以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1を実現するための部品実装基板の生産システムの構成を示す図である。
生産システムは、部品実装基板メーカ100と、部品実装基板メーカ100に部品を供給する複数の部品メーカと、部品実装基板メーカ100または部品メーカに対して部品の品質に関する対処法を提供するサービス拠点とを備えている。
部品実装基板メーカ100には、複数の実装ライン200と、部品品質管理装置300とが設けられている。複数の部品メーカには、コンピュータ500A〜500Cがそれぞれ設けられている。サービス拠点には、サービス供給装置700が設けられている。
なお、部品品質管理装置300は、特許請求の範囲における状況収集装置、対処法受信装置またはサービス受給装置の一具体例に相当する。
複数の実装ライン200は、基板に部品を実装した部品実装基板を生産するためのシステムである。
部品品質管理装置300は、すべての実装ライン200に接続されており、部品種ごとに、当該部品の品質を管理する装置である。部品品質管理装置300は、部品または材料の品質に関するパラメータ、部品実装基板の品質に関するパラメータおよび部品実装機の稼働状況に関するパラメータを、実装ライン200から収集し、サービス供給装置700に提供する。パラメータの内容については後述する。
サービス供給装置700は、部品品質管理装置300より収集したパラメータに基づいて、部品または材料の品質に関する対処法を部品品質管理装置300またはコンピュータ500A〜500Cに提供する。対処法については後述する。
図2は、図1に示した実装ライン200の外観図である。
実装ライン200は、上流側の生産設備から下流側の生産設備に基板を搬送し、部品が実装された基板を生産するシステムであり、ストッカ14および30と、半田印刷装置16と、コンベア18および26と、接着剤塗布装置21と、部品実装機22および24と、リフロー炉28とを備えている。
ストッカ14および30は、基板をストックする装置であり、ストッカ14が生産ラインの最上流に位置し、ストッカ30が生産ラインの最下流に位置する。すなわち、ストッカ14には、部品が未実装の基板がストックされ、ストッカ30には部品が実装済みの完成品の基板がストックされる。
半田印刷装置16は、基板上に半田を印刷する装置である。コンベア18および26は、基板を搬送する装置である。接着剤塗布装置21は、基板上に接着剤を塗布する装置である。部品実装機22および24は、基板上に部品を実装する装置である。リフロー炉28は、部品が実装された基板を熱することにより、半田等を溶かした後、部品を基板上に固定させる装置である。
図3は、部品実装機22の構成を示す外観図である。なお、部品実装機24も同様の構成を有する。
部品実装機22は、お互いが協調して(または、交互動作にて)部品実装を行なう2つのサブ設備130aおよび130bを備える。サブ設備130aは、部品テープを収納するパーツフィーダ123の配列からなる部品供給部124aと、それらパーツフィーダ123から電子部品を吸着し基板20に装着することができる複数の吸着ノズル(以下、単に「ノズル」ともいう。)を有するマルチ装着ヘッド121と、マルチ装着ヘッド121が取り付けられるビーム122と、マルチ装着ヘッド121に吸着された部品の吸着状態を2次元又は3次元的に検査するための部品認識カメラ126等を備える。サブ設備130bも、サブ設備130aと同様の構成を有する。
図4は、部品実装機22の内部の主要な構成を示す平面図である。
部品実装機22は、その内部に部品実装機22の前後方向(Y軸方向)に並んで配置される2つのサブ設備130aおよび130bを備えている。前後方向(Y軸方向)に向かい合って配置されるサブ設備130aおよび130bは、お互いが協調し1つの基板20に対して部品の実装作業を行う。
サブ設備130aおよび130bの各々は、ビーム122と、マルチ装着ヘッド121とを備えている。また、サブ設備130aおよび130bは、部品供給部124aおよび124bをそれぞれ備えている。また、部品実装機22は、サブ設備130aおよび130b間に基板20搬送用のレール129が一対備えられている。
なお、部品認識カメラ126は、同図においてその記載を省略している。
ビーム122は、X軸方向に延びた剛体であって、Y軸方向(基板20の搬送方向と垂直方向)に設けられた軌道(図示せず)上をX軸方向と平行を保ったままで移動することができるものである。また、ビーム122は、当該ビーム122に取り付けられたマルチ装着ヘッド121をビーム122に沿って、すなわちX軸方向に移動させることができるものであり、自己のY軸方向の移動と、これに伴ってY軸方向に移動するマルチ装着ヘッド121のX軸方向の移動とでマルチ装着ヘッド121をXY平面内で自在に移動させることができる。また、これらを駆動させるためのモータ(図示せず)など複数のモータがビーム122に備えられており、ビーム122を介してこれらモータなどに電力が供給されている。
図5は、部品品質管理装置300の機能的な構成を示すブロック図である。
部品品質管理装置300は、演算制御部301、表示部302、入力部303、メモリ部304、部品品質管理プログラム格納部305、通信I/F(インターフェース)部306およびデータベース部307等から構成される。
演算制御部301は、CPU(Central Processing Unit)や数値プロセッサ等であり、オペレータからの指示等に従って、部品品質管理プログラム格納部305からメモリ部304に必要なプログラムをロードして実行し、その実行結果に従って、各構成要素302〜307を制御する。
表示部302は、CRT(Cathode-Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等であり、入力部303はキーボードやマウス等であり、これらは、演算制御部301による制御の下で、部品品質管理装置300とオペレータとが対話する等のために用いられる。
通信I/F部306は、LAN(Local Area Network)アダプタ等であり、実装ライン200を構成する部品実装機22等またはサービス供給装置700との通信に用いられる。メモリ部304は、演算制御部301による作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)等である。
データベース部307は、部品品質管理装置300による実装プログラムの作成処理等に用いられる入力データ(実装点データ307a、部品ライブラリ307b等)や、実装プログラム等を記憶するハードディスク等である。
部品品質管理プログラム格納部305は、部品品質管理装置300の機能を実現する各種制御プログラムを記憶しているハードディスク等であり、機能的に(演算制御部301によって実行された場合に機能する処理部として)、稼動状況算出部305aと、部品品質状況算出部305bと、実装基板品質状況算出部305hとから構成される。
稼動状況算出部305aは、各部品実装機の稼働状況に関する各種パラメータを算出する処理部である。部品品質状況算出部305bは、各部品実装機による部品実装基板の生産に用いられる部品の品質状況に関する各種パラメータを算出する処理部である。
実装基板品質状況算出部305hは、各部品実装機により生産された部品実装基板の品質状況に関する各種パラメータを算出する処理部である。実装基板品質状況算出部305hが算出するパラメータとして、例えば、部品の装着位置ずれの発生率、基板上での部品欠落の発生率、リードとランドとの接続不良の発生率などが考えられる。実装基板品質状況算出部305hは、部品種ごとにこれらのパラメータを集計する。
図6は、実装点データ307aの一例を示す図である。
実装点データ307aは、実装の対象となる全ての部品の実装点を示す情報の集まりである。図6に示されるように、1つの実装点piは、部品種ci、X座標xi、Y座標yi、装着角度θi、制御データφiからなる。ここで、「部品種」は、後述する図7に示される部品ライブラリ307bにおける部品名に相当し、「X座標」および「Y座標」は、実装点の座標(基板上の特定位置を示す座標)であり、「装着角度」は、部品装着時の部品の回転角度であり、「制御データ」は、その部品の実装に関する制約情報(使用可能な吸着ノズルのタイプ、マルチ装着ヘッド121の最高移動速度等)である。
図7は、部品ライブラリ307bの一例を示す図である。
部品ライブラリ307bは、部品実装機22等が扱うことができる全ての部品種それぞれについての固有の情報を集めたライブラリであり、図7に示されるように、部品種ごとの部品サイズ、タクト(一定条件下における部品種に固有のタクト)、その他の制約情報(使用可能な吸着ノズルのタイプ、部品認識カメラ126による認識方式、マルチ装着ヘッド121の最高移動速度等)からなる。なお、本図には、参考として、各部品種の部品の外観も併せて示されている。
図8は、サービス供給装置700の機能的な構成を示すブロック図である。
サービス供給装置700は、演算制御部701、表示部702、入力部703、メモリ部704、部品品質管理プログラム格納部705、通信I/F(インターフェース)部706およびデータベース部707等から構成される。
演算制御部701は、CPUや数値プロセッサ等であり、オペレータからの指示等に従って、部品品質管理プログラム格納部705からメモリ部704に必要なプログラムをロードして実行し、その実行結果に従って、各構成要素702〜707を制御する。
表示部702は、CRTやLCD等であり、入力部703はキーボードやマウス等であり、これらは、演算制御部701による制御の下で、サービス供給装置700とオペレータとが対話する等のために用いられる。
