JP2008025867A - エジェクタ式冷凍サイクルおよび蒸発器ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸発器15、18の圧力損失の許容範囲を明確にするとともに、その圧力損失が許容範囲内となるように有効流路断面積を大きくすることのできる蒸発器ユニット20とする。
【解決手段】所定の圧力損失を持つ蒸発器15、18がエジェクタ14の吸引側および流出側の少なくとも一方に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、システムが最大負荷条件時に蒸発器15、18における冷媒の圧力損失ΔP1、ΔP2がエジェクタ14による昇圧量PEよりも少なくなるようにする。
これにより、蒸発器15、18における冷媒の圧力損失ΔP1、ΔP2がエジェクタ14による昇圧量PEよりも小さくする(ΔP1、ΔP2<PEとする)ことで、蒸発器15、18での平均蒸発温度が従来の膨張弁サイクルよりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷媒減圧手段の役割および冷媒循環手段の役割を果たすエジェクタと、複数の蒸発器とを有するエジェクタ式冷凍サイクル、およびそのエジェクタ式冷凍サイクルに用いる蒸発器ユニットに関するものである。
従来、この種のエジェクタ式冷凍サイクルは、下記の特許文献1、2などにて知られている。例えば特許文献1では、絞り機構を出た冷媒を第2蒸発器で蒸発させ、その蒸発した冷媒をエジェクタに吸入させることで冷媒の圧力が上昇する。そして、エジェクタを出た冷媒は第1蒸発器で蒸発させた後、圧縮機に吸入される。
第2蒸発器の蒸発温度はエジェクタの昇圧効果により第1蒸発器の蒸発温度より低くなることから、被冷却流体(例えば空気)との温度差が大きくなり、冷却性能が向上する。なお、エジェクタでの昇圧量はエジェクタの吸入冷媒流量とノズルに入る駆動冷媒流量との割合と、各冷媒の状態とによって変化する。
また、エジェクタとエジェクタ吸入冷媒の第2蒸発器とが離れている場合、またはエジェクタとエジェクタ吐出冷媒の第1蒸発器とが離れている場合、冷媒の流れに圧力損失が生じてエジェクタの昇圧効果が目減りされるため、エジェクタを第1、第2蒸発器と最も近い位置に配置することが望ましい。そこで、下記の特許文献3では、エジェクタと第1、第2蒸発器とを一体構造とすることで、エジェクタを第1、第2蒸発器の出入り口近傍に配置するようにしている。
特開2005−308384号公報 特開2005−308380号公報 特許第3265649号
しかしながら、エジェクタを第1、第2蒸発器の出入り口近傍としてヘッダタンク部内などに配置した場合、冷媒流路断面積が減少して冷媒質量流速(冷媒質量流速とは、ヘッダタンク部内やチューブ内など冷媒流れの各部において、冷媒質量流量を冷媒流路断面積で割った値である)が高くなるため、圧力損失が大きくなり、冷却性能の向上効果が減少してしまうという問題点がある。
この圧力損失を小さくするため、各冷媒流路断面積を大きく設定したり、冷媒流路長さを短く設定したりして冷媒質量流速を低減させることができるが、従来は圧力損失の許容範囲が不明であるために流路断面積や流路長さの最適設定が困難であった。
本発明の目的は、所定の圧力損失を持つ蒸発器がエジェクタの吸引側および流出側の少なくとも一方に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、蒸発器の圧力損失の許容範囲を明確にするとともに、その圧力損失が許容範囲内となるように有効流路断面積を大きくすることのできる蒸発器ユニットを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項13に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、所定の圧力損失を持つ蒸発器(15、18)がエジェクタ(14)の吸引側および流出側の少なくとも一方に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、
システムが最大負荷条件時に蒸発器(15、18)における冷媒の圧力損失(ΔP1、ΔP2)がエジェクタ(14)による昇圧量(PE)よりも少なくなるように設定されたことを特徴としている。
この請求項1に記載の発明によれば、蒸発器(15、18)における冷媒の圧力損失(ΔP1、ΔP2)がエジェクタ(14)による昇圧量(PE)よりも小さくする(ΔP1、ΔP2<PEとする)ことで、蒸発器(15、18)での平均蒸発温度を従来の膨張弁サイクルよりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、所定の圧力損失を持つ蒸発器(18)がエジェクタ(14)の吸引側に配置され、システムが最大負荷条件時に蒸発器(18)における冷媒の圧力損失(ΔP2)がエジェクタ(14)による昇圧量(PE)よりも少なくなるように設定されていることを特徴としている。
この請求項2に記載の発明によれば、吸入側に配置した蒸発器(18)の圧力損失(ΔP2)を、エジェクタ(14)による昇圧量(PE)よりも小さくする(ΔP2<PEとする)ことで、蒸発器(18)での平均蒸発温度が従来の膨張弁サイクルよりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、請求項3に記載の発明では、請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、所定の圧力損失を持つ蒸発器(15)がエジェクタ(14)の流出側に配置され、システムが最大負荷条件時に蒸発器(15)における冷媒の圧力損失(ΔP1)がエジェクタ(14)による昇圧量(PE)よりも少なくなるように設定されていることを特徴としている。
この請求項3に記載の発明によれば、流出側に配置した蒸発器(15)の圧力損失(ΔP1)をエジェクタ(14)による昇圧量(PE)よりも小さくする(ΔP1<PEとする)ことで、蒸発器(15)の圧損係数が従来の蒸発器より大きい場合でも、流出側の蒸発器(15)での平均蒸発温度を従来の膨張弁サイクルよりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、請求項4に記載の発明では、請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、所定の圧力損失を持つ第1の蒸発器(15)がエジェクタ(14)の流出側に配置され、所定の圧力損失を持つ第2の蒸発器(18)がエジェクタ(14)の吸引側に配置され、システムが最大負荷条件時に第2の蒸発器(18)における冷媒の圧力損失(ΔP2)が第1の蒸発器(15)における冷媒の圧力損失(ΔP1)よりも少なくなるよう第1、第2の蒸発器(15、18)が設定されていることを特徴としている。
この請求項4に記載の発明によれば、吸入側に配置した第2の蒸発器(18)の圧力損失(ΔP2)を、流出側に配置した第1の蒸発器(15)の圧力損失(ΔP1)よりも小さくする(ΔP2<ΔP1とする)ことで、吸入側に配置した第2の蒸発器(18)の平均蒸発温度を従来の膨張弁サイクルよりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のうちいずれか1項に記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、前記設定となるように蒸発器(15、18)の冷媒流路断面積が設定されていることを特徴としている。この請求項5に記載の発明によれば、具体的に蒸発器(15、18)の冷媒流路断面積を操作することによって請求項1ないし請求項4に示す圧力関係とすることができる。
また、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、圧力損失(ΔP1、ΔP2)が100kPa以下となるように蒸発器(15、18)の冷媒流路断面積が設定されていることを特徴としている。この請求項6に記載の発明によれば、エジェクタ(14)の最大昇圧量(max.PE)が100kPa程度であることによるものである。
