JP2008016566A - ダイシング用基体フイルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ダイシング工程における切削屑(ダイシング後にフイルムから発生する糸状又はヒゲ状の屑)の発生がほとんどなく、帯電防止性に優れたダイシング用基体フイルムを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂中に架橋されたゴム粒子が微分散した熱可塑性エラストマー組成物70〜90重量%と帯電防止剤10〜30重量%とを含むダイシング用基体フイルムであり、該帯電防止剤が、ポリエーテルエステルアミド樹脂又は親水性ポリオレフィン樹脂であるダイシング用基体フイルム。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性樹脂中に架橋されたゴム粒子が微分散した熱可塑性エラストマー組成物70〜90重量%と帯電防止剤10〜30重量%とを含むダイシング用基体フイルムであり、該帯電防止剤が、ポリエーテルエステルアミド樹脂又は親水性ポリオレフィン樹脂であるダイシング用基体フイルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、半導体ウエハ等をチップ状にダイシングする際に、半導体ウエハ等を固定するためのダイシングフイルムに関する。
半導体ウエハは、予め大面積で作られた後、チップ状にダイシング(切断分離)されてマウント工程に移される。そのダイシングに際して、半導体ウエハを固定するために用いられるのがダイシングフイルムである。
ダイシングフイルムは、基本的には半導体ウエハを固定する粘着剤層とダイシングカッターの切り込みを受ける樹脂層(ダイシング用基体フイルム)とから構成されている。ダイシングフイルムに固定された半導体ウエハは、チップ状にダイシングされる。
半導体ウエハのダイシング工程では、ウエハとともに粘着剤層又はダイシング用基体フイルムの一部も切断されて、切削屑(ダイシング屑)が発生する。この切削屑は、ウエハを汚染しチップの歩留まりを低下させるため、極力低減させる必要がある。
例えば、ダイシング工程における切削屑をなくすことを主な目的として、次のようなダイシングフイルムが報告されている。
特許文献1には、基材フイルムとして、電子線又はγ線を1〜80Mrad照射したポリエチレン等のポリオレフィン系フイルムが記載されている。しかし、このフイルムは、架橋性樹脂全体を電子線等で架橋するものであるため硬くなり充分なエキスパンド性が得られない。
特許文献2には、基材フイルムとして、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体フイルムが記載されている。しかし、このフイルムは、ある程度の切削屑を低減できるが、必ずしも充分ではない。
特許文献3には、主に、エチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルの3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂を主成分とする樹脂層Bと粘着剤層Aとが積層された半導体ウエハ固定用粘着テープが記載されている。しかし、このフイルムは、金属イオンを含むためウエハの汚染が問題となる。
特許文献4には、粘着剤被塗布層と、熱可塑性エラストマー層と樹脂層とがこの順に積層され、前記熱可塑性エラストマー層が、水素添加したスチレン−ブタジエン共重合体を70質量%以上含む樹脂組成物からなり、層厚が基材肉厚に対して30%以上である粘着テープ用基材が記載されている。しかし、このフイルムは、切削屑の低減効果は必ずしも充分ではない。
ところで、特許文献5には、SEBS等のポリスチレン系共重合体に、軟化剤、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン等)、1,2−ポリブタジエン系エラストマー(ポリブタジエン、SBS等)、及び有機パーオキサイドを添加して得られる、いわゆる動的架橋型エラストマー組成物が記載されている。このエラストマー組成物は、優れた耐熱性及び耐油性を有している。
ところで、該半導体ウエハを固定するダイシングフイルムに静電気が帯電してしまうと、周辺にある粉塵やダイシングの際に発生する切削粉等を吸着して半導体ウエハ自身が汚染されてしまう、また、帯電した静電気によりウエハに形成したIC(集積回路)が破壊されてしまうという問題があった。
かかる問題を解決する手段として、界面活性剤を含有した帯電防止剤層を基材シートと粘着剤層の間、又は基材シートとオーバーコート剤層の間に成層した半導体ウエハ固定用シートが報告されている(例えば、特許文献6)。
さらに、帯電防止剤層の耐水性向上のために、基材シートと粘着剤層の間および/または該基材シートの該粘着剤層の成層されていない面に、ベースポリマ100重量部、光硬化性化合物10〜200重量部、帯電防止剤0.055〜25重量部および光開始剤0.1〜10重量部を配合した光硬化型帯電防止剤層を0.1〜20g/m2の積層量で積層し光重合させ該光硬化型帯電防止剤層の構造を3次元網目状構造とすることが報告されている(例えば、特許文献7)。
特開平5−211234号公報
特開平5−156214号公報
特開平9−8111号公報
特開2005−272724号公報
特開2002−173574号公報
特開平9−190990号公報
特開2000−183140号公報
本発明は、ダイシング工程における切削屑(ダイシング後にフイルムから発生する糸状又はヒゲ状の屑)の発生がほとんどなく、静電気の除電性能に優れたダイシング用基体フイルムを提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂をマトリクス(海相)とし、これに架橋されたゴム粒子のドメイン(島相)が分散された熱可塑性エラストマー組成物に、所定量の帯電防止剤を加えてなるフイルムが、ダイシング加工時に切削屑がほとんど発生せず、しかも静電気の帯電を防ぐことができることを見出した。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記のダイシング用基体フイルムを提供する。
項1. 熱可塑性樹脂中に架橋されたゴム粒子が微分散した熱可塑性エラストマー組成物70〜90重量%と帯電防止剤10〜30重量%とを含むダイシング用基体フイルム。
項2. 帯電防止剤が、ポリエーテルエステルアミド樹脂又は親水性ポリオレフィン樹脂である項1に記載のダイシング用基体フイルム。
項3. 架橋されたゴム粒子の平均粒子径が0.1〜50μmである項1又は2に記載のダイシング用基体フイルム。
項4. 前記ダイシング用基体フイルムの表面におけるゴム粒子の面積の割合が1〜75%である項1、2又は3に記載のダイシング用基体フイルム。