通信I/F部706は、LANアダプタ等であり、部品品質管理装置300または部品メーカのコンピュータ500A〜500Cとの通信に用いられる。メモリ部704は、演算制御部701による作業領域を提供するRAM等である。
データベース部707は、減点表707c、判定表707d、代替リスト707e等を記憶するハードディスク等である。
部品品質管理プログラム格納部705は、サービス供給装置700の機能を実現する各種制御プログラムを記憶しているハードディスク等であり、機能的に(演算制御部701によって実行された場合に機能する処理部として)、パラメータ集計部705cと、原因特定部705dと、要求送信部705eと、部品選定部705fと、実装条件変更部705gとから構成される。
パラメータ集計部705cは、部品品質管理装置300より受信した部品実装機の稼働状況に関する各種パラメータ、部品実装基板の生産に用いられる部品の品質状況に関する各種パラメータまたは部品実装機により生産された部品実装基板の品質状況に関する各種パラメータを部品実装機ごとまたは部品実装機全体として集計すると共に、点数化する処理部である。ただし、パラメータ集計部705cは、部品実装機の稼働状況に関する各種パラメータおよび部品実装基板の生産に用いられる部品の品質状況に関する各種パラメータを集計するものであっても構わないし、部品実装機の稼働状況に関する各種パラメータに代えて、部品実装機により生産された部品実装基板の品質状況に関する各種パラメータを集計するものであっても構わない。
原因特定部705dは、上述の稼働状況または品質状況の低下の原因を特定する処理部である。
部品選定部705fは、パラメータ集計部705cにおける集計結果に基づいて、部品実装機で使用する部品を選定する処理部である。
要求送信部705eは、原因特定部705dで特定された原因の改善要求を部品メーカに送信する処理部である。また、要求送信部705eは、部品選定部705fで選定された部品の注文を部品メーカのコンピュータに対して送信する。
実装条件変更部705gは、パラメータ集計部705cおよび原因特定部705dの処理結果に基づいて、部品実装機22の実装条件を求め、部品品質管理装置300に対して、部品実装機22の実装条件を、求められた実装条件に変更するための指示を送信する処理部である。
まず、部品品質管理装置300の稼動状況算出部305aが算出する各部品実装機の稼働状況に関する各種パラメータについて説明する。
図9は、稼動状況に関するパラメータの一種である、吸着ノズル別の装着率とエラー数とを示す図である。図9は、ある部品実装機のマルチ装着ヘッド121における吸着ノズル別の装着率とエラー数とを示している。ここで、「装着率」とは、基板への部品の装着が成功した割合を示す値である。「エラー数」とは、基板への部品装着に失敗した数のことである。図9によると、16本の吸着ノズルのうち、12番目の吸着ノズルの装着率が最も小さく、エラー数が最も大きい。すなわち、図9は、12番目の吸着ノズルにおいて、部品装着のエラーが頻繁に発生していることを示している。
図10は、稼働状況に関するパラメータの一種である、吸着ノズル別の装着率と吸着回数とを示す図である。図10は、ある部品実装機のマルチ装着ヘッド121における吸着ノズル別の装着率と吸着回数とを示している。ここで、「装着率」は、図9で説明したものと同一である。「吸着回数」は、吸着ノズルによる部品の吸着回数を示す。例えば、6番目の吸着ノズルと14番目の吸着ノズルとは、他の吸着ノズルに比べて吸着回数が少ないことが示されている。
図11は、稼働状況に関するパラメータの一種である、部品カセット別の装着率と吸着回数とを示す図である。図11は、ある部品実装機の部品供給部における部品カセット別の装着率と吸着回数とを示している。ここで、「装着率」とは、図9の説明において説明したものと同様の意味である。ただし、ここでは、部品カセット別すなわち部品種別の装着率を示している。また、「吸着回数」は、吸着ノズルによる部品の吸着回数を示している。ただし、ここでは、部品カセット別すなわち部品種別の吸着回数を示している。例えば、87番目の部品カセットの部品の装着率は、99.7%を下回っており、その部品カセットから部品を吸着して、基板に装着しようとすると、装着率が低下することを示している。
図12は、稼働状況に関するパラメータの一種である、部品種別の認識エラー率を示す図である。「認識エラー率」とは、吸着ノズルで吸着された部品を部品認識カメラ126で認識した際に、認識が正常にできない率のことである。なお、同図中破線で示すように、認識エラー率の許容値を0.5%とした場合には、部品種AおよびDの認識エラー率が許容値を超えている。
図13は、稼働状況に関するパラメータの一種である、部品種別の吸着率を示す図である。「吸着率」とは、吸着ノズルが部品カセットから部品を吸着するのに成功した率のことである。吸着ノズルが部品を吸着しているか否かは、部品認識カメラ126で部品を認識することにより分かる。なお、同図中破線で示すように、吸着率の許容値を99.8%とした場合には、部品Aの吸着率が許容値を下回っている。
図14は、稼働状況に関するパラメータの一種である、部品種別の持ち帰り率を示す図である。「持ち帰り率」とは、吸着ノズルで吸着した部品を基板に装着するのに失敗し、部品を持ち帰った率のことである。部品を持ち帰ったか否かは、吸着ノズルによる基板への部品装着動作の後に、マルチ装着ヘッド121内の真空圧の変化量を計測したり、部品認識カメラ126で吸着ノズルが部品を吸着しているか否かを認識したりすることにより、判断することができる。なお、同図中破線で示すように、持ち帰り率の許容値を0.6%とした場合には、部品種BおよびCの持ち帰り率が許容値を超えている。
次に、部品品質管理装置300の部品品質状況算出部305bが算出する部品の品質状況に関する各種パラメータについて説明する。
まず、品質状況に関するパラメータの一種である、寸法誤差について説明する。「寸法誤差」とは、部品の寸法のばらつきを示し、具体的には、部品の寸法の分散または標準偏差が用いられる。
図15は、部品の寸法を説明するための図であり、部品の寸法は、幅x、奥行きyおよび高さtからなる。部品認識カメラ126が2次元用のカメラの場合には、部品の幅xおよび奥行きyを部品認識カメラ126の出力より得ることができる。部品認識カメラ126が3次元用のカメラの場合には、部品の幅x、奥行きyおよび高さtを部品認識カメラ126の出力より得ることができる。また、部品認識カメラ126の出力から、部品を吸着した際の吸着角度のずれ量θも得ることができる。ここでは、説明の簡単化のため、部品認識カメラ126は2次元カメラであり、部品認識カメラ126の出力から、部品の幅x、奥行きyおよび吸着角度ずれ量θを得ることができるものとする。
以下、400点の部品を部品認識カメラ126で認識した結果について説明する。
図16は、各部品について幅xの規格値からのずれ量dXを示したグラフである。横軸は、部品番号を示しており、縦軸は、幅xの規格値からのずれ量dX[μm]を示している。図17は、図16に示したグラフを縦軸方向に拡大したグラフである。
図18は、各部品について奥行きyの規格値からのずれ量dYを示したグラフである。横軸は、部品番号を示しており、縦軸は、奥行きyの規格値からのずれ量dY[μm]を示している。
図19は、ずれ量dXの分布を示したヒストグラムであり、図20は、ずれ量dYの分布を示したヒストグラムである。図21は、吸着角度ずれ量θ[deg]の分布を示したヒストグラムである。
図22は、ずれ量dXと、ずれ量dYとの分布を2次元的に示したグラフであり、横軸は、ずれ量dXを示し、縦軸は、ずれ量dYを示している。また、同グラフにおいて規格範囲を、矩形枠600で示している。「規格範囲」とは、正常な寸法の部品であると許容可能なずれ量の範囲である。同グラフにおいては、ずれ量dXが−50μmから50μmの間の値であり、かつ、ずれ量dYが−50μmから50μmの間の値の部品が規格範囲内に納まっている部品となる。
図23は、以上の結果をまとめた表である。同表によると、部品の測定点数は400箇所であり、認識エラーは0箇所である。また、部品の幅xのずれ量dXに関しては、規格範囲の上限が50μmで下限が−50μmである。さらに、ずれ量dXの平均値は11.0、最大値は37.8、最小値は−18.2であり、ずれ量dXのとる範囲(=最大値−最小値)は56である。さらにまた、ずれ量dXの標準偏差は9.51で、3σは28.53である。なお、同図では、工程能力指数(Cp、k、Cpk)も合わせて示されている。部品の奥行きyのずれ量dYおよび吸着角度ずれ量θに関しても、同様の値が示されている。ここでの寸法誤差は、ずれ量dXの標準偏差、ずれ量dYの標準偏差、吸着角度ずれ量θの標準偏差に相当する。
図24は、品質状況に関するパラメータの一種である、リードの曲がりについて説明するための図である。図24(a)に示すようなリードを有するリード部品は、図24(a)および図24(b)に示すようなリード曲がり604が、部品の製造時や搬送時等に生じることが多い。部品認識カメラ126は、部品実装時に、このようなリード曲がり604を、2次元的または3次元的に認識することができる。リード曲がり604が生じた部品を基板に装着すると、基板装着時に、リードが基板上の正規のランドと正しく接続できずに導通できないか、正規のランドではない他のランドやリードと接触してしまい、短絡してしまう。このため、部品実装基板の品質状況を悪化させる要因となる。
図25は、品質状況に関するパラメータの一種である、半田量のばらつきについて説明するための図である。図25に示すようなBGA(Ball Grid Array)を有する部品は、配列上に並べられた電極部分にボール状の半田が予め塗布されている。しかし、領域605に含まれる半田のように、半田の面積または体積が他の半田とは異なるものが含まれている場合には、半田不足により電極が基板から浮いたり、半田過多により電極同士が導通したりする問題が生じる。このため、部品実装基板の品質を悪化させる要因となる。したがって、「半田量のばらつき」とは、半田の面積または体積のばらつきを示し、具体的には、半田の面積または体積の分散または標準偏差が用いられる。なお、半田の面積または体積は、部品認識カメラ126により認識することができる。
