JP2008007496A - 攪拌型造粒機を用いた製剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製剤の製造過程において、流動層造粒機を用いることによる煩雑な工程を経ることなく、製剤に含まれる成分の不快な味を改善する製剤の製造方法の提供。
【解決手段】攪拌型造粒機を用いて、不快な味を有する成分を含有するコア薬剤を、不快な味を有しない成分からなるコーティング剤で被覆した粒状の経口投与製剤を製造する方法において、不快な味を有する成分を含有する薬剤を攪拌造粒によって湿式造粒してコア薬剤を形成する第一工程と、ついで、不快な味を有しない成分からなるコーティング剤を上記コア薬剤に加えて攪拌造粒によって湿式造粒する第二工程とを具備することを特徴とする、経口投与製剤の製造方法であり、複数回の湿式造粒の各造粒工程後に乾燥工程を設けることなく連続して各造粒工程を行うことができる。本発明に係る方法を用いると、従来の方法を用いた場合に比べ、経費の節約及び時間の短縮が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、経口投与される製剤の不快な味を抑制するための簡便な製剤の製造方法に関する。
従来、経口投与される製剤に含有される成分の不快な味を抑制するための製造方法としては、図2に示すように流動層造粒機等のコーティング装置を用いて成分表面をエチルセルロースなどの高分子で覆うコーティング工程や溶融造粒した粒状物に付着性の良い賦形剤を加えて再度造粒を行う方法などが行われており、流動層造粒機等のコーティング装置と不快な味を抑制するための高度な技術を必要とする(特許文献1及び2)。特許文献1の方法は、1回目、2回目ともに流動層を用いて溶融造粒という工程を行っており、低融点物質のポリエチレングリコールを加熱して溶かす必要が有る。一般に流動層造粒機は、攪拌型造粒機に比べ、同じ容量では装置が縦に長くなり設置スペースが必要であり、造粒工程と乾燥工程が一度で行えるという点は優れているが、処理量という点では、仕込みを1回毎のバッチ処理で考えると造粒時間が数分で済む攪拌造粒が優れている。(何回も造粒を繰り返し、造粒物を大型乾燥機で一度に乾燥させる方法にすれば単位処理量が多くなる。)さらに、流動層造粒機は、下から空気を送って粉体を流動状態にして造粒することから成分間に密度差があると偏析が起きる場合があること及び粉塵爆発の危険性があるなどのマイナス点がある。
一方、遠心転動型造粒機の場合、コーティングを内核の周囲に層状に形成させるために内核として球形の粒子が必要であり操作も煩雑となっている。
特開平10−236947 特開2001−172201
しかしながら、上記技術によれば不快な味を抑制するために流動層造粒機等のコーティング装置を用いた成分表面のコーティング工程や溶融造粒が必要であった。
本発明は、流動層造粒機等のコーティング装置を用いた成分表面のコーティング工程や溶融造粒などの煩雑な工程を経ることなく、製剤に含まれる成分の不快な味を改善する製造方法を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明者らは、造粒工程に関し、鋭意研究を重ねた結果、攪拌型造粒機を用いて複数回、湿式造粒を行うことで成分の不快な味を改善することを見出した。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(11)である。
(1)本発明の第1の実施態様に係る発明は、「不快な味を有する成分を含有するコア薬剤を、不快な味を有しない成分からなるコーティング剤で被覆した粒状の経口投与製剤を製造する方法において、不快な味を有する成分を含有する薬剤を攪拌造粒によって湿式造粒してコア薬剤を形成する第一工程と、ついで、不快な味を有しない成分からなるコーティング剤を上記コア薬剤に加えて攪拌造粒によって湿式造粒する第二工程とを具備することを特徴とする、経口投与製剤の製造方法。」である。
(2)本発明の第2の実施態様に係る発明は、「第一工程及び/又は第二工程を一又は複数回実施することを特徴とする、(1)に記載の経口投与製剤の製造方法。」である。
