以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る電磁開閉装置(封止接点装置)の内部構成を概略的に示す正面図である。図2は、実施形態に係る電磁開閉装置(封止接点装置)の内部構成を概略的に示す側面図である。
図1及び図2において、電磁開閉装置(封止接点装置)Aは、継電器1と、継電器1を駆動制御するための駆動制御回路を構成する駆動制御回路基板2と、これら継電器1及び駆動制御回路基板2を内蔵する例えば合成樹脂等の絶縁材料で構成されたハウジング(筐体)3とから構成されている。
継電器1は、ハウジング3の下半部に配設された継鉄11と、継鉄11内に配設されたもので、コイルボビン12の径方向の外側位置に巻成された起動用の第1コイル13−1及びコイルボビン12の径方向の内側位置に巻成された保持用の第2コイル13−2から成る励磁コイル13と、励磁コイル13の中心部に配設された上面開口状で有底状の筒体14と、筒体14の開口面に気密的に接合された接合部材15と、ハウジング3の上半部に配設され、接合部材15に気密的に接合された封止容器16とを備える。
また、この継電器1は、先端に固定接点20、21を有し、封止容器16に気密的に固定された一対の固定端子22、23と、筒体14内に上下動可能に配設された可動鉄心17と、可動鉄心17に連設された可動軸18と、可動軸18の上端に連設された可動接触子19と、可動接触子19を一対の固定接点20、21に弾性的に接触させる圧接ばね24と、可動鉄心17を下方向に付勢する復帰ばね25とを備える。なお、筒体14内及び封止容器16内には、水素あるいは水素を主体とするガスが充填される。
ここで、第1コイル13−1は、可動鉄心17を上方に移動させて可動接触子19を持ち上げ、この持ち上げた可動接触子19を固定接点20、21に当接させることで固定接点20、21間を短絡する接点起動用のものである。そして、第1コイル13−1は、可動鉄心17と可動接触子19の移動開始時(起動時)に大きな電磁力を必要とすることから、流れる電流値が第2コイル13−2よりも大きくなるように第2コイル13−2よりも径の大きな線材が用いられると共に、第2コイル13−2よりも巻回数が少なくなるように構成されたものである。
また、第2コイル13−2は、可動接触子19が固定接点20、21に当接された状態を保持する接点保持用のものである。そして、第2コイル13−2は、可動鉄心17と可動接触子19の移動開始時のような大きな電磁力を必要としないことから、流れる電流が第1コイル13−1よりも小さくなるように当該第1コイル13−1よりも径の小さな線材が用いられると共に、第1コイル13−1よりも巻回数が多くなるように構成されたものである。
駆動制御回路基板2は、図略の電子部品を搭載した基板により構成されたものであり、コイルボビン12の上部の鍔に突出形成した突起部26に立直した状態で取り付けられ、封止容器16の外周位置に配設されたもので、基板に取り付けられた所要の配線端子が第1コイル13−1と第2コイル13−2とに接続されたものである。
図3は、第1の実施形態の電磁開閉装置における駆動制御回路基板に構成される駆動制御回路の構成を示す図である。図4は、実施形態の電磁開閉装置における駆動制御回路に用いられるスイッチ回路の構成を示す図である。図5は、図4に示すスイッチ回路の動作を説明するための動作特性図である。図6は、第1の実施形態の電磁開閉装置における駆動制御回路に用いられるタイマー回路の構成を示す図である。図7は、実施形態の電磁開閉装置における駆動制御回路に用いられる補正機能付き温度センサ回路の構成を示す図である。図8は、実施形態の電磁開閉装置における可変抵抗回路の構成を示す図である。図9は、図8に示す可変抵抗回路に用いられるスイッチ制御回路の構成を示す図である。図10は、図7に示す補正機能付き温度センサ回路の動作を説明するための動作特性図である。
図3において、第1の実施形態に係る駆動制御回路30aは、外部回路から直流の駆動電圧(操作信号)が入力される一対の入力端子41(41−1、41−2)と、一対の入力端子41間の駆動電圧を第1及び第2コイル13−1、13−2のそれぞれに供給すべく、第1及び第2コイル13−1、13−2のそれぞれの通電を制御する通電回路31aとを備えている。
なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
通電回路31aは、一対の入力端子41間において第1コイル13−1と直列に接続された制御端子付きの第1スイッチ素子32−1と、一対の入力端子41間において第2コイル13−2と直列に接続された制御端子付きの第2スイッチ素子と、第1及び第2スイッチ素子32−1、32−2の制御端子に予め設定された所定レベルの制御信号を供給することによって第1及び第2スイッチ素子32−1、32−2を導通させる駆動回路40aとを備えている。
制御端子付きの第1及び第2スイッチ素子32−1、32−2は、例えば、バイポーラトランジスタや電界効果トランジスタ等のトランジスタである。
図3に示す例では、第1及び第2スイッチ素子32−1、32−2は、制御端子としてゲートGを備える第1及び第2MOSFET32−1、32−2である。ここで、第1コイル13−1の一端は、正電位である一方の入力端子41−1に接続され、第1コイル13−1の他端は、第1MOSFET32−1のドレインDに接続されている。第1MOSFET32−1のソースSは、接地電位である他方の入力端子41−2に接続されている。第2コイル13−2の一端は、正電位である一方の入力端子41−1に接続され、第2コイル13−2の他端は、第2MOSFET32−2のドレインDに接続されている。第2MOSFET32−2のソースSは、接地電位である他方の入力端子41−2に接続されている。
駆動回路40aは、スイッチ回路42と、補正機能付き温度センサ回路43aと、タイマー回路44と、信号供給回路45とを備えて構成されている。このような簡単な回路構成で駆動回路40aが構成される結果、簡単な回路構成で通電回路31aが構成され得る。
スイッチ回路42は、一対の入力端子41間に供給される駆動電圧が供給開始から規定値になるまでの昇圧期間において第1所定値(所定電圧)に達した場合にオンされることによって、第2MOSFET32−2に当該第2MOSFET32−2を通電させる予め設定された所定レベルの制御信号であるスタート信号(ハイ信号、Hレベルの信号)を供給する回路である。
スイッチ回路42は、例えば図4に示すように、一対の入力端子41間に供給される駆動電圧Vccの昇圧期間中において基準電圧Vbgを出力するバンドギャップ回路51と、一対の入力端子41に供給される駆動電圧Vccを分圧する直列に接続された2個の抵抗素子521、522からなる抵抗分圧回路52と、バンドギャップ回路51から出力される基準電圧Vbgが−端子に入力され、抵抗分圧回路52の分圧電圧Vbcが+端子に入力されるコンパレータ(比較器)53とから構成されている。
