JP2017014514A - 表面保護シート - Google Patents

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【課題】剥離後の被着体表面への粘着剤の残留が少なく、被着体である塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートの提供。
【解決手段】基材層1と粘着剤層2とを備える表面保護シート10で、厚みが10〜200μmであり、粘着剤層2を構成する粘着剤に含まれる主成分が、ポリマーAを架橋したポリマーPであり、架橋がエポキシ系架橋剤により行われ、ポリマーAが、(メタ)アクリレートモノマーを主成分とするモノマー組成物を重合したアクリル系ポリマーであり、モノマー組成物がカルボキシル基含有モノマーを含み、ポリマーAの重量平均分子量Mwが500000〜1000000であり、シリコンウエハに表面保護シート10を貼り付けて40℃で24時間放置した後に23℃の温度環境下に置いて表面保護シート10を剥離した後の該シリコンウエハの表面の光電子分光分析によるC/Si比が0.4以下である表面保護シート10。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面保護シートに関する。本発明の表面保護シートは、金属板、塗装板、アルミサッシ、樹脂板、化粧鋼板、塩化ビニルラミネート鋼板、ガラス板等の部材;偏光シート、液晶パネル等の光学部材;電子部材;などを運搬、加工または養生する際等に、それら部材の表面に貼り付けて該表面を保護する用途等に用いられる。特に、金属板、樹脂板、ガラス板などの表面が親水性塗膜や表面処理により親水化された親水性部材や、反射防止をさせたい波長の1/4となる膜厚が形成された反射防止機能付き基板やナノレベルの凹凸構造による反射防止機能付き基板などの低汚染が求められる表面保護シートとして有用である。
塗装鋼板などの塗装板には、表面が平滑なものから表面が粗面のものまで様々なものが存在し、その表面を運搬時、加工時の傷付き等から保護するために、該表面に表面保護シートを貼り付けることが一般的に行われている。表面保護シートは、通常、基材層の片側に粘着剤層が設けられている。
表面保護シートとして、経日の粘着力昂進に優れた表面保護シートが報告されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載の表面保護シートは、粘着剤が硬く、粗面の塗装板には接着しないという問題がある。
そこで、粗面に対する粘着性や糊残り性に優れた表面保護シートが報告されている(特許文献2、3)。特許文献2、3に記載の表面保護シートは、汎用の塗装板に使用した場合には、粗面に対する粘着性に優れ、糊残りに関しても目視では確認されず、実使用において大きな問題はない。
近年、従来の塗装板に変わる新たな塗装板として、親水性微粒子や親水性ポリマーを添加した親水性塗装板が普及しつつある。これら親水性塗装板は、セルフクリーニング性を有しており、表面に汚れが生じた場合でも雨水等によって除去できるという機能を有している。ところが、特許文献2、3に記載の表面保護シートをこのような親水性塗装板に使用した場合には、良好な粘着性を示し、目視による糊残りは確認されないものの、親水性塗装板表面に目視では確認不可能な粘着剤残留物が存在しており、結果として、表面保護シート剥離後の親水性塗装板のセルフクリーニング性が消失してしまうという課題がある。
特開2010−42580号公報 特開2007−270022号公報 特開2001−106995号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、被着体に対して良好に粘着し、且つ、経日による粘着力の上昇が起こりにくく、容易に再剥離ができ、剥離後の被着体表面への粘着剤の残留が少なく、被着体である塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することにある。
本発明の表面保護シートは、
基材層と粘着剤層とを備える表面保護シートであって、
厚みが10〜200μmであり、
該粘着剤層を構成する粘着剤に含まれる主成分が、ポリマーAが架橋されたポリマーPであり、
該架橋がエポキシ系架橋剤を使用してなされ、
該ポリマーAが、(メタ)アクリレートモノマーを主成分とするモノマー組成物を重合して得られるアクリル系ポリマーであり、
該モノマー組成物がカルボキシル基含有モノマーを含み、
該ポリマーAの重量平均分子量Mwが500000〜1000000であり、
シリコンウエハに該表面保護シートを貼り付けて40℃で24時間放置した後に23℃の温度環境下に置いて該表面保護シートを剥離した後の該シリコンウエハの表面の光電子分光分析によるC/Si比が0.4以下である。
好ましい実施形態においては、被着体に上記表面保護シートを貼り付けて50℃で24時間放置した後に23℃の温度環境下に置いて該表面保護シートを剥離した後の該被着体の表面の水接触角が70度以下である。
好ましい実施形態においては、上記被着体が親水性塗装板である。
好ましい実施形態においては、十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する上記粘着剤層の粘着力が0.05N/20mm以上である。
