JP2008001838A - 半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム及びそれを用いた半導体ウェハの裏面研削方法 - Google Patents

半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム及びそれを用いた半導体ウェハの裏面研削方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体ウェハの裏面研削に際しウェハ表面と粘着剤層との間への水等の浸入が抑制され、ウェハ表面の汚染も抑制しうる半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム及び半導体ウェハの裏面研削方法を提供する。
【解決手段】基材フィルムの片表面に、(A)アクリル系粘着剤ポリマー100質量部、(B)官能基を2個以上有する架橋剤0.1〜30質量部及び(C)分子量1000〜5000のジオール型ポリプロピレングリコール1〜30質量部を含む粘着剤層用塗布液を用いて形成された粘着剤層を有し、該(A)アクリル系粘着剤ポリマーが、(A−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー単位、(A−2)架橋剤と反応しうる官能基を有するモノマー単位及び(A−3)ポリプロピレングリコールの末端ジオール基と反応し得るイソシアネート官能基を有するモノマー単位含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム及びそれを用いた半導体ウェハの裏面研削方法に関する。詳しくは、半導体集積回路の製造工程において、半導体ウェハの裏面を研削加工する際に半導体ウェハの破損、汚染を防止するために、半導体ウェハの集積回路が組み込まれた側の面(以下、適宜、ウェハの「表面」という。)に粘着剤層を介して直接貼着される半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム、及び、該粘着フィルムを用いた半導体ウェハの裏面研削方法に関する。
通常、半導体集積回路は高純度シリコン単結晶等をスライスしてウェハとした後、ウェハの一方の面に、イオン注入、エッチング等により集積回路を組み込み、さらにウェハの他方の面(以下、適宜、ウェハの「裏面」という。)をグラインディング、ポリッシング、ラッピング等により研削し、ウェハの厚みを100〜600μm程度まで薄くしてから、ダイシングしてチップ化する方法で製造されている。これらの工程の中で、ウェハの裏面を研削加工する際に半導体ウェハの破損、汚染を防止するために、半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムが用いられている。具体的には、ウェハ表面に半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムをその粘着剤層を介して直接貼着してウェハ表面を保護した後、該ウェハの裏面を研削する。研削が完了した後、該粘着フィルムはウェハ表面より剥離される。
従来の半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムを、ウェハの周辺部まで集積回路が組み込まれている半導体ウェハ、即ち、ウェハの最外周までスクライブラインが達しているような半導体ウェハの裏面を研削する際に用いた場合には、スクライブラインに起因する凹部を通してウェハ表面と粘着剤層との間に水が浸入し、それに起因してウェハが破損したり、水と共に研削屑が浸入してウェハ表面を汚染することがあった。
この問題を防止するために、粘着フィルムの粘着剤層の厚みを厚くし、ウェハ表面の凹部と粘着剤層の密着性を向上させる手段が採られている。しかしながら、この手段を用いた場合には、粘着フィルムのウェハ表面に対する粘着力がウェハの強度以上に大きくなり、ウェハの厚み、表面形状等の諸条件によっては、裏面研削後に該粘着フィルムをウェハ表面から剥離する際に、自動剥がし機で剥離トラブルが発生したり、時にはウェハを完全に破損してしまうことがあった。
このような問題を解決する手段として、例えば、下記特許文献1には、半導体ウェハの裏面を研磨するにあたり、該ウェハの表面に感圧性接着フィルムを貼り付け、研磨後この接着フィルムを剥離する半導体ウェハの保護方法において、感圧性接着フィルムが光透過性の支持体とこの支持体上に設けられた光照射により硬化し三次元網状化する性質を有する感圧性接着剤層とからなり、研磨後この接着フィルムを剥離する前にこの接着フィルムに光照射することを特徴とする半導体ウェハの保護方法が開示されている。
特許文献1に開示される半導体ウェハの保護方法は、剥離前に光照射することによって粘着フィルムのウェハ表面に対する粘着力を低下させることができるため、剥離時の作業性・ウェハ破損の問題を考慮せずに裏面研削時のウェハ表面に対する密着性を充分に大きくすることができ、前述のウェハ表面と粘着剤層との間への水及び研削屑の浸入の問題は解決される。
しかしながら、特許文献1に開示される粘着フィルムを用いた場合には、裏面研削後にウェハ表面から粘着フィルムを剥離するまでの間に光照射することが必要であるため、光照射設備を工程中に導入する必要があり、装置が大型化・複雑化したり、工程が複雑化して作業性が低下したりするという問題があった。また、光照射により発生するオゾンによって作業環境が悪化するという問題もあった。さらに、ウェハの表面形状や光照射強度・時間等の諸条件によっては、粘着剤層の硬化不良により剥離後のウェハ表面に糊残りの問題が発生することがあった。その問題を防止するためには光照射装置内を窒素等の不活性ガスで充填する必要があり、製造コストが上昇すると共に、工程のさらなる大型化・複雑化を招くという問題があった。
また、支持シートに感圧接着層を設けてなり、その感圧接着層がゲル分率40%以上であり、かつ水溶性ポリマーを含有することを特徴とする半導体ウェハの保護部材が提案されており(例えば、下記特許文献2、参照)、その場合、感圧接着層が水溶性ポリマーとして重量平均分子量5000以下のポリプロピレングリコールを含有するのが好ましい旨が記載されている。
ここに開示される半導体ウェハの保護部材(粘着フィルム)は、その感圧接着層(粘着剤層)に水溶性ポリマーを含有することによって、該保護部材を回路パターン形成面等から剥離した後に、有機溶剤による前洗浄をすることなく直接水洗しても充分に清澄に洗浄処理でき、従って有機溶剤による前洗浄を省略できると記載されている。さらに、裏面研磨時等における接着界面への水の浸入防止、研磨屑による回路パターン形成面等への汚染防止、剥がれによるウェハ損傷の防止等の保護機能、及び剥離時における研磨ウェハ等の割れ防止の剥離容易性も満足し、且つ、ブリードで半導体ウェハに付着した水溶性ポリマーも水洗で容易に洗浄することができるとも記載されている。
しかしながら、特許文献2に開示される半導体ウェハの保護部材を半導体ウェハの裏面研削用に用いた場合、ウェハの表面形状、裏面研削条件、剥離条件等の諸条件によっては、該保護部材をウェハから剥離する際に粘着剤層の一部が凝集破壊によりウェハ表面に残り(以下、このように粘着剤の一部がウェハ表面に残存する現象を、適宜「糊残り」と称する)、ウェハ表面を汚染することがあった。この凝集破壊による糊残りは、水洗によっても完全には除去できないことがあり、回路の電極部に生じた場合にはボンディング時にボンディング不良が発生したり、その他の部分に生じた場合にはパッケージング不良が発生したりすることがあった。