このように構成されたスイッチ回路42では、図5に示すように、+端子に入力される抵抗分圧回路52の分圧電圧Vbcが−端子に入力される基準電圧Vbgを超えるとコンパレータ53の出力端子54からスタート信号が出力される。このコンパレータ53の出力端子54は、第2MOSFET32−2のゲートG及びタイマー回路44の入力端子にそれぞれ接続され、コンパレータ53の出力端子54からの出力は、第2MOSFET32−2のゲート・ソース間に供給されると共に、タイマー回路44に供給される。
図3に戻って、タイマー回路44は、一対の入力端子41間に供給される駆動電圧Vccが、スイッチ回路42がオンされる第1所定値に達した後の経過時間をカウントするものであって、駆動電圧Vccが第1所定値に達した後の経過時間が第2所定値(所定時間)に達するまでは、ハイ信号を出力し、その経過時間が第2所定値に達した後は、その経過時間が第2所定値に達した旨を表す所定レベルのタイムアウト信号としてロー信号(Lレベルの信号)を出力する回路である。
タイマー回路44は、例えば図6に示すように、周期的に矩形波を出力する発振回路65と、発振回路65の出力が入力されるn段フリップフロップから構成されたカウンタ66と、カウンタ66を構成する各フリップフロップの出力が入力されるナンド回路63と、ナンド回路63の出力とスイッチ回路42の出力とがそれぞれ入力され、その出力信号が発振回路65に入力されるアンド回路64とから構成されている。また、発振回路65は、ナンド回路651と、インバータ回路652、655と、コンデンサ653と、抵抗素子654とを備えて構成されている。ナンド回路651の出力は、インバータ回路652に入力される。インバータ回路652の出力は、当該発振回路65の出力となると共に、インバータ回路655に入力される。ナンド回路651には、アンド回路64の出力と、抵抗素子654を介したインバータ回路655の出力とがそれぞれ入力されている。そして、インバータ回路655と抵抗素子654との直列回路の両端には、コンデンサ653が接続されている。このような発振回路65の発振周波数fは、コンデンサ653の容量をCfとし、抵抗素子654の抵抗値をRfとすると、f=1/(2.2×Cf×Rf)である。
このように構成されたタイマー回路44では、カウント開始前の状態においてはナンド回路63からハイ信号が出力されるようになっているため、スイッチ回路42から出力されたハイ信号であるスタート信号が入力端子61に入力されることで発振回路65が駆動されて矩形波パルスが出力され、その矩形波パルスがカウンタ66で分周されて最終段のフリップフロップに接続されている出力端子62からハイ信号が出力される。一方、各フリップフロップからナンド回路63に入力される信号は、所定時間(第2所定値)が経過することですべてハイ信号となることから、アンド回路64に入力されるナンド回路63からの出力は、ロー信号となり、それによりアンド回路64からロー信号が出力される結果、発振回路65の駆動が停止され、出力端子62からはロー信号が出力される。
即ち、タイマー回路44では、スイッチ回路42から入力端子61にハイ信号が入力された後、カウンタ66を構成する各フリップフロップからナンド回路63に入力される信号がすべてハイ信号となるまでの時間だけ出力端子62からハイ信号が出力される。そして、所定時間が経過した後の出力端子62からの出力は、一対の入力端子41間に駆動電圧Vccが再投入されるまでタイムアウト信号としてロー信号のままとなる。なお、カウンタ66を構成するフリップフロップの段数nを変更することによって出力端子62からのハイ信号の出力期間が設定変更され得る。
図3に戻って、補正機能付き温度センサ回路43aは、温度検出素子で第1コイル13−1の温度を検出するものであって、第1コイル13−1が発熱した状態の第3所定値(所定温度)に達するまではハイ信号を出力し、第1コイル13−1の温度が第3所定値を超えた場合に第1コイル13−1の通電を停止させる温度検出信号としてロー信号を出力する回路である。そして、注目すべきは、この補正機能付き温度センサ回路43aは、さらに、その温度検出素子の出力が補正可能であることである。
補正機能付き温度センサ回路43aは、例えば図7に示すように、一対の入力端子41間に供給される駆動電圧Vccを分圧するものであって、互いに直列に接続された可変抵抗回路71a及び温度検出素子72から成る温度検出回路70と、一対の入力端子41間に供給される駆動電圧Vccを分圧する互いに直列に接続された2個の抵抗素子731、732から成る抵抗分圧回路73と、抵抗分圧回路73による分圧電圧が基準値Vrefとして入力されると共に温度検出回路70による分圧電圧が比較値Vsigとして入力されることによって、比較値Vsigが基準値Vrefを超えている場合に第1コイルの通電を停止させる所定レベルの温度検出信号を出力端子75から出力するヒステリシスコンパレータ74とを備えて構成されている。
温度検出素子72は、第1コイル13−1の温度を検出するものであって、例えば、正特性又は負特性のサーミスタ等の感熱抵抗素子や、複数のダイオードを互いに直列に接続したダイオード分圧回路等である。ヒステリシスコンパレータ74は、入力端子から入力される入力電圧が第1閾値Vref1以上となるとロー信号(Lレベルの信号)を出力すると共に、入力電圧が第1閾値Vref1より小さい値の第2閾値Vref2以下となるとハイ信号(Hレベルの信号)を出力する。
可変抵抗回路71aは、外部から受け付けた入力信号に応じてその抵抗値が変更可能であって、温度検出素子72の出力を補正するための回路である。可変抵抗回路71aは、例えば図8に示すように、直列に接続された複数の抵抗素子711(711−1〜711−5)と、複数の抵抗素子711のそれぞれに並列に接続された制御端子付きの複数のスイッチ素子712(712−1〜712−5)と、複数のスイッチ素子712のそれぞれに対応して設けられ、入力信号に応じてスイッチ素子712のオンオフを制御する複数のスイッチ素子制御回路713(713−1〜713−5)と、複数のスイッチ素子制御回路713のそれぞれに対応して設けられ、外部から入力信号が入力される複数の外部端子714(714−1〜714−5)とを備えて構成される。このような簡単な回路構成で可変抵抗回路71aが構成され得る。図8に示す例では、5個の抵抗素子711−1〜711−5が用いられており、可変抵抗回路71aは、これに対応して5個のスイッチ素子712−1〜712−5、5個のスイッチ素子制御回路713−1〜713−5及び5個の外部端子714−1〜714−5を備えている。制御端子付きのスイッチ素子712−1〜712−5は、例えばバイポーラトランジスタや電界効果トランジスタ等のトランジスタを用いることができ、本実施形態では、MOSFETが用いられている。
