JP2008014394A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】滑り接触する部分におけるピーリング等の表面起点型の剥離寿命を延長することができる簡単な構成の転がり軸受を提供すること。
【解決手段】外輪と内輪との間に、保持器に保持された複数の転動体を介装した転がり軸受であって、前記転動体の表面には、固体潤滑剤である二硫化タングステン、あるいは二硫化モリブデンの潤滑被膜が形成されており、この潤滑被膜の表面の粗さは、算術平均粗さ(Ra)が0.2μmより小さく(Ra≦0.2μm)設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】外輪と内輪との間に、保持器に保持された複数の転動体を介装した転がり軸受であって、前記転動体の表面には、固体潤滑剤である二硫化タングステン、あるいは二硫化モリブデンの潤滑被膜が形成されており、この潤滑被膜の表面の粗さは、算術平均粗さ(Ra)が0.2μmより小さく(Ra≦0.2μm)設定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車、鉄道車両、農業機械、建設機械、鉄鋼機械等に用いられる転がり軸受に関し、特に、グリース潤滑や油潤滑の環境下だけでなく、高温、高真空、あるいは真空高温等の環境下でも使用可能な、優れた転がり寿命を有する転がり軸受に関するものである。
一般的な軸受潤滑方式であるグリース潤滑や油潤滑が使用できない高温や高真空又は真空高温等の環境下で用いられる転がり軸受に対しては、従来から固体潤滑方式による軸受潤滑が行われている。
この固体潤滑方式の潤滑の方法としては、例えば特許文献1には、保持器を、二硫化タングステン及び二硫化モリブデンの固体潤滑剤を充填した合金より成形する方法が示されており、この保持器から軸受稼動中に潤滑成分が供給され、転動体及び内外輪の軌道輪に接触することで潤滑を行うようになっている。
また、特許文献2には、固体潤滑剤の潤滑皮膜を、保持器等の少なくとも転がり又は滑り接触する部分の表面に、ポールミルやバレル加工、ショットピーニング等で得られる機械的エネルギーによって形成する方法が開示されている。この場合の固体潤滑剤は、黒鉛、鉛、金、銀、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、あるいはポリテトラフルオロエチレン等から選択したもので、この形成された被膜から軸受稼動中に潤滑成分が供給される。この潤滑皮膜の形成方法としては、上記以外にも、CVD、PVD、スパッタ法等がある。
特開昭63―282233号公報
特開平6―159373号公報
ところで、転がり軸受は、転動体と軌道輪の間に生じる滑りが小さく、滑り軸受やギヤ等で生じる滑り接触と比較して、純転がりに近い運動を行っている。しかし、従来の玉軸受やニードルころ軸受、自動調心ころ軸受等の転がり軸受は構造上差動滑りやスピン滑り等の滑りが生じるため、ピーリング等の表面疲労を生じる場合がある。ピーリング等の表面起点型の剥離寿命は、滑りが小さい場合や油膜が十分に形成されている場合に生じる材料内部の非金属介在物を起点とした内部起点型の剥離寿命と比較して短くなる、という問題点があった。
そこで、本発明は、上述した従来の問題点を解消して、滑り接触する部分におけるピーリング等の表面起点型の剥離寿命を延長することができる転がり軸受を提供することを課題としている。
上記課題を達成するために、本発明では、内周面に軌道面を有する外輪と、外周面に軌道面を有する内輪と、この外輪の軌道面と内輪の軌道面との間に、保持器に転動自在に保持された複数の転動体を介装した転がり軸受において、前記転動体の表面には、固体潤滑剤である二硫化タングステン、又は二硫化モリブデンの潤滑被膜が形成されており、この潤滑被膜の表面の粗さは、算術平均粗さ(Ra)が0.2μmより小さく(Ra≦0.2μm)設定されていることを特徴としている。
本発明は、以上のような構成になっており、転動体に固体潤滑剤の潤滑被膜を形成し、この被膜表面の粗さを0.2μmより小さくしたことにより、転動体と各軌道面間の摩擦係数がより小さくなるので、ピーリング等の表面起点型の剥離に対して長寿命な転がり軸受を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
