JP2008013436A - 血管形成促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、本発明は、血管形成を促進させる手段を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する血管形成促進剤、及び、虚血性疾患の予防又は治療剤に関する。本発明はまたアペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩を用いた、人工血管の製造方法、疾患の診断方法、有用物質のスクリーニング方法に関する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、血管形成促進剤およびそれを用いた人工血管の製造方法、並びに、虚血性疾患の予防又治療剤及びそれを用いた虚血性疾患、血管が過剰増殖する疾患、又は、血管怒張若しくは毛細血管拡張を呈する疾患の診断方法に関する。本発明はまた、血管形成促進剤、虚血性疾患の治療若しくは予防剤、血管形成抑制剤、又は血管怒張若しくは毛細血管拡張を呈する疾患の予防若しくは治療剤のスクリーニング方法に関する。
血管は酸素をはじめとして養分やその他の分子及び免疫細胞を組織の局所に運搬する重要な役目を持つことは周知である。糖尿病や高脂血症、高血圧などの生活習慣病などによる血管の破綻は、血流異常や血管内外の組織環境因子のホメオスタシスの異常を来し最終的に局所的および臓器全体の不全に陥ることは周知である。血管異常が急性に生じ、致死にいたる危険性の高い脳梗塞や心筋梗塞が血管異常の代表となる疾患である。このような血管病を改善するには、血管異常の早期診断技術およびその抑制法、あるいは破綻を生じた血管を修復する効率良い血管再生医療が必要であり、成熟した血管がいかなる分子機序で形成されるのかを解明することにより、血管異常に応じた血管治療が可能になると考えられる。近年、血管形成における分子機序の解明が進み、血管形成の促進因子を用いた遺伝子治療やサイトカイン治療あるいは血管形成を促進する細胞を用いた細胞治療が臨床の現場で行われている。しかし、現在未解決であるのが、現行の治療法では数μという極細の毛細血管の構築は誘導が可能でも、ミリメートル単位の太い血管形成を誘導できない点である。その問題点を鑑み、発明者は従来より、血管形成に関わるTie2受容体型チロシンキナーゼの機能解析を詳細に実施してきた。
一方、ホルモンなどの生理活性因子は、細胞膜に存在するGタンパク質共役型受容体と総称される受容体に結合することにより、様々な生理活性を示すことが知られている。APJはこのようなGタンパク共役型受容体の一種であるが、作用する因子(リガンド)が未知のいわゆるオーファン受容体として以前から知られていた。最近になり、APJ受容体はエイズウイルスの感染の際に重要な役割を果たしている受容体の一つであることが明らかにされた。またAPJは血管内皮細胞や血管壁細胞に発現することから、血管形成に対する機能があることが示唆されてきた。しかし、APJ受容体のリガンドが不明なため、APJ受容体が本来どのような生理機能の調節に関与しているのかは不明であった。近年APJ受容体の内因性リガンドの探索が進められた結果、ウシの胃よりリガンドとして働くペプチドが精製単離し、さらにこのペプチドをコードするウシおよびヒト遺伝子が同定された。そしてAPJ受容体のリガンドは新規生理活性ペプチドであることが明らかにされ、またこのペプチドはAPJ受容体の内因性リガンド(APJendogenous ligand)として機能することからアペリン(Apelin)と命名された。アペリンはAPJ受容体に結合することにより様々な作用を発揮するものと推定されてきているが、まだその詳細は明らかとなっていない。
なおアペリンの用途に関しては例えば特許文献1に記載されているが、同文献には、血管形成に及ぼす作用については全く言及されていない。
特開2003−393456号公報
本発明は、血管形成を促進させる手段を提供することを目的とする。
従来の検討結果から、血管内皮細胞に発現するTie2受容体に対する結合因子Angiopoietin-1(以下Ang1)は、内皮細胞の細胞死を抑制し、内皮細胞と血管壁細胞の細胞接着を誘導して血管腔の拡張の誘導や血管の安定化に寄与することが示唆されてきた。そこで、本発明者はTie2の活性化により、いかなる分子が血管内皮細胞で分泌が誘導され、血管径の拡張に関与するのかを解明すべく、Tie2が恒常的に活性化する遺伝子を作成して、この遺伝子導入された細胞において発現が上昇する分子を単離してきた。そこでこれらの遺伝子により、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を用いた試験管内血管形成解析法および発明者らが以前発明したP-Sp領域を用いた試験管内血管形成解析法で血管形成を促進する分子をスクリーニングしてきた。そのなかで、アペリン分子が血管径を拡張させる可能性が示唆された。
そして、本発明者は、アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩が血管形成(典型的には血管新生(例えば、血管網の構築)又は血管腔の拡張)を促進する作用を有することを見出し本発明を完成するに至った。
本発明は以下の発明を包含する。
(1)アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する血管形成促進剤。
(2)アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する虚血性疾患の予防又は治療剤。
(3)アペリンをコードする遺伝子を含む血管形成促進剤。
(4)アペリンをコードする遺伝子を含む虚血性疾患の予防又は治療剤。
(5)血管新生を促進する作用を有する、(1)又は(3)に記載の血管形成促進剤。
(6)血管腔の拡張を促進する作用を有する、(1)又は(3)に記載の血管形成促進剤。
(7)アペリンが配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドである(1)〜(6)の何れかに記載の剤。
(8)アペリンが配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の部分配列を含有するペプチドである(1)〜(6)の何れかに記載の剤。
(9)アペリンが(a)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第6番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(b)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第40番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(c)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第42番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(d)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第47番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(e)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第61番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(f)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド又はそのN末端のアミノ酸(Gln)がピログルタミン酸化したアミノ酸配列を有するペプチド、(g)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第1番目から第25番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(h)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第6番目から第25番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(i)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第42番目から第64番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(j)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第61番目から第64番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(k)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第43番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(l)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第41番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(m)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第66番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(n)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第67番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(o)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第64番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(p)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第63番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(q)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第76番目のアミノ酸配列を有するペプチド又は(r)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第75番目のアミノ酸配列を有するペプチドである(1)〜(6)の何れかに記載の剤。
(10)アペリンが配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第77番目のアミノ酸配列を含有するペプチドである(1)〜(6)の何れかに記載の剤。
(11)アペリンがpGlu−Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−His−Lys−Gly−Pro−Met−Pro−Pheで表されるアミノ酸配列を含有するペプチドである(1)〜(6)の何れかに記載の剤。
(12)アペリンが配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第42番目から第77番目のアミノ酸配列を含有するペプチドである(1)〜(6)の何れかに記載の剤。
(13)アペリンの修飾体が式:
−Arg−Pro−Arg−X−Ser−His−X−Gly−Pro−X−X (I)
[式中、Xは水素原子又はそれぞれ同一又は異なって側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸からなるアミノ酸残基又はペプチド鎖を示し、Xは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基を示し、Xは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、側鎖が置換されていてもよい芳香性アミノ酸残基又は側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示し、Xは結合手又は側鎖が置換されていてもよい中性又は芳香性アミノ酸残基を示し、Xは(イ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(ロ)水酸基又は(ハ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基と側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基が結合してなるジペプチド鎖又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたペプチド誘導体を示し、式中の−Arg−Pro−Arg−、−Ser−His−又は−Gly−Pro−中の各アミノ酸残基の側鎖は置換されていてもよい。但し、XがLeuを、XがLysを、XがMetを示し、かつXが(イ)Pro又は(ロ)Pro−Pheを示し、式中の−Arg−Pro−Arg−が無置換の−Arg−Pro−Arg−を、−Ser−His−が無置換の−Ser−His−を、且つ−Gly−Pro−が無置換の−Gly−Pro−を示す場合を除く。]
で表される化合物である(1)、(2)、(5)及び(6)の何れかに記載の剤。
(14)アペリンの修飾体が式:
−Arg−Pro−Arg−Leu−Phe−P−P−Gly−Pro−P−P (II)
[式中、Pは水素原子又はそれぞれ同一又は異なって側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸からなるアミノ酸残基又はペプチド鎖を示し、Pは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基又は側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示し、Pは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、側鎖が置換されていてもよい芳香性アミノ酸残基又は側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示し、Pは結合手又は側鎖が置換されていてもよい中性又は芳香性アミノ酸残基を示し、Pは(イ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(ロ)水酸基又は(ハ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基と側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基が結合してなるジペプチド鎖又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたペプチド誘導体を示し、式中の−Arg−Pro−Arg−Leu−Phe−又は−Gly−Pro−中の各アミノ酸残基の側鎖は置換されていてもよい。]
で表される化合物である(1)、(2)、(5)及び(6)の何れかに記載の剤。
(15)アペリンの修飾体が式:
−Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−Ala−Q−Gly−Q−Q−Q (III)
[式中、Qは水素原子又はそれぞれ同一又は異なって側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸からなるアミノ酸残基又はペプチド鎖を示し、Qは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、側鎖が置換されていてもよい芳香性アミノ酸残基又は側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示し、Qは結合手又は側鎖が置換されていてもよい中性又は芳香性アミノ酸残基を示し、Qは(イ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(ロ)水酸基又は(ハ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基と側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基が結合してなるジペプチド鎖又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたペプチド誘導体を示し、Qは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基を示し、式中の−Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−Ala−中の各アミノ酸残基の側鎖は置換されていてもよい。]
で表される化合物である(1)、(2)、(5)及び(6)の何れかに記載の剤。
(16)アペリンの修飾体が式:
−Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−His−Lys−Gly−Pro−R−Pro−R (IV)
[式中、Rは水素原子又はそれぞれ同一又は異なって側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸からなるアミノ酸残基又はペプチド鎖を示し、Rは置換されていてもよいCha、置換されていてもよいMet又は置換されていてもよいNleを示し、Rは置換されていてもよいPhe(Cl)、置換されていてもよいPhe、置換されていてもよいNal(2)、置換されていてもよいCha又は置換されていてもよいTyrを示し、式中の−Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−His−Lys−Gly−Pro又は−Pro−中の各アミノ酸残基の側鎖は置換されていてもよい。]
で表される化合物である(1)、(2)、(5)及び(6)の何れかに記載の剤。
(17)(1)、(3)及び(5)〜(16)の何れかに記載の血管形成促進剤を用いて、血管系に分化可能な細胞からin vitroにおいて人工血管を製造する方法。
(18)被験体から採取された検体中のアペリン濃度を測定し、測定値を健常者及び虚血性疾患患者の測定値と対比することにより虚血性疾患を診断する方法。
(19)被験体から採取された検体中のアペリン濃度を測定し、測定値を健常者及び血管が過剰増殖する疾患の患者の測定値と対比することにより血管が過剰増殖する疾患を診断する方法。
(20)被験体から採取された検体中のアペリン濃度を測定し、測定値を健常者及び血管怒張又は毛細血管拡張を呈する疾患の患者の測定値と対比することにより血管怒張又は毛細血管拡張を呈する疾患を診断する方法。
(21)(a)アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩、及び/又は、(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体、その部分ペプチド若しくはその塩を用いることを特徴とする、血管形成促進剤又は虚血性疾患の治療若しくは予防剤のスクリーニング方法。
(22)(a)アペリンをコードするDNAを含有するDNA、及び/又は、(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体若しくはその部分ペプチドをコードするDNAを含有するDNAを用いることを特徴とする、血管形成促進剤又は虚血性疾患の治療若しくは予防剤のスクリーニング方法。
(23)(a)アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩、及び/又は、(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体、その部分ペプチド若しくはその塩を用いることを特徴とする、血管形成抑制剤又は血管怒張若しくは毛細血管拡張を呈する疾患の予防若しくは治療剤のスクリーニング方法。
(24)(a)アペリンをコードするDNAを含有するDNA、及び/又は、(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体若しくはその部分ペプチドをコードするDNAを含有するDNAを用いることを特徴とする、血管形成抑制剤又は血管怒張若しくは毛細血管拡張を呈する疾患の予防若しくは治療剤のスクリーニング方法。
なお本明細書において、「アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩」とは、「アペリン、アペリンの修飾体、アペリンのアミド、アペリンのエステル、アペリンのアミドのエステル、アペリンの塩、アペリンのアミドの塩、アペリンのエステルの塩、アペリンのアミドのエステルの塩、アペリン修飾体のアミド、アペリン修飾体のエステル、アペリン修飾体のアミドのエステル、アペリン修飾体の塩、アペリン修飾体のアミドの塩、アペリン修飾体のエステルの塩、又はアペリン修飾体のアミドのエステルの塩」を意味する。
本明細書において、「実質的に同一」とはタンパク質の活性、例えば、リガンドと受容体の結合活性、生理的な特性(例、血管形成促進作用)などが、実質的に同じことを意味する。アミノ酸(特に1又は数個のアミノ酸)の置換、欠失、付加あるいは挿入はしばしばポリペプチドの生理的な特性や化学的な特性に大きな変化をもたらさないが、こうした場合その置換、欠失、付加あるいは挿入を施されたポリペプチドは、そうした置換、欠失、付加あるいは挿入のされていないものと実質的に同一であるとされる場合が多い。該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換物としては、たとえばそのアミノ酸が属するところのクラスのうち他のアミノ酸類から選ぶことができる。非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンなどが挙げられる。極性(中性)アミノ酸としてはグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどが挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としてはアルギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられる。負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などがあげられる。
本発明の血管形成促進剤は、特に血管新生(例えば、血管網の構築)及び血管腔の拡張を促進する作用を有する。本発明の血管形成促進剤を用いて人工血管を製造することにより、従来実現できなかった径の太い血管の形成が可能となる。
本発明によればまた、血管の破綻により組織の虚血症状を呈する、脳梗塞、心筋梗塞、慢性動脈硬化による腎硬化症、下肢の慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病などの虚血性疾患の予防又は治療剤が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアペリン(以下、単にペプチドと略称する場合がある)、その製造法および用途を以下にさらに詳細に説明する。本発明で用いられるアペリンは、APJ(O'Dowd. B.F., et al., Gene, 436, 355-359, 1993)に対し、リガンド活性を有するペプチドであれば、如何なるものであってもよく、具体的には、例えば配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する受容体タンパク質に結合能を有するポリペプチドなどがあげられる。起源は特に限定されず、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあらゆる組織(たとえば、下垂体、膵臓、脳、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管、血管、心臓など)または細胞などに由来するものであってよい。
本発明で用いられるアペリンは、具体的には、配列番号1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドもしくはその部分ペプチド、配列番号5で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン前駆体の部分ペプチド、配列番号7で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン前駆体の部分ペプチド、配列番号9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン前駆体の部分ペプチド、または配列番号11で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン前駆体の部分ペプチドなどを含有するものであればよい。例えば、本発明のアペリンとしては、配列番号1で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドなどの他に、配列番号1で表わされるアミノ酸配列と約50〜99.9%(好ましくは70〜99.9%、より好ましくは80〜99.9%、さらに好ましくは90〜99.9%)の相同性を有するアミノ酸配列或いは配列番号1で表されるアミノ酸配列のうち1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含有し、且つ、配列番号1で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチド、配列番号5で表されるアペリン前駆体の部分ペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチド、配列番号7で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン前駆体の部分ペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチド、配列番号9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン前駆体の部分ペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチドまたは配列番号11で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン前駆体の部分ペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチド、などが挙げられる。実質的に同質の活性としては、例えばレセプター結合活性、シグナル伝達活性などが挙げられる。実質的に同質とは、レセプター結合活性などが性質的に同質であることを示す。したがって、レセプター結合活性の強さなどの強弱、ペプチドの分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
アペリンとしては、具体的には、配列番号1で表わされるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列、などで表わされるアミノ酸配列を含有するマウス脳、ラット脳、ブタ脳、ブタ小腸、ウシ視床下部、ウシ胃、ヒト視床下部またはヒト肺由来のペプチドなどが挙げられる。さらに、配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列などと同一のアミノ酸配列を含有するペプチドもしくはその部分ペプチドに対して1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加あるいは挿入されているアミノ酸配列を含有するペプチドであって、同一の活性(例えば血管形成促進作用、レセプター結合活性、シグナル伝達活性など)を有するペプチドは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドとして挙げられる。例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列中の1個以上7個以下、好ましくは1個以上5個以下、より好ましくは1個以上3個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、或いは、配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列に1個以上20個以下、好ましくは1個以上15個以下、より好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加した(または挿入された)アミノ酸配列、或いは、配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列中の1個以上7個以下、好ましくは1個以上5個以下、より好ましくは1個以上3個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するペプチドであって、同一の活性(例えば血管形成促進作用、レセプター結合活性、シグナル伝達活性など)を有するペプチドなどである。さらに、アペリンまたはその部分ペプチドには、GlnのN端側が生体内で切断され、該Glnがピログルタミン酸化したものなども含まれる。アペリンの前駆体とは、アペリンをその部分配列として含有するタンパク質であればいかなるものであってもよく、具体的には、配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質などがあげられる(以下、前記のアペリンとアペリン前駆体を含めてアペリンと称することがある)。また、アペリンの分子量は約1000〜10000ダルトン、好ましくは約1000〜約5000ダルトン、より好ましくは、約1000〜約3000ダルトンである。
本明細書におけるペプチドはペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列などを含有するペプチドは、C末端が通常カルボキシル基(-COOH)またはカルボキシレート(-COO)であるが、C末端がアミド(-CONH)またはエステル(-COOR)であってもよい。エステルのRとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルなどのフェニル−C1−2アルキル、もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキルなどのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチルエステルなどが挙げられる。配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列などを含有するペプチドがC末端以外にカルボキシル基またはカルボキシレートを有している場合、それらの基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のペプチドに含まれる。この時のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。アペリンの塩としては、生理学的に許容される塩基(例えばアルカリ金属など)や酸(有機酸、無機酸)との塩が用いられるが、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。アペリンは、ヒトや温血動物の組織または細胞からペプチドを精製する方法によって製造することもできるし、後述のペプチド合成法に準じて製造することもできる。また、後述するアペリンをコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。ヒトや温血動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや温血動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行い、該抽出液を、塩析、透析、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
上記したようにアペリンは、自体公知のペプチドの合成法に従って、あるいはアペリンを含有する前駆体を適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、アペリンを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としてはたとえば、以下の文献に記載された方法が挙げられる。M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)、SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)、泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)、矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学IV、 205、(1977年)、矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明のペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られるアペリンが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