このような構成の可変抵抗回路71aでは、スイッチ素子712がオンされ、オン状態(通電状態)の場合では、電流は、これに並列に接続されている抵抗素子711には流れずに、当該スイッチ素子712を流れる。一方、スイッチ素子712がオフされ、オフ状態(通電不可状態)の場合では、電流は、当該スイッチ素子712には流れずに、これに並列に接続されている抵抗素子711を流れる。このため、スイッチ素子712がオフされているスイッチ素子712に並列に接続されている抵抗素子711の抵抗値における和が可変抵抗回路71aの抵抗値となる。例えば、スイッチ素子712−1、712−3がオンされ、スイッチ素子712−2、712−4、712−5がオフされている場合では、可変抵抗回路71aの抵抗値は、スイッチ素子712−2、712−4、712−5のそれぞれに並列に接続されている各抵抗素子711−2、711−4、711−5の抵抗値の和である。従って、可変抵抗回路71aは、複数の抵抗素子711−1〜711−5における抵抗値の組み合わせと、複数のスイッチ素子712−1〜712−5におけるオンオフの組み合わせとにより、様々な離散的な抵抗値を取り得る。
ここで、複数の抵抗素子711における各抵抗値は、互いに等しい値でも互いに異なる値でもよい。本実施形態では、5個の抵抗素子711−1〜711−5における各抵抗値は、互いに異なる値であって、隣接する抵抗素子711間では一方が他方の2倍(又は1/2倍)となるように設定されている。即ち、抵抗素子711−1の抵抗値をR1とすると、抵抗素子711−2の抵抗値R2は、R2=2×R1とされ、抵抗素子711−3の抵抗値R3は、R3=2×R2(=2×2×R1)とされ、抵抗素子711−4の抵抗値R4は、R4=2×R3(=2×2×2×R1)とされ、そして、抵抗素子711−5の抵抗値R5は、R5=2×R4(=2×2×2×2×R1)とされている。このように5個の抵抗素子711−1〜711−5における各抵抗値を設定することにより、可変抵抗回路71aは、複数のスイッチ素子712−1〜712−5におけるオンオフの各状態を制御することによって、1×R1から31×R1までの小さな抵抗値から大きな抵抗値まで広い範囲の抵抗値を離散的に取り得る。
スイッチ素子制御回路713は、外部端子714から入力された各入力信号に応じてスイッチ素子712のオンオフを制御する回路である。各スイッチ素子制御回路713−1〜713−5は、同様に構成されており、図9には1個のスイッチ素子制御回路713の構成が示されている。スイッチ素子制御回路713は、例えば図9に示すように、ダイオード7131と、抵抗素子7132と、インバータ7133と、電流ヒューズ7134とを備えて構成されている。ダイオード7131のアノード端子には、一対の入力端子41間に供給される駆動電圧Vccが印加され、そのカソード端子には、抵抗素子7132の一方端が接続される。抵抗素子7132の他方端は、外部端子714、電流ヒューズ7134の一方端及びインバータ7133の入力端子が接続される。電流ヒューズ7134の他方端は、接地されている。インバータ7133の出力端子は、スイッチ素子712の制御端子に接続される。即ち、駆動電圧Vccと接地との間に、ダイオード7131、抵抗素子7132及び電流ヒューズ7134の直列接続回路が設けられている。そして、抵抗素子7132と電流ヒューズ7134との接続点には、入力信号を電流ヒューズ7134へ入力するための外部端子714及びインバータ7133の入力端子が接続されており、また、インバータ7133の出力端子は、スイッチ素子712の制御端子に接続されている。
このような構成のスイッチ素子制御回路713では、電流ヒューズ7134が切断されておらず通電可能の状態(スイッチ素子制御回路713の初期状態、即ち、可変抵抗回路71aの初期状態)では、インバータ7133の入力端子には、接地レベルの低電位が印加されているので、インバータ7133は、出力端子から高電位の電圧が出力される。このため、スイッチ素子712は、オンされ、通電状態(オン状態)となる。一方、電流ヒューズ7134が切断され不導通状態では、インバータ7133の入力端子には、駆動電圧レベルの高電位が印加されているので、インバータ7133は、出力端子から低電位の電圧が出力される。このため、スイッチ素子712は、オフされ、不導通状態(オフ状態)となる。電流ヒューズ7134は、例えば高電圧の入力信号が外部端子714に印加される等して電流ヒューズ7134にその定格を超えた大電流が通電されることによって切断される。この際に、外部端子714から抵抗素子7132の方向へも電流が流れようとするがこの電流は、ダイオード7131によって遮断される。ダイオード7131は、駆動電圧側へ電流が逆流することを防止している。
このように大電流を流すための高電位の入力信号を外部端子714に印加することによって、スイッチ素子制御回路713の出力端子から出力される電圧レベルを制御することができる結果、スイッチ素子制御回路713に接続されているスイッチ素子712のオンオフの各状態を制御することができる。従って、このように大電流を流すための高電位の入力信号を外部端子714に印加することによって、可変抵抗回路71aは、複数の抵抗素子711−1〜711−5における抵抗値の組み合わせと、複数のスイッチ素子712−1〜712−5におけるオンオフの組み合わせとにより、様々な離散的な抵抗値を取り得る。
そして、図7に示す補正機能付き温度センサ回路43aでは、温度上昇に従って抵抗値が大きくなる正特性のサーミスタが温度検出素子72として用いられた場合、ヒステリシスコンパレータ74が用いられているので、図10に示すように、抵抗分圧回路73により得られる基準値Vrefによって第1及び第2閾値Vref1、Vref2が生成され、温度検出回路70により得られる比較値Vsigが第1閾値Vref1以下ではハイ信号がその出力端子75から出力される。そして、第1コイル13−1の温度が上昇すると比較値Vsigがそれに伴って大きくなって、第1閾値Vref1に達するとその出力端子75から温度検出信号としてロー信号が出力され、第1コイル13−1の温度が降下すると比較値Vsigがそれに伴って小さくなって、第2閾値Vref2に達するとその出力端子75からハイ信号が出力される。
