JP2008024861A - 結晶性メタクリル樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物から、耐熱性が高い結晶性メタクリル樹脂を容易に製造しうる方法を提供することである。
【解決手段】アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物を、高圧ガスに接触させた後、さらに熱処理する。前記熱処理の温度が、高圧ガスに接触後の前記混合物のガラス転移温度以上であり、該混合物の融点+5℃以下であるのが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物を、高圧ガスに接触させた後、さらに熱処理する。前記熱処理の温度が、高圧ガスに接触後の前記混合物のガラス転移温度以上であり、該混合物の融点+5℃以下であるのが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物から、結晶性メタクリル樹脂を製造する方法に関する。
アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体とからなる結晶性メタクリル樹脂は、ステレオコンプレックスメタクリル酸メチル系重合体とも呼ばれ、耐溶剤性等に優れることから、各種用途への適用が検討されている。
かかる結晶性メタクリル樹脂を製造する方法としては、例えば以下の(a)〜(c)の方法が知られている。
(a)上記両重合体をトルエン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の所定の溶媒中で混合する方法(例えば、非特許文献1参照)
(b)上記両重合体の混合物を熱処理する方法(例えば、非特許文献1参照)
(c)上記両重合体の混合物を高圧ガスに接触させる方法(例えば、特許文献1参照)
(a)上記両重合体をトルエン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の所定の溶媒中で混合する方法(例えば、非特許文献1参照)
(b)上記両重合体の混合物を熱処理する方法(例えば、非特許文献1参照)
(c)上記両重合体の混合物を高圧ガスに接触させる方法(例えば、特許文献1参照)
しかしながら、上記(a)の方法では、得られた結晶性メタクリル樹脂から溶媒を除去するのに手間や時間がかかるという問題がある。
上記(b)の方法では、原料の上記両重合体として、比較的低分子量で立体規則性の高いものを用いれば、速やかに結晶化が進行するが、原料コストが高くなるという問題がある。また、上記両重合体として、比較的高分子量で立体規則性の低いものを用いると、原料コストは抑えられるが、結晶化が進行し難く、時間がかかるという問題がある。すなわち、上記(b)の方法では、上記両重合体の原料の選定が難しく、結晶性メタクリル樹脂を容易に製造することができない。
上記(b)の方法では、原料の上記両重合体として、比較的低分子量で立体規則性の高いものを用いれば、速やかに結晶化が進行するが、原料コストが高くなるという問題がある。また、上記両重合体として、比較的高分子量で立体規則性の低いものを用いると、原料コストは抑えられるが、結晶化が進行し難く、時間がかかるという問題がある。すなわち、上記(b)の方法では、上記両重合体の原料の選定が難しく、結晶性メタクリル樹脂を容易に製造することができない。
一方、上記(c)の方法によれば、上記両重合体の原料によらず速やかに結晶化が進行するので、結晶性メタクリル樹脂を容易に製造することができる。
しかしながら、得られる結晶性メタクリル樹脂の融点が低く、耐熱性の点で満足できないことがある。
しかしながら、得られる結晶性メタクリル樹脂の融点が低く、耐熱性の点で満足できないことがある。
本発明の課題は、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物から、耐熱性が高い結晶性メタクリル樹脂を容易に製造することができる方法を提供することである。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、上記両重合体の混合物を、高圧ガスに接触させた後、さらに熱処理することにより、高圧ガスに接触させることによる速やかな結晶化の進行と、さらに熱処理することによる結晶化の進行とが相まって、融点が高い、すなわち耐熱性が高い結晶性メタクリル樹脂を容易に製造することができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の結晶性メタクリル樹脂の製造方法は、以下の構成からなる。
(1)アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物を、高圧ガスに接触させた後、さらに熱処理することを特徴とする結晶性メタクリル樹脂の製造方法。
(2)前記高圧ガスが二酸化炭素を50容量%以上含有する前記(1)に記載の方法。
