JP2008023585A - クラッド材製造方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロウ材層の母材からの剥離を防止し得、品質の安定したクラッド材を効率良く製造し得るクラッド材製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】粉末圧着機4のロール10表面に、その円周方向へ環状に張り出し且つロール10軸線方向へ所要間隔をあけて複数配設される突条13を形成することによってスリット加工手段12を構成し、これにより、前記ロウ材層の表面に、母材1の長手方向へ延び且つ母材1の幅方向へ所要間隔をあけて複数配設されるスリット14を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、クラッド材製造方法及び装置に関するものである。
近年、例えば、母材であるステンレス或は耐熱合金等の金属板の両面又は片面に、ニッケル等を主成分とする金属粉末を圧着してロウ材層を形成したクラッド材を製造することが行なわれるようになっており、このようなクラッド材を製造する際には、図7に示されるような装置を使用することが提案されている。
図7に示されるクラッド材製造装置は、母材1が巻き取られた母材コイル2を巻き戻す母材巻戻機3と、該母材巻戻機3によって母材コイル2から巻き戻された母材1の表面に金属粉末を圧着する粉末圧着機4と、該粉末圧着機4で母材1に金属粉末が圧着されたクラッド材5を加熱して金属粉末を焼結させた後、冷却する加熱冷却炉6と、該加熱冷却炉6で金属粉末を焼結させたクラッド材5を圧延する圧延機7と、該圧延機7で圧延されたクラッド材5をクラッド材コイル8として巻き取るクラッド材巻取機9とを備えてなる構成を有している。
前記粉末圧着機4は、回転自在となるよう対向配置された一対のロール10と、該各ロール10上に金属粉末を供給する粉末供給装置11とを備え、前記一対のロール10間に上方から下方へ向け母材1を導入しつつ、前記粉末供給装置11から各ロール10上に金属粉末を供給して、該各ロール10を回転させることにより、前記母材1の両面に金属粉末を圧着させるようになっている。
前記加熱冷却炉6においては、金属粉末を溶かさずに焼結させる固相焼結と、金属粉末を溶かして(液相を出して)焼結させる液相焼結のいずれかで、金属粉末の焼結を行い、その後、冷却を行うようになっている。
尚、前述の如きクラッド材製造装置と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
特開2005−186127号公報
ところで、前述の如きクラッド材製造装置の場合、粉末圧着機4で母材1に金属粉末を圧着して形成したロウ材層に小さな割れが生じたりすると、その割れが、母材1を下流側へ送給する過程においてロウ材層全体に進展し、該ロウ材層が母材1から剥がれ落ちてしまう虞があり、品質の安定したクラッド材5を製造する上で問題となっていた。
しかも、前記ロウ材層の母材1からの剥離は、特に高速運転時に顕著となるため、生産量をアップできず、効率悪化につながるという不具合もあった。
本発明は、斯かる実情に鑑み、ロウ材層の母材からの剥離を防止し得、品質の安定したクラッド材を効率良く製造し得るクラッド材製造方法及び装置を提供しようとするものである。
本発明は、母材の表面に金属粉末を圧着してロウ材層を形成するクラッド材製造方法であって、
ロウ材層の表面にスリット加工を施すことを特徴とするクラッド材製造方法にかかるものである。
前記クラッド材製造方法においては、ロウ材層の表面にスリットを、母材の長手方向へ延び且つ母材の幅方向へ所要間隔をあけて複数配設されるよう形成することができる。
又、前記ロウ材層の表面にスリットを、母材の幅方向へ延び且つ母材の長手方向へ所要間隔をあけて複数配設されるよう形成することもできる。
一方、本発明は、母材の表面に金属粉末を圧着してロウ材層を形成するクラッド材製造装置であって、
ロウ材層の表面にスリット加工を施すスリット加工手段を備えたことを特徴とするクラッド材製造装置にかかるものである。
前記クラッド材製造装置においては、回転自在となるよう対向配置された一対のロールと、該各ロール上に金属粉末を供給する粉末供給装置とを有する粉末圧着機を備え、該粉末圧着機のロール表面に突条を形成することにより、スリット加工手段を構成することができる。
前記突条は、粉末圧着機のロール表面にその円周方向へ環状に張り出し且つロール軸線方向へ所要間隔をあけて複数配設されるよう形成することができる。