ここで、温度検出回路70により得られる比較値Vsigは、温度検出素子72の抵抗値をRtとし、可変抵抗回路71aの抵抗値をRvとすると、Rt×Vcc/(Rt+Rv)で表され、温度検出素子72の抵抗値Rtと可変抵抗回路71aの抵抗値Rvとの比によって決まる駆動電圧Vccの分圧である。このため、このような構成の補正機能付き温度センサ回路43aでは、可変抵抗回路71aの抵抗値Rvが変化されることによって温度検出素子72の抵抗値Rtと可変抵抗回路71aの抵抗値Rvとの比が変化されるので、可変抵抗回路71aの抵抗値Rvが調整されることによって比較値Vsigが調整可能である。従って、温度検出素子72の特性にバラツキ(個体差)が生じ、設計通りの比較値Vsigが得られない場合には、可変抵抗回路71aの抵抗値Rvを調整することによって、設計通りの比較値Vsigを得ることができる。この可変抵抗回路71aの抵抗値Rvの調整は、上述したように、外部端子714に高電位の入力信号を印加することによって制御することができるから、抵抗値の異なる複数種類の外付けの抵抗素子を別途に必要とすることなく、設計通りの比較値Vsigを得ることができる。
ここで、図7に示す例では、可変抵抗回路71aが補正回路の一例に相当し、抵抗分圧回路73及びヒステリシスコンパレータ74が判断回路の一例に相当する。
なお、駆動回路40aを構成しているスイッチ回路42、補正機能付き温度センサ回路43a、タイマー回路44及び信号供給回路45は、これらを半導体集積回路あるいは混成集積回路として一体化した構成とすることができる。このように半導体集積回路あるいは混成集積回路として一体化する場合、第1及び第2MOSFET32−1、32−2を含めることもできる。
図3に戻って、信号供給回路45は、タイマー回路44の出力と補正機能付き温度センサ回路43aの出力が入力されるもので、共にハイ信号が入力されるときに第1MOSFET32−1に予め設定された所定レベルの制御信号を供給するアンド回路で構成された回路である。
図11は、駆動制御回路基板に構成される第1の実施形態に係る駆動制御回路における第1コイルの温度が第3所定値を超えることのない正常時の動作を概略的に説明するためのタイミングチャートである。図11には、上段から順に、一対の入力端子41間電圧、スイッチ回路42の出力信号、タイマー回路44の出力信号、第1MOSFET32−1のゲート・ソース間の電圧、第1コイル13−1の両端電圧、第2MOSFET32−2のゲート・ソース間の電圧及び第2コイル13−2の両端電圧が示されている。
いま、一対の入力端子41間に駆動電圧Vccが供給開始されると(時刻t0)、その昇圧期間において第1所定値V´に達したときにスイッチ回路42から第2MOSFET32−2を導通させる所定レベル(電圧値Vth2)のハイ信号(スタート信号)が出力され、このハイ信号が制御信号として第2MOSFET32−2のゲート・ソース間に供給される(時刻t1)。この結果、第2MOSFET32−2が導通することで第2コイル13−2の両端に駆動電圧Vc2が供給され、これにより第2コイル13−2が通電される(時刻t1)。
また、スイッチ回路42の出力は、タイマー回路44にも供給されることから、スイッチ回路42からハイ信号(スタート信号)が出力された段階でタイマー回路44からもハイ信号が出力される(時刻t1)。一方、第2コイル13−2が第3所定値(所定温度)を超えていない正常な動作状態の場合には、補正機能付き温度センサ回路43aからハイ信号が出力されるため、アンド回路で構成された信号供給回路45から第1MOSFET32−1を導通させる所定レベル(電圧値Vth1)のハイ信号が出力され、このハイ信号が制御信号として第1MOSFET32−1のゲート・ソース間に供給される(時刻t1)。この結果、第1MOSFET32−1が導通することで第1コイル13−1の両端に駆動電圧Vc1が供給され、これにより第1コイル13−1に通電される(時刻t1)。
即ち、この第1の実施形態においては、第1及び第2コイル13−1、13−2に、駆動電圧Vc1、Vc2がそれぞれ同一時刻に供給されることで通電が開始され、第1及び第2コイル13−1、13−2により生成される電磁力により可動鉄心17が上方に移動することで可動接触子19が持ち上げられ、この可動接触子19が固定接点20、21に当接することにより固定接点20、21が閉路されるように構成されている。
一方、スイッチ回路42からハイ信号が出力された後の経過時間が第2所定値を超えると、タイマー回路44からロー信号が出力される(時刻t2)。このため、アンド回路で構成された信号供給回路45からロー信号が出力され、第1MOSFET32−1に所定レベル(電圧値Vth1)の制御信号が供給されないようになることから第1MOSFET32−1のドレイン・ソース間が不導通となり、第1コイル13−1への駆動電圧Vc1の供給が停止される(時刻t2)。
即ち、第1コイル13−1は、タイマー回路44からハイ信号が出力されている期間(時刻t1から時刻t2までの間)だけ駆動電圧Vc1が供給されて通電され、第2コイル13−2とで生成される電磁力により固定接点20、21が閉路される。そして、第1コイル13−1への駆動電圧Vc1の供給が停止されても、固定接点20、21が閉路された後はその状態を保持するために大きな電磁力を必要としないので、一対の入力端子間41間の駆動電圧Vccの供給が停止されるまで第2コイル13−2への通電のみで固定接点20、21の閉路された状態が保持される。
そして、電磁開閉装置Aの動作を終了させるために一対の入力端子41間への駆動電圧Vccの供給が停止され、その降圧期間において所定値V´を割ったときにはスイッチ回路42の出力がロー信号となることから、第2MOSFET32−2のドレイン・ソース間が不導通となり、第2コイル13−2への通電が停止される(時刻t3)。このため、第2コイル13−2による電磁力が消滅することで、可動鉄心17が復帰ばね25により下方向に移動し、可動接触子19が固定接点20、21から離反することで固定接点20、21が開路される。
図12は、第1の実施形態に係る駆動制御回路における第1コイルの温度が所定値を超える異常時の動作を概略的に説明するためのタイミングチャートである。図12には、上段から順に、一対の入力端子41間電圧、スイッチ回路42の出力信号、タイマー回路44の出力信号、補正機能付き温度センサ回路43aの出力信号及び第1コイル13−1の両端電圧が示されている。
一方、例えば駆動電源の誤動作等によって入力端子41間への駆動電圧Vccの供給及び遮断が短時間(例えば、図11に示すタイマー回路44からハイ信号が出力される時刻t1からt2までの期間内)のうちに繰り返し行われると(時刻t10、t13、t14、t17、t18、t21、t22、t25、・・・)、それに応じてスイッチ回路42及びタイマー回路44が作動する結果、接点起動用の第1コイル13−1に正常動作時には短時間しか供給されない駆動電圧Vc1が断続的に供給され、第1コイル13−1には起動時の大きな電流が断続的に流れることになり(時刻t11から時刻t12までの間、時刻t15から時刻t16までの間、時刻t19から時刻t20までの間)、これにより第1コイル13−1が発熱することになる。