(3)前記高圧ガスの圧力が1MPa以上である前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記高圧ガスの温度が30℃以上である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記高圧ガスが超臨界状態にある前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記熱処理の温度が、高圧ガスに接触後の前記混合物のガラス転移温度以上であり、該混合物の融点+5℃以下である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)前記熱処理の温度が、高圧ガスに接触後の前記混合物のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃であり、該混合物の融点−70℃〜融点+5℃である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(1)アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物を、高圧ガスに接触させた後、さらに熱処理することを特徴とする結晶性メタクリル樹脂の製造方法。
(2)前記高圧ガスが二酸化炭素を50容量%以上含有する前記(1)に記載の方法。
(3)前記高圧ガスの圧力が1MPa以上である前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記高圧ガスの温度が30℃以上である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記高圧ガスが超臨界状態にある前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記熱処理の温度が、高圧ガスに接触後の前記混合物のガラス転移温度以上であり、該混合物の融点+5℃以下である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)前記熱処理の温度が、高圧ガスに接触後の前記混合物のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃であり、該混合物の融点−70℃〜融点+5℃である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物から、耐熱性が高い結晶性メタクリル樹脂を容易に製造することができるという効果を有する。すなわち、本発明では、まず、前記混合物を高圧ガスに接触させるので、速やかに結晶化を進行させることができる。ついで、さらに熱処理をするので、結晶性メタクリル樹脂の融点を高めることができる。したがって、高圧ガスに接触させることによる速やかな結晶化の進行と、さらに熱処理することによる結晶化の進行とが相まって、耐熱性が高い結晶性メタクリル樹脂を容易に製造することができる。
特に、前記(7)記載の方法によれば、耐熱性がより高い結晶性メタクリル樹脂を効率よく得ることができる。
特に、前記(7)記載の方法によれば、耐熱性がより高い結晶性メタクリル樹脂を効率よく得ることができる。
本発明の結晶性メタクリル樹脂の製造方法は、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物を用いる。具体的には、本発明で原料に用いるメタクリル酸メチル系重合体は、メタクリル酸メチルを主体とする重合体であり、メタクリル酸メチルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸メチル50重量%以上とメタクリル酸メチル以外の単量体50重量%以下の共重合体であってもよい。共重合体である場合には、全単量体に占めるメタクリル酸メチルの割合は、80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは90〜98重量%であるのがよい。メタクリル酸メチル以外の単量体の量が多すぎると、結晶性メタクリル樹脂が形成され難くなる。
また、共重合体である場合には、メタクリル酸メチル以外の単量体は、分子中に重合性の官能基を1個有する単官能単量体であってもよいし、分子中に重合性の官能基を複数個有する多官能単量体であってもよい。単官能単量体の例としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの如きメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの如きアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸の如き不飽和酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如き不飽和ニトリル、スチレン、メチルスチレンの如き芳香族アルケニル化合物等が挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレートの如き多価アルコールのポリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリアクリレート等が挙げられる。なお、メタクリル酸メチル以外の単量体は、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
