JP2008010401A - 照明用ガラス容器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、保護膜を形成することなく、また、加工性に優れるとともに高い輝度の蛍光ランプを得ることができる照明用ガラス容器およびその製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の照明用ガラス容器は、ガラス容器の内表面に存在するNaの比率Raと、内表面から100nmの深さの部分に存在するNaの比率Rbとの比Ra/Rbが1以下であることを特徴とし、また、本発明の照明用ガラス容器の製造方法は、ガラス管を、Na+が10ppm以下の純水または水溶液で洗浄することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の照明用ガラス容器は、ガラス容器の内表面に存在するNaの比率Raと、内表面から100nmの深さの部分に存在するNaの比率Rbとの比Ra/Rbが1以下であることを特徴とし、また、本発明の照明用ガラス容器の製造方法は、ガラス管を、Na+が10ppm以下の純水または水溶液で洗浄することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、照明用ガラス容器およびその製造方法に関するものである。
蛍光ランプは、ガラス管等のガラス容器を用いて作製されたガラスバルブの両端に電極が封止されている。ガラスバルブ内には、水銀が封入されている。またガラスバルブ内表面には蛍光体が塗布されている。そして蛍光ランプは、一般に次のような仕組みで発光する。
まず電極間に電圧を印加することにより、電極間で放電が起こる。電極から飛び出した電子は、内部に封入されている水銀と衝突して、紫外線を発生させる。この紫外線がガラスバルブの内面に塗布された蛍光体に照射されることで、蛍光体が可視光線を発し、その可視光線がガラスバルブの外部に放出される。
従来、蛍光ランプに使用されるガラスバルブには、主にホウケイ酸塩系ガラス(例えば、特許文献1参照)、ソーダ系ガラス(例えば、特許文献2参照)、鉛系ガラス(例えば、特許文献3参照)が使用されている。
これらのガラスバルブは、使用する電極の熱膨張係数の違いによって使い分けられており、例えばホウケイ酸塩系ガラスからなるガラスバルブは、タングステンやコバールを電極とする冷陰極蛍光ランプ(CCFL)用ガラスバルブに用いられる。一方、ソーダ系ガラスまたは鉛系ガラスからなるガラス管は、高い熱膨張係数を有するジュメット線を電極とする熱陰極蛍光ランプ(HCFL)用ガラスバルブに用いられる。
また、近年ではガラスバルブ内に電極を設けない外部電極ランプ(EEFL)が提案されており、その用途に合わせたガラス組成も開発されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開2002−29778号公報
特開2000−290038号公報
特開昭56−14446号公報
特開2002−338296号公報
特開昭62−229752号公報
上記ガラスバルブのガラス組成には、封着する電極との熱膨張係数を調整するために、また、ガラスの溶融性を向上させたり、ガラス管成形やランプ加工の際の粘性を調整したりするためにNa2Oが含まれている。
しかし、ガラス中に含まれるNaは、ガラスバルブ中に封入された水銀と反応することによってアマルガムを形成するため、水銀が消費されて、蛍光ランプの寿命が短くなったり輝度が低下したりする。
この対策として、例えば特許文献5に開示されているように、ガラス容器の内表面にアルミナからなる保護膜を形成した蛍光ランプが提案されているが、保護膜を形成するために時間やコストがかかるとともに、保護膜によって反射や散乱が生じて輝度が低下しやすいという問題を有する。
