JP2008025620A - ねじ部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ねじ転造加工時、ねじ山の頂部の一部が欠けた転造ダイスによって転造された場合でも、応力の集中する部位のねじ底部にまくれ込みが現出されず、耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等が向上するねじ部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本コンロッドボルト1に、雌ねじ部との螺合部位に大径軸部4aを形成すると共に、雌ねじ部との非螺合部位に小径軸部5aを形成して、次に、ねじ転造加工により、大径軸部4aに完全ねじ部4を形成すると共に、小径軸部5aに不完全ねじ部5を形成するので、ねじ転造加工の際、ねじ山の頂部の一部が欠けた転造ダイスにより転造された場合でも、応力の集中する不完全ねじ部5のねじ底部にまくれ込み55が現出されることはない。これにより、本コンロッドボルト1は、従来のコンロッドボルトに比べて、耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等が向上する。
【選択図】図2

Description

本発明は、耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等に優れたねじ部材及び該ねじ部材の製造方法に関するものである。
自動車には、多種多数のボルトが使用されているが、例えば、図1に示すように、半円筒状のキャップ60を、コンロッド61の半円筒部分に取り付ける際には、コンロッドボルト(ねじ部材)51が使用されている。
すなわち、図3に示すように、キャップ60には、従来のコンロッドボルト51(図7参照)の軸部52が挿通される貫通孔62が形成されると共に、コンロッド61には、キャップ60が取り付けられる面を開口して、コンロッドボルト51の軸部52が挿通される貫通孔63が形成され、この貫通孔63に連続して雌ねじ部64が形成されている。そして、このコンロッドボルト51を、キャップ60及びコンロッド61それぞれの貫通孔62及び63に挿通して、コンロッド61の雌ねじ部64に螺合することにより、キャップ60をコンロッド61に取り付けている。
そこで、従来のコンロッドボルト51は、図7に示すように、頭部54と軸部52とからなり、該軸部52には、その略全長に亘って、ねじ山断面形状が略三角形状となる完全ねじ部53が形成されている。この完全ねじ部53は、図6に示す第1及び第2転造ダイス70、71によるねじ転造加工によって形成される。
しかしながら、従来のコンロッドボルト51の軸部52にねじ転造加工により完全ねじ部53を形成する際、ねじ山の頂部の一部が欠けた第1または第2転造ダイス70、71により過転造されて完全ねじ部53が形成されると、図7(b)に示すように、完全ねじ部53のねじ底部に亀裂55が現出する。
そこで、従来のコンロッドボルト51の完全ねじ部53のねじ底部に現出される亀裂55の発生メカニズムを、図8に基いて図6も参照しながら以下(1)〜(5)にて説明する。
(1)ねじ転造加工により、コンロッドボルト51の軸部52に完全ねじ部53を形成する際には、図6に示すように、コンロッドボルト51の軸部52を、固定位置で回動する円柱状の第1転造ダイス70と、第1転造ダイス70側に進退移動すると共に回動する円柱状の第2転造ダイス71との間に配し、第2転造ダイス71を回動させながら第1転造ダイス70側に移動させて、コンロッドボルト51の軸部52を第1転造ダイス70と第2転造ダイス71との間で転動させる。すると、図8(a)に示すように、コンロッドボルト51の軸部52の材料が、第1及び第2転造ダイス70、71の各ねじ山間のねじ溝をねじ底部に向かって流れ込み、正規の高さに対して約8割程度の高さのねじ山56、56が形成される。
(2)引き続き、コンロッドボルト51の軸部52が第1及び第2転造ダイス70、71間を転動すると、図8(b)に示すように、コンロッドボルト51の軸部52の材料が、第1及び第2転造ダイス70、71の各ねじ山間のねじ溝に完全に充填されて、コンロッドボルト51の軸部52に、正規の高さのねじ山53、53(完全ねじ部)が形成される。
(3)さらに、コンロッドボルト51の軸部52に完全ねじ部53が形成された後、図8(c)に示すように、この完全ねじ部53が、第1または第2転造ダイス70、71のねじ山の頂部が欠けた部分58を転動すると、過転造になると共に隣接するねじ山53、53の斜面の途中に段差57、57がそれぞれ形成される。
(4)さらに、コンロッドボルト51の各段差57、57の部位が、再び第1または第2転造ダイス70、71の正常なねじ山の部分を転動すると、図8(d)に示すように、過転造の状態が続き、各ねじ山53、53の各段差57、57の部分が、矢印で示すようにねじ底部に向かって押されるようにそれぞれ流動して、ねじ底部にて干渉し重なり合う現象が発生して、その部分に亀裂55が現出される。