原料のメタクリル酸メチル系重合体の1つであるアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体は、メタクリル酸メチル単位連鎖のアイソタクチシチーがトライアッド表示で50%以上、好ましくは80〜100%のものである。このアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体は、例えばグリニアル試薬を重合開始剤として用いて、メタクリル酸メチルを主体とする単量体をアニオン重合させることによって調製することができる(例えば、特開昭61−179210号公報、特開昭61−176617号公報参照)。
アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体の分子量は、特に限定されるものではないが、通常、数平均分子量(Mn)が5,000〜1,000,000、分子量分布[重量平均分子量(Mw)/Mn]が1.01〜15であるのが好ましい。前記分子量は、後述するように、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフで測定して得られた値である。
また、もう1つの原料であるシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体は、メタクリル酸メチル単位連鎖のシンジオタクチシチーがトライアッド表示で50%以上、好ましくは80〜100%のものである。このシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体は、例えば有機アルミニウム化合物や有機ランタニド錯体を重合開始剤として用いて、メタクリル酸メチルを主体とする単量体をアニオン重合させることによって調製することができる(例えば、特公平6−89054号公報、特許第2882674号公報参照)。
また、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体は、ラジカル重合開始剤を用いて、メタクリル酸メチルを主体とする単量体をラジカル重合させることによっても調製することができる。ここで、ラジカル重合開始剤は、熱重合開始剤であってもよいし、光重合開始剤であってもよい。熱重合開始剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサエートの如き有機過酸化物系開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の如きアゾ系開始剤等が挙げられ、有機化酸化物系開始剤とアミン類やメルカプタン類等の還元性化合物を組み合わせて、レドックス系開始剤を構成することも可能である。また、光重合開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、1−ヒドロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、アシルホスフェノキサイド、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントンの如き光重合開始剤等が挙げられ、必要に応じて光増感剤と組み合わせて使用することもできる。
シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体の分子量は、特に限定されるものではないが、通常、数平均分子量(Mn)が5,000〜1,000,000、分子量分布[重量平均分子量(Mw)/Mn]が1.01〜15であるのが好ましい。
本発明では、上記のアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物を高圧ガスに接触させる。この混合物は、例えば上記両重合体を固体状態で物理的に混合したものであってもよいし、上記両重合体をクロロホルムや塩化メチレン等の溶媒に溶解して混合したものであってもよいし、上記両重合体を溶融混練したものであってもよい。なお、上記混合物を得る過程で、その一部が結晶化してもよい。また、上記混合物が、上記両重合体を溶媒に溶解して混合したものである場合は、該混合後、溶媒が除去されるが、溶媒の一部が残存していてもよい。
上記混合物中のアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体の混合比は、前者:後者の重量比で表して、通常1:99〜99:1、好ましくは1:9〜9:1、さらに好ましくは1:5〜5:1である。
上記混合物は、必要に応じて成形されていてもよく、例えばフィルムやシートの如く板状に成形されていてもよいし、所望の三次元形状に成形されていてもよい。なお、板状の場合には、厚さは5,000μm以下、好ましくは10〜2,000μm程度であるのがよい。これに対し、厚さが5,000μmより大きいと、結晶化が進行し難くなるので好ましくない。