アペリンのアミド体は、アミド形成に適した市販のペプチド合成用樹脂を用いて製造することができる。そのような樹脂としては例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするペプチドの配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、必要に応じて高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のペプチドを取得する。上記した保護されたアミノ酸の縮合に関しては、ペプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としてはDCC、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどが挙げられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt、HOOBtなど)とともに保護されたアミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護されたアミノ酸の活性化を行ったのちに樹脂に添加することができる。保護されたアミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、ペプチド縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジンなどの三級アミン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はペプチド結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行うことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化して、後の反応に影響を及ぼさないようにすることができる。原料アミノ酸のアミノ基の保護基としては、たとえば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが挙げられる。カルボキシル基の保護基としては、たとえばRとして上記したC1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C7−14アラルキル基の他、2−アダマンチル、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、4−クロロベンジル、フェナシル基およびベンジルオキシカルボニルヒドラジド、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどが挙げられる。セリンおよびスレオニンの水酸基は、たとえばエステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては例えばアセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素から誘導される基などが挙げられる。また、エーテル化に適する基としては、たとえばベンジル基、テトラヒドロピラニル基、ターシャリーブチル基などである。チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、たとえばBzl、Cl-Bzl、2−ニトロベンジル、Br-Z、ターシャリーブチルなどが挙げられる。ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが挙げられる。原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、たとえば対応する酸無水物、アジド、活性エステル[アルコール(たとえば、ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル]などが挙げられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、たとえば対応するリン酸アミドが挙げられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、たとえばPd黒あるいはPd炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども挙げられる。上記酸処理による脱離反応は一般に−20℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理においてはアニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手段から適宜選択しうる。アペリンのアミド体を得る別の方法としては、まず、カルボキシル末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化した後、アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基のみを除いたペプチド(またはアミノ酸)とを製造し、この両ペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護ペプチドを精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗ペプチドを得ることができる。この粗ペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のペプチドのアミド体を得ることができる。アペリンのエステル体を得るにはカルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、ペプチドのアミド体と同様にして所望のアペリンのエステル体を得ることができる。
アペリンとしては、上記した配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列などと同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドと同様の作用(例、血管形成促進作用など)を有しているものであれば、どのようなペプチドであってもよい。このようなペプチドとしてはたとえば、上記した配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列などを有するペプチドから、1個以上のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列を有するペプチドであって、同様の活性(例、血管形成促進作用など)を有しているものを挙げることができる。具体的には、(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番目から第12番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(2)配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番目から第13番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(3)配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番目から第14番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(4)配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番目から第15番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(5)配列番号1で表されるアミノ酸配列の第1番目から第16番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(6) 配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の部分配列を有するペプチドなどが好ましい。なかでも、配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の部分配列を有するペプチドなどが好ましい。
また、配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の部分配列を有するペプチドとして具体的には、(a)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第6番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(b)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第40番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(c)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第42番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(d)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第47番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(e)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第61番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(f)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチドまたはそのN末端のアミノ酸(Gln)がピログルタミン酸化したもの、(g)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第1番目から第25番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(h)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第6番目から第25番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(i)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第42番目から第64番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(j)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第61番目から第64番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(k)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第43番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(l)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第41番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(m)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第66番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(n)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第67番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(o)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第64番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(p)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第63番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(q)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第76番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(r)配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第75番目のアミノ酸配列を有するペプチド、などがあげられ、なかでも配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチドまたはそのN末端のアミノ酸(Gln)がピログルタミン酸化したものまたは配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第42番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチドが好ましく用いられる。特に、配列番号5、7、9または11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第77番目のアミノ酸配列で表わされるペプチドまたはそのN末端のアミノ酸(Gln)がピログルタミン酸化したもの(pGlu Arg Pro Arg Leu Ser His Lys Gly Pro Met Pro Phe)が好ましい。さらにpGlu Arg Pro Arg Leu Ser His Lys Gly Pro Met Pro Pheで表されるアミノ酸配列の部分アミノ酸配列を有するペプチドもアペリンとして好ましく用いられる。
アペリンをコードするDNAとしては、具体的には、前記した配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリンをコードするDNAを含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した組織・細胞由来のcDNA、前記した組織・細胞由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは特に限定されず、例えばバクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した組織・細胞よりRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction (以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。より具体的には、配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列を含有するマウス全脳、ラット全脳、ウシ視床下部、ウシ胃由来、ヒト視床下部またはヒト肺由来のポリペプチドをコードするDNAとしては、(1)配列番号2で表される塩基配列もしくはその部分配列、配列番号6で表わされる塩基配列の部分配列、配列番号8で表される塩基配列の部分配列、配列番号10で表される塩基配列の部分配列、または配列番号12で表される塩基配列の部分配列を有するDNAを含有するDNA、(2) (1)で規定された配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする哺乳動物由来のDNAであって、同一アミノ酸配列をもつポリペプチドをコードするDNA、(3)遺伝コードの縮重のため(1)および(2)に定められている配列とハイブリッド形成しないが、同一アミノ酸配列をもつポリペプチドをコードするDNAなどが用いられる。ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じた方法に従って行うことができる。上記ストリンジェントな条件としては、例えば42℃、50%ホルムアミド、4×SSPE(1×SSPE=150mM NaCl, 10mM NaHPO・HO, 1mM EDTA pH7.4)、5×デンハート溶液、0.1%SDSである。上記配列番号2で表される塩基配列において、YはTまたはCを、NはT,C,AまたはGを、RはAまたはGを、MはCまたはAを、WはTまたはAを、SはCまたはGを示す。また、配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号5で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号7で表されるアミノ酸配列の部分配列、配列番号9で表されるアミノ酸配列の部分配列、または配列番号11で表されるアミノ酸配列の部分配列などを含有するポリペプチドをコードするDNAの中で例えば6個以上51個以下(好ましくは9個以上30個以下、さらに好ましくは12個以上30個以下)の部分塩基配列を含有するDNA断片はDNA検出プローブとしても好ましく用いられる。
アペリンをコードするDNAは以下の遺伝子工学的手法によっても製造することができる。アペリンを完全にコードするDNAのクローニングの手段としては、アペリンの部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いて自体公知のPCR法によって前記DNAライブラリー等から目的とするDNAを増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを例えば本発明のポリペプチドの一部あるいは全領域を有するDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば Molecular Cloning(2nd ed.;J. Sambrook et al., Cold SpringHarbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行われる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行う。クローン化されたアペリンをコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。アペリンの発現ベクターは、例えば、(イ)アペリンをコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。
形質転換する際の宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどが利用できる。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH1プロモーター、GALプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)等が挙げられる。特に、CHO(dhfr)細胞を用いてDHFR遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、チミジンを含まない培地によっても選択できる。また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、ポリペプチドまたはその部分ペプチドのN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、phoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、メイテイングファクターα(MFα)・シグナル配列、インベルターゼ・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。このようにして構築されたポリペプチドをコードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造することができる。
宿主としては、たとえばエシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫または昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。エシェリヒア属菌としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用いられる。バチルス属菌としては、たとえばバチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、たとえばサッカロマイセス セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)AH22,AH22R,NA87−11A,DKD−5D,20B−12などが用いられる。昆虫としては、例えばカイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mamestrabrassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞〔以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィトロ(in Vitro),13巻,213−217頁(1977年)〕などが用いられる。動物細胞としては、たとえばサルCOS−7細胞,Vero細胞,チャイニーズハムスター細胞CHO,DHFR遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(dhfrCHO細胞),マウスL細胞,マウス3T3細胞、マウスミエローマ細胞,ヒトHEK293細胞、ヒトFL細胞、293細胞、C127細胞、BALB3T3細胞、Sp−2/O細胞などが用いられる。エシェリヒア属菌を形質転換するには、たとえばプロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なわれる。バチルス属菌を形質転換するには、たとえばモレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行われる。酵母を形質転換するには、たとえばプロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl.Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)に記載の方法に従って行なわれる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、たとえばバイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6巻, 47−55頁(1988年)などに記載の方法に従って行なわれる。動物細胞を形質転換するには、たとえばヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なわれる。発現ベクターの細胞への導入方法としては、例えば、リポフェクション法〔Felgner, P.L. et al. プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proceedings of the NatinalAcademy of Sciences of the United States of America),84巻,7413頁(1987年)〕、リン酸カルシウム法〔Graham, F. L. and van der Eb, A.J.ヴィロロジー(Virology),52巻,456−467頁(1973年)〕、電気穿孔法〔Nuemann, E. et al. エンボ・ジャーナル(EMBO J.),1巻,841−845頁(1982年)〕等が挙げられる。このようにして、本発明のポリペプチドをコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。なお、動物細胞を用いて、本発明のポリペプチド等を安定に発現させる方法としては、上記の動物細胞に導入された発現ベクターが染色体に組み込まれた細胞をクローン選択によって選択する方法がある。具体的には、上記の選択マーカーを指標にして形質転換体を選択する。さらに、このように選択マーカーを用いて得られた動物細胞に対して、繰り返しクローン選択を行なうことにより本発明のポリペプチド等の高発現能を有する安定な動物細胞株を得ることができる。また、dhfr遺伝子を選択マーカーとして用いた場合、MTX濃度を徐々に上げて培養し、耐性株を選択することにより、dhfr遺伝子とともに、本発明のポリペプチドまたはその部分ペプチド等をコードするDNAを細胞内で増幅させて、さらに高発現の動物細胞株を得ることもできる。上記の形質転換体を本発明のポリペプチド等をコードするDNAが発現可能な条件下で培養し、本発明のポリペプチド等を生成、蓄積せしめることによって、本発明のポリペプチド等を製造することができる。宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としてはたとえば塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えばグルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、たとえば3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、たとえばバークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、たとえば約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Seience),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Jounal of the American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。特にCHO(dhfr)細胞およびdhfr遺伝子を選択マーカーとして用いる場合には、チミジンをほとんど含まない透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地を用いるのが好ましい。
上記培養物から本発明のポリペプチドを分離精製するには、例えば下記の方法により行なうことができる。本発明のポリペプチドを培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりポリペプチドの粗抽出液を得る方法などが適宜用い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのたんぱく変性剤や、トリトンX−100(登録商標。以下、TMと省略することがある。)などの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にポリペプチドが分泌される場合には、培養終了後、自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる本発明のポリペプチドの精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法やクロマトフォーカシングなどの等電点の差を利用する方法などが用いられる。かくして得られる本発明のポリペプチドが遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。なお、組換え体が産生する本発明のポリペプチドを、精製前または精製後に適当なタンパク質修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。タンパク質修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられ得る。かくして生成する本発明のポリペプチドの存在は特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
次に、アペリンの修飾体について説明する。本願明細書においてアミノ酸残基とは、アミノ酸が水分子を失ってペプチド結合を形成し、タンパク質やペプチド中に取り込まれた時のN末端もしくはC末端以外の部分の構造をいう。例えば、α−アミノ酸残基とはα−アミノ酸(HNC(R0)(R1)COOH:RおよびR1はそれぞれ同一または異なって、任意の置換基を示す)が水分子を失ってペプチド結合を形成し、タンパク質やペプチド中に取り込まれた時のN末端もしくはC末端以外の部分の-NHC(R0)(R1)CO-の構造をいう。一方、N末端のアミノ酸残基はHNC(R0)(R1)CO-、C末端のアミノ酸残基は-NHC(R0)(R1)COOHで示される。また、β−アミノ酸(HNC(R0)(R1)C(R2)(R3)COOH: R0、R1、R2およびR3はそれぞれ同一または異なって、任意の置換基を示す)が水分子を失ってペプチド結合を形成しタンパク質やペプチド中に取り込まれた時のN末端もしくはC末端以外の部分の-NHC(R0)(R1)C(R2)(R3)CO-の構造をいう。一方、N末端のアミノ酸残基はHNC(R0)(R1)C(R2)(R3)CO-、C末端のアミノ酸残基は-NHC(R0)(R1)C(R2)(R3)COOHで示される。また、γ−アミノ酸(HNC(R0)(R1)C(R2)(R3)C(R4)(R5)COOH : R0、R1、R2、R3、R4およびRはそれぞれ同一または異なって、任意の置換基を示す)が水分子を失ってペプチド結合を形成しタンパク質やペプチド中に取り込まれた時のN末端もしくはC末端以外の部分の-NHC(R0)(R1)C(R2)(R3)C(R4)(R5)CO-の構造をいう。一方、N末端のアミノ酸残基はHNC(R0)(R1)C(R2)(R3)C(R4)(R5)CO-、C末端のアミノ酸残基は-NHC(R0)(R1)C(R2)(R3)C(R4)(R5)COOHで示される。さらに、ε−アミノ酸(HNC(R0)(R1)C(R2)(R3)C(R4)(R5)C(R6)(R7)C(R8)(R9)COOH: R0、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびRはそれぞれ同一または異なって、任意の置換基を示す)が水分子を失ってペプチド結合を形成しタンパク質やペプチド中に取り込まれた時のN末端もしくはC末端以外の部分の-NHC(R0)(R1)C(R2)(R3)C(R4)(R5)C(R6)(R7)C(R8)(R9)CO-の構造をいう。一方、N末端のアミノ酸残基はHNC(R0)(R1)C(R2)(R3)C(R4)(R5)C(R6)(R7)C(R8)(R9)CO-、C末端のアミノ酸残基は-NHC(R0)(R1)C(R2)(R3)C(R4)(R5)C(R6)(R7)C(R8)(R9)COOHで示される。
