以下、本発明の実施の形態における実装条件決定装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における実装条件決定装置の利用環境を説明するための説明図である。
本実施の形態における実装条件決定装置300は、実装基板の生産に無駄な費用が発生するのを防ぐことができるものであって、例えばパーソナルコンピュータなどによって構成されている。また、この実装条件決定装置300は、電子部品などの部品を基板に実装して実装基板を生産する工場に配置される。
工場には、上述の実装条件決定装置300と、その実装条件決定装置300に例えばLAN(Local Area Network)などを介して接続された複数の生産ラインLとが配置されている。
生産ラインLは、一列に配列された複数の生産設備から構成されており、一定の順序に従ってその複数の生産設備が生産作業を行うことにより生産対象物たる実装基板を生産する。
具体的に、複数の生産設備のそれぞれは、生産ラインLの上流側(例えば図1の左側)から搬入される基板に対して部品を実装するための生産作業を行い、その生産作業が完了すると、その基板を生産ラインLの下流側(例えば図1の右側)に搬出する。各生産設備は、例えば、はんだ印刷装置、接着剤塗布装置、部品実装機、またはリフロー炉などとして構成されている。
したがって、これらの生産ラインLは、上流側の生産設備から下流側の生産設備へ基板を順次搬送させ、搬送された基板に対して各生産設備にそれぞれの役割に応じた生産作業を実行させる。その結果、基板に部品が実装されて構成される実装基板が生産される。
ここで、上記工場で使用される部品は、部品棚から供給される。
部品棚には、各種類の部品が保管されている。例えば、同一種類の部品群は、部品格納部材たる部品リールPTに格納されて保管されている。つまり、予め定められた員数の同一種類の部品は、一列に配列した状態で部品テープに保持され、その部品を保持するテープは、部品リールPTに巻回されている。なお、部品リールPTは、主に、チップ部品と呼ばれる比較的小さいサイズの部品を部品実装機に供給するのに使用される。
また、部品棚には、これらの部品リールPTを管理するための棚管理端末400が配置されている。
この棚管理端末400は、例えば、インターネットなどの電気通信回線を介して工場の実装条件決定装置300と通信し、実装条件決定装置300からの要求に応じて、部品棚に格納されている部品リールPTを工場に配送するように決定する。また、この部品棚から部品リールPTが工場に配送されることを、出庫といい、出庫された部品の数を出庫数という。
工場に部品リールPTが配送されると、つまり部品リールPTが出庫されると、その部品リールPTは工場に購入されたこととなり、工場からは、その購入された部品リールPTに相当する金額の金銭が支払われる。
ここで、生産ラインLの一部を構成する部品実装機について詳細に説明する。
図2は、部品実装機の斜視図である。
部品実装機100は、同時かつ独立して部品実装を行う2つのサブ設備(前サブ設備110及び後サブ設備120)を備える。各サブ設備110(120)は、直交ロボット型装着ステージであり、部品供給部115aおよび115bと、マルチ装着ヘッド112と、XYロボット113と、部品認識カメラ116と、トレイ供給部117とを備える。部品供給部115aおよび115bはそれぞれ、部品リールPTを収納する最大48個の部品カセット114の配列からなる。マルチ装着ヘッド112は、10ノズルヘッド又は単にヘッドとも呼ばれ、上述の部品カセット114から最大10個の部品を吸着して基板20に装着することができる10個の吸着ノズル(以下、単に「ノズル」ともいう。)を有する。なお、以下、マルチ装着ヘッド112を単にヘッド112という。XYロボット113は、そのヘッド112を移動させるものである。部品認識カメラ116は、ヘッド112に吸着された部品の吸着状態を2次元又は3次元的に検査するために用いられる。トレイ供給部117は、トレイ部品を供給する。このような各サブ設備は、他のサブ設備とは独立して(並行して)、それぞれの担当する基板20への部品実装を実行する。
このような部品実装機100は、具体的には、高速装着機と呼ばれる部品実装機と多機能装着機と呼ばれる部品実装機のそれぞれの機能を併せもつ実装機である。高速装着機とは、主として10mm角以下の電子部品を1点あたり0.1秒程度のスピードで装着する高い生産性を特徴とする設備であり、多機能装着機とは、10mm角以上の大型電子部品やスイッチ・コネクタ等の異形部品、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)等のIC部品を装着する設備である。
つまり、この部品実装機100は、ほぼ全ての種類の電子部品(装着対象となる部品として、0.4mm×0.2mmのチップ抵抗から200mmのコネクタまで)を装着できるように設計されており、この部品実装機100を必要台数だけ並べることで、生産ラインを構成することができる。
図3は、部品実装機100の主要な構成を示す平面図である。
シャトルコンベヤ118は、トレイ供給部117から取り出された部品を載せて、ヘッド112による吸着可能な所定位置まで運搬するための移動テーブル(部品搬送コンベア)である。ノズルステーション119は、各種形状の部品種に対応するための交換用ノズルが置かれるテーブルである。
各サブ設備110(又は120)を構成する2つの部品供給部115aおよび115bは、それぞれ、部品認識カメラ116を挟んで左右に配置されている。したがって、部品供給部115aまたは115bにおいて部品を吸着したヘッド112は、部品認識カメラ116を通過した後に、基板20の実装点に移動し、吸着した全ての部品を順次装着していく動作を繰り返す。「実装点」とは、部品を装着すべき基板20上の座標点のことであり、同一部品種の部品が異なる実装点に装着される場合もある。