先ず、本発明の転がり軸受を開発した経移について説明する。転がり軸受において、ピーリング等の表面起点型の剥離寿命は、軌動輪と転動体間に作用する接線力が大きな力を及ぼしていることが明らかになった。このため、ピーリング等の表面起点型の剥離寿命を延ばすには、軌道輪と転動体間に作用する接線力を小さくする必要がある。
接線力を小さくするためには、接触する2物体間の摩擦係数を下げる必要がある。そこで、軌道輪と転動体間の摩擦係数を下げる手法として、転動体の表面に、二硫化タングステンあるいは二硫化モリブデンの固体潤滑剤による潤滑被膜を形成した。
この潤滑被膜の形成方法としては、ボールミル、アトライター、遊星ミル等の混合機による簡易な方法であり、極めて低コストにて被膜を形成することができる。ボールミル等の混合機に使用するステンレス容器の中に、潤滑被膜を形成する転動体と二硫化タングステンあるいは二硫化モリブデンの粉末を充填し、ステンレス容器を回転させる方法で行う。これにより、転動体同士、あるいは転動体とステンレス容器の内壁、そして二硫化タングステンあるいは二硫化モリブデンの粉末との衝突エネルギーにより転動体への潤滑粉末の移着が進行し、転動体に潤滑被膜が形成される。この潤滑被膜を形成した転動体を有する転がり軸受は、特に、グリース潤滑や油潤滑下で使用するが、高温、高真空、又は真空高温等の環境下で使用される転がり軸受としても利用可能である。
さらに、軌道輪と転動体間の摩擦係数に影響を及ぼす因子としては、上記の他に接触するこれら2物体間の表面粗さがある。このため、摩擦係数を下げるために自己潤滑性のある二硫化タングステンあるいは二硫化モリブデンの固体潤滑剤の被膜を転動体表面に形成しても、被膜表面の粗さが粗い場合には十分な効果が得られない場合がある。一般的に、焼入れ・焼戻しをした軸受鋼を研磨して成形された通常の転がり軸受用転動体の表面粗さと比較して、被膜を形成した転動体の表面粗さは大きくなる。したがって、潤滑被膜を形成した後転動体の表面粗さが極めて大きい場合には、被膜によって摩擦係数を低減させる効果より、被膜の表面粗さが増大したことによる摩擦係数の増加作用の方が上回り、逆に接線力が大きくなって表面起点型の剥離寿命が短くなってしまう。
したがって、固体潤滑剤を転動体の表面に被膜形成するだけでなく、形成した潤滑被膜の表面粗さを小さくして、さらに摩擦係数を下げることにより、表面起点型の剥離寿命を延ばすことができる。
以上のことから、具体的な数値実施例については後述するが、転動体の表面に、固体潤滑剤である二硫化タングステンあるいは二硫化モリブデンの潤滑被膜を形成し、この被膜を形成した転動体の種々の表面粗さで試験を実施したところ、表面粗さを示す算術平均粗さをRaとすると、Ra≦0.2(μm)の範囲において、特に、転動体と軌道輪間の摩擦係数が小さくなり、結果として接線力が小さくなって、表面起点型剥離に対して長寿命な転がり軸受が得られることが明らかになった。より長寿命な転がり軸受を得るためには、例えばRa≦0.07(μm)とすることが好ましい。
次に、具体的な数値実施例について、表1及び図1を参照して説明する。
転動体の表面起点型の剥離寿命試験は、深溝玉軸受型番6206を用い、油膜厚さが薄い条件で実施した。試験条件は次の通りである。
試験荷重:Fr =7.0KN、回転数:3000/min、潤滑油:VG10
試験に用いた軸受の内外輪、転動体は高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)を用い、830〜850℃のRxガス雰囲気中で1時間保持した後、160〜180℃の焼戻しを2時間施した。その後、通常の研磨工程を行い、転動体にのみ二硫化タングステン被膜の移着を行った。転動体への被膜の形成はステンレス容器の中に二硫化タングステン粉末を50vol%充填、転動体を25vol%充填し、400/minの回転速度で10時間ステンレス容器を回転させて、転動体の表面に二硫化タングステンの粉末を移着させた。その後、バレル加工により、転動体の表面の粗さを調整した。
試験荷重:Fr =7.0KN、回転数:3000/min、潤滑油:VG10
試験に用いた軸受の内外輪、転動体は高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)を用い、830〜850℃のRxガス雰囲気中で1時間保持した後、160〜180℃の焼戻しを2時間施した。その後、通常の研磨工程を行い、転動体にのみ二硫化タングステン被膜の移着を行った。転動体への被膜の形成はステンレス容器の中に二硫化タングステン粉末を50vol%充填、転動体を25vol%充填し、400/minの回転速度で10時間ステンレス容器を回転させて、転動体の表面に二硫化タングステンの粉末を移着させた。その後、バレル加工により、転動体の表面の粗さを調整した。