又、前記突条は、粉末圧着機のロール表面にその軸線方向へ延びるよう形成することもできる。
更に、前記クラッド材製造装置においては、回転自在となるよう対向配置された一対のロールと、該各ロール上に金属粉末を供給する粉末供給装置とを有する粉末圧着機を備え、該粉末圧着機の出側に対向配置した一対のスリット加工ロール表面に突条を形成することにより、スリット加工手段を構成しても良い。
前記突条は、スリット加工ロール表面にその円周方向へ環状に張り出し且つロール軸線方向へ所要間隔をあけて複数配設されるよう形成することができる。
又、前記突条は、スリット加工ロール表面にその軸線方向へ延びるよう形成することもできる。
本発明のクラッド材製造方法及び装置によれば、ロウ材層の母材からの剥離を防止し得、品質の安定したクラッド材を効率良く製造し得るという優れた効果を奏し得る。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1及び図2は本発明を実施する形態の第一例であって、図中、図7と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図7に示すものと同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図1及び図2に示す如く、ロウ材層の表面にスリット加工を施すスリット加工手段12を備えた点にある。
本図示例の場合、前記スリット加工手段12は、粉末圧着機4のロール10表面に、その円周方向へ環状に張り出し且つロール10軸線方向へ所要間隔をあけて複数(図2の例では六本)配設される突条13を形成することによって構成し、これにより、前記ロウ材層の表面に、母材1の長手方向へ延び且つ母材1の幅方向へ所要間隔をあけて複数配設されるスリット14を形成するようにしてある。
尚、前記突条13の本数は、六本に限定されないことは勿論である。
又、前記ロウ材層の厚さは、一般に、10〜20[μm]程度であるため、これに合わせて突条13の突出量を選定するようになっている。
次に、上記図示例の作用を説明する。
母材巻戻機3によって母材コイル2から巻き戻された母材1は、粉末圧着機4において金属粉末が圧着されるが、このとき、ロール10表面には、その円周方向へ環状に張り出し且つロール10軸線方向へ所要間隔をあけて複数配設される突条13を形成してあるため、前記ロウ材層の表面には、母材1の長手方向へ延び且つ母材1の幅方向へ所要間隔をあけて複数配設されるスリット14が形成され、このようにロウ材層の表面にスリット14が形成されたクラッド材5が、加熱冷却炉6で加熱されて金属粉末を焼結させた後、冷却され、該加熱冷却炉6で金属粉末を焼結させたクラッド材5が圧延機7で圧延され、該圧延機7で圧延されたクラッド材5がクラッド材コイル8としてクラッド材巻取機9に巻き取られる。
この結果、仮に、粉末圧着機4で母材1に金属粉末を圧着して形成したロウ材層に小さな割れが生じたりしたとしても、ロウ材層の表面にはスリット14が形成されているため、その割れが、母材1を下流側へ送給する過程においてロウ材層全体に進展することが阻止され、該ロウ材層が母材1から剥がれ落ちてしまう心配がなくなり、品質の安定したクラッド材5を製造することが可能となる。
しかも、前記ロウ材層の母材1からの剥離が防止されることに伴って、高速運転が可能となるため、生産量をアップでき、効率を高めることが可能となる。
こうして、ロウ材層の母材1からの剥離を防止し得、品質の安定したクラッド材5を効率良く製造し得る。
図3は本発明を実施する形態の第二例を示す側面図であって、スリット加工手段12を、粉末圧着機4のロール10表面にその軸線方向へ延びる突条15を形成することによって構成し、これにより、前記ロウ材層の表面にスリット16を、母材1の幅方向へ延び且つ母材1の長手方向へ所要間隔をあけて複数配設されるよう形成したものである。
尚、前記突条15は、図3の例では、ロール10表面に、その円周方向へ90°のピッチで四本形成してあるが、突条15の本数は、四本に限定されないことは勿論である。
図3に示す第二例の場合も、母材巻戻機3によって母材コイル2から巻き戻された母材1は、粉末圧着機4において金属粉末が圧着されるが、このとき、ロール10表面にはその軸線方向へ延びる突条15を形成してあるため、前記ロウ材層の表面には、母材1の幅方向へ延び且つ母材1の長手方向へ所要間隔をあけて複数配設されるスリット16が形成され、このようにロウ材層の表面にスリット16が形成されたクラッド材5が、加熱冷却炉6で加熱されて金属粉末を焼結させた後、冷却され、該加熱冷却炉6で金属粉末を焼結させたクラッド材5が圧延機7で圧延され、該圧延機7で圧延されたクラッド材5がクラッド材コイル8としてクラッド材巻取機9に巻き取られる。