好ましい実施形態においては、本発明の表面保護シートは、親水性塗装板の表面の保護に用いる。
好ましい実施形態においては、本発明の表面保護シートは、低汚染が要求される基板の表面の保護に用いる。
好ましい実施形態においては、本発明の表面保護シートは、反射防止膜を有する基板の保護に用いる。
好ましい実施形態においては、本発明の表面保護シートは、太陽電池用カバーガラスの表面の保護に用いる。
本発明によれば、被着体に対して良好に粘着し、且つ、経日による粘着力の上昇が起こりにくく、容易に再剥離ができ、剥離後の被着体表面への粘着剤の残留が少なく、被着体である塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
本発明の好ましい実施形態による表面保護シートの概略断面図である。
≪A.表面保護シート≫
本発明の表面保護シートは、基材層と粘着剤層とを備える。図1は、本発明の好ましい実施形態による表面保護シートの概略断面図である。表面保護シート10は、基材層1と粘着剤層2を備える。本発明の表面保護シートは、必要に応じて、任意の適切な他の層をさらに有していてもよい(図示せず)。
基材層1の粘着剤層2を付設しない面に対しては、巻戻しが容易な巻回体の形成などを目的として、例えば、基材層に、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミン、長鎖アルキル系添加剤等を添加して離型処理を行ったり、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの任意の適切な剥離剤からなるコート層を設けたりすることができる。また、基材とは別に、離型性を有する剥離ライナーを貼り合わせても構わない。
本発明の表面保護シートの厚みは、用途に応じて、任意の適切な厚みに設定し得る。傷付き防止および粘着力の観点から、好ましくは10〜300μmであり、より好ましくは15〜250μmであり、さらに好ましくは20〜200μmであり、特に好ましくは25〜150μmである。
本発明の表面保護シートは、表面保護シートの粘着剤層側をシリコンウエハに貼り付けて40℃で24時間放置した後に23℃の温度環境下に置いて該表面保護シートを剥離して得られた該シリコンウエハの表面の、光電子分光分析(ESCA分析)によるC/Si比が0.8以下である。表面保護シート剥離後のシリコンウエハの表面に粘着剤が残留している場合には、シリコンウエハの表面のSiに対するCの割合が高くなる。表面保護シート剥離後のシリコンウエハの表面のC/Si比が0.8以下であれば、Si成分への粘着剤の残留が抑えられており、例えば、親水性シリカ等を用いた親水性塗装板に対しても、粘着剤の残留が抑えられ、表面保護シートを剥離した後でも被着体である親水性塗装板表面のセルフクリーニング性が維持され得る。好ましくは、表面保護シート剥離後のシリコンウエハの表面のESCA分析によるC/Si比は0.6以下であり、より好ましくは0.4以下である。なお、未処理のシリコンウエハの表面では、ESCA分析によるC/Si比は0.12程度である。
本発明の表面保護シートは、好ましくは被着体に該表面保護シートを貼り付けて50℃で24時間放置した後に23℃の温度環境下に置いて該表面保護シートを剥離した後の該被着体の表面の水接触角が70度以下である。このような接触角は、より好ましくは65度以下である。このような接触角が70度を超えると、十分に高い親水性を発現できないおそれがある。
本発明の表面保護シートは、十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する粘着剤層の粘着力が0.05N/20mm以上であることが好ましい。十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する粘着剤層の粘着力が0.05N/20mm以上であれば、粘着剤層が良好な粘着性を有しており、貼付後の剥がれ等も十分に防止され得る。ここで、「十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板」とは、本発明の表面保護シートにおける粘着剤層の粘着力を評価する上での基準とする被着体を規定したものである。「十点平均表面粗さRz」は、表面の粗さを示す指標として公知の指標である。本発明の表面保護シートは、十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する粘着剤層の粘着力が、好ましくは0.1N/20mm以上であり、より好ましくは0.10〜15N/20mmであり、さらに好ましくは0.10〜10N/20mmであり、特に好ましくは0.15〜7N/20mmである。本発明の表面保護シートについて、十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する粘着剤層の粘着力が上記範囲内にあれば、表面の粗い塗装面に対しても良好な粘着性を発現できる。
<A−1.基材層>
基材層の厚みとしては、用途に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。基材層の厚みは、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは10〜250μmであり、さらに好ましくは15〜200μmであり、特に好ましくは20〜150μmである。
