JP2006302706A - 燃料電池用加湿装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を削減することにより、シール面の削減、信頼性向上、組み付け性向上などの効果が得られ、ひいては製造コストの削減可能な燃料電池用加湿装置を提供する。
【解決手段】複数の透湿部材18を積層し、この透湿部材18を介して温湿度交換を行う燃料電池用加湿装置であって、隣り合う透湿部材18によりガス流路12,14を形成してなる。透湿部材18は、好ましくは親水基を有する樹脂で処理した多孔質膜である。
【選択図】図2
【解決手段】複数の透湿部材18を積層し、この透湿部材18を介して温湿度交換を行う燃料電池用加湿装置であって、隣り合う透湿部材18によりガス流路12,14を形成してなる。透湿部材18は、好ましくは親水基を有する樹脂で処理した多孔質膜である。
【選択図】図2
Description
本発明は、燃料電池の電極に供給するガスを加湿する燃料電池用加湿装置に関する。
近年、燃料電池に関するさまざまな研究開発が行われている。燃料電池には、使用する電解質の違いによりさまざまな種類のものが提案され、研究が進められているが、自動車業界においては特に電解質として固体高分子を使用した固体高分子型燃料電池に関する研究が盛んに行われている。この固体高分子型燃料電池の他の燃料電池に対する利点としては、作動温度が約60℃〜約100℃程度と比較的低温であること、移動や振動による電解質の漏洩がないこと、等が挙げられる。
この固体高分子膜は、湿潤状態ではプロトン導電性電解質膜として機能し、これを用いた固体高分子型燃料電池は所定の機能を発揮する一方、乾燥状態ではプロトン導電性が低下するためにエネルギ変換効率が低下し、出力が急激に低下する。このため、固体高分子型燃料電池システムでは、固体高分子からなる電解質膜を所定の湿度以上に保つ必要がある。そこで、燃料電池システム運転時に燃料電池の電極へ供給されるガスを、加湿装置により加湿することで固体高分子膜へ水分を補給し、湿潤状態を維持する技術が提案されている。
ここで、従来の加湿装置の一例について、図面に基づいて説明する。なお、各図面において同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
図6は、従来の加湿装置300の断面概略図である。乾燥ガスと湿潤ガスとの湿度交換を行う湿度交換エリア30の外側にガスマニホールド12a,12b,14a,14bを備え、その外側を外側部材20が覆っている。
図7に示すように、湿度交換エリア30には燃料電池に供給するガスを流通させる供給ガス流路12と、燃料電池より排出されるガスを流通させる排出ガス流路14とがそれぞれ複数設けられ、供給ガス流路12と排出ガス流路14はそれぞれを流通するガスが直接接触しないように配設されている。供給ガスマニホールド12a,12bは燃料電池の各セルに供給するガスが流通し、一方、排出ガスマニホールド14a,14bは燃料電池の各セルより排出されたガスが流通する。
供給ガスマニホールド12a,12bは、複数の供給ガス流路12により連接されている。外部から取り入れた被加湿ガスが図示しない配管を通って供給ガスマニホールド12aに入り、矢印22のように流れる間に湿度交換エリア30で水分を受け取り、加湿ガスとなって供給ガスマニホールド12bに向かう。このように、乾燥した被加湿ガスは、加湿装置300内に導入されることにより、供給ガスマニホールド12bから図示しない配管を通って燃料電池内に送られる、湿潤した加湿ガスとなる。
一方、排出ガスマニホールド14a,14bは、複数の排出ガス流路14で連接されている。燃料電池内部から排出され、湿潤した高湿潤ガスは、排出ガスマニホールド14aから加湿装置300に導入され、湿度交換エリア30で水分を受け渡して低湿潤ガスとなり、排出ガスマニホールド14bを経由して外部に排出される。なお、図6では、簡単のために同一面内にある供給ガス流路12のみを図示し、その下層にある排出ガス流路14における排出ガス流通方向は矢印24のみで示した。
