本発明の請求項1記載の発明は、浴室内の空気を吸引する吸込口と、前記吸込口から吸引した空気を送風する循環送風路と、前記浴室内の空気を吸引または送風する循環ファンと、前記浴室内に空気を吹出す吹出口で構成された循環送風経路と、トイレおよび/または脱衣室に開口した排気口から空気を吸引して室外に排気することで換気を行う換気用ファンを備えた換気送風経路と、冷媒を圧縮する圧縮機と前記循環送風経路内に設けられた第一熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と前記換気送風経路内に設けられた第二熱交換器の順に冷媒が循環するように配管接続された冷媒回路と、第二熱交換器の下部に設けられた貯水部で構成され、前記熱交換器は鉛直方向に上下二段構成で設置されており、前記第一熱交換器は下部に、前記第二熱交換器は上部に配置され、第二熱交換器において浴室外に排出される空気から冷媒が吸熱し、第一熱交換器において前記浴室内を循環する空気に冷媒が放熱することで前記浴室内を暖房し、前記第二熱交換器と前記第一熱交換器の間に設けた風路構成ダンパCを閉鎖したときは前記浴室内を暖房し、前記風路構成ダンパCを開放したときは前記浴室内の空気を室外に排気することで換気するとしたものであり、この手段により、圧縮機、第一熱交換器、膨張機構、第二熱交換器を一体で本体内に収めることが可能となり、屋外に室外機を置く必要がなく、また施工時に冷媒配管工事を不要とするため、省スペース化と施工性の向上が図れる。また、第二熱交換器の表面において換気送風経路を通過する空気との熱交換が行われ、第二熱交換器に吸熱された空気は第二熱交換器表面において結露が生じるため、第二熱交換器の下部に設けられた貯水部にドレン水が貯留するが、貯水部を装置内の高位置に備えることが可能になるため貯水部内の貯留水を排水する必要がある場合に、下り勾配や落差を利用した貯留水の処理が可能となるため、従来用いていたドレン排水用ドレンポンプが不要となり、部品工数を減らすとともに、ドレンポンプ内の残水による菌の繁殖を防止し、すなわち菌の繁殖問題を解決し、且つ不快な騒音を無くすことができる。
また、第二熱交換器において浴室外に排出されるトイレおよび/または脱衣室から吸引した空気から冷媒が吸熱し、第一熱交換器において前記浴室内を循環する空気に冷媒が放熱することで前記浴室内を暖房するとしたものであり、この手段により、トイレおよび/または脱衣室から室外へ排気する空気から排熱回収を行い浴室内を循環する空気に供給できるため、効率の良い暖房が可能となる。
また、風路構成ダンパCを閉鎖で設定し、換気送風路を通過する空気に対して第二熱交換器において冷媒が吸熱を行い、循環用ファンを運転することにより循環送風路を介して浴室内を循環する空気に対して第一熱交換器において冷媒が放熱を行う。この放熱により空気が加熱されて吹出口から浴室内に吹出す。このような運転動作を行うことにより高温の空気を吹出すことが可能となり、浴室内の温度が上昇することで浴室内を暖房することができる。また、風路構成ダンパCを開放で設定することにより、浴室内の空気を屋外に排気することにより換気が行われる。このように風路構成ダンパCを開閉することにより運転動作に沿った風路構成にすることができる。
本発明の請求項2記載の発明は、循環送風経路内の上流側に第二熱交換器を、また下流側に第一熱交換器を介して配置することにより、循環ファンにより送風される浴室内循環空気が第二熱交換器と第一熱交換器の順に通過する風路構成としたものであり、この手段により、浴室内循環空気中の水分を第二熱交換器表面に結露させることで生じたドレン水を、装置内の高位置に備えられた貯水部に貯留させることができ、下り勾配や落差を利用した貯留水の処理が可能となるため、従来用いていたドレン排水用ドレンポンプが不要となり、部品工数を減らすとともに、ドレンポンプ内の残水による菌の繁殖問題を解決し且つ不快な騒音を無くすことができる。
本発明の請求項3記載の発明は、前記吸入口と前記第二熱交換器との間に設けた風路構成ダンパAを開放するとともに、第二熱交換器と第一熱交換器の間に設けた風路構成ダンパCを開放したときに、第二熱交換器において浴室内循環空気から冷媒が吸熱し前記浴室内循環空気中の水分を前記第二熱交換器表面に結露させることで前記浴室内循環空気を除湿し、第一熱交換器において低湿度の前記浴室内循環空気に冷媒が放熱することで、浴室内を暖房除湿するとしたものであり、この手段により、第二熱交換器との熱交換で吸熱された空気が第二熱交換器表面で結露し除湿され、低湿度となった空気が第一熱交換器より放熱されることで昇温し、高温低湿となった空気が、浴室外部に排出されることなく浴室内を循環するため、効率良く浴室内を除湿することが可能となる。
本発明の請求項4記載の発明は、貯水部の貯留水を下り勾配を利用して排水する排水経路を設けたものであり、この手段により、装置内の高位置に設けられた貯水部からの下り勾配を利用した排水が可能になるため、従来用いていたドレン排水用ドレンポンプが不要となり、部品工数を減らすとともに、ドレンポンプ内の残水による菌の繁殖問題を解決し且つ不快な騒音を無くすことができる。
本発明の請求項5記載の発明は、貯水部の貯留水を第一熱交換器表面に供給するとしたものであり、この手段により、第一熱交換器表面において貯留水を蒸発させることができるため、排水経路を不要としたドレンレスタイプとなり、且つ浴室内を加湿することが可能となる。
本発明の請求項6記載の発明は、貯水部に超音波振動子を設置したものであり、この手段により、貯留水が超音波振動により微細な水滴となり送風空気に運ばれるため、排水経路を不要としたドレンレスタイプとなり、且つ浴室内を加湿することが可能となる。
本発明の請求項7記載の発明は、貯水部底面にヒータを設置したものであり、この手段により、貯水部の貯留水をヒータの熱で蒸発させることができるため、排水経路を不要としたドレンレスタイプとなり、且つ浴室内を加湿することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照しながら説明する。
まず本発明における換気空調装置が設置される移住空間について説明する。