また、請求項7に記載の発明では、請求項5に記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、蒸発器(15、18)の冷媒最小流路断面が水力直径10mm以上に設定されていることを特徴としている。この請求項7に記載の発明によれば、図15に示す冷媒最小流路の水力直径と蒸発器内圧損との関係より、システム最大負荷条件時の最大冷媒流量にて蒸発器の圧力損失(ΔP1、ΔP2)をエジェクタ(14)の最大昇圧量(max.PE)である100kPaよりも抑えようとすると、冷媒最小流路断面での水力直径は10mm以上とする必要があることによるものである。
また、請求項8に記載の発明では、所定の圧力損失を持つ第1の蒸発器(15)がエジェクタ(14)の流出側に配置され、所定の圧力損失を持つ第2の蒸発器(18)がエジェクタ(14)の吸引側に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、
第2の蒸発器(18)出口における冷媒の圧力(Po2)が第1の蒸発器(15)出口における冷媒の圧力(Po1)以下となるよう第1、第2の蒸発器(15、18)それぞれの入口絞り機構(14a、17)が設定されていることを特徴としている。
この請求項8に記載の発明によれば、エジェクタ流出冷媒量がエジェクタ吸入冷媒量よりも多いことから、吸入側に配置した第2の蒸発器(18)の平均蒸発温度を流出側に配置した第1の蒸発器(15)の平均蒸発温度よりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、請求項9に記載の発明では、ノズル部(14a)から噴射される高い速度の冷媒流により冷媒吸引口(14b)から冷媒を吸引し、ノズル部(14a)から噴射された冷媒と冷媒吸引口(14b)から吸引された冷媒とを混合して吐出するエジェクタ(14)と、
エジェクタ(14)に吸引される冷媒またはエジェクタ(14)から吐出された冷媒を蒸発させる蒸発器(15、18)とを備え、
蒸発器(15、18)とエジェクタ(14)とが一体に組み付けられた蒸発器ユニット(20)において、
蒸発器(15、18)のヘッダタンク部(15b、15c、18b、18c)内に挿入されたチューブ(21)の先端形状が、チューブ(21)の幅方向において、両端部に対して中央部が窪んだ形状であることを特徴としている。
この請求項9に記載の発明によれば、ヘッダタンク部(15b、15c、18b、18c)内の冷媒流路断面積を大きくすることが可能となり、蒸発器(15、18)の冷媒圧力損失を少なくできることから冷却性能を向上させることができる。
また、請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の蒸発器ユニットにおいて、チューブ(21)の先端形状が、ヘッダタンク部(15b、15c、18b、18c)内に配置されたエジェクタ(14)の外形形状に沿うように形成されていることを特徴としている。
また、請求項11に記載の発明では、請求項9に記載の蒸発器ユニットにおいて、チューブ(21)の先端形状が、ヘッダタンク部(15b、15c、18b、18c)のチューブ挿入側の内面形状に沿うように形成されていることを特徴としている。
これら請求項10または請求項11に記載の発明によれば、チューブ(21)の先端形状をエジェクタ(14)の外形形状、もしくはヘッダタンク部(15b、15c、18b、18c)のチューブ挿入側の内面形状に沿うように形成することで、ヘッダタンク部(15b、15c、18b、18c)内の冷媒流路断面積を効率的に大きくすることが可能となる。
また、請求項12に記載の発明では、ノズル部(14a)から噴射される高い速度の冷媒流により冷媒吸引口(14b)から冷媒を吸引し、ノズル部(14a)から噴射された冷媒と冷媒吸引口(14b)から吸引された冷媒とを混合して吐出するエジェクタ(14)と、
エジェクタ(14)に吸引される冷媒またはエジェクタ(14)から吐出された冷媒を蒸発させる蒸発器(15、18)とを備え、
蒸発器(15、18)とエジェクタ(14)とが一体に組み付けられた蒸発器ユニット(20)において、
蒸発器(15、18)のヘッダタンク部(15b、18b)内に複数のエジェクタ(14)を配置したことを特徴としている。
この請求項12に記載の発明によれば、ヘッダタンク部内に1個のエジェクタを配置するより、同じ効果を実現できる直径の小さいエジェクタを複数使用することで、ヘッダタンク部内の冷媒流路断面積を大きくすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、請求項13に記載の発明では、請求項12に記載の蒸発器ユニットにおいて、一つのヘッダタンク部(18b)内に複数のエジェクタ(14)を配置したことを特徴としている。
この請求項13に記載の発明によれば、一つのヘッダタンク部(18b)内においても、1個のエジェクタを配置するより、同じ効果を実現できる直径の小さいエジェクタを複数使用することでヘッダタンク部(18b)内の冷媒流路断面積を大きくすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル、およびそれに用いる蒸発器ユニットの実施形態を説明する。なお、蒸発器ユニットは、熱交換器ユニット、エジェクタ式冷凍サイクル用ユニット、エジェクタ式冷凍サイクル用蒸発器ユニット、あるいは、エジェクタ付き蒸発器ユニットとも呼ばれうるものである。
蒸発器ユニットは、エジェクタを備える冷凍サイクルを構成するため、配管を介して冷凍サイクルの他の構成部品である放熱器、および圧縮機と接続される。蒸発器ユニットは、一つの形態では室内機として空気を冷却する用途に用いられる。また、蒸発器ユニットは、他の形態では、室外機として用いることもできる。
図1〜図10は本発明の第1実施形態を表すもので、図1は、実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10を車両用冷凍サイクル装置に適用した例の模式図である。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10において、冷媒を吸入圧縮する圧縮機11は、電磁クラッチ11aや図示しないVベルトなどを介して図示しない車両走行用エンジンにより回転駆動される。
この圧縮機11としては、圧縮容量の変化によって冷媒吐出能力を調整できる可変容量型圧縮機、あるいは電磁クラッチ11aの断続によって圧縮機作動の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機のいずれを使用しても良い。また、圧縮機11として電動圧縮機を使用すれば、電動モータの回転数調整により冷媒吐出能力を調整できる。なお、図1で電磁クラッチ11aは、図示しない制御装置からの出力によって断続が制御されるようになっている。
この圧縮機11の冷媒吐出側には放熱器12が配置されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と、図示しない冷却ファンによって送風される外気(車室外空気)との間で熱交換を行って高圧冷媒を冷却するものである。ここで、エジェクタ式冷凍サイクル10の冷媒として、本実施形態ではフロン系、HC系などの冷媒のように、高圧圧力が臨界圧力を超えない冷媒を用いて蒸気圧縮式の亜臨界圧サイクルを構成している。このため、放熱器12は冷媒を凝縮する凝縮器として作用する。
放熱器12の出口側には受液器12aが設けられている。この受液器12aは、周知のように縦長のタンク形状のものであり、冷媒の気液を分離してサイクル内の余剰冷媒を液冷媒として溜める気液分離器を構成している。受液器12aの出口には、タンク形状内部の下部側から液冷媒を導出するようになっている。なお、受液器12aは、本例では放熱器12と一体的に設けられている。
また、放熱器12として、冷媒流れ上流側に位置する凝縮用熱交換部と、この凝縮用熱交換部からの冷媒を導入して冷媒の気液を分離する受液器12aと、この受液器12aからの飽和液冷媒を過冷却する過冷却用熱交換部とを有する公知の構成を採用しても良い。受液器12aの出口側には温度式膨張弁13が配置されている。この温度式膨張弁13は、受液器12aからの液冷媒を減圧する減圧手段であり、圧縮機11の吸入側通路に配置された感温部13aを有している。