近年、半導体業界の技術革新、低コスト化への要求に伴い、半導体ウェハは、年々大口径化・薄層化する傾向にある。特に、パッケージングの薄層化や、スマートカード用途の様に薄肉であることが求められる半導体チップの需要が増加していることに伴い、裏面研削後の半導体ウェハの厚みはますます薄くなりつつある。裏面の研削に要する時間はウェハの面積と共に増大するため、前述した研削中の水及び研削屑の浸入によるウェハの破損・汚染の問題はウェハが大口径化するほど発生しやすいと考えられる。さらに、ウェハの厚みが薄くなるにつれてウェハ自体の強度が低下することを考慮すれば、前述した剥離時にウェハが破損する問題も、ウェハの薄層化に伴ってますます深刻化していくものと予想される。
加えて、近年の半導体ウェハ表面の多様化により、粘着剤の一部が残り易い表面形状を有するウェハが多くなってきている。例えば、スマートカード用途に適したチップを有するウェハとして、高さ5〜100μmの突起状のハイバンプ電極を有するウェハが生産されるようになってきている。このような突起状のハイバンプ電極を表面に有する半導体ウェハの裏面を研削する場合には、研削後のウェハから粘着フィルムを剥離する際に、ウェハの表面に粘着剤の一部が残り、ウェハ表面を汚染することがあった。この糊残りによる汚染は、特にハイバンプ電極の周辺に発生することが多く、その場合には洗浄等の後処理によっても汚染の除去が困難であり、特に大きな問題となることがあった。このようなハイバンプ電極周辺に発生する糊残りによる汚染は、特許文献2に開示される半導体ウェハの保護部材を用いた場合でも、水洗による汚染の除去が不十分となることがあった。
また、半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムにおいては、ウェハへの粘着力の制御、水洗による汚染除去の容易性等を考慮して、比較的低分子量のアルキレングリコール系重合体を粘着剤層中に添加する技術がある(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、粘着剤層に上記の如きアルキレングリコール系重合体を含有させると、該アルキレングリコール系重合体が粘着剤層からブリードアウトすることにより、ウェハ表面の汚染が生じる懸念が生じ、更なる改善が求められていた。
特開昭60−189938号公報 特開平5−335288号公報 特開平11−31525号公報
本発明の目的は、半導体ウェハの裏面を研削する際に、ウェハ表面と粘着剤層との間への水及び研削屑の浸入によるウェハの破損及び汚染の防止を図ることができ、且つ、剥離時にウェハを破損することなく容易に剥離可能であり、しかもウェハ表面の汚染を生じることのない半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム、及び、それを用いた半導体ウェハの裏面研削方法を提供することにある。
本発明者らは、前記問題点に鑑み鋭意検討した結果、アクリル系粘着剤ポリマーとジオール型ポリプロピレングリコールとを含有し、且つ、該アクリル系ポリマーの調製に、イソシアネート官能基を有するモノマー単位を用いることで得られる特定の組成の粘着剤層を有する半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムにより、前記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 半導体ウェハの裏面を研削する際にその回路形成表面に貼着される半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムであって、基材フィルムの片表面に、(A)アクリル系粘着剤ポリマー、及び、該(A)アクリル系粘着剤ポリマー100質量部に対し、(B)1分子中に官能基を2個以上有する架橋剤0.1〜30質量部と、(C)重量平均分子量1000〜5000の両末端官能基がジオール型のポリアルキレングリコール1〜20質量部と、を含む粘着剤層用塗布液を用いて形成された粘着剤層を有し、該(A)アクリル系粘着剤ポリマーが、モノマー全量中、(A−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー単位を60質量%〜98質量%、(A−2)架橋剤と反応しうる官能基を有するモノマー単位を1質量%〜30質量%、及び(A−3)ポリプロピレングリコールの末端ジオール基と反応し得るイソシアネート官能基を有するモノマー単位を1質量%〜10質量%含有してなるモノマー組成物により調製されたポリマーであることを特徴とする半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム。
<2> 半導体ウェハの回路形成表面に<1>に記載の粘着フィルムを貼着して、半導体ウェハの裏面を研削し、研削終了後に該粘着フィルムを剥離することを特徴とする半導体ウェハの裏面研削方法。
ここで、前記半導体裏面研削用粘着フィルムの好ましい態様について述べれば、粘着剤層中に、前記(A)アクリル系粘着剤ポリマーを構成する(A−3)イソシアネート官能基を有するモノマーと(C)重量平均分子量1000〜5000の両末端官能基がジオール型のポリアルキレングリコールが反応することにより形成されたウレタン結合基を有する態様が挙げられる。
また、前記(A−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー単位が、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位であること、前記(A−2)架橋剤と反応しうる官能基を有するモノマー単位が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、及びメタクリルアミドから選ばれた少なくとも1種のモノマー単位であること、(B)架橋剤の分子内に存在する架橋反応性官能基が、エポキシ基、イソシアネート基、アジリジン基及びメラミン基なる群から選ばれた少なくとも1種の官能基であることが好ましい。
さらに、前記(A)アクリル系粘着剤ポリマーが、モノマー全量中、前記(A−1)モノマー単位を85質量%〜98質量%、前記(A−2)モノマー単位を1質量%〜20質量%、前記(A−3)モノマー単位を2質量%〜10質量%含有したモノマー組成物から調製されたアクリル系粘着剤ポリマーであることが好ましい態様である。
ここで粘着フィルムに用いられる基材フィルムの厚みは目的に応じて適宜選択されるが、10〜500μmであることが好ましい。
本発明によれば、半導体ウェハの裏面を研削する際に、ウェハ表面と粘着剤層との間への水及び研削屑の浸入によるウェハの破損及び汚染の防止を図ることができ、且つ、剥離時にウェハを破損することなく容易に剥離することができ、しかもウェハ表面の汚染を生じることのない半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム、及び、それを用いた半導体ウェハの裏面研削方法を提供することができる。
具体的には、本発明によれば、半導体ウェハの裏面を研削するに際し、ウェハ表面と粘着剤層との間に水及び研削屑が浸入することに起因するウェハの破損及びウェハ表面の汚染が起こらない。粘着力が適正な範囲にあるため、粘着フィルムをウェハから剥離する際のウェハの破損が起こらず、光照射装置等の設備を新たに工程に導入する必要もない。さらに、粘着フィルムをウェハから剥離した後に糊残りや粘着剤層からの低分子成分のブリードアウトが生じないので、半導体ウェハの表面を汚染することがない。
以下、本発明の半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム、及び、それを用いた半導体ウェハの裏面研削方法について詳細に説明する。
[半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム]
