<比較例>
以下では、メカリレーを備えた電気機器の新規な構成を説明する前に、これと対比される比較例について簡単に説明しておく。
図1は、メカリレーを備えた電気機器の比較例を示す図である。本比較例の電気機器Xでは、先出の従来例(図34)をベースとしつつ、直流入力電圧Viから所望の直流出力電圧Vo(例えばDC5V)を生成してリレーコイルX21に供給するDC/DCコンバータX30が追加されている。
本比較例の構成であれば、直流入力電圧Viの電圧値に依ることなく、常に一定の直流出力電圧VoがリレーコイルX21に印加されるので、リレーコイルX21の径や巻数を統一することができる。しかしながら、本比較例の構成では、直流出力電圧Voの平滑手段として、DC/DCコンバータX30のコントローラICX31にコイルX32とキャパシタX33を外付けしなければならず、部品点数が増えてしまう。
<第1実施形態>
図2は、メカリレーを備えた電気機器の第1実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1は、パルス制御装置10とメカリレー20を有する。
パルス制御装置10は、直流入力電圧Vi(例えば、DC6V、DC12V、DC24V、DC48V、DC60V)からパルス出力電圧Voを生成して負荷に供給する半導体集積回路装置である。なお、本実施形態の電気機器1において、パルス制御装置10は、負荷としてメカリレー20の電磁部21(特に、これに含まれるリレーコイル)が接続されることにより、メカリレー20の開閉駆動を行うリレー駆動装置として機能する。
メカリレー20は、電磁部21と、電磁部21から電気的に絶縁された接点機構部22とを含み、電磁部21の励磁/非励磁に応じて接点機構部22の開閉駆動を行う。このように、電気機器1のスイッチ手段としてメカリレー20を用いることにより、入力側(電磁部21側)と出力側(接点機構部22側)との絶縁性を確保したまま、スイッチを切り替えることが可能となる。なお、メカリレー20の種類や用途については、制御リレー、ラッチングリレー(キープリレー)、ラチェットリレー、I/O用リレー、ターミナルリレー/リレーターミナル、または、高容量リレー(交流負荷用/直流負荷用)などを挙げることができる。
<メカリレー>
図3は、メカリレー20の一構成例を示す図である。本構成例のメカリレー20において、電磁部21は、リレーコイル21aと、鉄心21bと、接極子21cと、カード21dと、を含む。一方、接点機構部22は、固定接点22a及び22bと、可動バネ22cと、可動接点22dと、を含む。また、メカリレー20は、外部との電気的な接続を確立するために、外部端子T21~T24を備えている。
リレーコイル21aは、鉄心21b(または、鉄心21bを軸とするコイルボビン(不図示))に捲回されており、その両端は外部端子T21及びT22に接続されている。パルス制御装置10からリレーコイル21aへの通電が行われると、リレーコイル21aに磁界が生じて鉄心21bが磁化されるので、ヒンジを回転軸として接極子21cが鉄心21bに引き寄せられる。
このとき、接極子21cに連結されたカード21dは、これと接触している可動バネ22cを固定接点22b側へ付勢するように押し込む。その結果、可動バネ22cの先端に設けられている可動接点22dが固定接点22bと接触するので、外部端子T23と外部端子T24との間が、固定接点22b、可動接点22d、可動バネ22c、及び、固定接点22aを介して電気的に導通された状態(=メカリレー20のオン状態)となる。
一方、パルス制御装置10からリレーコイル21aへの通電が停止されると、リレーコイル21aに生じていた磁界がなくなるので、接極子21cを引き寄せていた鉄心21bの磁力が消失する。その結果、可動バネ22cの復元力により、接極子21c及びカード21dが元の位置に戻り、可動接点22dが固定接点22bから離間される。その結果、外部端子T23と外部端子T24との間が電気的に絶縁された状態(=メカリレー20のオフ状態)に戻る。
なお、本図では、ヒンジ形のメカリレー20を例に挙げたが、メカリレー20の構造については、これ以外の形式(例えばプランジャ形)を採用しても構わない。
<パルス制御装置>
図2に戻り、パルス制御装置10の構成及び動作について述べる。本実施形態のパルス制御装置10には、スイッチ出力部100と、出力帰還制御部200と、ローパスフィルタ部300が集積化されている。また、パルス制御装置10は、外部との電気的な接続を確立するために、外部端子T11~T14を備えている。
パルス制御装置10の外部において、外部端子T11は、直流入力電圧Viの印加端に接続されている。外部端子T12は、メカリレー20の外部端子T21(=電磁部21に含まれるリレーコイル21aの第1端)に接続されている。外部端子T13は、メカリレー20の外部端子T22(=電磁部21に含まれるリレーコイル21aの第2端)に接続されている。なお、外部端子T13は、接地端(=接地電圧GNDの印加端)にも接続されている。外部端子T14は、イネーブル信号EN(=メカリレー20のオン/オフ制御信号に相当)の印加端に接続されている。
スイッチ出力部100は、上側スイッチ110(例えば、PMOSFET[P-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor])と、下側スイッチ120(例えば、NMOSFET[N-channel type MOSFET])を含み、直流入力電圧Viからパルス出力電圧Voを生成してメカリレー20の電磁部21(特にこれに含まれるリレーコイル21a)に供給する。
スイッチ出力部100の接続関係について述べる。上側スイッチ110のソースとバックゲートは、いずれも外部端子T11に接続されている。上側スイッチ110のドレインと下側スイッチ120のドレインは、いずれも外部端子T12に接続されている。下側スイッチ120のソースとバックゲートは、いずれも外部端子T13に接続されている。
上側スイッチ110のゲートには、上側ゲート信号G1が入力されている。上側スイッチ110は、上側ゲート信号G1がハイレベル(=Vi)であるときにオフし、上側ゲート信号G1がローレベル(=VregB=Vi-Vreg、ただし、Vregは所定の内部電源電圧)であるときにオンする。
下側スイッチ120のゲートには、下側ゲート信号G2が入力されている。下側スイッチ120は、下側ゲート信号G1がハイレベル(=Vreg)であるときにオンし、下側ゲート信号G2がローレベル(=GND)であるときにオフする。
上側スイッチ110がオンして下側スイッチ120がオフしているときには、パルス出力電圧Voがハイレベル(=Vi)となる。一方、上側スイッチ110がオフして下側スイッチ120がオンしているときには、パルス出力電圧Voがローレベル(=GND)となる。このように、パルス出力電圧Voは、直流入力電圧Viと接地電圧GNDとの間でパルス駆動される矩形波電圧となる。
ローパスフィルタ部300は、パルス制御装置10の内部において、スイッチ出力部100からパルス出力電圧Voの帰還入力を受け付けており、これを鈍らせた帰還電圧Vfbを生成する。なお、ローパスフィルタ部300の入力端は、上側スイッチ110と下側スイッチ120との接続ノード(=外部端子T12)に接続されている。
出力帰還制御部200は、帰還電圧生成部300から帰還電圧Vfbの入力を受け付けており、パルス出力電圧Voの平均値が所定の目標平均値Voave(例えばDC5V)となるように、上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2をそれぞれ生成してスイッチ出力部100を制御する。なお、出力帰還制御部200は、コンパレータ220と、オン時間設定部230と、ゲート制御部240と、を含む。なお、目標平均値Voaveは5Vに限られないが、入力電圧(6V~60V)よりも小さい電圧であることが好ましい。
コンパレータ220は、反転入力端(-)に入力される帰還電圧Vfbと非反転入力端(+)に入力される基準電圧Vref(=例えば電源変動や温度変動に依存しないバンドギャップ基準電圧)とを比較してセット信号S1を生成する。セット信号S1は、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低いときにハイレベル(=Vreg)となり、逆に、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高いときにローレベル(=GND)となる。
オン時間設定部230は、ゲート制御部240からゲート制御信号S3(詳細は後述)の入力を受け付けており、上側スイッチ110がオンされてから所定のオン時間Tonが経過した後、リセット信号S2にトリガパルスを発生させる。
ゲート制御部240は、セット信号S1とリセット信号S2に応じて上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2を生成する。
なお、本実施形態における出力帰還制御部200は、帰還電圧Vfbに基づいて、ヒステリシス制御方式(本図の例では、ボトム検出オン時間固定方式)により、スイッチ出力部100を制御する。この出力帰還制御動作については、後ほど詳細に説明する。
また、出力帰還制御部200は、外部端子T14に入力されるイネーブル信号ENに応じてパルス出力電圧Voの生成可否が制御される。より具体的に述べると、出力帰還制御部200は、イネーブル信号ENがハイレベル(=コイル通電時の論理レベル)であるときにアクティブ状態(=パルス出力電圧Voの生成が許可された状態)となり、イネーブル信号ENがローレベル(=コイル非通電時の論理レベル)であるときにシャットダウン状態(=パルス出力電圧の生成が禁止された状態)となる。なお、イネーブル信号ENがローレベルからハイレベルに立ち上げられたとき、ゲート制御部240は、上側スイッチ110をオンして下側スイッチ120をオフする状態から起動する。
上記したように、本実施形態のパルス制御装置10であれば、リレーコイル21aに印加されるパルス出力電圧Voの平均値を所定の目標平均値Voaveに保つことが可能となる。従って、直流入力電圧Viの電圧値に依ることなく、リレーコイル21aを統一することが可能となるので、コスト面や管理面で非常に有利となる。
また、本実施形態のパルス制御装置10は、パルス出力電圧Voを平滑せずにそのままリレーコイル21aに供給する。従って、パルス制御装置10に外付けされる平滑フィルタ(コイルやキャパシタなどのディスクリート部品)を削減することができるので、回路面積の縮小やコストダウンを実現することが可能となる。
なお、リレーコイル21aに対してパルス出力電圧Voを直接供給する構成であれば、一般的なDC/DCコンバータほど高周波駆動を行う必要がなくなる。従って、パルス出力電圧Voのスイッチング周波数Fswを引き下げることにより、発熱の問題を解消することが可能となる。また、一般的なDC/DCコンバータと比べて、パルス制御装置10に集積化されるチップを大幅にシュリンクすることも可能となる。
さらに、パルス制御装置10では、パルス出力電圧Voの帰還入力を受け付けて、その出力帰還制御が行われている。従って、従来のオープン制御(特許文献1など)と比べてパルス出力電圧Voのばらつきを抑えることが可能となる。
以下では、パルス制御装置10の各部構成について、具体例を挙げながら詳述する。
