以上のように高温高湿のサウナ環境を実現する空調システムは、既に種々の形態が提案されているが、特許文献1に例示される空調システムは、熱源機で沸かした温水を利用して浴室の加熱と加湿を行うため、熱源でのガス使用量が多く省エネルギーが図れないという課題があった。
また、特許文献2に例示される空調システムは、電気ヒーターを利用して浴室内の加熱および加湿を行うため、通常の電気容量、例えば3kW未満で空調する場合は、十分な高温高湿環境が得られず快適性が損なわれるという課題があった。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ヒートポンプを利用し、少ない消費エネルギーで浴室などの室内空間の加熱および加湿を十分に行い、快適なサウナ環境を実現することができる空調システムを提供することを目的としている。
本発明の空調システムは上記目的を達成するために、冷媒を圧縮する圧縮機(24)と冷媒が放熱する利用側熱交換器(25)と冷媒を膨張させる膨張機構(26)と冷媒が吸熱する熱源側熱交換器(27)とを順に配管接続した冷媒回路(23)と、浴室(4)に開口した吸込口(16)から空気を吸い込んで前記浴室(4)に開口した吹出口(17)から空気を吹き出す循環ファン(20)と、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器(30)を備え、前記熱源側熱交換器(27)において冷媒が吸熱した熱を前記利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)が送風する空気に対して放熱することにより前記浴室(4)内を加熱するとともに前記ミスト発生器(30)において発生したミストを前記浴室(4)内に供給することにより前記浴室(4)内を加湿するものである。
また、第2の課題解決手段は、冷媒の流れ方向を圧縮機(24)、熱源側熱交換器(27)、膨張機構(26)、利用側熱交換器(25)の順番に切り換える流路切換弁(28)を備え、前記熱源側熱交換器(27)において冷媒が放熱し、前記利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)が送風する空気から冷媒が吸熱することによって前記浴室(4)内を冷却するものである。
また、第3の課題解決手段は、利用側熱交換器(25)もしくは熱源側熱交換器(27)の冷媒温度に基づいて流路切換弁(28)を切り換えるものである。
また、第4の課題解決手段は、湯水を供給する加湿用給水管(32、43、46)を備え、ミスト発生器(30)を前記加湿用給水管(32、43、46)から供給される湯水を微細化することによりミストを発生させる構成としたものである。
また、第5の課題解決手段は、加湿用給水管(43、46)に供給する湯水を、深夜電力もしくはヒートポンプ式の給湯機で沸かされた湯としたものである。
また、第6の課題解決手段は、加湿用給水管(32)に供給する湯水を、常温の水道水としたものである。
また、第7の課題解決手段は、加湿用給水管(32、46)に溜まっている残水を装置外部に排水する排水経路(36、52)を備えたものである。
また、第8の課題解決手段は、ミスト発生器(30)を、加湿用給水管(43)から供給される湯水をノズル(44)においてミスト状に微細化して浴室(4)内に直接噴霧する構成としたものである。
また、第9の課題解決手段は、ミスト発生器(30)を、加湿用給水管(46)から供給される湯水をノズル(47)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に微細化したミストを含ませて浴室(4)内に供給する構成としたものである。
また、第10の課題解決手段は、ミスト発生器(30)を、加湿用給水管(43)から供給される湯水をノズル(44)においてミスト状に微細化して浴室(4)内に直接噴霧する加湿形態と、加湿用給水管(46)から供給される湯水をノズル(47)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に微細化したミストを含ませて浴室(4)内に供給する加湿形態とを複合させる、もしくは切り換える構成としたものである。
また、第11の課題解決手段は、ミスト発生器(30)を、加湿用給水管(32)から供給される湯水を超音波振動子(33)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に微細化したミストを含ませて浴室(4)内に供給する構成としたものである。
また、第12の課題解決手段は、ミスト発生器(30)を、加湿用給水管(43)から供給される湯水をノズル(44)においてミスト状に微細化して浴室(4)内に直接噴霧する加湿形態と、加湿用給水管(46)から供給される湯水を超音波振動子(33)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に微細化したミストを含ませて浴室(4)内に供給する加湿形態とを複合させる、もしくは切り換える構成としたものである。
また、第13の課題解決手段は、利用側熱交換器(25)において冷媒と熱交換した後の空気にミスト発生器(30)で発生させたミストを含ませる構成としたものである。
また、第14の課題解決手段は、循環ファン(20)が送風するミストを含んだ空気中から大粒のミストを除去するための気液分離器(34)を備えたものである。
また、第15の課題解決手段は、循環ファン(20)が送風するミストを含んだ空気中から利用側熱交換器(25)において大粒のミストを除去する構成としたものである。
また、第16の課題解決手段は、気液分離器(34)または利用側熱交換器(25)おいて除去された大粒のミストを装置外部に排水するための排水経路(36、52)を備えたものである。
また、第17の課題解決手段は、加湿用給水管(32、46)に溜まっている残水を装置外部に排水する排水経路(36、52)を用いて気液分離器(34)または利用側熱交換器(25)で除去された大粒のミストを排水する構成としたものである。
また、第18の課題解決手段は、利用側熱交換器(25)あるいは熱源側熱交換器(27)に生じた結露水を排水経路(36、52)を通じて排水するものである。
また、第19の課題解決手段は、浴室(4)とは異なる少なくとも一つ以上の室内空間、例えば脱衣室(5)やトイレ(6)に開口した排気口(9、11)から空気を吸い込んで屋外に排出する換気ファン(13)を備え、熱源側熱交換器(27)を前記換気ファン(13)が送風する空気に対して冷媒が吸熱または放熱する冷媒対空気熱交換器(29)としたものである。
また、第20の課題解決手段は、湯水を供給する熱源用給水管(41)を備え、熱源側熱交換器(27)を前記熱源用給水管(41)から供給される湯水に対して冷媒が吸熱または放熱する冷媒対水熱交換器(37)としたものである。
また、第21の課題解決手段は、浴室(4)とは異なる少なくとも一つ以上の室内空間、例えば脱衣室(5)やトイレ(6)に開口した排気口(9、11)から空気を吸い込んで屋外に排出する換気ファン(13)と、前記換気ファン(13)が送風する空気に対して冷媒が吸熱または放熱する冷媒対空気熱交換器(29)と、湯水を供給する熱源用給水管(41)と、前記熱源用給水管(41)から供給される湯水に対して冷媒が吸熱または放熱する冷媒対水熱交換器(37)を備え、前記冷媒対空気熱交換器(29)と前記冷媒対水熱交換器(37)を直列状態または並列状態となるように冷媒回路(23)内に設け、熱源側熱交換器(27)を、前記冷媒対空気熱交換器(29)および前記冷媒対水熱交換器(37)における吸熱もしくは放熱を複合させる或いは切り換える構成としたものである。
また、第22の課題解決手段は、排気口(9、11)に吸い込まれる空気を、浴室(4)以外の室内空間に設置された空調機(15)によって空調された空調空気としたものである。
また、第23の課題解決手段は、浴室(4)と換気ファン(13)の吸込側を連通する換気通路(21)と、前記換気通路(21)を開閉する開閉装置(22)とを備え、前記浴室(4)の加熱、加湿および冷却を行う場合は前記開閉装置(22)を閉鎖状態に設定し、前記浴室(4)の換気および乾燥を行う場合は前記開閉装置(22)を開放状態に設定するものである。
また、第24の課題解決手段は、浴室(4)を乾燥する場合に、換気通路(21)を通って屋外に排出される前記浴室(4)の空気からも冷媒対空気熱交換器(29)において冷媒が吸熱するものである。
また、第25の課題解決手段は、換気通路(21)の浴室(4)との連通部分を吸込口(16)としたものである。
また、第26の課題解決手段は、冷媒対空気熱交換器(29)に霜や氷が付着した場合に、ミスト発生器(30)に供給される湯水を前記冷媒対空気熱交換器(29)に対して噴霧する構成としたものである。
また、第27の課題解決手段は、気液分離器(34)または利用側熱交換器(25)おいて除去された大粒のミスト、または加湿用給水管(46)に溜まっている残水を装置外部に排水するための排水経路(52)を備え、冷媒対空気熱交換器(29)に付着した霜や氷の除去に使用された湯水および霜や氷が溶けたドレン水を前記排水経路(52)を通じて装置外部に排水する構成としたものである。
また、第28の課題解決手段は、熱源用給水管(41)に供給する湯水を、深夜電力もしくはヒートポンプ式の給湯機で沸かされた湯としたものである。
また、第29の課題解決手段は、加湿用給水管(43)を熱源用給水管(41)から分岐させたものである。
また、第30の課題解決手段は、熱源用給水管(41)を通じて冷媒対水熱交換器(37)に供給されて冷媒と熱交換した後の湯水を加湿用給水管(46)を通じてミスト発生器(30)に供給するようにしたものである。
また、第31の課題解決手段は、利用側熱交換器(25)あるいは冷媒対空気熱交換器(29)に生じた結露水を装置外部に排水する排水経路(52)を備え、冷媒対水熱交換器(37)において冷媒との熱交換をした後の湯水を前記排水経路(52)を通じて装置外部に排水するものである。
本発明の空調システムによれば、ヒートポンプを利用し、少ない消費エネルギーで浴室などの室内空間の加熱および加湿を十分に行い、快適なサウナ環境を実現することができる。
そして、請求項1記載の発明によれば、熱源側熱交換器(27)において冷媒が吸熱した熱を利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)により循環する浴室(4)の空気に放熱することによりヒートポンプを動作させて浴室(4)内の加熱を行うとともに、ミスト発生器(30)で発生させた微細な水滴、すなわちミストを浴室(4)内に供給することにより、少ない消費電力で浴室(4)内を加熱および加湿して快適なサウナ環境を実現することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項2記載の発明によれば、熱源側熱交換器(27)において冷媒を放熱させるとともに利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)が送風する空気から冷媒が吸熱することによりヒートポンプを動作させて浴室(4)内を冷却することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項3記載の発明によれば、利用側熱交換器(25)もしくは熱源側熱交換器(27)に霜や氷が付着した場合に冷媒温度に基づいて流路切換弁(28)を切り換えることにより、付着した霜の除去を行うことができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項4記載の発明によれば、ミスト発生器(30)に加湿用給水配管(32、43、46)を通じて湯水を供給してミストを発生させる構成とすることにより、水の供給を自動化して給水作業を省略することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項5記載の発明によれば、深夜電力もしくはヒートポンプ式の給湯機で沸かされた湯を加湿用給水管(43、46)を通じてミスト発生器(30)に供給することにより、加湿に係るランニングコストを低減することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項6記載の発明によれば、常温の水道水を加湿用給水管(32)を通じてミスト発生器(30)に供給することにより、加湿用の熱源を不要にしてイニシャルコストを低減することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項7記載の発明によれば、排水経路(36、52)を通じて加湿用給水管(32、46)に溜まっている残水を排水することにより、残水に発生した菌の飛散を防止することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項8記載の発明によれば、加湿用給水管(43)から供給される湯水をノズル(44)においてミスト状に微細化し浴室(4)内に直接噴霧することにより、供給される湯水の全量を浴室(4)内に供給して加湿スピードを速めることができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項9記載の発明によれば、加湿用給水管(46)から供給される湯水をノズル(47)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に含ませて浴室(4)に供給することにより、浴室(4)内に満遍なくミストを供給することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項10記載の発明によれば、加湿用給水管(43)から供給される湯水をノズル(44)においてミスト状に微細化し浴室(4)内に直接噴霧する加湿形態と、加湿用給水管(46)から供給される湯水をノズル(47)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に含ませて浴室(4)に供給する加湿形態を融合もしくは切り換えることにより、加湿スピードを速めるとともに浴室(4)内に満遍なくミストを供給することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項11記載の発明によれば、加湿用給水管(32)から供給される湯水を超音波振動子(33)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に含ませて浴室(4)に供給することにより、少ない使用水量でミストを浴室(4)内に満遍なく供給することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項12記載の発明によれば、加湿用給水管(43)から供給される湯水をノズル(44)においてミスト状に微細化し浴室(4)内に直接噴霧する加湿形態と、加湿用給水管(46)から供給される湯水を超音波振動子(33)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に含ませて浴室(4)に供給する加湿形態を融合もしくは切り換えることにより、加湿スピードを速めるとともに少ない使用水量でミストを浴室(4)内に満遍なく供給することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項13記載の発明によれば、利用側熱交換器(25)において冷媒と熱交換して加熱された空気にミスト発生器(30)で発生させたミストを含ませることにより、ミスト含有量が増加して加湿スピードを速めることができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項14記載の発明によれば、気液分離器(34)において循環ファン(20)が送風する空気中に含まれた大粒のミストを除去することにより、水滴感を減らして快適性を高めることができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項15記載の発明によれば、利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)が送風する空気中に含まれた大粒のミストを除去することにより、気液分離器を新たに設けることなく水滴感を減らして快適性を高めることができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項16記載の発明によれば、排水経路(36、52)を通じて気液分離器(34)または利用側熱交換器(25)において除去された大粒のミストを装置外部に排水することにより、水滴残留に伴う菌や臭いの発生を抑制することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項17記載の発明によれば、気液分離器(34)または利用側熱交換器(25)において除去された大粒のミストを、加湿用給水管(32、46)に溜まっている残水を装置外部に排水する排水経路(36、52)を利用して排水することにより、分離水滴用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水処理をすることができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項18記載の発明によれば、気液分離した大粒のミストや加湿給水管(32、46)の残水を排水する排水経路(36、52)を利用して利用側熱交換器(25)あるいは熱源側熱交換器(27)に生じた結露水を排水することにより、結露水用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水処理をすることができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項19記載の発明によれば、冷媒対空気熱交換器(29)において換気ファン(13)により屋外に排出される浴室(4)以外の室内空間の空気に対して冷媒が吸熱(または放熱)するとともに利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)が送風する空気に対して冷媒が放熱(または吸熱)することによりヒートポンプを動作させて浴室(4)内を加熱もしくは冷却することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項20記載の発明によれば、冷媒対水熱交換器(37)において熱源用給水管(41)から供給される湯水に対して冷媒が吸熱(または放熱)するとともに利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)が送風する空気に対して冷媒が放熱(または吸熱)することによりヒートポンプを動作させて浴室(4)内を加熱もしくは冷却することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項21記載の発明によれば、換気ファン(13)により屋外に排出される浴室(4)以外の室内空間の空気に対して冷媒が吸熱または放熱する冷媒対空気熱交換器(29)と、熱源用給水管(41)から供給される湯水に対して冷媒が吸熱または放熱する冷媒対水熱交換器(37)を直列状態または並列状態となるように冷媒回路(23)内に設け、冷媒対空気熱交換器(29)と冷媒対水熱交換器(37)における吸熱(または放熱)を複合あるいは切り換えることにより、換気ファン(13)が送風する空気と熱源用給水管(41)から供給される湯水の双方あるいは何れか一方を熱源としてヒートポンプを動作させて浴室(4)内を加熱もしくは冷却することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項22記載の発明によれば、浴室(4)以外の室内空間に設置された空調機(15)によって空調された空調空気を排気口(9、11)から吸い込んで冷媒対空気熱交換器(29)に供給することにより、浴室(4)以外で発生した空調機(15)の熱エネルギーを浴室(4)の空調に利用することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項23記載の発明によれば、浴室(4)の加熱、加湿および冷却を行う場合は、浴室(4)に連通した換気通路(21)に設けた開閉装置(22)を閉鎖状態に設定して空調空気を排出せずに効率良く浴室(4)を空調し、また、浴室(4)の換気や乾燥を行う場合は開閉装置(22)を開放状態に設定して浴室(4)の空気を速やかに屋外に排出するような切換動作を実行することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項24記載の発明によれば、浴室(4)を乾燥する場合に、換気通路(21)を通って屋外に排出される浴室(4)の空気から冷媒が吸熱することにより、利用側熱交換器(25)において浴室(4)の空気に放熱された熱を冷媒対空気熱交換器(29)において回収し乾燥効率の向上を図ることができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項25記載の発明によれば、換気通路(21)の浴室(4)との連通部分を吸込口(16)とすることにより、吸込み空気中の塵埃を除去するフィルターを共用化して装置構成の簡素化を図ることができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項26記載の発明によれば、ミスト発生器(30)に供給される湯水を冷媒対空気熱交換器(29)に噴霧することにより冷媒対空気熱交換器(29)に付着した霜や氷を除去することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項27記載の発明によれば、利用側熱交換器(25)または冷媒対空気熱交換器(29)の霜や氷の除去に使用された給水および霜や氷が溶けたドレン水を、気液分離器(34)または利用側熱交換器(25)において除去された大粒のミスト、または加湿用給水管(46)に溜まっている残水を装置外部に排水するための排水経路(52)を利用して装置外部に排水することにより、給水およびドレン水用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水を処理することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項28記載の発明によれば、深夜電力もしくはヒートポンプ式の給湯機で沸かされた湯を熱源用給水管(41)を通じて冷媒対水熱交換器(37)に供給することにより、加熱に係るランニングコストを低減することができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項29記載の発明によれば、加湿用給水管(43)を熱源用給水管(41)から分岐させることにより、外部からの給水管の接続を一本化して施工を容易に行うことができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項30記載の発明によれば、冷媒対水熱交換器(37)において冷媒と熱交換した後の湯水をミスト発生器(30)に供給することにより、冷媒対水熱交換器(37)での余熱を加湿に有効利用し、熱利用率を高めることができるという効果のある空調システムを提供できる。
また、請求項31記載の発明によれば、冷媒対水熱交換器(37)において冷媒との熱交換をした後の湯水を利用側熱交換器(25)あるいは冷媒対空気熱交換器(29)に生じた結露水を装置外部に排水する排水経路(52)を利用して装置外部に排水することにより、冷媒対水熱交換器(37)用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水を処理することができるという効果のある空調システムを提供できる。
本発明の請求項1記載の発明は、熱源側熱交換器(27)において冷媒が吸熱した熱を利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)により循環する浴室(4)の空気に放熱することによりヒートポンプを動作させて浴室(4)内の加熱を行うとともに、ミスト発生器(30)で発生させた微細な水滴、すなわちミストを浴室(4)内に供給することにより、少ない消費電力で浴室(4)内を加熱および加湿して快適なサウナ環境を実現するという作用を有する。
また、請求項2記載の発明は、熱源側熱交換器(27)において冷媒を放熱させるとともに利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)が送風する空気から冷媒が吸熱することによりヒートポンプを動作させて浴室(4)内を冷却するという作用を有する。
また、請求項3記載の発明は、利用側熱交換器(25)もしくは熱源側熱交換器(27)に霜や氷が付着した場合に冷媒温度に基づいて流路切換弁(28)を切り換えることにより、付着した霜の除去を行うという作用を有する。
また、請求項4記載の発明は、ミスト発生器(30)に加湿用給水配管(32、43、46)を通じて湯水を供給してミストを発生させる構成とすることにより、水の供給を自動化して給水作業を省略するという作用を有する。
また、請求項5記載の発明は、深夜電力もしくはヒートポンプ式の給湯機で沸かされた湯を加湿用給水管(43、46)を通じてミスト発生器(30)に供給することにより、加湿に係るランニングコストを低減するという作用を有する。
また、請求項6記載の発明は、常温の水道水を加湿用給水管(32)を通じてミスト発生器(30)に供給することにより、加湿用の熱源を不要にしてイニシャルコストを低減するという作用を有する。
また、請求項7記載の発明は、排水経路(36、52)を通じて加湿用給水管(32、46)に溜まっている残水を排水することにより、残水に発生した菌の飛散を防止するという作用を有する。
また、請求項8記載の発明は、加湿用給水管(43)から供給される湯水をノズル(44)においてミスト状に微細化し浴室(4)内に直接噴霧することにより、供給される湯水の全量を浴室(4)内に供給して加湿スピードを速めるという作用を有する。
また、請求項9記載の発明は、加湿用給水管(46)から供給される湯水をノズル(47)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に含ませて浴室(4)に供給することにより、浴室(4)内に満遍なくミストを供給するという作用を有する。
また、請求項10記載の発明は、加湿用給水管(43)から供給される湯水をノズル(44)においてミスト状に微細化し浴室(4)内に直接噴霧する加湿形態と、加湿用給水管(46)から供給される湯水をノズル(47)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に含ませて浴室(4)に供給する加湿形態を融合もしくは切り換えることにより、加湿スピードを速めるとともに浴室(4)内に満遍なくミストを供給するという作用を有する。
