JP2007194418A - 切断方法および切断装置 - Google Patents

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宏明 玉重
Yoshio Karu
義夫 加留
Shuichi Kaneko
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Abstract

【課題】ウエハの製造コストを低減することのできる切断方法および切断装置を提供する。
【解決手段】切断方法は、有価値部分7と、有価値部分7よりも小径である円錐部分3とを有するインゴットの切断方法であって、以下の工程を備えている。円錐部分3の先端部11をインゴットから切り出す。先端部11における切断面11aの面方位を測定する。この面方位に基づいて、インゴットにおける切断面の位置を調整する(調整工程)。インゴットから円錐部分3を除去する(除去工程)。
【選択図】図4

Description

本発明は切断方法および切断装置に関し、より特定的には、半導体単結晶インゴットの切断方法および切断装置に関する。
たとえばシリコンなどの半導体単結晶は、一般的にはチョクラルスキー法(CZ法)によって製造される。CZ法においては以下の方法により単結晶インゴットが製造される。まず、石英るつぼ内で半導体の多結晶を溶融し、この溶融液の表面に種結晶である単結晶の細棒を接触させる。そして、種結晶と石英るつぼとを回転させながら種結晶を上方に引き上げ、種結晶の下方に単結晶インゴットを成長させる。単結晶インゴットの成長の初期段階では、単結晶の細棒と同じ径の大きさから所望の径の大きさまでインゴットの径が徐々に増加する。このため、得られた単結晶インゴットの上端部は円錐形状となっており、それ以外の部分は所望の径を有する円筒形状となっている。単結晶インゴットの上端部の円錐部分は所望の径になっていないため、無価値部分となる。また、単結晶インゴットの下端部は不純物および格子欠陥を多く含んでいるため、無価値部分となる。その結果、中央部の円筒部分のみが有価値部分となる。製造された単結晶インゴットは有価値部分を残して切断除去され、有価値部分は所望の厚さに切り出されてウエハとなる。
ところで、電子部品用に用いられる半導体または誘電体などのウエハは、その主面が所望の結晶面により構成されていることが求められる。ウエハの主面が所望の結晶面により構成されているためには、所望の結晶面に平行な面で単結晶インゴットを切断する必要がある。所望の結晶面に平行な面で単結晶インゴットを切断するために、従来においては以下の方法が採用されていた。
図11〜図14は、従来の単結晶インゴットの切断方法を工程順に説明する模式図である。図11を参照して、CZ法を用いて製造された単結晶インゴット101は、図中右側の円錐部分103と、それ以外の円筒部分102とを有している。円筒部分102は一定の直径d102を有している。円錐部分103の直径d103は、どの部分も円筒部分102の直径d102より小さくなっている。このため円錐部分103は、所望の径のウエハを切り出すことのできない無価値部分となる。円筒部分102は有価値部分107と端部104とによって構成されている。端部104は単結晶インゴット101の下端部であるため、有価値部分107に比べて不純物および格子欠陥を多く含んでおり、また端部104の直径は有価値部分107の直径からずれていることもある。このため端部104は、所望の品質のウエハを切り出すことのできない無価値部分となる。始めにバンドソーを用いて線E1および線E2で示す位置で単結晶インゴット101を切断し、無価値部分である円錐部分103および端部104を切断除去する。
次に図12を参照して、インゴットの結晶面の角度調整機構が付いた内周刃スライサを用いて、線E3で示す位置で単結晶インゴットを切断し、有価値部分107の一端から調整用ウエハ105を切り出す。そして、調整用ウエハ105における切断面105aの面方位を測定し、有価値部分107の切断面107aの面方位が所望の面方位からどれだけずれているかを計算する。
次に図13を参照して、内周刃に対する有価値部分107の位置を調整し、所望の面方位からの角度のずれを矯正する。そして、切断面107a付近の線E4の位置で単結晶インゴットを切断する。その結果、図14に示すように有価値部分107から調整用ウエハ106が除去され、それにより露出した有価値部分107の切断面107bは所望の面方位となる。その後、内周刃スライサを用いて切断面107bに平行な面で有価値部分107を所望の厚さに切断することによって、主面が所望の結晶面により構成されたウエハ110が得られる。
