JP2008018312A - 二酸化マンガン系重金属吸着剤及びそれを用いた処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重金属の吸着特性に優れた新規な二酸化マンガンを有効成分とする重金属吸着剤、及びこの重金属吸着剤を用いた各種重金属類を含む焼却灰、飛灰、溶融飛灰、廃棄物、廃水、土壌の無害化処理する方法を提供する。
【解決の手段】120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少が6重量%以上である二酸化マンガンを有効成分とする重金属吸着剤を用いる。重金属類を含むごみ焼却灰、飛灰又は溶融飛灰のいずれかに、又は、重金属類を含む土壌や廃水に当該の重金属吸着剤を添加し、混練することにより重金属が無害化処理できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な二酸化マンガンを有効成分とする重金属吸着剤、及び重金属吸着剤を用いた各種重金属類を含むごみ焼却灰、飛灰、溶融飛灰、廃棄物、廃水、土壌の無害化処理方法に関する。
二酸化マンガンが金属を吸着することは広く知られている。例えば、特許文献1には、ガンマ(γ)型二酸化マンガンと異種金属の熱処理によって得られる多孔質なベータ(β)型二酸化マンガンを浄化用濾材として用いる方法が開示されている。特許文献2では、重金属を含む汚水に二酸化マンガンの粉末を加え、中性領域において攪拌処理することにより金属イオンを沈澱させて分離する重金属イオンの除去法が開示されている。特許文献3では、平均粒径0.1〜5μmの主として球状の、しかも表面に無数の突起を有する比表面積(BET値)が50m/g以上である活性化二酸化マンガンが吸着剤として優れていることが開示されている。特許文献4では、ヒ素を含む表流水、地下水、湧水、伏流水、湖沼水等を水源とする原水の浄水処理及びヒ素を含む産業排水処理において、ヒ素の除去方法の1つである吸着法の吸着剤として、電解二酸化マンガンを造粒して生成した吸着剤を使用することをヒ素の除去方法が開示されている。特許文献5では、ビスマスを含むマンガンの酸素化合物であって、マンガンを主成分とするヒ素吸着性のマンガン化合物が開示されている。
さらに、非特許文献1には、アモルファスの水和二酸化マンガン、特にデルタ(δ)二酸化マンガンがCo,Ni,Cu,Znを吸着することが記載されている。
これらの文献には二酸化マンガンへの金属の吸着は、吸着条件に影響され易く、金属に対する吸着選択性があることが報告されているが、いずれの文献においてもどの様な二酸化マンガンにおいてPb,Cd,Hgの吸着性に優れているかのか検討報告されていなかった。
二酸化マンガンが各種重金属類を吸着することは知られていたが、近年、規制が強化されている水質汚濁防止方法や廃掃法に適用する吸着剤として用いるには従来の二酸化マンガンでは性能が不十分であり、特にPb、Cd、Hgに対する吸着剤として実用化には至っていなかった。
特開昭61−120689号公報(請求項1) 特開昭62−53789号公報(請求項1) 特開平06−92639号公報(請求項1) 特開平08−267053号公報(請求項1) 特開2003−160338号公報(請求項1) Journal of Colloid and Interface Science 269(2004)11−21
これまで、環境問題で特に重要なPb,Cd,Hg等の重金属の吸着特性に優れた二酸化マンガンは知られていなかった。
本発明者らは、Pb,Cd,Hg等の重金属の吸着特性に優れた二酸化マンガンについて鋭意検討した結果、二酸化マンガンのこれら重金属に対する吸着特性は、従来知られていた粒度、表面積等の物理特性だけでなく、二酸化マンガン中の結合水の状態が大きく影響することを見出し、120℃から400℃の温度範囲における重量減少が6重量%以上である二酸化マンガンを含んでなる重金属吸着剤、特に結晶型がデルタ(δ)型の二酸化マンガンでは、重金属、特にPb,Cd,Hg等の重金属の吸着特性に特に優れることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