図7は、従来の加湿装置300のガス流路を含む湿度交換エリア30の構造の要部を示したものである。図6における加湿装置300を側面から見た断面の一部を示した図に相当するが、縮尺は図6と必ずしも一致しない。
図7に示すように、湿度交換エリア30には隣り合う2枚のセパレータ36で形成される空間を二分するように透湿膜38が設けられており、2枚のセパレータ36で仕切られた空間に透湿膜38を介して1組の供給ガス流路12及び排出ガス流路14が形成される。セパレータ36と透湿膜38のそれぞれの両端は、それぞれシール部材26と接続、固定されている。供給及び排出ガス流路12,14は、シール部材26により仕切られるとともにガスマニホールド12a,12b,14a,14bにそれぞれ連接されている。
透湿膜38は、水蒸気、または水の状態で水分を透過することが可能であって、透湿膜を挟んで流れる、湿度の異なるガス間の湿度交換を行う。この透湿膜38を加湿装置300に採用することにより、図7のように湿度交換エリア30を通過する排出ガス流路14中の水分が矢印32のように供給ガス流路12に移動する。このとき、供給ガス流路12を流通する被加湿ガスは、湿度交換エリア30において加湿され、加湿ガスとなる。
また、透湿膜38またはセパレータ36のいずれか、または双方が熱伝導性の部材で構成されている場合には、被加湿ガスと高湿潤ガスとの温度が異なると、湿度交換エリア30で温度交換も同時に行うことが出来る。
図8は、従来の加湿装置300において、図6に示したB−B断面について、湿度交換エリア30の構造の要部を示した図である。図8に示すように、セパレータ36と透湿膜38との間の空間を複数に仕切る仕切りがセパレータ36の両面に設けられ、この複数の仕切りにより形成されたそれぞれの空間は、透湿膜38を挟み、それぞれがガス流路を構成し、透湿膜38の一方面に複数の供給ガス流路12、他方面に複数の排出ガス流路14が形成され、供給ガス流路12と排出ガス流路14との間で湿度交換が行われる。
燃料電池用加湿装置、およびそれを使用した燃料電池については、先に述べた加湿装置300を利用したものや、さらに省スペースやコストダウンを図るべく、さまざまな提案がなされている。
特許文献1には、水分透過性のある中空糸を燃料電池スタック内の供給ガスの流路に接触するように配設し、中空糸内を通過する冷却水を利用して供給ガスを加湿する加湿装置を備えた燃料電池について記載されている。
特許文献2には、積層された水分透過性の膜の変形を防止する補強膜を備えた燃料電池用加湿装置について記載されている。
さらに、特許文献3には、積層された水分透過性の膜の変形を防止するために、膜の材質として、比較的強度が高いポリイミド樹脂を用いた燃料電池用加湿装置について記載されている。
また、特許文献4には、ガスの流入口と流出口とを有する枠体と透湿膜とを交互に積層させた、軽量かつ十分な強度を備えた燃料電池用湿度交換器について開示されている。
しかしながら、特許文献2,3,4についても、先に述べた従来の加湿装置と同様に、セパレータ、もしくは枠体間に透湿膜が設けられているために加湿装置を構成する部品点数を十分削減しているとは言えず、加湿装置自体の大きさは従来のものと大差ない。
特許文献1によれば、加湿装置は燃料電池スタックと一体であり、コンパクトな燃料電池システムとすることが可能である。その一方で、十分な加湿効果を得るためには相当数の中空糸膜が必要であるにもかかわらず、透過膜として使用する中空糸膜は高価であるため、コストダウンが十分に図れないおそれがある。また、燃料電池スタックを冷却するために使用する冷却水を再びスタック内に導入する必要があるため、ポンプの出力を高める必要があり、このために使用される電力がロスとなるおそれがある。