図1は本発明の実施の形態における換気空調装置が設置される移住空間の見取り図である。図1において、居住空間1は、リビング2、浴室3、脱衣室4、トイレ5などに区画されており、浴室3の天井裏には、換気空調装置6が設置されている。この換気空調装置6には、換気空調装置6と屋外を連通する屋外排気ダクト7、脱衣室4の天井に開口した排気口A8と換気空調装置6とを連通する排気ダクトA9およびトイレ5の天井に開口した排気口B10と換気空調装置6とを連通する排気ダクトB11が接続されている。また、換気空調装置6内部には換気用シロッコファン12が配設されており、屋外と換気空調装置6を連通する屋外排気ダクト7は換気用シロッコファン12の吹出側に接続され、脱衣室4と換気空調装置6を連通する排気ダクトA9およびトイレ5と換気空調装置6を連通する排気ダクトB11は換気用シロッコファン12の吸込側に接続されている。したがって換気用シロッコファン12を運転すると、排気口A8および排気口B10から排気ダクトA9および排気ダクトB11を通じて脱衣室4およびトイレ5の空気が換気用シロッコファン12に吸い込まれ、屋外排気ダクト7を通じて屋外に排出される。そして換気用シロッコファン12を連続運転すると居住空間1内が負圧になるため、リビング2の屋外に面した壁に開口した給気口13から新鮮な外気が給気されて居住空間1が換気されることになる。この換気運転は建物の気密性が高い場合は連続して行う必要があるため(24時間換気)、換気用シロッコファン12は所定の換気量、例えば一時間で居住空間1の約半分の容積に相当する換気量を確保するように連続運転を行う。また、リビング2には部屋の温度をコントロールするための空調機14が設置されており、夏場は冷房運転、冬場は暖房運転を行って室温を適正に保持している。したがって前述したように年間を通じて連続した換気運転を行っていると、夏場はリビング2において空調機14で冷房された低温の空気、冬場は空調機14で暖房された高温の空気が脱衣室4のドアA15およびトイレ5のドアB16のガラリやアンダーカット部分を通じて排気口A8および排気口B10に吸い込まれ、換気空調装置6を介して屋外に排出されることになる。
図2は、本発明の実施の形態における換気空調装置の概略構成を示す概略図である。図に示すようにこの換気空調装置6は、外郭を形成する外装体17およびフロントパネル18、外装体17内に設けられた循環送風経路19、換気送風経路20および冷媒回路21、外装体17の一面に設けられ、換気送風経路20と連通する開口部22に接続された換気ユニット23、またこれらを制御する制御装置24から構成されている。以下にそれぞれの具体的な構成について記す。
図3に示すように外装体17の浴室側一面を形成するフロントパネル18は、浴室3内の空気を吸込むための吸込口25、浴室内循環空気を外装体17の外部に吹出すための吹出口26を備えている。また、吸込口25の外装体17側にはフィルタ27を備えており、浴室内空気を循環させる際に微細な塵や埃の侵入を防止する構造となっている。また、吹出口26部には加熱された空気の吹出方向を可変させるための吹出口ルーバ28が設けられており、吹出口ルーバ28は制御装置24(図3中には図示せず)に接続された吹出口ルーバ駆動用モータ29により自在に稼動することで任意の方向に吹出方向を可変させることができる。
図4に示す換気ユニット23は、制御装置24(図4中には図示せず)により回転数を自在に変更可能な換気ファン駆動用モータ30に接続された換気用シロッコファン12の吸込側に接続され、脱衣室4と連通している排気ダクトA9に連結する浴室外側吸込口A31およびトイレ5と連通している排気ダクトB11に連結する浴室外側吸込口B32、換気用シロッコファン12の吹出側に接続され、屋外へ連通している屋外排気ダクト7に連結する浴室外側吹出口33から構成されている。また、外装体17との接続面には換気ユニット側吸込口34と連結する外装体側吹出口35と換気ユニット側吹出口36と連結する外装体側吸込口37が設けられており、換気用シロッコファン12の吸込側に外装体側吸込口37を備え、外装体17内の換気送風路(図4中には図示せず)を介して外装体側吹出口35を備える風路構成となっている。
浴室外側吸込口A31および浴室外側吸込口B32から吸引した空気を外装体17内に流通させることなく換気する場合には、外装体側吸込口37部に備えられた外装体側吸込部ダンパ38および外装体側吹出口35部に備えられた外装体側吹出部ダンパ39を閉塞した風路構成に設定し、換気用シロッコファン12を運転する。他室より吸引した空気を外装体17を介して排気する場合には、外装体側吸込口37部に備えられた外装体側吸込部ダンパ38および外装体側吹出口35部に備えられた外装体側吹出部ダンパ39を開口した風路構成に設定し、換気用シロッコファン12を運転する。換気量の調整は各ダンパの開口面積の変更及び換気用シロッコファン12の回転数制御により行い、これらの組み合わせにより必要とする換気量を実現するものとする。
図5は本発明の実施の形態における換気空調装置の風路構成図及び冷媒回路図である。図に示すように外装体17内には、フロントパネル18の吸込口25および吹出口26を連結する循環送風路40が設けられており、循環送風路40内に備えられた、制御装置24(図5中には図示せず)により回転数を自在に変更可能な循環ファン駆動用モータ41に接続された送風手段としての循環用シロッコファン42が回転することで循環送風路40内に空気を送風する。外装体17の換気ユニット23連結側の面には換気ユニット側吸込口34および換気ユニット側吹出口36を形成しており、それぞれ換気ユニット23側の外装体側吹出口35、外装体側吸込口37と連結する構成となっているため、換気ユニット23に備えられた換気用シロッコファン12を起動させることにより、換気ユニット側吸込口34と換気ユニット側吹出口36を連通する換気送風路43内に空気を送風する。また、外装体17内には風路構成を可変するためのダンパが複数設けられており、運転動作に沿った風路構成になるべく各ダンパを所望の開度に開閉することとする。
また、外装体17内部に、冷媒として例えば、HCFC系冷媒(分子中に塩素、水素、フッ素、炭素の各原子を含む)、HFC系冷媒(分子中に水素、炭素、フッ素の各原子を含む)、炭化水素、二酸化炭素等の自然冷媒などの何れかを充填した冷媒回路21を形設しており、この冷媒回路21中に、冷媒を圧縮する圧縮機44、供給空気と冷媒とを熱交換させる第一熱交換器45、冷媒を膨張させる電子式膨張弁からなる膨張機構46、供給空気と冷媒とを熱交換させる第二熱交換器47を介設している。この冷媒回路21中を、圧縮機44で圧縮された冷媒が第一熱交換器45、膨張機構46、第二熱交換器47の順に流れて再び圧縮機44に戻る。また、この冷媒回路21には、圧縮機44で圧縮された冷媒が第一熱交換器45、膨張機構46、第二熱交換器47の順に流れて再び圧縮機44に戻る経路(以下、順サイクル)と、圧縮機44で圧縮された冷媒が第二熱交換器47、膨張機構46、第一熱交換器45の順に流れて再び圧縮機44に戻る経路(以下、逆サイクル)とを切り換えるための流路切換弁48が介設されている。