なお、たとえば特開2003−224090号公報(特許文献1)および特開平8−309737号公報(特許文献2)には、上記切断方法に関連する技術が開示されている。特許文献1では、単結晶インゴットの円錐部分を真空吸着カップで吸着して把持した状態で、円筒形状の胴体部と円錐部分との間を切断している。また、特許文献2には、単結晶インゴットを治具に取り付けた状態で治具の端面に平行な面の方位を測定し、目標方位との差を求めた後、治具を角度調整器に取り付け、目標方位との差を角度調整器で補正してウエハを切り出す技術が開示されている。
特開2003−224090号公報 特開平8−309737号公報
しかしながら、上記従来の切断方法にはウエハの加工ロスが多いという問題があった。図14を参照して、有価値部分107は径が一定であり、かつ不純物および欠陥が少ないので、全体にわたって単結晶ウエハを切り出すことができる部分である。しかし従来の切断方法においては、切り出される単結晶ウエハの面方位の調整のために有価値部分107から調整用ウエハ105および106を切り出す必要がある。このため、調整用ウエハ105および106の厚さ分だけ加工ロスが生じていた。このような加工ロスの問題は、単結晶インゴットのみならずインゴット全般の切断方法に共通する問題である。ウエハの加工ロスは、ウエハの製造コストの増大を招く。
また、上記従来の切断方法では、インゴットの結晶面の角度調整機構が付いた内周刃スライサが使用されている。図15は、インゴットの結晶面の角度調整機構が付いた内周刃スライサを模式的に示す図である。図15を参照して、内周刃スライサ130は、内周刃121と、ワーク120(単結晶インゴット)を取り付けた角度調整機構122とを備えている。角度調整機構122は図中矢印に示すように上下左右に移動可能であり、それによってワーク120の切断面の角度を調整可能である。ワーク120の切断の際には、角度調整機構122を移動することによりワーク120の切断角度を調整し、ワーク120を内周刃121の内部空間に挿入して切断する。しかしながら、ワーク120の直径が大きい場合には、内周刃121とワーク120とが位置F1において干渉するので、大きい内周刃を使用する必要がある。また、ワーク120の調整角度が大きい場合には、内周刃121とワーク120とが位置F2において干渉するので、大きい内周刃を使用する必要がある。このため、切断装置の大型化を招くという問題があった。切断装置の大型化は、ウエハの製造コストの増大を招く。
したがって、本発明の目的は、ウエハの製造コストを低減することのできる切断方法および切断装置を提供することである。
本発明の切断方法は、円筒部分と、円筒部分よりも小径である小径部分とを有するインゴットの切断方法であって、以下の工程を備えている。小径部分の一部をインゴットから切り出す。小径部分の一部における切断面の面方位を測定する。この面方位に基づいて、インゴットの円筒部分における切断面の位置を調整する(調整工程)。インゴットから小径部分を除去する(除去工程)。
本発明の切断方法によれば、インゴットの円筒部分における切断面の面方位が小径部分を用いて調整される。このため、円筒部分における切断面の面方位の調整のために円筒部分からウエハを切り出す必要がないので、ウエハの加工ロスを少なくすることができる。その結果、ウエハの製造コストを低減することができる。
上記製造方法において好ましくは、以下の工程がさらに備えられている。上記調整工程と上記除去工程との間に、小径部分の他の一部をインゴットから切り出す。この他の一部における切断面の面方位を測定する。
これにより、調整工程によって調整された切断面の面方位が正確になっていることを、小径部分の他の一部によって確認することができる。したがって、切断面の面方位の精度が向上する。
本発明の切断装置は、切断部分と角度調整機構とを備えている。切断部分は、長手方向に移動しながらインゴットを切断するベルトと、ベルトを駆動するための駆動部とを有している。角度調整機構は、インゴットを保持し、かつインゴットの円筒部分における切断面の角度を調整するためのものである。