温度式膨張弁13は周知のように、圧縮機11の吸入側冷媒(後述の蒸発器出口側冷媒)の温度と圧力とに基づいて圧縮機吸入側冷媒の過熱度を検出し、圧縮機吸入側冷媒の過熱度が予め設定された所定値となるように弁開度(冷媒流量)を調整するものである。温度式膨張弁13の出口側にはエジェクタ14が配置されている。このエジェクタ14は、冷媒を減圧する減圧手段であるとともに、高速で噴出する冷媒流の吸引作用(巻き込み作用)によって冷媒の循環を行う流体輸送の冷媒循環手段(運動量輸送式ポンプ)でもある。
エジェクタ14には、膨張弁13通過後の冷媒(中間圧冷媒)の通路面積を小さく絞って、冷媒をさらに減圧膨張させるノズル部(本発明で言う入口絞り機構)14aと、ノズル部14aの冷媒噴出口と同一空間に配置され、後述する第2蒸発器(風下側熱交換部)18からの気相冷媒を吸引する冷媒吸引口14bが備えられている。
さらに、ノズル部14aおよび冷媒吸引口14bの冷媒流れ下流側部位には、ノズル部14aからの高速度の冷媒流と冷媒吸引口14bの吸引冷媒とを混合する混合部14cが設けられている。そして、混合部14cの冷媒流れ下流側に昇圧部を成すディフューザ部14dが配置されている。このディフューザ部14dは、冷媒の通路面積を徐々に大きくする形状に形成されており、冷媒流れを減速して冷媒圧力を上昇させる作用、つまり、冷媒の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換する作用を果たす。
エジェクタ14のディフューザ部14dの出口側には第1蒸発器(風上側熱交換部)15が接続され、この第1蒸発器15の出口側は圧縮機11の吸入側に接続されている。一方、エジェクタ14の入口側(温度式膨張弁13の出口側とエジェクタ14の入口側との間の中間部位)から冷媒分岐通路16が分岐され、この冷媒分岐通路16の下流側はエジェクタ14の冷媒吸引口14bに接続されている。zは冷媒分岐通路16の分岐点を示す。
この冷媒分岐通路16には絞り機構(本発明で言う入口絞り機構)17が配置され、この絞り機構17よりも冷媒流れ下流側には第2蒸発器18が配置されている。絞り機構17は、第2蒸発器18への冷媒流量の調節作用を成す減圧手段であり、具体的に本実施形態ではキャピラリチューブやオリフィスのような固定絞りで構成されている。
また、本実施形態では2つの蒸発器15、18を後述の構成により一体構造に組み立てるようになっている。この2つの蒸発器15、18を図示しない空調ケース内に収納し、この空調ケース内に構成される空気通路に、共通の電動送風機19により空気(被冷却空気)を矢印Aの如く送風し、この送風空気を2つの蒸発器15、18で冷却するようになっている。
電動送風機19は、モータ19aによって駆動される電動ファンであり、モータ19aは図示しない制御装置から出力される制御電圧によって回転駆動される。2つの蒸発器15、18で冷却された冷風は、図示しない共通の冷却対象空間に送り込まれ、これにより、2つの蒸発器15、18にて共通の冷却対象空間を冷却するようになっている。なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10を車両空調用冷凍サイクル装置に適用する場合、車室内空間が冷却対象空間となる。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10を冷凍車用冷凍サイクル装置に適用する場合、冷凍車の冷凍冷蔵庫内空間が冷却対象空間となる。ここで、2つの蒸発器15、18のうち、エジェクタ14下流側の主流路に接続される第1蒸発器15を空気流れAの上流側(風上側)に配置し、エジェクタ14の冷媒吸引口14bに接続される第2蒸発器18を空気流れAの下流側(風下側)に配置している。
次に、上記構成における作動を図2のp−h線図に基づいて説明する。図2は、図1の車両用エジェクタ式冷凍サイクル10においてエジェクタ14の昇圧量PEが大きいときのp−h線図である。ここで、図2中の点aa〜hhは、図1中の点aa〜点hhに対応している。
また同様に、図3はエジェクタ14の昇圧量PEが小さいときのp−h線図、図4は蒸発器の圧損係数が大きい場合のp−h線図である。なお、図2〜図4の各図とも、図中に書かれた破線は比較のための膨張弁サイクルであり、比較し易くするために第1蒸発器出口蒸発点(圧縮機吸入状態点)ffを合わせて書いてある。
圧縮機11が起動すると、第1蒸発器15から気相冷媒が圧縮機11に吸入され、圧縮された流量Gnの冷媒が放熱器12に吐出される(ff→aa)。放熱器12では高温の冷媒が外気により冷却されて凝縮する(aa→bb)。放熱器12から流出した流量Gnの高圧液相冷媒は、分岐点zにて分岐冷媒通路16に向かう流量Geの冷媒流れと、エジェクタ14に向かう流量Gn−Geの冷媒流れとに分流する。
エジェクタ14に流入した流量Gn−Geの冷媒流れは、ノズル部14aで等エントロピ的に減圧されて膨張する(bb→cc)。従って、ノズル部14aで冷媒の圧力エネルギーが速度エネルギーに変換され、このノズル部14aの噴出口から冷媒は高速度となって噴出する。この時、高速度で噴出する冷媒流の圧力低下により、第2蒸発器18から流量Geの気相冷媒を冷媒吸引口14bに吸引する。
ノズル部14aから噴出した冷媒と冷媒吸引口14bに吸引された冷媒は、ノズル部14a下流側の混合部14cで混合し(cc→dd、hh→dd)、ディフューザ部14dに流入する。このディフューザ部14dでは通路面積の拡大により、冷媒の速度(膨張)エネルギーが圧力エネルギーに変換されるため、冷媒の圧力が上昇する(dd→ee)。
そして、エジェクタ14のディフューザ部14dから流出した流量Gnの冷媒は、第1蒸発器15に流入する。第1蒸発器15では、低温の低圧冷媒が熱交換コア部15aにて矢印A方向の送風空気から吸熱して蒸発する(ee→ff)。この蒸発後の気相冷媒は、圧縮機11に吸入され、再び圧縮される。
一方、分岐冷媒通路16に流入した流量Geの冷媒流れは、絞り機構17で減圧されて低圧冷媒となり(bb→gg)、この低圧冷媒が第2蒸発器18に流入する。第2蒸発器18では、矢印A方向の送風空気から冷媒が吸熱して蒸発する(gg→hh)。この蒸発後の流量Geの気相冷媒は、冷媒吸引口14bからエジェクタ14内に吸引される。
以上の如く、第1蒸発器15に流量Gnの冷媒を供給するととともに、分岐通路16側の冷媒を、絞り機構17を通して第2蒸発器18に流量Geの冷媒として供給できるので、第1、第2蒸発器15、18で同時に冷却作用を発揮できる。そのため、第1、第2蒸発器15、18の両方で冷却された冷風を冷却対象空間に吹き出して、冷却対象空間を冷房(冷却)できる。
ところで、図2に示すエジェクタ14による昇圧量PEは、エジェクタ14の冷媒吸引口14入口での(第2蒸発器18から流出する)冷媒圧力Po2とディフューザ部14d出口での(第1蒸発器15に流入する)冷媒圧力Pi1との圧力差(Pi1−Po2)であり、実機での計測も両入口出口から最大30mmの範囲内で行っている。
また、第1蒸発器15における冷媒の圧力損失ΔP1は、第1蒸発器15の冷媒入口での冷媒圧力Pi1と冷媒出口での冷媒圧力Po1との圧力差(Pi1−Po1)であり、実機での計測も両入口出口から最大30mmの範囲内で行っている。同じく、第2蒸発器18における冷媒の圧力損失ΔP2は、第2蒸発器18の冷媒入口での冷媒圧力Pi2と冷媒出口での冷媒圧力Po2との圧力差(Pi2−Po2)であり、実機での計測も両入口出口から最大30mmの範囲内で行っている。
このように、第2蒸発器18での冷媒蒸発圧力Po2は、第1蒸発器15での冷媒蒸発圧力Po1よりも低くなる。従って、第2蒸発器18の冷媒蒸発温度が第1蒸発器15の冷媒蒸発温度よりも低くなる。そして、送風空気の流れ方向Aに対して冷媒蒸発温度が高い第1蒸発器15を上流側に配置し、冷媒蒸発温度が低い第2蒸発器18を下流側に配置しているから、第1蒸発器15における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差および第2蒸発器18における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差を両方とも確保できる。