なお、上述した稼働状況に関するパラメータの一種である「持ち帰り率」は、品質状況に関するパラメータの一種でもある。すなわち、図26では、吸着ノズルが吸着する部品の位置をハッチングで示しているが、ハッチングで示された部分の固着性が強いような場合には、持ち帰り率が大きくなってしまう。このため、持ち帰り率と固着性との間には相関関係がある。すなわち、持ち帰り率は、品質状況に関するパラメータの一種でもある。なお、固着性は、部品の材質により変化する。例えば、錫の純度が高い材質の場合には、その部分は柔らかくなるため、吸着ノズルに引っ付きやすくなり、持ち帰り率が大きくなってしまう。
このように、部品の品質状況と部品実装機の稼働状況との間には密接な関係がある。図27は、品質状況に関するパラメータの一種である「寸法誤差」を例にとり、上述の関係について説明するための図である。図27(a)は、図22に示したグラフと同様のグラフであり、部品の幅xの規格値からのずれ量dXと部品の奥行きyの規格値からのずれ量dYとの分布を2次元的に示したグラフである。図27(a)では、矩形枠606で規格範囲を示している。このため、矩形枠606外にプロットされた点に対応する部品は規格範囲外の部品ということになる。部品寸法のばらつきが大きくなると、部品認識カメラ126における認識エラーが多発する。このため、部品実装機の小停止が多発することにより部品実装機の稼働率が低下する。このため、部品実装基板の生産性が低下してしまうという問題がある。なお、このような場合に、オペレータは、認識エラーを防ぐために部品寸法の規格値を部品実装機に再教示するが、寸法のばらつきが大きい場合には、どのような規格値を再教示させようとも、認識エラーが発生してしまう。
また、寸法のばらつきが多いと、上述した吸着率の低下にもつながる。このため、生産途中で廃棄される部品の増加につながる。このため、廃棄される部品種の部品が不足してしまい、最悪の場合には部品実装基板を生産することができなくなり、部品実装基板の生産性が低下してしまう。さらに、吸着率の低下が生じると、基板上に部品を落下させてしまう可能性が大きくなり、部品実装基板の品質の低下にもつながる。
さらに、寸法のばらつきが多いと、部品装着時に、部品の電極と基板のランドとの位置が一致しにくいため、装着精度が低下してしまう。このため、図27(b)に示すように、真の装着位置からX方向およびY方向にずれた位置に部品が装着されることとなり、部品実装基板の品質の低下につながる。
次に、部品品質管理装置300およびサービス供給装置700が実行する処理について説明する。図28は、部品品質管理装置300およびサービス供給装置700が実行する処理のフローチャートである。
稼動状況算出部305aは、上述した稼働状況に関するパラメータのうち、認識エラー率と、吸着率と、持ち帰り率とを部品種ごとに算出する(S1)。なお、稼動状況算出部305aは、これらのパラメータを、部品実装機単位で算出するとともに、部品実装機全体としても算出する。これにより、図12〜図14に示したような部品種ごとの認識エラー率、吸着率、持ち帰り率が、部品実装機ごとまたは部品実装機全体として算出される。
部品品質状況算出部305bは、上述した品質状況に関するパラメータのうち、寸法誤差を部品種ごとに算出する(S2)。なお、部品品質状況算出部305bは、寸法誤差を部品実装機単位で算出するとともに、部品実装機全体としても算出する。
稼動状況算出部305aおよび部品品質状況算出部305bは、S1およびS2の処理を、いずれかの実装ライン200で部品実装基板が生産されている間繰り返す(ループA)。
次に、部品品質管理装置300は、サービス供給装置700との間で認証処理を行なうことにより、部品品質管理装置300とサービス供給装置700との間の接続を確立する(S401)。具体的には、図29に示すようなログイン画面410が部品品質管理装置300の表示部302に表示される。オペレータは、入力部303を用いてログイン画面410のユーザID入力欄411とパスワード入力欄412とに、ユーザIDおよびパスワードをそれぞれ入力し、ログインボタン413を押下する。ログインボタン413が押下されると、サービス供給装置700において認証処理が行われ、ユーザIDとパスワードとが正しければ部品品質管理装置300とサービス供給装置700との間の接続が確立される。なお、認証処理は公知の技術であるため、その詳細については説明を繰り返さない。
部品品質管理装置300とサービス供給装置700との間の接続が確立されると、図30に示すような、表示部302にはサービス供給装置700が提供可能なサービスの一覧を示す提供サービス画面420が表示される。
提供サービス画面420には、アップロードボタン421と、判定処理ボタン422と、対処法提供処理ボタン423と、終了ボタン424とが表示されている。
アップロードボタン421が押下された場合には(S403でYES)、稼動状況算出部305aおよび部品品質状況算出部305bは、上述の処理で算出された各種パラメータをサービス供給装置700のメモリ部304にアップロードする処理を行う(S404)。
判定処理ボタン422が押下された場合には(S405でYES)、サービス供給装置700は、後述する判定処理を行う(S406)。判定処理の結果は、部品品質管理装置300の表示部302およびサービス供給装置700の表示部702に表示される。
対処法提供処理ボタン423が押下された場合には(S407でYES)、サービス供給装置700は、後述する対処法提供処理を行う(S408)。
図31は、判定処理(図28のS406)を詳細に説明するためのフローチャートである。
パラメータ集計部705cは、部品品質管理装置300よりアップロードされ、メモリ部304に記憶されている4種類のパラメータ、すなわち、認識エラー率と、吸着率と、持ち帰り率と、寸法誤差とを、部品実装機単位で集計し、部品種を点数化する(S3)。また、パラメータ集計部705cは、メモリ部304に記憶されている4種類のパラメータを、部品実装機全体として集計し、部品種を点数化する(S4)。点数のつけ方については後述する。
図32は、部品実装機単位でそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数の一例を示す図である。図32は、ある部品実装機αに対するパラメータおよび点数を示しており、オペレータの入力部303からの表示指示に基づいて、図32に示されるような画面(部品品質モニタ)が表示部302に表示される。図32の部品品質モニタは、部品名と、認識エラー率と、吸着率と、持ち帰り率と、寸法誤差と、メーカ名と、判定とからなる。例えば、部品名「A」の部品の、認識エラー率は「1.8」%であり、吸着率は「96.0%」であり、持ち帰り率は「0.05%」であり、寸法誤差は「16」であり、メーカ名は「XX」であり、点数は「50点」であり、判定は「赤」であることが示されている。なお、判定は、表示部302では、色の違いにより示され、部品名「A」に対しては、赤色で示されているものとする。
図33は、部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数の一例を示す図である。図33は、全ての実装ライン200を構成する部品実装機全体でのパラメータおよび点数を示しており、オペレータの入力部303からの表示指示に基づいて、図33に示されるような画面(部品品質モニタ)が表示部302に表示される。図33の部品品質モニタは、部品名と、認識エラー率と、吸着率と、持ち帰り率と、寸法誤差と、メーカ名と、判定とからなる。例えば、部品名「A」の部品の、認識エラー率は「0.9」%であり、吸着率は「96.2%」であり、持ち帰り率は「0.04%」であり、寸法誤差は「17」であり、メーカ名は「XX」であり、点数は「55点」であり、判定は「赤」であることが示されている。
パラメータ集計部705cは、図32および図33に示したような部品品質モニタを表示部702に表示する処理または部品品質管理装置300の表示部302に表示させる処理を実行する(S420)。部品品質管理装置300の表示部302に部品品質モニタを表示させる場合には、サービス供給装置700から部品品質管理装置300に対して、部品品質モニタの表示内容が送信される。部品品質管理装置300は、受信した当該部品品質モニタの内容を表示部302に表示させる。これにより、サービス供給装置700および部品品質管理装置300のオペレータは、部品種ごとに、使用している部品の品質状況や部品実装機の稼働状況等を確認することができる。
ここで、図32および図33の部品品質モニタにも示されている「点数」のつけ方、すなわち、部品種の点数化処理(S3、S4)について説明する。部品種の点数は、100点満点からの減点方式によりつけられる。図34は、何点減点するかを示した減点表707cである。減点表707cは、サービス供給装置700のデータベース部707に記憶されている。減点は、認識エラー率、吸着率、持ち帰り率、寸法誤差の各々について定められている。例えば、認識エラー率の減点について着目すると、認識エラー率が0%以上かつ0.1%以下の場合には、減点は「0点」である。認識エラー率が0.1%より大きくかつ1%未満の場合には、減点は「5点」である。認識エラー率が1%より大きくかつ2%以下の場合には、減点は「10点」である。認識エラー率が2%より大きくかつ5%以下の場合には、減点は「15点」である。認識エラー率が5%よりも大きい場合には、減点は「30点」である。