本発明はかかる課題に鑑み、加湿装置を製造する際の部品点数を削減することを目的とする。これにより、シール面の削減、信頼性向上、組み付け性向上などの効果が得られ、ひいては製造コストの削減につながる。
また、本発明の他の目的は、従来よりも省スペースでかつ同等以上の性能を持つ加湿装置を提供可能することである。
上記目的を達成するために、本発明は、複数の透湿部材を積層し、この透湿部材を介して温湿度交換を行う燃料電池用加湿装置であって、隣り合う透湿部材によりガス流路を形成してなることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用加湿装置において、透湿部材の一方面に、燃料電池へ供給する供給ガスが流通する供給ガス流路を形成し、透湿部材の他方面に、燃料電池から排出された排出ガスが流通する排出ガス流路を形成してなることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用加湿装置において、透湿部材は、親水基を有する樹脂で処理した多孔質膜であることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用加湿装置において、多孔質膜は、少なくとも樹脂が含浸されていることを特徴とする。
また、本発明は、親水基を有する樹脂で処理した多孔質膜からなる透湿部材を介して温湿度交換を行う燃料電池用加湿装置であって、透湿部材の一方面に乾燥ガスを、他方面に湿潤ガスを、それぞれ流通させることを特徴とする。
また、本発明は、燃料電池用加湿装置に使用する透湿部材の成形方法であって、多孔質膜を成型後、親水基を有する樹脂を含浸させてなることを特徴とする。
また、本発明は、燃料電池用加湿装置に使用する透湿部材の成形方法であって、多孔質膜に親水基を有する樹脂を含浸させた後に成形することを特徴とする。
本発明によれば、燃料電池用加湿装置を製造する際の部品点数を削減することが可能となり、このため、シール面の削減、信頼性向上、組み付け性向上などの効果が得られ、ひいては製造コストの削減につながる。
また、部品点数の削減により、さらに燃料電池用加湿装置のコンパクト化を図ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、各図面において同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態における燃料電池用加湿装置100の構成の概略を示す断面図である。全体の構造については、湿度交換エリア10の構成が相違するだけであとは図6に示した従来の加湿装置300の構成とほぼ同一である。
図2に示すように、湿度交換エリア10には燃料電池に供給するガスを流通させる供給ガス流路12と、燃料電池より排出されるガスを流通させる排出ガス流路14とがそれぞれ複数設けられ、供給ガス流路12と排出ガス流路14はそれぞれを流通するガスが直接接触しないように配設されている。供給ガスマニホールド12a,12bは燃料電池の各セルに供給するガスが流通し、一方、排出ガスマニホールド14a,14bは燃料電池より排出されたガスが流通する。
供給ガスマニホールド12a,12bは、複数の供給ガス流路12により連接されている。外部から取り入れた被加湿ガスが図示しない配管を通って供給ガスマニホールド12aに入り、矢印22のように流れる間に湿度交換エリア10で水分を受け取り、加湿ガスとなって供給ガスマニホールド12bに向かう。このように、乾燥した被加湿ガスは、燃料電池用加湿装置100内に導入されることにより、供給ガスマニホールド12bから図示しない配管を通って燃料電池内に送られる湿潤した加湿ガスとなる。
一方、排出ガスマニホールド14a,14bは、複数の排出ガス流路14で連接されている。燃料電池内部から排出され、湿潤した高湿潤ガスは、排出ガスマニホールド14aから燃料電池用加湿装置100に導入され、湿度交換エリア10で水分を受け渡して低湿潤ガスとなり、排出ガスマニホールド14bを経由して外部に排出される。なお、図1では、簡単のために同一面内にある供給ガス流路12のみを図示し、その下層にある排出ガス流路14における排出ガス流通方向は矢印24のみで示した。