また、請求項11記載の発明は、加湿用給水管(32)から供給される湯水を超音波振動子(33)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に含ませて浴室(4)に供給することにより、少ない使用水量でミストを浴室(4)内に満遍なく供給するという作用を有する。
また、請求項12記載の発明は、加湿用給水管(43)から供給される湯水をノズル(44)においてミスト状に微細化し浴室(4)内に直接噴霧する加湿形態と、加湿用給水管(46)から供給される湯水を超音波振動子(33)においてミスト状に微細化し、循環ファン(20)が送風する空気に含ませて浴室(4)に供給する加湿形態を融合もしくは切り換えることにより、加湿スピードを速めるとともに少ない使用水量でミストを浴室(4)内に満遍なく供給するという作用を有する。
また、請求項13記載の発明は、利用側熱交換器(25)において冷媒と熱交換して加熱された空気にミスト発生器(30)で発生させたミストを含ませることにより、ミスト含有量が増加して加湿スピードを速めるという作用を有する。
また、請求項14記載の発明は、気液分離器(34)において循環ファン(20)が送風する空気中に含まれた大粒のミストを除去することにより、水滴感を減らして快適性を高めるという作用を有する。
また、請求項15記載の発明は、利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)が送風する空気中に含まれた大粒のミストを除去することにより、気液分離器を新たに設けることなく水滴感を減らして快適性を高めるという作用を有する。
また、請求項16記載の発明は、排水経路(36、52)を通じて気液分離器(34)または利用側熱交換器(25)により除去された大粒のミストを装置外部に排水することにより、水滴残留に伴う菌や臭いの発生を抑制するという作用を有する。
また、請求項17記載の発明は、気液分離器(34)または利用側熱交換器(25)において除去された大粒のミストを、加湿用給水管(32、46)に溜まっている残水を装置外部に排水する排水経路(36、52)を利用して排水することにより、分離水滴用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水処理をするという作用を有する。
また、請求項18記載の発明は、気液分離した大粒のミストや加湿給水管(32、46)の残水を排水する排水経路(36、52)を利用して利用側熱交換器(25)あるいは熱源側熱交換器(27)に生じた結露水を排水することにより、結露水用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水処理をするという作用を有する。
また、請求項19記載の発明は、冷媒対空気熱交換器(29)において換気ファン(13)により屋外に排出される浴室(4)以外の室内空間の空気に対して冷媒が吸熱(または放熱)するとともに利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)が送風する空気に対して冷媒が放熱(または吸熱)することによりヒートポンプを動作させて浴室(4)内を加熱もしくは冷却するという作用を有する。
また、請求項20記載の発明は、冷媒対水熱交換器(37)において熱源用給水管(41)から供給される湯水に対して冷媒が吸熱(または放熱)するとともに利用側熱交換器(25)において循環ファン(20)が送風する空気に対して冷媒が放熱(または吸熱)することによりヒートポンプを動作させて浴室(4)内を加熱もしくは冷却するという作用を有する。
また、請求項21記載の発明は、換気ファン(13)により屋外に排出される浴室(4)以外の室内空間の空気に対して冷媒が吸熱または放熱する冷媒対空気熱交換器(29)と、熱源用給水管(41)から供給される湯水に対して冷媒が吸熱または放熱する冷媒対水熱交換器(37)を直列状態または並列状態となるように冷媒回路(23)内に設け、冷媒対空気熱交換器(29)と冷媒対水熱交換器(37)における吸熱(または放熱)を複合あるいは切り換えることにより、換気ファン(13)が送風する空気と熱源用給水管(41)から供給される湯水の双方あるいは何れか一方を熱源としてヒートポンプを動作させて浴室(4)内を加熱もしくは冷却するという作用を有する。
また、請求項22記載の発明は、浴室(4)以外の室内空間に設置された空調機(15)によって空調された空調空気を排気口(9、11)から吸い込んで冷媒対空気熱交換器(29)に供給することにより、浴室(4)以外で発生した空調機(15)の熱エネルギーを浴室(4)の空調に利用するという作用を有する。
また、請求項23記載の発明は、浴室(4)の加熱、加湿および冷却を行う場合は、浴室(4)に連通した換気通路(21)に設けた開閉装置(22)を閉鎖状態に設定して空調空気を排出せずに効率良く浴室(4)を空調し、また、浴室(4)の換気や乾燥を行う場合は開閉装置(22)を開放状態に設定して浴室(4)の空気を速やかに屋外に排出するような切換動作を実行するという作用を有する。
また、請求項24記載の発明は、浴室(4)を乾燥する場合に、換気通路(21)を通って屋外に排出される浴室(4)の空気から冷媒が吸熱することにより、利用側熱交換器(25)において浴室(4)の空気に放熱された熱を冷媒対空気熱交換器(29)において回収し乾燥効率の向上を図るという作用を有する。
また、請求項25記載の発明は、換気通路(21)の浴室(4)との連通部分を吸込口(16)とすることにより、吸込み空気中の塵埃を除去するフィルターを共用化して装置構成の簡素化を図るという作用を有する。
また、請求項26記載の発明は、ミスト発生器(30)に供給される湯水を冷媒対空気熱交換器(29)に噴霧することにより冷媒対空気熱交換器(29)に付着した霜や氷を除去するという作用を有する。
また、請求項27記載の発明は、利用側熱交換器(25)または冷媒対空気熱交換器(29)の霜や氷の除去に使用された給水および霜や氷が溶けたドレン水を、気液分離器(34)または利用側熱交換器(25)において除去された大粒のミスト、または加湿用給水管(46)に溜まっている残水を装置外部に排水するための排水経路(52)を利用して装置外部に排水することにより、給水およびドレン水用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水を処理するという作用を有する。
また、請求項28記載の発明は、深夜電力もしくはヒートポンプ式の給湯機で沸かされた湯を熱源用給水管(41)を通じて冷媒対水熱交換器(37)に供給することにより、加熱に係るランニングコストを低減するという作用を有する。
また、請求項29記載の発明は、加湿用給水管(43)を熱源用給水管(41)から分岐させることにより、外部からの給水管の接続を一本化して施工を容易に行うという作用を有する。
また、請求項30記載の発明は、冷媒対水熱交換器(37)において冷媒と熱交換した後の湯水をミスト発生器(30)に供給することにより、冷媒対水熱交換器(37)での余熱を加湿に有効利用し、熱利用率を高めるという作用を有する。
また、請求項31記載の発明は、冷媒対水熱交換器(37)において冷媒との熱交換をした後の湯水を利用側熱交換器(25)あるいは冷媒対空気熱交換器(29)に生じた結露水を装置外部に排水する排水経路(52)を利用して装置外部に排水することにより、冷媒対水熱交換器(37)用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水を処理するという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかる空調システムが設置される居住空間の見取り図である。図1において、居住空間1は、リビング2、寝室3、浴室4、脱衣室5、トイレ6などに区画されており、浴室4の天井裏には、空調システムの本体7が設置されている。この本体7には、本体7と屋外を連通する排気ダクト8、脱衣室5の天井に開口した排気口9と本体7とを連通する排気ダクト10およびトイレ6の天井に開口した排気口11と本体7とを連通する排気ダクト12が接続されている。また、本体7内部には換気ファン13が配設されており、屋外と本体7を連通する排気ダクト8は換気ファン13の吹出側に接続され、脱衣室5と本体7を連通する排気ダクト10およびトイレ6と本体7を連通する排気ダクト12は換気ファン13の吸込側に接続されている。したがって換気ファン13を運転すると、排気口9および排気口11から排気ダクト10および排気ダクト12を通じて脱衣室5およびトイレ6の空気が換気ファン13に吸い込まれ、排気ダクト8を通じて屋外に排出される。そして換気ファン13を連続運転すると居住空間1内が負圧になるため、リビング2の屋外に面した壁に開口した給気口14から新鮮な外気が給気されて居住空間1が換気されることになる。この換気運転は建物の気密性が高い場合は連続して行う必要があるため(24時間換気)、換気ファン13は所定の換気量、例えば一時間で居住空間1の約半分の容積に相当する換気量を確保するように連続運転を行う。また、リビング2には部屋の温度をコントロールするための空調機15が設置されており、夏場は冷房運転、冬場は暖房運転を行って室温を適正に保持している。したがって前述したように年間を通じて連続した換気運転を行っていると、夏場はリビング2において空調機15で冷房された低温の空気、冬場は空調機15で暖房された高温の空気が脱衣室5やトイレ6のドアに設けられたガラリやアンダーカットを通って排気口9および排気口11に吸い込まれ、換気空調装置の本体7を介して屋外に排出されることになる。
図2は、空調システムの風路構成図及び冷媒回路図であり、図に示すように浴室4の天井裏に空調システムの本体7が設置されており、本体7の底面に吸込口16および吹出口17を浴室4に対して開設するとともに吸込口16に塵埃を捕捉するためのフィルター18を着脱自在に配設している。また、本体7内部には吸込口16と吹出口17を連通する循環通路19が形設されており、この循環通路19内に吸込口16から浴室4の空気を吸い込んで吹出口17から吹き出す循環ファン20が配設されている。また、本体7内部に吸込口16と換気ファン13の吸込側を連通する換気通路21を形設しており、この換気通路21に脱衣室5と連通している排気ダクト10およびトイレ6と連通している排気ダクト12を接続している。この換気通路21内の吸込口16と換気ファン13の吸込側とを連通する通路中にはダンパー機構により通路の開閉動作を行う開閉装置22が配設されており、この開閉装置22を開放状態に設定して換気ファン13を運転すると、排気ダクト10および排気ダクト12から空気が吸い込まれるとともに吸込口16からも浴室4の空気が吸い込まれることになり、また、開閉装置22を閉鎖状態に設定して換気ファン13を運転すると主に排気ダクト10および排気ダクト12から脱衣室5およびトイレ6の空気が吸い込まれることになる。このようにして換気ファン13に吸い込まれた空気は、換気ファン13の吹出側に接続された排気ダクト8を通って屋外に排出されることになる。
また、本体7内部には、冷媒として例えば、HCFC系冷媒(分子中に塩素、水素、フッ素、炭素の各原子を含む)、HFC系冷媒(分子中に水素、炭素、フッ素の各原子を含む)、炭化水素、二酸化炭素等の自然冷媒などの何れかを充填した冷媒回路23を形設しており、この冷媒回路23中に、冷媒を圧縮する圧縮機24、循環通路19内に配設された利用側熱交換器25、冷媒を膨張させる電子式膨張弁やキャピラリチューブなどからなる膨張機構26、換気通路21内の換気ファン13の吸込側に配設された熱源側熱交換器27を介在している。また、この冷媒回路23には、圧縮機24で圧縮された冷媒が利用側熱交換器25、膨張機構26、第二熱交熱交換器27の順に流れて再び圧縮機24に戻る経路(以下、暖房サイクル)と、圧縮機24で圧縮された冷媒が熱源側熱交換器27、膨張機構26、第一熱交熱交換器25の順に流れて再び圧縮機24に戻る経路(以下、冷房サイクル)とを切り換えるための流路切換弁28を介設している。また、利用側熱交換器25は、空気との熱交換が可能なフィンチューブ型の熱交換器で構成されているので利用側熱交換器25において循環ファン20により循環通路19を循環する浴室4の空気と利用側熱交換器25内の冷媒との熱交換が行われて冷媒が浴室4の空気に対して放熱(または吸熱)することになる。同様に熱源側熱交換器27も空気との熱交換を前提にしたフィンチューブ型の熱交換器(以下、冷媒対空気熱交換器29)で構成しているので、この冷媒対空気熱交換器29において換気ファン13により屋外に排出される空気から冷媒が吸熱(または放熱)することになる。このように圧縮機24で圧縮された冷媒が利用側熱交換器25において循環ファン20により供給される浴室4の空気に対して放熱(または吸熱)するとともに冷媒対空気熱交換器29において換気ファン13により供給される屋外への排出空気から吸熱(または放熱)することによりヒートポンプが作動することになる。