項5. 熱可塑性エラストマー組成物が、熱可塑性樹脂、架橋可能な共重合ゴム及び軟化剤を含有する樹脂組成物を、架橋剤の存在下、動的架橋して得られる架橋組成物である項1〜4のいずれかに記載のダイシング用基体フイルム。
項6. 架橋可能な共重合ゴムが、オレフィン系共重合ゴムまたはスチレン系共重合ゴムである項5に記載のダイシング用基体フイルム。
項7. 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂及び/又はポリスチレン系樹脂である項1〜6のいずれかに記載のダイシング用基体フイルム。
項8. ポリオレフィン系樹脂が、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びプロピレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である項7に記載のダイシング用基体フイルム。
項9. ポリスチレン系樹脂が、スチレン単独重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体及びスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物からなる群より選ばれる少なくとも1種である項7に記載のダイシング用基体フイルム。
項10. 項1〜9のいずれかに記載のダイシング用基体フイルムにさらに粘着剤層を有するダイシングフイルム。
以下、本発明を詳細に説明する。
I.ダイシング用基体フイルム
本発明のダイシング用基体フイルムは、熱可塑性樹脂のマトリクス(海相)中に、架橋されたゴム粒子のドメイン(島相)が微分散した熱可塑性エラストマー組成物(以下、「TPE組成物」とも表記する)と帯電防止剤を含む。
I.ダイシング用基体フイルム
本発明のダイシング用基体フイルムは、熱可塑性樹脂のマトリクス(海相)中に、架橋されたゴム粒子のドメイン(島相)が微分散した熱可塑性エラストマー組成物(以下、「TPE組成物」とも表記する)と帯電防止剤を含む。
この熱可塑性エラストマー組成物は、(i)熱可塑性樹脂、(ii)架橋可能な共重合ゴム及び(iii)軟化剤を含有する樹脂組成物を、(iv)架橋剤の存在下、動的架橋して得られる。さらに、該熱可塑性エラストマー組成物と帯電防止剤とをブレンドした後、フイルムに成形してダイシング用基体フイルムを得る。
なお、動的架橋とは、熱可塑性樹脂のマトリックス中に架橋可能な共重合ゴムをブレンドし、溶融状態又は半溶融状態で混練しながら架橋させることを意味する。これにより、架橋されたゴム粒子をマトリックス中にミクロに分散させた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
(i)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、ダイシング用の基体として用い得るものであれば特に限定はないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂及び/又はポリスチレン系樹脂が挙げられる。
(i)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、ダイシング用の基体として用い得るものであれば特に限定はないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂及び/又はポリスチレン系樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンまたはプロピレン−α−オレフィン共重合体等が例示され、これらをそれぞれ単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。ここでα−オレフィンとしては、炭素数2以上(ただし、炭素数3は除く)のα―オレフィンを挙げることができ、例えば、エチレン、1-ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が例示できる。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン単独重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体またはスチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物等が例示され、これらをそれぞれ単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。ここで共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が例示できが、特に、ブタジエン、イソプレンが好ましい。
上記熱可塑性樹脂のうち、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物が好ましい。
(ii)架橋可能な共重合ゴム
架橋可能な共重合ゴムとしては、架橋後に粒子状にマトリックス中で微分散できるものであれば特に限定はなく、例えば、オレフィン系共重合ゴム、スチレン系共重合ゴム等が挙げられる。
(ii-1)オレフィン系共重合ゴム
オレフィン系共重合ゴムとしては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム、シリコンゴム、イソプレンゴム、ポリブタジエン、アクリルゴム、クロロプレンゴム、および上記ゴムの水素添加物、ハロゲン化物、官能基変性物などが挙げられる。なかでも、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。
(ii)架橋可能な共重合ゴム
架橋可能な共重合ゴムとしては、架橋後に粒子状にマトリックス中で微分散できるものであれば特に限定はなく、例えば、オレフィン系共重合ゴム、スチレン系共重合ゴム等が挙げられる。
(ii-1)オレフィン系共重合ゴム
オレフィン系共重合ゴムとしては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム、シリコンゴム、イソプレンゴム、ポリブタジエン、アクリルゴム、クロロプレンゴム、および上記ゴムの水素添加物、ハロゲン化物、官能基変性物などが挙げられる。なかでも、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。