図2は、本発明の実施の形態における燃料電池用加湿装置100のガス流路を含む湿度交換エリア10の構造の要部を示したものである。図1における燃料電池用加湿装置100を側面から見た断面の一部を示した図に相当するが、縮尺は図1と必ずしも一致しない。
図2に示すように、湿度交換エリア10は、図7に示す従来の加湿装置300における湿度交換エリア30のセパレータ36と透湿膜38のそれぞれに替えて、透湿膜18のみが積層されている構造であることを除き、他の構成はほぼ同一である。本実施の形態では、透湿膜18の一方面に供給ガス、透湿膜18の他方面に排出ガスが流通するように透湿膜18の両面にそれぞれ1組の供給ガス流路12及び排出ガス流路14が形成されている。それぞれの透湿膜18の両端は、それぞれシール部材26と接続、固定されている。供給及び排出ガス流路12,14は、シール部材26により仕切られるとともにガスマニホールド12a,12b,14a,14bにそれぞれ連接されている。
透湿膜18は、水蒸気、または水の状態で水分を透過することが可能であって、透湿膜を挟んで流れる、湿度の異なるガス間の湿度交換を行う。湿度交換エリア10を通過する排出ガス流路14中の水分が矢印32のように排出ガス流路14を形成する2枚の透湿膜18を経て供給ガス流路12に移動することで、供給ガス流路12を流通する被加湿ガスは加湿され、加湿ガスとなる。
図3は、本発明の実施の形態における燃料電池用加湿装置100において、図1に示したA−A断面について、湿度交換エリア10の構造の要部を示した図である。図3に示すように、隣り合う2枚の透湿膜18間の空間を複数に仕切る仕切りがそれぞれの透湿膜18の両面にそれぞれ設けられ、この複数の仕切りにより形成されたそれぞれの空間は、それぞれがガス流路を構成し、透湿膜18の一方面に複数の供給ガス流路12、他方面に複数の排出ガス流路14が形成され、供給ガス流路12と排出ガス流路14との間で湿度交換が行われる。
図3において、透湿膜18は串型形状となっているが、これに限らない。積層した透湿膜18間に所定の間隔を保つことによりガス流路を形成することができればいかなる形状でもよい。したがって、形状としては、例えば、平面状でもよく、また、図4に示すように平面状の膜を折り曲げて蛇腹状にした透湿膜28のようなものでもよく、また、透湿膜18の表面をエンボス加工またはリンクル加工したもの、またはこれらの組み合わせ等、いかなる形状のものを使用してもよい。したがって、透湿膜18は水分を透過する部材であればいかなる形状であってもよい。
また、透湿膜18は、各透湿膜間に所定の流路が形成されればどのように積層させてもよいが、好適には、図4のように折り曲げる等して表面積を大きくした隣接する透湿膜28の山34と山34とが重なるように積層させてもよい。このとき、例えば、透湿膜28の山34と山34との間に相当する部分に、所定のガス流路12,14が形成される。
透湿膜18,28自体に水分を透過可能な程度に気密性が確保され、また透湿膜18,28の強度が十分に保たれていれば、隣り合う透湿膜18,28は、シール部材26のみで固定されていればよく、特に制限はないが、例えば、好適な接続部材等で隣り合う透湿膜18,28を接続させたり、接着剤等を用いて接着させたりしてもよい。
また、透湿膜18の表面積を大きくし、必要な表面積を確保することにより、透湿膜18を何層にも積層させずに、例えば単一膜で加湿装置として使用することも可能となる。図5は、本発明の他の実施形態における燃料電池用加湿装置200の構成の概略を示す断面図である。
