JP2008004599A - パワー素子搭載用ユニットおよびパワー素子搭載用ユニットの製造方法並びにパワーモジュール - Google Patents

パワー素子搭載用ユニットおよびパワー素子搭載用ユニットの製造方法並びにパワーモジュール Download PDF

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Abstract

【課題】冷却器の垂下部の座屈強度を低下させることなく、パワーモジュールの熱サイクル信頼性を向上させる。
【解決手段】冷却器13は、セラミックス板11とのろう付け面18を有する天板部19と、この天板部19においてろう付け面18と反対の表面20に垂設された垂下部21とを備えるとともに、全体の平均純度が98.0wt%以上99.9wt%以下のAl合金で形成され、天板部19においてろう付け面18側の表層部19aに含まれるFeの濃度が0.1wt%未満とされ、かつこの冷却器13において表層部19aを除いた部分に含まれるFeの濃度が0.1wt%以上とされている。
【選択図】図1

Description

この発明は、大電流、高電圧を制御する半導体装置に用いられるパワー素子搭載用ユニットおよびパワー素子搭載用ユニットの製造方法並びにパワーモジュールに関するものである。
この種のパワーモジュールには、近年では、積層方向におけるトータル熱抵抗を低減させるために、例えば下記特許文献1に示されるように、セラミックス板においてその表面に回路層がろう付けされるとともに、裏面に冷却器がろう付けされたパワー素子搭載用ユニットが備えられている。すなわち、セラミックス板の裏面に、他の部材を介在させずに直接、冷却器をろう付けすることによって、パワーモジュールのトータル熱抵抗を低減させている。
なお、冷却器はAl合金で形成されるとともに、セラミックス板とのろう付け面を有する天板部と、この天板部において前記ろう付け面と反対の表面に垂設された垂下部とを備えている。そして、このような冷却器としては、例えば、天板部および垂下部の他に、天板部と平行に配置された状態で垂下部に連結された底板部が備えられ、これらの天板部、垂下部および底板部で囲まれた冷媒供給路を内部に備える構成や、底板部を有さず天板部と垂下部とを備え、天板部においてろう付け面と反対の表面にピン若しくはフィンとしての垂下部が複数垂設された構成が知られている。
特開平4−363052号公報
ところで、近年では、このパワーモジュールを熱サイクル下で使用する過程において、冷却器とセラミックス板との接合界面を剥離させ難くするなど熱サイクル信頼性を向上させることに対する要望がある。このような要望に応えるために、例えば、冷却器の全体を高純度のAl合金若しくは純Alで形成することによって、熱サイクル使用時に、セラミックス板および冷却器の各熱膨張係数の差に起因して、これらの接合界面に応力が生じようとしたときに、前記天板部のろう付け面側を塑性変形させて前記接合界面に生ずる応力を吸収させることによりこの接合界面が剥離するのを抑制することが考えられる。
しかしながら、高純度のAl合金若しくは純Alは、この材質よりも純度の低いAl合金と比べて曲げ剛性が低くなるので、セラミックス板と冷却器とをろう付けするのに、セラミックス板の裏面にろう材箔と冷却器とをこの順に配置して積層体とした後、この積層体を積層方向に加圧したときに、冷却器の前記垂下部が座屈するおそれがある。特に近年では、パワーモジュールの軽量化に対する要望もあり冷却器は薄肉化の傾向があるが、このような薄肉の冷却器においては前記座屈がより一層生じ易くなる。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、冷却器の垂下部の座屈強度を低下させることなく、パワーモジュールの熱サイクル信頼性を向上させることができるパワー素子搭載用ユニットおよびパワー素子搭載用ユニットの製造方法並びにパワーモジュールを提供することを目的とする。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明のパワー素子搭載用ユニットは、セラミックス板においてその表面に回路層がろう付けされるとともに、裏面に冷却器がろう付けされたパワー素子搭載用ユニットであって、前記冷却器は、前記セラミックス板とのろう付け面を有する天板部と、この天板部において前記ろう付け面と反対の表面に垂設された垂下部とを備えるとともに、全体の平均純度が98.0wt%以上99.9wt%以下のAl合金で形成され、前記天板部においてろう付け面側の表層部に含まれるFeの濃度が0.1wt%未満とされ、かつこの冷却器において前記表層部を除いた部分に含まれるFeの濃度が0.1wt%以上とされていることを特徴とする。