例えば、図32に示した部品名「A」に着目すると、認識エラー率は「1.8%」である。このため、図34に示す減点表に基づいて、減点は「10点」である。同様に、吸着率が「96.0%」であるため、減点は「10点」である。また、持ち帰り率が「0.05%」であるため、減点は「0点」である。さらに、寸法誤差が「16」であるため、減点は「30点」である。以上より、部品名「A」の得点は、
100点−10点−10点−0点−30点=50点
という式により、「50点」であると求められる。
次に、図32および図33の部品品質モニタにも示されている「判定」の決定処理(判定処理)について説明する。「判定処理」は、部品種の点数化処理(S3、S4)において行われ、部品種の点数に対する判定結果を求める処理である。図35は、判定処理に用いられる点数と判定結果との関係を示した判定表707dである。判定表707dは、サービス供給装置700のデータベース部707に記憶されている。パラメータ集計部705cは、判定表707dに基づいて、点数が90点よりも大きい場合には、稼働状況および品質状況ともに良好であると判定して、判定結果を「緑」とする。また、パラメータ集計部705cは、点数が70点よりも大きくかつ90点以下の場合には、稼働状況および品質状況に注意が必要であると判定し、判定結果を「黄」とする。さらに、パラメータ集計部705cは、点数が70点以下の場合には、稼働状況および品質状況に問題が生じていると判定し、判定結果を「赤」とする。
次に、サービス供給装置700が実行する対処法提供処理(図28のS408)について説明する。
図36は、対処法提供処理(図28のS408)を詳細に説明するためのフローチャートである。
パラメータ集計部705cは、部品品質管理装置300よりアップロードされ、メモリ部704に記憶されている4種類のパラメータを、部品実装機単位で集計し、部品種を点数化する(S3)。また、パラメータ集計部705cは、メモリ部704に記憶されている4種類のパラメータを、部品実装機全体として集計し、部品種を点数化する(S4)。S3およびS4の処理については上述したとおりである。
次に、原因特定部705dは、S3またはS4の処理において、いずれかひとつでも判定が「赤」となった部品種を対象とし、部品種ごとに、部品実装機全体としての点数と、部品実装機ごとに求められた点数のうちの最小値との差を求め、所定のしきい値THと比較する(S6)。
原因特定部705dは、比較の結果、上述の差がしきい値THよりも大きい場合には(S6でYES)、稼働状況および品質状況の低下の原因は部品実装機にあると判断し、上述の差がしきい値TH以下の場合には(S6でNO)、稼働状況および品質状況の低下の原因は、部品実装機ではなく、部品自体にあるとの判断を行う。
このような判断の理由について以下に説明する。稼働状況および品質状況の低下の原因が部品実装機にある場合には、問題がある特定の部品実装機における点数のみが低く、その他の部品実装機における点数は高い。このため、部品実装機全体としての点数は高いが、部品実装機ごとに求められた点数のうちの最小値は低くなる。よって、上述の差を計算した場合には、差が大きくなる。
一方、稼働状況および品質状況の低下の原因が部品にある場合には、全ての部品実装機において点数が低くなる。このため、部品実装機全体としての点数と、部品実装機ごとに求められた点数のうちの最小値とのいずれもが低くなる。よって、上述の差を計算した場合には、差が小さくなる。このような性質を利用して、原因特定部705dは、稼働状況および品質状況の低下の原因が部品実装機にあるのか部品にあるのかを判断する。
稼働状況および品質状況の低下の原因が部品にあると特定された場合には(S6でNO)、要求送信部705eは、当該部品種の部品メーカのコンピュータ(コンピュータ500A〜500Cのうちのいずれか)に対して、部品に問題がある旨の改善指示を送信する(S8)。その後、原因特定部705dは、当該部品種の部品実装機全体としての寸法誤差と寸法誤差の規定値とを比較することにより、部品の寸法の精度が稼働状況および品質状況の低下の原因であるか否かを判断する(S10)。寸法誤差が規定値を超えている場合には(S10でYES)、要求送信部705eは、当該部品種の部品メーカのコンピュータに対して、部品の寸法の精度を改善するようにとの改善要求を送信する(S12)。
また、原因特定部705dは、当該部品種の部品実装機全体としての持ち帰り率と持ち帰り率の規定値とを比較することにより、部品の固着性が稼働状況および品質状況の低下の原因であるか否かを判断する(S14)。持ち帰り率が規定値を超えている場合には(S14でYES)、要求送信部705eは、当該部品種の部品メーカのコンピュータに対して、吸着ノズルが吸着する部品の表面材質または電極材質を固着性の低いものに変更するようにとの改善要求を送信する(S16)。
稼働状況および品質状況の低下の原因が部品実装機にあると特定された場合には(S6でYES)、要求送信部705eは、部品品質管理装置300に対して、点数が最小である部品実装機の点検および整備を行うようにとの内容の指示を送信する(S18)。その後、原因特定部705dは、当該部品実装機の吸着率と規定値とを比較することにより、吸着ノズルまたはマルチ装着ヘッド121の移動速度が、稼働状況および品質状況の低下の原因であるか否かを判断する(S20)。吸着率が規定値未満の場合には(S20でYES)、要求送信部705eは、部品品質管理装置300に対して、当該部品実装機の吸着ノズルのチェックおよびマルチ装着ヘッド121の移動速度のチェックをするように、指示を送信する(S22)。
また、原因特定部705dは、点数が最小である部品実装機の着目部品の認識エラー率と認識エラー率の許容値とを比較することにより、部品ライブラリの寸法等の誤りが、稼働状況および品質状況の低下の原因であるか否かを判断する(S24)。認識エラー率が許容値を越えている場合には(S24でYES)、要求送信部705eは、部品品質管理装置300に対して、当該部品実装機が使用している部品ライブラリの寸法等に誤りがないかをチェックするように、指示を送信する(S26)。
さらに、原因特定部705dは、点数が最小である部品実装機の着目部品の持ち帰り率と、持ち帰り率の許容値とを比較することにより、部品装着時に吸着ノズルから吹き出されるエアーのブロー圧力またはブロータイミングが、稼働状況および品質状況の低下の原因であるか否かを判断する(S28)。持ち帰り率が許容値を超えている場合には(S28でYES)、要求送信部705eは、部品品質管理装置300に対して、当該部品実装機のブロー圧力およびブロータイミングのチェックをするように、指示を送信する(S30)。
原因特定部705dおよび要求送信部705eは、S6〜S30までの処理を、判定が「赤」となった部品種の全てについて繰り返す(ループB)。
次に、部品に原因があると判断された場合に、部品品質管理装置300またはサービス供給装置700のオペレータは、その代替部品を調べる必要があるが、代替部品を知る方法の一例について説明する。
ここでは、部品品質管理装置300のオペレータが代替部品を調べるものとする。なお、サービス供給装置700のオペレータが代替部品を調べる場合も同様の処理が行われる。
オペレータは、上述したように図32または図33に示されるような部品品質モニタを表示部302に表示させることができる。例えば、図32に示される部品品質モニタにおいて、判定欄に示されている判定ボタン608をクリックすることにより、図37に示されるような部品の代替リストが表示部302に表示される。なお、代替リスト707eは、サービス供給装置700のデータベース部707に記憶されている。例えば、図37に示される部品種Aの代替リストとして、部品名と、メーカ名と、価格と、納期とが示されている。なお、代替リストには、部品種Aについてのデータも同時に示されている。例えば、部品種Aの代替部品として部品種「A−1」の部品があり、そのメーカ名は「KK」で、価格は1つあたり「0.3円」で、納期は「7日」であることが示されている。
また、オペレータは、入力部303を操作することにより、点数化処理(S3、S4)において、判定が「赤」であるとされた部品のリストを表示させることもできる。図38は、このような部品メーカ警告対象リストの一例を示す図である。同図では、部品名別に判定が「赤」となった部品に関するデータの一覧が示されており、部品名の他に、メーカ名、認識エラー率、吸着率、持ち帰り率、寸法誤差、得点および判定が示されている。例えば、部品名「J」の部品については、そのメーカ名が「ZZ」、認識エラー率が「0.75%」、吸着率が「95.0%」、持ち帰り率が「0.5%」、寸法誤差が「19」、得点が「50」、判定が「赤」であることが示されている。
図39は、図38に示した部品メーカ警告対象リストをメーカ別に表示したリストである。同図に示すように、メーカ名が同一の部品名については、隣接する行に部品に関するデータが示されている。例えば、メーカ名「XX」が同一の部品名「A」および「M」が隣接する行に表示されている。なお、データの内容は、図38に示したものと同様であるため、説明を繰り返さない。
以上説明したように、本実施の形態によると、部品実装機の稼働状況または部品実装基板の品質状況の低下が生じた場合に、その原因が、部品実装機の側にあるのか、部品の側にあるのかを特定することができる。
また、低下の原因が部品実装機の側にある場合には、部品実装機のどの部分に問題があるのかを詳細に特定することができる。さらに、低下の原因が部品の側にある場合にも、部品のどの部分に問題があるのかを詳細に特定することができる。
以上、本発明の実施の形態に係る部品実装基板の生産システムについて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
例えば、図24を参照して説明したリードの曲がりを用いて、部品種を点数化するようにしてもよい。これにより、リード曲がりが生じる原因が部品メーカ側にあると特定される場合には、部品メーカにリード曲がりが生じないように改善要求を送信することができる。
