酸化ストロンチウムルテニウムなどを用いてもよい。
その後、図12(d)に示すように、上部電極135の上にレジスト136を形成し、リソグラフィーによりパターンを形成する。次いで、図12(e)に示すように、レジスト136をマスクとして上部電極135および強誘電体膜134をエッチングし、その後、レジスト136を除去する。
さらに、図12(e)に示すように、酸素雰囲気下で基板温度を400℃以上且つ500℃以下の範囲として熱処理を行い、強誘電体膜134の結晶粒を成長させることによって、図11に示す本実施形態の強誘電体キャパシタを得ることができる。ここでの熱処理は、ランプ加熱方式のラピッドサーマルアニーリング(RTA)により行い、レート2℃/秒で急速に昇温し、500℃にて1分間保持する。
本実施形態に係る強誘電体キャパシタの製造方法の特徴は、強誘電体膜134の材料として、ビスマスの組成比(−x+y)および元素Aの組成比xが0≦x<2、4.4≦(−x+y)≦4.7の範囲であるBITを用い、図12(b)に示すBIT膜の成膜時に、基板温度を430℃以上且つ470℃以下とし、さらに図12(f)に示すBIT膜の熱処理時に基板温度を400℃以上且つ500℃以下としたことにある。以下に、本願発明者らが行った測定に基づいて、上記の条件を用いた理由について図13〜図15を用いて説明する。
図13は、本実施形態に係るビスマスの組成比と成膜時の基板温度とに対する熱処理後における強誘電体膜の結晶構造を示す図である。同図に示すように、本実施形態の製造方法により、基板温度を430℃以上且つ470℃とし、且つビスマスの組成比を4.4≦(−x+y)≦4.7として成膜した強誘電体膜は、残留分極特性を示すペロブスカイト構造を有していることがわかる。ここで、本実施形態の製造方法では、基板温度を430℃以上且つ470℃以下とすることで、図12(b)に示す成膜時にペロブスカイト構造の微結晶を含む強誘電体膜134が生成される。これにより、熱処理時の結晶化を容易に行うことができるようになるため、基板温度を400度以上且つ500℃以下とする熱処理により、結晶性に優れ、良好な残留分極特性を示す強誘電体キャパシタを得ることができる。
また、図12(b)に示す成膜時には、直径100nm以下の非常に微小なペロブスカイト構造の結晶粒が生成されるため、表面の平坦性が良好な強誘電体膜134が得られる。その結果、強誘電体膜の表面凹凸に起因した電界集中を抑制することができるため、強誘電体キャパシタのリーク電流を低減させることが可能となる。さらに、本願発明者らが特願2006―143083で述べているように、基板温度を430℃以上且つ470℃以下として成膜することで、ペロブスカイト構造の微結晶が生成する際に、結晶化を阻害するカーボンを脱離させることができ、熱処理時の結晶化エネルギーを下げることができる。その結果、本実施形態の製造方法によれば、熱処理による結晶成長を起こしやすく、結晶性の高い強誘電体膜を形成できるという効果が得られる。
図14は、本実施形態に係る強誘電体膜の後方散乱電子回折パターン(EBSP)を示す図である。なお、同図は成膜時の基板温度を400℃として形成された強誘電体膜(BIT膜)の5μm四方における領域の観察結果を示している。図14に示すように、本実施形態の上記の条件で形成したBIT膜は、基板面に対してc軸方向から70度以上且つ90度以下ずれた方位へ配向している成分が約74%である結晶構造を有していることがわかる。なお、第1の実施形態で述べたように、BIT膜はa軸方向に非常に大きな分極(例えば、2Pr=100μC/cm)を有する特徴がある。したがって、c軸方向の少なくとも一部の成分が基板面に対してずれて配向している本実施形態の強誘電体膜は、c軸方向のみに配向する結晶構造を有する強誘電体膜に比べ、残留分極特性を向上させることができる。
以上のことから、本願発明者らは、ビスマスの組成比(−x+y)および元素Aの組成比xが0≦x<2、4.4≦(−x+y)≦4.7の範囲であるBITを用いて、成膜時の基板温度を430℃以上且つ470℃以下とし、さらに熱処理時の基板温度を400℃以上500℃以下としてBIT膜を形成することにした。これにより、本実施形態の製造方法では、73%以上の結晶のc軸方向が基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている結晶構造を有しており、良好な残留分極特性を示す強誘電体膜を形成することができる。
ここで、図15は、本実施形態に係るビスマスの組成比と強誘電体膜の残留分極量の関係を示した図である。なお、成膜時および熱処理時の基板温度を450℃および500℃として形成した強誘電体膜に±5Vの電圧を印加した場合の測定結果を示している。
図15に示すように、本実施形態の製造方法により、ビスマスの組成比(−x+y)を4.4≦(−x+y)≦4.7の範囲として形成したBIT膜は、2Pr=20μm/cm程度の十分な残留分極量を有している。以上のことより、本実施形態の製造方法によれば、十分な残留分極量を示しヒステリシス特性が良好な強誘電体膜が得られることが確認できた。
また、本実施形態の製造方法では、成膜時にペロブスカイト構造の微結晶を含む強誘電体膜が生成されるため、熱処理時の結晶化が容易となり、基板温度を比較的低温(400℃以上且つ500℃以下)に設定しても、結晶性が高く、残留分極特性が良好な強誘電体キャパシタを形成することができる。
さらに、本実施形態の製造方法おいては、成膜時に直径100nm以下の微結晶が生成されるため、薄膜化され表面の凹凸が少ない強誘電体膜を備えた強誘電体キャパシタを形成することができる。これにより、低電圧で動作可能な強誘電体キャパシタとなるため、本実施形態の強誘電体キャパシタは、駆動電圧の低い微細なCMOS回路に対しても搭載することが可能となる。