またガラス組成からNa2Oを削減することも考えられる。しかし上記した通り、Na2Oは、ガラスの溶融性、成形性、加工性、熱膨張特性等に影響を与える成分であり、Na2Oを削減すると、これらの特性が悪化する等の問題があり、現実的でない。
本発明の目的は、保護膜を形成しなくても、加工性に優れるとともに高い輝度の蛍光ランプを得ることができる照明用ガラス容器およびその製造方法を提供することである。
本発明者等は、ガラス組成にNa2Oが含まれるガラス容器において、内表面から深さ方向におけるNaの分布が蛍光ランプの明るさに影響を及ぼすものと考えた。そこで、通常のガラス管の内表面から深さ100nmまでの各部位におけるNaの存在割合を測定したところ、図1、2に示すように深部に比べて内表面の方がNaの濃度が高いことがわかった。
そこで、内表面のNaの存在割合が深部より小さくなるように処理したガラス容器を作製し、そのガラス容器を用いて蛍光ランプを作製したところ、従来のガラス容器を用いて作製したものに比べて輝度が高くなることを確認し、本発明として提案するものである。
すなわち、本発明の照明用ガラス容器は、ガラス組成としてNa2Oを含有するガラス容器からなり、その内表面に存在するNaの比率Raと、内表面から100nmの深さの部分に存在するNaの比率Rbとの比Ra/Rbが1以下であることを特徴とする。
なお本発明における「容器」とは、蛍光ランプ等、各種ランプのガラスバルブを構成するガラス部材を指す。代表的な部材としては管型蛍光ランプ等に広く使用されているガラス管が挙げられる。また近年、実用化が進められている平面蛍光ランプにおいては、そのバルブを構成する平面状、箱状等各種のガラス部材を指す。
Naの存在比率Ra/Rbは、XPS(SSI製 SSX−100)を用いてデプスプロファイルを測定することにより求めた値であり、測定試料表面のNaの存在割合Raと、表面から深さ100nmの部位におけるNaの存在割合Rbとから算出する。
また、本発明の照明用ガラス容器の製造方法は、ガラス容器を、Na+が10ppm以下の純水または水溶液で洗浄することを特徴とする。純水又は水溶液中のNa+濃度は、原子吸光分光分析装置で測定した値である。
処理されるガラス容器は、ガラス組成としてNa2Oを含有するガラスからなるものであることが望ましい。
上記水として、蒸留水又は脱イオン水を使用し、ガラス容器を洗浄することが好ましい。
上記水溶液としてオゾン水を使用し、ガラス容器を洗浄することが好ましい。
また、本発明の照明用ガラス容器の製造方法は、ガラス管を、Na+が10ppm以下の水を用いて加圧水蒸気で処理することを特徴とする。処理されるガラス容器は、ガラス組成としてNa2Oを含有するガラスからなるものであることが望ましい。
本発明の照明用ガラス容器は、内表面に存在するNaの比率Raが内表面から100nmの深さの部分に存在するNaの比率Rbよりも少ないため、容器内に封入した水銀とNa成分が反応しにくい。それゆえ水銀が消費されにくい。また容器内表面にNaが殆ど存在しないことから、保護膜を必要としない。それゆえ保護膜を形成することなしに、輝度の高い蛍光ランプを作製することができる。
また、本発明の照明用ガラス容器は、ガラス組成として必要量のNa2Oを含ませることが可能であるため、熱膨張係数、溶融性、ガラスの成形性(高温粘度特性)といった照明用容器に必要な特性に影響を及ぼさず、また熱加工を必要とする蛍光ランプに好適に使用できる。
本発明の方法によれば、内表面だけでなく、内表面から深さ20〜50nm程度までNaの存在割合を低くすることができる。それゆえ、蛍光ランプとして長期間にわたって使用しても、内表面までNaが拡散しにくく、高い輝度を長期間にわたって維持しやすいという効果が得られる。