<ローパスフィルタ部>
図4は、ローパスフィルタ部300の一構成例を示す図である。本構成例のローパスフィルタ部300は、抵抗301及び302(抵抗値:R301及びR302)と、キャパシタ303と、を含む。抵抗301は、パルス出力電圧Voの帰還入力端(=外部端子T12)と帰還電圧Vfbの出力端との間に接続されている。抵抗302とキャパシタ303は、帰還電圧Vfbの出力端と接地端との間に並列接続されている。
なお、抵抗301及び302は、パルス出力電圧Voの分圧電圧(={R302/(R301+R302)}×Vo)を生成する分圧手段として機能し、キャパシタ303は、上記分圧電圧を鈍らせて三角波状の帰還電圧Vfbを生成する平滑手段として機能する。このように、帰還電圧Vfbは、パルス出力電圧Voの分圧電圧をキャパシタ303で鈍らせたものであり、ローパスフィルタ部300には、平滑用のコイルが含まれていない。
また、パルス出力電圧Voのハイレベル(=Vi)がコンパレータ220の入力ダイナミックレンジに収まっている場合には、抵抗301及び302を割愛し、パルス出力電圧Voそのものをキャパシタ303で鈍らせてもよい。
<オン時間設定部>
図5は、オン時間設定部230の一構成例を示す図である。本構成例のオン時間設定部230は、抵抗231と、キャパシタ232と、スイッチ233と、コンパレータ234と、を含む。
抵抗231は、直流入力電圧Viの印加端(=外部端子T11)と充電電圧Vchgの出力端との間に接続されている。キャパシタ232とスイッチ233は、充電電圧Vchgの出力端と接地端との間に並列接続されている。スイッチ233の制御端は、ゲート制御信号S3の印加端に接続されている。
スイッチ233は、ゲート制御信号S3(延いては上側スイッチ110と下側スイッチ120それぞれのオン/オフ状態)に応じてキャパシタ232の充放電を切り替える充放電スイッチとして機能する。具体的に述べると、スイッチ233は、ゲート制御信号S3がハイレベル(=上側スイッチ110をオンして下側スイッチ120をオフするときの論理レベル)であるときにオフし、ゲート制御信号S3がローレベル(=上側スイッチ110をオフして下側スイッチ120をオンするときの論理レベル)であるときにオンする。
スイッチ233がオフされているときには、直流入力電圧Viの印加端から抵抗231を介して流れる充電電流Ichgによりキャパシタ232が充電されるので、充電電圧Vchgが上昇する。このとき、充電電圧Vchgは、直流入力電圧Viに応じた傾きを持って上昇する。一方、スイッチ233がオンされているときには、スイッチ233を介してキャパシタ232が放電されるので、充電電圧Vchgが接地電圧GNDまで速やかに低下する。
コンパレータ234は、非反転入力端(+)に入力される充電電圧Vchgと、反転入力端(-)に入力される基準電圧VREF(=例えば、電源変動や温度変動に依存しないバンドギャップ基準電圧)とを比較してリセット信号S2を生成する。リセット信号S2は、充電電圧Vchgが基準電圧VREFよりも高いときにハイレベル(=Vreg)となり、逆に、充電電圧Vchgが基準電圧VREFよりも低いときにローレベル(=GND)となる。なお、基準電圧VREFは、先出の基準電圧Vref(図2)と同電圧であってもよいし、異電圧であってもよい。
<ゲート制御部>
図6は、ゲート制御部240の一構成例を示す図である。本構成例のゲート制御部240は、Dフリップフロップ241と、レベルシフタ242と、ドライバ243及び244と、を含む。
Dフリップフロップ241は、クロック端に入力されるセット信号S1(例えばその立上りエッジ)に応じて、出力端Qのゲート制御信号S3をハイレベル(=データ端Dに印加されている内部電源電圧Vreg)にセットし、リセット端に入力されるリセット信号S2(例えばその立上りエッジ)に応じて、出力端Qのゲート制御信号S3をローレベル(=GND)にリセットする。なお、Dフリップフロップ241に代えてRSフリップフロップを用いることも可能である。
レベルシフタ242は、Vreg-GND間でパルス駆動されるゲート制御信号S3の入力を受けて、Vi-VregB間でパルス駆動されるレベルシフト済みのゲート制御信号S3Hを出力する。
ドライバ243は、ゲート制御信号S3Hの入力を受けて上側ゲート信号G1を生成する。本図の例では、ドライバ243が3段のインバータから成る。従って、上側ゲート信号G1は、ゲート制御信号S3Hがハイレベルであるときにローレベル(=VregB)となり、ゲート制御信号S3Hがローレベルであるときにハイレベル(=Vi)となる。
一方、ドライバ244は、ゲート制御信号S3の入力を受けて下側ゲート信号G2を生成する。本図の例では、ドライバ244が3段のインバータから成る。従って、下側ゲート信号G2は、ゲート制御信号S3がハイレベルであるときにローレベル(=GND)となり、ゲート制御信号S3がローレベルであるときにハイレベル(=Vreg)となる。
このように、上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2は、いずれも同一の論理レベルとなるので、上側スイッチ110と下側スイッチ120は、相補的(排他的)にオン/オフ制御される。なお、本明細書中で用いられる「相補的(排他的)」という文言は、上側スイッチ110と下側スイッチ120のオン/オフが完全に逆転している場合のほか、貫通電流防止の観点から上側スイッチ110と下側スイッチ120のオン/オフ遷移タイミングに所定の遅延が与えられている場合(同時オフ期間が設けられている場合)も含む。
<出力帰還制御動作>
図7は、パルス制御装置10による出力帰還制御動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、帰還電圧Vfb(実線)及び基準電圧Vref(一点鎖線)、セット信号S1、充電電圧Vchg(実線)及び基準電圧VREF(一点鎖線)、リセット信号S2、ゲート制御信号S3、上側ゲート信号G1、下側ゲート信号G2、並びに、パルス出力電圧Voが描写されている。
時刻t1において、上側スイッチ110のオフ期間中(G1=G2=H)に、帰還電圧Vfbが基準電圧Vref(=ボトム検出閾値に相当)まで低下すると、セット信号S1がローレベル(=GND)からハイレベル(=Vreg)に立ち上がるので、ゲート制御信号S3がローレベル(=GND)からハイレベル(=Vreg)にセットされる。
従って、時刻t1から所定の遅延時間d(=主にドライバ243及び244における信号遅延時間)が経過した時刻t2において、上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2がいずれもローレベル(G1=VregB、G2=GND)となるので、上側スイッチ110がオンして、下側スイッチ120がオフする。その結果、パルス出力電圧Voがローレベル(=GND)からハイレベル(=Vi)に立ち上がるので、帰還電圧Vfbが低下から上昇に転ずる。なお、セット信号S1は、上側スイッチ110のオン期間中(G1=G2=L)に、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefまで上昇するとローレベルに復帰する。
また、時刻t1では、ゲート制御信号S3のハイレベル遷移に伴い、オン時間設定部230のスイッチ233がオフとなる。従って、充電電流Ichgによるキャパシタ232の充電が開始されるので、充電電圧Vchgは、直流入力電圧Viに応じた傾きを持って上昇する。
その後、時刻t3において、充電電圧Vchgが基準電圧VREF(=オン時間Tonの満了検出閾値に相当)まで上昇すると、リセット信号S2がローレベル(=GND)からハイレベル(=Vreg)に立ち上がるので、ゲート制御信号S3がハイレベルからローレベルにリセットされる。
従って、時刻t3から遅延時間dが経過した時刻t4において、上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2がいずれもハイレベル(G1=Vi、G2=Vreg)となるので、上側スイッチ110がオフして、下側スイッチ120がオンする。その結果、パルス出力電圧Voがハイレベルからローレベルに立ち下がるので、帰還電圧Vfbが再び上昇から低下に転ずる。
また、時刻t3では、ゲート制御信号S3のローレベル遷移に伴い、オン時間設定部230のスイッチ233がオンとなる。従って、キャパシタ232がスイッチ233を介して放電されるので、充電電圧Vchgが接地電圧GNDまで速やかに低下し、リセット信号S2が遅滞なくローレベルに立ち下がる。
時刻t5以降においても、上記と同様の動作が繰り返されることにより、パルス出力電圧Voの平均値が所定の目標平均値Voaveとなるように、パルス出力電圧VoのオンデューティDon(=Ton/T、すなわち、スイッチング周期Tに占めるオン時間Tonの割合)が制御される。
ここで、オン時間設定部230では、オン時間Ton(=充電電圧Vchgの上昇開始から基準電圧VREFを上回るまでの所要時間に相当)が固定値として設定されるのではなく、直流入力電圧Viに応じた変動値として設定されている。
具体的に述べると、オン時間設定部230では、直流入力電圧Viが高いほど充電電圧Vchgの傾きが大きくなるので、オン時間Tonが短縮され、逆に、直流入力電圧Viが低いほど充電電圧Vchgの傾きが小さくなるので、オン時間Tonが延長される。すなわち、オン時間Tonと直流入力電圧Viとの間には、次の(1)式が成立する。
Ton=α/Vi(ただしαは比例定数) … (1)
一方、パルス出力電圧VoのオンデューティDon(=Ton/T)は、次の(2)式で示すように、パルス出力電圧Voの目標平均値Voaveと直流入力電圧Viとの比で表すことができる。
Don=Ton/T=Voave/Vi … (2)
上記した(1)式と(2)式から、パルス出力電圧Voのスイッチング周期Tは、次の(3)式で表される。
T=(α/Vi)×(Vi/Voave)=α/Voave … (3)
ここで、比例定数αとパルス出力電圧Voの目標平均値Voaveはいずれも固定値であることから、スイッチング周期T(延いてはスイッチング周波数Fsw(=1/T))が一定値となることが分かる。なお、スイッチング周波数Fswは、人間の可聴周波数帯域(一般には20Hz~20kHz)よりも高い値(例えばFsw=100kHz以上)に設定することが望ましい。このような構成とすることにより、音鳴りの問題を解消することが可能となる。
このように、本実施形態では、ヒステリシス制御方式の一つであるボトム検出オン時間固定方式を採用しつつ、オン時間Tonに直流入力電圧Viへの依存性を持たせておくことにより、パルス出力電圧VoのPWM制御を行う構成を例に挙げたが、スイッチング周波数Fswの変動がある程度許容されるのであれば、オン時間Tonを固定値としてパルス出力電圧VoのPFM[pulse frequency modulation]制御を行う構成としてもよい。また、ボトム検出オン時間固定方式に代えて、ピーク検出オフ時間設定方式を採用することも可能である。
<第2実施形態>