基材層は、単層でも良いし、2層以上の積層体であっても良い。基材層は、延伸されたものであっても良い。
基材層の材料としては、用途に応じて、任意の適切な材料を採用し得る。例えば、プラスチック、紙、金属フィルム、不織布などが挙げられる。好ましくは、プラスチックである。基材層は、1種の材料から構成されていても良いし、2種以上の材料から構成されていても良い。例えば、2種以上のプラスチックから構成されていても良い。
上記プラスチックとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンモノマーの単独重合体、オレフィンモノマーの共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、ホモポリプロピレン;エチレン成分を共重合成分とするブロック系、ランダム系、グラフト系等のプロピレン系共重合体;リアクターTPO;低密度、高密度、リニア低密度、超低密度等のエチレン系重合体;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合体;などが挙げられる。
基材層は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含有し得る。基材層に含有され得る添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、顔料などが挙げられる。基材層に含有され得る添加剤の種類、数、量は、目的に応じて適切に設定され得る。特に、基材層の材料がプラスチックの場合は、劣化防止等を目的として、上記の添加剤のいくつかを含有することが好ましい。耐候性向上等の観点から、添加剤として特に好ましくは、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、任意の適切な酸化防止剤を採用し得る。このような酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、ラクトン系加工熱安定剤、イオウ系耐熱安定剤、フェノール・リン系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤の含有割合は、基材層のベース樹脂(基材層がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)100重量部に対して、好ましくは1重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部以下であり、さらに好ましくは0.01〜0.2重量部である。
紫外線吸収剤としては、任意の適切な紫外線吸収剤を採用し得る。このような紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。紫外線吸収剤の含有割合は、基材層を形成するベース樹脂(基材層がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下であり、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
光安定剤としては、任意の適切な光安定剤を採用し得る。このような光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤などが挙げられる。光安定剤の含有割合は、基材層を形成するベース樹脂(基材層がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下であり、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
充填剤としては、任意の適切な充填剤を採用し得る。このような充填剤としては、例えば、無機系充填剤などが挙げられる。無機系充填剤としては、具体的には、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。充填剤の含有割合は、基材層を形成するベース樹脂(基材層がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)100重量部に対して、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下であり、さらに好ましくは0.01〜10重量部である。
さらに、添加剤としては、帯電防止性付与を目的として、界面活性剤、無機塩、多価アルコール、金属化合物、カーボン等の無機系、低分子量系および高分子量系帯電防止剤も好ましく挙げられる。特に、汚染、粘着性維持の観点から、高分子量系帯電防止剤やカーボンが好ましい。
<A−2.粘着剤層>
粘着剤層の厚みは、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは3〜50μmであり、さらに好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。
粘着剤層は粘着剤により構成される。粘着剤は1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。粘着剤は、好ましくはポリマーAが架橋されたポリマーPを主成分とする。具体的には、粘着剤中のポリマーPの含有割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