(5)その後、前項(3)及び(4)の動作が繰り返して行われると、ねじ底部に現出された亀裂55が枝状に分かれるようにして伸び、亀裂55(以下まくれ込みという)がさらに深く現出されるようになる。
そして、前述したようにねじ底部にまくれ込み55が現出された従来のコンロッドボルト51により、図3のようにキャップ60をコンロッド61に取り付け、該コンロッドボルト51に曲げ荷重が繰り返し作用すると、応力が、コンロッドボルト51の、コンロッド61の貫通孔63と雌ねじ部64との境界部分に位置する完全ねじ部53のねじ底部のまくれ込み55に集中して、該まくれ込み55を起点に破断し易くなり、コンロッドボルト51の耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等を十分に満足することができなくなってしまう。
ところで、完全ねじ部53のねじ底部へのまくれ込み55の現出を防ぐためには、ねじ転造加工する際の作業管理において、段取の前後で軸部52の位置を確認することで過転造とならないように管理し、さらに、第1及び第2転造ダイス70、71のねじ山の頂部に欠けた部位58が有るか否かを定期的に検査する必要がある。
しかしながら、各転造ダイス70、71のねじ山の頂部に欠けた部位58が有るか否かを検査する方法は、目視及び手感による検査方法であるため、微小なダイス欠け58を見逃す虞があり、作業管理上において、特に、各転造ダイス70、71のダイス欠け58の有無を厳密に管理することは困難であった。
そこで、特許文献1には、ネジ山を潰して形成した不完全ネジ部を、ネジ部の長さ方向中間に光軸調整に必要な範囲内に設けた、自動車用前照灯の光軸調整用アジャスタスクリューが開示されている。
実開昭58−61916号公報
しかしながら、上述した特許文献1の発明は、アジャストスクリューに、ネジ山を潰して不完全ネジ部を形成することで、この不完全ネジ部と車体側のナットとの密着性を増大させて、振動等によってアジャストスクリューが妄りに回動するのを未然に防止するもので、特許文献1の発明によって、ねじ山の頂部の一部が欠けた転造ダイスによってねじ転造加工される際、ねじ底部にまくれ込みが現出されるのを防ぐことは到底できない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ねじ転造加工時、ねじ山の頂部の一部が欠けた転造ダイスによって転造された場合でも、応力の集中する部位のねじ底部にまくれ込みが現出されず、耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等が向上するねじ部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、請求項1に記載したねじ部材の発明は、雌ねじ部に螺合されるねじ部材であって、該ねじ部材の軸部には、前記雌ねじ部との非螺合部位に、ねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部が形成されると共に、前記雌ねじ部との螺合部位に、ねじ山断面形状が略三角形状となる完全ねじ部が形成されることを特徴とするものである。
請求項2に記載したねじ部材の発明は、請求項1に記載した発明において、前記完全ねじ部は、前記軸部の先端部分に形成されることを特徴とするものである。
また、上記課題を解決するための第2の手段として、請求項3に記載したねじ部材の製造方法の発明は、雌ねじ部に螺合されるねじ部材の製造方法であって、前記ねじ部材の軸部を、小径軸部と大径軸部とに形成する工程と、ねじ転造加工により、前記小径軸部にねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部を形成すると共に、前記大径軸部にねじ山断面形状が略三角形状となる完全ねじ部を形成する工程と、を含むことを特徴とするものである。
請求項4に記載したねじ部材の製造方法の発明は、請求項3に記載した発明において、前記軸部を前記小径軸部と前記大径軸部とに形成する前記工程では、前記小径軸部と前記大径軸部とが転造加工によって形成されることを特徴とするものである。
請求項5に記載したねじ部材の製造方法の発明は、請求項3または4に記載した発明において、前記不完全ねじ部は、前記雌ねじ部との非螺合部位に形成されると共に、前記完全ねじ部は、前記雌ねじ部との螺合部位に形成されることを特徴とするものである。