一方、補正機能付き温度センサ回路43aから正常動作時においてはハイ信号が出力されるが、第1コイル13−1が発熱することで第1コイル13−1の温度が上昇して第3所定値を超えたときにはロー信号が出力されることになる(時刻t20)。このため、アンド回路で構成された信号供給回路45からはロー信号が出力され、第1MOSFET32−1に所定レベル(電圧値Vth1)の制御信号が供給されないことから第1MOSFET32−1のドレイン・ソース間が不導通となり、第1コイル13−1への駆動電圧Vc1の供給が停止される。この結果、第1のコイル16に起動時の大きな電流が断続的に流れるような事態が生じた場合でも、その第1のコイル16への通電が停止されて第1コイル13−1の発熱を効果的に抑制することができる。
ここで、補正機能付き温度センサ回路43aの温度検出素子72における特性のバラツキによって、温度検出素子72の出力(温度検出回路70により得られる比較値Vsig)から判定される第1コイル13−1の温度が第1コイル13−1の実際の温度と異なっている場合には、時刻t20の時点で、第1コイル13−1の実際の温度が第3所定値を超えていない、あるいは、既に超えてしまっている場合に、補正機能付き温度センサ回路43aがロー信号を出力することになり、電磁開閉装置Aは、設計の通りに動作しないことになる。このような場合では、補正機能付き温度センサ回路43aにおける可変抵抗回路71aの抵抗値Rvが調整されることで、温度検出素子72の出力から判定される第1コイル13−1の温度が第1コイル13−1の実際の温度と一致するように、温度検出素子72の出力が補正される。この温度検出素子72の出力の補正に当たって、この可変抵抗回路71aにおける抵抗値Rvは、上述したように、外部端子714に高電位の入力信号を印加することによって変更することができるから、抵抗値の異なる複数種類の外付けの抵抗素子を別途に必要とすることがない。そして、この温度検出素子72の出力が補正されることによって、第1の実施形態の電磁開閉装置Aは、設計の通りに動作可能となる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態の電磁開閉装置における駆動制御回路基板に構成される駆動制御回路の構成を示す図である。図14は、第2の実施形態の電磁開閉装置における駆動制御回路に用いられるタイマー回路の構成を示す図である。
第1の実施形態における電磁開閉装置Aでは、通電回路31aの駆動回路40aにおけるタイマー回路44は、スイッチ回路42からスタート信号が入力されタイムアウト信号を信号供給回路45へ出力するまでの所定時間が一定あるが、第2の実施形態における電磁開閉装置Bでは、外部から受け付けた入力信号に応じてこの所定時間が変更可能なようにタイマー回路が構成される。
このため、第2の実施形態における電磁開閉装置Bは、図3に示す駆動制御回路30aの通電回路31aの駆動回路40aにおけるタイマー回路44の代わりに、図13に示すように、駆動制御回路30bの通電回路31bの駆動回路40bに通電時間調整機能付きタイマー回路44bが用いられる点を除き、第1の実施形態における電磁開閉装置Aと同様であるので、通電時間調整機能付きタイマー回路44bの構成及び動作を説明し、その他の説明を省略する。
通電時間調整機能付きタイマー回路44bは、スイッチ回路42がオンされる第1所定値に一対の入力端子41間に供給される駆動電圧Vccが達した後の経過時間をカウントするものであって、駆動電圧Vccが第1所定値に達した後の経過時間が第2所定値(所定時間)に達するまではハイ信号を出力し、その経過時間が第2所定値に達した後はタイムアウト信号としてロー信号(Lレベルの信号)を出力する回路である。そして、注目すべきは、通電時間調整機能付きタイマー回路44bは、さらに、その第2所定値(通電時間)が調整可能であることである。通電時間調整機能付きタイマー回路44bは、例えば図14に示すように、周期的に矩形波を出力する共にその周期が変更可能な発振回路65bと、発振回路65bの出力が入力されるn段フリップフロップから構成されたカウンタ66と、カウンタ66を構成する各フリップフロップの出力が入力されるナンド回路63と、ナンド回路63の出力とスイッチ回路42の出力とがそれぞれ入力され、その出力信号が発振回路65に入力されるアンド回路64とから構成されている。
また、発振回路65bは、ナンド回路651と、インバータ回路652、655と、コンデンサ653と、可変抵抗回路656とを備えて構成されている。ナンド回路651の出力は、インバータ回路652に入力される。インバータ回路652の出力は、当該発振回路65bの出力となると共に、インバータ回路655に入力される。ナンド回路651には、アンド回路64の出力と、可変抵抗回路656を介したインバータ回路655の出力とがそれぞれ入力されている。そして、インバータ回路655と可変抵抗回路656との直列回路の両端には、コンデンサ653が接続されている。
可変抵抗回路656は、外部から受け付けた入力信号に応じてその抵抗値が変更可能な回路である。可変抵抗回路656は、例えば図8に示す第1の実施形態における可変抵抗回路71aと同様の回路が用いられ、そのスイッチ素子制御回路には、例えば図9に示す第1の実施形態におけるスイッチ素子制御回路713と同様の回路が用いられる。このような簡単な回路構成で可変抵抗回路71aが構成される結果、簡単な回路構成で通電時間調整機能付きタイマー回路44bが構成され得る。
このように構成されたタイマー回路44bでは、カウント開始前の状態においてはナンド回路63からハイ信号が出力されるようになっているため、スイッチ回路42から出力されたハイ信号であるスタート信号が入力端子61に入力されることで発振回路65が駆動されて矩形波パルスが出力され、その矩形波パルスがカウンタ66で分周されて最終段のフリップフロップに接続されている出力端子62からハイ信号が出力される。一方、各フリップフロップからナンド回路63に入力される信号は、所定時間(第2所定値)が経過することですべてハイ信号となることから、アンド回路64に入力されるナンド回路63からの出力は、ロー信号となり、それによりアンド回路64からロー信号が出力される結果、発振回路65の駆動が停止され、出力端子62からはロー信号が出力される。