またオゾン水を用いて容器内面を洗浄すれば、ガラスネットワークが密になることから、ガラス内部のNaが表面に移動し難くなり好ましい。さらに容器内面の有機物汚れを除去することも可能である。
本発明のガラス容器は、ガラス容器の内表面に存在するNaの比率Raと、内表面から100nmの深さの部分に存在するNaの比率Rbとの比Ra/Rbが1以下であることを特徴とする。Ra/Rbの値が1よりも大きい場合、容器内表面のNa成分が多くなることを意味する。容器内表面にNa成分が多量に存在していると、作製された蛍光ランプは、容器内表面のNa成分が水銀と反応して水銀が消費される結果、ランプ寿命が短くなる。また水銀が消費されることに起因して、ランプの輝度が低下してしまう。Ra/Rbの値は小さい程好ましく、具体的にはこの値が0.8以下であると好ましく、0.5以下であるとさらに好ましい。
本発明のガラス容器において、容器を構成するガラスとしては、Na2O含有ガラスであれば特に制限はなく、例えば主としてCCFL用として使用されるホウケイ酸ガラス、主としてHCFL用として使用されるソーダ系ガラスや鉛系ガラス、或いはEEFL用ガラスなどが挙げられる。
ホウケイ酸系ガラスとしては、例えば質量%表示で、SiO2 60〜80%、B2O3 5〜25%、Na2O 0.5〜7%、Li2O+Na2O+K2O 3〜10%含有するものが使用可能である。
また、ソーダ系ガラスとしては、例えば質量%表示で、SiO2 60〜75%、Al2O3 1〜5%、Na2O 5〜20%、Li2O+Na2O+K2O 5〜20%の組成を含有するものが使用可能である。
また、鉛系ガラスとしては、例えば質量%表示で、PbO 5〜75%、SiO2 20〜75%、Na2O 1〜15%、Li2O+Na2O+K2O 5〜20%含有するものが使用可能である。
EEFL用ガラスとしては、例えば質量%表示で、SiO2 45〜65%、MgO+CaO+SrO+BaO 15〜40%、Na2O 0.5〜10%、Li2O+Na2O+K2O 3〜25%含有するものが使用可能である。
また、上記各ガラスに対し、ガラス組成中にFe2O3、TiO2、CeO2、WO3、Nb2O5、As2O3、Sb2O3、SnO2などの成分を清澄剤として、または、紫外線の遮蔽やソラリゼーション(短波長紫外線着色)の防止を目的として、各々5%まで適宜導入することができる。
以下に本発明の照明用ガラス容器の製造方法を説明する。
まず、所定の組成となるように石粉、ホウ酸、炭酸リチウム、炭酸ソーダ、炭酸カリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉛、酸化鉄、酸化チタン、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化ニオブ、三酸化砒素、酸化アンチモン、酸化錫等のガラス原料を調合し、溶融炉で溶融する。
次に、溶融炉から溶融ガラスを流し出し、各種成形法を用いてガラス容器を作製する。成形法としては、管ガラスであればダンナー法、ダウンドロー法、リドロー法等が、板ガラスであればフロート法、オーバーフロー法等が、特殊形状であればプレス法、キャスト法、ブロー法等が使用可能である。
最後に、ガラス容器の内表面を、Na+の濃度が10ppm以下の洗浄水で洗浄したり、或いは加圧水蒸気で処理したりして、本発明の照明用ガラス容器を製造する。
ガラス容器は、所定形状、例えば、U字形状や環状に加工した後に洗浄処理を行なうことが好ましい。これは、洗浄処理後に加熱加工すると、その部分においてガラス容器の内部のNaが内表面に拡散する可能性がある。Naが内表面に拡散すると、蛍光ランプにした際にアマルガムが形成されたり、その部分の輝度が低下したりするおそれがある。