従って、請求項1に記載したねじ部材の発明では、ねじ部材の軸部には、雌ねじ部との非螺合部位にねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部が形成される、すなわち、雌ねじ部との非螺合部位に小径軸部を形成して、該小径軸部にねじ転造加工により不完全ねじ部が形成されるので、ねじ転造加工する際、ねじ山の頂部の一部が欠けた転造ダイスによって転造されたとしても、小径軸部の範囲では、転造ダイスの各ねじ山間のねじ溝にねじ部材の材料が完全に充填されず過転造の状態にならないために、不完全ねじ部のねじ底部にまくれ込みが現出されることがない。これにより、ねじ部材に、完全ねじ部が雌ねじ部に螺合された状態で曲げ荷重が繰り返し作用して、その応力が完全ねじ部と不完全ねじ部との境界部分の不完全ねじ部のねじ底部に集中しても、その応力はねじ底部の全体に分散されるため、ねじ底部にまくれ込みが現出された従来のねじ部材よりも耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等を向上させたねじ部材が提供される。
請求項2に記載したねじ部材の発明では、複数の部材を締結するねじ部材として、従来のねじ部材よりも耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等を向上させたねじ部材が提供される。
また、請求項3に記載したねじ部材の製造方法の発明では、ねじ部材の軸部に小径軸部を形成した後、該小径軸部にねじ転造加工によりねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部が形成されるので、ねじ転造加工する際、ねじ山の頂部の一部が欠けた転造ダイスで転造されたとしても、小径軸部においては、転造ダイスの各ねじ山間のねじ溝にねじ部材の材料が完全に充填されず過転造の状態にならないために、不完全ねじ部のねじ底部にまくれ込みが現出されることがない。これにより、ねじ部材に、完全ねじ部が拘束された状態で曲げ荷重が繰り返し作用して、その応力が完全ねじ部と不完全ねじ部との境界部分の不完全ねじ部のねじ底部に集中しても、その応力がねじ底部の全体に分散されるため、ねじ底部にまくれ込みが現出された従来のねじ部材よりも耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等を向上させたねじ部材を製造する方法が提供される。
請求項4に記載したねじ部材の製造方法の発明では、ねじ部材の軸部が、加工硬化して高強度に形成され、従来のねじ部材よりも耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等を向上させたねじ部材を製造する方法が提供される。
請求項5に記載したねじ部材の製造方法の発明では、ねじ部材により複数の部材を締結した状態で、このねじ部材に曲げ荷重が繰り返し作用すると、応力が集中する箇所はねじ部材の雌ねじ部との非螺合部位に形成した不完全ねじ部となるが、その不完全ねじ部のねじ底部にはまくれ込みが現出されていないので、応力は不完全ねじ部のねじ底部の全体に分散されて、ねじ部材の耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等が十分に満足されるねじ部材を製造する方法が提供される。
本発明によれば、ねじ転造加工時、ねじ山の頂部の一部が欠けた転造ダイスによって転造された場合でも、応力の集中する部位のねじ底部にまくれ込みが現出されず、耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等が向上するねじ部材及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図5に基いて詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係るねじ部材は、図1に示すように、例えば、キャップ60をコンロッド61に取り付ける際のコンロッドボルト1に採用されている。
本コンロッドボルト1は、図2に示すように、頭部2と軸部3とから構成されている。
本コンロッドボルト1の軸部3には、図2及び図3に示すように、コンロッド61の雌ねじ部64との螺合部位にねじ山断面形状が略三角形状となる完全ねじ部4が形成されると共に、コンロッド61の雌ねじ部64との非螺合部位、すなわち、コンロッド61の貫通孔63及びキャップ60の貫通孔62の大半部分に位置する部位にねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部5が形成される。また、完全ねじ部4は、軸部3の先端部に形成されると共に、不完全ねじ部5は、軸部3の中間部に形成される。
そして、本コンロッドボルト1の製造方法を図2に基いて説明する。
まず、第1の工程として、図2(a)に示すように、本コンロッドボルト1は、冷間型鍛造により、棒状体の一端部がブロック状の頭部2に型成形されて、頭部2と軸部3とに形成される。