架橋可能な共重合ゴムとして好ましく用いられるエチレン−α−オレフィン共重合ゴム及びエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム(以下、両者合わせて「エチレン系共重合ゴム」ともいう)は、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンを、さらにはこれらと非共役ジエンを共重合したランダム共重合ゴムである。エチレンと共重合される炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィンとして、プロピレン、1−ヘキセン、1−ブテン、1−ヘキセン、1ーペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。炭素数3以上のα−オレフィンは2種類以上用いてもよい。
上記非共役ジエンとしては、具体的に、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどが挙げられる。また、公知の方法でエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体に分岐構造を付与することも可能である。分岐構造を付与するための好ましいジエンとして、1,9−デカジエン、ノルボルナジエンなどを挙げることができる。エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体中、非共役ジエン成分の好ましい含量は、ヨウ素価表示で5〜50、より好ましくは10〜45である。
(ii-2)スチレン系共重合ゴム
スチレン系共重合ゴムとしては、例えば、式:A−(B−A)n及び/又は式:(A−B)nで表されるブロック共重合体、その水素添加物等が挙げられる。ここで、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」)であり、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」)であり、nは1〜5の整数である。
(ii-2)スチレン系共重合ゴム
スチレン系共重合ゴムとしては、例えば、式:A−(B−A)n及び/又は式:(A−B)nで表されるブロック共重合体、その水素添加物等が挙げられる。ここで、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」)であり、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」)であり、nは1〜5の整数である。
上記のブロック共重合体において、Aブロックはハードセグメント、Bブロックはソフトセグメントを構成する。代表例としては、式:A−B又は式:A−B−Aであり、式:A−B−Aのトリブロックが特に好ましい。これらは、Bブロックの不飽和二重結合が水素添加されているブロック共重合体である。
Aブロックを構成するビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、α−メチルスチレン、核置換メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。特に、スチレン単独又はスチレンを主成分とすることが好ましい。スチレンを主成分とする場合の残成分としては、α−メチルスチレン、無水マレイン酸などが好適である。
Bブロックは、共役ジエン単独重合ブロックの水素添加物または共役ジエンを主成分とした重合ブロックの水素添加物が好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。特に、ブタジエン、イソプレン又は両者の混合物が好ましい。
スチレン系共重合ゴムのBブロック水素添加率は、通常80〜99.9%、好ましくは85〜99.8%、更に好ましくは90〜99.6%である。水素添加率が前記範囲未満の場合は架橋させるべき不飽和二重結合が多すぎて多量の架橋剤が必要であると共に架橋密度が過大となることによって柔軟性が不足し、前記範囲を超える場合は架橋に利用できる不飽和二重結合が不足して得られる組成物の架橋特性の向上が僅かとなる。
(iii)軟化剤
本発明では、エラストマー組成物の硬度を調節するために軟化剤を添加する。使用する軟化剤としては、例えば、パラフィン系、芳香族系の鉱物油、シリコン油、植物油等が挙げられる。上記軟化剤は、熱可塑性樹脂と架橋可能な共重合ゴムの合計100重量部に対して20〜350重量部程度、好ましくは40〜250重量部程度添加される。
(iv)架橋剤
架橋剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等の有機過酸化物類、N−フェニルマレイミド、N−(2-クロロフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類、硫黄、硫黄化合物、キノン誘導体、エポキシ化合物等が挙げられる。
(iii)軟化剤
本発明では、エラストマー組成物の硬度を調節するために軟化剤を添加する。使用する軟化剤としては、例えば、パラフィン系、芳香族系の鉱物油、シリコン油、植物油等が挙げられる。上記軟化剤は、熱可塑性樹脂と架橋可能な共重合ゴムの合計100重量部に対して20〜350重量部程度、好ましくは40〜250重量部程度添加される。
(iv)架橋剤
架橋剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等の有機過酸化物類、N−フェニルマレイミド、N−(2-クロロフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類、硫黄、硫黄化合物、キノン誘導体、エポキシ化合物等が挙げられる。
架橋剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部程度、好ましくは1〜10重量部程度添加される。
(v)その他
また本発明においては、必要に応じて、架橋助剤を用いても良い。架橋助剤としては、単量体ではなく1,2−ポリブタジエン系エラストマーを使用する。このような高分子架橋助剤を使用することによって、架橋の生成は穏和に行われ、組成物を均一に混練することが出来、成形加工性が大幅に改良される。
(v)その他
また本発明においては、必要に応じて、架橋助剤を用いても良い。架橋助剤としては、単量体ではなく1,2−ポリブタジエン系エラストマーを使用する。このような高分子架橋助剤を使用することによって、架橋の生成は穏和に行われ、組成物を均一に混練することが出来、成形加工性が大幅に改良される。
1,2−ポリブタジエン系エラストマーとしては、例えばスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエンと1,4−ポリブタジエンとの混合物等が挙げられる。架橋助剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部程度添加される。
