JP2008019130A - アルミニウム系iii族窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

アルミニウム系iii族窒化物結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハイドライド気相エピタキシャル成長法においてアルミニウム系III族窒化物結晶膜を製造するに当たり、より高速で、より欠陥の少ない単結晶からなる結晶膜であって、膜の平坦性が良好な結晶膜を製造することのできる方法を提供する。
【解決手段】反応容器内でハロゲン化アルミニウムを含むIII族ハロゲン化物ガスと窒素源ガスとを反応させて、加熱基板24上にアルミニウム系III族窒化物結晶を成長させる工程を含むアルミニウム系III族窒化物結晶の製造方法において、内部に発熱抵抗体が埋設された窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体のようなセラミックスからなり加熱機能を有する支持台23の上に基板24を保持し、基板24を、たとえば1150℃以上といった高温であって、反応領域における反応容器壁の温度より高い温度に保持して結晶の成長を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、アルミニウムを含むIII族元素源ガス、特にハロゲン化アルミニウムを含むIII族ハロゲン化物のガス体を原料に用いたアルミニウム系III族窒化物の気相成長法による製造方法に関する。ここでアルミニウム系III族窒化物とは、III族元素のアルミニウム(Al)を少なくとも含む全てのIII族元素の窒化物を意味する。具体的には窒化アルミニウム単体(AlN)の他、窒化アルミニウムとアルミニウム以外のIII族元素であるホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)の窒化物との混晶、例えば、窒化アルミニウムボロン、窒化アルミニウムインジウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化アルミニウムインジウムガリウム、窒化アルミニウムガリウムボロン等を含み、B、Al、Ga、InなどのIII族元素の成分比は任意である。
アルミニウム系III族窒化物はバンドギャップエネルギーが大きな値を持つ半導体である。例えば窒化アルミニウムのバンドギャップエネルギーは6.2eV程度であり、窒化ガリウムのバンドギャップエネルギーは3.4eV程度である。窒化アルミニウムガリウムは、窒化アルミニウムと窒化ガリウムの混晶であり、両成分比に応じ窒化アルミニウムと窒化ガリウムのバンドギャップエネルギーの間のバンドギャップエネルギーをとる。したがって、アルミニウム系III族窒化物半導体を用いることにより、他の半導体では不可能な紫外領域の短波長発光が可能となり、白色光源用の紫外発光ダイオード、殺菌用の紫外発光ダイオード、高密度光ディスクメモリの読み書きに利用できるレーザー、通信用レーザーなどの半導体発光素子が製造可能になる。
アルミニウム系III族窒化物半導体を用いた発光素子(アルミニウム系III族窒化物半導体発光素子ともいう)は、従来の半導体発光素子と同様に基板上に厚さが数ミクロン程度の半導体単結晶の薄膜(具体的にはp型半導体層、発光層、n型半導体層となる薄膜)を順次積層することにより形成可能である。このような半導体単結晶の薄膜の形成は、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属気相エピタキシー(MOVPE:Metalorganic Vapor Phase Epitaxy)法等の結晶成長方法を用いて行うことが可能であり、アルミニウム系III族窒化物半導体発光素子についてもこのよう方法を採用して発光素子として好適な積層構造を形成するための研究がなされている。
これら結晶成長方法は、何れも単結晶基板上に目的とする結晶をエピタキシー成長させる方法であり、半導体発光素子の発光効率は、これら方法で形成される結晶層の欠陥や転位といった結晶品質に影響を受ける。結晶層に欠陥や転位が存在すると素子の発光効率は低下するため、発光効率の高い半導体素子を製造するためには、欠陥密度が低い結晶層を形成する必要があるが、そのためには使用する基板材質の選定が重要である。なぜならば、基板の格子定数と成長させる結晶層(以下、「成長層」ともいう)の格子定数及び熱膨張係数が異なる場合には、成長層と下地基板の格子定数のミスフィットによって成長層に欠陥が発生すると共に、成膜終了後に冷却する過程において成長層と基板の熱膨張係数差に起因する応力により成長層または基板にクラックや反りが生じるからである。なお、上記格子定数のミスフィットの問題に関しては、基板の格子定数が成長層の格子定数より若干小さい場合には、成長層にわずかな圧縮応力が生まれ、この応力が成長層中の欠陥を消滅させることに役立つため格子定数差が大きくなければそれほど問題とならない。しかしながら、逆に基板の格子定数が成長層の格子定数より大きい場合には格子定数のミスフィットにより発生する応力は欠陥やクラックの発生を助長する方向に作用するため大きな問題となる。
現在実用化されているアルミニウム系III族窒化物半導体発光素子の製造に使用されている基板としてはサファイア基板やGaN基板が用いられているが、これら基板は格子定数や熱伝導度、光透過性の点で必ずしも理想的なものとはいえない。
