JP2008003152A - 電子写真感光体及び該電子写真感光体を用いた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子写真感光体に接触する部材がある電子写真装置に用いた場合でも、下引き層と感光層間の剥がれ等がなく、高耐刷性を有し、電気特性も画像特性も良く、電荷発生層用塗布液の分散性も良好な電子写真感光体を提供すること。
【解決手段】導電性基体上に、少なくとも、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する電子写真感光体であって、該電荷発生層が該下引き層上に設けられ、該電荷発生層の主バインダー樹脂が2種類以上のアセタール単位を持つポリビニルアセタール樹脂であり、該下引き層の主バインダー樹脂がポリアミド樹脂であり、かつ、該下引き層が電荷発生層の主バインダー樹脂に相溶する樹脂を少なくとも一種類以上含有し、かつ熱可塑性であることを特徴とする電子写真感光体、及び、それを用いた画像形成装置。
【選択図】なし
【解決手段】導電性基体上に、少なくとも、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する電子写真感光体であって、該電荷発生層が該下引き層上に設けられ、該電荷発生層の主バインダー樹脂が2種類以上のアセタール単位を持つポリビニルアセタール樹脂であり、該下引き層の主バインダー樹脂がポリアミド樹脂であり、かつ、該下引き層が電荷発生層の主バインダー樹脂に相溶する樹脂を少なくとも一種類以上含有し、かつ熱可塑性であることを特徴とする電子写真感光体、及び、それを用いた画像形成装置。
【選択図】なし
Description
本発明は、電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置に関し、更に詳しくは、少なくとも下引き層と電荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体であって、電気特性、画像特性、接着性等が良好な電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置に関するものである。
電子写真感光体には、セレン、セレン−テルル合金、セレン化ヒ素、硫化カドミウム等の無機系光導電物質が広く用いられてきた。一方、近年では低公害であり、製造が容易な有機系の光導電物質を感光層に用いた有機感光体(OPC)が無機感光体を凌駕し、主流になっている。有機感光体の中でも、特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能を分離した電荷発生層及び電荷輸送層からなる積層型の電子写真感光体が主流となっている。
電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を形成したものが基本構成である。基体からの電荷注入や基体の欠陥による画像欠陥の解消、感光層との接着性向上、帯電性の改善のために、感光層と基体の間に下引き層を設けることが行われている。
下引き層のバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂が好ましく、その中でも特に可溶性ポリアミド樹脂が好ましいとされている(特許文献1、2及び3参照)。
更に、低温低湿下等の電気特性を改善するために、ポリアミド樹脂に酸化チタン粒子のような金属酸化物粒子を分散させた下引き層が知られている。更に、分散されている金属酸化物粒子は、ポリシロキサンやシラン化合物等の有機珪素化合物で処理されているものが、吸水性を抑制出来、画像特性及び環境特性を良くすることが知られている(特許文献4及び5参照)。
更には、ポリアミド樹脂に他のバインダー樹脂を混合することにより、種々の特性を改善することが知られている。例えば、特許文献6では、アルコール可溶性ナイロン樹脂(ポリアミド樹脂)と酸化チタン粒子の構成に、ポリビニルアセタール樹脂を混合することにより、塗布時の酸化チタン粒子の凝集が抑えられ、塗布ムラがなくなり、低温低湿下においても、優れた帯電、露光繰り返し特性を有する電子写真感光体が得られると記載されている。
また、特許文献7では、12/6/66共重合ナイロンとメチルハイドロジェンポリシロキサン処理を施した二酸化チタンを含有する構成で、帯電特性や残留電位の特性に優れると共に繰り返し使用時の安定性に優れる電子写真感光体が得られ、更にスチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体を含むことにより、より有効になると記載されている。
また、特許文献8では、下引き層が非導電性酸化チタン、ポリアミド樹脂及びポリビニルアセタール樹脂とすること、並びに溶媒を低級アルコールと塩素系有機溶媒の混合溶媒とすることで、酸化チタンの含有量が多くても、下引き層用塗布液の分散性及び寿命も含む分散安定性に優れた塗布液を調整できると記載されている。
また、特許文献9では、可溶性ポリアミド樹脂とノルマルブチル化メラミン樹脂を主成分とする塗布液は、塗布液が安定で、良好な塗膜としての下引き層を形成することが出来る。また、塗膜の安定性が良く密着性も良い。また、電荷発生層塗布液の溶媒に侵され難い塗膜が得られる。(上記公報の明細書から、熱硬化性樹脂が形成されているものと考えられる。)低温低湿下、高温高湿下でも良好な画像を維持する電子写真感光体を得ることができると記載されている。更には、下引き層上に形成される電荷発生層の密着性の向上を図って下引き層表面の改質が行われる。具体的には、プラズマ照射、紫外線照射、オゾン暴露等が行われる。例えば、紫外線ランプにより、184.9nm及び253nmの波長の紫外線を照射することにより、下引き層表面の分子結合が切断され、表面が活性化して密着性が向上すると記載されている。
また、特許文献10では、Y型チタニルフタロシアニンを含む電荷発生層で、下引き層は、バインダーに特定の非相溶である抵抗調節樹脂を少なくとも一種類含有させる構成とすることにより、環境の変化による下引き層の抵抗値を適正な値に調整し、感光体と支持体の接着性が良好で、しかも、支持体のリサイクル使用が容易で生産性が良く、経時保存性が良い電子写真感光体が提供できると記載されている。但し、実施例と比較例では、画像特性と電気特性のみ比較されている。下引き層のバインダーは、実施例、比較例が総てポリアミド樹脂であることから、主にポリアミド樹脂を念頭において記載されたものと考えられる。
また、特許文献11では、下引き層の構成として、アルコール可溶性のポリアミド系樹脂とフェノール樹脂とを含み両樹脂中にポリアミド系樹脂が70〜80質量%の範囲で含有されて硬化させたものが提案されている。この構成で、導電性基体から電荷が下引き層を通して、感光層に注入されるのを充分に抑制することが出来ると共に、除電時において感光層において発生した電荷かが下引き層を通して導電性基体にスムーズに流れ、感光層において発生した電荷が下引き層を通して導電性基体にスムーズに流れ、感光層における残留電位が上昇することも少なく、形成される画像にノイズやカブリが生じるのを抑制されて、良好な画像が得られる電子写真感光体を提供できると記載されている。
また、特許文献12では、無機顔料及びN−アルコキシメチル化ポリアミドの架橋体とオキシエチレン基とオキシプロピレン基を有しかつ分子の末端が水酸基であるランダム共重合体又はブロック共重合体を含有する中間層(下引き層)が提案されている。
