JP2008019107A - 多結晶シリコン - Google Patents
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Abstract
【課題】棒状結晶から多結晶シリコンを切断する際に、機械切断面に含有される金属不純物の濃度を抑制し、かつ切断時のクラック発生を防止することができる多結晶シリコンを提供する。
【解決手段】シーメンス法で製造された棒状多結晶シリコンから切断され、棒状多結晶シリコンの長手方向に略垂直な機械切断面を有する多結晶シリコン1であって、機械切断面がエッチング処理を経ておらず、切断面における金属不純物の濃度として、Fe:0.08 ng/cm2 以下であること、さらに、Cu:0.12 ng/cm2 以下、Ni:0.06 ng/cm2 以下、Cr:0.08 ng/cm2 以下、Na:0.12 ng/cm2 以下、Zn:0.06 ng/cm2 以下またはAl:0.10 ng/cm2 以下のいずれかである多結晶シリコン1である。機械切断面には、クラックが無いことが望ましい。
【選択図】図5
【解決手段】シーメンス法で製造された棒状多結晶シリコンから切断され、棒状多結晶シリコンの長手方向に略垂直な機械切断面を有する多結晶シリコン1であって、機械切断面がエッチング処理を経ておらず、切断面における金属不純物の濃度として、Fe:0.08 ng/cm2 以下であること、さらに、Cu:0.12 ng/cm2 以下、Ni:0.06 ng/cm2 以下、Cr:0.08 ng/cm2 以下、Na:0.12 ng/cm2 以下、Zn:0.06 ng/cm2 以下またはAl:0.10 ng/cm2 以下のいずれかである多結晶シリコン1である。機械切断面には、クラックが無いことが望ましい。
【選択図】図5
Description
本発明は、金属不純物による金属汚染の少ない多結晶シリコンに関し、さらに詳しくは、半導体用単結晶シリコンの引上げに用いられるチョクラルスキー法(以下、CZ法という)における、製造原料として供される多結晶シリコンに関する。
半導体用単結晶シリコンの製造には、CZ法による回転引上げ法が多用されている。このCZ法は、るつぼ内で多結晶シリコンを溶融し、その融液にシリコンの種結晶を浸漬し、種結晶を回転させながら引上げることによって、半導体デバイスの素材として使用される単結晶シリコンを育成する方法である。
上記CZ法の原料となる多結晶シリコンは、主にシーメンス法により製造された棒状の多結晶シリコンが用いられ、切断機を用いて適当な大きさに切断するか、または塊状に破砕することによって製造原料とされる。
シーメンス法とは、高純度のシリコンシードに通電加熱し、そのシード表面にシラン系ガスと水素を反応させ、気相成長によって、多結晶シリコンを成長させる方法である。前記シーメンス法において製造した多結晶シリコンでは、CZ法に供するための切断の際に前記多結晶シリコン内に生じている内部応力が問題となる。
シーメンス法で多結晶シリコンを成長させていく過程では、気相成長する多結晶シリコンの表面から熱が放出されるため、成長中の多結晶は内部ほど高温となる。
このため、得られた多結晶シリコンは、表面が先に冷却されて収縮し、その後に中心部が収縮していくという冷却形態をとるため、棒状材の内部に引張り応力が、表面に圧縮応力が残留する内部応力が生じる。特にシーメンス法ではシラン系ガスと水素を反応させるために高い反応温度(1000℃以上)を要するため、冷却過程における結晶の内部温度と表面温度との差が大きく、結晶内に生じる内部応力は大きくなる。
前述の通り、シーメンス法で得られた棒状の多結晶シリコンをCZ法の製造原料とするため、切断機で切断する際には、シリコンは高硬度の脆性材料である上、結晶内に上記内部応力が生じているため、切断面にクラックが発生し易くなる。
切断後に多結晶シリコンにクラックが発生すると、クラック内部の汚れが切断加工後の酸洗浄によっても除去されず、その後の多結晶シリコンの品質を悪化させてしまう。また、クラック内部に酸自体が残留する場合には、内部に汚染(不純物)を抱き込みながら、厚いシリコン酸化膜を生成することにより、多結晶シリコンの品質が悪化することになる。多結晶シリコンの品質悪化は、それを原料として製造される単結晶シリコンの品質に直接影響をおよぼすため、半導体用の製造原料として用いられる多結晶シリコンは、高純度であることが要求される。