ここで、ヘッド112による部品の吸着・移動・装着という一連の動作の繰り返しにおける1回分の動作(吸着・移動・装着)、又はそのような1回分の動作によって装着される部品群を「タスク」と呼ぶ。例えば、10ノズルヘッドによれば、1個のタスクによって装着される部品の最大数は10となる。なお、ここでいう「吸着」には、ヘッド112が部品を吸着し始めてから移動するまでの全ての吸着動作が含まれ、例えば、ヘッド112の1回の上下動作で10個の部品を吸着する場合だけでなく、複数回の上下動作によって10個の部品を吸着する場合も含まれる。
図4は、ヘッド112と部品カセット114の位置関係を示す模式図である。このヘッド112は、「ギャングピックアップ方式」と呼ばれる作業ヘッドであり、最大10個の吸着ノズル112aを取り付けることが可能であり、このときには、最大10個の部品カセット114のそれぞれから部品を同時に(1回の上下動作で)吸着することができる。
なお、「シングルカセット」と呼ばれる部品カセット114には1つの部品テープ(部品リールPT)だけが装填され、「ダブルカセット」と呼ばれる部品カセット114には2つの部品テープ(部品リールPT)が装填される。また、部品供給部115aおよび115bにおける部品カセット114(又は、部品リールPT)のセット位置を「Z軸上の値」又は「Z軸上の位置(Z番号)」と呼び、Z番号には、例えば、部品供給部115aの最左端を「Z1」とする連続番号等が用いられる。「Z軸」とは、部品実装機(サブ設備を備える場合には、サブ設備)ごとにセットされる部品カセット114または部品リールPTの配列位置を特定する座標軸のことをいう。
図5は、装着の対象となる部品(電子部品)の外観を示す外観図である。
図5(a)〜(d)に示すような各種チップ形電子部品423a〜423dは、部品種ごとに、部品テープに一定間隔で複数個連続的に収納されている。そしてこのような部品を収納している部品テープは、部品リールPTに所定の数量分だけ巻回された状態で工場に出庫される。
この部品実装機100の動作上の特徴をまとめると、以下の通りである。
(1)ノズル交換
次の装着動作に必要なノズルがヘッド112にないとき、ヘッド112は、ノズルステーション119へ移動し、ノズル交換を実施する。ノズルの種類としては、吸着できる部品のサイズに応じて、例えば、タイプS、M、L等がある。
(2)部品吸着
ヘッド112が部品供給部115aおよび115bに移動し、部品を吸着する。一度に10個の部品を同時に吸着できないときは、吸着位置を移動させながら複数回、上下動作を行うことで、最大10個の部品を吸着することができる。
(3)認識スキャン
ヘッド112が部品認識カメラ116上を一定速度で移動し、ヘッド112に吸着された全ての部品の画像を取り込み、部品の吸着位置を正確に検出する。
(4)部品装着
検出された吸着位置にずれがあればそれを補正し、基板20に、部品を順次装着する。
上記(1)から(4)の動作を繰り返し行うことで、全ての部品を基板20に搭載する。上記(2)から(4)の動作は、この部品実装機100による部品の装着における基本動作であり、「タスク」に相当する。つまり、1つのタスクで、最大10個の電子部品を基板20に装着することができる。
ここで、部品在庫数について図6を参照して詳細に説明する。
図6は、部品在庫数を説明するための説明図である。
部品在庫数は、工場内にある未だ基板20に実装されていない全ての部品の数である。
例えば、複数の部品Paを格納している部品リールPTは、工場内にある各部品実装機100にセットされていたり、部品実装機100にセットされずに、部品切れなどに備えて工場内に配置されている。なお、部品Paは、「Pa」によって識別される特定の種類(部品種)に属する部品であって、複数の部品Paは、それぞれ同一種類の部品である。
上述のような場合、部品Paの部品在庫数Saは、各部品実装機100にセットされている部品リールPT内の部品Paの数A1,A2,…,Anの和と、部品実装機100にセットされていない部品リールPT内の部品Paの数Axとの和によって示される。
このような部品在庫数が必要以上に多い場合には、実装基板の生産に不要な部品が多くなる。そこで、本実施の形態における実装条件決定装置300は、部品在庫数が抑えられるように、実装条件たる分割数を決定する。
ここで、分割数について図7を参照して詳細に説明する。
図7は、分割数を説明するための説明図である。
分割数は、部品実装機100にセットされる同一種類の部品リールPTの数である。
例えば、部品Paの分割数が4のときには、図7に示すように、部品Paを格納している部品リールPTが4つ部品実装機100にセットされる。なお、この部品リールPTには、初期状態において例えば10000個の部品Paが格納されており、部品実装機100によって部品Paが吸着されるごとに、その格納されている部品Paの数が1つずつ少なくなる。
同様に、部品Paの分割数が2のときには、部品Paを格納している部品リールPTが2つ部品実装機100にセットされ、部品Paの分割数が1のときには、部品Paを格納している部品リールPTが1つ部品実装機100にセットされる。
ここで、例えば、基板20に部品Paを実装して実装基板を生産するときに、その基板1枚あたりに実装される部品Paの部品数を1000とする。また、ヘッド112には、部品Paを吸着するための4つのノズル112aが取着されている。