また、図25を参照して説明したBGAの半田量のばらつきを用いて、部品種を点数化するようにしてもよい。これにより、半田量のばらつきが生じる原因が部品メーカ側にあると特定される場合には、部品メーカに対してBGAの半田量のばらつきが生じないように改善要求を送信することができる。
なお、上述の実施の形態では、部品に関して、当該部品に問題があるか否かを判断し、部品に問題がある場合には、部品メーカに対して部品の品質改善要求を送信していたが、判断の対象は部品には限られず、基板、クリーム半田、接着剤等であってもよい。
例えば、基板に問題がある場合には、基板メーカに対して品質改善要求を送信するようにしてもよい。具体的には、部品実装機により認識された基板の生産時に基板マーク位置または個別マーク位置を、部品品質管理装置300が集計し、サービス供給装置700が分析することにより、当該マーク位置のX方向およびY方向の歪、ばらつき等を算出し、歪やばらつきが大きい場合には、基板の精度改善要求を基板メーカに送信するようにしてもよい。
また、クリーム半田に問題がある場合には、半田メーカに対して品質改善要求を送信するようにしてもよい。具体的には、半田印刷装置16による半田印刷時におけるスクリーン版への半田のつまり状態や、スクリーン版からの半田離れの良否により、半田を点数化する。サービス供給装置700は、得点の低い半田の半田メーカに対して、半田の品質改善要求を送信する。なお、半田のつまり状態や半田離れの良否は、スクリーン版の汚れの度合いをセンサで計測したり、半田の付き方を検査したりすることにより判別可能である。
さらに、接着剤に問題がある場合には、接着剤メーカに対して品質改善要求を送信するようにしてもよい。具体的には、接着剤塗布装置21による接着剤塗布時に接着剤の糸引き状態や接着剤塗布量のばらつきに基づいて、サービス供給装置700が、接着剤を点数化し、点数の悪い接着剤の接着剤メーカに対して、品質改善要求を送信するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、図28に示すように認証処理(S401)以降の処理は、部品実装基板の生産が終了した後(ループA)に行うようにしているが、生産途中に当該処理を行うようにしてもよく、例えば、3時間おきに定期的に行うようにしてもよい。
また、部品品質管理装置300の機能がいずれかの部品実装機に備わっていてもよい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る生産システムについて説明する。実施の形態1では、部品または材料に問題がある場合には、サービス供給装置700が部品メーカに対して品質改善の指示を行っていた。これに対し、実施の形態2では、サービス供給装置700が優先して使用すべき部品または材料の候補を部品品質管理装置300に提示する処理を行う。
本発明の実施の形態2を実現するための部品実装基板の生産システムの構成は、実施の形態1に示したものと同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態では、対処法提供処理(図28のS408)が異なる。以下、対処法提供処理について説明する。
図40は、対処法提供処理(図28のS408)を詳細に説明するためのフローチャートである。
パラメータ集計部705cは、部品品質管理装置300よりアップロードされ、メモリ部704に記憶されている4種類のパラメータを、部品実装機単位で集計し、部品種を点数化する(S3)。また、パラメータ集計部705cは、メモリ部704に記憶されている4種類のパラメータを、部品実装機全体として集計し、部品種を点数化する(S4)。S3およびS4の処理については上述したとおりである。
図41は、部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数の一例を示す図である。図41は、全ての実装ライン200を構成する部品実装機全体でのパラメータおよび点数を示しており、部品品質管理装置300のオペレータの入力部303からの表示指示に基づいて、図41に示されるような画面(部品品質表示画面)が表示部302に表示される。なお、サービス供給装置700のオペレータの入力部703からの表示指示に基づいて、表示部702に同様の画面が表示されても良い。図41の部品品質表示画面は、部品名と、メーカ名と、寸法誤差(X)と、寸法誤差(Y)と、点数と、判定とからなる。寸法誤差(X)は、ずれ量dXの標準偏差を示し、寸法誤差(Y)は、ずれ量dYの標準偏差を示すものとする。例えば、部品名「I」の部品の、メーカ名は「XX」であり、寸法誤差(X)は「15」であり、寸法誤差(Y)は「20」であり、点数は「55点」であり、判定は「赤」であることが示されている。
図42は、部品実装機単位でそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数の一例を示す図である。図42は、ある部品実装機αに対するパラメータおよび点数を示しており、部品品質管理装置300またはサービス供給装置700のオペレータからの表示指示に基づいて、図42に示されるような画面(部品品質表示画面)が表示部302または表示部702に表示される。図42の部品品質表示画面は、部品名と、メーカ名と、寸法誤差(X)と、寸法誤差(Y)と、点数と、判定とからなる。例えば、部品名「I」の部品の、メーカ名は「XX」であり、寸法誤差(X)は「14」であり、寸法誤差(Y)は「22」であり、点数は「55点」であり、判定は「赤」であることが示されている。
図43は、部品メーカ別に集計および点数化された部品のパラメータおよび点数の一例を示す図である。図43は、部品メーカごとに、全ての部品のパラメータおよび部品を集計しており、部品品質管理装置300またはサービス供給装置700のオペレータからの表示指示に基づいて、図43に示されるような画面(部品品質表示画面)が表示部302または表示部702に表示される。図43の部品品質表示画面は、メーカ名と、寸法誤差(X)と、寸法誤差(Y)と、点数と、判定とからなる。例えば、メーカ名「ZZ」の全ての部品について集約した寸法誤差(X)は「8」であり、寸法誤差(Y)は「6」であり、点数は「90点」であり、判定は「緑」であることが示されている。すなわち、メーカ名「ZZ」の欄は、図41の部品品質表示画面に示した部品名「K」および部品名「L」を含む全てのメーカ「ZZ」で製造された部品を対象とした、寸法誤差や、点数等を示したものである。これにより、良い製造メーカか否かが分かることとなる。なお、製造メーカごとでなくても、製造メーカの工場ごとであっても良い。
なお、表示部302または表示部702に表示される画面は、図32または図33に示したような画面であっても良い。
図44は、図41に示した部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数のうち、点数を部品種ごとに表示したグラフである。当該グラフは、部品品質管理装置300オペレータの入力部303からの表示指示に基づいて、表示部302に表示される。なお、サービス供給装置700のオペレータの入力部703からの表示指示に基づいて、表示部702にも表示される。図44に示すグラフは、横軸が部品名であり、縦軸がそれぞれの部品種に対する点数を示している。また、判定「赤」と「黄」の区切りを示す点数「70点」および判定「黄」と「緑」の区切りを示す点数「90点」が図中破線で示されている。このグラフによると、部品名「I」および「J」の部品の判定が「赤」であり、部品名「K」の部品の判定が「黄」であり、部品名「L」の部品の判定が「緑」であることが分かる。
図45は、図41に示した部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数のうち、寸法誤差(X)を部品種ごとに表示したグラフである。当該グラフは、部品品質管理装置300のオペレータの入力部303からの表示指示に基づいて、表示部302に表示される。なお、サービス供給装置700のオペレータの入力部703からの表示指示に基づいて、表示部702にも表示される。図45に示すグラフは、横軸が部品名であり、縦軸がそれぞれの部品種に対する寸法誤差(X)を示している。例えば、部品種「I」、「J」、「K」および「L」の寸法誤差(X)がそれぞれ「15」、「10」、「9」および「8」であることが示されている。
図46は、図41に示した部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数のうち、寸法誤差(Y)を部品種ごとに表示したグラフである。当該グラフは、部品品質管理装置300のオペレータの入力部303からの表示指示に基づいて、表示部302に表示される。なお、サービス供給装置700のオペレータの入力部703からの表示指示に基づいて、表示部702にも表示される。図46に示すグラフは、横軸が部品名であり、縦軸がそれぞれの部品種に対する寸法誤差(Y)を示している。例えば、部品種「I」、「J」、「K」および「L」の寸法誤差(Y)がそれぞれ「20」、「31」、「10」および「4」であることが示されている。
図47は、図41に示した部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数のうち、部品種「I」についての部品の幅xの規格値からのずれ量dXと部品の奥行きyの規格値からのずれ量dYとの分布を2次元的に示したグラフである。当該グラフは、部品品質管理装置300のオペレータの入力部303からの表示指示に基づいて、表示部302に表示される。なお、サービス供給装置700のオペレータの入力部703からの表示指示に基づいて、表示部702にも表示される。当該グラフの横軸はずれ量dXを示し、縦軸はずれ量dYを示している。図47に示すグラフでは、矩形枠800で規格範囲を示している。このため、矩形枠800外にプロットされた点に対応する部品は規格範囲外の部品ということになる。なお、他の部品種たとえば部品種「J」についても同様のグラフを表示させることができる。