電荷発生層としては、アゾ顔料やフタロシアニン顔料が、感度の面等で好ましい顔料として知られている。更に電荷発生層のバインダー樹脂としては、2種類のアセタール単位を有するポリビニルアセタール樹脂が、電荷発生顔料の分散安定性に優れ、かつ電気特性に優れたバインダー樹脂であることが知られている(特許文献13参照)。
最近では、電子写真感光体に対して、接着性(導電性基体及び各塗布層間の接着性)が強く求められるようになってきた。その背景には以下のことが考えられる。
(1)電子写真複写装置のコンパクト化求められるようになってきた。そのために、感光体が、例えば、帯電ロール、転写ロール、コロ等の他の部材と接触している構造が多くなってきた。また、コンパクト化のために、導電体支持体の小径化も進んできている。小径になると、曲率が大きくなることにより、一般的には、接着性が悪くなりやすいと考えられる。
(2)電子写真感光体においては、高耐刷性がより強く求められるようになってきた。耐刷枚数が増えるので、やはり接着性が今以上に求められる。更に高耐刷にするために、電荷輸送層の膜厚が厚くなる傾向にあり、膜厚が厚くなると乾燥時の歪が大きくなるため、一般的には接着性が悪くなると考えられる。
このように、画像特性が良い、電気特性が良いと同様に、接着性が良いことも、電子写真感光体に強く望まれるようになってきた。
上記したように、下引き層のバインダー樹脂として、ポリアミド樹脂が好ましいことが知られており、電荷発生層のバインダー樹脂として、2種類のポリアセタール単位を有するポリビニルアセタール樹脂が好ましいことが知られている。しかしながら、下引き層の主バインダー樹脂として、ポリアミド樹脂を用い、電荷発生層の主バインダー樹脂として2種類のポリアセタール単位を有するポリビニルアセタール樹脂を用いた場合、導電性基体と下引き層の接着性は良いが、下引き層と電荷発生層の間の接着性が悪く、その界面で感光層が剥がれやすいという問題があった。
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、電子写真感光体に接触する部材がある電子写真装置に用いた場合でも、下引き層、感光層の剥がれ等がなく、要求される耐刷枚数をクリアーでき(すなわち高耐刷性を有し)、電気特性も画像特性も良く、電荷発生層用塗布の分散性も良好な電子写真感光体を提供する。また、電子写真感光体に接触する部材が2種類以上ある画像形成装置にも使用出来る電子写真感光体を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、電荷発生層に特定のバインダー樹脂を用い、かつ下引き層にも特定のバインダー樹脂を用いることによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、導電性基体上に、少なくとも、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する電子写真感光体であって、該電荷発生層が該下引き層上に設けられ、該電荷発生層の主バインダー樹脂が2種類以上のアセタール単位を持つポリビニルアセタール樹脂であり、該下引き層の主バインダー樹脂がポリアミド樹脂であり、かつ、該下引き層が電荷発生層の主バインダー樹脂に相溶する樹脂を少なくとも一種類以上含有し、かつ熱可塑性であることを特徴とする電子写真感光体を提供するものである。
また、本発明は、上記の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
本発明によれば、電気特性が良好で、干渉縞を含めた画像特性も良好で、接着性が非常に良いため、下引き層と感光層の間の剥がれ等がなく、電子写真感光体に過酷な条件(感光体に接触する部材がある、高耐刷を要求される等)が課された電子写真装置に用いられた場合でも良好に使用可能な電子写真感光体を提供することができる。また、電気特性も画像特性も良く、電荷発生層用塗布の分散性も良好な電子写真感光体を提供することができる。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の具体的形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
<定義>
本発明において、「主バインダー樹脂」とは、下引き層又は電荷発生層の全バインダー樹脂に対して、少なくとも50質量%以上を占めるバインダー樹脂のことを意味する。
本発明において、「主バインダー樹脂」とは、下引き層又は電荷発生層の全バインダー樹脂に対して、少なくとも50質量%以上を占めるバインダー樹脂のことを意味する。
また、本発明において、「樹脂同士が相溶する」とは、メタノール/1−プロパノール=7/3(質量比)溶媒中に、等質量の樹脂を溶解して得られた混合樹脂液を作製し、その混合樹脂液を塗布乾燥して形成された樹脂フィルム膜のガラス転移点を、通常用いられる熱重量分析法により測定した場合に、熱重量分析チャート上にガラス転移点が1本のみ観測されるものをいう。
本発明に係る下引き層とは、導電性支持体と感光層との間に設けられ、導電性支持体と感光層との接着性の改善、導電性支持体の汚れや傷等の隠蔽、不純物や表面物性の不均質化によるキャリヤ注入の防止、電気特性の不均一性の改良、繰り返し使用による表面電位低下の防止、画質欠陥の原因となる局所的な表面電位変動の防止等の機能の少なくとも何れか1つを有し、光電特性の発現に必須ではない層である。
<導電性基体>
本発明の電子写真感光体における、導電性基体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属からなるもの、或いはポリエステルフィルム、紙、ガラス等の絶縁性基体の表面にアルミニウム、銅等の金属を蒸着したもの、又は、導電材料をバインダー樹脂に分散させた導電層を設けたものがある。更には、アルミニウム等の金属上に導電材料を分散させた導電層を設けたものでも良い。なかでも、アルミニウム等の金属のエンドレスパイプを適当な長さに切断したものが好ましい。また、本発明では、アルミニウム系金属を押し出し成形して得られた肉厚管をしごき加工又は引き抜き加工したものを切削せずにそのまま用いても良い。導電性基体の表面には、画質に影響のない範囲で、例えば酸化処理や薬品処理等の各種の処理を施すことができる。また、導電性基体の表面に陽極酸化被膜を形成してもよい。
本発明の電子写真感光体における、導電性基体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属からなるもの、或いはポリエステルフィルム、紙、ガラス等の絶縁性基体の表面にアルミニウム、銅等の金属を蒸着したもの、又は、導電材料をバインダー樹脂に分散させた導電層を設けたものがある。更には、アルミニウム等の金属上に導電材料を分散させた導電層を設けたものでも良い。なかでも、アルミニウム等の金属のエンドレスパイプを適当な長さに切断したものが好ましい。また、本発明では、アルミニウム系金属を押し出し成形して得られた肉厚管をしごき加工又は引き抜き加工したものを切削せずにそのまま用いても良い。導電性基体の表面には、画質に影響のない範囲で、例えば酸化処理や薬品処理等の各種の処理を施すことができる。また、導電性基体の表面に陽極酸化被膜を形成してもよい。
<下引き層>
上記導電性基体の上に、下記の要件を満たす下引き層を有する。
(1)そのバインダー樹脂がポリアミド樹脂を主成分として、かつ、
(2)電荷発生層の主バインダー樹脂(本発明では、ポリビニルアセタール樹脂)に相溶する樹脂を少なくとも一種類含有し、かつ、
(3)熱可塑性樹脂である
上記導電性基体の上に、下記の要件を満たす下引き層を有する。
