JP4957365B2 - 燃料電池装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池を用いて発電と熱供給を行う燃料電池装置に係り、特に加湿器の水蒸気透過膜とセパレータとのシール構造の改良技術に関するものである。
燃料電池システムでは、燃料電池において水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを反応させることにより発電と発熱を行う。燃料電池により発生した熱は、冷却水を循環させることにより搬送され、燃料電池の温度を発電に適した所定の温度範囲内に保持し、さらに冷却水の熱を給湯器などで利用することにより、燃料電池システムのエネルギー効率が向上する。また、燃料電池システムでは、必要な電力量に応じて、発電量を変化させるために、燃料ガス流量,酸化剤ガス流量および冷却水流量などを調整して運転状態を変化させる。
固体高分子型燃料電池では、電解質としてプロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜を用いるが、この固体高分子電解質膜は、湿潤状態である必要があり、乾燥状態または湿潤不足状態では、プロトン伝導性が悪化して発電性能が低下するため、燃料ガスと酸化剤ガスとの少なくとも一方を、加湿手段により加湿して、燃料電池に供給する構成としている。
前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの少なくとも一方の被加湿ガスの加湿手段としては、例えばヒータにより所定温度に加熱された温水中に被加湿ガスを通して加湿を行うバブラーがある(例えば、特許文献1参照)。
一方、水透過材料を用いて被加湿ガスと加湿ガスまたは温水との水蒸気分圧差を利用した加湿器として、被加湿ガスと燃料電池から排出されるオフガスとを保水性の多孔質体で隔て、少なくとも一方を多孔質体に接したメッシュ状の経路に導くことにより、被加湿ガスを加湿する加湿器(例えば、特許文献2参照)や、水蒸気透過膜により隔てられた経路に、被加湿ガスと、オフガスまたは燃料電池の冷却水の少なくとも一方の加湿流体とを導くことにより、被加湿ガスを加湿する加湿器(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
図10は従来の加湿器の構成を模式的に示す図、図11は従来の異なる加湿器の構成を模式的に示す図である。
前記従来の加湿手段のうち、多孔質体を用いる加湿器は、図10に示すように、前面のエンドプレート201と後面のエンドプレート202との間に、被加湿ガス用のメッシュプレート203とオフガス用のメッシュプレート204、および多孔質体205を交互に積層され、前面のエンドプレート201の上部には被加湿ガス入口マニホールド206が配設され、下部にはオフガス出口マニホールド207が配設されており、後面のエンドプレート202の上部にはオフガス入口マニホールド208が配設され、下部には被加湿ガス出口マニホールド209が配設されている構造になっている。そして、加湿手段に導入されたオフガスと被加湿ガスは、保水性の多孔質体205を介して互いに接触することにより湿熱交換が行われる構成となっている。
また、水蒸気透過膜を用いる加湿器は、図11に示すように、基本構成としてオフガス流路210と被加湿ガス流路211とが一方の水蒸気透過膜212を介して配置され、さらに被加湿ガス流路211と電池冷却水加湿流路213とが、他方の水蒸気透過膜212を挟むようにして配置され、水蒸気透過膜212を介して被加湿ガスと加湿流体が接触することにより湿熱交換を行う構成となっている。
しかし、この従来の固体高分子電解質型燃料電池の加湿器は、図12に示すように枠体300とセパレータ301との組立て上の必要性から、枠体300の内縁と水蒸気透過膜302との間に隙間303が存在することから、加湿器内に供給されたガスの一部は、この隙間303を通って排出されてしまうクロスリークといわれる現象が起きる。
また、前記水蒸気透過膜は、膜そのものであったり、膜を保護する膜で挟まれて接合されていたりする構造であって、その接合方法としては、熱圧着,接着剤,機械的クランプなどが採用されている。
特開平7−288134号公報 特開2000−164229号公報 特開2004−31073号公報
しかしながら、前記水蒸気透過膜の熱圧着または接着による接合方法では、水蒸気透過膜に熱、および接着剤の揮発成分による性能低下を招く可能性があり、使用条件が限られていた。また、前記機械的クランプによる接合方法では、水蒸気透過膜と枠体の微小な隙間からクロスリークが発生し易いという問題があった。
図12に示す構成の問題に対応して図13に示す構成では、枠体300の内縁と水蒸気透過膜302との間に、図12に示す隙間303の発生を防止するガスケット308を配置しているが、コストがかかるといった問題がある。さらに、このガスケット308を部分的に溶融させて隙間を埋めると、寸法管理が困難であるといった問題が生じる。
また、ガスケット308の内縁の一部と水蒸気透過膜302の外縁との部分的な接触では、シール効果が不十分であり、さらに、水蒸気透過膜302は、30ミクロン程度と非常に薄いため、組み立て時に水蒸気透過膜302にダメージを与えやすいといった問題もある。