そして循環通路19内の循環ファン20により送風される空気の風向きにおける利用側熱交換器25の下流側に位置する部分には、供給された水を微細化して微細な水滴(以下、ミスト)を発生させるミスト発生器30が配設されている。このミスト発生器30には外部の水道配管から給水弁31を介して接続された加湿用給水管32を通じて給水される構成となっており、この加湿用給水管32からの供給水を超音波振動子33によりミスト状に微細化し、循環ファン20が送風する空気に微細化したミストを含ませて浴室4に供給する構成となっている。この超音波振動子33の循環ファン20が送風する空気の風向きに対する下流側には、空気中に含まれた比較的大粒のミスト、例えば5ミクロン以上のミストを除去するための気液分離器34が配設されている。この気液分離器34は、金網、パンチングメタル、束子状の金属あるいは樹脂などのメッシュ構造を有した材料が用いられており、このメッシュ部分に大粒の水滴を付着させて除去する構造となっている。この気液分離器34で除去された大粒の水滴は、下方にあるドレンパン35に滴下し、ドレンパン35に接続された排水経路36から装置外部に排水される。このドレンパン35は、利用側熱交換器25および冷媒対空気熱交換器29の下方にも延設されており、利用側熱交換器25および冷媒対空気熱交換器29で発生した結露水やドレン水もドレンパン35で受け止めて排水経路36より排水する構造となっている。一方、気液分離器34により大粒の水滴を除去された空気は吹出口17から浴室4に供給される。この空気中には5ミクロン未満の非常に細かい微細水滴しか含まれていないので水滴感なく浴室4を加湿することが可能となり、また、視認性がなく浴室4内での読書や映像の鑑賞も可能な加湿空間が得られる。なお、上記構成においてはミスト発生器30を超音波振動子33において発生したミストのうち、粒径5ミクロン未満の微細水滴を浴室4に供給する構成としたが、浴室4に供給するミストの粒径は、これに限るものではなく、透明度が確保できる大きさであれば同様の加湿空間が得られ、また、100〜300ミクロン程度の霧状のミストを供給しても浴室4内を加湿することは可能である。
次に空調システムの運転動作について説明する。図3は各運転モードにおける主要構成要素の動作状態を示す一覧表である。図に示した一覧表は空調システムの各運転モードを列方向に順に記載しており、その各々の運転モードにおける主要構成要素の動作状態を行方向に記載している。この空調システムは、一覧表に示すように「換気運転」、「乾燥運転」、「冷房運転」、「暖房運転」、「ミストサウナ運転」の5種類の運転モードを実行することが可能となっている。「換気運転」は、居住空間1の必要換気量を確保するために24時間連続して換気運転を実行する運転パターンであり、この運転時は、換気ファン13を必要換気量が確保可能な風量で運転(ON)し、換気通路21に配設した開閉装置22を浴室4との通風が可能なように開放位置(ON)に設定し、その他の主要構成要素、即ち、循環ファン20、圧縮機24、ミストを発生させるための給水弁31および超音波振動子33は全て停止状態(OFF)に設定する。したがって浴室4に開口した吸込口16、脱衣室5に開口した排気口9、トイレ6に開口した排気口11から必要換気量に相当する所定量の空気が換気通路21を通って換気ファン13に吸込まれ屋外に排出される。この排出量に相当する新鮮な外気がリビング2に開口した給気口14から取り入れられて排出空気と入れ替わることにより居住空間1の換気が行われることになる。
次に「乾燥運転」時の運転動作について説明する。「乾燥運転」は、浴室4に洗濯物を干して乾かす衣類乾燥を行う場合や入浴後に浴室4自体を乾燥する場合に選択される運転モードである。この「乾燥運転」を実行する場合は、換気ファン13を所定風量で運転(ON)し、開閉装置22を浴室4との通風が可能なように開放位置(ON)に設定し、循環ファン20を使用者が設定した風量で運転(ON)させて圧縮機24を運転(ON)させる。また、流路切換弁28を暖房サイクル側に設定し、ミストを発生させるための給水弁31および超音波振動子33を停止状態(OFF)に設定する。このように設定すると、圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が暖房サイクル側に設定されている流路切換弁28を通り利用側熱交換器25に流入する。利用側熱交換器25には循環ファン20の運転により、吸込口16から循環通路19に吸い込まれた浴室4の空気が供給されて冷媒との熱交換が行われ、浴室4の空気は冷媒の放熱により加熱されて吹出口17から浴室4に吹き出される。利用側熱交換器25で放熱した冷媒は、膨張機構26において減圧膨張して熱源側熱交換器27、即ち冷媒対空気熱交換器29に導かれる。冷媒対空気熱交換器29には換気ファン13の運転により排気ダクト8および排気ダクト10を通じて脱衣室5やトイレ6の空気が供給されるとともに、開閉装置22が開放位置に設定されているため、浴室4の空気が吸込口16から換気通路21を通って供給される。冷媒対空気熱交換器29においては、これらの供給空気、すなわち浴室4の空気、脱衣室5の空気およびトイレ6の空気から冷媒が吸熱する。冷媒対空気熱交換器29で吸熱した冷媒は、流路切換弁28を通って圧縮機24に戻り冷媒回路23を循環する。一方、冷媒対空気熱交換器29で冷媒に吸熱されてエンタルピーが低下した空気は排気ダクト8を通って屋外に排出される。以上の乾燥運転を実行すれば、利用側熱交換器25で加熱された高温空気が浴室4内を循環して乾燥対象、例えば洗濯物や浴室床面からの水分蒸発を促し、乾燥対象から蒸発した水分が浴室4の空気に含まれて換気ファン13により冷媒対空気熱交換器29に供給されて熱を回収された後に屋外に排出されるので効率の良い乾燥が行われることになる。また、冷媒対空気熱交換器29において冷媒の吸熱により供給空気が露点温度以下に冷却された場合は、飽和した水分が結露してドレン水が発生することになる。このドレン水は冷媒対空気熱交換器29の下方に配設されているドレンパン35に滴下し排水経路36を通じて装置外部に排水されることになる。
次に「冷房運転」時の運転動作について説明する。「冷房運転」は、夏場などの高温時に在室者が浴室4内の温度を下げて快適に入浴する場合や清掃作業を行う場合に選択される運転モードである。この「冷房運転」を実行する場合は、換気ファン13を所定風量で運転(ON)し、開閉装置22を浴室4との通風を遮断するように閉鎖位置(OFF)に設定し、循環ファン20を使用者が設定した風量で運転(ON)させて圧縮機24を運転(ON)させる。また、流路切換弁28を冷房サイクル側に設定し、ミストを発生させるための給水弁31および超音波振動子33を停止状態(OFF)に設定する。このように設定すると、圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が冷房サイクル側に設定されている流路切換弁28を通り、冷媒対空気熱交換器29に導かれる。冷媒対空気熱交換器29には換気ファン13の運転により、排気ダクト10および排気ダクト12を通じて脱衣室5やトイレ6の空気が供給されており、冷媒がこれら供給空気に対して放熱する。冷媒対空気熱交換器29において冷媒の放熱により高温となった脱衣室5およびトイレ6の空気は排気ダクト8を通って屋外に排出される。一方、冷媒対空気熱交換器29で放熱した冷媒は、膨張機構26において減圧膨張し、利用側熱交換器25に流入する。利用側熱交換器25には循環ファン20の運転により吸込口16から循環通路19に吸い込まれた浴室4の空気が供給されて冷媒との熱交換が行われ、浴室4の空気は冷媒の吸熱により冷却されて吹出口17から浴室4に供給され、また、利用側熱交換器25で吸熱した冷媒は流路切換弁28を通って圧縮機24に戻って冷媒回路23を循環する。このような運転を繰り返すことにより浴室4内の温度が低下して浴室4内が冷房されることになる。ここで、換気通路21に位置する開閉装置22は閉鎖位置に設定されているため、循環通路19において冷却された低温空気が浴室4外部に排出されず効率良く浴室4を冷房することが可能となる。また、利用側熱交換器25において冷媒の吸熱により供給空気が露点温度以下に冷却された場合は、飽和した水分が結露してドレン水が発生することになる。このドレン水は利用側熱交換器25の下方にあるドレンパン35に滴下し排水経路36を通じて装置外部に排水されることになる。
次に「暖房運転」時の運転動作について説明する。「暖房運転」は、冬場等の気温の低い季節に入浴前に浴室4内を暖房してヒートショックを軽減する、あるいは入浴者が寒さを感じずに快適に入浴する場合に選択される運転パターンである。この「暖房運転」を実行する場合は、換気ファン13を所定風量で運転(ON)し、開閉装置22を浴室4との通風を遮断するように閉鎖位置(OFF)に設定し、循環ファン20を使用者が設定した風量で運転(ON)させて圧縮機24を運転(ON)させる。また、流路切換弁28を暖房サイクル側に設定し、ミストを発生させるための給水弁31および超音波振動子33を停止状態(OFF)に設定する。このように設定すると、圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が暖房サイクル側に設定されている流路切換弁28を通り利用側熱交換器25に流入する。利用側熱交換器25には循環ファン20の運転により、吸込口16から循環通路19に吸い込まれた浴室4の空気が供給されて冷媒との熱交換が行われ、浴室4の空気は冷媒の放熱により加熱されて吹出口17から浴室4に吹き出される。利用側熱交換器25で放熱した冷媒は、膨張機構26において減圧膨張して冷媒対空気熱交換器29に流入する。冷媒対空気熱交換器29には換気ファン13の運転により排気ダクト10および排気ダクト12を通じて脱衣室5やトイレ6の空気が供給されて冷媒がこれらの供給空気から吸熱する。冷媒対空気熱交換器29で吸熱した冷媒は、流路切換弁28を通って圧縮機24に戻り冷媒回路23を循環する。一方、冷媒対空気熱交換器29で冷媒に吸熱されてエンタルピーが低下した空気は排気ダクト8を通って屋外に排出される。このような運転を繰り返すことにより浴室4内の温度が上昇して浴室4内が暖房されることになる。ここで、換気通路21に位置する開閉装置22は閉鎖位置に設定されているため、循環通路19において加熱された高温空気が浴室4外部に排出されず効率良く浴室4を暖房することが可能となる。また、冷媒対空気熱交換器29において冷媒の吸熱により供給空気が露点温度以下に冷却された場合は、飽和した水分が結露してドレン水が発生することになる。このドレン水は冷媒対空気熱交換器29の下方に配設されているドレンパン35に滴下し排水経路36を通じて装置外部に排水されることになる。
次に「ミストサウナ運転」時の運転動作について説明する。「ミストサウナ運転」は、使用者が快適に発汗してリラクゼーションや健康促進が図れるように浴室4内を高温高湿状態、例えば温度38℃、湿度70%以上の高温高湿環境にする場合に選択される運転パターンである。この「ミストサウナ運転」を実行する場合は、最初に加湿用給水管32に残った残水を排水する「排水運転」を実行する。「排水運転」は、加湿用給水管32に介設している給水弁31のみを開放状態(ON)に設定し、その他の換気ファン13、循環ファン20、圧縮機24、超音波振動子33を全て停止状態(OFF)に設定する。このように設定すると給水弁31が開放しているので外部の水道配管から加湿用給水管32に水道水が供給されて加湿用給水管32に残っている残水が流出していく。加湿用給水管32から流出した残水は超音波振動子33に供給されるが、超音波振動子33が停止しているため、供給された残水はミスト化せずに全てドレンパン35に滴下し排水経路36から装置外部に排水されることになる。そして加湿用給水管32の残水が全て排水される間、この「排水運転」を継続した後、「ミストサウナ運転」に移行する。「ミストサウナ運転」を実行する場合は、換気ファン13を所定風量で運転(ON)し、開閉装置22を浴室4との通風を遮断するように閉鎖位置(OFF)に設定し、循環ファン20を使用者が設定した風量で運転(ON)させて圧縮機24を運転(ON)させる。また、流路切換弁28を暖房サイクル側に設定し、給水弁31の開放状態(ON)を維持するとともに超音波振動子33を運転(ON)させる。このように設定すると、圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が暖房サイクル側に設定されている流路切換弁28を通り利用側熱交換器25に流入する。利用側熱交換器25には循環ファン20の運転により、吸込口16から循環通路19に吸い込まれた浴室4の空気が供給されて冷媒との熱交換が行われ、浴室4の空気は冷媒の放熱により加熱されて超音波振動子33が配設されているミスト発生部分に導かれる。超音波振動子33には給水弁31が開放状態に設定されているため、外部の水道配管から加湿用給水管32を通じて水道水が供給され、供給された水道水は超音波振動子33の振動により細かく破砕されミスト状になって利用側熱交換器25で加熱された高温の浴室4の空気に含まれる。超音波振動子33で発生したミストを含んだ高温高湿の空気は、下流に位置する気液分離器34において大粒の水滴を除去された後、吹出口17から浴室4に供給される。この供給空気には粒径5ミクロン未満の微細なミストが含まれており、この微細ミストにより使用者に水滴感を与えずに快適に浴室4を加湿することが可能となる。また、気液分離器34で除去された大粒の水滴は、前述したようにドレンパン35に滴下し、排水経路36を通って本体7外部に排水される。一方、利用側熱交換器25で放熱した冷媒は、膨張機構26において減圧膨張して冷媒対空気熱交換器29に流入する。冷媒対空気熱交換器29には換気ファン13の運転により排気ダクト10および排気ダクト12を通じて脱衣室5やトイレ6の空気が供給されており、冷媒がこれらの供給空気から吸熱する。冷媒対空気熱交換器29で吸熱した冷媒は、流路切換弁28を通って圧縮機24に戻り冷媒回路23を循環する。一方、冷媒対空気熱交換器29で冷媒に吸熱されてエンタルピーが低下した空気は排気ダクト8を通って屋外に排出される。このような運転を繰り返すことにより浴室4内の温度および湿度が上昇して高温高湿のサウナ環境が得られる。ここで、換気通路21に位置する開閉装置22は閉鎖位置に設定されているため、循環通路19において加熱および加湿された高温高湿空気が浴室4外部に排出されず効率良く浴室4をサウナ空間にすることが可能となる。また、冷媒対空気熱交換器29において冷媒の吸熱により供給空気が露点温度以下に冷却された場合は、飽和した水分が結露してドレン水が発生することになる。このドレン水は冷媒対空気熱交換器29の下方に配設されているドレンパン35に滴下し、気液分離器34で除去された大粒の水滴とともに排水経路36を通じて装置外部に排水されることになる。