図5に示すように、燃料電池用加湿装置200は、ハウジングが透湿膜28を挟持するように2分割され、一方のハウジング42aには、供給ガス入口12c、供給ガス出口12dを備え、供給ガス流路12を設け、他方のハウジング42bには、排出ガス入口14c、排出ガス出口14dを備え、排出ガス流路14を設け、供給ガス流路12と排出ガス流路14との間に表面積を大きくした透湿膜28を挟持し、クリップ40等の挟持部材によりハウジング42a,42bの間に透湿膜28を配置して締結している。
図5に示した燃料電池用加湿装置200の構成であれば、透湿膜28と、ハウジング42a,42bを固定する挟持部材はクリップ40等の簡単な構成でもよいが、従来から使用されている、例えば、ボルト等で固定してもよい。ハウジング42a,42bや、クリップ40は、金属製や、樹脂製のものなど、どのような材料を用いてもよいが、例えば樹脂製のものであれば、80℃〜100℃程度でも加水分解や酸化等により劣化しないものが望ましく、PPE(ポリフェニレンエーテル)や、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等が好適に使用される。
このように、図5に示した本発明の実施の形態における燃料電池用加湿装置200を使用することにより、シール部材26等の水分及び熱交換に寄与しない部材を省くことが可能となり、また、透湿膜28は単一膜であっても使用可能であるため、組み立ても容易で、かつ膜の使用面積も低減でき、低コストでコンパクトに設計することが可能となる。
ところで、本発明に使用する透湿膜18,28は、湿度交換可能であるのみならず、透湿膜18,28自身でガス圧に耐えうるために所定の強度が必要とされる。そこで、湿度交換可能な湿度交換用材料と、強度を保つための基材を併用することが望ましい。
湿度交換用材料として用いられる材料としては、例えば、親水基、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等のアニオン系の官能基、またはスルホ基、アンモニウム基等のカチオン形の官能基、を有するイオン交換樹脂等、水分を含有することの出来るものが好適に用いられる。この親水基のあるイオン交換樹脂として、例えば、親水性が付与されたフッ素系樹脂材料、炭化水素系樹脂材料等が挙げられる。
基剤として好適に使用されるものとしては、例えば、繊維状または粉体状の炭素系材料、ガラス系すなわちシリカ系材料、樹脂系材料、パルプ等、セルロース系の紙または布状材料等が望ましい。また、基材の形態としては、湿度交換用材料を空隙内に保持させることが可能な多孔質のものが望ましく、例えば、不織布や、織布等が好適に用いられる。
基材と湿度交換用材料とで透湿膜18,28を形成する方法としては、例えば、予め基材を所定の形状に成形し、これに溶媒等に溶解または分散させた湿度交換用材料に塗布または浸漬等により含浸させ、その後乾燥させたものでもよく、また、例えば、基材に湿度交換用材料を含浸、乾燥させた後に所定の形状に成形したものでもよいがこれに限らず、従来のいかなる方法により形成してもよい。例えば、基材と湿度交換用樹脂とを一体に成形したものでもよく、好適に用いられる。
また、透湿膜18,28は熱伝導性も有するため、排出ガスの温度と供給ガスの温度が異なる燃料電池システムにおいては、湿度交換エリア10で温度交換も同時に行うことができる。従って、排出ガスの熱と水分とを外部に排出される前に、有効に活用することができる。
透湿膜18,28の膜厚は、その違いによりガスの湿度及び温度の交換能力に影響する。つまり、膜厚を薄くすればするほど、交換能力は増加する反面、透湿膜18の強度が低下してしまう。従って、約1〜約1000μm程度、好ましくは約5〜約700μm程度、さらに好ましくは約10〜約500μm程度の膜厚のものが用いられる。
また、透湿膜18,28の好適な細孔径としては、通気の影響がガス交換に影響しない程度、例えば、通気率を約2cm2/atm・sec程度以下に制御することが望ましい。膜厚の違いにより異なるが、約2〜約10μm、好ましくは約3〜約8μm、更に好ましくは約4〜約5μm程度の細孔径を有する透湿膜が好適に使用される。