本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、加湿器の水蒸気透過膜と枠体間の隙間をガスが抜けるクロスリーク現象を効果的に抑制することができ、かつ加湿ガスと被加湿ガスのそれぞれの利用率を一層向上させることができ、高分子電解質型燃料電池の性能をより改善することができる燃料電池装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、水素を含む燃料ガスと、酸素を含む酸化剤ガスとを用いて発電を行う燃料電池と、該燃料電池に供給される前記燃料ガスまたは前記酸化剤ガスの少なくとも一方の被加湿ガスを順次加湿する加湿器とを備え、前記加湿器は、前記燃料電池から排出される排燃料ガスまたは排酸化剤ガスの少なくとも一方の加湿ガスと前記被加湿ガスとを、ガス通路を有する支持部材で保持された水蒸気透過膜を介して配置され、かつ前記水蒸気透過膜と前記燃料ガスおよび前記酸化剤ガスを供給するガス供給部を具備した枠体とにより構成される水蒸気透過膜−枠接合体と、該水蒸気透過膜−枠接合体を前記被加湿ガス側および前記加湿ガス側から挟む一対のセパレータとにより構成される単加湿器を積層する構成とし、前記枠体の内縁に弾性体を設け、該弾性体を、前記枠体に一体に接合し、かつ前記単加湿器の組立て後の前記水蒸気透過膜−枠接合体と前記セパレータとの間隔寸法以上の長さにし、該弾性体が前記単加湿器の組立て後に前記水蒸気透過膜−枠接合体の厚み方向に弾性変形して前記水蒸気透過膜−枠接合体と前記セパレータとの間を密着封止すると共に、前記弾性体に、前記セパレータと接触して弾性変形可能な複数のリブを設けて、前記単加湿器の組立て後に前記リブが前記水蒸気透過膜−枠接合体の厚み方向に対して交差する方向に弾性変形可能にしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の燃料電池装置において、複数のリブの間にリブが弾性変形した部分および弾性体が弾性変形した部分の逃げ込む凹部を備え、弾性体が弾性変形した部分およびリブが弾性変形した部分を凹部内に延出可能にしたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の燃料電池装置において、弾性体を、ガス供給部近傍において、単加湿器の組立て後の水蒸気透過膜−枠接合体とセパレータとの間隔寸法未満の長さとし、弾性体とセパレータとの間にガス供給用の空間を形成したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の燃料電池装置において、弾性体を、水蒸気透過膜−枠接合体の被加湿ガス側または加湿ガス側の一方側のみに配置し、水蒸気透過膜−枠接合体の他方側には、枠体を内縁方向の中心側に向けて延在してセパレータの積層時に弾性体の圧縮圧を受ける延長部を設けたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の燃料電池装置において、弾性体を、水蒸気透過膜−枠接合体の被加湿ガス側と加湿ガス側とのそれぞれに配置し、かつ被加湿ガス側の弾性体の位置と加湿ガス側の弾性体の位置とを相互にずらせて配置したことを特徴とする。
本発明によれば、水蒸気透過膜などを保持する枠体の内側の縁部に、例えば平面的には枠状の加湿ガス側弾性体と平面的には枠状の被加湿ガス側弾性体と、所定間隔毎に多数配置された加湿ガス側リブと被加湿ガス側リブとをそれぞれ備えるようにしている。このようにすれば、単加湿器の組立時に、枠体と加湿ガス側セパレータとの間で加湿ガス側弾性体と加湿ガス側リブとをそれぞれ弾性変形させ、弾性変形した部分が、例えば隣接する加湿ガス側リブとの間の空間にそれぞれ入り込み、弾性変形した加湿ガス側弾性体と弾性変形した加湿ガス側リブがほぼ連続的に枠体と加湿ガス側セパレータとの間に密着接触して封止することにより、シール効果を奏することができる。
また、被加湿ガス側でも同様に、単加湿器の組立時に、枠体と被加湿ガス側セパレータとの間で被加湿ガス側弾性体と被加湿ガス側リブとをそれぞれ弾性変形させ、弾性変形した部分が、例えば隣接する被加湿ガス側リブとの間の空間にそれぞれ入り込み、弾性変形した被加湿ガス側弾性体と弾性変形した被加湿ガス側リブがほぼ連続的に枠体と被加湿ガス側セパレータとの間に密着接触して封止することにより、シール効果を奏することができる。
この結果、弾性変形した加湿ガス側弾性体と、弾性変形した加湿ガス側リブと、弾性変形した被加湿ガス側弾性体と、弾性変形した被加湿ガス側リブとにより枠体と加湿ガス側セパレータおよび被加湿ガス側セパレータとの間がそれぞれ密着封止されて、水蒸気透過膜と枠体間の隙間をガスが抜けるクロスリーク現象を効果的に抑制することができ、かつ枠体の縁部沿いの加湿ガスの短絡的な流れ、および枠体の縁部沿いの被加湿ガスの短絡的な流れをそれぞれ抑制することができて、加湿ガスと被加湿ガスのそれぞれの利用率を一層向上させることができ、高分子電解質型燃料電池の性能をより改善することができる。
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る燃料電池用スタック(以降、スタックという)を備える燃料電池装置の構成を模式的に示す構成図、図2は図1に示す第1実施形態が備える空気加湿器および燃料ガス加湿器の構成を模式的に示す分解図であって、空気加湿器と燃料ガス加湿器の構造はほぼ同じ構造である。
