JP2008028122A - 沸騰冷却方法、沸騰冷却装置およびその応用製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】沸騰冷却装置は、被冷却物Obの表面もしくは表面に密接する伝熱部材SPの表面を冷却面として、冷却面に一体的に形成される主流路10A、主流路に隔壁を介して一体的に形成される副流路10B、副流路側から隔壁を貫通し、先端部が冷却面に対向して近接もしくは当接するように形成された複数のノズルをと有する流路構造体10と、流路構造体の主流路と副流路とに冷却液を循環的に供給し、主流路と副流路とに流通させる冷却液供給・流通手段とを有し、冷却液供給・流通手段が対流式の放熱手段50を有し、放熱手段が、流路構造体10に流通されて冷却面の冷却に寄与した冷却液のうち少なくとも主流路に流通された冷却液の放熱を行うものである。
【選択図】図1
Description
沸騰現象は一般に以下の如き経過を辿る。
液体中に例えば金属等による「加熱ブロック」を浸漬し、加熱ブロックを加熱してその伝熱面温度を上昇させる。伝熱面温度がある程度まで高くなると、加熱ブロックの伝熱面に「大きさが1mm程度以下の微少な気泡」が発生する。この状態は「加熱ブロック表面である伝熱面に接する液層部分が飽和温度に達し、伝熱面部分で沸騰が生じている状態」である。
このように「熱流束が飽和した状態」は、加熱ブロック表面が「大きな気泡」で覆われた状態となっている。
このときの熱流束は「限界熱流束」と呼ばれている。
特許文献2に開示されているのは、主として「半導体デバイスを冷却対象」とする冷却装置であって、2種類のノズルを用い、第1のノズルから低温冷媒液を発熱体に向けて噴射し、発熱体の熱によって沸騰気泡を発生させて「気液2相状態の高温冷媒液」とし、第2のノズルから同じ低温冷媒液を該高温冷媒液に向けて噴射させて急冷し、沸騰気泡を凝縮・消滅させて冷却を行うものである。この冷却方式では「120℃程度の温度領域で200W/cm2程度の熱流束」が得られると考えられ、半導体デバイスのような短い伝熱面の冷却には適するものであるが、より大きな伝熱面の冷却は困難と考えられる。
横軸は冷却面(伝熱面)の温度、縦軸は熱流束を表している。冷却面の温度が上昇すると、当初「非沸騰領域」では冷却面の熱が冷却液の温度を上げるのに消費されるが、「核沸騰領域」では冷却液の沸騰により熱流束が急激に増大して限界熱流束に達する。通常の沸騰では、限界熱流束に達した核沸騰領域の後に、破線で示す「遷移沸騰領域」が続き、熱流束は急速に減少して「膜沸騰領域」に移行し、熱流束は再び増大するが終には「冷却面の焼損」に到る。
即ち、本発明の沸騰冷却装置は、流路構造体と、冷却液供給・流通手段とを有する。
即ち、この場合には、副流路に流れる冷却液の流量や圧力を増大させて、副流路の側から冷却液を強制的に主流路側に供給する。流路構造体の構造上、副流路は伝熱面に対して「副流路と隔壁とで隔」てられているので、副流路における冷却液の温度は主流路内の冷却液温度よりも常に低く、副流路の側から冷却液(サブクール液)を主流路側へ強制的に供給することにより、主流路内の冷却液の温度を有効に低下させることができ、また、ノズル先端が冷却面に対向して近接もしくは当接しているので、副流路側から噴出状態で供給される冷却液が「伝熱面上に発生した気泡を直撃的に崩壊させる」ので、気泡微細化が極めて効率よく行われる。
上記「アクティブ冷却方式やパッシブ冷却方式により、気泡を、微細化あるいは崩壊させることのできるもの」であれば、特に制限無く使用することができるが、入手容易性、低コスト性、取り扱いの容易性、安全性、化学的・物理的安定性等の観点から、水あるいはアルコール、もしくは、水とアルコールとの混合液、水とエチレングレコールとの混合液、フッ素系不活性液体とすることが好ましい(請求項7)。「水」は、環境保全の面から言えば、冷却液として特に好適なものの1つである。フッ素系不活性液体は「フロリナート(登録商標 住友スリーエム社)」が市販されている。
沸騰冷却装置が寒冷地で使用されるような場合、冷却液が凍結すると、冷却装置としての機能が果たせないので、冷却液の凍結を防ぐ「防結手段」が必要となり、装置のコスト上昇や大型化が問題となるが、このような問題は、冷却液として不凍液を用いることにより有効に回避することができる。
混合液1 −2.5 −7 −13 −22
混合液2 −3 −8 −15.5 −25
混合液3 −5 −12 −21 −33 。
冷却面の表面形状は、主流路・副流路の形成が可能な形状であれば良く、平面であってもよいしシリンダ面等の曲面であっても良い。勿論、被冷却面が平面である場合には、主流路・副流路の形成が容易である。
請求項10記載の沸騰冷却方法は、上に説明した請求項1〜9の任意の1に記載の沸騰冷却装置を用いる沸騰冷却方法である。