また、冬場の外気温が非常に低い条件下では、換気ファン13により冷媒対空気熱交換器29に供給される脱衣室5およびトイレ6の空気温度も低くなるため、上述した「暖房運転」や「サウナ運転」の実行中に冷媒対空気熱交換器29に霜や氷が付着する着霜現象が生じる。この着霜状態を放置しておくと冷媒対空気熱交換器29における吸熱能力の低下により利用側熱交換器25の放熱能力が低下して浴室4を十分に加熱できないという問題が発生する。このような問題を抑制するため、冷媒対空気熱交換器29の冷媒配管の温度を監視し、その温度が所定値未満、例えば0度未満に低下した段階で冷媒対空気熱交換器29に付着した霜を除去する「デアイス運転」を実行する必要がある。その「デアイス運転」時の運転動作について次に説明する。「デアイス運転」運転を実行する場合は、換気ファン13および循環ファン20の運転を停止し、「暖房サイクル側」に設定されていた流路切換弁28を「冷房サイクル側」に切り換える。このような設定を行うことにより、圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が冷房サイクル側に切り換えられた流路切換弁28を通り冷媒対空気熱交換器29に導かれる。この高温冷媒が冷媒対空気熱交換器29の冷媒配管を流れることにより配管表面温度が上昇して付着した霜や氷が溶解する。溶解した霜や氷はドレン水となってドレンパン35に滴下し配水経路36を通じて装置外部に排水される。一方、冷媒対空気熱交換器29で放熱して霜を溶かした冷媒は、膨張機構26、利用側熱交換器25、流路切換弁28を順に流れて圧縮機24に戻り冷媒回路23を循環する。この「デアイス運転」を暫くの間、継続すると冷媒対空気熱交換器29に付着した霜や氷が溶けきり冷媒配管の温度が上昇していく。この配管温度を継続的に監視し、配管温度が所定値以上、例えば1度以上に上昇した段階で「デアイス運転」から再び「暖房運転」や「サウナ運転」に切り換える。これにより低温時の極端な加熱能力低下を抑制して「暖房運転」や「サウナ運転」を継続することが可能になる。
以上、説明した構成および動作により、本実施形態の空調システムは、以下の効果を奏するものである。
すなわち、熱源側熱交換器27において冷媒が吸熱した熱を利用側熱交換器25において循環ファン20により循環する浴室4の空気に放熱することによりヒートポンプを動作させて浴室4内の加熱を行うとともに、ミスト発生器30で発生させた微細な水滴、すなわちミストを浴室4内に供給することにより、少ない消費電力で浴室4内を加熱および加湿して快適なサウナ環境を実現することができる。
また、熱源側熱交換器27において冷媒を放熱させるとともに利用側熱交換器25において循環ファン20が送風する空気から冷媒が吸熱することによりヒートポンプを動作させて浴室4内を冷却することができる。
また、利用側熱交換器25もしくは熱源側熱交換器27に霜や氷が付着した場合に冷媒温度に基づいて流路切換弁28を切り換えることにより、付着した霜の除去を行うことができる。
また、ミスト発生器30に加湿用給水配管32を通じて湯水を供給してミストを発生させる構成とすることにより、水の供給を自動化して給水作業を省略することができる。
また、加湿用給水管32を通じて常温の水道水をミスト発生器30に供給することにより、加湿用の熱源を不要にしてイニシャルコストを低減することができる。
また、排水経路36を通じて加湿用給水管32に溜まっている残水を排水することにより、残水に発生した菌の飛散を防止することができる。
また、加湿用給水管32から供給される湯水を超音波振動子33においてミスト状に微細化し、循環ファン20が送風する空気に含ませて浴室4に供給することにより、少ない使用水量でミストを浴室4内に満遍なく供給することができる。
また、利用側熱交換器25において冷媒と熱交換して加熱された空気にミスト発生器30で発生させたミストを含ませることにより、ミスト含有量が増加して加湿スピードを速めることができる。
また、気液分離器34において循環ファン20が送風する空気中に含まれた大粒のミストを除去することにより、水滴感を減らして快適性を高めることができる。
また、排水経路36を通じて気液分離器34において除去された大粒のミストを装置外部に排水することにより、水滴残留に伴う菌や臭いの発生を抑制することができる。
また、気液分離器34において除去された大粒のミストを、加湿用給水管32に溜まっている残水を装置外部に排水する排水経路36を利用して排水することにより、分離水滴用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水処理をすることができる。
また、気液分離した大粒のミストや加湿給水管32の残水を排水する排水経路36を利用して利用側熱交換器25あるいは熱源側熱交換器27に生じた結露水を排水することにより、結露水用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水処理をすることができる。
また、冷媒対空気熱交換器29において換気ファン13により屋外に排出される浴室4以外の室内空間の空気に対して冷媒が吸熱(または放熱)するとともに利用側熱交換器25において循環ファン20が送風する空気に対して冷媒が放熱(または吸熱)することによりヒートポンプを動作させて浴室4内を加熱もしくは冷却することができる。
また、浴室4以外の室内空間に設置された空調機15によって空調された空調空気を排気口9および排気口11から吸い込んで冷媒対空気熱交換器29に供給することにより、浴室4以外で発生した空調機15の熱エネルギーを浴室4の空調に利用することができる。
また、浴室4の加熱、加湿および冷却を行う場合は、浴室4に連通した換気通路21に設けた開閉装置22を閉鎖状態に設定して空調空気を排出せずに効率良く浴室4を空調し、また、浴室4の換気や乾燥を行う場合は開閉装置22を開放状態に設定して浴室4の空気を速やかに屋外に排出するような切換動作を実行することができる。
また、浴室4を乾燥する場合に、換気通路21を通って屋外に排出される浴室4の空気から冷媒が吸熱することにより、利用側熱交換器25において浴室4の空気に放熱された熱を冷媒対空気熱交換器29において回収し乾燥効率の向上を図ることができる。
また、換気通路21の浴室4との連通部分を吸込口16とすることにより、吸込み空気中の塵埃を除去するフィルターを共用化して装置構成の簡素化を図ることができる。
(実施の形態2)
次に本発明の実施形態2にかかる空調システムについて説明する。なお、実施形態1と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。図4は、本発明の実施形態2にかかる空調システムの風路構成図及び冷媒回路図であり、浴室4の天井面に吸込口16と吹出口17を開口した本体7内に、吸込口16と吹出口17を連通する循環通路19を形成し、この循環通路19内に循環ファン20を配設している。また、吸込口16と換気ファン13の吸込側を連通する換気通路21に脱衣室5と連通している排気ダクト10とトイレ6と連通している排気ダクト12を接続し、この換気通路21の吸込口16と換気ファン13の吸込側を連通する部分の開閉状態を切り換える開閉装置22を配設した構成となっている。また、本体7内部には、冷媒として例えば、HCFC系冷媒、HFC系冷媒、炭化水素、二酸化炭素等の自然冷媒などの何れかを充填した冷媒回路23を形設しており、この冷媒回路23中に、圧縮機24、循環通路19内に配設された利用側熱交換器25、膨張機構26、換気通路21内の換気ファン13の吸込側に配設された冷媒対空気熱交換器29を介在させるとともに、膨張機構26と冷媒対空気熱交換器29との間に後述する冷媒対水熱交換器37を介設している。そして圧縮機24で圧縮された冷媒を、利用側熱交換器25、膨張機構26、冷媒対空気熱交換器29、冷媒対水熱交換器37の順に流して圧縮機24に戻す経路(以下、暖房サイクル)と、冷媒対水熱交換器37、冷媒対空気熱交換器29、膨張機構26、第一熱交熱交換器25の順に流して圧縮機24に戻す経路(以下、冷房サイクル)を切り換えるための流路切換弁28を介設している。
利用側熱交換器25および冷媒対空気熱交換器29は、空気との熱交換が可能なフィンチューブ型の熱交換器で構成されているので、利用側熱交換器25においては循環ファン20により循環通路19を循環する浴室4の空気と利用側熱交換器25内を流れる冷媒との熱交換が行われ、また、冷媒対空気熱交換器29においては換気ファン13により屋外に排出される空気と冷媒対空気熱交換器29内を流れる冷媒との熱交換が行われることになる。一方、冷媒対水熱交換器37は、外部から供給される給水が流れる水側流路38と冷媒が流れる冷媒側流路39との間で給水と冷媒の熱交換を行うものであり、伝熱プレートを挟んで水側流路38と冷媒側流路39を交互に複数枚形成したプレート式の熱交換器や、管状の水側流路38の内部に同じく管状の冷媒側流路39を形設した二重管式の熱交換器が用いられることになる。そして冷媒対水熱交換器37の水側流路38には、深夜電力で湯を沸かす電気温水器やヒートポンプで湯を沸かすヒートポンプ給湯機からの給湯水を給水弁40が介設された熱源用給水管41を通じて給水するように構成されている。したがって給水弁40を開放状態にすると熱源用給水管41から冷媒対水熱交換器37に常温もしくは高温の給湯水が供給されて冷媒との熱交換が行われることになる。このようにして圧縮機24で圧縮された冷媒が、利用側熱交換器25において循環ファン20により供給される浴室4の空気に対して放熱(または吸熱)するとともに冷媒対空気熱交換器29において換気ファン13により供給される屋外への排出空気から吸熱(または放熱)し、さらに/または熱源用給水管41から給水される給湯水から吸熱(または放熱)することによりヒートポンプが作動することになる。したがって冷媒対空気熱交換器29と冷媒対水熱交換器37の各々が熱源側熱交換器27として作用することになる。
また、この空調システムは、ミスト発生器30として、熱源用配管41から給水弁42を介して分岐接続した加湿用給水管43の先端に接続されて浴室4内に面するように配設されたノズル44と、冷媒対水熱交換器37の水側流路38の出口部分から給水弁45を介して延設された加湿用給水管46の先端に接続されて循環通路19内の送風方向に対する利用側熱交換器25の上流部分に面するように配設されたノズル47を備えている。また、加湿用給水管46の給水弁45の上流側には給水弁48を介して分岐配管49が分岐接続されており分岐配管49の端部には冷媒対空気熱交換器29側に向けてノズル50が接続されている。そして利用側熱交換器25および冷媒対空気熱交換器29の下方にはドレンパン51が配設されており、ドレンパン51に滴下したドレン水を装置外部に排水するための排水経路52が接続されている。上記構成において給水弁42を開放すると、熱源用配管41に供給される深夜電力もしくはヒートポンプで沸かされた温水が加湿用給水管43に導かれてノズル44に供給される。ノズル44では供給された温水が所定の噴射角度を持って微細なミスト状に噴射され、この噴射されたミストが浴室4に供給されることになる。この浴室4に供給されるミストは粒径100〜150ミクロン程度の細かな霧状のミスト(以下、シャワーミストと言う)であり、このシャワーミストを浴びると皮膚表面に水滴が付着して皮膚の汚れを洗い流す等の効果が得られる。また、給水弁45を開放し給水弁48を閉鎖すると、冷媒対水熱交換器37の給水流路38に供給された温水が加湿用給水管46を通ってノズル47に供給される。ノズル47ではノズル44と同様に供給された温水を所定の噴射角度を持たせて循環通路19内部に微細なミスト状に噴射する。この循環通路19には循環ファン20により浴室4の空気が送風されるのでノズル47から噴射されたミストが、この送風空気に含まれて送風方向の下流に配設される利用側熱交換器25に供給される。利用側熱交換器25においては送風空気に含まれたミストの中で比較的大粒のミスト、例えば粒径5ミクロン以上の水滴が利用側熱交換器25のフィン表面に付着して除去されることになり、この利用側熱交換器25で除去されなかった粒径5ミクロン以下のミスト(以下、マイクロミストと言う)を含んだ空気が吹出口17から吹き出すことにより、浴室4内にマイクロミストが供給されることになる。このマイクロミストには粒径5ミクロン未満の非常に細かい微細水滴しか含まれていないので水滴感なく浴室4を加湿することが可能となり、また、視認性がなく浴室4内での読書や映像の鑑賞も可能な加湿空間が得られる。一方、利用側熱交換器25で除去された大粒の水滴は、ドレンパン51に滴下して排水経路52から装置外部に排水される。また、給水弁45を閉鎖し給水弁48を開放すると、冷媒対水熱交換器37の給水流路38に供給された温水が分岐配管49を介してノズル50に供給され、冷媒対空気熱交換器29に向けて噴霧されることになる。冷媒対空気熱交換器29に対して噴霧された温水はドレンパン51に滴下して排水経路52から排水されることになる。なお、上記構成においてはミスト発生器30を、ノズル44から粒径100〜150ミクロン程度の細かな霧状のシャワーミストを浴室4に供給する構成と、ノズル47から噴射されたミストのうち、粒径5ミクロン以下のマイクロミストを浴室4に供給する構成としたが、浴室4に供給するミストの粒径は、これに限るものではなく、例えば、マイクロミストは透明度が確保できる大きさであれば同様の効果が得られ、また、シャワーミストは通常のシャワーよりも細かい300ミクロン以下の霧状のミストであれば浴室4内を加湿することは可能である。