ポリマーAの重量平均分子量Mw(標準ポリスチレン換算)は、好ましくは500000以上であり、より好ましくは520000〜2000000であり、さらに好ましくは550000〜1500000である。ポリマーAの重量平均分子量Mwが上記範囲内にあれば、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
ポリマーAの分散度Mw/Mnは、好ましくは8.0以下であり、より好ましくは2.0〜7.0であり、さらに好ましくは3.0〜5.0である。ポリマーAの分散度Mw/Mnが上記範囲内にあれば、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
ポリマーPの酢酸エチルへの不溶分は、好ましくは90重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上であり、さらに好ましくは97重量%以上である。ポリマーPの酢酸エチルへの不溶分が上記範囲内にあれば、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
本発明の表面保護シートにおいては、塗装板表面のセルフクリーニング性や反射防止機能を有する基板の反射率を損なわない表面保護シートを提供することを目的として、ポリマーAの重量平均分子量Mwが500000以上であり、ポリマーAの分散度Mw/Mnが8.0以下であり、ポリマーPの酢酸エチルへの不溶分が90重量%以上であることが特に好ましい。
ポリマーPの酢酸エチルへの可溶分のGPC測定における、重量平均分子量Mwが2500以下の面積割合は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。ポリマーPの酢酸エチルへの可溶分のGPC測定における、重量平均分子量Mwが2500を超えるものは、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なうおそれがある。
粘着剤層を構成する粘着剤は、任意の適切な粘着剤を採用し得る。このような粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが挙げられる。粘着剤として、特に好ましくは、アクリル系粘着剤である。
アクリル系粘着剤に含まれる主成分としてのポリマーPの架橋前のポリマーAとしては、(メタ)アクリレートモノマーを主成分とするモノマー組成物を重合して得られるアクリル系ポリマーが好ましい。このようなアクリル系ポリマーをポリマーAとして採用することによって、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。なお、「(メタ)アクリレート」なる表現は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。該アクリル系ポリマーが(メタ)アクリレートモノマー以外のモノマーを含む場合、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、グラフト共重合体であってもよい。
モノマー組成物中の(メタ)アクリレートモノマーの含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60〜99重量%であり、さらに好ましくは70〜98重量%であり、特に好ましくは80〜97重量%である。モノマー組成物中の(メタ)アクリレートモノマーの含有割合が上記範囲内にあれば、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、目視での糊残りのみならず、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
モノマー組成物中の(メタ)アクリレートモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
モノマー組成物中には、架橋を目的とする官能基含有モノマーを含んでいることが好ましい。このような官能基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アジリジン基含有モノマーなどが挙げられる。このような官能基含有モノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸」なる表現は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」なる表現は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
モノマー組成物中の官能基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
モノマー組成物中の官能基含有モノマーの含有割合は、好ましくは1〜25重量%であり、より好ましくは1〜20重量%であり、さらに好ましくは2〜15重量%であり、特に好ましくは3〜10重量%である。モノマー組成物中の官能基含有モノマーの含有割合が上記範囲内にあれば、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、目視での糊残りのみならず、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
