JP2008010334A - 燃料電池用温湿度交換器、燃料電池用温湿度交換器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構成からなる燃料電池用温湿度交換器を提供する。
【解決手段】膜20と、膜20を支持する支持板10と、を含む接合体30の積層構造を有し、隣り合う接合体30間にガス流路32,33を形成してなる燃料電池用温湿度交換器100であって、支持板10は、接合体30の積層方向に貫通する複数の温湿度交換口を内側に区画しつつ、外郭をなす枠が一体部材として形成されてなる。接合体30の一方面側は供給ガス流路32であり、他方面側は排出ガス流路33である。
【選択図】図6
【解決手段】膜20と、膜20を支持する支持板10と、を含む接合体30の積層構造を有し、隣り合う接合体30間にガス流路32,33を形成してなる燃料電池用温湿度交換器100であって、支持板10は、接合体30の積層方向に貫通する複数の温湿度交換口を内側に区画しつつ、外郭をなす枠が一体部材として形成されてなる。接合体30の一方面側は供給ガス流路32であり、他方面側は排出ガス流路33である。
【選択図】図6
Description
本発明は、複数のガスの間で温度(熱)または湿度(水分)の少なくとも一方を交換する温湿度交換器および温湿度交換器の製造方法に関し、特に、燃料電池の電極に供給するガスと燃料電池の電極から排出されたガスとの間で温度または湿度の少なくとも一方を交換する燃料電池用温湿度交換器および燃料電池用温湿度交換器の製造方法に関する。
近年、燃料電池に関するさまざまな研究開発が行われている。燃料電池には、使用する電解質の違いによりさまざまな種類のものが提案され、研究が進められているが、自動車業界においては特に電解質として固体高分子を使用した固体高分子型燃料電池に関する研究が盛んに行われている。この固体高分子型燃料電池の他の燃料電池に対する利点としては、作動温度が約60℃〜約100℃程度と比較的低温であること、移動や振動による電解質の漏洩がないこと、等が挙げられる。
固体高分子は一般に薄膜状の固体高分子膜として使用されるが、この固体高分子膜は、湿潤状態ではプロトン導電性電解質膜として機能し、これを用いた固体高分子型燃料電池は所定の機能を発揮する一方、乾燥状態ではプロトン導電性が低下するためにエネルギ変換効率が低下し、出力が急激に低下する。このため、固体高分子型燃料電池システムでは、固体高分子からなる電解質膜を所定の湿度以上に保つ必要がある。
ところで、燃料電池システム運転時に燃料電池の電極へ供給される反応ガスを、加湿装置により加湿することで固体高分子膜へ水分を補給し、湿潤状態を維持する技術が提案されている。
図8は、従来の加湿器80の、ガス流路を含む要部(湿度交換部)について、その構成の概略を例示したものである。
図8に示すように、加湿器80における湿度交換部には隣り合う2枚のセパレータ82で形成される空間を二分するように膜84が設けられており、2枚のセパレータ82で仕切られた空間に膜84を介して1組の供給ガス流路90及び排出ガス流路92が形成されている。セパレータ82、膜84それぞれの両端は、シール部材86と接続、固定されており、供給ガス流路90と排出ガス流路92はそれぞれ、各流路を流通するガスが外部または内部に漏出しないように配設されている。供給ガス流路90及び排出ガス流路92は、シール部材86により仕切られるとともに図示しないガスマニホールドにそれぞれ連接されている。
膜84は、水蒸気、または水の状態で水分を透過させることが可能であって、膜84を挟んで流れる、湿度の異なる流体間の湿度交換を行う。この膜84を加湿器80に採用することにより、図8のように湿度交換部を通過する排出ガス流路92中の水分が矢印88のように供給ガス流路90に移動する。このとき、供給ガス流路90を流通する被加湿ガスは、湿度交換部において加湿され、加湿ガスとなる。
このような加湿器80を燃料電池用加湿器として使用する場合には、湿度交換部を通過して加湿ガスとなった反応ガスを、図示しない供給ガスマニホールドに接続された配管を介して燃料電池内に導入し、一方、燃料電池内から排出された反応ガスを図示しない排出ガス導入マニホールドから加湿器80内に導入し、温湿度交換を行なうことができる。