この結果、仮に、粉末圧着機4で母材1に金属粉末を圧着して形成したロウ材層に小さな割れが生じたりしたとしても、ロウ材層の表面にはスリット16が形成されているため、その割れが、母材1を下流側へ送給する過程においてロウ材層全体に進展することが阻止され、該ロウ材層が母材1から剥がれ落ちてしまう心配がなくなり、品質の安定したクラッド材5を製造することが可能となる。
しかも、前記ロウ材層の母材1からの剥離が防止されることに伴って、高速運転が可能となるため、生産量をアップでき、効率を高めることが可能となる。
こうして、図3に示す第二例においても、図1及び図2に示す第一例と同様に、ロウ材層の母材1からの剥離を防止し得、品質の安定したクラッド材5を効率良く製造し得る。
尚、前記ロール10表面に、図2に示す突条13と、図3に示す突条15の両方を形成することによってスリット加工手段12を構成し、これにより、ロウ材層の表面にスリット14とスリット16の両方を形成することも可能である。
図4及び図5は本発明を実施する形態の第三例であって、粉末圧着機4の出側に対向配置した一対のスリット加工ロール17表面に、その円周方向へ環状に張り出し且つロール軸線方向へ所要間隔をあけて複数配設される突条18を形成することにより、スリット加工手段12を構成し、これにより、前記ロウ材層の表面に、母材1の長手方向へ延び且つ母材1の幅方向へ所要間隔をあけて複数配設されるスリット19を形成するようにしたものである。
尚、前記突条18は、図5の例では、スリット加工ロール17表面に六本形成してあるが、突条18の本数は、六本に限定されないことは勿論である。
図5に示す第三例の場合、母材巻戻機3によって母材コイル2から巻き戻された母材1は、粉末圧着機4において金属粉末が圧着された後、粉末圧着機4の出側に対向配置した一対のスリット加工ロール17間に導かれ、該スリット加工ロール17表面に形成された突条18により、前記ロウ材層の表面には、母材1の長手方向へ延び且つ母材1の幅方向へ所要間隔をあけて複数配設されるスリット19が形成され、このようにロウ材層の表面にスリット19が形成されたクラッド材5が、加熱冷却炉6で加熱されて金属粉末を焼結させた後、冷却され、該加熱冷却炉6で金属粉末を焼結させたクラッド材5が圧延機7で圧延され、該圧延機7で圧延されたクラッド材5がクラッド材コイル8としてクラッド材巻取機9に巻き取られる。
この結果、仮に、粉末圧着機4で母材1に金属粉末を圧着して形成したロウ材層に小さな割れが生じたりしたとしても、ロウ材層の表面にはスリット19が形成されているため、その割れが、母材1を下流側へ送給する過程においてロウ材層全体に進展することが阻止され、該ロウ材層が母材1から剥がれ落ちてしまう心配がなくなり、品質の安定したクラッド材5を製造することが可能となる。
しかも、前記ロウ材層の母材1からの剥離が防止されることに伴って、高速運転が可能となるため、生産量をアップでき、効率を高めることが可能となる。
こうして、図4及び図5に示す第三例においても、図1及び図2に示す第一例と同様に、ロウ材層の母材1からの剥離を防止し得、品質の安定したクラッド材5を効率良く製造し得る。
図6は本発明を実施する形態の第四例を示す側面図であって、粉末圧着機4の出側に対向配置した一対のスリット加工ロール17表面に、その軸線方向へ延びる突条20を形成することによってスリット加工手段12を構成し、これにより、前記ロウ材層の表面にスリット21を、母材1の幅方向へ延び且つ母材1の長手方向へ所要間隔をあけて複数配設されるよう形成したものである。
尚、前記突条20は、図6の例では、スリット加工ロール17表面に、その円周方向へ90°のピッチで四本形成してあるが、突条20の本数は、四本に限定されないことは勿論である。
図6に示す第四例の場合も、母材巻戻機3によって母材コイル2から巻き戻された母材1は、粉末圧着機4において金属粉末が圧着された後、粉末圧着機4の出側に対向配置した一対のスリット加工ロール17間に導かれるが、このとき、スリット加工ロール17表面にはその軸線方向へ延びる突条20を形成してあるため、前記ロウ材層の表面には、母材1の幅方向へ延び且つ母材1の長手方向へ所要間隔をあけて複数配設されるスリット21が形成され、このようにロウ材層の表面にスリット21が形成されたクラッド材5が、加熱冷却炉6で加熱されて金属粉末を焼結させた後、冷却され、該加熱冷却炉6で金属粉末を焼結させたクラッド材5が圧延機7で圧延され、該圧延機7で圧延されたクラッド材5がクラッド材コイル8としてクラッド材巻取機9に巻き取られる。