このような場合、部品Paの分割数が4のときには、4つのノズル112aはそれぞれ同時に1回だけ上下動作することで、同時に部品Paを吸着する。そして、ヘッド112は、基板20まで移動して、各ノズル112aに吸着されている4つの部品Paを順にその基板20に装着する。つまり、4つの部品リールPTからは、1タスクでそれぞれ1つずつの部品Paが取り出されて、基板20に実装される。このように、実装基板を1枚生産するごとに、各Z番号「Z1,Z2,Z3,Z4」の部品リールPTからはそれぞれ250個の部品Paが取り出される。
また、部品Paの分割数が2のときには、4つのノズル112aのうち2つのノズル112aが、同時に上下動作することで、Z番号「Z2,Z3」の部品リールPTから同時に部品Paを吸着する。その後、ヘッド112は、残りの2つのノズル112aがZ番号「Z2,Z3」の部品リールPTの部品吸着位置に到達するように移動する。そして、上述と同様、残りの2つのノズル112aが、同時に上下動作することで、Z番号「Z2,Z3」の部品リールPTから同時に部品Paを吸着する。そして、ヘッド112は、基板20まで移動して、各ノズル112aに吸着されている4つの部品Paを順にその基板20に装着する。つまり、2つの部品リールPTからは、1タスクでそれぞれ2つずつの部品Paが取り出されて、基板20に実装される。このように、実装基板を1枚生産するごとに、Z番号「Z2,Z3」の部品リールPTからはそれぞれ500個の部品Paが取り出される。
また、部品Paの分割数が1のときには、4つのノズル112aのうち1つのノズル112aが、上下動作することで、Z番号「Z3」の部品リールPTから部品Paを吸着する。その後、ヘッド112は、残りの3つのノズル112aのうち1つのノズル112aがZ番号「Z3」の部品リールPTの部品吸着位置に到達するように移動する。そして、上述と同様、そのノズル112aが、上下動作することで、Z番号「Z3」の部品リールPTから部品Paを吸着する。このように、4つのノズル112aはそれぞれZ番号「Z3」の部品リールPTから部品Paを順に吸着する。そして、ヘッド112は、基板20まで移動して、各ノズル112aに吸着されている4つの部品Paを順にその基板20に装着する。つまり、1つの部品リールPTからは、1タスクで4つの部品Paが取り出されて、基板20に実装される。このように、実装基板を1枚生産するごとに、Z番号「Z3」の部品リールPTからは1000個の部品Paが取り出される。
図8は、出庫数と実装基板の生産枚数との関係を分割数ごとに示す図である。
分割数が4のときには、4つの部品リールPTが必要であるため、実装基板の生産開始時から、つまり実装基板の生産枚数が0のときから、4つの部品リールPTが出庫されて1つの部品実装機100にセットされる。つまり、1つの部品リールPTには10000個の部品Paが格納されているので、生産枚数が0のときから、出庫数は40000となる。また、1枚の実装基板の生産にあたり1000個の部品Paが必要であるため、40000個の部品Paは、40枚の実装基板の生産に消費される。したがって、分割数が4のときには、出庫数は、実装基板の生産枚数「0〜40」の範囲で40000となる。
分割数が2のときには、まず2つの部品リールPTが必要であるため、実装基板の生産開始時から、つまり実装基板の生産枚数が0のときから、2つの部品リールPTが出庫されて1つの部品実装機100にセットされる。つまり、1つの部品リールPTには10000個の部品Paが格納されているので、生産枚数が0のときから、出庫数は20000となる。また、1枚の実装基板の生産にあたり1000個の部品Paが必要であるため、20000個の部品Paは、20枚の実装基板の生産に消費される。したがって、分割数が2のときには、出庫数は、実装基板の生産枚数「0〜20」の範囲で20000となり、実装基板の生産枚数「21〜40」の範囲で40000となる。
分割数が1のときには、まず1つの部品リールPTが必要であるため、実装基板の生産開始時から、つまり実装基板の生産枚数が0のときから、1つの部品リールPTが出庫されて1つの部品実装機100にセットされる。つまり、1つの部品リールPTには10000個の部品Paが格納されているので、生産枚数が0のときから、出庫数は10000となる。また、1枚の実装基板の生産にあたり1000個の部品Paが必要であるため、10000個の部品Paは、10枚の実装基板の生産に消費される。したがって、分割数が1のときには、出庫数は、実装基板の生産枚数「0〜10」の範囲で10000となり、実装基板の生産枚数「11〜20」の範囲で20000となり、実装基板の生産枚数「21〜30」の範囲で30000となり、実装基板の生産枚数「31〜40」の範囲で40000となる。
ここで、実装基板の生産枚数「0〜10」の範囲で、分割数が4の場合と分割数が1の場合とで出庫数を比較すると、分割数「4」の出庫数は、分割数「1」の出庫数よりも30000だけ多い。つまり、実装基板の生産枚数「0〜10」の範囲では、分割数を4にすると、分割数を1にした場合と比較して、3つの部品リールPTが過剰に出庫されていることとなる。したがって、実装基板の生産枚数「0〜10」の範囲では、部品Paの不必要な部品在庫数は30000にも達する。
図9は、本実施の形態における実装条件決定装置300の機能ブロック図である。
実装条件決定装置300は、生産計画格納部301と、実装データ格納部304と、計画ラインタクト算出部302と、配列決定部303と、分割数決定部307と、制御部306と、入力部305と、表示部308と、通信部309とを備えている。
入力部305は、例えばキーボードやマウスなどで構成され、表示部308は、例えば液晶ディスプレイなどによって構成されている。
通信部309は、工場内の生産ラインLを構成する各生産設備と通信したり、インターネットなどの電気通信回線を介して工場外の各端末と通信する。