さらに、本発明の目的を損わない範囲内において、上記以外の各種熱可塑性樹脂やゴム、及びガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、タルク、マイカ、シリカ、チタニア、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の充填剤、並びに、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、石油樹脂、ブロッキング防止剤、分散剤、難燃剤、導電性付与剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤、着色剤等を含有していてもよい。これらは、必須成分(i)〜(iv)のいずれかに予め含有させておくか、又は、各成分を均一に混合時、溶融混練時或いは動的熱処理時に配合することができる。
これらの成分は、例えば、熱可塑性樹脂100重量部に対して0〜5重量部程度、好ましくは0〜2重量部程度添加することができる。
上記した(i)熱可塑性樹脂、(ii)架橋可能な共重合ゴム及び(iii)軟化剤を含有する樹脂組成物を、(iv)架橋剤の存在下、動的架橋して熱可塑性エラストマー組成物を得る方法は、例えば次の方法が例示される。
熱可塑性エラストマー組成物を調製するには、熱可塑性樹脂、架橋可能な共重合ゴム、軟化剤、必要に応じその他の成分を溶融混練してから、架橋助剤を添加して溶融混練し、その後架橋剤を添加して混練する方法、或いは、熱可塑性樹脂、架橋可能な共重合ゴム、軟化剤、架橋助剤、必要に応じその他の成分とを溶融混練してから、架橋剤を添加して混練する方法が挙げられる。溶融混練温度は、通常180〜220℃に設定される。このように、先に架橋剤以外の成分を溶融混練してから架橋剤を添加することによって、架橋反応前に架橋剤以外の成分が均一に混練され、この状態で架橋剤を添加することにより架橋反応を行ない、架橋反応の局在化を防止することが出来る。
上記のように、動的架橋の段階で、原料の架橋可能な共重合ゴムの配合量を調整して所望の熱可塑性エラストマー組成物を得ることもできるが、一旦調製した熱可塑性エラストマー組成物又は市販の動的架橋型熱可塑性エラストマーを、さらに同一又は異なる熱可塑性樹脂とブレンドして希釈して、組成物中の架橋されたゴム粒子の含有量を所望の範囲に調整することもできる。なお、市販の動的架橋型熱可塑性エラストマーとしては、例えば、三菱化学株式会社製のサーモラン、ラバロン、ジェイエスアール株式会社製のエクセリンク、アロン化成株式会社製のエラストマーAR等を例示することができる。
本発明のダイシング用基体フイルムでは、上記熱可塑性エラストマー組成物にさらに帯電防止剤を含有する。帯電防止剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤を選択できるが、とりわけ持続性、耐久性の点から、ポリエーテルエステルアミド樹脂、親水性ポリオレフィン樹脂等のノニオン系界面活性剤が好適である。
ポリエーテルエステルアミド樹脂は、親水性付与の主たるユニット成分であるポリエーテルエステルと、ポリアミドユニットとから構成されるポリマーであり、市販されているか、あるいは公知の方法で容易に製造することができる。ポリエーテルエステルアミド樹脂として、例えば、三洋化成工業(株)のペレスタットNC6321等が例示できる。また、特開昭64−45429号公報、特開平6−287547号公報等にその製造方法が記載されており、これによれば、例えば、主鎖中にエーテル基を有するポリジオール成分にジカルボン酸成分を反応させて末端エステルに変え、これにアミノカルボン酸又はラクタムを反応させて製造できる。
親水性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、親水性ポリエチレン又は親水性ポリプロピレンが例示できる。
親水性ポリエチレン樹脂又は親水性ポリプロピレン樹脂は、基本的にはポリエチレン鎖又はポリプロピレン鎖とポリオキシアルキレン鎖とがブロック結合したものであり、高い除電作用が発揮され静電気の蓄積をなくす。この結合は、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレタン基等によって行われている。フイルム樹脂との相溶性の点から、この結合はエステル基又はエーテル基であるのが好ましい。
親水性ポリプロピレン樹脂として、例えば、三洋化成工業(株)のペレスタット230等が例示できる。
親水性ポリエチレン又は親水性ポリプロピレンにおけるポリエチレン鎖又はポリプロピレン鎖の分子量は、例えば1200〜6000程度である。この分子量範囲であると、ポリオキシアルキレン鎖にポリエチレン又はポリプロピレンをブロック結合させる前段階の、ポリエチレン又はポリプロピレンの酸変性化が容易であるためである。
また、親水性ポリエチレン樹脂又は親水性ポリプロピレン樹脂におけるポリオキシアルキレン鎖の分子量は、耐熱性及び酸変性後のポリエチレン又はポリプロピレンとの反応性の点から、1000〜15000程度であるのがよい。なお、上記した分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて測定した値である。
親水性ポリエチレン樹脂又は親水性ポリプロピレン樹脂は、例えば、前記した分子量を有するポリエチレン又はポリプロピレンを酸変性し、これにポリアルキレングリコールを反応させて製造することができる。より詳細については、例えば、特開2001−278985号公報、特開2003−48990号公報に記載されている。
ポリエーテルエステルアミド樹脂又は親水性ポリオレフィン樹脂等の帯電防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂中に架橋されたゴム粒子が微分散した熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対し10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部である。かかる範囲であれば、本発明の特性を損なうことなく有効に半導電性が付与されるため、発生する静電気をすばやく除電することができる。例えば、上記した範囲で帯電防止剤を含有させた本発明のフイルムは、表面抵抗率は、107〜1012Ω/□程度となる。
上記の熱可塑性エラストマー組成物及び帯電防止剤を溶融混練又はドライブレンドしたものを、スクリュー式押出機に供給し、200〜225℃で単層Tダイからフイルム状に押出し、これを50〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で引き取る。これにより、ダイシング用基体フイルムが製造される。
或いは、上記の溶融混練又はブレンドした熱可塑性エラストマー組成物を、一旦ペレットとして取得した後、上記の様に押出成形してもよい。