本発明の切断装置によれば、内周刃スライサを用いずに、長手方向に移動するベルトによってインゴットが切断される。このため、内周刃スライサのように内部空間にインゴットを挿入する必要がないので、インゴットの直径が大きい場合やインゴットの調整角度が大きい場合にも一つのベルトで切断することができる。したがって、切断装置の小型化を図ることができ、ウエハの製造コストを低減することができる。
上記製造装置において好ましくは、ベルトは環状であり、かつ周方向に移動しながらインゴットを切断する。かつ駆動部はベルトを周方向に駆動する。これにより、周方向に移動するベルトによってインゴットを切断することができる。
本発明の切断方法および切断装置によれば、ウエハの製造コストを低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1および図2は、本発明の実施の形態1における切断装置の構成を示す図である。図1は平面図であり、図2は側面図である。図1および図2を参照して、本実施の形態の切断装置は、単結晶インゴット1をウエハに切断するための切断装置であって、切断部分としてのバンドソー51と、角度調整機構61とを備えている。バンドソー51は図1中上方(図2中右方)に配置されており、角度調整機構61は図1中下方(図2中左方)に配置されている。角度調整機構61には単結晶インゴット1が保持されている。
バンドソー51は、環状(エンドレス状)のベルト52と、駆動プーリ53aと、従動プーリ53bと、筐体54と、モータ55とを有している。ベルト52は金属よりなっており、その下端にはダイヤモンド砥石(図示なし)が電着されている。ベルト52は駆動プーリ53aおよび従動プーリ53bに巻き掛けられている。ベルト52は駆動プーリ53a、従動プーリ53b、およびモータ55によって駆動される。すなわち、モータ55の動力によって駆動プーリ53aが図1中矢印B1で示す方向に自転すると、駆動プーリ53aの自転によってベルト52および従動プーリ53bが駆動される。ベルト52は図1中矢印B2で示すようにベルト52の長手方向(周方向)に回転し、従動プーリ53bは図1中矢印B1で示す方向に自転する。ベルト52を回転させながら図2中矢印B3で示す方向に下降させ、単結晶インゴット1に接触させることにより、単結晶インゴット1が図中C面で切断される。
角度調整機構61は、単結晶インゴット1を保持し、かつ単結晶インゴット1の円筒部分における切断面の角度を調整するため機構である。角度調整機構61はステージ64と、レーン62と、円板63と、上面ブロック71と、下面ブロック72と、中間円板73と、基底円板74とを有している。単結晶インゴット1はバンド65によって固定された状態でステージ64によって保持される。円板63上には直線状のレーン62が設けられている。ステージ64はレーン62に沿って図1中矢印A1で示す方向に移動可能とされており、レーン62上の任意の位置で固定可能とされている。円板63の下部には上面ブロック71が取り付けられている。上面ブロック71の下面および下面ブロック72の上面はともに円弧面となっており、互いに摺動自在に嵌合している。下面ブロック72に取り付けられたつまみ75を回すことによって、上面ブロック71は図2中矢印A4の方向に移動する。言い換えれば、下面ブロック72に対する上面ブロック71の傾き角θが変化する。傾き角θは上面ブロック71の円弧面および下面ブロック72の円弧面に沿って刻まれた目盛りによって確認することができる。下面ブロック72の下部には中間円板73が取り付けられており、中間円板73の下面および基底円板74の上面は互いに摺動自在に嵌合している。基底円板74に取り付けられたつまみ76を回すことによって、円板63、上面ブロック71、下面ブロック72、および中間円板73は一体化して図1に示す矢印A2の方向に回転する。言い換えれば、円板63の回転角φが変化する。また、図示しないつまみを回すことによって、基底円板74は図1中矢印A3の方向(x方向)に移動する。つまり、角度調整機構61は、基準面からの傾き角θおよび回転角φによってインゴットの切断面をあらゆる面に調整することができる。
続いて、本実施の形態におけるインゴットの切断方法について説明する。