本実施形態において、燃料電池101は、例えば固体高分子電解質型燃料電池であって、水素を含有する燃料ガスと、空気など酸素を含有する酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることで、電力,熱および水を同時に発生させるものである。
図1に示すように、燃料電池101には、アノードおよびカソードの一対の極を備える燃料電池セル(あるいは単セル)が複数個直列に接続された積層構造を有するスタック119と、燃料ガスから水素を取り出す燃料処理装置124と、燃料処理装置124にて取り出された水素を含む燃料ガスを加湿することで発電効率を向上させる燃料ガス加湿器125と、酸素含有ガス(酸化剤ガス)に対して加湿を行う第1の加湿器121aと第2の加湿器121bからなる空気加湿装置121と、燃料ガスと酸素含有ガスとをそれぞれ供給するための燃料供給装置123と、空気供給装置120とが備えられている。
すなわち、燃料処理装置124、燃料ガス加湿器125および燃料供給装置123により、燃料ガスをスタック119の各セルに供給する燃料供給部が構成されており、また、空気加湿装置121と空気供給装置120とにより、酸化剤ガスをスタック119の各セルに供給する酸化剤供給部が構成されている。
このような燃料供給部や酸化剤供給部は、燃料や酸化剤の供給を行う機能を備えていれば、その他の各種の形態を採用し得るが、本実施形態においては、スタック119が備えている複数のセルに対して、共通して加湿した燃料や酸化剤を供給する供給装置であれば、後述する本実施形態の効果を好適に得ることができる。
また、燃料電池101には、発電の際にスタック119にて発生する熱を効率的に除去するため、冷却水を循環供給するための冷却水ポンプ128と、この冷却水(例えば、導電性を有さない液体、例えば純水が用いられる)により除去された熱を、水道水などの流体に熱交換するための熱交換器126と、熱交換された水道水を貯留させる貯湯タンク129とが備えられている。なお、図1中の127は冷却水タンク、130は空気フィルタ、142は貯湯水ポンプを示す。
図2に示すように、本燃料電池101が具備する空気加湿装置121と燃料ガス加湿器125の構造は、ほぼ同じ構造をしており、基本単位構成である単加湿器20を複数個積層し、端板23で両側から所定の荷重で締結して構成されている。それぞれの端板23は、複数枚積層された単加湿器20を図示しない加圧手段によって所定の荷重で締結して保持している。また、それぞれの端板23は、ガスや冷却水の導入口,排出口(図示せず)が設けられている場合もある。
図2に示すように、単加湿器20は、水蒸気透過膜1aを一対のセパレータ5a,5bで挟み込むようにして構成されている。水蒸気透過膜1aは、薄くて伝熱性能がよく、ガスシール性に優れた、厚さ15μmから30μmのフッ素樹脂系イオン交換膜(ジャパンゴアテックス社製Gore−select)を用いるものとする。
セパレータ5a,5bは、ガス不透過性の材料であればよく、例えば熱伝導性に優れた樹脂含浸カーボン材料を所定の形状に切削したもの、カーボン粉末と樹脂材料の混合物を成形したものや、吸湿性の少ない樹脂材料が一般的に用いられる。セパレータ5a,5bにおける水蒸気透過膜15の湿度交換部分には凹部が形成されている。
図3は本実施形態における前記単加湿器の一例の構成図であって、図3(a)は分解断面図、図3(b)は組立時の断面図である。
単加湿器20は、水蒸気透過膜1aと、加湿部の周縁部に置かれかつ加湿側に加湿流体および被加湿側に燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給するガス供給部(後述する)を具備した枠体2とにより構成される水蒸気透過膜−枠接合体15と、水蒸気透過膜−枠接合体15を加湿側および被加湿側から挟む一対のセパレータ5a,5bとにより構成され、この単加湿器20を積層して燃料電池用加湿器を構成するようにしている。
枠体2を構成する熱可塑性樹脂は、加湿器の運転温度以下において、化学的に清浄かつ安定であって、適度の弾性率と比較的高い加重たわみ温度を有する。具体的には枠体2は化学的安定性の観点から、非晶性樹脂ではなく結晶性樹脂で構成されることが好ましく、その中でも機械的強度が大きくかつ耐熱性の高い材料が好ましい。
例えば、いわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックグレードのものが好適であり、ポリフェニレンサルファイド(PPS),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),結晶ポリマー(LCP)ポリエーテルニトリル(PEN)などが例示できる。これらは、数千から数万MPaの圧縮弾性率と、150℃以上の撓み荷重温度を有しており好適な材料である。また、汎用されている樹脂材料であっても、例えば、ガラスフィラーが充填されたポリプロピレン(GFPP)などは、非充填のポリプロピレン(圧縮弾性率1000〜1500MPa)の数倍の弾性率を有し、かつ150℃近い撓み荷重温度を有しており、好適に使用できる。本実施形態においては、熱可塑性樹脂であるガラスフィラー添加ポリプロピレン(出光石油化学株式会社R350G)を用いている。