図8は、メカリレーを備えた電気機器の第2実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1は、先出の第1実施形態(図2)をベースとしつつ、パルス制御装置10の出力帰還制御部200にタイマ250が追加されている点に特徴を有する。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、図2と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
タイマ250は、イネーブル信号ENがハイレベル(=コイル通電時の論理レベル)に立ち上げられたときにカウント動作を開始し、そのカウント値に応じて基準電圧Vrefの切替制御を行う。以下、具体例を挙げて詳細に説明する。
図9は、タイマ250による基準電圧切替動作の一例を示したタイミングチャートであり、上から順に、平均励磁電流Ioave(=励磁電流Ioの平均値)、イネーブル信号EN、及び、基準電圧Vrefが描写されている。
時刻t11において、イネーブル信号ENがハイレベルに立ち上げられると、タイマ250は、基準電圧Vrefを上側電圧値VrefHに設定するとともに、過励磁期間Txのカウント動作を開始する。なお、上側電圧値VrefHは、平均励磁電流Ioaveが動作電流値IH(=Vi×Don/RL、ただし、RLはリレーコイル21aの抵抗成分値)を上回るように設定されている。従って、イネーブル信号ENがハイレベルに立ち上げられたときには、メカリレー20を確実にオン状態に切り替えることができる。
その後、時刻t12において、過励磁期間Txが経過すると、タイマ250は、基準電圧Vrefを下側電圧値VrefL(<VrefH)まで引き下げる。なお、下側電圧値VrefLは、平均励磁電流Ioaveが復帰電流値ILを下回らないように設定されている。従って、イネーブル信号ENがハイレベルとされている間、メカリレー20をオン状態に維持するための消費電力を削減することが可能となる。
なお、本実施形態では、タイマ250を用いて基準電圧Vrefの切替制御を行う構成を例示したが、例えば、励磁電流Ioの検出手段を用意しておき、平均励磁電流Ioaveが動作電流値IHを上回るまで、基準電圧Vrefを上側電圧値VrefHに設定し、その後、基準電圧Vrefを下側電圧値VrefLに引き下げる構成としてもよい。
また、基準電圧Vrefを切り替えるということは、パルス出力電圧Voの目標平均値Voaveを切り替えるということに他ならない。これを鑑みると、出力帰還制御部200については、パルス出力電圧Voの生成動作を開始してから平均励磁電流Ioaveが少なくとも動作電流値IHを上回るまで、パルス出力電圧Voの目標平均値Voaveを第1レベルに設定し、その後、平均励磁電流Ioaveが復帰電流値ILを下回らない範囲で、パルス出力電圧Voの目標平均値Voaveを第1レベルよりも低い第2レベルに引き下げることができる限り、いかなる構成を採用してもよいと言える。
<第3実施形態>
図10は、メカリレーを備えた電気機器の第3実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1は、先出の第2実施形態(図8)をベースとしつつ、パルス制御装置10に外付けされるディスクリート部品として、回生ダイオード30とフィルタ40が追加されている点に特徴を有する。そこで、第2実施形態と同様の構成要素については、図8と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、第3実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
メカリレー20(特にリレーコイル21a)に対して並列に回生ダイオード30が接続されている場合には、本図で示したように、パルス出力電圧Voのスパイクノイズを除去するためのフィルタ40を設けておくことが望ましい。フィルタ40としては、コイル41とキャパシタ42を含むLCフィルタを用いればよい。このような構成とすることにより、回生ダイオード30の耐圧を不必要に高めずに済むので、電気機器1のコストダウンを図ることが可能となる。
また、フィルタ40は、パルス出力電圧Voのノイズ除去を目的とするものであり、パルス出力電圧Voの平滑化を目的とするものではない。従って、フィルタ40のL値及びC値は、DC/DCコンバータにおける出力平滑フィルタのそれと比べて、1/10以下の大きさで済む。
具体的に述べると、メカリレー20の定数にも依るが、スイッチング周波数Fsw=100kHz、リップル電圧ΔVo/2=1Vでの試算において、DC/DCコンバータの出力平滑フィルタでは、(L,C)=(33μH,330μF)程度に設定する必要がある。これに対して、本実施形態のフィルタ40であれば、(L,C)=(3.3μH,22μF)、(5μH,10μF)、(8μH,5μF)程度に設定すれば足りる。リップル電圧の許容量の増大、高周波数化によって、フィルタ40の(L,C)をさらに小さく設定することも可能である。
また、DC/DCコンバータの出力平滑フィルタでは、そのLC値が位相設計に関わってくるので、これを自由に変更をすることは難しい。一方、本実施形態のフィルタ40であれば、そのLC値が系の安定性に影響を与えないほどの小さい値となる。従って、メカリレー20の用途(延いてはユーザの意思)に応じて、フィルタ40のLC値を自由に変更することが可能である。
なお、本実施形態では、第2実施形態(図8)をベースとした例を挙げたが、第1実施形態(図2)をベースとしつつ、回生ダイオード30とフィルタ40を追加することも当然に可能である。
<第4実施形態>
図11は、メカリレーを備えた電気機器の第4実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1は、先の第1実施形態(図2)をベースとしつつ、出力帰還制御部200における出力帰還制御方式として、ヒステリシス制御方式(ボトム検出オン時間固定方式)ではなく電圧モード制御方式が採用されている点に特徴を有する。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、図2と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、第4実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
本実施形態のパルス制御装置10において、出力帰還制御部200は、電圧モード制御方式の採用に伴い、先出のコンパレータ220とオン時間設定部230に代えて、エラーアンプ260と、オシレータ270と、コンパレータ280と、を含む。
エラーアンプ260は、反転入力端(-)に入力される帰還電圧Vfbと非反転入力端(+)に入力される基準電圧Vref(=例えば電源変動や温度変動に依存しないバンドギャップ基準電圧)との差分に応じた誤差信号Saを生成する。誤差信号Saは、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分が大きいほど高くなり、逆に、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分が小さいほど低くなる。
オシレータ270は、所定のスイッチング周波数Fswで、矩形波状のセット信号S1と三角波状、鋸波状、または、n次スロープ波状のスロープ信号Sbを生成する。
コンパレータ280は、反転入力端(-)に入力される誤差信号Saと、非反転入力端(+)に入力されるスロープ信号Sbとを比較してリセット信号S2を生成する。リセット信号S2は、スロープ信号Sbが誤差信号Saよりも高いときにハイレベル(=Vreg)となり、逆に、スロープ信号Sbが誤差信号Saよりも低いときにローレベル(=GND)となる。
このような回路構成を採用することにより、出力帰還制御部200では、パルス出力電圧Voの平均値が所定の目標平均値Voaveとなるように、電圧モード制御方式によるパルス出力電圧VoのPWM制御が行われる。
なお、本実施形態では、第1実施形態(図2)をベースとした例を挙げたが、第2実施形態(図8)と同様、基準電圧Vrefの切替機能を持たせてもよい。
また、本実施形態では、電圧モード制御方式の採用例を挙げたが、電流モード制御方式を採用しても構わない。その場合には、例えば、励磁電流Ioに応じた電流検出信号を用いて、誤差信号Saまたはスロープ信号Sbにオフセットを与えてやればよい。
このように、平滑されていないパルス出力電圧Voの帰還入力を受け付けて出力帰還制御を実施することができるのであれば、その出力帰還制御方式については、一切不問であり、例えば、ヒステリシス制御方式、電圧モード制御方式、または、電流モード制御方式のいずれであってもよい。
<第5実施形態>
図12は、発光ダイオード(以下では、LED[light emitting diode]と呼ぶ)を備えたメカリレーの一例を示す図である。本構成例のメカリレー20は、先に説明した電磁部21及び接点機構部22(本図ではリレーコイル21aのみを明示)のほかに、抵抗23とLED24を含んでいる。なお、抵抗23の第1端は、リレーコイル21aの第1端とともに、外部端子T21に接続されている。抵抗23の第2端は、LED24のアノードに接続されている。LED24のカソードは、リレーコイル21aの第2端とともに、外部端子T22に接続されている。
図13は、LEDを備えたメカリレーの別の一例を示す図である。本構成例のメカリレー20も、先出の図12と同じく、抵抗23とLED24を備えている。ただし、本構成例のメカリレー20では、リレーコイル21aがリレーコイル21a1及び21a2に分割されており、リレーコイル21a2に抵抗23とLED24が並列接続されている。
上記いずれの構成を採用するにせよ、LED24を備えたメカリレー20であれば、リレーコイル21aへの通電時にLED24が点灯する。従って、LED24の点消灯状態を視認することにより、メカリレー20の動作確認や故障判定を行うことが可能となる。
しかしながら、このようなLED搭載型のメカリレー20にパルス出力電圧Voを直接印加すると、パルス出力電圧Voがローレベル(=GND)からハイレベル(=Vi)に立ち上がる毎に過大な電流がLED24に流れるので、LED24を壊してしまうおそれがある。以下では、メカリレー20のパルス駆動を行いつつ、LED24を安全に点灯することのできる新規な実施形態を提案する。
図14は、メカリレーを備えた電気機器の第5実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1は、パルス制御装置10とメカリレー20を有する。この点については、これまでに説明してきた第1~第4実施形態と何ら変わるところはない。なお、既出構成要素の一部(出力帰還制御部200、ローパスフィルタ部300、接点機構部22など)については、その図示が適宜省略されている。
一方、メカリレー20は、先出の図12や図13と同じく、抵抗23とLED24を備えており、パルス制御装置10には、LED24を安全に点灯するための手段として、LED駆動部400が追加されている。また、パルス制御装置10とメカリレー20には、LED駆動部400からLED24に駆動電流ILEDを供給するための外部端子T15及びT25が新たに設けられている。以下、これらの変更点について重点的に説明する。