そこで、従来から多結晶シリコンの切断方法に関して種々検討されており、例えば、外周刃、ワイヤーソーおよびバンドソー等を用いた手段が採用されている。
図1は、従来から採用されている切断方法を示す図であり、(a)は外周刃を用いた切断方法であり、(b)はマルチワイヤーソーを用いた切断方法であり、(c)はバンドソーを用いた切断方法を示す。
図1(a)に示す外周刃を用いる切断方法は、従来から多用されている方法であり、円板の周囲にダイアモンド砥粒を電着させた金属刃を用いて切断する方法である。
また、同(b)に示すマルチワイヤーソーを用いた切断方法には、遊離砥粒式ワイヤーソーおよび固定砥粒式ワイヤーソーと称される2種類の方法に区分される。前記遊離砥粒式ワイヤーソーを用いた切断方法とは、溶剤などの冷却液にダイアモンド砥粒を混入した溶液を研削液として用い、前記研削材を切断部位に滴下しながら金属製のワイヤーを回動させて切断する方法である。
一方、固定砥粒式ワイヤーソーを用いた切断方法とは、金属製のワイヤーにダイアモンド砥粒を電着させることによって、ダイアモンドを全面に被覆した金属製のワイヤーを用いて切断する方法である。
また、同(c)に示すバンドソーを用いた切断は、ダイアモンドを電着させたバンド状の金属刃を用いて切断する方法である。
従来から実施されている切断方法には、それぞれ被切断材の品質に及ぼす問題がある。まず、図1(a)に示す外周刃を用いた切断では、切断の際に、金属刃物等が多結晶シリコンに直接接触することによって金属が多結晶に不純物として取り込まれ、金属汚染を生じる場合がある。
図2は、棒状の多結晶シリコンを外周刃構造の金属刃で切断する状態を模式的に示す図である。多結晶シリコン1はダイアモンド砥粒2を電着させた金属刃3、すなわち精密加工された鋼製の台金表面に、ダイアモンド砥粒を電解めっき法によって固着した刃物で切断される。金属刃3は、切断時の歩留まりを向上させるために薄肉で構成されているうえ、シーメンス法で得られた多結晶シリコン1は、必ずしも正円筒ではなく、偏心や湾曲を生じているため、図1に示すように、金属刃3は多結晶シリコン1の表面に対して垂直に切り込めず、金属刃3が湾曲する場合がある。このように金属刃3が湾曲すると、金属刃3が多結晶シリコン1に直接接触することになり、金属刃に含有されるFe、CrおよびNi等が多結晶シリコンの切断面に取り込まれ、金属汚染を生じる。
また、外周刃に電着されているダイアモンド砥粒は、バインダーとして金属を用いている。後述する図3(b)に示すように、外周刃を用いて多結晶シリコンを切削する場合は、刃物と多結晶シリコンの接触長さLが短く、刃物に負荷される圧力が大きくなる。このため、ダイアモンド砥粒が摩耗し、金属バインダーが多結晶シリコンに直接接触する場合が多く、多結晶シリコンは切断時に金属バインダーの主金属であるCu、AlおよびZn等により金属汚染を生じ易くなる。
次に、図1(b)に示すマルチワイヤーソーを用いた切断方法では、遊離砥粒式ワイヤーソーを用いた場合に、金属製のワイヤーに研削液を滴下しながら切断するため、多結晶シリコンと金属製のワイヤーが直接接触することになり、これに起因する金属汚染が避けられない。
さらに、図1(c)に示すバンドソーを用いた切断方法では、金属刃がシリコンに直接接触することから金属汚染が顕著になる。
したがって、多結晶シリコンは、切断の際に発生した金属汚染等によって、切断面の品質が悪化することから、通常、切断後の表面をフッ硝酸などの薬液でエッチングし、金属汚染層を除去する必要がある。
しかし、フッ硝酸で多結晶シリコンをエッチングする際にはNOxガスが発生するため、環境汚染の防止対策が必要である上、歩留まりも悪くなることから、生産効率が非常に悪い。また、前述の通り、多結晶シリコンの品質は、それを原料として製造される単結晶シリコンの品質に直接影響をおよぼすため、多結晶シリコンは高純度であることが要求される。