本発明の方法において、洗浄液としてNa+が10ppm以下の水または水溶液を用いると、表面に存在するNaの割合を低くする効果に優れるため好ましい。洗浄液中に10ppmよりもNa+が多く含まれると、ガラス容器の内表面におけるNaの存在割合を低下させにくくなる。洗浄液中のNa+の含有量は少ないほどよく、具体的には8ppm以下、特に5ppm以下であることが望ましい。なお、このようにNa+の濃度が10ppm以下の洗浄液は、蒸留水や脱イオン水をそのまま、または、溶質を溶解させて用いて作製する(=水溶液)。
蒸留水、脱イオン水等の純水は室温であっても、冷水であっても、温水であっても良いが、5〜45℃であることが好ましい。洗浄時間は、例えば10秒〜30分間程度が適切である。またガラス容器の洗浄は、流水中で行なっても滞留水に浸漬して行なっても良い。
本発明の方法において、洗浄液として水溶液を用いる場合、pH1〜5の酸性水溶液やオゾン水等が使用可能である。酸性溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸の水溶液であっても、酢酸、クエン酸等の有機酸の水溶液であってもよく、単独で使用しても混合して使用しても良い。
オゾン水を採用する場合、洗浄によってガラス中のNa+がH+に置換される。これにより、ガラス中に増加した水酸基が酸化され、新たなガラスネットワークが形成されるため、ガラスネットワークを密にすることができる。その結果、Na+の拡散が一層抑制される。しかもオゾン水を用いれば、容器内面の有機物汚れを除去することも可能となり好ましい。オゾンの濃度が、0.1ppm以上であれば、上記の効果が得易くなり、また、工業的に迅速に処理を行なうためには10ppm以上であると好ましく、20ppm以上であるとより好ましい。なお、作業環境の悪化を防止するため、オゾン濃度が1%を超えるオゾン水を用いない方が良い。
なおオゾン水を用いた場合の洗浄条件は、例えば液温5〜45℃で10秒〜30分間行えばよい。またその洗浄は、流液中で行なっても良いし、滞留液に浸漬して行なっても良い。
加圧水蒸気による処理は、Na+が10ppm以下の水を加圧水蒸気とし、その雰囲気にガラス容器内表面を晒すことにより行う。具体的には加圧水蒸気を充満させたチャンバー(例えば加熱滅菌炉)内ガラス容器を載置する方法や、ガラス容器に加圧水蒸気を直接吹き付ける方法等が採用可能である。加圧水蒸気を発生させるための水のNa+含有量が10ppmよりも多くなると、ガラス容器の内表面におけるNaの存在割合を低下させにくくなる。Na+含有量の好ましい値は、8ppm以下であり、特に5ppm以下である。
なお、水溶液による処理や加圧水蒸気による処理を行なった後は、表面に異物が付着する場合があるため、蒸留水や脱イオン水で、ガラス容器の内表面を数回すすぐことが好ましい。
以下、実施例と比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
表1〜3に、実施例1〜9および比較例1〜3を示す。また、図1〜4は表面からの深さとNaの存在割合を示すグラフであり、図1は比較例1、図2は比較例2、図3は実施例1、図4は実施例5をそれぞれ示すものである。
[実施例1]
まず、直径が4mm、肉厚が0.5mm、長さが800mm、Na2O含有量が1質量%のホウケイ酸系のガラス管(日本電気硝子製 商品名BKF)を用意した。
まず、直径が4mm、肉厚が0.5mm、長さが800mm、Na2O含有量が1質量%のホウケイ酸系のガラス管(日本電気硝子製 商品名BKF)を用意した。
次に、このガラス管を25℃のオゾン水(オゾンが10ppm溶解した純水)中に5分間浸漬後、純水で3回すすいで試料を作製した。なお、本実施例及び以降の例において使用する純水は、何れもNa+濃度が0.5ppmのものを用いた。
[実施例2]