次に、第2の工程として、図2(b)に示すように、図2(a)に示す本コンロッドボルト1の軸部3が、転造成形加工により、先端部及び基端部に大径軸部4aが形成されると共に、中間部に小径軸部5aが形成される。この大径軸部4aの外径は、図2(a)に示す軸部3の外径よりも小径で、最終的にねじ転造加工により形成される完全ねじ部4の外径に形成される。また、小径軸部5aは、大径軸部4aの外径よりも、0.01mm〜0.5mmの所定値小径に形成される。
また、先端部に形成される大径軸部4aの長さは、図3に示すように、コンロッド61の雌ねじ部64の長さと略同一に設定されている。一方、中間部に形成される小径軸部5aの長さは、コンロッド61の貫通孔63の長さに、キャップ60の貫通孔62の約6割程度の長さを合わせた相当の長さに設定されている。また、図2(b)に示すように、軸部3の小径軸部5aと大径軸部4aとは、テーパ面またはR面(図2(b)ではテーパ面)6aで接続される。
なお、軸部3が転造成形加工により大径軸部4aと小径軸部5aとに形成される第2の工程は、頭部2がブロック状に型成形される第1の工程に含まれる場合もある。
次に、第3の工程として、図2(b)に示すコンロッドボルト1の小径軸部5a及び先端部分の大径軸部4aを、図6に示す第1及び第2転造ダイス70、71によりねじ転造加工することで、図2(c)に示すように、本コンロッドボルト1の先端部分の大径軸部4aには、コンロッド61の雌ねじ部64と螺合される、ねじ山断面形状が略三角形となる完全ねじ部4が形成される。一方、本コンロッドボルト1の小径軸部5aには、ねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部5が形成される。なお、完全ねじ部4の各ねじ山の角度と、不完全ねじ山5の各ねじ山の角度とは略同一である。
そして、このように形成された本コンロッドボルト1を、図3に示すように、キャップ60の貫通孔62及びコンロッド61の貫通孔63に挿通して、先端部の完全ねじ部4をコンロッド61の雌ねじ部64に螺合することにより、キャップ60をコンロッド61に取り付けている。
そこで、本コンロッドボルト1に、ねじ転造加工にて完全ねじ部4及び不完全ねじ部5が形成される際、ねじ山の頂部の一部が欠けた転造ダイス70、71により転造された場合、図4に示すように、本コンロッドボルト1の完全ねじ部4の範囲には、従来と同様にそのねじ底部にまくれ込み55が現出されるが、不完全ねじ部5の範囲には、各転造ダイス70、71の各ねじ山間のねじ溝に、小径軸部5aの材料が完全に充填されず過転造の状態にならないために、不完全ねじ部5のねじ底部にまくれ込み55が現出されることはない。
そこで、上述したような製造方法を採用することにより、不完全ねじ部5のねじ底部に、まくれ込み55が現出されないことを図5に示すグラフに基いて説明する。図5は、切り込み量(図6に示す第2転造ダイス71が被加工軸部の外周面に接触してから第1転造ダイス70側に移動した距離)と、ねじ底部に現出したまくれ込み量(亀裂の深さ)との関係をグラフにしたものである。条件としては、被加工軸部の外径が9mmであり、第1及び第2転造ダイス70、71のねじ山の高さが0.7mmで、しかも、第1転造ダイス70は、そのねじ山の頂部の一部が0.15mm欠けた状態である。
そして、この条件において、切り込み量とまくれ込み量との関係を検証してみると、図5から解るように、切り込み量が0.6〜0.65mmの範囲、すなわち、被加工軸部に形成されたねじ山の高さが正規の高さ(0.7mm)にまで達していないねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部5の状態では、まくれ込み55は現出していない。しかしながら、切り込み量が0.7mmの時、すなわち、被加工軸部の形成されたねじ山の高さが正規の高さに達し、ねじ山断面形状が略三角形状となる完全ねじ部4が形成された時に、まくれ込み55が現出している(まくれ込み量:0.027mm)。
このように、ねじ山の頂部の一部が欠けた転造ダイス70、71によりねじ転造加工されたとしても、ねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部5のねじ底部には、まくれ込み55が現出されないことが解る。
また、参考ではあるが、切り込み量が0.7mmよりも大きくなると、完全ねじ部4の外径が転造前の軸径9mmよりも小径となり、過転造が進むことから完全ねじ部4のねじ底部に現出されたまくれ込み量も次第に増加する。
次に、疲労試験により本コンロッドボルト1と従来のコンロッドボルト51との耐疲労特性を比較した結果を説明する。