図3〜図6は、本発明の実施の形態1におけるインゴットの切断方法を説明する模式図である。図3を参照して、単結晶インゴット1は、たとえばCZ法を用いて製造されたGaAsやシリコンなどの半導体材料よりなっている。単結晶インゴット1は、図中右側の円錐部分3(小径部分)と、それ以外の円筒部分2とを有している。円筒部分2は一定の直径d2を有している。円錐部分3の直径d3は、どの部分も円筒部分2の直径d2より小さくなっている。単結晶インゴット1から切り出されるウエハには、同一径であり、かつ不純物濃度および欠陥濃度が低く、かつ主面が所望の面方位であることが求められる。このため円錐部分3は、所望のウエハを切り出すことのできない無価値部分となる。
また、円筒部分2は有価値部分7と端部4とによって構成されている。端部4は単結晶インゴット1の下端部であるため、有価値部分7に比べて不純物および格子欠陥を多く含んでおり、また端部4の直径は有価値部分7の直径からずれていることもある。このため端部4は、所望の品質のウエハを切り出すことのできない無価値部分となる。
図1〜図3を参照して、単結晶インゴット1をステージ64に取り付け、バンド65で固定する。そして、ステージ64をレーン62上に配置する。続いて、角度調整機構61をたとえばθ=0、φ=0に設定する。そして、バンドソー51のベルト52を図2中矢印B3の方向へ下降することにより、位置D1および位置D2で単結晶インゴット1を切断する。角度調整機構61をθ=0、φ=0に設定した場合には、円筒部分2の軸線に垂直な面でインゴットが切断される。単結晶インゴット1の切断位置はレーン62上におけるステージ64の位置を調節することによって調節される。その結果、図4に示すように円錐部分3の一部である先端部11が単結晶インゴット1から切り出される。また、円筒部分2から端部4が切断除去される。なお、加工熱の抑制や加工屑の除去のためにクーラント液を掛けながら切断してもよい。
次に図1、図2および図4を参照して、たとえばX線回折により、先端部11における切断面11aの結晶方位qを測定する。この結晶方位qは円錐部分3における切断面3aの結晶方位を示している。測定結果から、結晶方位qとウエハの所望の面方位Qとの差Z(=q−Q)を計算する。続いて、角度調整機構61のθおよびφを(−Z)だけ変化させて、単結晶インゴット1の所望の面方位Qと、C面との位置関係が平行になるように調整する(調整工程)。そして調整後、レーン62上におけるステージ64の位置を移動させ、円錐部分3と円筒部分2との境界である位置D3で単結晶インゴット1を切断する。その結果、図5に示すように円錐部分3の残部12が単結晶インゴット1から除去され、有価値部分7のみが残る。有価値部分7の切断面7aは所望の面方位Qとなる。
その後図6に示すように、レーン62上におけるステージ64の位置を移動させながら、所望の位置で有価値部分7を切断し、切断面7aに平行な面で個々のウエハ10を切り出す。これにより、所望の面方位Qを主面とするウエハ10が得られる。
本実施の形態における切断方法は、円筒部分2と円錐部分3とを有する単結晶インゴット1の切断方法であって、以下の工程を備えている。円錐部分3の先端部11を単結晶インゴット1から切り出す。先端部11における切断面11aの面方位を測定する。この面方位に基づいて、単結晶インゴット1の円筒部分2における切断面の位置を調整する(調整工程)。単結晶インゴット1から円錐部分3を除去する(除去工程)。
本実施の形態における切断方法によれば、単結晶インゴット1の円筒部分2における切断面7aの面方位が円錐部分3のみを用いて調整される。このため、円筒部分2における切断面7aの面方位の調整のために円筒部分2からウエハを切り出す必要がないので、ウエハの加工ロスを少なくすることができる。その結果、ウエハの製造コストを低減することができる。
本実施の形態における発明の切断装置は、バンドソー51と角度調整機構61とを備えている。バンドソー51は、長手方向に移動しながら単結晶インゴット1を切断するベルト52と、ベルト52を駆動するための駆動プーリ53a、従動プーリ53b、およびモータ55を有している。角度調整機構61は、単結晶インゴット1を保持し、かつ単結晶インゴット1における切断面の角度を調整するためのものである。
本実施の形態における切断装置によれば、内周刃スライサを用いずに、長手方向に移動するベルト52によって単結晶インゴット1が切断される。このため、内周刃スライサのように内部空間に単結晶インゴットを挿入する必要がないので、単結晶インゴットの直径が大きい場合や単結晶インゴットの調整角度が大きい場合にも一つのベルトで切断することができる。したがって、切断装置の小型化を図ることができ、ウエハの製造コストを低減することができる。