図48は、図24を用いて説明したリードを有する部品におけるリードの曲がり率を示したグラフである。当該グラフは、部品品質管理装置300のオペレータの入力部303からの表示指示に基づいて、表示部302に表示される。なお、サービス供給装置700のオペレータの入力部703からの表示指示に基づいて、表示部702にも表示される。図48に示すグラフは、横軸が部品名であり、縦軸がリード曲がり率を示している。リード曲がり率とは、所定の規格範囲を超えて曲がっている部品の割合を示した値である。同グラフでは、リード曲がり率のしきい値として0.5%を設けている。部品のリード曲がり率のみを考えた場合、リードの曲がり率が0.5%を超えて曲がっている部品、すなわち、部品種「I」および「J」は規格範囲外の部品であることが示されている。
再度、図40に従い、サービス供給装置700の実行する処理について説明する。部品選定部705fは、全ての部品種の価格情報および納期情報を読み込む(S206)。価格情報および納期情報は、入力部703より入力されるものとしてもよいし、データベース部707またはメモリ部704に予め記憶されているものを読み込むものとしてもよいし、通信I/F部706を介して、部品品質管理装置300から読み込むものとしても良い。
部品選定部705fは、データベース部707より代替リスト707eを読み込む(S208)。部品選定部705fは、全部品種を、代替リスト707eに基づいて、代替可能な部品種のグループにグループ分けする(S210)。
次に、部品選定部705fは、グループ分けされた各グループについて、当該グループに含まれる部品種を、点数が高いほど優先度が高くなるように発注優先度を決定する(S212)。また、部品選定部705fは、点数が同一の部品種については、納期が早いほど優先度が高くなるように発注優先度を決定する(S214)。さらに、部品選定部705fは、点数および納期が同一の部品種については、単価が安いほど優先度が高くなるように発注優先度を決定する(S216)。
すなわち、同一グループ内では、部品選定部705fは、点数、納期、単価の順にこれらの値を考慮して、発注優先度を決定する。なお、点数の代わりに判定を用いて、判定が「緑」、「黄」、「赤」の順に優先度が高くなるように発注優先度を決定しても良い。
部品選定部705fは、S212〜S216の処理を各グループについて行う(ループC)。
次に、部品選定部705fは、以上のようにして発注優先度が決定された部品の一覧、すなわち発注候補リストを、部品品質管理装置300に送信することにより、部品品質管理装置300の表示部302に表示させる処理を行う(S220)。
図49は、S220の処理で表示される発注候補リストの一覧を示す図である。
発注候補リストは、部品名と、メーカ名と、部品精度に対する点数および判定と、過去不良回数と、納期と、単価と、発注優先度とが表示されている。
ここで、部品名「A」、「A1」、「A2」および「A3」の部品は代替可能な代替部品であるものとする。また、部品名「B」、「B1」および「B2」の部品は代替可能な代替部品であるものとする。さらに、部品名「C」、「C1」および「C2」の部品は代替可能な代替部品であるものとする。代替部品の一覧については、代替リスト707eとして、データベース部707に記憶されているものとする。
例えば、部品名「A」の部品のメーカ名は「XX」であり、その部品精度、すなわち寸法誤差に対して得点を付けた結果が「95点」であり、判定は「緑」であることが示されている。また、過去にその部品を使用して発生した不良回数は「0回」であり、その部品の納期は「1週間」であり、単価は1個当たり「0.1円」であることが示されている。さらに、その部品の発注優先度は「1番」であることが示されている。
次に、要求送信部705eは、部品品質管理装置300のオペレータからの部品発注依頼を通信I/F部706を介して受け付ける(S222)。要求送信部705eは、部品発注依頼に応答して、当該部品の部品メーカのコンピュータに対して、通信I/F部706を介して部品発注要求情報を送信する(S224)。
以上のように、代替可能な部品群のうちで、寸法のばらつきが小さく、納期が早く、単価が安い部品の発注優先度が高く設定される。このため、オペレータは、精度がよく、納期も早く、単価の安い部品を選定して注文することができる。よって、部品メーカから供給される電子部品などに、部品実装機の稼働状況低下や部品実装基板の品質状況の低下原因がある場合であっても、適切な部品を選定することができるため、部品実装基板の品質を改善することができる。
以上、本発明の実施の形態2に係る生産システムについて図面を参照しながら説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
例えば、部品判定結果において「赤」が付された部品のメーカのコンピュータに対して、要求送信部705eが部品の品質改善の要求を送信するようにしても良い。
また、実施の形態2では、部品の寸法誤差を用いて点数付けを行ったが、必ずしも、部品の寸法誤差を用いる必要はなく、その他に紹介した各種パラメータを用いて点数付けを行うようにしてもよい。例えば、リードの曲がり率を用いて点数付けを行うようにしてもよいし、BGAの半田量のばらつきを用いて点数付けを行うようにしてもよい。
また、認識エラー率、吸着率、持ち帰り率を用いて点数付けを行い、部品の優先度付けを行うようにしてもよい。ただし、認識エラー率、吸着率、持ち帰り率は、部品の品質状況に関するパラメータではなく、部品実装機の稼働状況を示すパラメータである。これらのパラメータの良否は、部品の品質状況を直接表すものではないが、間接的には表している。このため、これらのパラメータを用いて点数付けを行い、パラメータの値が悪化している場合には、その原因が部品の品質に問題があるのか、部品実装機の側に問題があるのかを見極める必要がある。具体的には、ある特定の部品実装機においてパラメータの値が悪化している場合には、その原因が部品実装機の問題であると特定し、全ての部品実装機においてパラメータの値が悪化している場合には、その原因が部品の品質の問題であると特定することができる。このようにして、部品の品質に問題があると分かった場合には、当該部品の発注優先度を下げるようにすれば良い。
また、上述の実施の形態では、部品実装機に使用される部品に対して点数を付け、部品の選定の方法について説明を行ったが、必ずしも選定の対象は部品である必要はなく、部品実装機で使用される基板または材料や、その他の生産設備で使用される材料等であってもよい。例えば、基板、クリーム半田、接着剤等であっても良い。
例えば、基板に問題がある場合には、代替可能な基板の一覧を表示し、その中からオペレータが他の基板を決定するようにしてもよい。具体的には、部品実装機により認識された基板の生産時に基板マーク位置または個別マーク位置を、部品品質管理装置300が集計し、サービス供給装置700が分析し、当該マーク位置のX方向およびY方向の歪、ばらつき等を算出し、歪やばらつきが大きい場合には、代替可能な基板の一覧を表示するようにしてもよい。
また、クリーム半田に問題がある場合には、代替可能なクリーム半田の一覧を表示し、その中からオペレータが他のクリーム半田を決定するようにしても良い。半田印刷装置16による半田印刷時におけるスクリーン版への半田のつまり状態や、スクリーン版からの半田離れの良否により、半田を点数化する。サービス供給装置700は、得点の低い半田と代替可能な半田の一覧を表示する。なお、半田のつまり状態や半田離れの良否は、スクリーン版の汚れの度合いをセンサで計測したり、半田の付き方を検査したりすることにより判別可能である。
さらに、接着剤に問題がある場合には、代替可能な接着剤の一覧を表示し、その中からオペレータが他の基板を決定するようにしてもよい。具体的には、接着剤塗布装置21による接着剤塗布時に接着剤の糸引き状態や接着剤塗布量のばらつきに基づいて、サービス供給装置700が、接着剤を点数化し、点数の悪い接着剤と代替可能な接着剤の一覧を表示するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、図41に示したような部品実装機全体として集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数を用いて、部品の選定を行ったが、部品の選定を行うのではなく、メーカの選定を行うようにしてもよい。具体的には、図43に示した部品メーカ別に集計および点数化された部品のパラメータおよび点数を用いて、図40のフローチャートに従った処理を部品品質管理装置300が実行することにより、優先的に使用するメーカを選定し、当該メーカに部品を発注するようにしても良い。なお、判定において「赤」が付されたメーカのコンピュータに対して、要求送信部705eが部品の品質改善の要求を送信するようにしてもよい。
(変形例)
上述の実施の形態においては、部品実装機全体としての各種パラメータに対する点数に基づいて、部品の点数化を行ったが、部品実装機単位で特定の部品種に対する点数を見た場合には、その点数にばらつきが生じる場合がある。これは、部品の精度そのものには、問題がないものの、部品と部品実装機との間の相性が悪い場合が存在するため、部品実装機の稼働状況が悪化する場合があるためである。このような相性の悪さは、例えば、部品の表面の形状が曲面形状をしていたり、部品表面がつるつるしていたりするために、吸着ノズルで吸着しにくいような場合に生じる。