次に換気空調装置の各運転動作について順に説明する。まず始めに換気運転時の動作に関して説明する。換気運転は居住空間1の必要換気量を確保するために24時間連続して運転を実行する動作であり、この運転時は換気用シロッコファン12を必要換気量が確保可能な程度の低回転数で運転し、その際の風路構成は図6に示すように風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を開放、風路構成ダンパC51を開放、外装体側吸込部ダンパ38を開放、外装体側吹出部ダンパ39を閉鎖で設定することにより、浴室3内の空気を屋外排気ダクト7より屋外に排気する。この際に、外装体側吹出部ダンパ39を開放することで換気ユニット23と連通している脱衣室4やトイレ5の換気も同時に行うことが可能となり、この排出量に相当する新鮮な外気がリビング2に開口した給気口13から取り入れられて排出空気と入れ替わることにより居住空間1の換気が行われることとなる。
次に浴室3内暖房運転時の動作に関して説明する。暖房運転は、冬場等の気温の低い季節において、入浴前に浴室3内を暖房しておくことでヒートショックを軽減する入浴前予備暖房の目的や、浴室3の洗い場で体を洗う際に入浴者が寒さを感じずに快適に入浴できるように暖房する場合に実行する動作である。
その際の風路構成は、図7に示すように風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を開放、風路構成ダンパC51を閉鎖、外装体側吸込部ダンパ38を開放、外装体側吹出部ダンパ39を開放で設定することにより、第一熱交換器45は、循環送風路40内に配設され、第二熱交換器47は換気送風路43内に配設される。このため、圧縮機44を順サイクル運転させることで冷媒回路21内の冷媒を循環させ、換気用シロッコファン12を運転することにより換気送風路43を通過する空気に対して第二熱交換器47において冷媒が吸熱を行い、循環用シロッコファン42を運転することにより循環送風路40を介して浴室3内を循環する空気に対して第一熱交換器45において冷媒が放熱を行う。この放熱により空気が加熱されて吹出口26から浴室3内に吹出す。このような運転動作を行うことにより高温の空気を吹出すことが可能となり、浴室3内の温度が上昇することで浴室3内を暖房することができる。
また、冬場の外気温が非常に低い条件では、換気用シロッコファン12により第二熱交換器47に供給される脱衣室4およびトイレ5の空気の温度も低くなるため、上述した暖房運転実行中に第二熱交換器47に霜が付着する着霜現象が生じる。この着霜状態を放置しておくと第二熱交換器47における吸熱能力の低下に伴い、第一熱交換器45の放熱量が減少して浴室3が十分に暖房できないという問題が発生する。このような問題を抑制するため、暖房運転中に第二熱交換器47の冷媒配管の温度を監視し、その温度が所定値以下に低下した段階で第二熱交換器47に付着した霜を除去する除霜運転を実行する必要がある。
その除霜運転時の運転動作について次に説明する。暖房運転中の除霜運転を実行する場合は、まず循環用シロッコファン42と換気用シロッコファン12の両者の運転を停止し、流路切替弁48の設定を順サイクルから逆サイクルに切り換える。この設定を行うことにより、圧縮機44で圧縮された高温高圧の冷媒が逆サイクル側に切り換えられた流路切替弁48を通り第二熱交換器47に導かれる。この高温冷媒が第二熱交換器47の冷媒配管を流れることにより配管温度が上昇し表面に付着した霜が溶解する。溶解した霜はドレン水52となり貯水部53に滴下し貯留する。一方、第二熱交換器47で放熱して霜を溶かした冷媒は、膨張機構46、第一熱交換器45を順に流れて圧縮機44に戻り冷媒回路21を循環する。この除霜運転を継続することにより第二熱交換器47に付着した霜が溶けきり配管温度が上昇していく。この配管温度を継続的に監視し、配管温度が所定値以上(例えば3℃)に上昇した段階で除霜運転から暖房運転に再び切り換えることとする。これにより低温時の極端な加熱能力低下を抑制して十分な予備暖房を行うことが可能となる。なお、この除霜運転は暖房運転中のみの対策といった訳ではなく、各運転動作において第二熱交換器47に霜が付着した際には、この動作を運転することで問題を解決することができる。
次に浴室3内除湿運転時の動作に関して説明する。除湿運転は、入浴後等にカビ抑制のため浴室3を除湿する場合や、浴室3内に洗濯物を干して乾かす衣類乾燥を行う場合に実行する動作である。
その際の風路構成は、図8に示すように風路構成ダンパA49を開放、風路構成ダンパB50を閉鎖、風路構成ダンパC51を開放、外装体側吸込部ダンパ38を閉鎖、外装体側吹出部ダンパ39を閉鎖で設定することにより、第一熱交換器45は、循環送風路40内に配設され、第二熱交換器47は循環送風路40内と換気送風路43内の両者に介する位置に配設される。このため、圧縮機44を順サイクル運転させることで冷媒回路21内の冷媒を循環させ、循環用シロッコファン42を運転することにより循環送風路40を介して浴室3内を循環する空気に対してまず始めに通過する第二熱交換器47において冷媒が吸熱を行い、次いで第一熱交換器45を通過する際には冷媒が放熱を行う。浴室3内循環空気が第二熱交換器47を通過する際には冷媒より吸熱されるため空気の温度が低下し、空気の水分が第二熱交換器47表面に結露することで空気中の湿度が下がる。ここで第二熱交換器47表面に結露した水滴はドレン水となり貯水部53に滴下し貯留する。低湿度となった空気は次に通過する第一熱交換器45において冷媒より放熱されるため、この放熱により高温低湿となった空気が吹出口26から浴室3内に吹出す。このような運転動作を行うことにより高温低湿の空気を吹出すことが可能となり、浴室3内の温度が上昇し、湿度が低下することで浴室3内を除湿することができる。衣類乾燥を行う際には浴室3内に干した洗濯物に対して高温低湿の空気が直接当たる風向とすることで、洗濯物からの水分蒸発を促し短時間での衣類乾燥を実現することとなる。
なお、上記においては除湿運転時に換気送風路を閉鎖し室外への空気の排出を行わない風路構成としたが、浴室3内を所望の低湿度空間にできるのであれば、換気用シロッコファン12を低回転で運転し且つ換気送風路を開放することにより浴室3内空気を換気しながら除湿運転をする構成にしても、その作用効果に差異を生じず、望ましくは新鮮な空気を取り入れえるために多少なりとも換気しながら除湿運転を行う構成である。
次に浴室3内加湿暖房運転時の動作に関して説明する。加湿暖房運転は、浴室3内を高温高湿なサウナ環境にする場合に実行する動作である。
その際の風路構成は、図9に示すように風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を開放、風路構成ダンパC51を閉鎖、外装体側吸込部ダンパ38を開放、外装体側吹出部ダンパ39を開放で設定することにより、第一熱交換器45は、循環送風路40内に配設され、第二熱交換器47は換気送風路43内に配設される。このため、圧縮機44を順サイクル運転させることで冷媒回路21内の冷媒を循環させ、換気用シロッコファン12を運転することにより換気送風路43を通過する空気に対して第二熱交換器47において冷媒が吸熱を行い、循環用シロッコファン42を運転することにより循環送風路40を介して浴室3内を循環する空気に対して第一熱交換器45において冷媒が放熱を行う。空気を加湿する微細水滴を発生する手段としては微細水滴発生部54を外装体17内に設ける。以下に微細水滴発生部54の具体的な構成について説明する。