このため、従来から切断の際に生じる切断面の金属汚染を防止する方法が検討され、例えば、特許文献1には機械加工物であるにもかかわらず、表面が鉄原子で汚染されていない高純度の多結晶シリコンを得るための方法が開示されている。前記方法は、機械的加工物の表面に存在する重金属不純物、特に鉄原子を低減させる方法であり、従来、フッ硝酸で行っていたエッチングを、王水、水および沸酸で順次洗浄していくという工程に置き換えた方法である。したがって、多結晶シリコンの切断面の金属汚染は抑制されるものの、機械加工の際に発生する金属汚染そのものを抑制するものではない。
前述の通り、CZ法における製造原料として使用される多結晶シリコンは、高純度であることが要求されるため、切断にともなう切断面の金属汚染の抑制が重要である。さらに、切断面に発生するクラックをなくし、その内部の残留物を抑制することにより、一層の品質向上を図ることが望ましい。
本発明は、上述した状況に鑑みてなされたものであり、棒状の多結晶シリコンを切断機で切断する際に、切断方式を最適なものとし機械切断面における金属不純物の濃度を低く抑え、さらに機械切断面に発生するクラックをなくすことができる多結晶シリコンを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、多結晶シリコンの切断方法に関して種々検討し、最適な切断方式を明らかにした。
図3は、各種切断手段で切断する場合の刃物と被切断物との接触状況を説明する図であり、(a)は切断手段としてワイヤーソーを用いた場合、(b)は外周刃を用いた場合を示す。同図に示すように、ワイヤー4を用いた切断では、外周刃3を用いた場合と比較すると被切断物1(多結晶シリコン)との接触長さLが長くなるため、切断時の刃物に対する負荷荷重を調節することが容易であることに着目した。
さらに、ワイヤーソーを用いて切断する場合に、固定砥粒式ワイヤーソーを用いることによって、遊離砥粒式ワイヤーソーを用いた切断とは異なり、ワイヤー表面がダイアモンド砥粒で被覆されているため、切断の際に多結晶シリコンにワイヤーが直接接触しないことから、ワイヤーに含有される金属成分に起因する金属汚染を抑制できることを知見した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)〜(3)に記載する多結晶シリコンを要旨としている。
(1)シーメンス法で製造された棒状多結晶シリコンから切断され、前記棒状多結晶シリコンの長手方向に略垂直な機械切断面を有する多結晶シリコンであって、前記機械切断面がエッチング処理を経ておらず、当該切断面における不純物の濃度として、Fe0.08 ng/cm2以下であることを特徴とする多結晶シリコン。
(2)シーメンス法で製造された棒状多結晶シリコンから切断され、前記棒状多結晶シリコンの長手方向に略垂直な機械切断面を有する多結晶シリコンであって、前記機械切断面がエッチング処理を経ておらず、当該切断面における金属不純物の濃度として、Cu:0.12 ng/cm2 以下、Ni:0.06 ng/cm2 以下、Cr:0.08 ng/cm2 以下、Na:0.12 ng/cm2 以下、Zn:0.06 ng/cm2 以下、
Al:0.10 ng/cm2 以下のいずれかであることを特徴とする多結晶シリコン。
Al:0.10 ng/cm2 以下のいずれかであることを特徴とする多結晶シリコン。
(3)シーメンス法で製造された棒状多結晶シリコンから切断され、前記棒状多結晶シリコンの長手方向に略垂直な機械切断面を有する多結晶シリコンであって、前記機械切断面がエッチング処理を経ておらず、当該切断面における不純物濃度としてFe:0.08 ng/cm2 以下、Cu:0.12 ng/cm2 以下、Ni:0.06 ng/cm2 以下、Cr:0.08 ng/cm2 以下、Na:0.12 ng/cm2 以下、Zn:0.06 ng/cm2 以下、Al:0.10 ng/cm2 以下であることを特徴とする多結晶シリコン。
本発明の上記(1)〜(3)の多結晶シリコンは、前記機械切断面にクラックを生じさせないことが望ましい。
本発明の多結晶シリコンによれば、棒状結晶を切断する際に、切断方式を最適にすることにより切断後のエッチング処理を経ない状態で、機械切断面に含有される不純物濃度を低減し、金属汚染の発生を抑制しているとともに、さらに切断方式に改善を加えることにより、切断時におけるクラックの発生を抑制でき、一層の品質向上が図れる。