LED駆動部400(=発光素子駆動部に相当)は、スイッチ出力部100からリレーコイル21aに対してパルス出力電圧Voが供給されている間、一定の駆動電流ILEDを生成する。なお、駆動電流ILEDは、パルス制御装置10の外部端子T15からメカリレー20の外部端子T25に向けて供給される。
抵抗23の第1端は、リレーコイル21aの第1端が接続されている外部端子T21ではなく、新たに設けられた外部端子T25に接続されている。抵抗23の第2端は、LED24のアノードに接続されている。LED24のカソードは、リレーコイル21aの第2端とともに、外部端子T22に接続されている。
このように、LED24をパルス出力電圧Voの印加端(=外部端子T21)から切り離し、別の経路で一定の駆動電流ILEDを供給する構成であれば、パルス出力電圧Voの立上り毎に過大な電流がLED24に流れることはないので、LED24を壊してしまうおそれがなくなる。従って、メカリレー20のパルス駆動を行いつつ、LED24を安全に点灯することが可能となる。
図15は、LED駆動部400の一例を示す図である。本構成例のLED駆動部400は、NMOSFET401と抵抗402を含む。NMOSFET401のドレインは、外部端子T15に接続されている。NMOSFET401のソースとバックゲートは、接地端に接続されている。NMOSFET401のゲートには、入力信号Siが入力されている。抵抗402の第1端は、電源端に接続されている。抵抗402の第2端は、外部端子T15に接続されている。
入力信号Siがハイレベルであるときには、NMOSFET401がオンするので、外部端子T15と接地端との間が導通される。従って、パルス制御装置10からメカリレー20に駆動電流ILEDが供給されないので、LED24が消灯する。
一方、入力信号Siがローレベルであるときには、NMOSFET401がオフするので、外部端子T15と接地端との間が遮断される。その結果、電源端から、抵抗402、外部端子T15、外部端子T25、抵抗23、及び、LED24を介して接地端に至る電流経路に駆動電流ILEDが流れるので、LED24が点灯する。
このように、LED駆動部400の出力段として、入力信号Siに応じて駆動電流ILEDをオン/オフするオープンドレイン出力段を用いることにより、極めて簡易な回路構成でLED24の点消灯制御を実現することが可能となる。
なお、入力信号Siとしては、例えば、イネーブル信号ENの論理反転信号を用いればよい。この場合、イネーブル信号ENがハイレベル(=コイル通電時の論理レベル)であるときには、入力信号Siがローレベルとなり、NMOSFET401がオフするので、駆動電流ILEDの供給が行われてLED24が点灯する。一方、イネーブル信号ENがローレベル(=コイル非通電時の論理レベル)であるときには、入力信号Siがハイレベルとなり、NMOSFET401がオンするので、駆動電流ILEDの供給が停止されてLED24が消灯する。
また、LED駆動部400は、その有効/無効(=外部端子T15の有効/無効)をパルス制御装置10の外部から任意に切替可能な構成にしておくとよい。なお、LED駆動部400が有効であるときには、先述の通り、入力信号Siに応じて駆動電流ILEDのオン/オフ制御が行われる。一方、LED駆動部400が無効であるときには、例えば、外部端子T15がローレベルに固定される。
このような構成とすることにより、メカリレー20がLED搭載型であるか否かを問わず、その適切な駆動制御を行うことができるので、パルス制御装置10の汎用性を高めることが可能となる。
<第6実施形態>
図16は、メカリレーを備えた電気機器の第6実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1は、先の第5実施形態(図14)をベースとしつつ、パルス制御装置10がメカリレー20に内蔵されている点に特徴を有する。以下、パルス制御装置10の外部端子T11~T15、並びに、メカリレー20の外部端子T21~T22及び外部端子T26(=外部端子T25に代えて新設)の接続関係を中心に説明する。
パルス制御装置10の外部端子T11は、メカリレー20の内部において、メカリレー20の外部端子T21に接続されている。なお、外部端子T21は、メカリレー20の外部において、直流入力電圧Viの印加端に接続されている。
パルス制御装置10の外部端子T12は、メカリレー20の内部において、リレーコイル21aの第1端に直接接続されている。
パルス制御装置10の外部端子T13は、メカリレー20の内部において、メカリレー20の外部端子T22、リレーコイル21aの第2端、及び、LED24のカソードに接続されている。なお、外部端子T22は、メカリレー20の外部において、接地端に接続されている。
パルス制御装置10の外部端子T14は、メカリレー20の内部において、メカリレー20の外部端子T26に接続されている。なお、外部端子T26は、メカリレー20の外部において、イネーブル信号ENの印加端に接続されている。ただし、イネーブル信号ENの入力を受け付けない場合には、メカリレー20の外部端子T26を割愛し、メカリレー20の内部において、パルス制御装置10の外部端子T11と外部端子T14をショートしておいても構わない。このような接続を行った場合には、直流入力電圧Viが供給されている間、外部端子T14がハイレベル(EN=Hに相当)となるので、リレーコイル21aへの常時通電が行われることになる。
パルス制御装置10の外部端子T15は、メカリレー20の内部において、抵抗23の第1端と接続されている。抵抗23の第2端は、先にも述べたように、LED24のアノードに接続されている。
このように、メカリレー20にパルス制御装置10を内蔵すれば、パルス制御装置10の分の実装面積を削減することができるので、電気機器1の小型化や軽薄化を図ることが可能となる。
なお、上記の第5実施形態(図14)と第6実施形態(図16)では、いずれも、メカリレー20に搭載される発光素子としてLEDを例に挙げたが、発光素子の種類はこれに限定されるものではなく、有機EL[electro-luminescence]素子などを用いてもよい。
<第7実施形態>
図17は、メカリレーを備えた電気機器の第7実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1は、先の第1実施形態(図2)と基本的に同一の構成であるが、スイッチ出力部100の下側スイッチ120に付随するボディダイオード120Bが明示されている。
本図で示したように、下側スイッチ120として用いられているNMOSFET(=同期整流トランジスタに相当)には、そのドレインをカソードとし、そのソースをアノードとするボディダイオード120Bが付随している。
このボディダイオード120Bは、上側スイッチ110と下側スイッチ120の双方がオフされたとき、例えば、メカリレー20をオンからオフに切り替えたとき、若しくは、貫通電流防止用のデッドタイムにおいて、パルス出力電圧Voのスパイクノイズを防止する回生ダイオードとして利用することができる。
従って、先の第3実施形態(図10)と異なり、外付けの回生ダイオード30を割愛することができるので、部品点数の削減による低コスト化や電気機器1の簡略化を実現することが可能となる。
なお、メカリレー20の電磁部21(特にそのリレーコイル21a)には、それほど大きな電流(数百mA)を流す必要がない。従って、ボディダイオード120Bの順方向降下電圧が外付けの回生ダイオード30に比べて高いとしても、特段の支障は生じない。
<第8実施形態>
図18は、メカリレーを備えた電気機器の第8実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1は、先の第7実施形態(図17)と基本的に同一の構成であるが、スイッチ出力部100の下側スイッチ120(=同期整流トランジスタ)に代えて、整流ダイオード130が用いられている。すなわち、スイッチ出力部100の整流方式が同期整流方式から非同期整流方式(ダイオード整流方式)に変更されている。
この場合には、整流ダイオード130が回生ダイオードとして利用されるので、先の第7実施形態(図17)と同じく、部品点数の削減による低コスト化や電気機器1の簡略化を実現することが可能となる。
<基板レス実装>
図19は、メカリレー20にパルス制御装置10を内蔵する場合の実装例(=メカリレー20の内部に敷設されたフレームに直接パルス制御装置10を実装する基板レス実装の一例)を示す図である。
本構成例のメカリレー20は、一般的なメカリレーと同じく、その下面から複数のソケット(外部端子T21及びT22を含む)が延出された台座25と、台座25の上面に固設されたボビンケース26と、ボビンケース26の周囲を取り囲んでこれを被覆するように台座25の上面に着脱される上蓋27(本図では破線で描写)と、を有する。
なお、ボビンケース26は、リレーコイル21aの捲回軸となるだけでなく、その内部に接点機構部22など(不図示)を担持している。また、ボビンケース26の側面26a~26cには、各種のソケットやリレーコイル21aと電気的に接続されるフレームFR1~FR3が敷設されている。
さらに、本構成例のメカリレー20では、フレームFR1~FR3にパルス制御装置10が直接実装されている。以下では、パルス制御装置10の実装形態の一例について、具体的に説明する。
フレームFR1は、ボビンケース26の側面26aに敷設されており、台座25を貫通して外部端子T21(=直流入力電圧Viの印加端に相当)に接続されている。
フレームFR2は、ボビンケース26の側面26aから側面26bにわたって敷設されており、リレーコイル21aの第1端に接続されている。このように、本構成例のメカリレー20では、パルス制御装置10を内蔵するために、外部端子T21からリレーコイル21aの第1端に至る導電経路がフレームFR1とフレームFR2に分割されている。
フレームFR3は、ボビンケース26の側面26aから側面26cにわたって敷設されており、台座25を貫通して外部端子T22(=接地端に相当)に接続されるとともに、リレーコイル21aの第2端にも接続されている。
パルス制御装置10は、ボビンケース26の側面26a~26cのうち、フレームFR1~FR3がいずれも敷設されている側面26aにおいて、フレームFR1~FR3の隙間となる位置に実装されている。なお、フレームFR1~FR3は、パルス制御装置10から伸びる4本の外部端子T11~T14が届く位置まで適宜敷設されている。
パルス制御装置10の外部端子T11(=電源端子に相当)と外部端子T14(=イネーブル端子に相当)は、いずれもフレームFR1に接続されている。つまり、パルス制御装置10の外部端子T11と外部端子T14は、メカリレー20の内部において、互いにショートされている。このような接続を行った場合には、外部端子T21(延いてはフレームFR1)に直流入力電圧Viが供給されている間、外部端子T14がハイレベル(EN=Hに相当)となるので、リレーコイル21aへの常時通電が行われることになる。
パルス制御装置10の外部端子T12(=スイッチ出力端子に相当)は、フレームFR2に接続されている。従って、リレーコイル21aの第1端には、パルス制御装置10の外部端子T1からパルス出力電圧Voが印加される。
パルス制御装置10の外部端子T13(=接地端子に相当)は、フレームFR3に接続されている。