供給ガス及び排出ガスのガス圧は、どのように制御してもよいが、一般に、透湿膜18の両面間にかかる、それぞれのガスの圧力に差があればあるほど、つまり差圧が大きいほど、湿度の交換量は増加する。一方で、差圧が大きすぎると、透湿膜18にかかる圧力が大きくなり、破損等の不具合を生じる恐れがある。このため、供給ガスの圧力は、排出ガスの圧力に対し0〜300kPa程度高くすることが望ましい。また、図3に示した本発明の実施の形態において、隣り合う透湿膜18により形成されたガス流路は、図8に示す従来のガス流路に比べ大きくなっているが、特に制限はなく、どのような大きさとしてもよいが、膜厚やガス圧等の諸条件により好適に規定される。
なお、本発明の燃料電池用加湿装置に使用される透湿膜18,28により交換されるものとして、ガス同士の水分及び熱の交換として説明したが、供給ガス流路12を通過するガスが図1における湿度交換エリア10を通過する際に加湿され、熱を受け取ることができればよいので、排出ガス流路14を通過する物質としては気体に限らず、例えば、高温の温水でもよい。
また、図1から図3において、本発明の実施の形態の燃料電池用加湿装置で使用する外側部材20や、シール部材26は、従来より用いられているものをそのまま利用することができるが、更に部品点数を削減するために、透湿膜18と同じ材料を用いてもよい。なお、外側部材20に透湿膜18と同じ材料を適用する場合には、好ましくは水分やガスの透過を防ぐために、例えば外側部材20の外側に、水分を透過しない樹脂系材料を含浸させたり、コーティングを施したりといった加工を行うことが好ましい。
本発明の燃料電池用加湿装置は、燃料電池、特に、固体高分子型燃料電池用に加湿装置として好適に使用することができるが、これに限らず、例えば、業務用、家庭用等、他の加湿装置としても使用可能である。
10,30 湿度交換エリア、12 供給ガス流路、12a,12b 供給ガスマニホールド、12c 供給ガス入口、12d 供給ガス出口、14 排出ガス流路、14a,14b 排出ガスマニホールド、14c 排出ガス入口、14d 排出ガス出口、18,28,38 透湿膜(透湿部材)、20 外側部材、22 供給ガス流通方向(矢印)、24 排出ガス流通方向(矢印)、26 シール部材、32 水分移動方向(矢印)、34 山、36 セパレータ、40 クリップ、42a,42b ハウジング、100,200,300 (燃料電池用)加湿装置。
Claims (7)
- 複数の透湿部材を積層し、この透湿部材を介して湿度交換を行う燃料電池用加湿装置であって、
隣り合う透湿部材によりガス流路を形成してなる、燃料電池用加湿装置。 - 請求項1に記載の燃料電池用加湿装置において、
前記透湿部材の一方面に、燃料電池に供給する供給ガスが流通する供給ガス流路を形成し、
前記透湿部材の他方面に、燃料電池から排出された排出ガスが流通する排出ガス流路を形成してなる、燃料電池用加湿装置。 - 請求項1または2に記載の燃料電池用加湿装置において、
前記透湿部材は、親水基を有する樹脂で処理した多孔質膜である、燃料電池用加湿装置。 - 請求項3に記載の燃料電池用加湿装置において、
前記多孔質膜は、少なくとも親水基を有する樹脂が含浸されている、燃料電池用加湿装置。 - 親水基を有する樹脂で処理した多孔質膜からなる透湿部材を介して湿度交換を行う燃料電池用加湿装置であって、
前記透湿部材の一方面に乾燥ガスを、他方面に湿潤ガスを、それぞれ流通させる、燃料電池用加湿装置。 - 請求項3から5のいずれか1項に記載の燃料電池用加湿装置に使用する透湿部材の成形方法であって、
多孔質膜を成型後、親水基を有する樹脂を含浸させてなる、透湿部材の成形方法。 - 請求項3から5のいずれか1項に記載の燃料電池用加湿装置に使用する透湿部材の成形方法であって、
多孔質膜に親水基を有する樹脂を含浸させた後に成形する、透湿部材の成形方法。
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