次に空調システムの運転動作について説明する。図5は各運転モードにおける主要構成要素の動作状態を示す一覧表である。図に示した一覧表は空調システムの各運転モードを列方向に順に記載しており、その各々の運転モードにおける主要構成要素の動作状態を行方向に記載している。この空調システムは、一覧表に示すように「換気運転」、「乾燥運転」、「冷房運転」、「暖房運転」、「ミストサウナ運転」の5種類の運転モードを実行することが可能となっており、「換気運転」を実行する場合は、実施の形態1と同様に換気ファン13を必要換気量が確保可能な風量で運転(ON)、換気通路21に配設した開閉装置22を浴室4との通風が可能なように開放位置(ON)、その他の循環ファン20、圧縮機24などは全て停止状態(OFF)に設定する。これにより浴室4に開口した吸込口16、脱衣室5に開口した排気口9、トイレ6に開口した排気口11から必要換気量に相当する所定量の空気が換気通路21を通って換気ファン13に吸込まれて屋外に排出される。この排出量に相当する新鮮な外気がリビング2に開口した給気口14から取り入れられて排出空気と入れ替わることにより居住空間1の換気が行われる。
次に「乾燥運転」時の運転動作について説明する。この空調システムは「省エネ乾燥」モードと「パワフル乾燥」モードの2種類の乾燥運転モードを選択することが可能となっている。「省エネ乾燥」モードを実行する場合は、換気ファン13を所定風量で運転(ON)し、開閉装置22を浴室4との通風が可能なように開放位置(ON)に設定し、循環ファン20を使用者が設定した風量で運転(ON)させて圧縮機24を運転(ON)させる。また、流路切換弁28を暖房サイクル側に設定し、冷媒対水熱交換器37およびノズル44に給湯水を供給するための給水弁40と給水弁42を閉鎖状態(OFF)に設定する。このように設定すると、圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が暖房サイクル側に設定されている流路切換弁28を通り利用側熱交換器25に流入する。利用側熱交換器25には循環ファン20の運転により、吸込口16から循環通路19に吸い込まれた浴室4の空気が供給されて冷媒との熱交換が行われ、浴室4の空気は冷媒の放熱により加熱されて吹出口17から浴室4に吹き出される。利用側熱交換器25で放熱した冷媒は、膨張機構26において減圧膨張して冷媒対空気熱交換器29に導かれる。冷媒対空気熱交換器29には換気ファン13の運転により排気ダクト8および排気ダクト10を通じて脱衣室5やトイレ6の空気が供給されるとともに、開閉装置22が開放位置に設定されているため、浴室4の空気が吸込口16から換気通路21を通って供給される。冷媒対空気熱交換器29においては冷媒がこれら供給空気から吸熱する。冷媒対空気熱交換器29で吸熱した冷媒は、冷媒対水熱交換器37に供給されるが、冷媒対水熱交換器37の給水流路38には給湯水が供給されないため、冷媒は熱の授受を受けずに流路切換弁28を通って圧縮機24に戻り冷媒回路23を循環する。一方、冷媒対空気熱交換器29で冷媒に吸熱されてエンタルピーが低下した空気は排気ダクト8を通って屋外に排出される。以上の乾燥運転を実行すれば、利用側熱交換器25で加熱された高温空気が浴室4内を循環して乾燥対象、例えば洗濯物や浴室床面からの水分蒸発を促し、乾燥対象から蒸発した水分が浴室4の空気に含まれて換気ファン13により冷媒対空気熱交換器29に供給されて熱を回収された後に屋外に排出されるので、効率の良い乾燥が行われることになる。また、冷媒対空気熱交換器29において冷媒の吸熱により供給空気が露点温度以下に冷却された場合は、飽和した水分が結露してドレン水が発生することになる。このドレン水は冷媒対空気熱交換器29の下方に配設されているドレンパン51に滴下し排水経路52を通じて装置外部に排水されることになる。
また、「パワフル乾燥」モード実行する場合は、「省エネ乾燥」モードの設定に加えて、冷媒対水熱交換器37に給湯水を供給するための熱源用給水管41に介設された給水弁40を開放状態(ON)、熱源用給水管41から分岐接続される加湿用給水管43に介設された給水弁42を閉鎖状態(OFF)、冷媒対水熱交換器37の給水流路38の出口側から延設される加湿用給水管46に介設された給水弁45を閉鎖状態(OFF)、加湿用給水管46に分岐接続される分岐配管49に介設された給水弁48を開放状態(ON)に設定するとともに熱源用給水管41に湯水を供給する給湯機に対して40〜80℃程度の温水を供給するように運転信号を出力する。このように設定すると、給湯機から供給される給湯水が、熱源用給水管41に介設された給水弁40が開放状態、加湿用給水管43に介設された給水弁42が閉鎖状態に設定されているので、全て熱源用給水管41側に流れて冷媒対水熱交換器37の給水流路38に供給される。冷媒対水熱交換器37の冷媒流路39には冷媒空気熱交換器29において換気ファン13が送風する空気から吸熱した後の冷媒が供給されており、この冷媒が給水流路38に供給される給湯水から更に吸熱する。冷媒対水熱交換器37において冷媒と熱交換を行った後の給湯水は、加湿用給水管46に介設された給水弁45が閉鎖状態、分岐配管49に介設された給水弁48が開放状態に設定されているので、全て分岐配管49側に流れて分岐配管49の端部に配設されたノズル50から冷媒対空気熱交換器29に対して噴霧される。これにより冷媒対空気熱交換器29において冷媒が換気ファン13により送風される空気から吸熱するとともにノズル50から噴霧された給湯水からも吸熱することになり冷媒対空気熱交換器29における吸熱量も増加する。このようにしてこのようにして「省エネ乾燥」モード時に対して冷媒対空気熱交換器29における噴霧給湯水からの吸熱分と冷媒対水熱交換器37での吸熱分が増加するので、その増加に従い利用側熱交換器25における放熱量も増加することになる。したがって循環ファン20により利用側熱交換器25に供給される浴室4の空気が更に高温になり乾燥対象がより素早く乾燥することになる。なお、冷媒対空気熱交換器29に噴霧された給湯水は冷媒対空気熱交換器29の下方に配設されているドレンパン51に滴下し、その他のドレン水とともに排水経路52を通じて装置外部に排水されることになる。ここで熱源用給水管41に供給される給湯水の温度は、冷媒対水熱交換器37において冷媒が十分吸熱可能な温度であり、かつ冷媒熱交換器37で冷媒に吸熱された後にも冷媒対空気熱交換器29に対して噴霧される際に冷媒を加熱可能な温度を有しており、さらに冷媒対空気熱交換器29に噴霧された後は、排水経路36の耐熱温度以下であることが望ましい。したがって上記のように熱源用給水管41に40〜80℃程度の温水を供給すれば、冷媒との熱交換において温度が約20deg程度低下し、20〜60℃程度となって冷媒対空気熱交換器29に噴霧され、冷媒対空気熱交換器29内の冷媒を加熱することが可能となり、さらに冷媒対空気熱交換器29に噴霧された後は温度が約10deg程度低下し、10〜50℃程度となって排水経路36の一般的な耐熱温度50℃以下で排水することが可能となる。以上の理由から熱源用給水管41に供給する給湯水の温度は、40〜80℃程度が望ましく、さらには50〜70℃に設定することがより望ましい。
次に「冷房運転」時の運転動作について説明する。この空調システムは「省エネ冷房」モードと「パワフル冷房」モードの2種類の冷房運転モードを選択することが可能となっている。「省エネ冷房」モードを実行する場合は、換気ファン13を所定風量で運転(ON)し、開閉装置22を浴室4との通風を遮断するように閉鎖位置(ON)に設定し、循環ファン20を使用者が設定した風量で運転(ON)させて圧縮機24を運転(ON)させる。また、流路切換弁28を冷房サイクル側に設定し、冷媒対水熱交換器37およびノズル44に給水するための給水弁40と給水弁42を閉鎖状態(OFF)に設定する。このように設定すると、圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が冷房サイクル側に設定されている流路切換弁28を通り冷媒対水熱交換器37に供給される。この冷媒対水熱交換器37の給水流路38側には湯水が供給されていないため、冷媒は熱の授受を受けずに冷媒対空気熱交換器29に流入する。冷媒対空気熱交換器29には換気ファン13の運転により、排気ダクト10および排気ダクト12を通じて脱衣室5やトイレ6の空気が供給されており、冷媒がこれら供給空気に対して放熱する。冷媒対空気熱交換器29において冷媒の放熱により加熱された脱衣室5およびトイレ6の空気は排気ダクト8を通って屋外に排出される。一方、冷媒対空気熱交換器29で放熱した冷媒は、膨張機構26において減圧膨張し、利用側熱交換器25に流入する。利用側熱交換器25には循環ファン20の運転により吸込口16から循環通路19に吸い込まれた浴室4の空気が供給されて冷媒との熱交換が行われ、浴室4の空気は冷媒の吸熱により冷却されて吹出口17から浴室4に供給され、また、利用側熱交換器25で吸熱した冷媒は流路切換弁28を通って圧縮機24に戻って冷媒回路23を循環する。このような運転を繰り返すことにより浴室4内の温度が低下して浴室4内が冷房されることになる。ここで、換気通路21に位置する開閉装置22は閉鎖位置に設定されているため、循環通路19において冷却された低温空気が浴室4外部に排出されず効率良く浴室4を冷房することが可能となる。また、利用側熱交換器25において冷媒の吸熱により供給空気が露点温度以下に冷却された場合は、飽和した水分が結露してドレン水が発生することになる。このドレン水は利用側熱交換器25の下方にあるドレンパン51に滴下し排水経路52を通じて装置外部に排水されることになる。
また、「パワフル冷房」モード実行する場合は、「省エネ冷房」モードの設定に加えて、冷媒対水熱交換器37に給水するための熱源用給水管41に介設された給水弁40を開放状態(ON)、熱源用給水管41から分岐接続される加湿用給水管43に介設された給水弁42を閉鎖状態(OFF)、冷媒対水熱交換器37の給水流路38の出口側から延設される加湿用給水管46に介設された給水弁45を閉鎖状態(OFF)、加湿用給水管46に分岐接続される分岐配管49に介設された給水弁48を開放状態(ON)に設定するとともに熱源用給水管41に湯水を供給する給湯機に対して5〜35℃程度の常温水を供給するように運転信号を出力する。このように設定すると、給湯機から供給される常温水が、熱源用給水管41に介設された給水弁40が開放状態、加湿用給水管43に介設された給水弁42が閉鎖状態に設定されているので、全て熱源用給水管41側に流れて冷媒対水熱交換器37の給水流路38に供給される。冷媒対水熱交換器37の冷媒流路39には圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が供給されており、この冷媒が給水流路38に供給される常温水に対して放熱する。冷媒対水熱交換器37において冷媒と熱交換を行った後の常温水は、加湿用給水管46に介設された給水弁45が閉鎖状態、分岐配管49に介設された給水弁48が開放状態に設定されているので、全て分岐配管49側に流れて分岐配管49の端部に配設されたノズル50から冷媒対空気熱交換器29に対して噴霧される。噴霧された常温水は冷媒対空気熱交換器29の外表面において換気ファン13の送風に伴い気化し、この気化熱により冷媒対空気熱交換器29が冷却されて冷媒の放熱が促進される。このようにして「省エネ冷房」モード時に対しては、冷媒対空気熱交換器29における気化熱利用の放熱促進分と冷媒対水熱交換器37における常温水への放熱分が増加するので、その増加に従い利用側熱交換器25における吸熱量も増加することになる。したがって循環ファン20により利用側熱交換器25に供給される浴室4の空気が更に低温になり浴室4内が急速に冷房されることになる。なお、冷媒対空気熱交換器29に噴霧された常温水は冷媒対空気熱交換器29の下方に配設されているドレンパン51に滴下し、その他のドレン水とともに排水経路52を通じて装置外部に排水されることになる。ここで熱源用給水管41に供給される常温水の温度は、冷媒対水熱交換器37において冷媒が十分放熱可能な温度であり、かつ冷媒熱交換器37で冷媒から放熱された後にも冷媒対空気熱交換器29に対して噴霧される際に冷媒を冷却可能な温度を有しており、さらに冷媒対空気熱交換器29に噴霧された後は、排水経路36の耐熱温度以下であることが望ましい。したがって上記のように熱源用給水管41に5〜35℃程度の温水を供給すれば、冷媒との熱交換において温度が約10deg程度上昇し、15〜45℃程度となって冷媒対空気熱交換器29に噴霧され、冷媒対空気熱交換器29内の冷媒を冷却することが可能となり、さらに冷媒対空気熱交換器29に噴霧された後は温度が約5deg程度上昇し、20〜50℃程度となって排水経路36の一般的な耐熱温度50℃以下で排水することが可能となる。以上の理由から熱源用給水管41に供給する給湯水の温度は、5〜35℃程度が望ましく、さらには5〜25℃に設定することがより望ましい。