このように、本構成例のメカリレー20では、その構造を利用してパルス制御装置10がフレームFR1~FR3に直接実装されている。従って、パルス制御装置10を内蔵するために別途の実装基板を必要としないので、IC内蔵メカリレーの低コスト化を実現することが可能となる。
また、実装基板を用いずにICチップを実装することにより、パルス制御装置10の導入に際して、メカリレーのピン配置変更や増加を招くことがない。従って、IC非内蔵メカリレーからIC内蔵メカリレーへの載せ替えの容易化を図ることも可能となる。
なお、パルス制御装置10の外部端子としては、これまでに説明してきたように、電源端子、スイッチ出力端子、接地端子、イネーブル端子の4本があれば足りる。そのため、本図では、4ピンパッケージのパルス制御装置10を例に挙げたが、ピン数は4ピンに限られず、より多くのピンを有する多ピンパッケージでも構わない。しかしながら、実装のし易さや実装後の視認性を鑑みると、QFN[quad flatpack no lead]やBGA[ball grid array]などと比較して、ピンがパッケージ樹脂から外側に張り出すタイプのパッケージが好ましい。
図20は、パルス制御装置10のパッケージ例を示す図であり、ここでは、互いに逆向きの2辺からそれぞれ4本ずつ、合計8本の外部端子が延出された8ピンMSOP[mini(micro) small outline package]が示されている。
図21は、メカリレー20に8ピンパッケージ(例えば図20を参照)のパルス制御装置10を内蔵する場合の実装例を示す図である。
本図において、パルス制御装置10の1ピン~4ピンは、いずれもフレームFR1に接続されている。従って、1ピン~4ピンには、先出の外部端子T11(=電源端子)及びT14(=イネーブル端子)として機能するピンが含まれている。例えば、1ピンを外部端子T11とし、4ピンを外部端子T14とし、2ピン及び3ピンをノンコネクト端子とすればよい。もちろん、1ピンと2ピンを内部でショートして外部端子T11とし、3ピンと4ピンを内部でショートして外部端子T14とするなど、種々の変形が可能であることは言うまでもない。
パルス制御装置10の5ピンと6ピンは、いずれもフレームFR2に接続されている。従って、5ピンと6ピンの少なくとも一方は、先出の外部端子T12(=スイッチ出力端子)として機能する。
パルス制御装置10の7ピンと8ピンは、いずれもフレームFR3に接続されている。従って、7ピンと8ピンの少なくとも一方は、先出の外部端子T13(=接地端子)として機能する。
<DC/DCコンバータとの相違点>
最後に、種々の実施形態で説明してきたパルス制御装置10と、比較例のDC/DCコンバータX30(特にそのコントローラICX31)との相違点について述べておく。
まず、パルス制御装置10に接続されるリレーコイル21aのインダクタンス値は、最小でも10mH以上(数十mH~数百mH)である。一方、DC/DCコンバータX30のコントローラICX31に接続されるコイルX32のインダクタンス値は、最大でも100μH以下(数μH~数十μH)である。このように、パルス制御装置10とコントローラICX31は、それぞれに接続されるコイルのインダクタンス値が大きく異なる。
次に、パルス制御装置10から出力されるパルス出力電圧Voのスイッチング周波数Fswは、20kHz~300kHz(好ましくは70kHz~140kHz)である。なお、20kHzという下限値は、人間の可聴域を考慮して設定された値であり、300kHzという上限値は、スイッチングノイズの影響を考慮して設定された値である。一方、DC/DCコンバータX30をメカリレーX20に内蔵する場合には、コントローラICX31におけるスイッチング周波数の高周波数化(例えば2MHz以上)が必須となる。このように、パルス制御装置10とコントローラICX31は、それぞれのスイッチング周波数も大きく異なる。
<第9実施形態>
図22は、メカリレーを備えた電気機器の第9実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1では、先出の第1実施形態(図2)をベースとしつつ、出力帰還制御部200における出力帰還制御方式として、電流モード制御方式が採用されている。そこで、既出の構成要素については、図2と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、第9実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
本実施形態のパルス制御装置10は、ローパスフィルタ部300に代えて電流検出部500を有する。電流検出部500は、メカリレー20の電磁部21に流れる出力電流Io(=リレーコイル21aの励磁電流)を検出して電流検出信号Vsを生成し、これを出力帰還制御部200に出力する。
なお、電流検出部500としては、例えば、図23で示すように、出力電流Ioの流れる電流経路上に挿入されて出力電流Ioに比例した電流検出信号Vs(=Io×Rs)を生成するセンス抵抗Rsを用いればよい。また、図23では、下側スイッチ120のソースと外部端子T13との間にセンス抵抗Rsを挿入しているが、その挿入位置はこれに限定されるものではなく、上側スイッチ110のソースと外部端子T11との間にセンス抵抗Rsを挿入してもよいし、或いは、上側スイッチ110または下側スイッチ120のドレインと外部端子T12との間にセンス抵抗Rsを挿入してもよい。
また、センス抵抗Rsは、スイッチ出力部100や出力帰還制御部200とともに、1つの半導体チップに集積化するとよい。ただし、センス抵抗Rsの集積化は必須でなく、半導体チップに外付けされるディスクリートの抵抗器を用いてもよい。
出力帰還制御部200は、帰還電圧Vfbではなく電流検出信号Vsの帰還入力を受け付けて出力電流Ioが一定となるようにスイッチ出力部100を制御する。以下では、本実施形態の出力帰還制御について詳述する。
コンパレータ220は、反転入力端(-)に入力される電流検出信号Vsと非反転入力端(+)に入力される基準電圧Vrefを比較してセット信号S1を生成する。セット信号S1は、電流検出信号Vsが基準電圧Vrefよりも低いときにハイレベルとなり、逆に、電流検出信号Vsが基準電圧Vrefよりも高いときにローレベルとなる。
上側スイッチ110のオフ期間中に電流検出信号Vsが基準電圧Vref(=ボトム検出閾値に相当)まで低下すると、セット信号S1がローレベルからハイレベルに立ち上がるので、上側スイッチ110がオンして下側スイッチ120がオフする。従って、出力電流Ioが増大し始めるので、電流検出信号Vsが低下から上昇に転ずる。
その後、オン時間Tonが経過すると、リセット信号S2がローレベルからハイレベルに立ち上がるので、上側スイッチ110がオフして下側スイッチ120がオンする。従って、出力電流Ioが減少し始めるので、電流検出信号Vsが再び上昇から低下に転ずる。
上記と同様の動作が繰り返されることにより、出力電流Ioの平均値が所定の目標平均値Ioaveとなるように、パルス出力電圧VoのオンデューティDonが制御される。従って、直流入力電圧Viの電圧値に依ることなく、リレーコイル21aに流れる出力電流Ioを一定値に保つことができるので、リレーコイル21aを統一することが可能となり、コスト面や管理面で非常に有利となる。
なお、本実施形態では、第1実施形態(図2)をベースとした例を挙げたが、例えば、第2実施形態(図8)と同様、基準電圧Vrefの切替機能を持たせてもよい。
<第10実施形態>
図24は、メカリレーを備えた電気機器の第10実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1では、先の第9実施形態(図22及び図23)と同じく、出力帰還制御方式として電流モード制御方式(ローサイド検出型)を採用しているが、出力帰還制御部200及び電流検出部500の構成に変更が加えられている。そこで、既出の構成要素については、図22及び図23と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、第10実施形態での変更点について重点的に説明する。
本実施形態のパルス制御装置10において、電流検出部500は、下側スイッチ120に流れる出力電流Ioを検出するローサイド検出型のサンプル/ホールド回路510を含む。下側スイッチ120のオン抵抗値をRonとすると、パルス出力電圧Voのローレベル(=GND-Io×Ron)は、出力電流Ioの電流値に関する情報を持つ。そこで、サンプル/ホールド回路510は、下側スイッチ120のオン期間中にパルス出力電圧Voを適切なタイミングでサンプル/ホールドすることにより、下側スイッチ120に流れる出力電流Ioに応じた電流検出信号Vsを生成する。
また、本実施形態のパルス制御装置10において、出力帰還制御部200は、エラーアンプ260と、スロープ信号生成部290と、オシレータ270と、コンパレータ280と、ゲート制御部240と、を含む。
エラーアンプ260は、電流検出部500から非反転入力端(+)に入力される電流検出信号Vsと、基準電圧生成部261から反転入力端(-)に入力される基準電圧Vrefとの差分に応じた誤差信号Saを生成する。Vs<Vrefであるときには、両者の差分が大きいほど誤差信号Saが低くなる。逆に、Vs>Vrefであるときには、両者の差分が大きいほど誤差信号Saが高くなる。本図では、エラーアンプ260として電流出力アンプ(いわゆるgmアンプ)が用いられており、エラーアンプ260の出力端に接続されたキャパシタ262を充放電することにより誤差信号Saが生成される。
スロープ信号生成部290は、パルス出力電圧Voのハイレベル電圧(=直流入力電圧Vi)に応じた傾きを持つ鋸波状のスロープ信号Sbを生成する。このように、本実施形態のパルス制御装置10では、先の第4実施形態(図11)と異なり、オシレータ270から別個に独立したスロープ信号生成部290が設けられている。
オシレータ270は、所定のスイッチング周波数Fswで矩形波状のセット信号S1を生成する。
コンパレータ280は、反転入力端(-)に入力される誤差信号Saと、非反転入力端(+)に入力されるスロープ信号Sbとを比較してリセット信号S2を生成する。リセット信号S2は、スロープ信号Sbが誤差信号Saよりも高いときにハイレベルとなり、逆に、スロープ信号Sbが誤差信号Saよりも低いときにローレベルとなる。
ゲート制御部240は、セット信号S1とリセット信号S2に応じて上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2を生成する。
このような回路構成を採用することにより、出力帰還制御部200では、出力電流Ioが一定値となるように、電流モード制御方式による出力帰還制御が行われる。
<サンプル/ホールド回路(ローサイド検出型)>
図25は、サンプル/ホールド回路510、並びに、その周辺回路であるゲート制御部240の一構成例を示す図である。