実装データ格納部304は、実装データ304aを格納している。この実装データ304aは、実装すべき部品や、その部品が実装される基板20上の位置(実装点)、その部品に応じたノズルのサイズなどを示す。
生産計画格納部301は、生産計画データ301aを格納している。生産計画データ301aは、生産すべき実装基板の枚数や、その実装基板の生産期間などを示す。
計画ラインタクト算出部302は、生産計画データ301aに応じたラインタクト(以下、計画ラインタクトという)を算出する。なお、ラインタクトとは、生産ラインLによって実装基板が生産される時間である。
配列決定部303は、実装データ304aに示される内容に基づいて、例えば、刈り上げ法(特開2003−37396号公報参照)などを利用することにより部品配列を決定する。つまり、配列決定部303は、単位時間内に部品を基板20に実装する処理能力たるスループットが最大となるような部品配列およびタスクなどを決定し、その結果に応じたラインタクト(以下、想定ラインタクトという)を算出する。なお、上述のように決定される部品配列は、想定ラインタクトが最短となるような部品種ごとの分割数(以下、初期分割数という)を示している。さらに、配列決定部303は、このように算出された想定ラインタクトを、後に分割数決定部307によって算出された分割数に従って、再度算出し直す。
分割数決定部307は、計画ラインタクト算出部302によって算出された計画ラインタクトと、配列決定部303によって直前に算出された想定ラインタクトとに基づいて、上述の分割数を算出して決定する。
表示部308は、例えば分割数決定部307によって決定された分割数などを表示して、工場内の生産ラインLのオペレータに報知する。
制御部306は、入力部305により入力された結果や、通信部309を介して得られたデータなどに基づいて、計画ラインタクト算出部302、配列決定部303、分割数決定部307、および表示部308を制御する。また、制御部306は、入力部305により入力された内容や、通信部309を介して得られたデータなどに基づいて、生産計画データ301aや実装データ304aを作成または修正して、生産計画格納部301や実装データ格納部304に格納する。
図10は、計画ラインタクト算出部302の動作を説明するための説明図である。
計画ラインタクト算出部302は、制御部306から計画ラインタクトの算出を指示されると、まず、生産計画格納部301に格納されている生産計画データ301aを読み出す。
例えば、読み出された生産計画データ301aは、実装基板Baの生産期間および生産枚数と、実装基板Bbの生産期間および生産枚数とを示す。実装基板Baの生産期間は、2006年5月1日の0時から12時までであり、実装基板Baの生産枚数は500枚である。また、実装基板Bbの生産期間は2006年5月1日の12時から14時までであり、実装基板Bbの生産枚数は200枚である。
計画ラインタクト算出部302は、生産計画データ301aに示される実装基板Baの生産期間および生産枚数に基づいて、実装基板Baの計画ラインタクトTpaを算出する。つまり、計画ラインタクト算出部302は、生産期間から生産時間「12×60×60(秒)」を算出し、その生産時間を生産枚数「500(枚)」で除算する。その結果、計画ラインタクト算出部302は、実装基板Baの計画ラインタクトTpa=86.4(秒)を算出する。
同様に、計画ラインタクト算出部302は、生産計画データ301aに示される実装基板Bbの生産期間および生産枚数に基づいて、実装基板Bbの計画ラインタクトTpbを算出する。つまり、計画ラインタクト算出部302は、生産期間から生産時間「2×60×60(秒)」を算出し、その生産時間を生産枚数「200(枚)」で除算する。その結果、計画ラインタクト算出部302は、実装基板Bbの計画ラインタクトTpb=36(秒)を算出する。
図11は、配列決定部303および分割数決定部307の動作を説明するための説明図である。
例えば、配列決定部303は、図11の(a)に示すように、実装基板Baに対して、スループットが最大となるように、各部品種の初期分割数を含む部品配列を決定するとともに、想定ラインタクトを算出する。つまり、配列決定部303は、部品Paの初期分割数「4」、部品Pbの初期分割数「4」、および部品Pcの初期分割数「4」を決定するとともに、そのときの実装基板Baの想定ラインタクト「50秒」を算出する。ここで、1枚の実装基板Baの生産に対して実装される部品Paの数は100個であり、部品Pbの数は20個であり、部品Pcの数は50個である。したがって、同時吸着において1枚の実装基板の生産のために1つの部品リールPTから取り出される部品の数を単位実装数という場合、上述のように各部品種の初期分割数が決定されたときには、部品Paの単位実装数は「100/4=25」であり、部品Pbの単位実装数は「20/4=5」であり、部品Pcの単位実装数は「50/4=12.5」である。
そこで、分割数決定部307は、配列決定部303で算出された想定ラインタクト「50秒」が計画ラインタクト「86.4秒」よりも短いため、単位実装数が最も少ない部品種の初期分割数を1つだけ減少させる。つまり、分割数決定部307は、図11の(b)に示すように、部品Pbの初期分割数「4」を1つだけ減少させて、分割数「3」を算出する。
配列決定部303は、分割数決定部307によって新たな分割数が算出されると、その算出された分割数に基づいて、再び想定ラインタクトを算出し直して、想定ラインタクト「56秒」を算出する。