本発明の多結晶シリコンは、半導体用単結晶シリコンの製造方法であるCZ法の製造原料に用いられることから、単結晶シリコンの所定品質を確保するため、金属不純物の濃度を低下し、切断面の金属汚染を抑制する必要があり、さらに切断時のクラックの発生を抑制するのが望ましい。
多結晶シリコンに存在する不純物元素は、CZ法を用いて生成される単結晶シリコンの半導体特性に直接影響をおよぼす。また、単結晶シリコンの半導体特性はそれが含有する不純物に強く依存し、上記不純物が単結晶内に一定レベル以上存在すると小数キャリアのライフタイムの短縮および酸化膜耐圧の劣化に大きく影響をおよぼす。
さらに、金属不純物は、シリコンの結晶格子内に介在すると大きな静電効果と格子ひずみを生じることから、デバイス特性の劣化に大きく影響する。
本発明の多結晶シリコンは、切断面における金属不純物の濃度として、Fe:0.08 ng/cm2 以下であることを必要とする。Fe濃度の増加は、特に小数キャリアのライフタイムの短縮および酸化膜耐圧の劣化を生じる原因となる恐れがあるため、Fe濃度が0.08ng/cm2 を上限とした。
また、本発明の多結晶シリコンは、切断面における金属不純物の濃度として、Cu:0.12 ng/cm2 以下、Ni:0.06 ng/cm2 以下、Cr:0.08 ng/cm2 以下、Na:0.12 ng/cm2 以下、Zn:0.06 ng/cm2 以下、Al:0.10 ng/cm2 以下、のいずれかの条件を具備することが必要である。
単結晶シリコンに存在するその他の不純物元素であっても、半導体デバイスにおけるライフタイムや酸化膜耐圧の特性を劣化させる要因となることが懸念される。そのため、本発明の多結晶シリコンでは、Cu、Ni、Cr、Na、ZnおよびAlについても、上記で規定する不純物濃度を上限とした。
さらに、本発明の多結晶シリコンは、所定以上のデバイス特性を確保するためいずれの金属不純物の含有を制限する場合には、切断面における金属不純物の濃度として、Fe:0.08 ng/cm2 以下、Cu:0.12 ng/cm2 以下、Ni:0.06 ng/cm2 以下、Cr:0.08 ng/cm2 以下、Na:0.12 ng/cm2 以下、Zn:0.06 ng/cm2 以下およびAl:0.10 ng/cm2 以下であることを規定する。
本発明で規定する金属不純物濃度は、例えば切断面をフッ硝酸(超高純度試薬)でエッチングした後、当該フッ硝酸をJIS K 0120に規定されている原子吸光分析を用いて分析することによって測定できる。
本発明の多結晶シリコンは、上記の金属不純物濃度を確保するためには、例えば固定砥粒式ワイヤーソーを用いることができる。
固定砥粒式ワイヤーソーは、ダイアモンド砥粒を電着させることによってダイアモンドでワイヤー全面が被覆されていることから、切断の際にワイヤーが多結晶シリコンに直接接触することがなく、ワイヤーに含有される金属によって金属汚染されることがない。また、切断時に被切断物との接触長さLが長くなるため、負荷荷重を小さくすることが可能であることから、ダイアモンド砥粒を電着する際に用いるバインダー金属による金属汚染も抑制できる。
本発明の多結晶シリコンは、切断面にクラックが無いことが望ましい。多結晶シリコンはシーメンス法で得られた棒状多結晶シリコンから切断される際に、その切断面にクラックを生じ易い。前述の通り、切断面に生じたクラックも多結晶シリコンの品質悪化につながるため、切断面にはクラックを生じさせないことが望ましい。
内部応力を有する被切断物は、切断の際に、内部応力が解放されることによってクラックが発生する。したがって、クラックを発生させないため、切断の際には内部応力による応力集中を緩和させることが必要である。
クラックを発生させることなく、本発明の多結晶シリコンに適用できる切断方法としては、例えば、切断の際に、被切断物である多結晶シリコンを回動させながらワイヤーソーを用いて切断する方法がある。このとき、多結晶シリコン結晶を180°以上、360°未満の範囲内で回動させればよい。
回動範囲が180°未満の場合は、内部応力による応力集中を緩和できず、切断面に割れが生じる。また、回動範囲が360°以上の場合は、多結晶シリコン結晶の形状が正円筒ではないことに起因して、切断刃に位置ずれが生じ、切断刃が破損する場合がある。