モノマー組成物中には、剥離性コントロールを目的とするモノマーとして、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマー、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなどが含まれていても良い。このようなモノマーとしては、具体的には、例えば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどが挙げられる。モノマー組成物中のこのようなモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤層を構成し得るアクリル系粘着剤のFOXの式におけるガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−80〜0℃であり、より好ましくは−70〜−10℃であり、さらに好ましくは−60〜−20℃である。ガラス転移温度(Tg)が上記範囲内にあれば、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し得る表面保護シートを提供することができる。なお、ガラス転移温度(Tg)は、使用するモノマー成分やそれらの組成比を適宜変更することにより調整することができる。
ポリマーPはポリマーAを架橋して得られる。すなわち、ポリマーPとしては、例えば、ポリマーAと任意の適切な架橋剤を反応させた架橋ポリマー、ポリマーAに活性エネルギー線(紫外線や電子線など)を照射して架橋反応させた架橋ポリマーなどが挙げられる。
ポリマーAを架橋してポリマーPとするために用い得る架橋剤としては、任意の適切な架橋剤を採用し得る。このような架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、多官能イソシアネート系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤、過酸化物系架橋剤などが挙げられる。なお、架橋剤の使用の有無にかかわらず、紫外線や電子線などの活性エネルギー線の照射によって架橋構造を構築することも可能である。架橋剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
架橋剤の使用量は、粘着剤の主成分であるポリマーPの架橋前のポリマーA100重量部に対して、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下であり、さらに好ましくは1〜8重量部である。架橋剤の含有割合が上記範囲を外れると、架橋剤自体が汚染の原因となるおそれがある。
特に好ましく用いられる架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、多官能イソシアネート系架橋剤が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、好ましくは多官能性エポキシ化合物が用いられ、分子中に2個以上のエポキシ基を有する種々の化合物が含まれる。その代表的な例としては、例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリメチロールプロパングリシジルエーテル、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフエノールなどが挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、好ましくは多官能イソシアネート化合物が用いられ、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する種々の化合物が含まれる。その代表的な例としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
粘着剤層を構成する粘着剤中には、任意の適切な添加剤を含有し得る。このような添加剤としては、例えば、軟化剤、粘着付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、滑剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料、溶剤などが挙げられる。
粘着付与剤は、粘着力の向上、特に、粗面被着体への粘着性向上に有効である。粘着付与剤としては、任意の適切な粘着付与剤を採用し得る。このような粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系共重合体等の石油系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、テルぺン系樹脂、テルぺンフェノール系樹脂、重合ロジン等のロジン系樹脂、(アルキル)フェノール系樹脂、キシレン系樹脂またはこれらの水添物などが挙げられる。粘着付与剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着付与剤の含有割合は、粘着剤の主成分であるポリマーP100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは30重量部以下であり、さらに好ましくは10重量部以下である。粘着付与剤の含有割合が上記範囲を外れると、低温時の粘着性に劣ったり、高温時での糊残りが顕著となったりするおそれがある。
