JP2008008396A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた低発塵性と低アウトガス性を確保した上で、保持器の剛性を低下させることなく、潤滑油の消耗期間を延長できるようにすることである。
【解決手段】保持器4を、含油性を有する布材6を埋め込んだ連通気孔を有する多孔質体5で形成し、これらの布材6と多孔質体5に低蒸気圧のアルキル化したシクロペンタン系油を潤滑油として含浸させることにより、多孔質体5の気孔率を増大させることなく、布材6と多孔質体5に多量の潤滑油を含浸可能とするとともに、布材6に潤滑油を長期間保持可能とし、保持器4の剛性を低下させることなく、潤滑油の消耗期間を延長できるようにした。
【選択図】図2
【解決手段】保持器4を、含油性を有する布材6を埋め込んだ連通気孔を有する多孔質体5で形成し、これらの布材6と多孔質体5に低蒸気圧のアルキル化したシクロペンタン系油を潤滑油として含浸させることにより、多孔質体5の気孔率を増大させることなく、布材6と多孔質体5に多量の潤滑油を含浸可能とするとともに、布材6に潤滑油を長期間保持可能とし、保持器4の剛性を低下させることなく、潤滑油の消耗期間を延長できるようにした。
【選択図】図2
Description
本発明は、転がり軸受に関し、特に、人工衛星の回転部を支持するものに好適な転がり軸受に関する。
人工衛星の回転部を支持する転がり軸受のように、真空の宇宙環境下で使用されるものは、剛性と耐久性のほかに、摩耗粉等の発生が少ない低発塵性と、潤滑剤からのガスの発生が少ない低アウトガス性が要求される。このため、このような転がり軸受の潤滑剤には、固体潤滑剤や低蒸気圧の潤滑油が用いられていたが、固体潤滑剤は粉末として外部に飛散する問題があり、低蒸気圧の潤滑油は、そのまま軸受内部に封入すると、液体として外部に飛散しやすい問題があった。
このような問題に対して、保持器を連通気孔を有する多孔質体で形成し、この多孔質体に潤滑剤として低蒸気圧の潤滑油を含浸させた転がり軸受が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。低蒸気圧の潤滑油の蒸気圧は、常温(25℃)で10−13Torrオーダのものが要求され、特許文献1に記載されたものでは、常温蒸気圧が1.0×10−13Torrのフッ素化油を用い、特許文献2に記載されたものでは、常温蒸気圧が8.5×10−13Torrのアルキル化したシクロペンタン系油を用いている。これらの潤滑油は耐荷重性にも優れているので、内外輪と転動体との転動接触等による摩耗粉の発生も抑制することができ、低発塵性にも寄与する。特に、アルキル化したシクロペンタン系油は、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性に優れ、かつ、分子鎖の結合力が強いので、より優れた低アウトガス性を有する。
特許文献1、2に記載された転がり軸受は、優れた低発塵性と低アウトガス性を有するが、人工衛星の回転部を支持する転がり軸受は、長い年月の間無給油で使用されるので、多孔質体に含浸させた低蒸気圧の潤滑油が、長期間の間に消耗して不足する問題がある。この潤滑油の消耗期間を延長するためには、多孔質体の気孔率を増大させて潤滑油の含浸量を増加させればよいが、多孔質体の気孔率を増大させると、保持器の剛性が低下して破損する恐れがある。
そこで、本発明の課題は、優れた低発塵性と低アウトガス性を確保した上で、保持器の剛性を低下させることなく、潤滑油の消耗期間を延長できるようにすることである。
上記の課題を解決するために、本発明は、内輪と外輪の間に配列された複数の転動体を、円周方向に連なる保持器で保持した転がり軸受において、前記保持器を、含油性を有する布材を埋め込んだ連通気孔を有する多孔質体で形成し、これらの布材と多孔質体に低蒸気圧の潤滑油を含浸させた構成を採用した。
すなわち、保持器を、含油性を有する布材を埋め込んだ連通気孔を有する多孔質体で形成し、これらの布材と多孔質体に低蒸気圧の潤滑油を含浸させることにより、多孔質体の気孔率を増大させることなく、布材と多孔質体に多量の潤滑油を含浸可能とするとともに、布材に潤滑油を長期間保持可能とし、保持器の剛性を低下させることなく、潤滑油の消耗期間を延長できるようにした。なお、低蒸気圧の潤滑油は、常温での蒸気圧が10−13Torrオーダのものであればよい。
前記布材を前記保持器の円周方向に連なるものとすることにより、保持器の引張強度を高めて、保持器と転動体間の進み遅れに伴って発生する引張応力による保持器の破損を防止することができる。また、万が一、保持器が破損したときに、その破片の飛散を防止して、周囲の機器等を損傷しないようにすることもできる。