この発明によれば、天板部においてろう付け面側の表層部に含まれるFeの濃度が0.1wt%未満とされているので、熱サイクル使用時に、セラミックス板および冷却器の各熱膨張係数の差に起因して、これらの接合界面に応力が生じようとした場合においても、前記表層部を塑性変形させることによりこの応力を吸収させることが可能になる。これにより、前記接合界面に発生する応力を抑えることが可能になり、セラミックス板と冷却器との接合信頼性を向上させることができる。
一方、冷却器において前記表層部を除いた部分に含まれるFeの濃度が0.1wt%以上とされて、この表層部を除いた部分の曲げ剛性は現行同等に維持することが可能になり、セラミックス板と冷却器とをろう付けするのに、セラミックス板の裏面にろう材箔と冷却器とをこの順に配置して積層体とした後、この積層体を積層方向に加圧したときに、この冷却器が薄肉に形成されていたとしても、冷却器の前記垂下部が座屈するのを抑制することができる。
以上より、冷却器の垂下部の座屈強度を低下させることなく、パワーモジュールの熱サイクル信頼性を向上させることができる。
なお、前記表層部に含まれるFeの濃度は、セラミックス板と冷却器との接合界面の剥離進展率の観点から0.05wt%以下であることが好ましい。
また、前記冷却器としては、例えば、天板部および垂下部の他に、天板部と平行に配置された状態で垂下部に連結された底板部が備えられ、これらの天板部、垂下部および底板部で囲まれた冷媒供給路を内部に備える構成や、底板部を有さず天板部と垂下部とを備え、天板部においてろう付け面と反対の表面にピン若しくはフィンとしての垂下部が複数垂設された構成を採用することができる。
また、本発明のパワー素子搭載用ユニットの製造方法は、セラミックス板においてその表面に回路層がろう付けされるとともに、裏面に冷却器がろう付けされたパワー素子搭載用ユニットの製造方法であって、セラミックス板の裏面にろう材箔と冷却器とをこの順に配置して積層体とした後に、この積層体を積層方向に加圧した状態で加熱し、ろう材箔を溶融させて、セラミックス板の裏面に冷却器をろう付けすることにより、本発明のパワー素子搭載用ユニットを形成することを特徴とする。
さらに、本発明のパワーモジュールは、セラミックス板においてその表面に回路層がろう付けされるとともに、裏面に冷却器がろう付けされたパワー素子搭載用ユニットと、回路層の表面にはんだ接合されたパワー素子とを備えたパワーモジュールであって、前記パワー素子搭載用ユニットが本発明のパワー素子搭載用ユニットであることを特徴とする。
この発明によれば、冷却器の垂下部の座屈強度を低下させることなく、パワーモジュールの熱サイクル信頼性を向上させることができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の一実施形態に係るパワー素子搭載用ユニットを適用したパワーモジュールを示す全体図である。
このパワーモジュール10は、セラミックス板11においてその表面に回路層12がろう付けされるとともに、裏面に冷却器13がろう付けされたパワー素子搭載用ユニット14と、回路層12の表面にはんだ層15を介してはんだ接合されたパワー素子16とを備えている。
ここで、これらの各部材を形成する材質としては、例えば、セラミックス板11ではAlN、Al、Si若しくはSiC等が挙げられ、はんだ層15では例えばSn−Ag−Cu系等の無鉛系のはんだ材、若しくは例えばPbSn系等のPbを含むはんだ材が挙げられ、回路層12では純Al若しくはAl合金が挙げられる。また、セラミックス板11と回路層12および冷却器13とをろう付けするろう材では、例えばAl−Si系等のAl系のろう材が挙げられる。
そして、本実施形態では、冷却器13は、セラミックス板11とのろう付け面18を有する天板部19と、この天板部19においてろう付け面18と反対の表面20に垂設された垂下部21とを備えている。図示の例では、冷却器13は、これらの天板部19および垂下部21に加えてさらに、前記反対の表面20と対向する位置に天板部19と平行に配置された底板部22を備えるとともに、垂下部21は天板部19と底板部22とを連結し、かつ一定の方向に所定の間隔をあけて複数備えられ、この一定の方向と直交する方向に延在した壁部とされている。以上より、天板部19の反対の表面20と底板部22と複数の垂下部21とで冷媒供給路13aが複数画成されて、冷却器13は、その内部に複数の冷媒供給路13aを有する、いわゆる多穴管とされている。