図10に示す微細水滴発生部54内には、微細水滴発生部吸込口55と微細水滴発生部吹出口56を連通する微細水滴発生部送風路57が設けられており、微細水滴発生部送風路57の微細水滴発生部吸込口55側に備えられた、制御装置24(図10中には図示せず)により回転数を自在に変更可能な微細水滴発生部ファン駆動用モータ58に接続された送風手段としての微細水滴発生部シロッコファン59が回転することで微細水滴発生部54内に空気を送風する。微細水滴発生部シロッコファン59の下流側には加熱手段としての空気加熱用の熱交換器であるPTCヒータ60を備えており、このPTCヒータ60を通って外装体17から流入する空気が加温され、高温の空気を送風することが可能となる。微細水滴発生部送風路57内の微細水滴発生部シロッコファンの下流側には噴霧ノズル61が設けられており、この噴霧ノズル61に加湿用給水を供給するための加湿用給水管62より温水(例えば40〜80℃)を供給し、供給された温水を噴霧ノズル61から微細な水滴として噴霧する。噴霧された微細水滴は微細水滴発生部54壁面に衝突することによって更に微細化される。ここで微細な水滴(例えば水滴径100μm以下)に関しては送風する空気とともに微細水滴発生部吹出口56より循環送風路40に吹出され、浴室内循環空気に供給され、微細な水滴に破砕することができなかった水滴に関しては、余剰水64として貯水部53へと向かう。送風空気とともに運ばれる微細な水滴の中でも、比較的水滴径が大なる水滴(例えば水滴径10〜100μm)に関しては微細水滴発生部送風路57の微細水滴発生部吹出口56側に設けられた水滴回収手段としての気液分離部63で回収され、余剰水64となり貯水部53へと向かう。気液分離部63を通過した微細な水滴(水滴径10μm以下)はPTCヒータ60により加熱された空気とともに微細水滴発生部吹出口56より循環送風路40に吹出され、浴室内循環空気に供給される。
こうして微細水滴を含む加湿空気が供給された循環送風路40内空気は、更に第一熱交換器45において冷媒より放熱されることにより、空気が加熱されて吹出口26から浴室3内に吹出す。このような運転動作を行うことにより高温高湿の空気を吹出すことが可能となり、浴室3内の温度および湿度が上昇することで浴室3内を加湿暖房することができる。
以上、説明した各運転動作において、第二熱交換器47の下部に備えられている貯水部53には、第二熱交換器表面に結露したものが滴下したドレン水52や、微細水滴発生部54より発生する余剰水64が、貯留している。この貯水部53に貯留した貯留水65は、下り勾配を利用して浴室3外へ排水経路66より排水される。排水経路66の下り勾配は角度が大きければ大きいほど良いが、望ましくは5°以上の勾配を確保することによって、貯水部53内の貯留水65を確実に排水することが可能となる。この下り勾配を設けるためには貯水部53、つまりは第二熱交換器47を装置内の高位置に設置する必要がある。
第一熱交換器45および第二熱交換器47は、通過空気との熱交換を効率的に行うために通過空気との接触面積を広く設けなければならないため、必然的に構成体積は大きなものとなり、換気空調装置6内に両者を備えるためには鉛直上下方向に二段構成で配置する構成が有効である。このため、通過空気の結露によりドレン水52が発生する第二熱交換器47は排水用の下り勾配を設けるために装置内の高位置に設置する必要があるため上部に、通過空気に放熱するための第一熱交換器45は吹出口26近傍に設置するために装置内の下部に設置することで、両者を換気空調装置6内に収めることが可能となり、且つ貯水部53内のドレン水52を排水する際に、下り勾配や落差を利用した処理が可能となるため、従来用いていたドレン排水用ドレンポンプが不要となり、部品工数を減らすとともに残水による菌の繁殖問題を解決し且つ不快な騒音を無くすことができる。
また、本実施の形態では、運転動作を換気運転、暖房運転、除霜運転、除湿運転、加湿暖房運転の5パターンとしたが、暖房運転時の風路構成において流路切換弁48の設定を順サイクルから逆サイクルに切り換え圧縮機44を運転すると、吹出口26から低温空気を吹出す冷房運転をすることができる。しかし、第一熱交換器45表面に結露が生じてしまうため第一熱交換器45下部への水受けの設置と、水受けより排水するための排水用ドレンポンプ等の設置が必要となる。
以上説明した内容は、発明を実施するための一形態についてのみ説明したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、空調する室内空間を浴室3とし、排気口を開口した室内空間を脱衣室4およびトイレ5としたが、空調空間および排気口を開口する空間は、居住空間内において区画された空間であれば良く、上記に限定されるものではない。即ち、空調空間をリビング2、排気口を開口する空間を浴室3などに設定しても良い。
また、上記実施の形態では、排気口を脱衣室4およびトイレ5の2箇所に開口する構成を示したが、排気口を開口位置および数はこれに限定されるものではない。例えばトイレ5等1箇所のみに排気口を開口する構成としても良い。
また、上記実施の形態では、他室の換気も同時に行う多室換気タイプの構成としたが、対象とする空間(例えば浴室3)のみを換気するタイプであっても問題なく、他室の換気を行うことで吸熱していた構成を浴室3内の循環空気より吸熱する構成に変更することによりその作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、他室の換気を行うことで吸熱を行い暖房を実施する構成としたが、吸込口25と第二熱交換器47を連結する風路を設け、浴室3内から吸引した空気を第二熱交換器47に通風することで吸熱を行い第一熱交換器45において放熱を行い浴室内に戻す構成をとしてもその作用効果に際を生じない。
また、上記実施の形態では、風路構成を変更するためのダンパによる開閉を開放状態と閉鎖状態の2通りのみとしたが、ダンパの開度を調整することで各運転時の風量調整や温度調整が可能となる。
また、上記実施の形態では、風路構成を変更する手段としてダンパ構造を有するものとしたが、風路を開閉することができればよく、これに限られたものではない。