このように本実施の形態では、上述のように単位実装数が最も少ない部品種に対応する分割数(初期分割数)を優先的に少なくするため、想定ラインタクトの微調整を行うことができる。例えば、単位実装数の最も多い部品Paの初期分割数「4」が減少されて、その分割数が「3」となった場合には、単位実装数が25から33に大幅に増加することによって、想定ラインタクトが大幅に長くなる。その結果、その分割数の変更だけで、想定ラインタクトが計画ラインタクトの86.4秒よりも長くなってしまうことがある。そこで、本実施の形態では、部品Paの分割数ではなく部品Pbの分割数を優先的に少なくする。
分割数決定部307は、配列決定部303で算出された想定ラインタクト「56秒」が未だ計画ラインタクト「86.4秒」よりも短いため、図11の(c)に示すように、単位実装数が最も少ない部品Pbの分割数「3」をさらに1つだけ減少させて、分割数「2」を算出する。
配列決定部303は、分割数決定部307によって新たな分割数が算出されると、その算出された分割数に基づいて、再び想定ラインタクトを算出し直して、想定ラインタクト「65秒」を算出する。
分割数決定部307は、配列決定部303で算出された想定ラインタクト「65秒」が未だ計画ラインタクト「86.4秒」よりも短いため、図11の(d)に示すように、単位実装数が最も少ない部品Pbの分割数「2」をさらに1つだけ減少させて、分割数「1」を算出する。
配列決定部303は、分割数決定部307によって新たな分割数が算出されると、その算出された分割数に基づいて、再び想定ラインタクトを算出し直して、想定ラインタクト「74秒」を算出する。
分割数決定部307は、配列決定部303で算出された想定ラインタクト「74秒」が未だ計画ラインタクト「86.4秒」よりも短いため、図11の(e)に示すように、単位実装数が最も少ない部品Pcの初期分割数「4」を1つだけ減少させて、分割数「3」を算出する。
配列決定部303は、分割数決定部307によって新たな分割数が算出されると、その算出された分割数に基づいて、再び想定ラインタクトを算出し直して、想定ラインタクト「87秒」を算出する。
ここで、分割数決定部307は、配列決定部303で算出された想定ラインタクト「87秒」が計画ラインタクト「86.4秒」よりも長いと判断する。その結果、分割数決定部307は、直前に算出された分割数を元に戻す。つまり、分割数決定部307は、部品Pcの分割数「3」を分割数「4」に戻す。
その結果、分割数決定部307は、実装基板Baの生産に対して、部品Paの分割数「4」と、部品Pbの分割数「1」と、部品Pcの分割数「4」とを決定する。
このように、分割数決定部307は、想定ラインタクトが計画ラインタクトに納まる範囲で、各部品種の分割数を、配列決定部303で決定された各部品種の初期分割数から増加させる。そして、分割数決定部307は、想定ラインタクトが計画ラインタクトに最も近づくような各部品種の分割数を決定する。
図12は、実装条件決定装置300の動作を示すフローチャートである。
まず、計画ラインタクト算出部302は、所定の実装基板に対する計画ラインタクトを、生産計画データ301aに基づいて算出する(ステップS100)。
配列決定部303は、スループットが最大となるような部品配列を決定する(ステップS102)。さらに、配列決定部303は、その部品配列に基づいて想定ラインタクトを算出する(ステップS104)。
分割数決定部307は、ステップS104で算出された想定ラインタクトが、ステップS100で算出された計画ラインタクトよりも短いか否かを判別する(ステップS106)。ここで、分割数決定部307は、短いと判別すると(ステップS106のY)、単位実装数が最も少ない部品種を特定し、ステップS102で決定された部品配列におけるその部品種の分割数(初期分割数)を1つだけ減少させる(ステップS108)。
ステップS108で分割数が変更されると、配列決定部303は、その変更された分割数に従って、再び想定ラインタクトを算出する(ステップS110)。
そして、分割数決定部307は、再び算出された想定ラインタクトが、ステップS100で算出された計画ラインタクトよりも短いか否かを判別する(ステップS106)。
このように、分割数決定部307と配列決定部303とは、ステップS106で想定ラインタクトが計画ラインタクト以上(ステップS106のN)となるまで、ステップS106〜S110までの動作を繰り返して実行する。
分割数決定部307は、ステップS106で想定ラインタクトが計画ラインタクト以上になったと判別すると(ステップS106のN)、さらに、想定ラインタクトが計画ラインタクトと等しいか否かを判別する(ステップS112)。
分割数決定部307は、ステップS112で異なると判別すると(ステップS112のN)、直前のステップS108で減少された部品種の分割数を1つだけ増やして元に戻す(ステップS114)。そして、分割数決定部307は、各部品種の現状の分割数を最終的に決定して表示部308に表示させる(ステップS116)。一方、分割数決定部307は、ステップS112で等しいと判別すると(ステップS112のY)、上述のように分割数を元に戻すことなく、各部品種の現状の分割数を最終的に決定して表示部308に表示させる(ステップS116)。
このように本実施の形態では、想定ラインタクトが予め定められた計画ラインタクト以下となる範囲で、最少の分割数が決定される。したがって、その決定された分割数の部品リールPTを部品実装機100にセットして、その部品実装機100に部品実装をさせれば、例え、実装基板の生産が中止された場合であっても、無駄になってしまった部品の部品在庫数が抑えられているため、実装基板の生産に無駄な費用が発生するのを防ぐことができる。さらに、本実施の形態では、計画ラインタクト内で実装基板を確実に生産することができる。また、本実施の形態では、最少の分割数が決定されることにより、同時に多くの部品切れが発生する確率を低下させることができ、一度に多くの部品リールPTを購入して部品在庫数が大幅に増加してしまうことを防ぐことができる。
