JP3760187B2 - 単結晶インゴットの加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インゴットを加工してウエハを得るに際して、研削加工に伴う加工ダメージを除去することでインゴットの状態で単結晶内のキャリア濃度を高精度で評価して、選別加工すべき位置を事前に捉えると共に、スライス加工過程でのインゴットと保持台との密着性劣化による破損損失を回避することで、スライス加工過程における所定の規格外品の発生を低減させ、結晶成長過程への迅速なフィードバックを可能とする、単結晶インゴットの加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高度情報通信分野やオプトエレクトロニクス分野においては、高周波素子、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)は必要不可欠なデバイスである。これらのデバイスを作製する際には、化合物半導体のウエハを基板として用いている。例えば、LEDやLDの場合には、このウエハにエピタキシャル成長を行ってpn接合を形成し、pn接合に電流注入を行って発光させている。pn接合への電流注入は、成長させたエピタキシャル層の上面と基板の裏面にそれぞれ形成された電極に電圧を印加して行われる。それ故に、用いられる基板の物性値、特にキャリア濃度や抵抗率の各値は、極めて重要であり、基板上に形成されるデバイスの用途特有の値を有することが要求されている。このように、基板の物性値の重要性については何も化合物半導体に限られるものではなく、Si,Geの元素半導体であっても、同様である。Si,Geの元素半導体は、バイポーラ素子、MOS素子を基本とする集積回路、ディスクリート素子、太陽電池などで用いられている。
【0003】
一般に、半導体ウエハは、チョクラルスキー法、液体封止チョクラルスキー法、横型ボート法、縦型ボート法、フローティングゾーンメルティング法(FZ法)などによって単結晶インゴットを製造し、スライシングにより数百μmのウエハ状とし、さらにラッピング、エッチング、鏡面研磨過程の各過程を経て得られる。
要求される特性値として、特定のキャリア濃度を有する半導体ウエハを得るために、インゴット成長時に、所定の不純物(ドーパント)の所定量が、半導体の原料とともに添加(ドーピング)されている。しかしながら、不純物の偏析係数が1となる場合は殆ど無いため、得られるインゴット中の頭部と尾部との間で不純物濃度は傾斜を有する。たとえばGaAs中にZnを添加した場合、実効偏析係数が0.4程度であるため、固化率0.1と0.9の位置での比較では、後者の不純物濃度は前者の約3.7倍となってしまう。また揮発性が高いドーパントや、成長系で化学反応ロスを伴うドーパントを用いる場合、成長ロット間での不純物濃度がバラツキを生じる場合がある。
【0004】
ところで、電気的な不純物濃度、即ち、キャリア濃度や抵抗率を評価する方法としては、半導体の専門教科書でも古くから紹介されているように、Van der Pauw法で代表されるホール効果を用いる方法や、ダイオードを形成して静電容量−電圧特性を利用する方法(CV法)などがある(例えば、非特許文献1及び2)。ホール効果を用いる方法やCV法は、化合物半導体のキャリア濃度や抵抗率を評価する標準的な評価方法となっている。
ところが、ホール効果を用いる方法やCV法においては、評価する試料に電極形成工程を行わなければならないので、一般にはインゴットからウエハ状の試料片にスライスすることが必要となる。ホール効果を用いる場合には、そのウエハから短冊状とか、クローバーリーフ形とか、正方形状などに切出して試料を形成することになる。CV法の場合には、最も簡単に試料を作製するとしても、ショットキー電極形成面は清浄で加工層が無い状態とする必要があるため、鏡面研磨もしくは鏡面エッチングを要することになる。
このように、ホール効果またはCV法を用いる場合には、結局のところ、インゴットからウエハを切り出す加工をして、さらに電極を形成して測定を行う必要がある。これは、所謂、破壊検査となり、インゴット状態のままで適用することは、事実上不可能である。
【0005】
さて、前述したようにキャリア濃度の特性値に対する要求とは別に、ウエハの面方位をインゴットの成長軸方位から意図的に方位をずらしたり、ウエハの厚みが異なるように切断したり、などウエハの加工要求についても多様化している。つまり、最終のウエハ製品は、これらの全ての諸特性を満たす必要がある。ところが、キャリア濃度の特性値に対する要求範囲は、インゴット内の濃度範囲よりも狭い場合が多いため、個別のデバイス用途に応じて加工仕様を含めスライス時に切り分ける必要がある。
従来は、その必要性を満たすために、多数のデータを蓄積しておき、この蓄積したデータを基にして、キャリア濃度の境界位置の概略を予想して、スライス時に選別加工を実施していた。しかしながら、偏析現象によってインゴット内の不純物濃度が部位によって変化することに加えて、成長バッチ間でのバラツキ幅が重奏するため、キャリア濃度の特性値が、蓄積したデータを基にした予想値と異なる場合がある。
その場合、第一に、材料を損失したり、キャリア濃度の要求範囲を追加的に確認評価したりする必要があり、手間がかかり、損失を増加させるという問題があった。
第2に、インゴットの結晶特性値は、迅速に結晶成長条件にフィードバックされることが望ましい。しかしながら、工業生産にあっては、加工仕様をも含めた製品特性の範囲が定まってからスライス加工する場合も多く、結晶成長条件に対するフィードバック期間が長くなる、という問題があった。
【0006】
そこで、本発明者は、インゴット状態でのキャリア濃度の評価方法として、室温におけるフォトルミネッセンススペクトルを測定し、ピーク波長、半値幅、ピーク値の半値となる高エネルギー側波長などの波長情報を用いて評価する方法を既に提案している(特許文献1参照) 。この方法においては、結晶成長時の表面変質層(たとえば熱ダメージ層)を機械研削で除去した後に、インゴット側面にレーザー光を照射させてフォトルミネッセンス光を測定することで、長手方向のキャリア濃度を評価する。この場合、機械研削面の状態が一定であれば、十分な精度でキャリア濃度分布の評価がなされる。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−148191(図5、段落0045)
【非特許文献1】
河東田隆編著、「半導体評価技術」、産業図書、1989年、P.221〜235
【非特許文献2】
ASTMスタンダードF76−86、Vol.10.05、p.117、1991年
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者は、上記特許文献1のフォトルミネッセンスの波長情報とキャリア濃度との相関関係が、常に保たれることはなく崩れることがあるという課題を見出した。即ち、研削砥石の磨耗など経時変化がある場合には、研削面の加工層の状態を再現性良く保つことができず、フォトルミネッセンスの波長情報とキャリア濃度の相関関係が崩れる、という課題がある。
【0009】
この課題の説明として、加工ダメージがフォトルミネッセンススペクトルに与える影響を、実験結果を示しつつ説明する。
図8は、化学鏡面研磨したウエハに対して機械ダメージを与えたウエハ表面を示した図である。ウエハとしては、スライス時やラッピング時に導入された加工ダメージを完全に除去したSiドープGaAsウエハを用いている。この機械ダメージは、ウエハ表面を#500のサンドペーパーで意図的に擦って形成している。その機械ダメージは、図8のA,B,C,Dの各箇所において擦る力の大きさを変化させて、機械ダメージの与え方を変えている。
【0010】