また、上記実施の形態では、冷媒回路21の運転方法を順サイクル運転から逆サイクル運転に切り換えることで除霜運転を行う構成としたが、第二熱交換器47表面に付着した霜を除去できるのであれば問題なく、第二熱交換器47表面に湯水を供給する方法や除霜用にヒータを備え付ける方法を用いてもその作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、上記実施の形態では、圧縮機44の駆動方式について言及していないが圧縮機44の駆動方式は駆動周波数一定のものを使用しても駆動周波数可変のものを使用してもよい。
また、上記実施の形態では、外装体17、フロントパネル18および換気ユニット23と各々が分離した構成としたが、施工性や機能が損なわれないのであれば全てが一体化された構成であっても問題なく、その作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、シロッコファンを駆動するモータは制御装置24により回転数を自在に変更可能なモータを用いることとしたが、少なくとも2種類以上の回転数に変更可能であればよく、その作用効果に差異を生じない。なお望ましくは、回転数を線形的に任意の回転数に変化させることが可能なモータであることが好ましい。また、各種設定を変更せずに一定の条件で動作を行う場合においては、一定回転数のみで駆動するモータであっても問題なく、その作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、送風手段としてシロッコファンを用いたが、風量や消費電力、騒音や振動等の条件を満足するのであればクロスフローファン、ターボファン、プロペラファンなどの別方式のファンであっても問題なく、その作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、温水を噴霧することにより加湿を行う構成としたが、浴室が狭小(0.5坪程度)でそれほど大量な加湿を必要としない場合においては通常温度(20℃程度)の水道水などを使用してもその作用効果に差異を生じず、望ましくは浴室の広さや浴室外の温度雰囲気等に応じて浴室内が目的の温湿度となるように噴霧ノズル61より噴出する加湿水の温度を適宜設定することが望ましい。
また、上記実施の形態では、気液分離部63を通過する水滴径を10μm以下としたが、水滴径100μm以下の水滴径であればよく、気液分離部63を通過し、浴室内に供給される水滴径は入浴者が水滴感を感じることなく入浴できる程度の水滴径であることが望ましく、一般的には10μm以下程度の水滴径とすることでほとんどの人が水滴感を感じることなく入浴を行うことができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同一部分については同一の符号を附し、詳細な説明は省略する。
まず本発明における換気空調装置が設置される移住空間について説明する。
図1は本発明の実施の形態における換気空調装置が設置される移住空間の見取り図である。図1において、居住空間1は、リビング2、浴室3、脱衣室4、トイレ5などに区画されており、浴室3の天井裏には、換気空調装置6が設置されている。この換気空調装置6には、換気空調装置6と屋外を連通する屋外排気ダクト7、脱衣室4の天井に開口した排気口A8と換気空調装置6とを連通する排気ダクトA9およびトイレ5の天井に開口した排気口B10と換気空調装置6とを連通する排気ダクトB11が接続されている。また、換気空調装置6内部には換気用シロッコファン12が配設されており、屋外と換気空調装置6を連通する屋外排気ダクト7は換気用シロッコファン12の吹出側に接続され、脱衣室4と換気空調装置6を連通する排気ダクトA9およびトイレ5と換気空調装置6を連通する排気ダクトB11は換気用シロッコファン12の吸込側に接続されている。したがって換気用シロッコファン12を運転すると、排気口A8および排気口B10から排気ダクトA9および排気ダクトB11を通じて脱衣室4およびトイレ5の空気が換気用シロッコファン12に吸い込まれ、屋外排気ダクト7を通じて屋外に排出される。そして換気用シロッコファン12を連続運転すると居住空間1内が負圧になるため、リビング2の屋外に面した壁に開口した給気口13から新鮮な外気が給気されて居住空間1が換気されることになる。この換気運転は建物の気密性が高い場合は連続して行う必要があるため(24時間換気)、換気用シロッコファン12は所定の換気量、例えば一時間で居住空間1の約半分の容積に相当する換気量を確保するように連続運転を行う。また、リビング2には部屋の温度をコントロールするための空調機14が設置されており、夏場は冷房運転、冬場は暖房運転を行って室温を適正に保持している。したがって前述したように年間を通じて連続した換気運転を行っていると、夏場はリビング2において空調機14で冷房された低温の空気、冬場は空調機14で暖房された高温の空気が脱衣室4のドアA15およびトイレ5のドアB16のガラリやアンダーカット部分を通じて排気口A8および排気口B10に吸い込まれ、換気空調装置6を介して屋外に排出されることになる。
図2は、本発明の実施の形態における換気空調装置の概略構成を示す概略図である。図に示すようにこの換気空調装置は、外郭を形成する外装体17およびフロントパネル18、外装体17内に設けられた循環送風経路19、換気送風経路20および冷媒回路21、外装体17の一面に設けられ、換気送風経路20と連通する開口部22に接続された換気ユニット23、またこれらを制御する制御装置24から構成されている。以下にそれぞれの具体的な構成について記す。
図3に示すように外装体17の浴室側一面を形成するフロントパネル18は、浴室3内の空気を吸込むための吸込口25、浴室内循環空気を外装体17の外部に吹出すための吹出口26を備えている。また、吸込口25の外装体17側にはフィルタ27を備えており、浴室内空気を循環させる際に微細な塵や埃の侵入を防止する構造となっている。また、吹出口26部には加熱された空気の吹出方向を可変させるための吹出口ルーバ28が設けられており、吹出口ルーバ28は制御装置24(図3中には図示せず)に接続された吹出口ルーバ駆動用モータ29により自在に稼動することで任意の方向に吹出方向を可変させることができる。
図4に示す換気ユニット23は、制御装置24(図4中には図示せず)により回転数を自在に変更可能な換気ファン駆動用モータ30に接続された換気用シロッコファン12の吸込側に接続され、脱衣室4と連通している排気ダクトA9に連結する浴室外側吸込口A31およびトイレ5と連通している排気ダクトB11に連結する浴室外側吸込口B32、換気用シロッコファン12の吹出側に接続され、屋外へ連通している屋外排気ダクト7に連結する浴室外側吹出口33から構成されている。また、外装体17との接続面には換気ユニット側吸込口34と連結する外装体側吹出口35と換気ユニット側吹出口36と連結する外装体側吸込口37が設けられており、換気用シロッコファン12の吸込側に外装体側吸込口37を備え、外装体17内の換気送風路43を介して外装体側吹出口35を備える風路構成となっている。