実施例1と同様のガラス管を用意した後、このガラス管を、121℃の加圧水蒸気が充満した加熱滅菌炉内に1時間入れて処理した。なお加圧水蒸気は、Na+濃度が0.5ppmの純水を用いて生成させた。その後、実施例1と同様にして純水ですすぎ、試料を作製した。
実施例1と同様のガラス管を用意した後、このガラス管を、121℃の加圧水蒸気が充満した加熱滅菌炉内に1時間入れて処理した。なお加圧水蒸気は、Na+濃度が0.5ppmの純水を用いて生成させた。その後、実施例1と同様にして純水ですすぎ、試料を作製した。
[実施例3]
オゾン水の替わりに20℃の塩酸溶液(pH3)を用いた以外は実施例1と同様にして試料を作製した。
オゾン水の替わりに20℃の塩酸溶液(pH3)を用いた以外は実施例1と同様にして試料を作製した。
[比較例1]
実施例1で用意したガラス管をそのまま試料として使用した。
実施例1で用意したガラス管をそのまま試料として使用した。
[実施例4]
直径が4mm、肉厚が0.5mm、長さが800mm、Na2O含有量が8質量%のソーダ系のガラス管(日本電気硝子製 商品名PS−94)を用意した。
直径が4mm、肉厚が0.5mm、長さが800mm、Na2O含有量が8質量%のソーダ系のガラス管(日本電気硝子製 商品名PS−94)を用意した。
次いでこのガラス管を30℃のオゾン水(オゾンが50ppm溶解した純水)中に15分間浸漬後、純水で3回すすいで試料を作製した。
[実施例5]
実施例4と同様のガラス管を用意した後、このガラス管を、121℃の加圧水蒸気が充満した加熱滅菌炉内に1時間入れて処理した。なお加圧水蒸気は、Na+濃度が0.5ppmの純水を用いて生成させた。その後、実施例1と同様にして純水ですすぎ、試料を作製した。
実施例4と同様のガラス管を用意した後、このガラス管を、121℃の加圧水蒸気が充満した加熱滅菌炉内に1時間入れて処理した。なお加圧水蒸気は、Na+濃度が0.5ppmの純水を用いて生成させた。その後、実施例1と同様にして純水ですすぎ、試料を作製した。
[実施例6]
オゾン水の替わりに硝酸溶液(pH1)を用いた以外は実施例4と同様にして試料を作製した。
オゾン水の替わりに硝酸溶液(pH1)を用いた以外は実施例4と同様にして試料を作製した。
[比較例2]
実施例4で用意したガラス管をそのまま試料として使用した。
実施例4で用意したガラス管をそのまま試料として使用した。
[実施例7]
直径が4mm、肉厚が0.5mm、長さが800mm、Na2O含有量が3質量%のEEFL用のガラス管(日本電気硝子製 商品名ER−2)を用意した。
次いでこのガラス管を35℃オゾン水(オゾンが30ppm溶解した純水)中に10分間浸漬後、純水で3回すすいで試料を作製した。
直径が4mm、肉厚が0.5mm、長さが800mm、Na2O含有量が3質量%のEEFL用のガラス管(日本電気硝子製 商品名ER−2)を用意した。
次いでこのガラス管を35℃オゾン水(オゾンが30ppm溶解した純水)中に10分間浸漬後、純水で3回すすいで試料を作製した。
[実施例8]
実施例7と同様のガラス管を用意した後、このガラス管を、121℃の加圧水蒸気が充満した加熱滅菌炉内に1時間入れて処理した。なお加圧水蒸気は、Na+濃度が0.5ppmの純水を用いて生成させた。その後、実施例1と同様にして純水ですすぎ、試料を作製した。
実施例7と同様のガラス管を用意した後、このガラス管を、121℃の加圧水蒸気が充満した加熱滅菌炉内に1時間入れて処理した。なお加圧水蒸気は、Na+濃度が0.5ppmの純水を用いて生成させた。その後、実施例1と同様にして純水ですすぎ、試料を作製した。
[実施例9]
オゾン水の替わりに15℃の酢酸溶液(pH4)を用いた以外は実施例7と同様にして試料を作製した。
オゾン水の替わりに15℃の酢酸溶液(pH4)を用いた以外は実施例7と同様にして試料を作製した。
[比較例3]