また、枠体2には、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを2色成形することによりガスケット3a,3bを形成する。この熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーは、加湿器の運転条件下において化学的に安定で、特に加水分解をおこさないなど耐熱水性を有する。例えば、ガスケットの圧縮弾性率は200MPa以下であることが好ましい。好適な材料は、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブチレン,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリビニルアルコール,ポリアクリルアミド,ポリアミド,ポリカーボネート,ポリアセタール,ポリウレタン,シリコーン,フッ素樹脂,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート,シンジオタクチック・ポリスチレン,ポリフェニレンサルファイド,ポリエーテルエーテルケトン,ポリスルホン,ポリエーテルサルホン,ポリアリレート,ポリアミドイミド,ポリエーテルイミド、および熱可塑性ポリイミドなどからなる群より選ばれる。これによって、加湿器の締結荷重において良好なシール性を確保することができる。本実施形態においては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーであるサントプレン8201−60(Advanced Elasotomer System社製)を用いている。
前記構成において、例えば、水蒸気透過膜1aは、枠体2の水蒸気透過膜挿入用スリット2aに挿入して挟持させることにより機械的に接合されている。
なお、後述する弾性体を設けない場合の単加湿器組立後の状態(図示せず)では、水蒸気透過膜1aの有効加湿部加湿側の外縁と被加湿側の外縁のそれぞれと、枠体2の内縁2b,2cとの間には0.1mm〜10mmの範囲で隙間がある。
すなわち、図3(a)のように、枠体2の加湿側の内縁2bに接触するように平面的には矩形枠状で断面的には矩形(図4(a),(b)の拡大図では大略平行四辺形)の加湿側弾性体4aを配置し、この加湿側弾性体4aを枠体2と成形時に一体化させる。また、枠体2の被加湿側の内縁2cに接触するように平面的には矩形枠状で断面的には矩形(図4(a),(b)の拡大図では大略平行四辺形)の被加湿側弾性体4bを配置し、この被加湿側弾性体4bを枠体2と成形時に一体化させる。これらの弾性体4a,4bは、この場合、水蒸気透過膜1aには、それぞれ当接することにより機械的に接合しているだけで、接着している必要はない。
このように弾性体4a,4bを設けた状態で、セパレータ5a,5bを枠体2に積層して組み立てるとき、枠体2の枠体組立面9とセパレータ5a,5bのそれぞれのセパレータ組立面10とはそれぞれ接近することになるが、このとき、枠体2とセパレータ5a,5bとの隙間7よりも、弾性体4a,4bとセパレータ5a,5bとの対向面間の隙間8を小さく設定するように、弾性体4a,4bを設けている。
このように構成することにより、図3(b)に示す組立時に、枠体2の枠体組立面9とセパレータ5a,5bのそれぞれのセパレータ組立面10とが、それぞれ最接近位置に位置する前に、弾性体4a,4bが、セパレータ5a,5bにそれぞれ確実に接触して、弾性変形を開始することになる。そして、組立完成後、言い換えれば、枠体2の枠体組立面9とセパレータ5a,5bのそれぞれのセパレータ組立面10とが、それぞれ最接近位置に位置した後は、図3(b)に示すように、弾性体4a,4bがセパレータ5a,5bにより押圧されて、それぞれ弾性変形した状態となり、弾性体4a,4bがセパレータ5a,5b側からそれぞれ圧縮力を受けることになる。
弾性体4a,4bの内縁は、セパレータ5a,5bを枠体2に積層して組み立てるとき、これらの弾性体4a,4bがセパレータ5a,5bに接触しても、弾性体4a,4bの弾性力によりセパレータ5a,5bが破損する可能性が低いため、セパレータ5a,5bと弾性体4a,4bとの隙間6は、従来の弾性体が無かったときよりも狭く設定することができる。場合によっては、前記隙間6の距離がゼロでも弾性体4a,4bがあるため問題はない。
また、図4(a),(b)に示すように、弾性体4a,4bの全周に形成された加湿側傾斜面と被加湿側傾斜面に、被加湿側リブ4dと加湿側リブ4eとをそれぞれ突設するようにしている。各リブ4d,4eは、前記したそれぞれの傾斜面に所定間隔毎に一体的に突起として形成している。これらのリブ4d,4eは、図4(c),(d)に示すように、単加湿器組立時に、加湿側傾斜面と被加湿側傾斜面と大略平行なセパレータ5a,5bの傾斜面5f,5gにより、それぞれ圧縮されて弾性変形することによって、セパレータ5a,5bに密着してガスリークを防止しようとするものである。
それぞれのリブ4d,4eが圧縮されて弾性変形するときの弾性変形した部分は、隣接する被加湿側リブ4dと加湿側リブ4eとの間の被加湿側凹部(圧縮体積逃がし部)4f、または隣接する加湿側リブ4eと加湿側リブ4eとの間の加湿側凹部(圧縮体積逃がし部)4g内にそれぞれ逃げるようにしている。
これらの凹部4f,4gは、図4(e)に示すように、単加湿器組立時にセパレータ5a,5bにより、被加湿側弾性体4aと加湿側弾性体4bがそれぞれ、例えば0.1mmだけ圧縮可能に設定されるとともに、被加湿側リブ4dと加湿側リブ4eが、それぞれ、例えば0.05mmだけ圧縮可能に設定されている。