伝熱面を超親水性材料からなる膜(超親水性膜)にすることによって、伝熱面の濡れ性が向上して気泡離脱が促進し、限界熱流束を向上させることができる。
図1は、沸騰冷却装置の実施の1形態を要部のみ説明図として略示している。
図1において、符号obは「被冷却物」を示している。被冷却物Obは、例えば「インバータ等の半導体デバイス」であって発熱源H1、H2、H3等を有し、これら発熱源に接して「放熱手段」であるヒートスプレッダSPが形成されている。即ち、ヒートスプレッダSPは「被冷却物Obの構成部分」であり、ヒートスプレッダSPの外側表面が「冷却面」である。
図2(a)は、流路構造体部分10の内部構造を説明図として示している。主流路10Aは、冷却面であるヒートスプレッダSPの表面を「冷却面」として形成されており、副流路10Bは、隔壁10Cにより主流路10Aと分離されている。そして、副流路10Bの側から隔壁10Cを貫通し、先端部が冷却面(ヒートスプレッダSPの表面)に対向して近接するように複数のノズルNZが形成されている。
図2(f)に例示する、流路構造体部分12では、内部は主流路12Aと副流路12Bとに分離されており、主流路・副流路とも「単一流路」である。符号12aは主流路10Aに冷却液を通ずる主流路用管路の「主流路12Aへの連結部」を示す。符号12bは副流路10Bに冷却液を通ずる副流路用管路の「副流路12Bへの連結部」を示す。
図2(g)に例示する、流路構造体部分13では、内部は主流路13Aと副流路13Bとに分離されている。主流路13Aは、冷却面に沿って「冷却液の流れの方向に直交する方向(図の左右方向)」へ、1以上の分離隔壁によりn個の主流路部分13A1、・・13Ai、・・13Anに分離されており、副流路13Bも、主流路13Aとの隔壁に沿って冷却液の流れの方向に直交する方向(図の左右方向)へ、1以上の分離隔壁によりn個の副流路部分13B1、・・13Bi、・・13Bnに分離されている。
の「三角印」は図面の表から裏ヘ向かう流れ、「×印」は図面の裏から表へ向かう流れを表す。)」に設定することもできる。
図3(a)に示したのは、図2(a)、(b)に即して説明した場合の例であり、各ノズルNZの先端部が微少な間隙を介して対向近接する冷却面RSは平滑面である。
図3(b)、(c)に例示するのは、複数のノズルNZの先端部に対向する冷却面の表面が「微細な凹凸構造」を有し、複数のノズルの先端部が「微細な凹凸構造に当接」する場合である。
図3(b)、(c)に示す例では、冷却面RSb、RScの表面の微細な凹凸構造は、主流路(図面に直交する方向)に沿って形成された細溝の集合である。細溝の形状は、図3(b)に示すように「V字溝」でもよいし、図3(c)に示す「断面矩形形状の溝」でもよく、さらには「U字溝」や「断面が半円形状や半楕円形状の溝」等、種々の形態の溝が許容される。溝幅は、ノズル先端部の断面径の「数分の1」程度が良い。また、溝の形成状態も「主流路に沿って形成」する場合の他、環状もしくは螺旋状に形成することもできる。また、溝を形成する変わりに「冷却面を粗し処理」して粗面構造としてもよい。
図6は制御手段70による制御の様子を説明図として簡単に示している。
制御手段70は「マイクロコンピュータ」である。上には説明しなかったが、図1に示した実施の形態では各種のセンサが用いられ、「冷却面温度」、「主流路入口温度・主流路入口圧力・主流路入口流量・主流路出口温度・主流路出口圧力」、「副流路入口温度・副流路入口流量・副流路出口温度・副流路出口圧力・副流路出口流量」、「ラジエータ出口温度・冷却液容器温度・冷却液容器圧力」が検出される。
1チャンネルの冷却面積は102cmであるから、1チャンネルあたりの除熱量は、
4.5×1000W=4.5KW
となる。従って、118KWを除熱するのに必要なチャンネル数は、
118/4.5≒27
で27チャンネルが必要である。
N=9.8ρQH
で与えられる。ここで、揚程:H=1mとし、ρとして100℃での水の密度:996.9を用いる。
Nm=6.59W
副流路用ポンプ40に対して動力:
Ns=5.28W
が得られる。なお、流通路における損失水頭は微小であり無視することができる。
RQ=Wt(Ti−To)
で与えられる。
45×3600=162000cm3/sec=162l/h
となり、流路構造体を成す27チャンネルでは4374l/hとなる。
(25×100+20×60)/45≒83℃
となる。
Fst={(1/φK)+(1/500vλρA)}
/[{(Ti−ti)/RQ}−(1/2Wt)]
で表される。
Fst=0.48m2となる。
10 流路構造体部分(被冷却体Obと一体化されて流路構造体をなす。)
10A 主流路
10B 副流路
NZ ノズル