しかしながら、このような加湿器を使用するにあたり、一般に膜と、湿度交換に直接寄与しないセパレータとを交互に積層しているため、所望の湿度交換性能を獲得しようとすると装置の体格が大きくなってしまうといった不具合があった。また、このような加湿器に使用されるセパレータはいわゆる山溝つきセパレータを用いることが多いが、このようなセパレータの成形は一般に困難である、といった課題があった。
また、特許文献1には、ガスの流入口と流出口とを有する枠体と膜とを交互に積層させた、軽量かつ十分な強度を備えた燃料電池用湿度交換器について開示されている。
しかしながら、特許文献1については、セパレータの構成が枠体、仕切り板といった複数の部材により構成されており、構造が複雑である。
さらに、特許文献2には、確実なシール性を得ることができる固体高分子型燃料電池のガス加湿器について記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載されたガス加湿器についてもなお構造が複雑であるばかりか組立工程も煩雑であると考えられる。
本発明は、簡素な構成からなる燃料電池用温湿度交換器を提供する。
また本発明の他の目的は、省スペースでかつ少なくとも従来と同等以上の加湿性能を有する燃料電池用温湿度交換器を提供することにある。
本発明の構成は以下のとおりである。
(1)表裏に流通する流体間で湿度または温度の少なくとも一方を交換可能な膜と、前記膜を支持する支持板とを含む接合体の積層構造を有し、隣り合う接合体間にガス流路を形成してなる燃料電池用温湿度交換器であって、前記支持板は、前記接合体の積層方向に貫通する複数の温湿度交換口を内側に区画しつつ、外郭をなす枠が一体部材として形成されてなる、燃料電池用温湿度交換器。
(2)上記(1)に記載の燃料電池用温湿度交換器において、前記接合体を貫通するガスマニホールドを形成し、隣り合う前記接合体の間に、所定の厚みを有するスペーサを介して積層させてなる、燃料電池用温湿度交換器。
(3)上記(2)に記載の燃料電池用温湿度交換器において、前記スペーサは、ガスシール材である、燃料電池用温湿度交換器。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の燃料電池用温湿度交換器において、前記接合体の一方面に、乾燥ガスを加湿し、燃料電池に供給する供給ガス流路を形成し、前記接合体の他方面に、燃料電池から排出された湿潤ガスを除湿する排出ガス流路を形成してなる、燃料電池用温湿度交換器。
(5)上記(4)に記載の燃料電池用温湿度交換器において、前記供給ガス流路は、前記接合体の膜側であり、前記排出ガス流路は、前記接合体の支持板側であるように前記接合体を積層してなる、燃料電池用温湿度交換器。
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の燃料電池用温湿度交換器において、前記温湿度交換口の周縁部に凸部を有する整流手段を備えた、燃料電池用温湿度交換器。
(7)温湿度交換口を有する支持板と、膜とを接合させる工程と、前記支持板および前記膜を貫通するガスマニホールド部を有する、複数の接合体を成形する工程と、前記接合体を、スペーサを介して積層させる工程と、を有する、燃料電池用温湿度交換器の製造方法。
(8)上記(7)に記載の燃料電池用温湿度交換器の製造方法において、前記スペーサは、ガスシール材である、燃料電池用温湿度交換器の製造方法。
本発明によれば、所定の性能を有する燃料電池用温湿度交換器を作成するにあたり、部品点数の削減または省スペース化の少なくとも一方に寄与しうる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
本発明の実施の形態において、まず膜と支持板とを含む接合体を作製する。