さらに、これらの天板部19、底板部22および垂下部21は、全体の平均純度が98.0wt%以上99.9wt%以下のAl合金で一体的に形成されている。なお、冷却器13は例えば鋳造若しくは押出し成形で形成される。そして、天板部19においてろう付け面18側の表層部19aに含まれるFeの濃度が0.1wt%未満とされ、かつこの冷却器13において表層部19aを除いた部分に含まれるFeの濃度が0.1wt%以上とされている。
図示の例では、ろう付け面18はセラミックス板11の裏面よりも大きく、セラミックス板11は、ろう付け面18においてその外周縁よりも内方に位置する部分にろう付けされている。そして、前記表層部19aは、ろう付け面18においてセラミックス板11の裏面がろう付けされた部分に限定して形成されている。
ここで、冷却器13に含まれるFeの濃度は、電子線マイクロアナライザ(EPMA)装置において加速電圧を15kVとし、かつ電流値を5×10−8Aとして、スポットサイズを30μmに設定し、冷却器13において、表層部19aおよび表層部19aを除いた部分についてそれぞれ、任意の10箇所で測定し、得られた測定値の平均値を算出して求めた。
また、冷却器13全体のAlの平均純度は、まず、冷却器13を、水、フッ化水素酸および硝酸がそれぞれ同量ずつ混入された水浴中(約100℃)に浸して分解し、その後、この分解した試料を、ICP−AES法(誘導結合プラズマ−発光分析法)を用いることにより測定した。
次に、以上のように構成されたパワー素子搭載用ユニット14の製造方法について説明する。
まず、セラミックス板11の表面にろう材箔と回路層12とをこの順に配置するとともに、セラミックス板11の裏面にろう材箔と冷却器13とをこの順に配置する。これにより、セラミックス板11において、その表面にろう材箔と回路層12とがこの順に配置され、裏面にろう材箔と冷却器13とがこの順に配置された積層体を形成する。ここで、セラミックス板11と回路層12との間に配置されたろう材箔の平面視形状は、回路層12の平面視形状と略同形同大とされ、セラミックス板11と冷却器13との間に配置されたろう材箔の平面視形状は、セラミックス板11の平面視形状と略同形同大とされている。
そして、この積層体を、不活性雰囲気、還元雰囲気、または真空中(真空度1×10−5Torr(1.33×10−3Pa)以下)に置いて、積層方向に0.098MPa〜0.294MPaで加圧した状態で、577℃以上660℃以下で加熱し、ろう材箔を溶融させることによって、セラミックス板11の表面に回路層12をろう付けにより接合し、セラミックス板11の裏面に冷却器13をろう付けにより接合してパワー素子搭載用ユニット14を形成する。
以上説明したように、本実施形態によるパワー素子搭載用ユニット14によれば、天板部19においてろう付け面18側の表層部19aに含まれるFeの濃度が0.1wt%未満とされているので、熱サイクル時使用に、セラミックス板11および冷却器13の各熱膨張係数の差に起因して、これらの接合界面に応力が生じようとした場合においても、表層部19aを塑性変形させることによりこの応力を吸収させることが可能になる。これにより、前記接合界面に発生する応力を抑えることが可能になり、セラミックス板11と冷却器13との接合信頼性を向上させることができる。
一方、冷却器13において表層部19aを除いた部分に含まれるFeの濃度が0.1wt%以上とされて、この表層部19aを除いた部分の曲げ剛性は現行同等に維持することが可能になり、セラミックス板11と冷却器13とをろう付けするのに前記積層体を積層方向に加圧したときに、この冷却器13が薄肉に形成されていたとしても、冷却器13の垂下部21が座屈するのを抑制することができる。
以上より、冷却器13の垂下部21の座屈強度を低下させることなく、パワーモジュール10の熱サイクル信頼性を向上させることができる。なお、冷却器13の表層部19aに含まれるFeの濃度が0.05wt%以下であれば、このような作用効果が確実に奏効されることになる。
また、本実施形態では、冷却器13の全体が前記Al合金で一体的に形成されているので、この冷却器13の構造を複雑にすることなく、パワー素子搭載用ユニット14を形成することが可能になり、その製造コストの増大を抑えることができるとともに、このパワー素子搭載用ユニット14を備えるパワーモジュール10の積層方向におけるトータル熱抵抗を確実に低減することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