(3)本発明の第3の実施態様に係る発明は、「第一工程、第二工程、及び第一工程と第二工程の間の何れにおいても乾燥工程を実施しないことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の経口投与製剤の製造方法。」である。
(4)本発明の第4の実施態様に係る発明は、「不快な味を有する成分を含有するコア薬剤が、不快な味を有する成分と不快な味を有しない成分とを含有することを特徴とする、(1)から(3)の何れかに記載の経口投与製剤の製造方法。」である。
(5)本発明の第5の実施態様に係る発明は、「湿式造粒が、水、酸、又はアルコールから選択される結合液の存在下で行われる、(1)から(4)の何れかに記載の経口投与製剤の製造方法。」である。
(6)本発明の第6の実施態様に係る発明は、「前記不快な味を有する成分が、イブプロフェン、塩酸プソイドエフェドリン、無水カフェイン、アセトアミノフェン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸メチルエフェドリン、リン酸ジヒドロコデイン、グアヤコールスルホン酸、グアヤコールスルホン酸カリウム、塩酸メクリジン、ビタミンB1誘導体、ビタミンB2、ビタミンB6、アスコルビン酸カルシウム、ベラドンナ総アルカロイド、グリチルリチン酸から成るグループより選択されることを特徴とする、(1)から(5)の何れかに記載の経口投与製剤の製造方法。」である。
(7)本発明の第7の実施態様に係る発明は、「第二工程の最終工程において、化学的に不安定な成分を造粒することを特徴とする、(1)から(6)の何れかに記載の経口投与製剤の製造方法。」である。
(8)本発明の第8の実施態様に係る発明は、「化学的に不安定な成分を油の存在下で造粒することを特徴とする、(7)に記載の経口投与製剤の製造方法。」である。
(9)本発明の第9の実施態様に係る発明は、「前記油が、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ウイキョウ油、オレンジ油、ケイヒ油、ゴマ油、ダイズ油、チョウジ油、トウヒ油、トウモロコシ油、ハッカ油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油、ユーカリ油、ラッカセイ油、レモン油からなるグループから選択されることを特徴とする、(8)に記載の経口投与製剤の製造方法。」である。
(10)本発明の第10の実施態様に係る発明は、「前記化学的に不安定な成分が、ビタミンC(アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム)、ビタミンB1誘導体、ビタミンB2、ビタミンB6から成るグループから選択されることを特徴とする、(7)から(9)の何れか一項に記載の経口投与製剤の製造方法。」である。
(11)本発明の第11の実施態様に係る発明は、「(1)から(10)に記載の方法で製造した粒状の経口投与製剤。」である。
本発明の製造方法によれば、コーティング工程や流動層造粒機を用いての溶融造粒等の煩雑な工程無しで経口投与製剤の不快な味を改善することができる。
さらに、本発明の製造方法によれば、一度造粒した造粒物を乾燥させずに別の成分を加えて連続的に造粒を行うことができ、乾燥工程が一度で済み、迅速な造粒が実現できる。
また、本発明の製造方法によれば、相互作用のある成分を一度に造粒することができ、化学的に不安定な成分を造粒する場合に、安定性を改善することができる。
本発明は、不快な味を有する成分を含有するコア薬剤を、不快な味を有しない成分からなるコーティング剤で被覆した粒状の経口投与製剤を製造する方法において、不快な味を有する成分を含有する薬剤を攪拌造粒によって湿式造粒してコア薬剤を形成する第一工程と、ついで、不快な味を有しない成分からなるコーティング剤を上記コア薬剤に加えて攪拌造粒によって湿式造粒する第二工程とを具備することを特徴とする、経口投与製剤の製造方法である。
本発明の一実施形態を図1に示す。
本体1は攪拌型造粒機の一例を示しているが、ここで示すものに限定されるものでなく、当業者が通常用いる攪拌型造粒機であれば如何なるものでも使用可能である。