支持板は、少なくとも所望の耐熱性および耐水性を有し、薄膜状の膜との接合により機械的強度を付与することが可能であればいかなる材料を用いてもよいが、軽量化および低コスト化の観点から、好ましくは熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含み形成される。また支持板は、成形や膜との接合の容易性の観点から、平板状であることが好ましい。好適な熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができ、また好適な熱可塑性樹脂として、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PPO(ポリフェニレンオキサイド)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などを挙げることができるが、これに限らない。また支持板には、膜との接合前にあらかじめ、少なくとも図1に示すようなスリット状の開口(温湿度交換口)14を形成しておくことが好ましいが、同様に複数のマニホールド部12についても、接合体作成の前にあらかじめ開口を形成しておくことが好適である。開口14の形状は、図1に例示したものに限らないが、それぞれの開口14の幅または面積は小さく、かつ複数の開口14全体としての面積は大きくなるように設計することが好ましい。また、接触または接合による膜20の破損や破断などを防止するために、開口14を成形する際には、開口14の周縁部に、いわゆるバリやカエリなどはないことが望ましく、例えば周縁部にやや丸みを持たせる(いわゆるRカット)ことも好適である。
なお、上述した本発明の実施の形態においては、支持板は板状部材を打ち抜くまたは切り取ることにより、外枠と、開口14の仕切りとを一体として形成させた部材であるが、このような支持板に替えて、予め開口14を有するように一体成形された部材を用いてもよく、支持板の成形方法については特に問わない。つまり、支持板は、膜20と接合させる方向に貫通する複数の開口を有するとともに、すべての開口を内側に区画しつつ外郭をなす枠とが一体部材として形成されたもののような、枠と仕切りとが継ぎ目なく連続的に構成されたものであればいかなるものであってもよい。
図2に示すように、一連のシート状に成形された膜20と、図1に示す形状を有する支持板10とを接合する。膜20と支持板10との接合は、所望の条件下で剥離することなく使用することが可能であればいかなる方法によるものでもよいが、好ましくは開口部分を除く支持板10の全体または一部と、膜20とを接着または溶着により接合し一体化する。
その後、図3に示すような接合体30を、複数枚成形する。図2に示した、膜20と接合させた支持板10の外枠22を切り取りまたは打ち抜き、および膜20のマニホールド部12に相当する部分にマニホールド部12と同形状の開口を貫通させて、図3に示すような、ガスマニホールド部32a,32b,33a,33bおよび複数の温湿度交換部40を有する複数の接合体30を得る。
次に、図3に示す接合体30を積層させる。隣り合う接合体30の間にスペーサ34を介して積層させることにより、図5に示すような所定の幅を有するガス流路38を形成させることが可能となる。このときスペーサ34は、まず図4に示すように膜20側に接着または溶着させた後に次の接合体30を接着または溶着させてもよいし、また支持板10側に接着または溶着させた後に次の接合体30を接着または溶着させてもよい。さらに、スペーサ34を挟み、その両側に同時に接合体30を接着または溶着させても良く、スペーサ34の挟持の方法は問わない。スペーサ34で規定される空間36の幅は、図5に示すように複数の接合体30を積層させたときに、所望の間隔を有するガス流路38を形成するように適宜設定される。