本明細書において、アミノ酸としては、天然または非天然のアミノ酸であって、D−体またはL−体のいずれでもよく、α−、β−、γ−、ε−型のいずれのものでもよい。α−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸、ε−アミノ酸の側鎖を形成する基としては、例えば(1)C1−6アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルなど、好ましくはC1−3アルキルなど)、(2)シアノ基、(3)ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、(4)ヒドロキシ−C1−6アルキル基(例、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルなど)、(5)C1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなど、好ましくはC1−3アルコキシなど)、(6) C1−6アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルなど、好ましくはC1−3アルコキシ−カルボニルなど)、(7)C1−4アシル基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルなどのホルミルおよびC2−4アルカノイルなど)、(8)ヒドロキシ基、(9)式:−S(O)−R21(式中、aは0〜2の整数を、R21はC1−6アルキル(具体例は、上記と同様のものが挙げられる)を示す)で表わされる基(例、メチルチオ、メタンスルフィニル、メタンスルホニル、エチルチオ、エタンスルフィニル、エタンスルホニルなど)、(10)ベンジルオキシカルボニル、(11)トシル基、(12)カルバモイル基、(13)メルカプト基、(14)アミノ基、(15)スルホ基、(16)ホスホノ基、(17)ホスホ基、(18)カルボキシル基、(19)テトラゾリル基、(20)アミノ−C1−6アルキル基(例、アミノメチル、アミノエチルなど)、(21)アミノアリル基、(22)チアゾリル基、(23)チエニル基、(24)オキサゾリル基、(25)フリル基、(26)ピラニル基、(27)ピリジル基、(28)ピラジル基、(29)ピラジニル基、(30)ピリミジニル基、(31)ピリダジニル基、(32)インドリル基、(33)インドジニル基、(34)イソインドリル基、(35)ピロリル基、(36)イミダゾリル基、(37)イソチアゾリル基、(38)ピラゾリル基、(39)クロメニル基、(40)プリニル基、(41)キノリジニル基、(42)キノリル基、(43)イソキノリル基、(44)キナゾリニル基、(45)キノキサリニル基、(46)シンノリニル基、(47)モルホリニル基、(48)ベンゾチエニル基、(49)ベンゾフラニル基、(50)ベンズイミダソリル、(51)ベンズイミダゾリル基、(52) C3−8シクロアルキル基、 (53)上記(2)、(3)、(5)から(17)、(20)から(52)に記載の置換基で置換されたC1−4アルキル基、(54) 上記(2)、(3)、(5)から(17)、(20)から(52)に記載の置換基で置換されたホルミル、C2−4アルカノイルなどのC1−4アシル基、(55)上記(1)から(52)の記載の置換基で置換されたフェニルなどのC6−10アリール基(メシチル、トリル、キシリル、スチレニルなど)、(56) 上記(1)から(52)の記載の置換基で置換されたベンジルなどのC7-15アラルキル基(メチルベンジル、メトキシベンジルなど)、(57) C7-15アラルキル基(ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチルなど)、(58) C6−10アリール基(フェニル、ナフチル、インデニルなど)、および(59)水素原子などがあげられる。
また、アミノ酸残基を形成する側鎖と窒素原子が結合し、環を形成してもよく(例、プロリンなど)、2つの側鎖が結合し環を形成してもよい(例、3−アミノノルボルナンカルボン酸など)。α−アミノ酸の例としては、例えば、グリシン,アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,セリン,スレオニン,システイン,メチオニン,アスパラギン酸,グルタミン酸,リジン,アルギニン,フェニルアラニン,チロシン,ヒスチジン,トリプトファン,アスパラギン、グルタミン、プロリン,ピペコリン酸、ノルロイシン,γ−メチルロイシン,tert-ロイシン,ノルバリン,ホモアルギニン,ホモセリン,α−アミノイソ酪酸,α−アミノ酪酸,オルニチン、α−アミノアジピン酸、フェニルグリシン、チエニルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン、ビフェニルアラニン、p−ホスホノメチルフェニルアラニン、オクタハイドロインドール−2−カルボン酸、O−ホスホチロシン、アダマンチルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、ピリジルアラニン、ピペリジルアラニン、ピラジルアラニン、キノリルアラニン、チアゾリルアラニン、ホモシステイン、ホモフェニルアラニン、シトルリン、ホモシトルリン、オキシプロリン(ヒドロキシプロリン)、α、β−ジアミノプロピオン酸、α、γ−ジアミノ酪酸、アミノマロン酸、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、ペニシラミン、シクロロイシン、2-アミノ-4-ペンテン酸などがあげられる。β−アミノ酸の例としては、例えば、β−アラニン、β−アミノ酪酸、イソアスパラギン、3-アミノアジピン酸、3-アミノフェニルプロピオン酸、3-アミノ-2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸、3-アミノノルボルナンカルボン酸、3-アミノビシクロヘプタンカルボン酸などがあげられる。γ−アミノ酸の例としては、例えば、γ-アミノ酪酸、イソグルタミン、スタチン、4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルペンタン酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンタン酸、6-アミノペニシラン酸、3-アミノアダマンタン-1-カルボン酸などがあげられる。ε−アミノ酸の例としては、例えば、ε-アミノカプロン酸、4-アミノメチル-シクロヘキサンカルボン酸などがあげられる。
該天然のアミノ酸としては、グリシン,アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,セリン,スレオニン,システイン,シスチン,メチオニン,アスパラギン酸,グルタミン酸,リジン,アルギニン,フェニルアラニン,チロシン,ヒスチジン,トリプトファン,アスパラギン,グルタミン,プロリン,オルニチン,シトルリンなどが挙げられる。非天然のアミノ酸としては、ノルロイシン,γ−メチルロイシン,tert-ロイシン,ノルバリン,ホモアルギニン,ホモセリン,アミノイソ酪酸, アミノアジピン酸(例、α−アミノアジピン酸)、フェニルグリシン、チエニルグリシン、シクロヘキシルグリシン、アミノ酪酸、β−アラニン、シクロヘキシルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン、アダマンチルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、ピリジルアラニン、ピペリジルアラニン、ピラジルアラニン、キノリルアラニン、チアゾリルアラニン、イソアスパラギン、イソグルタミン、ホモシステイン、ホモフェニルアラニン、ホモシトルリン、オキシプロリン(ヒドロキシプロリン)、ジアミノプロピオン酸、ジアミノ酪酸、アミノ安息香酸、前記天然アミノ酸、非天然アミノ酸のN-メチル化体などが挙げられる。これらのアミノ酸残基の側鎖に置換していてもよい置換基の例としては、(1) C1−6アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルなど、好ましくはC1−3アルキルなど)、(2)シアノ基、(3)ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、(4)ヒドロキシ−C1−6アルキル基(例、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルなど)、(5) C1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなど、好ましくはC1−3アルコキシなど)、(6) C1−6アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルなど、好ましくはC1−3アルコキシ−カルボニルなど)、(7) C1−4アシル基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルなどのホルミルおよびC2−4アルカノイルなど)、(8)ヒドロキシ基、(9)式:−S(O)−R21(式中、aは0〜2の整数を、R21はC1−6アルキル(具体例は、上記と同様のものが挙げられる)を示す)で表わされる基(例、メチルチオ、メタンスルフィニル、メタンスルホニル、エチルチオ、エタンスルフィニル、エタンスルホニルなど)、(10)ベンジルオキシカルボニル、(11)トシル基、(12)カルバモイル基、(13)メルカプト基、(14)アミノ基、(15)スルホ基、(16)ホスホノ基、(17)ホスホ基、(18)カルボキシル基、(19)テトラゾリル基、(20)アミノ−C1−6アルキル基(例、アミノメチル、アミノエチルなど)、(21)アミノアリル基、(22)チアゾリル基、(23)チエニル基、(24)オキサゾリル基、(25)フリル基、(26)ピラニル基、(27)ピリジル基、(28)ピラジル基、(29)ピラジニル基、(30)ピリミジニル基、(31)ピリダジニル基、(32)インドリル基、(33)インドジニル基、(34)イソインドリル基、(35)ピロリル基、(36)イミダゾリル基、(37)イソチアゾリル基、(38)ピラゾリル基、(39)クロメニル基、(40)プリニル基、(41)キノリジニル基、(42)キノリル基、(43)イソキノリル基、(44)キナゾリニル基、(45)キノキサリニル基、(46)シンノリニル基、(47)モルホリニル基、(48)ベンゾチエニル基、(49)ベンゾフラニル基、(50)ベンズイミダソリル、(51)ベンズイミダゾリル基、(52) C3−8シクロアルキル基、(53)オキソ基、(54)上記(2)、(3)、(5)から(19)、(22)から(52)に記載の置換基で置換されたC1−4アルキル基、(55) 上記(2)、(3)、(5)から(19)、(22)から(52)に記載の置換基で置換されたホルミル、C2−4アルカノイルなどのC1−4アシル基、(56)上記(1)から(52)の記載の置換基で置換されたフェニルなどのC6−10アリール基(メシチル、トリル、キシリル、スチレニルなど)、(57)上記(1)から(52)の記載の置換基で置換されたベンジルなどのC7-15アラルキル基(メチルベンジル、メトキシベンジルなど)、(58) C7-15アラルキル基(ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチルなど)、(59) C6−10アリール基(フェニル、ナフチル、インデニルなど)などがあげられる。
本明細書において、中性の置換基としては、(1) C1−6アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルなど、好ましくはC1−3アルキルなど)、(2)シアノ基、(3)ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、(4)ヒドロキシ−C1−6アルキル基(例、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルなど)、(5)ヒドロキシ基、(6)カルバモイル基、(7)メルカプト基、(8)式: −S(O)−R21(式中の各記号は前記と同意義)で表される基、(9)C6−10アリール基(例フェニル、ナフチル、インデニル、クロメニルなど)、(10)チエニル基、(11)オキサゾリル基、(12)フリル基、(13)インドリル基、(14)インドリジニル基、(15)イソインドリル基、(16) C3−8シクロアルキル基、(17)オキソ基、(18)上記(2),(3),(5)から(16)に記載の置換基で置換されたC1−6アルキル、(19) 上記(1)から(16)に記載の置換基で置換されたフェニル、ナフチルなどのC6−10アリール基(メシチル、トリル、キシリル、スチレニルなど)、(20) 上記(1)から(16)に記載の置換基で置換されたベンジルなどのC7-15アラルキル基(メチルベンジル、メトシキベンジルなど)などがあげられる。酸性の置換基としては、それぞれカルボキシル基、スルホ基、テトラゾリル基等で置換されたC1−4アルキル基、フェニル、ナフチルなどのC6−10アリール基もしくはベンジルなどのC7-15アラルキル基、カルボキシル基などがあげられる。塩基性の置換基としては、(1)アミノ−C1−6アルキル基(アミノメチル、アミノエチルなど)、(2)アミノアリル基、(3)ピリジル基、(4)ピラジル基、(5)ピラジニル基、 (6)ピリダジニル基、(7)イミダゾリル基、(8)ピラゾリル基、(9)ピラゾリル基、(10)モルホリニル基、(11)アミノ基、(12)上記(3)から(10)に記載の置換基で置換されたC1−4アルキル基、(13)上記(1)から(11)に記載の置換基で置換されたベンジルなどのC7-15アラルキル基、(14)上記(1)から(11)に記載の置換基で置換されたフェニル、ナフチルなどのC6−10アリール基などがあげられる。本明細書において、酸性アミノ酸としては、具体的には、たとえば、側鎖にカルボキシル基、スルホ基、テトラゾリル基のような酸性基を有するアミノ酸があげられる。その具体例としては、グルタミン酸、ピログルタミン酸、アスパラギン酸、システイン酸、ホモシステイン酸、3−(5−テトラゾリル)アラニン、2−アミノ−4−(5−テトラゾリル)酪酸などがあげられる。本明細書において、塩基性アミノ酸としては、たとえば、ヒスチジン、アルギニン、 オルチニン、リジン、 ジアミノプロピオン酸、ジアミノ酪酸、ホモアルギニンなどがあげられる。側鎖が置換された塩基性アミノ酸としては、具体的には、たとえば、Nα−アセチルアルギニン、 Nε−トシルアルギニン、 Nε−アセチルリジン、Nε−メチルリジン、Nε−トシルリジンなどがあげられる。本明細書において、中性アミノ酸としては、具体的には、たとえば、アラニン、バリン、ノルバリン、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、ノルロイシン、ターシャリーロイシン、ガンマメチルロイシン、プロリン、フェニルグリシン、フェニルアラニン、グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン、グリシン、システイン、メチオニン、トリプトファン、オキシプロリン(ヒドロキシプロリン)、シクロヘキシルアラニン、などのアミノ酸があげられる。側鎖が置換された中性アミノ酸としては、具体的には、たとえば、ビフェニルアラニンなどがあげられる。
本明細書において、芳香族性の側鎖を有するアミノ酸残基としては、具体的には、たとえば、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、ヒスチジン、ピリジルアラニン(2−ピリジルアラニン)、O−メチルチロシンなどがあげれらる。側鎖が置換された芳香族性の側鎖を有するアミノ酸残基としては、具体的には、たとえば、3−ヨードチロシン、p-ホスホノメチルフェニルアラニン、O−ホスホチロシンなどがあげられる。本明細書において、ヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基としては、例えば、セリン、スレオニン、チロシン、オキシプロリン(ヒドロキシプロリン)などがあげられる。本明細書におけるペプチドおよびペプチド鎖はペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。本発明のペプチドおよびペプチド鎖はC末端が通常カルボキシル基(-COOH)またはカルボキシレート(-COO)であるが、C末端がアミド(-CONH)またはエステル(-COOR)であってもよい。エステルのRとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルなどのフェニル−C1−2アルキル、もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキルなどのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが挙げられる。本発明のペプチドがC末端以外にカルボキシル基またはカルボキシレートを有している場合、それらの基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のポリペプチドに含まれる。この時のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。また、本発明のペプチドまたはペプチド鎖には、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が置換基(例えば、(1)ホルミル、アセチルなどのC2−6アルカノイル基、グアニジノアセチル、チエニルアクリリル、ピリジルアセチルなどのC1−8アシル基、(2)メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1−6アルキル基、(3)フェニル、ナフチルなどC6−10アリール基またはベンジル、フェネチルなどのC7−16アラルキル基、(4)トシル基、(5)ベンジルオキシカルボニル基、(6)式:−S(O)−R22(式中、aは0〜2の整数を、R22はC1−6アルキル(具体例は、上記と同様のものがあげられる)を示す)で表される基(例、メチルチオ、メタンスルフィニル、メタンスルホニル、エチルチオ、エタンスルフィニル、エタンスルホニルなど)、(7)t−ブトキシカルボニル基、(8)N−9−フルオレニルメトキシカルボニル基など)で置換されているもの、生体内で切断されて生成するN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば−OH、−SH、アミノ基、イミダゾリル基、インドリル基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。
アペリンの修飾体(I)は、式X−Arg−Pro−Arg−X−Ser−His−X−Gly−Pro−X−Xで表され、−Arg−Pro−Arg−、−Ser−His−および−Gly−Pro−中の各アミノ酸残基の側鎖は置換されていてもよく、置換基としては、上記の置換基などがあげられる。本明細書において、Xは「水素原子またはそれぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸からなるアミノ酸残基またはペプチド鎖」を示す。該「側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸」における置換基としては、例えば、上記の「アミノ酸残基の側鎖に置換していてもよい置換基」と同様のものなどがあげられる。Xが「側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基」を示すときの好ましい例としては、例えば、置換されていてもよいピログルタミン酸または側鎖が置換されていてもよいグルタミンなどがあげられ、より好ましくは、ピログルタミン酸またはグルタミンなどがあげられる。該「側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基」、「置換されていてもよいピログルタミン酸」、「側鎖が置換されていてもよいグルタミン」におけるアミノ酸残基の置換基としては、例えば、上記の「アミノ酸残基の側鎖に置換していてもよい置換基」と同様のものなどがあげられる。また、「置換されていてもよいピログルタミン酸」の好ましい置換基としては、ベンジルオキシカルボニル基などがあげられる。Xが「それぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよい2〜25個のアミノ酸からなるペプチド鎖」を示すときの具体例としては、例えば、式Y−Y(式中、Yはそれぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよい1〜17個のアミノ酸からなるアミノ酸残基またはペプチド鎖を示し、Yはそれぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよい1〜8個のアミノ酸からなるアミノ酸残基またはペプチド鎖を示す)で表されるペプチドなどがあげられる。
上記YおよびYで表されるアミノ酸残基またはペプチド鎖中のアミノ酸残基の側鎖の置換基としては、例えば、上記の「アミノ酸残基の側鎖に置換していてもよい置換基」と同様のものなどがあげられる。上記Yとしての具体例としては、例えば、(a) 式 A−A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、A〜A17はそれぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示す)、(b) 式 A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(c) 式 A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(d) 式 A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(e) 式 A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(f) 式 A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(g) 式 A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(h) 式 A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(i) 式 A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(j) 式 A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(k) 式 A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(l) 式 A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(m) 式 A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(n) 式 A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(0) 式 A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(p) 式 A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)または(q) A17(A17は前記と同意義を示す)で表されるアミノ酸残基またはペプチド鎖などがあげられる。
上記Aは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、芳香性の側鎖を有するアミノ酸残基、より好ましくは、芳香性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、さらに好ましくはL−チロシンなどを示す。上記AおよびAはそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよいL−中性アミノ酸残基、さらに好ましくはAとしてはL−ロイシンなど、AとしてはL−バリンなどがあげられる。上記Aは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性または塩基性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよいL−中性またはL−塩基性アミノ酸残基、さらに好ましくはL-リジンまたはNε−アセチルリジンなどを示す。上記Aは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、置換されていてもよいL-プロリン、さらに好ましくは、L-プロリンなどを示す。上記AおよびAはそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよいL−塩基性アミノ酸残基、さらに好ましくはL−アルギニンなどを示す。上記AおよびA10は、それぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、ヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基または側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基などを示す。Aとしては、置換されていてもよいグリシン、特にグリシンなどが好ましく用いられる。上記Aは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、L-プロリンやヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基、より好ましくは、L−セリン、L−プロリンまたはオキシプロリン(ヒドロキシプロリン)などを示す。上記A10として好ましくは、ヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基または側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくはセリン、スレオニン、アスパラギンなどを示す。上記A11〜A14はそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、A11としてはグリシン、A12としてはL-プロリン、A13としてはグリシン、A14としてはL-アラニン、L-プロリンなどがあげられる。上記A15は側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、芳香族性の側鎖を有するアミノ酸残基、より好ましくは、芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、さらに好ましくはL−トリプトファンなどを示す。上記A16は側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、カルバモイル基を持つ中性L−アミノ酸残基、さらに好ましくはL-グルタミンを示す。カルバモイル基を持つ中性L−アミノ酸残基としては、例えばL−グルタミン、L−アスパラギンなどがあげられる。A17は側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、グリシンなどを示す。
上記Yとしての具体例としては、例えば、(1)式 B−B−B−B−B−B−B−B(式中、B〜Bはそれぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示す)、(2)式 B−B−B−B−B−B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)、(3)式 B−B−B−B−B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)、(4)式 B−B−B−B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)、(5)式 B−B−B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)、(6)式 B−B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)、(7)式 B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)または(8)式 B(Bは上記と同意義を示す)で表されるアミノ酸残基またはペプチド鎖などがあげられる。
上記Bは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性L−アミノ酸残基、さらに好ましくは、置換されていてもよいグリシン、最も好ましくは、グリシンなどを示す。上記B〜Bはそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、さらに好ましくは、BとしてはL−アルギニン、BとしてはL−アルギニン、Bとしては、L−リジンなどを示す。上記Bは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、芳香族性の側鎖を有するアミノ酸残基、より好ましくは、芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、さらに好ましくは、L−フェニルアラニンなどを示す。上記BおよびBはそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、さらに好ましくは、L-アルギニンなどを示す。上記Bは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよいグルタミン、より好ましくは、L-グルタミンなどを示す。
とYの組み合わせとしては、上記(a)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合(即ちXが、A−A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17−B−B−B−B−B−B−B−Bで表される場合:以下の組み合わせの説明においては省略する)、上記(a)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、および上記(q)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合があげられるが、なかでも、上記(a)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、および上記(q)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合が好ましい。
なかでも、上記(a)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合および上記(b)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合がより好ましい例としてあげられる。上記(a)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合および上記(b)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合の更に好ましい具体例を以下に示す。上記(b)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合とは、Xが式 A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17−B−B−B−B−B−B−B−B(式中、A2〜A17およびB〜Bは上記と同意義を示す)で表される場合のことをいうが、この場合の好ましい具体例としては、AおよびAがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいL−中性アミノ酸残基、好ましくはAとしてはL−ロイシンなど、AとしてはL−バリンなどであり、Aが側鎖が置換されていてもよいL−中性またはL−塩基性アミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン、 L-リジンまたはNε−アセチルリジンなどであり、Aが側鎖が置換されていてもよいL-プロリン、好ましくは、L-プロリンなどであり、AおよびAがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいL−塩基性アミノ酸残基、好ましくはL−アルギニンなどであり、Aが置換されていてもよいグリシン、好ましくはグリシンなどであり、AがL-プロリンまたはヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基、好ましくは、L−セリン、L−プロリンまたはオキシプロリン(ヒドロキシプロリン)などであり、A10が、ヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基または側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、好ましくはL−セリン、L−スレオニン、L−アスパラギンなどであり、A11がグリシン、A12がL-プロリン、A13がグリシン、A14がL-アラニンまたはL-プロリンなどであり、A15が芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、好ましくはL−トリプトファンなどであり、A16がカルバモイル基を持つ中性L−アミノ酸残基、好ましくはL-グルタミンであり、A17が中性アミノ酸残基、好ましくは、グリシンなどであり、Bが側鎖が置換されていてもよい中性L−アミノ酸残基、好ましくは、置換されていてもよいグリシン、より好ましくは、グリシンなどであり、B〜Bがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、好ましくは、BとしてはL−アルギニン、BとしてはL−アルギニン、Bとしては、L−リジンなどであり、Bが芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、好ましくは、L−フェニルアラニンなどであり、BおよびBがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、好ましくは、L-アルギニンなどであり、Bが側鎖が置換されていてもよいグルタミン、好ましくは、L-グルタミンなどである場合などがあげられる。