(変形例)
ここで、本実施の形態における変形例について説明する。
本変形例に係る実装条件決定装置は、部品在庫数に上限を設定し、その上限に基づいて各部品種の分割数を導出する。
図13は、本変形例に係る実装条件決定装置の機能ブロック図である。
本変形例に係る実装条件決定装置300aは、出庫データ取得部311と、実装結果取得部312と、部品在庫数算出部313と、実装データ格納部304と、入力部305と、制御部315と、上限データ格納部316と、分割数決定部317と、表示部308と、通信部309とを備えている。
入力部305は、例えばキーボードやマウスなどで構成され、表示部308は、例えば液晶ディスプレイなどによって構成されている。
通信部309は、工場内の生産ラインLを構成する各生産設備と通信したり、インターネットなどを介して工場外の各端末と通信する。
実装データ格納部304は、実装データ304aを格納している。この実装データ304aは、実装すべき部品や、その部品が実装される基板20上の位置(実装点)、その部品に応じたノズルのサイズなどを示す。
出庫データ取得部311は、部品棚にある棚管理端末400から、通信部309を介して出庫データを取得する。この出庫データは、部品棚から工場へ出庫された部品の種類ごとに、その部品の出庫数を示す。
実装結果取得部312は、例えばポーリングなどにより、生産ラインLの各部品実装機100から通信部309を介して実装結果データを取得する。この実装結果データは、部品実装機100によって実装された部品(部品種)と、その部品の数(以下、実装数という)とを示す。
部品在庫数算出部313は、出庫データ取得部311で取得された出庫データと、実装結果取得部312で取得された実装結果データとに基づいて、部品種ごとの部品在庫数を算出する。そして、部品在庫数算出部313は、その算出した部品種ごとの部品在庫数を表示部308に表示させる。
上限データ格納部316は、上限データ316aを格納している。この上限データ316aは、部品種ごとの部品在庫数の上限値を示す。このような上限値は、例えば、部品や基板20などを工場に提供して実装基板の生産を依頼する企業などによって定められ、例えば、月単位や週単位で変更される。
分割数決定部317は、部品在庫数算出部313によって算出された部品種ごとの部品在庫数と、上限データ316aの示す部品種ごとの上限値とに基づいて、部品種ごとの追加可能リール数を算出する。追加可能リール数とは、生産ラインLの部品実装機100に対して新たにセットすることが可能な部品リールPTの数、つまり現在の分割数に対して増加することができる数(分割増加可能数)を示す。
例えば、生産ラインLの部品実装機100に既にセットされている部品Paの部品リールPTの数が2であって、部品Paの追加可能リール数が1の場合には、部品Paの部品リールPTを1つだけ新たにセットすることができる。つまり、部品Paの分割数「2」を「1」だけ増加させることができる。
さらに、分割数決定部317は、部品種ごとに、上述のように算出した分割増加可能数を現在の分割数に加算することにより、部品種ごとの分割数を算出して決定する。そして、分割数決定部317は、その決定した分割数を表示部308に表示させる。
図14は、表示部308によって表示される部品在庫数を示す図である。
例えば、出庫データは、部品Paの出庫数「150000」と、部品Pbの出庫数「250000」と、部品Pcの出庫数「750000」とを示す。また、実装結果データは、部品Paの実装数「12500」と、部品Pbの実装数「52500」と、部品Pcの実装数「7000」とを示す。
部品在庫数算出部313は、上述のような出庫データおよび実装結果データを取得すると、部品種ごとに、その部品種の出庫数から実装数を減算することにより、部品在庫数を算出して、その部品在庫数を表示部308に表示させる。
例えば、部品在庫数算出部313は、部品Paの出庫数「150000」から部品Paの実装数「12500」を減算することにより、その部品Paの部品在庫数「137500」を算出して表示部308に表示させる。
さらに、部品在庫数算出部313は、出庫データに示される各部品種の出庫数と、それらの積算値(合計)とを表示部308に表示させるとともに、実装結果データに示される各部品種の実装数と、それらの積算値(合計)とを表示部308に表示させる。そして、部品在庫数算出部313は、各部品種の部品在庫数を積算して得られた合計を表示部308に表示させる。また、部品在庫数算出部313は、各部品の単価を保持しており、部品種ごとに、その部品の単価と部品在庫数とを乗算して表示部308に表示させる。つまり、工場内で実装されていない未使用の部品の累計金額が部品種ごとに表示される。さらに、部品在庫数算出部313は、各部品種の累計金額を積算して得られた合計を表示部308に表示させる。
このように表示部308によって表示される部品在庫数などは、最新の出庫データや実装結果データが取得され次第、随時更新される。
図15は、分割数決定部317の動作を説明するための図である。
分割数決定部317は、上述のように部品在庫数算出部313によって部品種ごとの部品在庫数が算出されると、まず、上限値からその部品在庫数を減算する。例えば、分割数決定部317は、部品Paの上限値「150000」から、部品Paの部品在庫数「137500」を減算することにより、追加可能部品数「12500」を算出する。
さらに、分割数決定部317は、このように算出された追加可能部品数を、リール部品数で除算することにより、その商を追加可能リール数として算出する。リール部品数は、初期状態の部品リールに格納されている部品の員数である。
