以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明に係る記憶装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)11の内部構造を概略的に示す。このHDD11は、例えば平たい直方体の内部空間を区画する箱形の筐体本体12を備える。筐体本体12は例えばアルミニウムといった金属材料から鋳造に基づき成形されればよい。筐体本体12には蓋体すなわちカバー(図示されず)が結合される。カバーと筐体本体12との間で収容空間は密閉される。カバーは例えばプレス加工に基づき1枚の板材から成形されればよい。
収容空間には、記録ディスクとしての1枚以上の磁気ディスク13が収容される。磁気ディスク13はスピンドルモータ14の回転軸に装着される。スピンドルモータ14は例えば5400rpmや7200rpm、10000rpm、15000rpmといった高速度で磁気ディスク13を回転させることができる。
収容空間にはキャリッジ15がさらに収容される。キャリッジ15はキャリッジブロック17を備える。キャリッジブロック17は、垂直方向に延びる支軸18に回転自在に連結される。キャリッジブロック17には、支軸18から水平方向に延びる複数のキャリッジアーム19が区画される。キャリッジブロック17は例えば押し出し成形に基づきアルミニウムから成型されればよい。
個々のキャリッジアーム19の先端には、キャリッジアーム19から前方に延びるヘッドサスペンションアセンブリ21が取り付けられる。ヘッドサスペンションアセンブリ21は、キャリッジアーム19の前端から前方に延びるヘッドサスペンション22を備える。ヘッドサスペンション22の前端には磁気ディスク13の表面に向かって所定の押し付け力が作用する。ヘッドサスペンション22の前端には浮上ヘッドスライダ23が固定される。
浮上ヘッドスライダ23にはいわゆる磁気ヘッドすなわち電磁変換素子(図示されず)が搭載される。この電磁変換素子は、例えば、薄膜コイルパターンで生成される磁界を利用して磁気ディスク13に情報を書き込む薄膜磁気ヘッドといった書き込み素子と、スピンバルブ膜やトンネル接合膜の抵抗変化を利用して磁気ディスク13から情報を読み出す巨大磁気抵抗効果(GMR)素子やトンネル接合磁気抵抗効果(TMR)素子といった読み出し素子とで構成されればよい。
磁気ディスク13の回転に基づき磁気ディスク13の表面で気流が生成されると、気流の働きで浮上ヘッドスライダ23には正圧すなわち浮力および負圧が作用する。浮力および負圧とヘッドサスペンション22の押し付け力とが釣り合うことで磁気ディスク13の回転中に比較的に高い剛性で浮上ヘッドスライダ23は浮上し続けることができる。
キャリッジブロック17にはボイスコイルモータ(VCM)24が連結される。VCM24の働きでキャリッジブロック17は支軸18回りで回転することができる。こうしたキャリッジブロック17の回転に基づきキャリッジアーム19およびヘッドサスペンションアセンブリ21の揺動は実現される。浮上ヘッドスライダ23の浮上中に支軸18回りでキャリッジアーム19が揺動すると、浮上ヘッドスライダ23は半径方向に磁気ディスク13の表面を横切ることができる。こうした浮上ヘッドスライダ23の移動に基づき電磁変換素子は目標記録トラックに対して位置決めされることができる。
ヘッドサスペンション21の先端には、ヘッドサスペンション21の先端から前方に延びるロード部材すなわちロードタブ25が固定される。ロードタブ25はキャリッジ15の揺動に基づき磁気ディスク13の半径方向に移動することができる。ロードタブ25の移動経路上には磁気ディスク13の外側でランプ部材26が配置される。ロードタブ25はランプ部材26の表面に受け止められる。
ランプ部材26は、磁気ディスク13の外側で筐体本体12の底板に例えばねじ留めされる取り付け台27を備える。取り付け台27には、キャリッジ15の支軸18に向かって水平面に沿って突き出る突片28が形成される。突片28の先端は最外周記録トラックの外側で非データゾーンに向き合わせられる。ランプ部材26およびロードタブ25は協働でいわゆるロードアンロード機構を構成する。ランプ部材26は例えば硬質プラスチック材料から成型されればよい。