たとえばアルミニウム系III族窒化物単結晶としてAlGaNの単結晶を成長させる場合、AlGaNの格子定数はAlNの格子定数(0.3114nm)とGaNの格子定数(0.3189nm)の間の組成比に応じた値をとるが、サファイア基板の実質的な格子定数は0.275nm(実際の格子定数は0.4763nmであるが結晶の成長方向を考慮すると成長する結晶に対応する格子定数は0.275nmとなる。)であり、上記格子定数のミスフィットの問題が避けられず、この問題を解決するためには緩衝層(バッファ層)の形成が必要となる。また、GaN基板を用いた場合には該基板と近似した組成のアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させるときには問題は無いが、基板と組成が異なるアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させるときには、ミスフィットの問題が発生する。GaN基板上に緩衝層(バッファ層)を形成することは困難であることに加えて、GaNの格子定数(0.3189nm)はAlNの格子定数(0.3114nm)よりも大きいため、AlN含有量の増大に伴い成長層となるアルミニウム系III族窒化物単結晶の格子定数とGaN基板の格子定数との差は大きくなるので、Al含有量の多いアルミニウム系III族窒化物の結晶を成長させる場合には上記ミスフィットの問題が深刻となる。
また、AlGaNを用いた紫外領域のアルミニウム系III族窒化物半導体発光素子を用いる場合にGaN基板を用いると、GaN基板は365nmより短波長の光を吸収するため、発光素子からの紫外光が基板自体の吸収により発光素子へ取り出せる光量が減少する問題が起こる。
アルミニウム系III族窒化物単結晶層を成長させる場合、前記格子定数のミスフィットの問題及び熱膨張係数差の問題を回避するためには、成長層とおなじアルミニウム系III族窒化物単結晶からなる基板を使用するのが最も好ましいが、基板には少なくとも100μm程度の厚さが必要であるため成膜速度の遅い前記結晶成長方法を用いてアルミニウム系III族窒化物単結晶からなる基板を製造するのは実用的ではない。
成膜速度の速いアルミニウム系III族窒化物単結晶の成長方法としては、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法が知られている(特許文献1〜3参照)。HVPE法はMBE法やMOVPE法と比べて膜厚を精密に制御することが困難なため、半導体発光素子の結晶層形成には向かないが、成膜速度が速いため、厚い膜を形成した場合における上層部(基板との界面近傍の、“サファイアなどの基板を用い場合における前記格子定数のミスフィットや熱膨張係数の違いに起因する問題の影響を受ける領域”よりも上の領域)の結晶層(成長層)は良好な結晶性を有するものとなる。したがって、HVPE法によれば、従来のMBE法やMOVPE法では得られなかったアルミニウム系III族窒化物単結晶からなる基板を実用レベルで量産することが可能となる。
HVPE法を用いてアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させる場合には、図1に示すような気相成長装置が使用される。図1に示す装置は、円筒状の石英ガラス反応管11からなる反応器本体と、該反応管11の外部に配置される加熱手段12と、該反応管11の内部に配置される基板支持台(以下、単にサセプタともいう。)13と、を有し、反応管11の一方の端部からキャリアガス及び原料ガスを供給し、他方の端部からキャリアガス及び未反応の反応ガスを排出する構造となっている。
原料ガス供給側の反応管は、端部から所定の領域に二重管が挿入されて同心円状の三重管構造となっており、二重管の内管15の内側の空間を通路としてキャリアガス(たとえば水素ガス)で希釈されたIII族元素源ガスである“ハロゲン化アルミニウムを含むIII族ハロゲン化物ガス”が供給され、二重管の外管16と反応管11の間の空間を通路としてキャリアガス(たとえば水素ガス)で希釈された窒素源ガス(たとえばアンモニアガス)が供給され、内管15と外管16の間の空間を通路として、バリアガス(たとえば窒素ガス)ガスが供給される。バリアガスは、ガス吐出口となる二重管端部近傍でIII族元素源ガスと窒素源ガスとが直ちに混合反応し、このときに生成する生成物がガス吐出口付近に析出して該ガス吐出口を閉塞させてしまうのを防止するために供給される。
また、サセプタ13は、反応管11の直径より所定の長さ、短い幅を有する板状体であり、その幅に応じて反応管底部から所定の高さに水平若しくはほぼ水平に掛止される。サセプタ13が配置されるガス吐出口からの距離は、原料ガス、キャリアガス、及びバリアガスの供給条件(流速、希釈倍率、混合比)に応じて適宜決定される。少なくともサセプタ13が配置される上部空間領域ではIII族元素源ガスと窒素源ガスとが混合している必要がある。サセプタ13の上には基板(たとえばサファイア基板)14が載置され、該基板上14上にIII族元素源ガスと窒素源ガスとの反応によりアルミニウム系III族窒化物が成長し、成長層が形成される。結晶成長に際しては、基板をIII族元素源ガスと窒素源ガスと共に加熱する必要があり、このときの加熱は加熱手段12によって行われる。良好な結晶層(成長層)を得るためには通常1000℃程度に加熱される。基板を加熱する方法としては、結晶成長部分のみならず反応管も高温とするホットウォール(Hot Wall)方式が一般に採用されており、具体的には、(1)反応管の外部に取り付けられたヒーターにより反応管を直接過熱し、反応器壁を介しての熱伝導や輻射熱により基板を加熱する方法、(2)基板をカーボン製の基板支持台(サセプタ)上に保持し、反応管外部から高周波加熱により基板を直接加熱する方法、(3)反応管外部から光を照射して基板を加熱する方法が採用されている。
特開2003−303774号公報 特開2006−073578号公報 特開2006−114845号公報