図9は、ウエハの直径方向に異なる各点のフォトルミネッセンススペクトルの半値幅を示したグラフである。図9の白丸は機械ダメージ導入前、黒丸は機械ダメージ導入後の、各半値幅を示している。なお、図9のA乃至Dは、図8のA,B,C,Dの各点に対応する。図9から分かるように、機械ダメージ導入前においては、ウエハ上の各箇所の半値幅は同一であったが、機械ダメージ導入後においては、機械ダメージを与えた箇所、即ち、図8のA,B,C,Dの各点においては、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅が増加している。また、その増加量についても、A,B,C,Dの各点において異なっている。
【0011】
図10は、図8のウエハのフォトルミネッセンススペクトルを示すグラフであって、(a)は図8のA点の、(b)は図8のD点の、各フォトルミネッセンススペクトルを示している。図において、白丸は機械ダメージ導入前、黒丸は機械ダメージ導入後の各フォトルミネッセンス強度である。図10から、機械ダメージの導入によって、フォトルミネッセンス強度が低下すると共に、ピーク波長がシフトし、半値幅が増大することが分かる。
【0012】
ところで、ダイヤモンド砥石等を用いてインゴットを円筒機械研削加工や平面機械研削加工を行うと、結晶の加工表面には破砕層という加工ダメージ層が生じる。この加工ダメージ層が生じることに起因して、フォトルミネッセンススペクトル形状が変化するものの、加工ダメージが加工バッチ間で一定であるならば、キャリア濃度に対応するフォトルミネッセンススペクトル形状の再現性は確保されることになる。しかしながら、ダイヤモンド砥石の磨耗やクーラント液の経時変化、流量変動などの影響により、加工ダメージを長期に渡って一定に保つことは現実的には不可能である。よって、キャリア濃度に対応するフォトルミネッセンススペクトル形状の再現性を確保することは困難であるという課題がある。
【0013】
ところで、インゴットのキャリア濃度分布の評価を終えると、この評価の結果を基に、所定の加工規格に合わせてスライス加工を行って、薄片状のウエハを得ることになる。その際、インゴットはカーボン製又はセラミクス製の固定台に、ワックス又は接着剤で固定され、スライス終了時にウエハが逸散するのを防止する。しかしながら、インゴットと固定台間の密着性が不十分であると、スライス終了間際又は終了時にウエハが固定台より離脱してしまう。それにより、運動中の切断用のブレード、ワイヤーなどに巻き込まれて散逸するだけでなく、飛散した場合にその周囲のウエハをも破損させてしまい、加工時の収率を低下させる、という課題がある。
【0014】
また、インゴットを機械研削加工した場合には生じる加工ダメージを除去するために、インゴット全体をエッチングした方がフォトルミネッセンスの評価としては好ましいものの、機械研削面に比べ表面が平滑面となるため、所謂アンカー効果が薄れ、ワックスや接着剤とインゴット表面の密着性が悪くなり、前述したように、スライス時の加工収率が低下する、という課題がある。
【0015】
また、インゴット状態でフォトルミネッセンス法を用いてキャリア濃度を評価する際には、再現性確保の面で機械研削面の加工ダメージを除去することが必要となるが、加工ダメージの除去法として化学研磨する方法もあるが、化学エッチングによる方法のほうが簡便であり実用的である。一方、インゴットをスライス加工する際には、固定台との密着性を確保するため、逆にインゴットの固定部分は機械研削面が好ましく化学エッチングは施すのは好ましくない。このように、インゴット状態でのフォトルミネッセンス評価における好ましい方法と、その後のウエハスライス加工における好ましい方法とは必ずしも一致しておらず、その何れも満たすようにしなければならない。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑み、半導体単結晶のインゴットのキャリア濃度をウエハ加工前に正しく評価でき、かつウエハの加工選別で生じる損失、例えば特性規格外による損失やスライス加工時の破損を低減させて、インゴットを所望の物性値を有するウエハに加工できる、半導体インゴットの加工方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の単結晶インゴットの加工方法は、単結晶インゴットを機械研削加工する第1過程と、単結晶インゴットの結晶成長方位に応じてファセット成長が生じない部分及びファセット成長領域を取り除いた部分のいずれかである単結晶のインゴット側面の結晶学的な面を特定し、その面の表面のみ化学エッチングを行う第2過程と、この第2過程で化学エッチングされた表面の特定した面に励起光を照射し、この励起光に基づくフォトルミネッセンススペクトルからキャリア濃度を評価する第3過程と、上記過程で化学エッチングを施さない機械研削面を固定面としてスライス加工を行う第4過程とを、順に行うことを特徴とする。
【0018】
前記構成において、前記単結晶インゴットの成長面方位が[−100]とした場合、前記第1過程にて、機械研削により平面研削面を形成する面を、(0−11)面及び(01−1)面のいずれかの面から±5°以内の面とすると共に、前記第2過程にて、前記結晶学的な面を、(001)面、(0−10)面、(00−1)面、(010)面、(0−11)面及び(01−1)面のいずれかの面から±90°以内の面、好ましくは±60°以内の面と特定し、この特定された単結晶側面領域に限定して前記化学エッチングを行うと共に、前記第3過程にて、前記化学エッチングされた部分の(001)面、(0−10)面、(00−1)面及び(010)面のいずれかの面から±20°以内の面か、(0−11)面及び(01−1)面のいずれかの面から±5°以内の面かのいずれかの範囲に限定されたインゴット側面の表面に対して、前記励起光の照射がなされることを特徴とする。
【0019】
また、前記単結晶インゴットの成長方位が[−100]と等価な方位であり、前記第1過程にて、前記平面研削面を形成する面が(0−11)面及び(01−1)面のいずれかと等価な面から±5°以内の面であり、前記第2過程にて、前記結晶学的な面が、(001)面、(0−10)面、(00−1)面、(010)面、(0−11)面及び(01−1)面のいずれかと等価な面から±90°以内の面、好ましくは±60°以内の面であり、前記第3過程にて、前記励起光の照射がなされる面が、前記化学エッチングされた部分の(001)面、(0−10)面、(00−1)面及び(010)面のいずれかと等価な面から±20°以内の面か、(0−11)面及び(01−1)面のいずれかと等価な面から±5°以内の面かのいずれかの範囲に限定されたインゴット側面の表面であることを特徴とする。
【0020】
さらに、単結晶インゴットの成長面方位が[−1−1−1]及び[111]のいずれかとした場合、前記第1過程にて、機械研削により平面研削面を形成する面を、(1−10)面、(0−11)面、(−101)面、(−110)面、(01−1)面及び(10−1)面のいずれかの面から±5°以内の面と特定すると共に、前記第2過程にて、前記平面研削面に対し±90°好ましくは±60°以内の単結晶側面領域に限定して化学エッチングをして、前記第3過程にて、化学エッチングされた面の(1−10)面、(0−11)面、(−101)面、(−110)面、(01−1)面及び(10−1)面のいずれかの面から±15°以内に限定したインゴット側面の表面に、前記励起光の照射がなされることを特徴とする。
【0021】