キャリッジ15の基部端すなわちキャリッジブロック17上にはフレキシブルプリント基板(FPC)ユニット31が配置される。FPCユニット31はフレキシブルプリント基板(FPC)32を備える。FPC32は例えば接着剤に基づき例えばステンレス鋼板といった金属板33の表面に貼り付けられればよい。金属板33は例えばねじに基づきキャリッジブロック17に固定されればよい。
FPC32にはヘッドIC(集積回路)すなわちプリアンプIC34が実装される。磁気情報の読み出し時には、このプリアンプIC34から読み出し素子に向けてセンス電流は供給される。磁気情報の書き込み時には、プリアンプIC34から書き込み素子に向けて書き込み電流は供給される。プリアンプIC34には、筐体本体12の収容空間内に配置される小型の回路基板35からセンス電流や書き込み電流は供給される。
こうしたセンス電流や書き込み電流の供給にあたってフレキシブル配線板36が用いられる。フレキシブル配線板36は個々のヘッドサスペンション22ごとに配置される。フレキシブル配線板36はロングテール型に構成される。フレキシブル配線板36は、例えば絶縁層と、絶縁層の表面に形成される配線パターンと、絶縁層の表面で配線パターンを覆う保護層とから構成される。絶縁層および保護層は例えばポリイミド樹脂から構成される。配線パターンは例えば銅から構成される。
こうしたHDD11では、目標記録トラックに対して浮上ヘッドスライダ23の電磁変換素子が位置決めされる際、VCM24に位置決め制御信号が供給される。この位置決め制御信号の周波数とヘッドサスペンション22の固有振動周波数とが重なり合うと、ヘッドサスペンション22は共振してしまう。一般に、ヘッドサスペンション22では、1次曲げモードの共振、1次ねじれモードの共振、2次ねじれモードの共振および横揺れモードの共振が観察されることができる。
1次曲げモードの共振は、浮上ヘッドスライダ23およびキャリッジアーム19の間でヘッドサスペンション22を弧状に湾曲させる。その結果、浮上ヘッドスライダ23は、例えば磁気ディスク13の表面に直交する上下方向に変位する。したがって、浮上ヘッドスライダ23の電磁変換素子は磁気ディスク13上の記録トラックから外れにくい。浮上ヘッドスライダ23の位置決め精度に対して1次曲げモードの共振の影響は小さい。
その一方で、横揺れモードの共振は、磁気ディスク13の表面に平行な水平方向にヘッドサスペンション22を変位させる。同様に、1次および2次ねじれモードの共振は、ヘッドサスペンション22にねじれを生じさせる。ヘッドサスペンション22は磁気ディスク13の表面に平行に水平方向に変位する。その結果、浮上ヘッドスライダ23は磁気ディスク13の表面に平行な水平方向に変位する。電磁変換素子は記録トラックから外れやすい。ただし、横揺れモードの共振周波数や2次ねじれモードの共振周波数は1次ねじれモードの共振周波数に比べて高周波数帯域に属する。したがって、浮上ヘッドスライダ23の位置決め精度に対して1次ねじれモードの共振の影響が最も大きい。
図2に示されるように、ヘッドサスペンションアセンブリ21は、キャリッジアーム19の先端に取り付けられるベースプレート41と、ベースプレート41から前方に所定の間隔で隔てられるロードビーム42とを備える。ベースプレート41は例えばかしめに基づきキャリッジアーム19に固定される。ロードビーム42はステンレス鋼より軽量の金属材料から構成される。金属材料には例えばアルミニウムやマグネシウムが含まれる。ただし、ロードビーム42はステンレス鋼や繊維強化プラスチック(FRP)から構成されてもよい。ロードビーム42の厚みは例えば40〜100μm程度に設定されればよい。
ベースプレート41およびロードビーム42の表面にはヒンジプレート43が固定される。ヒンジプレート43はベースプレート41の前端およびロードビーム42の後端の間で弾性変形部44を区画する。こうしてヒンジプレート43はベースプレート41およびロードビーム42を連結する。ヒンジプレート43は例えばステンレス鋼から構成される。ヒンジプレート43の厚みは例えば30μm程度に設定されればよい。