本発明の半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム(以下、単に「粘着フィルム」と称する場合がある。)は、半導体ウェハの裏面を研削する際にその回路形成表面に貼着される半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムであって、基材フィルムの片表面に、(A)アクリル系粘着剤ポリマー、及び、該(A)アクリル系粘着剤ポリマー100質量部に対し、(B)1分子中に官能基を2個以上有する架橋剤0.1〜30質量部と、(C)重量平均分子量1000〜5000のジオール型ポリプロピレングリコール1〜20質量部と、を含む粘着剤層用塗布液を用いて形成された粘着剤層を有し、該(A)アクリル系粘着剤ポリマーが、モノマー全量中、(A−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー単位を60質量%〜98質量%、(A−2)架橋剤と反応しうる官能基を有するモノマー単位を1質量%〜30質量%、及び(A−3)ポリプロピレングリコールの末端ジオール基と反応し得るイソシアネート官能基を有するモノマー単位を1質量%〜10質量%含有してなるモノマー組成物により調製されたポリマーであることを特徴とする。
本発明の粘着フィルムは、基材フィルムの片表面に粘着剤層を有し、通常、該粘着剤層上には剥離フィルムが貼着されて構成される。
以下、本発明の粘着フィルムの各構成要素について詳細に説明する。
本発明に係る粘着剤層は、基材フィルムの片表面に、前記(A)アクリル系粘着剤ポリマー、及び、該(A)アクリル系粘着剤ポリマー100質量部に対し、(B)1分子中に官能基を2個以上有する架橋剤0.1〜30質量部と、(C)重量平均分子量1000〜5000の両末端官能基がジオール型のポリアルキレングリコール1〜20質量部と、を含む粘着剤層用塗布液を用いて形成された層である。粘着剤層用塗布液には、所望により、これら以外の任意成分を含有してもよい。粘着剤層用塗布液は、上記の必須成分及び任意成分を含む溶液またはエマルジョン液として調製される。
<(A)アクリル系粘着剤ポリマー>
本発明に係る粘着剤層用塗布液は、(A)アクリル系粘着剤ポリマー(以下、適宜「粘着剤ポリマー」と称する。)を必須成分として含有する。
本発明に係る(A)粘着剤ポリマーとしては、(A−1)アクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとして、(A−2)架橋剤と反応し得る官能基を有するコモノマー、及び、(A−3)ポリプロピレングリコールの末端ジオール基と反応し得るイソシアネート官能基を有するモノマー単位を含むモノマー混合物を共重合して得られるポリマーであることが好ましい。
〔(A−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー〕
(A)粘着剤ポリマーの共重合形成に用いられる主モノマーとしては、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルからなる群より選択されるモノマーが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位であることがより好ましい。
具体的には、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用しても、また、2種以上を混合して使用してもよい。
なお、本明細書中においては、アクリル、メタクリルの双方或いはこれらのいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と記載することがある。
前記主モノマーである(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの使用量は、粘着剤ポリマーの原料となる全モノマーの総量中に、60質量%〜98質量%の範囲で含まれていることが好ましく、さらに好ましくは70質量%〜98質量%の範囲である。
〔(A−2)架橋剤と反応しうる官能基を有するモノマー〕
上記(A−1)モノマーと共重合させうる(A−2)架橋剤と反応し得る官能基を有するコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル−ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル−ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、及びメタクリルアミドから選ばれた少なくとも1種のモノマー単位であることがより好ましい。
これらのコモノマーは、1種を上記(A−1)モノマーと共重合させてもよいし、また2種以上を共重合させてもよい。
架橋剤と反応しうる官能基を有するコモノマーの使用量は、粘着剤ポリマーの原料となる全モノマーの総量中に、通常、1質量%〜30質量%の範囲で含まれていることが好ましく、さらに好ましくは、1質量%〜20質量%の範囲である。
〔(A−3)ポリアルキレングリコールの末端ジオール基と反応し得るイソシアネート官能基を有するモノマー〕
本発明においては、(A)粘着剤ポリマーの形成に際して、前記(A−1)モノマー、(A−2)モノマーに加えて、(A−3)ポリアルキレングリコールの末端ジオール基と反応し得るモノマー単位を用いる。このモノマー単位を加えることにより、(A)粘着剤ポリマーと共存して、易剥離性を達成する(C)ポリアルキレングリコールの末端ジオール基と、(A)粘着剤ポリマー中に存在するイソシアネート官能基とが架橋反応を形成し、ポリアルキレングリコールのブリードを効果的に抑制することができる。
このようなモノマーとしては、イソシアネート官能基を有するアクリル酸エステル系モノマーであれば特に制限はなく、(A)粘着剤ポリマーを構成する主モノマーとの親和性、得られるポリマーの物性を考慮すれば、(メタ)アクリル酸誘導体イソシアネートなど、(メタ)アクリル酸系モノマーのいずれかの部分に−N=C=O基(イソシアネート官能基)を有するものが好ましい。
具体的には、例えば、2−メタクロイル−オキシ−エチルイソシアネート、2−アクリロイル−オキシ−エチルイソシアネート、1,1−ビスアクリロイル−オキシ−エチルイソシアネートなどが挙げられる。
(A−3)モノマーは、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
また、(A)粘着剤ポリマーを構成する全モノマー中、(A−3)モノマーは、1質量%〜10質量%の範囲で含まれることが好ましく、2質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明に係る粘着剤ポリマーは、上記した(A−1)〜(A−3)の各モノマーの他に、界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、適宜「重合性界面活性剤」と称する。)を共重合したものであってもよい。重合性界面活性剤は、主モノマー及びコモノマーと共重合する性質を有すると共に、乳化重合する場合には乳化剤としての作用を有する。重合性界面活性剤を用いて乳化重合した粘着剤ポリマーを用いた場合には、通常、界面活性剤によるウェハ表面に対する汚染が生じない。また、粘着剤層に起因する僅かな汚染が生じた場合においても、ウェハ表面を水洗することにより容易に除去することが可能となる。
〔粘着剤ポリマーに含まれうるその他のモノマー〕
本発明に用いうる重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔例えば、第一工業製薬(株)製;アクアロンRN−10、同RN−20、同RN−30、同RN−50等〕、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔例えば、第一工業製薬(株)製;アクアロンHS−10、同HS−20等〕、及び、分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系のもの〔例えば、花王(株)製;ラテムルS−120A、同S−180A等〕等が挙げられる。