このため、第1、第2蒸発器15、18の冷却性能を両方とも有効に発揮できる。従って、共通の冷却対象空間に対する冷却性能を第1、第2蒸発器15、18の組み合わせにて効果的に向上できる。また、PEで表されるディフューザ部14dでの昇圧作用により圧縮機11の吸入圧を上昇して、圧縮機11の駆動動力を低減できる。
さらに、本実施形態での特徴として、システムが最大負荷条件時に第1蒸発器15における冷媒の圧力損失ΔP1、および第2蒸発器18における冷媒の圧力損失ΔP2がエジェクタ14による昇圧量PEよりも少なくなるように設定している。また、システムが最大負荷条件時に第2蒸発器18での圧力損失ΔP2が第1蒸発器15での圧力損失ΔP1よりも少なくなるよう第1、第2蒸発器15、18を設定している。
なお、ここで言うシステムの最大負荷条件としては外気温度が42℃でシステム内の冷媒循環量が最大となる状態を想定している。そして、このように条件時においても上記した圧力関係となるように第1、第2蒸発器15、18の冷媒流路断面積を設定している。より具体的には、これらの圧力損失ΔP1、ΔP2が100kPa以下となるように蒸発器15、18の冷媒流路断面積を設定している。
この条件を冷媒最小流路断面に置き換えると、水力直径で10mm以上に設定している。冷媒最小流路断面とは、冷媒流れの入口、出口を含む最小流路断面で、本実施形態では78.5mmとなり、水力直径で表すと「水力直径d=4×断面積/濡れふち長さ」の関係から10mmとなる。なお、流路が並列に複数ある場合は各流路断面の合計である。
また、第2蒸発器18出口における冷媒の圧力Po2が第1蒸発器15出口における冷媒の圧力Po1以下となるよう第1、第2蒸発器15、18それぞれの入口絞り機構、具体的にはノズル部14aと絞り機構17とを設定している。なお、上記では各蒸発器での設定を冷媒流路断面積で考えているが、冷媒質量流速にて考えても良い。冷媒質量流速とは、後述するヘッダタンク部内やチューブ内など冷媒流れの各部において、冷媒質量流量を冷媒流路断面積で割った値である。
この冷媒質量流速を調整する手段として、1.ターン数などを工夫することによって冷媒流路長さを可変する。2.蒸発器での乾き度に対応させて後述する熱交換コア部で上流側と下流側とのチューブ本数を可変する。3.ヘッダタンク部での冷媒流路断面積を可変する。4.上記にも有るように、第1、第2蒸発器15、18それぞれの入口絞り機構によって冷媒流量を可変する。などの手段がある。
これらの手段も含めて、上記した圧力条件に調整することより、第1、第2蒸発器15、18での平均蒸発温度が従来の膨張弁サイクルよりも低くすることが可能となり、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。なお、ヘッダタンク部での冷媒流路断面積を可変する具体的な方法についても本実施形態での特徴であり、これについては後述する。
ところで、本実施形態では、エジェクタ14、第1、第2蒸発器15、18、および絞り機構17を1つの一体化ユニット(蒸発器ユニット)20として組み立てている。次に、この一体化ユニット20の具体例を図5〜図7によって説明する。図5はこの一体化ユニット20の全体構成の概要を示す斜視図、図6は第1、第2蒸発器15、18の上側タンク部15b、18bの横(長手方向)断面図、図7は第2蒸発器18の上側タンク部18bの縦断面図である。
次に、2つの蒸発器15、18の一体化構造の一具体例を図5によって説明する。この図5の例では、2つの蒸発器15、18が完全に1つの蒸発器構造として一体化されるようになっている。そのため、第1蒸発器15は1つの蒸発器構造のうち空気流れAの上流側領域を構成し、第2蒸発器18は1つの蒸発器構造のうち空気流れAの下流側領域を構成するようになっている。
なお、図5の上下、左右の各矢印は、矢印Aに示す送風空気の流れ方向下流側から見て、第2蒸発器18のエジェクタ14が配置される側を上方向、エジェクタ14が配置されていない側を下方向、エジェクタ14のノズル部14a上流側を左方向、エジェクタ14のディフューザ部14d下流側を右方向として示したものである。また、以下の説明における上下左右の各方向も同様の方向である。
第1、第2蒸発器15、18の基本的構成は同一であり、それぞれ熱交換コア部15a、18aと、この熱交換コア部15a、18aの上下両側に位置するヘッダタンク部(以下、タンク部と略す)15b、15c、18b、18cとを備えている。ここで、熱交換コア部15a、18aは、それぞれ上下方向に延びる複数のチューブ21を備え、これら複数のチューブ21の間には、被熱交換媒体、本実施形態では冷却される空気が通る通路が形成される。また、これら複数のチューブ21の相互間にはフィン22が配置され、チューブ21とフィン22とはろう付けにて接合されている。
熱交換コア部15a、18aは、チューブ21とフィン22との積層構造からなる。このチューブ21とフィン22とは熱交換コア部15a、18aの左右方向に交互に積層配置される。なお、他の実施形態として、フィン22を備えない構成であっても良い。また、図5では、チューブ21とフィン22との積層構造の一部のみを図示しているが、熱交換コア部15a、18aの全域にチューブ21とフィン22との積層構造が構成され、この積層構造の空隙部を電動送風機19の送風空気が通過するようになっている。
チューブ21は冷媒通路を構成するものであり、断面形状が空気流れ方向Aに沿って扁平な扁平チューブより成る。フィン22は薄板材を波状に曲げ成形したコルゲートフィンであり、チューブ21の平坦な外面側に接合されて空気側伝熱面積を拡大している。熱交換コア部15aのチューブ21と熱交換コア部18aのチューブ21は、互いに独立した冷媒通路を構成し、第1蒸発器15の上下両側のタンク部15b、15cと、第2蒸発器18の上下両側のタンク部18b、18cとは互いに独立した冷媒通路空間を構成する。
第1蒸発器15の上下両側のタンク部15b、15cは、熱交換コア部15aのチューブ21の上下両端部が挿入され、接合される図示しないチューブ嵌合穴部を有し、チューブ21の上下両端部がタンク部15b、15cの内部空間に連通するようになっている。
同様に、第2蒸発器18の上下両側のタンク部18b、18cは、熱交換コア部18aのチューブ21の上下両端部が挿入され、接合される図示しないチューブ嵌合穴部を有し、チューブ21の上下両端部がタンク部18b、18cの内部空間に連通するようになっている。なお、この各タンク部に挿入したチューブ21の先端形状が本実施形態の特徴の一つでもあるため、詳細を後述する。
これにより、上下両側のタンク部15b、15c、18b、18cは、それぞれ対応する熱交換コア部15a、18aの複数のチューブ21へ冷媒流れを分配したり、複数のチューブ21からの冷媒流れを集合したりする役割を果たしている。2つの上側タンク部15b、18b、および2つの下側タンク部15c、18cは隣接しているので、2つの上側タンク部15b、18b同士、および2つの下側タンク部15c、18c同士を一体成形することができる。
もちろん、2つの上側タンク部15b、18b、および2つの下側タンク部15c、18cをそれぞれ独立の部材として構成しても良い。なお、チューブ21、フィン22、タンク部15b、15c、18b、18cなどの蒸発器構成部品の具体的材質としては、熱伝導性やろう付け性に優れた金属であるアルミニウムが好適であり、このアルミニウム材にて各部品を成形することにより、第1、第2蒸発器15、18の全体構成を組み立て後一体ろう付けにて接合している。
本実施形態では、図6に示す冷媒通路の第1、第2接続ブロック23、24、およびキャピラリチューブにて構成されている絞り機構17も、ろう付けにて第1、第2蒸発器15、18と一体に組み付けるようになっている。これに対してエジェクタ14は、ノズル部14aに高精度な微小通路を形成しているので、エジェクタ14をろう付けすると、ろう付け時の高温度(アルミニウムのろう付け温度:600℃付近)にてノズル部14aが熱変形して、ノズル部14aの通路形状、寸法などを所期の設計通りに維持できないという不具合が生じる。