よって、部品単位で各種パラメータに対する点数を見た場合に、ある部品実装機に対する部品判定結果が「赤」となっている部品については、その部品実装機では使用しないようにせよとの指示をサービス供給装置700が部品品質管理装置300に提供するようにしても良い。
図50は、部品実装機との相性が悪い部品を特定するための処理のフローチャートである。サービス供給装置700は、図40に示したサービス供給装置700が実行する処理と同様に、部品実装機単位の各種パラメータの集計および点数化処理(S3)を行う。なお、ここでは、部品実装機全体としての各種パラメータの集計および点数化処理(図40のS4)は行われないものとする。
図51は、ある部品実装機αに対する部品実装機の稼働状況に関するパラメータおよび点数を示す図である。図51は、部品品質管理装置300のオペレータの入力部303からの表示指示に基づいて、表示部302に表示される。図51の部品品質モニタは、部品名と、認識エラー率と、吸着率と、持ち帰り率と、メーカ名と、判定とからなる。例えば、部品名「A」の部品の、認識エラー率は「3.2」%であり、吸着率は「93.0%」であり、持ち帰り率は「0.5%」であり、メーカ名は「XX」であり、点数は「65点」であり、判定は「赤」であることが示されている。なお、判定は、表示部302では、色の違いにより示され、部品名「A」に対しては、赤色で示されているものとする。
再度、図50に従い、サービス供給装置700の実行する処理について説明する。S3の処理の後、部品選定部705fは、部品種ごとに、部品判定結果が「赤」か否かを判断する(S32)。部品判定結果が「赤」となった部品については、当該部品を発注候補リストから外すことにより、部品判定結果が「赤」となっている部品実装機では、その部品を使わないようにする(S34)。このような処理を、全ての部品種について繰り返す(ループB)。
これにより、特定の部品実装機と相性の悪い部品を発注候補リストから除外することができ、その部品を発注しないようにすることができる。
なお、部品品質管理装置300の機能がいずれかの部品実装機に備わっていても良い。
また、上述の実施の形態では、図40および図50に示すようにサービス供給装置700が実行する処理において、原因を特定し、部品の選定を行う処理は、部品種の点数化処理(S3、S4)が終了した後に行うようにしているが、生産途中に当該処理を行うようにしてもよく、例えば、3時間おきに定期的に行うようにしてもよい。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る生産システムについて説明する。本実施の形態では、サービス供給装置700が部品品質管理装置300に対して、最適な部品実装機の実装条件を提供する。
本発明の実施の形態3を実現するための部品実装基板の生産システムの構成は、実施の形態1に示したものと同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態では、対処法提供処理(図28のS408)が異なる。以下、対処法提供処理について説明する。
図52は、サービス供給装置700が実行する対処法提供処理(図28のS408)を詳細に説明するためのフローチャートである。
パラメータ集計部705cは、部品品質管理装置300よりアップロードされ、メモリ部704に記憶されているパラメータのうち、寸法誤差を、部品実装機単位で集計し、部品種を点数化する(S3)。また、パラメータ集計部705cは、メモリ部704に記憶されている寸法誤差を、部品実装機全体として集計し、部品種を点数化する(S4)。
S4の処理結果、すなわち部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数の一例は、図41に示したものと同様である。なお、判定の種類には「緑」、「黄」および「赤」があり、「緑」の判定は、部品の寸法誤差が少なく、良好であることを示している。「黄」の判定は、部品の寸法誤差が少し悪く、注意が必要であることを示している。「赤」の判定は、部品の寸法誤差が悪く、問題が生じていることを示している。
また、S3の処理結果、すなわち部品実装機単位でそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数の一例は、図42に示したものと同様である。
なお、S4の処理結果を、部品メーカ別に示すこともできる。部品メーカ別に集計および点数化された部品のパラメータおよび点数の一例は、図43に示したものと同様である。
なお、図41に示した部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数のうち、点数を部品種ごとに表示したグラフは、図44に示したものと同様である。
また、図41に示した部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数のうち、寸法誤差(X)を部品種ごとに表示したグラフは、図45に示したものと同様である。
さらに、図41に示した部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数のうち、寸法誤差(Y)を部品種ごとに表示したグラフは、図46に示したものと同様である。
また、図41に示した部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数のうち、部品種「I」についての部品の幅xの規格値からのずれ量dXと部品の奥行きyの規格値からのずれ量dYとの分布を2次元的に示したグラフは、図47に示したものと同様である。
また、図24を用いて説明したリードを有する部品におけるリードの曲がり率を示したグラフは、図48に示したものと同様である。
再度、図52に従い、サービス供給装置700の実行する処理について説明する。原因特定部705dは、部品種ごとに、部品実装機全体としての点数と、部品実装機ごとに求められた点数のうちの最小値との差を求め、所定のしきい値THと比較する(S306)。
原因特定部705dは、比較の結果、上述の差がしきい値THよりも大きい場合には(S306でYES)、稼働状況および品質状況の低下の原因は部品実装機にあると判断し、上述の差がしきい値TH以下の場合には(S306でNO)、稼働状況および品質状況の低下の原因は、部品実装機ではなく、部品自体にあるとの判断を行う。
このような判断の理由については、実施の形態1で説明したとおりである。
稼働状況および品質状況の低下の原因が部品にあると特定された場合には(S306でNO)、実装条件変更部705gは、部品品質管理装置300に対して、当該部品種を使用している部品実装機が当該部品種を基板に実装する際の実装条件の変更を指示する(S308)。この処理については、後述する。
稼働状況および品質状況の低下の原因が部品実装機にあると特定された場合には(S306でYES)、実装条件変更部705gは、部品品質管理装置300に対して、原因となっている部品実装機をチェックするようにとの指示を送信する(S309)。これに応答して、表示部302は、部品実装機のチェックをせよとの指示を表示する。
原因特定部705dおよび実装条件変更部705gは、S306〜S309の処理を全ての部品種について繰り返す(ループB)。
次に、実装条件変更処理(図52のS308)について詳細に説明する。図53は、実装条件変更処理(図52のS308)の詳細を示すフローチャートである。
実装条件変更部705gは、対象となっている部品種についての部品実装機全体としての寸法誤差(X)または寸法誤差(Y)が20以上か否かを判断する(S82)。いずれかの寸法誤差が20以上の場合には(S82でYES)、実装条件変更部705gは、当該部品種の部品を吸着する際に使用される吸着ノズルのサイズを1サイズ大きいものに変更するようにとの指示を、当該部品種の部品を使用している部品実装機に対して送信する(S84)。1サイズ大きな吸着ノズルを使用することにより、部品を安定的に吸着することができるようになり、吸着率等の稼働状況を改善することができる。これにより、部品実装基板の品質も向上する。
また、実装条件変更部705gは、当該部品種の部品を装着する際の部品実装機のマルチ装着ヘッド121の最高移動速度を2段階遅くするようにとの指示を、部品品質管理装置300に送信する(S86)。マルチ装着ヘッド121の最高移動速度を遅くすることにより、基板上に部品を落下させる可能性が低くなる等、部品を安定的に基板に実装することができ、稼働状況を改善することができる。また、図27(b)に示した部品装着精度も向上させることができるようになる。よって、部品実装基板の品質も向上する。
さらに、実装条件変更部705gは、当該部品種の部品を使用している部品実装機の部品認識カメラ126による寸法の許容値(規格範囲)を10%だけプラスするようにとの指示を、部品品質管理装置300に送信する(S88)。例えば、図22は、規格値からのずれ量dXおよびずれ量dYに対する規格範囲を矩形枠600で示している。図22に示されるように、規格範囲の上限が50μmで下限が−50μmであるものとする。この規格範囲を10%拡げると、規格範囲の上限が55μm、下限が−55μmとなる。これにより、認識エラー率を減らすことができる。よって、稼働状況を改善することができる。
いずれの寸法誤差も20未満の場合には(S82でNO)、実装条件変更部705gは、いずれかの寸法誤差が10以上か否かを判断する(S90)。いずれかの寸法誤差が10以上の場合には(S90でYES)、実装条件変更部705gは、当該部品種の部品を吸着する際に使用される部品実装機の吸着ノズルのサイズを1サイズ大きいものに変更するようにとの指示を、部品品質管理装置300に送信する(S92)。また、実装条件変更部705gは、当該部品種の部品を装着する際のマルチ装着ヘッド121の最高移動速度を1段階遅くするようにとの指示を、当該部品種の部品を使用している部品実装機に対して送信する(S94)。さらに、実装条件変更部705gは、当該部品種の部品を使用している部品実装機の部品認識カメラ126による寸法の許容値(規格範囲)を5%だけプラスするようにとの指示を、部品品質管理装置300に送信する(S96)。これらの指示を送信する理由は、上述したとおりである。