例えば、分割数決定部317は、上述のように部品Paの追加可能部品数「12500」を算出すると、その追加可能部品数「12500」を、部品Paのリール部品数「10000」で除算する。その結果、商は1となり、余りは2500となる。したがって、分割数決定部317は、追加可能リール数「1」を算出する。
さらに、分割数決定部317は、算出された部品Paの追加可能リール数「1」を分割増加可能数として、現在の分割数(例えば、14)に加算することにより、新たな分割数「15」を算出する。
図16は、本変形例に係る実装条件決定装置の具体的な動作を説明するための説明図である。
例えば、部品実装機100は、図16の(a)に示すように、Z番号「Z2,Z3」のそれぞれに部品Paの部品リールPTがセットされている状態で、それぞれの部品リールPTから部品Paを取り出して、その部品Paを基板20に実装している。なお、部品実装機100のヘッドには、部品Paを吸着するための4つのノズルが取着されている。したがって、部品実装機100は、1タスクで2つのノズルを同時に2回昇降させて、4つのノズルのそれぞれに部品Paを吸着させる。
実装条件決定装置300aの制御部315は、上述のように部品実装機100で部品実装が行われているときには、実装結果取得部312に取得された実装結果データに基づいて、部品実装機100に部品切れが発生したか否かを判別する。なお、部品切れとは、部品リールに格納されている部品の数が0または所定数以下になった状態をいう。
例えば、制御部315は、図16の(b)に示すように、Z番号「Z3」の部品リールPTに対して部品Paの部品切れを検出する。
部品切れを検出した制御部315は、部品切れの部品Paの新たな分割数を算出するように、分割数決定部317に指示する。
例えば、上述のように指示を受けた分割数決定部317は、図16の(c)に示すように、部品Paの部品リールPTに対する追加可能リール数「3」、つまり部品Paの分割増加可能数「3」を算出する。そして、分割数決定部317は、図16の(d)に示すように、例えば、部品Paの現在の分割数「1」に分割増加可能数「3」を加算することで、新たな分割数「4」を算出して決定し、表示部308に表示させる。
実装条件決定装置300aのオペレータは、表示部308を見ることによって、その新たな分割数を知得し、その分割数に応じて、部品Paを格納する新たな部品リールPTを部品実装機100にセットする。つまり、オペレータは、図16の(e)に示すように、Z番号「Z3」の部品切れとなった部品リールPTを部品実装機100から取り外し、Z番号「Z3,Z4,Z5」に新たな部品リールPTをセットする。その結果、部品実装機100において、部品Paの分割数は「4」となる。
部品Paの分割数が「4」にされた部品実装機100は、1タスクで4つのノズルを同時に1回だけ昇降させて、4つのノズルのそれぞれに部品Paを同時に吸着させ、基板20に対する部品実装を継続する。
図17は、本変形例に係る実装条件決定装置の他の具体的な動作を説明するための説明図である。
例えば、部品実装機100は、図17の(a)に示すように、Z番号「Z2,Z3」のそれぞれに部品Paの部品リールPTがセットされている状態で、それぞれの部品リールPTから部品Paを取り出して、その部品Paを基板20に実装している。なお、部品実装機100のヘッドには、部品Paを吸着するための4つのノズルが取着されている。したがって、部品実装機100は、1タスクで2つのノズルを同時に2回昇降させて、4つのノズルのそれぞれに部品Paを吸着させる。
実装条件決定装置300aの制御部315は、上述のように部品実装機100で部品実装が行われているときには、図17の(b)に示すように、例えば、入力部305による入力操作などに基づいて、ロット切換が発生したか否かを判別する。なお、ロット切換とは、生産ラインLの生産対象である実装基板の種類が切り換えられることをいう。
ロット切換を検出した制御部315は、新たな実装基板の生産に必要とされる部品の新たな分割数を算出するように、分割数決定部317に指示する。
例えば、上述のように指示を受けた分割数決定部317は、図16の(c)に示すように、部品Pbの部品リールPTに対する追加可能リール数「4」、つまり部品Pbの分割増加可能数「4」を算出する。そして、分割数決定部317は、図16の(d)に示すように、例えば、部品Pbの現在の分割数「0」に分割増加可能数「4」を加算することで、新たな分割数「4」を算出して決定し、表示部308に表示させる。
実装条件決定装置300aのオペレータは、表示部308を見ることによって、その新たな分割数を知得し、その分割数に応じて、部品Pbを格納する新たな部品リールPTを部品実装機100にセットする。つまり、オペレータは、図16の(e)に示すように、新たな実装基板の生産に必要とされない部品Paの部品リールPTを部品実装機100から取り外し、Z番号「Z2,Z3,Z4,Z5」に新たな部品Pbの部品リールPTをセットする。その結果、部品実装機100において、部品Paの分割数は「0」となり、部品Pbの分割数は「4」となる。
部品Pbの分割数が「4」にされた部品実装機100は、1タスクで4つのノズルを同時に1回だけ昇降させて、4つのノズルのそれぞれに部品Pbを同時に吸着させ、基板20に対する部品実装を開始する。これにより、新たな実装基板の生産が開始される。
図18は、本変形例に係る実装条件決定装置300aの動作を示すフローチャートである。
まず、実装条件決定装置300aの出庫データ取得部311は、部品棚の棚管理端末400から通信部309を介して出庫データを取得する(ステップS200)。出庫データ取得部311で出庫データが取得されると、部品在庫数算出部313は、その取得された出庫データの示す部品種ごとの出庫数を特定する(ステップS202)。