そして、加湿側凹部4fの総体積は、平面的に矩形枠状の加湿側弾性体4bの全周の体積と、加湿側弾性体4bの長手方向沿いに一定ピッチ間隔で設けられたリブ4eの総体積との総和にほぼ相当するように設定する。これは、言い換えると、単加湿器組立時に、セパレータ5bと枠体2の縁部との間で圧縮されて弾性変形するとき、加湿側弾性体4bの弾性変形した部分と、リブ4eが弾性変形した部分が共に加湿側凹部4g内に入り込むことにより、加湿側凹部4gがほぼ隙間なく弾性変形部分で満たされてシールされることを意味する。
同様に、被加湿側凹部4fの総体積は、平面的に矩形枠状の被加湿側弾性体4aの全周の体積と、被加湿側弾性体4aの長手方向沿いに一定ピッチ間隔で設けられたリブ4dの総体積との総和にほぼ相当するように設定する。これは、言い換えると、単加湿器組立時に、セパレータ5aと枠体2の縁部との間で圧縮されて弾性変形するとき、被加湿側弾性体4aの弾性変形した部分と、リブ4dが弾性変形した部分が共に被加湿側凹部4f内に入り込むことにより、被加湿側凹部4fgがほぼ隙間なく弾性変形部分で満たされてシールされることを意味する。このように設定することによって、セパレータ組立後に、凹部4f,4gの隙間が無くなり、ガスリークを効果的に防止することができる。
加湿側凹部4gの底面と被加湿側凹部4fの底面は、それぞれ弾性体4a,4bの加湿側傾斜面と被加湿側傾斜面となっている。
なお、枠体2には、図5(a)〜(c)に示すように、それぞれ少なくとも各一対の被加湿ガス用マニホールド孔15a,加湿流体用マニホールド孔15b,加熱温水用マニホールド孔15cが設けられ、また、単加湿器20同士を締結するボルト(図示せず)を貫通させるための複数個の貫通孔16を有している。
枠体2の一対の加湿流体用マニホールド孔15bからは加湿側の水蒸気透過膜に加湿流体を供給して排出する。枠体2の一対の被加湿ガス用マニホールド孔15aから被加湿側の水蒸気透過膜に被加湿ガスを供給して排出する。また、隣接する単加湿器20同士のセパレータ5a,5bの互いに対向する背面間には、一対の加熱温水用マニホールド孔15cから加熱温水を供給して排出する。
枠体2は、さらに、加湿側の表面である枠体組立面9に、加湿流体用マニホールド孔15bおよび加湿流体流路2yを含み、かつ加湿側の水蒸気透過膜において加湿ガスが通過する全領域を囲むガスケット3bを、平面的には矩形枠状で断面的には半円形状の凸部となるように形成している。
また、枠体2の被加湿側の水蒸気透過膜が位置する側の表面である枠体組立面9に、被加湿ガス用マニホールド孔15aおよび被加湿ガス流路2xを含み、かつ被加湿側の水蒸気透過膜において被加湿ガスが通過する全領域を囲むガスケット3aを、平面的には矩形枠状で断面的には半円形状の凸部となるように形成している。
また、各ガスケット3aおよび3bにおいて、前記それぞれのガスが通過する領域とは隔離して加熱流体用マニホールド孔15cのみを囲むようにしている。よって、単加湿器組立後には、ガスケット3a,3bがセパレータ5a,5bのセパレータ組立て面10に設けられた凹部5d,5e内にそれぞれ挿入され、当接して弾性変形することにより、加湿側と被加湿側とで、それぞれ独立して被加湿ガスおよび加湿流体のリーク並びに加熱温水のリークを防止するようにしている。
また、図6に示すように、水蒸気透過膜1aの加湿側の水蒸気透過膜面において、加湿流体用マニホールド孔15bから加湿側の水蒸気透過膜側へのガス流路19は、枠状の加湿側弾性体4bのうちの一部であって、かつ枠体2のガス流路部2yに相当するガス流路部分4b−1を、枠体2の厚さと同じ程度に低くし、かつ、この加湿側弾性体4bのガス流路部分4b−1に対向する加湿側セパレータ5bのガス流路部には、ガス流路部用凹部5b−1(図6で符号5b−1で示された平行四辺形の斜線部分の凹部)を形成している。よって、単加湿器組立後には、加湿側弾性体4bのガス流路部分4b−1と加湿側セパレータ5bとの間には、ガス供給用の空間を確実に形成することができる。なお、加湿側弾性体4bのガス流路部分4b−1の近傍には加湿側リブ4eは設けないようにして、ガス流路を確保するようにすることが好ましい。
また、被加湿側も同様な構造であって、水蒸気透過膜15の被加湿側の水蒸気透過膜の面において、被加湿ガス用マニホールド孔15aより被加湿側の水蒸気透過膜側へのガス流路19は、枠状の被加湿側弾性体4aのうちの一部であって、かつ枠体2のガス流路部2xに相当するガス流路部分4a−1(前記ガス流路部分4b−1と同様な部分)を、枠体2の厚さと同じ程度に低くし、かつ、この被加湿側弾性体4aのガス流路部分4a−1に対向する被加湿側セパレータ5aのガス流路部には、ガス流路部用凹部(図6のガス流路部用凹部5b−1と同様な部分であって、図示せず)を形成している。
よって、単加湿器組立後には、被加湿側弾性体4aのガス流路部分4a−1と被加湿側セパレータ5aとの間には、ガス供給用の空間を確実に形成することができる。なお、被加湿側弾性体4aのガス流路部分4a−1の近傍には被加湿側リブ4dは設けないようにして、ガス流路を確保するようにすることが好ましい。
前記弾性体4a,4bおよび前記リブ4d,4eの材料の一例としては熱可塑性エラストマーが好ましい。
なお、弾性体,リブ,ガスケットの具体的な材料の例としては、AESジャパン製のサントプレーン(登録商標)の8201−60挙げられる。また、弾性体およびリブにおいて、弾性変形をそれぞれ確実に行わせるための条件としては、JIS K 6253で規定されているA50〜A90またはD37〜D60の弾性を有すればよい。