さらに必要に応じて、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、2−(1−アジリジニル)エチルアクリレート、2−(1−アジリジニル)エチルメタクリレート等の自己架橋性の官能基を持ったモノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性二重結合を持ったモノマー、ジビニルベンゼン、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等の多官能性のモノマー等を共重合してもよい。
粘着剤ポリマーを重合する方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、等既知の様々な方法が採用できるが、得られる粘着剤ポリマーの分子量及びそれにともなう粘着剤の凝集力への影響を考慮する必要がある。これらの重合方法の内、高分子量のポリマーが得られること、塗布、乾燥工程における環境汚染、塗布性等を勘案すると、乳化重合法が好ましい。
粘着剤ポリマーの重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられるが、粘着剤の製造コスト、モノマーの官能基の影響及び半導体ウェハ表面へのイオンの影響、等を考慮すれば、ラジカル重合によって重合することが好ましい。
ラジカル重合反応によって重合する際に用いうるラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド等の有機過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物、等が挙げられる。
乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中でも、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が好ましい。半導体ウェハ表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物がさらに好ましい。4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が特に好ましい。
<(B)1分子中に官能基を2個以上有する架橋剤>
本発明においては、上記した、(A)粘着剤ポリマーと共に、(B)1分子中に官能基を2個以上有する架橋剤を含有する。
本発明に用いうる(B)架橋剤としては、1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を有する架橋剤であることが好ましく、前記粘着剤ポリマーにおいて(A−2)モノマーに由来する架橋剤と反応し得る官能基と(B)架橋剤の架橋反応性官能基が架橋構造を形成することにより、粘着剤層の固定化が達成され、粘着剤層における種々の物性が調整される。
(B)架橋剤の分子内に存在する架橋反応性官能基としては、エポキシ基、イソシアネート基、アジリジン基及びメラミン基なる群から選ばれた少なくとも1種の官能基であることが好ましい。
このような官能基を有し、本発明に好適に用いうる架橋剤としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合物、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物、及びヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。
これらの架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の中でも、エポキシ系架橋剤は架橋反応の速度が遅く、反応が十分に進行しない場合には粘着剤層の凝集力が低くなり、半導体ウェハ表面の形状によっては粘着剤層に起因する汚染が生じることがある。したがって、適宜、アミン等の触媒を含有するか、もしくは触媒作用のあるアミン系官能基をもつモノマーを粘着剤ポリマーに共重合するか、架橋剤を使用する際にアミンとしての性質を有するアジリジン系架橋剤を併用することが好ましい。
(B)架橋剤の含有量は、通常、架橋剤中の官能基数が粘着剤ポリマー中の官能基数よりも多くならない程度の範囲で含有することが好ましい。しかし、架橋反応で新たに官能基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合など、必要に応じて過剰に含有してもよい。
本発明における他の架橋剤の好ましい含有量は、前記(A)粘着剤ポリマー100質量部に対し、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.2〜15質量部であることが特に好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲において、粘着剤層の十分な凝集力が達成され、ウェハ表面(特にハイバンプ電極を有するウェハの場合には該ハイバンプ電極の周辺)に粘着剤層に起因する糊残りを生じやすくなる、粘着フィルムをウェハ表面から剥離する際に自動剥がし機で剥離トラブルが発生したり、ウェハを破損するといった事態の発生を抑制することができ、粘着剤層とウェハ表面との十分な密着力が得られるため、研削中に水や研削屑が浸入し、ウェハを破損したり、研削屑によるウェハ表面の汚染が生じたりすることがない。
<(C)重量平均分子量1000〜5000のジオール型ポリプロピレングリコール>
本発明に係る粘着剤層用塗布液は、上記(A)アクリル系粘着剤ポリマー、(B)架橋剤にくわえ、さらに、(C)重量平均分子量1000〜5000のジオール型ポリプロピレングリコールを必須成分として含有する。
このように、分子内に親水性の官能基を有し、且つ、所定の分子量を有するポリプロピレングリコールを粘着剤層に使用することで、適切な粘着力が達成でき、ウェハ表面と粘着剤層との優れた密着性と、剥離時における易剥離性を両立させることが可能となった。
粘着剤層に添加する(C)特定ポリプロピレングリコールとしては、ジオール系のものが好ましく挙げられるが、トリオール系のものも併用することができる。
ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は、アクリル系樹脂エマルジョン型粘着剤に均一分散が可能であり、且つ、経時安定性に優れるといった観点から、1000〜5000のものが好ましく、さらに好ましい重量平均分子量1000〜3000の範囲である。
この分子量の範囲において、(C)特定ポリプロピレングリコールの塗布時や半導体ウェハ加工用フィルムの保管時における経時的な飛散が抑制され、適度な粘着力が持続するともに、エマルジョン型の粘着剤塗布液にも均一分散し易い。
なお、本発明における特定ポリプロピレングリコールの重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
添加量については、(A)粘着剤ポリマー100質量部に対し、1〜20質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることがさらに好ましい。この含有量の範囲において、適度な粘着性、即ち、ウェハへの密着性と、使用後における容易な剥離性が両立しうる粘着性を達成できる。含有量が多くなりすぎると、粘着力の低下が著しくなり、さらに、粘着剤の凝集力が低下し、ウェハ表面への糊残りの懸念が生じる。
本発明における粘着剤層用塗布液は、前記した(A)〜(C)の各必須成分に加え、本発明の範囲を損なわない限りにおいて、その他の公知の添加剤を併用することができる。例えば、造膜助剤としてカルビトール系やセルソルブ系の水溶性有機溶剤を目的に応じて添加してもよい。
また、粘着特性を調整するために、ロジン系、テルペン樹脂系等のタッキファイヤー、各種界面活性剤等の任意成分を、本発明の効果に影響しない程度に適宜含有してもよい。