上記混合物を接触させる高圧ガスとしては、例えば二酸化炭素、窒素、アルゴン、水素、酸素、ブタン、プロパン、空気等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を混合して用いることもできる。中でも、不活性ガスであり、取扱いが容易であることから、二酸化炭素が好ましく用いられる。二酸化炭素を用いる場合、その濃度は、高圧ガス全体を基準として、通常50容量%以上、好ましくは80〜100容量%である。
高圧ガスの圧力は、通常0.2MPa以上、好ましくは1MPa以上であり、また通常50MPa以下である。また、高圧ガスの温度は、通常0℃以上、好ましくは30℃以上であり、また通常300℃以下、好ましくは200℃以下である。
また、高圧ガスの状態としては、超臨界状態にあることが好ましい。高圧ガスが超臨界状態にあるとは、高圧ガスの温度、圧力が臨界点以上にあることを意味する。この状態では圧力を変えることで密度、粘度、拡散係数等を気体に近い状態から液体に近い状態まで幅広く変えることができる。高圧ガスの臨界点は、高圧ガスの種類により異なり、例えば二酸化炭素では、臨界温度304.2K、臨界圧力7.4MPaであり、窒素では、臨界温度126.2K、臨界圧力3.4MPaである。2種類以上混合ガスの場合には、ガス成分の種類、混合比に応じて臨界点が存在する。
上記混合物を高圧ガスに接触させる方法としては、例えば上記混合物を耐圧容器に入れ、該容器内を高圧ガス雰囲気下とする方法(回分式)や、溶融状態の上記混合物中に高圧ガスを注入する方法(連続式)等が挙げられる。接触時間は、回分式の場合には、通常1時間〜20時間、好ましくは1時間〜10時間であり、連続式の場合には、通常30秒以上、好ましくは30秒〜180秒であるのがよい。
上記混合物を高圧ガスに接触させた後、常圧に戻すことにより、結晶性メタクリル樹脂を生成することができる。なお、常圧に戻す操作は、一気に行って樹脂を発泡させてもよいし、5〜10MPa/時間程度のゆっくりとした速度で行ってもよい。
ここで、本発明では、上記のようにして得られた結晶性メタクリル樹脂に対し、さらに熱処理を行う。この熱処理により、結晶性メタクリル樹脂の融点を高めることができ、ひいては耐熱性を向上させることができる。具体的には、熱処理を行うことにより、下記式(I)から算出される融点差(ΔTm)の値が0.5℃以上、好ましくは10〜35℃程度になる。
熱処理の温度は、高圧ガスに接触後の上記混合物のガラス転移温度以上であり、該混合物の融点以下であるのが好ましく、この範囲で、一定温度で保持することにより行ってもよいし、昇温しながら行ってもよい。
具体的には、熱処理の温度は、高圧ガスに接触後の上記混合物のガラス転移温度以上、好ましくはガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃であり、かつ該混合物の融点+5℃以下、好ましくは該混合物の融点−70℃〜融点+5℃であるのがよい。この範囲内の温度で熱処理を行うと、耐熱性がより高い結晶性メタクリル樹脂を効率よく得ることができる。これに対し、熱処理の温度が、ガラス転移温度より低い温度であると結晶化が進みにくく、融点+5℃より高い温度であると結晶が溶解する。前記融点およびガラス転移温度は、後述するように、示差走査熱量測定装置で測定して得られた値である。
また、昇温しながら熱処理を行う場合には、0.1〜1℃/分程度で昇温するのが好ましい。
また、昇温しながら熱処理を行う場合には、0.1〜1℃/分程度で昇温するのが好ましい。
熱処理は、回分式、連続式のいずれであってもよく、熱処理の時間は、回分式の場合には、通常30分〜8時間、好ましくは30分〜2時間であり、連続式の場合には、通常30秒以上、好ましくは60秒以上、より好ましくは60秒〜180秒である。また、熱処理は通常、常圧で行えばよい。
上記のようにして得られる熱処理後の結晶性メタクリル樹脂は、耐熱性に優れ、耐溶剤性にも優れることから、メタクリル樹脂本来の透明性や耐侯性、機械的性質も生かしつつ、例えば照明、看板、ディスプレイ、建築材料、発泡材料、レンズや光ディスクの如き光学機器等、各種用途に適用することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、各物性の測定方法は次のとおりである。
〔数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)〕
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(ウォータズ社製の「150−CV」)を使用して、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて測定した。なお、Mn及びMw/Mnの決定には、ポリメタクリル酸メチル標準サンプルにより作成した検量線を用いた。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(ウォータズ社製の「150−CV」)を使用して、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて測定した。なお、Mn及びMw/Mnの決定には、ポリメタクリル酸メチル標準サンプルにより作成した検量線を用いた。