本発明者等は、HVPE法を用いたアルミニウム系III族窒化物単結晶の成長方法について種々検討を行ったところ、より高速で、より欠陥が少ない単結晶からなるアルミニウム系III族窒化物単結晶膜であって、膜の平坦性が良好な結晶膜を製造するためには、結晶成長時の基板の温度を1150℃以上、好ましくは1250℃以上、更に好ましくは1350℃以上の高温にすることが有効であるという知見を得るに到った。
しかしながら、従来のHVPE法で使用されている気相成長装置を用いて基板を1150℃以上の高温に加熱しようとする場合には、装置上の制約から様々な問題が発生するため、反応自体を1150℃以上の温度で行うことができることは分かっているものの、そのような温度で反応を行うことは実際には困難であった。
たとえば、前記(1)の加熱方法を採用した場合には、石英ガラスの軟化により反応管の変形が危惧されるばかりでなく、1250℃以上温度においては二酸化シリコンの非晶質の形態である石英ガラスが、安定結晶相であるクリストバライト相(もしくはトリジマイト相)に相転移するため反応管が脆化してしまうという問題が起こる。また、前記(2)の加熱手段を採用した場合には、サセプタを直接加熱することができるが、長時間加熱を続けた場合には輻射熱により反応管壁の温度も上昇し、前記(1)の場合と同様の問題が発生する。さらにこの場合には、高温にすることにより、HPVE法に特有の腐蝕性雰囲気によるカーボンサセプタ(カーボン製基板支持台)の腐蝕が促進され、サセプタの寿命が短くなるばかりでなく、成長層への不純物混入のリスクが高まるという問題が発生する。また、前記(3)の方法では、光照射により1150℃以上の温度に加熱することは比較的容易であるが、工業レベルである直径2インチ基板サイズの面積領域を均一に加熱することは非常に困難である。
そこで、本発明は、上記のような問題を起こすことなく、1150℃以上、好ましくは1250℃以上、更に好ましくは1350℃以上に基板を加熱してHVPE法により良好なアルミニウム系III族窒化物結晶膜、特に単結晶膜を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、反応管の加熱方式と装置構造変更することにより前記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、基板支持台(サセプタ)として耐腐食性が高く熱伝導率の高い窒化アルミニウム系セラミックス製のものを用いると共に、該サセプタにヒーターとしての機能を付与し、直接基板を加熱した場合には上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、反応容器内でアルミニウムを含むIII族元素源ガスと窒素源ガスとを反応させて、該反応容器内に配設された基板支持台に保持された加熱基板上にアルミニウム系III族窒化物結晶を成長させる工程を含むアルミニウム系III族窒化物結晶の製造方法において、前記基板支持台としてセラミックス製の基板支持台(サセプタ)を用いると共に、基板温度を反応領域における反応容器壁の温度より高温に保持して前記工程におけるアルミニウム系III族窒化物結晶の成長を行うことを特徴とする方法である。
本発明によれば、反応容器やサセプタに大きなダメージを与えることなく、たとえば1500℃といった高温に基板を加熱しながらHVPE法によりアルミニウム系III族窒化物結晶層を形成することができる。そのため、従来のHPVE法と比べて高速で単結晶の成長を行うことができるばかりでなく、得られる結晶膜(成長層)の結晶性も良好で、その表面平滑性も従来法で得られたものと比べて向上する。
また、セラミックス製のサセプタとして耐腐食性が高く熱伝導率の高い窒化アルミニウム製或いはそれ以外の窒化アルミニウム系セラミックス製で内部に発熱抵抗体が埋設されたものを使用した場合には、サセプタの面積を大きくしてもサセプタ全体を均一に加熱することができるため、大面積の基板を均一に加熱すことができ、結果として品質にムラのない大面積のアルミニウム系III族窒化物結晶層を形成することができる。さらに、該サセプタは形成する結晶層(成長層)と組成が近似した材料で構成されているため、結晶層に不純物が混入するリスクも少ない。特に、内部に発熱抵抗体が埋設された窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体からなる加熱機能を有するサセプタは、ヒートサイクルに対する耐久性が高いので、長期間安定して使用することができ、サセプタ交換の頻度を少なくすることができるのでコスト的にもメリットがある。
なお、サセプタとして窒化アルミニウム系セラミックス製で内部に発熱抵抗体が埋設されたものを使用した場合における上記効果は、HVPE法に限らず、アルミニウム系III族窒化物結晶を成長するために基板を加熱する必要のある他の気相成長法(たとえば、有機金属気相エピタキシー法、分子線ビームエピタキシー法、スパッタリング法、パルスレーザー堆積法等)を採用した場合にも得ることができる。したがって、本発明の方法は、これら成長法においても有用である。
以下、図面を参照し、HVPE法でアルミニウム系III族窒化物結晶膜を製造する場合を例に、本発明について説明するが、本発明の方法はHVPE法を用いた場合に限定されるものではない。
図2に示す気相成長装置は、サセプタとしてセラミックス製でヒーターとしての機能を有するものを使用すること、及びこのことに起因する若干の設計変更があること以外は、基本的に図1に示す従来の気相成長装置と同様のものである。