粘着剤層を構成する粘着剤は、任意の適切な方法によって製造し得る。粘着剤層を構成する粘着剤は、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、紫外線(UV)による重合など、ポリマーの合成手法として一般的に用いられる重合方法を用いるとともに、任意の適切な架橋方法を採用し、必要に応じて任意の適切な添加剤を用いることによって製造し得る。
重合方法としては、高分子量で且つ分散度の低い粘着剤が製造できる点で、溶液重合、乳化重合、縣濁重合、紫外線(UV)による重合が好ましい。例えば、溶液重合としては、モノマー組成物に、重合開始剤および溶剤を加え、必要により任意の適切な添加剤を加えて、溶液重合を行う。
重合開始剤としては、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。このような重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物や過酸化物などが挙げられる。このような重合開始剤としては、具体的には、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカンなどが挙げられる。
≪B.表面保護シートの製造方法≫
本発明の表面保護シートは、任意の適切な方法により製造することができる。このような製造方法としては、例えば、
(1)粘着剤の溶剤による溶液や熱溶融液を基材に塗布する方法、
(2)それに準じ、セパレータ状に塗布、形成した粘着剤層を移着する方法、
(3)粘着剤層の形成材料を基材上に押出して形成塗布する方法、
(4)基材と粘着剤層を二層または多層にて押出しする方法、
(5)基材上に粘着剤層を単層ラミネートする方法またはラミネート層とともに粘着剤層を二層ラミネートする方法、
(6)粘着剤層とフィルムやラミネート層等の基材形成材とを二層または多層ラミネートする方法、
などの、任意の適切な粘着シートの製造方法に準じて行うことができる。
上記塗布の方法としては、例えば、バーコーター、グラビアコーター、スピンコーター、ロールコーター、ナイフコーター、アプリケーター等を用いる方法が挙げられる。
生産性およびコストの点からは、本発明の表面保護シートの製造方法としては、特に、粘着剤の溶剤による溶液や熱溶融液を基材に塗布する方法が好ましい。
≪C.表面保護シートの用途≫
本発明の表面保護シートは、被着体に対して良好に粘着し、且つ、経日による粘着力の上昇が起こりにくく、容易に再剥離ができ、剥離後の被着体表面への粘着剤の残留が少なく、被着体である塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない。このため、本発明の表面保護シートは、任意の適切な用途に用い得るが、例えば、金属板、塗装板、アルミサッシ、樹脂板、化粧鋼板、塩化ビニルラミネート鋼板、ガラス板等の部材;偏光シート、液晶パネル等の光学部材;電子部材;などを運搬、加工または養生する際等に、それら部材の表面に貼り付けて該表面を保護する用途等に好ましく用いることができる。特に、金属板、樹脂板、ガラス板などの表面が親水性塗膜や表面処理により親水化された親水性部材や、反射防止をさせたい波長の1/4となる膜厚が形成された反射防止機能付き基板やナノレベルの凹凸構造による反射防止機能付き基板などの低汚染が求められる表面保護シートとして有用である。より具体的な用途としては、例えば、本発明の表面保護シートは、親水性塗装板の表面の保護や、低汚染が要求される基板の表面の保護や、反射防止膜を有する基板の保護や、太陽電池用カバーガラスの表面の保護に、好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。また、「部」は「重量部」を意味する。
(光電子分光分析(ESCA測定法(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)))
シリコンウエハは信越半導体社製の商品名CZN<100>2.5−3.5(厚さ100μmの4インチシリコンウエハ)を用いた。実施例または比較例の表面保護シートを該シリコンウエハに貼付け、40℃で24時間放置した後、23℃にて表面保護シートを剥離し、シリコンウエハの表面のC元素比率、Si元素比率を測定した。
測定には、アルバックファイ社製のESCA装置「model5400」を用いて、X線源:MgKα(300W,15kV)、光電子取出し角:45°、分析面積が1.1mmφの条件で、ワイドスキャン測定により、定性分析を行った。検出された元素についてナロースキャン測定を行って、実施例または比較例の表面保護シート剥離後のシリコンウエハの表面部におけるC元素比率(atomic%)およびSi元素比率(atomic%)を求め、C/Si比を求めた。
表面保護シートを貼付前のシリコンウエハのC元素比率は5.8(atomic%)、Si元素比率は50.9(atomic%)、C/Si比は0.12であった。
(接触角)