また、粘着剤ポリマーがエマルジョン液である場合は、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等の造膜助剤を本発明の目的に影響しない程度に適宜添加してもよい。造膜助剤として使用されるジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びその誘導体は、粘着剤層中に多量に含有した場合、洗浄が不可能となる程度の多量のウェハ表面の汚染を招くことがあることを考慮すれば、粘着剤塗工後の乾燥時の温度で揮発するものを使用し、粘着剤層中への残存量を低くすることが好ましい。
なお、粘着剤層用塗布液を調製する際に、粘着剤ポリマーがエマルジョン液である場合には、粘着剤層用塗布液中への(C)成分の分散を容易にするために、上記ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等の造膜助剤中に(C)成分を予め溶解した後に、粘着剤ポリマーエマルジョン液に添加したり、本発明の目的に影響しない程度に適宜界面活性剤を併用したりすることが好ましい。
本発明に係る粘着剤層は、必須成分である、(A)粘着剤ポリマー、(B)架橋剤、(C)特定分子量のポリプロピレングリコール、及び、必要に応じて添加される任意成分を含む溶液またはエマルジョン液からなる粘着剤層用塗布液を調製し、この粘着剤層用塗布液を用いて、下記i)又はii)の方法により形成することができる。
i) 基材フィルムの片表面に、粘着剤層用塗布液を塗布・乾燥して粘着剤層を形成する方法
ii) 粘着剤層上に貼着する剥離フィルムの片表面に、粘着剤層用塗布液を塗布・乾燥して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材フィルム上に転写する方法
上記i)の方法により粘着剤層を形成する場合には、環境に起因する汚染等から保護するために、形成された粘着剤層の表面に剥離フィルムを貼着することが好ましい。
上記i)及びii)の何れの方法により粘着剤層を形成するかは、基材フィルム及び剥離フィルムの耐熱性、半導体ウェハ表面の汚染性を考慮して決める。
例えば、剥離フィルムの耐熱性が基材フィルムのそれより優れている場合は、剥離フィルムの表面に粘着剤層を設けた後、基材フィルムへ転写することが好ましい。剥離フィルムの耐熱性が基材フィルムと同等または基材フィルムの方が優れている場合は、基材フィルムの表面に粘着剤層を設け、その表面に剥離フィルムを貼着することが好ましい。
半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムは、剥離フィルムを剥離した時に露出する粘着剤層の表面を介して半導体ウェハ表面に貼着されることを考慮し、粘着剤層による半導体ウェハ表面の汚染防止を図るためには、耐熱性の良好な剥離フィルムを使用し、その表面に粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成し、これを基材フィルムへ転写する方法(上記ii)の方法)の方が好ましい。
<基材フィルム>
本発明における基材フィルムとしては、合成樹脂をフィルム状に成型加工したものを用いる。基材フィルムは単層体であっても、また、積層体であってもよい。基材フィルムの厚みは10μm〜500μmであることが好ましく、より好ましくは70〜500μmの範囲である。基材フィルムの原料樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂が挙げられる。これらの中で、裏面研削中のウェハの保護性能を考慮すれば、ASTM−D−2240−86、またはJIS Kー7215−1986に規定されるショアーD型硬度が40以下である原料樹脂が特に好ましい。これらの樹脂をフィルム状に成型加工する際には、必要に応じて、安定剤、滑剤、酸化防止剤、顔料、ブロッキング防止剤、可塑剤、等を添加してもよい。基材フィルムを成型加工する際に安定剤等の各種添加剤を添加した場合、添加剤が粘着剤層に移行して、粘着剤の特性を変化させたり、ウェハ表面を汚染することがある。このような場合には、基材フィルムと粘着剤層の間にバリヤー層を設けることが好ましい。
また、半導体ウェハの裏面を研削した後に施されるエッチング液によるエッチング処理の際にも引き続き半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムを用いて半導体ウェハの表面を保護する場合には、耐薬品性に優れた基材フィルムを使用することが好ましい。例えば、基材フィルムの粘着剤層を設ける側とは反対側の面にポリプロピレン等の耐薬品性フィルムを積層する等である。
基材フィルムと粘着剤層との接着力を向上させるため、基材フィルムの粘着剤層を設ける面には、コロナ処理または化学処理を予め施すことが好ましい。また、基材フィルムと粘着剤層の間に下塗剤を塗布してもよい。
本発明に使用する基材フィルムは、カレンダー法、Tダイ押出法、インフレーション法等、公知の技術により製造されるものの中から、生産性、得られるフィルムの厚み精度等を考慮して選択することができる。
本発明に使用しうる剥離フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられる。必要に応じてその表面にシリコーン処理等が施されたものが好ましい。剥離フィルムの厚みは、通常10〜200μmであり、好ましくは30〜100μmである。
基材フィルム又は剥離フィルムの片表面に粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えばロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。
塗布された粘着剤層の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80〜200℃の温度範囲において10秒〜10分間乾燥することが好ましく、80〜170℃において15秒〜5分間乾燥することがさらに好ましい。
(B)架橋剤と(A)粘着剤ポリマーとの架橋反応を充分に促進させるために、粘着剤層用塗布液の乾燥が終了した後に、半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムを40〜80℃において5〜300時間程度加熱する加熱工程を実施してもよい。
本発明における粘着剤層の厚さは、3〜100μmの範囲であることが好ましく、5〜100μm、さらには、10〜70μmの範囲であることがより好ましい。粘着剤層の厚みが薄くなると、耐水性が劣り裏面研削中にウェハ表面と粘着剤層との間に水が浸入して、ウェハを破損したり、ウェハ表面に研削屑による汚染が生じたりする傾向にある。厚みが厚くなると、粘着フィルムの作製が困難となったり、生産性に影響を与え製造コストの増加につながることがある。
本発明の半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムの粘着力は、ウェハ表面の研削条件、ウェハの口径、研削後のウェハの厚み等を勘案して適宜調整できるが、粘着力が低すぎるとウェハ表面へのフィルムの貼付が困難となったり、裏面研削中にウェハ表面と粘着剤層との間に水が浸入し、ウェハが破損したり、ウェハ表面に研削屑等による汚染が生じたりする傾向にある。また、粘着力が高すぎると、裏面研削後に粘着フィルムをウェハ表面から剥離する際に、自動剥がし機で剥離トラブルが発生する等、剥離作業性が低下したり、ウェハを破損したりすることがある。通常、SUS304−BA板に対する粘着力に換算して0.4〜4.0N/25mmが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5N/25mmである。
なお、本発明の半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムの製造に際しては、半導体ウェハ表面の汚染防止の観点から、基材フィルム、剥離フィルム、粘着剤主剤等全ての原料資材の製造環境、粘着剤塗布液の調製、保存、塗布及び乾燥環境は、米国連邦規格209bに規定されるクラス1,000以下のクリーン度に維持されていることが好ましい。