まず、本体1の内部に不快な味を有する成分を入れて1回目の造粒を行うが、その際、不快な味を有する成分以外の成分を加えて造粒してもよい。
ここで、「コア薬剤」は、不快な味を有する成分を含有するものであるが、不快な味を有する成分と不快な味を有しない成分とを含有してもよい。
また、「不快な味を有する成分」とは、製剤(錠剤、顆粒など)を経口にて服用する際に、服用者において不快感を生じさせる成分のことで、例えば、苦み、酸味、渋み、刺激感などを与える成分のことを意味する。具体的には、限定はしないが、イブプロフェン、塩酸プソイドエフェドリン、無水カフェイン、アセトアミノフェン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸メチルエフェドリン、リン酸ジヒドロコデイン、グアヤコールスルホン酸、グアヤコールスルホン酸カリウム、塩酸メクリジン、ビタミンB1誘導体、ビタミンB2、ビタミンB6、アスコルビン酸カルシウム、ベラドンナ総アルカロイド、グリチルリチン酸などの成分が含まれる。
「コーティング剤」は不快な味を有しない成分からなり、「不快な味を有しない成分」には賦形剤、滑沢剤、崩壊剤および結合剤など、その他造粒を行うにあたり必要な成分の全てが含まれる。不快な味を有しない成分には、有機系のものと無機系のものがあり、有機系のものには、限定はしないが、具体的には、乳糖、白糖(ドライシロップなど)、ブドウ糖、マンニトール、ソルビットなどの糖類や糖アルコール類、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、αデンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、、プルラン、ヒドロキシプロピルスターチなどのデンプン類やデンプン誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロースやセルロース誘導体、DLロイシンなどのアミノ酸、デキストラン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール、ゼラチン、アルギン酸ナトリウムなどの有機高分子、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩などの脂肪酸塩、又はワックス類などが含まれる。無機系のものには、限定はしないが、具体的には、ホウ酸、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどのケイ酸及びケイ酸塩及びリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、タルクなどの無機塩などが含まれる。
本発明における「被覆」とは、不快な味を有する成分を不快な味を有しない成分で覆うことをいい、不快な味を有する成分を含有するコア薬剤が不快な味を有しない成分により、経口投与製剤の味が改善される程度に覆われていればよい。
「湿式造粒」とは、粉末に結合液を加えて均質化する操作のことで、当該技術分野において通常用いられている方法であれば如何なる方法でも使用可能である。湿式造粒法においては、造粒時に加える結合液の割合が造粒物の質に大きく影響を及ぼす因子として知られているが、本発明においては、粉末の重量に対して5−200重量%の結合液を加えて実施することができ、好ましくは10−50重量%の結合液を加えることが望ましい。
本発明における「結合液」は、当該技術分野において通常用いられているものであれば如何なるものでも使用可能であるが、水、エタノール及び水とエタノールの混合液及びそれらの溶液に薬物あるいはエキスを溶解または懸濁したものが含まれる。
本発明の製造方法においては、撹拌型造粒機を用いて複数回の湿式造粒の各造粒工程後に乾燥工程を設けることなく連続して各造粒工程を行うことで、迅速に造粒を行うことができ、また、従来法におけるコーティング工程や溶融造粒工程などの煩雑な工程を経ることなく、簡便に不快な味を抑制した経口投与製剤を得ることができる。ここで、複数回とは、目的の経口投与製剤を取得するにあたり必要となる回数であれば何回でも良いが、例えば、2〜3回が適当である。