次に「暖房運転」時の運転動作について説明する。この空調システムは「省エネ暖房」モードと「パワフル暖房」モードの2種類の暖房運転モードを選択することが可能となっている。「省エネ暖房」モードを実行する場合は、換気ファン13を所定風量で運転(ON)し、開閉装置22を浴室4との通風を遮断するように閉鎖位置(OFF)に設定し、循環ファン20を使用者が設定した風量で運転(ON)させて圧縮機24を運転(ON)させる。また、流路切換弁28を暖房サイクル側に設定し、冷媒対水熱交換器37およびノズル44に給湯水を供給するための給水弁40と給水弁42を閉鎖状態(OFF)に設定する。このように設定すると、圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が暖房サイクル側に設定されている流路切換弁28を通り利用側熱交換器25に流入する。利用側熱交換器25には循環ファン20の運転により、吸込口16から循環通路19に吸い込まれた浴室4の空気が供給されて冷媒との熱交換が行われ、浴室4の空気は冷媒の放熱により加熱されて吹出口17から浴室4に吹き出される。一方、利用側熱交換器25で放熱した冷媒は、膨張機構26において減圧膨張して冷媒対空気熱交換器29に流入する。冷媒対空気熱交換器29には換気ファン13の運転により排気ダクト10および排気ダクト12を通じて脱衣室5やトイレ6の空気が供給されており、冷媒がこれらの供給空気から吸熱する。冷媒対空気熱交換器29で吸熱した冷媒は冷媒対水熱交換器37に供給されるが、この冷媒対水熱交換器37の給水流路38側には給湯水が供給されないため、冷媒は熱の授受を受けずに流路切換弁28を通って圧縮機24に戻り冷媒回路23を循環する。一方、冷媒対空気熱交換器29において冷媒に吸熱されてエンタルピーが低下した空気は排気ダクト8を通って屋外に排出される。このような運転を繰り返すことにより浴室4内の温度が上昇して浴室4内が暖房されることになる。ここで、換気通路21に位置する開閉装置22は閉鎖位置に設定されているため、循環通路19において加熱された高温空気が浴室4外部に排出されず効率良く浴室4を暖房することが可能となる。また、冷媒対空気熱交換器29において冷媒の吸熱により供給空気が露点温度以下に冷却された場合は、飽和した水分が結露してドレン水が発生することになる。このドレン水は冷媒対空気熱交換器29の下方に配設されているドレンパン51に滴下し排水経路52を通じて装置外部に排水されることになる。なお冬場の外気温が非常に低い条件下では、換気ファン13により冷媒対空気熱交換器29に供給される脱衣室5およびトイレ6の空気温度も低くなるため、暖房運転中に冷媒対空気熱交換器29に霜や氷が付着する着霜現象が生じる。この場合は以下に説明する「パワフル暖房」モードに移行して着霜現象を抑制することになる。
次に「パワフル暖房」モード時の運転動作について説明する。「パワフル暖房」モードを実行する場合は、「省エネ暖房」モードの設定に加えて、冷媒対水熱交換器37に給湯水を供給するための熱源用給水管41に介設された給水弁40を開放状態(ON)、熱源用給水管41から分岐接続される加湿用給水管43に介設された給水弁42を閉鎖状態(OFF)、冷媒対水熱交換器37の給水流路38の出口側から延設される加湿用給水管46に介設された給水弁45を閉鎖状態(OFF)、加湿用給水管46に分岐接続される分岐配管49に介設された給水弁48を開放状態(ON)に設定するとともに熱源用給水管41に湯水を供給する給湯機に対して40〜60℃程度の温水を供給するように運転信号を出力する。このように設定すると、給湯機から供給される給湯水が、熱源用給水管41に介設された給水弁40が開放状態、加湿用給水管43に介設された給水弁42が閉鎖状態に設定されているので、全て熱源用給水管41側に流れて冷媒対水熱交換器37の給水流路38に供給される。この冷媒対水熱交換器37の冷媒流路39には冷媒空気熱交換器29において換気ファン13が送風する空気から吸熱した後の冷媒が供給されており、この冷媒が給水流路38に供給される給湯水から更に吸熱する。冷媒対水熱交換器37において冷媒と熱交換を行った後の給湯水は、加湿用給水管46に介設された給水弁45が閉鎖状態、分岐配管49に介設された給水弁48が開放状態に設定されているので、全て分岐配管49側に流れて分岐配管49の端部に配設されたノズル50から冷媒対空気熱交換器29に対して噴霧される。これにより冷媒対空気熱交換器29に霜や氷が付着している場合には、噴霧された給湯水により霜や氷が溶けて除去されることになり、また、冷媒対空気熱交換器29内の冷媒がノズル50から噴霧された給湯水から吸熱することになる。このようにして「省エネ暖房」モード時に対して冷媒対空気熱交換器29における噴霧給湯水からの吸熱分と冷媒対水熱交換器37での吸熱分が増加するので、その増加に従い利用側熱交換器25における放熱量も増加することになる。したがって循環ファン20により利用側熱交換器25に供給される浴室4の空気が更に高温になり暖房能力が向上することになる。また、「省エネ暖房」モードにおいて冷媒対空気熱交換器29に着霜現象が生じた場合にも「パワフル暖房」モードに切り換えて霜や氷の除去を行い、除霜が完了した段階で再び「省エネ暖房」モードに戻すことにより、入浴者の快適感を損なわずに連続した暖房運転を実行することができる。このノズル50から冷媒対空気熱交換器29に対して噴霧された給湯水や冷媒対空気熱交換器29に付着した霜や氷がとけたドレン水は、すべて冷媒対空気熱交換器29の下方に配設されているドレンパン51に滴下し排水経路52を通じて装置外部に排水されることになる。ここで熱源用給水管41に供給される給湯水の温度は、冷媒対水熱交換器37において冷媒が十分吸熱可能な温度であり、かつ冷媒熱交換器37で冷媒に吸熱された後にも冷媒対空気熱交換器29に対して噴霧される際に冷媒を加熱可能な温度、また冷媒対空気熱交換器29に付着した霜や氷の溶解が可能な温度を有しており、さらに冷媒対空気熱交換器29に噴霧された後は、排水経路36の耐熱温度以下であることが望ましい。したがって上記のように熱源用給水管41に40〜80℃程度の温水を供給すれば、冷媒との熱交換において温度が約20deg程度低下し、20〜60℃程度となって冷媒対空気熱交換器29に噴霧され、冷媒対空気熱交換器29内の冷媒を加熱する、また冷媒対空気熱交換器29に付着した霜や氷を溶解することが可能となり、さらに冷媒対空気熱交換器29に噴霧された後は温度が約10deg程度低下し、10〜50℃程度となって排水経路36の一般的な耐熱温度50℃以下で排水することが可能となる。以上の理由から熱源用給水管41に供給する給湯水の温度は、40〜80℃程度が望ましく、さらには50〜70℃に設定することがより望ましい。
次に「サウナ運転」時の運転動作について説明する。この空調システムは「シャワーミストサウナ」モードと「マイクロミストサウナ」モードの2種類のサウナ運転モードを選択することが可能となっている。「シャワーミストサウナ」モードを実行する場合は、換気ファン13を所定風量で運転(ON)し、開閉装置22を浴室4との通風を遮断するように閉鎖位置(OFF)、流路切換弁28を暖房サイクル側に設定し、循環ファン20を使用者が設定した風量で運転(ON)させて圧縮機24を運転(ON)させる。また、冷媒対水熱交換器37に給湯水を供給するための熱源用給水管41に介設された給水弁40を閉鎖状態(OFF)、熱源用給水管41から分岐接続される加湿用給水管43に介設された給水弁42を開放状態(ON)に設定するとともに熱源用給水管41に湯水を供給する給湯機に対して60〜80℃程度の温水を供給するように運転信号を出力する。このように設定すると、給湯機から供給される給湯水が、熱源用給水管41に介設された給水弁40が閉鎖状態、加湿用給水管43に介設された給水弁42が開放状態に設定されているので、全て加湿用給水管43側に流れて噴射口を浴室4に臨ませたノズル44に供給される。ノズル44に供給された給湯水は所定の噴射角度を持って微細なミスト状に噴射され、この噴射されたミストが浴室4に供給されて浴室4が加湿される。この浴室4に供給されるシャワーミストは粒径約100〜150ミクロン程度の細かな霧状のミストであり、皮膚表面の汚れを洗い流す効果が得られるとともに、ノズル44に供給された給湯水の全量が浴室4にシャワーミストとして供給されるので短時間で浴室4内の湿度が上昇することになる。また、圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が暖房サイクル側に設定されている流路切換弁28を通り利用側熱交換器25に流入する。利用側熱交換器25には循環ファン20の運転により、吸込口16から循環通路19に吸い込まれた浴室4の空気が供給されて冷媒との熱交換が行われ、浴室4の空気は冷媒の放熱により加熱されて吹出口17から浴室4に吹き出される。利用側熱交換器25で放熱した冷媒は、膨張機構26において減圧膨張して冷媒対空気熱交換器29に流入する。冷媒対空気熱交換器29には換気ファン13の運転により排気ダクト10および排気ダクト12を通じて脱衣室5やトイレ6の空気が供給されており、冷媒がこれらの供給空気から吸熱する。冷媒対空気熱交換器29で吸熱した冷媒は、冷媒対水熱交換器37に供給されるが、この冷媒対水熱交換器37の給水流路38側には給湯水が供給されないため、冷媒は熱の授受を受けずに流路切換弁28を通って圧縮機24に戻り冷媒回路23を循環する。一方、冷媒対空気熱交換器29で冷媒に吸熱されてエンタルピーが低下した空気は排気ダクト8を通って屋外に排出される。ここで換気通路21に位置する開閉装置22は閉鎖位置に設定されているため、循環通路19において加熱された高温空気やノズル44からのミスト噴射により加湿された浴室4の空気が浴室4外部に排出されず効率良く浴室4が加熱および加湿されることになる。以上のようにして浴室4内を加熱および加湿することにより、浴室4内が温度37℃以上かつ湿度70%以上の高温高湿環境になり、快適なサウナ入浴が可能となる。ここで熱源用給水管41に供給される常温水の温度は、ノズル44から浴室4内に噴射された際に人体にかかっても火傷をせず、かつ体感温度を高められる程度の温度を有していることが望ましい。したがって上記のように熱源用給水管41に60〜80℃程度の温水を供給すれば、ノズル44から噴射された際に気化熱により温度が20deg程度低下し40〜60℃程度となって浴室4内に噴霧され、心地よい温度のシャワーミストが得られる。以上の理由から熱源用給水管41に供給する給湯水の温度は、60〜80℃程度が望ましく、さらには65〜75℃に設定することがより望ましい。
次に「マイクロミストサウナ」モード時の運転動作について説明する。この「マイクロミストサウナ」モードを実行する場合は、最初に熱源用給水管41および加湿用給水管46に残った残水を排水する「排水運転」を実行する。「排水運転」は、熱源用給水管41に介設されている給水弁40および加湿用給水管46に介設されている給水弁45を開放状態(ON)、加湿用給水管43に介設されている給水弁42および分岐配管49に介設されている給水弁48を閉鎖状態(OFF)に設定し、その他の換気ファン13、循環ファン20、圧縮機24を全て停止状態(OFF)に設定するとともに熱源用給水管41に湯水を供給する給湯機に対して60〜80℃程度の温水を供給するように運転信号を出力する。このように設定すると、給湯機から供給される給湯水が、熱源用給水管41に介設された給水弁40が開放状態、加湿用給水管43に介設された給水弁42が閉鎖状態に設定されているので、全て熱源用給水管41側に流れて冷媒対水熱交換器37に供給される。冷媒対水熱交換器37の給水流路38を流れた給湯水は、給水流路38の出口側に延設された加湿用給水管46に介設された給水弁45が開放状態、加湿用給水管46に分岐接続される分岐配管49に介設された給水弁48が閉鎖状態に設定されているので、全て加湿用給水管46側に供給されて循環通路19内に配設されたノズル47から噴射されることになる。この運転を継続すると熱源用給水管41、冷媒対水熱交換器37の給水流路38および加湿用給水管46に残っていた残水が給湯機からの給湯水に押し流されてノズル47から噴射され、ノズル47から噴射された残水は循環ファン20が停止しているので循環通路19内の空気には含まれずに全てドレンパン51に滴下して排水経路52から装置外部に排水されることになる。そして「排水運転」を暫時実行して、熱源用給水管41、冷媒対水熱交換器37の給水流路38および加湿用給水管46に残った残水が全て排水されたら、次に「マイクロミストサウナ」モードに移行する。「マイクロミストサウナ」モードを実行する場合は、熱源用給水管41に介設されている給水弁40、加湿用給水管46に介設されている給水弁45、加湿用給水管43に介設されている給水弁42および分岐配管49に介設されている給水弁48の設定および熱源用給水管41に湯水を供給する給湯機への運転信号は「排水運転」時の設定を継続しつつ、換気ファン13を所定風量で運転(ON)し、開閉装置22を浴室4との通風を遮断するように閉鎖位置(OFF)、流路切換弁28を暖房サイクル側に設定し、循環ファン20を使用者が設定した風量で運転(ON)させて圧縮機24を運転(ON)させる。