サンプル/ホールド回路510は、NMOSFET511及び512と、キャパシタ513と、電流源514と、を含む。NMOSFET511のドレインは、パルス出力電圧Voの印加端(=外部端子T12)に接続されている。NMOSFET511のソース及びバックゲートは、NMOSFET512のドレインに接続されている。NMOSFET512のソース及びバックゲートとキャパシタ513の第1端は、いずれも電流検出信号Vsの出力端に接続されている。NMOSFET511のゲートは、下側ゲート信号G2の印加端に接続されている。NMOSFET512のゲートは、ゲート信号G3の印加端に接続されている。キャパシタ513の第2端は、接地端に接続されている。電流源514の第1端は、電源端に接続されている。電流源514の第2端は、NMOSFET512のドレインに接続されている。
なお、下側ゲート信号G2とゲート信号G3の双方がハイレベルである期間には、NMOSFET511及び512が共にオンするので、パルス出力電圧Voの印加端とキャパシタ513の第1端との間が導通された状態(=サンプリング状態)となる。一方、下側ゲート信号G2とゲート信号G3の少なくとも一方がローレベルである期間には、NMOSFET511及び512の少なくとも一方がオフするので、パルス出力電圧Voの印加端とキャパシタ513の第1端との間が遮断された状態(=ホールド状態)となる。
ゲート制御部240は、RSフリップフロップ245と、インバータ246及び247と、を含む。
RSフリップフロップ245は、セット端(S)に入力されるセット信号S1とリセット端(R)に入力されるリセット信号S2に応じて、出力端(Q)から出力されるゲート信号G0の論理レベルを切り替える。より具体的に述べると、RSフリップフロップ245は、セット信号S1がハイレベルに立ち上がったときにゲート信号G0をハイレベルにセットし、リセット信号S2がハイレベルに立ち上がったときにゲート信号G0をローレベルにリセットする。
インバータ246及び247は、それぞれ、ゲート信号G0の論理レベルを反転させることにより、上側ゲート信号G1及び下側ゲート信号G2を生成する。
本構成例のサンプル/ホールド回路510において、下側スイッチ120のオン抵抗値をRonとし、NMOSFET511のオン抵抗値をRon’とすると、電流検出信号Vsの期待値は、Vs=Ron’×Iref+(GND-Ron×Io)となる。
そして、エラーアンプ260の非反転入力端(+)に電流検出信号Vsを入力し、エラーアンプ260の反転入力端(-)に接地電圧GNDを入力すると、Vs=GNDとなるように帰還が掛かる。
具体的に述べると、Vs>GNDであるとき(すなわち出力電流Ioが目標値よりも小さいとき)には、誤差信号Saが高くなる。従って、スロープ信号Sbとの交差タイミング(=リセット信号S2の立上りタイミング)が遅くなるので、スイッチ出力部100のオンデューティが大きくなる。その結果、出力電流Ioが増大するように帰還が掛かる。
一方、Vs<GNDであるとき(すなわち出力電流Ioが目標値よりも大きいとき)には、誤差信号Saが低くなる。従って、スロープ信号Sbとの交差タイミング(=リセット信号S2の立上りタイミング)が早くなるので、スイッチ出力部100のオンデューティが小さくなる。その結果、出力電流Ioが減少するように帰還が掛かる。
ところで、Vs=GNDとなる出力帰還制御は、GND-Ron×Io=GND-Ron’×Irefとなる出力帰還制御と実質的に等価である。すなわち、上記の出力帰還制御では、パルス出力電圧Voのローレベル(=GND-Io×Ron)と、負の基準電圧Vref(=GND-Ron’×Iref)とを一致させるように帰還が掛かる。
これを鑑みると、本構成例のサンプル/ホールド回路510には、負電源を要することなく、負の基準電圧Vref(=GND-Ron’×Iref)を設定することのできる基準電圧生成部261が内包されていると言える。
なお、NMOSFET511のオン抵抗値Ron’と下側スイッチ120のオン抵抗値Ronとを一致させておけば、基準電流Irefをそのまま出力電流Ioの目標値として設定することができる。
<スロープ信号生成部>
図26は、スロープ信号生成部290の一構成例を示す図である。本構成例のスロープ信号生成部290は、抵抗291と、キャパシタ292と、放電スイッチ293(ここではNMOSFET)を含む。
抵抗291は、パルス出力電圧Voの印加端(=外部端子T12)とスロープ信号Sbの出力端との間に接続されている。キャパシタ292と放電スイッチ293は、スロープ信号Sbの出力端と接地端との間に並列に接続されている。放電スイッチ293の制御端(=NMOSFETのゲート)は、ゲート信号G1の印加端に接続されている。
放電スイッチ293は、ゲート信号G1がローレベル(=上側スイッチ110をオンするときの論理レベル)であるときにオフし、ゲート信号G1がハイレベル(=上側スイッチ110をオフするときの論理レベル)であるときにオンする。
放電スイッチ293のオフ期間には、パルス出力電圧Voの印加端から抵抗291を介して流れる充電電流Islpによりキャパシタ292が充電されるので、スロープ信号Sbが上昇する。このとき、上側スイッチ110がオンしているので、Vo≒Viとなる。従って、スロープ信号Sbは、直流入力電圧Viに応じた傾きを持って上昇する。一方、放電スイッチ293のオン期間には、放電スイッチ293を介してキャパシタ292が放電されるので、スロープ信号Sbが接地電位まで速やかに低下する。
<電流モード制御(ローサイド検出型)>
図27は、電流モード制御方式(ローサイド検出型)による出力帰還制御動作を示すタイミングチャートであり、上から順に、セット信号S1、誤差信号Sa及びスロープ信号Sb、リセット信号S2、ゲート信号G0、上側ゲート信号G1、下側ゲート信号G2、ゲート信号G3、並びに、出力電流Ioが描写されている。
時刻t21において、セット信号S1がハイレベルに立ち上がると、ゲート信号G0がハイレベルにセットされる。従って、上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2がいずれもローレベルに立ち下がるので、上側スイッチ110がオンして下側スイッチ120がオフする。その結果、出力電流Ioが減少から増大に転ずる。
また、時刻t21では、上側ゲート信号G1のローレベル遷移に伴い、スロープ信号生成部290の放電スイッチ293がオフとなる。従って、充電電流Islpによるキャパシタ292の充電が開始されるので、スロープ信号Sbは、パルス出力電圧Voのハイレベル(=直流入力電圧Vi)に応じた傾きを持って上昇し始める。
その後、時刻t22において、スロープ信号Sbが誤差信号Saよりも高くなると、リセット信号S2がハイレベルに立ち上がり、ゲート信号G0がローレベルにリセットされる。従って、上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2がいずれもハイレベルに立ち上がるので、上側スイッチ110がオフして下側スイッチ120がオンする。その結果、出力電流Ioが増大から減少に転ずる。
また、時刻t22では、上側ゲート信号G1のハイレベル遷移に伴い、スロープ信号生成部290の放電スイッチ293がオンとなる。従って、キャパシタ292が放電スイッチ293を介して放電されるので、スロープ信号Sbが接地電圧GNDまで速やかに低下し、リセット信号S2が遅滞なくローレベルに立ち下がる。
なお、先にも述べたように、出力電流Ioが目標値よりも小さいときには、誤差信号Saが高くなる。従って、誤差信号Saとスロープ信号Sbとの交差タイミング(=リセット信号S2の立上りタイミング)が遅くなるので、スイッチ出力部100のオンデューティが大きくなる。その結果、出力電流Ioが増大するように帰還が掛かる。
反対に、出力電流Ioが目標値よりも大きいときには、誤差信号Saが低くなる。従って、誤差信号Saとスロープ信号Sbとの交差タイミング(=リセット信号S2の立上りタイミング)が早くなるので、スイッチ出力部100のオンデューティが小さくなる。その結果、出力電流Ioが減少するように帰還が掛かる。
以降も、上記と同様の動作が繰り返されることにより、出力電流Ioが一定値となるように、スイッチ出力部100のオンデューティが制御される。
また、出力電流Ioのローサイド検出を行う場合、ゲート信号G3の立上りタイミングは、下側ゲート信号G2の立上がりタイミングよりも所定の遅延時間δだけ遅いことが望ましく、かつ、ゲート信号G3の立下りタイミングは、下側ゲート信号G2の立下りタイミングよりも所定の遅延時間δだけ早いことが望ましい。
すなわち、下側スイッチ120がオンしてから遅延時間δが経過した後にパルス出力電圧Voのサンプリングを開始し、かつ、パルス出力電圧Voのサンプリングを終了してから遅延時間δが経過した後に下側スイッチ120をオフすることが望ましい。
このようなタイミング制御を行うことにより、スイッチングノイズの影響を受けることなく、出力電流Ioの電流値を安定的に検出することが可能となる。
<第11実施形態>
図28は、メカリレーを備えた電気機器の第11実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1において、パルス制御装置10は、先出の第10実施形態(図24)をベースとしつつ、さらに、ローパスフィルタ部300と加算部600を有する。
ローパスフィルタ部300は、パルス出力電圧Voを鈍らせて帰還信号Vfbを生成する。なお、ローパスフィルタ部300の回路構成については、先出の図4で説明した通りであるので、重複した説明は割愛する。
加算部600は、帰還信号Vfbと電流検出信号Vsとを足し合わせて帰還信号Vfb2を生成し、これを電流検出信号Vsに代えてエラーアンプ260の非反転入力端(+)に出力する。
このように、先出の第4実施形態(図11)と第10実施形態(図24)を組み合わせて実施することも可能である。
<第12実施形態>
図29は、メカリレーを備えた電気機器の第12実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1では、先の第9実施形態(図22及び図23)と同じく、出力帰還制御方式として電流モード制御方式を採用しているが、電流検出手法がローサイド検出型からハイサイド検出型に変更されている。そこで、既出の構成要素については、図22及び図23と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、第12実施形態での変更点について重点的に説明する。
本実施形態のパルス制御装置10において、電流検出部500’のセンス抵抗Rsは、上側スイッチ110のソースと外部端子T11との間に挿入されており、電流検出信号生成部IDETでは、センス抵抗Rsの両端間電圧(=Io×Rs)に応じた電流検出信号Vsが生成される。従って、出力帰還制御部200では、先述と同じく、出力電流Ioが一定値となるようにスイッチ出力部100のオンデューティを制御することができる。
ところで、上側スイッチ110としてPMOSFETを用いる場合、減電時(=直流入力電圧Viの低下時)において、上側スイッチ110のフルオン動作が可能であるという強みがある。ただし、ローサイド検出型の電流検出部500(例えば図23を参照)は、上側スイッチ110のフルオン動作時に出力電流Ioを検出することができない。そのため、ローサイド検出型の電流検出部500を用いる場合には、たとえ上側スイッチ110としてPMOSFETを用いていた場合であっても、上側スイッチ110のフルオン動作を行うことができない。