(1)そのバインダー樹脂がポリアミド樹脂を主成分として、かつ、
(2)電荷発生層の主バインダー樹脂(本発明では、ポリビニルアセタール樹脂)に相溶する樹脂を少なくとも一種類含有し、かつ、
(3)熱可塑性樹脂である
下引き層の主バインダー樹脂としてはポリアミド樹脂が用いられ、上記要件を満たすようにできれば特に限定はなく、単独で又は複数種のポリアミド樹脂を混合して用いても良い。ポリアミド樹脂の中でも、アルコール可溶性ポリアミド樹脂が下引き形成用塗布液を作製する点で好ましい。
かかるアルコール可溶性ポリアミド樹脂には、変成タイプと共重合タイプがあるが、何れも本発明で好ましく使用できる。変成タイプとしては、ナイロン6のN−メチル変成体、ナイロン6のメトキシメチル変成体、ナイロン8のN−エチル変成体、ナイロン8のエトキシメチル変成体等が挙げられるが、中でもナイロン6のメトキシメチル変成体が好ましい。
共重合タイプとしては、6ナイロン、8ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロン、620ナイロン等の共重合体が挙げられ、中でも、6/66/11共重合ナイロン、6/66/12共重合ナイロン、6/66/610共重合ナイロン、6/66/610/12共重合ナイロン等の三元系若しくは四元系の共重合ナイロンが好ましい。
また、下記一般式(1)で示されるジアミン化合物を繰り返しユニットとして有する共重合ポリアミド樹脂も、画像特性や塗布液の安定性の点で好ましい。更に、上記した共重合ナイロンであり、かつ、下記一般式(1)で示されるジアミン化合物を繰り返しユニットとして有するアルコール可溶性ポリアミド樹脂が、画像特性や塗布液の安定性の点で特に好ましい。
式(1)中、A及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいシクロヘキサン環を表すが、シクロヘキサン環A及びBの置換基としては、炭素数1〜8個のアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。特に好ましくは、メチル基又はエチル基である。また、R4及びR5は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。このアルキル基としては炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、このアルコキシ基としては、炭素数1〜8個のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。このアリール基としては低級アルキル置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
一般式(1)で示されるジアミン化合物と共に繰り返しユニットとして共重合ポリアミド樹脂に含まれるものとして以下のものが好ましいものとして挙げられる。すなわち、ジアミン成分としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン等のアルキレンジアミン類等が挙げられ、ジカルボン酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、ヘキサメチレンジカルボン酸、オクタメチレンジカルボン酸、デカメチレンジカルボン酸、オクタデカメチレンジカルボン酸等のアルキレンジカルボン酸類等が挙げられ、アミノ基とカルボキシル基を1分子中に含む成分としては、アミノ酸類等が挙げられ、環状アミド成分としては、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−オクタラクタム、ω−ラウリンラクタム等のラクタム類が挙げられる。
ポリアミド樹脂の数平均分子量としては特に限定はないが、5000から5万の範囲が好ましく、より好ましくは1万から3万の範囲である。数平均分子量が大きすぎると、塗布液粘度が大きくなりすぎ、塗布速度が遅くなる場合があり、小さすぎると塗布液粘度が小さくなりすぎ塗布性が悪くなる更には、所望の膜厚を形成出来ない場合がある。
ここで、「アルコール可溶性ポリアミド樹脂」とは、本発明では、メタノールに、20℃からメタノールの沸点までの温度範囲の中の何れか1点の温度で、少なくとも3質量%の濃度で溶解するポリアミド樹脂をいう。
本発明においては、下引き層に、主バインダー樹脂であるポリアミド樹脂以外に、電荷発生層の主バインダー樹脂(本発明では、少なくとも2種類以上のアセタール単位を有するポリビニルアセタール樹脂)に相溶する樹脂(以下、「相溶樹脂」と略記することがある)を少なくとも一種類含有することが必須である。相溶しない樹脂を用いた場合には、本発明の効果を充分に得られない場合がある。
相溶樹脂としては特に限定はないが、ポリビニルアセタール樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、イソシアネート樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂等が好ましいものとして挙げられる。
本発明においては、下引き層のバインダー樹脂は相溶された状態で全体として熱可塑性を示すことが必須であるが、そのためにも該相溶樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂が特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等が挙げられるが、2種類以上のアセタール単位を有するものが好ましく、その中でもアセトアセタール単位とブチラール単位を有するポリビニルアセタール樹脂がより好ましく、更には、アセトアセタール単位:ブチラール単位が、2:1〜1:2(モル比)のものが特に好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、酢酸ビニル単位、ビニルアルコール単位、ビニルアセタール単位の共重合樹脂であるが、組成比(モル比)としては、酢酸ビニル単位が0.1モル%から20モル%、ビニルアルコール単位が10モル%から55モル%、ビニルアセタール単位が40モル%から85モル%が好ましく、酢酸ビニル単位が0.1モル%から15モル%、ビニルアルコール単位が20モル%から50モル%、ビニルアセタール単位が45モル%から75モル%が特に好ましい。更には、ポリ酢酸ビニル単位が0.1モル%から10モル%、ポリビニルアルコール単位が30モル%から45モル%、ポリビニルアセタール単位が50モル%から70モル%がより好ましい。
ここで、それぞれの単位のモル%の意味は、酢酸ビニル単位とビニルアルコール単位の場合には、主鎖の炭素数2個分を1単位として数え、ビニルアセタール単位の場合には、主鎖の炭素数4個分を1単位として数えるものとする。
また、平均重合度は、200から6000が好ましく、1000から3000が特に好ましい。平均重合度が大きすぎると、塗布液の粘度が高くなり、下引き層の塗布形成が困難になる場合があり、小さすぎると、下引き層を所定の膜厚にすることが困難になる場合がある。ポリアミド樹脂及び相溶樹脂は任意に選択することができるが、相溶させたとき、すなわち下引き層のバインダー樹脂全体として熱可塑性であることが必須である。
下引き層中の全バインダー樹脂に対する上記相溶樹脂の割合は、50質量%以下であるが、好ましくは3質量%から30質量%であり、より好ましくは10質量%から25質量%である。3質量%より小さい場合は、接着性向上の効果が小さく、30質量%以上の場合は、画像特性が悪くなったり、電荷発生用塗布液を塗布するときに溶出しやすくなったりする場合がある。