浴室外側吸込口A31および浴室外側吸込口B32から吸引した空気を外装体17内に流通させることなく換気する場合には、外装体側吸込口37部に備えられた外装体側吸込部ダンパ38および外装体側吹出口35部に備えられた外装体側吹出部ダンパ39を閉塞した風路構成に設定し、換気用シロッコファン12を運転する。他室より吸引した空気を外装体17を介して排気する場合には、外装体側吸込口37部に備えられた外装体側吸込部ダンパ38および外装体側吹出口35部に備えられた外装体側吹出部ダンパ39を開口した風路構成に設定し、換気用シロッコファン12を運転する。換気量の調整は各ダンパの開口面積の変更及び換気用シロッコファン12の回転数制御により行い、これらの組み合わせにより必要とする換気量を実現するものとする。
図5は本発明の実施の形態における換気空調装置の風路構成図及び冷媒回路図である。図に示すように外装体17内には、フロントパネル18の吸込口25および吹出口26を連結する循環送風路40が設けられており、循環送風路40内に備えられた、制御装置24(図5中には図示せず)により回転数を自在に変更可能な循環ファン駆動用モータ41に接続された送風手段としての循環用シロッコファン42が回転することで循環送風路40内に空気を送風する。外装体17の換気ユニット23連結側の面には換気ユニット側吸込口34および換気ユニット側吹出口36を形成しており、それぞれ換気ユニット23側の外装体側吹出口35、外装体側吸込口37と連結する構成となっているため、換気ユニット23に備えられた換気用シロッコファン12を起動させることにより、換気ユニット側吸込口34と換気ユニット側吹出口36を連通する換気送風路43内に空気を送風する。また、外装体17内には風路構成を可変するためのダンパが複数設けられており、運転動作に沿った風路構成になるべく各ダンパを所望の開度に開閉することとする。
また、外装体17内部に、冷媒として例えば、HCFC系冷媒(分子中に塩素、水素、フッ素、炭素の各原子を含む)、HFC系冷媒(分子中に水素、炭素、フッ素の各原子を含む)、炭化水素、二酸化炭素等の自然冷媒などの何れかを充填した冷媒回路21を形設しており、この冷媒回路21中に、冷媒を圧縮する圧縮機44、供給空気と冷媒とを熱交換させる第一熱交換器45、冷媒を膨張させる電子式膨張弁からなる膨張機構46、供給空気と冷媒とを熱交換させる第二熱交換器47を介設している。この冷媒回路21中を、圧縮機44で圧縮された冷媒が第一熱交換器45、膨張機構46、第二熱交換器47の順に流れて再び圧縮機44に戻る。また、この冷媒回路21には、圧縮機44で圧縮された冷媒が第一熱交換器45、膨張機構46、第二熱交換器47の順に流れて再び圧縮機44に戻る経路(以下、順サイクル)と、圧縮機44で圧縮された冷媒が第二熱交換器47、膨張機構46、第一熱交換器45の順に流れて再び圧縮機44に戻る経路(以下、逆サイクル)とを切り換えるための流路切換弁48が介設されている。
次に換気空調装置の各運転動作について順に説明する。まず始めに換気運転時の動作に関して説明する。換気運転は居住空間1の必要換気量を確保するために24時間連続して運転を実行する動作であり、この運転時は換気用シロッコファン12を必要換気量が確保可能な程度の低回転数で運転し、その際の風路構成は図6に示すように風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を開放、風路構成ダンパC51を開放、外装体側吸込部ダンパ38を開放、外装体側吹出部ダンパ39を閉鎖で設定することにより、浴室3内の空気を屋外排気ダクト7より屋外に排気する。この際に、外装体側吹出部ダンパ39を開放することで換気ユニット23と連通している脱衣室4やトイレ5の換気も同時に行うことが可能となり、この排出量に相当する新鮮な外気がリビング2に開口した給気口13から取り入れられて排出空気と入れ替わることにより居住空間1の換気が行われることとなる。
次に浴室3内暖房運転時の動作に関して説明する。暖房運転は、冬場等の気温の低い季節において、入浴前に浴室3内を暖房しておくことでヒートショックを軽減する入浴前予備暖房の目的や、浴室3の洗い場で体を洗う際に入浴者が寒さを感じずに快適に入浴できるように暖房する場合に実行する動作である。
その際の風路構成は、図7に示すように風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を開放、風路構成ダンパC51を閉鎖、外装体側吸込部ダンパ38を開放、外装体側吹出部ダンパ39を開放で設定することにより、第一熱交換器45は、循環送風路40内に配設され、第二熱交換器47は換気送風路43内に配設される。このため、圧縮機44を順サイクル運転させることで冷媒回路21内の冷媒を循環させ、換気用シロッコファン12を運転することにより換気送風路43を通過する空気に対して第二熱交換器47において冷媒が吸熱を行い、循環用シロッコファン42を運転することにより循環送風路40を介して浴室3内を循環する空気に対して第一熱交換器45において冷媒が放熱を行う。この放熱により空気が加熱されて吹出口26から浴室3内に吹出す。このような運転動作を行うことにより高温の空気を吹出すことが可能となり、浴室3内の温度が上昇することで浴室3内を暖房することができる。
また、冬場の外気温が非常に低い条件では、換気用シロッコファン12により第二熱交換器47に供給される脱衣室4およびトイレ5の空気の温度も低くなるため、上述した暖房運転実行中に第二熱交換器47に霜が付着する着霜現象が生じる。この着霜状態を放置しておくと第二熱交換器47における吸熱能力の低下に伴い、第一熱交換器45の放熱量が減少して浴室3が十分に暖房できないという問題が発生する。このような問題を抑制するため、暖房運転中に第二熱交換器47の冷媒配管の温度を監視し、その温度が所定値以下に低下した段階で第二熱交換器47に付着した霜を除去する除霜運転を実行する必要がある。
その除霜運転時の運転動作について次に説明する。暖房運転中の除霜運転を実行する場合は、まず循環用シロッコファン42と換気用シロッコファン12の両者の運転を停止し、流路切換弁48の設定を順サイクルから逆サイクルに切り換える。この設定を行うことにより、圧縮機44で圧縮された高温高圧の冷媒が逆サイクル側に切り換えられた流路切換弁48を通り第二熱交換器47に導かれる。この高温冷媒が第二熱交換器47の冷媒配管を流れることにより配管温度が上昇し表面に付着した霜が溶解する。溶解した霜はドレン水52となり貯水部53に滴下し貯留する。一方、第二熱交換器47で放熱して霜を溶かした冷媒は、膨張機構46、第一熱交換器45を順に流れて圧縮機44に戻り冷媒回路21を循環する。この除霜運転を継続することにより第二熱交換器47に付着した霜が溶けきり配管温度が上昇していく。この配管温度を継続的に監視し、配管温度が所定値以上(例えば3℃)に上昇した段階で除霜運転から暖房運転に再び切り換えることとする。これにより低温時の極端な加熱能力低下を抑制して十分な予備暖房を行うことが可能となる。なお、この除霜運転は暖房運転中のみの対策といった訳ではなく、各運転動作において第二熱交換器47に霜が付着した際には、この動作を運転することで問題を解決することができる。