上記(a)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合とは、Xが式 A−A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17−B−B−B−B−B−B−B−B(式中、A〜A17およびB〜Bは上記と同意義を示す)で表される場合のことをいうが、この場合の好ましい具体例としては、Aが芳香性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、より好ましくはL−チロシンなどであり、AおよびAがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいL−中性アミノ酸残基、好ましくはAとしてはL−ロイシンなど、AとしてはL−バリンなどであり、Aが側鎖が置換されていてもよいL−中性またはL−塩基性アミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン、L-αアミノアジピン酸、L-リジンまたはNε−アセチルリジンなどであり、Aが置換されていてもよいL-プロリン、好ましくは、L-プロリンなどであり、AおよびAがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいL−塩基性アミノ酸残基、好ましくはL−アルギニンなどであり、Aが置換されていてもよいグリシン、好ましくはグリシンなどであり、AがL-プロリンまたはヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基、好ましくは、L−セリン、L−プロリンまたはオキシプロリン(ヒドロキシプロリン)などであり、A10がヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基または側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、好ましくはL−セリン、L−スレオニン、L−アスパラギンなどであり、A11がグリシン、A12がL-プロリン、A13がグリシン、A14がL-アラニンまたはL-プロリンなどであり、A15が芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、好ましくはL−トリプトファンなどであり、A16がカルバモイル基を持つ中性L−アミノ酸残基、好ましくはL-グルタミンであり、A17が中性アミノ酸残基、好ましくは、グリシンなどであり、
が側鎖が置換されていてもよい中性L−アミノ酸残基、好ましくは、置換されていてもよいグリシン、より好ましくは、グリシンなどであり、B〜Bがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、好ましくは、BとしてはL−アルギニン、BとしてはL−アルギニン、Bとしては、L−リジンなどであり、Bが芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、好ましくは、L−フェニルアラニンなどであり、BおよびBがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、好ましくは、L-アルギニンなどであり、Bが側鎖が置換されていてもよいグルタミン、好ましくは、L-グルタミンL-ピログルタミン酸などである場合などがあげられる。
として、より具体的な好ましい例として、(1) 水素原子、(2) Leu-Val-Gln-Pro-Arg-Gly-Ser-Arg-Asn-Gly-Pro-Gly-Pro-Trp-Gln-Gly-Gly-Arg-Arg-Lys-Phe-Arg-Arg-Gln、(3) pGlu、(4) Leu-Val-Adi(NH)-Pro-Arg-Gly-Ser-Arg-Asn-Gly-Pro-Gly-Pro-Trp-Gln-Gly-Gly-Arg-Arg-Lys-Phe-Arg-Arg-Gln 、(5) Leu-Val-Lys(Ac)-Pro-Arg-Thr-Ser-Arg-Thr-Gly-Pro-Gly-Ala-Trp-Gln-Gly-Gly-Arg-Arg-Lys-Phe-Arg-Arg-Gln 、(6) Tyr-Leu-Val-Lys-Pro-Arg-Thr-Ser-Arg-Thr-Gly-Pro-Gly-Ala-Trp-Gln-Gly-Gly-Arg-Arg-Lys-Phe-Arg-Arg-Gln 、および(7) Z-pGluなどがあげられる。
本明細書において、Xは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基を示すが、好ましくは側鎖が置換されていてもよいL−ロイシン、側鎖が置換されていてもよいL−ノルロイシン、より好ましくは、L−ロイシンまたはL−ノルロイシンなどがあげられる。
本明細書において、Xは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基または側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示す。塩基性アミノ酸残基の側鎖への置換基としては、例えばC1−4アシル基、トシル基、C1−6アルキル基などがあげられる。C1−4アシル基としては、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルなどのホルミルおよびC2−4アルカノイルなどがあげられる。C1−6アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどがあげられる。Xとして好ましくは、側鎖が置換されていてもよいL−リジン、側鎖が置換されていてもよいL−ノルロイシン、または側鎖が置換されていてもよいL−アルギニンなどがあげられ、より好ましくは、側鎖がC1−4アシル基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルなどのホルミルおよびC2−4アルカノイルなど)、C1−6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)またはトシル基で置換されていてもよいL−リジン、L−ノルロイシンまたはL−アルギニンなどがあげられ、さらに好ましくは、L−リジン、L−ノルロイシン、L−アルギニン、Nε−アセチルリジン、Nε−メチルリジン、 Nε−トシルリジン、 Nε−トシルアルギニンなどがあげられる。
本明細書において、Xは結合手または側鎖が置換されていてもよい中性または芳香性アミノ酸残基を示す。Xとして好ましくは、結合手、側鎖が置換されていてもよいL−ノルロイシン、側鎖が置換されていてもよいL−メチオニン、側鎖が置換されていてもよいL−メチオニンスルフォキシドまたは側鎖が置換されていてもよいL−アラニンなどがあげられ、より好ましくは結合手、L−ノルロイシンまたはL−メチオニン、L−メチオニンスルフォキシド、L−シクロヘキシルアラニンなどがあげられる。
本明細書において、Xは(1)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(2)水酸基または(3)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基と側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基が結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体を示す。Xとして好ましくは、(1)側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(2)水酸基または(3)側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基と側鎖が置換されていてもよい芳香族性の側鎖を有するアミノ酸残基が結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体などがあげられる。Xとしてさらに好ましくは、(1)側鎖が置換されていてもよいL−プロリンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(2)側鎖が置換されていてもよい4−クロロフェニルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(3)側鎖が置換されていてもよい2−ナフチルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(4)側鎖が置換されていてもよいシクロヘキシルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(5)水酸基または(6)置換されていてもよいL−プロリンと(a)側鎖が置換されていてもよいL−フェニルアラニン、(b)側鎖が置換されていてもよいL−チロシン、(c)側鎖が置換されていてもよいL−2−チエニルアラニン、(d)側鎖が置換されていてもよいL−フェニルグリシンもしくは(e)側鎖が置換されていてもよいL−2−ピリジルアラニンが結合してなるジペプチド鎖、またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体などがあげられる。Xとしてさらに好ましくは、(1)L−プロリンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(2)4−クロロフェニルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(3)2−ナフチルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(4)シクロヘキシルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(5)水酸基、(6)L−プロリンとL−フェニルアラニンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(7)L−プロリンとL−チロシンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(8)L−プロリンとL−2−チエニルアラニンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(9)L−プロリンとL−フェニルグリシンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(10)L−プロリンと4−クロロフェニルアラニンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(11)L−プロリンと2−ナフチルアラニンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(12)L−プロリンと3−ヨードチロシンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(13)L−プロリンとO−メチルチロシンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、または(14)L−プロリンとL−2−ピリジルアラニンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体などがあげられる。
「−X−X」として、特に好ましくは、(1) -Nle-Pro-Phe、(2) -Nle-Pro-Tyr、(3) -Nle-Pro、(4) -Nle、(5) -Met-Pro-Phe、(6) -Nle-Pro-Thi、(7) -Nle-Pro-Phg、(8) -Nle-Pro-Pya(2)、(9) -Met(O)、(10) -Met-Phe(Cl)、(11) -Met-Pro-Phe(Cl)、(12) -Met-Pro-Nal(2)、(13) -Met-Nal(2)、(14) -Met-Cha、(15) -Cha-Pro-Phe、(16) -Cha、(17) -Met-Pro-Tyr(I)、および(18) -Met-Pro-Tyr(Me)などがあげられる。
アペリンの修飾体(I)の具体例としては、例えば、(1) Leu-Val-Gln-Pro-Arg-Gly-Ser-Arg-Asn-Gly-Pro-Gly-Pro-Trp-Gln-Gly-Gly-Arg-Arg-Lys-Phe-Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Phe (配列番号13)、(2) Leu-Val-Gln-Pro-Arg-Gly-Ser-Arg-Asn-Gly-Pro-Gly-Pro-Trp-Gln-Gly-Gly-Arg-Arg-Lys-Phe-Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Tyr (配列番号14)、(3) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Phe (配列番号15)、(4) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Tyr (配列番号16)、(5) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro (配列番号17)、(6) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle (配列番号18)、(7) Ac-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Tyr (配列番号19)、(8) Ac-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro (配列番号20)、(9) Ac-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle (配列番号21)、(10) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys(Ac)-Gly-Pro-Met-Pro-Phe (配列番号22)、(11) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys(Me)-Gly-Pro-Met-Pro-Phe (配列番号23)、(12) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys(Ac)-Gly-Pro-Nle-Pro-Phe (配列番号24)、(13) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys(Me)-Gly-Pro-Nle-Pro-Phe (配列番号25)、(14) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys(Tos)-Gly-Pro-Nle-Pro-Phe (配列番号26)、(15) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Arg(Tos)-Gly-Pro-Nle-Pro-Phe (配列番号27)、(16) pGlu-Arg-Pro-Arg-Nle-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Phe (配列番号28)、(17) pGlu-Arg-Pro-Arg-Nle-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Tyr (配列番号29)、(18) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Thi (配列番号30)、(19) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Phg (配列番号31)、(20) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Pya(2) (配列番号32)、(21) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Tyr (配列番号33)、(22) Leu-Val-Adi(NH)-Pro-Arg-Gly-Ser-Arg-Asn-Gly-Pro-Gly-Pro-Trp-Gln-Gly-Gly-Arg-Arg-Lys-Phe-Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Phe (配列番号34)、(23) Leu-Val-Lys(Ac)-Pro-Arg-Thr-Ser-Arg-Thr-Gly-Pro-Gly-Ala-Trp-Gln-Gly-Gly-Arg-Arg-Lys-Phe-Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Tyr (配列番号35)、(24) Tyr-Leu-Val-Lys-Pro-Arg-Thr-Ser-Arg-Thr-Gly-Pro-Gly-Ala-Trp-Gln-Gly-Gly-Arg-Arg-Lys-Phe-Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Phe (配列番号36)、(25) Z-pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys(Ac)-Gly-Pro-Nle-Pro-Phe (配列番号37)、(26) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met(O) (配列番号38)、(27) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Tyr (配列番号39)、(28) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Phe(Cl) (配列番号40)、(29) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl) (配列番号41)、(30) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Nal(2) (配列番号42)、(31) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Nal(2) (配列番号43)、(32) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl) (配列番号44)、(33) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Phe(Cl) (配列番号45)、(34) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Cha (配列番号46)、(35) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe (配列番号47)、(36) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha (配列番号48)、(37) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl) (配列番号49)、(38) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Nle-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl) (配列番号50)、(39) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Nle-Gly-Pro-Met-Pro-Tyr(I) (配列番号51)、および(40) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Nle-Gly-Pro-Met-Pro-Tyr(Me) (配列番号52)などがあげられる。
アペリンの修飾体(II)は、式P−Arg−Pro−Arg−Leu−Phe−P−P−Gly−Pro−P−Pで、アペリンの修飾体(III)は、式Q−Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−Ala−Q−Gly−Q−Q−Qで、アペリンの修飾体(IV)は、式R−Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−His−Lys−Gly−Pro−R−Pro−Rで表され、式中の各アミノ酸残基(の側鎖)は置換されていてもよく、置換基としては、上記の置換基などがあげられる。本願明細書において、P、QおよびRは「水素原子またはそれぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸からなるアミノ酸残基またはペプチド鎖」を示す。該「側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸」における置換基としては、例えば、上記の「アミノ酸残基の側鎖に置換していてもよい置換基」と同様のものなどがあげられる。P、QおよびRが「側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基」を示すときの好ましい例としては、例えば、置換されていてもよいピログルタミン酸または側鎖が置換されていてもよいグルタミンなどがあげられ、より好ましくは、ピログルタミン酸またはグルタミンなどがあげられる。該「側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基」、「置換されていてもよいピログルタミン酸」、「側鎖が置換されていてもよいグルタミン」におけるアミノ酸残基の置換基としては、例えば、上記の「アミノ酸残基の側鎖に置換していてもよい置換基」と同様のものなどがあげられる。また、「置換されていてもよいピログルタミン酸」の好ましい置換基としては、ベンジルオキシカルボニル基などがあげられる。P、QおよびRが「それぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよい2〜25個のアミノ酸からなるペプチド鎖」を示すときの具体例としては、例えば、式Y−Y(式中、Yはそれぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよい1〜17個のアミノ酸からなるアミノ酸残基またはペプチド鎖を示し、Yはそれぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよい1〜8個のアミノ酸からなるアミノ酸残基またはペプチド鎖を示す)で表されるペプチドなどがあげられる。上記YおよびYで表されるアミノ酸残基またはペプチド鎖中のアミノ酸残基の側鎖の置換基としては、例えば、上記の「アミノ酸残基の側鎖に置換していてもよい置換基」と同様のものなどがあげられる。
上記Yとしての具体例としては、例えば、(a) 式 A−A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、A〜A17はそれぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示す)、(b) 式 A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(c) 式 A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(d) 式 A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(e) 式 A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(f) 式 A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(g) 式 A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(h) 式 A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(i) 式 A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(j) 式 A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(k) 式 A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(l) 式 A12−A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(m) 式 A13−A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(n) 式 A14−A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(0) 式 A15−A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)、(p) 式 A16−A17(式中、各記号は前記と同意義を示す)または(q) A17(A17は前記と同意義を示す)で表されるアミノ酸残基またはペプチド鎖などがあげられる。
上記Aは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、芳香性の側鎖を有するアミノ酸残基、より好ましくは、芳香性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、さらに好ましくはL−チロシンなどを示す。上記AおよびAはそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよいL−中性アミノ酸残基、さらに好ましくはAとしてはL−ロイシンなど、AとしてはL−バリンなどがあげられる。上記Aは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性または塩基性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよいL−中性またはL−塩基性アミノ酸残基、さらに好ましくはL-リジンまたはNε−アセチルリジンなどを示す。上記Aは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、置換されていてもよいL-プロリン、さらに好ましくは、L-プロリンなどを示す。上記AおよびAはそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよいL−塩基性アミノ酸残基、さらに好ましくはL−アルギニンなどを示す。上記AおよびA10は、それぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、ヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基または側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基などを示す。Aとしては、置換されていてもよいグリシン、特にグリシンなどが好ましく用いられる。上記Aは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、L-プロリンやヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基、より好ましくは、L−セリン、L−プロリンまたはオキシプロリン(ヒドロキシプロリン)などを示す。上記A10として好ましくは、ヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基または側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくはセリン、スレオニン、アスパラギンなどを示す。上記A11〜A14はそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、A11としてはグリシン、A12としてはL-プロリン、A13としてはグリシン、A14としてはL-アラニン、L-プロリンなどがあげられる。上記A15は側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、芳香族性の側鎖を有するアミノ酸残基、より好ましくは、芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、さらに好ましくはL−トリプトファンなどを示す。上記A16は側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、カルバモイル基を持つ中性L−アミノ酸残基、さらに好ましくはL-グルタミンを示す。カルバモイル基を持つ中性L−アミノ酸残基としては、例えばL−グルタミン、L−アスパラギンなどがあげられる。A17は側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、グリシンなどを示す。
上記Yとしての具体例としては、例えば、(1)式 B−B−B−B−B−B−B−B(式中、B〜Bはそれぞれ同一または異なって側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示す)、(2)式 B−B−B−B−B−B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)、(3)式 B−B−B−B−B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)、(4)式 B−B−B−B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)、(5)式 B−B−B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)、(6)式 B−B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)、(7)式 B−B(式中、各記号は上記と同意義を示す)または(8)式 B(Bは上記と同意義を示す)で表されるアミノ酸残基またはペプチド鎖などがあげられる。
上記Bは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよい中性L−アミノ酸残基、さらに好ましくは、置換されていてもよいグリシン、最も好ましくは、グリシンなどを示す。上記B〜Bはそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、さらに好ましくは、BとしてはL−アルギニン、BとしてはL−アルギニン、Bとしては、L−リジンなどを示す。上記Bは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、芳香族性の側鎖を有するアミノ酸残基、より好ましくは、芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、さらに好ましくは、L−フェニルアラニンなどを示す。上記BおよびBはそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基、より好ましくは、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、さらに好ましくは、L-アルギニンなどを示す。上記Bは側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基を示すが、好ましくは、側鎖が置換されていてもよいグルタミン、より好ましくは、L-グルタミンなどを示す。