実施例7で用意したガラス管をそのまま試料として使用した。
実施例7で用意したガラス管をそのまま試料として使用した。
[実施例10]
実施例1、4、7と同様のガラス管を、Na+濃度が0.5ppmの蒸留水中に10分間浸漬して洗浄し、試料とした。なお蒸留水は水温40℃のものを用いた。
実施例1、4、7と同様のガラス管を、Na+濃度が0.5ppmの蒸留水中に10分間浸漬して洗浄し、試料とした。なお蒸留水は水温40℃のものを用いた。
[比較例4]
実施例1、4、7と同様のガラス管を、Na+濃度が12ppmの水道水中に10分間浸漬して洗浄し、試料とした。なお水道水は水温40℃のものを用いた。
実施例1、4、7と同様のガラス管を、Na+濃度が12ppmの水道水中に10分間浸漬して洗浄し、試料とした。なお水道水は水温40℃のものを用いた。
次に、得られた各試料のNaの存在比率Ra/Rbを次のようにして求めた。まず各試料を半割にし、ガラス内表面のNaの存在割合を、XPS(SSI製 SSX−100)を用いてデプスプロファイルを測定した。次いで試料表面のNaの存在割合Raと、表面から深さ100nmの部位におけるNaの存在割合RbとからRa/Rbを算出した。
また実施例1および比較例1の試料を用いて蛍光ランプを以下のようにして作製し、明るさを評価した。
まず、試料の内表面に蛍光体のスラリーを塗布し乾燥させた後、余分に付着した蛍光体をブラシで除去した後、600℃で焼成した。
次に、試料の内部を排気後、電極を溶封し、水銀やArガスの封入を行ない、蛍光ランプを作製した。
最後に、蛍光ランプを100V、60Hzの交流電源を用いて発光させてそれぞれ輝度を輝度計(コニカミノルタ製 LS−100)を用いて測定した。
表1から明らかなように、実施例1はRa/Rbが0.1、比較例1はRa/Rbが1.4であり、比較例1に対する実施例1のランプの明るさ比は102%であった。このことから、未処理の試料に比べてRa/Rbの値が非常に小さい実施例2〜9の試料についても、蛍光ランプを作製すれば各比較例よりも明るさが向上するものと考えられる。
なお、実施例10の条件では、Ra/Rbが実施例1の試料で0.4、実施例4の試料で0.8、実施例7の試料で0.6であった。また、比較例4の条件では、Ra/Rbが実施例1の試料で1.2、実施例4の試料で2.0、実施例7の試料で1.7であった。
本発明の照明用ガラス容器は、棒状、環状、または平面タイプの蛍光ランプ、U字形状やらせん形状等のコンパクトタイプの蛍光ランプといった各種蛍光ランプのガラスバルブのみならず、水銀ランプ等その他の照明用ランプのガラスバルブとしても使用可能である。また、一般照明用途、液晶パネルディスプレイのバックライト用途等、特に用途は問わない。
Claims (7)
- ガラス組成としてNa2Oを含有するガラス容器からなり、その内表面に存在するNaの比率Raと、内表面から100nmの深さの部分に存在するNaの比率Rbとの比Ra/Rbが1以下であることを特徴とする照明用ガラス容器。
- ガラス容器を、Na+が10ppm以下の水または水溶液で洗浄することを特徴とする照明用ガラス容器の製造方法。
- 蒸留水にて洗浄することを特徴とする請求項2の照明用ガラス容器の製造方法。
- 脱イオン水にて洗浄することを特徴とする請求項2の照明用ガラス容器の製造方法。
- オゾン水にて洗浄することを特徴とする請求項2の照明用ガラス容器の製造方法。
- Na+が10ppm以下の水を加圧水蒸気とし、前記加圧水蒸気でガラス容器を処理することを特徴とする照明用ガラス容器の製造方法。
- ガラス容器が、ガラス組成としてNa2Oを含有するガラスからなることを特徴とする請求項3〜7の何れかの照明用ガラス容器の製造方法。
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