本発明の他の実施形態は、複数回の造粒工程のうち、最終工程において化学的に不安定な物質を加えることにより製剤に含有せしめる成分の中で化学的に不安定な物質の安定性を保持する製剤の製造方法である。ここで、「化学的に不安定」とは、酸化などにより構造が変化又は壊れるなど、当該技術分野において一般的に理解される物質の状態を意味し、「化学的に不安定」な物質としては、例えば、ビタミンC(アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム)、ビタミンB1誘導体、ビタミンB2、ビタミンB6などを挙げることができる。
次に本発明を具体例によって説明するがこれらの例によって本発明が限定されるものではない。
1.実施例及び比較例(錠剤)
1−1.実施例1
d−マレイン酸クロルフェニラミン1.05g、塩酸プソイドエフェドリン21g、ベラドンナ総アルカロイド0.35g、グリチルリチン酸10.5g、無水カフェイン15.75gに賦形剤176.75gを混合し、355μmの篩を1回とおした混合粉末1を調製した。別途、賦形剤274.225gを355μmの篩を1回とおした混合粉末2を調製した。混合粉末1を高速攪拌造粒機(深江パウテック製)に入れ、クエン酸2.1g、酒石酸3.15gに精製水7g及びエタノール17gを加えて溶解した溶液を練合溶液1として添加し、1回目の造粒1を行った(アジテーター回転数;500、チョッパー回転数;2000、攪拌時間;90秒)。この造粒1の後、続いて混合粉末2を高速攪拌造粒機に入れ、クエン酸1.05g、酒石酸1.575gに精製水16.6g及びエタノール16.6gを加えて溶解した溶液を練合溶液2として添加し、2回目の造粒を行い(アジテーター回転数;500、チョッパー回転数;2000、攪拌時間;60秒)、造粒物とした。この造粒物を熱風循環型乾燥機により65℃で乾燥し、目開き1.19mmのスクリーンで整粒した。整粒した造粒物に賦形剤7.7g、甘味料2.8g及び滑沢剤7gを加えて混合し、打錠機(岡田精工(株)社製)で直径11mm、1錠500mgで打錠した。
1−2.実施例2
d−マレイン酸クロルフェニラミン1.05g、塩酸プソイドエフェドリン21g、ベラドンナ総アルカロイド0.35g、グリチルリチン酸10.5g、無水カフェイン15.75g、賦形剤188gを混合し、355μmの篩を1回とおした混合粉末1を調製した。別途、賦形剤274.225gを355μmの篩を1回とおした混合粉末2を調製した。混合粉末1を高速攪拌造粒機に入れ、クエン酸2.1g、酒石酸3.15g、l−メントール5.25gに精製水7g及びエタノール17gを加えて溶解した溶液を練合溶液1として添加し、1回目の造粒1を行った。この造粒1の後、続いて混合粉末2を高速攪拌造粒機に入れ、クエン酸1.05g、酒石酸1.575gに精製水16.6g及びエタノール16.6gを加えて溶解した溶液を練合溶液2として添加し、2回目の造粒を行い、造粒物としたこの造粒物を熱風循環型乾燥機により65℃で乾燥し、目開き1.19mmのスクリーンで整粒した。整粒した造粒物に賦形剤7.7g、甘味料2.8g及び滑沢剤7gを加えて混合し、打錠機で直径11mm、1錠500mgで打錠した。
1−3.比較例1
d−マレイン酸クロルフェニラミン1.05g、塩酸プソイドエフェドリン21g、ベラドンナ総アルカロイド0.35g、グリチルリチン酸10.5g、無水カフェイン15.75g、賦形剤176.75gを355μmの篩を1回とおした混合粉末を調製した。混合粉末を高速攪拌造粒機に入れ、精製水23.6g及びエタノール33.6gを混合攪拌した溶液を練合溶液として添加し、造粒を行った。造粒物を熱風循環型乾燥機により65℃で乾燥し、目開き1.19mmのスクリーンで整粒した。整粒した造粒物に賦形剤7.7g、甘味料2.8g及び滑沢剤7gを加えて混合し、打錠機で直径11mm、1錠500mgで打錠した。
1−4.実施例1と比較例1の効果の比較
実施例1(A)と比較例1(B)について苦味抑制の効果を評価した。パネラー13名に対してA,B各1錠を舐めるかかじるかし、どちらが苦いか官能評価を実施した。