前記低蒸気圧の潤滑油をアルキル化したシクロペンタン系油とすることにより、より優れた低アウトガス性を確保することができる。
前記多孔質体を熱硬化性樹脂とすることにより、高温環境下での連通気孔の閉塞を防止することができる。また、保持器と内外輪や転動体との金属接触をなくして、摩耗粉の発生を抑制することもできる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を用いることができる。
上述した各転がり軸受は、人工衛星の回転部を支持するものに好適である。
本発明の転がり軸受は、保持器を、含油性を有する布材を埋め込んだ連通気孔を有する多孔質体で形成し、これらの布材と多孔質体に低蒸気圧の潤滑油を含浸させることにより、多孔質体の気孔率を増大させることなく、布材と多孔質体に多量の潤滑油を含浸可能とするとともに、布材に潤滑油を長期間保持可能としたので、保持器の剛性を低下させることなく、潤滑油の消耗期間を延長することができる。
前記布材を保持器の円周方向に連なるものとすることにより、保持器の引張強度を高めて、保持器と転動体間の進み遅れに伴って発生する引張応力による保持器の破損を防止することができる。また、万が一、保持器が破損したときに、その破片の飛散を防止して、周囲の機器等を損傷しないようにすることもできる。
前記低蒸気圧の潤滑油をアルキル化したシクロペンタン系油とすることにより、より優れた低アウトガス性を確保することができる。
前記多孔質体を熱硬化性樹脂とすることにより、高温環境下での連通気孔の閉塞を防止することができる。また、保持器と内外輪や転動体との金属接触をなくして、摩耗粉の発生を抑制することもできる。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この転がり軸受は人工衛星の回転部を支持するものであり、図1に示すように、内輪1と外輪2の間に配列された複数の転動体としてのボール3を、円周方向に連なる保持器4で保持したアンギュラ玉軸受である。
前記保持器4は、図2(a)、(b)に示すように、円周方向に連なる2つの環状部4aの間に、柱部4bで区画された複数のポケット4cを設けたものであり、連通気孔を有するフェノール樹脂の多孔質体5に、含油性を有する綿の布材6が円周方向に連なるように埋め込まれている。これらの多孔質体5と布材6には、常温蒸気圧が8.5×10−13Torrのアルキル化したシクロペンタン系油が潤滑油として含浸されている。
前記多孔質体5は、布材6を環状にセットした型内でフェノール樹脂の粉末を焼結したものであり、その連通気孔の気孔率は、体積比で5〜25%とされている。また、布材6の厚みは保持器4の肉厚の1/5〜1/10とされ、保持器4の断面中心に埋め込まれている。
実施例として、上述したフェノール樹脂の多孔質体に綿の布材を埋め込んだ引張試験片を用意した。布材の厚みは引張試験片の板厚の1/8とし、板厚中心に埋め込んだ。比較例として、連通気孔を有する熱硬化性ポリイミド樹脂で形成した引張試験片も用意した。実施例のフェノール樹脂と比較例の熱硬化性ポリイミド樹脂の気孔率は、いずれも15%とした。これらの実施例と比較例の引張試験片について引張試験を行い、引張強さを測定した。なお、試験片のサンプル数Nはいずれも3本ずつとした。
上記引張試験の結果、比較例のものの平均引張強さが14MPaであったのに対して、布材を埋め込んだ実施例のものは、平均引張強さが43MPaであり、比較例の約3倍の引張強さを有することが分かった。
上述した実施形態では、転がり軸受をアンギュラ玉軸受とし、保持器を2つの環状部の間に柱部で区画されたポケットを設けたものとしたが、本発明に係る転がり軸受は他の玉軸受やころ軸受等にも適用することができる。保持器も実施形態のものに限定されることはなく、1つの環状部から一方向に延びる柱部を設けた冠形のものや、半球状のポケット部とその連結部を円周方向に交互に設けた一対の環状態を連結部で連結したもの等、他の形式のものにも適用することができる。
また、上述した実施形態では、保持器に埋め込まれた布材を1枚の綿布としたが、この布材は含油性を有するものであればよく、複数枚の布材を埋め込んでもよい。
1 内輪
2 外輪
3 ボール
4 保持器
4a 環状部
4b 柱部
4c ポケット
5 多孔質体
6 布材
2 外輪
3 ボール
4 保持器
4a 環状部
4b 柱部
4c ポケット
5 多孔質体
6 布材
Claims (5)