次に浴室3内除湿運転時の動作に関して説明する。除湿運転は、入浴後等にカビ抑制のため浴室3を除湿する場合や、浴室3内に洗濯物を干して乾かす衣類乾燥を行う場合に実行する動作である。
その際の風路構成は、図8に示すように風路構成ダンパA49を開放、風路構成ダンパB50を閉鎖、風路構成ダンパC51を開放、外装体側吸込部ダンパ38を閉鎖、外装体側吹出部ダンパ39を閉鎖で設定することにより、第一熱交換器45は、循環送風路40内に配設され、第二熱交換器47は循環送風路40内と換気送風路43内の両者に介する位置に配設される。このため、圧縮機44を順サイクル運転させることで冷媒回路21内の冷媒を循環させ、循環用シロッコファン42を運転することにより循環送風路40を介して浴室3内を循環する空気に対してまず始めに通過する第二熱交換器47において冷媒が吸熱を行い、次いで第一熱交換器45を通過する際には冷媒が放熱を行う。
浴室3内循環空気が第二熱交換器47を通過する際には冷媒より吸熱されるため空気の温度が低下し、空気の水分が第二熱交換器47表面に結露することで空気中の湿度が下がる。ここで第二熱交換器47表面に結露した水滴はドレン水となり貯水部53に滴下し貯留する。低湿度となった空気は次に通過する第一熱交換器45において冷媒より放熱されるため、この放熱により高温低湿となった空気が吹出口26から浴室3内に吹出す。このような運転動作を行うことにより高温低湿の空気を吹出すことが可能となり、浴室3内の温度が上昇し、湿度が低下することで浴室3内を除湿することができる。衣類乾燥を行う際には浴室3内に干した洗濯物に対して高温低湿の空気が直接当たる風向とすることで、洗濯物からの水分蒸発を促し短時間での衣類乾燥を実現することとなる。
なお、上記においては除湿運転時に換気送風路を閉鎖し室外への空気の排出を行わない風路構成としたが、浴室3内を所望の低湿度空間にできるのであれば、換気用シロッコファン12を低回転で運転し且つ換気送風路を開放することにより浴室3内空気を換気しながら除湿運転をする構成にしても、その作用効果に差異を生じず、望ましくは新鮮な空気を取り入れえるために多少なりとも換気しながら除湿運転を行う構成である。
次に浴室3内加湿暖房運転時の動作に関して説明する。加湿暖房運転は、浴室3内を高温高湿なサウナ環境にする場合に実行する動作である。
その際の風路構成は、図9に示すように風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を開放、風路構成ダンパC51を閉鎖、外装体側吸込部ダンパ38を開放、外装体側吹出部ダンパ39を開放で設定することにより、第一熱交換器45は、循環送風路40内に配設され、第二熱交換器47は換気送風路43内に配設される。このため、圧縮機44を順サイクル運転させることで冷媒回路21内の冷媒を循環させ、換気用シロッコファン12を運転することにより換気送風路43を通過する空気に対して第二熱交換器47において冷媒が吸熱を行い、循環用シロッコファン42を運転することにより循環送風路40を介して浴室3内を循環する空気に対して第一熱交換器45において冷媒が放熱を行う。空気を加湿する微細水滴を発生する手段としては微細水滴発生部54を外装体17内に設ける。以下に微細水滴発生部54の具体的な構成について説明する。
図10に示す微細水滴発生部54内には、微細水滴発生部吸込口55と微細水滴発生部吹出口56を連通する微細水滴発生部送風路57が設けられており、微細水滴発生部送風路57の微細水滴発生部吸込口55側に備えられた、制御装置24(図10中には図示せず)により回転数を自在に変更可能な微細水滴発生部ファン駆動用モータ58に接続された送風手段としての微細水滴発生部シロッコファン59が回転することで微細水滴発生部54内に空気を送風する。微細水滴発生部シロッコファン59の下流側には加熱手段としての空気加熱用の熱交換器であるPTCヒータ60を備えており、このPTCヒータ60を通って外装体17から流入する空気が加温され、高温の空気を送風することが可能となる。
微細水滴発生部送風路57内の微細水滴発生部シロッコファンの下流側には噴霧ノズル61が設けられており、この噴霧ノズル61に加湿用給水を供給するための加湿用給水管62より温水(例えば40〜80℃)を供給し、供給された温水を噴霧ノズル61から微細な水滴として噴霧する。噴霧された微細水滴は微細水滴発生部54壁面に衝突することによって更に微細化される。ここで微細な水滴(例えば水滴径100μm以下)に関しては送風する空気とともに微細水滴発生部吹出口56より循環送風路40に吹出され、浴室内循環空気に供給され、微細な水滴に破砕することができなかった水滴に関しては、余剰水64として貯水部53へと向かう。送風空気とともに運ばれる微細な水滴の中でも、比較的水滴径が大なる水滴(例えば水滴径10〜100μm)に関しては微細水滴発生部送風路57の微細水滴発生部吹出口56側に設けられた水滴回収手段としての気液分離部63で回収され、余剰水64となり貯水部53へと向かう。気液分離部63を通過した微細な水滴(水滴径10μm以下)はPTCヒータ60により加熱された空気とともに微細水滴発生部吹出口56より循環送風路40に吹出され、浴室内循環空気に供給される。
こうして微細水滴を含む加湿空気が供給された循環送風路40内空気は、更に第一熱交換器45において冷媒より放熱されることにより、空気が加熱されて吹出口26から浴室3内に吹出す。このような運転動作を行うことにより高温高湿の空気を吹出すことが可能となり、浴室3内の温度および湿度が上昇することで浴室3内を加湿暖房することができる。
以上、説明した各運転動作において、第二熱交換器47の下部に備えられている貯水部53には、第二熱交換器表面に結露したものが滴下したドレン水52や、微細水滴発生部54より発生する余剰水64が、貯留している。この貯水部53に貯留した貯留水65は、第二熱交換器47の下部に設けられた貯水部53の下部にヒータを設けることで、貯留水65を加熱し蒸発させ、循環空気とともに浴室3内へと吹出すことで貯留水65をなくす構成とする。