なお、引き取りの際に実質的に無延伸とするのは、ダイシング後に行うフイルムの拡張を有効に行うためである。この実質的に無延伸とは、無延伸、或いは、ダイシングフイルムの拡張に悪影響を与えない程度の僅少の延伸を含むものである。通常、フイルム引き取りの際に、たるみの生じない程度の引っ張りであればよい。
また、熱可塑性エラストマー組成物における架橋されたゴム粒子の平均粒子径は0.1〜50μm程度、好ましくは0.1〜10μm程度である。架橋されたゴム粒子の平均粒子径が、0.1〜50μmのとき、効率的に切削屑を抑制することができる。
また、フイルム表面における架橋ゴム(粒子)の面積の割合は、1〜75%、好ましくは2〜60%である。この値が1より小さい場合には、切削屑を抑制する効果が発現せず、75%よりも大きい場合には、フイルム成形が困難となり好ましくない。
上記のゴム粒子の平均粒子径及びフイルム表面における架橋ゴム(粒子)の面積の割合は、試験例2に記載の方法により測定することができる。
また、ダイシング用基体フイルムの厚さは、少なくともダイサーの切り込み深さよりも厚くし、且つ容易にロ−ル状に巻くことができる程度であれば良く、例えば、60〜300μm程度、好ましくは60〜250μm程度に調整される。
本発明のダイシング用基体フイルムは、架橋されたゴム粒子がマトリックス中に微分散しているため、ダイシング工程における切削屑の発生がほとんどないダイシング用基体フイルムとなる。
以上のように、熱可塑性エラストマー組成物を含む単層のダイシング用基体フイルムについて述べてきたが、他の樹脂を積層した多層のダイシング用基体フイルムとしても良い。他の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が例示され、特にポリエチレン系樹脂が好適である。なお、フイルムの多層化はいずれも公知の方法を用いて行うことができる。
多層(二層)ダイシング用基体フイルムの熱可塑性エラストマー組成物の厚さは、少なくともダイサーの切り込み深さよりも厚くし、容易にロ−ル状に巻くことができる程度であれば良く、例えば、60〜300μm程度、好ましくは60〜250μm程度に調整される。
なお、ポリオレフィン系樹脂を最外層に含む多層ダイシング用基体フイルムでは、耐ブロッキング性が飛躍的に向上する。そのため、ロールに巻き取る際のブロッキングを防止する耐ブロッキング層として機能する。したがって該層の厚さは、熱可塑性エラストマー組成物の層の性能を阻害することなく、耐ブロッキング性を発現できれば特に限定されず、例えば、10〜100μm、好ましくは20〜60μmに調整される。
多層ダイシング用基体フイルムの製造は、多層共押出成形法を採用する。具体的には、上記した動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散する。また、他の樹脂をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散する。次に、得られた各混合物をスクリュー式押出機に供給し、200〜225℃で多層Tダイからフイルム状に押出し、これを50〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で引き取る。上記の、実質的に無延伸も単層フイルムの製法の場合と同義である。
II.ダイシングフイルム
上記により得られるダイシング用基体フイルムは、そのフイルム上に公知の粘着剤をコートして粘着剤層が形成され、さらに該粘着剤層上に離型層が形成されて、本発明のダイシングフイルムが製造される。なお、多層ダイシング用基体フイルムの場合は、熱可塑性樹脂中に架橋されたゴム粒子が微分散した熱可塑性エラストマー組成物及び帯電防止剤を含む層上に、粘着剤層及び離型層が形成される。
II.ダイシングフイルム
上記により得られるダイシング用基体フイルムは、そのフイルム上に公知の粘着剤をコートして粘着剤層が形成され、さらに該粘着剤層上に離型層が形成されて、本発明のダイシングフイルムが製造される。なお、多層ダイシング用基体フイルムの場合は、熱可塑性樹脂中に架橋されたゴム粒子が微分散した熱可塑性エラストマー組成物及び帯電防止剤を含む層上に、粘着剤層及び離型層が形成される。
粘着剤層で用いられる粘着剤成分としては、公知のものが用いられ、例えば、特開平5−211234号公報等に記載された粘着剤成分を用いることができる。なお、離型層も公知のものが用いられる。
この粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤が好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸エステルを主たる構成単量体単位とする単独重合体および共重合体から選ばれたアクリル系重合体、その他の官能性単量体との共重合体、およびこれら重合体の混合物が用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどが好ましく使用できる。アクリル系重合体の分子量は、1.0×105〜10.0×105であり、好ましくは、4.0×105〜8.0×105である。
また、上記のような粘着剤層中に放射線重合性化合物を含ませることによって、ウエハを切断分離した後、該粘着剤層に放射線を照射することによって、粘着力を低下させることができる。このような放射線重合性化合物としては、たとえば、光照射によって三次元網状化しうる分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有する低分子量化合物が広く用いられる(例えば、特開昭60−196,956号公報、特開昭60−223,139号公報等)。
具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレートなどが用いられる。
さらに、放射線重合性化合物として、上記のようなアクリレート系化合物のほかに、ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いることもできる。ウレタンアクリレート系オリゴマーは、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物と、多価イソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有するアクリレートあるいはメタクリレートを反応させて得られる。このウレタンアクリレート系オリゴマーは、炭素−炭素二重結合を少なくとも1個以上有する放射線重合性化合物である。
さらに、粘着剤層中には、上記のような粘着剤と放射線重合性化合物とに加えて、必要に応じ、放射線照射により着色する化合物(ロイコ染料等)、光散乱性無機化合物粉末、砥粒(粒径0.5〜100μm程度)、イソシアネート系硬化剤、UV開始剤等を含有させることもできる。