更に、上記下引き層に、金属酸化物粒子が含まれていることが、電気特性等の面等で好ましい。金属酸化物粒子としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化アンチモン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシム、チタン酸バリウム等が挙げられるが、バンドギャップが2〜4eVのものが好ましく、その中でも酸化チタン又は酸化亜鉛が好ましい。
酸化チタンの結晶型には、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスがあり、何れの結晶型でも用いることが出来るが、ルチル型が一般的である。また、該金属酸化物粒子が有機珪素化合物で表面処理されていることが、高温高湿下でのロングラン実写特性(以下、「環境特性」と略記する)が向上する点から好ましい。有機珪素化合物としては表面処理に効果的であれば特に限定はないが、珪素原子、炭素原子、酸素原子、水素原子のみから構成されるものが、環境面、安全面、電子写真特性等の面で好ましい。そのような有機珪素化合物としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリメトキシシラン、ジメチルポリシロキサン等のポリシロキサン化合物;メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のシラン化合物が好ましいものとして挙げられる。その中でも、メチルハイドロジェンポリシロキサン又はメチルジメトキシシランでの表面処理は粒子との反応性の面で特に好ましい。
金属酸化物粒子が含まれている場合は、金属酸化物粒子とバインダー樹脂の比率は任意に選ぶことが出来るが、液の安定性、電気特性及び画像特性面から、バインダー樹脂1重量部に対して、0.5重量部から6重量部の範囲が好ましい。特に好ましくは、0.8重量部から4重量部の範囲である。金属酸化物粒子が多すぎる場合は、塗布液の安定性及び画像特性が悪くなる場合があり、少なすぎる場合は、電気特性が悪くなる場合がある。
また、金属酸化物粒子の粒径は、塗布液の安定性、電気特性の点で、平均一次粒子径が、100nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以上で50nm以下である。金属酸化物粒子の粒径が大きすぎる場合は、塗布液の安定性及び電気特性が悪くなる場合が有る。
下引き層の膜厚は、0.1μm〜30μm程度で設けられるが、好ましくは、0.5μm〜10μmで、更に好ましくは、0.5〜6μmである。膜厚が大きすぎると、電気特性が悪くなる場合があり、小さすぎると画像特性が悪くなる場合がある。
下引き層には、その他に、必要に応じて、ポリアミド樹脂や相溶樹脂以外のバインダー樹脂;酸化防止剤、レベリング剤等の添加剤;導電剤等を加えても良いが、熱硬化性樹脂となるような硬化剤は加えない方が良い。
上記下引き層を塗布する際に使用される溶媒、分散媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール等が用いられる。好ましくは、メチルアルコール、n−プロピルアルコール又はイソプロピルアルコールである。これらの溶媒は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。また、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン等の溶媒を60質量%以下で含んでいてもよい。
上記下引き層の塗布液の製造方法は特に限定はなく常法に従って混合すればよい。また、金属酸化物粒子が含まれている場合であっても、塗布液中に金属酸化物粒子を分散させる方法は特に限定はなく、例えば、ボールミル、サンドグラインドミル、遊星ミル、ロールミル等の公知の機械的な粉砕装置で、溶媒、分散媒中にて、湿式分散することにより製造することができる。このうち、分散メディアを利用して分散することが好ましい。
分散メディアを利用して分散する分散装置としては、公知のどのような分散装置を用いても構わないが、好ましいものとして、ペブルミル、ボールミル、サンドミル、スクリーンミル、ギャップミル、振動ミル、ペイントシェーカー、アトライター等が挙げられる。これらの中でも塗布液を循環させて分散できるものが好ましく、分散効率、到達粒径の細かさ、連続運転の容易さ等の点から、湿式攪拌ボールミル、例えば、サンドミル、スクリーンミル、ギャップミル等が用いられる。これらのミルは、縦型、横型、何れのものでもよい。また、ミルのディスク形状は、平板型、垂直ピン型、水平ピン型等、任意のものを使用できる。好ましくは、液循環型のサンドミルが用いられる。
下引き層の塗布は、ある程度均一に塗布できる方法であれば、いかなる塗布方法を用いてもよいが、浸漬塗布方法、スプレー塗布方法、ノズル塗布方法等を用いて常法に従って塗布されることが好ましく、中でも、浸漬塗布方法が生産効率に優れる点で好ましい。
浸漬塗布法の一例としては、ポリアミド樹脂、相溶樹脂、要すれば金属酸化物粒子及び要すればその他の成分を溶媒・分散媒に加えて、全固形分濃度が、塗布液全体に対して、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは10〜35質量%にする。塗布液の粘度については特に限定はないが、好ましくは3mPa・s以上、特に好ましくは5mPa・s以上、上限は、好ましくは100mPa・s以下、特に好ましくは60mPa・s以下に調整して、下引き層形成用の塗布液を調製する。
その後、塗膜を乾燥するが、必要かつ充分な乾燥が行われるように、乾燥温度、乾燥時間を調整する。通常は常温で風乾すればよいが、加熱乾燥してもかまわない。加熱乾燥時の温度は、通常100〜250℃、好ましくは110〜170℃、更に好ましくは115〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機、遠赤外線乾燥機等を用いた方法を挙げることができる。
<電荷発生層>
上記下引き層の上には、電荷発生層が設けられるが、電荷発生物質としては特に限定はないが、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられ、フタロシアニン顔料及びアゾ顔料が好ましい例である。
上記下引き層の上には、電荷発生層が設けられるが、電荷発生物質としては特に限定はないが、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられ、フタロシアニン顔料及びアゾ顔料が好ましい例である。
アゾ顔料としては、モノアゾ顔料、ポリアゾ顔料、金属錯塩アゾ顔料、ピラゾロンアゾ顔料、スチルベンアゾ顔料、チアゾールアゾ顔料等が挙げられるが、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好ましい。
フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアニンと金属フタロシアニンがあるが、金属フタロシアニンが好ましい。金属フタロシアニンとしては、チタニルフタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、インジウムフタロシアニン、バナジウムフタロシアニン、銅フタロシアニン等があるが、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。チタニルフタロシアニンの中でも、オキシチタニウムフタロシアニンが好ましく、更にはCuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2゜)27.3゜に回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンが特に好ましい。