即ち、タイマー回路44bでは、スイッチ回路42から入力端子61にハイ信号が入力された後、カウンタ66を構成する各フリップフロップからナンド回路63に入力される信号がすべてハイ信号となるまでの時間だけ出力端子62からハイ信号が出力される。そして、所定時間が経過した後の出力端子62からの出力は、一対の入力端子41間に駆動電圧Vccが再投入されるまでタイムアウト信号としてロー信号のままとなる。
ここで、カウンタ66を構成する各フリップフロップは、発振回路65bの発振周期ごとに順次にハイ信号をナンド回路63へ出力する。このため、発振回路65bの発振周期(発振周波数f)が変更されることで所定時間(第2所定値)が調整される。そして、この発振回路65bの発振周波数fは、コンデンサ653の容量をCfとし、可変抵抗回路656の抵抗値をRvとすると、f=1/(2.2×Cf×Rv)によって求められる。従って、可変抵抗回路656の抵抗値Rvを変更することによって発振回路65bの発振周波数fが変更される結果、所定時間(第2所定値)が調整される。
第2の実施形態における電磁開閉装置Bでは、第1コイル13−1における特性のバラツキによって、設計した通電時間では、電磁開閉装置Bが設計通りに最適に稼働しない場合でも、通電時間調整機能付きタイマー回路44aにおける可変抵抗回路656の抵抗値Rvが調整されることで、電磁開閉装置Bが設計通りに最適に稼働するように、第1コイル13−1の通電時間が補正される。この第1コイル13−1の通電時間の補正に当たって、この可変抵抗回路656における抵抗値Rvは、第1の実施形態で説明したように、外部端子714に高電位の入力信号を印加することによって様々な離散的な抵抗値Rvに変更することができるから、抵抗値の異なる複数種類の外付けの抵抗素子を別途に必要とすることがない。そして、この第1コイル13−1の通電時間が補正されることによって、第2の実施形態の電磁開閉装置Bは、設計の通りに動作可能となる。そして、第2の実施形態の構成によれば、第1コイル13−1への通電時間の調整が可能な電磁開閉装置Bが提供される。
ここで、第2の実施形態において、補正機能付き温度センサ回路43aの代わりに、可変抵抗回路71aの抵抗値が固定の温度センサ回路を用いて、第1コイル13−1の通電時間が調整可能な電磁開閉装置としてもよい。
図15は、実施形態の電磁開閉装置における可変抵抗回路の他の構成を示す図である。
なお、上述の第1の実施形態において、図8に示す可変抵抗回路71aの代わりに、図15に示す可変抵抗回路71bを用いてもよい。また、上述の第2の実施形態において、可変抵抗回路656に用いられる図8に示す可変抵抗回路71aの代わりに、図15に示す可変抵抗回路71bを用いてもよい。
この可変抵抗回路71bは、直列に接続された複数の抵抗素子711(711−1〜711−5)と、複数の抵抗素子711のそれぞれに並列に接続された制御端子付きの複数のスイッチ素子712(712−1〜712−5)と、入力信号を受け付ける外部端子(データ入力端子)715と、外部端子715から受け付けた入力信号に応じて複数のスイッチ素子712のオンオフを制御するスイッチ素子制御回路716とを備える。そして、スイッチ素子制御回路716は、例えばマイクロコンピュータ及びその周辺回路等で構成され、外部端子715から受け付けた入力信号に応じて複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフ状態を記憶する例えば半導体記憶回路で構成される記憶部7162と、記憶部7162に記憶されている複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフ状態に応じて複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフを制御する例えばマイクロプロセッサ等で構成されるオンオフ制御回路7161とを備える。
このような構成の可変抵抗回路71bによれば、複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフ状態を表す入力信号が外部端子715から入力されることによって、スイッチ素子制御回路716におけるオンオフ制御回路7161は、この入力された入力信号に応じて複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフ状態を記憶部7162に記憶する。
入力信号は、例えば、スイッチ素子712−1〜712−5まで順に1個のスイッチ素子712に対して1ビットを割り当て、オン状態を「1」で表し、オフ状態を「0」で表す。例えば、スイッチ素子712−1〜712−5のそれぞれがオン、オフ、オン、オン、オフとすると、入力信号は、“10110”となる。このように入力信号は、複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフ状態を表す1個の信号として構成可能であるので、外部端子715は、必ずしも複数である必要はなく、1個でも可能である。
そして、電磁開閉装置A、Bが稼働されると、スイッチ素子制御回路716におけるオンオフ制御回路7161は、この記憶部7162からそれに記憶されている複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフ状態を読み込み、この読み込んだ複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフ状態に応じて複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフを制御する。
このため、可変抵抗回路71bは、複数の抵抗素子711−1〜711−5における抵抗値の組み合わせと、複数のスイッチ素子712−1〜712−5におけるオンオフの組み合わせとにより、様々な離散的な抵抗値Rvを取り得る。
従って、このような構成の可変抵抗回路71bが補正機能付き温度センサ回路43aに用いられる場合には、その温度検出素子72の特性にバラツキがある場合でも、この可変抵抗回路71bの抵抗値Rvが調整されることで、温度検出素子72の出力から判定される第1コイル13−1の温度が第1コイル13−1の実際の温度と一致するように、温度検出素子72の出力が補正される。この温度検出素子72の出力の補正に当たって、この可変抵抗回路71bにおける抵抗値Rvは、複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフ状態を表す入力信号を外部端子715から入力することによって変更することができるから、抵抗値の異なる複数種類の外付けの抵抗素子を別途に必要とすることがない。そして、この温度検出素子72の出力が補正されることによって、電磁開閉装置A、Bは、設計の通りに動作可能となる。また、一旦抵抗値Rvを変更した後でも複数のスイッチ素子712のそれぞれの新たなオンオフ状態を表す入力信号を外部端子715から入力することによって可変抵抗回路71bの抵抗値Rvが再び変更可能である。そのため、温度検出素子72の特性が例えば経年等により変化した場合でも、可変抵抗回路71bによって変化後の特性に合わせて温度検出素子72の出力が補正可能となる。