ダイシングフイルムは、通常テープ状にカットされたロール巻き状態で取得される。
本発明のダイシング用基体フイルムは、基体フイルム中に架橋されたゴム粒子を含んでいるので、ダイシング工程における切削屑の発生がほとんどないためウエハの汚染の心配がない。しかも、帯電防止剤を含むため静電気が帯電しなくなり、半導体ウエハの汚染やIC(集積回路)の破壊といった問題がなくなる。
以下に、本発明を、実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(SEBS樹脂 旭化成ケミカルズ株式会社製 タフテック H1062)50重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%および親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)20重量%をドライブレンドした。これをバレル温度180〜220℃の一軸押出機に供給して、230℃の単層Tダイスから押出し、設定温度60℃の引き取りロールにて冷却固化して、無延伸の状態で巻き取った。得られたフイルムの厚さは150μmであった。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(SEBS樹脂 旭化成ケミカルズ株式会社製 タフテック H1062)50重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%および親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)20重量%をドライブレンドした。これをバレル温度180〜220℃の一軸押出機に供給して、230℃の単層Tダイスから押出し、設定温度60℃の引き取りロールにて冷却固化して、無延伸の状態で巻き取った。得られたフイルムの厚さは150μmであった。
実施例2
スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(SEBS樹脂 旭化成ケミカルズ株式会社製 タフテック H1062)53重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%および親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)17重量%とする以外は、実施例1と同様にしてフイルムを作製した。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(SEBS樹脂 旭化成ケミカルズ株式会社製 タフテック H1062)53重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%および親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)17重量%とする以外は、実施例1と同様にしてフイルムを作製した。
比較例1
スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(SEBS樹脂 旭化成ケミカルズ株式会社製 タフテック H1062)70重量%及び動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%をドライブレンドした以外は実施例1と同様にしてフイルムを作製した。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(SEBS樹脂 旭化成ケミカルズ株式会社製 タフテック H1062)70重量%及び動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%をドライブレンドした以外は実施例1と同様にしてフイルムを作製した。
実施例3
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂 サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)50重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)20重量%をドライブレンドした。これをバレル温度180〜220℃の一軸押出機に供給して、230℃の単層Tダイスから押出し、設定温度60℃の引き取りロールにて冷却固化して、無延伸の状態で巻き取った。得られたフイルムの厚さは150μmであった。
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂 サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)50重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)20重量%をドライブレンドした。これをバレル温度180〜220℃の一軸押出機に供給して、230℃の単層Tダイスから押出し、設定温度60℃の引き取りロールにて冷却固化して、無延伸の状態で巻き取った。得られたフイルムの厚さは150μmであった。
実施例4
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂 サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)53重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)17重量%とする以外は、実施例3と同様にしてフイルムを作製した。
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂 サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)53重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)17重量%とする以外は、実施例3と同様にしてフイルムを作製した。
比較例2
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂 サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)70重量%及び動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%をドライブレンドした以外は、実施例3と同様にしてフイルムを作製した。