ロードビーム42の表面にはフレキシャ45が固定される。フレキシャ45は母材46を備える。母材46の表面には浮上ヘッドスライダ23が固定される。母材46は例えばステンレス鋼から構成されればよい。母材46の厚みは例えば20μm程度に設定されればよい。母材46の表面には前述のフレキシブル配線板36が形成される。フレキシブル配線板36は浮上ヘッドスライダ23に接続される。フレキシブル配線板36はロードビーム42の前端から後方にベースプレート41に向かって延びる。ここでは、母材46およびフレキシブル配線板36はフレキシャ45を構成する。
ロードビーム42は、第1幅で広がる幅広部42aと、第1幅より小さい第2幅で幅広部42aの前端から前方に延びる幅狭部42bとを区画する。幅広部42aおよび幅狭部42bは相互に直交する方向に延びる。幅広部42aおよび幅狭部42bはT字形状に区画される。幅広部42aには後縁から立ち上がるリブ47が区画されてもよい。リブ47は例えばベースプレート41の前端に平行に延びればよい。幅狭部42bには側縁から立ち上がるリブ48、48が区画される。リブ48、48は相互に平行に延びる。幅狭部42bの先端に前述のロードタブ25が区画される。
ヒンジプレート43は、弾性変形部44との境界から前端に向かって先細る本体49を区画する。本体49の裏面には幅広部42aと幅狭部42bの一部とが受け止められる。こうしてロードビーム42は幅広部42aおよび幅狭部42bで本体49に固定される。本体49の幅はロードビーム42の幅狭部42bの第2幅より大きく設定される。本体49には側縁から立ち上がるリブ51、51が区画されてもよい。リブ51、51は前述のリブ48、48の外側でリブ48、48に並列に延びる。
図3に示されるように、母材46は、ロードビーム42およびヒンジプレート43の表面に固定される固定板52と、表面で浮上ヘッドスライダ23を受け止める支持板53とを区画する。浮上ヘッドスライダ23は支持板53の表面に接着されればよい。固定板52と支持板53とがいわゆるジンバルばね54で接続される。固定板52、支持板53およびジンバルばね54は1枚の板ばね材から形成されればよい。ここでは、母材46の幅は幅狭部42bの第2幅より小さく設定されればよい。
ロードビーム42、ヒンジプレート43および母材46は複数の接合領域55で接合されればよい。接合にあたってYAGレーザに基づきスポット溶接が実施されればよい。こうして幅広部42aは例えば5つの接合領域55で本体49に接合される。幅狭部42bは例えば2つの接合領域55で本体49に接合される。この2つの接合領域55は本体49の前端に沿って規定される。
ただし、接合にあたって粘弾性部材が用いられてもよい。粘弾性部材は、ロードビーム42およびヒンジプレート43の間、ヒンジプレート43および母材46の間に配置されればよい。粘弾性部材には例えば両面テープが用いられればよい。両面テープは、例えば基材と、基材の表裏面に積層形成される接着層とを備えればよい。基材には例えばVEMといった粘弾性材料が用いられればよい。こうした粘弾性材料によればヘッドサスペンション22の共振は減衰されることができる。
図4に示されるように、ヒンジプレート43の弾性変形部44はベースプレート41の前端からロードビーム42の後端に向かって湾曲する。ベースプレート41の表面に沿って規定される仮想平面は、ロードビーム42の表面に沿って規定される仮想平面に所定の交差角で交差する。ロードビーム42はベースプレート41から離れるにつれて磁気ディスク13の表面に近づく。浮上ヘッドスライダ23すなわち支持板53の裏面は、ロードビーム42の幅狭部42bの表面に形成されるドーム状の突起56に受け止められる。ここでは、ヒンジプレート43の前端は突起56および弾性変形部44のほぼ中間位置に配置されればよい。