親水性塗装板(JFE鋼板製、A02Wアピアクリーンシロ)に表面保護シートを線圧78.7N/cmにて貼付した。その後、50℃で24時間放置した後、23℃にて表面保護シートを剥離し、協和界面科学社製の自動接触角計(モデルCA−V型)を用いて、液滴法により、23℃×50%RHの雰囲気下で、約1.9μLの蒸留水を親水性塗装板の上に滴下して、液滴の滴下から1秒後の塗装板と液滴端部の接線とからなる角度を測定した。また、前記塗装板の表面保護シート未貼付時の水接触角は58.2度であった。
(十点平均表面粗さRz)
親水性塗装板(JFE鋼板製、A02Wアピアクリーンシロ)の表(おもて)面の表面粗さについて、光学式プロファイラーNT9100(Veeco社製)を使用して、Measurement Type:VSI(Infinite Scan)、Objective:2.5X、FOV:1.0X、Modulation Threshold:0.1%の条件で、n=3で測定した。測定後、Terms Removal:Tilt Only(Plane Fit)、Window Filtering:Noneにてデータ解析を行い、十点平均表面粗さRzを求めた。
(十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する粘着力)
粘着力の測定は、JIS Z0237(2000)に準じて行った。すなわち、十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に、供試表面保護シートを線圧78.7N/cmにて貼付し、貼付から30分後にインストロン型引張試験機(島津製作所製、オートグラフ)にて、剥離角度180度、引張速度0.3m/minの条件で、粘着力を測定した。
(重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mn)
重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mnの測定は,ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC法)において行い、HLC−8120(東ソー社製)による内径6.0mm、長さ150mmのカラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−H/HZ4000/HZ3000/HZ2000)を直列に接続して使用し、溶離液にテトラヒドロフランを用いて濃度1g/L、流量0.6ml/分、温度40℃、サンプル注入量20μlの条件で行い、検出器にはRI検出器を用いた。また分子量の検量線の作成には,TSK 標準ポリスチレン(東ソー社製)を用いた。
(雨筋汚染性)
得られた表面保護シートを貼り付けた親水性塗装鋼板(100×200×0.3mm)を南側曝露角度45度の屋外曝露台に取り付け、愛知県豊橋市の日東電工(株)屋上にて1ヶ月間曝露試験を行った。その後表面保護シートを剥離し、さらに1ヶ月間同様の曝露試験を行い、晴天時に雨筋汚染性(雨筋上の汚れ跡)を目視にて確認した。
雨筋汚染性の評価基準は下記の通りである。
○:雨筋跡が見られないもしくはわずかに認められる。
×:雨筋跡が残る。
〔製造例1〕:基材1の作製
ポリエチレン樹脂(東ソー製、ペトロセン183)100部に対して酸化チタン(堺化学工業社製、FTR−700)3部およびヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製、キマソーブ2020)0.1部を配合した混合物を、インフレーション法にてダイス温度160℃となるように製膜し、厚みが55μmの基材1を得た。
〔製造例2〕:基材2の作製
プロピレン樹脂(プライムポリマー社製、プライムポリプロF−744NPT)100部に対して酸化チタン(堺化学工業社製、FTR−700)9部を配合した混合物をTダイ法にてダイス温度230℃となるように製膜し、厚みが50μmの基材2を得た。
〔製造例3〕:ポリマーA(1)の作製
冷却管、窒素導入管、温度計、および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル97部およびアクリル酸3部の混合溶液、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.20部、酢酸エチル200部を入れ、60℃で12時間重合して、ポリマーA(1)の溶液を得た。得られたポリマーA(1)の重量平均分子量Mwは100万、分散度Mw/Mnは3.9であった。
〔製造例4〕:ポリマーA(2)の作製
冷却管、窒素導入管、温度計、および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル95部およびアクリル酸5部の混合溶液、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.20部、トルエン300部を入れ、60℃で重合率が90%になるまで重合を行った。重合率が90%となった時点で温度を90℃に昇温後2時間重合して、ポリマーA(2)の溶液を得た。得られたポリマーA(2)の重量平均分子量Mwは49万、分散度Mw/Mnは15.5であった。
〔製造例5〕:ポリマーA(3)の作製