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂 サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)70重量%及び動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%をドライブレンドした以外は、実施例3と同様にしてフイルムを作製した。
実施例5
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂、サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)25重量%、非晶性ポリプロピレン系樹脂(非晶PP樹脂、住友化学工業株式会社製 タフセレン T3512)25重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)20重量%をドライブレンドした。これをバレル温度180〜220℃の一軸押出機に供給して、230℃の単層Tダイスから押出し、設定温度60℃の引き取りロールにて冷却固化して、無延伸の状態で巻き取った。得られたフイルムの厚さは150μmであった。
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂、サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)25重量%、非晶性ポリプロピレン系樹脂(非晶PP樹脂、住友化学工業株式会社製 タフセレン T3512)25重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)20重量%をドライブレンドした。これをバレル温度180〜220℃の一軸押出機に供給して、230℃の単層Tダイスから押出し、設定温度60℃の引き取りロールにて冷却固化して、無延伸の状態で巻き取った。得られたフイルムの厚さは150μmであった。
実施例6
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂、サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)26.5重量%、非晶性ポリプロピレン系樹脂(非晶PP樹脂、住友化学工業株式会社製 タフセレン T3512)26.5重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)17重量%とする以外は、実施例5と同様にしてフイルムを作製した。
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂、サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)26.5重量%、非晶性ポリプロピレン系樹脂(非晶PP樹脂、住友化学工業株式会社製 タフセレン T3512)26.5重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)17重量%とする以外は、実施例5と同様にしてフイルムを作製した。
比較例3
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂、サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)35重量%、非晶性ポリプロピレン系樹脂(非晶PP樹脂、住友化学工業株式会社製 タフセレン T3512)35重量%及び動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%をドライブレンドした以外は、実施例5と同様にしてフイルムを作製した。
ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂、サンアロマー株式会社製 サンアロマー PC412)35重量%、非晶性ポリプロピレン系樹脂(非晶PP樹脂、住友化学工業株式会社製 タフセレン T3512)35重量%及び動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%をドライブレンドした以外は、実施例5と同様にしてフイルムを作製した。
実施例7
スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(SEBS樹脂 旭化成ケミカルズ株式会社製 タフテック H1062)50重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)20重量%をドライブレンドした樹脂を、層(A)用樹脂とした。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(SEBS樹脂 旭化成ケミカルズ株式会社製 タフテック H1062)50重量%、動的架橋型エラストマー(アロン化成株式会社製 エラストマーAR 9060)30重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)20重量%をドライブレンドした樹脂を、層(A)用樹脂とした。
エチレン系樹脂(エチレン−メチルメタアクリレート共重合体 アルケマ株式会社製 ロトリル9MA02)80重量%及び親水性ポリプロピレン樹脂(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット230)20重量%をドライブレンドした樹脂を、層(B)用樹脂とした。
上記2種の樹脂を、それぞれ別の一軸押出機に供給し、2層Tダイスから(A)/(B)となるように共押出しを行い、設定温度60℃の引き取りロールにて冷却固化して、無縁伸の状態で巻き取った。尚、このときの各押出機のバレル温度は180〜220℃、2層Tダイスの温度は230℃であった。
得られた2層フイルムの全厚みは180μmで、層(A)は150μm、層(B)は30μmであった。
試験例1(切削屑の評価方法)
上記実施例及び比較例で得られたフイルムの一部を直径180mmの大きさの円形にカットして測定用試料とし、研削装置(株式会社ディスコ製 AUTOMATIC DICING SAW DAD-2H/6)にセットし、以下の条件で基体フイルムへの切削を行い、次に試料を研削装置から取り外し、クリーンブース内で24時間常温乾燥させた後、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(VHX−100)を用いて、倍率100倍で切削屑の有無の評価を行った。
上記実施例及び比較例で得られたフイルムの一部を直径180mmの大きさの円形にカットして測定用試料とし、研削装置(株式会社ディスコ製 AUTOMATIC DICING SAW DAD-2H/6)にセットし、以下の条件で基体フイルムへの切削を行い、次に試料を研削装置から取り外し、クリーンブース内で24時間常温乾燥させた後、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(VHX−100)を用いて、倍率100倍で切削屑の有無の評価を行った。