また、図3に示すような接合体30を積層させてガス流路を形成する場合(例えば、図6を参照のこと)には、一般に積層部分やマニホールド部分近傍にガスシール材を使用し、ガスが外部に漏出したり、異なる性質を有するガスが内部で混合したりしないように設計される。より具体的には、図9に例示するような構成などによりマニホールド部分の一方のガスの開口をガスシール材でふさぐような構造にする。つまり、図9において、膜20側に低温の乾燥ガスが導入され、支持板10側に高温の湿潤ガスが導入され、温度および湿度がそれぞれ交換される場合を一例として想定する。マニホールド32aから膜20側に導入された低温乾燥ガスは、温湿度交換器内で加湿されるとともに加温された後、マニホールド32bを経由して温湿度交換器の外に排出される(図9(a)参照)。一方、マニホールド33aから支持板10側に導入された高温湿潤ガスは、温湿度交換器内で除湿されるとともに冷却された後、マニホールド33bを経由して温湿度交換器の外に排出される(図9(b)参照)。このとき、例えば図9に示すような形状となるようにガスシール材96を用いていわゆるシールラインを形成することにより、膜20側および支持板10側を流通する、それぞれ性質の異なるガスを混合させることなく、温湿度交換を行なうことが可能となる。
本実施の形態において、このガスシール材96を前述のスペーサ34として利用すると、部品点数の削減に繋がるため、好ましい。このようなスペーサ34またはガスシール材96として好ましい例としては、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、FKM(フッ素ゴム)、HNBR(水素化ニトリルゴム)、NBR(ニトリルゴム)、シリコーンゴムおよびエポキシ樹脂などを使用した、成形ガスケット、液状ガスケット、シートガスケット、接着材料、および粘着材などを挙げることができるが、その他いかなるものを使用してもよい。より具体的には、EPDM、FKM、HNBR、NBR、シリコーンなどのゴム材、上記ゴム材の芯材として樹脂または金属を用いた複合材、シリコーン系またはエポキシ系の接着剤、および上記接着剤と樹脂または金属からなるスペーサとを組み合わせたもの、などを挙げることが可能である。好適には、EPDMまたはNBRが使用される。
このように、所定枚数の接合体30を積層させることにより、所望の温湿度交換性能を有する温湿度交換器を作成することが可能となる。
図6は、本発明の実施の形態における燃料電池用温湿度交換器100の要部について、その構成の概略を示す図である。供給ガス流路32は、図3に示した供給ガスマニホールド32a,32bに連接しており、反応ガス源から燃料電池用温湿度交換器100内に導入された反応ガスを加湿および加熱し、燃料電池内部に供給する。一方、排出ガス流路33は、図3に示した排出ガスマニホールド33a,33bに連接しており、燃料電池内部から排出された排出ガスを除湿および冷却して外部に排出する。
膜20は、水蒸気、または水の状態で水分を透過することが可能であって、膜20を挟んで流れる、湿度の異なる流体間の湿度交換を行う。この膜20を備える温湿度交換部40を有する接合体30を本発明の実施の形態における燃料電池用温湿度交換器に採用することにより、図6のように排出ガス流路33中の水分が矢印42のように供給ガス流路32に移動する。このとき、供給ガス流路32を流通する被加湿ガスは加湿され、加湿ガスとなる。
また、膜20または支持板10のいずれか、または双方が熱伝導性の部材で構成されている場合には、被加湿ガスと高湿潤ガスとの温度が異なると、温度交換も同時に行うことが出来る。なお、本発明の温湿度交換器とは、温度交換または湿度交換の少なくとも一方を実現可能な装置のことをいうが、好ましくは温度交換および湿度交換を同時に実現可能なものである。
本発明の実施の形態において、燃料電池用温湿度交換器100における接合体30の積層方向は、例えば図5に示すように支持板10と膜20との接合方向が同一となるように積層させてもよいが、好ましくは図6に示したように接合体30の、支持板10と膜20との接合方向を交互に入れ替えて、供給ガス流路32を接合体30の膜20側に、排出ガス流路33を接合体30の支持板10側となるように順に積層させることが好ましい。一般に、供給ガス流路32には反応ガス源から導入された被加湿ガスが流通しており、排出ガス流路33には燃料ガス内部から排出された加湿ガスが流通しているが、被加湿ガスのガス圧は、加湿ガスのガス圧に比べ高圧となっている。このため、接合体30を図6に示すように積層させることにより、ガス圧の高い供給ガス流路60では、膜20から支持板10の方向に圧力がかかることになるため、膜20の撓みや、支持板10からの膜20の剥離を抑制または防止することが可能となる。