また、前記単結晶インゴットの成長方位が[−1−1−1]及び[111]のいずれかと等価な方位であり、前記第1過程にて、前記平面研削面を形成する面が、(1−10)面、(0−11)面、(−101)面、(−110)面、(01−1)面及び(10−1)面のいずれかと等価な面から±5°以内の面と特定すると共に、前記第3過程にて、前記励起光の照射がなされる面が、化学エッチングされた面の(1−10)面、(0−11)面、(−101)面、(−110)面、(01−1)面及び(10−1)面のいずれかと等価な面から±15°以内に限定したインゴット側面の表面であることを特徴とする。
【0022】
前記単結晶インゴットの結晶構造は、好ましくは、ダイヤモンド型、閃亜鉛鉱型のいずれかである。
また、単結晶側面の特定された領域に対して化学エッチングを行う際に用いるエッチング液は、塩酸、硝酸、塩酸と硝酸と水との混合液、硫酸と過酸化水素水と水の混合液、塩酸と過酸化水素水と水の混合液、フッ酸と過酸化水素水と水の混合液、酢酸又は水とフッ酸と硝酸との混合液、アンモニア水と過酸化水素水と水との混合液、苛性ソーダと過酸化水素水と水との混合液、水酸化カリウムと過酸化水素水と水、及び臭素又はヨウ素とメタノールとの混合液のいずれかであることが好ましい。
【0023】
また、単結晶インゴットは、好ましくは、Si、Te、Se、S、Zn及びCのいずれかをドープしたGaAsであるか、Se、Te、Sn、S、Zn及びCdのいずれかをドープしたInPであるかの何れかである。
また、単結晶インゴットは、好ましくは、Si、S、Se、Te、Zn及びMgのいずれかをドープした、GaPか、GaSbか、InSbか、InAsかのいずれかである。
また、単結晶インゴットは、好ましくは、Li、Al、Ga、B、N、P、As、Sb及びClのいずれかをドーピングした、ZnSeか、ZnTeか、CdTeかのいずれかである。
また、単結晶インゴットは、好ましくは、B、Al、Ga、P、As及びSbのいずれかをドーピングした、Siか、Geかのいずれかである。
【0024】
また、前記第2過程における化学エッチングは、好ましくは、エッチング液槽の底面に設けられた高さ調整台上に、保持具を介してインゴット側面を保持し、エッチング液面の高さ又は上記高さ調整台の高さを調整してなされる。また、前記第2過程において化学エッチングを行う際には、エッチングを施さない領域を、粘着テープ又は塗布式のマスク剤でマスクを行うことが望ましい。
【0025】
本発明によれば、フォトルミネッセンス法によるインゴットの成長方向のキャリア濃度を評価する際には、励起光照射は特定の結晶学的な面に特定する。この特定した面についてのみ機械研削面の加工ダメージを除去するために化学エッチングによる加工ダメージ層の除去操作を施す。一方、インゴットスライス時の固定面は、化学エッチング面が含まれない面に規定することで、インゴット固定台との密着性を確保し、スライス時の加工損失を防止する。よって、精度良く再現性のあるキャリア濃度の評価とインゴットスライス時の加工破損不良の問題を同時に解決することができる。
【0026】
また、本発明によれば、インゴット側面の規定された箇所のみを化学エッチングする方法として、エッチング液中へ浸漬させるインゴットの向きを定めると共に、エッチング液面かエッチング液中のインゴットの高さの少なくとも一方を調整する。その際、エッチング槽中へのインゴットの出し入れ時などでエッチング液が他の部分にも触れてしまう場合や、エッチング液からの蒸気でエッチングが生じてしまう場合においては、粘着テープなどで予めエッチングする特定面以外をマスキングすることで、特定面のみをエッチングさせることができる。
【0027】
また、本発明によれば、単結晶インゴットの特定された面にフォトルミネッセンス評価用の励起光を照射するに際しては、フォトルミネッセンス評価装置の光学系との位置決めのために、予め単結晶の増径部・側面に生じる晶癖線の性質を利用するか、端面から切り出した試料断片の選択化学エッチング特性によって生じるエッチピットの形状と方位の関係を利用し、さらにはヘキカイの方向やX線回折を用いて結晶学的な方位を定め、インゴットの一部に目印などを付けて光学系との位置合わせを行う方法や、インゴットの平面研削加工を行う場合には、その平面研削面と光学系との角度関係から位置決めを行えば良い。
【0028】
また、ウエハ加工スライス時のインゴットとインゴット固定台とのワックス又は接着剤により固定される面は、エッチングを施さない機械研削加工面を用いれば、スライス時のウエハ脱落や脱落による周辺ウエハの破損が防止できる。
なお、スライスするウエハの厚みや脆さによってインゴット固定台に接着するインゴット円周の中心角を変える必要があるが、一般に50〜120°程度である。化学エッチングを施すインゴット側面が規定面に対し±90°以内とすることで、側面の180°以上が機械研削面のままの状態を維持することができるものの、スライス時のオフ角ならびに方向によっては固定面の一部にエッチング処理を施した部分が含まれてしまう可能性があるため、特定面に対し±60°以内とすることが好ましい。この場合、インゴット側面の240°以上が機械研削面のままの状態であるから、スライス時のオフ角及び方向が如何なる場合でもワックス又は接着剤により固定される面にエッチングを施した部分の包含を避けることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る単結晶インゴット特性評価加工方法の実施の形態を図面により詳細に説明する。
まず、本発明に係る単結晶インゴットの特性評価加工対象となる、結晶成長方位が[−100]のGaAs単結晶インゴットについて説明する。図1(a)は、結晶成長方位が[−100]のGaAs単結晶インゴットを模式的に示した図であり、(b)は、結晶の断面(100)ウエハにおけるファセット成長領域の模式図である。図1(b)の斜線部分は、ファセット成長領域を示しており、実線は結晶成長した状態でのインゴットの外周を示し、点線は、後述する第1過程において研削加工された後のインゴットの外周を示している。
なお、結晶中のある方向を与える指数は[hkl]、面指数は(hkl)と表記するのが通常であり、ある面が結晶と原点に対して負の側で交わるときは、その指数は負号を指数の上に付けて表記するが、本明細書中においては便宜上その指数の前に負号「−」を付けた。方位を表記する場合も同様である。
【0030】
結晶成長方位が[−100]のGaAs単結晶インゴットは、図1(a)のように、結晶表面には4つの方向に晶癖線が観察される。結晶の側面では[011],[0−11],[0−1−1]及び[01−1]方向の面([0−11]方向は図示せず)に晶癖線が現れ、増径部では、[011],[0−1−1]の晶癖線に連なる側が、[0−11],[01−1]に連なる側の晶癖線より長くなる。この長さの違いに基づいて外観観察によって、結晶の概略方位、即ち、インゴット1側面の結晶学的な面を割り出すことができる。
【0031】
次に、図1(a)に示すGaAsインゴットの特性評価加工方法の第1過程について説明する。
第1過程では、インゴットの機械研削加工を行う。
最初に、インゴット製造の際に生じたインゴットの最表面の変質層を、円筒研削や平面研削加工により除去する。
次に、一般に半導体ウエハの場合、直径が揃った円形ウエハであり、かつウエハの結晶学的な方位を定めるために、オリエンテーションフラット加工を行う。そのため、成長したインゴット1を円筒機械研削により定径加工し、オリエンテーションフラット部を平面機械研削する。例えば、成長方位が[−100]のSiドープGaAs単結晶インゴットを、円筒機械研削により定径加工した後、前述した晶癖線の位置関係及びX線回折によりインゴット側面の[0−11]方位を割出し、(0−11)±5°の面に平面機械研削加工を行う。平面研削加工面は、対向側の(01−1)面であっても良い。なお、[0−11],[01−1]側のファセット領域は、結晶の極表面数mmの領域だけの場合が多く、円筒機械研削及び/又は平面機械研削によってファセット領域が除去される。