また、実装条件決定装置300aの実装結果取得部312は、生産ラインLの各部品実装機100から通信部309を介して実装結果データを取得する(ステップS204)。実装結果取得部312で実装結果データが取得されると、部品在庫数算出部313は、その取得された実装結果データの示す部品種ごとの実装数を特定する(ステップS206)。
そして、部品在庫数算出部313は、部品種ごとに、ステップS202で特定された出庫数から、ステップS206で特定された実装数を減算することにより、部品在庫数を算出する(ステップS208)。さらに、部品在庫数算出部313は、部品種ごとに、ステップS202で特定された出庫数と、ステップS206で特定された実装数と、ステップS208で算出された部品在庫数とを表示部308に表示させる(ステップS210)。
次に、実装条件決定装置300aの制御部315は、部品切れやロット切換の発生によって部品リールPTの取り換えが必要か否かを判別する(ステップS212)。ここで、制御部315は、部品リールPTの取り換えが必要でないと判別すると(ステップS212のN)、出庫データ取得部311、実装結果取得部312、および部品在庫数算出部313に、ステップS200からの処理を繰り返し実行させる。
一方、制御部315は、ステップS212で部品リールPTの取り換えが必要と判別すると(ステップS212のY)、分割数決定部317に対して、新たにセットされるべき部品リールPTの分割数を導出するように指示する。このような指示を受けた分割数決定部317は、上限データ格納部316に格納されている上限データ316aを取得し(ステップS214)、追加可能リール数を算出する(ステップS216)。
そして、分割数決定部317は、算出された追加可能リール数を現在の分割数に加算することにより新たな分割数を算出して決定し、その分割数を表示部308に表示させる(ステップS218)。
制御部315は、新たな分割数が表示部308に表示されると、実装を再開すべきか否かを判別する(ステップS220)。ここで、制御部315は、再開すべきと判別したときには(ステップS220のY)、出庫データ取得部311、実装結果取得部312、部品在庫数算出部313、および分割数決定部317に、ステップS200からの処理を繰り返し実行させる。一方、制御部315は、再開すべきでないと判別したときには(ステップS220のN)、出庫データ取得部311などに対して全ての処理を終了させる。
このように本変形例では、部品在庫数が上限値以下となる範囲で分割数が決定されるため、部品在庫数を上限値以下に確実に抑えて実装基板の生産に無駄な費用が発生するのを確実に防ぐことができるとともに、その範囲で分割数を最大にすることで、ラインタクトを短く、つまりスループットを向上することができる。
以上、本発明に係る実装条件決定方法について、実施の形態およびその変形例を用いて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態およびその変形例では、実装条件決定装置300,300aを生産ラインLや部品実装機100から独立した装置としたが、実装条件決定装置300,300aを部品実装機100に備えてもよい。これにより、部品実装機100のオペレータは、その部品実装機100に表示される分割数に従って部品リールPTを部品実装機100にセットすることができる。
また、上記実施の形態では、ラインタクトを用いて分割数を決定したが、マシンタクトを用いて分割数を決定してもよい。マシンタクトとは、部品実装機100によって実装基板が生産される時間である。つまり、本実施の形態および変形例の生産ラインLを1台の部品実装機として扱ってもよい。また、部品実装機100のサブ設備110,120のそれぞれを1台の部品実装機として扱ってもよい。
また、上記変形例では、部品在庫数が上限値以下となるように分割数を決定したが、部品在庫数の部品を購入するための金額(在庫部品購入金額)が上限金額以下となるように分割数を決定してもよい。この場合には、図15に示す部品在庫数は在庫部品購入金額で示され、上限値は上限金額で示され、追加可能部品数およびリール部品数も、それぞれの数の部品を購入するための金額で示される。また、実装条件決定装置300aの制御部315は、適正とされる部品在庫数から上述の上限値を求め、その上限値を示す上限データ316aを上限データ格納部316に格納してもよい。
また、上記変形例では、上限データ316aが部品種ごとの上限値を示したが、全部品種の上限値や上限金額を示してもよい。この場合には、全部品種に対する追加可能リール数が算出されて、全部品種に対する分割数が決定される。
また、上記変形例では、部品切れやロット切換のタイミングで分割数を決定したが、他のタイミング、例えば図14に示される部品種ごとの部品在庫数(金額)または全体の部品在庫数(金額)が所定の部品在庫数(金額)以下となったタイミングで分割数を決定してもよい。
また、上記変形例では、上限値から部品在庫数を減算することで追加可能部品数を算出し、その追加可能部品数から追加可能リール数および分割数を決定したが、逆に、分割数を決定して、その決定された分割数を、上限値を用いて修正してもよい。つまり、分割数決定部317は、まず、分割数を適当な数に決定する。そして、分割数決定部317は、その分割数に応じた部品在庫数を算出し、その部品在庫数が上限値を超えているか否かを判別する。分割数決定部317は、上限値を超えていると判別すると、先に決定された分割数をn(nは1以上の整数)だけ減らし、再び、その減らされた分割数に応じた部品在庫数が上限値を超えているか否かを判別する。このように、分割数決定部317は、部品在庫数が上限値以下となるまで、分割数をnずつ減らして修正する。また、このような方法に限られず他の方法によって分割数を決定してもよい。