こういったヘッドサスペンションアセンブリ21では、弾性変形部44は湾曲に基づき所定の弾性力すなわち曲げ力を発揮する。この曲げ力の働きでロードビーム42の前端には磁気ディスク13の表面に向かう押し付け力が付与される。この押し付け力は突起56の働きで支持板53の背後から浮上ヘッドスライダ23に作用する。浮上ヘッドスライダ23は、気流の働きで生成される浮力に基づき姿勢を変化させることができる。突起56は浮上ヘッドスライダ23すなわち支持板53の姿勢変化を許容する。
以上のようなヘッドサスペンションアセンブリ21では、幅狭部42bに基づきロードビーム42の幅はこれまで以上に狭められる。ロードビーム42すなわちヘッドサスペンションアセンブリ21の重量は減少する。後述されるように、前後方向に規定されるロードビーム42の中心線から離れた位置で質量は減少する。その結果、ロードビーム42では中心線回りの慣性力は低減される。いわゆる1次ねじれモードの共振周波数は高められることができる。ヘッドサスペンションアセンブリ21の共振は低減されることができる。浮上ヘッドスライダ23の電磁変換素子は正確に書き込みおよび読み出しを実現することができる。
しかも、ロードビーム42は幅広部42aおよび幅狭部42bでヒンジプレート43に接合される。ヒンジプレート43はこれまで以上に前方に延びる。ヒンジプレート43の幅はロードビーム42の幅狭部42bの第2幅より大きく設定される。同時に、ヒンジプレート43にはリブ51が形成されることができる。リブ51はロードビーム42のリブ48に並列に延びる。リブは二重に区画される。加えて、幅広部42aの後縁にはリブ47が区画される。その結果、ヒンジプレート43はロードビーム42の幅狭部42bの剛性を補強することができる。ロードビーム42の剛性の低下は抑制されることができる。後述の検証で詳述されるように、いわゆる横揺れモードの共振周波数の低下はできる限り抑制されることができる。
また、ヒンジプレート43の前端は突起56および弾性変形部44のほぼ中間位置に配置される。こうしてヒンジプレート43の前端はロードビーム42のほぼ中間位置に配置される。いわゆる1次ねじれモードではロードビーム42の中間位置でロードビーム42の変形が最も大きい。この中間位置にヒンジプレート43の前端が配置される。こうしてヒンジプレート43の働きでロードビーム42の剛性は一層補強されることができる。中間位置でロードビーム42の変形はできる限り抑制される。いわゆる横揺れモードの共振周波数の低下はできる限り抑制されることができる。
図5に示されるように、前述のヘッドサスペンションアセンブリ21に代えて、キャリッジアーム19の先端にはヘッドサスペンションアセンブリ21aが取り付けられてもよい。ロードビーム42は、幅広部42aの前端および幅狭部42bの後端の間で幅広部42aおよび幅狭部42bに一体化される補強部42cを区画する。補強部42cは、幅広部42aから幅狭部42bに向かうにつれて先細る。補強部42cの側縁にはリブは区画されない。
その一方で、母材46はその後端に幅広部46aを区画する。幅広部46aは後端で最大値を規定する。幅広部46aは後端から前端に向かって先細る。幅広部46aはロードビーム42の幅広部42aの後端に向かって広がる。母材46は幅広部46aでヒンジプレート43に接合される。幅広部46aの幅はロードビーム42の幅狭部42bの第2幅より大きく設定されればよい。その他、前述のヘッドサスペンションアセンブリ21と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
こうしたヘッドサスペンションアセンブリ21aでは、補強部42cは幅広部42aの前端および幅狭部42bの後端の間に区画される。補強部42cにはリブは区画されない。その結果、ロードビーム42では中心線回りの慣性力は低減される。しかも、母材46の幅広部46aの幅は幅狭部42bの第2幅より大きく設定される。幅広部46aはヒンジプレート43を挟んで補強部42cに重ね合わせられる。リブの省略にも拘わらず補強部42cでは剛性の低減は回避されることができる。いわゆる横揺れモードの共振周波数の低下はできる限り抑制されることができる。