本コンロッドボルト1と従来のコンロッドボルト51とを疲労試験機に同一条件、すなわち、本コンロッドボルト1は完全ねじ部4の全範囲を拘束した状態、また、従来のコンロッドボルト51は、その完全ねじ部53の先端部分で、本コンロッドボルト1の完全ねじ部4の長さ相当分を拘束した状態で設置して、それぞれのコンロッドボルト1、51に同一の曲げ荷重を繰り返し付与して、破断回数についての比較検証を行った。
その結果、従来のコンロッドボルト51は、略106回目で破断したのに対して、本コンロッドボルト1では疲労試験における合否基準となる107回目でも破断には至らなかった。このように、耐疲労特性において、本コンロッドボルト1が、従来のコンロッドボルト51よりも高い強度を有していることが解る。
以上説明したように、本発明の実施の形態では、本コンロッドボルト1を製造する際、まず、コンロッドボルト1の軸部3に、転造加工により、その先端部、すなわち、コンロッド61の雌ねじ部64との螺合部位に大径軸部4aを形成すると共に、その中間部、すなわち、コンロッド61の貫通孔63及びキャップ60の貫通孔63の大半部分に位置する部位に小径軸部5aを形成する。次に、ねじ転造加工により、大径軸部4aにねじ山断面形状が略三角形状となる完全ねじ部4を形成すると共に、小径軸部5aにねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部5を形成する。
そして、このように本コンロッドボルト1が製造されることで、ねじ転造加工の際、ねじ山の頂部の一部が欠けた転造ダイス70、71により転造された場合でも、不完全ねじ部5の範囲では、転造ダイス70、71の各ねじ山間のねじ溝に、小径軸部5aの材料が完全に充填されず過転造の状態にならないために、不完全ねじ部5のねじ底部にまくれ込み55が現出されることはない。
その結果、本コンロッドボルト1によりキャップ60をコンロッド61に取り付け、本コンロッドボルト1に曲げ荷重が繰り返し作用し、その応力がコンロッド61の雌ねじ部64と貫通孔63との境界部分(図3及び図4参照)に位置する本コンロッドボルト1の不完全ねじ部5のねじ底部に集中しても、応力はねじ底部の全体に分散されるために、本コンロッドボルト1は、従来のコンロッドボルト51に比べて、耐疲労特性及び耐遅れ破壊特性等が向上する。
なお、本発明の実施の形態では、ねじ部材をコンロッドボルト1に限定して説明したが、自動車で使用される他のボルト、例えば、ヘッドボルト、クランクキャップボルト、フライホイールボルト、ボールジョイントボルト、ユニオンボルト、プーリボルト等にも採用することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るコンロッドボルトによりキャップをコンロッドに取り付けた状態の図である。 図2は、本コンロッドボルトの製造工程を段階的に示した図である。 図3は、本コンロッドボルトが、キャップの貫通孔を貫通して、コンロッドの雌ねじ部に螺合している図である 図4は、図3のA部を拡大した図である。 図5は、切り込み量とまくれ込み量の関係を示した図である。 図6は、ねじ転造加工の様子を示した図である。 図7(a)は、従来のコンロッドボルト全体図で、(b)は(a)のB部の拡大図である。 図8は、従来のコンロッドボルトのねじ底部に現出されたまくれ込みの発生過程を段階的に示した図である。
符号の説明
1 コンロッドボルト(ねじ部材),3 軸部,4a 大径軸部,5a 小径軸部,4 完全ねじ部,5 不完全ねじ部,64 雌ねじ部

Claims (5)

  1. 雌ねじ部に螺合されるねじ部材であって、
    該ねじ部材の軸部には、前記雌ねじ部との非螺合部位に、ねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部が形成されると共に、前記雌ねじ部との螺合部位に、ねじ山断面形状が略三角形状となる完全ねじ部が形成されることを特徴とするねじ部材。
  2. 前記完全ねじ部は、前記軸部の先端部分に形成されることを特徴とする請求項1に記載のねじ部材。
  3. 雌ねじ部に螺合されるねじ部材の製造方法であって、
    前記ねじ部材の軸部を、小径軸部と大径軸部とに形成する工程と、
    ねじ転造加工により、前記小径軸部にねじ山断面形状が略台形状となる不完全ねじ部を形成すると共に、前記大径軸部にねじ山断面形状が略三角形状となる完全ねじ部を形成する工程と、を含むことを特徴とするねじ部材の製造方法。
  4. 前記軸部を前記小径軸部と前記大径軸部とに形成する前記工程では、前記小径軸部と前記大径軸部とが転造加工によって形成されることを特徴とする請求項3に記載のねじ部材の製造方法。
  5. 前記不完全ねじ部は、前記雌ねじ部との非螺合部位に形成されると共に、前記完全ねじ部は、前記雌ねじ部との螺合部位に形成されることを特徴とする請求項3または4に記載のねじ部材の製造方法。
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