すなわち、図2に示す装置は、円筒状の石英ガラス反応管21からなる反応器本体と、該反応管21の外部に配置される外部加熱手段22と、該反応管21の内部に配置される基板支持台(サセプタ)23と、を具備する。そして、反応管21の一方の端部からキャリアガス及び原料ガスを供給し、他方の端部近傍の側壁に設けられた開口部からキャリアガス及び未反応の反応ガスを排出する構造となっている。なお、上記外部加熱手段22は、基板24の加熱を目的とするものではなく、主として反応域の反応ガスの温度を所定温度に保持する目的で使用されるものであり、必ずしも必須のものではない。この外部加熱手段22としては、抵抗加熱式ヒーター、高周波加熱装置、高周波誘導加熱装置、ランプヒーターなどが使用できる。
また、前記サセプタ23は、その上面に基板24を保持できるようになっている。基板24としては、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、ホウ化ジルコニウム、ガリウム砒素、酸化亜鉛、窒化ガリウム、窒化アルミニウムなどの結晶基板が用いられる。さらに、サファイアなどの母材基板上に薄膜の窒化アルミニウム結晶層が積層されたテンプレート基板も用いることができる。
図2に示す装置における原料ガス供給側の反応管は、図1に示す装置と同様に、端部から所定の領域に二重管が挿入されて同心円状の三重管構造となっている。そして、この二重管の内管25の内側の空間を流路としてキャリアガスで希釈されたアルミニウムを含むIII族元素源ガスである“ハロゲン化アルミニウムを含むIII族ハロゲン化物ガス”が供給され、二重管の外管26と反応管21の間の空間を流路としてキャリアガスで希釈された窒素源ガスが供給され、内管25と外管26の間の空間を流路として、バリアガスガスが供給される。なお、上記二重管は通常石英ガラス製のものが使用されるが、黒鉛製のもののほか、ステンレス、インコネル、ハステロイ等の耐食性金属製のものも使用可能である。
上記III族元素源ガスの流路は、配管を通じて図示しない“三塩化アルミニウムを含むIII族ハロゲン化物ガス供給源”と接続されており、配管の途中に配置されたマスフローコントローラーなどの流量調節手段により所定の流量のガスを供給できるようになっている。そして、上記流量調節手段より下流側の配管には流量調節手段を介してキャリアガス供給源に接続する配管が接続されおり、III族元素源ガスをキャリアガスで所望の希釈倍率に希釈できるようになっている。窒素源ガス流路は、配管により流量調節手段を介して図示しない“窒素源ガス供給源”と接続していると共に、該流量調節手段より下流側の配管には流量調節手段を介してキャリアガス供給源に接続する配管が接続され、窒素源ガスをキャリアガスで所望の希釈倍率に希釈できるようになっている。バリアガス流路についても配管により流量調節手段を介して図示しない“バリアガス供給源”と接続している。
アルミニウムを含むIII族元素源ガスであるIII族ハロゲン化物ガスとしては、三塩化アルミニウム単独のみならず、他のガスとして、目的とするアルミニウム系III族窒化物の混晶組成に応じて、一塩化ガリウム等のハロゲン化ガリウムや三塩化インジウム等のハロゲン化インジウムなどのハロゲン化物ガスを混合した混合ガスが使用できる。ただし、この場合、III族元素の種類によってIII族窒化物として基板上へ取り込まれる割合が異なるので、III族ハロゲン化物ガスの供給比率がそのまま混晶組成に対応しないこともある。
III族ハロゲン化物ガスは、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどのIII族金属とハロゲン化水素を反応させることにより得ることができる。たとえば特開2003−303774号公報に記載されているように、このような反応を行う反応器を“三塩化アルミニウムを含むIII族ハロゲン化物ガス供給源”とすることもできる。また、III族ハロゲン化物ガスは、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化インジウム等のIII族ハロゲン化物そのものを加熱、気化させることにより得ることもできる。この場合、III族ハロゲン化物には無水結晶であり、かつ不純物の少ないものを使用するのが好ましい。原料ガスに不純物が混入すると形成される結晶に欠陥が発生するばかりでなく、物理的化学的特性の変化をもたらすため、ガスの原料となる物質は高純度品を用いる必要がある。
なお、HVPE法においては、アルミニウムを含むIII族元素源ガスとして“ハロゲン化アルミニウムを含むIII族ハロゲン化物ガス”を使用するが、他の気相成長法を採用する場合には、それぞれの方法に応じて通常使用される原料ガスが使用される。たとえば、有機金属気相エピタキシー(MOVPE)法を採用する場合には、アルミニウムを含むIII族元素源ガスとして、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム等の公知の有機金属化合物を用いることが可能である。ただし、これらの有機金属化合物は、高温で分解してアルミニウム、ガリウム、インジウムの金属融液を生成しやすいため、高濃度の供給が困難になる。したがって、高速成長を行う観点においてはアルミニウムを含むIII族ハロゲン化物ガスを用いると有利である。
窒素源ガスとしては、窒素を含有する反応性ガスが採用されるが、コストと取扱易さの点で、アンモニアガスが好ましい。
キャリアガス及びバリアガスとしては水素、窒素、ヘリウム、またはアルゴンの単体ガス、もしくはそれらの混合ガスが使用可能であり、あらかじめ精製器を用いて酸素、水蒸気、一酸化炭素或いは二酸化炭素等の不純ガス成分を除去しておくことが好ましい。