[半導体ウェハの裏面研削方法]
次に、本発明の半導体ウェハの裏面研削方法について説明する。
本発明の半導体ウェハの裏面研削方法は、半導体ウェハの裏面を研削する際に、上述した本発明の半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムを用いることを特徴とする。
その詳細としては、先ず、本発明の粘着フィルムの粘着剤層から剥離フィルムを剥離し、粘着剤層表面を露出させ、その粘着剤層を介して、半導体ウェハの集積回路が組み込まれた側の面に貼着する。次いで、研削機のチャックテーブル等に粘着フィルムの基材フィルム層を介して半導体ウェハを固定し、半導体ウェハの裏面を研削する。研削が終了した後、粘着フィルムは剥離される。裏面の研削が完了した後、粘着フィルムを剥離する前にケミカルエッチング工程を経ることもある。また、必要に応じて、粘着フィルム剥離後に、半導体ウェハ表面に対して、水洗、プラズマ洗浄等の処理が施される。
この様な裏面研削操作において、半導体ウェハは、研削前の厚みが、通常、500μm〜1000μmであるのに対して、半導体チップの種類等に応じ、通常、100μm〜600μm程度まで研削される。研削する前の半導体ウェハの厚みは、半導体ウェハの口径、種類等により適宜決められ、研削後の厚みは、得られるチップのサイズ、回路の種類、等により適宜決められる。
粘着フィルムを半導体ウェハに貼着する操作は、人手により行われる場合もあるが、一般に、ロール状の粘着フィルムを取り付けた自動貼り機と称される装置によって行われる。この様な自動貼り機として、例えば、タカトリ(株)製ATM−1000B、同ATM−1100、帝国精機(株)製STLシリーズ等がある。
裏面研削方式としては、スルーフィード方式、インフィード方式等の公知の研削方式が採用される。それぞれ、研削は水を半導体ウェハと砥石にかけて冷却しながら行われる。裏面研削終了後、必要に応じてケミカルエッチングが行われる。ケミカルエッチングは、弗化水素酸や硝酸、硫酸、酢酸等の単独もしくは混合液からなる酸性水溶液や、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液、からなる群から選ばれたエッチング液に、粘着フィルムを貼着した状態で半導体ウェハを浸漬する等の方法により行われる。該エッチングは、半導体ウェハ裏面に生じた歪の除去、ウェハのさらなる薄層化、酸化膜等の除去、電極を裏面に形成する際の前処理、等を目的として行われる。エッチング液は、上記の目的に応じて適宜選択される。
裏面研削、ケミカルエッチング終了後、粘着フィルムはウェハ表面から剥離される。この一連の操作は、人手により行われる場合もあるが、一般には、自動剥がし機と称される装置により行われる。この様な、自動剥がし機としては、タカトリ(株)製ATRM−2000B、同ATRM−2100、帝国精機(株)製STPシリーズ等がある。
粘着フィルムを剥離した後のウェハ表面は、必要に応じて洗浄される。洗浄方法としては、水洗浄、溶剤洗浄等の湿式洗浄や、プラズマ洗浄等の乾式洗浄等が挙げられる。湿式洗浄の場合、超音波洗浄を併用してもよい。これらの洗浄方法は、ウェハ表面の汚染状況により適宜選択される。
本発明によれば、半導体ウェハの裏面を研削するに際し、研削中にウェハ表面と粘着剤層との間に水が浸入することに起因するウェハの破損も、研削屑が浸入することによるウェハ表面の汚染も発生することがない。粘着力が適正な範囲にあるため、半導体ウェハの表面から粘着フィルムを剥離する際にもウェハを破損することなく容易に剥離することができ、光照射装置等の設備を新たに工程に導入する必要もない。さらに、粘着フィルムをウェハから剥離した後に糊残りがないので、半導体ウェハの表面を汚染することがない。
本発明の半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルム及びそれを用いる半導体ウェハの裏面研削方法が適用できる半導体ウェハとして、シリコンウェハのみならず、ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、ガリウム−リン、ガリウム−ヒ素−アルミニウム等のウェハが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。以下に示す全ての実施例及び比較例においては、米国連邦規格209bに規定されるクラス1,000以下のクリーン度に維持された環境において粘着剤塗布液の調製及び塗布、並びに、半導体シリコンウェハの裏面研削等を実施した。
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例に示した各種特性値は下記の方法で測定した。
(1)粘着力(N/25mm)
下記に規定した条件以外は、全てJIS Z−0237(2000年度版)に準じて測定した。23℃の雰囲気下において、実施例または比較例で得られた粘着フィルムをその粘着剤層を介して、5×20cmのSUS304−BA板(JIS G−4305−1991年規定)の表面に貼着し、1時間放置した。試料の一端を挟持し、剥離角度180度、剥離速度300mm/min.でSUS304−BA板の表面から試料を剥離する際の応力を測定し、N/25mmの粘着力に換算した。
(2)実用評価
高さ8μmのハイバンプ電極を有する100mmの集積回路が周辺まで組み込まれた半導体シリコンウェハ(直径:200mm、厚み:600μm、スクライブラインの幅:100μm、スクライブラインの深さ:5μm)の表面に、実施例または比較例で得られた粘着フィルムを貼着し、研削機を用いて、水をかけて冷却しながら半導体シリコンウェハの裏面を研削して、厚みを約200μmとした。
各粘着フィルム毎に10枚の半導体シリコンウェハについて裏面研削を行い、下記<1>〜<3>の各評価を行った。
また、ウェハ汚染性については、下記<4>の評価を行った。
<1>裏面研削時のウェハの破損状況
半導体シリコンウェハ裏面の研削終了後、半導体シリコンウェハの破損状況を破損した枚数で評価した。
<2>裏面研削時の水浸入
研削により破損しなかった半導体シリコンウェハについて、表面と粘着フィルムとの間に周辺から水が浸入したか否かを目視で観察し、水浸入が生じた枚数で評価した。
<3>粘着フィルム剥離時のウェハの破損状況
水浸入の観察終了後、表面保護テープ剥がし機{日東精機(株)製、MODEL:HR−8500;使用剥がしテープ:ハイランド印フィラメントテープNo.897〔住友スリーエム(株)製〕}で該粘着フィルムを剥離し、粘着フィルム剥離時の破損状況を破損した枚数で評価した。
<4>ウェハ汚染性評価(ESCA測定)
ESCA(島津製 ESCA−3200)により、シリコンミラーウェハチップ表面の汚染性を評価した。
試料用の粘着フィルムをその粘着剤層を介して異物が付着していないシリコンミラーウェハ(直径:4インチ、厚み:600μm)の全表面に貼着した状態で、温度23±2℃、相対湿度50±5%に調整された雰囲気中に60分放置した後、粘着フィルムをシリコンミラーウェハから研削機〔(株)ディスコ製、形式:DFG−82IF/8〕を用いて剥離し、次いでダイヤモンドグラスカッター〔(株)井内盛栄堂製〕を用いて、シリコンミラーウェハを1cm角に切断した。切断した1cm角のシリコンミラーウェハから無作為に5個を採取し、それらの表面に対してESCAによる分析を下記条件にて実施し、C/Si比(5個の平均値)を求め、有機物による該チップ表面の汚染状況を測定した。
<ESCA測定条件>
X線源;Mg−Kα線(1252.0eV)、X線出力;300W、測定真空度;2×10−7Pa以下、C/Si比;(炭素のピーク面積)/(珪素のピーク面積)。
<C/Si比の評価方法>
粘着フィルムを貼着する前のシリコンミラーウェハ表面のC/Si比は、0.10(ブランク値)である。