とYの組み合わせとしては、上記(a)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合(即ちXが、A−A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17−B−B−B−B−B−B−B−Bで表される場合:以下の組み合わせの説明においては省略する)、上記(a)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(a)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(2)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(3)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(4)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(5)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(6)で表される式で表される場合、上記(q)で表される式+上記(7)で表される式で表される場合、および上記(q)で表される式+上記(8)で表される式で表される場合があげられるが、なかでも、上記(a)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(b)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(c)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(d)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(e)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(f)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(g)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(h)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(i)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(j)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(k)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(l)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(m)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(n)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(o)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、上記(p)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合、および上記(q)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合が好ましい。なかでも、上記(a)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合および上記(b)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合がより好ましい例としてあげられる。上記(a)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合および上記(b)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合の更に好ましい具体例を以下に示す。上記(b)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合とは、P、Qおよび/またはR
式 A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17−B−B−B−B−B−B−B−B(式中、A2〜A17およびB〜Bは上記と同意義を示す)で表される場合のことをいうが、この場合の好ましい具体例としては、AおよびAがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいL−中性アミノ酸残基、好ましくはAとしてはL−ロイシンなど、AとしてはL−バリンなどであり、Aが側鎖が置換されていてもよいL−中性またはL−塩基性アミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン、 L-リジンまたはNε−アセチルリジンなどであり、Aが側鎖が置換されていてもよいL-プロリン、好ましくは、L-プロリンなどであり、AおよびAがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいL−塩基性アミノ酸残基、好ましくはL−アルギニンなどであり、Aが置換されていてもよいグリシン、好ましくはグリシンなどであり、AがL-プロリンまたはヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基、好ましくは、L−セリン、L−プロリンまたはオキシプロリン(ヒドロキシプロリン)などであり、A10が、ヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基または側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、好ましくはL−セリン、L−スレオニン、L−アスパラギンなどであり、A11がグリシン、A12がL-プロリン、A13がグリシン、A14がL-アラニンまたはL-プロリンなどであり、A15が芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、好ましくはL−トリプトファンなどであり、A16がカルバモイル基を持つ中性L−アミノ酸残基、好ましくはL-グルタミンであり、A17が中性アミノ酸残基、好ましくは、グリシンなどであり、Bが側鎖が置換されていてもよい中性L−アミノ酸残基、好ましくは、置換されていてもよいグリシン、より好ましくは、グリシンなどであり、B〜Bがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、好ましくは、BとしてはL−アルギニン、BとしてはL−アルギニン、Bとしては、L−リジンなどであり、Bが芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、好ましくは、L−フェニルアラニンなどであり、BおよびBがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、好ましくは、L-アルギニンなどであり、Bが側鎖が置換されていてもよいグルタミン、好ましくは、L-グルタミンなどである場合などがあげられる。
上記(a)で表される式+上記(1)で表される式で表される場合とは、Xが式 A−A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17−B−B−B−B−B−B−B−B(式中、A〜A17およびB〜Bは上記と同意義を示す)で表される場合のことをいうが、この場合の好ましい具体例としては、Aが芳香性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、より好ましくはL−チロシンなどであり、AおよびAがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいL−中性アミノ酸残基、好ましくはAとしてはL−ロイシンなど、AとしてはL−バリンなどであり、Aが側鎖が置換されていてもよいL−中性またはL−塩基性アミノ酸残基、好ましくはL−グルタミン、L-αアミノアジピン酸、L-リジンまたはNε−アセチルリジンなどであり、Aが置換されていてもよいL-プロリン、好ましくは、L-プロリンなどであり、AおよびAがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよいL−塩基性アミノ酸残基、好ましくはL−アルギニンなどであり、Aが置換されていてもよいグリシン、好ましくはグリシンなどであり、AがL-プロリンまたはヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基、好ましくは、L−セリン、L−プロリンまたはオキシプロリン(ヒドロキシプロリン)などであり、A10がヒドロキシ基を側鎖に有するアミノ酸残基または側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、好ましくはL−セリン、L−スレオニン、L−アスパラギンなどであり、A11がグリシン、A12がL-プロリン、A13がグリシン、A14がL-アラニンまたはL-プロリンなどであり、A15が芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、好ましくはL−トリプトファンなどであり、A16がカルバモイル基を持つ中性L−アミノ酸残基、好ましくはL-グルタミンであり、A17が中性アミノ酸残基、好ましくは、グリシンなどである、Bが側鎖が置換されていてもよい中性L−アミノ酸残基、好ましくは、置換されていてもよいグリシン、より好ましくは、グリシンなどであり、B〜Bがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、好ましくは、BとしてはL−アルギニン、BとしてはL−アルギニン、Bとしては、L−リジンなどであり、Bが芳香族性の側鎖を有するL−アミノ酸残基、好ましくは、L−フェニルアラニンなどであり、BおよびBがそれぞれ同一または異なって、側鎖が置換されていてもよい塩基性L−アミノ酸残基、好ましくは、L-アルギニンなどであり、Bが側鎖が置換されていてもよいグルタミン、好ましくは、L-グルタミンL-ピログルタミン酸などである場合などがあげられる。
、QおよびRとして、好ましい具体例としては、(1)水素原子、(2)Arg-Gln、(3)Arg、(4)Gln、(5)pGlu、または(6)Arg-Arg-Glnなどがあげられる。さらに、Pとしては、水素原子、pGluまたはArg-Arg-Glnがより好ましく、Qとしては、水素原子、pGluまたはArg-Arg-Glnがより好ましく、Rとしては、水素原子、pGluまたはArg-Arg-Gln(さらには水素原子またはArg-Arg-Gln)がより好ましい。本明細書において、Pは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基または側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示すが、好ましくは(側鎖が)置換されていてもよいL−アラニン、(側鎖が)置換されていてもよいL−ヒスチジンなどがあげられる。本明細書において、PおよびQは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、側鎖が置換されていてもよい芳香性アミノ酸残基、または側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示す。塩基性アミノ酸残基の側鎖への置換基としては、例えばC1−4アシル基、トシル基、C1−6アルキル基などがあげられる。C1−4アシル基としては、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルなどのおよびC2−4アルカノイルなどがあげられる。C1−6アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどがあげられる。PおよびQとして好ましくは、側鎖が置換されていてもよいL−リジン、側鎖が置換されていてもよいL−ノルロイシン、または側鎖が置換されていてもよいL−アルギニンなどがあげられ、より好ましくは、側鎖がC1−4アシル基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルなどのおよびC2−4アルカノイルなど)、C1−6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)またはトシル基で置換されていてもよいL−リジン、L−ノルロイシンまたはL−アルギニンなどがあげられ、さらに好ましくは、L−リジン、L−ノルロイシン、L−アルギニン、Nε−アセチルリジン、Nε−メチルリジン、 Nε−トシルリジン、 Nγ−トシルアルギニンなどがあげられる。さらに、PおよびQとしては、置換されていてもよいL−アルギニンまたは置換されていてもよいL−リジンが好ましい。本明細書において、PおよびQは結合手または側鎖が置換されていてもよい中性または側鎖が置換されていてもよい芳香性アミノ酸残基を示す。 PおよびQとして好ましくは、結合手、側鎖が置換されていてもよいL−ノルロイシン、側鎖が置換されていてもよいL−メチオニン、側鎖が置換されていてもよいL−メチオニンスルフォキシドまたは側鎖が置換されていてもよいL−アラニンなどがあげられ、より好ましくは結合手、L−ノルロイシン、L−メチオニン、L−メチオニンスルフォキシドまたはL−シクロヘキシルアラニンなどがあげられる。さらに、Pとしては、L−ノルロイシン、L−メチオニンまたはL−シクロヘキシルアラニンなどが特に好ましい。また、Qとしては、結合手、L−メチオニンまたはL−シクロヘキシルアラニンなどが特に好ましい。本明細書において、PおよびQは(1)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(2)水酸基または(3)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基と側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基が結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体を示す。
およびQとして好ましくは、(1)側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(2)水酸基または(3)側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基と側鎖が置換されていてもよい芳香族性の側鎖を有するアミノ酸残基が結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体などがあげられる。PおよびQとしてさらに好ましくは、(1)側鎖が置換されていてもよいL−プロリンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(2)側鎖が置換されていてもよい4−クロロフェニルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(3)側鎖が置換されていてもよい2−ナフチルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(4)側鎖が置換されていてもよいシクロヘキシルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(5)水酸基または(6)置換されていてもよいL−プロリンと(a)側鎖が置換されていてもよいL−フェニルアラニン、(b)側鎖が置換されていてもよいL−チロシン、(c)側鎖が置換されていてもよいL−2−チエニルアラニン、(d)側鎖が置換されていてもよいL−フェニルグリシンもしくは(e)側鎖が置換されていてもよいL−2−ピリジルアラニンが結合してなるジペプチド鎖、またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体などがあげられる。PおよびQとしてさらに好ましくは、(1)L−プロリンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(2)4−クロロフェニルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(3)2−ナフチルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(4)シクロヘキシルアラニンまたはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基またはホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(5)水酸基、(6)L−プロリンとL−フェニルアラニンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(7)L−プロリンとL−チロシンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(8)L−プロリンとL−2−チエニルアラニンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(9)L−プロリンとL−フェニルグリシンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(10)L−プロリンと4−クロロフェニルアラニンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(11)L−プロリンと2−ナフチルアラニンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(12)L−プロリンと3−ヨードチロシンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、(13)L−プロリンとO−メチルチロシンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体、または(14)L−プロリンとL−2−ピリジルアラニンが結合してなるジペプチド鎖またはそのC末端カルボキシル基がヒドロキシルメチル基またはホルミル基に還元されたペプチド誘導体などがあげられる。
「−P−P」および「−Q−Q」として、特に好ましくは、(1) -Nle-Pro-Phe、(2) -Nle-Pro-Tyr、(3) -Nle-Pro、(4) -Nle、(5) -Met-Pro-Phe、(6) -Nle-Pro-Thi、(7) -Nle-Pro-Phg、(8) -Nle-Pro-Pya(2)、(9) -Met(O)、(10) -Met-Phe(Cl)、(11) -Met-Pro-Phe(Cl)、(12) -Met-Pro-Nal(2)、(13) -Met-Nal(2)、(14) -Met-Cha、(15) -Cha-Pro-Phe、(16) -Cha、(17) -Met-Pro-Tyr(I)、(18) -Cha-Pro-Phe(Cl)、(19) -Cha-Phe(Cl)、(20) -Nle-Pro-Tyr(I)、(21) -Nle-Phe(Cl)、(22) -Cha-Pro-Tyr(I)、(23) -Cha-Tyr(I)、(24) -Cha-Phe、(25) -Met-Phe、(26) -Met-Pro-Tyr(Me)、(27) -OH、(28) -Met、(29) -Met-Pro-Phe、および(30) -Ala-Pro-Phe(Cl)などがあげられる。また、「−P−P」としては、(1) -Cha-Pro-Phe(Cl)、(2) -Cha-Pro-Phe、(3) -Met-Pro-Phe(Cl)、(4) -Met-Pro-Phe(5) -Cha-Phe、および(6) -Met-Pheが好ましく、(1) -Cha-Pro-Phe(Cl)、(2) -Cha-Pro-Phe、(3) -Met-Pro-Phe(Cl)、および(4) -Met-Pro-Pheが特に好ましい。さらに、「−Q3−Q4」としては、(1) -Met-Pro-Phe(Cl)、(2) -Cha-Phe(Cl)、(3) -Cha-Pro-Phe(Cl)、(4) -Cha、(5) -Cha-Pro-Phe、(6) -OH、(7) -Met、(8) -Met-Pro-Phe、および(9) -Ala-Pro-Phe(Cl)が特に好ましい。
本明細書において、Q5は側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基を示し、好ましくは、置換されていてもよいL−プロリン、置換されていてもよいL−グリシンまたは置換されていてもよいL−アラニンを示す。Q5として特に好ましくは、L−プロリン、L−グリシンまたはL−アラニンを示す。本明細書において、Rは置換されていてもよいL−シクロヘキシルアラニンを示し、好ましくはL−シクロヘキシルアラニンを示す。本明細書において、Rは置換されていてもよいL−フェニルアラニン、置換されていてもよいL−2−ナフチルアラニン、置換されていてもよいL−シクロヘキシルアラニンまたは置換されていてもよいチロシンを示し、好ましくはL−4−クロロフェニルアラニン、L−2−ナフチルアラニン、L−シクロヘキシルアラニン、L−フェニルアラニンまたはL−チロシンを示す。
アペリンの修飾体(II)の具体例としては、例えば、(1) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)、(2) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(3) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)、(4) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Phe(Cl)、(5) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(6) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha、(7) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(8) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)、(9) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe、(10) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)、(11) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe、(12) Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(13) Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(14) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Tyr、(15) Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe、(16) Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)、(17) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(18) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met、(19) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro、(20) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met(O)、(21) Arg-Arg-Lys(Arg-Arg)-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(22) Arg-Arg-Arg-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(23) Arg-Arg-Lys-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(24) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(25) Arg-Arg-Ala-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(26) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(27) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met、(28) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Phe(Cl)、(29) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(30) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Arg-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(31) Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(32) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Nal(2)、(33) Arg-Arg-Phe-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(34) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(35) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Phe(Cl)、(36) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Cha、(37) Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Phe(Cl)、(38) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Leu-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(39) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Nal(2)、(40) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Nal(2)、(41) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Arg-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(42) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(43) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Phe-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(44) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(45) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Cha、(46) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Nal(2)、(47) Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Phe、(48) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Phe-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(49) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Cha、(50) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Leu-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(51) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-NMe2、(52) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Mor、(53) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Ala-Pro-Phe(Cl)、(54) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Gly-Met-Pro-Phe(Cl)、(55) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-N-MeAla-Met-Pro-Phe(Cl)、(56) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Ala-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(57) Arg-Pro-Arg-Ala-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(58) Arg-Pro-Ala-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(59) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)-NH、(60) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Pyn、(61) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Pyn、(62) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Gly-Cha、(63) Arg-Pro-Lys(Me)2-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(64) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Lys(Me)2-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(65) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Dap-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(66) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Dap(Ac)-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(67) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Dap(C6)-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、および(68) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Dap(Adi)-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)などがあげられる。
アペリンの修飾体(III)の具体例としては、(1) Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(2)Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(3)Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe、(4)Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)、(5)Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(6)Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Phe(Cl)、(7)pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(8)pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(9)Arg-Pro-Arg-Leu-Phe-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pheで表されるペプチドもしくはそのエステルまたはその塩などがあげられる。