〔立体規則性〕
プロトン核磁気共鳴スペクトル測定装置(Varian社製の「XL−200」)を使用して、溶媒としてニトロベンゼン−d5を用いて立体規則性、すなわちアイソタクチシチー(mm)、ヘテロタクチシチー(mr)、シンジオタクチシチー(rr)を測定した。
プロトン核磁気共鳴スペクトル測定装置(Varian社製の「XL−200」)を使用して、溶媒としてニトロベンゼン−d5を用いて立体規則性、すなわちアイソタクチシチー(mm)、ヘテロタクチシチー(mr)、シンジオタクチシチー(rr)を測定した。
〔融点(Tm)、融解熱量変化(ΔHm)及びガラス転移温度〕
示差走査熱量測定装置[(株)島津製作所社製の「DSC−50」]を使用して、室温から250℃まで、20℃/分の昇温速度で測定した。融点(Tm)は、結晶の融解に由来する吸熱ピークのピークトップとした。また、融解熱量変化(ΔHm)は、結晶の融解に由来する吸熱ピークの面積から計算して求めた。ガラス転移温度は、JIS K7121に準拠して、中間点ガラス転移温度を求めた。
示差走査熱量測定装置[(株)島津製作所社製の「DSC−50」]を使用して、室温から250℃まで、20℃/分の昇温速度で測定した。融点(Tm)は、結晶の融解に由来する吸熱ピークのピークトップとした。また、融解熱量変化(ΔHm)は、結晶の融解に由来する吸熱ピークの面積から計算して求めた。ガラス転移温度は、JIS K7121に準拠して、中間点ガラス転移温度を求めた。
[参考例1]
(アイソタクチックポリメチルメタクリル酸メチルの調製)
特開昭61−179210号公報に記載の方法に従い、tert−ブチルマグネシウムブロマイドを開始剤として用い、トルエン中、−78℃でメタクリル酸メチルを重合させ、アイソタクチックポリメチルメタクリル酸メチル(以下、it−PMMAと略記する)を得た。得られたit−PMMAのMn及びMw/Mn並びに立体規則性を測定し、結果を表1に示した。
(アイソタクチックポリメチルメタクリル酸メチルの調製)
特開昭61−179210号公報に記載の方法に従い、tert−ブチルマグネシウムブロマイドを開始剤として用い、トルエン中、−78℃でメタクリル酸メチルを重合させ、アイソタクチックポリメチルメタクリル酸メチル(以下、it−PMMAと略記する)を得た。得られたit−PMMAのMn及びMw/Mn並びに立体規則性を測定し、結果を表1に示した。
[参考例2]
(シンジオタクチックポリメタクリル酸メチルの調製)
特許第2882674号公報に記載の方法に従い、ビスペンタメチルシクロペンタジエニルサマリウムハイドライドを開始剤として用い、トルエン中、−78℃でメタクリル酸メチルを重合させ、シンジオタクチックポリメタクリル酸メチル(以下、st−PMMAと略記する)を得た。得られたst−PMMAのMn及びMw/Mn並びに立体規則性を測定し、結果を表1に示した。
(シンジオタクチックポリメタクリル酸メチルの調製)
特許第2882674号公報に記載の方法に従い、ビスペンタメチルシクロペンタジエニルサマリウムハイドライドを開始剤として用い、トルエン中、−78℃でメタクリル酸メチルを重合させ、シンジオタクチックポリメタクリル酸メチル(以下、st−PMMAと略記する)を得た。得られたst−PMMAのMn及びMw/Mn並びに立体規則性を測定し、結果を表1に示した。
[参考例3]
(it−PMMAとst−PMMAとの混合物からなる非晶性フィルムの調製)
参考例1で得たit−PMMA2gと参考例2で得たst−PMMA4gとをジクロロメタン114gに溶解した。この溶液をペトリ皿に展開し、室温で1日乾燥した後、40℃の真空乾燥機中で1日乾燥し、フィルム状物を得た。このフィルム状物を、250℃、29.4MPaで5分間加熱プレスした後、氷水で急冷し、厚さ500μmの非晶性フィルムを得た。なお、このフィルムが、非晶性であり、結晶が形成されていないことは、示差走査熱量測定(DSC)により確認した。
(it−PMMAとst−PMMAとの混合物からなる非晶性フィルムの調製)
参考例1で得たit−PMMA2gと参考例2で得たst−PMMA4gとをジクロロメタン114gに溶解した。この溶液をペトリ皿に展開し、室温で1日乾燥した後、40℃の真空乾燥機中で1日乾燥し、フィルム状物を得た。このフィルム状物を、250℃、29.4MPaで5分間加熱プレスした後、氷水で急冷し、厚さ500μmの非晶性フィルムを得た。なお、このフィルムが、非晶性であり、結晶が形成されていないことは、示差走査熱量測定(DSC)により確認した。
[比較例1]
参考例3で得た非晶性フィルムを耐圧容器に入れ、90℃、20MPaの二酸化炭素で耐圧容器内を満たした。8時間後、耐圧容器内を常圧まで減圧し、結晶性メタクリル樹脂のフィルム(結晶性フィルム)を得た。得られた結晶性フィルムのTm及びΔHmを測定し、結果を表2に示した。なお、この結晶性フィルムのガラス転移温度は110.5℃であった。
参考例3で得た非晶性フィルムを耐圧容器に入れ、90℃、20MPaの二酸化炭素で耐圧容器内を満たした。8時間後、耐圧容器内を常圧まで減圧し、結晶性メタクリル樹脂のフィルム(結晶性フィルム)を得た。得られた結晶性フィルムのTm及びΔHmを測定し、結果を表2に示した。なお、この結晶性フィルムのガラス転移温度は110.5℃であった。