図2に示す装置は、サセプタ23としてセラミックス製でヒーターとしての機能を有するものを使用していることが大きな特徴である。セラミックス製サセプタにヒーターとしての機能を付与するためにはサセプタ本体の内部に発熱抵抗体を埋め込むか又はサセプタ本体の裏面に発熱抵抗体を接合し、その発熱抵抗体に外部から電力を供給すればよい。発熱抵抗体としては使用温度で溶融しないタングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)などの高融点金属が使用される。また、サセプタ本体を構成するセラミックスとしては使用温度において安定で、III族元素源ガスによって腐蝕を受け難い材質であれば特に限定されないが、サセプタの少なくとも基板が載置される面全体を均一に加熱できるという観点から、熱伝導率の高い窒化物セラミックス、特に窒化アルミニウム又はそれ以外の窒化アルミニウム系セラミックスを使用するのが好適である。さらに、加熱−冷却のヒートサイクルを繰り返したときの耐久性の高さの観点から、窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体を使用するのが最も好ましい。セラミックス材料と発熱抵抗体とでは熱膨張係数が異なるため、加熱−冷却のヒートサイクルを繰り返すとそのときに発生する応力により発熱抵抗体が剥離したり、サセプタが破損したりすることがあるが、窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体は靭性が高いので上記応力が緩和され、前記耐久性が高くなる。なお、上記複合焼結体における窒化アルミニウムと窒化ホウ素との含有割合は、窒化アルミニウム100質量部に対して窒化ホウ素を5〜70質量部、特に10〜50質量部とするのが好ましい。
本発明で使用される代表的なサセプタを図3に示す。図3は、本発明の製造方法で使用される代表的な基板支持台(サセプタ)の平面図及び断面図である。図3に示すサセプタでは、窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体からなるサセプタ本体31の内部に発熱抵抗体32からなる配線パターンが埋設されている(図3平面図では、サセプタ本体内部のパターン形状が分かるように本体内部に埋設される配線パターンを点線で示している)。この配線パターンは、通常、断面積0.001〜1mm2程度のモリブデン箔からなり、パターン形状は面内温度分布差が小さくなるように設計されている。該配線パターンの両端はサセプタ本体の表面に露出するターミナル33と電気的に接続しており、該ターミナル33を介して外部から電力が供給される。外部からの電力の供給は、反応器の端面27を摺動可能に貫通する2本のタングステンロッド28を介して行われる。すなわち、各タングステンロッドの一端は、ターミナル33とロウ付け或いは高融点金属製の螺子及びコネクタを用いて接合されるとともに、反応器外部の端部は、導線を介して電力供給源に電気的に接続さる。各タングステンロッド28は電気的な短絡を防止するためにセラミックスなどの耐熱性材料からなる鞘などで被覆されていてもよい。また、電力供給源としては、電圧調整器等の定電圧電源や、定電流電源等の電源装置を用いることが可能である。
なお、タングステンロッド28が反応器の端面27を貫通する部分には、O−リングなどのシール部材(図示せず)が配設され、気密を保つことができるようになっている。上記タングステンロッド28は、サセプタ23を支持する支持部材としての機能を有しており、支持機能を高めるためにタングステンロッド28を摺動可能に支える支柱を反応器内部に配設してもよい。図3には基板載置面の形状が長方形であるサセプタを示したが、サセプタの形状、大きさ、発熱抵抗体32からなる配線パターンの形状などは、適宜変更可能である。また、サセプタに電力を供給する方法、サセプタを支持する方法も図3に示す態様に限定されるものではなく、反応器の形状や設置方式などに応じて適宜変更可能である。たとえば、サセプタの設置場所が決まっている場合には、反応容器内に設置された支柱などの支持部材上に直接サセプタを載置してもよい。
窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体からなるサセプタ本体31の内部に発熱抵抗体32からなる配線パターンを埋設する方法としては、積層して接合したときにサセプタ形状となるような形状に加工された“窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体からなる下部部材31a”及び“窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体からなる上部部材31b”を準備し、下部部材31aの接合面上に発熱抵抗体32からなる配線パターンおよびターミナル33を形成した後に、上部部材31bを積層して、両部材をホットプレスなどの方法により接合すればよい。
本発明の方法では、図2に示す装置を用いて、基板24の温度を原料ガスの反応領域における反応容器壁の温度より高温に保持してアルミニウム系III族窒化物結晶の成長を行う。結晶の成長は、次のような手順で好適に行うことができる。
すなわち、反応器内のサセプタ上に基板をセットした後に反応器内にキャリアガスを流通させ反応器内の雰囲気をキャリアガス雰囲気とする。その後、基板表面に付着している有機物を除去する目的で、サセプタに電力を供給してサセプタを加熱するか、又は外部加熱手段を用いて基板を加熱することによって基板を1100℃程度の高温状態に10分間程度保持する(以下、この処理をサーマルクリーニングともいう)。サーマルクリーニング終了後に基板温度を目的とする温度(結晶成長させる際の温度、成長温度とも言う)となるように調整してから原料を反応器内に導入して反応を開始するという手順により、基板上にIII族窒化物単結晶を成長させることができる。所定時間反応を行い、所期の厚さの結晶膜(成長膜)が得られたら、III族ハロゲン化物ガスの供給を停止して、成長を終了し、冷却して基板を取り出せばよい。なお、基板として窒化ガリウム基板や窒化アルミニウム基板を用いる場合には前記サーマルクリーニングや昇温過程において、基板材料が熱分解するのを防止する目的で反応器にアンモニアガスを供給して、昇温途中における雰囲気中のアンモニアガス分圧を0.0001atm以上に保持するとよい。