本発明の二酸化マンガンを重金属吸着剤として使用すれば、少ない吸着剤の量で重金属処理が可能であり、経済的である。また、薬剤投入量の低減により総廃棄物量の低減が可能となり、埋立最終処分場で処理できる重金属量が飛躍的に向上する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の重金属処理剤は、120℃〜400℃の温度範囲における重量減少が6重量%以上である二酸化マンガンを含んでなる重金属吸着剤である。
二酸化マンガンにおいて120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少量の主なものは、二酸化マンガン内部に含まれる結合水によるものと推定される。二酸化マンガンを加熱した際に重量が減少する主要な部分は、二酸化マンガン中に含まれる水分(特に結合水)の蒸発分であり、100℃未満で減少する単なる付着水とは異なり、重金属の吸着特性と密接に関連する水分と位置づけられる。
結合水が多いということは、二酸化マンガンの内部欠陥が多いということであり、水素イオンの拡散を容易にし、重金属イオンとのイオン交換を容易にするものと推測され、特に120℃から始めて400℃まで昇温した際に蒸発する水分が水素イオンの拡散に影響があるものと推測される。
本発明の二酸化マンガンは、二酸化マンガンを加熱した際、即ち二酸化マンガンを加熱して温度を上昇していった時に重量変化を測定する試験に供した際、120℃から400℃での重量減少が6重量%以上、特に7重量%以上、さらには10重量%以上であることが好ましい。上限は特に限定はないが、15重量%程度までが取り扱い易い。
本発明の二酸化マンガンの水分量を知るための加熱処理は、窒素ガス中で行なうことが好ましい。窒素ガス中で加熱することにより、大気中の酸素と二酸化マンガン中のプロトン(H)の反応性が抑制され、重金属処理に寄与する水の量を正確に評価することができる。
本発明の二酸化マンガンの結晶型はデルタ(δ)型の二酸化マンガンであることが好ましい。デルタ型の二酸化マンガンは水和型の結晶を与え易く、本発明で着目している水分を本発明の範囲内に制御し易い。結晶型がデルタ型の二酸化マンガンであっても、製造法によっては上記の温度範囲で減少する重量が6重量%未満となり、本発明でいう重金属吸着特性を有しない。
次に本発明の二酸化マンガンの製造方法は限定されないが、例えば、マンガン化合物と酸化剤との反応により製造することができる。
原料のマンガン化合物としては、Mn、Mn、MnOOH(=Mn・HO)およびこれらの混合物を使用することができる。また、硫酸マンガン、炭酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガンなどのマンガン塩も用いることが出来る。
酸化剤としては、過マンガン酸塩、次亜塩素酸塩、過酸化水素等が例示できる。
反応温度としては0〜90℃が好ましく、より好ましくは20〜50℃である。90℃を超えると結合水が低下し易い。また、0℃未満では反応速度が遅くなり製造効率が低下する。
反応時のpHは7以下が好ましく、より好ましくはpH2以下である。pHが7を超えると結合水が低下し易い。pH調整に用いる酸性薬剤としては、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸、酢酸等、アルカリ性薬剤としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等が例示できる。
上記の製法で得られた二酸化マンガンは、KやNaイオンを含む水溶液中に浸漬してイオン交換処理すると、本発明の範囲に結合水量を増すことができ、重金属処理性能を向上させることができる。
本発明の二酸化マンガンは、重金属処理特性に優れ、これを有効成分とする重金属処理剤として用いた場合、きわめて高い性能を発揮する。
以下、本発明の重金属吸着剤について、その詳細を説明する。
本発明の重金属吸着剤は、その処理が可能な重金属類とは具体的な元素として、Pb、Cd、Cr、Hg、As、Se、Cu、Ni、Sb、Moを示すことができ、特にPb,Cd,Hgに対して高い吸着性能を有する。本発明の吸着剤では上記した重金属それぞれ単独だけでなく、これらの内の任意の元素を複数含まれたものを処理することも可能である。