また、このような構成の可変抵抗回路71bが通電時間調整機能付きタイマー回路44bに用いられる場合には、第1コイル13−1の特性にバラツキがある場合でも、この可変抵抗回路71bの抵抗値Rvが調整されることで、電磁開閉装置Bが設計通りに最適に稼働するように、第1コイル13−1の通電時間が補正される。この第1コイル13−1の通電時間の補正に当たって、この可変抵抗回路71bにおける抵抗値Rvは、複数のスイッチ素子712のそれぞれのオンオフ状態を表す入力信号を外部端子715から入力することによって変更することができるから、抵抗値の異なる複数種類の外付けの抵抗素子を別途に必要とすることがない。そして、この第1コイル13−1の通電時間が補正されることによって、電磁開閉装置Bは、設計の通りに動作可能となる。また、一旦抵抗値Rvを変更した後でも複数のスイッチ素子712のそれぞれの新たなオンオフ状態を表す入力信号を外部端子715から入力することによって可変抵抗回路71bの抵抗値Rvが再び変更可能である。そのため、第1コイル13−1の特性が例えば経年等により変化した場合でも、可変抵抗回路71bによって変化後の特性に合わせて第1コイル13−1の通電時間が補正可能となる。
図16は、第1の実施形態の電磁開閉装置における駆動制御回路基板に構成される駆動制御回路の他の構成を示す図である。
そして、上述の第1及び第2の実施形態において、外部回路から第2コイル13−2への通電を指示する指示信号が入力された場合に第2MOSFET32−2に通電可能となるように、電磁開閉装置A、Bが構成されてもよい。このような構成の電磁開閉装置A、Bにおける駆動制御回路基板2に構成される駆動制御回路30cは、第1の実施形態の場合では、例えば図16に示すように、図3に示す駆動制御回路30aの通電回路31aにおける駆動回路40aの代わりに、図16に示すように、駆動制御回路30cの通電回路31cに駆動回路40cが用いられる点を除き、第1の実施形態における電磁開閉装置Aと同様であるので、駆動回路40cの構成及び動作を説明し、その他の説明を省略する。
駆動回路40cは、スイッチ回路42から出力されるハイ信号と、図略の外部回路から入力されるものであって、第2コイル13−2への通電を指示する指示信号であるハイ信号とが入力されることにより第2MOSFET32−2を導通させる所定レベル(電圧値Vth2)のハイ信号を出力するアンド回路で構成された信号供給回路81を図2に示す上述の駆動回路40aにさらに備え、この駆動回路40cの信号供給回路81から出力されるハイ信号を制御信号として第2MOSFET32−2のゲート・ソース間に供給するようにしたものである。
第2の実施形態の場合では、図16に示す駆動回路40cのタイマー回路44に代えて、図13及び図14に示す通電時間調整機能付きタイマー回路44bが用いられる点を除き、上述の第1の実施形態の場合と同様であるので、図示及びその説明を省略する。
このような構成の電磁開閉装置A、Bでは、例えば第1コイル13−1への通電が停止された後に、一対の入力端子41間に駆動電圧Vccを供給するための駆動電源に異常が生じたことなどに起因して第2コイル13−2への通電も停止する必要が生じた場合、信号供給回路81に入力される図略の外部回路からの指示信号がロー信号とされることにより、信号供給回路81からロー信号が出力されることで第2MOSFET32−2が不導通となり、第2コイル13−2への駆動電圧Vc2の供給が遮断され、これにより第2コイル13−2への通電が停止される。このため、第2コイル13−2による電磁力が消滅することで、可動鉄心17が復帰ばね25により下方向に移動し、可動接触子19が固定接点20、21から離反することで固定接点20、21が開路される。なお、第1コイル13−1への通電が停止される前に、第2コイル13−2への通電を停止する必要が生じた場合には、第1コイル13−1への通電が停止される前に第2コイル13−2への通電が停止されることになる。
このように、外部回路により第2コイル13−2への通電を制御することができる結果、短絡電流が流れ続けることなどによる第2コイル13−2の異常な発熱などを効果的に防ぐことができ、安全動作の信頼性をより高めることができる。
図17は、第1の実施形態の電磁開閉装置における駆動制御回路基板に構成される駆動制御回路の他の構成を示す図である。
また、上述の第1及び第2実施形態において、一対の入力端子41間に外部の駆動電源側から流れ込む短絡電流を検出し、短絡電流が流れ込んでいない場合に第2MOSFET32−2を導通して第2コイル13−2に通電可能となるように、電磁開閉装置A、Bが構成されてもよい。このような構成の電磁開閉装置A、Bにおける駆動制御回路基板2に構成される駆動制御回路30dは、第1の実施形態の場合では、例えば図17に示すように、図3に示す駆動制御回路30aの通電回路31aにおける駆動回路40aの代わりに、図17に示すように、駆動制御回路30dの通電回路31dに駆動回路40dが用いられると共に、電流検出回路82及び通電制御部83をさらに通電回路31dに備える点を除き、第1の実施形態における電磁開閉装置Aと同様であるので、駆動回路40d、電流検出回路82及び通電制御部83の構成及び動作を説明し、その他の説明を省略する。
電流検出回路82は、一対の入力端子41間に外部の駆動電源側から流れ込む短絡電流を検出する回路であり、例えばラインに挿入された抵抗素子の両端電圧を検出するようにしたものである。
通電制御部83は、短絡電流が検出されないときに第2コイル13−2への通電を指示する指示信号であるハイ信号を出力すると共に、短絡電流が検出されたときに第2コイル13−2への非通電を指示する指示信号であるロー信号を出力するものである。通電制御部83は、例えば、演算処理を実行するマイクロプロセッサ、所定の処理プログラムやデータなどを記憶する不揮発性の記憶素子であるROM、データを一時的に記憶する揮発性の記憶素子であるRAM及びこれらの周辺回路等を備えて構成されたマイクロコンピュータであり、電流検出回路82から出力されるデータに基づいて短絡電流が流れ込んでいるか否かを判別する電流判別部831と、短絡電流が検出されない場合に第2コイル13−2への通電を指示する指示信号であるハイ信号を出力し、短絡電流が検出された場合に第2コイル13−2への非通電を指示する指示信号であるロー信号を出力する信号出力部832とを機能的に備える。