また、ベルト52は環状であり、かつ周方向に移動しながら単結晶インゴット1を切断する。かつ駆動プーリ53a、従動プーリ53b、およびモータ55はベルト52を周方向に駆動する。これにより、周方向に移動するベルト52によって単結晶インゴットを切断することができる。
なお、本実施の形態では、円筒部分2の端部4を除去する場合について示したが、本発明においては端部4を除去しなくてもよい。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1の図3および図4に示す工程を経た後で、以下の切断方法が行なわれる。
図7は、本発明の実施の形態2におけるインゴットの切断方法を説明する模式図である。図1、図2、および図7を参照して、単結晶インゴット1の円筒部分2における切断面の位置を調整した後で、レーン62上におけるステージ64の位置を移動させ、円錐部分3と円筒部分2との境界よりも円錐部分3側である位置D4で単結晶インゴット1を切断する。その結果、円錐部分3の他の一部である中間部13が単結晶インゴット1から切り出される。続いて、たとえばX線回折により、中間部13における切断面13aの結晶方位q1を測定する。この結晶方位q1は切断面14aの結晶方位を示している。そして、結晶方位q1が所望の面方位Qになっているかを確認する。その結果、結晶方位q1が所望の面方位Qになっていない場合には、結晶方位q1とウエハの所望の面方位Qとの差Z1(=q1−Q)を計算する。そして、角度調整機構61のθおよびφを(−Z1)だけ変化させて、単結晶インゴット1の所望の面方位Qと、C面との位置関係が平行になるように再び調整する。そして調整後、レーン62上におけるステージ64の位置を移動させ、円錐部分3と円筒部分2との境界である位置D3で単結晶インゴット1を切断する。その結果、円錐部分3の残部14が単結晶インゴット1から除去され、有価値部分7のみが残る。有価値部分7の切断面7aは所望の面方位Qとなる。
その後、レーン62上におけるステージ64の位置を移動させながら、所望の位置で有価値部分7を切断し、切断面7aに平行な面で個々のウエハ10を切り出す。これにより、所望の面方位Qを主面とするウエハ10が得られる。
本実施の形態における切断方法によれば、実施の形態1の切断方法と同様の効果を得ることができる。加えて、調整工程の後で中間部13を単結晶インゴット1から切り出し、中間部13における切断面13aの面方位を測定するので、調整工程によって調整された切断面の面方位が正確になっていることを、中間部13によって確認することができる。したがって、切断面7aの面方位の精度が向上する。
(実施の形態3)
図1、図2、および図5を参照して、本実施の形態においては、実施の形態1の図5に示す工程を経た後で、レーン62上におけるステージ64の位置を移動させながら、所望の位置で有価値部分7を切断し、切断面7aに平行な面で個々のウエハ10を切り出す。これにより、所望の面方位Qを主面とするウエハ10が得られる。このとき、有価値部分7全体からウエハ10を切り出さずに、有価値部分7の切断面7a側から任意の位置(たとえば有価値部分7の軸方向における中間の位置)までの部分から個々のウエハ10を切り出す。その後、以下の切断方法が行なわれる。
図8〜図10は、本発明の実施の形態3におけるインゴットの切断方法を工程順に説明する模式図である。次に図8を参照して、残った有価値部分8を一旦取り出し、端部4を切り出した側の切断面7bをベルト52の方向に向け、レーン62上に再び配置する。これにより、有価値部分8は切断面7b側から切断可能とされる。
次に図8および図9を参照して、有価値部分8における切断面の位置を調整した後で、レーン62上におけるステージ64の位置を移動させ、切断面7b付近の位置D5で有価値部分8を切断する。その結果、調整用ウエハ15が有価値部分8から除去される。続いて、たとえばX線回折により、調整用ウエハ15における切断面7bの結晶方位q2を測定する。この結晶方位q2は切断面7cの結晶方位を示している。測定結果から、結晶方位q2とウエハの所望の面方位Qとの差Z2(=q2−Q)を計算する。続いて、角度調整機構61のθおよびφを(−Z2)だけ変化させて、有価値部分8の所望の面方位Qと、C面との位置関係が平行になるように調整する(調整工程)。