枠体2の具体的な材料の例としては、株式会社プライムポリマーのR−250Gまたは350Gであり、セパレータ5a,5bの具体的な材料の例としては、外寸120mm×120mm、厚み3.0mmの樹脂含浸黒鉛板(東海カーボン(株)製グラッシーカーボン)、大日本インキのPPS(2140−B2)、株式会社プライムポリマーのR−250Gまたは350Gが挙げられる。
単加湿器20の組立時にセパレータ5a,5bが水蒸気透過膜−枠接合体15に積層されると、図3(b),図4(c),図4(d)に示すように、弾性体4a,4bとリブ4d,4eは、セパレータ5a,5bによってそれぞれ圧縮される。この結果、弾性体4a,4bの圧縮力により水蒸気透過膜1aを、水蒸気透過膜1aの厚み方向沿いに加圧するため、水蒸気透過膜1aと弾性体4a,4bは接着していなくとも、この加圧力と弾性体4a,4bの弾力で、弾性体4a,4bと水蒸気透過膜1aの隙間12(図3(a)参照)は確実に封止される。
また、セパレータ5a,5bと枠体2との間における弾性体4a,4bとリブ4d,4eの弾性変形により、水蒸気透過膜1aの有効加湿範囲の外縁のそれぞれと枠体2の内縁との間の隙間6(図3(a)参照)も図12の従来例よりも大幅に小さく、すなわち隙間6の空間を大幅に小さくすることができるか、隙間6を無くすことができる。
したがって、本第1実施形態によれば、水蒸気透過膜1aなどを保持する枠体2の内側の縁部に、平面的には枠状の被加湿側弾性体4aと平面的には枠状の加湿側弾性体4bと、所定間隔毎に多数配置された被加湿側リブ4dと加湿側リブ4eとを、それぞれ備えるようにしたので、単加湿器20の組立時に、枠体2と被加湿側セパレータ5aとの間で被加湿側弾性体4aと被加湿側リブ4dとを、それぞれ水蒸気透過膜−枠接合体15の厚み方向に対して交差する方向に弾性変形させ、弾性変形した部分が、隣接する被加湿側リブ4d間の空間である被加湿側凹部(圧縮体積逃がし部)4f内にそれぞれ入り込み、弾性変形した被加湿側弾性体4aと弾性変形した被加湿側リブ4dが、ほぼ連続的に枠体2と被加湿側セパレータ5aとの間に密着接触して封止することにより、シール効果を奏することができる。
また、加湿側でも同様に、単加湿器20の組立時に、枠体2と加湿側セパレータ5bとの間で加湿側弾性体4bと加湿側リブ4eとをそれぞれ弾性変形させ、弾性変形した部分が、隣接する加湿側リブ4eとの間の空間である加湿側凹部(圧縮体積逃がし部)4g内にそれぞれ入り込み、弾性変形した加湿側弾性体4bと弾性変形した加湿側リブ4eがほぼ連続的に枠体2と加湿側セパレータ5bとの間に密着接触して封止することにより、シール効果を奏することができる。
この結果、弾性変形した被加湿側弾性体4aと弾性変形した被加湿側リブ4dと弾性変形した加湿側弾性体4bと弾性変形した加湿側リブ4eとにより枠体2と被加湿側セパレータ5aおよび加湿側セパレータ5bの間がそれぞれ密着封止されて、水蒸気透過膜1aと枠体2との間の隙間12を抜けるクロスリーク現象(従来例において、図5(a)に矢印18で示すようなクロスリークが発生する現象)を効果的に抑制することができ、かつ、図3(a)に示す枠体2の縁部沿いの被加湿ガス(還元剤ガス)11aの短絡的な流れ、および枠体2の縁部沿いの加湿ガス(酸化剤ガス)11bの短絡的な流れを、それぞれ抑制することができて、被加湿ガス11aと加湿流体11bのそれぞれの利用率を一層向上させることができ、高分子電解質型燃料電池用加湿器の性能をより改善することができる。
(第2実施形態)
図7は本発明の第2実施形態の燃料電池装置における単加湿器の構成図であって、図7(a)は分解断面図、図7(b)は組立時の断面図である。
第2実施形態においては、前記第1実施形態における単加湿器のように、被加湿側セパレータ5aの傾斜面5fと加湿側セパレータ5bの傾斜面5gとを、平面的に全周枠状に設けるのではなく、部分的に設けるようにしたものである。
第1実施形態では、弾性体4a,4bの被加湿側傾斜面と加湿側傾斜面を、被加湿側凹部4fの底面と加湿側凹部4gの底面としたが、これに限られるものでなく、被加湿側リブ4dの表面と加湿側リブ4eの表面として捉えてもよい。また、被加湿側凹部4fの底面と加湿側凹部4gの底面、または被加湿側リブ4dの表面と加湿側リブ4eの表面は、それぞれセパレータ5a,5bの傾斜面5f,5gと大略平行に形成するものに限らず、多少傾斜角度が異なってもよく、要するに単加湿器組立時に、被加湿側リブ4dと加湿側リブ4eの弾性変形による密着封止効果を奏することができればよい。
このように設定すると、水蒸気透過膜−枠接合体15とセパレータ5a,5bの積層時に、弾性体4a,4bの上面だけでなく、弾性体4a,4bの傾斜面側でも被加湿側リブ4dと加湿側リブ4eにより安定して密着封止することができるため、被加湿ガス11aおよび加湿流体11bのそれぞれの遮断性が一層向上することになる。また、これらの傾斜面は単加湿器積層組立時に、水蒸気透過膜−枠接合体15とセパレータ5a,5bとの相対的な位置決めを容易にするなどのガイドの機能も果たすことができ、組立性を向上させることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
例えば、図7(a),(b)に示すように、水蒸気透過膜1aにおいて、弾性体4a,4bにて成形一体化される範囲以上に、水蒸気透過膜1aを保護するために、さらに一層の補強膜13があっても、同様の効果が得られる。