試験結果は、表1の通りである。
*名称は、誰か判らないように一部変更
評価の苦い方を1点、差がない場合0点で数値化するとA:3点、B:9点となった。
実施例1(A)は、比較例1(B)より苦味が抑制されていることが判った。
2.実施例及び比較例(顆粒剤)
2−1.実施例3
イブプロフェン45g、無水カフェイン7.5g、グアヤコールスルホン酸カリウム26g、賦形剤190.2gを混合し、目開き500μmの篩を1回とおした混合粉末1を調製した。別途、賦形剤109.7gを500μmの篩を1回とおした混合粉末2を調製した。混合粉末1を高速攪拌造粒機に入れ、カンゾウエキスの50%(W/W)エタノール溶液64.32gを加えて攪拌溶解した溶液を練合溶液1として添加し、1回目の造粒1を行った。この造粒1の後、続いて混合粉末2を高速攪拌造粒機に入れ、カンゾウエキスの50%(W/W)エタノール溶液40.68gを加えて攪拌溶解した溶液を練合溶液2として添加し、2回目の造粒を行い、さらに直打用アスコルビン酸35.6gとクロスカルメロースナトリウム5gを加えて3回目の造粒を行い、造粒物とした。この造粒物をエックペレッター(不二電気工業)を用いて0.8mmのスクリーンを通して円柱状の顆粒状の造粒物とした。この造粒物を熱風循環型乾燥機により60℃で乾燥し、目開き1.19mmのスクリーンで整粒した。整粒した造粒物を目開き0.297mmの篩で分級して顆粒剤とした。
2−2.比較例2
イブプロフェン45g、無水カフェイン7.5g、グアヤコールスルホン酸カリウム26g、直打用アスコルビン酸35.6g、賦形剤304.9gを混合し、500μmの篩を1回とおした混合粉末を調製した。混合粉末を高速攪拌造粒機に入れ、カンゾウエキスの50%(W/W)エタノール溶液105gを加えて攪拌溶解した溶液を練合溶液として添加し、造粒を行い、造粒物とした。この造粒物をエックペレッターを用いて0.8mmのスクリーンを通して円柱状の顆粒状の造粒物とした。さらに造粒物を熱風循環型乾燥機により60℃で乾燥し、目開き1.19mmのスクリーンで整粒した。整粒した造粒物を目開き0.297mmの篩で分級して顆粒剤とした。
2−3.実施例3と比較例2の効果の比較
実施例3(C)と比較例2(D)についてイブプロフェンによる喉への刺激の抑制効果を評価した。パネラー7名に対して顆粒約0.75gを服用し、喉への刺激の強さを比べる官能評価を実施した。
試験結果は、表2の通りである。
*名称は、誰か判らないように一部変更
刺激抑制に関して効果有り、無しのアンケートを実施した結果、7名中5名(約71%)に刺激抑制の効果有りの判定があり、実施例3(C)は、比較例2(D)より刺激が抑制されていることが判った。
3−1.実施例4(A2)
イブプロフェン45g、リン酸ジヒドロコデイン2.4g、dl−塩酸メチルエフェドリン6g、d−マレイン酸クロルフェニラミン0.75g、無水カフェイン7.5g、グアヤコールスルホン酸カリウム25g、ビスベンチアミン2.4g、賦形剤287.4gを500μmの篩を1回とおした混合粉末1を調製した。混合粉末1を高速攪拌造粒機に入れ、カンゾウエキスの50%(W/W)エタノール溶液116.2gを加えて攪拌溶解した溶液を練合溶液1として添加し、1回目の造粒1を行った(アジテーター回転数;500、チョッパー回転数;2000、攪拌時間;45秒)。この造粒1の後、続いてアスコルビン酸34.5gを高速攪拌造粒機に入れ2回目の造粒を行い(アジテーター回転数;500、チョッパー回転数;2000、攪拌時間;30秒)、造粒物とした。この造粒物をエックペレッターを用いて0.8mmのスクリーンを通して円柱状の顆粒状の造粒物とした。この造粒物を熱風循環型乾燥機により65℃(60〜70℃)で乾燥し、目開き1.19mmのスクリーンで整粒した。整粒した造粒物を目開き0.297mmの篩で分級して顆粒剤A2とした。
3−2.実施例5(A3)