アクリル酸2−エチルヘキシル57部、酢酸ビニル40部、アクリル酸3部の混合溶液、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.15部、トルエン300部を使用した以外は、製造例3と同様に行い、ポリマーA(3)の溶液を得た。得られたポリマーA(3)の重量平均分子量Mwは46万、分散度Mw/Mnは11.5であった。
〔実施例1〕
ポリマーA(1)の固形分100部に対してエポキシ系架橋剤3.0部(三菱瓦斯化学社製、TETRAD C)を添加した混合溶液を、片面にコロナ処理が施された基材2に、乾燥後の粘着剤層の厚みが15μmとなるように塗布し、表面保護シートを作製した。また、乾燥時の条件は85℃、5分とした。得られた表面保護シートをポリエチレンフィルムに貼合をし、40℃で2日間放置した。このようにして得られた、ポリマーA(1)が架橋されたポリマーP(1)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(1)を備える表面保護シート(1)の評価結果を表1に示した。
〔比較例1〕
ポリマーA(2)の固形分100部に対してエポキシ系架橋剤3.0部(三菱瓦斯化学社製、TETRAD C)を添加した混合溶液を、片面にコロナ処理が施された基材1に、乾燥後の粘着剤層の厚みが5μmとなるように塗布し、表面保護シートを作製した。また、乾燥時の条件は85℃、5分とした。得られた表面保護シートをポリエチレンフィルムに貼合をし、40℃で2日間放置した。このようにして得られた、ポリマーA(2)が架橋されたポリマーP(2)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(C1)を備える表面保護シート(C1)の評価結果を表1に示した。
〔比較例2〕
ポリマーA(3)の固形分100部に対してエポキシ系架橋剤2.0部(三菱瓦斯化学社製、TETRAD C)を添加した混合溶液を、片面にコロナ処理が施された基材1に、乾燥後の粘着剤層の厚みが10μmとなるように塗布し、表面保護シートを作製した。また、乾燥時の条件は85℃、5分とした。得られた表面保護シートをポリエチレンフィルムに貼合をし、40℃で2日間放置した。このようにして得られた、ポリマーA(3)が架橋されたポリマーP(3)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(C2)を備える表面保護シート(C2)の評価結果を表1に示した。
Figure 2017014514
表1から明らかなように、本発明の表面保護シートは、被着体に対して良好に粘着し、且つ、経日による粘着力の上昇が起こりにくく、容易に再剥離ができ、剥離後の被着体表面への粘着剤の残留が少なく、被着体である塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない。
本発明の表面保護シートは、金属板、塗装板、アルミサッシ、樹脂板、化粧鋼板、塩化ビニルラミネート鋼板、ガラス板等の部材;偏光シート、液晶パネル等の光学部材;電子部材;などを運搬、加工または養生する際等に、それら部材の表面に貼り付けて該表面を保護する用途等に用いられる。特に、親水性塗装板などの親水性部材や、反射防止をさせたい波長の1/4となる膜厚が形成された反射防止機能付き基板やナノレベルの凹凸構造による反射防止機能付き基板などの表面保護シートとして有用である。
1 基材層
2 粘着剤層
10 表面保護シート

Claims (8)

  1. 基材層と粘着剤層とを備える表面保護シートであって、
    厚みが10〜200μmであり、
    該粘着剤層を構成する粘着剤に含まれる主成分が、ポリマーAが架橋されたポリマーPであり、
    該架橋がエポキシ系架橋剤を使用してなされ、
    該ポリマーAが、(メタ)アクリレートモノマーを主成分とするモノマー組成物を重合して得られるアクリル系ポリマーであり、
    該モノマー組成物がカルボキシル基含有モノマーを含み、
    該ポリマーAの重量平均分子量Mwが500000〜1000000であり、
    シリコンウエハに該表面保護シートを貼り付けて40℃で24時間放置した後に23℃の温度環境下に置いて該表面保護シートを剥離した後の該シリコンウエハの表面の光電子分光分析によるC/Si比が0.4以下である、
    表面保護シート。
  2. 被着体に前記表面保護シートを貼り付けて50℃で24時間放置した後に23℃の温度環境下に置いて該表面保護シートを剥離した後の該被着体の表面の水接触角が70度以下である、請求項に記載の表面保護シート。
  3. 前記被着体が親水性塗装板である、請求項に記載の表面保護シート。
  4. 十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する前記粘着剤層の粘着力が0.05N/20mm以上である、請求項1からまでのいずれかに記載の表面保護シート。
  5. 親水性塗装板の表面の保護に用いる、請求項1からまでのいずれかに記載の表面保護シート。
  6. 低汚染が要求される基板の表面の保護に用いる、請求項1からまでのいずれかに記載の表面保護シート。
  7. 反射防止膜を有する基板の表面の保護に用いる、請求項1からまでのいずれかに記載の表面保護シート。
  8. 太陽電池用カバーガラスの表面の保護に用いる、請求項1からまでのいずれかに記載の表面保護シート。
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