そこで、エジェクタ14については、第1、第2蒸発器15、18、第1、第2接続ブロック23、24および絞り機構17の一体ろう付けを行った後、蒸発器側に組み付けするようにしてある。より具体的に、エジェクタ14、絞り機構17、および第1、第2接続ブロック23、24の組み付け構造を説明すると、絞り機構17および第1、第2接続ブロック23、24は、蒸発器部品と同様にアルミニウム材にて成形される。
そして第1接続ブロック23は、図6に示すように、第1、第2蒸発器15、18の上側タンク部15b、18bの長手方向一端の側面部にろう付け固定される部材であり、図1に示す一体化ユニット20の冷媒入口25と冷媒出口26とを構成している。そして、第1接続ブロック23の厚さ方向の途中にて、冷媒入口25はエジェクタ14の入口側に向かう第1通路を成す主通路25aと、絞り機構17の入口側に向かう第2通路を成す分岐通路16とに分岐される。
この分岐通路16は、図1の分岐通路16の入口部分に相当する。従って、図1の分岐点zは第1接続ブロック23の内部に構成されることになる。これに対して、冷媒出口26は第1接続ブロック23の厚さ方向に貫通する1つの単純な通路穴(円形穴など)で構成されている。そして、第1接続ブロック23の分岐通路16は、絞り機構17の一端部(図5、図6の左端部)にろう付けによりシール接合される。
第2接続ブロック24は、第2蒸発器18の上側タンク部18bにおいて内部空間の長手方向の略中央部に配置され、上側タンク部18bの内壁面にろう付けされる部材である。この第2接続ブロック24は、上側タンク部18bの内部空間をタンク長手方向の2つの空間、すなわち、左側空間27と右側空間28とに仕切る役割を果たす。そして、絞り機構17の他端側(右端側)は図6に示すように、第2接続ブロック24の支持穴24aを貫通して上側タンク部18bの右側空間28内に開口している。
なお、絞り機構17の外周面と支持穴24aとの間はろう付けによって密閉されるので、上記左右の両空間27、28の間は遮断されたままである。エジェクタ14のうち、ノズル部14aはステンレス、黄銅などの材質で形成され、ノズル部14a以外の部分(冷媒吸引口14bを形成するハウジング部分、混合部14c、ディフューザ部14dなど)は銅、アルミニウムといった金属材にて構成されている。但し、樹脂などの非金属材で構成しても良い。
エジェクタ14は、第1、第2蒸発器15、18などを一体ろう付けする組み付け工程(ろう付け工程)の終了後に、第1接続ブロック23の冷媒入口25および主通路25aの穴形状を貫通して上側タンク部18bの内部に差し込む。ここで、エジェクタ14の長手方向の先端部は図1のディフューザ部14dの出口部に相当する部分である。このエジェクタ先端部は第2接続ブロック24の円形凹部24b内に挿入され、Oリング29aを用いてシール固定される。
そして、エジェクタ先端部は、第2接続ブロック24の連通穴部24cに連通する。第1蒸発器15の上側タンク部15bにおいて、内部空間の長手方向の略中央部には仕切り板30が配置され、この仕切り板30によって上側タンク部15bの内部空間が長手方向の2つの空間、すなわち、左側空間31と右側空間32とに仕切られている。第2接続ブロック24の連通穴部24cは、両上側タンク部15b、18bの中間壁面33の貫通穴33aを介して、第1蒸発器15の上側タンク部15bの右側空間32に連通している。
エジェクタ14の長手方向の左端部(図6の左端部)は、図1のノズル部14aの入口部に相当する部分であり、この左端部はOリング29bを用いて第1接続ブロック23の主通路25aの内壁面に嵌合してシール固定される。なお、エジェクタ14の長手方向の固定は、例えば、図示しないねじ止め固定手段を用いて行えば良い。Oリング29aは、第2接続ブロック24の図示しない溝部に、Oリング29bは第1接続ブロック23の図示しない溝部チューブ21のにそれぞれ保持される。
第1接続ブロック23は、その冷媒出口26が上側タンク部15bの左側空間31と連通し、主通路25aが上側タンク部18bの左側空間27と連通し、かつ、分岐通路16が絞り機構17の一端部と連通した状態で上側タンク部15b、18bの側面壁にろう付けされる。また、エジェクタ14の冷媒吸引口14bは、第2蒸発器18の上側タンク部18bの左側空間27に連通するようになっている。
本実施形態では、第2接続ブロック24により第2蒸発器18の上側タンク部18bの内部を左右の空間27、28に仕切り、左側空間27が複数のチューブ21からの冷媒を集合させる集合タンクとしての役割を果たし、右側空間28が冷媒を複数のチューブ21へ分配する分配タンクとしての役割を果たす。エジェクタ14は、そのノズル部14aの軸方向に延びる細長の円筒形状となっており、その細長円筒形状の長手方向を上側タンク部18bの長手方向に一致させ、エジェクタ14が上側タンク部18bと平行に設置されている。
この構成は、エジェクタ14と蒸発器18とをコンパクトに配置することができ、ひいては、ユニット全体の体格をコンパクトにまとめることができる。しかも、エジェクタ14は、集合タンクを成す左側空間27内に配置され、その冷媒吸引口14bを、集合タンクを成す左側空間27内において直接開口させて設置されている。この構成は、冷媒配管を減らすことを可能としている。
この構成は、複数のチューブ21からの冷媒の集合と、エジェクタ14への冷媒供給(冷媒吸引)とをひとつのタンクで実現できる利点を提供する。また、本実施形態では、第1蒸発器15が第2蒸発器18と隣接して設けられており、エジェクタ14の下流側端部は、第1蒸発器15の分配タンク(上側タンク部15bの右側空間32)と隣接して設置されている。
この構成は、エジェクタ14が第2蒸発器18側のタンク部に内蔵される配置形態であっても、エジェクタ14からの流出冷媒をごく短い簡単な冷媒通路(穴部24c、33a)にて第1蒸発器15側へ供給できるという利点を提供する。以上の構成において一体化ユニット20全体の冷媒流路を図5、図6によって具体的に説明する。
第1接続ブロック23の冷媒入口25は、主通路25aと分岐通路16とに分岐される。主通路25aの冷媒はまず、エジェクタ14(ノズル部14a→混合部14c→ディフューザ部14d)を通過して減圧され、この減圧後の低圧冷媒は第2接続ブロック24の連通穴部24c、中間壁面33の貫通穴33aを経て、矢印aのように第1蒸発器15の上側タンク部15bの右側空間32に流入する。
この右側空間32の冷媒は、熱交換コア部15a右側部の複数のチューブ21を矢印bのように下降して下側タンク部15c内の右側部に流入する。この下側タンク部15c内には仕切り板を設けていないので、この下側タンク部15cの右側部からの冷媒は矢印cのように左側部へと移動する。
この下側タンク部15cの左側部の冷媒は、熱交換コア部15a左側部の複数のチューブ21を矢印dのように上昇して上側タンク部15bの左側空間31に流入し、さらに、ここから冷媒は矢印eのように第1接続ブロック23の冷媒出口26へと流れる。これに対して、第1接続ブロック23の分岐通路16の冷媒は、まず絞り機構17を通過して減圧され、この減圧後の低圧冷媒は矢印fのように第2蒸発器18の上側タンク部18bの右側空間28に流入する。
この右側空間28の冷媒は、熱交換コア部18a右側部の複数のチューブ21を矢印gのように下降して下側タンク部18c内の右側部に流入する。この下側タンク部18c内には仕切り板を設けていないので、この下側タンク部18cの右側部から冷媒は矢印hのように左側部へと移動する。
この下側タンク部18cの左側部の冷媒は、熱交換コア部18a左側部の複数のチューブ21を矢印iのように上昇して上側タンク部18bの左側空間27に流入する。この左側空間27内にエジェクタ14の冷媒吸引口14bが開口しているので、この左側空間27内の冷媒は冷媒吸引口14bからエジェクタ14内に吸引される。一体化ユニット20は、以上のような冷媒流路構成を持つため、一体化ユニット20全体としても冷媒入口25は第1接続ブロック23に1つ設けるだけで良く、また冷媒出口26も第1接続ブロック23に1つ設けるだけで良い。