また、図1(a)に示した結晶成長方向が[−100]であるGaAs単結晶は、図1(b)の実線で示す大きさから、この第1過程により図1(b)の点線で示す大きさまで加工されることになる。しかし、図1(b)の斜線で示すファセット領域は、[011]及び[0−1−1]の方が[0−11]及び[01−1]と比べて大きいので、この第1過程の機械研削では[011]及び[0−1−1]のファセット領域は完全に除去できない。
【0032】
次に、本発明の単結晶インゴット特性評価加工方法の第2過程を説明する。
この第2過程においては、単結晶のインゴット側面の結晶学的な面を特定し、その面の表面のみ化学エッチングを行う。この化学エッチングは、後述する第3過程においてフォトルミネッセンス法からインゴットの成長方向のキャリア濃度を正確に評価するために、励起光照射は特定の結晶学的な面に特定される。そこでこの特定する面についてのみ、機械研削面の加工ダメージを除去するために化学エッチングを行う。この際、フォトルミネッセンス法を用いてインゴット成長方向のキャリア濃度分布を評価する際には、結晶の成長方位に応じて励起光を照射する面を結晶学的に特定した面とすることで、正確なキャリア濃度を得ることができる。この特定される面は、後述するように、単結晶インゴットの結晶成長方位に応じてファセット成長が生じない部分及びファセット成長領域を取り除いた部分のいずれかであればよい。
【0033】
例えば、インゴット成長方位を[−100]とした場合、図1(b) に斜線を施して示すように、一般に[011],[0−1−1]側では、[0−11],[01−1]側に比べファセット成長領域が大きく、結晶の内部まで入り込む。このファセット領域では他の部分と成長状態が異なり、不純物の取り込み状態が異なるためキャリア濃度が他の領域と異なる。そのため、インゴットの成長方向のキャリア濃度分布をフォトルミネッセンス法で評価する際には、ファセット成長領域を避けるため、インゴット側面の特定された面、即ち、(001),(0−10),(00−1),(010)のいずれかの面から±20°以内の範囲内に励起光を照射する必要がある。
また、(001),(0−10),(00−1),(010)のいずれかの面から±90°以内、好ましくは、それぞれの面に対して±60°以内の単結晶側面領域に限定して、化学エッチングを行うことが好ましい。
また、[0−11],[01−1]側のファセット領域は、結晶の極表面である深さ数mmの領域だけの場合が多く、円筒機械研削及び/又は平面機械研削によってファセット領域が除去された条件のもとで、(0−11)±90°,(01−1)±90°いずれかの範囲内、好ましくはそれぞれ±60°以内の範囲の機械研削ダメージを化学エッチングするようにしてもよい。
なお、この化学エッチングは、第1過程において行った機械研削加工された機械研削面の加工ダメージを除去するために行うのであるが、後述する第4過程において、インゴットをスライスする際、インゴット固定台への密着性を確保する為に、インゴット固定台への固定面はこの化学エッチングを行う面から除外されている。
【0034】
ここで、エッチング方法について説明する。
図2(a)は、第2過程におけるインゴットのエッチング時のエッチング液への浸漬方法の態様を示した図であり、(b)は、実際、エッチング液へ浸漬させた態様を示した図である。図2(a)の太い矢印で示すように、例えば、インゴット1の[001]方向を下方として、エッチング液2にインゴット1を浸漬させる。この際、インゴット1下方部のエッチングが適切になされるように、エッチング液2中で液中に支持された状態となるように、図2(b)に示すようなインゴット保持台3を用いるのが好ましい。
更に、(001)±90°、好ましくは±60°以内の側面領域に限定して化学エッチングされるように、エッチング液2の液面の高さを調整するか、インゴット保持台3の高さを高さ調整台4で調整する。この際、粘着テープやピセイン等塗布式のマスク剤によりエッチングを行わない領域をマスキングしても良い。ここで、GaAsのエッチング液2としては、塩酸と硝酸とが体積比で1:1の混合液を用い、室温で5分間静置状態にしてエッチングを行う。エッチングが終了したら、インゴット1をエッチング液槽5から取り出し、直ちに純水によりエッチング液を充分洗い落とし、窒素又はエアーブローにより乾燥させる。
エッチング液2の組成については、他のエッチング液組成のものでも良く、液温やエッチング時間などのエッチング条件は、機械研削ダメージが充分除去されるように適宜設定されれば良い。
これにより、エッチング後の表面は、機械研削によるダメージ層は除去されており、擬似鏡面を呈しているのに対し、エッチング液2に浸漬しない部分にあっては機械研削の粗面状態が維持されている。
【0035】
次に、本発明の単結晶インゴット特性評価加工方法の第3過程を説明する。
第3過程においては、エッチングされた表面の特定された結晶学的な面に励起光を照射し、室温でフォトルミネッセンススペクトルの波長情報に基づいてインゴット状態でのキャリア濃度の測定を行う。
図3は、フォトルミネッセンス評価装置の一部である可動ステージ6の概念図である。この可動ステージ6は、Xステージ61、Yステージ62及びZステージ63で構成されている。Xステージ61とYステージ62とZステージ63とは、それぞれ独立に図の矢印の方向X,Y,Zに対して、ステッピングモータ61a,62aなどの駆動装置により所定の位置に設定できる。なお、フォトルミネッセンス評価装置(図示せず)は、励起光の光源、フォトルミネッセンス光の測定検出器などから構成される。
【0036】
このフォトルミネッセンス評価装置によるインゴットのフォトルミネッセンスの測定評価について説明する。
先ず、可動ステージ6上にインゴット1をセットする。そして、フォトルミネッセンス光を得るため、評価対象の半導体結晶の禁制帯幅よりも大きなエネルギーを有する励起光Lpを、第2過程でエッチングされた部分、例えば(001)±20°以内に特定するインゴット側面に照射する。励起光Lpは、インゴット1がGaAsのとき、GaAs禁制帯幅(バンドギャップ:室温ではおよそ1.43eV)よりも大きなエネルギーを有する波長514.5nm(=2.41eV)のArレーザーLpを用いることができる。
また、励起光を規定の結晶学的な位置に照射するための角度割り出しは、平面研削を施した(0−11)面からの角度又は晶癖線の位置関係から予め求めた目印などに基づき決定し、インゴット1を可動ステージ6上にセットすればよい。そして、励起光照射位置及びフォトルミネッセンス光集光系の光学調整を行った後に、数mmピッチの間隔で集光系に垂直な方向にインゴット1を移動させ、即ち、可動ステージ6を移動させることで、各点でフォトルミネッセンススペクトルを測定する。
【0037】
その測定した各点でのフォトルミネッセンススペクトルの波長情報、即ち、スペクトルのピーク波長、ピーク値の半値となる高エネルギー側の波長、半値幅などと、予め他の手法、例えばホール効果により求めておいたキャリア濃度との較正線を使用することにより、キャリア濃度を算出し、キャリア濃度の成長長手方向の分布を得ることができる(特許文献1参照)。その際、測定開始位置及び/又は測定終了位置に目印を付けておくことで、求めた長手方向のキャリア濃度分布との位置関係が明確となり、スライス時の選別加工が容易に行える。
なお、励起光の照射範囲は、(001)±20°以内に特定するインゴット側面でなくても、第2過程で実際にエッチングされた部分の、(001)、(0−10)、(00−1)、(010)のいずれかの面から±20°以内の面か、(0−11)、(01−1)のいずれかの面から±5°以内の面かのいずれかの範囲でもよい。
【0038】
次に、本発明の単結晶インゴット特性評価方法の第4過程を説明する。