評価基準としては、粘着フィルムを貼着した後のシリコンミラーウェハチップ表面のC/Si比が0.10〜0.20程度のチップ表面に対しては汚染無しとして「良好」と評価し、それを超えるチップ表面に対しては汚染有りとして「不良」と評価した。
[実施例1]
(基材フィルムの作製)
ショアーD型硬度が35のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂をT−ダイ押出機を用いて、厚さ200μmのフィルムに形成した。この際、粘着剤層を形成する側にコロナ処理を施した。得られたフィルムの厚みバラツキは±1.5%以内であった。
((A)粘着剤ポリマーの合成)
粘着剤ポリマーを合成するモノマー原料として、(A−1)アクリル酸ブチル80質量%と(A−1)メタクリル酸メチル8質量%、(A−2)メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル3質量%、(A−2)アクリル酸2質量%、(A−3)メタクロイル−オキシ−エチルイソシアネート7質量%を準備し、これらを酢酸エチル中で常法により共重合させ、数平均分子量が50万のアクリル系共重合体を固形分として50質量%含む粘着剤ポリマー溶液を得た。
(粘着剤塗布液の調製)
得られた粘着剤主剤溶液100質量部((A)粘着剤ポリマー濃度40質量%)に、(B)アジリジン系架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、ケミタイトPZ−33〕1.0質量部、及び(C)重量平均分子量が3000でジオール型のポリプロピレングリコール10質量部を加え、粘着剤塗布液を得た。
(粘着フィルムの作製)
得られた粘着剤層用塗布液を、ロールコーターを用いてポリプロピレンフィルム(剥離フィルム、厚み:50μm)に塗布し、120℃で5分間乾燥し厚さ40μmの粘着剤層を設けた。これに前述のエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム(基材フィルム)のコロナ処理面を貼り合わせ押圧して、粘着剤層を転写させた。転写後、60℃において48時間加熱した後、室温まで冷却することにより半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルムを製造した。
(粘着フィルムの評価)
1.粘着力
得られた粘着フィルムについて、前記の方法により、粘着力(N/25mm)を測定した。得られた粘着フィルムの粘着力は1.2N/25mmであった。
2.実用評価
得られた粘着フィルムを、高さ8μmのハイバンプ電極を有する100mmの集積回路が周辺まで組み込まれた半導体シリコンウェハ(直径:200mm、厚み:600μm、スクライブラインの幅:100μm、スクライブラインの深さ:5μm)の表面(集積回路側)に貼着した。
<2−1>裏面研削時のウェハの破損状況
研削機を用いて、水をかけて冷却しながら半導体シリコンウェハの裏面を、研削後の厚みが約200μmになるまで研削した。同様のウェハ10枚に対して同様の操作を行った。前記評価方法に従い破損の有無を確認したところ、研削中に破損したウェハは皆無であった。
<2−2>裏面研削時の水浸入
研削終了後、ウェハと粘着フィルムの間に水浸入は観察されなかった。
<2−3>粘着フィルム剥離時のウェハの破損状況
これら10枚のウェハから、表面保護テープ剥がし機{日東精機(株)製、MODEL:HR−8500;使用剥がしテープ:ハイランド印フィラメントテープNo.897〔住友スリーエム(株)製〕}を用いて粘着フィルムを剥離した。粘着フィルム剥離中に破損したウェハは皆無であった。
研削中に破損したウェハは皆無であり、研削終了後、ウェハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウェハも皆無であった。
<2−4>ESCAによる汚染状況評価
ウェハ表面の汚染性の指標であるESCAのC/Si値は0.17であり、汚染性が「良好」であることが観察された。
得られた結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の粘着剤層用塗布液の調製において、(C)重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコールの代わりに、(C)重量平均分子量1000のポリエチレングリコールを使用し、添加量を15質量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルムを製造した。
得られた粘着フィルムについて、前記の方法により、粘着力(N/25mm)を測定し、更に、実用評価を行った。
粘着フィルムの粘着力は1.0N/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウェハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウェハは皆無であり、研削終了後、ウェハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウェハも皆無であった。表面を水洗した後の半導体シリコンウェハの表面には、粘着剤等による汚染等は観察されなかった。
得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の粘着剤層用塗布液の調製において、(B)アジリジン系架橋剤1. 0質量部の代わりに、(B)エポキシ系架橋剤(ナガセ化成工業(株)製、デナコールEX−611)を使用し、添加量を5質量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルムを製造した。
得られた粘着フィルムについて、前記の方法により、粘着力(N/25mm)を測定し、更に、実用評価を行った。
得られた粘着フィルムの粘着力は2.5N/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウェハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウェハは皆無であり、研削終了後、ウェハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウェハも皆無であった。表面を水洗した後の半導体シリコンウェハの表面には、粘着剤等による汚染等は観察されなかった。
得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の粘着剤層用塗布液の調製において、(C)重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコールの添加量を20質量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルムを製造した。
得られた粘着フィルムについて、前記の方法により、粘着力(N/25mm)を測定し、更に、実用評価を行った。
得られた粘着フィルムの粘着力は0.8N/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウェハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウェハは皆無であり、研削終了後、ウェハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウェハも皆無であった。表面を水洗した後の半導体シリコンウェハの表面には、粘着剤等による汚染等は観察されなかった。
得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、(C)重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコールの代わりに、(C)重量平均分子量4500のポリエチレングリコールを使用し、添加量を5質量部とした以外は全て実施例1と同様の方法で半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルムを製造した。