したがって、クラックを発生させることなく、多結晶シリコン結晶を切断する際は、180°以上360°未満で回動させることが望ましい。
多結晶シリコン結晶の回動範囲が360°に近づくと(例えば、359°)、ワイヤーが切断部と異なる位置で切断溝に接触し、ワイヤー切れが生じることがある。したがって、ワイヤーが切断部と異なる位置において切断溝に接触することが考えられる場合は、ワイヤーの両端における真直度を厳しくする等、ワイヤーが切断溝に接触しないように配慮するのが望ましい。
ワイヤーソーを用い被切断物を回動させながら切断することにより、内部応力を残留させる被加工物を用いる場合であっても、その影響を緩和させクラック発生を抑制できるが、切断面には切断加工にともなう模様、いわゆるソーマークを生じる。このソーマークは切断方法や切断条件によって、特有の形態を示す。
図4は、被切断物の切断面に発生するソーマークを示す図であり、(a)はワイヤーソーを用いた切断方法で回動範囲を350°の正逆回転とした場合の切断面を、(b)はワイヤーソーを用いた切断方法で回動範囲を160°の正逆回転とした場合の切断面を、(c)は外周刃を用いた切断方法による切断面を、(d)はバンドソーを用いた切断方法による切断面をそれぞれ示している。
図4(a)および(b)に示すように、ワイヤーソーを用いた切断方法によるソーマークは、回動範囲によって異なるものの曲率を有する円弧の形態を示している。一方、図4(c)および(d)に示すソーマークでは、ほぼ直線状または湾曲した形態を示している。したがって、本発明の多結晶シリコンをワイヤーソーにより回動させながら切断する場合には、図4(a)および(b)に示すようなソーマークが生じることになる。
上述の通り、本発明の多結晶シリコンは、所定品質を確保するため、金属不純物の濃度を低下させることにより、切断面の金属汚染を抑制でき、さらに切断方法を改善することにより、クラックの発生をなくすことができるので、一層の品質向上を図ることができる。しかも、切断したままの状態で所定の品質を確保でき、機械切断面にフッ硝酸等を用いたエッチング処理を行うことなく、単結晶シリコンの製造原料として最適な多結晶シリコンを効率的に製造することができる。
本発明の単結晶シリコンの品質特性について、実施例に基づいて説明する。
図5は、実施例に用いた固定砥粒式ワイヤーソーによる多結晶シリコンの切断を説明する図である。供試材としてシーメンス法で得られた直径130mmの棒状多結晶シリコン1は、純水で洗浄し表面を清浄な状態とした後、クリーンルーム内に設置した切断装置の保持具6に支持されたチャック5で回動可能に固定した。
棒状多結晶シリコン1を固定した状態で300°の範囲で回動させながら、ガイドロール7で支持されたワイヤー4を多結晶シリコン1に押しつけて切断し、切断後機械加工面に純水洗浄のみを施した。このときの切断条件を表1に示す。
次に、外周刃切断機を用いて、クリーンルーム内で供試材である直径130mmの棒状多結晶シリコン1を300°で回動させて切断し、機械加工面に純水洗浄のみを施した。また、同様に、ワイヤー芯線径が0.37mmの遊離砥粒式ワイヤーソーを用いて、クリーンルーム内で供試材である直径130mmの棒状多結晶シリコン1を300°で回動させながら切断した。切断条件は表1と同様とし、切断後の機械加工面に純水洗浄のみを施した。
上記の切断によって得られた多結晶シリコンを用いて、その切断面の金属不純物の濃度を測定した。測定手段は、JIS K 0120に規定されている原子吸光法によった。
図6は、切断面の金属不純物濃度の測定方法を説明する図である。図6に示すように、切断後に純水洗浄した多結晶シリコン1を、固定治具8を用いて固定した。測定対象を固定する際には、フッ硝酸(超高純度試薬)250mlを入れた内寸法がφ170mmである容器9の底から、10mm程度浮かせ、切断面がフッ硝酸に充分浸漬することができるようにした。
図6に示す構成にして、多結晶シリコンの切断面を5分間エッチングし、エッチングしたフッ硝酸を用いた原子吸光法によって、Fe、Cu、Ni、Cr、Na、Zn、Alの7元素の金属不純物の濃度を分析し、切断面における金属濃度を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