また、本実施形態の製造方法では、成膜から熱処理までの結晶化プロセスを500℃以下で行っている。これにより、プロセス温度の上限が低いニッケルシリサイドをコンタクト領域に形成させた微細なCMOS回路においても、トランジスタの高抵抗化などを引き起こすことなく、十分な容量を有する強誘電体キャパシタを搭載することが可能となる。
なお、強誘電体膜の成膜温度および結晶化温度、組成を上述の条件の範囲内で最適化することにより、基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いている結晶のc軸方向の成分の割合を73%以上にすることも可能である。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る強誘電体メモリについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の強誘電体メモリは、絶縁膜と強誘電体膜との界面におけるキャリア伝導を利用した不揮発性メモリである。なお、本実施形態の強誘電体メモリの参考文献として、本願発明者らが出願した特願2005−267553を挙げる。最初に、本発明の強誘電体メモリの構成について説明する。
図15は、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体メモリの構成を示す断面図である。同図に示すように、本実施形態の強誘電体メモリは、基板141と、基板141上に形成された導電膜よりなる下部電極142と、下部電極142上に形成された強誘電体膜143と、強誘電体膜143上に形成された導電膜からなるソース電極144と、強誘電体膜143上に、ソース電極144と間隔を置いて形成された導電膜からなるドレイン電極145と、強誘電体膜143、ソース電極144、およびドレイン電極145の上に形成された高誘電率絶縁膜146とを備えている。さらに、高誘電率絶縁膜146には、ソース電極144に電圧を印加できるように、ソース電極144の一部を露出させる第1のコンタクトホール146aと、ドレイン電極145に電圧を印加できるように、ドレイン電極145の一部を露出させる第2のコンタクトホール146bとがそれぞれ設けられている。ソース電極144およびドレイン電極145は、強誘電体膜143と高誘電率絶縁膜146との界面147に接しており、界面147におけるキャリアの伝導の程度、つまり界面電流の有無を検出する電極対を構成している。なお、下部電極142はゲート電極として機能しており、自身に印加される電圧によって界面147に流れる電流量を制御している。下部電極142の材料としては、例えば白金が用いられる。
本実施形態の強誘電体メモリにおいては、強誘電体膜143の材料として、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf及びVからなる群から選ばれた元素である)(以下、BITと称す)を用い、ビスマスおよび元素Aの組成比を0≦x<2、3.8≦(−x+y)≦4.7の範囲とする。ここで、第1の実施形態で述べたように、BITは、異方性の強い層状ペロブスカイト構造を有する強誘電体であり、a軸方向に非常に大きな分極を有する。なお、本実施形態の強誘電体メモリにおいて、強誘電体膜143は73%以上の結晶のc軸方向が基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いているBIT結晶で構成されている。
次に、本実施形態の強誘電体メモリの動作について簡単に説明する。本実施形態の強誘電体メモリにおいて、情報の書き込み動作は、ソース電極144およびドレイン電極145と下部電極142との間に、正または負の電圧を付加することによって生じる電界により、強誘電体膜143中に自発分極を誘起させることによって行われる。
一方、情報の読み出し動作としては、強誘電体膜143の分極の向きによってチャネルの導通状態が異なることから、このチャネルの導通状態の変化を検出することによって非破壊で行われる。具体的には、上述の情報の書き込み動作で説明したように、電界により強誘電体膜143における界面147の直下に位置する領域に分極反転が生じるので、強誘電体膜143と高誘電率絶縁膜146との界面147に電子または正孔の自由電荷が発生する。そして、強誘電体膜143の分極の向きによって大きく変化する自由電荷の性質を利用して強誘電体膜143の分極の向きを判断する。本実施形態の強誘電体メモリでは、例えば、ソース電極144とドレイン電極145との間に接続された電流計を用いて、強誘電体膜143と高誘電率絶縁膜146との界面147における界面電流の有無を検出することによって情報の読み出しが行われる。
本実施形態の強誘電体メモリの特徴は、記録保持層として機能する強誘電体膜143の材料として、ビスマスの組成比(−x+y)および元素Aの組成比xが0≦x<2、3.8≦(−x+y)≦4.7の範囲であるBITを用い、該BIT結晶における73%以上の結晶のc軸方向が基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いていることにある。これによれば、良好な残留分極特性を示すBIT(ただし、0≦x<2、3.8≦(−x+y)≦4.7)を強誘電体膜143に用いているため、強誘電体メモリにおける書き込みや読み出しの動作を効率良く行うことが可能となる。
また、本実施形態の強誘電体メモリは、強誘電体膜143の上に高誘電率を有する高誘電率絶縁膜146を備えているため、リーク電流を抑制することができる。