イブプロフェン45g、リン酸ジヒドロコデイン2.4g、dl−塩酸メチルエフェドリン6g、d−マレイン酸クロルフェニラミン0.75g、無水カフェイン7.5g、グアヤコールスルホン酸カリウム25g、ビスベンチアミン2.4g、賦形剤287.4gを500μmの篩を1回とおした混合粉末1を調製した。混合粉末1を高速攪拌造粒機に入れ、カンゾウエキスの50%(W/W)エタノール溶液116.2gを加えて攪拌溶解した溶液を練合溶液1として添加し、1回目の造粒1を行った。この造粒1の後、100mLビーカー中でアスコルビン酸34.5gに中鎖脂肪酸トリグリセリド8gをしみ込ませたものを高速攪拌造粒機に加え、2回目の造粒を行い、造粒物とした。この造粒物をエックペレッターを用いて0.8mmのスクリーンを通して円柱状の顆粒状の造粒物とした。この造粒物を熱風循環型乾燥機により65℃(60〜70℃)で乾燥し、目開き1.19mmのスクリーンで整粒した。整粒した造粒物を目開き0.297mmの篩で分級して顆粒剤A3とした。
3−3.実施例6(B2)
実施例4でマンニトールを189.33g、アスコルビン酸34.5gの替わりに直打用アスコルビン酸35.57gを用いた。
3−4.実施例7(B3)
実施例5でマンニトールを189.33g、アスコルビン酸34.5gの替わりに直打用アスコルビン酸35.57gを用いた。
3−5.比較例3(A1)
イブプロフェン45g、リン酸ジヒドロコデイン2.4g、dl−塩酸メチルエフェドリン6g、d−マレイン酸クロルフェニラミン0.75g、無水カフェイン7.5g、グアヤコールスルホン酸カリウム25g、ビスベンチアミン2.4g、アスコルビン酸34.5g、賦形剤287.4gを500μmの篩を1回とおした混合粉末1を調製した。混合粉末1を高速攪拌造粒機に入れ、カンゾウエキスの50%(W/W)エタノール溶液116.2gを加えて攪拌溶解した溶液を練合溶液として添加し、造粒を行い、造粒物とした。この造粒物をエックペレッターを用いて0.8mmのスクリーンを通して円柱状の顆粒状の造粒物とした。この造粒物を熱風循環型乾燥機により65℃(60〜70℃)で乾燥し、目開き1.19mmのスクリーンで整粒した。整粒した造粒物を目開き0.297mmの篩で分級して顆粒剤A1とした。
3−6.比較例4(B1)
比較例3でマンニトールを189.33g、アスコルビン酸34.5gの替わりに直打用アスコルビン酸35.57gを用いた。
3−7.実施例4〜7と比較例3,4の効果の比較
実施例4(A2)、実施例5(A3)、実施例6(B2)、実施例7(B3)と比較例3(A1),比較例4(B1)についてVCの安定性を比べた。
VCの定量方法は以下の通りである。
試料溶液:試料0.3g(VCとして0.02g相当量)に内標準溶液10mL、メタリン酸溶液(1→50)15mLを加え1分間振り混ぜた後、遠心分離(3000min-1×5min).上澄液2mLにメタリン酸溶液(1→50)を加え20mLとし、試料溶液とした。
標準溶液:VC標準品0.02gを精密に量り内標準溶液10mL、メタリン酸溶液(1→50)を加え50mLとする。この液4mLにメタリン酸溶液(1→50)を加えて20mLとし、標準溶液とした。
内標準溶液:4-アミノベンゼンスルホンアミド0.3gをメタリン酸溶液(1→50)に溶かし100mLとした。
液体クロマトグラフ法操作条件:試料溶液及
び標準溶液5μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフ法を行い、VCと内標準物質のピーク面積比よりVC量を求めた。
装置:高速液体クロマトグラフ(LC−10Aシリーズ、島津)
検出器:UV検出器(245nm)
カラム:YMC・GEL ODS−A 120−S5(4.6mmi.φ.×150mm)
カラム温度:40℃
移動相:過塩素酸ナトリウム3g、リン酸二水素カリウム5gを蒸留水に溶かして1000mLとしリン酸を加えてpH2.5に調整した。
試験結果は、表3の通りである。

表3 保存後のVCの定量値(%)
W:週、M:月
上記の結果より明らかなように、比較例A1,B1より実施例A2、A3、B2、B3の定量値が高く、VCが安定化された。