アペリンの修飾体(IV)の具体例としては、(i) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)、(ii) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)、(iii) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Phe(Cl)、(iv) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(v) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha、(vi) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe、(vii) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(viii) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met、(ix) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro、(x) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(xi) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(xii) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met、(xiii) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(xiv) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Ala-Pro-Phe(Cl)、(xv) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Gly-Met-Pro-Phe(Cl)、(xvi) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-NMe-Ala-Met-Pro-Phe(Cl)、(xvii) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Pyn、(xviii) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Pyn、(xix) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Gly-Cha、または(xx) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Lys(Me)2-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、で表されるペプチドもしくはそのエステルまたはその塩などがあげられる。
アペリンの修飾体(IV)の具体例としては、(1)Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(2)Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(3)Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)、(4)pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe、(5)pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe(Cl)、(6)Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Nle-Pro-Tyr、(7)Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Nal(2)、(8)pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Nal(2)、(9)Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Chaで表されるペプチドもしくはそのエステルまたはその塩などがあげられる。
さらに、(i) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met(O)、(ii) Arg-Arg-Lys(Arg-Arg)-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(iii) Arg-Arg-Arg-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(iv) Arg-Arg-Lys-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(v) Arg-Arg-Ala-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(vi) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Phe(Cl)、(vii) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Arg-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(viii) Arg-Arg-Phe-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(ix) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(x) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Phe(Cl)、(xi) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Cha、(xii) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Leu-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(xiii) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Nal(2)、(xiv) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Arg-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(xv) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Phe-Lys-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(xvi) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Cha、(xvii) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Met-Nal(2)、(xviii) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Phe-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(xix) pGlu-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Leu-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(xx) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-NMe2、(xxi) Arg-Arg-Gln-Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Mor、(xxii) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-His-Ala-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(xxiii) Arg-Pro-Arg-Ala-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(xxiv) Arg-Pro-Lys(Me)2-Leu-Ser-Ala-Arg-Gly-Pro-Met-Pro-Phe、(xxv) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Dap-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(xxvi) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Dap(Ac)c-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(xxvii) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Dap(C6)-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、(xxviii) Arg-Pro-Arg-Leu-Ser-Dap(Adi)-Arg-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、または(xxix) Arg-Pro-Ala-Leu-Ser-His-Lys-Gly-Pro-Cha-Pro-Phe(Cl)、で表されるペプチドもしくはそのエステルまたはその塩などにも用いることができる。アペリンの修飾体(I)〜(IV)をはじめとするアペリンの修飾体は、前記したアペリンと同様に、アミド体、エステル体であってもよい。
アペリンの修飾体(I)〜(IV)の塩としては、生理学的に許容される塩基(例えばアルカリ金属など)や酸(有機酸、無機酸)との塩が用いられるが、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。アペリンの修飾体(I)は、WO00/18793号公報に記載されている公知化合物であり、WO00/18793号公報に記載の方法で製造することができる。アペリンの修飾体(II)〜(IV)は、WO01/70769号公報に記載されている公知化合物であり、WO01/70769号公報に記載の方法で製造することができる。以下、アペリンの修飾体、その部分ペプチド、そのアミドもしくはエステルまたはその塩を含めて、アペリンの修飾体と略記する場合がある。
アペリン受容体、その部分ペプチドまたはその塩としては、WO00/18793号公報に記載されている公知のものを使用することができる。すなわち、アペリン受容体としては、ヒトや温血動物(例えば、哺乳温血動物(例、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、モルモット、ウシ、ウマ、ブタ)、鳥類(例、ニワトリ、ハト、アヒル、ガチョウ、ウズラ)など)のあらゆる組織(例えば、下垂体、膵臓、脳、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管、血管、心臓など)または細胞などに由来する受容体であって、配列番号3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するものであれば如何なるものであってもよい。すなわち、アペリン受容体としては、配列番号3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質などの他に、配列番号3で表わされるアミノ酸配列と約90〜99.9%の相同性を有するアミノ酸配列を含有し、配列番号3で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが挙げられる。これらのタンパク質が示す活性としては、例えばリガンド結合活性、シグナル伝達などが挙げられる。実質的に同質とは、リガンド結合活性などが性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性の強さなどの強弱、レセプタータンパク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。さらに、アペリン受容体には、N末端のMetが保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、GlnのN端側が生体内で切断され、該Glnがピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。アペリン受容体の塩としては、上記したアペリンの塩と同様のものが挙げられる。
アペリン受容体の部分ペプチドとしては、例えば、アペリン受容体分子のうち、細胞膜の外に露出している部位などが用いられる。すなわちアペリン受容体の疎水性プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性(Hydrophobic)部位を一部に含むペプチドも同様に用いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでも良い。アペリン受容体の部分ペプチドの塩としては、上記したアペリンの塩と同様のものが用いられる。
アペリン受容体をコードするDNAとしては、配列番号3のアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、組織・細胞由来のcDNA、組織・細胞由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターはバクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、組織・細胞よりRNA画分を調製したものを用いて直接自体公知のRT-PCR法によって増幅することもできる。具体的には、配列番号3のアミノ酸配列からなるアペリン受容体をコードするDNAとしては、配列番号4で表わされる塩基配列からなるDNAなどが用いられる。アペリン受容体、その部分ペプチドまたはその塩、およびアペリン受容体またはその部分ペプチドをコードするDNAは、WO00/18793号公報に記載されている方法で製造・調整することができる。
以下に、アペリンまたはその修飾体、アペリンをコードするDNAなどの用途について、具体的に説明する。
(1)アペリン若しくはその修飾体又はアペリンをコードする遺伝子を含有する医薬組成物
アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩は、血管形成促進作用を有している。したがって、アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩は、例えば、虚血性疾患の予防又は治療剤として使用することができる。アペリンをコードする遺伝子(通常は、アペリンをコードするDNAを含有するDNA)もまた血管形成促進剤として使用することができ、したがって、アペリンをコードする遺伝子は、例えば、虚血性疾患の予防又は治療剤として使用することができる。
本発明において「血管形成」とは脈管形成及び血管新生の双方を包含する概念である。本発明の血管形成促進剤は、血管形成のあらゆる態様、例えば血管新生(より具体的には、血管網(特に毛細血管網)の構築又は形成)、血管腔の拡張などを促進することができる。特に血管腔の拡張を促進する因子として有用であることは特筆すべき点であり、本発明により、太い血管の形成をin vitro 又はin vivoにおいて誘導する技術が提供される。
本発明により予防又は治療され得る虚血性疾患としては、血管の破綻により組織の虚血症状を呈する疾患、例えば脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化症(特に、上下肢の慢性閉塞動脈硬化症)、血栓性動脈閉塞症、慢性動脈硬化による腎硬化症、パージャー病、種々のアレルギー及び自己免疫疾患により血管狭小を伴う血管障害、もしくは種々の病態に伴う心肺機能低下による末梢循環不全などがあげられる。「虚血症状」とは、血管の破綻に起因する組織の低酸素状態だけでなく低栄養状態をも意味する。
アペリンまたはその修飾体、アペリンをコードする遺伝子を上述の医薬としての使用は常套手段に従って行うことができる。例えば、必要に応じて糖衣や腸溶性被膜を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に(例えば静脈内投与により)使用できる。また局所への直接投与などあらゆる投与法が使用できる。例えば、該化合物またはその塩を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。また医薬として有用な他の成分(例えば血管治療薬)と共に併用することも可能である。
アペリンをコードする遺伝子(通常は、アペリンをコードするDNAを含有するDNA)はいわゆる遺伝子治療の手法により投与することが可能である。例えばアペリンをコードするDNAは、(イ)アペリンをコードするDNAを該患者に投与し発現させることによって、あるいは(ロ)細胞などにアペリンをコードするDNAを挿入し発現させた後に、該細胞を該患者に移植することなどによって、該患者の細胞におけるアペリンの量を増加させ、アペリンの作用を充分に発揮させることができる。アペリンをコードするDNAの投与は、該DNAを単独またはプラスミドベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。
また、アペリンまたはその修飾体、アペリンをコードする遺伝子を投与するのと併せて、アペリン受容体をコードする遺伝子(通常は、アペリン受容体をコードするDNAを含有するDNA)をアペリンの作用の増強が望まれる細胞で発現させれば、アペリンの作用をより高めることができる。アペリン受容体をコードする遺伝子の導入方法はアペリンをコードする遺伝子の導入方法と同様であってよい。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施にしたがって処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえばエタノール)、ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(たとえばポリソルベート80(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えばヒトや哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、マントヒヒ、チンパンジーなど)に対して投与することができる。アペリン、アペリンをコードするDNAまたはアペリン受容体をコードするDNAの投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人の虚血性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、たとえば注射剤の形では成人の虚血性疾患患者(体重60kgとして)への投与においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射あるいは局所注射や塗布により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(2)人工血管の製造方法
本発明の血管形成促進剤は、上記の通り優れた血管新生促進作用(例えば血管網構築作用)及び血管腔拡張作用を有することから、血管系に分化可能な細胞からin vitroにおいて人工血管(いわゆるバイオ人工血管)を製造する方法において有利に使用することができる。血管系に分化可能な細胞としては、例えば、生体内の血管内皮細胞そのもの、および胚性幹細胞(ES細胞)、成体幹細胞,間葉系幹細胞、血管内皮前駆細胞、血液細胞、神経系細胞などがあげられる。こうして得られた人工血管は、従来の人工血管と比較して非常に太い血管径(典型的には内径10μm以上)を有する。本発明により製造される人工血管の内径に上限はないが、最も太いヒトの大動脈の内径が3cmであることから、通常は内径3cm以下である。
人工血管の形成にはVEGF, bFGF, HGF, PDGF, EGF, angiopoietin, angiotensin、SCF、M-CSFなど、 およびこれら受容体のアゴニスト、またヘパリン、血清等、一種類あるいは複数のカクテルの添加によりより好ましい製造条件が付加される。
(3)疾患の診断方法
被験体から採取された検体中のアペリン濃度を測定し、測定値を健常者及び虚血性疾患患者の測定値と対比することにより上述の虚血性疾患を診断することが可能である。
被験体から採取された検体中のアペリン濃度が、健常者に比べて統計的に有意に低値、あるいは高値の場合、ネガティブおよびポジティブフィードバック機構によって、アペリン濃度が変動していると考えられ、体内に虚血病変があることの補助診断となる。
また、被験体から採取された検体中のアペリン濃度を測定し、測定値を健常者及び血管が過剰増殖する疾患の患者の測定値と対比することによりこのような疾患を診断することが可能である。血管が過剰増殖する疾患としては、例えばがん、糖尿病性網膜症、膠原病などによる局所炎症(例えばリウマチ性関節炎など)などの病態があげられる。
被験体から採取された検体中のアペリン濃度が、健常者に比べて統計的に有意に低値、あるいは高値の場合、ネガティブおよびポジティブフィードバック機構によって、アペリン濃度が変動していると考えられ、体内に血管が過剰に増殖する病変があることの補助診断となる。
更にまた、被験体から採取された検体中のアペリン濃度を測定し、測定値を健常者及び血管怒張又は毛細血管拡張を呈する疾患の患者の測定値と対比することにより血管怒張又は毛細血管拡張を呈する疾患を診断することが可能である。血管怒張を呈する疾患としては典型的には、食道静脈瘤、下肢静脈瘤が挙げられる。血管拡張を呈する疾患としては、例えば毛細血管拡張性運動失調病(AT: Ataxia telamgiectagia)などの遺伝病があげられる。
被験体から採取された検体中のアペリン濃度が、健常者に比べて統計的に有意に低値、あるいは高値の場合、ネガティブおよびポジティブフィードバック機構によって、アペリン濃度が変動していると考えられ、体内に血管怒張又は毛細血管拡張を呈する病変があることの補助診断となる。
被験体としては、例えばヒトや哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、マントヒヒ、チンパンジーなど)があげられる。
検体としては、例えば血液、尿のほか、血清、血漿、腹水、胸水、髄液、リンパ液、唾液等の体液があげられる。
アペリン濃度の測定方法は特に限定されず、通常のクロマトグラフィーの手法を用いて測定することができる。また、アペリンの発現量を測定することにより、アペリン濃度の測定を間接的に評価することも可能である。発現量の測定方法としては、免疫化学的方法などの公知の方法や、アペリンをコードするmRNAをノーザンハイブリダイゼーション法、RT−PCRやTaqMan PCR法を用いて、公知の方法により測定することもできる。
(4)スクリーニング方法
本発明はまた、(a)アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩、及び/又は、(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体、その部分ペプチド若しくはその塩を用いることにより、或いは、
(a)アペリンをコードするDNAを含有するDNA、及び/又は、(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体若しくはその部分ペプチドをコードするDNAを含有するDNAを用いることにより、
(1)アペリンまたはその修飾体とアペリン受容体との結合性を変化させる物質、または(2)アペリン及び/又はアペリン受容体の発現を調節する物質などの物質をスクリーニングする方法を提供する。これらの物質は、例えば、血管形成促進剤又は虚血性疾患の治療若しくは予防剤、或いは、血管形成抑制剤又は血管怒張若しくは毛細血管拡張を呈する疾患の予防若しくは治療剤として利用することができる。
まず、アペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法について説明する。アペリン受容体を用いるか、または組換え型アペリン受容体の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、アペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質をスクリーニングすることができる。このような物質には、アペリン受容体を介して細胞刺激活性を有する物質(すなわち、アペリン受容体アゴニスト)と該細胞刺激活性を有しない物質(すなわち、アペリン受容体アンタゴニスト)などが含まれる。「アペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる」とは、アペリンとアペリン受容体との結合を阻害する場合と、アペリンとアペリン受容体との結合を促進する場合の両方を包含するものである。細胞刺激活性としては、例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性などが挙げられるが、なかでも細胞内cAMP生成の抑制活性が好ましい。
すなわち、本発明は、(i)アペリン受容体にアペリンまたはその修飾体を接触させた場合と(ii)アペリン受容体にアペリンおよび試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とするアペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法を提供する。本発明のスクリーニング方法においては、(i)アペリン受容体にアペリンを接触させた場合と(ii)アペリン受容体にアペリンおよび試験化合物を接触させた場合における、例えばアペリン受容体に対するアペリンの結合量、細胞刺激活性などを測定して、比較する。
本発明のスクリーニング方法は、具体的には、
(A)標識したアペリンまたはその修飾体をアペリン受容体に接触させた場合と、標識したアペリンまたはその修飾体および試験化合物をアペリン受容体に接触させた場合における、標識したアペリンまたはその修飾体のアペリン受容体に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするアペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
(B)標識したアペリンまたはその修飾体をアペリン受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、標識したアペリンまたはその修飾体および試験化合物をアペリン受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識したアペリンまたはその修飾体の該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするアペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
(C)標識したアペリンまたはその修飾体を、アペリン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したアペリン受容体に接触させた場合と、標識したアペリンまたはその修飾体および試験化合物をアペリン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したアペリン受容体に接触させた場合における、標識したアペリンまたはその修飾体の該アペリン受容体に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするアペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
(D)アペリン受容体を活性化する化合物(例えば、アペリンまたはその修飾体)をアペリン受容体を含有する細胞に接触させた場合と、アペリン受容体を活性化する化合物および試験化合物をアペリン受容体を含有する細胞に接触させた場合における、アペリン受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするアペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
(E)アペリン受容体を活性化する化合物(例えば、アペリンまたはその修飾体)をアペリン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したアペリン受容体に接触させた場合と、アペリン受容体を活性化する化合物および試験化合物をアペリン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したアペリン受容体に接触させた場合における、アペリン受容体を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするアペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング方法、
(F)試験化合物をアペリン受容体を含有する細胞に接触させた場合における、アペリン受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするアペリン受容体アゴニストのスクリーニング方法、
(G)試験化合物をアペリン受容体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したアペリン受容体に接触させた場合における、アペリン受容体を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするアペリン受容体アゴニストのスクリーニング方法などである。
本発明のスクリーニング方法においては、リガンドとしては、アペリンを使用する代わりに、アペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる化合物(例えば、低分子合成化合物、好ましくは低分子合成アゴニスト)またはその塩を用いることもできる。このアペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる化合物またはその塩は、例えば、リガンドとしてアペリンを用いて本発明のスクーニング方法を実施することによって得ることができる。具体的には、上記したアペリン修飾体などを用いることができる。
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。まず、本発明のスクリーニング方法に用いるアペリン受容体としては、前記したアペリン受容体を含有するものであれば何れのものであってもよいが、ヒトや温血動物の臓器の膜画分などが好適である。しかし、特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、スクリーニングに用いられるものとしては、組換え体を用いて大量発現させたアペリン受容体などが適している。本発明のスクリーニング方法において、アペリン受容体を含有する細胞または該細胞膜画分などを用いる場合、後述の調製法に従えばよい。アペリン受容体を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行うことができる。アペリン受容体を含有する細胞としては、アペリン受容体を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、前述の大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられる。膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したアペリン受容体と細胞由来のリン脂質や膜タンパク質などの膜成分が多く含まれる。該アペリン受容体を含有する細胞や膜画分中のアペリン受容体の量は、1細胞当たり103〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
アペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質をスクリーニングする前記のA〜Cを実施するためには、適当なアペリン受容体画分と、標識したアペリンまたはその修飾体が用いられる。アペリン受容体画分としては、天然型のアペリン受容体画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型アペリン受容体画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性などを示す。標識したアペリンまたはその修飾体としては、標識したリガンド、標識したリガンドアナログ化合物などが用いられる。例えば〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識されたアペリンまたはその修飾体などを利用することができる。具体的には、アペリンまたはその修飾体とアペリン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニングを行うには、まずアペリン受容体を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのアペリンとアペリン受容体との結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるアペリン受容体やアペリンまたはその修飾体の分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの該アペリン受容体溶液に、一定量(5000cpm〜500000cpm)の標識したアペリンまたはその修飾体を添加し、同時に10−4〜10−1μMの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識のアペリンまたはその修飾体を加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃〜約50℃、望ましくは約4℃〜約37℃で約20分〜約24時間、望ましくは約30分〜約3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が例えば50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
アペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質をスクリーニングする前記のD〜Gの方法を実施するためには、アペリン受容体を介する細胞刺激活性を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、アペリン受容体を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行うにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸、cAMPなど)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当なアペリン受容体を発現した細胞が必要である。本発明のアペリン受容体を発現した細胞としては、前述の組換え型アペリン受容体発現細胞株などが望ましい。試験化合物としては、例えばペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。また、試験化合物としては、アペリン受容体の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置に基づいて、リガンド結合ポケットに結合するように設計された化合物が好ましく用いられる。アペリン受容体の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置の測定は、公知の方法あるいはそれに準じる方法を用いて行うことができる。
アペリンとアペリン受容体との結合性を変化させる物質のスクリーニング用キットは、アペリン受容体、アペリン受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分、及び/又はアペリンまたはその修飾体を含有するものである。スクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
1.スクリーニング用試薬
(a) 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(Gibco社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
(b) アペリン受容体標品
アペリン受容体を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO、95%airで2日間培養したもの。
(c) 標識リガンド
H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識したアペリンまたはその修飾体適当な溶媒または緩衝液に溶解したものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
(d) リガンド標準液
アペリンまたはその修飾体を0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
2.測定法
(a) 12穴組織培養用プレートにて培養したアペリン受容体を発現させた細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(b) 10−3〜10−10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、標識したアペリンまたはその修飾体を5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物のかわりに10−3Mのリガンドを5μl加えておく。
(c) 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識アペリンまたはその修飾体を0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
(d) 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次の式〔数1〕で求める。
〔数1〕
PMB=[(B−NSB)/(B−NSB)]×100
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量)
:最大結合量
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる物質は、アペリンとアペリン受容体との結合を変化させる(結合を阻害または促進する)物質であり、具体的にはアペリン受容体を介して細胞刺激活性を有する物質(いわゆるアペリン受容体アゴニスト)または該刺激活性を有しない化合物(いわゆるアペリン受容体アンタゴニスト)である。該物質は、前記した試験化合物から選ばれるペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。アペリン受容体アゴニストであるか、アンタゴニストであるかの具体的な評価方法は以下の(i)または(ii)に従えばよい。
(i)前記A〜Cのスクリーニング方法で示されるバインディング・アッセイを行い、アペリンまたはその修飾体とアペリン受容体との結合性を変化させる(特に、結合を阻害する)物質を得た後、該物質が上記したアペリン受容体を介する細胞刺激活性を有しているか否かを測定する。細胞刺激活性を有する物質はアペリン受容体アゴニストであり、該活性を有しない物質はアペリン受容体アンタゴニストである。
(ii)(a)試験化合物をアペリン受容体を含有する細胞に接触させ、上記アペリン受容体を介した細胞刺激活性を測定する。細胞刺激活性を有する物質はアペリン受容体アゴニストである。
(b)アペリン受容体を活性化する化合物(例えば、アペリンまたはその修飾体など)をアペリン受容体を含有する細胞に接触させた場合と、アペリン受容体を活性化する化合物および試験化合物をアペリン受容体を含有する細胞に接触させた場合における、アペリン受容体を介した細胞刺激活性を測定し、比較する。アペリン受容体を活性化する化合物による細胞刺激活性を減少させ得る物質はアペリン受容体アンタゴニストである。指標とする細胞刺激活性としては、例えば、細胞内cAMP生成の抑制活性が好ましい。
該アペリン受容体アゴニストは、アペリンが有する生理活性と同様の作用を有しているので、アペリンまたはその修飾体と同様に安全で低毒性な医薬として有用である。逆に、アペリン受容体アンタゴニストは、アペリンが有する生理活性を抑制することができるので、アペリンまたはその修飾体の活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。
アペリン受容体アゴニストは、アペリンと同様に、血管形成促進剤を有し、虚血性疾患の予防又は治療剤として有用である。
アペリン受容体アンタゴニストは、血管形成抑制作用を有し、血管怒張若しくは毛細血管拡張を呈する疾患の予防若しくは治療剤として有用である。血管怒張を呈する疾患としては典型的には、食道静脈瘤、下肢静脈瘤が挙げられる。血管拡張を呈する疾患としては、例えば毛細血管拡張性運動失調病(AT: Ataxia telamgiectagia)などの遺伝病があげられる。アペリン受容体アンタゴニストはまた、静脈奇形の治療剤としても有用である。また腫瘍組織における血管新生を抑制することができることから、抗腫瘍剤としても有用である。アペリン受容体アンタゴニストはまた、血管が過剰増殖する疾患、例えばがん、糖尿病性網膜症、膠原病などによる局所炎症(例えばリウマチ性関節炎など)などの病態の予防又は治療剤としても有用である。
上記のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる物質は塩を形成していてもよく、例えば、薬学的に許容可能な塩などが用いられる。具体的には、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあげられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などがあげられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩あげられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などとの塩があげられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸などとの塩があげられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルチニンなどとの塩があげられ、酸性アミノ酸との好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩があげられる。本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物を上述の治療・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、前記したアペリンまたはその修飾体を含有する医薬組成物と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることができる。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。該化合物またはその塩の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、アペリン受容体アゴニストを経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg当たり)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、アペリン受容体アゴニストを注射剤の形で通常成人(60kg当たり)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射あるいは局所注射や塗布により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
次に、アペリン及び/又はアペリン受容体の発現を調節する物質のスクリーニング方法について説明する。本発明のスクリーニング方法は、具体的には、(1)(i)アペリンを発現し得る細胞または組織を、試験化合物の存在下および非存在下で培養した場合における、それぞれのアペリンの発現量またはアペリンをコードするmRNA量を測定し、比較することを特徴とするアペリンの発現を促進または阻害する物質のスクリーニング方法、(2)(i)アペリン受容体を発現し得る細胞または組織を、試験化合物の存在下および非存在下で培養した場合における、それぞれのアペリン受容体の発現量またはアペリンをコードするmRNA量を測定し、比較することを特徴とするアペリン受容体の発現を促進または阻害する物質のスクリーニング方法である。アペリンまたはアペリン受容体を発現し得る細胞または組織としては、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サル等)の細胞(例えば、神経細胞、内分泌細胞、神経内分泌細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、肝細胞、脾細胞、メサンギウム細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球、樹状細胞)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞等)、もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、唾液腺、末梢血、前立腺、睾丸(精巣)、卵巣、胎盤、子宮、骨、軟骨、関節、骨格筋等を用いても良い。その際、株化細胞、初代培養系を用いてもよい。また、前記したアペリンまたはアペリン受容体をコードするDNAを含有する組換えベクターで形質転換された形質変換体を使用してもよい。アペリンまたはアペリン受容体を発現し得る細胞の培養方法は、前記した形質変換体の培養法と同様である。試験化合物としては、前記の試験化合物の他、DNAライブラリーなどを用いることができる。
アペリンまたはアペリン受容体の発現量は抗体などを用いて免疫化学的方法などの公知の方法により測定することもできるし、アペリンをコードするmRNAをノーザンハイブリダイゼーション法、RT−PCRやTaqMan PCR法を用いて、公知の方法により測定することもできる。mRNAの発現量の比較をハイブリダイゼーション法によって行うには、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press,1989)に記載の方法等に従って行なうことができる。具体的には、アペリンまたはアペリン受容体をコードするmRNAの量の測定は、公知の方法に従って細胞から抽出したRNAと、アペリンまたはアペリン受容体をコードするDNAもしくはその一部またはアペリンもしくはアペリン受容体のアンチセンス・ポリヌクレオチドとを接触させ、アペリンまたはアペリン受容体をコードするDNAもしくはその一部またはアペリンもしくはアペリン受容体のアンチセンス・ポリヌクレオチドと結合したmRNAの量を測定することによって行われる。アペリンまたはアペリン受容体をコードするDNAもしくはその一部またはアペリンもしくはアペリン受容体のアンチセンス・ポリヌクレオチドを、例えば放射性同位元素、色素などで標識することによって、アペリンまたはアペリン受容体をコードするDNAもしくはその一部またはアペリンもしくはアペリン受容体のアンチセンス・ポリヌクレオチドに結合したmRNAの量が容易に測定できる。放射性同位元素としては、例えば32P、3Hなどが用いられ、色素としては、例えばfluorescein、FAM(PE Biosystems社製)、JOE(PE Biosystems社製)、TAMRA(PE Biosystems社製)、ROX(PE Biosystems社製)、Cy5(Amersham社製)、Cy3(Amersham社製)などの蛍光色素が用いられる。また、mRNAの量は、細胞から抽出したRNAを逆転写酵素によってcDNAに変換した後、アペリンまたはアペリン受容体をコードするDNAもしくはその一部またはアペリンもしくはアペリン受容体のアンチセンス・ポリヌクレオチドをプライマーとして用いるPCRによって、増幅されるcDNAの量を測定することによって行うことができる。このように、アペリンまたはアペリン受容体をコードするmRNAの量を増加させる試験化合物を、アペリンもしくはアペリン受容体の発現を促進する活性を有する物質として選択することができ、また、アペリンまたはアペリン受容体をコードするmRNAの量を減少させる試験化合物を、アペリンまたはアペリン受容体の発現を阻害する活性を有する物質として選択することができる。
さらに、本発明は、(ii)アペリンまたはアペリン受容体をコードする遺伝子のプロモーター領域またはエンハンサー領域の下流にレポーター遺伝子を連結した組換えDNAで形質転換した形質転換体を試験化合物の存在下および非存在下で培養した場合における、それぞれのレポーター活性を測定し、比較することを特徴とする当該プロモーター活性を促進または阻害する物質のスクリーニング方法を提供する。レポーター遺伝子としては、例えば、lacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、成長因子、β-グルクロニダーゼ、アルカリホスファターゼ、Green fluorescent protein (GFP)、β-ラクタマーゼなどが用いられる。レポーター遺伝子産物(例、mRNA、タンパク質)の量を公知の方法を用いて測定することによって、レポーター遺伝子産物の量を増加させる試験化合物を本発明のペプチドのプロモーターもしくはエンハンサーの活性を制御(特に促進)する作用を有する化合物、すなわちアペリンまたはアペリン受容体の発現を促進する活性を有する物質として選択できる。逆に、レポーター遺伝子産物の量を減少させる試験化合物をアペリンまたはアペリン受容体のプロモーターもしくはエンハンサーの活性を制御(特に阻害)する作用を有する物質、すなわちアペリンまたはアペリン受容体の発現を阻害する活性を有する物質として選択することができる。試験化合物としては、前記と同様のものが使用される。形質転換体の培養は、前記の形質転換体と同様にして行うことができる。レポーター遺伝子のベクター構築やアッセイ法は公知の技術に従うことができる(例えば、Molecular Biotechnology 13, 29-43, 1999)。
アペリンまたはアペリン受容体の発現を促進する活性を有する物質は、アペリンが有する生理活性を促進する作用を有しているので、アペリンと同様に安全で低毒性な医薬として有用である。逆に、アペリンまたはアペリン受容体の発現を阻害する活性を有する物質は、アペリンが有する生理活性を抑制することができるので、アペリンの活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。
具体的には、アペリンまたはアペリン受容体の発現を促進する活性を有する物質は、血管形成促進剤を有し、虚血性疾患の予防又は治療剤として有用である。
アペリンまたはアペリン受容体の発現を阻害する活性を有する物質は、血管形成抑制作用を有し、血管怒張若しくは毛細血管拡張を呈する疾患の予防若しくは治療剤として有用である。血管怒張を呈する疾患としては典型的には、食道静脈瘤、下肢静脈瘤が挙げられる。血管拡張を呈する疾患としては、例えば毛細血管拡張性運動失調病(AT: Ataxia telamgiectagia)などの遺伝病があげられる。アペリンまたはアペリン受容体の発現を阻害する活性を有する物質はまた、静脈奇形の治療剤としても有用である。また腫瘍組織における血管新生を抑制することができることから、抗腫瘍剤としても有用である。アペリンまたはアペリン受容体の発現を阻害する活性を有する物質はまた、血管が過剰増殖する疾患、例えばがん、糖尿病性網膜症、膠原病などによる局所炎症(例えばリウマチ性関節炎など)などの病態の予防又は治療剤としても有用である。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる物質は、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物である。該化合物の塩としては、前記したアペリンの塩と同様のものが用いられる。本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物を上述の治療・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、前記したアペリンまたはその修飾体を含有する医薬組成物と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることができる。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。該化合物またはその塩の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、アペリンの発現を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg当たり)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、アペリンの発現を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kg当たり)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射あるいは局所注射や塗布により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commision on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
Y :チミンまたはシトシン
N :チミン、シトシン、アデニンまたはグアニン
R :アデニンまたはグアニン
M :シトシンまたはアデニン
W :チミンまたはアデニン
S :シトシンまたはグアニン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
TFA :トリフルオロ酢酸
EIA :エンザイムイムノアッセイ
GlyまたはG :グリシン
AlaまたはA :アラニン
ValまたはV :バリン
LeuまたはL :ロイシン
IleまたはI :イソロイシン
SerまたはS :セリン
ThrまたはT :スレオニン
CysまたはC :システイン
MetまたはM :メチオニン
GluまたはE :グルタミン酸
AspまたはD :アスパラギン酸
LysまたはK :リジン
ArgまたはR :アルギニン
HisまたはH :ヒスチジン
PheまたはF :フェニルアラニン
TyrまたはY :チロシン
TrpまたはW :トリプトファン
ProまたはP :プロリン
AsnまたはN :アスパラギン
GlnまたはQ :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Ph :フェニル基
Nle:ノルロイシン
Thi:2−チエニルアラニン
Phg:フェニルグリシン
Pya(2):2−ピリジルアラニン
Adi(NH):2−アミノアジピン酸−6アミド
Hyp:オキシプロリン(ヒドロキシプロリン)
Ac−Arg:Nα−アセチルアルギニン
Lys(Ac):Nε−アセチルリジン
Lys(Me):Nε−メチルリジン
Lys(Tos):Nε−トシルリジン
Arg(Tos):Nε−トシルアルギニン
Phe(Cl):4−クロロフェニルアラニン
Nal(2):2−ナフチルアラニン
Cha:シクロヘキシルアラニン
Met(O):メチオニンスルフォキシド
Tyr(Me):O−メチルチロシン
Tyr(I):3−ヨードチロシン
TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
Bom :ベンジルオキシメチル
NMP :N−メチルピロリドン
PAM :フェニルアセトアミドメチル
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
Tos:p−トルエンスルフォニル
HONB:N−ヒドロキシ−5−ノルボルネンー2,3−ジカルボキシイミド
Bzl:ベンジル
Z:ベンジルオキシカルボニル
Br−Z:2−ブロモベンジルオキシカルボニル
Cl−Z:2−クロルベンジルオキシカルボニル
Boc:t−ブチルオキシカルボニル
HOBt:1−ヒドロキシベンズトリアゾール
DCC:N、N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド
TFA:トリフルオロ酢酸
Fmoc:N−9−フルオレニルメトキシカルボニル
DNP:ジニトロフェニル
Bum:ターシャリーブトキシメチル
Trt:トリチル
MeBzl:4−メチルベンジル
Lys(Arg−Arg):Nε−アルギニルアルギニルリジン
AM:アミノメチル
Pyn:1−ピレニルアラニン
Mor:モルホリン
N−MeAla:N−メチルアラニン
Lys(Me):Nε−ジメチルリジン
Dap:ジアミノプロピオン酸
Mmt:4−メトキシトリチル
Adi:アジポイル
Dap(C):Nβ−ヘキサノイルジアミノプロピオン酸
DIPCDI:N,N’−ジイソピロピルカルノジイミド
NMe2:ジメチルアミン
Dap(Ac):Nβ−アセチルジアミノプロピオン酸
Dap(Adi):Nβ−アジポイルジアミノプロピオン酸
本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
配列番号1
ウシ型アペリンのアミノ酸配列(N末端から17配列)を示す。
配列番号2
配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するウシ型アペリンをコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号3
アペリン受容体cDNAにコードされるアペリン受容体の全アミノ酸配列を示す。
配列番号4
アペリン受容体cDNAの全塩基配列を示す。
配列番号5
マウス型アペリンをコードするcDNAにコードされるアミノ酸配列を示す。
配列番号6
マウス型アペリンをコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号7
ラット型アペリンをコードするcDNAにコードされるアミノ酸配列を示す。
配列番号8
ラット型アペリンをコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号9
ヒト型アペリンをコードするcDNAにコードされるアミノ酸配列を示す。
配列番号10
ヒト型アペリンをコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号11
ウシ型アペリンをコードするcDNAにコードされるアミノ酸配列を示す。
配列番号12
ウシ型アペリンをコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号13〜52
アペリン修飾体(I)の具体的なペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号53〜119
アペリン修飾体(II)〜(IV)の具体的なペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号120〜124
実施例で用いたプライマーの塩基配列を示す。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例により制限されるものではない。
(1)リコンビナントアペリンによる血管形成の試験管内観察
アペリンが血管内皮細胞の管腔形成に影響を与えるかを検討するため、Matrigel(BD Bioscience社製)上での血管内皮細胞の管腔形成への効果を解析した。ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC;KURABO社製)はHuMedia-EG2 (KURABO社製)にて培養し、継代回数が10回以内のものを実験に使用した。HuMedia-EG2にて培養したHUVEC細胞の培地をサイトカインの入っていないHuMedia-EB2(KURABO社製)に交換し、37℃で2時間培養した。培養後、細胞を回収し、Matrigel(BD Bioscience社製) 250μlにてコートした24 well plateに5×104cells/wellを播種し、(pyr1)-apelin-13(BACHEM社製、配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチドのN末端のアミノ酸(Gln)がピログルタミン酸化したアミノ酸配列を有するペプチド)100ng/mlまたはVEGF(DIACLONE research社製) 30ng/mlの存在下で37℃にて9時間培養後、顕微鏡にて観察した。コントロールのPBS(リン酸緩衝液、137mM NaCl, 2.7mM KCl, 4.3mM Na2HPO4・7H2O, 1.4mM KH2PO4)に比べ、ポジティブコントロールとして用いたVEGFは血管網の形成を促進した。アペリンもVEGFと同様に管腔形成を促進した(図1)。
(2)アペリンを発現するOP9細胞、colon26マウス大腸がん細胞、PC3ヒト前立腺がん細胞の調製
マウス全長アペリン遺伝子はGenBanK BC020015の遺伝子配列を参考に、センスプライマー 5' ggaattcgggaccatgaatctgaggctct 3'およびアンチセンスプライマー 5' ggaattcacttggcgagcccttcaatc 3'のPCRプライマーを作成して単離した。マウス脳微小血管内皮細胞株であるbEND3細胞からISOGEN (ニッポンジーン社製)を用いてtotal RNAを抽出し、SuperscriptII(invitrogen社製)で逆転写しcDNAを合成した。これを鋳型に上記のPCRプライマーを用いてcDNA(配列番号6)を増幅した。これをエタノール沈澱後、EcoRI(TAKARA社製)で制限酵素消化を行った後、pcDNA3.1(invitrogen社製)のEcoRIサイトに挿入して細胞に対する遺伝子導入プラスミドを作成した。
OP9細胞(Takakura N. Immunity 9: 677-686 , 1998)は20%牛血清を含むαMEM培地(GIBCO社製)にペニシリン(100unit/ml)とストレプトマイシン(100μg/ml)(いずれもGIBCO製)を添加した培養液を用いて継代した。colon26(Asao T. et al. Cancer Lett. 78:57-62, 1994)およびPC3細胞(Rodan S.B. et al. J. Clin. Invest. 72:1511-1515, 1983)は10%牛血清を含むRPMI1640培地(GIBCO社製)にペニシリン(100unit/ml)とストレプトマイシン(100μg/ml)(いずれもGIBCO製)を添加した培養液を用いて継代した。遺伝子導入はリポフェクション法(lipofectamine2000; invitrogen製)を用いた。遺伝子導入細胞は上記の培養液に7日間G418(GIBCO製)を500μg/mlの最終濃度で添加して、生存細胞を遺伝子導入細胞とした。これらの細胞を96穴培養プレートの一穴に一個一個の細胞を播種し、増殖した細胞を10cmの培養皿に移し、培養皿中細胞が8割を占拠するに至った培養皿からTripsin-EDTA (GIBCO社製)を用いて細胞を回収し、一部を細胞培養を継続するとともに、残りの細胞からISOGEN(ニッポンジーン)を用いてRNAを抽出した。マウスアペリン遺伝子が導入されているかどうかはマウスアペリンのRT-PCR用プライマー;センスプライマー (5’-ggaattcgggaccatgaatctgaggctct-3’)とアンチセンスプライマー (5’-acttggcgagcccttcaatc-3’)を用いてPCRを35サイクル行い、アペリンの発現を検討した。またポジティブコントロールとしてセンスプライマー(5’-accacagtccatgccatcac-3’)とアンチセンスプライマー(5’-tccaccaccctgttgctgta-3’)を用いてPCRを27サイクル行い、GAPDHの発現を確認した。PCRにはex Taq(TAKARA)を用いた。RT-PCRによって得られた遺伝子産物を0.8%アガロース(SIGAM社製)に泳動し、得られた産物の確認を行った。結果を図2に示す。
アペリン遺伝子を導入したOP9細胞、colon26細胞、PC3細胞およびアペリンを発現しないOP9細胞、colon26細胞、PC3細胞をそれぞれ5x103個ずつ12穴の培養皿に播種し、上記の培養液にて6日間培養をおこない、細胞数を計測した。その結果アペリンの発現は細胞増殖には影響を与えないことが判明した。colon26細胞についての結果を図3に示す。
(3)P-Sp培養を用いた血管形成におけるアペリンの機能解析
マウス傍大動脈臓側板中胚葉(para-aortic splanchnopleural mesoderm; P-Sp)領域を用いたOP9ストロマ細胞上での培養により、血管内皮細胞による血管形成が観察される(Takakura N. et al. Cell 102:199-209, 2000)。