第4過程は、インゴットをウエハにスライスする過程である。具体的には、エッチングしていない機械研削面をワックス又は接着剤によりインゴット固定台に固定してウエハにスライス加工を行う。
この第4過程で用いられる内周刃スライサー7について説明する。図4は、内周刃スライサー7によるウエハスライス加工を模式的に示す概略斜視図である。内周刃スライサー7は、インゴット1を保持するインゴット固定台71が取付可能なインゴット保持部70と、内周刃ブレード74が、図示しないテーブルなどに固定されている。
【0039】
インゴット保持部70はゴニオ構造を有しており、図の二方向矢印E,Fで示す方向に、それぞれX方向チルト72、Y方向チルト73が制御できる移動可能な構造となっている。また、インゴット保持部70が、図示する矢印Gのスライスピッチ送り方向に移動され、インゴット1の内周刃ブレード74に対する位置調整ができる。
【0040】
また、インゴット固定台71はカーボンなどで形成されている。インゴット固定台71へのインゴットの固定はワックス又はエポキシ系接着剤を用いて行う。この際、前述の例ではインゴット1側面の(001)±90°以内、好ましくは±60°以内の部分は化学エッチングが施されているため、それ以外の機械研削面を利用する。
内周刃スライサー7は以上のように構成されていて、切断するインゴット1の位置とスライスピッチを、インゴット保持部70のゴニオ構造により正確に合わせた後で、インゴット保持部70を、図示する矢印Hの方向に移動することでインゴット1をスライスすることができる。
【0041】
また、この第4過程では、内周刃スライサー7に代えてマルチワイヤーソー8を用いた方がよい場合もある。図5は、マルチワイヤーソー8によるウエハスライス加工を模式的に示す概略斜視図である。
マルチワイヤーソー8は、インゴット1を保持するインゴット固定台81と、ゴニオ機構80を有するインゴット固定ステージ83と、マルチワイヤー84とから構成されている。
【0042】
インゴット固定台81は、インゴット固定台クランプ82によりインゴット固定ステージ83に固定されるようになっている。また、マルチワイヤー84は、切断するインゴット1のスライスピッチが得られるように、ピッチに対応する間隔で平行に多数設けられた、所謂、マルチワイヤー構造を有して、図示しないワイヤー駆動装置によりマルチワイヤー84を送りつつ、図示する矢印L方向(X軸方向)への往復運動を行う。
インゴット固定ステージ83に内蔵されたゴニオ機構80により、インゴット1のマルチワイヤー84に対しての切断の位置調整が行える。図示するように、矢印Iで示すZ軸周りの回転チルトは大きくとれるものの、矢印Jで示すX軸周り、矢印Kで示すY軸周りの回転チルトの調整量、即ち、インゴット1の長手方向の上下、インゴット成長軸の面内回転についての調整量が少ない構造となっている。インゴット1のカーボン製のインゴット固定台81への固定方法は、図4の内周刃スライサー7と同様である。
ワイヤーソー8は、以上のように構成されていて、インゴット1が図示する矢印M方向(Z軸方向)に垂直移動すると共に、インゴット1の切断箇所に砥粒スラリーを補給しマルチワイヤー84の送りを伴う矢印L方向への往復運動によりインゴット1をスライスできる。この際、マルチワイヤー構造なので、マルチワイヤー84の本数に相当する数のウエハを一度に切断できる。
【0043】
次に、所望の面をスライスする方法について例を挙げて説明する。
(スライス例1)
AlInGaP系の半導体レーザーやLED用の基板を作製する場合には、[−100]方位成長のGaAs単結晶インゴット1から、(100)から(111)A方向に例えば10°傾斜させた面のウエハを切り出す必要がある。マルチワイヤーソー8を用いる場合には、Z軸を中心にインゴット固定ステージ83を10°回転する必要があるため、インゴットの接着固定面は図6(a)のように(01−1)面を中心に固定する必要がある。
(スライス例2)
AlGaAs系の面発光レーザーの基板を作製する場合には、(100)面から(1−10)方向に2〜5°程度傾斜させた面のウエハを切り出す必要があり、その場合は図6(b)のようにインゴットの接着固定面は(00−1)面を中心に固定する必要がある。
なお、図6(a),(b)には、インゴット接着固定面の方位関係とエッチングを施した面の位置関係も示しており、点線は、化学エッチングの対象となる範囲を示しており、また、太い点線は、そのうちで特に好ましい化学エッチングの対象となる範囲を示している。
【0044】
このように、インゴット固定台71,81とインゴット1の接着面は、化学エッチングがされていない、即ち機械研削加工面であるため、スライシング時のウエハの脱離が回避できる状態を維持して、スライス加工を行うことができる。
【0045】
以上により、本発明によれば、半導体単結晶インゴットのキャリア濃度分布がウエハ加工を行う前に正確に評価されるため、従来の予想による加工選別で生じるキャリア濃度範囲の規格外損失を大幅に低減することができる。それと同時にウエハとしてスライスする時の加工損失も生じないため、選別加工における損失を大幅に低減することができる。
【0046】
なお、以上の説明においては、結晶成長方位が[−100]の場合を説明したが、結晶成長方位が[−100]と等価な方向、即ち[100],[010],[0−10],[001],[00−1]の場合には、第1過程において平面研削する面、第2過程においてエッチングを施す面、第3過程において励起光を照射する面は、それぞれ、前述した面と等価な面でもよい。
【0047】
また、結晶成長が別の結晶成長方位であっても同様である。例えば、インゴットの成長面方位を[−1−1−1]及び[111]のいずれか並びにこれと等価な面とした場合には、第1過程にて、機械研削により平面研削面を形成する面を、(1−10)面、(0−11)面、(−101)面、(−110)面、(01−1)面及び(10−1)面のいずれか並びにこれらと等価な面から±5°以内の面と特定する。
次に、第2過程にて、その平面研削面に対し±90°好ましくは±60°以内の単結晶側面領域に限定して化学エッチングを行う。
次に、第3過程にて、化学エッチングされた面の(1−10)面、(0−11)面、(−101)面、(−110)面、(01−1)面及び(10−1)面のいずれか並びにこれらと等価な面から±15°以内に限定したインゴット側面の表面に、励起光の照射がなされる。
【0048】
また、単結晶インゴットの結晶構造は、ダイヤモンド型単結晶インゴットでも、閃亜鉛鉱型単結晶インゴットでもよい。いくつかの例を挙げると、Si,Te,Se,S,Zn及びCのいずれかをドープしたGaAs、または、Se,Te,Sn,S,Zn及びCdのいずれかをドープしたInPでもよい。
また、Si,S,Se,Te,Zn及びMgのいずれかをドープした、GaPかGaSbかInSbかInAsでもよい。
また、Li,Al,Ga,B,N,P,As,Sb及びClのいずれかをドーピングした、ZnSeかZnTeかCdTeかでもよい。
さらに、B,Al,Ga,P,As及びSbのいずれかをドーピングした、SiでもGeでもよい。
【0049】
また、エッチング液としては、インゴットの単結晶の種類に応じて決定すればよい。いくつかの例を挙げると、インゴットがGaAs、InAs単結晶の場合には、塩酸と硝酸と水との混合液、硫酸と過酸化水素水と水との混合液、塩酸又はフッ酸と過酸化水素水と水の混合液、アンモニア水と過酸化水素水と水の混合液、苛性ソーダと過酸化水素水と水の混合液、水酸化カリウムと過酸化水素水と水の混合液、及び臭素とメタノールとの混合液のいずれかを、エッチング液として用いれば良い。
また、インゴットがInP、GaP単結晶の場合には、塩酸と過酸化水素水と水の混合液、塩酸と硝酸と水との混合液、及び臭素とメタノールとの混合液のいずれかを、エッチング液として用いれば良い。