21 冷却液
30 主流路用ポンプ
40 副流路用ポンプ
50 ラジエータ
Claims (13)
- 被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を冷却面として、上記冷却面に一体的に形成される主流路、および、この主流路に上記冷却面と逆の側から重なるように隔壁を介して一体的に形成される副流路と、上記副流路側から上記隔壁を貫通し、先端部が上記冷却面に対向して近接もしくは当接するように形成された複数のノズルをと有する流路構造体と、
この流路構造体の上記主流路と副流路とに、予め所定の温度にサブクールした冷却液を循環的に供給し、上記主流路と副流路とに流通させる冷却液供給・流通手段とを有し、
この冷却液供給・流通手段が対流式の放熱手段を有し、この放熱手段が、上記流路構造体に流通されて冷却面の冷却に寄与した冷却液のうち、少なくとも主流路に流通された冷却液の放熱を行うものであることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項1記載の沸騰冷却装置において、
冷却液供給・流通手段が、流路構造体の副流路側から主流路側へ複数のノズルを通して、冷却液を強制的に供給するものであることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項1記載の沸騰冷却装置において、
冷却液供給・流通手段が、流路構造体の副流路側から主流路側へ複数のノズルを通して、冷却液を自然供給するものであることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項1記載の沸騰冷却装置において、
冷却液供給・流通手段が、流路構造体の副流路側から主流路側へ複数のノズルを通して、冷却液の強制的な供給と自然供給とを切換可能であることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項1〜4の任意の1に記載の沸騰冷却装置において、
流路構造体における少なくとも主流路が、冷却液の流通方向に直交する方向において、隔壁により複数のチャンネルに分割されていることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項1〜5の任意の1に記載の沸騰冷却装置において、
対流式の放熱手段が空冷式のラジエータであることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項1〜6の任意の1に記載の沸騰冷却装置において、
冷却液を、水あるいはアルコール、もしくは、水とアルコールとの混合液、水とエチレングレコールとの混合液、または、フッ素系不活性液体としたことを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項7記載の沸騰冷却装置において、
冷却液が不凍液であることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項1〜8の任意の1に記載の沸騰冷却装置において、
冷却液供給・流通手段において冷却液を貯留する冷却液容器に、冷却液が貯留されていることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項1〜9の任意の1に記載の沸騰冷却装置を用いる沸騰冷却方法。
- 稼動中に熱を発生し該熱の冷却手段を構成要素とする製品であって、請求項1〜9の任意の1に記載の沸騰冷却装置を冷却手段とすることを特徴とする製品。
- 請求項11に記載の製品において、
発熱体を有し、沸騰冷却装置を構成する流路構造体の管状流路が、発熱体の表面を管壁として一体的に形成された電子素子または燃料電池であることを特徴とする製品。 - 請求項11記載の製品において、
電子素子と伝熱部材とを主構成要素とする高発熱密度電子機器が搭載された、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置、又はコンピュータもしくはスーパーコンピュータ、又は、鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であって、沸騰冷却装置を構成する流路構造体の管状流路が伝熱部材の表面を管壁として形成されたことを特徴とするハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置又は鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であることを特徴とする製品。
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