- 内輪と外輪の間に配列された複数の転動体を、円周方向に連なる保持器で保持した転がり軸受において、前記保持器を、含油性を有する布材を埋め込んだ連通気孔を有する多孔質体で形成し、これらの布材と多孔質体に低蒸気圧の潤滑油を含浸させたことを特徴とする転がり軸受。
- 前記布材を前記保持器の円周方向に連なるものとした請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記低蒸気圧の潤滑油をアルキル化したシクロペンタン系油とした請求項1または2に記載の転がり軸受。
- 前記多孔質体を熱硬化性樹脂とした請求項1乃至3のいずれかに記載の転がり軸受。
- 前記転がり軸受が人工衛星の回転部を支持するものである請求項1乃至4のいずれかに記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006179157A JP2008008396A (ja) | 2006-06-29 | 2006-06-29 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006179157A JP2008008396A (ja) | 2006-06-29 | 2006-06-29 | 転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008008396A true JP2008008396A (ja) | 2008-01-17 |
Family
ID=39066797
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006179157A Pending JP2008008396A (ja) | 2006-06-29 | 2006-06-29 | 転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008008396A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009236232A (ja) * | 2008-03-27 | 2009-10-15 | Ntn Corp | 転がり軸受 |
US8485730B2 (en) | 2008-03-27 | 2013-07-16 | Ntn Corporation | Rolling bearing |
JP2013245704A (ja) * | 2012-05-23 | 2013-12-09 | Jtekt Corp | 軸受装置 |
GB2550420A (en) * | 2016-05-20 | 2017-11-22 | Bowman Int Ltd | Rolling element bearing cage |
KR20230045396A (ko) * | 2021-09-28 | 2023-04-04 | 정찬일 | 매립 가스 유래 바이오 황을 이용한 시멘트 6가 크롬 저감제, 및 그 제조방법 |
-
2006
- 2006-06-29 JP JP2006179157A patent/JP2008008396A/ja active Pending
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JP2013245704A (ja) * | 2012-05-23 | 2013-12-09 | Jtekt Corp | 軸受装置 |
GB2550420A (en) * | 2016-05-20 | 2017-11-22 | Bowman Int Ltd | Rolling element bearing cage |
US11203051B2 (en) | 2016-05-20 | 2021-12-21 | Bowman International Limited | Rolling element bearing cage with supporting frame and reinforcing frame |
KR20230045396A (ko) * | 2021-09-28 | 2023-04-04 | 정찬일 | 매립 가스 유래 바이오 황을 이용한 시멘트 6가 크롬 저감제, 및 그 제조방법 |
KR102574091B1 (ko) | 2021-09-28 | 2023-09-01 | 정찬일 | 매립 가스 유래 바이오 황을 이용한 시멘트 6가 크롬 저감제, 및 그 제조방법 |
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