いずれの寸法誤差も10未満の場合には(S90でNO)、何も処理をしない。なお、以上説明した実装条件変更処理の各種数値は、一例に過ぎず、それ以外の数値であっても良い。
以上説明したように、本実施の形態によると、部品の品質が悪い場合であっても、部品実装機の稼働状況や部品実装基板の品質状況を向上させるように部品実装機の実装条件を最適に設定することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る生産システムについて説明する。
実施の形態4に係る生産システムの構成は実施の形態1に示したものと同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
実施の形態3では、品質状況に基づいて、部品実装機の実装条件の変更を行ったが、実施の形態4では、品質状況及び稼働状況に基づいて、部品実装機の実装条件を変更する。
図54は、実施の形態4に係るサービス供給装置700が実行する対処法提供処理(図28のS408)を詳細に説明するためのフローチャートである。
パラメータ集計部705cは、部品品質管理装置300よりアップロードされ、メモリ部304に記憶されている4種類のパラメータを、部品実装機単位で集計し、部品種を点数化する(S3)。また、パラメータ集計部705cは、メモリ部304に記憶されている4種類のパラメータを、部品実装機全体として集計し、部品種を点数化する(S4)。
なお、パラメータ集計部705cは、図27(b)に示した部品の装着精度も集計し、所定の規格範囲から外れている割合を算出する(S305)。
S3の処理結果、すなわち部品実装機単位でそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数の一例は、図32に示したものと同様である。
また、S4の処理結果、すなわち、部品実装機全体としてそれぞれ集計および点数化された部品種ごとのパラメータおよび点数の一例は、図33に示したものと同様である。
原因特定部705dは、部品種ごとに、部品実装機全体としての判定または部品実装機単位の判定のうち「赤」のものがあるか否かを判断する(S322)。判定が「赤」の部品種があれば(S322でYES)、実装条件変更部705gは、部品品質管理装置300に対して、当該部品種の部品および当該部品を使用している部品実装機をチェックするようにとの指示を送信する(S324)。これに応答して、表示部302は、部品実装機をチェックせよとの指示を表示する。
原因特定部705dは、対象となっている部品種の、部品実装機全体としての点数と、部品実装機ごとに求められた点数のうちの最小値との差を求め、所定のしきい値THと比較する(S326)。
原因特定部705dは、比較の結果、上述の差がしきい値THよりも大きい場合には(S326でYES)、稼働状況および品質状況の低下の原因は部品実装機にあると判断し、上述の差がしきい値TH以下の場合には(S326でNO)、稼働状況および品質状況の低下の原因は、部品実装機ではなく、部品自体にあるとの判断を行う。このような判断の理由は、実施の形態1で説明したとおりである。
稼働状況および品質状況の低下の原因が部品にあると特定された場合には(S326でNO)、実装条件変更部705gは、対象となっている部品種についての部品実装機全体としての寸法誤差(X)または寸法誤差(Y)が所定の規定値以上か否かを判断する(S328)。
いずれかの寸法誤差が所定の規定値以上の場合には(S328でYES)、実装条件変更部705gは、対象となっている部品種の部品実装機全体としての認識エラー率が所定の規定値よりも大きいか否かを判断する(S330)。認識エラー率が所定の規定値よりも大きい場合には(S330でYES)、実装条件変更部705gは、当該部品種の部品を使用している部品実装機の部品認識カメラ126による寸法の許容値(規格範囲)を所定の割合だけプラスするようにとの指示を、部品品質管理装置300に対して送信する(S332)。具体的には、図53のS88と同様の処理を行う。これにより、部品の認識エラー率を減らすことができる。よって、稼働状況を改善することができる。
実装条件変更部705gは、対象となっている部品種の部品実装機全体としての吸着率が所定の規定値を超えているか否かを判断する(S334)。吸着率が所定の規定値よりも大きい場合には(S334でYES)、実装条件変更部705gは、当該部品種の部品を吸着する際に使用される部品実装機の吸着ノズルのサイズを1サイズ大きいものに変更するようにとの指示を、部品品質管理装置300に対して送信する(S336)。1サイズ大きな吸着ノズルを使用することにより、部品を安定的に吸着することができるようになり、吸着率等の稼働状況を改善することができる。これにより、部品実装基板の品質も向上する。
実装条件変更部705gは、対象となっている部品種の装着精度が所定の規格範囲からずれている割合が、所定の規定値よりも大きいか否かを判断する(S338)。当該割合が所定の規定値よりも大きい場合には(S338でYES)、実装条件変更部705gは、当該部品種の部品を装着する際の部品実装機のマルチ装着ヘッド121の最高移動速度を1段階遅くするようにとの指示を、部品品質管理装置300に対して送信する(S340)。マルチ装着ヘッド121の最高移動速度を遅くすることにより、基板上に部品を落下させる可能性が低くなる等、部品を安定的に基板に実装することができ、稼働状況を改善することができる。また、図27(b)に示した部品装着精度も向上させることができるようになる。よって、部品実装基板の品質も向上する。
原因特定部705dおよび実装条件変更部705gは、S322〜S340の処理を全ての部品種について繰り返す(ループC)。
以上説明したように、本実施の形態によると、部品の品質が悪い場合であっても、部品実装機の稼働状況や部品実装基板の品質状況を向上させるように部品実装機の実装条件を最適に設定することができる。
以上、本発明の実施の形態に係る生産システムについて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施の形態では、部品の寸法誤差を用いて点数付けを行ったが、必ずしも、部品の寸法誤差を用いる必要はなく、その他に紹介した各種パラメータを用いて点数付けを行うようにしてもよい。例えば、リードの曲がり率を用いて点数付けを行うようにしてもよいし、BGAの半田量のばらつきを用いて点数付けを行うようにしてもよい。例えば、部品のリードの曲がり率が大きい場合には、マルチ装着ヘッド121の最高移動速度を1段階遅くする旨の指示を部品実装機に送信するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、部品実装機に使用される部品に対して点数を付けたが、点数付けの対象は必ずしも部品である必要はなく、部品実装機で使用される基板または材料や、その他の生産設備で使用される材料等であってもよい。例えば、基板、クリーム半田、接着剤等であっても良い。
また、クリーム半田に問題がある場合には、半田印刷装置16における印刷速度を落とす等の半田印刷条件を変更するようにしてもよい。
さらに、接着剤に問題がある場合には、接着剤塗布装置21による接着剤塗布条件を変更するようにしてもよい。
また、上述の部品品質管理装置300の機能が部品実装機に備わっていても良い。部品品質管理装置300は、サービス供給装置700より提供される各種対処法に従い、部品実装基板の生産を行なうこととなる。
なお、上述の実施の形態では、サービス供給装置700において、部品または材料の品質に関する評価を行い、部品または材料の品質に問題がある場合には、部品メーカに対して改善要求を出す等の対処法を提供する。これに対して、サービス供給装置700は、部品メーカの側から、コメントを受け付けるようにしても良い。
例えば、サービス供給装置700は、図55に示すような点数化処理(S3、S4)において判定が「赤」と判断された部品のリストを、部品メーカXXのコンピュータ500Aに表示させる。コンピュータ500Aのオペレータは、図55に示されるようなリストに対して、コメントを記入することができる。例えば、部品名「A」に対しては、「特殊ノズルX2を使用してください」とのコメントを記入することができる。記入されたコメントは、サービス供給装置700が受信することができる。
図56は、コメントを受信したサービス拠点で行われる処理を示したフローチャートである。
サービス拠点では、部品メーカのコメントに基づいて自社が保有する部品実装機を用いて、部品実装機の生産条件を変更する(S500)。その後、サービス供給装置700は、図28のS1およびS2に示したのと同様の処理を、部品実装基板を所定の枚数生産することにより行う(ループA)。また、サービス供給装置700は、図31に示した点数化処理(S3、S4)を行う。これにより、部品実装機の生産条件を変更した後に、部品種を再度点数化することができる。サービス供給装置700は、S3およびS4で再度点数化したデータを部品品質管理装置300に提供する。なお、その際に、部品メーカXXのコンピュータ500A寄せられたコメントを、部品品質管理装置300に合わせて提供する(S501)。
これにより、部品メーカからのコメントが適正か否かを判断し、判断結果を部品実装基板メーカに提供することができるようになる。なお、サービス供給装置700から部品品質管理装置300へのデータおよびコメントの提供は、部品種の点数が良くなっている場合に限り送信するようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。