次に、本実施形態の作動概要を説明する。圧縮機11を車両走行用エンジンによって駆動すると、圧縮機11で圧縮されて吐出される高温高圧状態の冷媒は放熱器12に流入する。放熱器12では、高温の冷媒が外気によって冷却されて凝縮する。放熱器12から流出した高圧冷媒は受液器12a内に流入し、この受液器12a内にて冷媒の気液が分離され、液冷媒が受液器12aから導出され膨張弁13を通過する。
この膨張弁13では、第1蒸発器15の出口冷媒(圧縮機吸入冷媒)の過熱度が所定値となるように弁開度(冷媒流量)が調整され、高圧冷媒が減圧される。この膨張弁13通過後の冷媒(中間圧冷媒)は一体化ユニット20の第1接続ブロック23に設けられた冷媒入口25に流入する。
ここで、冷媒流れは、第1接続ブロック23の主通路25aからエジェクタ14に向かう冷媒流れと、第1接続ブロック23の冷媒分岐通路16から絞り機構17に向かう冷媒流れとに分流する。そして、エジェクタ14に流入した冷媒流れはノズル部14aで減圧されて膨張する。従って、ノズル部14aで冷媒の圧力エネルギーが速度エネルギーに変換され、このノズル部14aの噴出口から冷媒は高速度となって噴出する。
この際の冷媒圧力低下により、冷媒吸引口14bから分岐冷媒通路16の第2蒸発器18通過後の冷媒(気相冷媒)を吸引する。ノズル部14aから噴出した冷媒と冷媒吸引口14bに吸引された冷媒とは、ノズル部14a下流側の混合部14cで混合してディフューザ部14dに流入する。このディフューザ部14dでは通路面積の拡大により、冷媒の速度(膨張)エネルギーが圧力エネルギーに変換されるため、冷媒の圧力が上昇する。
そして、エジェクタ14のディフューザ部14dから流出した冷媒は第1蒸発器15における図5の矢印a〜eの冷媒流路にて冷媒が流れる。この間に、第1蒸発器15の熱交換コア部15aでは、低温の低圧冷媒が矢印A方向の送風空気から吸熱して蒸発する。この蒸発後の気相冷媒は、冷媒出口26から圧縮機11に吸入され、再び圧縮される。
一方、冷媒分岐通路16に流入した冷媒流れは絞り機構17で減圧されて低圧冷媒となり、この低圧冷媒が第2蒸発器18における図5の矢印f〜iの冷媒流路にて冷媒が流れる。この間に、第2蒸発器18の熱交換コア部18aでは、低温の低圧冷媒が、第1蒸発器15通過後の送風空気から吸熱して蒸発する。この蒸発後の気相冷媒は冷媒吸引口14bからエジェクタ14内に吸引される。
以上の如く、本実施形態によると、エジェクタ14のディフューザ部14dの下流側冷媒を第1蒸発器15に供給するととともに、冷媒分岐通路16側の冷媒は絞り機構17aを通して第2蒸発器18にも供給できるので、第1、第2蒸発器15、18で同時に冷却作用を発揮できる。そのため、第1、第2蒸発器15、18の両方で冷却された冷風を冷却対象空間に吹き出して、冷却対象空間を冷房(冷却)できる。
この際、第1蒸発器15の冷媒蒸発圧力はディフューザ部14dで昇圧した後の圧力であり、一方、第2蒸発器18の出口側はエジェクタ14の冷媒吸引口14bに接続されているから、ノズル部14aでの減圧直後の最も低い圧力を第2蒸発器18に作用させることができる。
これにより、第1蒸発器15の冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)よりも第2蒸発器18の冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)を低くすることができる。そして、送風空気の流れ方向Aに対して冷媒蒸発温度が高い第1蒸発器15を上流側に配置し、冷媒蒸発温度が低い第2蒸発器18を下流側に配置しているから、第1蒸発器15における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差および第2蒸発器18における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差を両方とも確保できる。
このため、第1、第2蒸発器15、18の冷却性能を両方とも有効に発揮できる。従って、共通の冷却対象空間に対する冷却性能を第1、第2蒸発器15、18の組み合わせにて効果的に向上できる。また、ディフューザ部14dでの昇圧作用により圧縮機11の吸入圧を上昇して、圧縮機11の駆動動力を低減できる。
また、第2蒸発器18側の冷媒流量をエジェクタ14の機能に依存することなく、絞り機構17にて独立に調整でき、第1蒸発器15への冷媒流量はエジェクタ14の絞り特性により調整できる。このため、第1、第2蒸発器15、18への冷媒流量をそれぞれの熱負荷に対応して容易に調整できる。
また、サイクル熱負荷が小さい条件では、サイクルの高低圧差が小さくなって、エジェクタ14の入力が小さくなる。本実施形態では、エジェクタ14の上流部で膨張弁13通過後の冷媒を分岐し、この分岐冷媒を、冷媒分岐通路16を通して冷媒吸引口14bに吸引させるから、冷媒分岐通路16がエジェクタ14に対して並列的な接続関係となる。
このため、冷媒分岐通路16にエジェクタ14の冷媒吸引能力だけでなく、圧縮機11の冷媒吸入、吐出能力をも利用して冷媒を供給できる。これにより、エジェクタ14の入力低下→エジェクタ14の冷媒吸引能力の低下という現象が発生しても、第2蒸発器18側の冷媒流量の減少度合いを小さくできる。よって、低熱負荷条件でも、第2蒸発器18の冷却性能を確保し易い。
次に、上記構成の熱交換器ユニットにおいて、本実施形態の特徴であるタンク部内での冷媒流路断面積の可変方法について図8〜図10を用いて説明する。本実施形態ではタンク部15b、15c、18b、18c内に挿入されたチューブ21の先端形状が、チューブ21の幅方向において、両端部に対して中央部が窪んだ形状とするようにしており、図8の(a)は、タンク部18b内でチューブ21の先端形状をエジェクタ14の外形形状に沿うようにした例であり、(b)は従来である。
また図9は、(a)、(b)ともにチューブ21の先端形状をタンク部15b、15c、18b、18cのチューブ挿入側の内面形状に沿うようにした例である。また、図10の(a)〜(c)ともチューブ21の先端形状のその他の例であり、これらに示すように、チューブ21の先端形状は凹状、V字状、U字状などで有っても良い。これらいずれの方法によってもタンク部15b、15c、18b、18c内の冷媒流路断面積を大きくすることができ、第1、第2蒸発器15、18の冷媒圧力損失を少なくできることから冷却性能を向上させることができる。
次に、本実施形態での特徴と、その効果について述べる。まず、所定の圧力損失を持つ蒸発器15、18がエジェクタ14の吸引側および流出側の少なくとも一方に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、システムが最大負荷条件時に蒸発器15、18における冷媒の圧力損失ΔP1、ΔP2がエジェクタ14による昇圧量PEよりも少なくなるように設定している。
これによれば、蒸発器15、18における冷媒の圧力損失ΔP1、ΔP2がエジェクタ14による昇圧量PEよりも小さくする(ΔP1、ΔP2<PEとする)ことで、蒸発器15、18での平均蒸発温度が従来の膨張弁サイクルよりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、所定の圧力損失を持つ蒸発器18がエジェクタ14の吸引側に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、システムが最大負荷条件時に蒸発器18における冷媒の圧力損失ΔP2がエジェクタ14による昇圧量PEよりも少なくなるように設定している。
これによれば、吸入側の蒸発器18の圧力損失ΔP2を、エジェクタ14による昇圧量PEよりも小さくする(ΔP2<PEとする)ことで、蒸発器15、18での平均蒸発温度が従来の膨張弁サイクルよりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、所定の圧力損失を持つ蒸発器15がエジェクタ14の流出側に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、システムが最大負荷条件時に蒸発器15における冷媒の圧力損失ΔP1がエジェクタ14による昇圧量PEよりも少なくなるように設定している。