一方、ハイサイド検出型の電流検出部500’は、ローサイド検出型と異なり、スイッチ出力部100のフルオン動作時(=オンデューティ100%)でも、出力電流Ioを検出することができる。従って、上側スイッチ110としてPMOSFETを用いる場合には、上側スイッチ110のフルオン動作が可能となる。
<第13実施形態>
図30は、メカリレーを備えた電気機器の第13実施形態を示す図である。本実施形態の電気機器1では、先の第10実施形態(図24)と同じく、出力帰還制御方式として電流モード制御方式を採用しているが、電流検出手法がローサイド検出型からハイサイド検出型に変更されている。そこで、既出の構成要素については、図24と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、第13実施形態での変更点について重点的に説明する。
本実施形態のパルス制御装置10において、電流検出部500’は、上側スイッチ110に流れる出力電流Ioを検出するハイサイド検出型のサンプル/ホールド回路520を含む。上側スイッチ110のオン抵抗値をRonとすると、パルス出力電圧Voのハイレベル(=Vi-Io×Ron)は、出力電流Ioの電流値に関する情報を持つ。そこで、サンプル/ホールド回路520は、上側スイッチ110のオン期間中にパルス出力電圧Voを適切なタイミングでサンプル/ホールドすることにより、上側スイッチ110に流れる出力電流Ioに応じた電流検出信号Vsを生成する。
このような回路構成を採用することにより、出力帰還制御部200では、出力電流Ioが一定値となるように、電流モード制御方式による出力帰還制御が行われる。
なお、本実施形態のパルス制御装置10において、スロープ信号生成部290には、パルス出力電圧Voではなく、直流入力電圧Viが入力されている。先出の図26を参照して具体的に述べると、抵抗291の第1端には、パルス出力電圧Voではなく、直流入力電圧Viが印加されている。このような回路構成によっても、先述と同様のスロープ信号Sbを生成することが可能である。
また、電流検出手法をローサイド検出型からハイサイド検出型に変更した場合、基準電圧Vrefは、本図で示すように、直流入力電圧Viを基準電位として生成することが望ましい。以下では、サンプル/ホールド回路520と基準電圧生成部261それぞれの回路構成について具体的に説明する。
<サンプル/ホールド回路(ハイサイド検出型)>
図31は、サンプル/ホールド回路520、並びに、その周辺回路であるゲート制御部240及び基準電圧生成部261の一構成例を示す図である。
サンプル/ホールド回路520は、PMOSFET521とキャパシタ522を含む。PMOSFET521のドレインは、パルス出力電圧Voの印加端(=外部端子T12)に接続されている。PMOSFET521のソース及びバックゲートとキャパシタ522の第1端は、いずれも、電流検出信号Vsの出力端に接続されている。PMOSFET521のゲートは、ゲート信号G3の印加端に接続されている。キャパシタ522の第2端は、直流入力電圧Viの印加端(=外部端子T11)に接続されている。
なお、ゲート信号G3がローレベルである期間には、PMOSFET521がオンするので、パルス出力電圧Voの印加端とキャパシタ522の第1端との間が導通された状態(=サンプリング状態)となる。一方、ゲート信号G3がハイレベルである期間には、PMOSFET521がオフするので、パルス出力電圧Voの印加端とキャパシタ522の第1端との間が遮断された状態(=ホールド状態)となる。
基準電圧生成部261は、PMOSFET261a及び261bと、電流源261cとキャパシタ261dと、を含む。PMOSFET261aのソース及びバックゲートは、直流入力電圧Viの印加端(=外部端子T11)に接続されている。PMOSFET261aのゲートは、上側ゲート信号G1の印加端に接続されている。PMOSFET261a及び261bそれぞれのドレインは、電流源261cの第1端に接続されている。電流源261cの第2端は、接地端に接続されている。PMOSFET261bのソース及びバックゲートとキャパシタ261dの第1端は、いずれも基準電圧Vrefの出力端に接続されている。キャパシタ261dの第2端は、直流入力電圧Viの印加端(=外部端子T11)に接続されている。PMOSFET261bのゲートは、ゲート信号G3の印加端に接続されている。
なお、上側ゲート信号G1のローレベル期間には、PMOSFET261aがオンするので、PMOSFET261aに基準電流Irefが流れる。従って、PMOSFET261aのオン抵抗値をRon’とすると、PMOSFET261aのドレインには、基準電流Irefに応じたドレイン電圧Vd(=Vi-Iref×Ron’)が生成される。一方、上側ゲート信号G1のハイレベル期間には、PMOSFET261aがオフするので、PMOSFET261aに基準電流Irefが流れなくなる。従って、PMOSFET261aのドレインは、電気的にフローティング状態となる。
また、ゲート信号G3がローレベルである期間には、PMOSFET261bがオンするので、ドレイン電圧Vdの印加端とキャパシタ261dの第1端との間が導通された状態(=サンプリング状態)となる。一方、ゲート信号G3のハイレベル期間には、PMOSFET261bがオフするので、ドレイン電圧Vdの印加端とキャパシタ261dの第1端との間が遮断された状態(=ホールド状態)となる。
本構成例のサンプル/ホールド回路510と基準電圧生成部261において、上側スイッチ110のオン抵抗値をRonとし、PMOSFET261aのオン抵抗値をRon’とすると、電流検出信号Vsの期待値は、Vs=Vi-Ron×Ioとなり、基準電圧Vrefの期待値は、Vref=Vi-Ron’×Irefとなる。
そして、エラーアンプ260の非反転入力端(+)に電流検出信号Vsを入力し、エラーアンプ260の反転入力端(-)に基準電圧Vrefを入力すると、Vs=Vrefとなるように帰還が掛かる。
具体的に述べると、Vs>Vrefであるとき(すなわち出力電流Ioが目標値よりも小さいとき)には、誤差信号Saが高くなる。従って、スロープ信号Sbとの交差タイミング(=リセット信号S2の立上りタイミング)が遅くなるので、スイッチ出力部100のオンデューティが大きくなる。その結果、出力電流Ioが増えるように帰還が掛かる。
一方、Vs<Vrefであるとき(すなわち出力電流Ioが目標値よりも大きいとき)には、誤差信号Saが低くなる。従って、スロープ信号Sbとの交差タイミング(=リセット信号S2の立上りタイミング)が早くなるので、スイッチ出力部100のオンデューティが小さくなる。その結果、出力電流Ioが減少するように帰還が掛かる。
なお、PMOSFET261aのオン抵抗値Ron’と上側スイッチ110のオン抵抗値Ronとを一致させておけば、基準電流Irefをそのまま出力電流Ioの目標値として設定することができる。
<電流モード制御(ハイサイド検出型)>
図32は、電流モード制御方式(ハイサイド検出型)による出力帰還制御動作を示すタイミングチャートであり、先の図27と同じく、上から順に、セット信号S1、誤差信号Sa及びスロープ信号Sb、リセット信号S2、ゲート信号G0、上側ゲート信号G1、下側ゲート信号G2、ゲート信号G3、並びに、出力電流Ioが描写されている。
本図の時刻t31~t34における出力帰還制御動作は、図27の時刻t21~t24における出力帰還制御動作と変わりがないので、重複した説明を割愛し、以下では、ゲート信号G3のタイミング制御について述べる。
出力電流Ioのハイサイド検出を行う場合、ゲート信号G3の立下りタイミングは、上側ゲート信号G1の立下がりタイミングより所定の遅延時間δだけ遅いことが望ましく、かつ、ゲート信号G3の立上りタイミングは、上側ゲート信号G1の立上りタイミングよりも所定の遅延時間δだけ早いことが望ましい。
すなわち、上側スイッチ110がオンしてから遅延時間δが経過した後にパルス出力電圧Vo及びドレイン電圧Vdのサンプリングを開始し、かつ、パルス出力電圧Vo及びドレイン電圧Vdのサンプリングを終了してから遅延時間δが経過した後に上側スイッチ110をオフすることが望ましい。
このようなタイミング制御を行うことにより、スイッチングノイズの影響を受けることなく、出力電流Ioの電流値を安定的に検出することが可能となる。
<電流モード制御方式の適用対象>
なお、上記の電流モード制御方式は、その電流検出手法(ローサイド検出型及びハイサイド検出型)を問わず、図12~図16でそれぞれ説明したLED駆動機能を備えたパルス制御装置にも適用することが可能である。また、図17及び図18で示したダイオード整流方式との組み合わせも任意である。また、図19~図21に示したパッケージ形態および実装形態については、電流モード制御方式においても電圧モード制御方式と同様に適用可能である。
<スイッチ出力部の変形例>
図33は、スイッチ出力部100の変形例を示す図である。本変形例のスイッチ出力部100は、上側スイッチ110’として、PMOSFETではなくNMOSFETを用いている。この場合、ゲート制御部240では、上側スイッチ110’をオンするために、上側ゲート信号G1のハイレベルをパルス出力電圧Voのハイレベル(≒直流入力電圧Vi)よりも高く引き上げる必要がある。
そのため、パルス制御装置10は、直流入力電圧Viよりも高いブースト電圧VBをゲート制御部240に供給するための手段としてブートストラップ回路50を備えている。より具体的に述べると、パルス制御装置10は、ブートストラップ用のダイオード51を内蔵すると共に、ブートストラップ用のキャパシタ52を外付けするための外部端子T16を備えている。ただし、ブートストラップ回路50に代えてチャージポンプなどの内部昇圧電源を用いる場合には、外部端子T16は不要である。
なお、本図では先の第9実施形態(図22)をベースとしたが、スイッチ出力部100の上記変形例は、これまでに説明したいずれの実施形態にも適用することが可能である。
<総括>
以下では、これまでに説明してきた種々の実施形態について総括的に述べる。
本明細書中に開示されているパルス制御装置は、直流入力電圧からパルス出力電圧を生成して負荷に供給するスイッチ出力部と、前記パルス出力電圧の帰還入力を受けて帰還電圧を生成するローパスフィルタ部と、前記帰還電圧の入力を受け付けて前記スイッチ出力部を制御する出力帰還制御部と、を有する。なお、出力帰還制御部は、前記帰還電圧の入力を受け付けて前記パルス出力電圧の平均値が一定となるように前記スイッチ出力部を制御することが好ましい。
また、前記ローパスフィルタ部は、コイルを含まない構成にするとよい。
また、前記ローパスフィルタ部は、前記パルス出力電圧の帰還入力端と前記帰還電圧の出力端の間に接続された第1抵抗と、前記帰還電圧の出力端と接地端との間に並列接続された第2抵抗及びキャパシタと、を含むとよい。
また、前記パルス出力電圧のスイッチング周波数は、人間の可聴周波数帯域よりも高い構成にするとよい。
また、上記構成から成るパルス制御装置は、半導体装置に集積化するとよい。
また、上記構成から成るパルス制御装置は、前記負荷としてリレーコイルが接続されることにより、メカリレーの駆動装置として機能するとよい。
また、前記出力帰還制御部は、前記メカリレーのオン/オフ制御信号に応じて、前記パルス出力電圧の生成可否が制御されるとよい。