得られた粘着フィルムについて、前記の方法により、粘着力(N/25mm)を測定し、更に、実用評価を行った。
得られた粘着フィルムの粘着力は2.5N/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウェハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウェハは皆無であり、研削終了後、ウェハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウェハも皆無であった。表面を水洗した後の半導体シリコンウェハの表面には、粘着剤等による汚染等は観察されなかった。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2008001838
[比較例1]
実施例1の粘着剤ポリマーの重合において(A−1)メタクリル酸メチルを15質量部%とし、(A−3)メタクロイル−オキシ−エチルイソシアネートを使用しなかった以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルムを製造した。
得られた粘着フィルムについて、前記の方法により、粘着力(N/25mm)を測定し、更に、実用評価を行った。
得られた粘着フィルムの粘着力は1.0N/25mmであった。
研削中に破損したウェハは皆無であり、研削終了後、ウェハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に破損したウェハも皆無であった。また、ウェハ表面の汚染性の指標であるESCAのC/Si値が0.25と大きく、汚染性が不良であることが観察された。
得られた結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、(C)ポリプロピレングリコールを用いなかった以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルムを製造した。
得られた粘着フィルムについて、前記の方法により、粘着力(N/25mm)を測定し、更に、実用評価を行った。
得られた粘着フィルムの粘着力は2.5N/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウェハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウェハはであったが、粘着フィルム剥離中に破損したウェハは3枚であった。また、ウェハ表面の汚染性の指標であるESCAのC/Si値が0.23であり、汚染性が不良であることが観察された。
得られた結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、(B)アジリジン系架橋剤を用いなかった以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルムを製造した。
得られた粘着フィルムについて、前記の方法により、粘着力(N/25mm)を測定し、更に、実用評価を行った。
得られた粘着フィルムの粘着力は2.0N/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウェハを用いて実施例1と同様の方法で評価した。研削中に破損したウェハは皆無であり、研削終了後、ウェハと粘着フィルムの間に、水浸入は観察されなかった。粘着フィルム剥離中に1枚のウェハが破損した。ウェハ表面の汚染性の指標であるESCAのC/Si値が0.35となり、汚染性が不良であることが観察された。
得られた結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例1の粘着剤塗布液の調製において、(C)重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコールの代わりに、本発明の範囲外である重量平均分子量500のポリエチレングリコールを使用し、添加量を20質量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルムを製造した。
得られた粘着フィルムについて、前記の方法により、粘着力(N/25mm)を測定し、更に、実用評価を行った。
得られた粘着フィルムの粘着力は0.4N/25mmであった。
この粘着フィルムについて、実施例1と同様の半導体シリコンウェハを用いて実施例1と同様の方法で評価した研削中に水浸入が原因で2枚のウェハが破損した。研削終了後、破損しなかった8枚のウェハの全てについて、水浸入が観察された。ウェハ表面の汚染性の指標であるESCAのC/Si値が0.18となり、汚染性は良好であることが観察された。
得られた結果を表2に示す。
[比較例5]
実施例1の粘着剤塗布液の調製において(C)重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコールの代わりに、本発明の範囲外である重量平均分子量が10000のポリプロピレングリコールを使用し、添加量を5質量部とした以外は、全て実施例1と同様の方法で半導体ウェハ裏面研削用粘着フィルムを製造した。
しかし、配合後の粘度が1000cps以上と高くなり、実施例1と同様のEVAフィルムのコロナ処理面にロールコーターにて塗布できなかったため、目的とする半導体ウェハ加工用フィルムを得ることができなかった。
Figure 2008001838
以上のように、実施例の粘着フィルムは、半導体ウェハの裏面を研削するに際し、裏面の研削応力に起因する研削中のウェハ破損が起こらないばかりでなく、ウェハ表面と粘着剤層との間に水及び研削屑が浸入することに起因するウェハの破損及びウェハ表面の汚染も起こらない。また、粘着力が適正な範囲にあるため、粘着フィルムをウェハから剥離する際のウェハの破損が起こらず、容易に剥離しうる。さらに、粘着フィルムをウェハから剥離した後における糊残りや、粘着剤層からのブリードアウトもないので、半導体ウェハの表面を汚染することがない。

Claims (2)

  1. 半導体ウェハの裏面を研削する際にその回路形成表面に貼着される半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムであって、基材フィルムの片表面に、(A)アクリル系粘着剤ポリマー、及び、該(A)アクリル系粘着剤ポリマー100質量部に対し、(B)1分子中に官能基を2個以上有する架橋剤0.1〜30質量部と、(C)重量平均分子量1000〜5000の両末端官能基がジオール型のポリアルキレングリコール1〜20質量部と、を含む粘着剤層用塗布液を用いて形成された粘着剤層を有し、該(A)アクリル系粘着剤ポリマーが、モノマー全量中、(A−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー単位を10質量%〜98質量%、(A−2)架橋剤と反応しうる官能基を有するモノマー単位を1質量%〜30質量%、及び(A−3)ポリアルキレングリコールの末端ジオール基と反応し得るイソシアネート官能基を有するアクリル酸エステルモノマー単位を1質量%〜10質量%含有してなるモノマー組成物により調製されたポリマーであることを特徴とする半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルム。
  2. 半導体ウェハの回路形成表面に請求項1に記載の粘着フィルムを貼着して、半導体ウェハの裏面を研削し、研削終了後に該粘着フィルムを剥離することを特徴とする半導体ウェハの裏面研削方法。
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