図6に示されるように、前述のヘッドサスペンションアセンブリ21、21aに代えて、キャリッジアーム19の先端にはヘッドサスペンションアセンブリ21bが取り付けられてもよい。幅広部42aの第1幅は前述のヘッドサスペンションアセンブリ21aに比べて増大すればよい。第1幅は例えばベースプレート41の幅以上に設定されればよい。母材46の幅広部46aの幅は前述に比べて増大すればよい。同様に、ヒンジプレート43の幅は増大すればよい。その他、前述と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
こうしたヘッドサスペンションアセンブリ21bによれば、前述と同様に、ロードビーム42では中心線回りの慣性力は低減される。補強部42cの幅や幅広部42aの第1幅、幅広部46aの幅の増大に基づきロードビーム42では剛性の低減は一層効率的に回避されることができる。いわゆる横揺れモードの共振周波数の低下はできる限り抑制されることができる。
次に、以上のヘッドサスペンションアセンブリ21、21a、21bの効果を検証した。検証にあたってシミュレーション解析が実施された。第1〜第4具体例並びに第1および第2比較例が用意された。第1具体例では、図7に示されるように、前述のヘッドサスペンションアセンブリ21の解析モデルが確立された。第2具体例では前述のヘッドサスペンションアセンブリ21aの解析モデルが確立された。第3具体例では前述のヘッドサスペンションアセンブリ21bの解析モデルが確立された。第4具体例では前述のヘッドサスペンションアセンブリ21の解析モデルが確立された。第4具体例ではロードビーム42はアルミニウムから形成された。ロードビーム42の厚みはこれまでの1.5倍の厚みに設定された。
その一方で、図8から明らかなように、第1比較例では従来のヘッドサスペンションアセンブリ61の解析モデルが確立された。ロードビーム62は後端から前端に向かって先細る。ロードビーム62は後端でヒンジプレート63の前端に接合される。その他、ベースプレートやフレキシャは前述のヘッドサスペンションアセンブリ21と同様に構成された。第2比較例では、図9に示されるように、ヘッドサスペンションアセンブリ65の解析モデルが確立された。前述のヒンジプレート63に本発明のロードビーム42が接合された。
第1〜第4具体例並びに第1および第2比較例の解析モデルでは、1次曲げモード、1次ねじれモード、2次ねじれモードおよび横揺れモードの共振周波数が計測された。同時に、解析モデルの質量が計測された。その結果、図10に示されるように、第1比較例に比べて第2比較例ではロードビーム42の働きで全体の質量は大幅に減少するものの、横揺れモードの共振周波数が大幅に低減されることが確認された。幅狭部42bに基づきロードビーム42の剛性が不足することが確認された。
その一方で、図11に示されるように、第1比較例に比べて第1具体例では全体の質量はおよそ2%程度低減された。1次ねじれモードの共振周波数は大幅に高められた。幅狭部42bの働きでロードビーム42の中心軸回りの慣性力は低減されることが確認された。同時に、ヒンジプレート43の働きでロードビーム42の剛性の低減が回避されることが確認された。
図12に示されるように、第1比較例に比べて第2具体例では、全体の質量はおよそ2%程度低減された。1次ねじれモードの共振周波数は一層大幅に高められた。幅狭部42bの働きでロードビーム42の中心軸回りの慣性力は低減されることが確認された。同時に、ヒンジプレート43や補強部42c、幅広部46aの働きでロードビーム42の剛性の低減が回避されることが確認された。
図13に示されるように、第1比較例に比べて第3具体例では全体の質量は2.5%程度増大した。1次ねじれモードの周波数は大幅に高められた。幅狭部42bの働きでロードビーム42の中心軸回りの慣性力は低減されることが確認された。しかも、横揺れモードの周波数の低減は回避された。ヒンジプレート42の幅や補強部42cの幅の増大、幅広部46aの働きでロードビーム42の剛性は増大することが確認された。