本発明の重金属吸着剤は、重金属類を含んだごみ焼却灰や飛灰の処理に極めて有効である。ごみ焼却灰や飛灰中には、各種ごみに含まれていた重金属類が濃縮されている。特に飛灰や溶融飛灰において顕著であり、溶融飛灰の中にはパーセントオーダーで鉛のような重金属が含まれているものも数多く、無害化処理が必要とされる。飛灰や溶融飛灰は焼却炉の構造や運転方法の違いにより、アルカリ性飛灰、中性飛灰、アルカリ性溶融飛灰、中性溶融飛灰等の種類があり、また、焼却するごみの種類によって含まれる重金属類の種類と含有量は大きく異なっていることが知られているが、本発明の重金属吸着剤はどのような種類の飛灰にも用いることができる。これらごみ焼却灰や飛灰に対し、本発明の重金属吸着剤と水を添加し混練して使用すると処理時間が短縮され好ましい。
本発明の重金属吸着剤の添加量は、ごみ焼却灰や飛灰に含まれる重金属類の種類と総量により異なるため一律には規定できないが、ごみ焼却灰や飛灰の量に対して0.1〜50wt%、好ましくは0.5〜30wt%の添加が例示することができる。また、予めごみ焼却灰や飛灰をサンプリングしてラボテストで最小添加量を求め、ごみ焼却灰や飛灰に含まれる重金属類の量の変動を考慮して最適添加量を求めておくことが好ましい。また、仮に過剰添加を行なっても、処理性能上は問題なく、さらに過剰の二酸化マンガンが残存しても特に問題はない。
本発明の重金属吸着剤の他に水を添加する場合、その水の添加量はごみ焼却灰や飛灰の性質により異なるが、通常、ごみ焼却灰や飛灰の量に対して10〜40wt%を例示することができる。混練の方法、時間は特に限定されず従来から知られている方法を用いることができる。
また、本発明の重金属吸着剤は、重金属類を含んだ土壌の処理にも有効である。重金属類を含んだ土壌に対して、重金属吸着剤を、さらに必要に応じて、水を添加し、混練する。
本発明の重金属吸着剤の添加量は、土壌に含まれる重金属類の総量により異なるため一律に規定できず、処理すべき土壌の量に対して0.1〜20wt%を例示することができる。さらに、予め土壌をサンプリングしてラボテストで最小添加量を求め、安全を見込んで若干過剰量を添加することが好ましい。土壌に含まれる水分が少ない場合は、土壌の種類によっても異なるが、必要に応じて水を添加し、土壌に含まれる水分の量が通常10〜60wt%となるようにする。混練の方法、時間は特に限定されず従来から知られている方法を用いることができる。
さらに、本発明の重金属吸着剤を用い、重金属類を含んだ廃水の処理も可能である。重金属類を含んだ廃水に対して、重金属吸着剤を添加し混合する。重金属吸着剤の添加量は、廃水に含まれる重金属類の総量により異なるため一律に規定できず、予め廃水をサンプリングしてラボテストで最小添加量を求め、安全を見込んで若干過剰量を添加することが好ましい。この時に、廃水のpHが1以下では処理性能が低下することがあるため、廃水のpHを前もって調整しておくことが好ましく、その場合には廃水のpHは2以上、より好ましくは3以上となるようにする。混合の方法、時間は特に限定されず従来から知られている方法を用いることができる。また、通常、凝集沈澱処理の際に使用される無機系凝集沈澱剤、例えば塩化第2鉄、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド等を併用し、あるいは凝集速度を速める高分子凝集剤等を併用することも可能である。
本発明の二酸化マンガンの使用形態としては、マンガン化合物またはマンガン塩と酸化物を混合して得られる二酸化マンガンを含む溶液を濾過、乾燥して粉体として使用することができ、また、当該二酸化マンガンを含む溶液をそのままスラリー液として使用することもできる。
120℃から400℃の温度範囲での重量減少が6重量%以上である二酸化マンガンは、重金属類、特にPb,Cd,Hgを含む重金属に対して高い吸着性能を有する。本発明の吸着剤を用いることで、廃棄物、土壌、廃水等に含まれる重金属類を処理し無害化できる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
実施例1として、120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少が6重量%以上である二酸化マンガンを次のようにして製造した。
KMnO特級試薬を純水に溶解させた後、母液組成が0.1モル/LのKMnOとなるように調整した。その母液中に0.55モル/LのMnSOの組成を有する添加液を2mL/分の速度で添加し常温で反応させた。滴下終了後、2時間の熟成を行い、濾過、水洗を行った後、乾燥機で乾燥して実施例1の二酸化マンガンを得た。