本発明の電荷発生層の主バインダー樹脂としては、少なくとも2種類以上のアセタール単位を含有するポリビニルアセタール樹脂が用いられる。主バインダー樹脂として2種類以上のアセタール単位を含有するポリビニルアセタール樹脂を用いることによって、塗布液の分散安定性が高まると同時に電子写真感光体の電気特性がよくなる。
そのようなアセタール単位は特に限定されないが、ホルマール、アセトアセタール、ブチラール等が挙げられる。その中でも、少なくともアセトアセタール単位とポリビニルブチラール単位を有するポリビニルアセタール樹脂が好ましい。アセトアセタール単位とブチラール単位の比率は特に限定はないが、1:2〜2:1(モル比)が、上記した点から特に好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、酢酸ビニル単位、ビニルアルコール単位、ビニルアセタール単位の共重合樹脂であるが、組成比(モル比)としては、酢酸ビニル単位が0.1モル%から20モル%、ビニルアルコール単位が10モル%から55モル%、ビニルアセタール単位が40モル%から85モル%が好ましく、酢酸ビニル単位が0.1モル%から15モル%、ビニルアルコール単位が20モル%から50モル%、ビニルアセタール単位が45モル%から75モル%が特に好ましい。更には、ポリ酢酸ビニル単位が0.1モル%から10モル%、ポリビニルアルコール単位が30モル%から45モル%、ポリビニルアセタール単位が50モル%から70モル%がより好ましい。
ここで、それぞれの単位のモル%の意味は、酢酸ビニル単位とビニルアルコール単位の場合には、主鎖の炭素数2個分を1単位として数え、ビニルアセタール単位の場合には、主鎖の炭素数4個分を1単位として数えるものとする。
また、平均重合度は特に限定はないが、200から6000が好ましく、1000から3000が特に好ましい。
電荷発生層には、上記主バインダー樹脂以外の他のバインダー樹脂(以下、「少量バインダー樹脂」と略記する)は含有していても、含有していなくても良い。含有している場合は、好ましい少量バインダー樹脂として、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
電荷発生物質とバインダー樹脂の割合は、特に制限はないが、一般的には電荷発生物質100重量部に対し、通常5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部のバインダー樹脂を使用する。
電荷発生層の膜厚は、通常0.05μm〜5μm、好ましくは0.1μm〜2μmである。
特許文献6には、下引き層が、酸化チタン粒子とアルコール可溶性樹脂を主成分として、更にポリビニルアセタール樹脂を含有している電子写真感光体が例示されているが、電荷発生層のバインダー樹脂は、実施例及び比較例では、エポキシ樹脂80質量%とポリビニルブチラール樹脂20質量%であり、本発明とは、電荷発生層のバインダー樹脂が全く異なる。すなわち本発明は、主バインダー樹脂が、2種類のアセタール単位を有するポリビニルアセタール樹脂であるが、特許文献6では、主バインダー樹脂がエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、一般的には接着性に優れた樹脂として知られているので、接着性の面では良い傾向を示すが、電荷発生材料の分散性においては、ポリビニルアセタール樹脂と比較して悪い傾向がある。本発明は、電荷発生層のバインダー樹脂として、電荷発生材料の分散性に優れるポリビニルアセタール樹脂を使用したとしても、下引き層との接着性に優れている。
また、特許文献8は、下引き層が、酸化チタン粒子とアルコール可溶性樹脂を主成分として、更にポリビニルアセタール樹脂を含有している電子写真感光体が、例示されているが、電荷発生層のバインダー樹脂は、ブチラール樹脂(ユニオンカーバイド社製)であり、本発明とは異なる。電荷発生層のバインダー樹脂がブチラール樹脂では、下引き層との接着性が充分でなく本発明の効果は得られない。
また、特許文献9では、下引き層がポリアミド樹脂とノルマルブチル化メラミン樹脂の構成で、更に電荷発生層の主バインダー樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂であるが、下引き層が硬化性樹脂になっているところが、本発明と異なる。下引き層が硬化性樹脂となっているため、下引き層と電荷発生層の接着性を良くするために、下引き層表面を紫外線照射後、電荷発生層を塗布するというような複雑な工程になっている。また、硬化性樹脂なので、塗布後、加熱乾燥及び冷却工程が必要となり、熱可塑性樹脂と比較して、やはり工程的に不利である。
<電荷輸送層>
該電荷発生層の上に電荷輸送層が設けられる。電荷輸送層は少なくともバインダー樹脂と電荷輸送物質を含有しているが、必要に応じて電子吸引性化合物、あるいは、可塑剤、顔料その他の添加剤を含有していても良い。電荷輸送層の膜厚は通常10〜50μm、好ましくは13〜35μmの範囲で使用されるが、本発明では、22μm以上の場合に接着性向上の効果が顕著になり、更には25μm以上の時に最も効果的である。
該電荷発生層の上に電荷輸送層が設けられる。電荷輸送層は少なくともバインダー樹脂と電荷輸送物質を含有しているが、必要に応じて電子吸引性化合物、あるいは、可塑剤、顔料その他の添加剤を含有していても良い。電荷輸送層の膜厚は通常10〜50μm、好ましくは13〜35μmの範囲で使用されるが、本発明では、22μm以上の場合に接着性向上の効果が顕著になり、更には25μm以上の時に最も効果的である。
電荷輸送層中の電荷輸送物質としては、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリアセナフチレン等の高分子化合物、又は各種ピラゾリン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、アリールアミン誘導体等の低分子化合物が使用できる。
バインダー樹脂としては、上記電荷輸送物質と相溶性が良く、塗膜形成後に電荷輸送物質が結晶化したり、相分離することのないポリマーが好ましい。それらの例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、好ましくは、ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂である。
電子吸引性化合物としては、テトラシアノキノジメタン、ジシアノキノメタン、ジシアノキノビニル基を有する芳香族エステル類等のシアノ化合物、2,4,6−トリニトロフルオレノン等のニトロ化合物、ペリレン等の縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、キノン類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、酸無水物、フタリド類、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩が挙げられる。好ましくは、シアノ化合物、ニトロ化合物、縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩等を用いるのがよい。