図7は、本発明の他の実施の形態における接合体70を、ガス流路の流れ方向に対し直交する方向に切断したものを断面視した形状の概略を示したものである。本実施の形態において、接合体70は、支持板10に替えて支持板72を使用したことを除いて接合体30の構成と同様である。
図7に示す支持板72は、図1に示した形状を有する支持板10に形成された開口14に替えて、折り曲げ部76を有する開口74を形成したものである。このような構成の接合体70を積層させて燃料電池用温湿度交換器を作成することにより、折り曲げ部76が反応ガスの案内羽根の役目を果たし、膜20面における反応ガスの最適配流を実現することが可能となる。
また、本発明の他の実施の形態において、接合体30における支持板10の表面に凸部を設けることによっても、図7に示す接合体70と同様の効果を発揮することが可能となる。また場合によっては、このように形成した凸部を、図4に示したスペーサ34として使用することも可能となる。凸部の形状は、ガス配流に悪影響を及ぼすことなく、また積層した接合体間に所定の間隔を保つことによりガス流路を形成することができればいかなる形状でもよい。また同様に、接合体30における膜20の表面に凸部を設けることも好適である。
ところで、本発明の実施の形態において好適に使用される膜20は、温湿度交換可能であるのみならず、ガス流路内を流通するガス圧に耐えうるために所定の強度が必要とされる。好ましく使用しうる膜20として、例えばフッ素系イオン交換膜や炭化水素系イオン交換膜などの各種イオン交換膜、フッ素系多孔質膜、ポリエチレン系多孔質膜などの各種樹脂多孔質膜、パルプ、カーボンまたは樹脂等の繊維質多孔質体、などを挙げることが可能であるが、これに限らず、いかなる膜を使用してもよい。これらの膜のうち、イオン交換膜が膜20としてより好適である。
また、膜20は熱伝導性も良好であることが好ましい。特に排出ガスの温度と供給ガスの温度が異なる燃料電池システムにおいては、湿度交換のみならず温度交換も同時に行うことができる。従って、排出ガスの熱と水分とを外部に排出される前に、有効に活用することができる。
本発明の実施の形態において、膜20の膜厚は、その違いによりガスの湿度及び温度の交換能力に影響する。つまり、膜厚を薄くすればするほど、交換能力は増加する反面、膜20の強度が低下してしまう。従って、約1〜約1000μm程度、好ましくは約5〜約700μm程度、さらに好ましくは約10〜約500μm程度の膜厚のものが用いられる。このとき、使用する膜20の強度に応じて、支持板10の強度および図1に示す温湿度交換口の大きさを適宜設定すればよい。
本発明の他の実施の形態において、膜20として好適に使用し得るイオン交換膜などは、実質的に細孔を有しないが、少なくとも湿度交換または温度交換が可能な膜形状であれば細孔の有無は問わない。また、本発明の他の実施の形態において、膜20として多孔質膜などの細孔を有する材料を適用する場合における好適な細孔径としては、通気の影響がガス交換に影響しない程度、例えば、通気率を約2cm2/atm・sec程度以下に制御することが望ましい。膜厚の違いにより異なるが、約2〜約10μm、好ましくは約3〜約8μm、更に好ましくは約4〜約5μm程度の細孔径を有する膜が好適に使用される。
本発明の実施の形態において、供給ガス及び排出ガスのガス圧は、どのように制御してもよいが、一般に、接合体の両面間にかかる、それぞれのガスの圧力に差があればあるほど、つまり差圧が大きいほど、湿度の交換量は増加する。一方で、差圧が大きすぎると、接合体30にかかる圧力が大きくなり、膜20の破損等の不具合を生じる恐れがある。このため、供給ガスの圧力は、排出ガスの圧力に対し0〜300kPa程度高くすることが望ましい。また、図6に示した本発明の実施の形態において、供給ガス流路32と排出ガス流路33の断面形状は、特に制限はなく、同一であってもよく、また異なってもよいが、膜厚やガス圧等の諸条件により好適に規定される。