図2に示す装置では、サセプタにより基板を直接加熱することができるので、反応時における基板の温度と、原料ガスが反応する反応領域における反応容器壁の温度とを独立して制御することができる。その結果、従来のホットウォール(Hot Wall)方式の反応器を用いた場合には現実的に加熱することができなかったような高温、具体的には1150℃以上、好適には1250℃以上、更に好適には1350℃以上の高温に基板を加熱することができ、高速の結晶成長が可能でなるばかりでなく得られる結晶膜は結晶性が良好で表面平滑性に優れたものとなる。本発明の方法では、基板24の温度を反応領域における反応容器壁の温度より高温に保持して結晶成長を行うが、高品質な結晶層を効率よく形成できるという観点から、反応時における基板温度は、800℃以上で且つ反応領域における反応容器壁の温度より150℃以上高温とするのが好ましく、反応時における反応領域における反応容器壁温度は200℃〜1150℃、特に300℃〜1100℃とするのが好ましい。このとき、反応容器壁は反応容器内部に設置したサセプタからの放射熱などにより加熱されても良く、上記の温度範囲に入ればよい。したがって、外部加熱手段22は必要に応じて備えればよい。
サセプタ23及び基板24の温度制御はサセプタに供給する電力を調製することに行うことができる。サセプタ温度を熱電対や非接触温度計などの温度測定装置により測定し、測定された温度に基づいて電源装置の出力を調節してもよいし、予め供給電力と基板温度との関係を調べておき、その関係に基づいて供給電力を調節し温度調節してもよい。
通常、サセプタ及び基板を加熱した場合、熱伝導や輻射熱により反応領域におけるガスおよび反応容器壁温度も上昇するが、相対的に低温のキャリアガスが常に流通しているためその温度はサセプタおよび基板の温度より低温となる。反応領域における反応容器壁の温度を熱伝導や輻射熱により自然に到達する温度よりも高い温度としたい場合、あるいは短時間で所定の温度としたい場合には前記外部加熱手段22を用いて反応容器壁を加熱すればよい。また、反応領域における反応容器壁の温度を熱伝導や輻射熱により自然に到達する温度よりも低い温度としたい場合には、水、アルコール、ハロゲン化炭素、オイル等の熱交換媒体の循環による冷却、空冷手段などの冷却手段により反応器壁を冷却すればよい。
反応時における各種反応ガス、キャリアガス、およびバリアガスの分圧や流速等の条件に関しては従来の反応器を用いた場合と基本的に変わる点はなく、反応器の大きさや形状に応じて適宜設定すればよい。
一般的に、III族ハロゲン化物ガスの供給量は基板上へのIII族窒化物の成長速度を勘案して決める。基板上に供給される全ガス(キャリアガス、III族ハロゲン化物ガス、窒素源ガス、およびバリアガス)の標準状態における体積の合計に対するIII族ハロゲン化物ガスの標準状態における体積の割合をIII族ハロゲン化物ガスの供給分圧として定義すると、1×10−6atm〜1×10−1atmの範囲が通常選択される。また、窒素源ガスの供給量は、一般的に供給する上記III族ハロゲン化物ガスの1〜200倍、特に1.5〜50倍の供給量が好適に選択されるがこの限りでない。また系内の圧力は減圧状態、常圧状態、加圧状態のいずれでもよい。
本発明の方法によれば、アルミニウム系III族窒化物半導体発光素子の製造に使用される基板として好適なアルミニウム系III族窒化物単結晶膜を形成することができるが、基板温度や原料ガス供給量などのパラメータを変化させることによって、アモルファスに近い低結晶性のものから、結晶性の良い単結晶体もしくは多結晶体まで作ることも可能である。本発明の方法によりこのような単結晶膜以外の膜を形成する場合も高速成膜という特徴は維持される。
以上、図2に示す装置を用いて本発明の製造方法を実施する態様について詳しく説明したが、本発明の方法に使用される装置は図2に示すものに限定されるものではない。図2に示す装置は横型反応器の一例であるが、他の形式の横型反応器や縦型反応器、或いは縦横が混在した形の反応器を使用することも可能である。また、反応条件等も使用する装置に応じて適宜変更される。
本発明の製造方法によれば、優れたアルミニウム系III族窒化物結晶膜を効率よく製造することができる。成膜速度、得られた膜の平滑性や結晶性は例えば次のような方法で評価することができる。すなわち、成膜速度は、得られた膜の平均膜厚を測定し、その値を成膜時間で除することにより決定することができる。このとき、得られたアルミニウム系III族窒化物結晶膜の平均膜厚は、成長した結晶の質量、基板面積、ならびにアルミニウム系III族窒化物結晶の密度{たとえば窒化アルミニウムの場合、密度は3.26g/cm3である}から計算することができる。また、得られた結晶膜の表面粗さは、青紫色レーザー顕微鏡(たとえばKeyence社製:VK-9510)を用いて表面を倍率3000倍、測定ピッチ0.01μmの条件で観察したときの観察結果に基づいて決定することができる。表面粗さの指標として算術平均粗さ(Ra)値を用いる場合には、基準面から測定曲面までの偏差の絶対値を合計し、その平均値として求められる。また、得られた結晶膜の結晶品質の評価は、X線ロッキングカーブ測定により行うことができる。ロッキングカーブとは、特定の結晶面がブラッグの回折条件を満たす角度の2倍の位置にディテクターを固定して、X線の入射角を変化させて得られる回折のことであり、該ロッキングカーブの半値幅により結晶品質の良否を判断できる。半値幅の値が小さいほど、アルミニウム系III族窒化物結晶の結晶品質が良好であると言える。ロッキングカーブ測定は、通常、Tilt(チルト)と呼ばれる(002)方向、ならびにTwist(ツイスト)と呼ばれる(100)方向に関して行われる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