これによれば、流出側の蒸発器15の圧力損失ΔP1をエジェクタ14による昇圧量PEよりも小さくする(ΔP1<PEとする)ことで、蒸発器15、18の圧損係数が従来の蒸発器より大きい場合(図4参照)でも、流出側の蒸発器15での平均蒸発温度を従来の膨張弁サイクルよりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、所定の圧力損失を持つ第2蒸発器18がエジェクタ14の吸引側に配置され、所定の圧力損失を持つ第1蒸発器15がエジェクタ14の流出側に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、システムが最大負荷条件時に第2蒸発器18における冷媒の圧力損失ΔP2が第1蒸発器15における冷媒の圧力損失ΔP1よりも少なくなるよう第1、第2蒸発器15、18が設定している。
これによれば、吸入側の第2蒸発器18の圧力損失ΔP2を、流出側の第1蒸発器15の圧力損失ΔP1よりも小さくする(ΔP2<ΔP1とする)ことで、吸入側の第2蒸発器18の平均蒸発温度を従来の膨張弁サイクルよりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、前記設定となるように蒸発器15、18の冷媒流路断面積が設定されている。これによれば、具体的に蒸発器15、18の冷媒流路断面積を操作することによって上記した圧力関係とすることができる。また、圧力損失ΔP1、ΔP2が100kPa以下となるように蒸発器15、18の冷媒流路断面積を設定している。これによれば、エジェクタ14の最大昇圧量max.PEが100kPa程度であることによるものである。
また、蒸発器15、18の冷媒最小流路断面が水力直径10mm以上に設定されている。これによれば、図15に示す冷媒最小流路の水力直径と蒸発器内圧損との関係より、システム最大負荷条件時の最大冷媒流量にて蒸発器の圧力損失ΔP1、ΔP2をエジェクタ14の最大昇圧量max.PEである100kPaよりも抑えようとすると、冷媒最小流路断面での水力直径は10mm以上とする必要があることによるものである。
また、所定の圧力損失を持つ第2蒸発器18がエジェクタ14の吸引側に配置され、所定の圧力損失を持つ第1蒸発器15がエジェクタ14の流出側に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、第2蒸発器18出口における冷媒の圧力Po2が第1蒸発器15出口における冷媒の圧力Po1以下となるよう第1、第2蒸発器15、18それぞれの入口絞り機構14a、17を設定している。
これによれば、エジェクタ流出冷媒量がエジェクタ吸入冷媒量よりも多いことから、吸入側の第2蒸発器18の平均蒸発温度を流出側の第1蒸発器15の平均蒸発温度よりも低くすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
また、タンク部15b、15c、18b、18c内に挿入されたチューブ21の先端形状が、チューブ21の幅方向において、両端部に対して中央部が窪んだ形状としている。これによれば、タンク部15b、15c、18b、18c内の冷媒流路断面積を大きくすることが可能となり、第1、第2蒸発器15、18の冷媒圧力損失を少なくできることから冷却性能を向上させることができる。
また、チューブ21の先端形状が、タンク部15b、15c、18b、18c内に配置されたエジェクタ14の外形形状に沿うように形成している。また、チューブ21の先端形状が、タンク部15b、15c、18b、18cのチューブ挿入側の内面形状に沿うように形成している。
これらによれば、チューブ21の先端形状をエジェクタ14の外形形状、もしくはタンク部15b、15c、18b、18cのチューブ挿入側の内面形状に沿うように形成することで、タンク部15b、15c、18b、18c内の冷媒流路断面積を効率的に大きくすることが可能となる。
(第2実施形態)
図11の(a)はタンク部15b、18b内に複数のエジェクタ14を配置した例、(b)は同一のタンク部18b内に複数のエジェクタ14を配置した例、(c)は従来である。上述した第1実施形態と異なる特徴として、タンク部15b、18b内に複数のエジェクタ14を配置している。
これによれば、タンク部内に1個のエジェクタを配置するより、同じ効果を実現できる直径の小さいエジェクタを複数使用することで、タンク部内の冷媒流路断面積を大きくすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
さらには、同一のタンク部18b内に複数のエジェクタ14を配置している。これによれば、同一のタンク部18b内においても、1個のエジェクタを配置するより、同じ効果を実現できる直径の小さいエジェクタを複数使用することでタンク部18b内の冷媒流路断面積を大きくすることが可能となる。従って、空気などの被冷却流体との温度差が大きくなることより冷却性能を確実に向上させることができる。
(その他の実施形態)
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、以下述べる如く種々に変形可能である。
(1)図12〜図14は、その他の実施形態におけるエジェクタ式冷凍サイクル10の模式図である。前述の各実施形態では熱交換器ユニットとしてエジェクタ14、第1蒸発器15、絞り機構17、第2蒸発器18を一体に構成していたが、本発明は図12に示すように、これらの冷凍サイクル装置を別々に構成したものであっても良い。
また、図13に示すように、第1蒸発器15と圧縮機11との間にアキュムレータ40を構成したものであっても良いし、図13に示すように、圧縮機11に吸入される低圧冷媒と、放熱器12から流出した高圧冷媒とを熱交換させる内部熱交換器33を構成したものであっても良い。
(2)前述の実施形態では、放熱器12の冷媒流出側に温度式膨張弁13を配設しているが、この温度式膨張弁13が無い構成であっても良いし、電気式の可変膨張弁を用いた構成であっても良い。また、前述の実施形態では、温度式膨張弁13と感温部13aとを、熱交換器ユニットとは別体として構成したが、温度式膨張弁13と感温部13aとを熱交換器ユニットに一体的に組み付けても良い。
例えば、温度式膨張弁13と感温部13aとを一体化ユニット20の第1接続ブロック23内に収容する構成を採用することができる。この場合、冷媒入口25は受液器12aと温度式膨張弁13との間に位置し、冷媒出口26は感温部13aを設置した通路部位と圧縮機11との間に位置することとなる。
(3)上述の実施形態ではエジェクタ14として、通路面積が一定のノズル部14aを有する固定エジェクタを例示しているが、エジェクタ14として、通路面積を調整可能な可変ノズル部を有する可変エジェクタを用いても良い。なお、可変ノズル部の具体例としては、例えば、可変ノズル部の通路内にニードルを挿入し、このニードルの位置を電気的アクチュエータや機械温度式の可変絞り機構で制御して通路面積を調整する機構とすれば良い。
また、上述の実施形態で絞り機構17は、キャピラリチューブやオリフィスのような固定絞りで構成しているが、絞り機構17を電動アクチュエータにより弁開度(通路絞り開度)が調整可能になっている電気制御弁で構成しても良い。また、絞り機構17をキャピラリチューブやオリフィスの如き固定絞りと電磁弁との組み合わせで構成しても良い。
(4)前述の実施形態では、冷媒として高圧圧力が臨界圧力を超えないフロン系、HC系などの冷媒を用いる蒸気圧縮式の亜臨界サイクルについて説明したが、冷媒として二酸化炭素(CO)のように高圧圧力が臨界圧力を超える冷媒を用いる蒸気圧縮式の超臨界サイクルに本発明を適用しても良い。
但し、超臨界サイクルでは、圧縮機吐出冷媒が放熱器12にて超臨界状態のまま放熱するのみであり、凝縮しないので、高圧側に配置される受液器12aでは冷媒の気液分離作用および余剰液冷媒の貯留作用を発揮できない。そこで、超臨界サイクルでは図13に示したように、第1蒸発器15の出口側に低圧側気液分離器を成すアキュムレータを配置する構成を採用すれば良い。