前記実施形態では、純Al若しくはAl合金で形成された回路層12を示したが、これに代えて、例えば純Cu若しくはCu合金で形成した回路層12を採用してもよい。また、前記実施形態では、冷却器13として内部に複数の冷媒供給路13aが形成されたいわゆる多穴管を示したが、これに代えて、例えば、幅広の冷媒供給路が1つ形成された冷却器を採用してもよく、さらにこの幅広の冷媒供給路内において天板部19の前記反対の表面20にフィンをろう付けした冷却器を採用してもよい。また、これらに代えて、例えば、冷却器13が、底板部22を有さず天板部19と垂下部21とを備えて、天板部19の前記反対の表面20に、ピン若しくはフィンとしての垂下部21が複数垂設された冷却器を採用してもよい。
さらに、前記実施形態では、パワーモジュール10として、回路層12の表面にはんだ層15を介してパワー素子16が接合された構成を示したが、これに代えて、例えば、図2に示されるように、回路層12とパワー素子16との間に、純Cu、Cu合金、Cu−Mo系合金、若しくはCu−C等の複合材料からなるヒートスプレッダ17を設けてもよい。この場合、パワー素子16で発生した熱を、積層方向に直交する面方向に沿って拡散させつつ積層方向に伝導させることが可能になる。
さらにまた、前記実施形態に代えて、セラミックス板11の裏面とろう付け面18とを同形同大にして各々の外周縁を一致させた状態で、これら11、18をろう付けしてもよい。この場合、表層部19aはろう付け面18の全域に形成されることになる。
次に、この製造方法についての具体的な実施例について説明する。
まず、材質については、回路層12および冷却器13を、Feを約0.3wt%含有する純度が99.5wt%のAl合金、回路層12とセラミックス板11とを接合するろう材をAl−Si系(Alが92.5wt%、Siが7.5wt%)、セラミックス板11をAlNによりそれぞれ形成した。厚さについては、回路層12を約0.8mm、ろう材箔を約30μm、セラミックス板11を約0.635mmとした。なお、回路層12は平面視四角形とされ、縦および横の寸法をそれぞれ、約17mmとした。また、セラミックス板11も平面視四角形とされ、縦および横の寸法をそれぞれ、約20mmとした。
さらに、冷却器13は、全体の高さ、すなわちろう付け面18と底板部22の下面との距離Aが約2.5mmとされるとともに、全体の幅Bが約21.25mmとされ、さらに、全体の長さ、すなわち冷媒供給路13aが延在する方向(図1および図2の紙面の奥行き方向)の大きさを約60mmとした。また、平面視四角形の各冷媒供給路13aでは、冷却器13の高さ方向の大きさCを約1.5mmにし、冷却器13の幅方向の大きさDを約1.25mmにした。そして、これらの各冷媒供給路13aを、ろう付け面18および底板部22の下面からそれぞれ約0.5mmずつ離した前記高さ方向中央部に形成し、また、冷却器13の幅方向で隣合う冷媒供給路13a同士の距離Eを約1mmとした。すなわち、天板部19および底板部22の各厚さを約0.5mmとし、また、垂下部21の厚さを約1mmとした。
そして、前記積層体を600℃〜650℃の真空中(真空度1×10−5Torr(1.33×10−3Pa)以下)に置いて、約1時間、積層方向に0.098MPa〜0.294MPaで加圧して、パワー素子搭載用ユニット14を形成した。
以上により形成された冷却器13において、電子マイクロアナライザ(EPMA)を用い、前記表層部19aとそれ以外の部分とを判定した。本実施例では、冷却器13を切断し、その断面のろう付け面18から冷媒供給路13aの上面を構成する天板部19の前記反対の表面20まで、つまり天板部19の厚さ方向全域(約0.50mm)について、加速電圧15kV、電流値5×10−8A、スポットサイズ1μm、1点測定時間5秒、移動間隔1μmの条件でEPMAの線分析を行った。その結果を図3に示す。
この図により、ろう付け面18から前記反対の表面20に向かって約0.10mmまでの領域ではFeの濃度が低くなっており、天板部19のうちこの領域より前記反対の表面20側の部分ではFeの濃度が高くなっていることが確認される。
そして、冷却器13において、表層部19aおよびこの表層部19a以外の部分の各Fe濃度は、加速電圧15kV、電流値5×10−8A、スポットサイズ30μmの条件でEPMAを用いて、表層部19aおよびこの表層部19a以外の部分のそれぞれについて、任意の10箇所で測定し、その平均値を算出することによって求めた。
次に、以上説明した作用効果についての検証試験を実施した。