また、他の変形例としては、前記各実施形態において、被加湿側弾性体4aと加湿側弾性体4bが配置された部分では、この弾性変形効果によって、ガスケット3a,3bと同様なガスのシール効果が得られ、被加湿ガス11aおよび加湿流体11bが、それぞれシールされるため、外周にガスケット3a,3bを配置しない構造も可能となる。
また、他の変形例としては、前記各実施形態において、図8に示すように、前記実施形態の弾性体4aまたは4bと同様な弾性体4hを、被加湿側または加湿側の片方にのみ、全周あるいは部分的に配置し、他方にはセパレータ5a,5bの積層時の弾性体4hの圧縮圧を受けるために、枠体2を内縁方向の中心側に向けて延長した延長部2hを形成するようにしてもよい。このように弾性体4hは、片方だけでも相応の効果が得られるとともに、水蒸気透過膜−枠接合体15の被加湿側又は前記加湿側の一方側にのみ弾性体4hを配置すればよいので、製造上、容易になる。
また、他の変形例としては、前記各実施形態において、図9に示すように、弾性体4a,4bを、水蒸気透過膜−枠接合体15の被加湿側と加湿側とで相互に設置位置をずらすようにしてもよい。このようにすることにより、一体化成形時の成形圧力を受け易くし、成形時の成形圧力に対する弾性体4a,4bのそれぞれの耐変形強度を小さくすることができて、単加湿器20の設計自由度を高めることができる。この場合の弾性体4b,4cも、全周あるいは部分的に配置するようにしてもよい。
(実施例1)
前記第1実施形態に係る燃料電池用加湿器について、実施例1にてより具体的に説明する。
図7および図5において、水蒸気透過膜1aは、水分を選択的に透過させる膜であり、例えばフッ素樹脂系の高分子電解質膜が用いられる。本例では、30μmの厚さのGORE社製LC−01を用いトムソン型により打ち抜いて形成した。この水蒸気透過膜1aをインサート部品として、グラスファイバー添加ポリプロピレン(例えば、株式会社プライムポリマーのR350G)を用いて、枠体2を樹脂成形により形成した。
このようにして形成した枠体2には、図5に示すように、少なくとも各一対の被加湿ガス用マニホールド孔15a,加湿流体用マニルド孔15b,加熱流体用マニホールド孔15cが設けられ、また単加湿器を締結するボルトを貫通させるための複数個の貫通孔16を形成する。
枠体2は、加湿側の水蒸気透過膜の表面である枠体組立面9に、加湿流体用マニホールド孔15bおよび加湿流体流路2yを含み、かつ加湿側の水蒸気透過膜において加湿流体が通過する全領域を囲むと共に、加熱流体用マニホールド孔15cを囲むガスケット3bを有している。さらに枠体2は、被加湿側の水蒸気透過膜の表面である枠体組立面9に、被加湿ガス用マニホールド孔15aおよび被加湿ガス流路2xを含み、かつ被加湿側の水蒸気透過膜において被加湿ガスが通過する全領域を囲むと共に、加熱流体用マニホールド孔15cを囲むガスケット3bを同様に有している。
また、被加湿側の水蒸気透過膜および加湿側の水蒸気透過膜の両面において、被加湿ガス用マニホールド孔15aおよび加湿流体用マニホールド孔15bよりそれぞれの水蒸気透過膜側へのガス流路19は、図6に示すように、枠状の弾性体4a,4bのうちの一部であって、かつ枠体2のガス流路部2x,2yに相当するガス流路部分4a−1,4b−1をを、枠体2の厚さと同じ程度に低くし、かつ、この弾性体4a,4bのガス流路部分4a−1,4b−1に対向するセパレータ5a,5bのガス流路部には、ガス流路部用凹部5a−1(図示せず),5b−1を形成して、ガス流路方向に補強のためのリブ4d,4eを設けた。
本実施例では、図6に示す各電極1b,1cの外縁は、120mm角で厚さは0.5mm、枠体2は厚さ2mmで内縁は125mm角とした。そして、この枠体2の内縁の間に、熱可塑性エラストマーを成形することにより、水蒸気透過膜1aと枠体2を一体化した。弾性体4a,4bとしては熱可塑性エラストマーを使用し、初期厚さ2.2mmで、セパレータ5a,5bにて、弾性体4a,4bのセパレータ5a,5bへの接合面を枠体2と同一面に設定することで、積層時の弾性体圧縮量は、被加湿側と加湿側とを各々0.10mmに設定した。
弾性体4a,4bの内縁側の水蒸気透過膜面側への傾斜面としては、水蒸気透過膜1aに対する直交方向に対して、30度だけ傾斜するように形成した。
以上のように製作した水蒸気透過膜−枠接合体15を被加湿側用セパレータ5aと加湿側用セパレータ5bで両側から挟み込むことにより、単加湿器20とした。
このような単加湿器20を10セル積層して、積層した10セルの両端部を、図2に示す樹脂製の端板23と締結ロッドで固定し、加湿流体と被加湿ガスを通じ、加熱温水を循環して加湿試験を行った結果、弾性体無しの場合に比較し、ガス利用率を6%向上させることができた。
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明に係る燃料電池装置における加湿器は、水蒸気透過膜と枠体との間の隙間を抜けるクロスリーク現象を効果的に抑制することができ、かつ、被加湿ガスと加湿流体のそれぞれの利用率を一層向上させることができ、高分子電解質型燃料電池用加湿器の性能をより改善することができる燃料電池用加湿器として有用である。