更に、成膜性、可とう性、塗布性、機械的強度を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤を含有していてもよい。
<その他の層>
更に、感光層の上に、機械的特性の向上及び/又はオゾン、NOx等の耐ガス特性向上のために、オーバーコート層を用いても良い。更に必要に応じて、接着層、中間層、透明絶縁層等を有していてもよいことは言うまでもない。
更に、感光層の上に、機械的特性の向上及び/又はオゾン、NOx等の耐ガス特性向上のために、オーバーコート層を用いても良い。更に必要に応じて、接着層、中間層、透明絶縁層等を有していてもよいことは言うまでもない。
本発明において、前記の各層を形成するための塗布操作は、従来公知の塗布方法に従う。例えば、浸漬塗布法、スプレー塗布法、スピンナーコーティング法、ブレードコーティング法等を採用して行うことができる。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性基体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置;電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)等がよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器等が挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電何れも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。本発明の電子写真感光体は下引き層と感光層との接着性が良好なため、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器等との接触によっても、感光層が剥離する等の損傷を極めて受けにくくなる。そのため、本発明の電子写真感光体を用いた画像装置としては、感光層に接触配置されるような直接帯電装置、接触型帯電装置が搭載されたものが特に好ましい。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方式等の任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジ等の容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。本発明の電子写真感光体は下引き層と感光層との接着性が良好なため、現像ローラ44との接触によって感光層が剥離する等の損傷を極めて受けにくくなる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅等の金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状、ラグビーボール状等の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化には好適に用いられる。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。ケミカルトナーの場合には、4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナー粒子の形状も、球形に近いものから、球形から外れたポテト状のものまで、様々な形状のものを使用することができる。特に重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙、媒体)Pに転写するものである。本発明の電子写真感光体は下引き層と感光層との接着性が良好なため、転写装置5によって感光層が剥離する等の損傷を極めて受けにくくなる。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。なお、残留トナーが少ないか、ほとんど無い場合、クリーニング装置6は無くてもかまわない。本発明の電子写真感光体は下引き層と感光層との接着性が良好なため、クリーニング装置6によって感光層が剥離する等の損傷を極めて受けにくくなるため、クリーニング装置6を有する画像形成装置にも好適に用いることができる。特に、クリーニング装置6が感光層に大きな力のかかるブレードクリーナーの場合には、その効果は顕著である。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウム等の金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シート等が公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
本発明の画像形成装置においては、そこに用いられている電子写真感光体に2種類以上の部材が接触していることが好ましい。2種類以上の部材は特に限定はないが、帯電ブラシ、帯電ローラ等の接触型帯電部材;現像ローラ;転写ローラ、転写ベルト等の転写部材;ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等のクリーニング部材;感光層を支えたり、帯電部材やクリーニング部材との距離を保つために用いたりするコロ等が挙げられる。特に、本発明の電子写真感光体は下引き層と感光層との接着性が良好なため、ブレードクリーナーやコロの接触による感光層の剥離が極めて起こりにくく、これらのうち少なくとも1つを有する画像形成装置で特に効果が顕著になる。
<画像記録方法>
以上のように構成された画像形成装置では、次の方法に従って画像の記録が行なわれる。
以上のように構成された画像形成装置では、次の方法に従って画像の記録が行なわれる。
即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させてもよく、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を単独で、又は、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上の要素と組み合わせて、一体型のカートリッジ(これを適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、画像形成装置に対して着脱可能に構成されたカートリッジケースを用い、これに電子写真感光体1を単独で、又は上述の要素と組み合わせて収容し支持させることにより、電子写真感光体カートリッジとすることができる。こうした構成により、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
<作用>
本構成の電子写真感光体の接着性が良いことの理由は定かではないが、以下のように考えられる。下引き層には、電荷発生層の主バインダー樹脂と相溶する樹脂が含有されているので、下引き層と電荷発生層が、部分的に相溶することにより、接着性が改善されたのではないかと考えられる。その意味では、下引き層が電荷発生層の主バインダー樹脂と相溶する樹脂を含んでいても、熱硬化性樹脂になっていては、下引き層と電荷発生層は、部分的に相溶することはなく効果的ではない。