得られた二酸化マンガンはデルタ(δ)二酸化マンガンであった。
実施例2
KMnO特級試薬を純水に溶解させた後、HSOを徐々に添加して母液組成が0.1モル/LのKMnO、0.5モル/LのHSOとなるように調整した。その母液中に0.55モル/LのMnSO、0.5モル/LのHSOの組成を有する添加液を2mL/分の速度で添加し常温で反応させた。滴下終了後、2時間の熟成を行い、濾過、水洗を行った後、乾燥機で乾燥して実施例2の二酸化マンガンを得た。
得られた二酸化マンガンはデルタ(δ)二酸化マンガンであった。
実施例3
KMnO特級試薬を純水に溶解させた後、HSOを徐々に添加して母液組成が0.1モル/LのKMnO、1.0モル/LのHSOとなるように調整した。その母液中に0.55モル/LのMn、1.0モル/LのHSOの組成を有する添加液を2mL/分の速度で添加し50℃で反応させた。滴下終了後、2時間の熟成を行い、濾過、水洗を行った後、乾燥機で乾燥して実施例3の二酸化マンガンを得た。
得られた二酸化マンガンはデルタ(δ)二酸化マンガンであった。
実施例4
KMnO特級試薬を純水に溶解させた後、HSOを徐々に添加して母液組成が0.1モル/LのKMnO、2.0モル/LのHSOとなるように調整した。その母液中に0.55モル/LのMnSO、2.0モル/LのHSOの組成を有する添加液を2mL/分の速度で添加し常温で反応させた。滴下終了後、2時間の熟成を行い、濾過、水洗を行った後、乾燥機で乾燥して実施例4の二酸化マンガンを得た。
得られた二酸化マンガンはデルタ(δ)二酸化マンガンであった。
実施例5〜9
実施例3の二酸化マンガン30gをK濃度1000ppm(KSO)の水溶液中に添加し、攪拌下で硫酸及びアンモニア水を用いて水溶液pHを3、5、7及び9に調整した。その後、攪拌下で2時間のイオン交換を行った。そして2時間後、濾過、洗浄及び乾燥を行い、それぞれ実施例5〜9の二酸化マンガンを得た。
得られた二酸化マンガンはデルタ(δ)二酸化マンガンであった。
比較例1
硫酸マンガンを0.6モル/L、硫酸を0.3モル/Lの濃度で含む水溶液中で、陽極にチタン、陰極にカーボンを用いて、0.5A/dmの電流密度で電解することにより、陽極であるチタン上に、二酸化マンガンを析出させた。析出二酸化マンガンをチタン電極から剥離、粉砕して比較例1の二酸化マンガンを得た。
得られた二酸化マンガンの結晶型はガンマ(γ)二酸化マンガンであった。
比較例2
硫酸マンガンの0.55モル/Lを純水に溶解させ、窒素ガスを吹き込んで常温で脱気した。引続き、この水溶液中に1.4モル/Lの苛性ソーダを5mL/分の速度で添加し白色を呈するスラリーを合成した。その後、このスラリー中に5L/分の速度で空気を導入して酸化させた後、ろ過、水洗及び乾燥を行い酸化マンガンを得た。更に、得られた酸化マンガンを純水中に分散させ、1規定濃度の硫酸を滴下して処理を行なった後、ろ過、水洗及び乾燥を行い比較例2の二酸化マンガンを得た。
得られた二酸化マンガンの結晶型はデルタ(δ)二酸化マンガンであったが、120℃〜400℃の温度範囲での重量減少が小さいものであった。
〔試験1:重量減少〕
実施例1〜9及び比較例1〜2で得られた二酸化マンガンを加熱の際の、120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少を測定した。測定結果を表1に示す
なお、二酸化マンガンを120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少(即ち、この温度範囲で蒸発する二酸化マンガン中の結合水分量)の測定は、示差熱分析装置(ULVAC−TGD7000)を用いて、試料量:30mg、試料容器:アルミナ製、昇温速度:10℃/分、サンプリングタイム:1秒、雰囲気ガス:窒素ガス(100mL/分)、標準物質:アルミナ粉、装置雰囲気温度:15〜30℃の条件で行った。
Figure 2008018312
〔試験2:アルカリ性飛灰処理における重金属処理性能〕
鉛を2400ppm、カドミウムを160ppm、水銀を2.1ppm含有するアルカリ性飛灰を用い、重金属類の処理特性の検討を行なった。アルカリ性飛灰100重量部に対し、水30重量部、および実施例、比較例で製造した二酸化マンガンを加え、混練し重金属処理を行なった。得られた処理飛灰に対し、環境庁告示第13号溶出試験(1973年)を行ない、その結果を表2に示した。