また、前記出力帰還制御部は、前記パルス出力電圧の生成動作を開始してから前記コイルに流れる励磁電流が少なくとも動作電流値を上回るまで、前記パルス出力電圧の目標平均値を第1レベルに設定し、その後、前記励磁電流が復帰電流値を下回らない範囲で、前記目標平均値を前記第1レベルよりも低い第2レベルに引き下げるとよい。
また、本明細書中に開示されている電気機器は、メカリレーと、前記メカリレーのリレーコイルにパルス出力電圧を印加する上記構成から成るパルス制御装置と、を有する。
なお、上記構成から成る電気機器は、前記パルス出力電圧のスパイクノイズを除去するフィルタをさらに有するとよい。
また、前記フィルタのLC値は、系の安定性に影響を与えない範囲で任意に選択可能であるとよい。
また、本明細書中に開示されているパルス制御装置は、メカリレーのリレーコイルにパルス出力電圧を供給するスイッチ出力部と、前記メカリレーの発光素子に出力電流を供給する発光素子駆動部と、を有する。なお、パルス制御装置の出力帰還方式については、電圧モード制御方式及び電流モード制御方式のいずれであってもよい。
また、前記発光素子駆動部は、入力信号に応じて前記出力電流をオン/オフするオープンドレイン出力段を含むとよい。
また、前記発光素子駆動部は、その有効/無効を切替可能であるとよい。
また、本明細書中に開示されている電気機器は、リレーコイル及び発光素子を備えたメカリレーと、上記構成から成るパルス制御装置と、を有する。
また、本明細書に開示されているメカリレーは、リレーコイルと、発光素子と、上記構成から成るパルス制御装置と、を有する。
また、本明細書中に開示されているパルス制御装置は、リレーコイルにパルス出力電圧を供給するスイッチ出力部を有し、前記スイッチ出力部は、前記リレーコイルに対して並列に接続された同期整流トランジスタまたは整流ダイオードを含み、前記同期整流トランジスタに付随するボディダイオードまたは前記整流ダイオードは、回生ダイオードとして利用される。なお、パルス制御装置の出力帰還方式については、電圧モード制御方式及び電流モード制御方式のいずれであってもよい。
また、本明細書中に開示されているメカリレーは、リレーコイルと、直流入力電圧が印加される第1フレームと、前記リレーコイルの第1端が接続される第2フレームと、前記リレーコイルの第2端が接続される第3フレームと、前記第1フレーム、前記第2フレーム、及び、前記第3フレームに直接実装されて前記リレーコイルにパルス出力電圧を供給するパルス制御装置と、を有する。なお、パルス制御装置の出力帰還方式については、電圧モード制御方式及び電流モード制御方式のいずれであってもよい。
また、前記パルス制御装置は、前記第1フレームに接続される電源端子と、前記第2フレームに接続されるスイッチ出力端子と、前記第3フレームに接続される接地端子と、前記第1フレームに接続されるイネーブル端子と、を有する半導体集積回路装置である。
また、前記リレーコイルのインダクタンス値は10mH以上であるとよい。
また、前記パルス出力電圧のスイッチング周波数は、20kHz~300kHzであるとよい。
また、上記複数の構成を適宜組み合わせた構成も本発明の構成に含まれる。さらに、組み合わせる構成は、上記複数の構成それぞれの一部であってもよい。例えば、パルス制御装置は、直流入力電圧から20kHz以上300kHz以下のスイッチング周波数のパルス出力電圧を生成して負荷に供給するスイッチ出力部と、前記パルス出力電圧の帰還入力を受けて生成される帰還電圧に基づいて前記スイッチ出力部を制御する出力帰還制御部とを有する構成としてもよい。前記帰還電圧は、前記パルス出力電圧の帰還入力を受けてローパスフィルタ部により生成されてもよい。そして、このようなパルス制御装置は、前記負荷として10mH以上のインダクタンス値を有するリレーコイルが接続されることにより、メカリレーの駆動装置として機能する構成としてもよい。
また、本明細書中に開示されているパルス制御装置は、スイッチング素子としてMOSFETを含み、直流入力電圧から前記MOSFETのオン/オフによりパルス出力電圧を生成して負荷に供給するスイッチ出力部と、前記負荷に流れる出力電流を検出して電流検出信号を生成する電流検出部と、前記電流検出信号の帰還入力を受け付けて前記出力電流が一定となるように前記スイッチ出力部を制御する出力帰還制御部と、を有し、前記MOSFETを含む前記スイッチ出力部、前記電流検出部、及び、前記出力帰還制御部は、1つのチップに集積化されている。
なお、前記出力帰還制御部は、前記電流検出信号と基準信号との差分に応じた誤差信号を生成するエラーアンプと、前記直流入力電圧に応じた傾きを持つスロープ信号を生成するスロープ信号生成部と、所定のスイッチング周波数でセット信号を生成するオシレータと、前記誤差信号と前記スロープ信号とを比較してリセット信号を生成するコンパレータと、前記セット信号と前記リセット信号に応じて前記スイッチ出力部の駆動信号を生成する制御部と、を含むとよい。
また、前記スイッチ出力部は、前記MOSFETとして、前記直流入力電圧の印加端と前記パルス出力電圧の印加端との間に接続された第1MOSFETと、前記パルス出力電圧の印加端と基準電位端との間に接続された第2MOSFETを含むとよい。
また、前記電流検出部は、前記パルス出力電圧をサンプル/ホールドすることにより前記電流検出信号を生成するサンプル/ホールド回路を含むとよい。
また、前記サンプル/ホールド回路は、前記第2MOSFETのオン期間に前記パルス出力電圧をサンプリングするとよい。
また、上記構成から成るパルス制御装置は、前記第2MOSFETがオンしてから所定時間が経過した後に前記出力電流のサンプリングを開始し、かつ、前記出力電流のサンプリングを終了してから所定時間が経過した後に前記第2MOSFETをオフするとよい。
また、前記サンプル/ホールド回路は、前記第1MOSFETのオン期間に前記パルス出力電圧をサンプリングするとよい。
また、上記構成から成るパルス制御装置は、前記第1MOSFETがオンしてから所定時間が経過した後に前記出力電流のサンプリングを開始し、かつ、前記出力電流のサンプリングを終了してから所定時間が経過した後に前記第1MOSFETをオフするとよい。
また、前記スロープ信号生成部は、第1端が前記パルス出力電圧又は前記直流入力電圧の印加端に接続されて第2端が前記スロープ信号の出力端に接続された抵抗と、第1端が前記スロープ信号の出力端に接続されて第2端が基準電位端に接続されたキャパシタと、前記第1MOSFETのオフ期間に前記キャパシタを放電する放電スイッチと、を含む構成にするとよい。
また、上記構成から成るパルス制御装置は、前記パルス出力電圧を鈍らせて第1帰還信号を生成するローパスフィルタ部と、前記第1帰還信号と前記電流検出信号を足し合わせて第2帰還信号を生成しこれを前記電流検出信号に代えて前記エラーアンプに出力する加算部と、をさらに有する構成にするとよい。
また、前記ローパスフィルタ部は、前記1つのチップに集積化されているとよい。
また、前記ローパスフィルタ部は、コイルを含まない構成にするとよい。
また、前記ローパスフィルタ部は、前記パルス出力電圧の帰還入力端と前記第1帰還信号の出力端との間に接続された第1抵抗と、前記第1帰還信号の出力端と基準電位端との間に並列接続された第2抵抗及びキャパシタと、を含む構成にするとよい。
また、前記スイッチング周波数は、人間の可聴周波数帯域より高い構成にするとよい。
また、前記スイッチング周波数は、20kHz~300kHzであるとよい。
前記スイッチング周波数は、70kHz~140kHzであるとよい。
また、前記直流入力電圧は、6V以上60V以下であるとよい。
また、上記構成から成るパルス制御装置は、前記負荷としてリレーコイルが接続されることにより、メカリレーの駆動装置として機能するとよい。
また、前記出力帰還制御部は、前記メカリレーのオン/オフ制御信号に応じて前記パルス出力電圧の生成可否が制御されるとよい。
また、前記出力帰還制御部は、前記パルス出力電圧の生成動作を開始してから、前記リレーコイルに流れる励磁電流が少なくとも動作電流値を上回るまで、前記パルス出力電圧の目標平均値を第1レベルに設定し、その後、前記励磁電流が復帰電流値を下回らない範囲で、前記目標平均値を前記第1レベルよりも低い第2レベルに引き下げるとよい。
また、本明細書中に開示されている電位機器は、メカリレーと、前記メカリレーのリレーコイルにパルス出力電圧を印加するパルス制御装置と、を有する構成とされている。
なお、上記構成から成る電気機器は、前記パルス出力電圧のスパイクノイズを除去するフィルタをさらに有するとい。
また、前記フィルタのLC値は、系の安定性に影響を与えない範囲で任意に選択可能であるとよい。
また、前記パルス制御装置は、前記メカリレーの筐体に収納されているとよい。
また、本明細書中に開示されているパルス制御装置は、スイッチング素子としてMOSFETを含み、直流入力電圧から前記MOSFETのオン/オフによりパルス出力電圧を生成して負荷に供給するスイッチ出力部と、前記負荷に流れる出力電流を検出して電流検出信号を生成する電流検出部と、前記電流検出信号の帰還入力を受け付けて前記出力電流が一定となるように前記スイッチ出力部を制御する出力帰還制御部と、LEDの駆動電流を生成するLED駆動部と、を有し、前記LED駆動部、前記MOSFETを含む前記スイッチ出力部、前記電流検出部、及び、前記出力帰還制御部は、1つのチップに集積化されている。
なお、上記構成から成るパルス制御装置は、前記LED駆動部により生成された駆動電流を出力する第1出力端子と、前記スイッチ出力部により生成されたパルス出力電圧を出力する第2出力端子と、を備え、第1出力端子と第2出力端子とは分離しているとよい。
また、上記構成から成るパルス制御装置は、前記パルス出力電圧の生成可否を制御するためのイネーブル信号が入力されるイネーブル信号端子をさらに備え、前記出力帰還制御部は、前記イネーブル信号が所定のレベルの場合に前記パルス出力電圧を生成するように前記スイッチ出力部を制御し、前記イネーブル信号が前記所定のレベルの場合に前記LED駆動部は、前記LEDの駆動電流を生成するとよい。
また、本明細書中に開示されているパルス制御装置は、スイッチング素子としてMOSFETを含み、直流入力電圧から前記MOSFETのオン/オフによりパルス出力電圧を生成して負荷に供給するスイッチ出力部と、前記負荷に流れる出力電流を検出して電流検出信号を生成する電流検出部と、前記電流検出信号の帰還入力を受け付けて前記出力電流が一定となるように前記スイッチ出力部を制御する出力帰還制御部と、を有し、前記スイッチ出力部は、前記MOSFETとして、前記直流入力電圧の印加端と前記パルス出力電圧の印加端との間に接続された第1MOSFETと、前記パルス出力電圧の印加端と基準電位端との間に接続された第2MOSFETと、を含み、前記第1MOSFETおよび第2MOSFETを含む前記スイッチ出力部、前記電流検出部、及び、前記出力帰還制御部は、1つのチップに集積化されている。
なお、前記第1MOSFETと前記第2MOSFETとは同期整流方式により制御されるとよい。
また、前記電流検出部は、前記第1MOSFETに流れる電流を検出するとよい。
また、前記電流検出部は、前記MOSFETのオン抵抗を用いて前記出力電流を検出するとよい。
また、前記電流検出部は、電流検出抵抗を用いて前記出力電流を検出するとよい。
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。