本構成の電子写真感光体の接着性が良いことの理由は定かではないが、以下のように考えられる。下引き層には、電荷発生層の主バインダー樹脂と相溶する樹脂が含有されているので、下引き層と電荷発生層が、部分的に相溶することにより、接着性が改善されたのではないかと考えられる。その意味では、下引き層が電荷発生層の主バインダー樹脂と相溶する樹脂を含んでいても、熱硬化性樹脂になっていては、下引き層と電荷発生層は、部分的に相溶することはなく効果的ではない。
以下本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は断りがない限り「重量部」を示す。
(分散液(P1)の調液)
体積平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの重量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンのメタノール/1−プロパノール(重量比が7/3)の分散スラリーを得た。ボールミルのボールは5mmφのアルミナボールを用いた。
体積平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの重量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンのメタノール/1−プロパノール(重量比が7/3)の分散スラリーを得た。ボールミルのボールは5mmφのアルミナボールを用いた。
特開平4−031870号公報の実施例に記載されたε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる数平均分子量13000のランダム共重合ポリアミド樹脂のペレットと、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒とを、加熱しながら撹拌、混合して、ポリアミド樹脂のペレットを溶解させポリアミド樹脂溶液を得た。
ポリビニルアセタール樹脂(電気化学工業(株)製、商品名:#6000−C、ポリビニルアセトアセタール:ポリビニルブチラール=1:1モル比)を、メタノール/1−プロパノールと室温下で混合し、ポリビニルアセタール樹脂溶液を得た。
前記分散スラリーとポリアミド樹脂溶液を混合し、該混合溶液に前記ポリビニルアセタール樹脂溶液を加えて攪拌混合し、最終的に、酸化チタン/ポリアミド樹脂/ポリビニルアセタール樹脂=10/8/2(質量比)、メタノール/1−プロパノール=7/3(質量比)、固形分濃度9質量%の分散液を調製し、これを分散液(P1)とした。
(分散液(P2)の調液)
分散液(P1)の調液と同様にして、疎水化処理酸化チタンのメタノール/1−プロパノール(重量比が7/3)の酸化チタン分散スラリーを得た。また、分散液(P1)の調液の場合と同様のランダム共重合ポリアミド樹脂を用いて同様にして、ポリアミド樹脂溶液を得た。
分散液(P1)の調液と同様にして、疎水化処理酸化チタンのメタノール/1−プロパノール(重量比が7/3)の酸化チタン分散スラリーを得た。また、分散液(P1)の調液の場合と同様のランダム共重合ポリアミド樹脂を用いて同様にして、ポリアミド樹脂溶液を得た。
次いで、前記酸化チタン分散スラリーと、ポリアミド樹脂溶液を攪拌混合して、最終的に、酸化チタン/ポリアミド樹脂=10/10(質量比)、メタノール/1−プロパノール=7/3(質量比)、固形分濃度9質量%の分散液を調製し、これを分散液(P2)とした。
実施例1
分散液(P1)に、表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ254mm、肉厚1.0mmのアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が0.75μmとなるように下引き層を設けた。
分散液(P1)に、表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ254mm、肉厚1.0mmのアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が0.75μmとなるように下引き層を設けた。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2゜)27.3゜に最大回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシニアン10部、ポリビニルアセタール樹脂(電気化学工業(株)製、商品名#6000−C)5部に1,2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行った。ここで用いたポリビニルアセタール樹脂と下引き層形成に用いたポリビニルアセタール樹脂は同一であるので、当然樹脂同士は相溶した。
この分散液に先に下引き層を設けたアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が0.3g/m2(約0.3μm)となるように電荷発生層を設けた。
及び、特開平3−221962号公報の実施例中に記載された製造法により製造された、2つの繰り返し構造単位をランダムに有する下記ポリカーボネート樹脂(モノマーモル比1:1、粘度平均分子量(Mv)=30000)100質量部、
以上を、1,4−ジオキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒に溶解させた液を浸漬塗布することにより、乾燥膜厚が17μmになるように電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体を感光体A1とする。
実施例2
実施例1の電荷輸送層を25μmとした以外は、実施例1と全く同様にして感光体を作製した。この電子写真感光体を感光体A2とする。
実施例1の電荷輸送層を25μmとした以外は、実施例1と全く同様にして感光体を作製した。この電子写真感光体を感光体A2とする。
比較例1
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液(P2)に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が0.75μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。得られた電子写真感光体を感光体B1とする。
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液(P2)に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が0.75μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。得られた電子写真感光体を感光体B1とする。
比較例2
実施例2の分散液(P1)を分散液(P2)とした以外は、実施例2と全く同様にして電子写真感光体を得た。得られた電子写真感光体を感光体B2とする。すなわち、比較例1の感光体B1で、その電荷輸送層を25μmとしたものを感光体B2とする。
実施例2の分散液(P1)を分散液(P2)とした以外は、実施例2と全く同様にして電子写真感光体を得た。得られた電子写真感光体を感光体B2とする。すなわち、比較例1の感光体B1で、その電荷輸送層を25μmとしたものを感光体B2とする。
<カブリ値(HH)の評価方法>