図3に示すような窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体からなるサセプタ本体の内部に発熱抵抗体からなる配線パターンが埋設されているサセプタを具備する図2に示す気相反応装置を用い、次のような手順でサファイア基板上に窒化アルミニウム単結晶を成長させた。なお、実施例および比較例ともに全圧が1atmの条件で結晶成長を行った。
即ち、先ず、装置内のサセプタ上に1cm×1cmのサファイア(0001)基板を設置した後にIII族元素源ガス流路及び窒素源ガス流路からキャリアガスである水素ガス(露点−110℃)を合計で750SCCM(Standard Cubic Centimeter per Minute)の流量となるように供給すると共にバリアガス流路からバリアガスとしての窒素ガス(露点−110℃)を1500SCCMの流量で供給し、反応器内を充分置換した。その後、上記流量でHガス及びNガスを流した状態で外部加熱装置により反応容器の反応領域の壁面の温度が1100℃になるように加熱する外熱方式加熱により基板を1100℃で10分間サーマルクリーニングを行った。
サーマルクリーン終了後、サセプタに定電圧交流電源を用いて徐々に電力を投入し、10分かけて245Wの電力を投入して加熱した。このとき、反応器外からサセプタ温度を放射温度計により測定したところ、1250℃であった。なお、放射温度計としては光検出器にシリコンセルを使用した検出波長0.8〜1.1μmのものを使用し、サセプタ材料の放射率は0.8とした。次いで、サセプタ温度を1250℃に維持しながら、III族元素源ガスとしての三塩化アルミニウムガス及び窒素源ガスとしてのアンモニアガスを、三塩化アルミニウムの供給分圧が1.3×10−3atmに、アンモニアガスの供給分圧が2.6×10−3atmとなるようにキャリアガスに同伴させて供給した。このときIII族元素源ガス流路を流れる三塩化アルミニウムガスのキャリアガスによる希釈率は三塩化アルミニウムガス濃度で表して1vol.%であり、窒素源ガス流路を流れるアンモニアガスのキャリアガスによる希釈率はアンモニアガス濃度で表して2vol.%とした。また、三塩化アルミニウムガスは、別の反応容器内で金属アルミニウムと塩化水素ガスを反応させることにより発生させた三塩化アルミニウムガスを使用し、反応により発生したガスを、ガスの状態のまま供給した。
このような条件で60分間反応を行い、サファイア基板上に窒化アルミニウムを成長させた後、三塩化アルミニウムの供給を停止すると共にサセプタへの電力供給を停止し、装置及び基板を冷却した。この際、基板上に成長した窒化アルミニウムの再分解を防ぐため、反応容器の反応領域の壁面の温度が550℃に下がるまでアンモニアガスを反応管に流通した。
装置温度が室温付近まで下がったことを確認して、反応器から基板を取り出し、基板上に形成された結晶膜の評価を行った。その結果、基板上に成長した窒化アルミニウムの平均膜厚は7.0μmであり、成膜速度で表す結晶成長速度は、7.0μm/hrであった。また、X線ロッキングカーブ測定によるAlN(002)及びAlN(100)の半値幅は、それぞれ6.6min.及び、23minであった。さらに、レーザー顕微鏡観察から得た表面粗さを示す指標Raは0.06μmであった。
実施例2
サーマルクリーン終了後、外部加熱による反応容器の反応領域の壁面の温度を表1に示す温度(外部加熱温度ともいう)とし、次いでサセプタ及び基板の温度を表1に示す温度としてから反応を開始する他は実施例1と同様にして窒化アルミニウム結晶膜の成長を行った。その後、得られた結晶膜の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。
実施例3
III族元素ガスに三塩化アルミニウムと一塩化ガリウムを供給し、外部加熱温度を800℃、サセプタ温度を1200℃として窒化アルミニウムガリウム結晶膜を成長した実施例である。より詳細には、三塩化アルミニウムの供給分圧が0.8×10−3atm、一塩化ガリウムの供給分圧が0.7×10−3atm、アンモニアの供給分圧が3.0×10−3atmになるようにキャリアガスに同伴させて供給した。得られた窒化アルミニウムガリウム混晶結晶膜の組成は(002)X線回折角から格子定数を計算し、窒化アルミニウムと窒化ガリウムの格子定数からベガード則を用いて見積もった。組成はAl0.53Ga0.47Nであり、その他の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。
実施例4
III族元素ガスに三塩化アルミニウムを供給し、外部加熱はせずにサセプタ温度を1500℃として窒化アルミニウム結晶膜を成長した実施例である。より詳細には、三塩化アルミニウムの供給分圧が1.3×10−3atm、アンモニアの供給分圧が2.6×10−3atmになるようにキャリアガスに同伴させて供給した。得られた窒化アルミニウム結晶膜の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。