本発明の第1実施形態に係るスタックを備える燃料電池装置の構成を模式的に示す構成図 図1に示す第1実施形態が備える空気加湿器および燃料ガス加湿器の構成を模式的に示す分解図 第1実施形態における単加湿器の構成図であって、(a)は分解断面図、(b)は組立時の断面図 第1実施形態における単加湿器の要部を拡大して示す図であって、(a)は一部透視した状態での斜視図、(b)は一部拡大断面模式図、(c)は一部透視した状態での斜視図、(d)は一部拡大断面模式図、(e)は弾性体付近の拡大断面模式図、 第1実施形態における単加湿器の枠体を示す図であって、(a)は枠体の平面図、(b)は枠体の被加湿側の表面の正面図、(c)は枠体の加湿側の表面の正面図 第1実施形態における単加湿器のガス流路部分の概略断面図 本発明の第2実施形態における単加湿器の構成図であって、(a)は分解断面図、(b)は組立時の断面図 第1,第2実施形態の変形例を説明するための概略断面図 第1,第2実施形態の他の変形例を説明するための概略断面図 従来の加湿器の構成を示す模式図 従来の他の加湿器の構成を示す模式図 従来例の固体高分子電解質型燃料電池用加湿器における水蒸気透過膜−接合体とセパレータの分解断面図 従来例の固体高分子電解質型燃料電池用加湿器における水蒸気透過膜−接合体の断面図
符号の説明
1a 水蒸気透過膜
2 枠体
2h 延長部
2x,2y ガス供給部
3a,3b ガスケット
4a 被加湿側弾性体
4a−1 ガス流路部分
4b 加湿側弾性体
4b−1 ガス流路部分
4d 被加湿側リブ
4e 加湿側リブ
4f 被加湿側凹部(圧縮体積逃がし部)
4g 加湿側凹部(圧縮体積逃がし部)
4h 片側の弾性体
5a 被加湿側セパレータ
5b 加湿側セパレータ
5d 被加湿側セパレータの凹部
5e 加湿側セパレータの凹部
5f 被加湿側セパレータ傾斜面
5g 加湿側セパレータの傾斜面
6 加湿有効範囲の外縁と枠体の内縁との隙間
7 隙間
8 弾性体とセパレータとの隙間
9 枠体組立面
10 セパレータ組立面
11a 還元剤ガス(被加湿ガス)
11b 酸化剤ガス(加湿ガス)
12 弾性体と高分子電解質膜との隙間
13 補強膜
15 水蒸気透過膜−枠接合体
15a 被加湿ガス用マニホールド孔
15b 加湿流体用マニホールド孔
15c 加熱温水用マニホールド孔
16 貫通孔
18 クロスリーク
19 ガス流路
20 単加湿器
119 スタック
120 空気供給装置
121 空気加湿装置
121a 第1の加湿器
121b 第2の加湿器
122 酸化剤供給装置
124 燃料処理装置
125 燃料ガス加湿器
126 熱交換器
127 冷却水タンク
128 冷却水ポンプ
129 貯湯タンク
130 空気フィルタ
142 貯湯水ポンプ

Claims (5)

  1. 水素を含む燃料ガスと、酸素を含む酸化剤ガスとを用いて発電を行う燃料電池と、該燃料電池に供給される前記燃料ガスまたは前記酸化剤ガスの少なくとも一方の被加湿ガスを順次加湿する加湿器とを備え、
    前記加湿器は、前記燃料電池から排出される排燃料ガスまたは排酸化剤ガスの少なくとも一方の加湿ガスと前記被加湿ガスとを、ガス通路を有する支持部材で保持された水蒸気透過膜を介して配置され、かつ前記水蒸気透過膜と前記燃料ガスおよび前記酸化剤ガスを供給するガス供給部を具備した枠体とにより構成される水蒸気透過膜−枠接合体と、該水蒸気透過膜−枠接合体を前記被加湿ガス側および前記加湿ガス側から挟む一対のセパレータとにより構成される単加湿器を積層する構成とし、
    前記枠体の内縁に弾性体を設け、該弾性体を、前記枠体に一体に接合し、かつ前記単加湿器の組立て後の前記水蒸気透過膜−枠接合体と前記セパレータとの間隔寸法以上の長さにし、該弾性体が前記単加湿器の組立て後に前記水蒸気透過膜−枠接合体の厚み方向に弾性変形して前記水蒸気透過膜−枠接合体と前記セパレータとの間を密着封止すると共に、
    前記弾性体に、前記セパレータと接触して弾性変形可能な複数のリブを設けて、前記単加湿器の組立て後に前記リブが前記水蒸気透過膜−枠接合体の厚み方向に対して交差する方向に弾性変形可能にしたことを特徴とする燃料電池装置。
  2. 前記複数のリブの間に前記リブが弾性変形した部分および前記弾性体が弾性変形した部分の逃げ込む凹部を備え、前記弾性体が弾性変形した部分および前記リブが弾性変形した部分を前記凹部内に延出可能にしたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
  3. 前記弾性体を、前記ガス供給部近傍において、前記単加湿器の組立て後の前記水蒸気透過膜−枠接合体と前記セパレータとの間隔寸法未満の長さとし、前記弾性体と前記セパレータとの間にガス供給用の空間を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池装置。
  4. 前記弾性体を、前記水蒸気透過膜−枠接合体の前記被加湿ガス側または前記加湿ガス側の一方側のみに配置し、前記水蒸気透過膜−枠接合体の他方側には、前記枠体を内縁方向の中心側に向けて延在して前記セパレータの積層時に前記弾性体の圧縮圧を受ける延長部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の燃料電池装置。
  5. 前記弾性体を、前記水蒸気透過膜−枠接合体の前記被加湿ガス側と前記加湿ガス側とのそれぞれに配置し、かつ前記被加湿ガス側の前記弾性体の位置と前記加湿ガス側の前記弾性体の位置とを相互にずらせて配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の燃料電池装置。
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