試料の表面を任意に10箇所観察し、切削屑が全くない場合を「○」、切削屑がわずかでもあると認められる場合を「×」とした。結果を表1にまとめた。
(切削条件)
回転数:30000rpm
速度:80mm/sec
カットモード:10mm□のフルオートダイシング
カット深さ:100μm
ブレード:株式会社ディスコ製 B1A801 SDC 400N50M51(外径56mm×厚み0.2mm×内径40mm)
水量:1.2L/min
(切削条件)
回転数:30000rpm
速度:80mm/sec
カットモード:10mm□のフルオートダイシング
カット深さ:100μm
ブレード:株式会社ディスコ製 B1A801 SDC 400N50M51(外径56mm×厚み0.2mm×内径40mm)
水量:1.2L/min
試験例2(架橋された共重合ゴムの平均粒子径および面積の測定方法)
上記実施例及び比較例で得られたフイルムの任意の箇所20点から、5mm×5mmの大きさの試料を切り取り、測定用サンプルとした。測定用サンプルを島津製作所製走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope SPM−9600)に熱可塑性エラストマー組成物層が測定面となるようにセットし、下記条件で測定を行い、架橋ゴムの平均粒子径、及びフイルム表面に占める架橋ゴムの面積の割合を求めた。同様の測定を残り19点の測定用試料でも行った。
上記実施例及び比較例で得られたフイルムの任意の箇所20点から、5mm×5mmの大きさの試料を切り取り、測定用サンプルとした。測定用サンプルを島津製作所製走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope SPM−9600)に熱可塑性エラストマー組成物層が測定面となるようにセットし、下記条件で測定を行い、架橋ゴムの平均粒子径、及びフイルム表面に占める架橋ゴムの面積の割合を求めた。同様の測定を残り19点の測定用試料でも行った。
このようにして得られた20点から平均値を求め、その値を各実施例の代表値とした。結果を表1にまとめた。
(測定条件)
前処理:なし
観察モード:位相(共振モード)
観察視野:20μm□
解析処理:粒子解析
例えば、実施例1のフイルムにおける走査型プローブ顕微鏡写真を図2に示す。図2中、SEBS樹脂が海相を、架橋されたゴム粒子が島相を形成している。
(測定条件)
前処理:なし
観察モード:位相(共振モード)
観察視野:20μm□
解析処理:粒子解析
例えば、実施例1のフイルムにおける走査型プローブ顕微鏡写真を図2に示す。図2中、SEBS樹脂が海相を、架橋されたゴム粒子が島相を形成している。
試験例3(帯電防止性評価)
実施例1〜7及び比較例1〜3のフイルムについて、シシド静電気株式会社製スタティックオネストメーターにて、印加電圧を10Kvとしサンプルの飽和帯電圧と半減時間で評価した。回路への影響を考慮して、飽和帯電圧1500v以下及び半減時間10秒以下を「○」、それ以外を「×」とした。その結果を表1に示す。
実施例1〜7及び比較例1〜3のフイルムについて、シシド静電気株式会社製スタティックオネストメーターにて、印加電圧を10Kvとしサンプルの飽和帯電圧と半減時間で評価した。回路への影響を考慮して、飽和帯電圧1500v以下及び半減時間10秒以下を「○」、それ以外を「×」とした。その結果を表1に示す。
表1で示すように、実施例のフイルムは、架橋ゴムの面積割合が所定の範囲にあり、ダイシング後の切削屑がなく良好であった。しかも、優れた帯電防止効果が発揮される。一方、比較例のフイルムでは、切削屑は観察されなかったが、帯電防止性は大きく低下してしまった。
実施例1のフイルムをダイシングした後、そのダイシング切り始めの切削部分を株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(VHX−100)を用いて観測した写真を図1に示す。
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂中に架橋されたゴム粒子が微分散した熱可塑性エラストマー組成物70〜90重量%と帯電防止剤10〜30重量%とを含むダイシング用基体フイルム。
- 帯電防止剤が、ポリエーテルエステルアミド樹脂又は親水性ポリオレフィン樹脂である請求項1に記載のダイシング用基体フイルム。
- 架橋されたゴム粒子の平均粒子径が0.1〜50μmである請求項1又は2に記載のダイシング用基体フイルム。
- 前記ダイシング用基体フイルムの表面における架橋ゴム粒子の面積の割合が1〜75%である請求項1、2又は3に記載のダイシング用基体フイルム。
- 熱可塑性エラストマー組成物が、熱可塑性樹脂、架橋可能な共重合ゴム及び軟化剤を含有する樹脂組成物を、架橋剤の存在下、動的架橋して得られる架橋組成物である請求項1〜4のいずれかに記載のダイシング用基体フイルム。
- 架橋可能な共重合ゴムが、オレフィン系共重合ゴムまたはスチレン系共重合ゴムである請求項5に記載のダイシング用基体フイルム。
- 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂及び/又はポリスチレン系樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載のダイシング用基体フイルム。
- ポリオレフィン系樹脂が、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びプロピレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載のダイシング用基体フイルム。
- ポリスチレン系樹脂が、スチレン単独重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体及びスチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載のダイシング用基体フイルム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のダイシング用基体フイルムにさらに粘着剤層を有するダイシングフイルム。
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- 2006-07-04 JP JP2006184892A patent/JP2008016566A/ja active Pending
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