感光体A1と感光体B1を市販のレーザープリンター(HEWLETT PACKARD製 LASER JET 4 Plus:像形成をレーザー光で行う画像形成装置、接触方式で帯電を行う画像装置)に装着して、H/H:35℃/85%の環境(高温高湿なので画像が悪くなりやすい。)白ベタ画像を出し、カブリ値(HH)を測定した。その結果を表1に示す。「カブリ値」とは、印刷前の紙の白度と、印刷後(無地の信号での)の紙の白度の差で、この値が大きい印刷後の紙は、微小黒点が多く黒ずんだ紙になっている。
感光体A1と感光体B1を市販のレーザープリンター(HEWLETT PACKARD製 LASER JET 4 Plus:像形成をレーザー光で行う画像形成装置、接触方式で帯電を行う画像装置)に装着して、H/H:35℃/85%の環境(高温高湿なので画像が悪くなりやすい。)白ベタ画像を出し、カブリ値(HH)を測定した。その結果を表1に示す。「カブリ値」とは、印刷前の紙の白度と、印刷後(無地の信号での)の紙の白度の差で、この値が大きい印刷後の紙は、微小黒点が多く黒ずんだ紙になっている。
「カブリ値」は、標準サンプルの白度が94.4となるように白度計を調整し、この白度計を用いて印刷前の紙(A4サイズ)の白度を測定し、その同じ紙に対し、全面白色となる信号を上述のレーザープリンターに入力することにより印刷を行い、その後この紙の白度を再測定し、印刷前と印刷後の白度の差を測定することにより求めた。「カブリ値(HH)」は、H/H:35℃/85%の環境下で白ベタ画像を出して測定したカブリ値である。
<干渉縞模様の画像欠陥の評価方法>
感光体A1と感光体B1を上記の画像形成装置に装着して、黒ベタ画像を出して干渉縞模様の画像欠陥について、目視観察し、以下の基準で評価を行った。その結果を表1に示す。
〇:干渉縞模様がほとんど見えない。
×:干渉縞模様がはっきりと見える。
感光体A1と感光体B1を上記の画像形成装置に装着して、黒ベタ画像を出して干渉縞模様の画像欠陥について、目視観察し、以下の基準で評価を行った。その結果を表1に示す。
〇:干渉縞模様がほとんど見えない。
×:干渉縞模様がはっきりと見える。
表1から明らかなように、白ベタのカブリ値は、感光体A1とB1で特に差はなく、良好であったが、干渉縞模様に関しては、実施例の感光体A1は、干渉縞模様はほとんど見られないが、比較例の感光体B1は、はっきりと認められ大きな差があった。
干渉縞模様が発生しないことは、予期せぬことであったが、以下のように考えている。ポリアミド樹脂と「電荷発生層の主バインダー樹脂(本発明では、特定のポリビニルアセタール樹脂)に相溶する樹脂」(本発明では、特定のポリビニルアセタール樹脂)は、一般的には相溶しにくい、そのため下引き層の構造が、ポリアミド樹脂単独の場合に比べて不均一になり、そのため入射光を乱反射しやすく、レーザー光等の位相が揃った光が照射されても、干渉縞が発生しにくくなるためであると考えられる。
次に上記の電子写真感光体を感光体特性測定機に装着し、回転数30rpm、照射光780nm、帯電−700Vで、以下の項目を測定した。
(1)表面電位が−700Vになるように帯電させた後、780nmの光を照射した時の半減露光量(E1/2)
(2)表面電位が−700Vになるように帯電させた後、780nmの光を0.535μJ/cm2露光した時の残存電位(VL)
(3)−700Vに帯電して、660nmのLED光除電後の残留電位(Vr)
(1)表面電位が−700Vになるように帯電させた後、780nmの光を照射した時の半減露光量(E1/2)
(2)表面電位が−700Vになるように帯電させた後、780nmの光を0.535μJ/cm2露光した時の残存電位(VL)
(3)−700Vに帯電して、660nmのLED光除電後の残留電位(Vr)
測定は、3環境(LL:5℃/10%、NN:25℃/50%、HH:35℃/85%)(温度/相対湿度)で行った。その測定結果を表2に表す。
感光体A1と感光体B1に、E1/2、VL、Vrに差は見られず、ほぼ同等であり、何れも良好な電気特性を示していた。
次に、感光体A1、A2、B1、B2をJIS K5600−5−6に記載されている付着性試験を行い、その付着性を評価した。その評価結果(膜の残存率)を表3に表す。
表3から明らかなように、実施例である感光体A1及びA2は、ゴバン目試験を行っても、膜は100%残存し、非常に接着性が良いことが分かった。それに対して、比較例である感光体B1及びB2は、膜の剥離が見られ、接着性が劣ることが分かった。
また、電荷輸送層の膜厚が17μmと薄い電子写真感光体では、膜の残存率の改善は12%であったが、膜厚が25μmと厚い場合は、残存率の改善は84%と顕著であった。
本発明の電子写真感光体は、それを必要とする全ての分野で用いられるものであり、例えば、複写機、プリンター、印刷機等に広く好適に用いられるものである。
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ、帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置(クリーニング部)
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)
2 帯電装置(帯電ローラ、帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置(クリーニング部)
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)
Claims (7)
- 導電性基体上に、少なくとも、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する電子写真感光体であって、該電荷発生層が該下引き層上に設けられ、該電荷発生層の主バインダー樹脂が2種類以上のアセタール単位を持つポリビニルアセタール樹脂であり、該下引き層の主バインダー樹脂がポリアミド樹脂であり、かつ、該下引き層が電荷発生層の主バインダー樹脂に相溶する樹脂を少なくとも一種類以上含有し、かつ熱可塑性であることを特徴とする電子写真感光体。
- 該下引き層に含有される該電荷発生層の主バインダー樹脂に相溶する樹脂が、下引き層の全バインダー樹脂に対して、3質量%から30質量%である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 該下引き層に含有される該電荷発生層の主バインダー樹脂に相溶する樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 該電荷輸送層の膜厚が、22μm以上である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の電子写真感光体。
- 該下引き層が、金属酸化物粒子を含有する請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成装置。
- 画像形成装置に用いられている電子写真感光体に2種類以上の部材が接触している請求項6に記載の画像形成装置。
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JP2006170329A JP2008003152A (ja) | 2006-06-20 | 2006-06-20 | 電子写真感光体及び該電子写真感光体を用いた画像形成装置 |
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- 2006-06-20 JP JP2006170329A patent/JP2008003152A/ja active Pending
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