また、インゴットがGaSb、InSbの場合には、酢酸又は水とフッ酸と硝酸との混合液、硝酸と塩酸と水との混合液、及び臭素又はヨウ素とメタノールとの混合液のいずれかを、エッチング液として用いれば良い。
また、インゴットがZnSeの場合には、ヨウ素とメタノールとの混合液、及び硝酸と塩酸と水の混合液のいずれかを、エッチング液として用いれば良い。
また、インゴットがCdTe,ZnTeの場合には、フッ酸と硝酸と水の混合液、塩酸と硝酸と水の混合液、及び塩酸のいずれかを、エッチング液として用いれば良い。
また、インゴットがSi,Geの場合には、酢酸又は水とフッ酸と硝酸との混合液を、エッチング液として用いれば良い。
【0050】
次に、実施例と比較例を示す。
(実施例1)
本発明によりフォトルミネッセンス測定が正確に行える例として、第2過程にてファセット成長が生じないインゴット側面をエッチング面とし、第3過程にてそのエッチングした面に励起光を照射させる場合を実施例1とする。なお、GaAsウエハとして、以下に示す仕様Aと仕様Bが要求されているものとする。
要求仕様Aは、キャリア濃度の範囲が7.0×1017〜1.2×1018cm-3、面方位は(100)から[011]方向へ10±0.1°の傾斜、ウエハのスライス厚みは750μmであった。
また、要求仕様Bは、キャリア濃度の範囲が1.0〜2.0×1018cm-3、面方位は(100)から[011]方向へ10±0.1°傾斜、ウエハのスライス厚みは570μmであった。
【0051】
第1過程として、縦型ボート法で成長した、直径82〜84mm、成長方位[−100]のSiドープGaAs単結晶インゴットを円筒研削して直径79mmの定径加工を施した。次に、増径部の晶癖線の位置関係とX線回折により、インゴット側面の[0−11]方位を割り出し、(0−11)±0.5°の面に幅12mmの平面研削加工を施した。ここで、(011)面の晶癖線の長さの方が、(0−11)面の晶癖線よりも長い。(001)面は(011)面と(0−11)面の中間位置となる。
【0052】
第2過程として、硝酸と塩酸との体積比が1:1のエッチング液中にインゴットの側面の(001)面を下側に向けて挿入し、(001)±60°の範囲の部分のみを室温で5分間エッチングを行なった。なお、図2(b)に示したインゴット保持台3及びエッチング液面の調整を行って、特定された箇所のみをエッチングする。エッチング終了後、インゴット1をエッチング液槽5から取り出し、直ちに純水で洗浄したのち窒素ブローによって乾燥させた。
【0053】
第3過程として、レーザー励起光の照射がインゴットの側面の成長軸方向で(001)±5°となるように、フォトルミネッセンス評価装置の可動ステージ6上にインゴット1をセットした(図3参照)。この際、平面研削面である(0−11)面とレーザー光照射面の角度を45°となるようにセットした。測定開始位置に目印を付けて、測定間隔5mmの条件でインゴットの成長軸方向に可動ステージ6を移動しつつ、各測定点においてフォトルミネッセンススペクトルの測定を行った。そして、波長情報とキャリア濃度の相関式を利用して、インゴット1の成長軸方向のキャリア濃度分布を求めた。
【0054】
図7は、実施例1のGaAsインゴットのキャリア濃度分布の結果を模式的に示す斜視図である。図示するように、GaAsインゴット1の結晶の種側1aで7.1×1017cm-3、成長の終了した端面である、即ちテイル側1bで1.9×1018cm-3であった。そこで、最も収率良くウエハを加工して採取するために、キャリア濃度が1.1×1018cm-3の位置1c(図7参照)で加工条件を変更した。
【0055】
即ち、要求仕様Aは、キャリア濃度の範囲が7.0×1017〜1.2×1018cm-3であることから、図7に示すように、GaAsインゴット1の結晶の種側1aからキャリア濃度が1.1×1018cm-3の位置である1cまでのインゴット1の領域をスライスにより加工することにした(図7のA参照)。
さらに、要求仕様Bは、キャリア濃度の範囲が1.0〜2.0×1018cm-3なので、残りのインゴッット1の領域、即ち、図7の1cから、テイル側1bまでのインゴット1の領域を、スライスで得ることにした(図7のB参照)。
【0056】
第4過程として、成長軸方向のキャリア濃度分布が事前に判明しているので、その値に該当するインゴット側面位置1c(以下、該当位置と呼ぶ)に目印を付け、スライス用のインゴット固定台71に(01−1)面が中心となるようにワックス固定を行った(図6(a)参照)。
内周刃スライサー7にインゴット固定台71を保持し、X線カット面検査装置を用いて面出しを行い、要求仕様Bに対して切り代を加味したピッチで連続スライス加工を開始した。先に目印を付けた位置との距離からスライス枚数を予め算出し、該当位置1cで一度スライス加工を自動的に中断させた。次に要求仕様Aに対応して切り代を加味したスライスを続行し、目的の選別加工を実施した。
【0057】
その結果、結晶の有効長は183mmで、該当位置1cはテイル側から103mmの位置であったため、仕様Bで114枚、仕様Aで74枚、都合188枚のスライスウエハを得た。この時、スライス固定台71とスライスウエハの固定部の密着状態が確保されていたため、スライス時の加工破損は全く生じなかった。また選別加工の境界である該当位置1cのウエハを、ホール効果評価でキャリア濃度を求めたところ1.04×1018cm-3であり、A,B二つの要求仕様からの逸脱も皆無であった。
【0058】
(実施例2)
実施例2においては、第1過程にてファセット成長領域を完全に取り除き、第2過程にてそのファセット成長領域を取り除いたインゴットの側面をエッチングし、第3過程にてそのエッチングした面に励起光を照射させることにより、正確に、フォトルミネッセンス測定が行える場合を採り上げて説明する。なお、GaAsウエハとして、以下に示す仕様Cと仕様Dが要求されているものとする。
要求仕様Cは、キャリア濃度の範囲が7.0×1017〜1.2×1018cm-3で、面方位は(100)から[011]方向に10±0.1°傾斜させた面で、ウエハのスライス厚みは700μmであった。
また、要求仕様Dは、キャリア濃度の範囲が1.0〜2.0×1018cm-3であり、面方位は要求仕様Cと同じであるが、スライスウエハ厚みは550μmであった。
【0059】
第1過程として、第1の実施例と同様なSiドープGaAs単結晶インゴットを同様な方法により円筒研削及び平面研削加工を行った。
第2過程として、硝酸と塩酸との体積比が1:1のエッチング液中に平面研削面である(0−11)面を下側に向けて挿入し、(0−11)±60°の範囲の部分のみを室温で、実施例1と同様に5分間エッチングを行ない、エッチング後の処理をした。
【0060】
第3過程として、レーザー励起光の照射面がインゴットの側面の成長軸方向で(0−11)面、即ち、平面研削面に対し±2°となるように、フォトルミネッセンス評価装置の可動ステージ6にインゴット1をセットした。この際、平面研削面である(0−11)面とレーザー光照射の角度は90°、即ち、垂直になるようにセットすれば良い。実施例1と同じ方法でフォトルミネッセンススペクトルによりインゴットの成長軸方向のキャリア濃度分布を求めた結果、結晶の種側で7.7×1017cm-3、テイル側で1.8×1018cm-3であった。
【0061】
第4過程として、仕様Cのウエハを可能な限り多く採取したいため、スライス時の切り分けは、第3過程のフォトルミネッセンス法で得られたキャリア濃度が1.15×1018cm-3となる位置を設定した。なお、この単結晶インゴットの有効長は188mmであり、該当位置はテイル側から98mmの位置であり、そこに目印を付けた。