図14に示されるように、第1比較例に比べて第4具体例では全体の質量は9%以上も大幅に低減された。1次ねじれモードの周波数は著しく高められた。しかも、1次曲げモードの共振周波数や2次ねじれモードの共振周波数も高められた。幅狭部42bやアルミニウムの働きでロードビーム42の中心軸回りの慣性力は低減されることが確認された。同時に、ヒンジプレート43の働きでロードビーム42の剛性の低減が回避されることが確認された。
図15に示されるように、ロードビーム42、ヒンジプレート43および母材46はラミネート材71から形成されてもよい。ラミネート材71は、1対の金属薄板72、72と、金属薄板72、72同士を接着する接着層73とから構成される。金属薄板72には例えばステンレス鋼板が用いられればよい。接着層73には例えばポリイミド樹脂の接着剤が用いられればよい。その他、金属薄板72、72同士の間にはVEMといった粘弾性材料から形成される粘弾性層が挟み込まれてもよい。こうした粘弾性層によればヘッドサスペンション22の共振は減衰されることができる。
ロードビーム42やヒンジプレート43、母材46の前端領域では1枚の金属薄板72の形成は省略されればよい。こうしてロードビーム42やヒンジプレート43の前端は軽量化される。しかも、ロードビーム42やヒンジプレート43の後端領域では十分な剛性が確保されることができる。
その他、ヘッドサスペンションアセンブリ21では、ロードビーム42に例えばダンパ部材が貼り付けられてもよい。ダンパ部材は拘束型制振構造を採用すればよい。ダンパ部材は例えば粘弾性層と拘束層とから構成されればよい。拘束層には例えばポリイミド樹脂やステンレス鋼が用いられればよい。こうしたダンパ部材の働きでロードビーム42の剛性の低下は抑制されることができる。
その他、ヒンジプレート43はいわゆるウナマウント(unamount)アームに取り付けられてもよい。ウナマウントアームは1枚のステンレス鋼板から形成される。ステンレス鋼板は前述のキャリッジアームを区画する。ステンレス鋼板には貫通孔が形成される。ウナマウントアームは貫通孔で支軸を受け入れる。支軸には複数のウナマウントアームが回転自在に取り付けられる。隣接するウナマウントアーム同士の間には支軸回りにスペーサが挟み込まれる。こうしたウナマウントアームは例えば1インチや1.8インチタイプのHDDに組み込まれる。
(付記1) ベースプレートと、ベースプレートから前方に所定の間隔で隔てられるロードビームと、ベースプレートおよびロードビームに接合されて所定の弾性力を発揮するヒンジプレートとを備え、ロードビームは、ヒンジプレートに接合される第1幅の幅広部と、第1幅より小さい第2幅で幅広部の前端から前方に延びてヒンジプレートに接合される幅狭部とを区画することを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
(付記2) 付記1に記載のヘッドサスペンションアセンブリにおいて、前記幅狭部の側縁から立ち上がるリブをさらに備えることを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
(付記3) 付記2に記載のヘッドサスペンションアセンブリにおいて、前記ヒンジプレートの側縁から立ち上がるリブをさらに備えることを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
(付記4) 付記1に記載のヘッドサスペンションアセンブリにおいて、前記幅広部の後縁から立ち上がるリブをさらに備えることを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
(付記5) 付記1に記載のヘッドサスペンションアセンブリにおいて、前記ヒンジプレートの前端は、前記幅狭部の前端に区画されてヘッドスライダを受け止める突起と、前記幅狭部の後端との間に配置されることを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