(5)前述の実施形態では、第1、第2蒸発器15、18の冷却対象空間として、車室内空間である場合や、冷凍車の冷凍冷蔵庫内空間である場合について述べたが、本発明はこれらの車両用に限らず、定置用などの種々な用途の冷凍サイクルに対して広く適用可能である。
本発明を適用した実施形態の車両用エジェクタ式冷凍サイクル10の模式図である。 図1の車両用エジェクタ式冷凍サイクル10においてエジェクタ14の昇圧量PEが大きいときのp−h線図である。 図1の車両用エジェクタ式冷凍サイクル10においてエジェクタ14の昇圧量PEが小さいときのp−h線図である。 図1の車両用エジェクタ式冷凍サイクル10において蒸発器の圧損係数が大きい場合のp−h線図である。 図1中の一体化ユニット20の概略構成を示す斜視図である。 図5の一体化ユニット20の上側タンク部15b、18bの横断面図である。 図5の一体化ユニット20の上側タンク部18bの縦断面図である。 (a)はチューブ21の先端形状をエジェクタ14の外形形状に沿うようにした例、(b)は従来である。 (a)、(b)ともチューブ21の先端形状をヘッダタンク部18bのチューブ挿入側の内面形状に沿うようにした例である。 (a)〜(c)ともチューブ21の先端形状のその他の例である。 (a)はヘッダタンク部15b、18b内に複数のエジェクタ14を配置した例、(b)は同一のヘッダタンク部18b内に複数のエジェクタ14を配置した例、(c)は従来である。 その他の実施形態におけるエジェクタ式冷凍サイクル10の模式図である。 その他の実施形態におけるエジェクタ式冷凍サイクル10の模式図である。 その他の実施形態におけるエジェクタ式冷凍サイクル10の模式図である。 冷媒最小流路の水力直径と蒸発器内圧損との関係を示すグラフである。
符号の説明
14…エジェクタ
14a…ノズル部(入口絞り機構)
14b…冷媒吸引口
15…風上側熱交換部(蒸発器、第1蒸発器)
15b、15c…ヘッダタンク部
17…絞り機構(入口絞り機構)
18…風下側熱交換部(蒸発器、第2蒸発器)
18b、18c…ヘッダタンク部
20…一体化ユニット(蒸発器ユニット)
21…チューブ
Po1…第1蒸発器15出口における冷媒の圧力
Po2…第2蒸発器18出口における冷媒の圧力
PE…エジェクタ14の昇圧量
ΔP1…第1蒸発器15における冷媒の圧力損失
ΔP2…第2蒸発器18における冷媒の圧力損失

Claims (13)

  1. 所定の圧力損失を持つ蒸発器(15、18)がエジェクタ(14)の吸引側および流出側の少なくとも一方に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、
    システムが最大負荷条件時に前記蒸発器(15、18)における冷媒の圧力損失(ΔP1、ΔP2)が前記エジェクタ(14)による昇圧量(PE)よりも少なくなるように設定されていることを特徴とするエジェクタ式冷凍サイクル。
  2. 所定の圧力損失を持つ前記蒸発器(18)が前記エジェクタ(14)の吸引側に配置され、システムが最大負荷条件時に前記蒸発器(18)における冷媒の圧力損失(ΔP2)が前記エジェクタ(14)による昇圧量(PE)よりも少なくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  3. 所定の圧力損失を持つ前記蒸発器(15)が前記エジェクタ(14)の流出側に配置され、システムが最大負荷条件時に前記蒸発器(15)における冷媒の圧力損失(ΔP1)が前記エジェクタ(14)による昇圧量(PE)よりも少なくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  4. 所定の圧力損失を持つ第1の前記蒸発器(15)が前記エジェクタ(14)の流出側に配置され、所定の圧力損失を持つ第2の前記蒸発器(18)が前記エジェクタ(14)の吸引側に配置され、システムが最大負荷条件時に前記第2の蒸発器(18)における冷媒の圧力損失(ΔP2)が前記第1の蒸発器(15)における冷媒の圧力損失(ΔP1)よりも少なくなるよう前記第1、第2の蒸発器(15、18)が設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  5. 前記設定となるように前記蒸発器(15、18)の冷媒流路断面積が設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか1項に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  6. 前記圧力損失(ΔP1、ΔP2)が100kPa以下となるように前記蒸発器(15、18)の冷媒流路断面積が設定されていることを特徴とする請求項5に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  7. 前記蒸発器(15、18)の冷媒最小流路断面が水力直径10mm以上に設定されていることを特徴とする請求項5に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  8. 所定の圧力損失を持つ第1の蒸発器(15)がエジェクタ(14)の流出側に配置され、所定の圧力損失を持つ第2の蒸発器(18)が前記エジェクタ(14)の吸引側に配置されたエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、
    前記第2の蒸発器(18)出口における冷媒の圧力(Po2)が前記第1の蒸発器(15)出口における冷媒の圧力(Po1)以下となるよう前記第1、第2の蒸発器(15、18)それぞれの入口絞り機構(14a、17)が設定されていることを特徴とするエジェクタ式冷凍サイクル。
  9. ノズル部(14a)から噴射される高い速度の冷媒流により冷媒吸引口(14b)から冷媒を吸引し、前記ノズル部(14a)から噴射された冷媒と前記冷媒吸引口(14b)から吸引された冷媒とを混合して吐出するエジェクタ(14)と、
    前記エジェクタ(14)に吸引される冷媒または前記エジェクタ(14)から吐出された冷媒を蒸発させる蒸発器(15、18)とを備え、
    前記蒸発器(15、18)と前記エジェクタ(14)とが一体に組み付けられた蒸発器ユニット(20)において、
    前記蒸発器(15、18)のヘッダタンク部(15b、15c、18b、18c)内に挿入されたチューブ(21)の先端形状が、前記チューブ(21)の幅方向において、両端部に対して中央部が窪んだ形状であることを特徴とする蒸発器ユニット。
  10. 前記チューブ(21)の先端形状が、前記ヘッダタンク部(15b、15c、18b、18c)内に配置された前記エジェクタ(14)の外形形状に沿うように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の蒸発器ユニット。
  11. 前記チューブ(21)の先端形状が、前記ヘッダタンク部(15b、15c、18b、18c)のチューブ挿入側の内面形状に沿うように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の蒸発器ユニット。
  12. ノズル部(14a)から噴射される高い速度の冷媒流により冷媒吸引口(14b)から冷媒を吸引し、前記ノズル部(14a)から噴射された冷媒と前記冷媒吸引口(14b)から吸引された冷媒とを混合して吐出するエジェクタ(14)と、
    前記エジェクタ(14)に吸引される冷媒または前記エジェクタ(14)から吐出された冷媒を蒸発させる蒸発器(15、18)とを備え、
    前記蒸発器(15、18)と前記エジェクタ(14)とが一体に組み付けられた蒸発器ユニット(20)において、
    前記蒸発器(15、18)のヘッダタンク部(15b、18b)内に複数の前記エジェクタ(14)を配置したことを特徴とする蒸発器ユニット。
  13. 一つの前記ヘッダタンク部(18b)内に前記複数のエジェクタ(14)を配置したことを特徴とする請求項12に記載の蒸発器ユニット。
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