Figure 2008018312
表2の結果から明らかなように、実施例で得た120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少が6重量%以上である二酸化マンガンは、優れた重金属処理特性を有していた。比較例で得た120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少が6重量%未満である二酸化マンガンは重金属処理特性に劣っていた。
〔試験3:中性飛灰処理における重金属処理性能〕
鉛を1900ppm、カドミウムを100ppm、水銀を2.1ppm含有する中性飛灰を用い、重金属類の処理特性の検討を行なった。中性飛灰100重量部に対し、水30重量部、および実施例、比較例で調製した硫化鉄を加え、混練し重金属処理を行なった。得られた処理飛灰に対し、環境庁告示第13号溶出試験(1973年)を行ない、その結果を表3に示した。
Figure 2008018312
表3の結果から明らかなように、実施例で得た120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少が6重量%以上である二酸化マンガンは、優れた重金属処理特性を有していた。比較例で得た120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少が6重量%未満である二酸化マンガンは重金属処理特性に劣っている。
〔試験4:汚染土壌処理における重金属処理性能〕
鉛を7700ppm、カドミウムを470ppm、ヒ素を96ppm、セレンを2200ppm含有するモデル汚染土壌(含水量50%)を用い、重金属類の処理特性の検討を行なった。土壌100重量部に対し、実施例、比較例で調製した二酸化マンガンを加え、混練し重金属処理を行なった。得られた土壌に対し、環境庁告示第46号による溶出試験(1991年)を行ない、その結果を表4に示した。
Figure 2008018312
表4の結果から明らかなように、実施例で得た120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少が6重量%以上である二酸化マンガンは、Pb,Cd以外のAs、Seに対しても優れた重金属処理特性を有していた。比較例で得た120℃から始めて400℃まで昇温した際の重量減少が6重量%未満である二酸化マンガンは重金属吸処理性に劣っていた。
〔試験5:廃水処理における重金属処理性能〕
鉛10ppmを含む溶液、カドミニウム10ppm含む溶液、水銀1ppmを含む溶液、砒素10ppmを含む溶液、セレン10ppmを含む溶液の6種類のモデル廃水に対し、実施例3および8で調製した二酸化マンガンを0.2重量部添加し、二酸化マンガンによる重金属類の処理特性の検討を行なった。モデル排水に二酸化マンガンを加えた後、30分混合し、ガラス濾紙(アドバンテック東洋製GS−25)で濾過後、濾液中に含まれている各成分の量を測定した。その結果を表5に示した。
Figure 2008018312
表5の結果から明らかなように、本発明における二酸化マンガンは、廃水中の重金属類の処理も可能である。

Claims (6)

  1. 120℃〜400℃の温度範囲における重量減少が6重量%以上である二酸化マンガンを含んでなる重金属吸着剤。
  2. 二酸化マンガンがδ−MnOである請求項1の重金属吸着剤。
  3. 重金属がPb、Cd、Hgより選択される1種以上の元素を含んでなる請求項1〜2に記載の重金属吸着剤。
  4. 重金属類を含むごみ焼却灰、飛灰、溶融飛灰、廃棄物、土壌及び廃水のいずれかに、請求項1〜3のいずれかに記載の重金属吸着剤を添加し、混練することを特徴とする無害化処理方法。
  5. 重金属がPb、Cd、Hgより選択される1種以上の元素を含んでなる請求項4に記載の重金属の無害化処理方法。
  6. 重金属類が、Pb、Cd、Hg、Zn、Cu、Ni、Cr、As、Se、Sb及びMoの群より選択される1種以上の元素である請求項4に記載の重金属の無害化処理方法。
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