さらに、本実施形態の強誘電体メモリにおいては、ゲート電極として機能する下部電極142とソース電極144およびドレイン電極145の少なくとも一方とを用いて、情報の書き込みに必要な電圧の印加を行うことができる。さらに、キャパシタを有するタイプの強誘電体メモリと比べて平面面積を著しく減少することができる。
なお、本実施形態に係る強誘電体膜143の形成方法については、例えば第1の実施形態における強誘電体膜105や、第3の実施形態における強誘電体膜134と同様の方法で形成することができる。
本発明の強誘電体キャパシタの製造方法、強誘電体メモリおよびその製造方法は、微細なCMOS回路を有する強誘電体メモリの実現に有用である。
本発明の第1の実施形態に係る強誘電体キャパシタの構成を示す断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体キャパシタの製造方法を示す断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体キャパシタの製造方法を示す断面図である。 第1の実施形態に係るビスマスの組成比と成膜時の基板温度とに対する強誘電体膜の成膜後の結晶構造を示す図である。 第1の実施形態に係る成膜時の基板温度とホール(溝)内部の被覆率との関係を示す図である。 第1の実施形態に係るビスマスの組成比と成膜時の基板温度とに対する熱処理後の強誘電体膜の結晶構造を示す図である。 第1の実施形態に係る強誘電体膜の後方散乱電子回折パターン(EBSP)を示す図である。 第1の実施形態に係る各熱処理温度におけるビスマスの組成比と強誘電体膜での残留分極量との関係を示した図である。 本発明の第2の実施形態に係る強誘電体メモリの構成を示す断面図である。 (a)〜(c)は、第2の実施形態に係る強誘電体キャパシタを備えた強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る強誘電体キャパシタの構成を示す断面図である。 (a)〜(f)は、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体キャパシタの製造方法を示す断面図である。 第3の実施形態に係るビスマスの組成比と成膜時の基板温度とに対する熱処理後における強誘電体膜の結晶構造を示す図である。 第3の実施形態に係る強誘電体膜の後方散乱電子回折パターン(EBSP)を示す図である。 第3の実施形態に係るビスマスの組成比と強誘電体膜の残留分極量の関係を示した図である。 本発明の第4の実施形態に係る強誘電体メモリの断面図を示す図である。
符号の説明
100、130、141 基板
101 第1の層間絶縁膜
102 密着層
103 第2の層間絶縁膜
104、133、142 下部電極
105、122、134、143 強誘電体膜
106、123、135、 上部電極
110 メモリセルトランジスタ部
111 強誘電体キャパシタ部
112 コンタクト領域
113 ゲート電極
114a、114b シリサイド層
115 コンタクトプラグ
116 バリアメタル
117 第1の層間絶縁膜
118 導電性バリア層
119 第1の下部電極
120 第2の層間絶縁膜
121 第2の下部電極
124 第3の層間絶縁膜
125 埋め込み導体
131 層間絶縁膜
132 密着層
136 レジスト
144 ソース電極
145 ドレイン電極
146 高誘電率絶縁膜
146a 第1のコンタクトホール
146b 第2のコンタクトホール
147 界面

Claims (17)

  1. 基板の上または上方に形成された下部電極の上に、前記基板の温度を380℃以上且つ420℃以下とする有機金属化学気相堆積法により強誘電体膜を形成する工程(a)と、
    前記基板の温度を650℃以上且つ750℃以下とする熱処理により前記強誘電体膜を結晶化させる工程(b)とを備えており、
    前記強誘電体膜は、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.6の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いていることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
  2. 前記下部電極は、溝が設けられた層間絶縁膜の上に形成されており、
    前記工程(a)は、前記下部電極上に前記溝の内壁に沿った形状の前記強誘電体膜を形成する工程を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の強誘電体膜の製造方法。
  3. 前記工程(a)で形成される前記強誘電体膜の膜厚が、20nm以上且つ50nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の強誘電体膜の製造方法。
  4. 前記工程(a)で形成される前記強誘電体膜の膜厚の最大値と最小値との差が10nm以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の強誘電体膜の製造方法。
  5. 前記工程(a)で形成される前記強誘電体膜において、前記溝の内壁に形成された前記強誘電体膜の膜厚の最小値および最大値をそれぞれAおよびBとすると、A/B≧0.6であることを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか1つに記載の強誘電体膜の製造方法。
  6. 前記工程(a)で形成される前記強誘電体膜は、アモルファス状であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の強誘電体膜の製造方法。