表2より、固定砥粒式ワイヤーソーを用いて得られた多結晶シリコンでは、金属不純物であるFe、Cu、Ni、Cr、Na、Zn、Alの濃度が全てにおいて本発明で規定する範囲を満足することが確認できた。これに対し、外周刃切断機および遊離砥粒式ワイヤーソーを用いて切断した多結晶シリコンは、本発明において規定する上記7元素全てにおいて規定値を超えており、特に外周刃を用いた切断では、金属汚染が著しいことが確認できた。
また、固定砥粒式ワイヤーソーまたは遊離砥粒式ワイヤーソーを用いて切断した多結晶シリコンは、その切断面にクラックがまったく発生しなかった。
上記表2の測定結果から、固定砥粒式ワイヤーソーを用いて切断した多結晶シリコンは良好な品質であり、CZ法による半導体用単結晶シリコンの製造原料として供することができるのに対し、外周刃切断機または遊離砥粒式ワイヤーソー切断機を用いて切断した多結晶シリコンは、CZ法による半導体用単結晶シリコンの製造原料として供するにはエッチングが必要であることが明らかになった。
本発明の多結晶シリコンは、棒状結晶を切断する際に、切断方式を最適にすることにより切断後のエッチング処理を経ない状態で、機械切断面に含有される不純物濃度を低減し、金属汚染の発生を抑制しているとともに、さらに切断方式に改善を加えることにより、切断時におけるクラックの発生を抑制でき、一層の品質向上が図れる。これにより、半導体用単結晶シリコンの製造に用いられるCZ法において、製造原料として広く適用することができる。
1:多結晶シリコン、 2:ダイアモンド砥粒
3:金属刃、 4:ワイヤー
5:チャック、 6:保持具
7:ガイドロール、 8:固定治具
9:容器
3:金属刃、 4:ワイヤー
5:チャック、 6:保持具
7:ガイドロール、 8:固定治具
9:容器
Claims (4)
- シーメンス法で製造された棒状多結晶シリコンから切断され、前記棒状多結晶シリコンの長手方向に略垂直な機械切断面を有する多結晶シリコンであって、前記機械切断面がエッチング処理を経ておらず、当該切断面における金属不純物の濃度として、Fe:0.08 ng/cm2 以下であることを特徴とする多結晶シリコン。
- シーメンス法で製造された棒状多結晶シリコンから切断され、前記棒状多結晶シリコンの長手方向に略垂直な機械切断面を有する多結晶シリコンであって、前記機械切断面がエッチング処理を経ておらず、当該切断面における金属不純物の濃度として、Cu:0.12 ng/cm2 以下、Ni:0.06 ng/cm2 以下、Cr:0.08 ng/cm2 以下、Na:0.12 ng/cm2 以下、Zn:0.06 ng/cm2 以下またはAl:0.10 ng/cm2 以下のいずれかであることを特徴とする多結晶シリコン。
- シーメンス法で製造された棒状多結晶シリコンから切断され、前記棒状多結晶シリコンの長手方向に略垂直な機械切断面を有する多結晶シリコンであって、前記機械切断面がエッチング処理を経ておらず、当該機械切断面における金属不純物の濃度として、Fe:0.08 ng/cm2 以下、Cu:0.12 ng/cm2 以下、Ni:0.06 ng/cm2 以下、Cr:0.08 ng/cm2 以下、Na:0.12 ng/cm2 以下、Zn:0.06 ng/cm2 以下およびAl:0.10 ng/cm2 以下であることを特徴とする多結晶シリコン。
- 前記機械切断面にクラックが無いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多結晶シリコン。
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WO2018003243A1 (ja) * | 2016-06-29 | 2018-01-04 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 太陽電池モジュール |
CN114864529A (zh) * | 2022-05-18 | 2022-08-05 | 北京青禾晶元半导体科技有限责任公司 | 一种碳化硅复合基板及其制造方法与应用 |
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