(付記6) 付記1に記載のヘッドサスペンションアセンブリにおいて、前記ロードビームは、前記幅広部の前端および幅狭部の後端の間で前記幅広部および幅狭部に一体化され、前記幅広部から幅狭部に向かうにつれて先細る補強部を区画することを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
(付記7) 付記6に記載のヘッドサスペンションアセンブリにおいて、前端でヘッドスライダを支持しつつ前記ロードビームに接合され、前記幅広部の後端に向かって少なくとも部分的に前記幅狭部の幅より大きい幅で広がる母材を備えることを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
(付記8) 付記1に記載のヘッドサスペンションアセンブリにおいて、前記ロードビームはステンレス鋼よりも軽量の金属材料から形成されることを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
(付記9) 付記1に記載のヘッドサスペンションアセンブリにおいて、前記ロードビームおよびヒンジプレートの少なくともいずれかは、1対の金属薄板で形成されるラミネート材から構成され、その前端は1枚の金属薄板で区画されることを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
(付記10) 付記1に記載のヘッドサスペンションアセンブリにおいて、前記幅広部および幅狭部はT字形状に区画されることを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
(付記11) ベースプレートと、ベースプレートから前方に所定の間隔で隔てられるロードビームと、ベースプレートおよびロードビームに接合されて所定の弾性力を発揮するヒンジプレートとを備え、ロードビームは、ヒンジプレートに接合される第1幅の幅広部と、第1幅より小さい第2幅で幅広部の前端から前方に延びてヒンジプレートに接合される幅狭部とを区画するヘッドサスペンションアセンブリが組み込まれたことを特徴とする記憶装置。
(付記12) 付記11に記載の記憶装置において、前記幅狭部の側縁から立ち上がるリブをさらに備えることを特徴とする記憶装置。
(付記13) 付記12に記載の記憶装置において、前記ヒンジプレートの側縁から立ち上がるリブをさらに備えることを特徴とする記憶装置。
(付記14) 付記11に記載の記憶装置において、前記幅広部の後縁から立ち上がるリブをさらに備えることを特徴とする記憶装置。
(付記15) 付記11に記載の記憶装置において、前記ヒンジプレートの前端は、前記幅狭部の前端に区画されてヘッドスライダを受け止める突起と、前記幅狭部の後端との間に配置されることを特徴とする記憶装置。
(付記16) 付記11に記載の記憶装置において、前記ロードビームは、前記幅広部の前端および幅狭部の後端の間で前記幅広部および幅狭部に一体化され、前記幅広部から幅狭部に向かうにつれて先細る補強部を区画することを特徴とする記憶装置。
(付記17) 付記16に記載の記憶装置において、前端でヘッドスライダを支持しつつ前記ロードビームに接合され、少なくとも部分的に前記幅狭部より大きい幅で広がる母材をさらに備えることを特徴とする記憶装置。
(付記18) 付記11に記載の記憶装置において、前記ロードビームはステンレス鋼よりも軽量の金属材料から形成されることを特徴とする記憶装置。
(付記19) 付記11に記載の記憶装置において、前記ロードビームおよびヒンジプレートの少なくともいずれかは、1対の金属薄板で形成されるラミネート材から構成され、その前端は1枚の金属薄板で区画されることを特徴とする記憶装置。
(付記20) 付記11に記載の記憶装置において、前記幅広部および幅狭部はT字形状に区画されることを特徴とする記憶装置。
11 記憶装置(ハードディスク駆動装置)、21 ヘッドサスペンションアセンブリ、41 ベースプレート、42 ロードビーム、42a 幅広部、42b 幅狭部、42c 補強部、43 ヒンジプレート、46 母材、47 リブ、48 リブ、51 リブ、56 突起、71 ラミネート材、72 金属薄板。