そして、インゴット1の固定用のカーボン製スライスベースに、図6(a)に示すように、平面研削面である(0−11)面が上面となるようにワックス固定を実施した。この場合、接着面は化学エッチングが施されていない機械研削面である。スライスにはマルチワイヤーソーを用いたが、それぞれのスライス厚みに相当するように、ローラーピッチを設定し、その境界位置とインゴット1の該当位置を一致させている。
なお、(100)面から[011]方向に10°傾斜させた面を切り出すためには、図5に示すように、マルチワイヤー84に対し直角から10°インゴット固定ステージ83を回転することで行った。
【0062】
その結果、スライス加工により、仕様C、仕様Dのスライスウエハが各々109枚、146枚得られたが、加工破損は皆無であった。また、選別加工境界である該当位置近傍のD仕様のウエハについて、ホール効果による方法でキャリア濃度を求めたところ、1.17×1018cm-3であり、C,D二つの要求仕様からの逸脱も皆無であった。
【0063】
(実施例3)
実施例2と同じ要求仕様C,Dの選別加工を18本の単結晶インゴットについて実施した。第3過程のフォトルミネッセンス法によって算出されたキャリア濃度は、種側で7.1〜8.0×1017cm-3であり、テイル側で1.7〜2.0×1018cm-3の範囲であった。キャリア濃度1.15×1018cm-3の選別加工の該当位置はそれぞれのインゴットで異なったが、個別に設定して実施例2と同様のスライス加工を行った。
仕様C及び仕様Dのスライスウエハ総数は、それぞれ1850枚、2765枚であり、スライス加工時の加工破損は皆無であるとともに、キャリア濃度の規格からの逸脱も皆無であった。
【0064】
次に、比較例を示す。
(比較例1)
実施例1と同様の単結晶インゴット5本につき、同様の円筒、平面機械研削を実施した。
本発明の単結晶インゴットの加工方法の第2過程の特定面の化学エッチングは施さなかった。次に、レーザー励起光の照射がインゴットの側面の成長軸方向で(001)±5°となるように、フォトルミネッセンス評価装置の可動ステージにインゴットをセットし、また、この際、平面研削面である(0−11)面とレーザー光照射面の角度を45°となるようにセットした。
そして、本発明における実施例と同様に第3過程のフォトルミネッセンス法によるキャリア濃度の測定を実施した。
単結晶インゴット5本それぞれのインゴットの成長軸方向のキャリア濃度分布を求めた結果、結晶の種側で7.3〜8.5×1017cm-3、テイル側で1.7〜2.5×1018cm-3の範囲であると算出された。なお、フォトルミネッセンスの波長情報から求めるキャリア濃度は、表面が機械研削状態のホール効果測定用サンプルを用いた検量線から求めている。
そして、第4過程として、各インゴットにつき、1.1×1018cm-3と算出された位置を要求仕様A,仕様Bの境界と想定し選別加工を実施した。
その結果、スライスウエハは、仕様A、仕様B総数がそれぞれ395枚、513枚であった。また、スライス加工時の破損は、インゴットのワックス固定面が機械研削面であるため皆無ではあった。
【0065】
選別加工境界位置のウエハにつき、ホール効果評価でキャリア濃度を求めたところ、仕様Aの規格範囲を逸脱する場合が2本のインゴットで生じ、規格範囲に収まるウエハ範囲を求めるためのホール効果評価再検査作業が5回生じた。
また、A仕様の規格範囲外のスライスウエハは再検査による損失をも含め35枚生じてしまった。即ち、仕様Aに対して、8.9%の選別ロスを生じた。
また、本来のB仕様のキャリア濃度範囲である1.0〜2.0×1018cm-3を満足するにもかかわらず、フォトルミネッセンス法で2.0×1018cm-3を超える部分として評価してしまったインゴットが1本有ったため、該当箇所はB仕様でのウエハ加工を実施せずブロック状に切り落としてしまった。そのため、28枚相当のウエハの採取ロスを生じた。即ち、仕様Bに対して、5.2%の選別ロスを生じた。
これにより、本発明における第2過程を行わない比較例1においては、本発明の実施例1乃至3と比較すると、ウエハの収率が悪いことが分かる。
【0066】
(比較例2)
エッチング方法が異なるのみで、実施例1と同様の加工及び評価を3本の単結晶インゴットにつき実施した。この場合、エッチング液にインゴット全体を浸漬したため、円筒機械研削面が全て擬似鏡面状態となった。3本のインゴットの選別ウエハ加工後、仕様A,仕様Bそれぞれ211枚、348枚のスライスウエハを得た。
キャリア濃度をホール効果測定により検査した結果、キャリア濃度の規格範囲の逸脱は皆無であった。しかしながら、2本のインゴットでスライス加工途中にワックス固定部からウエハが脱落し、仕様A,仕様Bでそれぞれ5枚、12枚の加工破損ロスを生じ、相対的にスライスウエハ厚みが薄い仕様Bでのロスが若干多くなり3.3%、仕様Aでは2.3%となった。これにより、本発明における第2過程の化学エッチングとは異なるエッチングを施した比較例2においては、本発明の実施例1乃至3と比較すると、ウエハの収率が悪いことが分かる。
【0067】
以上説明したように、本発明の実施例と比較例とを対比すると、ウエハ収率に大きな違いがあることが分かる。これらの違いは、以下のような理由による。
本発明においては、第3過程でのフォトルミネッセンスによるインゴットのキャリア濃度測定を行う前の第2過程として、励起光照射位置に対して事前に化学エッチングにより、第1過程における機械研削によるダメージを取り除いているので、加工ダメージによるフォトルミネッセンススペクトル形状への変動要因が無く、正確に、インゴットのキャリア濃度測定を行うことができる。
さらに、第2過程の化学エッチングは、インゴットの特定の面に対して部分的に行い、第4過程のウエハスライスにおいては、化学エッチングしていない面を介してインゴット固定台に固定しているので、ウエハの脱落やそれに伴う周辺のウエハの破損を防止することができる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
【0069】
【発明の効果】
以上、本発明によれば半導体単結晶インゴットのキャリア濃度分布がウエハ加工の事前に正しく評価されるため、従来の予想による加工選別で生じるキャリア濃度範囲の規格外損失を大幅に低減することができる。それと同時にウエハスライス時の加工損失も生じないため、選別加工における損失を大幅に低減することができ、結晶成長条件に対するフィードバック期間を大幅に短縮できる、非常に優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、結晶成長方位[−100]のGaAs単結晶インゴットの晶癖線の状況を模式的に示した図、(b)は、結晶の断面(100)ウエハにおけるファセット成長領域の模式図である。
【図2】(a)は、インゴットをエッチングする時の浸漬態様を示した図、(b)は、インゴット保持台を用いたインゴットのエッチング態様を示した図である。
【図3】フォトルミネッセンススペクトルの分布評価のためのインゴットの可動用ステージを示した図である。
【図4】内周刃スライサーの概念図である。
【図5】マルチワイヤーソーの概念図である。
【図6】本発明の実施の形態の第4過程におけるインゴットの接着固定面の方位関係とエッチングを施した面の位置関係とを示し、(a)はAlInGaP系の半導体レーザーやLED用の基板を作製する場合を、(b)はAlGaAs系の面発光レーザーの基板を作製する場合を、それぞれ示している。
【図7】実施例1のGaAsインゴットのキャリア濃度分布の結果を模式的に示す斜視図である。
【図8】化学鏡面研磨したウエハに対して、機械ダメージを与えたウエハ表面を示した図である。
【図9】機械ダメージを与える前後におけるウエハ直径方向のフォトルミネッセンススペクトルの半値幅の分布を示したグラフである。