表1は、転がり軸受の剥離寿命の試験結果を示している。比較例として、潤滑被膜の無い通常の軸受の寿命値を1としたものを示し、各実施例をこの比較例に対する比の値で示している。実施例10では潤滑被膜の表面粗さが粗いものを0.5として、これより0.1ずつ粗さを低減させて試験し、さらに表面粗さが0.1からは、0.01ずつ粗さを低減させて試験した。同表から明らかなように、表面粗さが0.5から0.05になるにしたがって、比較例に対する寿命比は少しずつ大きくなっている。特に、表面粗さが0.2を境としてこの粗さから寿命比が一段と大きくなっている。したがって、被膜の表面粗さを小さくする程、剥離寿命が延びることがわかる。
図1は、表1に示した被膜表面の粗さと軸受寿命との関係を示す図である。同図からもはっきり分かるように、被膜表面の算術平均粗さRaが、Ra≦0.2(μm)の範囲が本発明の構成によるものであり、この範囲において、剥離寿命比は2.7以上となっていて、被膜の表面粗さRaが、0.2(μm)<Ra≦0.5(μm)の範囲の寿命比に比べて一段と大きくなっている。
以上のように、転動体の表面に、固体潤滑剤である二硫化タングステンあるいは二硫化モリブデンによる潤滑被膜をボールミル等の混合機で形成し、この潤滑被膜の表面の粗さを、算術平均粗さ(Ra)で0.2μmより小さくしたので、転動体と各軌道面間の摩擦係数がより小さくなり、ピーリング等の表面起点型の剥離に対して長寿命な転がり軸受を提供することができる。
Claims (1)
- 内周面に軌道面を有する外輪と、外周面に軌道面を有する内輪と、この外輪の軌道面と内輪の軌道面との間に、保持器に転動自在に保持された複数の転動体を介装した転がり軸受において、
前記転動体の表面には、固体潤滑剤である二硫化タングステン、あるいは二硫化モリブデンの潤滑被膜が形成されており、この潤滑被膜の表面の粗さは、算術平均粗さ(Ra)が0.2μmより小さく(Ra≦0.2μm)設定されていることを特徴とする転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006185718A JP2008014394A (ja) | 2006-07-05 | 2006-07-05 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006185718A JP2008014394A (ja) | 2006-07-05 | 2006-07-05 | 転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008014394A true JP2008014394A (ja) | 2008-01-24 |
Family
ID=39071614
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006185718A Withdrawn JP2008014394A (ja) | 2006-07-05 | 2006-07-05 | 転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008014394A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2621340A (en) * | 2022-08-08 | 2024-02-14 | Esr Tech Limited | Rolling element bearings |
-
2006
- 2006-07-05 JP JP2006185718A patent/JP2008014394A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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GB2621340A (en) * | 2022-08-08 | 2024-02-14 | Esr Tech Limited | Rolling element bearings |
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