次に図10を参照して、レーン62上におけるステージ64の位置を移動させ、切断面7c付近の位置D6で有価値部分8を切断する。その結果、有価値部分8の切断面7dは所望の面方位Qとなる。
その後、レーン62上におけるステージ64の位置を移動させながら、所望の位置で残りの有価値部分8を切断し、切断面7dに平行な面で個々のウエハ10を切り出す。これにより、所望の面方位Qを主面とするウエハ10が得られる。
本実施の形態における切断方法によれば、実施の形態1の切断方法と同様の効果を得ることができる。加えて、有価値部分7の両方の端部からウエハ10を切り出しているので、レーン62におけるステージ64の可動距離に比べて単結晶インゴット1の長さが長い場合であっても、有価値部分7全体から面方位の調整されたウエハ10を切り出すことができる。
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
本発明は、半導体単結晶インゴットからウエハを切断する際の切断方法および切断装置として適している。
本発明の実施の形態1における切断装置の構成を示す平面図である。 本発明の実施の形態1における切断装置の構成を示す側面図である。 本発明の実施の形態1におけるインゴットの切断方法の第1工程を説明する模式図である。 本発明の実施の形態1におけるインゴットの切断方法の第2工程を説明する模式図である。 本発明の実施の形態1におけるインゴットの切断方法の第3工程を説明する模式図である。 本発明の実施の形態1におけるインゴットの切断方法の第4工程を説明する模式図である。 本発明の実施の形態2におけるインゴットの切断方法を説明する模式図である。 本発明の実施の形態3におけるインゴットの切断方法の第1工程を説明する模式図である。 本発明の実施の形態3におけるインゴットの切断方法の第2工程を説明する模式図である。 本発明の実施の形態3におけるインゴットの切断方法の第3工程を説明する模式図である。 従来の単結晶インゴットの切断方法の第1工程を説明する模式図である。 従来の単結晶インゴットの切断方法の第2工程を説明する模式図である。 従来の単結晶インゴットの切断方法の第3工程を説明する模式図である。 従来の単結晶インゴットの切断方法の第4工程を説明する模式図である。 インゴットの結晶面の角度調整機構が付いた内周刃スライサを模式的に示す図である。
符号の説明
1,101 単結晶インゴット、2,102 円筒部分、3,103 円錐部分、3a,7a〜7d,11a,13a,14a,105a,107a,107b 切断面、4,104 端部、7,8,107 有価値部分、10,110 ウエハ、11 先端部、12,14 残部、13 中間部、15,16,105,106 調整用ウエハ、51 バンドソー、52 ベルト、53a 駆動プーリ、53b 従動プーリ、54 筐体、55 モータ、61 角度調整機構、62 レーン、63 円板、64 ステージ、65 バンド、71 上面ブロック、72 下面ブロック、73 中間円板、74 基底円板、120 ワーク、121 内周刃、122 角度調整機構、130 内周刃スライサ。

Claims (4)

  1. 円筒部分と、前記円筒部分よりも小径である小径部分とを有するインゴットの切断方法であって、
    前記小径部分の一部を前記インゴットから切り出す工程と、
    前記一部における切断面の面方位を測定する工程と、
    前記面方位に基づいて、前記インゴットの円筒部分における切断面の位置を調整する調整工程と、
    前記インゴットから前記小径部分を除去する除去工程とを備える、切断方法。
  2. 前記調整工程と前記除去工程との間に、前記小径部分の他の一部を前記インゴットから切り出す工程と、前記他の一部における切断面の面方位を測定する工程とをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の切断方法。
  3. 長手方向に移動しながらインゴットを切断するベルトと、前記ベルトを駆動するための駆動部とを有する切断部分と、
    前記インゴットを保持し、かつ前記インゴットの円筒部分における切断面の角度を調整するための角度調整機構とを備える、切断装置。
  4. 前記ベルトは環状であり、かつ周方向に移動しながら前記インゴットを切断し、かつ前記駆動部は前記ベルトを周方向に駆動することを特徴とする、請求項3に記載の切断装置。
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