【図10】機械ダメージを与える前後におけるフォトルミネッセンススペクトルを示すグラフで、(a)は図8のウエハのA点のスペクトル、(b)は図8のウエハのD点のスペクトルを示す。
【符号の説明】
1 インゴット
2 エッチング液
3 インゴット保持台
4 高さ調整台
5 エッチング液槽
6 可動ステージ
61 Xステージ
62 Yステージ
63 Zステージ
61a,62a ステッピングモーター
7 スライサー
70 インゴット保持部
71 インゴット固定台
72 X方向チルト
73 Y方向チルト
74 内周刃ブレード
8 マルチワイヤーソー
80 ゴニオ機構
81 インゴット固定台
82 インゴット固定台クランプ
83 インゴット固定ステージ
84 マルチワイヤー

Claims (13)

  1. 単結晶インゴットを機械研削加工する第1過程と、
    単結晶インゴットの結晶成長方位に応じてファセット成長が生じない部分及びファセット成長領域を取り除いた部分のいずれかである単結晶のインゴット側面の結晶学的な面を特定し、その面の表面のみ化学エッチングを行う第2過程と、
    この第2過程で化学エッチングされた表面の特定した面に励起光を照射し、この励起光に基づくフォトルミネッセンススペクトルからキャリア濃度を評価する第3過程と、
    上記過程で化学エッチングを施さない機械研削面を固定面としてスライス加工を行う第4過程とを、
    順に行うことを特徴とする単結晶インゴットの加工方法。
  2. 前記単結晶インゴットの成長面方位が[−100]とした場合、
    前記第1過程にて、機械研削により平面研削面を形成する面を、(0−11)面及び(01−1)面のいずれかの面から±5°以内の面とすると共に、
    前記第2過程にて、前記結晶学的な面を、(001)面、(0−10)面、(00−1)面、(010)面、(0−11)面及び(01−1)面のいずれかの面から±90°以内の面、好ましくは±60°以内の面と特定し、この特定された単結晶側面領域に限定して前記化学エッチングを行うと共に、
    前記第3過程にて、前記化学エッチングされた部分の(001)面、(0−10)面、(00−1)面及び(010)面のいずれかの面から±20°以内の面か、(0−11)面及び(01−1)面のいずれかの面から±5°以内の面かのいずれかの範囲に限定されたインゴット側面の表面に対して、前記励起光の照射がなされることを特徴とする、請求項1に記載の単結晶インゴットの加工方法。
  3. 前記単結晶インゴットの成長方位が[−100]と等価な方位であり、
    前記第1過程にて、前記平面研削面を形成する面が(0−11)面及び(01−1)面のいずれかと等価な面から±5°以内の面であり、
    前記第2過程にて、前記結晶学的な面が、(001)面、(0−10)面、(00−1)面、(010)面、(0−11)面及び(01−1)面のいずれかと等価な面から±90°以内の面、好ましくは±60°以内の面であり、
    前記第3過程にて、前記励起光の照射がなされる面が、前記化学エッチングされた部分の(001)面、(0−10)面、(00−1)面及び(010)面のいずれかと等価な面から±20°以内の面か、(0−11)面及び(01−1)面のいずれかと等価な面から±5°以内の面かのいずれかの範囲に限定されたインゴット側面の表面であることを特徴とする、請求項2に記載の単結晶インゴットの加工方法。
  4. 単結晶インゴットの成長面方位が[−1−1−1]及び[111]のいずれかとした場合、
    前記第1過程にて、機械研削により平面研削面を形成する面を、(1−10)面、(0−11)面、(−101)面、(−110)面、(01−1)面及び(10−1)面のいずれかの面から±5°以内の面と特定すると共に、
    前記第2過程にて、前記平面研削面に対し±90°好ましくは±60°以内の単結晶側面領域に限定して化学エッチングをして、
    前記第3過程にて、化学エッチングされた面の(1−10)面、(0−11)面、(−101)面、(−110)面、(01−1)面及び(10−1)面のいずれかの面から±15°以内に限定したインゴット側面の表面に、前記励起光の照射がなされることを特徴とする、請求項1に記載の単結晶インゴットの加工方法。
  5. 前記単結晶インゴットの成長方位が[−1−1−1]及び[111]のいずれかと等価な方位であり、
    前記第1過程にて、前記平面研削面を形成する面が、(1−10)面、(0−11)面、(−101)面、(−110)面、(01−1)面及び(10−1)面のいずれかと等価な面から±5°以内の面と特定すると共に、
    前記第3過程にて、前記励起光の照射がなされる面が、化学エッチングされた面の(1−10)面、(0−11)面、(−101)面、(−110)面、(01−1)面及び(10−1)面のいずれかと等価な面から±15°以内に限定したインゴット側面の表面であることを特徴とする、請求項4に記載の単結晶インゴットの加工方法。
  6. 前記単結晶インゴットの結晶構造が、ダイヤモンド型、閃亜鉛鉱型のいずれかであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の単結晶インゴットの加工方法。
  7. 単結晶側面の特定された領域に対して化学エッチングを行う際に用いるエッチング液が、塩酸、硝酸、塩酸と硝酸と水との混合液、硫酸と過酸化水素水と水の混合液、塩酸と過酸化水素水と水の混合液、フッ酸と過酸化水素水と水の混合液、酢酸又は水とフッ酸と硝酸との混合液、アンモニア水と過酸化水素水と水との混合液、苛性ソーダと過酸化水素水と水との混合液、水酸化カリウムと過酸化水素水と水、及び臭素又はヨウ素とメタノールとの混合液のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の単結晶インゴットの加工方法。
  8. 単結晶インゴットが、Si、Te、Se、S、Zn及びCのいずれかをドープしたGaAsであるか、Se、Te、Sn、S、Zn及びCdのいずれかをドープしたInPであるかの何れかであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の単結晶インゴットの加工方法。
  9. 単結晶インゴットが、Si、S、Se、Te、Zn及びMgのいずれかをドープした、GaPか、GaSbか、InSbか、InAsかのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の単結晶インゴットの加工方法。
  10. 単結晶インゴットが、Li、Al、Ga、B、N、P、As、Sb及びClのいずれかをドーピングした、ZnSeか、ZnTeか、CdTeかのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の単結晶インゴットの加工方法。
  11. 単結晶インゴットが、B、Al、Ga、P、As及びSbのいずれかをドーピングした、Siか、Geかのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の単結晶インゴットの加工方法。
  12. 前記第2過程における化学エッチングは、エッチング液槽の底面に設けられた高さ調整台上に、保持具を介してインゴット側面を保持し、エッチング液面の高さ又は上記高さ調整台の高さを調整してなされることを特徴とする、請求項1〜11に記載の単結晶インゴットの加工方法。
  13. 前記第2過程において化学エッチングを行う際に、エッチングを施さない領域を、粘着テープ又は塗布式のマスク剤でマスクを行ってなされることを特徴とする、請求項1〜12に記載の単結晶インゴットの加工方法。
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