第一熱交換器45および第二熱交換器47は、通過空気との熱交換を効率的に行うために通過空気との接触面積を広く設けなければならないため、必然的に構成体積は大きなものとなり、換気空調装置6内に両者を備えるためには鉛直上下方向に二段構成で配置する構成が有効である。このため、通過空気の結露によりドレン水52が発生する第二熱交換器47は上部に、通過空気に放熱するための第一熱交換器45は吹出口26近傍に設置するために装置内の下部に設置することで、両者を換気空調装置6内に収めることが可能となり、且つ貯水部53内のドレン水52を排水する際に、下り勾配や落差を利用した処理が可能となるため、従来用いていたドレン排水用ドレンポンプが不要となり、部品工数を減らすとともに残水による菌の繁殖問題を解決し且つ不快な騒音を無くすことができる。
また、本実施の形態では、運転動作を換気運転、暖房運転、除霜運転、除湿運転、加湿暖房運転の5パターンとしたが、暖房運転時の風路構成において流路切換弁48の設定を順サイクルから逆サイクルに切り換え圧縮機44を運転すると、吹出口26から低温空気を吹出す冷房運転をすることができる。しかし、第一熱交換器45表面に結露が生じてしまうため第一熱交換器45下部への水受けの設置と、水受けより排水するための排水用ドレンポンプ等の設置が必要となる。
以上説明した内容は、発明を実施するための一形態についてのみ説明したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、空調する室内空間を浴室3とし、排気口を開口した室内空間を脱衣室4およびトイレ5としたが、空調空間および排気口を開口する空間は、居住空間内において区画された空間であれば良く、上記に限定されるものではない。即ち、空調空間をリビング2、排気口を開口する空間を浴室3などに設定しても良い。
また、上記実施の形態では、排気口を脱衣室4およびトイレ5の2箇所に開口する構成を示したが、排気口を開口位置および数はこれに限定されるものではない。例えばトイレ50箇所のみに排気口を開口する構成としても良い。
また、上記実施の形態では、他室の換気も同時に行う多室換気タイプの構成としたが、対象とする空間(例えば浴室3)のみを換気するタイプであっても問題なく、他室の換気を行うことで吸熱していた構成を浴室3内の循環空気より吸熱する構成に変更することによりその作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、他室の換気を行うことで吸熱を行い暖房を実施する構成としたが、吸込口25と第二熱交換器47を連結する風路を設け、浴室3内から吸引した空気を第二熱交換器47に通風することで吸熱を行い第一熱交換器45において放熱を行い浴室内に戻す構成をとしてもその作用効果に際を生じない。
なお、本実施の形態においては第二熱交換器47の下部に設けられた貯水部53の下部にヒータを設けることにより貯水部53の貯留水65を蒸発させることとしたが、貯水部53の貯留水65を除去させることが可能であるのならば他の手段を用いても何ら問題はなく、貯水部53より第一熱交換器45表面に貯留水65を誘導する貯水部誘導経路を設け、第一熱交換器45表面へと貯留水65を供給することで、高温となった第一熱交換器45表面において貯留水65が蒸発し、循環空気とともに浴室3内へと吹出す方法や、第二熱交換器47の下部に設けられた貯水部53に超音波振動子を設け周波数1MHz〜3MHz程度で振動することによって、貯留水65を微細化して、循環空気とともに浴室3内へと吹出す方法を用いてもその作用効果に差異を生じない。なおここでの、第一熱交換器45表面へと貯留水65を供給する方法に関しては詳細な明記はしていないが、供給した貯留水65を全て蒸発させるためには第一熱交換器45表面部全体に均一に供給する必要があり、広角に噴霧する方法や、数ヶ所設けた開口部から滴下させる方法などが一例である。
また、上記実施の形態では、風路構成を変更するためのダンパによる開閉を開放状態と閉鎖状態の2通りのみとしたが、ダンパの開度を調整することで各運転時の風量調整や温度調整が可能となる。
また、上記実施の形態では、風路構成を変更する手段としてダンパ構造を有するものとしたが、風路を開閉することができればよく、これに限られたものではない。
また、上記実施の形態では、冷媒回路21の運転方法を順サイクル運転から逆サイクル運転に切り換えることで除霜運転を行う構成としたが、第二熱交換器47表面に付着した霜を除去できるのであれば問題なく、第二熱交換器47表面に湯水を供給する方法や除霜用にヒータを備え付ける方法を用いてもその作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、上記実施の形態では、圧縮機44の駆動方式について言及していないが圧縮機44の駆動方式は駆動周波数一定のものを使用しても駆動周波数可変のものを使用してもよい。
また、上記実施の形態では、外装体17、フロントパネル18および換気ユニット23と各々が分離した構成としたが、施工性や機能が損なわれないのであれば全てが一体化された構成であっても問題なく、その作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、シロッコファンを駆動するモータは制御装置24により回転数を自在に変更可能なモータを用いることとしたが、少なくとも2種類以上の回転数に変更可能であればよく、その作用効果に差異を生じない。なお望ましくは、回転数を線形的に任意の回転数に変化させることが可能なモータであることが好ましい。また、各種設定を変更せずに一定の条件で動作を行う場合においては、一定回転数のみで駆動するモータであっても問題なく、その作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、送風手段としてシロッコファンを用いたが、風量や消費電力、騒音や振動等の条件を満足するのであればクロスフローファン、ターボファン、プロペラファンなどの別方式のファンであっても問題なく、その作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、温水を噴霧することにより加湿を行う構成としたが、浴室が狭小(0.5坪程度)でそれほど大量な加湿を必要としない場合においては通常温度(20℃程度)の水道水などを使用してもその作用効果に差異を生じず、望ましくは浴室の広さや浴室外の温度雰囲気等に応じて浴室内が目的の温湿度となるように噴霧ノズル61より噴出する加湿水の温度を適宜設定することが望ましい。
また、上記実施の形態では、気液分離部63を通過する水滴径を10μm以下としたが、水滴径100μm以下の水滴径であればよく、気液分離部63を通過し、浴室内に供給される水滴径は入浴者が水滴感を感じることなく入浴できる程度の水滴径であることが望ましく、一般的には10μm以下程度の水滴径とすることでほとんどの人が水滴感を感じることなく入浴を行うことができる。