冷却器を形成するAl合金のAl純度を異ならせた6種類のパワー素子搭載用ユニットを形成し、これらのパワー素子搭載用ユニットの各冷却器において、前記表層部の厚さ、表層部に含まれるFeの濃度、および冷却器において表層部以外の部分に含まれるFeの濃度のうち少なくとも1つを異ならせた。なお、実施例では、Al純度を98.0wt%以上99.9wt%以下の範囲内で異ならせた4種類のAl合金を用いて冷却器を形成し、比較例では、Al純度を98.0wt%よりも小さい範囲で異ならせた2種類のAl合金を用いて冷却器を形成し、さらに、実施例および比較例の回路層は、Al純度が99.5wt%のAl合金を用いて形成した。また、前記各パワー素子搭載用ユニットを構成する各部材の寸法、セラミックス板の材質およびろう材の材質は前述した具体的な実施例で示したものと同様にした。
そして、これらのパワー素子搭載用ユニットそれぞれの回路層の表面に、同一の性能を有するSiチップをSn−Ag−Cu系の無鉛はんだではんだ接合したものを、−40℃から125℃に約3分間で昇温した後、125℃から−40℃に10分間で降温する温度履歴を1サイクルとした熱サイクルを2000サイクル付与した。
その後、各パワー素子搭載用ユニットを5箇所、積層方向に切断し、それぞれの切断面を研磨した後、この切断面において、セラミックス板および冷却器の接合界面の全長および剥離進展長さをそれぞれ測定した。そして、前記接合界面の全長に対する剥離進展長さの比率、つまり剥離進展率の平均値を算出した。
結果を表1に示す。
Figure 2008004599
この結果、冷却器13が、その全体の平均純度が98.0wt%以上99.9wt%以下のAl合金により形成されるとともに、表層部19aに含まれるFeの濃度が0.1wt%未満とされ、かつこの冷却器13において表層部19aを除いた部分に含まれるFeの濃度が0.1wt%以上とされていれば、前記の温度サイクルを2000サイクル付与しても、前記剥離進展率が抑えられ、前記の作用効果が奏効されることが確認された。なお、全体の平均純度が99.9wt%より大きいAl合金若しくは純Alで形成した冷却器をセラミックス板にろう付けしてパワー素子搭載用ユニットを形成しようとしても前記垂下部が座屈して形成することができないことも確認された。
冷却器の垂下部の座屈強度を低下させることなく、パワーモジュールの熱サイクル信頼性を向上させることができる。
この発明の一実施形態に係るパワーモジュールを示す全体図である。 この発明の他の実施形態に係るパワーモジュールを示す全体図である。 図1に示す冷却器において天板部の厚さ方向におけるFeの濃度分布の一例を示す図である。
符号の説明
10 パワーモジュール
11 セラミックス板
12 回路層
13 冷却器
14 パワー素子搭載用ユニット
16 パワー素子
18 ろう付け面
19 天板部
19a 表層部
20 反対の表面
21 垂下部

Claims (3)

  1. セラミックス板においてその表面に回路層がろう付けされるとともに、裏面に冷却器がろう付けされたパワー素子搭載用ユニットであって、
    前記冷却器は、前記セラミックス板とのろう付け面を有する天板部と、この天板部において前記ろう付け面と反対の表面に垂設された垂下部とを備えるとともに、全体の平均純度が98.0wt%以上99.9wt%以下のAl合金で形成され、
    前記天板部においてろう付け面側の表層部に含まれるFeの濃度が0.1wt%未満とされ、かつこの冷却器において前記表層部を除いた部分に含まれるFeの濃度が0.1wt%以上とされていることを特徴とするパワー素子搭載用ユニット。
  2. セラミックス板においてその表面に回路層がろう付けされるとともに、裏面に冷却器がろう付けされたパワー素子搭載用ユニットの製造方法であって、
    セラミックス板の裏面にろう材箔と冷却器とをこの順に配置して積層体とした後に、
    この積層体を積層方向に加圧した状態で加熱し、ろう材箔を溶融させて、セラミックス板の裏面に冷却器をろう付けすることにより、請求項1記載のパワー素子搭載用ユニットを形成することを特徴とするパワー素子搭載用ユニットの製造方法。
  3. セラミックス板においてその表面に回路層がろう付けされるとともに、裏面に冷却器がろう付けされたパワー素子搭載用ユニットと、回路層の表面にはんだ接合されたパワー素子とを備えたパワーモジュールであって、
    前記パワー素子搭載用ユニットが請求項1記載のパワー素子搭載用ユニットであることを特徴とするパワーモジュール。

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