駆動回路40dは、スイッチ回路42から出力されるオン信号及び通電制御部83から出力されるオン信号が入力されることで第2MOSFET32−2を導通させる所定レベル(電圧値Vth2)のハイ信号を出力するアンド回路で構成された信号供給回路81を図2に示す上述の駆動回路40aにさらに備え、この駆動回路40dの信号供給回路81から出力されるハイ信号を制御信号として第2MOSFET32−2のゲート・ソース間に供給するようにしたものである。
第2の実施形態の場合では、図17に示す駆動回路40dのタイマー回路44に代えて、図13及び図14に示す通電時間調整機能付きタイマー回路44bが用いられる点を除き、上述の第1の実施形態の場合と同様であるので、図示及びその説明を省略する。
このような構成の電磁開閉装置A、Bでは、例えば第1コイル13−1への通電が停止された後に、一対の入力端子41間に駆動電圧Vccを供給するための駆動電源に異常が生じたことなどに起因して短絡電流が流れ込んだことが通電制御部83の電流判別部831により判別された場合、信号出力部832からロー信号が出力されてアンド回路で構成された信号供給回路81に入力される。これにより、アンド回路で構成された信号供給回路81からロー信号が出力されることで第2MOSFET32−2が不導通となり、第2コイル13−2への駆動電圧Vc2の供給が遮断され、これにより第2コイル13−2への通電が停止される。このため、第2コイル13−2による電磁力が消滅することで、可動鉄心17が復帰ばね25により下方向に移動し、可動接触子19が固定接点20、21から離反することで固定接点20、21が開路される。なお、第1コイル13−1への通電が停止される前に、短絡電流が流れ込んだ場合は、第1コイル13−1への通電が停止される前に第2コイル13−2への通電が停止されることになる。
このように、一対の入力端子41間に短絡電流が流れ込んだ場合に第2コイル13−2への通電を停止することができる結果、短絡電流が流れ続けることによる第2コイル13−2の異常な発熱などを効果的に防ぐことができ、安全動作の信頼性をより高めることができる。
図18は、第1の実施形態の電磁開閉装置における駆動制御回路基板に構成される駆動制御回路の他の構成を示す図である。
さらに、上述の第1及び第2実施形態において、一対の入力端子41間に外部の駆動電源側から流れ込む短絡電流を検出し、短絡電流が流れ込んでいない場合に第2MOSFET32−2を導通して第2コイル13−2に通電可能となるように、電磁開閉装置A、Bが構成されてもよい。
このような構成の電磁開閉装置A、Bにおける駆動制御回路基板2に構成される駆動制御回路30eは、第1の実施形態の場合では、例えば図18に示すように、図3に示す駆動制御回路30aの通電回路31aにおける駆動回路40aの代わりに、図18に示すように、駆動制御回路30eの通電回路31eに駆動回路40eが用いられると共に、電流センサ85をさらに通電回路31eに備える点を除き、第1の実施形態における電磁開閉装置Aと同様であるので、駆動回路40e及び電流センサ85の構成及び動作を説明し、その他の説明を省略する。
電流センサ85は、一対の入力端子41間に外部の駆動電源側から流れ込む短絡電流を検出する電流検出回路を構成するものであって、短絡電流が検出されないときに第2コイル13−2への通電を指示する指示信号であるハイ信号を出力すると共に、短絡電流が検出されたときに第2コイル13−2への非通電を指示する指示信号であるロー信号を出力するものである。
駆動回路40eは、スイッチ回路42から出力されるオン信号及び電流センサ85から出力されるオン信号が入力されることで第2MOSFET32−2を導通させる所定レベル(電圧値Vth2)のハイ信号を出力するアンド回路で構成された信号供給回路81を図2に示す上述の駆動回路40aにさらに備え、この信号供給回路81から出力されるハイ信号を制御信号として第2MOSFET32−2のゲート・ソース間に供給するようにしたものである。
第2の実施形態の場合では、図18に示す駆動回路40eのタイマー回路44に代えて、図13及び図14に示す通電時間調整機能付きタイマー回路44bが用いられる点を除き、上述の第1の実施形態の場合と同様であるので、図示及びその説明を省略する。
このような構成の電磁開閉装置A、Bでは、例えば第1コイル13−1への通電が停止された後に、一対の入力端子41間に駆動電圧Vccを供給するための駆動電源に異常が生じたことなどに起因して短絡電流が流れ込んだ場合、電流センサ85からロー信号が出力されてアンド回路で構成された信号供給回路81に入力される。これにより、アンド回路で構成された信号供給回路81からロー信号が出力されることで第2MOSFET32−2が不導通となり、第2コイル13−2への駆動電圧Vc2の供給が遮断され、これにより第2コイル13−2への通電が停止される(時刻t3)。このため、第2コイル13−2による電磁力が消滅することで、可動鉄心17が復帰ばね25により下方向に移動し、可動接触子19が固定接点20、21から離反することで固定接点20、21が開路される。なお、第1コイル13−1への通電が停止される前に、短絡電流が流れ込んだ場合は、第1コイル13−1への通電が停止される前に第2コイル13−2への通電が停止されることになる。
このように、一対の入力端子41間に短絡電流が流れ込んだ場合に第2コイル13−2への通電を停止することができる結果、短絡電流が流れ続けることによる第2コイル13−2の異常な発熱などを効果的に防ぐことができ、安全動作の信頼性をより高めることができるという作用効果を奏する。
そして、上述の第1及び第2実施形態では、電磁開閉装置A、Bにおける継電器1は、図1に示すように密封構造に構成され、ガスが封入されてものであるが、これに限定されるものではない。例えば、ガスが封入されていない非密封構造のものであってもよい。また、一組の固定接点20、21を有するものであるが、これに限るものではない。例えば、二組以上の固定接点20、21を有していてもよい。
さらに、上述の第1及び第2実施形態では、第1及び第2コイル13−1、13−2の両コイルに同時に通電開始するようにしているが、これに限るものではない。例えば、第1コイル13−1と第2コイル13−2のいずれか一方のコイルに先に通電開始し、残る他方のコイルに一方のコイルよりも遅れて通電開始する構成とすることもできる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。従って、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。