比較例1で得た結晶性フィルムを150℃のオーブンに入れ、1時間放置して熱処理した。この熱処理後の結晶性フィルムのTm及びHmを測定し、比較例1で得た結晶性フィルムとの融点差(ΔTm)と共に、結果を表2に示した。
比較例1で得た結晶性フィルムを160℃のオーブンに入れ、1時間放置して熱処理した。この熱処理後の結晶性フィルムのTm及びHmを測定し、比較例1で得た結晶性フィルムとの融点差(ΔTm)と共に、結果を表2に示した。
比較例1で得た結晶性フィルムを170℃のオーブンに入れ、1時間放置して熱処理した。この熱処理後の結晶性フィルムのTm及びHmを測定し、比較例1で得た結晶性フィルムとの融点差(ΔTm)と共に、結果を表2に示した。
比較例1で得た結晶性フィルムを140℃のオーブンに入れ、170℃まで0.5℃/分で昇温して熱処理した。この熱処理後の結晶性フィルムのTm及びHmを測定し、比較例1で得た結晶性フィルムとの融点差(ΔTm)と共に、結果を表2に示した。
表2から明らかなように、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体であるit−PMMAと、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体であるst−PMMAとの混合物を、高圧ガスに接触させた後、さらに熱処理した実施例1〜4の結晶性フィルムは、高圧ガスに接触させた後、熱処理をしなかった比較例1の結晶性フィルムよりも、融点(Tm)が高いのがわかる。なお、Tmが高い結晶性フィルムは、融解熱量変化(ΔHm)が低い値を示した。
[比較例2]
参考例3で得た非晶性フィルムを耐圧容器に入れ、35℃、20MPaの二酸化炭素で耐圧容器内を満たした。8時間後、耐圧容器内を常圧まで減圧し、結晶性フィルムを得た。得られた結晶性フィルムのTm及びΔHmを測定し、結果を表3に示した。なお、この結晶性フィルムのガラス転移温度は110.5℃であった。
参考例3で得た非晶性フィルムを耐圧容器に入れ、35℃、20MPaの二酸化炭素で耐圧容器内を満たした。8時間後、耐圧容器内を常圧まで減圧し、結晶性フィルムを得た。得られた結晶性フィルムのTm及びΔHmを測定し、結果を表3に示した。なお、この結晶性フィルムのガラス転移温度は110.5℃であった。
比較例2で得た結晶性フィルムを140℃のオーブンに入れ、12分間放置して熱処理した。この熱処理後の結晶性フィルムのTm及びHmを測定し、比較例2で得た結晶性フィルムとの融点差(ΔTm)と共に、結果を表3に示した。
比較例2で得た結晶性フィルムを150℃のオーブンに入れ、12分間放置して熱処理した。この熱処理後の結晶性フィルムのTm及びHmを測定し、比較例2で得た結晶性フィルムとの融点差(ΔTm)と共に、結果を表3に示した。
比較例2で得た結晶性フィルムを160℃のオーブンに入れ、12分間放置して熱処理した。この熱処理後の結晶性フィルムのTm及びHmを測定し、比較例2で得た結晶性フィルムとの融点差(ΔTm)と共に、結果を表3に示した。
表3から明らかなように、it−PMMAとst−PMMAとの混合物を、高圧ガスに接触させた後、さらに熱処理した実施例5〜7の結晶性フィルムは、高圧ガスに接触させた後、熱処理をしなかった比較例2の結晶性フィルムよりも、融点が高いのがわかる。なお、Tmが高い結晶性フィルムは、融解熱量変化(ΔHm)が低い値を示した。
Claims (7)
- アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体との混合物を、高圧ガスに接触させた後、さらに熱処理することを特徴とする結晶性メタクリル樹脂の製造方法。
- 前記高圧ガスが二酸化炭素を50容量%以上含有する請求項1に記載の方法。
- 前記高圧ガスの圧力が1MPa以上である請求項1又は2に記載の方法。
- 前記高圧ガスの温度が30℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記高圧ガスが超臨界状態にある請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記熱処理の温度が、高圧ガスに接触後の前記混合物のガラス転移温度以上であり、該混合物の融点+5℃以下である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記熱処理の温度が、高圧ガスに接触後の前記混合物のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃であり、該混合物の融点−70℃〜融点+5℃である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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2006
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