この結果、仮に、粉末圧着機4で母材1に金属粉末を圧着して形成したロウ材層に小さな割れが生じたりしたとしても、ロウ材層の表面にはスリット21が形成されているため、その割れが、母材1を下流側へ送給する過程においてロウ材層全体に進展することが阻止され、該ロウ材層が母材1から剥がれ落ちてしまう心配がなくなり、品質の安定したクラッド材5を製造することが可能となる。
しかも、前記ロウ材層の母材1からの剥離が防止されることに伴って、高速運転が可能となるため、生産量をアップでき、効率を高めることが可能となる。
こうして、図6に示す第四例においても、図3に示す第二例と同様に、ロウ材層の母材1からの剥離を防止し得、品質の安定したクラッド材5を効率良く製造し得る。
尚、前記スリット加工ロール17表面に、図5に示す突条18と、図6に示す突条20の両方を形成することによってスリット加工手段12を構成し、これにより、ロウ材層の表面にスリット19とスリット21の両方を形成することも可能である。
又、本発明のクラッド材製造方法及び装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明を実施する形態の第一例を示す正面図である。 本発明を実施する形態の第一例を示す側面図であって、図1のII−II矢視相当図である。 本発明を実施する形態の第二例を示す側面図であって、図1のII−II矢視相当図である。 本発明を実施する形態の第三例を示す正面図である。 本発明を実施する形態の第三例を示す側面図であって、図4のV−V矢視相当図である。 本発明を実施する形態の第四例を示す側面図であって、図4のV−V矢視相当図である。 近年提案されているクラッド材製造装置の一例を示す全体概要構成図である。
符号の説明
1 母材
2 母材コイル
3 母材巻戻機
4 粉末圧着機
5 クラッド材
6 加熱冷却炉
8 クラッド材コイル
9 クラッド材巻取機
10 ロール
11 粉末供給装置
12 スリット加工手段
13 突条
14 スリット
15 突条
16 スリット
17 スリット加工ロール
18 突条
19 スリット
20 突条
21 スリット

Claims (10)

  1. 母材の表面に金属粉末を圧着してロウ材層を形成するクラッド材製造方法であって、
    ロウ材層の表面にスリット加工を施すことを特徴とするクラッド材製造方法。
  2. ロウ材層の表面にスリットを、母材の長手方向へ延び且つ母材の幅方向へ所要間隔をあけて複数配設されるよう形成する請求項1記載のクラッド材製造方法。
  3. ロウ材層の表面にスリットを、母材の幅方向へ延び且つ母材の長手方向へ所要間隔をあけて複数配設されるよう形成する請求項1又は2記載のクラッド材製造方法。
  4. 母材の表面に金属粉末を圧着してロウ材層を形成するクラッド材製造装置であって、
    ロウ材層の表面にスリット加工を施すスリット加工手段を備えたことを特徴とするクラッド材製造装置。
  5. 回転自在となるよう対向配置された一対のロールと、該各ロール上に金属粉末を供給する粉末供給装置とを有する粉末圧着機を備え、該粉末圧着機のロール表面に突条を形成することにより、スリット加工手段を構成した請求項4記載のクラッド材製造装置。
  6. 突条を、粉末圧着機のロール表面にその円周方向へ環状に張り出し且つロール軸線方向へ所要間隔をあけて複数配設されるよう形成した請求項5記載のクラッド材製造装置。
  7. 突条を、粉末圧着機のロール表面にその軸線方向へ延びるよう形成した請求項5又は6記載のクラッド材製造装置。
  8. 回転自在となるよう対向配置された一対のロールと、該各ロール上に金属粉末を供給する粉末供給装置とを有する粉末圧着機を備え、該粉末圧着機の出側に対向配置した一対のスリット加工ロール表面に突条を形成することにより、スリット加工手段を構成した請求項4記載のクラッド材製造装置。
  9. 突条を、スリット加工ロール表面にその円周方向へ環状に張り出し且つロール軸線方向へ所要間隔をあけて複数配設されるよう形成した請求項8記載のクラッド材製造装置。
  10. 突条を、スリット加工ロール表面にその軸線方向へ延びるよう形成した請求項8又は9記載のクラッド材製造装置。
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