以上のように、1回の攪拌造粒によって製剤を調剤する場合と比較して、複数回の攪拌造粒によって製剤を調剤した場合の方が、不快な味を抑制することできる。なお、本発明に係る製造方法におけるアジテーターの好ましい回転速度は、機種、全容量などによって異なるが、100〜1800回転/分であり、チョッパーの回転速度は、機種、全容量などによって異なるが、0〜4500回転/分である。さらに、同様に機種等の条件に依存するが、造粒工程の攪拌時間は、1回目の造粒工程については45秒〜20分、2回目以降の造粒工程については30秒〜20分の範囲が好ましい。また、本発明に係る製造方法を用いると、従来の流動層造粒機を用いる場合よりも、煩雑な工程を回避することが可能であり、時間短縮を実現することができる。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の一実施形態を示す図である。 従来技術を示す図である。

Claims (11)

  1. 不快な味を有する成分を含有するコア薬剤を、不快な味を有しない成分からなるコーティング剤で被覆した粒状の経口投与製剤を製造する方法において、不快な味を有する成分を含有する薬剤を攪拌造粒によって湿式造粒してコア薬剤を形成する第一工程と、ついで、不快な味を有しない成分からなるコーティング剤を上記コア薬剤に加えて攪拌造粒によって湿式造粒する第二工程とを具備することを特徴とする、経口投与製剤の製造方法。
  2. 第一工程及び/又は第二工程を一又は複数回実施することを特徴とする、請求項1に記載の経口投与製剤の製造方法。
  3. 第一工程、第二工程、及び第一工程と第二工程の間の何れにおいても乾燥工程を実施しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の経口投与製剤の製造方法。
  4. 不快な味を有する成分を含有するコア薬剤が、不快な味を有する成分と不快な味を有しない成分とを含有することを特徴とする、請求項1ないし3の何れか一項に記載の経口投与製剤の製造方法。
  5. 湿式造粒が、水、酸又はアルコールから選択される結合液の存在下で行われる、請求項1ないし4の何れか一項に記載の経口投与製剤の製造方法。
  6. 前記不快な味を有する成分が、イブプロフェン、塩酸プソイドエフェドリン、無水カフェイン、アセトアミノフェン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸メチルエフェドリン、リン酸ジヒドロコデイン、グアヤコールスルホン酸、グアヤコールスルホン酸カリウム、塩酸メクリジン、ビタミンB1誘導体、ビタミンB2、ビタミンB6、アスコルビン酸カルシウム、ベラドンナ総アルカロイド、グリチルリチン酸から成るグループより選択されることを特徴とする、請求項1ないし5の何れか一項に記載の経口投与製剤の製造方法。
  7. 第二工程の最終工程において、化学的に不安定な成分を造粒することを特徴とする、請求項1ないし6の何れか一項に記載の経口投与製剤の製造方法。
  8. 化学的に不安定な成分を油の存在下で造粒することを特徴とする、請求項7に記載の経口投与製剤の製造方法。
  9. 前記油が、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ウイキョウ油、オレンジ油、ケイヒ油、ゴマ油、ダイズ油、チョウジ油、トウヒ油、トウモロコシ油、ハッカ油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油、ユーカリ油、ラッカセイ油、レモン油からなるグループから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の経口投与製剤の製造方法。
  10. 前記化学的に不安定な成分が、ビタミンC(アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム)、ビタミンB1誘導体、ビタミンB2、ビタミンB6から成るグループから選択されることを特徴とする請求項7ないし9の何れか一項に記載の経口投与製剤の製造方法。
  11. 請求項1ないし10の何れか一項に記載の方法で製造した粒状の経口投与製剤。
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