  7. 前記下部電極は、白金からなることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の強誘電体膜の製造方法。
  8. 基板の上または上方に形成された下部電極の上に、前記基板の温度を430℃以上且つ470℃以下とする有機金属化学気相堆積法により強誘電体膜を形成する工程(a)と、
    前記基板の温度を400℃以上且つ500℃以下とする熱処理により前記強誘電体膜を結晶化させる工程(b)とを備えており、
    前記強誘電体膜は、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ4.4≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いていることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
  9. 前記工程(a)で形成される前記強誘電体膜は、ペロブスカイト構造の微結晶を含んでいることを特徴とする請求項8に記載の強誘電体膜の製造方法。
  10. 前記下部電極は、白金からなることを特徴とする請求項8または9に記載の強誘電体膜の製造方法。
  11. Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いていることを特徴とする強誘電体膜。
  12. 基板の上または上方に形成された下部電極と、
    前記下部電極の上に形成された強誘電体膜と、
    前記強誘電体膜の上に形成された上部電極とを備えており、
    前記強誘電体膜は、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いていることを特徴とする強誘電体キャパシタ。
  13. 前記基板の上または上方に形成され、溝が設けられた層間絶縁膜をさらに備えており、前記下部電極は少なくとも前記溝の内壁の上に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の強誘電体キャパシタ。
  14. 下部電極、強誘電体膜、および上部電極を有する強誘電体キャパシタと、ソース領域、ドレイン領域、およびシリサイド層を有するトランジスタとを有するメモリセルを備えた強誘電体メモリの製造方法であって、
    前記基板内に、前記ソース領域および前記ドレイン領域を形成する工程(a)と、
    前記工程(a)の後に、前記ソース領域および前記ドレイン領域の上に前記シリサイド層を形成する工程(b)と、
    前記ソース領域および前記ドレイン領域のいずれか一方に接続される前記下部電極を前記基板の上または上方に形成する工程(c)と、
    前記基板の温度を430℃以上且つ470℃以下とする有機金属化学気相堆積法により前記下部電極の上に前記強誘電体膜を形成する工程(d)と、
    前記強誘電体膜の上に前記上部電極を形成する工程(e)と、
    前記基板の温度を400℃以上且つ500℃以下とする熱処理により前記強誘電体膜を結晶化させる工程(f)とを備えており、
    前記強誘電体膜は、Bi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ4.4≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いていることを特徴とする強誘電体メモリの製造方法。
  15. 前記工程(b)で形成される前記シリサイド層は、均一な相のニッケルシリサイドからなることを特徴とする請求項14に記載の強誘電体メモリの製造方法。
  16. 基板内に形成されたソース領域およびドレイン領域と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の上に形成されたシリサイド層とを有するトランジスタと、
    前記基板の上方に形成された下部電極と、前記下部電極の上に形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜の上に形成された上部電極とを有する強誘電体キャパシタと
    を有するメモリセルと、
    前記トランジスタの一端に接続され、前記強誘電体キャパシタの下方に配置されたビット線とを備えており、
    前記強誘電体膜はBi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いていることを特徴とする強誘電体メモリ。
  17. 基板上に形成されたゲート電極と、
    前記ゲート電極の上に形成された強誘電体膜と、
    前記強誘電体膜の上に形成されたドレイン電極と、
    前記強誘電体膜の上に、前記ドレイン電極と間隔を空けて形成されたソース電極と、
    前記強誘電体膜、前記ドレイン電極、および前記ソース電極の上に形成され、前記ソース電極の一部を露出させる第1の開口部と前記ドレイン電極の一部を露出させる第2の開口部とが設けられた高誘電率絶縁膜とを備えており、
    前記強誘電体膜はBi−x+yTi12(ただしAはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、およびVからなる群から選ばれた1つの元素であり、0≦x<2且つ3.8≦(−x+y)≦4.7の範囲である)から構成されており、且つ前記強誘電体膜における73%以上の結晶のc軸方向が前記基板面に対して70度以上且つ90度以下傾いていることを特徴とする強誘電体メモリ。
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