妊娠9.5日目のマウス(ICR; SLC社製)からマウス胎仔を実体顕微鏡(Leica社製)下にてP-Sp領域の外植体を取り出し、パスツールピペットを用いてOP9細胞あるいは実施例(2)で作成したアペリンを発現させたOP9(OP9/apelin) 上に播種した。これらを10%牛血清を含むRPMI1640培地(GIBCO社製)にペニシリン(100unit/ml)とストレプトマイシン(100μg/ml)(いずれもGIBCO製)、2-ME(最終濃度5x10-5M ; GIBCO社製)、及び stem cell factor (SCF、最終濃度50ng/ml; GIBCO社製)とエリスロポエチン(最終濃度2unit/ml; GIBCO社製)を添加した培養液にて5%CO2, 37℃の条件で7日間培養した。培養された細胞は、パラホルムアルデヒド(Wako社製)を4%の濃度で含むPBSに10分室温で浸透して組織を固定した。パラホルムアルデヒドの入ったPBSを除去し、培養細胞をPBSで10分室温でPBSに浸透して洗浄した。培養細胞は0.6%の過酸化水素(WAKO社製)と0.2%のアジ化ナトリウム(SIGMA社製)を含むPBSに室温で30分間浸透し、内因性のペルオキシダーゼの不活化を行った。これらの溶液を捨て、続いて培養細胞に5%ヤギ血清および1%牛血清アルブミン(BSA; SIGMA社製)を含むPBS(ブロッキング液)をのせ室温で30分浸透させ、2次抗体のブロッキングを行った。ブロッキング液を捨て、抗CD31抗体(Pharmingen社製)を最終濃度0.1-5μg/mlにブロッキング液で希釈して、6〜12時間室温あるいは4℃で反応させた。抗体溶液をすて、0.05%Tween20を含むPBS(洗浄液)中に4℃で10分浸透させ、洗浄液を捨てた。この操作を3回繰り返した。ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットイムノグロブリン(Biosource社製)を100分の1〜500分の1の濃度にブロッキング液で希釈し、培養細胞にのせ、室温で1時間反応させた。2次抗体を捨て、洗浄液で上記と同様培養細胞を3回洗浄した。培養細胞にディアミノベンジディン(DAB;同人化学社製)を250μg/mlの濃度でPBSに溶解したDAB溶液1mlに対して、1.5%過酸化水素を5μl添加した溶液を発色液として用いて、CD31抗体による血管内皮細胞の発現を解析した。結果を図4に示す。図に示すように、OP9細胞にアペリンを過剰発現したもの(OP9/apelin)では、血管網を形成する内皮細胞同士の接着により、一本一本の血管網の径が太くなることが判明した。
(4)成体内でアペリンが血管形成に与える影響の解析
i) colom26およびcolon26/apelinを用いた血管形成におけるアペリンの解析
実施例(2)で作成したcolon26細胞、およびアペリンを発現させたcolon26細胞(colon26/apelin)を100μlのPBSに1×106細胞を混和し、BALB/cマウス(6週齢、メス、SLC社製)各々4匹の背部に皮下投与により移植し、移植後14日目マウスの皮下に形成された腫瘍を回収し、外見を観察した。実施例を図5に示す。アペリンの導入されたcolon26細胞による腫瘍では、導入されていないcolon26細胞による腫瘍に比べ、非常に太い血管が形成されていることが判明した。実際に組織学的に血管径の太い血管が形成されているか否かを解析するために、腫瘍の組織切片を用いて血管内皮細胞特異的マーカーによる免疫学的染色を行った。腫瘍組織はパラホルムアルデヒド(Wako社製)を4%の濃度で含むPBSに2時間4℃で浸透して組織を固定した。パラホルムアルデヒドの入ったPBSを除去し、腫瘍組織をPBSで2時間4℃でPBSに浸透して洗浄した。腫瘍組織は40%メタノール、70%メタノールを含むPBS、100%メタノールでそれぞれ4℃で20分脱水させた。腫瘍をカッターを用いて細切し、50%ポリエステルワックス(第一化学社製)を含むメタノール溶液、100%ポリエステルワックスでそれぞれ42℃で30分〜4時間ワックスを浸透した。さらにこの組織をカセット内でワックスに包埋し、ミクロトーム(ヤマト科学社製)を用いて5〜8μmに薄切し、スライドグラス上で固定、乾燥させた。このようにして作成した組織切片を100%のエタノールで脱ワックスを行い、0.6%の過酸化水素と0.2%のアジ化ナトリウムを含むメタノールに室温で30分間浸透し、内因性のペルオキシダーゼの不活化を行った。続いて70%メタノールを含むPBS, PBSの順にそれぞれ5分間静置して、親水した。組織切片に5%ヤギ血清および1%BSAを含むPBS(ブロッキング液)をのせ室温で30分浸透させ、2次抗体のブロッキングを行った。ブロッキング液を捨て、抗CD31抗体(Pharmingen社製)を最終濃度0.1〜5μg/mlにブロッキング液で希釈して、6〜12時間室温あるいは4℃で反応させた。抗体をすて、0.05%Tween20を含むPBS(洗浄液)中に4℃で10分浸透させ、洗浄液を捨てた。この操作を3回繰り返した。ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットイムノグロブリン(Biosource社製)を100分の1〜500分の1の濃度にブロッキング液で希釈し、組織切片にのせ、室温で1時間反応させた。2次抗体を捨て、洗浄液で上記と同様切片を3回洗浄した。組織切片にディアミノベンジディン(DAB;同人化学社製)を250μg/mlの濃度でPBSに溶解したDAB溶液1mlに対して、1.5%過酸化水素を5μl添加した溶液を発色液として用いて、抗CD31抗体による血管形成の様子を解析した。結果を図6に示す。アペリンを導入したcolon26細胞による腫瘍組織内にはコントロールと比べ、血管径の太い血管が形成されているのが判る。実施例(2)(図3)の結果を鑑みれば、アペリンを発現させた細胞では細胞数の増加が誘導されるわけでなく、アペリンは個体において血管新生時の血管の血管拡張を誘導するといえる。
ii) PC3およびPC3/apelinを用いた血管形成におけるアペリンの解析
上記実施例(4)i)で示した結果が用いた細胞特異的でないことを証明するために
実施例(2)で作成したPC3細胞、およびアペリンを発現させたPC3細胞(PC3/apelin)を100μlのPBSに1×106 細胞を混和し、ヌードマウス(6週齢、メス、SLC社製)各々4匹の背部に皮下投与により移植し、移植後14日目マウスの皮下に形成された腫瘍を回収し、組織学的に血管径の太い血管が形成されているか否かを解析するために、腫瘍の組織切片を上記i)と同様の実験操作を用いて血管内皮細胞特異的マーカーである抗CD31抗体による免疫学的染色を行った。結果を図7に示す。colon26細胞を使用した際と同様、アペリンを導入したPC3細胞(PC3/apelin)による腫瘍内では、アペリンを導入していないPC3細胞により形成された腫瘍内と比べ血管径の太い血管が形成されていることが判明した。
以上より、成体で生じる血管新生において、アペリンは血管径の太い血管を形成することが確認された。
図1はヒト臍帯静脈血管内皮細胞を用い、マトリゲル上で血管内皮細胞の管腔形成を観察したものである。上が実際の顕微鏡下の観察像、下がその模式図。コントロールのPBSに比べ、ポジティブコントロールとして用いたVEGFは血管網の形成を促進した。アペリンもVEGFと同様に管腔形成を促進した。 図2はマウスの大腸ガン細胞であるcolon26にアペリンを遺伝子導入し、そのアペリンの発現をRT-PCRにて確認したもの。GAPDHはポジティブコントロールである。アペリン遺伝子を導入したcolon26細胞のみにアペリンのmRNAの発現が確認された。 図3はアペリンを発現させたcolon26細胞と(破線)、アペリンを発現していないcolon26細胞(実線)を試験管内で培養し、その増殖に対する影響を観察したもの。アペリンは,腫瘍細胞の増殖には影響を与えないことが判る。 図4はOP9ストロマ細胞上で胎児期のP-Sp領域を培養し、血管網の形成を観察したもの。上が実際の顕微鏡下での観察像、下がその模式図。OP9細胞にアペリンを過剰発現したものでは、血管網を形成する内皮細胞同士の接着により、一本一本の血管網の径が太くなることが判明した。 図5はアペリンを発現させたcolon26細胞(右)と発現させていないcolon26細胞(左)をBalb/cマウスに皮下移植し形成された腫瘍の外見像である。上に実際の取り出された腫瘍を、下にその模式図を示す。アペリンの導入されたcolon26細胞による腫瘍では、導入されていないcolon26細胞による腫瘍に比べ、非常に太い血管が形成されているのが判る。 図6は図5で示した腫瘍組織の切片をCD31に対するモノクローナル抗体で染色したものである。上が弱拡大、下が強拡大の写真である。アペリンを導入したcolon26細胞による腫瘍組織内にはコントロールと比べ、血管径の太い血管が形成されているのが判る。 図7はヒト前立腺がん細胞株であるPC3にアペリンを遺伝子導入した細胞(右)と、導入していない細胞(左)を用い、ヌードマウスに皮下移植した後に形成された腫瘍組織の切片をCD31に対する抗体で染色し血管形成を観察したものである。矢印で示すように、アペリンを導入した腫瘍内では血管径の太い血管が形成されている。
配列番号13〜119:合成ペプチド
配列番号13〜14:XaaはNleを意味する。
配列番号15〜18:1番目のXaaはpGluを意味し、11番目のXaaはNleを意味する。
配列番号19,20,21:1番目のXaaはAc−Argを意味し、10番目のXaaはNleを意味する。
配列番号22:1番目のXaaはpGluを意味し、8番目のXaaはLys(Ac)を意味する。
配列番号23:1番目のXaaはpGluを意味し、8番目のXaaはLys(Me)を意味する。
配列番号24:1番目のXaaはpGluを意味し、8番目のXaaはLys(Ac)を意味し、11番目のXaaはNleを意味する。
配列番号25:1番目のXaaはpGluを意味し、8番目のXaaはLys(Me)を意味し、11番目のXaaはNleを意味する。
配列番号26:1番目のXaaはpGluを意味し、8番目のXaaはLys(Tos)を意味し、11番目のXaaはNleを意味する。
配列番号27:1番目のXaaはpGluを意味し、8番目のXaaはArg(Tos)を意味し、11番目のXaaはNleを意味する。
配列番号28,29:1番目のXaaはpGluを意味し、5番目のXaaはNleを意味し、11番目のXaaはNleを意味する。
配列番号30:1番目のXaaはpGluを意味し、11番目のXaaはNleを意味し、13番目のXaaはThiを意味する。
配列番号31:1番目のXaaはpGluを意味し、11番目のXaaはNleを意味し、13番目のXaaはPhgを意味する。
配列番号32:1番目のXaaはpGluを意味し、11番目のXaaはNleを意味し、13番目のXaaはPya(2)を意味する。
配列番号33:10番目のXaaはNleを意味する。
配列番号34:3番目のXaaはAdi(NH)を意味し、34番目のXaaはNleを意味する。
配列番号35:3番目のXaaはLys(Ac)を意味し、34番目のXaaはNleを意味する。
配列番号36:35番目のXaaはNleを意味する。
配列番号37:1番目のXaaはZ−pGluを意味し、8番目のXaaはLys(Ac)を意味し、11番目のXaaはNleを意味する。
配列番号38:13番目のXaaはMet(O)を意味する。
配列番号39:13番目のXaaはNleを意味する。
配列番号40:1番目のXaaはpGluを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号41:1番目のXaaはpGluを意味し、13番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号42:12番目のXaaはNal(2)を意味する。
配列番号43:11番目のXaaはNal(2)を意味する。
配列番号44:13番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号45:11番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号46:11番目のXaaはChaを意味する。
配列番号47:1番目のXaaはpGluを意味し、11番目のXaaはChaを意味する。
配列番号48:13番目のXaaはChaを意味する。
配列番号49:15番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号50:10番目のXaaはNleを意味し、15番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号51:10番目のXaaはNleを意味し、15番目のXaaはTyr(I)を意味する。
配列番号52:10番目のXaaはNleを意味し、15番目のXaaはTyr(Me)を意味する。
配列番号53:XaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号54:13番目のXaaはChaを意味し、15番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号55:XaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号56:10番目のXaaはChaを意味し、11番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号57:10番目のXaaはChaを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号58:XaaはChaを意味する。
配列番号59:10番目のXaaはChaを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号60:XaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号61:1番目のXaaはpGluを意味し、11番目のXaaはChaを意味する。
配列番号62:1番目のXaaはpGluを意味し、13番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号63:XaaはChaを意味する。
配列番号64,65:10番目のXaaはChaを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号66:XaaはNleを意味する。
配列番号67:XaaはChaを意味する。
配列番号68:XaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号72:XaaはMet(O)を意味する。
配列番号73:XaaはLys(Arg−Arg)を意味する。
配列番号78:XaaはpGluを意味する。
配列番号80:XaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号81,82:XaaはpGluを意味する。
配列番号84:XaaはNal(2)を意味する。
配列番号85:XaaはpGluを意味する。
配列番号87:1番目のXaaはpGluを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号88:XaaはChaを意味する。
配列番号89:10番目のXaaはChaを意味し、11番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号90:XaaはpGluを意味する。
配列番号91:1番目のXaaはpGluを意味し、13番目のXaaはNal(2)を意味する。
配列番号92:XaaはNal(2)を意味する。
配列番号93〜96:XaaはpGluを意味する。
配列番号97:1番目のXaaはpGluを意味し、12番目のXaaはChaを意味する。
配列番号98:1番目のXaaはpGluを意味し、12番目のXaaはNal(2)を意味する。
配列番号100:XaaはpGluを意味する。
配列番号101:XaaはChaを意味する。
配列番号102:XaaはpGluを意味する。
配列番号103:XaaはNMe2を意味する。
配列番号104:XaaはMorを意味する。
配列番号105,106:XaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号107:9番目のXaaはN−MeAlaを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号108,109,110:10番目のXaaはChaを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号111:10番目のXaaはChaを意味し、11番目のXaaはPynを意味する。
配列番号112:10番目のXaaはChaを意味し、12番目のXaaはPynを意味する。
配列番号113:13番目のXaaはChaを意味する。
配列番号114:3番目のXaaはLys(Me)2を意味する。
配列番号115:7番目のXaaはLys(Me)2を意味する。
配列番号116:6番目のXaaはDapを意味し、10番目のXaaはChaを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号117:6番目のXaaはDap(Ac)を意味し、10番目のXaaはChaを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号118:6番目のXaaはDap(C6)を意味し、10番目のXaaはChaを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号119:6番目のXaaはDap(Adi)を意味し、10番目のXaaはChaを意味し、12番目のXaaはPhe(Cl)を意味する。
配列番号120〜124:合成DNA

Claims (24)

  1. アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する血管形成促進剤。
  2. アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する虚血性疾患の予防又は治療剤。
  3. アペリンをコードする遺伝子を含む血管形成促進剤。
  4. アペリンをコードする遺伝子を含む虚血性疾患の予防又は治療剤。
  5. 血管新生を促進する作用を有する、請求項1又は3に記載の血管形成促進剤。
  6. 血管腔の拡張を促進する作用を有する、請求項1又は3に記載の血管形成促進剤。
  7. アペリンが配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドである請求項1〜6の何れか1項に記載の剤。
  8. アペリンが配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の部分配列を含有するペプチドである請求項1〜6の何れか1項に記載の剤。
  9. アペリンが(a)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第6番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(b)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第40番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(c)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第42番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(d)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第47番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(e)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第61番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(f)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド又はそのN末端のアミノ酸(Gln)がピログルタミン酸化したアミノ酸配列を有するペプチド、(g)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第1番目から第25番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(h)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第6番目から第25番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(i)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第42番目から第64番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(j)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第61番目から第64番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(k)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第43番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(l)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第41番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(m)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第66番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(n)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第67番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(o)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第64番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(p)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第63番目から第77番目のアミノ酸配列を有するペプチド、(q)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第76番目のアミノ酸配列を有するペプチド又は(r)配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第75番目のアミノ酸配列を有するペプチドである請求項1〜6の何れか1項に記載の剤。
  10. アペリンが配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第65番目から第77番目のアミノ酸配列を含有するペプチドである請求項1〜6の何れか1項に記載の剤。
  11. アペリンがpGlu−Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−His−Lys−Gly−Pro−Met−Pro−Pheで表されるアミノ酸配列を含有するペプチドである請求項1〜6の何れか1項に記載の剤。
  12. アペリンが配列番号5、7、9又は11で表されるアミノ酸配列の第42番目から第77番目のアミノ酸配列を含有するペプチドである請求項1〜6の何れか1項に記載の剤。
  13. アペリンの修飾体が式:
    −Arg−Pro−Arg−X−Ser−His−X−Gly−Pro−X−X (I)
    [式中、Xは水素原子又はそれぞれ同一又は異なって側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸からなるアミノ酸残基又はペプチド鎖を示し、Xは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基を示し、Xは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、側鎖が置換されていてもよい芳香性アミノ酸残基又は側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示し、Xは結合手又は側鎖が置換されていてもよい中性又は芳香性アミノ酸残基を示し、Xは(イ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(ロ)水酸基又は(ハ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基と側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基が結合してなるジペプチド鎖又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたペプチド誘導体を示し、式中の−Arg−Pro−Arg−、−Ser−His−又は−Gly−Pro−中の各アミノ酸残基の側鎖は置換されていてもよい。但し、XがLeuを、XがLysを、XがMetを示し、かつXが(イ)Pro又は(ロ)Pro−Pheを示し、式中の−Arg−Pro−Arg−が無置換の−Arg−Pro−Arg−を、−Ser−His−が無置換の−Ser−His−を、且つ−Gly−Pro−が無置換の−Gly−Pro−を示す場合を除く。]
    で表される化合物である請求項1、2、5及び6の何れか1項に記載の剤。
  14. アペリンの修飾体が式:
    −Arg−Pro−Arg−Leu−Phe−P−P−Gly−Pro−P−P (II)
    [式中、Pは水素原子又はそれぞれ同一又は異なって側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸からなるアミノ酸残基又はペプチド鎖を示し、Pは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基又は側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示し、Pは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、側鎖が置換されていてもよい芳香性アミノ酸残基又は側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示し、Pは結合手又は側鎖が置換されていてもよい中性又は芳香性アミノ酸残基を示し、Pは(イ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(ロ)水酸基又は(ハ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基と側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基が結合してなるジペプチド鎖又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたペプチド誘導体を示し、式中の−Arg−Pro−Arg−Leu−Phe−又は−Gly−Pro−中の各アミノ酸残基の側鎖は置換されていてもよい。]
    で表される化合物である請求項1、2、5及び6の何れか1項に記載の剤。
  15. アペリンの修飾体が式:
    −Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−Ala−Q−Gly−Q−Q−Q (III)
    [式中、Qは水素原子又はそれぞれ同一又は異なって側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸からなるアミノ酸残基又はペプチド鎖を示し、Qは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基、側鎖が置換されていてもよい芳香性アミノ酸残基又は側鎖が置換されていてもよい塩基性アミノ酸残基を示し、Qは結合手又は側鎖が置換されていてもよい中性又は芳香性アミノ酸残基を示し、Qは(イ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたアミノ酸誘導体、(ロ)水酸基又は(ハ)側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基と側鎖が置換されていてもよいアミノ酸残基が結合してなるジペプチド鎖又はそのC末端カルボキシル基がヒドロキシメチル基又はホルミル基に還元されたペプチド誘導体を示し、Qは側鎖が置換されていてもよい中性アミノ酸残基を示し、式中の−Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−Ala−中の各アミノ酸残基の側鎖は置換されていてもよい。]
    で表される化合物である請求項1、2、5及び6の何れか1項に記載の剤。
  16. アペリンの修飾体が式:
    −Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−His−Lys−Gly−Pro−R−Pro−R (IV)
    [式中、Rは水素原子又はそれぞれ同一又は異なって側鎖が置換されていてもよい1〜25個のアミノ酸からなるアミノ酸残基又はペプチド鎖を示し、Rは置換されていてもよいCha、置換されていてもよいMet又は置換されていてもよいNleを示し、Rは置換されていてもよいPhe(Cl)、置換されていてもよいPhe、置換されていてもよいNal(2)、置換されていてもよいCha又は置換されていてもよいTyrを示し、式中の−Arg−Pro−Arg−Leu−Ser−His−Lys−Gly−Pro又は−Pro−中の各アミノ酸残基の側鎖は置換されていてもよい。]
    で表される化合物である請求項1、2、5及び6の何れか1項に記載の剤。
  17. 請求項1、3及び5〜16の何れか1項に記載の血管形成促進剤を用いて、血管系に分化可能な細胞からin vitroにおいて人工血管を製造する方法。
  18. 被験体から採取された検体中のアペリン濃度を測定し、測定値を健常者及び虚血性疾患患者の測定値と対比することにより虚血性疾患を診断する方法。
  19. 被験体から採取された検体中のアペリン濃度を測定し、測定値を健常者及び血管が過剰増殖する疾患の患者の測定値と対比することにより血管が過剰増殖する疾患を診断する方法。
  20. 被験体から採取された検体中のアペリン濃度を測定し、測定値を健常者及び血管怒張又は毛細血管拡張を呈する疾患の患者の測定値と対比することにより血管怒張又は毛細血管拡張を呈する疾患を診断する方法。
  21. (a)アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩、及び/又は、(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体、その部分ペプチド若しくはその塩を用いることを特徴とする、血管形成促進剤又は虚血性疾患の治療若しくは予防剤のスクリーニング方法。
  22. (a)アペリンをコードするDNAを含有するDNA、及び/又は、(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体若しくはその部分ペプチドをコードするDNAを含有するDNAを用いることを特徴とする、血管形成促進剤又は虚血性疾患の治療若しくは予防剤のスクリーニング方法。
  23. (a)アペリン、その修飾体、それらのアミド、それらのエステル又はそれらの塩、及び/又は、(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体、その部分ペプチド若しくはその塩を用いることを特徴とする、血管形成抑制剤又は血管怒張若しくは毛細血管拡張を呈する疾患の予防若しくは治療剤のスクリーニング方法。
  24. (a)アペリンをコードするDNAを含有するDNA、及び/又は、(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列と同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するアペリン受容体若しくはその部分ペプチドをコードするDNAを含有するDNAを用いることを特徴とする、血管形成抑制剤又は血管怒張若しくは毛細血管拡張を呈する疾患の予防若しくは治療剤のスクリーニング方法。
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