実施例5
サセプタとして、サセプタ本体の材質が窒化アルミニウム焼結体である他は実施例1で使用したサセプタと同様であるサセプタを用い、実施例1と同様にして窒化アルミニウム結晶膜を製造し、得られた結晶膜の評価を行った。その結果を表1に示す。成長温度が実施例1と同様であったため、結晶性および平坦性についてほぼ同様の結果が得られた。
比較例1
加熱支持台に電力を投入せずに、外部加熱装置のみの加熱により基板温度を1100℃に加熱して結晶成長を行った以外は実施例1と同様にして結晶膜を形成し、その評価を行った。その結果、基板上に成長した窒化アルミニウムの平均膜厚は2.8μmであり、X線ロッキングカーブ測定によるAlN(002)及びAlN(100)の半値幅は、それぞれ55.8min、及び52.2minであった。また、レーザー顕微鏡観察から表面粗さを求めたところ、Raは0.11μmであった。
前記実施例1と比較例1の対比から、本発明の方法によれば、得られた窒化アルミニウム結晶膜の結晶性は良好であり、その表面平滑性は従来方法である比較例1により得られた窒化アルミニウム結晶膜の表面平滑性よりも優れていることが分かる。
Figure 2008019130
参考例
サセプタ面内の温度分布および、繰返し耐久性について調べるため。基板載置面のセラミックス部分が直径40mmサイズであり、内部にモリブデン箔の発熱体を有するサセプタを作製した。形状は円形であるが、サセプタ構造としては図3と同様に上部部材と下部部材との間に発熱体が配置された構造である。セラミックス部材としては、(1)実施例1で使用したのと同じ窒化アルミニウムと窒化ホウ素からなる複合焼結体サセプタ、(2)実施例4で使用したのと同じ窒化アルミニウム焼結体からなるサセプタ、(3)比較としてアルミナ焼結体からなるサセプタを準備し、夫々について水素ガスと窒素ガスの体積比1:2の割合の混合雰囲気中で1250℃に加熱して、評価温度到達後10分後におけるサセプタの基板載置面の温度分布を熱画像計測装置(Nobby Tech.社製:2色式温度計測システムThermera)により調べ、該載置面について、基板の載置面の面積全体に対する表面温度が1240℃〜1260℃の範囲にある領域の総面積割合を求めた。その結果、その割合は、(1)が85%、(2)が90%、(3)が50%であり、窒化アルミミウム系セラミックス製のサセプタの方が均熱性が良好であることが判った。なお、(1)の部材の熱伝導率は90W/m・K、(2)の部材の熱伝導率は150W/m・K、(3)の部材の熱伝導率は30W/m・Kであったことから、熱伝導率が良好であることが均熱性に良いと考えられた。
また、(1)及び(2)のサセプタについて、1250℃に加熱して1時間保持した後に室温まで冷却するという操作を繰り返すヒートサイクル試験を行ったところ、(2)のサセプタではサイクルを18回繰り返した時点で下部部材と上部部材との間で割れが発生した。これに対し、(1)のサセプタではサイクルを52回繰り返しても割れは発生しなかった。これらの結果を表2に示す。
Figure 2008019130
本図は、従来のHVPE法で使用される代表的な気相成長装置の概略図(反応管の中心線を通る垂直方向の断面の概略図)である。 本図は、本発明の製造方法で使用される代表的な気相成長装置の概略図(反応管の中心線を通る垂直方向の断面の概略図)である。 本図は、本発明の製造方法で使用される代表的な加熱支持台(サセプタ)を概念的に示す平面図及び断面図である。
符号の説明
11 石英ガラス反応管
12 外部加熱手段
13 基板支持台(サセプタ)
14 基板
15 内管
16 外管
21 石英ガラス反応管
22 外部加熱手段
23 基板支持台(サセプタ)
24 基板
25 内管
26 外管
27 反応器の端面27
28 タングステンロッド
31 窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体からなるサセプタ本体
31a 下部部材
31b 上部部材
32 発熱抵抗体
33 ターミナル

Claims (5)

  1. 反応容器内でアルミニウムを含むIII族元素源ガスと窒素源ガスとを反応させて、該反応容器内に配設された基板支持台に保持された加熱基板上にアルミニウム系III族窒化物結晶を成長させる工程を含むアルミニウム系III族窒化物結晶の製造方法において、前記基板支持台としてセラミックス製の基板支持台を用いると共に、基板温度を反応領域における反応容器壁の温度より高温に保持して前記工程におけるアルミニウム系III族窒化物結晶の成長を行うことを特徴とする方法。
  2. 基板温度を800℃以上で且つ反応領域における反応容器壁の温度より150℃以上高温に保持して前記工程におけるアルミニウム系III族窒化物結晶の成長を行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. アルミニウム系III族窒化物結晶の成長を行う際に、外部加熱手段により反応領域における反応容器壁を200℃〜1150℃に加熱する請求項1乃至2の何れかに記載の方法。
  4. 内部に発熱抵抗体が埋設された窒化アルミニウムと窒化ホウ素との複合焼結体からなる加熱機能を有する基板支持台を用いて基板を加熱することにより基板温度を反応容器の温度より高温に保持する請求項1乃至3の何れかに記載の方法。
  5. アルミニウムを含むIII族元素源ガスがハロゲン化アルミニウムを含むIII族ハロゲン化物ガスであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の方法。
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