なお、本発明の燃料電池用温湿度交換器に使用される接合体30(膜20)により交換されるものとして、ガス同士の水分及び熱の交換として説明したが、供給ガス流路32を通過するガスが加湿され、または熱を受け取ることができればよいので、排出ガス流路33を通過する物質としては気体に限らず、例えば、熱水であってもよい。
また、本発明の実施の形態の燃料電池用温湿度交換器で使用するスペーサまたはガスシール材34や外側部材60は、従来の加湿器または温湿度交換器において用いられているものをそのまま利用することができるが、更に部品点数を削減するために、支持板10と同じ材料を用いてもよい。なお、外側部材60に支持板10と同じ材料を適用する場合には、好ましくは水分やガスの透過を防ぐために、例えば外側部材10の外側に、水分を透過しない樹脂系材料を含浸させたり、コーティングを施したりといった加工を行うことが好ましい。
本発明は、温度交換または湿度交換の少なくとも一方、好ましくはその両方を実現する燃料電池用温湿度交換器として利用可能である。
10,72 支持板、12 マニホールド部、14,74 開口(温湿度交換口)、20,84 膜、22 外枠、30,70 接合体、32,90 供給ガス流路、32a,32b 供給ガスマニホールド、33,92 排出ガス流路、33a,33b 排出ガスマニホールド、34、スペーサ(ガスシール材)、36 空間、38 ガス流路、40 温湿度交換部、42,88 矢印(水分の流れ)、60 外側部材、76 折り曲げ部、80 加湿器、82 セパレータ、86 シール部材、96 ガスシール材、100 燃料電池用温湿度交換器。
Claims (8)
- 表裏に流通する流体間で湿度または温度の少なくとも一方を交換可能な膜と、前記膜を支持する支持板とを含む接合体の積層構造を有し、
隣り合う接合体間にガス流路を形成してなる燃料電池用温湿度交換器であって、
前記支持板は、前記接合体の積層方向に貫通する複数の温湿度交換口を内側に区画しつつ、外郭をなす枠が一体部材として形成されてなることを特徴とする燃料電池用温湿度交換器。 - 請求項1に記載の燃料電池用温湿度交換器において、
前記接合体を貫通するガスマニホールドを形成し、
隣り合う前記接合体の間に、所定の厚みを有するスペーサを介して積層させてなることを特徴とする燃料電池用温湿度交換器。 - 請求項2に記載の燃料電池用温湿度交換器において、
前記スペーサは、ガスシール材であることを特徴とする燃料電池用温湿度交換器。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池用温湿度交換器において、
前記接合体の一方面に、乾燥ガスを加湿し、燃料電池に供給する供給ガス流路を形成し、
前記接合体の他方面に、燃料電池から排出された湿潤ガスを除湿する排出ガス流路を形成してなることを特徴とする燃料電池用温湿度交換器。 - 請求項4に記載の燃料電池用温湿度交換器において、
前記供給ガス流路は、前記接合体の膜側であり、
前記排出ガス流路は、前記接合体の支持板側であるように前記接合体を積層してなることを特徴とする燃料電池用温湿度交換器。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の燃料電池用温湿度交換器において、
前記温湿度交換口の周縁部に凸部を有する整流手段を備えたことを特徴とする燃料電池用温湿度交換器。 - 温湿度交換口を有する支持板と、膜とを接合させる工程と、
前記支持板および前記膜を貫通するガスマニホールド部を有する、複数の接合体を成形する工程と、
前記接合体を、スペーサを介して積層させる工程と、
を有することを特徴とする燃料電池用温湿度交換器の製造方法。 - 請求項7に記載の燃料電池用温湿度交換器の製造方法において、
前記スペーサは、ガスシール材であることを特徴とする燃料電池用温湿度交換器の製造方法。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090209 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20110620 |