このように設定すると、「排水運転」時と同様に給湯機から供給される60〜80℃程度の給湯水が、熱源用給水管41、冷媒対水熱交換器37、加湿用給水管46を通ってノズル47に供給される。ノズル47に供給された給湯水は循環通路19内に所定の噴射角度を持って微細なミスト状に噴射される。この循環通路19には循環ファン20の運転により吸込口16から吸込まれた浴室4の空気が送風されており、ノズル47から噴射された微細なミストがこの送風空気中に含まれる。このミストを含んだ送風空気は、循環通路19内の風下側に配設された利用側熱交換器25に供給される。利用側熱交換器25には圧縮機24で圧縮された高温高圧の冷媒が暖房サイクル側に設定されている流路切換弁28を介して流入するので利用側熱交換器25において微細ミストを含んだ空気に対して冷媒が放熱して供給空気が加熱される。さらに利用側熱交換器25は空気流通部分に伝熱性能を向上するための伝熱板(フィン)が所定間隔で複数枚配設されているので、供給空気に含まれる比較的大粒のミストが伝熱板間隙を通過する際に伝熱板に付着して除去されることになる。このようにして利用側熱交換器25において冷媒の放熱により加熱されるとともに大粒の水滴を除去された空気は、吹出口17から浴室4に供給される。この供給空気には粒径5ミクロン未満の微細なミストのみが含まれており、この微細ミストにより使用者が水滴感を感じずに快適に浴室4の加湿が行われることになる。また、利用側熱交換器25において除去された大粒の水滴は、ドレンパン51に滴下し、排水経路52を通って本体7外部に排水される。一方、利用側熱交換器25で放熱した冷媒は、膨張機構26において減圧膨張して冷媒対空気熱交換器29に流入し、換気ファン13の運転により冷媒対空気熱交換器29に供給される脱衣室5やトイレ6の空気から吸熱する。冷媒対空気熱交換器29で吸熱した冷媒は次に冷媒対水熱交換器37の冷媒流路39側に供給され、熱源用配管41を通じて冷媒対水熱交換器37の給水流路38に供給される給湯水から更に吸熱することになる。冷媒対水熱交換器37で給湯水から吸熱した冷媒は、流路切換弁28を介して圧縮機24に戻り冷媒回路23を循環する。一方、冷媒対空気熱交換器29で冷媒に吸熱されてエンタルピーが低下した空気は排気ダクト8を通って屋外に排出され、冷媒対水熱交換器37において冷媒との熱交換を行った給湯水は上述したように加湿用給水管46を通じてノズル47に供給される。このような運転を繰り返すことにより浴室4内の温度および湿度が上昇して温度37℃以上かつ湿度70%以上の高温高湿のサウナ環境が得られる。ここで、換気通路21に位置する開閉装置22は閉鎖位置に設定されているため、循環通路19において加熱および加湿された高温高湿空気が浴室4外部に排出されず効率良く浴室4をサウナ空間にすることが可能となる。また、冷媒対空気熱交換器29において冷媒の吸熱により供給空気が露点温度以下に冷却された場合は、飽和した水分が結露してドレン水が発生することになる。このドレン水は冷媒対空気熱交換器29の下方に配設されているドレンパン51に滴下し利用側熱交換器25で除去された大粒の水滴とともに排水経路52を通じて本体7外部に排水されることになる。ここで熱源用給水管41に供給される給湯水の温度は、冷媒対水熱交換器37において冷媒が十分吸熱可能な温度であり、かつ冷媒熱交換器37で冷媒に吸熱された後にもノズル47から循環通路19内に噴射される際に体温以上の温度を有しており、さらに循環通路19内に噴射された後は、排水経路52の耐熱温度以下であることが望ましい。したがって上記のように熱源用給水管41に60〜80℃程度の温水を供給すれば、冷媒との熱交換において温度が約20deg程度低下し、40〜60℃程度となってノズル47から循環通路19内に噴射されて循環ファン20により送風される浴室4の空気を加熱するとともに水滴を含ませることで加湿することが可能となり、さらに循環通路19内に噴射された後は温度が約10deg程度低下し、30〜50℃程度となって排水経路36の一般的な耐熱温度50℃以下で排水することが可能となる。以上の理由から熱源用給水管41に供給する給湯水の温度は、60〜80℃程度が望ましい。
以上、説明した構成および動作により、本実施形態の空調システムは、以下の効果を奏するものである。
すなわち、熱源側熱交換器27において冷媒が吸熱した熱を利用側熱交換器25において循環ファン20により循環する浴室4の空気に放熱することによりヒートポンプを動作させて浴室4内の加熱を行うとともに、ミスト発生器30で発生させた微細な水滴、すなわちミストを浴室4内に供給することにより、少ない消費電力で浴室4内を加熱および加湿して快適なサウナ環境を実現することができる。
また、熱源側熱交換器27において冷媒を放熱させるとともに利用側熱交換器25において循環ファン20が送風する空気から冷媒が吸熱することによりヒートポンプを動作させて浴室4内を冷却することができる。
また、ミスト発生器30に加湿用給水配管43および加湿用給水配管46を通じて湯水を供給してミストを発生させる構成とすることにより、水の供給を自動化して給水作業を省略することができる。
また、深夜電力もしくはヒートポンプ式の給湯機で沸かされた湯を加湿用給水管43および加湿用給水管46を通じてミスト発生器30に供給することにより、加湿に係るランニングコストを低減することができる。
また、排水経路52を通じて加湿用給水管46に溜まっている残水を排水することにより、残水に発生した菌の飛散を防止することができる。
また、加湿用給水管43から供給される湯水をノズル44においてミスト状に微細化し浴室4内に直接噴霧することにより、供給される湯水の全量を浴室4内に供給して加湿スピードを速めることができる。
また、加湿用給水管46から供給される湯水をノズル47においてミスト状に微細化し、循環ファン20が送風する空気に含ませて浴室4に供給することにより、浴室4内に満遍なくミストを供給することができる。
また、加湿用給水管43から供給される湯水をノズル44においてミスト状に微細化し浴室4内に直接噴霧する加湿形態と、加湿用給水管46から供給される湯水をノズル47においてミスト状に微細化し、循環ファン20が送風する空気に含ませて浴室4に供給する加湿形態を切り換えることにより、加湿スピードを速めるとともに浴室4内に満遍なくミストを供給することができる。
また、利用側熱交換器25において循環ファン20が送風する空気中に含まれた大粒のミストを除去することにより、気液分離器を新たに設けることなく水滴感を減らして快適性を高めることができる。
また、排水経路52を通じて利用側熱交換器25において除去された大粒のミストを装置外部に排水することにより、水滴残留に伴う菌や臭いの発生を抑制することができる。
また、利用側熱交換器25において除去された大粒のミストを、加湿用給水管46に溜まっている残水を装置外部に排水する排水経路52を利用して排水することにより、分離水滴用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水処理をすることができる。
また、気液分離した大粒のミストや加湿給水管46の残水を排水する排水経路52を利用して利用側熱交換器25あるいは熱源側熱交換器27に生じた結露水を排水することにより、結露水用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水処理をすることができる。
また、冷媒対空気熱交換器29において換気ファン13により屋外に排出される浴室4以外の室内空間の空気に対して冷媒が吸熱(または放熱)するとともに利用側熱交換器25において循環ファン20が送風する空気に対して冷媒が放熱(または吸熱)することによりヒートポンプを動作させて浴室4内を加熱もしくは冷却することができる。
また、冷媒対水熱交換器37において熱源用給水管41から供給される湯水に対して冷媒が吸熱(または放熱)するとともに利用側熱交換器25において循環ファン20が送風する空気に対して冷媒が放熱(または吸熱)することによりヒートポンプを動作させて浴室4内を加熱もしくは冷却することができる。
また、換気ファン13により屋外に排出される浴室4以外の室内空間の空気に対して冷媒が吸熱または放熱する冷媒対空気熱交換器29と、熱源用給水管41から供給される湯水に対して冷媒が吸熱または放熱する冷媒対水熱交換器37を直列状態に冷媒回路23内に設け、冷媒対空気熱交換器29と冷媒対水熱交換器37における吸熱(または放熱)を複合あるいは切り換えることにより、換気ファン13が送風する空気と熱源用給水管41から供給される湯水の双方あるいは何れか一方を熱源としてヒートポンプを動作させて浴室4内を加熱もしくは冷却することができる。
また、浴室4以外の室内空間に設置された空調機15によって空調された空調空気を排気口9および排気口11から吸い込んで冷媒対空気熱交換器29に供給することにより、浴室4以外で発生した空調機15の熱エネルギーを浴室4の空調に利用することができる。
また、浴室4の加熱、加湿および冷却を行う場合は、浴室4に連通した換気通路21に設けた開閉装置22を閉鎖状態に設定して空調空気を排出せずに効率良く浴室4を空調し、また、浴室4の換気や乾燥を行う場合は開閉装置22を開放状態に設定して浴室4の空気を速やかに屋外に排出するような切換動作を実行することができる。
また、請求項24記載の発明によれば、浴室4を乾燥する場合に、換気通路21を通って屋外に排出される浴室4の空気から冷媒が吸熱することにより、利用側熱交換器25において浴室4の空気に放熱された熱を冷媒対空気熱交換器29において回収し乾燥効率の向上を図ることができる。
また、ミスト発生器30に供給される湯水を冷媒対空気熱交換器29に噴霧することにより冷媒対空気熱交換器29に付着した霜や氷を除去することができる。
また、利用側熱交換器25または冷媒対空気熱交換器29の霜や氷の除去に使用された給水および霜や氷が溶けたドレン水を、利用側熱交換器25において除去された大粒のミスト、または加湿用給水管46に溜まっている残水を装置外部に排水するための排水経路52を利用して装置外部に排水することにより、給水およびドレン水用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水を処理することができる。
また、熱源用給水管41を通じて深夜電力もしくはヒートポンプ式の給湯機で沸かされた湯を冷媒対水熱交換器37に供給することにより、加熱に係るランニングコストを低減することができる。
また、加湿用給水管43を熱源用給水管41から分岐させることにより、外部からの給水管の接続を一本化して施工を容易に行うことができる。
また、冷媒対水熱交換器37において冷媒と熱交換した後の湯水をミスト発生器30に供給することにより、冷媒対水熱交換器37での余熱を加湿に有効利用し、熱利用率を高めることができる。
また、冷媒対水熱交換器37において冷媒との熱交換をした後の湯水を利用側熱交換器25あるいは冷媒対空気熱交換器29に生じた結露水を装置外部に排水する排水経路52を利用して装置外部に排水することにより、冷媒対水熱交換器37用の排水経路を新たに設けることなく円滑に排水を処理することができる。
以上説明した内容は、発明を実施するための一形態についてのみ説明したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態2では、冷媒対空気熱交換器29と冷媒対水熱交換器37を冷媒回路23内において直列に介設する構成を示したが、冷媒対空気熱交換器29と冷媒対水熱交換器37を冷媒回路23内の膨張機構26と流路切換弁28の間に並列状態に介設するように構成しても良い。その場合、冷媒対空気熱交換器29と冷媒対水熱交換器37の各々の冷媒流入側および/または冷媒流出側に開閉弁を設けて冷媒の流れを何れか一方に切換可能に構成しても良い。その場合、冷媒対水熱交換器37側のみを熱源用熱交換器27として作用させてもよい。
また、上記実施の形態2では、サウナ運転として加湿用給水管43からの給水をノズル44で微細化して直接浴室4にミストを供給するシャワーミストサウナの運転モードと加湿用給水管46の先端に設けたノズル47から噴射された微細な液滴を循環ファン20により循環する空気に含ませて浴室4に供給するマイクロミストサウナの運転モードの何れかを選択する構成を示したが、シャワーミストとマイクロミストを複合させる運転モードを選択できるように構成してもよい。また、ミストサウナ運転の起動時はシャワーミスト運転により粒径の大きいミストを浴室4内に供給して加湿速度を速め、浴室4内の湿度が上昇したらマイクロミスト運転に切り換えて、視認性および水滴感のない微細なミストを浴室4内に供給して読書や映像の視聴を可能にする運転パターンを選択できるように構成しても良い。
また、上記実施の形態2では、冷媒対水熱交換器37の給水流路38の出口側に延設された加湿用給水管46の先端にノズル47を設けてミストを発生させる構成を示したが、実施の形態1で説明したように加湿用給水管46からの給水を超音波振動子33に供給して超音波振によりミストを発生させる構成としても良い。その場合、実施の形態2で説明したように加湿用給水管43からの給水をノズル44で微細化して直接浴室4にミストを供給するシャワーミストの運転形態と、超音波振動子33で発生させた微細な液滴を循環ファン20により循環する空気に含ませて浴室4に供給するマイクロミストの運転形態を複合させる、もしくは切り換えるように構成しても良い。